説明

先端側管状部材を備えた複合型長尺状医療器具

体内器具は、第1の長尺状部材を含む基端側セクションと、管状部材及び第2の長尺状部材を含む先端側セクションとを有するシャフトを含んでいる。管状部材の基端領域は第1の長尺状部材の先端領域に接続されている。第2の長尺状部材は管状部材のルーメン内に配置され、かつ第2の長尺状部材の基端領域は長尺管状部材の基端領域に接続されている。そのため、いくつかの実施形態では、管状部材は、第1及び第2の長尺状部材を接合する部材として、かつ所望の可撓性、トルク伝達性及び/又は押圧性を提供するシャフトの先端側セクションの構造要素として、機能することができる。管状部材の横方向の可撓性は、トルク伝達性及び/又は押圧性を適度に維持しつつも、管状部材に含める材料を少なくすることにより、増大させることができる。例えば、管状部材は複数の孔を備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してカテーテル、ガイドワイヤなどの長尺状医療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテル及びガイドワイヤなどの多様な医療器具が開発されている。カテーテル及びガイドワイヤのような医療器具は、脈管内処置を行なうために使用することができる。これらの脈管内処置は、より侵襲性の高い外科的処置を回避するために広く使用されるようになっている。患者の体内構造は非常に入り組んでいることがあり、長尺状医療器具が特定の性能上の特徴を有することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カテーテル及びガイドワイヤのような長尺状医療器具については、それぞれが特定の長所及び短所を有する多くの様々な構造体及びアセンブリが知られている。しかしながら、現在もなお代替の構造体及びアセンブリの提供が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(いくつかの実施形態の概要)
本発明は、代替となる医療器具の構造体及びアセンブリを製造するためのいくつかの代替の設計、材料、及び方法を提供する。
【0005】
従って、一例の実施形態は、金属製の長尺管状部材によって相互に連結された2つの長尺状部材を含む体内医療器具であって、該管状部材は2つの長尺状部材を相互連結するのみならず、器具の先端側部分を覆って先端側へ延びる、体内医療器具において見出すことができる。例えば、体内器具は、各々が基端領域、基端、先端領域及び先端を有している第1及び第2の長尺状部材を備えることができる。該器具はさらに、金属材料を含んでなり、内部にルーメンを形成する長尺管状部材を備え、該管状部材は、基端領域、基端、先端領域及び先端を有する。管状部材の基端領域は第1の長尺状部材の先端領域に接続される。さらに、第2の長尺状部材は管状部材のルーメン内に配置され、第2の長尺状部材の基端領域は管状部材の基端領域に接続される。他の実施形態は、追加の構造体及び/又は材料を含んでもよく、かつ/又は、体内医療器具を製造又は使用する方法に関するものであってもよい。
【0006】
いくつかの実施形態の上記概要は、本発明の開示された各実施形態又はすべての実装について説明することを意図したものではない。図面及び以降の詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例証する。
【0007】
本発明の様々な実施形態についての以下の詳細な説明を添付の図面と関連させて考慮すれば、本発明をより十分に理解することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】長尺状医療器具の一実施形態を示す側面図。
【図2】図1に示される器具の先端領域の一部を示す拡大側面図。
【図3】図1の器具の部分断面図。
【図4】図3に類似しているが、基端側セクションと先端側セクションとの代替の接合構造を示す断面図。
【図5】図3に類似しているが、基端側セクションと先端側セクションとの代替の接合構造を示す断面図。
【図6】図3に類似しているが、基端側セクションと先端側セクションとの代替の接合構造を示す断面図。
【図7】図3に類似しているが、基端側セクションと先端側セクションとの代替の接合構造を示す断面図。
【図8】先端側構造体の別例の実施形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は様々な改変形態及び代替形態とすることが可能であるが、そのいくつかの具体例が図面に例として示されており、詳細に説明される。しかし、当然ながら、本発明を記載される特定の実施形態に限定することを意図するものではなく、本発明の趣旨及び範囲内に含まれるすべての改変形態、均等形態、及び代替形態を包含することが意図されている。
(いくつかの実施形態の詳細な説明)
以下に定義される用語については、特許請求の範囲又は本明細書中の他所において異なる定義が与えられない限り、以下の定義が適用されるものとする。
【0010】
用語「ポリマー」は、ポリマー、コポリマー(例えば2以上の異なるモノマーを使用して形成されたポリマー)、オリゴマー及びこれらの組み合わせ、ならびに、例えば共押出成形やエステル交換反応を含む反応により混合性ブレンドに形成されうるポリマー、オリゴマー、又はコポリマーを含むものとする。ブロックコポリマー及びランダムコポリマーも、別途記載のない限り含まれる。
【0011】
数値はすべて、明示されているか否かにかかわらず、本明細書中では用語「約」で修飾されるものと見なされる。用語「約」は一般に、記述された値と等価である(すなわち、同じ機能又は結果を有する)と当業者が考えると思われる範囲の数値を指す。多くの場合、用語「約」は有効数字の位に四捨五入される数値を含むことができる。
【0012】
上下限値による数値範囲の記述は、その範囲内のすべての数値を含む(例えば、1〜5は1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲においては、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示物を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲においては、用語「又は、もしくは(or)」は一般に、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、「選択肢のうち少なくともいずれか(and/or)」を含む意味で使用される。
【0013】
以下の記載は図面を参照しながら読まれるべきであり、図面において、同様の符号はいくつかの図面全体に共通する同様の要素を示している。図面(必ずしも寸法比率は等しくない)は、特許請求の範囲に記載の発明の実例となる実施形態を示している。
【0014】
例えば、本明細書中に記載された特定の実施形態のガイドワイヤを具体的に参照して説明するが、本発明は、開口部又は管腔を通して患者の体内構造の中へ進められるように構成された様々な医療器具に適用可能である。例えば、本発明は、固定ワイヤ器具、カテーテル(例えばバルーンカテーテル、ステント送達カテーテルなど)、アテローム切除術用カテーテル及びIVUSカテーテルのような回転式器具用の駆動シャフト、内視鏡器具、腹腔鏡器具、塞栓防止器具、脊髄又は頭蓋を進行する器具、ならびに他の同様の器具に適用できる可能性がある。さらに、一部の実施形態では患者の脈管系内で使用するように適合又は構成され得る一方で、別の実施形態では他の解剖学的構造において使用するように適合かつ/又は構成され得る。当然のことであるが、所望される特徴に応じて、好適な実施形態を構築するために多種多様な材料、寸法及び構造を使用することができる。いくつかの実施形態についての以下の例は、単なる例として挙げられるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0015】
