説明

光センサとその製造方法

【課題】
シリコンを用いながら、従来のアモルファスシリコン型光センサーやシリコン結晶型光センサーに比べ、大幅にコストダウンできる光センサーとその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】
基板表面に電極を介してn型シリコン微粒子膜とp型シリコン微粒子膜と透明電極が積層形成されており、あらかじめ前記電極表面に選択的に形成された第1の有機被膜と前記n型シリコン微粒子膜表面に形成された第2の有機被膜、および前記n型シリコン微粒子膜表面に形成された第2の有機被膜とp型シリコン微粒子膜表面に形成された第3の有機被膜がそれぞれ互いに共有結合している光センサーとその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサーとその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、半導体性シリコン微粒子の表面に熱反応性または光反応性、あるいはラジカル反応性またはイオン反応性を付与した微粒子を用いて、選択的にシリコン微粒子膜が形成された、あるいはシリコン微粒子膜が積層された光センサー(光センサーアレイも含む。)とその製造方法に関するものである。
【0002】
本発明において、「シリコン微粒子」には、半導体性n型シリコン微粒子と半導体性p型シリコン微粒子が含まれる。
【背景技術】
【0003】
従来、シリコンを用いた光センサーでは、電極表面にプラズマCVD を用いて製膜したアモルファスシリコン型光センサーや、シリコン結晶のウエハーに不純物拡散して製造された結晶型光センサーが知られている。
【特許文献1】特開平7-142757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のアモルファスシリコン型光センサーでは、高価な真空装置を用いるため、製造コストが高くなるという欠点があった。また、シリコン結晶型光センサーでは、高純度なシリコン結晶やポリシリコン結晶を多量に用いるため、製造コストが高くなるという欠点があった。
【0005】
本発明は、シリコンを用いながら、従来のアモルファスシリコン型光センサーやシリコン結晶型光センサーに比べ、大幅にコストダウンできる光センサーとその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、基板表面に電極を介してn型半導体微粒子膜とp型半導体微粒子膜と透明電極が積層形成されており、あらかじめ前記電極表面に選択的に形成された第1の有機被膜と前紀n型半導体微粒子膜表面に形成された第2の有機被膜、およびn型半導体微粒子膜表面に形成された第2の有機被膜とp型半導体微粒子膜表面に形成された第3の有機被膜がそれぞれ互いに共有結合していることを特徴とする光センサーである。
【0007】
ここで、半導体がシリコンであり、電極表面に選択的に形成された第1の有機被膜とn型シリコン微粒子表面に形成された第2の有機被膜、およびn型シリコン微粒子表面に形成された第2の有機被膜とp型シリコン微粒子膜表面に形成された第3の有機被膜が互いに異なると粒子膜を積層する上で都合がよい。
【0008】
また、共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であると、膜間の結合力を高める上で都合がよい。
さらに、第1,第2,及び第3の有機被膜が単分子膜で構成されていると内部抵抗を小さくできて都合がよい。
【0009】
第2の発明は、電極表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と電極表面を反応させて電極表面に第1の反応性の有機被膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、n型半導体微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物とn型半導体微粒子表面を反応させて半導体微粒子表面に第2の反応性の有機被膜を形成する工程と、p型半導体微粒子を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物とp型半導体微粒子表面を反応させて半導体微粒子表面に第3の反応性の有機被膜を形成する工程と、第1の反応性の有機被膜の形成された電極表面に第2の反応性の有機被膜で被覆されたn型半導体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機被膜で被覆されたn型半導体微粒子を洗浄除去して単層のn型半導体微粒子膜を選択的に形成する工程と、第2の反応性の有機被膜の形成されたn型半導体微粒子膜表面に第3の反応性の有機被膜で被覆されたp型半導体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第3の反応性の有機被膜で被覆されたp型半導体微粒子を洗浄除去して単層のn型半導体微粒子膜を選択的に形成する工程と、裏面電極を形成する工程を含むことを特徴とする光センサーの製造方法である。
