説明

光コネクタ

【課題】光電変換素子の取付位置のばらつきを低減させることにより、光電変換素子と光ファイバとの相対的な位置関係を安定させ、光コネクタの嵌合面における信号の接続損失の増大を抑える。
【解決手段】光ファイバ90a,90bを有する光ケーブル90が装着される第一のコネクタ10と、第一のコネクタ10と着脱自在に嵌合され、光ファイバ90a,90bによって伝送される光信号と電気信号との間の光電変換を行う光電変換素子92a,92bが装着される第二のコネクタ20とからなる光コネクタ1において、第二のコネクタ20には、第一のコネクタ10と第二のコネクタ20が嵌合する方向と略直交する方向に向かって開口した開口部241a,241bを有する素子装着部24が形成されており、素子装着部24に、開口部241a,241bから素子装着部24に装着された光電変換素子92a,92bの動きを規制する規制部242a,242bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタに関し、さらに詳しくは、光ファイバと、この光ファイバによって伝送される光信号と電気信号との間の光電変換を行う光電変換素子とを接続する際に用いられる光コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に光ファイバを用いた光ケーブル(光ファイバケーブルともいう。)は、多量の情報の高速通信が可能であることから、家庭用、産業用の情報通信に広く利用されている。また、例えば自動車には、各種電装品(例えば、カーナビゲーションシステム等)が装備されているが、それらの電装品の光通信にも多用されている。そして、この光ファイバと、光信号を電気信号に変換する、または電気信号を光信号に変換する光電変換素子とを接続する際に用いられる光コネクタが種々提案されている。
【0003】
この種の光コネクタの従来技術として、例えば特許文献1に示されるような構成が知られている。特許文献1に記載の光コネクタ(ハイブリッドコネクタ)は、一方のコネクタハウジングに形成された受承筒に、スリーブを介して光電変換素子(光素子モジュール)が取り付けられた構成を有する。これにより、コネクタに装着された光電変換素子の位置ずれ等が防止され、伝送される信号の損失を低減することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−82258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の光コネクタのように、光電変換素子がスリーブ等の別部材を介して固定されるような構造の場合、コネクタハウジングや、スリーブの製造誤差が積み重なり、光電変換素子の取付位置、特にコネクタの嵌合方向(信号の伝送方向)における光ファイバに対する光電変換素子の取付位置が大きくずれてしまうという問題があった。また、このような光コネクタを用いた装置が車載された場合等、振動が加わる使用環境下では、振動の影響で光ファイバと光電変換素子の相対位置が乱れ易いという問題があった。これらが原因で、従来型の光コネクタでは、光コネクタの嵌合面における信号の損失(光電変換時の損失)が増大してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、光ケーブルが装着される第一のコネクタと、その光ケーブルが有する光ファイバに伝送される光信号を電気信号に、または電気信号を光信号に変換する光電変換素子が装着される第二のコネクタとからなる光コネクタにおいて、第二のコネクタに対する光電変換素子の取付位置のばらつきを低減させることにより、第一のコネクタに装着される光ファイバと、光電変換素子との相対的な位置関係を安定させ、光コネクタの嵌合面における信号の接続損失の増大を抑えた光コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る光コネクタは、光ファイバを有する光ケーブルが装着される第一のコネクタ、および該第一のコネクタと着脱自在に嵌合され、前記光ファイバに伝送される光信号と、電気信号との間の光電変換を行う光電変換素子が装着される第二のコネクタからなり、前記第二のコネクタには、前記第一のコネクタと前記第二のコネクタが嵌合する方向と略直交する方向に向かって開口した開口部を有する素子装着部が形成されており、該素子装着部には、前記開口部から前記素子装着部に装着される前記光電変換素子の動きを規制する規制部が設けられていることを要旨とするものである。
【0008】
この場合、前記光電変換素子には少なくとも一つの凸部または凹部が形成されており、前記素子装着部に設けられた規制部は、前記光電変換素子の凸部または凹部に係合するように形成された凹部または凸部であることが望ましい。
【0009】