ここで図1を参照すると、同図は長尺状医療器具10の一例の実施形態の側面図であり、該器具はこの実施形態では医療用ガイドワイヤ(例えば脈管内ガイドワイヤ)として示されている。器具10は、基端側セクション14及び先端側セクション16を有する長尺状シャフト12を備えている。シャフト12は、複数の構造体を備えるか、あるいは複数の構造体で構成することができ、該構造体は例えば、基端側セクション14に沿って延びる基端側構造体及び/又はアセンブリ18と、先端側セクション16に沿って延びる先端側構造体及び/又はアセンブリ20である。以下により詳細に説明されるように、基端側及び先端側構造体及び/又はアセンブリ18/20は、相互に連結されてシャフト12を形成する。
【0016】
ここで図3を参照すると、この実施形態では、基端側構造体及び/又はアセンブリ18は、先端領域24、先端26、基端領域28、及び基端30を有する第1の(例えば、基端側)長尺状部材22を備えている。先端側構造体及び/又はアセンブリ20は、先端領域34、先端36、基端領域38、及び基端40を有する第2の(例えば、先端側)長尺状部材32を備えることができる。先端側構造体及び/又はアセンブリ20はさらに、長尺管状部材42を備えることができ、長尺管状部材42は、その内部にルーメン44を画成し、かつ基端領域46、基端48、先端領域50、及び先端52を備える。
【0017】
基端側及び先端側構造体及び/又はアセンブリ18/20は、例えば以下のように相互連結することができる。管状部材42の基端領域46は、第1の(例えば、基端側)長尺状部材22の先端領域24に対して、例えば接続領域及び/又は接続点53において接続可能である。例えば、第1の長尺状部材22の先端26、又はその一部分もしくはその隣接部分は、長尺管状部材42の基端48、又はその一部分もしくはその隣接部分に接続可能である。さらに、第2の、すなわち先端側の長尺状部材32は、管状部材42のルーメン44の内部に配置可能であり、第2の長尺状部材32の基端領域38は、長尺管状部材42の基端領域46に対して、例えば接続領域及び/又は接続点55において接続可能である。例えば、第2の長尺状部材32の基端40、又はその一部分もしくはその隣接部分は、長尺管状部材42の基端48、又はその一部分もしくはその隣接部分に接続可能である。管状部材42と第1の長尺状部材22との間、及び管状部材42と第2の長尺状部材32との間の接続は、多種多様な接続技術及び/又は接続構造のうち任意のものを使用して達成可能であり、接続技術又は接続構造のいくつかの例については、図3〜7に関連して以下においてより詳細に説明される。
【0018】
理解されるように、第1及び第2の長尺状部材22/32はいずれも、2つの長尺状部材22/32を相互に連結する長尺管状部材42に接続されている。連結は、第1及び第2の長尺状部材22/32と、長尺管状部材42とが共通の長手方向軸に概ね沿って延びるように行うことができる。いくつかの実施形態では、図のように、第1の長尺状部材22及び第2の長尺状部材32は直接接続されず、互いに直接接触することすらないが、長尺管状部材42を介して互いに連結されている。そのため、いくつかの実施形態では、管状部材42は、第1及び第2の長尺状部材22/32を連結する部材としても、かつシャフト12の先端側セクション16の構造要素としても機能することができ、以下により詳細に説明されるように所望の可撓性、トルク伝達性及び/又は押圧性を提供することが可能である。
【0019】
管状部材42は、管状部材42の先端領域50の少なくとも一部が、第2の長尺状部材32の先端領域34に隣接して、又は先端領域34より先端側に配置されるように、先端側へ延びることができる。例えば、いくつかの実施形態では、管状部材42の先端52は、第2の長尺状部材32の先端36に隣接して、又は先端36より先端側に、配置可能である。しかしながら、当然ながらこの構成は必ずしも全ての実施形態に必要なものではなく、他のいくつかの実施形態では、第2の長尺状部材32の先端36が管状部材42の先端52より先端側に延びてもよく、ただし管状部材42の先端領域50の少なくとも一部は依然として第2の長尺状部材32の先端領域34の少なくとも一部に隣接して配置可能である。そのため、長尺管状部材42は、シャフト12及び/又は器具10の先端側セクション16の構造要素として、同時に長尺状部材22/32の間の連結構造体として、機能することができる。
【0020】
第2の長尺状部材32は、管状部材42の長さの大部分に沿って管状部材42のルーメン44の内部を延びることができる。例えば、図示された実施形態では、第2の長尺状部材32は、該部材の基端40(管状部材42の基端領域46内にあり、かつ管状部材42の基端48に近接又は隣接し得る)から、長尺状部材32の先端36(管状部材42の先端領域50内にあり、かつ管状部材42の基端52に隣接し得る)まで、先端側に延びる。他の実施形態では、第2の長尺状部材32が必ずしも管状部材42の長さに沿ってこのように長く延びる必要はない一方で、少なくともいくつかの実施形態では、第2の長尺状部材32は、管状部材42の少なくとも約25%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約75%以上に沿って延びてもよいし、管状部材42のほぼ全長に沿って延びてもよい。しかしながら、他の実施形態では、第2の長尺状部材32は管状部材42の全長に沿って延びず、管状部材42の基端48又は先端52の手前で、又は両方の手前で終端する。
【0021】
さらに、管状部材42及び第2の長尺状部材32は、第2の長尺状部材32の外面の少なくとも一部と管状部材42の内面との間に空間又は空隙54が画成され得るように、大きさ又は形状のうち少なくともいずれか一方が決められてもよいし、そうでなければ前記空間又は空隙54が画成され得るように適合され、かつ/又は構成されてもよい。例えば、管状部材42は、該部材の内部に配置される第2の長尺状部材32の外径より大きな内径を備えることができる。そのため、管状部材42は、第2の長尺状部材32又はその一部の周囲に、両部材の間に空間又は空隙54が画成されるように配置可能である。いくつかの実施形態では、空隙又は空間54は、小さな接続点55を除いては、第2の長尺状部材32のほぼ全長に沿って、開通状態、すなわち器具10の他の構造体によって塞がれていない状態を維持する。例えば、いくつかの実施形態では、空隙又は空間54は、第2の長尺状部材32の外面と管状部材42の内面との間に、長尺状部材32の全長の約50%以上、約75%以上、約90%以上、又は約95%以上の範囲で、長尺状部材32の長さに沿って延びることができる。しかしながら、他の実施形態では、長尺状部材32と管状部材42との間の他の接続点が使用されて、その結果、空隙54の一部を事実上満たし得るこれら追加の接続点によって分離される複数の空隙又は空間が作り出される場合もある。そのような複数の空隙又は空間はなお、全体として、長尺状部材32の長さのかなりの部分に沿って、例えば全長に対して上述したような割合で、延びることができる。そのため、管状部材はシャフト12を補強するように、又はシャフト12にねじり剛性もしくは押し込み剛性のような所望の特性を付与するように作用することができるが、長尺状部材32のうち少なくとも空隙又は空間54に取り囲まれた部分が、ルーメン44内部で横方向に移動することを可能にする。さらに他の実施形態では、1以上の他の構造体、例えば1以上のコイル、リボン、バンド、マーカー部材などが、空隙54内部に配置されて空隙54の一部を塞いでもよい。
【0022】
器具10は、その先端に配置された先端チップ56をさらに備えることもできる。先端チップ56は、多種多様なチップ構造体及び/又はチップアセンブリのうち任意のものを含むことが可能であり、器具10の先端に非外傷性又は可撓性のような特定の特徴を提供するように適合され、かつ/又は構成されてもよい。先端チップ56は、所望の性能特性に応じて、様々な異なる材料から形成可能である。いくつかの実施形態では、先端チップ56は、シャフト12の先端に非外傷性の要素を提供するために、全体的又は部分的に丸みを帯びた構造を備えることができる。いくつかの実施形態では、先端チップ56は、シャフト12の先端に溶接、はんだ付け、又はその他の方法で接続されるのに適した金属材料のような材料で形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、先端チップ56は、器具10の先端にはんだ付けによって配置されて非外傷性の丸みを帯びた部分を形成するはんだチップ又ははんだボールであってよい。他の実施形態では、先端チップ56は、後に好適な接続技術、例えば溶接、はんだ付け、ろう付け、圧着、摩擦嵌合、接着、機械的嵌合などを使用して器具の先端に接続される、予め形成された又は部分的に予め形成された構造体であってもよい。様々な異なる加工処理、例えばはんだ付け、深絞り加工、ロール成形又は金属スタンピング、金属射出成形、鋳造などを、そのような先端チップ構造体を形成するために使用することができる。
