説明

先進的断熱圧縮空気エネルギー貯蔵システムの吸気冷却及び水分除去装置並びに方法

【課題】発電システムの空気を冷却するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】このシステムは、空気を受け取って冷却し、空気から水分を除去するように構成されたエアハンドリングユニットと、エアハンドリングユニットに流体接続された第1の圧縮機であって、エアハンドリングユニットから空気を受け取り、第1の圧縮済み加熱空気流を排出するように構成された第1の圧縮機と、第1の圧縮機に接続された蒸気吸収式冷凍機であって、熱エネルギーを複数の媒体間で伝達し、第1の圧縮済み加熱空気流を冷却するように構成された蒸気吸収式冷凍機と、蒸気吸収式冷凍機に接続された第2の圧縮機であって、冷却された第1の圧縮済み加熱空気流を受け取り、第2の圧縮済み加熱空気流を排出するように構成された第2の圧縮機と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の主題の実施形態は、一般に発電システムに関し、特に先進的断熱圧縮空気エネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人口の増加に伴って、より多くの電力を求める要求が一般的に高まっている。こうした電力需要は通常、一日の中で変動し、午後と夕方の時間帯が一般にピーク需要時となり、夜間と早朝の時間帯が一般に最小需要時となる。しかし、発電システムは最小及び最大需要システムの両方に適合し、様々な需要水準で効率的に電力を供給する必要がある。
【0003】
或るシステムは、オフピーク需要時に生成されたエネルギーを貯蔵してピーク需要時に使用することによって、この問題を解決しようとしている。このシステムは、先進的断熱圧縮空気エネルギー貯蔵(AA−CAES)システムと呼ばれ、図1に発電システム2の一部分として示されている。ここで、発電システム2を空気流の経路に沿って大まかに説明する。最初にステップ3aにおいて、空気が軸流圧縮機4に取り込まれて圧縮され、この圧縮中に、空気が圧力を受けて温度が上昇する。この空気は、ステップ3bにおいて排出され、中間冷却器6で冷却され、所望の温度に冷却され、更に圧縮される。空気流は次に、ステップ3cにおいて第1の遠心圧縮機8に送り込まれる。その後、空気は、第1の遠心圧縮機8により圧縮され、第1の遠心圧縮機8から流出し、ステップ3dにおいて第2の遠心圧縮機10に流入して、更に圧縮される。
【0004】
空気流は次にステップ3eにおいて、第2の遠心圧縮機10からエネルギー貯蔵装置(例えば、熱エネルギー貯蔵部12)へと進む。第2の遠心圧縮機10からの高温の圧縮空気は次に熱エネルギー貯蔵部12により冷却される。熱エネルギーは将来の使用に備えて熱エネルギー貯蔵部12に貯蔵され、冷却プロセスにより生じたあらゆる水分が排出される。冷却済み圧縮空気は、その後、ステップ3fにおいて安全用冷却器14に送られ更に冷却された後、ステップ3gにおいて貯蔵設備(例えば、洞窟16)に送られる。この洞窟16内における圧縮空気の貯蔵と熱エネルギー貯蔵部12内におけるエネルギーの貯蔵とは、通常は発電システム2の非ピーク需要運転時に行われる。
【0005】
発電システム2に対する電力需要が目標点まで増加すると、貯蔵された圧縮空気を再びシステム内に放出してエキスパンダ18(例えばタービン)を駆動させることによりエネルギー出力を増加させることができる。例えば、洞窟16から、貯蔵された圧縮空気の一部が、ステップ3hにおいて加熱用の熱エネルギー貯蔵部12に放出される。熱エネルギーが熱エネルギー貯蔵部12から圧縮空気に伝達され、加熱された圧縮空気が、ステップ3iにおいて粒子フィルタ20へと流れる。加熱済み圧縮空気はその後、ステップ3jにおいてタービン18の膨張部へと流れる。空気は、膨張時、冷却されて圧力降下する一方で、シャフト26を駆動させる仕事を生成し、このシャフトが更に、ジェネレータ30の一部分を回転させて電力が生成される。空気は、膨張後、ステップ3kにおいてタービン18から排気口22へと流れ、通常は大気中に放出される。発電システム2は更に、圧縮機用の軸24とギヤボックス28とモータ32とを含み得る。