【0010】
ここで、半導体がシリコンであり、第1の反応性の有機被膜を形成する工程、第2の反応性の有機被膜を形成する工程、および第3の反応性の有機被膜を形成する工程において、それぞれアルコキシシラン化合物の反応後、有機溶剤で洗浄して電極、n型シリコン微粒子、及びp型シリコン微粒子の表面に共有結合した第1〜第3の反応性の単分子膜を形成すると、内部抵抗を小さくする上で都合がよい。
【0011】
また、第1、第3の反応性の有機被膜がエポキシ基を含み第2の反応性の有機被膜がイミノ基を含むか、第1、第3の反応性の有機被膜がイミノ基を含み第2の反応性の有機被膜がエポキシ基を含むと耐剥離性に高い光センサーを製造できて都合がよい。
さらに、第1、第3の反応性の単分子膜がエポキシ基を含み第2の反応性の単分子膜がイミノ基を含むか、第1、第3の反応性の単分子膜がイミノ基を含み第2の反応性の単分子膜がエポキシ基を含むと、内部抵抗が小さな光センサーを製造できて好都合である。
【0012】
第3の発明は、第1の発明に於いて、さらに、n型半導体微粒子膜とp型半導体微粒子膜がそれぞれ複数層有機被膜を介して積層製膜されていることを特徴とする半導体微粒子膜積層型光センサーである。
【0013】
ここで、n型およびp型シリコン微粒子表面に形成された有機被膜がそれぞれ2種類有り、第1種類目の有機被膜が形成されたシリコン微粒子と第2種類目の有機被膜が形成されたシリコン微粒子とが交互に積層されていると、光吸収効率の高い光センサーを製作する上で都合がよい。
また、第1種類目の有機被膜と第2種類目の有機被膜が反応して共有結合を形成していると、耐久性を向上する上で都合がよい。
さらに、共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であると耐剥離強度を向上できて都合がよい。
【0014】
第4の発明は、単層のn型半導体微粒子膜を形成する工程の後、第2の反応性の有機被膜の形成されたn型半導体微粒子膜表面に第4の反応性の有機被膜で被覆されたn型半導体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第4の反応性の有機被膜で被覆されたn型半導体微粒子を洗浄除去して2層目のn型半導体微粒子膜を形成する工程、及び単層のp型半導体微粒子膜を形成する工程の後、第3の反応性の有機被膜の形成されたp型半導体微粒子膜表面に第5の反応性の有機被膜で被覆されたp型半導体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第5の反応性の有機被膜で被覆されたp型半導体微粒子を洗浄除去して2層目のn型半導体微粒子膜を形成する工程を含むことを特徴とする半導体微粒子膜積層型光センサーの製造方法である。
【0015】
ここで、それぞれの層間で接触する有機被膜に、それぞれ互いに反応する官能基を組み合わせると結合させる上で都合がよい。
また、半導体がシリコンであり、n型及びp型シリコン微粒子膜として、任意の層数だけ累積したシリコン微粒子膜を形成する光吸収効率と感度との関係がベストな光センサーの製造方法を提供できて都合がよい。
【0016】
さらに、第1〜5の反応性の有機被膜を形成する工程の後に、それぞれ電極あるいはシリコン微粒子表面を有機溶剤で洗浄して電極やシリコン微粒子表面に共有結合した第1〜5の反応性の単分子膜を形成すると、センサーの内部抵抗を小さくできて都合がよい。
【0017】
さらにまた、それぞれ互いに反応する官能基の組み合わせがエポキシ基とイミノ基であると耐剥離強度を向上する上で都合がよい。
また、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると製造能率を向上できて都合がよい。
また、シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いると、さらに製造能率を向上できて都合がよい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したとおり、本発明によれば、半導体性シリコン微粒子を用い、シリコン微粒子本来の機能を損なうことなく、任意の基板表面にn型およびp型シリコン微粒子を1層ずつ製膜した粒子サイズレベルで均一厚みのシリコン微粒子膜光センサーや、n型シリコン微粒子の膜を複数層累積したn型シリコン微粒子積層膜およびp型シリコン微粒子の膜を複数層累積したp型シリコン微粒子積層膜を用いた粒子サイズレベルで均一厚みの高性能な積層型光センサー及びそれらの製造方法を低コストで提供できる格別の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、電極表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と電極表面を反応させて電極表面に第1の反応性の有機被膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