説明

充電設備

【課題】利用者が操作に慣れているかどうかを問わず快適に使用できるものであり、迅速に充電を開始可能な充電設備を提供する。
【解決手段】本体部1と、本体部1と充電対象のバッテリーとを電気的に接続できるケーブル2とを備え、本体部1は、表示画面121a1と、表示画面121a1の表示内容を切り替える表示制御部124aと、ケーブル2がバッテリーに電気的に接続されたことを検知する接続検知部124bとを備え、表示制御部124aは、利用者が充電設備を操作する手順を、あらかじめ設定された順で表示画面124aに表示可能であり、これに加え、表示制御部124aは、接続検知部124bがケーブル2とバッテリーとの電気的な接続を検知した場合には、前記のあらかじめ設定された順をスキップし、本体部1からバッテリーへの電力供給開始の前段階表示を表示画面121a1に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載されるバッテリーを充電するための充電設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、電気自動車や移動式の電源装置などの移動体に搭載されるバッテリー(二次電池)を充電するための充電設備が普及しつつある。この充電設備の適用例として、電気自動車を普及させることを目的とし、自治体などの主導により各地に設置された充電スタンドが挙げられる。この充電スタンドに設けられた充電設備は、電気自動車に搭載された駆動用のバッテリーを充電するものである。この一例として、特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−199752号公報(7、11ページ)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、充電操作装置にタッチパネルが設けられているとの記載がある。このタッチパネルを操作することで、内部のCPUユニットに指令を発し、出力コントロールユニットが充電を開始するものとされている。特許文献1には、このタッチパネルの操作手順に関する記載はないが、この種の充電設備では、充電設備の操作方法を利用者に説明する表示を、画面にあらかじめ設定された順で表示していくものが一般的であり、利用者が操作するボタンやタッチパネルなどの操作手順もこの画面の表示に対応している。つまり利用者は、画面の表示に従い、順を追ってボタンやタッチパネルなどを操作するが、その際、利用者が一つの操作を行う毎に画面の表示が切り替わっていくものとされている。そして、画面に示された各表示に従って、利用者が充電設備を操作していくことができる。
【0005】
しかしながら、何度も充電設備を利用したことのある利用者は、前記のようにあらかじめ設定された順に画面に表示される充電設備の操作方法を見て、実際に充電設備を操作することを何度も経験している。そのため、このような操作に慣れた利用者の多くは、前記のような順を追った操作を省略して手っ取り早く充電を開始したいという思いを持っており、操作に慣れた利用者にとってわかりきった、前記のような順を追った操作を強いられることにイライラ感を感じる場合もあった。
【0006】
そこで本発明は、利用者が操作に慣れているかどうかを問わず快適に使用できるものであり、迅速に充電を開始可能な充電設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の充電設備は、移動体に搭載されるバッテリーを充電するための充電設備において、充電を行うための本体部と、前記本体部から延びるもので前記本体部と前記バッテリーとを電気的に接続できるケーブルとを備え、前記本体部は、表示画面と、前記表示画面の表示内容を切り替える表示制御部と、前記ケーブルが前記バッテリーに電気的に接続されたことを検知する接続検知部とを備え、前記表示制御部は、利用者が充電設備を操作する手順を、あらかじめ設定された順で前記表示画面に表示可能であり、これに加え、前記表示制御部は、前記接続検知部が前記ケーブルと前記バッテリーとの電気的な接続を検知した場合には、前記あらかじめ設定された順にかかわらず、前記本体部から前記バッテリーへの電力供給開始の前段階表示を表示画面に表示することを特徴としている。
