説明

光ウィンドウとともに広角対物レンズを用いる検査装置

【課題】光ウィンドウを使用して別の環境に置かれた物体の結像の最高性能の実現を容易にする。
【解決手段】光ウィンドウは、パーティクル検出システム内に位置することができ、パーティクル検出システムは、第1環境と第2環境との間にあるセパレータを含む。セパレータは、開口と、開口内に配置された光エレメントとを含む。物体が第2環境に配置される。対物レンズが第1環境に配置される。ディテクタが第2環境に配置され、物体の表面上のパーティクルを検出するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、一般にリソグラフィに関し、特に、1つの環境に配置されたディテクタによる別の環境に配置された物体の結像の性能改善を容易にするように構成された光ウィンドウ分離環境に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィは、集積回路(IC)や他のデバイスおよび/または構造の製造における重要なプロセスとして広く認識されている。リソグラフィ装置は、リソグラフィ中に使用される、所望のパターンを基板上、例えば、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置を用いたICの製造中、パターニングデバイス(マスクまたはレチクルとも呼ばれる)がICの個々の層上に形成される回路パターンを生成する。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(例えば、レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。ICの別々の層の生成は、別々のレチクルを用いて別々の層上に別々のパターンを結像することを必要とすることが多い。従って、リソグラフィプロセス中、レチクルを交換する必要がある。
【0003】
[0003] 一部のリソグラフィ形態において、レチクルは、リソグラフィプロセスを行うために必要な他のコンポーネントや装置とともに真空環境に保持される。しかし、可能な時には必ず、検査装置は、真空環境の外、例えば、周囲環境に配置される。
【0004】
[0004] 良好な結像品質を確実にするために、欠陥および/またはパーティクルについて各レチクルを検査する。例えば、レチクルをレチクルサポート上に位置決めする前に、レチクルのパターン形成されていない面の検査を行う。これは、レチクルのパターン形成されていない面上に存在するパーティクルが、露光中に形成されたパターンのエラーを引き起こすおそれ、例えば、レチクルがレチクルサポートに適切に位置合わせまたは位置決めされないおそれがあるからである。レチクルのミスアライメントはターゲット基板に転写されたパターンのエラーを引き起こし、これによってパターン形成された基板の品質および/または有用性が低下することがある。
【0005】
[0005] 通常環境(すなわち、周辺空気)にある対物レンズを、結像(すなわち、検査)対象のサンプルを含む浸食性または真空環境から分離するために、レチクルのパーティクル検査を行う際にウィンドウを検査光路内で使用することができる。例えば、レチクルは浸食性または真空環境に配置され、一方で対物レンズおよびディテクタは第2環境内の浸食性または真空環境の外(例えば、周囲空気)に配置される。このウィンドウは、主なリソグラフィ露光チャンバとは異なるレチクル検査チャンバの一部とすることができる。ウィンドウは、通常、BK7、クォーツ、サファイアなどのクラウンガラスの平行平面板から構成される。
【0006】
[0006] ウィンドウ材料は、ウィンドウが分離している環境の1つまたは両方に対する透過率および抵抗についてのウィンドウ関数に基づかせることができる。従って、ウィンドウは、受動光エレメントとして扱われる。上述のように、ウィンドウは安価な市販材料(例えば、BK7、クォーツ、サファイア)から構成されることが多い。市販のウィンドウが球面収差、コマ収差、および/または非点収差を生じさせることは珍しいことではない。このタイプのウィンドウは、許容結像品質をもたらすためにより長い作動距離を必要とすることが多い。エラーおよびより長い作動距離の発生は結像システムの最適化全体を妨げる。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 上述より、求められるものは検査光路内の補正光エレメントである。この要求を満たすために、本発明の実施形態は、光ウィンドウを有する広角対物レンズを用いる広視野面欠陥検査装置を目的とするものであり、それにより別の環境に配置された物体の結像の最高性能の実現を容易にする。
【0008】
[0008] 例えば、本発明の一実施形態は、セパレータと、光エレメントと、物体と、対物レンズと、ディテクタとを含むパーティクル検出システムを提供する。セパレータは、第1環境と第2環境との間に配置される。また、セパレータは開口を含む。光エレメントはセパレータの開口内に配置される。物体は第2環境に配置される。対物レンズは第1環境に配置される。また、ディテクタは第1環境に配置されて、対物レンズおよび光エレメントを通る光路に沿って、物体の表面上のパーティクルを検出する。
【0009】
[0009] 一例において、セパレータはレチクル検査チャンバの壁を画定する。
【0010】
[0010] 一例において、光エレメントは、高屈折率および低分散度を有するように構成された材料を含む。光エレメントは、少なくとも球面収差、コマ収差、非点収差を補正するように構成される。いくつかの例において、光エレメントは、屈折力を光路に与えるように構成される。他の例において、光エレメントは、無視できる屈折力を光路に与えるように構成される。少なくとも一例において、光エレメントは、各々が高い屈折率および低分散度を示すように構成された2つ以上の材料構成を含む。別の例において、2つ以上の材料構成のうちの少なくとも1つは、他の材料構成とは別の高屈折率の値および別の低分散度の値を有する。一例において、2つ以上の材料構成の各々は屈折力を含む。
【0011】
[0011] 一例において、第1環境は約1気圧である。一例において、第2環境は真空である。
【0012】
[0012] 一例において、パーティクル検出システムは、物体の表面からの散乱光のコントラストレベルに基づいて物体の表面上のパーティクルを検出するディテクタを含む。少なくとも一例において、物体はレチクルであり、表面はレチクルのパターン形成されていない面である。
