説明

光ディスク再生装置、信号処理装置、および信号処理方法

【課題】
ジッタ最適点探索精度を向上することができ、またジッタ最適点探索時間を短縮することが可能な信号処理装置を提供する。
【解決手段】
ジッタ検出部125は、例えば遮断周波数(FC)、およびブースト量(BST)の2つのパラメータよりなる2変数平面上の所定の三角形領域の各頂点におけるジッタ値を測定し、ジッタ値が小さいほど大きな値を示すジッタ指標値A、B、およびC、(A≦B≦C)を求める。ジッタ最適値探索部126は、前記ジッタ指標値A、B、およびCの大小関係に応じて、前記三角形領域の各辺を所定の比率で分割する点(3点)を求め、これらの分割点を頂点とする三角形の重心をジッタ最適点として求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光ディスクを再生する際の再生信号の高周波成分のノイズを除去するローパスフィルタの遮断周波数などの再生信号の波形に影響する複数のパラメータのうちの2つのパラメータの最適な組合せを探索し、探索したパラメータを用いて再生などの信号処理を行う信号処理装置、信号処理方法、および光ディスク再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスクに記録されている情報を再生する光ディスク再生装置には、例えば再生信号の高周波成分のノイズを除去するローパスフィルタの遮断周波数(FC)などの再生信号の波形に影響するパラメータを変更することによって、2値化された再生信号と再生を行う際の基準となるクロック信号の時間的な位相のずれ度合いを示すジッタ値が小さくなるように調整する信号処理装置が設けられている。
【0003】
そのような信号処理装置としては、再生信号の波形に影響する2つのパラメータを随時変更させながら再生時のジッタ値が最適な状態となるパラメータを繰り返し探索し、探索されたパラメータを用いてジッタ値の調整を行う信号処理装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
図16は、上記のような信号処理装置900の構成を示すブロック図である。同図に示すように、信号処理装置900は、再生信号検出部921、再生信号波形整形部922、再生信号2値化部923、PLL回路924、ジッタ検出部925、およびジッタ最適値検出部926を備えて構成され、光ピックアップ910が光ディスク800から読み取った情報を再生するようになっている。
【0005】
再生信号検出部921は、光ピックアップ910から得られる信号を基に前記光ディスク800上に記録された情報を示す複数の周波数成分からなる再生信号を検出するようになっている。
【0006】
再生信号波形整形部922は、再生信号検出部921が出力した再生信号に混入している不要な高周波成分のノイズを除去するための図示しないローパスフィルタの遮断周波数(FC)の設定、および前記再生信号の高域成分を増幅する際のブースト量(BST)の設定を行い、再生信号検出部921が出力した再生信号の波形整形を行うようになっている。これら2つのパラメータ(遮断周波数、およびブースト量)は、前記ジッタ値に影響するパラメータである。
【0007】
再生信号2値化部923は、再生信号波形整形部922によって波形整形された再生信号を所定の閾値で2値化した信号を生成するようになっている。
【0008】
PLL回路924は、光ディスク800に対する情報の記録または再生を行う際の基準となるクロック信号と2値化された再生信号の時間的な位相の同期化を行うようになっている。
【0009】
ジッタ検出部925は、前記2値化信号と前記クロック信号の時間的な位相のずれ度合いを示すジッタ値を検出するようになっている。
【0010】
ジッタ最適値検出部926は、ジッタ検出部925により検出されるジッタ値に影響するパラメータを後述するように随時変更させながらジッタ値が最適となるパラメータを検出するようになっている。
【0011】