【0008】
前記構成によると、本体部とバッテリーとがケーブルで電気的に接続されたことを接続検知部が検知すると、表示制御部があらかじめ設定された順にかかわらず、前記本体部から前記バッテリーへの電力供給開始の前段階表示を表示画面に表示する。これにより、ケーブルの前記接続前の表示画面の表示状態にかかわらず、利用者の操作により即座にバッテリーへの電力供給が開始される。あるいは充電予約がなされた状態となる。
【0009】
前記「本体部からバッテリーへの電力供給開始の前段階表示」とは、例えば、電力供給開始の操作(充電スタートボタンを押すこと等)を利用者に促す表示、あるいは、予約状態の表示、つまり、他のバッテリーへの充電終了後に電力供給開始されることが予約されていることを示す表示が挙げられる。
【0010】
なお、前記の「移動体」としては、例えば電気自動車が挙げられるが、これに限られず、バッテリーを搭載しており、移動可能とされた手段全般が該当する。なお、前記電気自動車の概念には、駆動力の少なくとも一部を電動機が受け持つ自動車全般を含むものであって(四輪車に限られない)、いわゆる「ハイブリッド自動車」も含む。また、充電対象のバッテリーは必ずしも電動機の駆動用途に限られず、それ以外の用途のバッテリーも含む。また、前記の「搭載される」とは、現に移動体に搭載された状態に限らず、未だ搭載されていないが、搭載可能な構成を有している単体のバッテリーも含む。
【0011】
そして、前記ケーブルは、前記バッテリーに前記ケーブルを電気的に接続可能とするコネクタと、前記コネクタを前記バッテリーに対して電気的に接続し、この接続した状態で固定するためのロック手段とを備え、前記接続検知部による電気的な接続の検知は、前記ロック手段の作動を検知することによりなされることが好ましい。
【0012】
前記好ましい構成によると、接続検知部による電気的な接続の検知を容易になすことができる。
【0013】
そして、本発明の充電設備は、前記表示画面がタッチパネルであることが好ましい。
【0014】
前記好ましい構成によると、利用者が画面の表示を確認した後に、すぐに次の操作をすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、接続検知部がケーブルとバッテリーとの電気的な接続を検知した場合、即座に充電開始可能な状態、あるいは充電予約がなされた状態とできる。そのため、利用者が操作に慣れているかどうかを問わず快適に使用できるものであり、迅速に充電を開始可能な充電設備を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態であって、主本体部と操作部とを一体としたものであり、(A)は正面図、(B)は右側面図である。
【図2】本発明の他の実施形態であって、主本体部と操作部とを別体としたもののうち操作部を示しており、(A)は正面図、(B)は右側面図である。
【図3】本発明の一実施形態における主な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態における、操作に伴う表示画面(ディスプレイ)の表示内容の変化の例を示す概略図その1である。
【図5】同表示画面(ディスプレイ)の表示内容の変化の例を示す概略図その2である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明につき実施形態を取り上げて、図面とともに説明を行う。
【0018】
なお、下記の説明で用いている、「電気的に接続する」との語句の意味は、接続対象物同士を通電可能な状態でつなぐことを言い、未だ通電していない状態も含む。そして、ケーブル2がバッテリーに直接接続されたものに限られず、ケーブル2とバッテリーとの間に、例えば、移動体内の電気配線を介して接続された場合も含む。
【0019】
