説明

光センサ装置及び画像表示装置。

【課題】 フレームの厚みを薄くしてもセンサユニットをスムーズに出し入れでき、かつ、前記画像表示パネルの駆動発熱による位置変動にも追従できる構成の光センサ装置とする。
【解決手段】 光センサ装置1は、本体フレーム2と、光センサ108が内蔵されたセンサユニット3と、センサユニット3をガイドするガイド部材16と、センサユニット3を測定位置まで移動させる駆動手段とを備え、センサユニット3の両脇には摺動部材31が配されており、ガイド部材16の前側に形成された斜面162に沿ってセンサユニット3が斜めに前進移動し、センサユニット3に配された遮光部材9が画像表示パネルの表示画面101aに当接する。そして、測定後は、センサユニット3が斜めに後退移動して本体フレーム2に格納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示パネルの輝度や色度等の測定に用いられる光センサが内蔵された光センサ装置と、この光センサ装置を備えた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示用の液晶モニターは、オフィスや家庭で使用されるのみならず、グラフィックデザインや医療等の様々な専門的業務の現場でも使用されている。とりわけ、グラフィックデザイン画像や医用診断画像の表示においては再現性の高い高精度の画像品位が要求されることから、ハイエンドクラスの液晶モニターが使用されており、近年、このような液晶モニターでは、液晶画面の輝度、色度、光量等の光学特性の測定を光センサで行い、得られた測定データに基づいてキャリブレーション(校正)を行うことで、表示画像の再現性を高める機種が市販されている。
【0003】
液晶モニターは、液晶表示パネル(Liquid Crystal Display Panel)と、その周囲を囲うベゼルと、バックライトや各種電子回路などから構成される。前記キャリブレーション(校正)を行う構成としては、例えば、光測定器本体と、モニター画面の輝度や色度等の測定に用いられる光センサを有するセンサユニットを備え、測定時に光測定器本体から被測定画面(モニター画面)の測定位置までセンサユニットを移動させ、測定後はセンサユニットを光測定器本体に格納する光測定器の光センサ装置(特許文献1)が文献公知となっている。特許文献1記載の光センサ装置は、光測定器本体204に、センサユニット103を回動可能に支持する一本のシャフトと、このシャフトを回動させる第1のフォロアと、このシャフトを前後動させる第2のフォロアと、これらフォロアを駆動する駆動伝達機構とを備え、液晶モニターに外付けされて、使用される(図31)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−022226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グラフィックデザイン画像や医用診断画像等を表示するモニターにおいては、再現性の高い高精度の画像品位の要求に応えるために、キャリブレーション(校正)の際に表示画面の輝度や色度等の光学特性を周囲の外光の影響を受け難い状態で光センサで正確に測定することが求められている。その一方で、モニターに対しては、表示される画像のサイズや見易さ等の機能性やデザイン性の要求も高く、ベゼルの横幅や厚み等のサイズが、光センサユニットの形状によって制約を受けないようにしたいという要望がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の光センサ装置では、センサユニットを光測定器本体内から回動させて出し入れする方式であるが故に、センサユニットのアームを回動させるのに必要なトルクを得るため、シャフトを回動させる第1のフォロアと、このシャフトを前後動させる第2のフォロアと、これらフォロアを駆動する駆動伝達機構とを用いた大掛かりな機構となってしまっており、これらフォロアと駆動伝達機構とが収納されるスペースを確保しなければならないという設計上の制約がある。また、画面測定の光センサ装置(光センサ装置)が大きくなると、液晶表示装置のデザイン性にも影響を及ぼす。
【0007】
そこで、光センサ装置を小型化するための方策として、光センサユニットを可動させずに固定しておく方法が考案された。つまり、図32から図35に示すように、ベゼル102の内側の液晶表示パネルの表示画面101aと向き合う面を一部窪ませ、そこに光センサユニット194をねじ198で固定するなどして取り付けて、光センサユニット194の遮光部材(クッション部材)199を液晶表示パネルの表示画面101aに当接させるようにし、光センサ108を液晶表示パネルの表示画面101aに近接配置する構造が提案され、実施されている。ここで、図32は従来の光センサユニット194が備わった画像表示装置(モニター)190の正面図であり、図33はそのA−A線断面図である。
【0008】
本来、液晶表示パネル101は薄くて変形し易いデリケートなものであるため、その表示画面101aを強く押すと画面ムラが生じて、輝度や色度等が変化する。その一方で、光センサ108から液晶表示パネルの表示画面101aまでの空間は、外来ノイズ(外光)が侵入しないようにしたい。しかし、液晶表示パネル101と光センサユニット194との位置関係(接し方)は、構成部材の部品寸法ばらつきに組立てばらつきが加わった初期の寸法ばらつきがある。そこで、光センサユニット194の、液晶表示パネルの表示画面101aと接しさせる側の面にクッション部材199を配する構造が採用されている(図33)。このクッション部材199は、光センサ108の周囲を覆いつつ、光センサ108が液晶表示パネルの表示画面101aからの光を受光できるようにその中心部がくり抜かれている。
【0009】
図34と図35は、上記従来の光センサユニット194の配置構成を示すB−B線断面図である。図34は標準温度のときの状態図であり、図35はモニター190を長時間動作させることで発熱したときの状態図である。発明者らの調査によれば、モニター190を長時間動作させると液晶表示パネル101が発熱して、図35に示すように、上から見るとアーチ状に変形し、その中央が前方(正面方向)に移動し、その左右が後方に移動して、液晶表示パネル101と光センサユニット194との接し方が温度によっても位置変動することが判明した。つまり、画面上端の左端付近(または右端付近)に光センサユニット194を配した場合には、前記温度変動によって液晶表示パネルの表示画面101aとクッション部材199との間に隙間が生じてしまい、外来ノイズ(外光)が侵入して液晶表示パネル101の輝度や色度等の光学特性を正確に測定することが難しくなる。このため、光センサユニット194の配置としては、液晶表示パネル101の発熱による前記隙間が生じ難い画面中央の上端側に配されることが好ましいと考えられていた(図34、図35)。しかし、画面上端の中央付近に光センサユニット194を配した場合には、前記温度変動によって液晶表示パネル101がクッション部材199を押すこととなるため、その押圧力を緩和すべく、クッション部材199の厚みを大きくしなければならない。それに加えて、画面上端であっても中央付近に光センサユニット194を配することで、操作者の視界に入り易くなってしまい、デザインの自由度も制限されてしまう。さらには、このような配置構成においても、前記光センサユニット194の取り付け構造では、光センサユニット194の遮光性能を維持することに難がある。
【0010】
つまり、上述のように、ベゼル102の裏面(ベゼル102の内側)に取り付けられた光センサユニット194と液晶表示パネルの表示画面101aとの位置関係(接し方)は、構成部材の部品寸法ばらつきに組立てばらつきが加わった初期の寸法ばらつきに加えて、液晶表示パネル101が発熱することによって液晶表示パネルの表示画面101aとクッション部材199との間に隙間が生じてしまったり間隔が縮まったりする前記温度による位置変動を考慮しなければならないが、クッション部材199のクッション性によってこれらの位置変動を許容しようとすると、クッション部材199の厚みを大きめに設定せざるを得ない。
【0011】
しかし、昨今の画像表示装置の薄型化に伴い、ベゼル102の厚みが薄くなってきており、ベゼル102の内側から液晶表示パネル101までの間隔が非常に狭くなってしまい、ベゼル102の内側に押し込まれたクッション部材199は、潰れてしまうか歪んでしまい易く、クッション部材199が潰れてしまうか歪んでしまうことで、液晶表示パネルの表示画面101aを強く押して画面ムラを引き起こすことや、さらに、温度変動によって液晶表示パネル101と光センサユニット194との間に隙間が生じ、外来ノイズ(外光)が侵入することで、液晶表示パネル101の輝度や色度等の光学特性を正確に測定することが難しくなっている。このため、液晶表示パネルの表示画面101aへの押圧力を抑えつつ、それと同時に、クッション部材199と液晶表示パネルの表示画面101aとで隙間が生じないようにすることは容易ではなく、個別に光センサユニット194の位置合わせを行なうなどの煩雑な調整作業が必要となる。そして、初期状態で前記隙間が生じないようにしたとしても、液晶表示パネル101の駆動発熱と停止冷却とによる位置変動が繰り返されることによって、クッション部材199が縮んだ状態から復元し難くなって前記隙間が出来てしまい、クッション部材199が縮んで広がり過ぎて外部からも目に付くようになって見映えが悪くなるなどの弊害も生じてしまう。