図17は、ジッタ値に影響を与えるパラメータのうち、前記遮断周波数(FC)、およびブースト量(BST)の2つのパラメータとジッタ値の関係を示したものである。すなわち、前記2つのパラメータを随時変更した場合に、ジッタ検出部925によって検出されるジッタ値を前記2つのパラメータを2変数として定義される平面(2変数平面)上にプロットしたものであり、ジッタ値の等しい点を結ぶことで等高線が描かれる。このように、ジッタ値の分布は、唯一つのジッタ最小値930を持つ単峰状の分布を示す。
【0012】
前記のように構成された信号処理装置900では、ジッタ最適値検出部926が前記2変数平面上の所定の領域940を図18に示すように複数の第1分割第1分割領域940a〜940dに分割し、分割した領域の重心950a〜950dと全ての分割領域が接する接点950eのジッタ値をジッタ検出部925によって測定する。
【0013】
さらに、重心950a〜接点950eの5つのジッタ測定点のうちジッタ値が最も良好であるジッタ測定点を持つ分割領域を複数の第2分割領域960a〜960dに分割し、それらの重心970a〜970d、および全ての分割領域が接する接点950eのジッタ値をジッタ検出部925によって測定する。
【0014】
以降同様に分割を繰り返し、分割領域の大きさが予め設定した値より小さくなった場合に分割を終了し、その際の分割領域の前記接点における前記2変数をジッタ値が最適になる組合せとして、再生信号波形整形部922に設定する。
【特許文献1】特開2002−42344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来の装置のように、5つの測定点のうちのジッタ値が最も良好な点を選択しているのでは、各ジッタ測定点間のジッタ値の分布に即した探索が行えない。例えば、図18の初期分割時において重心950aと接点950eの間にジッタ値が最小点が存在した場合、重心950aと接点950eのどちらが第2分割領域の中心に選択されるかわからないため、ジッタ最適点(ジッタ値が最小である点の近傍の点)への追い込み精度が悪い。また、重心950aと接点950eのどちらが選択された場合でも、ジッタ最適点を探索するためには、分割領域を変更しながら分割回数を増やす必要があり短時間でジッタ最適点の検出が行えない。
【0016】
本発明は、前記の問題に着目してなされたものであり、ジッタ最適点探索精度を向上することができ、またジッタ最適点探索時間を短縮することが可能な信号処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の課題を解決するため、請求項1の発明は、
少なくとも2つのパラメータによって周波数特性が設定されるフィルタに、光ディスクから読み取られた信号を通過させて波形整形を行う波形整形手段と、
前記波形整形手段から出力される信号を2値化した2値化信号を出力する2値化手段と、
前記2値化信号に同期したクロック信号を生成するPLL回路と、
前記2値化信号とクロック信号との位相のずれが小さいほど大きな値を示すジッタ指標値を出力するジッタ検出手段と、
前記ジッタ指標値に基づいて、前記フィルタに設定されるパラメータを決定し、前記フィルタに設定するパラメータ設定手段と、
を備え、
前記パラメータ設定手段は、前記2つのパラメータを2つの座標軸とする座標平面上の所定の3つの点をa,b,cとし、各点に対応する2つのパラメータをそれぞれ前記フィルタに設定したときに検出される前記ジッタ指標値をA,B,C(ただし、A≦B≦Cとする。)とし、所定の重み付け係数をα,β(ただし、1≦α≦βとする。)としたときに、前記座標平面において、
線分abをBα/(A+Bα):A/(A+Bα)に内分した点、
線分bcをCβ/(Bα+Cβ):Bα/(Bα+Cβ)に内分した点、および
線分caをA/(A+Cβ):Cβ/(A+Cβ)に内分した点、
の3つの点によって形成される三角形領域の重心点を求め、その重心点に対応する2つのパラメータを前記フィルタに設定するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