以下の各実施形態の充電設備は、電気自動車に搭載された駆動用のバッテリーを短時間で充電できる急速充電設備として用いられるものである。なお、この充電設備は、利用者が充電モードを選択することにより、選択された充電モードに応じた充電速度で充電できる。つまり、急速充電に限らず、中速充電あるいは倍速充電を行うこともできる。この充電設備は、図1に示すように、充電を行うための本体部1と、この本体部1から延び、本体部1とバッテリーとを電気的に接続できるケーブル2とを備える。そして本体部1は、バッテリーの充電に適するように電力を調整する主本体部11と、主本体部11を操作するための操作部12とを備える。主本体部11と操作部12は、図1に示すように物理的に結合することで一体とされていても良いし(更には、一つのケーシングに両者が設けられる等、完全に一体とされていても良い)、図2に示すように物理的に分離され、別体とされていても良い。なお、図2では操作部12のみを図示している。
【0020】
主本体部11は、「電源盤」とも呼ばれ、電力変換部111、管理用電子回路112などを備えている(図示しない)。電力変換部111は、外部から取り入れた電力(例えば商用交流電力)を電気自動車に搭載されたバッテリーの充電に適する直流電力に変換し、ケーブル2を介してバッテリーに送電するための部分であって、例えば、整流器、変圧器、インバータなどを備える。
【0021】
管理用電子回路112は、前記電力変換部111及び操作部12との連携をなすために信号の処理などをなす部分である。具体的には、電気自動車から送信されたバッテリー電気量などの情報を処理し、前記情報に対応した電力を送るための指示を出したり、操作部12からの充電開始及び停止指示により電力変換部111を操作したり、操作部12に設けられている表示制御部124a(後述)を経由して、ディスプレイ121a1に充電状況を表示する指示を出したりする主制御部112aを有している(図3参照)。
【0022】
前記の他、主本体部11には、落雷に対する保護回路など、必要に応じて種々の機能を有する手段を設けることができる。
【0023】
操作部12は、主本体部11より少なくとも上下方向の寸法が小さく形成されたものであって、主本体部11に一体(図1参照)あるいは別体(図2参照)で設けられており、充電の操作を行うための部分である。なお、図2に示した別体タイプの操作部12は、「充電スタンド」とも呼ばれる(「背景技術」欄の「充電スタンド」とは異なる)。この操作部12は、充電設備の利用者により主本体部11の操作を行うための操作部本体121と、操作部本体121に設けられたケーブル支持部122からなっており、主本体部11と操作部12が図2に示す実施形態のように別体とされる場合は、操作部本体121を設置面Gに設置するためのスタンド123が用いられる。
【0024】
この操作部12には、操作部本体121に、表示画面(ディスプレイ)121a1、充電スタートボタン121a2、充電ストップボタン121a3、非常停止ボタン121a4の各々からなる操作盤121a、及び、コネクタ収納部121bが設けられている。操作盤121aは操作部本体121の正面側に、コネクタ収納部121bは同側面側に設けられている。非常停止ボタン121a4は火災発生時などに充電設備を緊急停止させるためのものであり、主本体部11の正面側にも非常停止ボタン11aが設けられている。そして、この操作部12の内部には、操作部12の動作全般を司る操作部制御部124が設けられている。
【0025】
各図に示す実施形態では、ディスプレイ121a1と、充電スタートボタン121a2及び充電ストップボタン121a3を別々に設けている。このディスプレイ121a1はタッチパネルとされている。タッチパネルを採用することにより、利用者が画面の表示を確認した後に、すぐに次の操作をすることができるという利点がある。なお、充電スタートボタン121a2及び充電ストップボタン121a3を設けずにディスプレイ121a1に利用者がタッチすることで充電の操作をすることも可能である。
【0026】
また、各図に示す実施形態では、コネクタ収納部121bが操作部本体121に設けられているが、これに限られず、例えば、図2に示す実施形態における「充電スタンド」のスタンド123に設けられたものであっても良い。
【0027】
本体部1が、主本体部11と操作部12とを備えたものとすることにより、充電作業を行う利用者がバッテリーを充電する操作に必要な最小限の機能を有する手段のみを操作部12に設けておき、その他の手段は主本体部11に設けておけば良いので、操作部12をコンパクトに構成することができ、従来の主本体部と操作部が完全に一体とされていた充電設備に比べて配置の自由度が高く有利である。