【0012】
つまり、特許文献1記載の光センサ装置では、シャフトを回動させて前後動させる構造であり、光センサ装置の小型化が難しい。また、光センサユニットを可動させずに固定しておく構成の場合には、画像表示パネルの駆動発熱による位置変動の影響を受け易く、光センサユニットが画像表示パネルの一部に露出したままである。
【0013】
そこで、本発明の目的は、フレームの厚みを薄くしてもセンサユニットをスムーズに出し入れでき、かつ、表示画面の輝度や色度等の光学特性を周囲の外光の影響を受け難い状態で前記センサユニットに内蔵された光センサで正確に測定する新規な光センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の光センサ装置は、画像表示パネル周囲の額縁領域に配される本体フレームと、前記画像表示パネルの輝度や色度等の測定に用いられる光センサと、前記光センサが内蔵されたセンサユニットと、前記センサユニットをガイドするガイド部材と、前記センサユニットを測定位置まで移動させる駆動手段とを備え、前記センサユニットが、前記駆動手段によって押し出されて前記ガイド部材にガイドされながら前記画像表示パネルの表示画面に近接し、測定後、前記駆動手段によって引き戻されて前記フレームに格納されることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、前記センサユニットが、前記駆動手段によって押し出されて前記ガイド部材にガイドされながら前記画像表示パネルの表示画面に近接し、測定後、前記駆動手段によって引き戻されて前記フレームに格納される構成であるから、シャフトを回動させて前後動させる構造と比較して、前記センサユニットを前記ガイド部材にガイドさせながら前後動させるだけで済むことからストローク変位のロスが小さく前記センサユニットがスムーズに出し入れされる構成となる。
【0016】
前記画像表示パネルとしては、液晶表示ディスプレイパネル、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル等が挙げられる。
【0017】
本発明は、前記センサユニットの前側で、前記光センサが前記表示画面と向き合う側には、前記光センサを囲みつつ前記表示画面からの光が前記光センサに受光するように遮光部材が配されており、前記ガイド部材にガイドされて前記遮光部材が前記画像表示パネルの表示画面に当接し、測定後、前記駆動手段によって引き戻されながら前記遮光部材が前記表示画面から離れていくことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、前記ガイド部材にガイドされて前記遮光部材が前記画像表示パネルの表示画面に当接することで、周囲の外光の影響を受け難い状態で光センサで正確に測定することが容易となり、測定後、前記駆動手段によって引き戻されながら前記遮光部材が前記表示画面から離れていくことで、前記画像表示パネルに余計な外力を加えることがない。
【0019】
本発明は、前記ガイド部材の前側には、前記画像表示パネルの表示画面に向かう斜面が形成されており、前記斜面に沿って前記センサユニットが前方向に移動しながら前記表示画面に近接することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、前記ガイド部材の前側に形成された前記斜面に沿って前記センサユニットが前方向に移動しながら前記表示画面に近接する構成であるから、前記センサユニットが正確な位置で高い再現性で前後動することとなる。ここで、前方向とは前記画像表示パネルの表示画面に向かう方向であり、前記センサユニットが斜めに突き出される構成や前記センサユニットが平行に突き出される構成が挙げられる。
【0021】
本発明は、前記センサユニットの両脇には、前記ガイド部材に沿って摺動する摺動部材が配されているとともに、前記ガイド部材と向かい合って前記摺動部材を前記ガイド部材側に押す弾性体が配されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、前記センサユニットの両脇に、前記ガイド部材に沿って摺動する摺動部材が配されていることで、左右のバランスよく前記センサユニットを摺動させることが容易となり、かつ、前記ガイド部材と向かい合って前記摺動部材を前記ガイド部材側に押す弾性体が配されていることで、前記センサユニットが摺動する軌道から外れる虞がない。前記摺動部材としては、摺動板、摺動ピン、摺動ローラ等が挙げられる。
【0023】
ここで、前記弾性体とは、その復元力を利用し、ばねとして用いる弾性物質を指しており、金属、セラミックス、プラスチック、エラストマー、ゴム、流体等からなる。前記ばねとしては、板ばね、コイルばね、ねじりばね、渦巻きばね、皿ばね、線ばね、ゴムばね、流体ばね、樹脂ばね等が挙げられる。
【0024】
本発明は、前記弾性体が板ばねであるとともに、前記センサユニットが斜めに前進移動しながら前記表示画面に近接する際に、前記板ばねの先端が前記摺動部材の後側を押さえることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、前記弾性体が板ばねであることで、その厚みを薄くしながら安定した押圧力を得ることが容易である。そして、前記センサユニットが斜めに前進移動しながら前記表示画面に近接する際に、前記板ばねの先端が前記摺動部材の後側を押さえることで、前記板ばねの作用によって、前記表示画面への押圧力が所定範囲内となり、かつ、前記画像表示パネルの駆動発熱による位置変動にも追従できる構成となる。
【0026】
前記駆動手段としては、電気エネルギーを機械的な動力に変換して負荷を駆動するアクチュエータが挙げられる。より具体的には、モータやソレノイドや、圧電素子や電歪素子を利用したものや、形状記憶合金を利用したものが挙げられる。
【0027】
本発明は、前記センサユニットと前記ガイド部材がX方向に配されており、Y方向に伸縮する伸縮ばねと、Y方向に伸縮するアクチュエータを備え、通電によって前記アクチュエータを前記伸縮ばねの復元力に抗して縮ませるか、又は、通電によって前記アクチュエータが縮むことで前記伸縮ばねを作用させることによって、前記センサユニットをフレーム内から測定位置までX方向に移動させる構成とすることができる。
本発明によれば、前記アクチュエータがY方向に縮む力を利用して前記センサユニットがX方向に直進移動することとなり、ストローク変位のロスが小さくセンサユニットがスムーズに出し入れされる構成となる。 本明細書では、X方向とY方向との関係は、フレームを正面側から見てX方向を左右方向としたとき、Y方向が上下方向となる関係であり、また、フレームを正面側から見てX方向を上下方向としたとき、Y方向が左右方向となる関係である。ここでX方向とは、例えばY方向が水平方向で角度が0度とした場合に、X方向の角度が45度から135度の範囲内となるか、又はX方向の角度が−45度から−135度の範囲内となる方向をX方向と定義している。また、例えばY方向が垂直方向で角度が90度とした場合に、X方向の角度が−45度から45度の範囲内となるか、又はX方向の角度が−135度から−225度の範囲内となる方向をX方向と定義している。
【0028】
前記伸縮ばねとしては、引っ張りばね、押圧ばね等が挙げられ、コイル状、渦巻状、紐状等がある。前記伸縮ばねとしては、コイル状の引っ張りばねが好ましい。コイル状の引っ張りばねとすることで復元力のストロークを長く設定できるので、前記センサユニットが移動するストロークを長くすることが容易である。
【0029】
前記アクチュエータは、通電によって前記ばね部材の復元力に抗して縮むアクチュエータであり、形状記憶合金製アクチュエータ、電歪アクチュエータ等が挙げられ、ワイヤ状、板状、コイル状、渦巻状、円柱状、角柱状等がある。板状やワイヤ状のアクチェータは、厚みが薄くて狭い場所でも配置の自由度が高い。前記通電は、通電対象となる前記アクチュエータの特性に応じて、直流電流を通電するか、交流電流を通電するかを適宜設定する。
本発明に係る駆動手段として、前記アクチュエータを用いる場合は、通電による発熱で縮む形状記憶合金製ワイヤであることが好ましい。形状記憶合金製ワイヤであれば、通電による変位量を大きくすることが容易である。
【0030】
前記形状記憶合金製ワイヤの材質としては、チタン−ニッケル合金や、鉄-マンガン-ケイ素合金等が挙げられる。前記形状記憶合金製ワイヤの形状としては、単線ワイヤ、撚り線ワイヤ、コイル又はスプリング状に加工したワイヤ等が挙げられる。前記形状記憶合金製ワイヤの線径が太くなるほど大きな縮み力を出せるが、通電電流も大きく、冷却時の反応が鈍くなる。これとは反対に前記形状記憶合金製ワイヤの線径が細くなるほど縮み力が小さくなるが、通電電流が少なくて済み、応答速度も速くなる。前記形状記憶合金製ワイヤの線径は、例えば、0.05mmから0.5mmの範囲で設定される。動作中の画像表示装置のモニター画面付近は、その温度が室温から50℃付近まで上昇することがある。したがって、前記形状記憶合金製ワイヤが、温度による誤動作をしないようにするためには、通電により発生させるジュール熱が前記モニター画面付近の温度よりも十分高い温度となる仕様の形状記憶合金製ワイヤを選定しなければならない。より具体的には、通電による作動温度が60℃以上の形状記憶合金製ワイヤを選定する必要があり、約70℃の温度で収縮し約60℃の温度で伸張する形状記憶合金製ワイヤが実用的である。そして、その動作原理に基づけば、前記形状記憶合金製ワイヤが伸張収縮する作動温度を、より高い温度とすることで、より高い再現性で安定した動作をさせることができることとなる。