これにより,ジッタ値の分布に即したジッタ最適点を求めることができ、前記三角形領域の各頂点におけるジッタ値を各1回測定するだけで高い探索精度が得られる。また、前記座標平面上におけるジッタ最適点を3点のジッタ測定によって求めることができるので、ジッタ最適点探索時間を大幅に短縮することができる。
【0019】
また、請求項2の発明は、
請求項1の信号処理装置であって、
さらに、前記座標平面上の所定の4つ以上の点から成る多角形領域における互いに隣り合う2つの頂点、および前記多角形領域の重心点から成る三角形領域のうち、前記2つの頂点および多角形領域の重心点にそれぞれ対応する前記ジッタ指標値の総和が最大になる三角形領域を求める三角形領域決定部を備え、
前記パラメータ設定手段は、前記三角形領域決定部によって求められた三角形領域を前記座標平面上の所定の3つの点として、前記フィルタに設定するパラメータを求めるように構成されていることを特徴とする。
【0020】
これにより、前記三角形領域を探索する場合に比べてより広範囲の探索を行うことができる。
【0021】
また、請求項3の発明は、
請求項1の信号処理装置であって、
さらに、前記座標平面上の所定の4つ以上の点からなる多角形領域における互いに隣り合う2つの頂点、および前記多角形領域の重心点から成る三角形領域のうち、前記2つの頂点、前記2つの頂点の中点、および多角形領域の重心点にそれぞれ対応する前記ジッタ指標値の総和が最大になる三角形領域を求める三角形領域決定部を備え、
前記パラメータ設定手段は、前記三角形領域決定部によって求められた三角形領域を前記座標平面上の所定の3つの点として、前記フィルタに設定する2つのパラメータを求めるように構成されていることを特徴とする。
【0022】
これにより、より高精度にジッタ最適値を含む前記三角形領域を求めることができる。
【0023】
また、請求項4の発明は、
請求項2、および請求項3のうちの何れか1項の信号処理装置であって、
前記三角形領域決定部は、パラメータ設定手段が求めた前記重心点を重心点とする新たな多角形領域について、前記ジッタ指標値の総和が最大になる三角形領域を求めるように構成され、
前記パラメータ設定手段は、繰り返し、前記三角形領域の重心点を求めるように構成されていることを特徴とする。
【0024】
これにより、探索領域を変更して、繰り返し探索を行うことによって、より精度よくジッタ最適値を検出できる。
【0025】
また、請求項5の発明は、
請求項4の信号処理装置であって、
前記パラメータ設定手段は、
前記多角形領域の大きさが所定の大きさ以下になった場合、
前記パラメータ設定手段がN回目(Nは自然数)の繰り返しで求めた2つのパラメータとN+1回目の繰り返しで求めた2つのパラメータのそれぞれ対応する2つのパラメータのそれぞれの差の絶対値の合計が所定値以下になった場合、
前記パラメータ設定手段が求めた重心点に対応するジッタ指標値が所定値より大きな場合、
または前記パラメータ設定手段が求めた重心点に対応するジッタ指標値が多角形領域の頂点に対応するジッタ指標値よりも大きな場合、
の少なくとも何れか1つの場合に前記繰り返しを中止するように構成されていることを特徴とする。
【0026】
これにより、より少ない繰り返し回数でジッタ最適値の探索を終え、最適値探索時間を短縮することが可能になる。
【0027】
また、請求項6の発明は、
請求項1から請求項5のうちの何れか1項の信号処理装置、および光ディスクから信号を読み取る光ピックアップを有することを特徴とする。
【0028】
これにより、最適なジッタ値で、光ディスクの再生が可能になる。
【0029】
また、請求項7の発明は、
少なくとも2つのパラメータによって周波数特性が設定されるフィルタに、光ディスクから読み取られた信号を通過させて波形整形を行う波形整形手段と、
前記波形整形手段から出力される信号を2値化した2値化信号を出力する2値化手段と、
前記2値化信号に同期したクロック信号を生成するPLL回路と、
前記2値化信号とクロック信号との位相のずれが小さいほど大きな値を示すジッタ指標値を出力するジッタ検出手段と、
前記ジッタ指標値に基づいて、前記フィルタに設定されるパラメータを決定し、前記フィルタに設定するパラメータ設定手段と、