【0028】
充電設備の設置場所が基本的には屋外であることから、操作部12は防水構造とされている。操作部12の外形は、平面視においては、背面側が面取された略正方形状であり、側面視においては、正面側が幅狭とされた台形状である。よって、操作部12の上面121cは、正面側へ下がる斜面とされている。よって、例えば雨水などが上面121cに溜まらない。この操作部12の形状は、各図に示すものに限られるものではなく、例えば円筒状としたり、上面121cを三角屋根状とするなど、種々の形状で実施できる。
【0029】
この操作部12は、例えばボルト止めなどの種々の手段により物理的に結合させることで、主本体部11に対して一体にできる。例えば、図1に示す実施形態のように、主本体部11の側面と操作部12の側面が接するようにしたり、主本体部11の側面と操作部12の背面が接するようにしたりできるが、これに限らず、本体部11と操作部12の各々に物理的に結合させる手段を設けることで、種々の態様で一体にできる。なお、このように一体とする際には、利用者の手が届く位置、より詳しくは、立った状態の利用者でも車椅子に乗った状態の利用者でも手が届く位置に操作部12の操作盤121aを設け、かつ、操作部本体121を操作部12の設置面Gから所定の距離を置いて設けることで、操作部本体121の下方に空間S1を形成することが望ましい。
【0030】
なお、前記「操作部12の設置面G」とは、図1に示す実施形態のように、主本体部11と操作部12を一体とした場合では、主本体部11が設置された面(基礎の上面など)のことを指し、図2に示す実施形態のように、操作部12を主本体部11に対して別体とした場合では、操作部12自体が設置された面のことを指す。
【0031】
操作部12が主本体部11と別体で設けられた場合は、図2に示すように、操作部12の下面121dから突出するようにしてスタンド123が設けられる。このスタンド123はパイプ材から形成されており、下端部が拡大されて設置部123aとされ、この設置部123aを設置面Gに埋め込んだり、アンカーボルトを用いることにより、操作部12を設置面Gに固定することができる。なお、操作部12を別体とした場合は、当然ながら、電力供給用及び通信用のケーブルを用いて、主本体部11と操作部12を電気的に接続する必要がある。また、上記一体の場合と同様に、利用者の手が届く位置、より詳しくは、立った状態の利用者でも車椅子に乗った状態の利用者でも手が届く位置に操作部12の操作盤121aを設け、かつ、操作部本体121を操作部12の設置面Gから所定の距離を置いて設けることで、操作部本体121の下方に空間S1を形成することが望ましい。
【0032】
操作部12は、1台の主本体部11に対して複数を電気的に接続することが可能である。そのため、複数の電気自動車に順次(主本体部で対応可能とされている場合にあっては同時に)充電することができる。図1及び図2に示す実施形態では、同時充電は不可能とされているため、2台以上の電気自動車にケーブル2…2を電気的に接続した場合、1台には充電を行うが、他の電気自動車は充電予約がなされた状態となり、前記1台の充電が終了した後、前記の予約がなされた順で順次充電が始まるようにされている。よって、利用者は、他の電気自動車の充電完了を待つ必要がなく、自分の電気自動車の充電用端子にケーブル2を電気的に接続して、充電予約をしてから充電終了までの間に、例えば買い物などをすることで待ち時間を有効に活用することができる。また、1台の主本体部11で複数の電気自動車に対応可能であるため、充電設備のシステム全体のコストを低減できる。
【0033】
前記のような、1台の主本体部11に対する複数の操作部12…12の電気的な接続は、操作部12が主本体部11と別体で設けられた場合に限らず、一体の場合でも可能である。なお、図1に示す実施形態では、1台の主本体部11に対して最大4台の操作部12を一体で取り付け可能な構造とされている。
【0034】
