説明

光スイッチ

【課題】広帯域で受信できる機能を有し、工程の簡素化を実現する光スイッチを提供する。
【解決手段】光スイッチは、基板の一面に質子散布領域が堆積され、質子散布領域のエネルギーが1KeV〜1MeVの範囲にあり、散布量が1×1012〜1×1016(1/cm2)の範囲にあり、アニール雰囲気が少なくとも1ppm以上の酸素分子を有する不活性ガス雰囲気であり、アニール温度が350℃〜600℃の範囲にあり、また、質子散布領域の一面に、或いは、基板の底面及び質子散布領域の一面に、それぞれ、必要とする接触電極が設置され、質子散布領域の一面にある各接触電極の間に、欠け口が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光スイッチに関し、特に、工程が簡素化され、広帯域受信の機能を有する光スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般の従来の光スイッチは、例えば、Physical Review B、 Vol. 4、 No. 8、 pp.2621-2633 (1971)のように、エピタキシャル方式や酸素(O)や亜鉛(Zn)を添加して反応させることにより製造され、これにより、光源を受光してトリガーされる光スイッチの効果が実現される。
【0003】
上記従来の光スイッチは、高温条件下で製造されるため、製造が容易ではなく、また、当該光スイッチは、所定の広帯域を有するが、その帯域が広くないため、当該光スイッチは、使用する時、特定の波長の光源を受光することによりトリガーの機能が実現されるが、本当の広帯域ではない。そのため、上記の従来の光スイッチは実用的ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、工程が簡素化され、製造が簡単で、帯域が広い光スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、基板と、上記基板の一面に堆積され、エネルギーが1KeV〜1MeVの範囲にあり、散布量が1×1012〜1×1016(1/cm2)の範囲にあり、アニール雰囲気が少なくとも1ppm以上の酸素分子を有する不活性ガス雰囲気であり、アニール温度が350℃〜600℃の範囲にある質子散布領域と、それぞれ対応して、上記の質子散布領域の一面の両側に堆積され、それぞれ正極と負極に定義され、二つの間に欠け口が形成される接触電極と、が含有される、ことを特徴とする光スイッチである。
【0006】
請求項2の発明は、当該基板がGaP:Zn基板であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチである。
【0007】
請求項3の発明は、当該基板がGaP:Znエピタキシャル基板であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチである。
【0008】
請求項4の発明は、当該基板がAlxGal-xP:Znエピタキシャル基板であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチである。
【0009】
請求項5の発明は、当該xが0〜1の範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の光スイッチである。
【0010】
請求項6の発明は、当該接触電極がオーム接触電極であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチである。
【0011】
請求項7の発明は、当該接触電極がショットキー接触電極(Schottky metal
contact)であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチである。
【0012】
請求項8の発明は、第1の接触電極と、上記第1の接触電極の一面に堆積される基板と、上記基板の一面に堆積され、エネルギーが1KeV〜1MeVの範囲にあり、散布量が1×1012〜1×1016(1/cm2)の範囲にあり、アニール雰囲気が少なくとも1ppm以上の酸素分子を有する不活性ガス雰囲気であり、アニール温度が350℃〜600℃の範囲にある質子散布領域と、上記の質子散布領域の一面において、やや中央の位置に堆積される第2の接触電極と、が含有される、ことを特徴とする光スイッチである。
【0013】
請求項9の発明は、当該第1の接触電極がオーム接触電極であることを特徴とする請求項8に記載の光スイッチである。
【0014】
請求項10の発明は、当該基板がGaP:Zn基板であることを特徴とする請求項8に記載の光スイッチである。
【0015】
請求項11の発明は、当該基板がGaP:Znエピタキシャル基板であることを特徴とする請求項8に記載の光スイッチである。
【0016】
請求項12の発明は、当該基板がAlxGal-xP:Znエピタキシャル基板であることを特徴とする請求項8に記載の光スイッチである。
【0017】
請求項13の発明は、当該xが0〜1の範囲にあることを特徴とする請求項12に記載の光スイッチである。
【0018】
請求項14の発明は、当該第2の接触電極がオーム接触電極であることを特徴とする請求項8に記載の光スイッチである。
【0019】
請求項15の発明は、当該第2の接触電極がショットキー接触電極(Schottky metal
contact)であることを特徴とする請求項8に記載の光スイッチである。