を備えた信号処理装置における信号処理方法であって、
前記パラメータ設定手段において、前記2つのパラメータを2つの座標軸とする座標平面上の所定の3つの点をa,b,cとし、各点に対応する2つのパラメータをそれぞれ前記フィルタに設定したときに検出される前記ジッタ指標値をA,B,C(ただし、A≦B≦Cとする。)とし、所定の重み付け係数をα,β(ただし、1≦α≦βとする。)としたときに、前記座標平面において、
線分abをBα/(A+Bα):A/(A+Bα)に内分した点、
線分bcをCβ/(Bα+Cβ):Bα/(Bα+Cβ)に内分した点、および
線分caをA/(A+Cβ):Cβ/(A+Cβ)に内分した点、
の3つの点によって形成される三角形領域の重心点を求め、その重心点に対応する2つのパラメータを前記フィルタに設定することを特徴とする。
【0030】
これにより,ジッタ値の分布に即したジッタ最適点を求めることができ、前記三角形領域の各頂点におけるジッタ値を各1回測定するだけで高い探索精度が得られる。また、前記座標平面上におけるジッタ最適点を3点のジッタ測定によって求めることができるので、ジッタ最適点探索時間を大幅に短縮することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ジッタ最適点探索精度を向上させることができ、またジッタ最適点探索時間を短縮することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態として、例えば再生信号の高周波成分のノイズを除去するローパスフィルタの遮断周波数(FC)、および前記再生信号の高域成分を増幅する際のブースト量(BST)を求め、求めたパラメータを用いて再生信号のジッタ値が小さくなるように調整する信号処理装置を備えた光ディスク再生装置の例を図面を参照しながら説明する。
【0033】
《発明の実施形態1》
図1は、発明の実施形態1に係る信号処理装置120、およびこれを用いた光ディスク再生装置100の構成を示すブロック図である。
【0034】
光ディスク再生装置100は、同図に示すように、光ピックアップ110、再生信号検出部121、再生信号波形整形部122、再生信号2値化部123、PLL回路124、ジッタ検出部125、およびジッタ最適値探索部126を備え、光ディスク800に記録された情報を再生するようになっている。
【0035】
光ピックアップ110は、光ディスク800に記録された情報を読み取るようになっている。
【0036】
前記再生信号検出部121、再生信号波形整形部122、再生信号2値化部123、PLL回路124、ジッタ検出部125、およびジッタ最適値探索部126によって信号処理装置120が構成され、前記遮断周波数(FC)、およびブースト量(BST)を2つのパラメータとして仮想的に定義される平面(2変数平面)を、例えば図2に示すように三角形領域に分割(三角形領域を抽出)し、前記三角形領域内でジッタ値が最適になるパラメータを求め、求めたパラメータに基づいて、ジッタ値を調整するようになっている。
【0037】
再生信号検出部121は、光ピックアップ110が読み取った信号を基に、光ディスク800上に記録された情報を示す複数の周波数成分からなる再生信号を検出するようになっている。
【0038】
再生信号波形整形部122は、再生信号検出部121が出力した再生信号に混入している不要な高周波成分のノイズを除去するための図示しないローパスフィルタの遮断周波数(FC)を設定するローパスフィルタ設定部122a、および前記再生信号の高域成分を増幅する際のブースト量(BST)を設定する高域増幅率設定部122bを備えて構成され、再生信号検出部121が出力した再生信号を通すフィルターの周波数特性を変更(波形等化)する複数のパラメータを設定することで波形整形を行うようになっている。
【0039】
再生信号2値化部123は、再生信号波形整形部122によって波形整形された再生信号を所定の閾値で2値化した信号(2値化再生信号)を生成するようになっている。
【0040】
PLL回路124は、光ディスク800に対する情報の記録または再生を行う際に基準となるクロック信号と2値化再生信号との時間的な位相の同期化を行うようになっている。