、n型シリコン微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物とn型シリコン微粒子表面を反応させてシリコン微粒子表面に第2の反応性の有機被膜を形成する工程と、p型シリコン微粒子を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物とp型シリコン微粒子表面を反応させてシリコン微粒子表面に第3の反応性の有機被膜を形成する工程と、第1の反応性の有機被膜の形成された電極表面に第2の反応性の有機被膜で被覆されたn型シリコン微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機被膜で被覆されたn型シリコン微粒子を洗浄除去して単層のn型シリコン微粒子膜を選択的に形成する工程と、第2の反応性の有機被膜の形成されたn型シリコン微粒子膜表面に第3の反応性の有機被膜で被覆されたp型シリコン微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第3の反応性の有機被膜で被覆されたp型シリコン微粒子を洗浄除去して単層のn型シリコン微粒子膜を選択的に形成する工程と、裏面電極を形成する工程とにより、基板表面に電極を介してn型シリコン微粒子膜とp型シリコン微粒子膜と透明電極が積層形成されており、あらかじめ前記電極表面に選択的に形成された第1の有機被膜と前記n型シリコン微粒子膜表面に形成された第2の有機被膜、およびn型シリコン微粒子膜表面に形成された第2の有機被膜とp型シリコン微粒子膜表面に形成された第3の有機被膜がそれぞれ互いに共有結合している光センサーを製造提供する。
【0020】
また、単層のn型シリコン微粒子膜を形成する工程の後、第2の反応性の有機被膜の形成されたn型シリコン微粒子膜表面に第4の反応性の有機被膜で被覆されたn型シリコン微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第4の反応性の有機被膜で被覆されたn型シリコン微粒子を洗浄除去して2層目のn型シリコン微粒子膜を形成する工程、及び単層のp型シリコン微粒子膜を形成する工程の後、第3の反応性の有機被膜の形成されたp型シリコン微粒子膜表面に第5の反応性の有機被膜で被覆されたp型シリコン微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第5の反応性の有機被膜で被覆されたp型シリコン微粒子を洗浄除去して2層目のp型シリコン微粒子膜を形成する工程とにより、n型シリコン微粒子膜とp型シリコン微粒子膜がそれぞれ複数層有機被膜を介して製膜されているシリコン微粒子膜積層型光センサーを製造提供する。
【0021】
したがって、本発明では、半導体性シリコン微粒子を用い、シリコン微粒子本来の機能を損なうことなく、任意の基板表面にn型およびp型シリコン微粒子を1層づつ製膜した粒子サイズレベルで均一厚みのシリコン微粒子膜光センサーや、n型およびp型シリコン微粒子を1層のみ並べた膜を複数層累積したシリコン微粒子膜積層型光センサー及びそれらの製造方法を提供できる作用がある。
【0022】
以下、本願発明の詳細を、代表例としてn型及びp型シリコン微粒子を用いた場合を取り上げて説明するが、本願発明は、これらn型及びp型シリコン微粒子に限定されるものではない。本発明の方法で表面に単分子膜を形成できる半導体微粒子なら全てに適用可能である。
【実施例1】
【0023】
まず、電極1が形成されたガラス基板2を用意し、よく乾燥した。次に、化学吸着剤として機能部位に反応性の官能基、例えば、エポキシ基と他端にアルコキシシリル基を含む薬剤、例えば、下記式(化1)に示す薬剤を99重量%、シラノール縮合触媒として、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、または有機酸である酢酸を1重量%となるようそれぞれ秤量し、シリコーン溶媒、例えば、ヘキサメチルジシロキサン溶媒に1重量%程度の濃度(好ましい化学吸着剤の濃度は、0.5〜3%程度)になるように溶かして化学吸着液を調製した。
【0024】
【化1】

【0025】
次に、この吸着液に、ガラス基板2を漬浸して普通の空気中(相対湿度45%)で2時間程度反応させた。このとき、電極1表面には水酸基3が多数含まれているの(図1(a))で、前記化学吸着剤の−Si(OCH)基と前記水酸基がシラノール縮合触媒、または有機酸である酢酸の存在下で脱アルコール(この場合は、脱CHOH)反応し、下記式(化2)に示したような結合を形成し、ガラス基材1表面全面に亘り表面と化学結合したエポキシ基を含む化学吸着単分子膜4が約1ナノメートル程度の膜厚で形成される。
【0026】
【化2】

【0027】