【0006】
図1に示すシステムにより、エネルギーを貯蔵してピーク需要時に使用することができるものの、電力需要の増大が見込まれ、この増大する需要を満たす方法を見出すことが望ましいことが理解できよう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、発電システムの効率を高めるシステム及び方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施例として、発電システムの空気を冷却するシステムがある。このシステムは、空気を受け取ってこの空気を冷却し、空気から水分を除去するように構成されたエアハンドリングユニットと、エアハンドリングユニットに流体接続された第1の圧縮機であって、エアハンドリングユニットから空気を受け取り、第1の圧縮済み加熱空気流を排出するように構成された第1の圧縮機と、第1の圧縮機に接続された蒸気吸収式冷凍機であって、熱エネルギーを複数の媒体間で伝達し、第1の圧縮済み加熱空気流を冷却するように構成された蒸気吸収式冷凍機と、蒸気吸収式冷凍機に接続された第2の圧縮機であって、冷却された第1の圧縮済み加熱空気流を受け取り、第2の圧縮済み加熱空気流を排出するように構成された第2の圧縮機と、第2の圧縮機に接続され、第2の圧縮済み加熱空気流の熱エネルギーを貯蔵するように構成されたエネルギー貯蔵装置と、エネルギー貯蔵装置に接続された貯蔵設備であって、エネルギー貯蔵装置から受け取る冷却済み圧縮空気を貯蔵し、冷却済み圧縮空気を再び発電システム内に選択的に放出するように構成された貯蔵設備とを含む。
【0009】
別の実施例として、発電システムの空気を冷却するシステムがある。このシステムは、空気を受け取ってこの空気を冷却し、空気から水分を除去するように構成されたエアハンドリングユニットと、エアハンドリングユニットに流体接続された第1の圧縮機であって、空気をエアハンドリングユニットから受け取り、第1の圧縮済み加熱空気流を排出するように構成された第1の圧縮機と、第1の圧縮機に接続された蒸気吸収式冷凍機であって、熱エネルギーを複数の媒体間で伝達し、第1の圧縮済み加熱空気流を冷却するように構成された蒸気吸収式冷凍機と、蒸気吸収式冷凍機に接続された第2の圧縮機であって、冷却された第1の圧縮済み加熱空気流を受け取り、第2の圧縮済み加熱空気流を排出するように構成された第2の圧縮機とを含む。
【0010】
また別の実施例として、発電システムの空気を冷却する方法がある。この方法は、空気をエアハンドリングユニットにおいて受け取るステップと、この空気をエアハンドリングユニットにおいて冷却するステップと、エアハンドリングユニットにおいて空気から水分を除去するステップと、空気を第1の圧縮機により圧縮するステップと、第1の圧縮済み加熱空気流を第1の圧縮機から排出するステップと、蒸気吸収式冷凍機において熱エネルギーを複数の媒体間で伝達するステップと、第1の圧縮済み加熱空気流を蒸気吸収式冷凍機において冷却するステップと、冷却された第1の圧縮済み加熱空気流を圧縮するステップと、第2の圧縮済み加熱空気流を排出するステップとを含む。
【0011】
添付図面に実施例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】発電システムと先進的断熱圧縮空気エネルギー貯蔵(AA−CAES)システムの図である。
【図2】発電システムと、実施例に従った効率的なAA−CAESシステムとの図である。
【図3】図2のシステムと、実施例に従った例示的な値とを示す図である。
【図4】発電システムと、実施例に従った別の効率的なAA−CAESシステムとの図である。
【図5】図4のシステムと、実施例に従った例示的な値をと示す図である。
【図6】実施例に従った発電システムの空気冷却システムの図である。
【図7】実施例に従ったエアハンドラと蒸気吸収式冷凍機との図である。
【図8】図6のシステムと、実施例に従った例示的な値とを示す図である。
【図9】実施例に従った発電システムの熱エネルギー捕獲方法を示す流れ図である。
【図10】実施例に従った発電システムの熱エネルギー捕獲方法を示す流れ図である。