【0041】
ジッタ検出部125は、前記2値化再生信号と前記クロック信号の時間的な位相のずれ度合いを示すジッタ値を検出し、ジッタ値が良好な(小さな)度合いに応じて大きな値を示すジッタ指標値を出力するようになっている。
【0042】
ジッタ最適値探索部126は、前記三角形領域の各頂点(測定点)に対応する前記2つのパラメータを再生信号波形整形部122に設定し、ジッタ検出部125が出力したジッタ指標値から前記三角形領域内でジッタ最適点(ジッタ値が最小の点の近傍の点)を求め、ジッタ最適点における前記2つのパラメータを求めるようになっている。
【0043】
次に、本光ディスク再生装置の動作について説明する。
【0044】
光ピックアップ110が光ディスク800から読み取った情報は、再生信号検出部121によって、再生信号として検出される。再生信号波形整形部122は、後述するように設定された遮断周波数(FC)、およびブースト量(BST)に基づいて、前記再生信号の不要な高周波成分のノイズの除去、および高域成分の増幅を行うことによって、再生信号の波形整形を行う。再生信号2値化部123は、波形整形された再生信号を所定の閾値で2値化した2値化再生信号を出力する。そして、PLL回路124が、前記2値化再生信号と前記クロック信号との位相の同期化を行って再生信号を出力することによって、光ディスク800の情報が再生される。
【0045】
再生信号波形整形部122の遮断周波数(FC)、およびブースト量(BST)は、ジッタ最適値探索部126が図3のフローチャートに示す処理(S101〜S106)を行うことによって設定される。各処理の内容は、次のようになっている。
【0046】
[S101] 前記2変数平面の3つのジッタ測定点130a、130b、および130cを決定する(図2を参照。)。
【0047】
[S102] 3つのジッタ測定点の何れか1つのジッタ測定点に対応した遮断周波数(FC)、およびブースト量(BST)を再生信号波形整形部122に設定する。
【0048】
[S103] ジッタ検出部125は、PLL回路124の出力する2値化再生信号のジッタ値を検出し、検出した値に応じた前記ジッタ指標値を出力する。
【0049】
[S104] 3つのの測定点の全てについてジッタ値の検出が終了したかどうかを判定する。終了していない場合は、S102に戻る。
【0050】
[S105] 前記3つのジッタ指標値を用いて、後述する手順でジッタ最適点130eを求める。
【0051】
[S106] ジッタ最適点130eにおける遮断周波数(FC)、およびブースト量(BST)を再生信号波形整形部122に設定する。
【0052】
前記S105において、ジッタ最適値探索部126は、次のようにしてジッタ最適点130eを求める。
【0053】
まず、3つのジッタ測定点130a、130b、および130cにおける前記ジッタ指標値がそれぞれA、B、およびC(ただし、A≦B≦C)であるとすれば、図4に示すように、ジッタ測定点130aとジッタ測定点130bとを結ぶ線分をL1:L2の比(L1、L2...L6は、後述する式(1)により算出される。)に分割する算出点130f、ジッタ測定点130bとジッタ測定点130cとを結ぶ線分をL3:L4の比で分割する算出点130g、およびジッタ測定点130cとジッタ測定点130aとを結ぶ線分をL5:L6の比で分割する算出点130hを下記の式(1)を用いて求める。
L1 = Bα/(A+Bα)
L2 = A/(A+Bα)
L3 = Cβ/(Bα+Cβ)
L4 = Bα/(Bα+Cβ)
L5 = A/(A+Cβ)
L6 = Cβ/(A+Cβ) ・・・(1)
ただし、α、βは、1≦α≦βの所定の定数である。
【0054】
次に、算出点130f、算出点130g、および算出点130hを頂点とする三角形の重心をジッタ最適点130eとして求める。このジッタ最適点130eは、重心130dとは異なる点(移動した点)になる。
【0055】
前記のように、各ジッタ指標値に(A、Bα、Cβ)のように重み付けをしてジッタ最適点130eを求めることによって、ジッタ値の分布に即したジッタ最適点を求めることができ、前記3つのジッタ測定点を各1回測定するだけで高い探索精度が得られる。