また、前記第一のコネクタにおいて、前記光ファイバの端末部分が挿通されるフェルールは、その先端側端面が外側に突出しないようにフード部に囲繞されていることが好ましい。
【0010】
さらに、前記第一のコネクタと前記第二のコネクタとが嵌合した状態において、前記素子装着部の開口部は、部分的にまたは全面的に前記フード部に遮蔽されるよう構成されていればさらによい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る光コネクタでは、一方のコネクタ(第二のコネクタ)にコネクタの嵌合方向と直交する方向に光電変換素子を挿入するための開口部を設け、信号の光電変換を行う光電変換素子が直接コネクタに装着されるよう構成すると共に、その開口部から装着される光電変換素子の動きを規制部によって規制するようにしたため、製造誤差等に起因する第二のコネクタとそのコネクタに装着される光電変換素子との位置関係のばらつきを低減する(光電変換素子の取付精度を高める)ことができる。つまり、他方のコネクタ(第一のコネクタ)に装着される光ファイバと光電変換素子の位置関係、特にコネクタの嵌合方向における両者の位置関係が安定するため、光コネクタの嵌合面における信号の損失量を小さく抑えることができる。
【0012】
この場合、規制部として、光電変換素子に形成された一つ以上の凸部または凹部と係合するような凹部または凸部を素子装着部に設ける構成とすることにより、簡易な構成で一方のコネクタに対する光電変換素子の取付精度を高めることができ、光ファイバと光電変換素子の位置関係、特にコネクタの嵌合方向における両者の位置関係を安定したものとすることができる。
【0013】
そして、第一のコネクタの先端側端面から突出したフェルールを囲繞するようにフード部を設けることにより、第一のコネクタが第二のコネクタに嵌合していない状態(非嵌合状態)において、フェルールがフード部によって保護される。これにより、フェルールに汚れが付着したり、フェルールが損傷してしまう等の不良(特に光電変換素子との突き合わせ面となるフェルールの先端面における不良)の発生が防止される。
【0014】
また、光ケーブルが装着される第一のコネクタに、上記のようなフード部を設け、第一のコネクタと第二のコネクタが嵌合した際、光電変換素子を素子装着部に装着するための開口部が、このフード部によって部分的にまたは全面的に遮蔽されるように構成すれば、光電変換素子が素子装着部から脱落したり、素子装着部に異物が入り込んだりするのを防止することができる。
【0015】
つまり、フード部は、第一のコネクタと第二のコネクタが非嵌合状態にある時には、フェルールを保護する保護部としての役割を果たす一方、第一のコネクタと第二のコネクタとが嵌合状態にある時には、嵌合方向と略直交する方向に向かって開口した上述の開口部から素子装着部に装着された光電変換素子が脱落したり、素子装着部に異物が入り込んだりしないよう、開口部を遮蔽する役割を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る光コネクタ(嵌合状態)の断面図であり、図1(a)は縦断面図(図1(b)におけるB−B線断面図)、図1(b)は横断面図(図1(a)におけるA−A線断面図)である
【図2】図1に示した光ケーブルコネクタの外観斜視図であり、図2(a)は上方から見た外観斜視図、図2(b)は下方から見た外観斜視図である。
【図3】図1および図2に示した光コネクタを構成するオス型コネクタの分解斜視図である。
【図4】図1および図2に示した光コネクタを構成するメス型コネクタの分解斜視図である。
【図5】図4に示したメス型コネクタのハウジング本体に光電変換素子および制御基板が取り付けられる様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。ここで、図1は本発明における第一のコネクタ(この実施形態ではオス型コネクタ10と称する。)と、第二のコネクタ(この実施形態ではメス型コネクタ20と称する。)の嵌合状態を示した断面図であり、図1(a)は縦断面図(図1(b)におけるB−B線断面図)、図1(b)は横断面図(図1(a)におけるA−A線断面図)である。また、図2はこの光コネクタ1の外観斜視図であり、図2(a)は上方から見た外観斜視図、図2(b)は下方から見た外観斜視図である。そして、図3は光コネクタ1を構成するオス型コネクタ10の分解斜視図であり、図4は、同じく光コネクタ1を構成するメス型コネクタ20の分解斜視図である。
【0018】
なお、以下の説明では、オス型コネクタ10において、メス型コネクタ20と嵌合する側を先端側、その反対方向を基端側というものとする。同様に、メス型コネクタ20において、オス型コネクタ10と嵌合する側を先端側、その反対方向を基端側というものとする。