【図11】実施例に従った発電システムの空気冷却方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
下記の、実施例の詳細な説明では、添付図面を参照する。別図面における同一の参照符号は、同一又は同様の要素を示している。また、図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。更に、下記の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【0014】
本明細書を通じて、「一実施形態」又は「一実施例」という表現は、或る実施形態に関連して説明される個々の特徴、構造、又は特性が、開示の主題の少なくとも1つの実施形態に含まれている、ということを意味する。したがって、本明細書の様々な箇所で「一実施形態」又は「一実施例」という語句があるが、それらが必ずしも同一の実施形態を指すわけではない。また、個々の特徴、構造、又は特性を、1つ以上の実施形態に適合するように組み合わせることもできる。
【0015】
背景技術の部分で述べたように、発電システムの効率を高めるシステム及び方法が望まれる。本明細書に記載の実施例は、発電システムの効率を高めるシステム及び方法を提供する。実施例によれば、図2に一例を示す改良型断熱式CAES(AA−CAES)システムにおいて、一般に圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムの圧縮機間で通常は失われる熱エネルギーを回収して用いることができる。
【0016】
実施例に従って、図2に、通常は軸流圧縮機204と遠心圧縮機206との間で失われる熱エネルギーを捕獲及び貯蔵して、ピーク負荷条件又はピーク負荷に近い条件時に用いる改良型AA−CAESシステムを含む発電システム202を示す。この熱エネルギーを捕獲することにより、図1に示すシステム2と比べた場合に、発電システム202の全体運転効率を約8〜10%向上させることができる。次に、このシステムを、軸流圧縮機204への吸気から始まるシステム内での空気の流れに沿って大まかに説明する。まずステップ5aにおいて、空気が軸流圧縮機204内に取り込まれて圧縮され、この圧縮中に空気が圧力を受けて温度が上昇する。この空気は、ステップ5bにおいて軸流圧縮機204から排出され、熱交換器(例えば中間冷却器208)において固有の閉ループ系内にあるオイルとの間で熱交換が行われる。この熱交換及びオイルの閉ループ系については、以下で更に詳細に説明する。冷却された空気流は次に、ステップ5cにおいて第1の遠心圧縮機206に流入する。空気は、その後、第1の遠心圧縮機206により圧縮され、第1の遠心圧縮機206から流出し、ステップ5dにおいて第2の遠心圧縮機210に流入して更に圧縮される。更に多数又は少数の遠心圧縮機を用いてもよく、例えば発電システム202は1つの軸流圧縮機204と単一の遠心圧縮機206とを含んでもよい。
【0017】
空気流は次に、ステップ5eにおいて、第2の遠心圧縮機210からエネルギー貯蔵装置(例えば、熱エネルギー貯蔵部212)へと進む。第2の遠心圧縮機210からの高温の圧縮空気は、その後、熱エネルギー貯蔵部212により冷却される。熱エネルギーは熱エネルギー貯蔵部212において将来の使用に備えて貯蔵され、冷却プロセスで生じたあらゆる水分が排水される。冷却済み圧縮空気は次に、ステップ5fにおいて安全用冷却器214に送られ、空気が更に冷却された後、ステップ5gにおいて貯蔵設備(例えば、洞窟216)に送られる。この洞窟216内における圧縮空気の貯蔵と熱エネルギー貯蔵部212におけるエネルギーの貯蔵とは通常、発電システム202の非ピーク需要運転時に行われる。
【0018】