【0056】
また、分割領域中の2変数平面におけるジッタ最適点を3点のジッタ測定によって求めることができるので、ジッタ最適点探索時間を大幅に短縮することができる。
【0057】
《発明の実施形態2》
発明の実施形態2に係る光ディスク再生装置は、前記2変数平面上の所定の4角形領域において探索を行うように構成された装置の例である。なお、以下の実施形態において前記実施形態1等と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
図5は、発明の実施形態2に係る光ディスク再生装置200の構成を示すブロック図である。同図に示すように、光ディスク再生装置200の信号処理装置220は、実施形態1の信号処理装置120に対し、ジッタ検出部125とジッタ最適値探索部126の間にFC、BST平面分割部227を備えて構成される。
【0059】
FC、BST平面分割部227は、前記2変数平面における所定の4角形領域をその重心と4角形の各頂点を結ぶ線分によって4つの三角形領域に分割し、前記4角形領域の頂点4つと前記重心の計5点についてジッタ検出部125によりジッタ値の計測を行い、各三角形領域ごとに3つの頂点のジッタ指標値の総和を求め、総和が最も大きなものをジッタ値が最適になる前記2つのパラメータの組み合わせを含む三角形領域として求めるようになっている。
【0060】
このように構成された、光ディスク再生装置200では、以下のようにしてジッタ最適点が探索される。
【0061】
まず、FC、BST平面分割部227は、前記2変数平面を図6に示すように4角形の領域に分割し、分割した4角形の頂点と重心をジッタ測定点とし、各ジッタ測定点に対応する前記2つのパラメータを再生信号波形整形部122に順次設定し、5つのジッタ測定点のジッタ値をジッタ検出部125で測定する。そして、各三角形領域ごとに3つの頂点のジッタ指標値を加算し、もっとも大きなジッタ指標値を示した最適分割領域230aを求める。この最適分割領域230aの範囲内には、多くの場合、分割した4角形内のジッタ指標値が最大となる点が含まれている。
【0062】
次に、最適分割領域230aに対し、ジッタ最適値探索部126は、実施形態1と同様にして、ジッタ最適値としてジッタ最適値230bを求める(図6を参照)。
【0063】
前記のように、本実施形態は、4角形に分割した領域中のジッタ最適値を5点のジッタ測定によって探索することができ、ジッタ最適値探索時間を大幅に短縮することができる。また、実施形態1の装置に比べてより広範囲の探索を行うことができる。
【0064】
なお、FC、BST平面分割部227が前記三角形領域を探索するのは、前記で説明したような4角形領域には限られない。具体的には、多角形の図心のような多角形の内部にある点と多角形の各頂点とによって構成される三角形領域に対して前記のように探索を行い、ジッタ最適値を含む三角形領域を探索するようにすればよい。
【0065】
《発明の実施形態3》
図7は、発明の実施形態3に係る光ディスク再生装置300の構成を示すブロック図である。同図に示すように、光ディスク再生装置200は、実施形態2の装置に対し、信号処理装置320の構成、すなわち信号処理装置320が実施形態2の信号処理装置220のジッタ最適値探索部126に代えてジッタ最適値複数回絞込み探索部326を備えて構成されている点が異なっている。
【0066】
ジッタ最適値複数回絞込み探索部326は、以下のようにしてジッタ最適値を求め、その最適値に対応する前記2つのパラメータを再生信号波形整形部122に設定するようになっている。
【0067】