【0019】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る光コネクタ1は、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20とを備える。そして、詳細は後述するが、オス型コネクタ10には光ケーブル90が装着され、メス型コネクタ20には、光信号を電気信号に変換する光電変換素子92a、および電気信号を光信号に変換する光電変換素子92bが装着されている。
【0020】
本実施形態で用いられる光ケーブル90は、光信号を伝達する送信用と受信用の二本の光ファイバ90a,90bを有する二芯型のものである。光ファイバ90a,90bとしては、ガラス系材料または合成樹脂系材料からなるものが知られている。なお、光ファイバ90a,90bは、表面に塗布された着色剤などにより、送信用と受信用の区別が可能となっている。この光ファイバ90a,90bは、上記オス型コネクタ10とメス型コネクタ20の嵌合により光電変換素子92a,92bと光学的に接続される。
【0021】
そして、図2(a)に示すように、これらの光ケーブル90では、断面中央部分にこの二本の光ファイバ90a,90bが配設され、その周囲が合成樹脂製のシース材903によって被覆されてなる。光ケーブル90の断面形状は、例えば断面略矩形状に形成されており、光ケーブル90における光ファイバ90a,90bの左右両側寄り部位には、光ケーブル90a,90bの機械的強度を高める二本のテンションメンバ(抗張力線)904が光ファイバ90a,90bの芯線方向に配設されている。
【0022】
オス型コネクタ10は、光ファイバ90a,90bの端末部分が固定されるフェルール93a,93bが装着されるコネクタであり、本実施形態では、第一のコネクタハウジング12と第二のコネクタハウジング14とが組み合わされてなる。以下、オス型コネクタ10の構成について、オス型コネクタ10への光ケーブル90の装着方法と併せて説明する。
【0023】
図1から図3に示すように、第一のコネクタハウジング12は、光ケーブル90が挿入される側(基端側)のコネクタハウジングである。第一のコネクタハウジング12は、最も基端側に形成される光ケーブル挿入孔121と、この光ケーブル挿入孔121と連通したファイバ挿通孔122a,122bと、先端側端面から突出した筒部123a,123bと、この筒部123a,123bの内側に形成され、ファイバ挿通孔122a,122bと連通したばね収容孔124a,124bと、外周面から突出した羽根状の部分に形成された係止部125とを有する。
【0024】
光ケーブル90は、先端から所定長さのシース材903およびテンションメンバ904が切断され、光ファイバ90a,90bが剥き出しになった状態で光ケーブル挿入孔121に挿入される。光ケーブル挿入孔121は、ファイバ挿通孔122aおよび122bと連通しており、光ファイバ90aは、ファイバ挿通孔122aに、光ファイバ90bは、ファイバ挿通孔122bにそれぞれ挿通される。このファイバ挿通孔122a,122bは、それぞれ筒部123a,123bの内側に形成されたばね収容孔124a,124bと連通しており、光ファイバ90a,90bは、それぞればね収容孔124a,124bを通って、第一のコネクタハウジング12の先端側端面から突出させられる。
【0025】
この状態で、光ファイバ90a,90bのそれぞれには、フェルール付勢ばね94a,94bが挿通される。そして、フェルール付勢ばね94a,94bは、ばね収容孔124a,124bに収められる。また、筒部123a,123bの外周面には、径方向外側に向かって突出した突起126a,126bが形成されている。
【0026】
この後、光ファイバ90a,90bの先端部分は、フェルール93a,93bに形成された図示されないファイバ装着孔に挿通され、接着剤等によりフェルール93a,93bに固定される。図1に示すように、このフェルール93a,93bは、基端側よりも先端側の方が細くなるような段部を有する形状に形成されている。光ファイバ90a,90bがフェルール93a,93bに固定された後、フェルール93a,93bの先端側端面(光電変換素子92a,92bとの突き合わせ面)には、光電変換時の接続損失を小さくするため、鏡面処理が施される。
【0027】
図1から図3に示すように、第二のコネクタハウジング14は、フェルール収容孔141a,141bと、このフェルール収容孔141a,141bと連通した窪み部142a,142bと、外周面から片持ち状に形成された係止片145と、先端側端面15から突出するように形成されたフード部146とを備える。
【0028】