発電システム202に対する需要が目標点まで増加すると、貯蔵された圧縮空気を再びシステム内に放出してエキスパンダ218、例えばタービンを駆動させることによりエネルギー出力を増加させることができる。例えば、洞窟216は、貯蔵された圧縮空気の一部をステップ5hにおいて放出し、この空気は断熱高温オイルタンク220内で予熱される。放出された圧縮空気は、その後、ステップ5iにおいて熱エネルギー貯蔵部212へと流れる。熱エネルギーが熱エネルギー貯蔵部212から圧縮空気に伝達され、加熱された圧縮空気はステップ5jにおいて(任意で)粒子フィルタ222へと流れる。加熱済み圧縮空気は、その後、ステップ5kにおいて、粒子フィルタ222からタービン218の膨張部へと流れる。空気は、膨張時に冷却されて圧力降下する一方で、シャフト224を駆動させる仕事を生成し、このシャフトが更にジェネレータ226の一部分を回転させて電力が生成される。膨張後に空気はステップ5jにおいてタービン218から排気口228へと流れて、通常は大気中に放出される。発電システム202は更に、圧縮機用のシャフト230とギヤボックス234と圧縮機204を駆動させるモータ232とを含んでよい。
【0019】
次に中間冷却器208と閉ループオイル系とに戻って、上記の熱エネルギー伝達を支えるオイルの流れをここで説明する。実施例によると、オイルがまず、軸流圧縮機204からの排気により中間冷却器208内で加熱される。その他の種類の圧縮機を発電システム202内で用いてもよい。この加熱済みオイルは中間冷却器208から、例えば高温オイルポンプ236により、断熱高温オイルタンク220に移送される。上述したように、圧縮空気が洞窟216から放出されるときに、熱が高温のオイルから圧縮空気に伝達される。この冷却されたオイルは、その後、低温オイルポンプ238により、通常は断熱されない低温オイルタンク240へとポンプ送りされる。冷却済みオイルは、そこから再び中間冷却器208へとポンプ送りされて、このプロセスが再開される。この閉ループ熱伝達プロセスに用いられるオイルは、高い比熱を有し得る。オイルは、例えば実質250°Cで2.3kJ/kg−Kの比熱を有するダウサム(登録商標)の流体等の任意のジアテルミー油であってよい。
【0020】
実施例に従って、図2に示すシステムの様々な点における空気及びオイルの圧力及び温度の値と併せた一例を図3に図示する。これらの値は例示的なものであって、実施形態を制限することを意図するものではない。図3のシステムは、図2に示すシステムに関して上述したように動作するので、この説明は省略する。
【0021】
別の実施形態では、図4に示す発電システム402において、将来の使用に備えて熱エネルギーを捕獲及び貯蔵することができる。発電システム402は、通常は軸流圧縮機404と遠心圧縮機408との間で失われる熱エネルギーを貯蔵してピーク負荷条件時又はピーク負荷に近い条件時に使用する改良型AA−CAESシステムを含む。この熱エネルギーを捕獲することにより、発電システム402の総合運転効率を約8〜10%向上させることができる。次に、このシステムを、軸流圧縮機404への吸気から始まるシステム内での空気の流れに従って大まかに説明する。最初にステップ7aにおいて、空気は軸流圧縮機404内に取り込まれて圧縮され、この圧縮中に空気が圧力を受けて温度が上昇する。この空気はステップ7bにおいて軸流圧縮機404から排出され、断熱高温オイルタンク406との間で熱交換が行われる(即ち、オイル又は別の空気流が加熱される)。冷却された空気流は、次にステップ7cにおいて断熱高温オイルタンク406を離れて第1の遠心圧縮機408に流入する。その後、空気は第1の遠心圧縮機408により圧縮され、第1の遠心圧縮機408から流出し、ステップ7dにおいて第2の遠心圧縮機410に流入して更に圧縮される。遠心圧縮機の個数は様々であってよく、圧縮機の種類も様々であってよい。
【0022】
次に、空気流は、ステップ7eにおいて第2の遠心圧縮機410からエネルギー貯蔵装置(例えば熱エネルギー貯蔵部412)へと進む。第2の遠心圧縮機410からの高温の圧縮空気は、その後、熱エネルギー貯蔵部412により冷却される。熱エネルギーは、将来の使用に備えて熱エネルギー貯蔵部412に貯蔵され、冷却プロセスにより生じたあらゆる水分が排出される。冷却済み圧縮空気は、その後、ステップ7fにおいて安全用冷却器414に送られ、空気が更に冷却された後、ステップ7gにおいて貯蔵設備(例えば、洞窟416)に送られる。この洞窟416内における圧縮空気の貯蔵と熱エネルギー貯蔵部412内におけるエネルギーの貯蔵とは、通常は発電システム402の非ピーク需要運転時に行われる。
【0023】