なお、ここで、アミノ基を含む吸着剤を使用する場合には、スズ系の触媒では沈殿が生成するので、酢酸等の有機酸を用いた方がよかった。また、アミノ基はイミノ基を含んでいるが、アミノ基以外にイミノ基を含む物質には、ピロール誘導体や、イミダゾール誘導体等がある。さらに、ケチミン誘導体を用いれば、被膜形成後、加水分解により容易にアミノ基を導入できた。
その後、塩素系溶媒であるクロロホルムを用いて洗浄すると、表面に反応性の官能基、例えばエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で電極が被われたガラス基材がそれぞれ作製できた。(図1(b))
【0028】
なお、この被膜はナノメートルレベルの膜厚で極めて薄いため、ガラス基材の透明性を損なうことはなかった。
一方、洗浄せずに空気中に取り出すと、反応性はほぼ変わらないが、溶媒が蒸発しガラス基材表面に残った化学吸着剤が表面で空気中の水分と反応して、表面に前記化学吸着剤よりなる極薄の反応性のポリマー膜が形成されたガラス基材が得られた。
【0029】
次に、エキシマレーザーを用いて、前記基材表面の不要部を選択的に照射し、前記反応性の単分子膜をアブレーションで除去する(図1(c))か、あるいはエポキシ基を開環させて失活させた。(図1(d))すなわち、ガラス基板表面がエポキシ基を持ったパターン状の被膜6、6’で選択的に被われた基板7’を製作できた。
【0030】
他の方法として、前記被膜表面にカチオン系の重合開始剤、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア250をメチルエチルケトン(MEK)で希釈して塗布し、遠紫外線で選択的に露光しても、選択的にエポキシ基を開環重合させてパターン状に失活できた。
【実施例2】
【0031】
実施例1と同様に、まず、半導体微粒子である大きさが100nm程度のn型シリコン微粒子11(p型シリコン微粒子でも同様)を用意し、よく乾燥した。次に、化学吸着剤として機能部位に反応性の官能基、例えば、エポキシ基あるいはイミノ基と他端にアルコキシシリル基を含む薬剤、例えば、前記式(化1)あるいは下記式(化3)に示す薬剤を99重量%、シラノール縮合触媒として、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナートを1重量%となるようそれぞれ秤量し、シリコーン溶媒、例えば、ヘキサメチルジシロキサンとジメチルホルムアミド(50:50)混合溶媒に1重量%程度の濃度(好ましい化学吸着剤の濃度は、0.5〜3%程度)になるように溶かして化学吸着液を調製した。
【0032】
【化3】

【0033】
この吸着液に無水のシリコン微粒子11を混入撹拌して普通の空気中(相対湿度45%)で2時間程度反応させた。このとき、無水のシリコン微粒子表面には水酸基12が多数含まれているの(図2(a))で、前記化学吸着剤の−Si(OCH)基と前記水酸基がシラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール(この場合は、脱CHOH)反応し、前記式(化2)あるいは下記式(化4)に示したような結合を形成し、シリコン微粒子表面全面に亘り表面と化学結合したエポキシ基を含む化学吸着単分子膜13あるいはアミノ基を含む化学吸着膜14が約1ナノメートル程度の膜厚で形成された(図2(b)、2(c))。なお、ここで、アミノ基はイミノ基を含んでいる。また、アミノ基以外にイミノ基を含む物質には、ピロール誘導体やイミダゾール誘導体等がある。さらに、アルコキシシランを含むケチミン誘導体を用いれば、被膜形成後、加水分解により容易にアミノ基を導入できた。
【0034】
【化4】

【0035】
その後、塩素系溶媒であるクロロホルムを添加して撹拌洗浄すると、表面に反応性の官能基、例えばエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われたシリコン微粒子1、あるいはアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われたシリコン微粒子1をそれぞれ作製できた。
【0036】
なお、この被膜はナノメートルレベルの膜厚で極めて薄いため、粒子径を損なうことはなかった。
一方、洗浄せずに空気中に取り出すと、反応性はほぼ変わらないが、溶媒が蒸発し粒子表面に残った化学吸着剤が表面で空気中の水分と反応して、表面に前記化学吸着剤よりなる極薄の反応性ポリマー膜が形成されたシリコン微粒子が得られた。
【実施例3】
【0037】
次に、電極表面20が、前記エポキシ基を有する化学吸着単分子膜21で選択的に被われたガラス基板22表面に、アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われたn型シリコン微粒子23をアルコールに分散させて塗布し、100℃程度に加熱すると、ガラス基材表面のエポキシ基と接触しているシリコン微粒子表面のアミノ基が下記式(化5)に示したような反応で付加して絶縁性微粒子とガラス基板は二つの単分子膜を介して選択的に結合する。なお、このとき、超音波を当てながらアルコールを蒸発させると、被膜の膜厚均一性を向上できた。
【0038】