ここで、操作部12が主本体部11と別体で設けられた場合は、例えば、駐車場にこの充電設備を設置しようとする際において、操作部12のみを駐車スペースに設置し、邪魔にならない場所に主本体部11を設置することができる。よって、スペースの有効利用ができ、スペースの余裕がない狭い駐車場にも問題なく充電設備を設置できる。また、主本体部11には変圧(降圧)前の商用電力が導入されるため危険であるので、利用者から主本体部11を離して設置することにより、利用者にとって安全な環境とできる。
【0035】
操作部12が主本体部11に対して一体に設けられた場合であっても別体で設けられた場合であっても、本体部1のうち、少なくとも操作部本体121の下方に空間S1が存在する。このように空間S1が存在することにより、利用者が例えば車椅子に乗った者であっても、操作部のすぐ近くまで近づいて作業することができて利用者の作業性が良好となる。よって、この充電設備は、最近のユニバーサルデザインの要求に応えることができるものである。
【0036】
本体部1(より具体的には操作部12の操作部本体121)からケーブル2が突出している。このケーブル2としては、複数の心線(電線)がまとめて被覆されたキャプタイヤケーブルが用いられる。
【0037】
ケーブル2の先端には、電気自動車の充電用端子に(物理的に)接続することによってバッテリーにケーブル2を電気的に接続するための、周知の構造であるコネクタ21が設けられている。コネクタ21には、ロック手段としてのロックレバー21aが設けられている。このロックレバー21aは、コネクタ21を電気自動車の充電用端子に挿した後にコネクタ21を電気的な接続状態としてその状態をロック(固定)するために用いられる。
【0038】
そして、このケーブル2には、バッテリー充電のための電力を主本体部11から送るための電力ケーブルと共に、通信ケーブルも設けられている。通信ケーブルは、電気自動車から送信される、例えばバッテリー電気量や充電異常発生などの情報を本体部1の側へと送るものである。前記の情報を本体部1(主本体部11)で処理することで、前記情報に対応した電力で本体部1(主本体部11)から電気自動車のバッテリーへと電力を供給したり、充電を停止したりできる。後述するロックレバー21aの作動が検知されたことは、この通信ケーブルにより接続検知部124bに伝達される。
【0039】
そして、本体部1には、ケーブル2を支持するケーブル支持部122が設けられている。各図に示す実施形態では、このケーブル支持部122は操作部本体121と一体で設けられており、内部にケーブル2の一部が配置されている。
【0040】
ケーブル支持部122は、本体部1から延び、基端に対し先端が上方に位置する第1支持部122aと、前記ケーブル2を吊り下げるものであり、前記第1支持部122aの先端に基端が接続され、基端に対し先端が外方に位置する第2支持部122bとを備えている。
【0041】
第2支持部122bは、第1支持部122aの延長方向を中心とする径方向(第1支持部122aから遠ざかる水平方向)であって、かつ、斜め上方に延びるように形成されている。各図に示す実施形態では、斜め上方に、直線状に延びるように形成されたベース部122b1と、このベース部122b1の上方に半円形状に形成されたアーチ部122b2とが組み合わされており、これらが第1支持部122aに対して固定されている。この構成により、第2支持部122bが強度を保ちながらケーブル2を支持できる。アーチ部122b2の曲率は、ケーブル2あるいはケーブル2の心線の剛性を考慮して、これらに無理なストレスがかからないように決定される。第1支持部122aに対する第2支持部122bの固定は、充電設備の設置場所に最も適する位置関係でなされる。より具体的には、第1支持部122aに対する第2支持部122bの周方向の角度を設定して固定される。
【0042】
ケーブル2は前記アーチ部122b2の内部に配置される。第2支持部122bにおいてケーブル2は半円形状となるため、ケーブル2に折り曲げによるストレスがかかりにくく、ケーブル2を構成する心線(電線)が断線してしまう可能性を低減できる。ベース部122b1は、アーチ部122b2に配置されたケーブルの重量を受ける部分であって、下方側の面には夜間などに点灯する照明部122b11が設けられている。
【0043】
操作部本体121に対してケーブル支持部122は固定されているが、これに限らず、操作部本体121に対してケーブル支持部122を回動可能な構造としても良いし、第1支持部122aに対して第2支持部122bを回動可能な構造としても良い。また、第1支持部122aあるいは第2支持部122bを伸縮可能な構造としても良い。