【0013】
[0013] 本発明の別の実施形態に従って、レチクルサポートと、投影システムと、基板サポートと、レチクル検査チャンバとを含むリソグラフィシステムが提供される。レチクルサポートは、レチクルがパターン形成されたビームを生成するように放射ビームの経路にレチクルを位置決めするように構成される。投影システムは、パターン形成されたビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成される。基板サポートは、リソグラフィプロセス中に基板を支持するように構成される。レチクル検査チャンバは、レチクルサポート、投影システム、および基板サポートの場所と連通しながら当該場所から離れている。レチクル検査チャンバは、壁と、光エレメントと、物体と、対物レンズと、ディテクタとを含む。壁は、第1環境と第2環境との間に配置される。また、壁は開口を含む。光エレメントは、壁の開口内に配置される。物体は第2環境に配置される。対物レンズは第1環境に配置される。また、ディテクタは第1環境に配置されて、対物レンズおよび光エレメントを通る光路に沿って、物体の表面上のパーティクルを検出する。
【0014】
[0014] 本発明の別の特徴および利点、ならびに本発明のさまざまな実施形態の構造および動作を、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。なお本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。このような実施形態は、例示のためにのみ本明細書で示される。本明細書の教示に基づいて、追加の実施形態が当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
[0015] 本明細書に組み込まれ、かつ明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明を示し、さらに説明とともに本発明の原理を説明し、かつ当業者が本発明を行い使用することを可能とするのに役立つ。
【0016】
【図1A】[0016] 図1Aは、本発明の実施形態を実施するために使用可能である、反射型リソグラフィ装置を示す。
【図1B】[0016] 図1Bは、本発明の実施形態を実施するために使用可能である、透過型リソグラフィ装置を示す。
【図2】[0017] 図2は、例示的なEUVリソグラフィ装置を示す。
【図3】[0018] 図3は、パーティクル検出システムを示す。
【図4】[0019] 図4は、光ウィンドウとして機能し得る光エレメントの一実施形態を示す。
【図5】[0019] 図5は、光ウィンドウとして機能し得る光エレメントの一実施形態を示す。
【図6】[0019] 図6は、光ウィンドウとして機能し得る光エレメントの一実施形態を示す。
【図7】[0019] 図7は、光ウィンドウとして機能し得る光エレメントの一実施形態を示す。
【図8】[0020] 図8は、パーティクル検出システムの第1構成を示す。
【図9】[0020] 図9は、パーティクル検出システムの第2構成を示す。
【0017】
[0021] 本発明の特徴および利点は、図面を参照した以下の詳細な説明から、より明らかであろう。これらの図面において、同一の参照符号は、全体を通じて対応する要素を示す。図面において、同一の参照番号は、概して、同一、機能的に同様、および/または構造的に同様の要素を示す。要素が最初に現れる図面は、対応する参照番号の最も左の数字により示される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
I.概要
[0022] 本発明は、光ウィンドウとともに広角対物レンズを用いる欠陥検査装置を目的とするものである。本明細書は、本発明の特徴を組み入れた1つ以上の実施形態を開示する。開示される実施形態は、本発明を例示するに過ぎない。本発明の範囲は、開示される実施形態に限定されない。本発明は、添付の請求項により定義される。
【0019】
[0023] 説明されている実施形態および本明細書での「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」などに関する言及は、説明されている実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、各実施形態がその特定の特徴、構造、または特性を必ずしも含むとは限らないことを示す。また、そのような表現は同一の実施形態を必ずしも示すものではない。さらに、実施形態と関連して特定の特徴、構造、または特性が説明される場合、明示的に説明されているか否かによらず、他の実施形態と関連してそのような特徴、構造、または特性を達成することは当業者の知識の範囲内であると理解されたい。
【0020】
[0024] 本発明の実施形態は、ハードウエア、ファームウエア、ソフトウエア、またはこれらの組合せの形式で実現されてよい。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサにより読取かつ実行可能である機械読取可能媒体に記憶された命令として実現されてもよい。機械読取可能媒体は、機械(例えば、演算デバイス)により読取可能な形式で情報を記憶または伝送する任意の機構を含んでよい。例えば、機械読取可能媒体は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記録媒体、光記録媒体、フラッシュメモリデバイス、電気的、光学的、または音響的もしくはその他の伝送信号形式(例えば、搬送波、赤外信号、デジタル信号)、またはその他を含んでよい。また本明細書では、ファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、命令は、ある動作を実行するためのものとして記述されていてもよい。しかし、当然のことながら、これらの記述は単に便宜上のものであり、これらの動作は、そのファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、命令などを実行する演算デバイス、プロセッサ、コントローラ、または他のデバイスにより実際に得られるものである。
【0021】