【化5】

そこで、再びアルコールで基材表面を洗浄し、余分で未反応のアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われたシリコン微粒子を洗浄除去すると、電極20表面のエポキシ基を有する化学吸着単分子膜に共有結合したアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われたn型シリコン微粒子23を選択的に1層のみ並べた状態で、且つ粒子サイズレベルで均一厚みのパターン状のn型シリコン微粒子膜24が形成できた。(図3(a))
【0039】
ここで、シリコン微粒子のパターン状の単層絶縁性微粒子膜の厚みは、100nm程度であった。
【実施例4】
【0040】
さらに、n型シリコン微粒子膜の膜厚を厚くしたい場合、実施例3に引き続き、共有結合したアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われたn型シリコン微粒子がパターン状に1層のみ並べた状態で、且つ粒子サイズレベルで均一厚みのパターン状の単層絶縁性微粒子膜24が形成されたガラス基板表面22に、エポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われたn型シリコン微粒子25をアルコールに分散させて塗布し、100℃程度に加熱すると、アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われたシリコン微粒子がパターン状に単層形成された部分のアミノ基と接触しているn型シリコン微粒子表面のエポキシ基に前記式(化5)に示したような反応で付加して、ガラス基板表面でアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われたn型シリコン微粒子とエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われたn型シリコン微粒子は、二つの単分子膜を介して選択的に結合固化した。
【0041】
そこで、再びアルコールで基板表面を洗浄し、余分で未反応のエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われたn型シリコン微粒子を洗浄除去すると、電極20に共有結合した2層目のn型シリコン微粒子が1層のみ並んだ状態で、且つ粒子サイズレベルで均一厚みの2層構造のパターン状のn型シリコン微粒子膜26が形成できた。(図3(b))
【0042】
以下同様に、アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われたp型シリコン微粒子27とエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われたp型シリコン微粒子28を交互に必要回数積層すると、多層構造のp型シリコン微粒子膜29を選択的に累積製造できた。
そこで最後に、最表面に透明電極30を形成すると、基板表面の任意の場所に形成された電極表面に選択的に光センサー31を形成できた。
【0043】
なお、本実施例では、基板表面の光センサーは一個しか示さなかったが、複数個並んだ場合、例えば、光センサーがライン状に並んだラインセンサーやマトリックスセンサーアレイも容易に製造できた。
また、本実施例では、n型およびp型シリコン微粒子膜がそれぞれ複数層形成された場合を示したが、層数は、任意に決定できる。必要がなければ、nおよびp型シリコン微粒子膜がそれぞれ単層でも、センサーとしての機能を果たした。
【0044】
なお、上記実施例1および2では、反応性基を含む化学吸着剤として式(化1)あるいは(化3)に示した物質を用いたが、上記のもの以外にも、下記(1)〜(16)に示した物質が利用できた。
【0045】
(1) (CHOCH)CH2O(CH2)Si(OCH)3
(2) (CHOCH)CH2O(CH2)11Si(OCH)3
(3) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(4) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(5) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(6) (CH2OCH)CH2O(CH2)Si(OC)3
(7) (CHOCH)CH2O(CH2)11Si(OC)3
(8) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(9) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(10) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(11) H2N (CH2)Si(OCH)3
(12) H2N (CH2)Si(OCH)3
(13) H2N (CH2)Si(OCH)3