フェルール収容孔141a,141bは、光ファイバ90a,90bの先端部分が固定されたフェルール93a,93bが収容される孔部である。このフェルール収容孔141a,141bは、フェルール93a,93bと同様に、基端側よりも先端側の方が細くなるような段部を有する形状に形成されている。つまり、フェルール93a,93bおよびフェルール収容孔141a,141bをこのような形状とすることで、フェルール収容孔141a,141bの基端側から挿入されたフェルール93a,93bは、フェルール収容孔141a,141bの先端側からの抜け落ちが防止されている。なお、フェルール93a,93bおよびフェルール収容孔141a,141bは、少なくともその一部の断面が例えば六角形状等の非円形状に形成されている。これにより、フェルール収容孔141a,141bに収容されたフェルール93a,93bの回転方向の動きが規制される。
【0029】
また、図1(b)に示すように、窪み部142a,142bの内周面には、係止孔143a,143bが形成されている。
【0030】
フェルール収容孔141a,141bに、光ファイバ90a,90bの先端部分が固定されたフェルール93a,93bが収容された状態で、第一のコネクタハウジング12と第二のコネクタハウジング14が係合される。具体的には、第一のコネクタハウジング12の筒部123a,123bが第二のコネクタハウジング14の窪み部142a,142bに挿入され、突起126a,126bが係止孔143a,143bに係止される。これと同時に、弾性変形可能に形成された係止片145は、その先端の係止突起145aが係止部125に引っ掛けられるようにして係止される。これにより、第一のコネクタハウジング12と第二のコネクタハウジング14は一体化され、オス型コネクタ10が構成される。
【0031】
また、第一のコネクタハウジング12と第二のコネクタハウジング14が一体化されると、フェルール付勢ばね94a,94bは、フェルール93a,93bの基端側端面と、ばね収容孔124a,124bの底面との間に挟まれて圧縮状態となる。これにより、光ファイバ90a,90b固定されたフェルール93a,93bは、オス型コネクタ10の内部でフェルール付勢ばね94a,94bによって先端側に付勢された状態となる。
【0032】
また、第二のコネクタハウジング14には、その先端側端面15を囲むようにして突出したフード部146が形成されている。オス型コネクタ10に収容されたフェルール93a,93bは、フェルール付勢ばね94a,94bによって先端側に付勢されることで、先端部分が第二のコネクタハウジング14の先端側端面15より突出する。フード部146は、オス型コネクタ10がメス型コネクタ20と嵌合されていない状態(非嵌合状態)において、この突出したフェルール93a,93bが損傷したり、汚れが付着したりしないよう、保護する(特に鏡面処理が施されたフェルールの先端側端面を保護する)役割を果たす。
【0033】
また、図3から分かるように、係止片145は、上記フード部146の外周面から(第二のコネクタハウジング14の最も先端側から)突出するように形成されている。このように、フェルール93a,93bを保護するために先端側端面15から突出形成されたフード部146を利用して係止片145を設けることで、第一のコネクタハウジング12との嵌合方向における第二のコネクタハウジング14の大きさ、すなわち、オス型コネクタ10の大きさを極力小さく抑えることができる。
【0034】
このように構成されるオス型コネクタ10と嵌合するメス型コネクタ20は、図1、図2、図4、および図5に示すように、ハウジング本体22、基板保護部材25、およびシールド部材26とから構成される。
【0035】
ハウジング本体22は、嵌合部23および素子装着部24とを備える。嵌合部23は、オス型コネクタ10が挿入された際、その周囲を取り囲むような形状に形成された凹部である。その内周面には、オス型コネクタ10の係止片145の係止突起145aが、係止部125に係止された状態で収納される収納凹部231が形成されている。オス型コネクタ10とメス型コネクタ20は、係止突起145aよりも先端側に形成された嵌合用突起145b(図3参照)が、収納凹部231の先端に形成された引掛部231aに引っ掛けられることで嵌合状態となる。
【0036】
嵌合部23より基端側に設けられる素子装着部24には、光電変換素子92aおよび92bが装着される。光電変換素子92aは、光ファイバ90aによって伝送された光信号を電気信号に変換する素子である。このような素子としてはフォトダイオード等が例示できる。また、光電変換素子92bは、その逆で、得られた電気信号を光信号に変換して光ファイバ90bに伝える素子である。このような素子としては発光ダイオード等が例示できる。また、この光電変換素子92a,92bの外周面には、凹部921a,921bが形成されている。
【0037】