【0044】
操作部制御部124は、例えば利用者による操作盤121aの操作、コネクタ21の電気的な接続状況、ロックレバー21aの作動状況など、充電設備の各種情報を感知し、主本体部11の主制御部112aと情報の交換を行ったり、各種動作を指示したりする。この操作部制御部124を構成する一部として、表示制御部124aと接続検知部124bとが設けられている。
【0045】
表示制御部124aは、ディスプレイ121a1の表示内容を切り替えるものである。より具体的には、ディスプレイ121a1の表示内容を、その時点におけるディスプレイ表示内容及び接続検知部124bで検知された情報に応じて切り替える部分である。
【0046】
接続検知部124bは、ケーブル2が電気自動車のバッテリーに電気的に接続されたことを検知する。より具体的には、コネクタ21のロックレバー21aの作動を検知する。この検知は、ロックレバー21aに設けたセンサーによりなされても良いし、他の方法でなされても良い。このようにロックレバー21aの作動を検知することで、接続検知部124bによる電気的な接続の検知を容易になすことができる。
【0047】
また、ケーブル2が電気自動車のバッテリーに電気的に接続されたことの検知は、前記ロックレバー21aの作動を検知することによる以外に、例えば、ケーブル2に設けられた電力ケーブルの、バッテリーとの導通状態を検知することや、ケーブル2に設けられた通信ケーブルを経由した電気自動車側の情報(バッテリー電気量など)を検知することによっても良い。
【0048】
表示制御部124aは、利用者が充電設備を操作する手順を、プログラミング等によりあらかじめ設定された順で前記表示画面に表示可能であり、かつ、接続検知部124bがケーブル2と電気自動車との電気的な接続を検知した場合には、前記あらかじめ設定された順をスキップし、電気自動車への電力供給開始の操作を利用者に促す表示(図4の表示D5)、あるいは充電予約の表示(図4の表示D6b)を表示画面に表示する。
【0049】
本実施形態では、表示制御部124a及び接続検知部124bが操作部制御部124の一構成要素として、操作部12の内部に設けられたものとされているが、これに限られず、例えば主制御部112aの一構成要素としていずれかが主本体部11に設けられていても良いし、本実施形態とは異なる態様で主本体部11と操作部12の双方にまたがって設けられていても良い。
【0050】
次に、この充電設備の操作方法、及び、ディスプレイ121a1の表示内容の切り替わりについて、図4及び図5を参照しつつ以下に説明する。操作開始前(初期状態)における、ディスプレイ121a1の表示内容は、図4における表示D1aあるいは表示D1bである。表示D1aは、1台の主本体部11に対して複数の操作部12が設けられている場合に、操作対象とした操作部12以外の他の操作部12が全て空いている、言い換えると充電中でない場合に表示される。表示D1bは、操作対象とした操作部12以外の他の操作部12が充電中である場合に表示されるもので、図示した表示内容は、他の操作部12が充電中である旨と待ち時間とを表示している。なお、このようにディスプレイ121a1が表示されているということは、充電設備に漏電が発生していないことを意味しているから(漏電発生時には表示が消えてしまう)、利用者はこのようにディスプレイ121a1が問題なく表示されていることを目安として、感電することなく、安全に充電作業を行えることを認識できる。
【0051】
前記のように表示D1aあるいは表示D1bが表示された、ディスプレイ121a1(タッチパネル)を利用者がタッチすると、表示制御部124aの指示により、充電設備の概略使用方法を示す表示D2に切り替わる。次に、ディスプレイ121a1の所定箇所(ボタン表示)を利用者がタッチすると、表示制御部124aの指示により、コネクタ21を操作部本体121のコネクタ収納部121bから取り外すことを促す表示D3に切り替わる。この表示D3を確認した利用者は、コネクタ21を操作部本体121のコネクタ収納部121bから取り外す。
【0052】