【0020】
請求項16の発明は、接触電極と、上記接触電極の一面に堆積される基板と、上記基板の一面に堆積され、エネルギーが1KeV〜1MeVの範囲にあり、散布量が1×1012〜1×1016(1/cm2)の範囲にあり、アニール雰囲気が少なくとも1ppm以上の酸素分子を有する不活性ガス雰囲気であり、アニール温度が350℃〜600℃の範囲にある質子散布領域と、上記の質子散布領域の一側面に堆積される金属電極と、上記の質子散布領域のもう一側面に堆積され、上記の金属電極に対応し、当該絶縁層と金属電極との間に欠け口が形成される絶縁層と、が含有される、ことを特徴とする光スイッチである。
【0021】
請求項17の発明は、当該接触電極がオーム接触電極であることを特徴とする請求項16に記載の光スイッチである。
【0022】
請求項18の発明は、当該基板がGaP:Zn基板であることを特徴とする請求項16に記載の光スイッチである。
【0023】
請求項19の発明は、当該基板がGaP:Znエピタキシャル基板であることを特徴とする請求項16に記載の光スイッチである。
【0024】
請求項20の発明は、当該基板がAlxGal-xP:Znエピタキシャル基板であることを特徴とする請求項16に記載の光スイッチである。
【0025】
請求項21の発明は、当該xが0〜1の範囲にあることを特徴とする請求項16に記載の光スイッチである。
【0026】
請求項22の発明は、当該金属電極が光透過可能の材質であることを特徴とする請求項16に記載の光スイッチである。
【0027】
請求項23の発明は、当該絶縁層が酸化物(Oxide)であることを特徴とする請求項16に記載の光スイッチである。
【0028】
請求項24の発明は、当該絶縁層がけい素窒化物(silicon nitride)であることを特徴とする請求項16に記載の光スイッチである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明の第1の実施例の断面状態の概念図である。本発明は、図を参照しながら、光スイッチであり、当該光スイッチ1は、少なくとも、基板10と、質子散布領域11と、接触電極12、13とから構成され、また、広帯域で受信できる機能を持ち、そして、工程を簡素化できる効果が得られる。
【0030】
上記基板10は、GaP:Zn基板やGaP:Znエピタキシャル基板或いはAlxGal-xP:Znエピタキシャル基板であり、当該xが0〜1の範囲にある。
【0031】
当該質子散布領域11は、上記の基板10の一面に堆積され、エネルギーが1KeV〜1MeVの範囲にあり、散布量が1×1012〜1×1016(1/cm2)の範囲にあり、アニール雰囲気が少なくとも1ppm以上の酸素分子を有する不活性ガス雰囲気であり、アニール温度が350℃〜600℃の範囲にある。
【0032】
各接触電極12、13は、それぞれ対応して、上記の質子散布領域11の一面の両側に堆積され、それぞれ正極と負極に定義され、二つの接触電極12、13の間に欠け口14が形成され、また、当該接触電極12、13はオーム接触電極(AuBe/Ni/Au)やショットキー接触電極(Schottky metal contact)である。上記構造により、新規の光スイッチが構成される。
【0033】
図2と3及び4は、それぞれ、本発明の第1の実施例の使用状態の概念図と本発明の第1の実施例の異なる波長状態の概念図及び本発明の第1の実施例の異なるバイアス状態の概念図である。本発明は、図のように、使用する時、当該光スイッチ1を電子製品(図に表示せず)に設置し、そして、電子製品を二つの接触電極12、13に電気的に接続し、当該光スイッチ1が電子製品のスイッチとして使用され、使用する時、基板10の質子散布領域11の特性を利用して任意の光源2からの入射光を、二つの接触電極12、13の間にある欠け口14へ入射することにより、光スイッチ1が質子散布領域11の誘導によりトリガーされ、図3のように、入射した光源が第1の波長aや第2の波長b、第3の波長c及び第4の波長dである時、図から分かるように、異なる波長であれば、それぞれ電圧と電流が異なり、また、図4のように、バイアス値が、それぞれ、第1のバイアスV1や第2のバイアスV2及び第3のバイアスV3である場合、異なる波長において、異なる応答があり、これにより、当該光スイッチに広帯域で受信できる機能を有する。
【0034】
図5は、本発明の第2の実施例の断面状態の概念図である。図のように、本発明の光スイッチ3は、少なくとも、第1の接触電極30と、基板31と、質子散布領域32と、第2の接触電極33とから構成される。
【0035】
当該第1の接触電極30はオーム接触電極(AuBe/Ni/Au)である。
【0036】
当該基板31は上記の第1の接触電極30の一面に堆積され、GaP:Zn基板やGaP:Znエピタキシャル基板或いはAlxGal-xP:Znエピタキシャル基板であり、また、xは0〜1の範囲にある。
【0037】
当該質子散布領域32は上記の基板31の一面に堆積され、エネルギーが1KeV〜1MeVの範囲にあり、散布量が1×1012〜1×1016(1/cm2)の範囲にあり、アニール雰囲気が少なくとも1ppm以上の酸素分子を有する不活性ガス雰囲気であり、アニール温度が350℃〜600℃の範囲にある。
【0038】
当該第2の接触電極33は、上記の質子散布領域32の一面において、やや中央の位置に堆積され、オーム接触電極(AuBe/Ni/Au)やショットキー接触電極(Schottky metal contact)である。