(14) H2N (CH2)Si(OC)3
(15) H2N (CH2)Si(OC)3
(16) H2N (CH2)Si(OC)3
【0046】
ここで、(CHOCH)−基は、下記式(化6)で表される官能基を表し、(CHCHOCH(CH)CH−基は、下記式(化7)で表される官能基を表す。
【0047】
【化6】

【0048】
【化7】

【0049】
なお、実施例1および2において、シラノール縮合触媒には、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類が利用可能である。さらに具体的には、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチル錫ビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジプロピルチタネートを用いることが可能であった。
【0050】
また、膜形成溶液の溶媒としては、水を含まない有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒、あるいはそれら混合物を用いることが可能であった。なお、洗浄を行わず、溶媒を蒸発させて粒子濃度を上げようとする場合には、溶媒の沸点は50〜250℃程度がよい。さらに、吸着剤がアルコキシシラン系の場合で且つ溶媒を蒸発させて有機被膜を形成する場合には、前記溶媒に加え、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれら混合物が使用できた。
【0051】
具体的に使用可能なものは、クロロシラン系非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
【0052】
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)等がある。なお、これらは1種パターン状の単層独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を添加しても良い。
【0053】
一方、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いた場合、同じ濃度でも処理時間を半分〜2/3程度まで短縮できた。
【0054】
さらに、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(1:9〜9:1範囲で使用可能だが、通常1:1前後が好ましい。)して用いると、処理時間をさらに数倍早く(30分程度まで)でき、製膜時間を数分の一まで短縮できる。
【0055】
例えば、シラノール触媒であるジブチル錫オキサイドをケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を1時間程度にまで短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0056】
さらに、シラノール触媒を、ケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3と、シラノール触媒であるジブチル錫ビスアセチルアセトネートの混合物(混合比は1:1)に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を30分程度に短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0057】
したがって、以上の結果から、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物がシラノール縮合触媒より活性が高いことが明らかとなった。
【0058】
さらにまた、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物の内の1つとシラノール縮合触媒を混合して用いると、さらに活性が高くなることが確認された。
【0059】
なお、ここで、利用できるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等がある。
【0060】
また、利用できる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、あるいは酢酸、プロピオン酸、ラク酸、マロン酸等があり、ほぼ同様の効果があった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
上記実施例1〜4では、ガラス基板表面に、nおよびp型シリコン微粒子を用いて形成した光センサーを例として説明したが、本発明は、電子回路が形成された半導体基板やプリント基板などの電子デバイスに直接積層形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施例における電極の形成されたガラス基板表面の反応を分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前の表面の図、(b)は、エポキシ基を含む単分子膜が形成された後の図、(c)は、前記単分子膜がアブレーションにより加工される状態を示す概念図、(d)は、光照射によりエポキシ基が選択的に開環架橋される状態を示す概念図である。