図5に示すように、素子装着部24は、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20が嵌合する方向と略直交する方向に向かって開口した開口部241a,241bと、略U字形状に突出した凸部(規制部)242a,242bとを有する。開口部241a,241bは、それぞれ光電変換素子92a,92bの断面形状と略同一に形成されている。光電変換素子92a,92bは、それぞれ、開口部241a,241bから素子装着部24内に装着される。この際、光電変換素子92a,92bの凹部921a,921bには、素子装着部24に設けられた凸部242a,242bが係合する。これにより、素子装着部24に装着された光電変換素子92a,92bの動き、具体的には、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20の嵌合方向における光電変換素子92a,92bの動きが規制される。
【0038】
なお、本実施形態に係る光コネクタ1は、光電変換素子92a,92bにそれぞれ形成された一つの凹部921a,921bと、素子装着部24に形成された一つの凸部242a,242bとが係合されることで、光電変換素子92a,92bの動きが規制される構成であるが、光電変換素子92a,92bの位置ずれを確実に防止するため、二組以上の凹凸部が係合することにより光電変換素子92a,92bの位置規制がなされるように構成してもよい。また、図示したような凹部921a,921bおよび凸部242a,242bの形状はあくまで例示であり、適宜変更可能である。
【0039】
図1および図5に概略を示すように、光電変換素子92a,92bの装着後、ハウジング本体22の後端側端面には、電気信号を制御する制御基板96が装着される。具体的には、素子装着部24に装着された光電変換素子92a,92bが制御基板96に実装される(光電変換素子92a,92bの端子部922a,922bが、制御基板96に挿通されて半田付けされる)ことによって、制御基板96がハウジング本体22に取り付けられる。
【0040】
基板保護部材25は、切り欠き部251、および三つの固定孔252を有する。この基板保護部材25は、ハウジング本体22に装着された制御基板96を覆うように取り付けられる。具体的には、基板保護部材25は、ハウジング本体22に設けられた収納凹部231の突出した部分に切り欠き部251を係合させ、ハウジング本体22の外周面に形成された三つの爪部232を固定孔252に係止させることによって取り付けられる。
【0041】
シールド部材26は、外部からのノイズによる制御基板26への影響を低減するための部材であって、例えばアルミニウム等から構成される。シールド部材26は、その側面に設けられた弾性片261が、基板保護部材25に形成された突状部253を挟み込むようにして基板保護部材25の外周面に取り付けられる。シールド部材26の端面には、複数の突起262が形成されており、メス型コネクタ20は、この突起262によって図示されない基板等に取り付けられる。また、シールド部材26は、突起262を通じてアース接続される。
【0042】
このように構成されるオス型コネクタ10とメス型コネクタ20が嵌合すると、ばね収容孔124a,124bに収容されたフェルール付勢ばね94a,94bが圧縮される。これにより、フェルール93a,93bは、先端側に向けて付勢され、その先端が光電変換素子92a,92bと突き合わされた状態となる。
【0043】
そして、図2(b)に示すように、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20が嵌合状態にある時、オス型コネクタ10のフード部146は、メス型コネクタ20の素子装着部24の開口部241a,241bを遮蔽するように位置する。したがって、かかる構成とすれば、素子装着部24からの光電変換素子92a,92bの脱落や、素子装着部24へ異物が入り込む等の不具合が防止される。
【0044】
このように、オス型コネクタ10に形成されたフード部146は、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20とが非嵌合状態にあるとき(組み付け前)には、オス型コネクタ10の先端側端面15から突出したフェルール93a,93bの先端側端面(鏡面処理面)を保護する役割を果たす。一方、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20とが嵌合状態にあるとき(組み付け後)には、素子装着部24の開口部241a,241bを遮蔽し、素子装着部24からの光電変換素子92a,92bの脱落、素子装着部24への異物侵入等を防止する部材として働く。
【0045】