【0039】
使用する時、基板31の質子散布領域32の特性を利用して、任意の光源2からの入射光を第2の接触電極33の両側に入射することにより、光スイッチ3が質子散布領域32の誘導によりトリガーされ、同じように、上記の第2の実施例の構造により、当該光スイッチ3が広帯域で受信できる機能を有し、また、工程の簡素化が実現される。
【0040】
図6は、本発明の第3の実施例の断面状態の概念図である。図のように、本発明の光スイッチ4は、少なくとも、接触電極40と、基板41と、質子散布領域42と、金属電極43と、絶縁層44とから構成される。
【0041】
当該接触電極40はオーム接触電極(AuBe/Ni/Au)である。
【0042】
当該基板41は上記の接触電極40の一面に堆積され、GaP:Zn基板やGaP:Znエピタキシャル基板或いはAlxGal-xP:Znエピタキシャル基板であり、当該xが0〜1の範囲にある。
【0043】
当該質子散布領域42は上記基板41の一面に堆積され、エネルギーが1KeV〜1MeVの範囲にあり、散布量が1×1012〜1×1016(1/cm2)の範囲にあり而アニール雰囲気が、少なくとも1ppm以上の酸素分子を有する不活性ガス雰囲気であり、アニール温度が350℃〜600℃の範囲にある。
【0044】
当該金属電極43は、上記の質子散布領域42の一側面に堆積され、光透過可能の材質である。
【0045】
当該絶縁層44は、上記の質子散布領域42のもう一側面に堆積され、酸化物(Oxide)であり、また、上記の金属電極43に対応し、当該絶縁層44と金属電極43との間に欠け口45が形成される。
【0046】
使用する時、基板41の質子散布領域42の特性に利用して任意の光源2からの入射光を、絶縁層44と金属電極43との間にある欠け口45へ入射することにより、光スイッチ4が、質子散布領域42の誘導によりトリガーされ、同じように、上記の第2の実施例の構造により、当該光スイッチ4が、広帯域で受信できる機能を有し、また、工程の簡素化が実現される。
【0047】
本発明に係わる光スイッチによれば、従来の各欠点が有効に改善され、広帯域で受信できる機能と工程の簡素化が実現されるため、より実用的なものであるから、法に従って特許請求を出願する。
【0048】
以上は、本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されず、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に従う等価の変更や修正は、全てが、本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施例の断面状態の概念図
【図2】本発明の第1の実施例の使用状態の概念図
【図3】本発明の第1の実施例の異なる波長の状態の概念図
【図4】本発明の第1の実施例の異なるバイアスの状態の概念図
【図5】本発明の第2の実施例の断面状態の概念図
【図6】本発明の第3の実施例の断面状態の概念図
【符号の説明】
【0050】
1 光スイッチ
10 基板
11 質子散布領域
12、13 接触電極
14 欠け口
2 光源
3 光スイッチ
30 第1の接触電極
31 基板
32 質子散布領域
33 第2の接触電極
4 光スイッチ
40 接触電極
41 基板
42 質子散布領域
43 金属電極
44 絶縁層
45 欠け口
a 第1の波長
b 第2の波長
c 第3の波長
d 第4の波長
V1 第1のバイアス
V2 第2のバイアス
V3 第3のバイアス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
上記基板の一面に堆積され、エネルギーが1KeV〜1MeVの範囲にあり、散布量が1×1012〜1×1016(1/cm2)の範囲にあり、アニール雰囲気が、少なくとも1ppm以上の酸素分子を有する不活性ガス雰囲気であり、アニール温度が350℃〜600℃の範囲にある質子散布領域と、
それぞれ対応して、上記質子散布領域の一面の両側に堆積され、それぞれ正極と負極に定義され、二つの間に欠け口が形成される接触電極と、
が含有される、
ことを特徴とする光スイッチ。
【請求項2】
当該基板はGaP:Zn基板であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項3】
当該基板はGaP:Znエピタキシャル基板であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項4】
当該基板はAlxGal-xP:Znエピタキシャル基板であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項5】
当該xは0〜1の範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の光スイッチ。
【請求項6】
当該接触電極はオーム接触電極であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項7】
当該接触電極はショットキー接触電極(Schottky metal
contact)であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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