発電システム402に対する需要が目標点まで増加すると、貯蔵された圧縮空気を再びシステム内に放出してエキスパンダ418(例えばタービン)を駆動させることにより、エネルギー出力を増加させることができる。例えば、洞窟416は貯蔵された圧縮空気の一部をステップ7hにおいて放出し、この圧縮空気は断熱高温オイルタンク406で予熱される。放出された圧縮空気は、その後、ステップ7iにおいて熱エネルギー貯蔵部412へと流れて加熱される。熱エネルギーが熱エネルギー貯蔵部412から圧縮空気に伝達され、加熱された圧縮空気はステップ7jにおいて粒子フィルタ420へと流れる。加熱済み圧縮空気はその後、ステップ7kにおいて、粒子フィルタ420からタービン418の膨張部へと流れる。空気は、膨張時に冷却されて圧力降下する一方で、シャフト422を駆動させる仕事を生成し、このシャフトが更に、ジェネレータ424の一部分を回転させて電力が生成される。空気は、膨張後にステップ7lにおいてタービン418から排気口426へと流れて、通常は大気中に放出される。発電システム402は更に、圧縮機用のシャフト428とギヤボックス430とモータ432とを含み得る。
【0024】
実施例に従って、図4に示すシステムの様々な点における空気及びオイルの圧力及び温度の値と併せた一例を、図5に図示する。これらの値は例示であって、実施形態を制限することを意図するものではない。図5のシステムは、図4に示すシステムに関して上述したように動作するので、この説明は省略する。
【0025】
別の実施形態により、図6に示す発電システム602の最初の段階で、エアハンドリングユニット604と蒸気吸収式冷凍機606とを実装できる。これにより、発電システム602は軸流圧縮機608内へと進む空気を冷却し、この空気から水分を除去し(これにより熱エネルギー貯蔵部12において下流側の空気から水分を除去する必要性が低減/解消される)、軸流圧縮機からの排気の温度を低下させることが可能になる。次に、このシステムを、第1の遠心圧縮機610までのシステム内での空気の流れに沿って大まかに説明し、続いてエアハンドリングユニット604と蒸気吸収式冷凍機606とにおける流体ループを説明する。まずステップ9aにおいて、空気がエアハンドリングユニット604内に取り込まれて冷却され、水分が除去された後、空気が軸流圧縮機608内に取り込まれる。その後、空気が軸流圧縮機608で圧縮され、この圧縮中に空気が圧力を受けて温度が上昇する。この空気は、ステップ9bにおいて軸流圧縮機608から排出され、蒸気吸収式冷凍機606内において熱交換が行われる。冷却された空気流は、次にステップ9cにおいて蒸気吸収式冷凍機606を離れて第1の遠心圧縮機610に流入する。その後、空気は第1の遠心圧縮機610により圧縮され、第1の遠心圧縮機610から流出し、ステップ9dにおいて第2の遠心圧縮機10に流入して更に圧縮される。構成要素10〜30は図1に示したものと同様なので、これらの説明は省略する。
【0026】
実施例では、蒸気吸収式冷凍機606は熱交換器として機能し、これにより、更に軸流圧縮機608からの排気を所望の温度に冷却することが可能になるだけでなく、以下に図7に関して説明するように、エアハンドリングユニット604により空気を冷却した後に空気を軸流圧縮機608に流入させることが可能になる。まず、空気がエアハンドリングユニット604に流入し、冷却ループ702により冷却される。冷却ループ702は、冷水又はグリコール水溶液を含む。加えて、水分が空気から除去される。この冷却された空気は次に軸流圧縮機608へと進む。軸流圧縮機608からの高温の排気は蒸気吸収式冷凍機606に流入し、第1の遠心圧縮機610へと進む途中で再生段704において冷媒と熱交換が行われることにより冷却される。
【0027】
実施例により、蒸気吸収式冷凍機606内の冷媒蒸気は、再生段704において気化して、凝縮器706へと流れる。凝縮器706は熱交換器708を含み、液体冷媒を出力し、この液体冷媒が次に熱交換器710に示すように冷却ループ702を冷却する。この冷媒は、その後、冷却ループ712により冷却され、ポンプ714により再生段704に送り返される。加えて、再生段704からの液体の形態のままの冷媒の一部分が熱交換器710に流入し、同様に冷却ループ702により冷却された後に、再生段704へと再びポンプ送りされる。