【0031】
本発明に係る駆動手段としては、前記形状記憶合金製ワイヤを用いることに限られず、モータやソレノイド等を用いても良い。例えば、ワイヤとプーリとモータ(又はソレノイド)を組み合わせることで、ワイヤをプーリで巻き付けてワイヤを見掛け上縮ませたり、ワイヤをプーリから引き出してワイヤを見掛け上伸ばしたりすれば、前記形状記憶合金製ワイヤと同様の動きをさせることができる。
【0032】
本発明は、前記フレームにその根元側が連結されて撓屈可能なバランス部材を備え、前記アクチュエータが前記バランス部材にその一端が固定されている構成とされ、前記センサユニットを前記測定位置から前記フレーム内へX方向に押し戻す外力が加わった場合に、前記バランス部材が撓屈し前記外力を緩和する構成とすることができる。
本発明によれば、前記測定位置にある前記センサユニットを前記フレーム内へ押し戻す外力が加わった場合に、前記バランス部材が撓って前記外力を緩和する構成であるから、前記アクチュエータに直接的な負荷(外力)が加わり難く、作動信頼性の高い光センサ装置となる。
【0033】
本発明としては、例えば前記バランス部材として一対の弓状部材が前記フレームにその根元側が連結されてY方向に配されるとともに、前記形状記憶合金製ワイヤの一端がそれぞれ弓状部材の端部に固定されている構成とすることができる。この構成の場合は、前記センサによる測定の際には前記形状記憶合金製ワイヤを通電して前記センサユニットを測定位置まで直進移動させ、前記センサによる測定の間も通電し続け、測定後には前記形状記憶合金製ワイヤへの通電を停止することによって、センサユニットを元の位置に戻すこととなる。この構成の場合は、前記形状記憶合金製ワイヤの一端がそれぞれ弓状部材の端部に固定されており、これらの弓状部材が撓ることで前記外力を緩和する構成であるから、リンク機構やクランク機構を有しておらず、最小限の部品点数で光センサ装置を構成することが可能となる。本発明によれば、測定後には前記形状記憶合金製ワイヤを通電停止するだけで前記ばね部材の復元力が発揮され前記センサユニットを元の位置に戻すこととなる。
【0034】
本発明は、前記フレームにその軸部が連結されて回動可能なバランス部材を備え、前記アクチュエータが前記バランス部材にその一端が固定されている構成とされ、前記センサユニットを前記測定位置から前記フレーム内へX方向に押し戻す外力が加わった場合に、前記バランス部材が回動し前記外力を緩和する構成とすることができる。 本発明によれば、前記測定位置にある前記センサユニットを前記フレーム内へ押し戻す外力が加わった場合に、前記バランス部材が回動し前記外力を緩和する構成であるから、前記アクチュエータに直接的な負荷(外力)が加わり難く、作動信頼性の高い光センサ装置となる。
【0035】
本発明としては、例えば前記バランス部材として回動部材が前記フレームにその軸部が連結されて配されるとともに、前記アクチュエータ(形状記憶合金製ワイヤ)の一端が前記回動部材の端部に固定されており、引っ張ることで回動させる構成とすることができる。この構成の場合は、前記センサによる測定の際には、通電によって前記回動部材を回動させ、これにより前記センサユニットを測定位置まで移動させることになり、前記センサによる測定の間は通電を停止することとなる。
【0036】
本発明は、前記センサユニットにその先端部が係止され、その根元側を回転軸として回動可能な可動アームを備え、この可動アーム本体にはY方向にスライド可能なスライダが配されており、前記バランス部材(回動部材)が前記フレームにその軸部が連結されており、前記伸縮ばねは前記スライダを引き戻すために前記可動アーム本体の根元側にその一端が係止され前記スライダにその他端が係止されており、前記アクチュエータは前記バランス部材を正方向に回動開始させるために前記バランス部材にその一端が固定されており、前記フレームにその他端が連結されており、前記可動アームと前記バランス部材が互いに連係動作する構成とされ、通電によって前記伸縮ばねの復元力に抗して前記アクチュエータを縮ませて前記バランス部材を正方向に回動開始させ、引き続き前記伸縮ばねの復元力にて前記スライダを引き戻すことで前記バランス部材をさらに正方向に回動させて前記バランス部材と前記可動アームとの連係動作で前記センサユニットをフレーム内から測定位置までX方向に移動させる構成とすることができる。
この仕組みは、前記アクチュエータ(形状記憶合金製ワイヤ)がセンサユニットを直接駆動しない方式であり、アクチュエータがある程度縮むまでは、上述のように、センサユニットが移動を開始しないため、画像表示パネルからの放熱の影響を受け難く、熱によって引き起こされるセンサユニットの誤作動の虞が極めて低い構成となる。 例えば前記スライダに形成されたスライドピンが前記バランス部材の側壁に載置される構成や、前記バランス部材に形成された段差による側壁に載置される構成、あるいは、前記バランス部材に形成された長溝に挿入される構成とすれば、前記バランス部材と前記可動アームとが互いに連係動作することとなる。
【0037】
本発明は、前記アクチュエータを第1のアクチュエータとし、前記バランス部材(回動部材)にその一端が固定されて、通電によって縮むことで前記バランス部材を逆方向に回動開始させる第2のアクチュエータがY方向に配されており、前記第2のアクチュエータに通電せずに前記第1のアクチュエータへの通電によって前記センサユニットを前記フレーム内から測定位置までX方向に直進移動させ、前記センサによる測定後、前記第1のアクチュエータに通電せずに前記第2のアクチュエータへの通電によって前記センサユニットを前記測定位置から元の位置まで復帰させる構成とすることができる。 本構成によれば、第1のアクチュエータに通電することでセンサユニットを測定位置までスライド移動させることができ、これとは逆に、第2のアクチュエータに通電することでセンサユニットを元の位置までスライドさせて戻すことができる構成となる。 また、これらの前記アクチュエータは、前記センサユニットを移動させるときのみ通電状態となり、それ以外のとき、すなわち、前記センサユニットを測定位置で保持する間や前記センサユニットがフレーム内に格納されている間は、これらの前記アクチュエータは無通電状態であるから、省エネルギーで作動信頼性の高い光センサ装置となる。
【0038】
上記本発明の構成として、より詳細な説明をするならば、例えば前記センサユニットに可動アームを取り付けておき、前記バランス部材(回動部材)として横長溝が形成された回動板を設け、前記可動アームには前記横長溝に入るリンクピンが形成されたスライダが備わっている構成で、これらを組み合わせたリンク構造とすることによって、互いの動作の伝わり方が少しずれて連動するように連結されている構成とすることができる。つまり、前記可動アームが動作すると回動部材が遅れて動作し、前記回動部材が動作すると可動アームが遅れて動作する関係で互いに連結されており、前記一組の形状記憶合金製ワイヤと可動アームと回動部材とセンサユニットとの組み合わせによって、例えば、第1の形状記憶合金製ワイヤが縮むことでセンサユニットが左方向に前進し、第2の形状記憶合金製ワイヤが縮むことでセンサユニットが右方向に後退する仕組みとなる。前記バランス部材(回動部材)の形状としては円板、三角板、四角板等の種々の形状が適用できる。なお、ここで、左方向と右方向(左右方向)は相対的な方向を示しているものであり、画像表示パネル周囲の額縁領域における本体フレームとセンサユニットの位置関係としては、上下方向、左右方向、斜め上斜め下方向のいずれでも良い。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、前記センサユニットが、前記駆動手段によって押し出されて前記ガイド部材にガイドされながら前記画像表示パネルの表示画面に近接し、測定後、前記駆動手段によって引き戻されて前記フレームに格納される構成であり、前記センサユニットを前記ガイド部材にガイドさせながら前後動させるだけで済むからストローク変位のロスが小さく前記センサユニットがスムーズに出し入れされる構成となる。
本発明によれば、前記ガイド部材にガイドされて前記遮光部材が前記画像表示パネルの表示画面に当接することで、周囲の外光の影響を受け難い状態で光センサで正確に測定することが容易となり、測定後、前記駆動手段によって引き戻されながら前記遮光部材が前記表示画面から離れていくことで、前記画像表示パネルに余計な外力を加えることがない。
本発明によれば、前記ガイド部材の前側に形成された前記斜面に沿って前記センサユニットが斜めに前進移動しながら前記表示画面に近接する構成であるから、前記センサユニットが正確な位置で高い再現性で前後動をすることとなる。
【0040】