[0025] 広角検査結像システムで使用される光エレメントウィンドウの実施形態が以下に詳細に説明される。一実施形態において、光エレメントは、高屈折率および低分散度の材料を含む。別の実施形態において、光エレメントは、屈折力を有するまたは有さない2つ以上のコンポーネントを含み、各々のコンポーネントは高屈折率および低分散度の材料から形成される。光エレメントウィンドウは、2つの異なる環境を分離するために使用される。同様に、光エレメントウィンドウは、検査結像システム内の能動コンポーネント(すなわち、収差向上および/または屈折力のためのコンポーネント)として利用される。
【0022】
[0026] しかし、そのような実施形態をより詳細に説明する前に、本発明の実施形態が実行され得る例示的環境を提示することは有益である。
【0023】
II.例示的なリソグラフィ環境
A.例示的な反射型および透過型リソグラフィシステム
[0027] 図1Aおよび図1Bは、それぞれリソグラフィ装置100および100’を概略的に示している。リソグラフィ装置100および100’の各々は、放射ビームB(例えば、DUVまたはEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク、レチクル、または動的パターニングデバイス)MAを支持するように構成され、かつパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ基板Wを正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、を含む。また、リソグラフィ装置100および100’は、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分(例えば、1つ以上のダイを含む)C上に投影するように構成された投影システムPSを有する。リソグラフィ装置100において、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSは反射性を有し、リソグラフィ装置100’において、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSは透過性を有する。
【0024】
[0028] 照明システムILとしては、放射Bを誘導し、整形し、または制御するための屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0025】
[0029] サポート構造MTは、パターニングデバイスMAの向き、リソグラフィ装置100および100’の設計、および、パターニングデバイスMAが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスMAを保持することができる。サポート構造MTは、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造MTは、パターニングデバイスを、例えば、投影システムPSに対して所望の位置に確実に置くことができる。
【0026】
[0030] 「パターニングデバイス」MAという用語は、基板Wのターゲット部分C内にパターンを作り出すように、放射ビームBの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。放射ビームBに付与されたパターンは、集積回路などのターゲット部分C内に作り出されるデバイス内の特定機能層に対応し得る。
【0027】
[0031] パターニングデバイスMAは、(図1Bのリソグラフィ装置100’のように)透過型であっても、(図1Aのリソグラフィ装置100のように)反射型であってもよい。パターニングデバイスMAの例としては、レチクル、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームBにパターンを付ける。
【0028】
[0032] 「投影システム」PSという用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含し得る。EUVまたは電子ビーム放射に対して真空環境を用いることができる。というのは、他のガスは放射または電子を吸収し過ぎる場合があるからである。従って、真空壁および真空ポンプを用いて、真空環境をビーム経路全体に提供することができる。
【0029】
[0033] リソグラフィ装置100および/またはリソグラフィ装置100’は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)WTを有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加の基板テーブルWTは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上の基板テーブルWTを露光用に使うこともできる。
【0030】
[0034] 図1Aおよび図1Bを参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、放射源SOがエキシマレーザである場合、放射源SOとリソグラフィ装置100、100’は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源SOは、リソグラフィ装置100または100’の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームBは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBD(図1B)を利用して進む。その他の場合においては、例えば、放射源SOが水銀ランプである場合、放射源SOは、リソグラフィ装置100、100’の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0031】
[0035] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタAD(図1B)を含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネント(図1B)を含むことができる。イルミネータILを使って放射ビームBを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0032】