つまり、本実施形態に係る光コネクタ1では、上述のように、メス型コネクタ20に対する光電変換素子92a,92bの取付精度(特に、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20の嵌合方向における取付精度)を高めるため、素子装着部24の開口部241a,241bを、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20との嵌合方向に直交する方向に開口するように設けている。しかし、このような方向に開口した開口部241a,241bを設けることにより、光電変換素子92a,92bが素子装着部24から脱落してしまうおそれや、素子装着部24に異物が入り込むおそれが高くなる。このような問題に対し、本実施形態では、非嵌合状態においてフェルール93a,93bを保護しているフード部146を、嵌合状態において開口部241a,241bを遮蔽する部材として機能させることで、新たな部材等を設けることなく、素子装着部24からの光電変換素子92a,92bの脱落、素子装着部24への異物の侵入を防止している。
【0046】
なお、このフード部146の長さ(オス型コネクタ10とメス型コネクタ20の嵌合方向における長さ)は、特に限定されるものではない。具体的には、上記のようなフェルール93a,93bの十分な保護機能を備え、かつ光電変換素子92a,92bが脱落したり、素子装着部24へ異物が入り込んだりすることのないように開口部241a,241bを遮蔽するような長さを有しておれば、適宜増減可能である。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では、規制部242a,242bによって、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20の嵌合方向における光電変換素子92a,92bの動きが規制されることを説明したが、光電変換素子92a,92bの回転方向の動きが規制されるように構成してもよい。具体的には、光電変換素子92a,92bの断面を非円形状に形成し、素子装着部24をその非円形状に合わせた形状とする(例えば、両者をいわゆるDカット形状とする)ことで、素子装着部24における光電変換素子92a,92bの回転を規制するよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 光コネクタ
10 オス型コネクタ(第一のコネクタ)
146 フード部
20 メス型コネクタ(第二のコネクタ)
24 素子装着部
241a,241b 開口部
242a,242b 凸部(規制部)
90 光ケーブル
90a,90b 光ファイバ
92a,92b 光電変換素子
921a,921b 凹部
93a,93b フェルール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを有する光ケーブルが装着される第一のコネクタ、および該第一のコネクタと着脱自在に嵌合され、前記光ファイバに伝送される光信号と、電気信号との間の光電変換を行う光電変換素子が装着される第二のコネクタからなる光コネクタにおいて、前記第二のコネクタには、前記第一のコネクタと前記第二のコネクタが嵌合する方向と略直交する方向に向かって開口した開口部を有する素子装着部が形成されており、該素子装着部には、前記開口部から前記素子装着部に装着される前記光電変換素子の動きを規制する規制部が設けられていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
前記光電変換素子には少なくとも一つの凸部または凹部が形成されており、前記素子装着部には、前記光電変換素子の凸部または凹部に係合するように形成された前記規制部である凹部または凸部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記第一のコネクタ内には、前記光ファイバの端末部分が挿通されるフェルールが設けられ、該フェルールの先端側端面は、外側に突出しないようにフード部に囲繞されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記第一のコネクタと前記第二のコネクタとが嵌合した状態において、前記素子装着部の開口部は、部分的にまたは全面的に前記フード部に遮蔽されることを特徴とする請求項3に記載の光コネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−211030(P2010−211030A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58022(P2009−58022)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】