本発明によれば、前記センサユニットの両脇に、前記ガイド部材に沿って摺動する摺動部材が配されていることで、左右のバランスよく前記センサユニットを摺動させることが容易となり、かつ、前記ガイド部材と向かい合って前記摺動部材を前記ガイド部材側に押す弾性体が配されていることで、前記センサユニットが摺動する軌道から外れる虞がない。 本発明によれば、前記弾性体が板ばねであることで、その厚みを薄くしながら安定した押圧力を得ることが容易である。そして、前記センサユニットが斜めに前進移動しながら前記表示画面に近接する際に、前記板ばねの先端が前記摺動部材の後側を押さえることで、前記板ばねの作用によって、前記表示画面への押圧力が所定範囲内となり、かつ、前記画像表示パネルの駆動発熱による位置変動にも追従できる。 これら本発明によれば、フレームの厚みを薄くしてもセンサユニットをスムーズに出し入れでき、かつ、表示画面の輝度や色度等の光学特性を周囲の外光の影響を受け難い状態で光センサで正確に測定する新規な光センサ装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明を適用した実施の形態の光センサ装置を備えている画像表示装置を例示する斜視図であり、(a)はセンサユニットが画面上に突出した状態の図であり、(b)はセンサユニットが格納された状態の図である。
【図2】本発明を適用した第1の実施形態の光センサ装置を例示する構造図において、センサユニットが格納された状態の図であり、(a)は内部側から見た背面図であり、(b)は側面図であり、(c)は外部側から見た正面図である。
【図3】本発明を適用した第1の実施形態の光センサ装置を例示する構造図において、センサユニットが画面上に突出した状態の図であり、(a)は内部側から見た背面図であり、(b)は側面図であり、(c)は外部側から見た正面図である。
【図4】上記第1の実施形態に係るセンサユニットを示す斜視図である。
【図5】上記第1の実施形態に係る本体フレームのセンサユニット取付部を示す斜視図である。
【図6】上記第1の実施形態に係るセンサユニットが突出したときの本体フレームとの関係を示す斜視図である。
【図7】上記第1の実施形態に係るセンサユニットと画像表示パネルの表示画面との関係を模式的に示す断面図であり、(a)は画像表示パネルがないと仮定した場合のセンサユニットが突出したときの状態図であり、(b)は画像表示パネルがある場合のセンサユニットが突出したときの状態図であり、(c)は画像表示パネルがある場合のセンサユニットが格納されたときの状態図である。
【図8】上記第1の実施形態に係る第1及び第2の形状記憶合金製ワイヤを通電せず、センサユニットが格納された状態を示す図である。
【図9】上記第1の実施形態に係る形状記憶合金製ワイヤのうち第1の形状記憶合金製ワイヤを通電途中の状態を示す図である。
【図10】上記第1の実施形態に係る形状記憶合金製ワイヤのうち第1の形状記憶合金製ワイヤを通電終了直前の状態を示す図である。
【図11】上記第1の実施形態に係る形状記憶合金製ワイヤのうち第1の形状記憶合金製ワイヤを通電終了しセンサユニットが画面上の測定位置に移動した状態を示す図である。
【図12】上記第1の実施形態に係る形状記憶合金製ワイヤのうち第2の形状記憶合金製ワイヤを通電途中の状態を示す図である。
【図13】上記第1の実施形態に係る形状記憶合金製ワイヤのうち第2の形状記憶合金製ワイヤを通電終了手前の状態を示す図である。
【図14】上記第1の実施形態に係る形状記憶合金製ワイヤのうち第1の形状記憶合金製ワイヤを通電終了した状態で、子供などがセンサユニットを押し戻したときの動作を示す図である。
【図15】上記第1の実施形態の光センサ装置の他の例におけるセンサユニットを示す斜視図である。
【図16】上記第1の実施形態の光センサ装置の他の例における本体フレームのセンサユニット取付部を示す斜視図である。
【図17】上記第1の実施形態の光センサ装置の他の例におけるセンサユニットと本体フレームとの関係を示す断面図であり、(a)はセンサユニットを格納させた状態を示す図であり、(b)はセンサユニットを突出させた状態を示す図である。
【図18】上記第1の実施形態の光センサ装置の他の例を示す構造図であり、内部側から見た背面図である。
【図19】本発明を適用した第1の実施形態の光センサ装置に配される可動アームを例示する構造図であり、(a)は内部側から見た背面図であり、(b)は側面図であり、(c)は外部側から見た正面図である。
【図20】本発明を適用した第1の実施形態の光センサ装置に配される回動部材を例示する構造図であり、(a)は内部側から見た背面図であり、(b)は側面図であり、(c)は外部側から見た正面図である。
【図21】上記第1の実施形態に係る回動部材と第1の形状記憶合金製ワイヤと第2の形状記憶合金製ワイヤとの配置構成を例示する構造図であり、(a)は内部側から見た背面図であり、(b)は側面図であり、(c)は外部側から見た正面図である。
【図22】上記第1の実施形態に係る回動部材と第1の形状記憶合金製ワイヤと第2の形状記憶合金製ワイヤとの配置構成の他の例を示す構造図であり、(a)は内部側から見た背面図であり、(b)は側面図であり、(c)は外部側から見た正面図である。
【図23】上記第1の実施形態に係る回動部材と第1の形状記憶合金製ワイヤと第2の形状記憶合金製ワイヤとの配置構成の他の例を示す構造図であり、(a)は円板の例であり、(b)は三角板の例であり、(c)は四角板の例である。
【図24】本発明を適用した第1の実施形態に係る回動部材と可動アームのスライダとの連動関係を例示する構造図であり、(a)はセンサユニットが格納されているときの関係を示す図であり、(b)は第1の形状記憶合金製ワイヤを通電している途中での関係を示す図であり、(c)は第1の形状記憶合金製ワイヤを通電終了したときの関係を示す図である。
【図25】本発明を適用した第1の実施形態に係る回動部材と可動アームのスライダとの連動関係を例示する構造図であり、(a)はセンサユニットが画面上に突出しているときの関係を示す図であり、(b)は第2の形状記憶合金製ワイヤを通電している途中での関係を示す図であり、(c)は第2の形状記憶合金製ワイヤを通電終了したときの関係を示す図である。
【図26】本発明を適用した第2の実施形態の光センサ装置を例示する構造図において、センサユニットが格納された状態の図であり、(a)は内部側から見た背面図であり、(b)は側面図であり、(c)は外部側から見た正面図であり、(d)はA−A線断面を模式的に示す断面図である。
【図27】本発明を適用した第2の実施形態の光センサ装置を例示する構造図において、センサユニットが画面上に突出した状態の図であり、(a)は内部側から見た背面図であり、(b)は側面図であり、(c)は外部側から見た正面図であり、(d)はA−A線断面を模式的に示す断面図である。
【図28】上記第2の実施形態に係る形状記憶合金製ワイヤを通電しセンサユニットが画面上に突出した状態を示す図である。
【図29】上記第2の実施形態に係る形状記憶合金製ワイヤへの通電を停止しセンサユニットが格納された状態を示す図である。
【図30】上記第2の実施形態に係る形状記憶合金製ワイヤを通電している状態で、子供などがセンサユニットを押し戻したときの動作を示す図である。
【図31】従来の光センサ装置を画像表示装置に取り付けた状態を例示する斜視図である。
【図32】画像表示装置における従来の光センサユニットの配置構成を例示する正面図である。
【図33】上記従来の光センサユニットの配置構成を示すA−A線断面図である。
【図34】上記従来の光センサユニットの配置構成を示すB−B線断面図であり、標準温度のときの状態図である。
【図35】上記従来の光センサユニットの配置構成を示すB−B線断面図であり、発熱したときの状態図である。
【図36】本発明を適用した実施の形態の光センサ装置を既知の画像表示装置に後付けした構成を例示する斜視図であり、(a)はセンサユニットが画面上に突出した状態の図であり、(b)はセンサユニットが格納された状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明を実施するための具体的な形態について図面を用いて説明する。
【0043】
(本発明の実施形態)
本発明を適用した実施の形態の光センサ装置1を備えた液晶表示装置100を例示する斜視図を図1に示す。本実施形態の光センサ装置1は、液晶表示装置(液晶モニター)100のモニター画面(液晶表示パネル)101周囲に配されたベゼル(フレーム)2に一体的に組み込まれている。センサユニット3は、液晶表示パネルの表示画面101a上の輝度や色度等の測定をする小型の板状(スティック状)のものである。本実施形態の光センサ装置1は、所定時間毎に液晶表示パネル101のキャリブレーション(校正)を行うために、測定の際にはセンサユニット3をベゼル2内から符号4a方向に突出させて液晶表示パネル101上の測定位置まで移動させ(図1(a))、測定後にはセンサユニット3を符号4b方向に戻してベゼル2内に格納する仕組みとなっている(図1(b))。ここで、符号4a方向は、センサユニット3が前進しながら液晶表示パネルの表示画面101aに近接し当接する前進方向であり、符号4b方向は、センサユニット3が後退しながら液晶表示パネルの表示画面101aから離れていく後退方向である。なお、図1に示す例では、液晶表示パネル101が横長で右下付近に光センサユニット3が配されているが、これに限られるものではなく、光センサユニット3の取り付け位置は、液晶表示パネル101の額縁領域であれば、液晶表示パネル101の周囲のいずれの個所でも構わない。また、本発明の光センサ装置1は、図36に示すように、既存の画像表示装置179に後付けした構成としても良い。図36に示す例では、測定の際にはセンサユニット3をベゼル102上の本体フレーム2内から符号4a方向に突出させて液晶表示パネル101上の測定位置まで移動させ(図36(a))、測定後にはセンサユニット3を符号4b方向に戻して本体フレーム2内に格納する仕組みとなっている(図36(b))。
【0044】
(第1の実施形態)