[0036] 図1Aを参照すると、放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスMAによってパターン形成される。リソグラフィ装置100において、放射ビームBはパターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上に放射ビームBの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置付けるように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使い、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置付けることもできる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。
【0033】
[0037] 図1Bを参照すると、放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置付けるように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサ(図1Bには明示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置付けることもできる。
【0034】
[0038] 通常、マスクテーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0035】
[0039] リソグラフィ装置100および100’は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
1.ステップモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームBに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。
2.スキャンモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームBに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。
3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTを実質的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームBに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。パルス放射源SOを採用することができ、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、本明細書に記載のタイプのプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0036】
[0040] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0037】
[0041] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0038】
[0042] さらなる実施形態において、リソグラフィ装置100は極端紫外線(EUV)源を含み、このEUV源はEUVリソグラフィ用のEUV放射ビームを生成するように構成される。一般に、EUV源は放射システム内に構成され(以下参照)、対応する照明システムはEUV源のEUV放射ビームを調整するように構成される。
【0039】
B.例示的なEUVリソグラフィ装置
[0043] 図2は、本発明の一実施形態に係る例示的なEUVリソグラフィ装置200を概略的に示している。図2において、EUVリソグラフィ装置200は、放射システム42、照明光学ユニット44、および投影システムPSを含む。放射システム42は、放射ビームを放電プラズマによって形成することができる放射源SOを含む。一実施形態において、EUV放射は、非常に高温のプラズマが生成されて電磁スペクトルのEUV範囲の放射を放出するガスまたは蒸気、例えば、Xeガス、Li蒸気またはSn蒸気によって生成され得る。非常に高温のプラズマは、例えば電気放電によって、少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを生成することによって生成することができる。この放射源は、放電生成プラズマ(LPP)源とも呼ばれる。放射を効率よく生成するために、Xe、Li、Sn蒸気または他の適切なガスまたは蒸気の分圧、例えば10Paが必要となり得る。放射源SOから放出された放射は、放射源チャンバ47から、放射源チャンバ47の開口内または開口の後方に位置決めされたガスバリアまたは汚染物質トラップ49を介してコレクタチャンバ48内へ送られる。一実施形態において、ガスバリア49は、チャネル構造を含むことができる。
【0040】
[0044] コレクタチャンバ48は、かすめ入射コレクタから形成され得る放射コレクタ50(コレクタミラーまたはコレクタとも呼ばれる)を含む。放射コレクタ50は、上流放射コレクタ側50aと下流放射コレクタ側50bとを有し、コレクタ50によって送られる放射を格子スペクトルフィルタ51で反射させて、コレクタチャンバ48のアパーチャにある仮想放射源点52に集束させることができる。放射コレクタ50は、当業者に知られている。
【0041】
[0045] コレクタチャンバ48から、放射ビーム56が、照明光学系ユニット44内で法線入射リフレクタ53および54を介し、レチクルまたはマスクテーブルMT上に位置決めされたレチクルまたはマスク(図示せず)上で反射される。パターン形成されたビーム57が形成され、投影システムPS内で反射エレメント58および59を介してウェーハステージまたは基板テーブルWT上に支持された基板(図示せず)上で結像される。さまざまな実施形態において、照明光学ユニット44および投影システムPSは、図2に示すエレメントより数の多い(または少ない)エレメントを含み得る。例えば、格子スペクトルフィルタ51は、リソグラフィ装置のタイプによって任意に存在してよい。さらに、一実施形態において、照明光学ユニット44および投影システムPSは、図2に示すミラーより数の多いミラーを含み得る。例えば、投影システムPSは反射エレメント58および59に加えて1つから4つの反射エレメントを含んでよい。図2において、参照番号180は、2つのリフレクタの間の空間、例えば、リフレクタ142とリフレクタ143との間の空間を示す。