【0023】
図1及び3に示された実施形態では、先端チップ56が、例えば管状部材42の先端52及び/もしくは第2の長尺状部材32の先端36、又は(図に示されるように)その両方に接続され、かつ/又は器具10の先端又はその付近の他の構造体に接続され、金属チップ又ははんだチップのような丸みを帯びた構造を備えている。そのため、図示された実施形態では、管状部材42及び第2の長尺状部材32はいずれも先端チップ56まで延びるか又は先端チップ56の中へと延びているが、上述したように、これはすべての実施形態において必ずしも必要な構成ではない。さらに、リボン、コイル、マーカーバンド、センタリングリングなどのような他の構成要素が、器具10のチップ又は他の部分の一部を構成してもよいし、該チップ又は他の部分に隣接して配置されてもよい。その一部の実施例については図8に関連して以下に説明されている。
【0024】
当業者等であれば、第1及び第2の長尺状部材22/32ならびに長尺管状部材42の材料、構造及び寸法が、主として最終的なガイドワイヤの所望の特徴及び機能によって決定されること、また、広範囲の材料、構造及び寸法のうちの任意のものを使用可能であることが理解されよう。
【0025】
例えば、第1及び第2の長尺状部材22/32ならびに長尺管状部材42は、器具10の所望の特性に応じて、使用に適した任意の材料で形成可能である。好適な材料のいくつかの例には、金属、金属合金、ポリマー、複合材など、又はこれらの組み合わせもしくは混合物が挙げられる。好適な金属及び金属合金のいくつかの例には、ステンレス鋼、例えば304V、304L及び316Lステンレス鋼;線形弾性もしくは超弾性(すなわち擬弾性)ニチノールのようなニッケル−チタン合金を含む合金;ニッケル−クロム合金;ニッケル−クロム−鉄合金;コバルト合金;タングステンもしくはタングステン合金;MP35−N(Ni:約35%、Co:約35%、Cr:約20%、Mo:約9.75%、Fe:約1%以下、Ti:約1%以下、C:約0.25%以下、Mn:約0.15%以下、及びSi:約0.15%以下の組成を有する);ハステロイ;モネル400;インコネル625;などを含むもの;もしくは他の好適な材料、又はこれらの組み合わせもしくは合金が挙げられる。いくつかの実施形態では、溶接、はんだ付け、ろう付け、圧着、摩擦嵌合、接着などのような金属接合技術に適した金属又は金属合金を使用することが望ましい。使用される特定の材料を、所望の可撓性要件又はその他の所望の特徴にある程度基づいて選択することもできる。
【0026】
ニチノールという語は、この材料の形状記憶挙動を最初に観察した米国国防省海軍武器研究所(NOL)の研究者グループによる造語である。ニチノールという語は、ニッケル(Ni)の化学記号、チタン(Ti)の化学記号、及び国防省海軍武器研究所(NOL)を特定する頭文字を含む頭字語である。
【0027】
市販のニチノール合金群の中には、化学的性質が従来の形状記憶及び超弾性(すなわち擬弾性)のものに類似しているにもかかわらず、全く異なる有用な機械的性質を示す、「線形弾性」と呼ばれる種類のものがある。冷間加工、方向性を有する応力及び熱処理を巧みに適用することによって、ワイヤは、その応力/歪み曲線において実質的な「超弾性プラトー域(superelastic plateau)」又は「フラグ領域(flag region) 」を示さないように製造される。その代わりに、回復可能な歪みが増大するにつれ、応力は塑性変形が始まるまではほぼ直線的に増大し続ける。いくつかの実施形態では、線形弾性ニッケル−チタン合金は、DSC及びDMTA分析により検出可能なマルテンサイト相/オーステナイト相変化を広範な温度範囲にわたって示さない合金である。
【0028】
例えば、いくつかの実施形態では、約−60℃〜約120℃の範囲においてDSC及びDMTA分析により検出可能なマルテンサイト相/オーステナイト相変化が生じない。したがって、このような材料の機械的な曲げ特性は、この非常に広い範囲にわたる温度の影響をほとんど受けない。いくつかの特定の実施形態では、周囲温度又は室温における合金の機械的特性は、体温における機械的特性とほぼ同じである。いくつかの実施形態では、線形弾性ニッケル−チタン合金を用いることにより、蛇行する体内構造においてガイドワイヤが優れた「押圧性」を示すことが可能となる。
【0029】
いくつかの実施形態では、線形弾性ニッケル−チタン合金は、約50〜約60重量%の範囲のニッケルを含み、残りはほぼチタンが占める。特定の実施形態では、組成はニッケルが約54〜約57重量%の範囲にある。好適なニッケル−チタン合金の一例としては、株式会社古河テクノマテリアル(日本国神奈川県所在)より市販されるFHP‐NT合金が挙げられる。好適なニッケル−チタン合金のいくつかの例には、米国特許第5,238,004号明細書及び同第6,508,803号明細書に開示されたものが挙げられるが、前記の米国特許明細書は、参照により本明細書の一部を構成する。いくつかの他の実施形態では、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを、所望の特性を得るために使用することも可能である。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の長尺状部材22/32ならびに長尺管状部材42は同一材料で作製可能であり、いくつかの実施形態ではこれらを異なる材料で作製可能であり、又は各々が異なる材料で作られた部分もしくはセクションを含むこともできる。器具10の異なる部分の構築に使用される材料は、器具10の異なる部分に変化する特徴(例えば可撓性及び剛性)を付与するように選択することができる。
【0031】
例えば、いくつかの実施形態では、第1の(例えば、基端側)長尺状部材22は、直線加工(straightened)された304vステンレス鋼ワイヤのような比較的剛性の高い材料を含んでもよいし、該材料から形成されてもよい。別例として、長尺状部材22は、ニッケル−チタン合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、又は他の好適な材料のような金属又は金属合金を含んでもよいし、該金属又は金属合金から形成されてもよい。多くの実施形態では、第1の(例えば、基端側)長尺状部材22の構築に使用される材料は、例えば押圧性及び/又はトルク伝達性のために、比較的剛性の高いものが選択され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、第2の(例えば、先端側)長尺状部材32は、比較的可撓性の高い材料、例えば超弾性(すなわち擬弾性)もしくは線形弾性の合金(例えばニッケル−チタン)、又は別例として高性能ポリマーのようなポリマー材料を含んでもよいし、該材料から形成されてもよい。あるいは、第2の長尺状部材32は、ステンレス鋼、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、又は他の好適な材料のような金属又は金属合金を含んでもよい。多くの実施形態では、第2の(例えば、先端側)長尺状部材32の構築に使用される材料は、例えば追従性のために比較的横方向の可撓性の高いものが選択され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、長尺管状部材42もまた、比較的可撓性の高い材料、例えば超弾性(すなわち擬弾性)もしくは線形弾性の合金(例えばニッケル−チタン)、又は別例として高性能ポリマーのようなポリマー材料を含んでもよいし、該材料から形成されてもよい。別例として、長尺管状部材42は、ステンレス鋼、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、コバルト合金、又は他の好適な材料のような金属又は金属合金を含んでもよい。多くの実施形態では、長尺管状部材42の構築に使用される材料は、追従性を得るために比較的横方向の可撓性の高いものが選択され得るが、より詳細に以下に説明されるように、押圧性及びトルク伝達性にもつながる構造又は材料をさらに含むこともできる。