その後、ディスプレイ121a1の所定箇所(ボタン表示)を利用者がタッチすると、表示制御部124aの指示により、コネクタ21を電気自動車の充電用端子に電気的に接続することを促す表示D4に切り替わる。この表示D4を確認した利用者は、コネクタ21を電気自動車の充電用端子に挿す(この状態では電気自動車に対して物理的な接続はされているものの、電気的な接続はまだされていない状態である)。なお、このコネクタ21の取り外し作業とコネクタ21を充電用端子へ挿す作業の二つは、表示D4が表示された後にまとめて行うことも可能である(その場合には、表示D3の表示直後にディスプレイ121a1の所定箇所(ボタン表示)を利用者がタッチして表示D4を表示させる)。
【0053】
そしてこの後に、利用者は、コネクタ21に設けられたロック手段としてのロックレバー21aを引いてコネクタ21を電気的な接続状態としてその状態をロックする。より具体的には、ロックレバー21aを引いてコネクタ21と電気自動車の充電用端子との電気的な接続状態が、外力等によって外れないように固定する。この固定がなされると、コネクタ21と電気自動車との間で充電のための通電が可能な状態となる。コネクタ21が前記のように電気的な接続状態となったことの検知は、接続検知部124bがロックレバー21aの作動を検知することによりなされる。この接続検知部124bによる検知がなされると、表示制御部124aの指示により、ディスプレイ121a1の表示内容は充電スタートボタン121a2を押すことを促す表示D5に切り替わる。
【0054】
利用者は、表示D5がディスプレイ121a1に表示されたことを確認した上で、充電スタートボタン121a2を押すことにより、充電設備から電気自動車への充電が開始される。その後のディスプレイ121a1の表示内容は、表示制御部124aの指示により、図5に示すように、充電準備段階を示す表示D6a、充電中を示す表示D7、充電完了(本実施形態では充電率80%で充電を完了することとしている)を示す表示D8aと、表示制御部124aによって順次切り替わっていく。なお、充電中に利用者が充電ストップボタン121a3を押し、強制的に充電を終了した場合は、充電終了処理中であることを示す表示D8bに切り替わる。
【0055】
また、コネクタ21が前記のように電気的な接続状態となっていないにもかかわらず、利用者が充電スタートボタン121a2を押してしまった場合には、前記の場合とは異なり、接続検知部124bがロックレバー21aの作動を検知していないため、表示制御部124aの指示により、ディスプレイ121a1の表示内容はエラーを示す表示D9に切り替わり、利用者に操作のやり直しを促す。
【0056】
ここで、初期状態であるディスプレイ121a1の表示内容が表示D1bであった場合、つまり、操作対象とした以外の、他の操作部12が充電中に前記の各操作をした場合には、前記の表示D5の後に、表示制御部124aの指示により、充電予約中である旨と充電開始までの待ち時間とを表示する表示D6bに切り替わる。この場合、他の操作部12の充電が完了すると、操作対象の操作部12の充電が自動的に開始される。その際、ディスプレイ121a1には、上記と同様に、表示D6a、D7、D8aと順次表示されていく。なお、コネクタ21が前記のように電気的な接続状態となった後、表示制御部124aの指示により、図4に破線表示しているように、表示D5を表示させることなしに表示D6bを表示させても良い。
【0057】
また、最初のディスプレイ121a1の表示内容が表示D1aであったが、操作対象の操作部12を操作している途中に、他の操作部12が充電を開始した場合には、利用者が充電スタートボタン121a2を押した後に、表示制御部124aの指示により、他の操作部12が充電中である旨と待ち時間とを示す表示D6cに切り替わる。ディスプレイ121a1の所定箇所(図示の「OKボタン」)を利用者がタッチすると、表示制御部124aの指示により表示D6bに切り替わる。以降の流れは前記と同様である。
【0058】