【図2】本発明の第2の実施例におけるシリコン微粒子表面の反応を分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前のシリコン微粒子表面の図、(b)は、エポキシ基を含む単分子膜が形成された後の図、(c)は、アミノ基を含む単分子膜が形成された後の図を示す。
【図3】本発明の第3および第4の実施例における電極の形成されたガラス基材表面の反応を分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)はパターン状の単層シリコン微粒子膜が形成された基材表面の図、(b)は、パターン状の複数層のn型およびp型シリコン微粒子膜が積層形成され、さらに透明電極が形成された光センサーの断面概念図を示す。
【符号の説明】
【0063】
1 電極
2 ガラス基板
3 水酸基
4 エポキシ基を含む単分子膜
エポキシ基を含む単分子膜で被われたガラス基板
6、6’ エポキシ基を持ったパターン状の被膜
’ エポキシ基を持ったパターン状の被膜で選択的に被われた基板
11 シリコン微粒子
12 水酸基
13 エポキシ基を含む単分子膜
14 アミノ基を含む単分子膜
15 エポキシ基を含む単分子膜で被われたシリコン微粒子
16 アミノ基を含む単分子膜で被われたシリコン微粒子
20 電極
21 エポキシ基を有する化学吸着単分子膜
22 ガラス基板
23 アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われたn型シリコン微粒子
24 パターン状の単層n型シリコン微粒子膜
25 エポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われたn型シリコン微粒子
26 2層構造のパターン状のn型シリコン微粒子膜
27 アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われたp型シリコン微粒子
28 エポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われたp型シリコン微粒子
29 2層構造のパターン状のp型シリコン微粒子膜
30 透明電極
31 光センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面上の電極を介してn型半導体微粒子膜とp型半導体微粒子膜と透明電極が順次積層形成されており、あらかじめ前記電極表面に選択的に形成された第1の有機被膜と前記n型半導体微粒子膜表面に形成された第2の有機被膜、およびn型半導体微粒子膜表面に形成された第2の有機被膜とp型半導体微粒子膜表面に形成された第3の有機被膜がそれぞれ互いに共有結合していることを特徴とする光センサー。
【請求項2】
半導体がシリコンであり、電極表面に選択的に形成された第1の有機被膜とn型シリコン微粒子表面に形成された第2の有機被膜、およびn型シリコン微粒子表面に形成された第2の有機被膜とp型シリコン微粒子膜表面に形成された第3の有機被膜が互いに異なることを特徴とする請求項1記載の光センサー。
【請求項3】
共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であることを特徴とする請求項1記載の光センサー。
【請求項4】
第1,第2,及び第3の有機被膜が単分子膜で構成されていることを特徴とする請求項1および2記載の光センサー。
【請求項5】
電極表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と電極表面を反応させて電極表面に第1の反応性の有機被膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、n型半導体微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物とn型半導体微粒子表面を反応させて半導体微粒子表面に第2の反応性の有機被膜を形成する工程と、p型半導体微粒子を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物とp型半導体微粒子表面を反応させて半導体微粒子表面に第3の反応性の有機被膜を形成する工程と、所定のパターンに加工された第1の反応性の有機被膜の形成された電極表面に第2の反応性の有機被膜で被覆されたn型半導体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機被膜で被覆されたn型半導体微粒子を洗浄除去して単層のn型半導体微粒子膜を選択的に形成する工程と、第2の反応性の有機被膜の形成されたn型半導体微粒子膜表面に第3の反応性の有機被膜で被覆されたp型半導体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第3の反応性の有機被膜で被覆されたp型半導体微粒子を洗浄除去して単層のn型半導体微粒子膜を選択的に形成する工程と、裏面電極を形成する工程を含むことを特徴とする光センサーの製造方法。