【0034】
いくつかの特定の実施形態では、第1の長尺状部材22はステンレス鋼ワイヤから形成され、第2の長尺状部材32は線形弾性ニチノールワイヤから形成され、長尺管状部材は超弾性ニチノール管から形成される。
【0035】
第1もしくは第2の長尺状部材22/32又は長尺管状部材42の一部又は全体、又は器具10に含まれるその他の構造体は、場合によっては放射線不透過性材料でドープ、コーティング、めっきを施されてもよいし、該材料で作られてもよいし、それ以外の方法で該材料を含んでもよい。放射線不透過性材料は、医療処置の際に蛍光透視スクリーン上又は別の画像化技術において比較的明るい像を生成することができる材料であると理解されている。この比較的明るい像は、器具10の使用者が該器具の位置を判断する助けとなる。放射線不透過性材料のいくつかの例には、限定するものではないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填材が充填されたポリマー材料など、又はこれらの組み合わせもしくは合金が挙げられる。
【0036】
さらに、場合によっては、ある程度のMRI適合性を器具10に付与してもよい。例えば、核磁気共鳴撮像(MRI)装置との適合性を高めるために、第1及び/又は第2の長尺状部材22/32、及び/又は長尺管状部材42、あるいは器具10の他の部分は、ある程度のMRI適合性を付与すると思われる方法で作製可能である。例えば、第1及び/又は第2の長尺状部材22/32、及び/又は長尺管状部材42、あるいはこれらの一部は、MRI撮像中に画像をほとんど歪曲させずかつ実質的なアーチファクト(アーチファクトとは実際とは異なる像である)を作出しない材料で作製可能である。例えば、ある種の強磁性材料は、該材料がMRI画像にアーチファクトを作出する可能性があるため、適切ではない場合がある。第1及び/又は第2の長尺状部材22/32、及び/又は長尺管状部材42、あるいはこれらの一部が、MRI装置が撮像可能な材料から作製されてもよい。これらの特徴を示すいくつかの材料には、例えば、タングステン、エルジロイ、MP35N、ニチノールなど、及びその他のもの、又はこれらの組み合わせもしくは合金が挙げられる。
【0037】
第1及び/又は第2の長尺状部材22/32、及び/又は長尺管状部材42の長さ(及び/又は器具10の長さ)は、典型的には最終的な器具において望ましい有用な長さ及び可撓性によって決定される。例えば、シャフト12の基端側セクション14は約20〜約300cm又はそれ以上の範囲の長さを有し、シャフト12の先端側セクション16は約3〜約50cm又はそれ以上の範囲の長さを有し、ガイドワイヤのような器具10は、約25〜約350cm又はそれ以上の範囲の全長を有することができる。当然ながら、個々の構成要素の長さは、所望の長さ、可撓性、トルク伝達性、及びその他の特徴が達成されるようになされ、これらの長さの変更は本発明の趣旨から逸脱することなく行うことができる。
【0038】
第1及び/又は第2の長尺状部材22/32は、例えば中実の基端側及び先端側コアワイヤとして、中実断面を有することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の長尺状部材22/32は中空断面を有することも可能であり、またさらに他の実施形態では、中実断面を有する領域及び中空断面を有する領域の組み合わせを備えることもできる。さらに、第1及び/又は第2の長尺状部材22/32は、円形、扁平形、楕円形、矩形、正方形、多角形など、又はその他様々な断面形状を備えることができる。さらに、第1及び/又は第2の長尺状部材22/32の長さに沿った断面形状は、一定であってもよく、変化してもよい。例えば、図3は第1及び/又は第2の長尺状部材22/32を略円形の断面形状を有するものとして描写しているが、当然ながら他の断面形状又は形状の組み合わせも本発明の趣旨から逸脱することなく利用可能である。
【0039】
加えて、第1及び/又は第2の長尺状部材22/32は、1以上のテーパ又はテーパ領域を含むことができる。テーパ領域は、直線的にテーパが付けられていてもよいし、曲線的にテーパが付けられていてもよいし、均一にテーパを付けられていてもよいし、不均一にテーパを付けられていてもよいし、段階的にテーパを付けられていてもよい。そのような任意のテーパの角度は所望の可撓性に応じて変更することができる。テーパの長さを、剛性/可撓性がより緩やかに(長さを長くして)、又はより急激に(長さを短くして)移行するように選択することができる。当然ながら、器具10、及び/又は、第1及び/もしくは第2の長尺状部材22/32のほぼ任意の部分にテーパを付けることができ、テーパは、基端方向に付けられていてもよく、先端方向に付けられていてもよい。第1及び/又は第2の長尺状部材22/32は、1以上の、外径が減少する部分及び外径がほぼ一定のままである部分を含むことができる。径減少部分及び一定径部分の数、配置、寸法及び長さは、可撓性及びトルク伝達性のような所望の特徴を達成するために変化させることができる。例えば、図3に示される実施形態では、第2の長尺状部材32は、基端領域38より先端領域34においてより可撓性が高くなっている。可撓性におけるこの変化は、例えば、第2の長尺状部材32が先端側へ延びるにつれて該部材の長さに沿って断面積を縮小することにより達成することができる。一方、第1の長尺状部材22はその長さに沿ってほぼ均一な断面積を有するものとして示されており、そのため該部材の長さに沿ってほぼ均一な可撓性を有することができる。さらに、その構造(例えば、断面積の増大)又は使用される材料の種類の可撓性により、第1の長尺状部材22は第2の長尺状部材32の全体又は一部よりも可撓性が低い(より剛性が高い)場合もある。しかしながら、当然のことであるが、この実施形態は例として挙げるに過ぎず、他の実施形態では、第1及び第2の長尺状部材22/32の可撓性は、上述されたように例えば代替の構造及び/又は材料の使用により、望みどおりに変更することが可能である。
【0040】
いくつかの例示の実施形態では、第1及び第2の長尺状部材22/32の外径は、約0.127mm(約0.005インチ)〜約1.016mm(約0.04インチ)の範囲とすることができる。しかしながら、当然ながら、本発明の趣旨から逸脱することなく他の寸法を利用することもできる。
【0041】
テーパ部分及び/又は一定径部分を含む第1及び第2の長尺状部材22/32の外径は、数多くの様々な技術のうちのいずれか1つによって、例えば、心なし研削法、スタンピング法などによって形成可能である。心なし研削技術は、接合部の過度の研削を回避するために、センサ(例えば、光学/反射式センサ、磁気センサ)を使用するインデキシング方式を利用することができる。さらに、心なし研削技術は、研削加工中に構造ワイヤを取り込まないように適切に形作られて仕上げられたCBN又はダイヤモンド砥粒研削ホイールを利用する場合もある。いくつかの実施形態では、心なし研削はロイヤルマスター(Royal Master)社製HI‐AC心なし研削盤を使用して行うことができる。好適な研削法のいくつかの例は、2003年1月17日に出願された米国特許出願第10/346,698号(米国特許出願公開第2004/0142643号)明細書に開示されており、該文献は参照によって本明細書の一部を構成する。
【0042】
またいくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の長尺状部材22/32の一部は、例えば、所望の可撓性を提供するために、又は他の構造体との接続点を提供するために、平坦化されていてもよい。例えば、第2の長尺状部材32が、その先端36に隣接する該部材の先端領域34に平坦部分を含むことができる。例えば、先端領域34の最も先端側の約1.27mm(約0.05インチ)〜約25.40mm(約1インチ)を、ほぼ平行な対向する表面を画成し、かつ約0.0127mm(約0.0005インチ)〜約0.0762mm(約0.003インチ)の範囲の厚さを有するように平坦化することができる。