本発明を適用した第1の実施の形態の光センサ装置1を例示する構造図を図2と図3に示す。図2はセンサユニットが格納された状態の図であり、図3はセンサユニットが画面上に突出した状態の図である。それぞれ、(a)は内部側から見た背面図であり、(b)は側面図であり、(c)は外部側から見た正面図である。ここで、内部側から見た背面図とは、液晶表示パネルの表示画面101a側から利用者を見たときの図であり、外部側から見た正面図とは利用者側から液晶表示パネルの表示画面101aを見たときの図である。ここでは、説明の都合上、背面図での左右方向をX方向とし、背面図での上下方向をY方向としている。
【0045】
本実施形態の光センサ装置1は、ベゼル2内に四角形で板状のセンサユニット3が配されており、センサユニット3の両側(図2(a)と図3(a)では上側と下側)には、センサユニット3をガイドするガイド部材16,16が本体フレーム2に一体的に形成されている(図5を参照)。前記ガイド部材16はガイドレールの機能を有し、その前側(本体フレーム2のセンサユニット3が突き出る側)には、前記画像表示パネルの表示画面101aに向かう斜面162が形成されており、その前端(本体フレーム2の本体フレーム2のセンサユニット3が突き出る側の面)には、ピン形状のストッパ161,161が本体フレーム2に一体的に形成されている(図5)。ここでは、センサユニット3の両脇に配された摺動部材(凸部材)31,31の前面が、本体フレーム2に配されたストッパ161,161に当接することで、センサユニット3の突き出し位置が設定位置となる構成となっている。なお、本実施形態は、この構成例に限られるものではなく、例えば、ストッパを液晶表示パネル101上に配置して、そこにセンサユニット3の摺動部材31,31の前面を当接させる構成としても良い。また例えば、ストッパを別体としてベゼル2の所定個所に後付けする構成としても良い。
【0046】
前記センサユニット3の両脇には、前記ガイド部材16のガイド面(斜面162を含む)に沿って摺動する板形状の摺動部材(凸部材)31,31が配されている(図4)。また、前記センサユニット3の両側には、前記ガイド部材16と向かい合って前記摺動部材31をガイド部材16側に押す板ばね(弾性体)171が本体フレーム2に取り付けられている(図5)。板ばね171は、前記センサユニット3の横ブレを防止する防止壁172とともに、金属板をプレス加工して一体成形され、ネジ固定されている。光センサ108は、液晶表示パネル101の輝度や色度等の測定に用いられ、図示しない基板に実装されて、センサユニット3に内蔵される(図7を参照)。そして、センサユニット3の後面から引き出されたフレキシブルフラットケーブル(FFC)109を経由して、液晶表示装置100本体の制御基板(図示せず)とケーブル接続され、パソコン内蔵のソフトウエアを起動すると、液晶表示パネル101の輝度、色度、光量等の光学特性の測定を光センサユニット3に備わった光センサ108で行い、得られた測定データに基づいてキャリブレーション(校正)が行なわれる仕組みとなっている。つまり、本実施例によれば、センサユニット3は、前進しながら液晶表示パネルの表示画面101aに近接し当接する斜め前進方向(符号4a1)へ突き出て(図6、図10)、遮光部材9によって外光が遮られた状態で液晶表示パネル101の輝度、色度、光量等の光学特性の測定を光センサユニット3に備わった光センサ108で行う。そして、測定後は、センサユニット3は、液晶表示パネルの表示画面101aから離れていく斜め後退方向(符号4b1)へ後退しながら格納される(図13)。
【0047】
本実施形態では、前記光センサ108への外光の侵入を防ぐため、光センサ108の受光部には、赤外線(Infrared Rays: IR)フィルタが予め備わっている。そして、前記センサユニット3の表示画面101a側の面には、受光用の長方形状の窓穴418が形成されている。 本実施形態では、前記センサユニット3の表示画面101a側の面には、板形状の遮光部材(クッション部材)9が両面テープや接着剤等で貼り付け固定されている(図4)。ここでは、遮光部材9は、長方形状であり、光センサ108を囲みつつ前記表示画面101aからの光が光センサ108に受光するようにその中央がくり抜かれた四角窓98が形成されている。なお、窓98は、丸窓とする場合もあり得る。
前記遮光部材9としては、紙、樹脂シート、植毛紙、植毛シート、フェルト、スポンジ、ゴム、エラストマー等が挙げられる。本実施形態にかかる遮光部材9としては、特に、植毛紙や植毛シートが好ましい。それは、植毛紙や植毛シートが吸光能力に優れ、クッション性があり、摺動性もあることから、画像表示パネル101にかかる負荷を抑えつつ効果的に遮光することが出来るからである。
【0048】
そして、前記センサユニット3の背面側(光センサ108が配されている側)には、四角形状の溝(窪み)321が形成されており、この窪み321に可動アーム90の本体91の先端側の爪911が係止しており、その詳細を後述する駆動手段によって押し出されて前記ガイド部材16にガイドされながら前記画像表示パネルの表示画面101aに近接し、測定後、前記駆動手段によって引き戻されて本体フレーム2に格納される(図2(a))。
【0049】
図7は、上記第1の実施形態に係るセンサユニット3と画像表示パネルの表示画面101aとの関係を模式的に示す断面図である。ここでは、説明をわかり易くするため、図7(a)は画像表示パネル101がないと仮定した場合のセンサユニット3が突出したときの状態図であり、図7(b)は画像表示パネル101がある場合のセンサユニット3が突出したときの状態図であり、図7(c)は画像表示パネル101がある場合のセンサユニット3が格納されたときの状態図である。
本実施形態では、前記ガイド部材16の前側には、画像表示パネルの表示画面101aに向かう斜面162が形成されており、斜面162に沿ってセンサユニット3が斜めに前進移動して(符号4a1方向に前進移動して)表示画面101aに近接し、その際に、板ばね171の先端がセンサユニット3に配された摺動部材31の後側を押さえる。つまり、板ばね171が符号4iの方向に摺動部材31の後側を押すことで、遮光部材9が符号4hの方向に押し出され(図7(a))、表示画面101aに所定の押圧力で当接し、ほぼ密接可能な状態となり(図7(b))、優れた遮光効果を得ながら、板ばね171による安定した押圧力によって、前記表示画面101aへの押圧力が所定範囲内となり、かつ、前記画像表示パネル101の駆動発熱による位置変動にも追従できる。また、光センサ装置1の画像表示パネル101の種類の違い等による奥行き方向の寸法ばらつきや画像表示装置への組み付けばらつきをも吸収することが出来る構成となっている。 そして、光センサ108による測定後は、斜面162に沿ってセンサユニット3が斜めに後退移動して(符号4b1方向に後退移動して)表示画面101aから離れて、本体フレーム2に格納される(図7(c))。
【0050】
図17は、前記第1の実施形態の光センサ装置1の他の例におけるセンサユニット3と本体フレーム2との関係を模式的に示す断面図であり、図17(a)はセンサユニット3を格納させた状態を示す図であり、図17(b)はセンサユニット3を突出させた状態を示す図である。本実施例では、センサユニット3の両脇には、ガイド部材16のガイド面(斜面162を含む)に沿って摺動するピン形状の摺動部材(摺動ピン)31が、所定間隔で片側に2本ずつ配されている(図15)。本体フレーム2に備わった2つのガイド部材16,16はガイドレールの機能を有し、その前側(本体フレーム2のセンサユニット3が突き出る側)には、前記画像表示パネルの表示画面101aに向かう斜面162が所定間隔で片側に2つずつ形成されている(図16)。そして、センサユニットの摺動ピン31,31の間隔とガイド部材の斜面162,162の間隔とが対応している。本実施例によれば、本体フレーム2に対してセンサユニット3をその平行状態を維持しながら、センサユニット3を安定して前後動させる構成となる。つまり、本実施例によれば、センサユニット3は、前進しながら液晶表示パネルの表示画面101aに近接し当接する平行な前進方向(符号4a2)へ突き出て(図17(b))、遮光部材9によって外光が遮られた状態で液晶表示パネル101の輝度、色度、光量等の光学特性の測定を光センサユニット3に備わった光センサ108で行う。そして、測定後は、センサユニット3は、液晶表示パネルの表示画面101aから離れていく平行な後退方向(符号4b2)へ後退し格納される(図17(a))。本実施例によれば、遮光部材9を液晶表示パネルの表示画面101aに密接させることが容易となる。センサユニット3に平行な前進後退動作をさせるには、摺動ピン31が所定間隔でセンサユニット3の片側に2つ以上配されており、それら摺動ピン31と一対一で対応する斜面162がガイド部材16に形成されていれば良い。また、摺動ピン31は、回転するローラ部材としても良い。
【0051】
本実施形態では、センサユニット3を移動させる駆動手段として、可動アーム90と、可動アーム90の下側に配されて外力によって変位可能なバランス部材(回動部材)80と、第1の形状記憶合金製ワイヤ15と、第2の形状記憶合金製ワイヤ5とが備わっている(図2(a))。センサユニット3の後方側の背面(光センサ108が配されている側の面)には、四角形状の溝(窪み321が形成されており、この窪み321に可動アーム90の本体91の先端側の爪911が係止している。そして、本体91の根元側の穴65がフレーム2の支持台(図示せず)の上に、平座金972とねじ971によって本体フレーム2に取り付けられ、本体91の根元側の穴65の中心を回転中心として回動自在に支持されている(図2(a)と図19(a)を参照)。また、バランス部材としての回動部材80の中央の下側には円柱形状の支持台811が一体的に形成され、回動部材80の中心穴84が平座金852とねじ851によって本体フレーム2に取り付けられ、回動部材80の中心穴84の中心を回転中心として回動自在に支持されている(図11(a)と図20(a)を参照)。第1の形状記憶合金製ワイヤ15と第2の形状記憶合金製ワイヤ5とは同じ材質で同じ寸法のワイヤである。