【0028】
実施例に従って、図6に示すシステムの様々な点における空気及びオイルの圧力及び温度の値と併せて、一例を図8に図示する。これらの値は例示であって、実施形態を制限することを意図するものではない。図8のシステムは、上記に図6に示すシステムに関して説明したように動作するので、この説明は省略する。
【0029】
上述した実施例では、3つの圧縮機が直列に図示されており、軸流圧縮機と遠心圧縮機との間で熱エネルギーが捕獲されるが、その他の変形例も存在する。例えば、1つの軸流圧縮機と1つの遠心圧縮機といったように、その他の個数及び種類の圧縮機を用いてもよい。加えて、将来の使用に備えて、必要に応じて熱エネルギーをその他の圧縮機の排気から捕獲することができる。
【0030】
実施例に従った上述の例示的なシステムを用いて発電システムの熱エネルギーを捕獲する方法を、図9及び10の流れ図に示す。この方法は、第1の圧縮済み加熱空気流を第1の圧縮機から排出するステップ902と、オイルを断熱貯蔵タンク内に貯蔵するステップ904と、断熱貯蔵タンクにおいて第1の圧縮済み加熱空気流を受け取るステップ906と、断熱貯蔵タンクにおいて熱エネルギーを第1の圧縮済み加熱空気流からオイルに伝達するステップ908と、熱エネルギーを断熱貯蔵タンクにおいて加熱後のオイルから冷却済み圧縮空気に伝達するステップ910と、第2の圧縮済み加熱空気流を第2の圧縮機から排出するステップ912と、第2の圧縮済み加熱空気流の熱エネルギーをエネルギー貯蔵装置において貯蔵するステップ914と、エネルギー貯蔵装置から受け取った冷却済み圧縮空気を貯蔵設備において貯蔵するステップ916と、冷却済み圧縮空気を貯蔵設備から選択的に放出して発電システムで用いるステップ918とを含む。
【0031】
実施例による上述の例示的なシステムを用いて発電システムの空気を冷却する方法を図11の流れ図に示す。この方法は、エアハンドリングユニットにおいて空気を受け取るステップ1102と、エアハンドリングユニットにおいて空気を冷却して冷却済み空気を得るステップ1104と、エアハンドリングユニットにおいて冷却済み空気から水分を除去して冷却済み乾燥空気を得るステップ1106と、第1の圧縮機により空気を圧縮するステップ1108と、第1の圧縮機から第1の圧縮済み加熱空気流を排出するステップ1110と、蒸気吸収式冷凍機において圧縮済み加熱空気を含む複数の媒体間で熱エネルギーを伝達するステップ1112と、蒸気吸収式冷凍機において第1の圧縮済み加熱空気流を冷却するステップ1114と、冷却された第1の圧縮済み加熱空気流を第2の圧縮機において圧縮するステップ1116と、第2の圧縮済み加熱空気流を第2の圧縮機から排出するステップ1118とを含む。
【0032】
上述の実施例は、本発明を限定するものではなく、あくまでも例示的なものであることを意図している。本発明は、実施の細部において、本明細書に含まれる記述から当業者が想到可能な様々な改変が可能である。こうした改変及び修正も全て、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の特許請求の範囲に含まれるものとみなされる。別途明記しない限り、本願の記述で用いたいずれの要素、動作、又は命令も、本発明に必須又は不可欠であると解釈されるべきではない。また、本明細書で単数名詞を用いるときは、その事項を1つ以上含むことを意図している。
【0033】
本明細書では、開示の主題の例を用いることにより、任意の装置又はシステムの作製及び使用、並びに任意の付随する方法の実施を含め、当業者がこれを実施することを可能にしている。本発明の特許請求の範囲は、請求項により定義されるが、当業者に想到可能なその他の例も含み得る。こうしたその他の例も、本発明の特許請求の範囲に含まれることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電システムの空気を冷却するシステムであって、
空気を受け取り、前記空気を冷却し、前記空気から水分を除去するように構成されたエアハンドリングユニットと、