【0043】
さらに、第1及び/又は第2の長尺状部材22/32は、該部材22/32と管状部材42との接続を支援かつ/又は許容するために構成かつ/又は適合された構造を備えることもできる。例えば、第1及び/又は第2の長尺状部材22/32は、該部材の端部近辺及び/又は接続点近辺に、接続を支援するように意図されたテーパ部分及び/もしくは径縮小部分ならびに/又は径拡大部分を備えることができる。そのような構造のいくつかの例示の実施形態については、図3〜7に関連して以下においてより詳細に説明する。
【0044】
上記に示されるように、管状部材42は一般に、中空断面を備えた管壁を有しかつ該部材を通って延びるルーメン44を画成する、管状構造を有する。ルーメン44は、第2の長尺状部材32の少なくとも一部を収容又は包囲するように適合され、かつ/又は構成され得る。管状部材42の具体的な断面形状は、任意の所望の形状、例えば円形、楕円形、矩形、正方形、多角形など、又は他の様々な断面形状とすることができる。管状部材42の長さに沿った断面形状は、一定であってもよいし変化してもよい。例えば、図3はほぼ一定の円形の断面形状を有するものとして管状部材42を描写しているが、当然ながら他の断面形状又は形状の組み合わせが、本発明の趣旨から逸脱することなく利用可能である。
【0045】
さらに、管状部材42は1以上のテーパ又はテーパ領域と、1以上の一定径部分とを備えてもよいし、ほぼ一定の内径及び外径を備えていてもよい。テーパ及び/又は一定径部分は、管状部材42の外径、内径及び/又は壁厚の寸法における、変化及び/又は不変化で表すことができる。いずれのテーパ領域も、直線的にテーパが付けられていてもよいし、曲線的にテーパが付けられていてもよいし、均一にテーパが付けられていてもよいし、不均一にテーパが付けられていてもよいし、段階的にテーパが付けられていてもよい。そのようなテーパの角度は、所望の可撓性に応じて変更することができる。テーパの長さは、剛性/可撓性をより緩やかに(長さを長くして)、又はより急激に(長さを短くして)移行させるように選択することができる。長尺状部材22/32に関して上記に示したように、当然ながら、器具10、及び/又は第1及び/又は第2の長尺状部材22/32、及び/又は管状部材42のほぼ任意の部分が、テーパ状をなしていてもよいし、一定の直径を有していてもよい。また、いずれのテーパ及び/又は一定径部分も、例えば所望の可撓性/剛性を達成するために、基端方向又は先端方向に延びることができる。いくつかの実施形態では、管状部材42は、寸法が約0.203mm(約0.008インチ)〜約1.524mm(約0.06インチ)の範囲の、またいくつかの実施形態では寸法が約0.508mm(約0.02インチ)〜約0.889mm(約0.035インチ)の範囲のルーメン44を画成する内径を有することができる。さらに、いくつかの実施形態では、管状部材42は、寸法が約0.254mm(約0.010インチ)〜約1.778mm(約0.07インチ)の範囲の、またいくつかの実施形態では寸法が約0.508mm(約0.02インチ)〜約1.016mm(約0.04インチ)の範囲の外径を有することができる。しかしながら、当然であるが本明細書中に提供されている上記及びその他の寸法は、単なる例示の実施形態としてのものであり、他の実施形態では、管状部材42の内径及び外径の寸法は、器具の所望の特徴及び機能に応じて、提示された寸法から大幅に変更することができる。
【0046】
管状部材42はさらに、所望のレベルの剛性、トルク伝達性、可撓性、及び/又は他の特徴を達成するための構造を備えてもよいし、又はそのように適合され、かつ/又は構成されてもよい。管状部材42の所望の剛性、トルク伝達性、横方向の可撓性、屈曲性又は他のそのような特徴は、管状部材42の中に使用されるか又は該部材内に組み込まれる特定の構造によって付与され、強化され、又は改変され得る。したがって当然ながら、管状部材の可撓性は、例えば基端に対して先端において可撓性がより高くなるように、又はその逆となるように、管状部材の長さに沿って変化させることが可能である。しかしながら、いくつかの実施形態では、管状部材はその全長に沿ってほぼ一定の可撓性を有していてもよい。
【0047】
さらなる可撓性を付与する1つの方法は、管状部材42の一部から材料を選択的に取り除くことである。例えば、図1及び3を参照すると、管状部材42は、管状部材42の一部に形成された、又は該部材の全長に沿って形成された1又は複数の孔60、例えば溝、切込み、スリット、スロットなどを含む薄壁の管状構造を備えることができる。孔60は、1以上の背骨部(spine) 又はビーム70が管状部材42に設けられるように形成可能である。そのような背骨部又はビーム70(図2)は、管状部材42の本体に孔60が形成された後に残る、管状部材42の一部を含むことができ、孔60により横方向の可撓性について所望のレベルを維持しながら、比較的高度なねじり剛性を維持するように作用することができる。そのような構造により、管状部材42又はその一部分が所望のレベルの横方向の可撓性を有し、同時に基端領域46から先端領域50へと回転力及び押圧力を伝える能力を有することが可能になるので、該構造が望ましい場合がある。孔60は、ほぼ任意の既知の方法で形成可能である。例えば、孔60は、マイクロマシン加工、ソー切断、レーザ切断、研削、フライス加工、鋳造、成形、化学的エッチングもしくは化学処理、又は他の既知の方法などのような方法によって形成可能である。いくつかのそのような実施形態では、補強部材60の構造は、孔60を形成するために管の一部を切断かつ/又は除去することにより形成される。
【0048】
いくつかの実施形態では、孔60は、ルーメン44と管状部材42の外部とが孔60を介して連通するように、管状部材42の本体壁を完全に貫通することができる。いくつかの実施形態では、孔60は、管状部材42の内面上又は外面上で、該部材の本体壁内に部分的に延びるのみであってもよい。他のいくつかの実施形態は、管状部材42の本体壁を完全に貫通する孔60と本体壁内に部分的に延びる孔60との組み合わせを含んでもよい。孔60の形状及び寸法は、例えば、所望の特徴を達成するために変更することができる。例えば、孔60の形状は、ほぼ任意の適切な形状、例えば正方形、円形、矩形、薬錠形、楕円形、多角形、長尺形、不規則形、らせん形(ピッチは変化してもしなくてもよい)、又は他の適切な形などを含むように変更することが可能であり、縁部は丸くても角があってもよく、長さ及び幅などは可変的であってよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、いくつかの隣接した孔60は、該孔が管状部材42の周面において互いに重なり合う部分を含むように形成することができる。他の実施形態では、いくつかの隣接した孔60は、必ずしも互いに重なり合わないが、所望の程度の横方向の可撓性を提供するパターンで配列されるように配置することができる。さらに、孔60は、所望の特性を達成するように、管状部材42の長さに沿って、又は該部材の周面に沿って配置することができる。例えば、孔60は、対称的なパターンにて、例えば管状部材42の周面において対向する側面にほぼ均等に、あるいは管状部材42の長さに沿って均等な間隔にて配置することができ、あるいは密集度が増減するパターンにて配置されてもよく、非対称的又は不規則なパターンで配置されてもよい。
【0050】