【0052】
その動作の詳細は後述するが、可動アーム90と回動部材80とは互いに連結されており、互いの動作の伝わり方が少しずれて連動するように連結されている。つまり、可動アーム90が動作すると回動部材80が遅れて動作し、回動部材80が動作すると可動アーム90が遅れて動作する関係で互いに連結されており、この一組の形状記憶合金製ワイヤ5,15と可動アーム90と回動部材80とセンサユニット3との組み合わせによって、第1の形状記憶合金製ワイヤ15が縮むことで、図10においてセンサユニット3が左方向(符号4a1方向)に斜めに前進して、表示画面101aに向かい、遮光部材9が表示画面101aに当接する(図7(b)を参照)。ここで、第1の形状記憶合金製ワイヤ15は、図8に対して図10では上下方向に縮んでおり、図10に対して図11では緩んでいる。 また、第2の形状記憶合金製ワイヤ5が縮むことで、図13においてセンサユニット3が右方向(符号4b1方向)に斜めに後退して、表示画面101aから離れて、本体フレーム2に格納される(図7(c)を参照)。ここで、第2の形状記憶合金製ワイヤ5は、図11に対して図13では上下方向に縮んでおり、図13に対して図8では緩んでいる。
【0053】
図19は可動アーム90を例示する構造図であり、図20は回動部材80を例示する構造図であり、図21並びに図22はそれぞれ回動部材80と第1の形状記憶合金製ワイヤ15と第2の形状記憶合金製ワイヤ5との配置構成を例示する構造図である。可動アーム90と回動部材80とについて以下に説明する。
【0054】
ここでは、可動アーム90の本体91は、金属製の板状部材をプレス成形したものであり、これにプラスチック製のスライダ92が挿通され、所定範囲内で上下にスライド可能となっている(図19)。本体91の根元側の左右には引っ掛け部64,64が形成され、スライダ92の根元側の左右には引っ掛け部93,93が形成され、本実施形態では、一対の伸縮ばね6が、左右それぞれの引っ掛け部93と64とに引っ掛けられており、一対の伸縮ばね(引っ張りばね)6の復元力にてスライダ92を可動アーム90の根元側に引っ張る構成となっている。可動アーム90の本体91の中央には縦長で角丸四角形状の溝95が形成されており、スライダ92の中央には正面側に向かう円柱状のリンクピン94が形成されており、このリンクピン94が溝95に挿通されて縦長溝95の上下の範囲内でスライダ92が上下にスライド可能となっている(図19)。
【0055】
ここでは、回動部材80には、プラスチック製の円盤本体81の左右を横断する直線形状の横長溝83が形成され、円盤本体81の左右側面から斜め上側(時計短針の2時と10時の方向)に一対の突起182,82が設けられている。これら突起182,82は、フレーム2に配置された2箇所のストッパ88,88に当接することで、回動部材80がストッパ88,88を超えて回動することを防止する(図24を参照)。回動部材80の中央には正面側に向かう円柱形状の支持台811が一体的に形成され、導電性で縦長楕円形状の金属座金892が回動部材80の正面側に嵌め込まれている(図20(c))。
【0056】
図21は、前記回動部材80と第1の形状記憶合金製ワイヤ15と第2の形状記憶合金製ワイヤ5との配置構成を例示する構造図である。前記回動部材80の本体81がこれら第1の形状記憶合金製ワイヤ15と第2の形状記憶合金製ワイヤ5の間に配されており、第1と第2の形状記憶合金製ワイヤ15,5の一端がいずれも金属座金892の上側でネジ891にてネジ固定され電気接続されている。実際上は、一本の形状記憶合金製ワイヤ5をその中間地点でネジ891にてネジ固定し電気接続して機能的に第1と第2の形状記憶合金製ワイヤ15,5とすれば、組み付け作業が簡易で合理的である。そして、金属座金891の下側付近にフレキシブルワイヤ571を電気接続して通電する構成としている。形状記憶合金製ワイヤ5(15)と金属座金891との固定に関しては、しっかり固定でき、かつ、確実な電気接続ができる方法であればその接続方法は問わず、半田付け、ロウ付け、ネジ固定、カシメ、押圧接触固定等の方法が適用される。 なお、本実施例によれば、ネジ891のネジ頭が、本体フレーム2に形成された扇形状の窓穴189に入って左右に動く構成であるから、扇形状の窓穴189によっても回動部材80が動作できる許容範囲が所定範囲内となっている(図3(c))。
【0057】
図22は、前記回動部材80と第1の形状記憶合金製ワイヤ15と第2の形状記憶合金製ワイヤ5との配置構成の他の例を示す構造図である。図22に示す例では、前記回動部材80は金属製であり、一本の形状記憶合金製ワイヤ5に金属製チューブ582を通して形状記憶合金製ワイヤ5の中間位置にて、かしめて(継ぎ目を工具で固く密着させて)、その金属性チューブ582を回動部材80の円盤本体81の上側付近に形成された窪みに嵌め込んで固定し、接触及び半田付け等によって電気接続している。そして、回動部材80の円盤本体81の下側付近にL形状に折り曲げた板ばね構造の引き出し電極572の先端を押圧接触させることで、第1と第2の形状記憶合金製ワイヤ15,5を通電する構成としている。本実施例によれば、回動部材80が回動したときでも引き出し電極572の位置は一定であるので安定した電気接続が確保でき、作動信頼性のより高い電極引き出し構造となる。
【0058】
図23は、上記回動部材80と第1の形状記憶合金製ワイヤ15と第2の形状記憶合金製ワイヤ5との配置構成の他の例を示す構造図である。図23(a)に示す例は、横長溝83が形成された円板81の左右の所定箇所にそれぞれ形状記憶合金製ワイヤ15,5が取り付けられ、交互に引き合うことで円板81を右回り又は左回りに回動させる構成である。図23(b)に示す例は、横長溝83が形成された三角板81の左右の所定箇所にそれぞれ形状記憶合金製ワイヤ15,5が取り付けられ、交互に引き合うことで三角板81を右回り又は左回りに回動させる構成である。図23(c)に示す例は、横長溝83が形成された四角板81の左右の所定箇所にそれぞれ形状記憶合金製ワイヤ15,5が取り付けられ、交互に引き合うことで四角板81を右回り又は左回りに回動させる構成である。つまり、本発明に係る回動部材80は、横長溝83が形成され、左右に配された形状記憶合金製ワイヤ15,5の一端がそれぞれ所定箇所に固定され、交互に引き合うことで回動部材80を右回り又は左回りに回動させる構成となっていれば良いので、回動部材80の形状としては円板、三角板、四角板等の種々の形状が適用できる。
【0059】
図24と図25は、上記回動部材80の本体81と可動アーム90のスライダ92との連動関係を例示する構造図である。本実施形態では、スライダ92のリンクピン94が円盤本体81の横長溝83に挿入されて動くことで可動アーム90と回動部材80とが互いの動作の伝わり方が少しずれて連動するように連結される構成となっている。
【0060】
図24(a)は第2の形状記憶合金製ワイヤ5を通電終了しセンサユニット3が格納されているときの円盤本体81とスライダ92との連動関係を示す図である。スライダ92のリンクピン94は、円盤本体81の横長溝83の下側の側壁83aに載置されている。円盤本体81が右回り(時計回り)に回動し円盤本体81の右突起82がフレーム2の右側に配置されたストッパ88に当接して停止し、このとき、円盤本体81の横長溝83は右側に傾いてスライダ92のリンクピン94が横長溝83の右下の位置となるので、スライダ92が右下の位置となってストッパピン89に当接する。このとき、一対の伸縮ばね6は縮んで元の状態となっている。
【0061】
図24(b)は第1の形状記憶合金製ワイヤ15を通電している途中での配置関係を示す図である。第1の形状記憶合金製ワイヤ15が通電によって縮み始めることで、円盤本体81が左回り(反時計回り)に回動し円盤本体81の横長溝83が水平状態となってスライダ92のリンクピン94が横長溝83の中央に近い位置となり、このとき、一対の伸縮ばね6は引っ張られて伸びた状態となる。この時点までは、スライダ92は、上方向(符号4f方向)にのみ動く。
【0062】
図24(c)は第1の形状記憶合金製ワイヤ15を通電終了したときの配置関係を示す図である。第2の形状記憶合金製ワイヤ15が通電によって縮むことで、円盤本体81がさらに左回り(反時計回り)に回動すると、円盤本体81の横長溝83が左側に傾いて、一対の伸縮ばね6が復元力で縮まることで(先に左側のばね6が縮まり、続いて右側のばね6が縮まるが、両ばねの動きはほぼ同時となる)スライダ92のリンクピン94が横長溝83の左下の位置へと一気に滑り下りて、円盤本体81が急速に左回りに回動し、これにより、可動アーム90が左側に大きく傾くので、可動アーム90の本体91の先端側の爪911と連結されたセンサユニット3が左側に押し出されて、センサユニット3がフレーム2内から測定位置まで前進移動する。このとき、スライダ92は、下方向(符号4g方向)と左方向(符号4a方向)を合成した方向に動くこととなる。上記円盤本体81の左回りの回動にて円盤本体81の左突起182がフレーム2の左側に配置されたストッパ88に当接して停止し、スライダ92が左下の位置となってストッパピン89に当接する。このとき、一対の伸縮ばね6は縮んで元の状態となっている。 次に、画面101上に突出している状態のセンサユニット3(図25(a))をフレーム2内に格納する際は、第2の形状記憶合金製ワイヤ5を通電し、円盤本体81を右回り(時計回り)に回動させて(図25(b))、回動部材80と可動アーム90を上記と逆の動作をさせることで、センサユニット3をフレーム2内に引き戻し格納する(図25(c))。センサユニット3の動作手順について以下に説明する。