前記エアハンドリングユニットに流体接続された第1の圧縮機であって、前記エアハンドリングユニットから前記空気を受け取り、第1の圧縮済み加熱空気流を排出するように構成された第1の圧縮機と、
前記第1の圧縮機に接続された蒸気吸収式冷凍機であって、熱エネルギーを複数の媒体間で伝達し、前記第1の圧縮済み加熱空気流を冷却するように構成された蒸気吸収式冷凍機と、
前記蒸気吸収式冷凍機に接続された第2の圧縮機であって、冷却された前記第1の圧縮済み加熱空気流を受け取り、第2の圧縮済み加熱空気流を排出するように構成された第2の圧縮機と、
前記第2の圧縮機に接続され、前記第2の圧縮済み加熱空気流の熱エネルギーを貯蔵するように構成されたエネルギー貯蔵装置と、
前記エネルギー貯蔵装置に接続された貯蔵設備であって、前記エネルギー貯蔵装置から受け取った冷却済み圧縮空気を貯蔵し、前記冷却済み圧縮空気を再び前記発電システム内に選択的に放出するように構成された貯蔵設備と、を含むシステム。
【請求項2】
熱エネルギーを複数の媒体間で伝達し、前記第1の圧縮済み加熱空気流を冷却するように構成された前記蒸気吸収式冷凍機が、
熱エネルギーを前記第1の圧縮済み加熱空気流から冷媒に伝達するように構成された第1の熱交換器と、
前記第1の熱交換器に流体接続された第2の熱交換器であって、前記冷媒を冷却し、凝縮させるように構成された第2の熱交換器と、
前記第2の熱交換器に流体接続され、熱エネルギーを第1の流体から前記冷媒に伝達するように構成された第3の熱交換器であって、前記第1の流体は、次に前記エアハンドリングユニットにより受けられる前記空気を冷却する第3の熱交換器と、
前記第3の熱交換器に流体接続され、熱エネルギーを前記冷媒から第2の流体に伝達するように構成された第4の熱交換器とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の流体が、水又はグリコールのいずれか一方である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記蒸気吸収式冷凍機が、前記冷媒をポンプ送りするように構成されたポンプを更に含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の圧縮機が軸流圧縮機であり、前記第2の圧縮機が遠心圧縮機である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第3の熱交換器が、前記エアハンドリングユニットと前記蒸気吸収式冷凍機との両方に接続される、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記冷却された第1の圧縮済み加熱空気流の温度が、ほぼ180°Cである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
発電システムの空気を冷却するシステムであって、
空気を受け取って前記空気を冷却し、前記空気から水分を除去するように構成されたエアハンドリングユニットと、
前記エアハンドリングユニットに流体接続される第1の圧縮機であって、前記エアハンドリングユニットから前記空気を受け取り、第1の圧縮済み加熱空気流を排出するように構成された第1の圧縮機と、
前記第1の圧縮機に接続された蒸気吸収式冷凍機であって、熱エネルギーを複数の媒体間で伝達し、前記第1の圧縮済み加熱空気流を冷却するように構成された蒸気吸収式冷凍機と、
前記蒸気吸収式冷凍機に接続された第2の圧縮機であって、冷却された前記第1の圧縮済み加熱空気流を受け取り、第2の圧縮済み加熱空気流を排出するように構成された第2の圧縮機と、を含むシステム。
【請求項9】
熱エネルギーを複数の媒体間で伝達し、前記第1の圧縮済み加熱空気流を冷却するように構成された前記蒸気吸収式冷凍機が、
熱エネルギーを前記第1の圧縮済み加熱空気流から冷媒に伝達するように構成された第1の熱交換器と、
前記第1の熱交換器に流体接続された第2の熱交換器であって、前記冷媒を冷却し、凝縮させるように構成された第2の熱交換器と、
前記第2の熱交換器に流体接続され、熱エネルギーを第1の流体から前記冷媒に伝達するように構成された第3の熱交換器であって、前記第1の流体は、次に前記エアハンドリングユニットが受け取る前記空気を冷却する第3の熱交換器と、