当然ながら、孔60の、又は関連して形成される背骨部又はビームの、間隔、配置及び/又は配向は、所望の特徴を達成するために変更可能である。例えば、管状部材42の長さに沿った孔60の数、(相互の)近接度、密集度、寸法、形状及び/又は深さは、所望の特徴に応じて、段階的な方式で変化してもよいし、連続的に変化してもよい。例えば、管状部材42の一端の近くにおける孔60の数を多くしたり、孔60の近接度を高くすることができる一方で、管状部材42の他端の近くにおける孔60の数を相対的に少なく、又は孔60の近接度を相対的に低くてもよい。また、その逆もしかりである。例えば、いくつかの実施形態では、管状部材42の先端領域50において孔60の密集度を高くすることができ、管状部材42の基端領域46の孔の密集度を低くする、あるいは孔60を全く設けないこともできる。そのため、先端領域50は基端領域46に対してより高い横方向の可撓性を有することができる。当然のことであるが、管状部材42の長さに沿った孔60の寸法、形状及び/又は深さにおける同様の変化は、該部材に沿った所望の可撓性の差異を達成するためにも使用可能である。
【0051】
図1及び2に示される実施形態では、孔60及び関連する背骨部又はビーム70は、管状部材42の長さに沿ってほぼ均一なパターンで配置されている。この実施形態では、孔60は長さ及び幅を有し、孔の長さは、管状部材42の長手方向軸に対してほぼ垂直に延びる。換言すれば、孔60は、本体42の長手方向軸の周りに放射状に広がる、孔の長さに沿って延びる長軸を有することが可能であり、長軸は、管状本体42の長手方向軸にほぼ垂直である。
【0052】
さらに、図示した実施形態では、孔60は2個1組として形成され、組を構成する2つの孔60はそれぞれ管状部材42の長さに沿って長手方向の同じような地点に、ただし管状部材の周面において該部材の対向する側面に配置されている。例えば、孔60a及び60b(図2)は、管状部材の長さに沿って長手方向のある地点に配置された対を形成し、管状部材の軸線にほぼ垂直なY−Y線に沿って管状部材の対向する側面に形成されている。孔60cは孔60a及び60bから長手方向に離間して示されており、同じく管状部材の長手方向軸にほぼ垂直である(対のもう一方の孔60dは、管状部材の反対側にあるので示されていない)。しかしながら、当然であるが、他の実施形態では、管状部材42の長さに沿って所望の特徴を達成するために孔の配置が変えられてもよい。例えば、対にするのではなく、単一の孔又は3個以上の孔が器具の長さに沿った特定の地点に配置されてもよい。さらに、孔の長軸は、管状部材42の長手方向軸に必ずしも垂直ではない異なる角度で配置可能である。
【0053】
総合的に、これらの図面及び本説明は、孔60の配置、個数及び形態の変化は、本発明の範囲から逸脱することなく様々であってよいことを示している。管状本体に形成される、切込み又はスロットのような孔の配置のいくつかのさらなる例は、米国特許第6,428,489号明細書及び同第6,579,246号明細書に開示されており、これらの特許文献はいずれも参照により本明細書の一部を構成する。さらに、医療器具で使用される管状本体に形成される切込み又はスロットの配置に関するいくつかのさらなる例は、参照により本明細書の一部を構成する2003年2月28日出願の米国特許出願第10/375,493号(米国特許出願公開第2004/0167437号)明細書に開示されている。
【0054】
管状部材42の可撓性は、他の方法を使用して、例えば管状部材42の特定部分に材料及び/又は1以上の補強部材を追加することによって、達成することもできる。
上記に示したように、任意の多種多様な接続技術及び/又は接続構造を使用して管状部材42と第1の長尺状部材22との間及び管状部材42と第2の長尺状部材32との間、又は器具10に存在する任意の構造体同士の間の接続を達成することができる。好適な接続技術のいくつかの例には、溶接、はんだ付け、ろう付け、圧着、摩擦嵌合、接着、機械的嵌合などが挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態において好適となり得る溶接法のいくつかの例には、レーザ溶接、抵抗溶接、TIG溶接、マイクロプラズマ溶接、電子ビーム溶接、摩擦溶接、イナーシャ溶接などが含まれる。一部の適用において好適となり得るレーザ溶接装置は、米国カリフォルニア州モンロビアに所在するユニテックミヤチ社(Unitek Miyachi)及び米国ミシガン州プリマスに所在するロフィンシナール社(Rofin-Sinar Incorporated)より市販されている。いくつかの適用において好適となり得る抵抗溶接装置は、米国カリフォルニア州カールスバッドに所在するパロマー・プロダクツ社(Palomar Products Incorporated) 及び米国カンザス州オレースに所在するポラリス・エレクトロニクス社(Polaris Electronics) より市販されている。いくつかの適用において好適となり得るTIG溶接装置は、米国カリフォルニア州ニューベリーパークに所在するウェルドロジック社(Weldlogic Incorporated)より市販されている。いくつかの適用において好適となり得るマイクロプラズマ溶接装置は米国テネシー州スミルナに所在するプロセス・ウェルディング・システムズ社(Process Welding Systems Incorporated)より市販されている。
【0056】
いくつかの実施形態では、レーザ溶接又はプラズマ溶接を使用して接続を行うことができる。レーザ溶接では、必要な熱を供給するために光ビームが使用される。レーザ溶接は、レーザ光熱源の使用によりかなりの精度を提供することができるため、本発明により企図される加工処理において有用となり得る。当然ながら、そのようなレーザ溶接を、器具の他の構成要素の接続にも使用することができる。さらに、いくつかの実施形態では、ガイドワイヤの異なる構成要素又は構造を相互に接続するために、レーザエネルギーをはんだ付け、ろう付けなどのための熱源として使用することができる。この場合も、レーザ光熱源の使用により十分な精度を提供することができるため、そのような接続技術の熱源としてレーザを使用することは有用となり得る。そのような技術の具体的な一例にはレーザダイオードはんだ付けが挙げられる。
【0057】
さらに、他のいくつかの例示の実施形態では、接続は、機械的なコネクタ又は接続体の使用を通じて、かつ/又は膨張可能な合金(例えばビスマス合金)によって、達成及び/又は支援可能である。そのような膨張可能な材料を使用してガイドワイヤの異なる部分を相互に連結するために使用可能な方法、技術及び構造のいくつかの例は、参照により本明細書の一部を構成する2003年2月26日出願の米国特許出願第10/375,766号(米国特許出願公開第2004/0167441号)明細書に開示されている。異なるセクションを相互に連結するために使用可能ないくつかの方法及び構造は、参照により本明細書の一部を構成する米国特許第6,918,882号明細書及び2002年2月28日出願の米国特許出願第10/086,992号(米国特許出願公開第2003/0069521号)明細書に開示されている。
【0058】
ここで図3を参照すると、接続形態の1つの例が示されている。この配置構成では、第1の(例えば、基端側)長尺状部材22の先端26は、小径部分68へと延びるテーパを有し、半分にした砂時計のような形状を形成することができる。小径部分68は、テーパ部分69と小径の一定径部分71とを含んでいる。先端24のこの形態は、小径部分68の構造がルーメン44の内部で長尺状部材22を中心に位置づけ易くするため、第1の長尺状部材22の先端26が長尺状部材のルーメン44の中へ正確に配置されることを容易にする可能性がある。小径の一定径部分71はルーメン44の中へ延び、例えば小径部分71に沿った接続点/接続領域53において、上記に述べた方法のうち任意の方法を使用して接続することができる。さらに、第2の(例えば、先端側)長尺状部材32は管状部材42のルーメン44の内部に配置することができ、第2の長尺状部材32の基端領域38は、例えば接続点55において、上記に述べた方法のうち任意の方法を使用して長尺管状部材42の基端領域46に接続することができる。他のいくつかの実施形態では、管状部材42と第2の長尺状部材32と間の追加の接続点が、第2の長尺状部材32の長さに沿って用いられてもよい。いくつかの実施形態では、器具10の長手方向軸の全周囲にわたって、例えば第1及び第2の長尺状部材22/32の全周囲にわたって、接続部が延びてもよい。しかしながら他のいくつかの実施形態では、離間して配置された1以上の接続点/接続領域が、長手方向軸の周囲に沿って作られてもよい。特定の接続技術、例えばレーザ溶接、レーザダイオードはんだ付けなどの使用は、周面の一部のみに接続を行う際に有用となり得るが、それは該技術がそのような接続を行うために必要な精度を可能にしやすいからである。上述されるように、この実施形態では、第1の長尺状部材22の先端26と第2の長尺状部材32の基端40とは接触しておらず、また直接的結合もない。しかしながら別例の実施形態では、これら2つの要素が接触していてもよいし、さらには2つの要素間に直接形成された結合が存在していてもよい。