前記したものが、あらかじめ設定された手順通りの操作手順と、それに対応したディスプレイ121a1の表示内容であるが、本実施形態においては、コネクタ21を電気自動車の充電用端子に(物理的に)接続し、ロックレバー21aを引いて前記接続状態をロックし、コネクタ21と充電用端子とが電気的に接続されたことを接続検知部124bが感知すると、この時点でのディスプレイ121a1の表示内容にかかわらず、表示制御部124aの指示により、充電スタートボタン121a2を押すことを促す表示D5に切り替わるものとされている。この表示の切り替えは、図4に太目の矢印で示したように、表示D1a、D1b、D2、D3のいずれが表示されている場合であっても、途中の表示をスキップしてディスプレイ121a1に表示D5が表示される。
【0059】
これにより、利用者が充電作業に不慣れな者であっても慣れた者であっても、充電設備を快適に使用することができる。つまり、充電作業に不慣れな利用者の場合は、前記のようにディスプレイ121a1の各表示に従って手順を踏んで操作することにより、充電設備を戸惑わずに使用できる。そして、充電作業に慣れた利用者の場合は、コネクタ21を電気的な接続状態とすることで即座に充電を開始できるため、迂遠な手順を踏むことで利用者が感じるイライラ感を低減できる。
【0060】
ここで話を元に戻す。充電完了を示す表示D8aにおいて、ディスプレイ121a1の所定箇所(ボタン表示)を利用者がタッチすると、コネクタ21を電気自動車から取り外すことを促す表示D10に切り替わる。そして、利用者がコネクタ21を電気自動車から取り外すと、ディスプレイ121a1の表示内容は表示制御部124aの指示により自動的に、コネクタ21を操作部本体121のコネクタ収納部121bに収納することを促す表示D11に切り替わる。そして、ディスプレイ121a1の所定箇所(ボタン表示)を利用者がタッチすると、充電設備の利用を感謝する表示D12に切り替わる。この表示D12は、所定時間経過後に当初の表示D1aあるいは表示D1bに切り替わる。
【0061】
なお、本実施形態では、表示D3、D4、D5、D6a、D6b、D6c、D7において処理中止のボタンが表示されており、このボタンを利用者がタッチすることで、コネクタ21を電気自動車から取り外すことを促す表示D10に切り替わるようになっている。
【符号の説明】
【0062】
1 本体部
11 主本体部
12 操作部
121 操作部本体
121a1 表示画面、ディスプレイ
122 ケーブル支持部
124a 表示制御部
124b 接続検知部
2 ケーブル
21 コネクタ
21a ロック手段、ロックレバー
G 設置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されるバッテリーを充電するための充電設備において、
充電を行うための本体部と、前記本体部から延びるもので前記本体部と前記バッテリーとを電気的に接続できるケーブルとを備え、
前記本体部は、表示画面と、前記表示画面の表示内容を切り替える表示制御部と、前記ケーブルが前記バッテリーに電気的に接続されたことを検知する接続検知部とを備え、
前記表示制御部は、利用者が充電設備を操作する手順を、あらかじめ設定された順で前記表示画面に表示可能であり、
これに加え、前記表示制御部は、前記接続検知部が前記ケーブルと前記バッテリーとの電気的な接続を検知した場合には、前記あらかじめ設定された順にかかわらず、前記本体部から前記バッテリーへの電力供給開始の前段階表示を表示画面に表示することを特徴とする充電設備。
【請求項2】
前記ケーブルは、前記バッテリーに前記ケーブルを電気的に接続可能とするコネクタと、前記コネクタを前記バッテリーに対して電気的に接続し、この接続した状態で固定するためのロック手段とを備え、
前記接続検知部による電気的な接続の検知は、前記ロック手段の作動を検知することによりなされることを特徴とする請求項1に記載の充電設備。
【請求項3】
前記表示画面がタッチパネルであることを特徴とする請求項1または2に記載の充電設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−210119(P2012−210119A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75241(P2011−75241)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】