【0042】
[0046] 一実施形態において、コレクタミラー50は、かすめ入射コレクタの代わりに、またはかすめ入射コレクタに加えて、法線入射コレクタも含み得る。また、リフレクタ142、143および146を有する入れ子式コレクタに関連して説明するが、コレクタミラー50は、本明細書においてコレクタの一例としてさらに用いられる。
【0043】
[0047] さらに、図2に概略的に示すような格子51の代わりに、透過型光フィルタを使用してよい。EUVを透過させる光フィルタ、ならびにUV放射をより透過させない、または実質的にUV放射を吸収する光フィルタは、当業者に公知である。従って、「格子スペクトル純度フィルタ」の使用は、本明細書においてさらに「スペクトル純度フィルタ」と区別なく示され、これには格子または透過型フィルタが含まれる。図2に示されていないが、EUV透過型光フィルタを、追加の光エレメントとして含むことができ、例えば、コレクタミラー50の上流、ならびに照明ユニット44および/または投影システムPS内の光EUV透過型フィルタの上流で構成することができる。
【0044】
[0048] 光エレメントに関する「上流の/で」および「下流の/で」という用語は、それぞれ、1つ以上の追加の光エレメントの「光学的に上流の」および「光学的に下流の」1つ以上の光エレメントの位置を示す。放射ビームがリソグラフィ装置200を通過する光路に従って、第2光エレメントより放射源SOに近い第1光エレメントが第2光エレメントの上流で構成され、第2光エレメントは第1光エレメントの下流で構成される。例えば、コレクタミラー50はスペクトルフィルタ51の上流で構成され、一方、光エレメント53はスペクトルフィルタ51の下流で構成される。
【0045】
[0049] 図2に示されるすべての光エレメント(および本実施形態の概略図に示されていない追加の光エレメント)は、放射源SOによって生成された汚染物質、例えば、Snの堆積の影響を受けることがある。このようなことは、放射コレクタ50、およびスペクトル純度フィルタ51(存在する場合)に対して当てはまり得る。従って、洗浄デバイスを用いてこれらの光エレメントのうちの1つ以上の光エレメントを洗浄することができ、また、洗浄方法をそれらの光エレメントだけでなく、法線入射リフレクタ53および54ならびに反射エレメント58および59または他の光エレメント、例えば、追加のミラー、格子などに適用することができる。
【0046】
[0050] 放射コレクタ50は、かすめ入射コレクタとすることができ、そのような実施形態において、コレクタ50は光軸Oに沿って位置合わせされる。放射源SOまたはその像もまた、光軸Oに沿って位置し得る。放射コレクタ50は、リフレクタ142、143、および146(「シェル」またはいくつかのWolter型リフレクタを含むWolter型リフレクタとしても知られている)を含み得る。リフレクタ142、143、および146は、入れ子にされ、光軸Oについて対称であり得る。図2において、内側リフレクタは参照番号142で示され、中間リフレクタは参照番号143で示され、外側リフレクタは参照番号146で示される。放射コレクタ50は、特定の体積、すなわち、外側リフレクタ146の体積を囲む。通常、小さい開口が存在し得るものの、外側リフレクタ146の体積の周囲は閉じられている。
【0047】
[0051] リフレクタ142、143、および146の各々は、少なくとも一部が反射層または多数の反射層である面を有し得る。従って、リフレクタ142、143、および146(または4つ以上のリフレクタまたはシェルを有する放射コレクタの実施形態における追加のリフレクタ)は、少なくとも部分的に放射源SOからのEUV放射を反射し、かつ集光するために設計され、リフレクタ142、143、および146の少なくとも一部は、EUV放射を反射し、かつ集光するように設計されなくてよい。例えば、リフレクタの裏側の少なくとも一部は、EUV放射を反射し、かつ集光するように設計されなくてよい。これらの反射層の表面上に、さらに、保護を目的として、またはこれらの反射層の表面の少なくとも一部の上に設けられた光フィルタとして、キャップ層が存在してよい。
【0048】
[0052] 放射コレクタ50は、放射源SOまたは放射源SOの像の近傍に配置され得る。各リフレクタ142、143、および146は、少なくとも2つの隣接した反射面を含み得る。これらの反射面のうち、放射源SOからより遠い反射面は、放射源SOにより近い反射面よりも光軸Oに対してより小さい角度で配置される。このように、かすめ入射コレクタ50は、光軸Oに沿って伝搬する(E)UV放射ビームを生成するように構成される。少なくとも2つのリフレクタは、光軸Oについて、実質的に同軸に配置され、かつ実質的に回転対称に延在し得る。当然のことながら、放射コレクタ50は、外側リフレクタ146の外面上のさらなるフィーチャ、または外側リフレクタ146の周りのさらなるフィーチャ、例えば、保護ホルダ、ヒータを有し得る。
【0049】
[0053] 本明細書に記載した実施形態において、「レンズ」および「レンズエレメント」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0050】
[0054] さらに、本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長λを有する)、極端紫外線(EUVまたは軟X線)(例えば、13.5nmなどの5〜20nmの範囲の波長を有する)、5nm未満で作用する硬X線、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。一般に、約780〜3000nmの間の(またはそれより大きい)波長を有する放射は、赤外放射とみなされる。UVは、約100〜400nmの波長を有する放射を意味する。リソグラフィでは、UVは、通常、水銀放電ランプによって生成され得る波長、すなわち、G線436nm、H線405nm、および/またはI線365nmにも適用される。真空UV、つまりVUV(すなわち、空気によって吸収されるUV)は、約100〜200nmの波長を有する放射を意味する。深紫外線(DUV)は通常、126nm〜428nmの範囲の波長を有する放射を意味し、一実施形態において、エキシマレーザはリソグラフィ装置で使用されるDUV放射を生成し得る。当然のことながら、例えば5〜20nmの範囲の波長を有する放射は、少なくとも一部が5〜20nmの範囲である特定の波長域の放射に関連する。