【0059】
例えば、ここで図4を参照すると、同図は図3に示される実施形態と多くの点で類似した実施形態を示し、類似の符号は類似の構造体を示している。しかしながら図4では、第1の長尺状部材22の先端26と第2の長尺状部材32の基端40とが接触している。これら2つの構造体は、互いに突合せ接合されるが両者が直接的に結合しないように配置される。しかしながら代替実施形態では、例えば上述された接続技術のうち任意のものを使用して、これら2つの要素の間に結合が直接形成されてもよい。
【0060】
ここで図5を参照すると、同図は図3及び4に関して上記に提示かつ説明された実施形態と多くの点で類似している別の実施形態を示し、類似の符号は類似の構造体を示している。しかしながらこの実施形態では、第1の(例えば、基端側)長尺状部材22の先端26は、小径部分を含まず、ルーメン44の中までは延びないが、管状部材の基端48と突合せ接合される。上述された接続技術のうち任意のものを、該接合の形成に使用することができる。
【0061】
ここで図6を参照すると、同図は上記に提示かつ説明された実施形態と類似している別の実施形態を示し、類似の符号は類似の構造体を示している。しかしながらこの実施形態では、図3及び4のような一定径部分71を含んでいる拡張小径部分68、又は図5のような突合せ接合を有しているのではなく、第1の(例えば、基端側)長尺状部材22の先端30が、ごくわずかにルーメン44の中に延びるテーパ部分70を備え、接続点/接続領域53は該テーパ部分70に沿って配置されている。この場合も、上述された接続技術のうち任意のものが使用可能である。
【0062】
図7を参照すると、同図は上記に提示かつ説明された実施形態と多くの点で類似した別の実施形態を示し、類似の符号は類似の構造体を示している。しかしながらこの実施形態では、第1の(例えば、基端側)長尺状部材22の先端30が小径部分を含むのではなく、管状部材の基端48がフレア状領域80を備え、該フレア状領域沿いのルーメン44が大きな内径を有している。そのため、第1の長尺状部材22の先端26は、フレア状領域80によって画成された拡張ルーメン44の中へ延びることが可能であり、2つの構造体の間の接続は、例えば接続点53においてなされ得る。この場合も、上述された接続技術のうち任意のものが使用可能である。
【0063】
ここで図8を参照すると、同図は、上記に説明された実施形態に類似した構造を備え得るガイドワイヤなどとしての器具110の別の例示実施形態の先端の断面図であり、類似の符号は類似の構造体を示している。しかしながらこの実施形態では、器具110はその先端部に付加構造体/代替構造体を備えている。例えば、器具は、例えば上述されるような先端チップ56を備える一方で、第2の(例えば、先端側)長尺状部材32の先端36は該先端チップまでは延びず、先端チップ56の基端側の地点で終端する。管状部材42は先端チップ56まで延び、該チップに接続されている。この実施形態はさらに、成形リボン又は成形ワイヤなどのような構造体180も備えている。構造体180は、第2の長尺状部材32の先端36に接続された基端181を備え、先端側へ延び、先端チップ56に接続された先端183を有する。構造体180は、金属、合金、プラスチック、又は他の好適な材料、例えば上述された材料、を含む様々な材料から作製可能である。構造体180の断面形状は、円形、楕円形、扁平形、リボン形、矩形、正方形、もしくは他の好適な形状又はこれらの組み合わせを含む様々な形状のものとすることができる。
【0064】
チップ構造はさらに、管状部材42のルーメン44の内部に配置され、かつ第2の長尺状部材32の少なくとも一部及び/又は構造体180の少なくとも一部の周囲に配置された、らせんコイル又はポリマーシースのような長尺状可撓性部材190を含むことができる。図示された実施形態では、可撓性部材190はらせんコイルである。そのようなコイル190は、器具の先端チップを補強するように作用する場合もあれば、放射線不透過性マーカーとして作用する場合も、又は両方である場合もある。コイルは、中実断面を有しかつ円形、楕円形、扁平形、リボン形、もしくは他の好適な形状又はこれらの組み合わせを含む様々な断面形状のうち任意の形状を備え得るワイヤ又はリボンで形成されてもよいし、該ワイヤ又はリボンを含んでなることも可能である。コイル190は、金属、合金、プラスチック、又は放射線不透過性材料を含む他の好適な材料などの様々な材料で作製可能であり、該材料の多くは上述されたものである。使用可能な他の好適なチップ構造及び構造体のいくつかの例は、米国特許第6,918,882号明細書及び2002年2月28日出願の米国特許出願第10/086,992号(米国特許出願公開第2003/0069521号)明細書に開示されており、前記特許文献は参照により本明細書の一部を構成する。
【0065】
さらに、当然のことであるが、器具10もしくは110、又はその他の器具は、付加構造体、例えば追加の成形又は安全ワイヤ又はリボン、マーカーバンド及び/又はマーカーコイル、追加の内側又は外側のコイル、内側又は外側シース又はコーティングなどを含むことができる。当業者等であれば、一般に知られているような、器具にそのような付加構造体を組み入れる方法を認識しているであろう。
【0066】
さらに、いくつかの実施形態では、コーティング、例えば潤滑性(例えば、親水性)コーティング又は他の種類のコーティングが、上述した医療器具又は構造体の一部又は全体の上に施されてもよい。例えば、そのようなコーティングは、器具10又は110の一部又は全体に、例えば器具のセクション14/16、第1及び第2の長尺状部材22/32、管状部材42、先端チップ56、又は器具10もしくは110の他の部分の上に施用可能である。フルオロポリマー、シリコーンなどのような疎水性コーティングは、ガイドワイヤ操作及び器具交換を改善する乾式潤滑を提供する。潤滑性コーティングは操縦性を改善し、病変部横断能力を向上させる。適切な潤滑性ポリマーは当分野において良く知られており、親水性ポリマー、例えばポリアリーレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース誘導体、アルギン、糖類、カプロラクトンなど、ならびにこれらの混合物及び組み合わせが挙げられる。親水性ポリマーは、親水性ポリマー同士でブレンドされるか、又は処方量の非水溶性化合物(一部のポリマーなど)とブレンドされて、好適な潤滑性、結合性及び溶解性を備えたコーティングを生成することができる。そのようなコーティング、ならびにそのようなコーティングを生成するために使用される材料及び方法のいくつかの別例は、参照により本明細書の一部を構成する米国特許第6,139,510号明細書及び同第5,772,609号明細書に見出すことができる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤのより先端側の部分が、上述されるような親水性ポリマーでコーティングされ、より基端側の部分がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフルオロポリマーでコーティングされる。
【0067】
一部の実施形態におけるコーティング層の使用は、シャフト12に所望の可撓性を与えることできる。コーティング材の選択は、所望の特徴に応じて変更することができる。例えば、低いデュロメータ値すなわち硬さを有するコーティングは、器具10の全体的な可撓性にほとんど影響を及ぼさない可能性がある。反対に、高いデュロメータ値を有するコーティングは、より剛性の高いかつ/又はより可撓性の低いシャフトの製造に有用である。
【0068】