【0063】
図8は、センサユニット3がフレーム2内に格納されている状態を示している。上述のように、第1と第2の形状記憶合金製ワイヤ15,5の一端がいずれも前記回動部材本体81の上側の留め金851に固定されて電気接続されていることで、第1と第2の形状記憶合金製ワイヤ15,5の一端とフレキシブルワイヤ571とが電気接続されている。第2の形状記憶合金製ワイヤ5の他端には電極端子55が電気接続され、電極端子55がスイッチ991を経由して直流電源E3のプラス側に電気接続されている。第1の形状記憶合金製ワイヤ15の他端には電極端子56が電気接続され、電極端子56がスイッチ992を経由して直流電源E3のプラス側に電気接続されている。そして、直流電源E3のマイナス側とフレキシブルワイヤ571とが電気接続されている。スイッチ991と992は同時にオンすることがない構成となっており、スイッチ991と992のいずれかがオンとなるか、又はスイッチ991と992の両方がオフとなる構成のスイッチである。したがって、第1の形状記憶合金製ワイヤ15と第2の形状記憶合金製ワイヤ5のいずれかが通電されるか、又は第1と第2の形状記憶合金製ワイヤ15と5の両方ともが通電されない構成となっている。なお本実施形態の形状記憶合金製ワイヤ15,5には極性がないことから、図8に示す直流電源E3の向きは上側がプラスでも下側がプラスでも動作する。
【0064】
スイッチ992をオンにして前記第1の形状記憶合金製ワイヤ15を通電すると、この形状記憶合金製ワイヤ15が前記伸縮ばね6の引っ張り力に抗して縮んで、上述のように回動部材80が左回り(符号4dの方向)に回動し可動アーム90と連結されたセンサユニット3が左側(符号4aの方向)に押し出される(図9、図10)。回動部材80がさらに左回りに回動すると、可動アーム90と連結されたセンサユニット3がフレーム2内からモニター画面101上の測定位置まで斜めに前進移動し(図10)、モニター画面101の輝度や色度等を光センサ41が測定可能な状態となる。センサユニット3が測定位置に到達した時点で、スイッチ991と992はオフになっており、前記第1の形状記憶合金製ワイヤ15は、放熱によって冷却され元の長さに戻る(図11)。
【0065】
モニター画面101の輝度や色度等が光センサ41によって測定された後、スイッチ991をオンにして前記第2の形状記憶合金製ワイヤ5を通電すると、回動部材80が右回り(符号4eの方向)に回動して、回動部材80と可動アーム90とが上述のセンサユニット3を押し出すときの動作と逆の動作をすることとなり(図12)、センサユニット3が右側(符号4b1の方向)に動いて、フレーム2内に引き戻され格納される(図13)。センサユニット3が格納された時点で、スイッチ991と992はオフになっており、前記第2の形状記憶合金製ワイヤ5は、放熱によって冷却され元の長さに戻る(図8)。
【0066】
本実施形態によれば、前記形状記憶合金製ワイヤ(第1の形状記憶合金製ワイヤ15や第2の形状記憶合金製ワイヤ5)がセンサユニット3を直接駆動しない方式であるから、これら前記形状記憶合金製ワイヤはモニター画面101からの放熱の影響を受けたとしても、前記形状記憶合金製ワイヤ15、5がある程度縮むまでは、上述のようにスライダ92のリンクピン94が円盤本体81の横長溝83の中央を境に、一方の側から他方の側まで移動せず、それまでは、センサユニット3が移動を開始しない構成であるため、熱によって引き起こされるセンサユニット3の誤作動が生じ難いように配慮した機構となっている。 つまり、実際の液晶モニター1においては、モニター画面101付近は、その温度が室温から50℃付近まで上昇することがあり、前記形状記憶合金製ワイヤ(第1の形状記憶合金製ワイヤ15や第2の形状記憶合金製ワイヤ5)が熱の影響を受け易くなってしまうことから、通電停止後も短時間ではすんなりと伸びない場合が想定されるが、本実施形態では、高温時には通電する側の形状記憶合金製ワイヤの収縮力で、反対側の伸び切っていない形状記憶合金製ワイヤごと強引に引っ張って、円盤本体81を回転させることとなり、安定した動作となる。そして、本実施形態では、通電により発生させるジュール熱が前記モニター画面101付近の温度よりも十分高い温度となる形状記憶合金製ワイヤ5(15)を選定しており、具体的には、約70℃の温度で収縮し約60℃の温度で伸張する形状記憶合金製ワイヤ5(15)が用いられる。また、前記伸縮ばね6の引っ張り力に抗して余裕を持って縮むだけの太い径の形状記憶合金製ワイヤを選定しており、例えば、線径が0.2mm程度の形状記憶合金製ワイヤ5(15)が用いられる。 さらに付け加えるならば、前記センサユニット3を測定位置で保持する間や、前記センサユニット3を元の位置に戻したときは、これら前記形状記憶合金製ワイヤ5,15は無通電状態となることから、省エネルギーで作動信頼性の高い光センサ装置1といえる。
【0067】
図14は、前記センサユニット3が測定位置で保持されているときに、子供などが興味本位でセンサユニット3を符号4b方向に押し戻そうとしたときの動作を示している。前記形状記憶合金製ワイヤ5,15は無通電状態であり、センサユニット3が左側(符号4bの方向)に押し戻されると、回動部材80が、スライダ92のリンクピン94によって逆方向に回動することで、回動部材80と可動アーム90とが上述のセンサユニット3を押し出すときの動作と逆の動作をし、センサユニット3が左側(符号4bの方向)に動いて、フレーム2内に格納される。すなわち、本実施形態によれば、子供などが指でセンサユニット3を押し戻そうとして外力を加えた場合を想定すると、センサユニット3をほんの少し押しただけでは伸縮ばね6の抵抗があり、この時点で指を離すとセンサユニット3が測定位置まで突き出る。しかし、センサユニット3をさらに押すと、スライダ92のリンクピン94が回動部材80の中心穴84の位置を越えた時点でセンサユニット3がフレーム2内に引き込まれて格納される。よって、前記外力によって無通電状態の前記形状記憶合金製ワイヤ5,15に直接、負荷が加わる虞がなく、作動信頼性の高い光センサ装置1といえる。
【0068】
図18は、上記実施形態の光センサ装置1の他の例を示す構造図であり、内部側から見た背面図である。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。本実施形態では、可動アーム90の本体91には縦長四角形状の溝641が形成されており、1つの伸縮ばね6の復元力にてスライダ92を可動アーム90の根元側に引っ張る構成となっている。
【0069】
(第2の実施形態)
本発明を適用した第2の実施の形態の光センサ装置1を例示する構造図を図26と図27に示す。図26はセンサユニットが格納された状態の図であり、図27はセンサユニットが画面上に突出した状態の図である。それぞれ、(a)は内部側から見た背面図であり、(b)は側面図であり、(c)は外部側から見た正面図であり、(d)はA−A線断面を模式的に示す断面図である。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。
【0070】
本実施形態の光センサ装置1は、ベゼル(フレーム)2内に四角形で板状のセンサユニット3が配されており、センサユニット3の両側(図26(a)では上側と下側)には、センサユニット3をガイドするガイド部材16,16が本体フレーム2に一体的に形成されている(図26(b))。前記ガイド部材16はガイドレールの機能を有し、その前側(本体フレーム2のセンサユニット3が突き出る側)には、前記画像表示パネルの表示画面101aに向かう斜面162が形成されている(図26(d))。センサユニット3の両側には、バランス部材である一対の弓状部材7が配されている。弓状部材7は、センサユニット3から遠い側が弓形部71でセンサユニット3に近い側が台形部72となっており、この台形部72に形成された凹形とフレーム2上のガイド部材16とで板形状の摺動部材(スライドレール)31を受けるスライドガイドを形成している(図26(d))。つまり、一対の弓状部材7がセンサユニット3を両側から挟む配置となり、センサユニット3をスライド自在に支持している。
【0071】
センサユニット3には、画像表示パネル101の輝度や色度等の物理量の測定に用いられる光センサ108と当該センサ108からの信号を処理する回路基板が内蔵されている。本実施形態では、光センサ108はセンサユニット3に内蔵されており、画像表示パネル101からの光をセンサユニット3に形成された丸窓を介して受光し信号処理する(図26(a)を参照)。
【0072】