前記第3の熱交換器に流体接続され、熱エネルギーを前記冷媒から第2の流体に伝達するように構成された第4の熱交換器とを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の流体が水又はグリコールのいずれか一方である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記蒸気吸収式冷凍機が、前記冷媒をポンプ送りするように構成されたポンプを更に含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の圧縮機が軸流圧縮機であり、前記第2の圧縮機が遠心圧縮機である、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記第3の熱交換器が、前記エアハンドリングユニットと前記蒸気吸収式冷凍機との両方に接続された、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記冷却された第1の圧縮済み加熱空気流の温度が、ほぼ180°Cである、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
発電システムの空気を冷却する方法であって、
空気をエアハンドリングユニットにおいて受け取るステップと、
前記エアハンドリングユニットにおいて前記空気を冷却して、冷却済み空気を得るステップと、
前記エアハンドリングユニットにおいて前記冷却済み空気から水分を除去して、冷却済み乾燥空気を得るステップと、
前記冷却済み乾燥空気を第1の圧縮機により圧縮するステップと、
第1の圧縮済み加熱空気流を前記第1の圧縮機から排出するステップと、
蒸気吸収式冷凍機において前記圧縮済み加熱空気を含む複数の媒体間で熱エネルギーを伝達するステップと、
前記第1の圧縮済み加熱空気流を前記蒸気吸収式冷凍機において冷却するステップと、
冷却された前記第1の圧縮済み加熱空気流を第2の圧縮機において圧縮するステップと、
第2の圧縮済み加熱空気流を前記第2の圧縮機から排出するステップと、を含む方法。
【請求項16】
前記蒸気吸収式冷凍機内の第1の熱交換器において熱エネルギーを前記第1の圧縮済み加熱空気流から冷媒に伝達するステップと、
前記蒸気吸収式冷凍機内の第2の熱交換器において前記冷媒を冷却するステップと、
前記蒸気吸収式冷凍機内の前記第2の熱交換器において前記冷媒を凝縮させるステップと、
前記蒸気吸収式冷凍機内の第3の熱交換器において熱エネルギーを第1の流体から前記冷媒に伝達するステップであって、前記流体で、次に前記エアハンドリングユニットが受け取る前記空気を冷却するステップと、
前記蒸気吸収式冷凍機内の第4の熱交換器において、熱エネルギーを前記冷媒から第2の流体に伝達するステップとを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の流体が水又はグリコールのいずれか一方である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記冷媒をポンプにより送るステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の圧縮機が軸流圧縮機である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記冷却された第1の圧縮済み加熱空気流の温度が、ほぼ180°Cである、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−97736(P2012−97736A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−233555(P2011−233555)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(505347503)ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ (112)
【Fターム(参考)】