本発明は上述の特定の実施例に限定されると考えるべきではなく、添付の特許請求の範囲において適正に述べられるように本発明のすべての態様を包含するものと理解されるべきである。本発明を適用可能な様々な改良形態、均等な工程、及び多数の構造体は、本発明が対象とする分野の当業者には、本明細書を検討すれば容易に明白になろう。当然ながら、本開示は多くの点で単なる例証にすぎない。本発明の範囲を逸脱することなく、細部、特に形状、寸法、及び工程の順序に変更を加えることが可能である。当然ながら、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の文言により定義される。
【図1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端領域及び先端を有している第1の長尺状部材と、
金属材料を含んでなり、内部にルーメンを画成する長尺管状部材であって、基端領域、基端、先端領域及び先端を有し、該管状部材の基端領域は第1の長尺状部材の先端領域に接続される、管状部材と、
基端領域、基端、先端領域及び先端を有している第2の長尺状部材であって、管状部材のルーメン内部に配置され、第2の長尺状部材の基端領域は、金属製の長尺管状部材の基端領域に接続される、第2の長尺状部材と
を含んでなる体内医療器具。
【請求項2】
第1の長尺状部材及び第2の長尺状部材が互いに直接接続されないか、又は第2の長尺状部材の基端が第1の長尺状部材の先端から離間して配置されるか、又はその両方を満たす、請求項1に記載の体内器具。
【請求項3】
第2の長尺状部材の基端は第1の長尺状部材の先端と接触している、請求項1に記載の体内器具。
【請求項4】
第1の長尺状部材の先端が管状部材に接続されるか、又は管状部材の基端が第1の長尺状部材に接続されるか、又はその両方を満たす、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の体内器具。
【請求項5】
管状部材は、管状部材の先端領域の少なくとも一部が第2の長尺状部材の先端領域に隣接して配置されるか又は第2の長尺状部材の先端領域より先端側に配置されるように、先端側へ延びる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の体内器具。
【請求項6】
さらに先端チップを備え、かつ、管状部材が先端チップに隣接する地点まで先端側に延びて先端チップに接続されるか、又は第2の長尺状部材が先端チップに隣接する地点まで先端側に延びて先端チップに接続されるか、又はその両方を満たす、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の体内器具。
【請求項7】
管状部材は長さを有し、第2の長尺状部材が管状部材の長さの少なくとも約50%に沿って管状部材のルーメン内を延びるか、又は第1の長尺状部材の先端が管状部材のルーメン内まで延びるか、又はその両方を満たす、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の体内器具。
【請求項8】
第1の長尺状部材の先端領域の少なくとも一部がテーパ状をなしているか、第2の長尺状部材がテーパを備えているか、管状部材の基端領域の少なくとも一部がテーパ状をなしているかのうち少なくともいずれかである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の体内器具。
【請求項9】
第1の長尺状部材が中実断面を有し、かつ第2の長尺状部材が中実断面を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の体内器具。
【請求項10】
管状部材は、複数の切込み又はスロットが形成された管壁を含んでなる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の体内器具。
【請求項11】
管状部材は長手方向軸に沿って延び、切込み又はスロットは長手方向軸の周りを延びる長さを有し、切込み又はスロットの長さは長手方向軸に対してほぼ垂直に配向される、請求項10に記載の体内器具。
【請求項12】
切込み又はスロットは、管状部材の長さに沿ってほぼ対応する地点に画成された2個1組として形成され、かつ、各組内の2つの切込み又はスロットは管状部材の対向する側面に配置されるか、又は切込み又はスロットの各組は隣り合う組に対して軸の周りで90度回転した位置に配置されるか、又はその両方を満たす、請求項11又は12に記載の体内器具。
【請求項13】
管状部材に沿って先端方向に、管状部材の単位長さあたりの切込みもしくはスロットの密集度が高くなるか、又は切込みもしくはスロットの深さもしくは寸法が増大するか、又はその両方を満たす、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の体内器具。
【請求項14】
第1の長尺状部材は第1の金属材料を含んでなり、第2の長尺状部材は第1の金属材料とは異なる第2の金属材料を含んでなる、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の体内器具。
【請求項15】
第2の長尺状部材もしくは管状部材、又はその両方はニッケル−チタン合金を含んでなる、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の体内器具。
【請求項16】
体内医療器具はガイドワイヤを構成し、第1の長尺状部材は基端側コア部材を構成し、第2の長尺状部材は先端側コア部材を構成し、長尺管状部材は、基端側コア部材の先端領域と先端側コア部材の基端領域とを相互に連結するとともに必要に応じて先端側コア部材の先端領域の周囲を先端側へ延びる構造体を構成している、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の体内器具。
【請求項17】
体内医療器具を製造する方法であって、
先端領域及び先端を有している第1の長尺状部材を提供することと、
金属材料を含んでなり、内部にルーメンを画成する長尺管状部材を提供することと、該管状部材は基端領域、基端、先端領域及び先端を有することと、
基端領域、基端、先端領域及び先端を有している第2の長尺状部材を提供することと、
第2の長尺状部材を管状部材のルーメン内部に配置することと、
第2の長尺状部材の基端領域を、金属製の長尺管状部材の基端領域に接続することと、
管状部材の基端領域を、第1の長尺状部材の先端領域に接続することと
を含んでなる方法。
【請求項18】
溶接、はんだ付け、接着、又は機械的嵌合により、第2の長尺状部材の基端領域が金属製の長尺管状部材の基端領域に接続されるか、又は管状部材の基端領域が第1の長尺状部材の先端領域に接続されるか、又はその両方が行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
先端チップを提供すること、及び先端チップを管状部材に接続すること又は先端チップを第2の長尺状部材に接続することをさらに含んでなる、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
体内医療器具はガイドワイヤを構成し、第1の長尺状部材は基端側コア部材を構成し、第2の長尺状部材は先端側コア部材を構成し、長尺管状部材は、基端側コア部材の先端領域と先端側コア部材の基端領域とを相互に連結するとともに先端側コア部材の先端領域の周囲を先端側へ延びる構造体を構成している、請求項17乃至19のいずれか一項に記載の方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−535094(P2010−535094A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520196(P2010−520196)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/071787
【国際公開番号】WO2009/018457
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】