【0051】
III.2つの環境を分離する広角レンズ用光ウィンドウ
[0055] 図3は、本発明の一実施形態に係るパーティクル検出システム300を概略的に示している。例えば、パーティクル検出システム300は、図1A、図1B、または図2に示すような、第1環境305を有するリソグラフィ装置に含まれるレチクル検査システムとすることができる。一例において、パーティクル検出システム300は、第1環境305と第2環境370との間のセパレータ360を含む。セパレータ360は、開口355を含む。光エレメント350は、セパレータ360の開口355内に配置される。物体330は第2環境370に配置される。対物レンズ342が第1環境305に配置される。ディテクタ340が第1環境305に配置され、対物レンズ342および光エレメント350を通る光路345に沿って、物体330の表面335上のパーティクルを検出するように構成される。
【0052】
[0056] 図示の例において、システム300は、第1チャンバ310、例えば、露光チャンバ、および第2チャンバ、例えば、検査チャンバを含む(第1チャンバ310および第2チャンバ320は第2環境370内である)。物体330は、検査チャンバ320内で位置決めされる。セパレータ360は、第2チャンバ320と第1環境305との間にある。
【0053】
[0057] 一例において、光エレメントウィンドウ350は、画像光に対してエラーまたは収差を生じさせずに物体330の表面の像を含む光をディテクタ340に送るように構成される。本発明の少なくとも1つの実施形態において、検査対象の物体330はレチクルである。少なくとも1つの実施形態において、検査チャンバ320は、レチクルを扱うように構成される。
【0054】
[0058] 一例において、物体330が露光チャンバ310での動作状態に入る前に、物体330は検査チャンバ320内に位置決めされる。検査チャンバ320において、物体330の表面335は、光源325からの(例えば、表面の法線ベクトルに対する鈍角での)光ビームLBによって照明される。
【0055】
[0059] 一例において、光エレメントウィンドウ350は、物体330の表面の平面からの法線ベクトルが、ウィンドウの光軸345に対する法線ベクトルとして光エレメントウィンドウ350を通るように構成することができる。すなわち、一例において、光エレメントウィンドウ350の光平面は、物体330の表面平面に平行に構成される。
【0056】
[0060] 一例において、物体330の表面は、実質的に滑らかで光沢がある。少なくとも一例において、物体330はレチクルであり、その表面はレチクルの裏側である。レチクルの裏側はパターン形成されず、光沢があり滑らかである。従って、物体330の表面が光ビームLBで照明されるとき、光の大部分は入射角と等しい角度で表面335から反射される(すなわち、放射源光線)。
【0057】
[0061] 入射角および反射角は、表面の法線ベクトルに対して数学的に定義される。しかし、入射光LBが表面335上のパーティクルや他の不要な構造を照明するとき、光の少なくとも一部が、法線ベクトルの角度または法線ベクトルに近い角度で(すなわち、光エレメントウィンドウ350の光軸345に沿って)散乱する。ディテクタ340は、光軸345に沿って入射光線342を検出するように構成される。従って、パーティクルは、パーティクルと物体330の滑らかで光沢のある表面335との間の有意な光のコントラストシフトに基づいて検出される。というのは、光が表面335上のパーティクルや他の不要な構造から反射されない限り、光軸345に沿って物体330の表面335から反射される光が存在しないからである。
【0058】
[0062] 光エレメントウィンドウ350の構成は、物体330の表面335からの像のコントラストの品質に影響を与える。従って、選択された構成によっては、パーティクルや他の不要な構造が物体330の表面335上にあるかどうかディテクタ340が判断できないことがある。
【0059】
[0063] ディテクタ340は、(図8および図9に見られるような)追加の対物レンズエレメントも含み得る。追加のレンズエレメントは、物体330の表面335の広角視野を可能とするように構成される。
【0060】
[0064] 一例において、光エレメントウィンドウ350が最適な光学特性未満のものを示す安価な市販の光学系である場合、物体330の表面335の光学像にエラーが生じることがある。こうしたエラーは、例えば、球面収差、コマ収差、非点収差である。エラーを補償するために、一例において、光路345のサイズを大きくする必要がある。同様に、光エレメントウィンドウ350がエラーを生じさせる場合、光路345の最適化が悪影響を受ける。従って、光エレメントウィンドウ350の構成および設計は重要である。
【0061】
[0065] 物体330の表面335の検査は、リソグラフィ露光全体が最適に作用することを確実にするために行われる。例えば、物体330の表面335上のパーティクルや他の不要な構造は、物体330のリソグラフィ装置(例えば、図1A、図1B、図2のそれぞれ100、100’、200)内の関連するサポート(図示せず)への位置決めおよび設定に悪影響を及ぼす場合がある。一例において、レチクルの裏側のパーティクルは、レチクルのレチクルサポートへの位置決めおよびアライメントに悪影響を及ぼす場合がある。レチクルの裏側のパーティクルによって引き起こされたミスアライメントは、ターゲット基板上の投影パターンの実質的なエラーの原因となるおそれがある。
【0062】
[0066] 一例において、ウィンドウ350は、ディテクタ340に対して高屈折率および低分散度を有する材料から構成されて、光エレメントウィンドウ350を介して最良の像を得る。さらに、またはあるいは、ウィンドウ350の他の特性も、最良の像を得るために選択することができる。
【0063】
[0067] 屈折率は、物質を通過する光の速度に対する真空中の光の速度の比を指す。一例において、高屈折率は、約1.75または1.75を超える値とすることができる。さまざまな材料の屈折率は、可視光に対して1.75未満の屈折率を示す材料が紫外光に対して1.75または1.75を超える屈折率を示し得るように周波数に依存していることが理解されよう。