【請求項6】
第1の反応性の有機被膜を形成する工程、第2の反応性の有機被膜を形成する工程、および第3の反応性の有機被膜を形成する工程において、それぞれアルコキシシラン化合物の反応後、有機溶剤で洗浄して電極、n型半導体微粒子、及びp型半導体微粒子の表面に共有結合した第1〜第3の反応性の単分子膜を形成することを特徴とする請求項5記載の光センサーの製造方法。
【請求項7】
第1、第3の反応性の有機被膜がエポキシ基を含み第2の反応性の有機被膜がイミノ基を含むか、第1、第3の反応性の有機被膜がイミノ基を含み第2の反応性の有機被膜がエポキシ基を含むことを特徴とする請求項5記載の光センサーの製造方法。
【請求項8】
第1、第3の反応性の単分子膜がエポキシ基を含み第2の反応性の単分子膜がイミノ基を含むか、第1、第3の反応性の単分子膜がイミノ基を含み第2の反応性の単分子膜がエポキシ基を含むことを特徴とする請求項6記載の光センサーの製造方法。
【請求項9】
半導体がシリコンであり、n型シリコン微粒子膜とp型シリコン微粒子膜がそれぞれ複数層有機被膜を介して製膜されていることを特徴とする請求項1記載のシリコン微粒子膜積層型光センサー。
【請求項10】
n型およびp型シリコン微粒子表面に形成された有機被膜がそれぞれ2種類有り、第1種類目の有機被膜が形成されたシリコン微粒子と第2種類目の有機被膜が形成されたシリコン微粒子とが交互に積層されていることを特徴とする請求項9記載のシリコン微粒子膜積層型光センサー。
【請求項11】
第1類目の有機被膜と第2類目の有機被膜が反応して共有結合を形成していることを特徴とする請求項10記載のシリコン微粒子膜積層型光センサー。
【請求項12】
共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であることを特徴とする請求項11記載のシリコン微粒子膜積層型光センサー。
膜の形成されたn型半導体微粒子膜表面に第4の反応性の有機被膜で被覆されたn型半導体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第4の反応性の有機被膜で被覆されたn型半導体微粒子を洗浄除去して2層目のn型半導体微粒子膜を形成する工程、及び単層のp型半導体微粒子膜を形成する工程の後、第3の反応性の有機被膜の形成されたp型半導体微粒子膜表面に第5の反応性の有機被膜で被覆されたp型半導体微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第5の反応性の有機被膜で被覆されたp型半導体微粒子を洗浄除去して2層目のp型半導体微粒子膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の半導体微粒子膜積層型光センサーの製造方法。
【請求項13】
それぞれの層間で接触する有機被膜に、それぞれ互いに反応する官能基を組み合わせることを特徴とする請求項13記載の半導体微粒子膜積層型光センサーの製造方法。
【請求項14】
半導体がシリコンであり、n型及びp型シリコン微粒子膜として、任意の層数だけ累積したシリコン微粒子膜を形成することを特徴とする請求項13記載のシリコン微粒子膜積層型光センサーの製造方法。
【請求項15】
第1〜5の反応性の有機被膜を形成する工程の後に、それぞれ電極あるいはシリコン微粒子表面を有機溶剤で洗浄して電極やシリコン微粒子表面に共有結合した第1〜5の反応性の単分子膜を形成することを特徴とする請求項13記載のシリコン微粒子膜積層型光センサーの製造方法。
【請求項16】
それぞれ互いに反応する官能基の組み合わせがエポキシ基とイミノ基であることを特徴とする請求項14記載のシリコン微粒子膜積層型光センサーの製造方法。
【請求項17】
シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いることを特徴とする請求項5および13に記載の光センサーの製造方法。
【請求項18】
シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いることを特徴とする請求項5および13に記載の光センサーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−173518(P2007−173518A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369134(P2005−369134)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【出願人】(000144991)株式会社四国総合研究所 (116)
【Fターム(参考)】