センサユニット3の後端(図26(a)では左側)の両側には、伸縮ばね6の一端を引っ掛けるための引っ掛け部62が形成されている。センサユニット3の後端よりも少し後ろ側で、センサユニット3から離れた位置には、伸縮ばね6の他端を引っ掛けるための引っ掛け部61がフレーム2上に形成されている。本実施形態では、一対の伸縮ばね6が、それぞれ引っ掛け部61と62とに引っ掛けられており、一対の伸縮ばね6の復元力にて前記センサユニット3を同時に引っ張ってフレーム2内に引き戻し格納する構成となっている。
【0073】
センサユニット3の後端の中央側には、アクチュエータである形状記憶合金製ワイヤ5を引っ掛けて通すための引っ掛け部32,33が形成されている(図26(a))。引っ掛け部32の背面側には溝が形成されており、また、引っ掛け部33の正面側にも溝が形成されており、中央に配された引っ掛け部32と、引っ掛け部32の両側に配された引っ掛け部33のそれぞれの溝に形状記憶合金製ワイヤ5を引っ掛けて通すことで、引っ掛け部32と33とで形状記憶合金製ワイヤ5を挟んで、形状記憶合金製ワイヤ5を移動可能に支持している。本実施形態の形状記憶合金製ワイヤ5は、一本のワイヤからなる。
【0074】
形状記憶合金製ワイヤ5の両端にはそれぞれ電極端子51が接続され、弓状部材7のセンサユニット3から遠い側の弓形部の先の電極部511にねじ固定されている(図26(a))。フレーム2側には、円形状の窪み512が形成され、電極部511の下側の円柱状突起が、円形状の窪み512内で円弧状の軌道を描いて動ける状態になっている。形状記憶合金製ワイヤ5の両端は、センサユニット3の中程か前側のライン上でセンサユニット3から離れた位置にある電極部511に固定され、形状記憶合金製ワイヤ5の中央は、センサユニット3の後端に支持されており、通電しない状態では、弓を引いたような状態で、センサユニット3がフレーム2の内側に配されている(図26(a))。
【0075】
図28は、上記第2の実施形態の光センサ装置1に備わった一本の形状記憶合金製ワイヤ5を通電している状態を示す図である。図28に示す例では、一方の電極端子51から引き出された配線がスイッチ98に接続され、スイッチ98からの配線が直流電源E1のプラス側に接続され、直流電源E1のマイナス側からの配線が他方の電極端子51に接続される。本実施形態の形状記憶合金製ワイヤ5には極性がないことから、図28に示す直流電源E1の向きは上側がプラスでも下側がプラスでも構わない。動作中の液晶表示装置1のモニター画面101付近は、その温度が室温から50℃付近まで上昇することがある。したがって、前記形状記憶合金製ワイヤが、温度による誤動作をしないようにするためには、通電により発生させるジュール熱が前記モニター画面付近の温度よりも十分高い温度となる仕様の形状記憶合金製ワイヤを選定しなければならない。本実施形態では、例えば、約70℃の温度で収縮し約60℃の温度で伸張する形状記憶合金製ワイヤが用いられる。
【0076】
スイッチ98をオンにして前記形状記憶合金製ワイヤ5を通電すると、この形状記憶合金製ワイヤ5が前記伸縮ばね6の引っ張り力に抗して縮んで、センサユニット3が符号4aの方向に移動してフレーム2から斜めに突出し、画像表示パネル101の輝度や色度等が測定可能な状態となり、光センサ108による測定が行われる(図28)。つまり、弓状部材7の台形部72の斜面174とガイド部材16の斜面162とで摺動部材31を摺動させながら(図26(d))、これら斜面174,162に沿ってセンサユニット3を斜め前方向に移動させることとなる(図27(d))。
【0077】
そして、光センサ108による測定が終了した後、スイッチ98をオフにして前記形状記憶合金製ワイヤ5を通電しない状態とすると、放熱によってこの形状記憶合金製ワイヤ5が通常のセンサユニット3の周囲温度付近まで冷却し元の長さに戻るので、一対の伸縮ばね6の引っ張り力によってセンサユニット3を同時に引っ張ることで、センサユニット3が符号4bの方向に移動してフレーム2内に引き戻される(図29)。
【0078】
図30は、子供などが指でセンサユニット3を符号4b方向に押し戻そうとしたときの動作を示している。スイッチ98をオンにして前記形状記憶合金製ワイヤ5を通電し、センサユニット3をフレーム2から突出させた状態で、子供などがセンサユニット3を符号4b方向に押し戻そうとすると、一対の伸縮ばね6の引っ張り力がセンサユニット3に加わっているので、比較的弱い力でもセンサユニット3が元の位置にスライドして押し戻される。このとき、形状記憶合金製ワイヤ5は通電され縮んでいる状態なので、一対の弓状部材7が符号4c方向に撓って曲がることで、子供などからの外力を緩和し、通電中の形状記憶合金製ワイヤ5に直接的な負荷が加わり難い構成となっている。
【0079】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、前記アクチュエータ5,15は、通電によって前記ばね部材の復元力に抗して縮むアクチュエータであれば、ワイヤ状に限られず、板状、コイル状、渦巻状、円柱状、角柱状等でも適用可能である。 本発明に係る駆動手段としては、前記形状記憶合金製ワイヤ5,15を用いることに限られず、モータやソレノイド等を用いても良い。例えば、ワイヤとプーリとモータ(又はソレノイド)を組み合わせることで、ワイヤをプーリで巻き付けてワイヤを見掛け上縮ませたり、ワイヤをプーリから引き出してワイヤを見掛け上伸ばしたりすれば、前記形状記憶合金製ワイヤ5,15と同様の動きをさせることができる。センサユニット3の配置等は任意に設計変更可能であり、複数のセンサユニット3を配置することも可能である。前記アクチュエータとして形状記憶合金製ワイヤ5,15を用いる場合には、直流電流を通電しても良いし、交流電流を通電しても良い。本発明の光センサ装置1は、モニターを組み立てる際に組み込んでもよく、モニターを組み立てた後に組み付けても良い。本発明は、液晶、有機EL、プラズマ等の各種画像表示モニターに適用可能であり、これ以外にも、被測定対象物周囲の額縁領域に配されるフレーム2と、被測定対象物からの物理量を測定する光センサ108を有するセンサユニット3とから構成されていれば、各種物理量の測定に応用可能である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0080】
1 光センサ装置、
2 本体フレーム(ベゼル)、
3 センサユニット、
31 摺動部材、
5、15 アクチュエータ(形状記憶合金製ワイヤ)、
6 伸縮ばね、
9 遮光部材、
16 ガイド部材、
162 斜面、
171 弾性体(板ばね)、
108 光センサ、
7 バランス部材(弓状部材)、
80 バランス部材(回動部材)、
90 可動アーム、
91 可動アーム本体、
92 スライダ、
E1,E2,E3 直流電源、
100 画像表示装置(液晶表示装置)、
101 画像表示パネル(液晶画面)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示パネル周囲の額縁領域に配される本体フレームと、前記画像表示パネルの輝度や色度等の測定に用いられる光センサと、前記光センサが内蔵されたセンサユニットと、前記センサユニットをガイドするガイド部材と、前記センサユニットを測定位置まで移動させる駆動手段とを備え、前記センサユニットが、前記駆動手段によって押し出されて前記ガイド部材にガイドされながら前記画像表示パネルの表示画面に近接し、測定後、前記駆動手段によって引き戻されて前記フレームに格納されることを特徴とする光センサ装置。
【請求項2】
前記センサユニットの前側で、前記光センサが前記表示画面と向き合う側には、前記光センサを囲みつつ前記表示画面からの光が前記光センサに受光するように遮光部材が配されており、前記ガイド部材にガイドされて前記遮光部材が前記画像表示パネルの表示画面に当接し、測定後、前記駆動手段によって引き戻されながら前記遮光部材が前記表示画面から離れていくことを特徴とする請求項1記載の光センサ装置。
【請求項3】
前記ガイド部材の前側には、前記画像表示パネルの表示画面に向かう斜面が形成されており、前記斜面に沿って前記センサユニットが前方向に移動しながら前記表示画面に近接することを特徴とする請求項1または2記載の光センサ装置。
【請求項4】
前記センサユニットの両脇には、前記ガイド部材に沿って摺動する摺動部材が配されているとともに、前記ガイド部材と向かい合って前記摺動部材を前記ガイド部材側に押す弾性体が配されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の光センサ装置。
【請求項5】
前記弾性体が板ばねであるとともに、前記センサユニットが斜めに前進移動しながら前記表示画面に近接する際に、前記板ばねの先端が前記摺動部材の後側を押さえることを特徴とする請求項4記載の光センサ装置。
【請求項6】
前記請求項1から5のいずれか一項に記載の光センサ装置が備わっている画像表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2013−3273(P2013−3273A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132694(P2011−132694)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【特許番号】特許第4951711号(P4951711)
【特許公報発行日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(391010116)株式会社ナナオ (160)
【Fターム(参考)】