【0064】
[0068] 分散は、材料を通過する波の速度が波の周波数に依存する現象を指す。一例において、アッベ数は分散度を示すことができ、このアッベ数は屈折率に対する物質の分散度の基準である。一例において、低分散度は30未満のアッベ数であり得る。
【0065】
[0069] 例えば、光エレメントウィンドウ350が高屈折率(n>1.75)および低分散度(ν<34)を有するガラス、例えば、ショット(Schott)のカタログが提示する光学ガラス(N−SF4、N−SF6、N−SF66など)を用いる構成を有することを指定することによって、光エレメントウィンドウ350は光路345の能動エレメントとなり、像への収差を引き起こさずに物体330の表面335から反射される光線342をディテクタ340に効果的に送ることが可能である。この例において、こうした特性を示す光エレメントウィンドウ350は、より広い視野角を支持する高品質の結像を可能にし、ディテクタ340において高い像コントラストを生じさせる。
【0066】
[0070] 図4、図5、図6、および図7は、図3のウィンドウ350を実現するために使用可能な光エレメント450、550、650、および750という4つの例示的実施形態を示している。これらの例は例示的であるが網羅的でないことを理解されたい。
【0067】
[0071] 図4は、実質的に屈折力を有さない平行平面板450を示している。上述の通り、一例において、光エレメント450の構成は、高屈折率および低分散度に関して制御される。
【0068】
[0072] 図5は、屈折力を有する板550を示している。従って、屈折率および分散特性に加えて、板550は、パーティクル検出システム300の光路345に沿った屈折力を生じさせるために使用することができる。この例示的な構成において、屈折力の量は低い場合がある。
【0069】
[0073] 図6は、第1および第2の結合された平行平面板652および654を有する光エレメント650を示している。一例において、平行平面板652と平行平面板654との間に空気ギャップまたは他の光接接触が存在し得る。また、3つ以上の板を使用してもよいことを理解されたい。一例において、平行平面板652および654は、高屈折率および低分散度の両方を示す材料から構成される。一例において、平行平面板652および654は、別々の屈折率および別々の分散度、例えば、ショット光学ガラスN−LAF2(n=1.743、ν=44.85)およびN−SF4(n=1.755、ν=27.38)を有する材料から構成され、それによってコマ収差、非点収差、および軸上色収差などのより良好な色/単色収差補正を提供する。同様な屈折率を有するものの異なる分散度を有するN−LAF36(n=1.799、ν=42.37)およびN−SF6(n=1.805、ν=25.4)などの材料の対に関しては、軸上色収差のみを補正することができる。
【0070】
[0074] 図7は、第1および第2の結合された光コンポーネント752および754を有する光エレメント750を示している。この光コンポーネントの各々はある程度の屈折力を有するが組み合わせられたものは非常に弱い屈折力を示す(または全く示さない)。また、3つ以上のコンポーネントを使用してもよいことを理解されたい。光コンポーネント752および754は、高屈折率および低分散度の両方を示す材料から構成される。例えば、第1ウィンドウコンポーネントはショットガラスN−LAF7(n=1.749、ν=34.8)から形成することができ、第2コンポーネントはショットガラスN−SF4(n=1.755、ν=27.38)から形成することができる。一例において、コンポーネント752および754は結合して、屈折力を有さない光エレメントウィンドウを形成することができる。時として望ましい場合には、コンポーネント752および754は結合して屈折力を有する光エレメントウィンドウを形成する。
【0071】
[0075] さらに、またはあるいは、コンポーネント652および654、ならびにコンポーネント752および754は、空気ギャップ、光接触、および/または媒体、例えば、水、カナダバルサム、合成コーティングおよび材料などによって近接または接触することができ、それによって適切な光学的性質がもたらされる。
【0072】
[0076] 図8および図9は、パーティクル検出システム300の光路345の第1構成800および第2構成900を示している。
【0073】
[0077] 図8において、構成800は、物体(例えば、図3の330)の表面830、広角光線810、平行平面板光エレメントウィンドウ850、対物レンズセット820、および検出デバイス840を含む。少なくとも1つの実施形態において、表面830はレチクルのパターン形成されていない面である。
【0074】
[0078] 図9において、構成900は、物体(例えば、図3の330)の表面930、広角光線910、マルチコンポーネント(ここでは2つ)光エレメントウィンドウ950、対物レンズセット520、および検出デバイス540を含む。少なくとも1つの実施形態において、表面530はレチクルのパターン形成されていない面である。
【0075】
[0079] 図8および図9の両方において、光エレメントウィンドウ850/950はセパレータ(例えば、図3の360)(すなわち、壁など)内で位置決めされる。セパレータ(例えば、図3の360)は、第1環境880/980と第2環境890/990とを分離する点線として示されている。物体(例えば、図3の330)の表面830/930上のパーティクルから反射された光線810/910は、像に収差形態のエラーを生じさせずに、光エレメント850/950を通過する。図8において像は変化しないが、図9において像は、光エレメントウィンドウ950の2つ以上のコンポーネントの各々の屈折力に導かれる。図8および図9のそれぞれの光エレメントウィンドウ850/950を通過する光は、光を検出デバイス840/940上に屈折させる/成形する対物レンズセット820/920に入射する。対物レンズセット820/920は、光エレメントウィンドウ850/950とともに、不要な収差を生じさせず、かつ光路345の距離を適度な範囲に維持して、物体(例えば、図3の330)の表面830/930の広角視野を確保するように構成される。これによって、光エレメントウィンドウ850/950の設計に妨げられることなく結像最適化が行われることが可能になる。ディテクタ840/940は、像のコントラストシフトを判断し、それによって物体(例えば、図3の330)の表面830/930上の不要なパーティクルの位置を検出するように構成される。
【0076】
[0080] 要約すると、高屈折率および低分散度を有するだけでなく光エレメントウィンドウ350の屈折力の実現性を生じさせる(図3に示すような)光エレメントウィンドウ350を設計することによって、設計者は広視野結像システムを効果的に製作することができる。そのようなウィンドウ350は、欠陥、パーティクル、およびヘーズの観点から、真空内EUVレチクルおよびウェーハの汚染検査に特に適切であろう。具体的に上述していないが、そのようなシステムはレチクルおよびウェーハチャックの汚染検査に適用可能であろう。同様に、このシステムはDUVおよび/またはEUVレチクルの表側および裏側の検査に等しく適用可能であろう。このシステムによって提供される広視野により、レチクル走査なしで全面結像を行うことができる。
【0077】
[0081] 発明の概要および要約の項目は、発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、すべての例示的実施形態を述べることはできず、従って本発明および請求の範囲をいかなる意味でも制限しないものとする。
【0078】
[0082] 本発明を、複数の特定の機能の実施およびそれらの関係を示す機能構成ブロックを用いて説明してきた。これらの機能構成ブロックの境界は、説明の都合上、本明細書において任意に定義されている。これら特定の機能やそれらの関係が適切に実現される限り、別の境界を定義することができる。
【0079】
[0083] 特定の実施形態に関する前述の説明は、本発明の全般的な特徴をすべて示すものであり、従って当業者の知識を適用すれば、過度の実験を行わなくとも、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態などのさまざまな用途に対して容易に変更および/または改変を行うことができる。従って、そのような改変や変更は、本明細書で提示した教示ならびに説明に基づき、開示した実施形態の等価物の趣旨および範囲内に収まるものとする。なお、当然ながら、ここで用いた語法や用語は説明のためであって限定を意図するものではなく、本明細書の用語あるいは語法は、上記教示や説明を考慮しながら当業者が解釈すべきものである。
【0080】
[0084] 本発明の範囲は上述の例示的実施形態のいずれによっても限定されるべきでなく、添付の特許請求の範囲および等価物によってのみ規定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーティクル検出システムであって、
第1環境および第2環境との間のセパレータであって、開口を含むセパレータと、
前記セパレータの前記開口内に配置される光エレメントと、
前記第2環境に配置される物体と、
前記第1環境に配置される対物レンズと、
前記第1環境に配置され、前記対物レンズおよび前記光エレメントを通る光路に沿って、前記物体の表面上のパーティクルを検出するディテクタと、を含む、パーティクル検出システム。
【請求項2】
前記セパレータは、レチクル検査チャンバの壁を画定する、請求項1に記載のパーティクル検出システム。
【請求項3】
前記光エレメントは、高屈折率および低分散度を有する材料を含む、請求項1に記載のパーティクル検出システム。
【請求項4】
前記光エレメントは収差を補正するように構成される、請求項1に記載のパーティクル検出システム。
【請求項5】
前記光エレメントは屈折力を与えるように構成される、請求項1に記載のパーティクル検出システム。
【請求項6】
前記光エレメントは、各々が高屈折率および低分散度を示す2つ以上の材料構成を含む、請求項1に記載のパーティクル検出システム。
【請求項7】
前記2つ以上の材料構成は、別々の高屈折率の値および低分散度の値を有する、請求項6に記載のパーティクル検出システム。
【請求項8】
前記2つ以上の材料構成の各々は屈折力を含む、請求項6に記載のパーティクル検出システム。
【請求項9】
前記光エレメントは無視できる屈折力を有する、請求項1に記載のパーティクル検出システム。
【請求項10】
前記第1環境は約1気圧である、請求項1に記載のパーティクル検出システム。
【請求項11】
前記第2環境は真空である、請求項1に記載のパーティクル検出システム。
【請求項12】
前記ディテクタは、前記物体の前記表面からの散乱光のコントラストレベルに基づいて前記物体の前記表面上のパーティクルを検出する、請求項1に記載のパーティクル検出システム。
【請求項13】
前記表面は、レチクルのパターン形成されていない面である、請求項1に記載のパーティクル検出システム。
【請求項14】
リソグラフィシステムであって、
レチクルがパターン形成されたビームを生成するように放射ビームの経路に前記レチクルを位置決めするレチクルサポートと、
前記パターン形成されたビームを基板のターゲット部分上に投影する投影システムと、
リソグラフィプロセス中に前記基板を支持する基板サポートと、
前記レチクルサポート、前記投影システム、および前記基板サポートの場所と連通しながら当該場所から離れているレチクル検査チャンバであって、
第1環境と第2環境との間の壁であって、開口を含む壁と、
前記開口内に配置される光エレメントと、
前記第2環境に配置される物体と、
前記第1環境に配置される対物レンズと、
前記第1環境に配置され、前記対物レンズおよび前記光エレメントを通る光路に沿って、前記物体の表面上のパーティクルを検出するディテクタと、を含む、レチクル検査チャンバと、を含む、リソグラフィシステム。
【請求項15】
前記光エレメントは、高屈折率および低分散度を有する材料を含む、請求項14に記載のリソグラフィシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−14170(P2012−14170A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−137981(P2011−137981)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(503195263)エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ. (232)
【Fターム(参考)】