すなわち、高域増幅率設定部122bにおいて設定できるブースト量(BST)の幅がX、ローパスフィルタ設定部122aにおいて設定できる遮断周波数(FC)の幅がYであるとすれば、FC、BST平面分割部227において、探索第1回目に分割する4角形領域のBST軸方向の辺の長さをX/R1(R1は所定の定数、また、後述するR2、R3も同様に所定の定数)、FC軸方向の辺の長さをY/R1とする。FC、BST平面分割部227は、この4角形領域におけるジッタ最適値を含む三角形領域を探索する。ジッタ最適値複数回絞込み探索部326は、実施形態1等のジッタ最適値探索部126が求めるのと同様にして、この三角形領域におけるジッタ値の最適値を探索1回目のジッタ最適値として求める。次に、探索領域をBST軸の辺の長さがX/R2、FC軸の辺の長さがY/R2、重心が探索1回目のジッタ最適値である4角形領域に変更し、これを2回目の探索領域とし、探索1回目と同様にしてジッタ最適値の探索を行うことによって、探索2回目のジッタ最適値を得る。このように新たに求めたジッタ最適値を重心とする4角形領域に対して探索を繰り返し、分割する4角形領域の辺の長さが、次の式(2)のようになったとき探索を終了し、そのジッタ最適値に対応する前記2つのパラメータを再生信号波形整形部122に設定する。
【0068】
X/A = Z または Y/A = Z (A=R1、R2、R3・・・、Zは所定の定数)・・・(2)
このように構成された光ディスク再生装置300では、前記式(2)におけるA、Zの値によって探索パターンを任意に設定することができる。例えば、図8は、(R2=R1×2、R3=R2×2・・・)というように探索回数が1増える毎に分割する辺の長さを半分に変更しながら探索を行う例である。
【0069】
また、図9は、(R2=R1/2、R3=R2/2・・・)というように探索回数が1増える毎に分割する辺の長さを倍に変更しながら探索を行う場合の例であり、図10は、(R2=R1、R3=X/4、Z=4=X/R3)として、探索1回目と探索2回目とを同じ辺の長さで探索を行い、探索3回目で辺の長さ=4で探索した後、終了条件(Z=4)を満たすために探索を終える例である。
【0070】
前記のように、本実施形態では、前記2変数平面上のジッタ最適値が、探索1回目に分割した領域外に存在した場合においても、前記のように複数回探索を行うことで、ジッタ最適値に追い込むことができるため、より精度の高いジッタ最適値探索を行うことが可能になる。
【0071】
なお、本実施形態においてFC、BST平面分割部227が、前記4角形領域ではなく多角形領域を探索する場合には、多角形領域の辺の長さや多角形領域の面積などが所定の大きさ以下になった場合に、前記探索を終えるようにしてもよい。
【0072】
《発明の実施形態4》
図11は、発明の実施形態4に係る光ディスク再生装置400の構成を示すブロック図である。同図に示すように、光ディスク再生装置400は、実施形態3とは、信号処理装置420の構成が異なり、信号処理装置420は、実施形態3の信号処理装置320に補正幅閾値探索終了判定部428を加えて構成されている。
【0073】
補正幅閾値探索終了判定部428は、ジッタ最適値複数回絞込み探索部326が複数回探索を行う際に、探索N回目のジッタ最適点における遮断周波数(FC)と探索N+1回目のジッタ最適点における遮断周波数(FC)との差、および探索N回目のジッタ最適点におけるブースト量(BST)と探索N+1回目のジッタ最適点におけるブースト量(BST)との差が所定の設定値以下になった場合に、ジッタ最適値複数回絞込み探索部326における探索をN+1回目で終了させると判定するようになっている。具体的には、探索N回目のジッタ最適値の前記2変数平面上の座標が(Xn,Yn)(nは探索回数、n=1,2,3…)、探索(N+1)回目のジッタ最適値の座標が(Xn+1,Yn+1)(n=1,2,3…)であるとき、補正幅閾値探索終了判定部428において、探索を終了すると判定する判定基準を式(3)のように定義し、
|Xn−Xn+1|+|Yn−Yn+1| < M (M:所定の定数)・・・(3)
式(3)を満足するまで探索を繰り返す。式(3)を満たしたときは、探索N回目のジッタ最適値と探索N+1回目のジッタ最適値が前記2変数平面平面において近い値になったことを意味し、それ以上探索を重ねる必要がないことを示している。
【0074】
前記のように、本実施形態では、ジッタ分布によっては前記式(2)の探索終了条件を満足する前に探索を終了できるので、実施形態3の装置よりも少ない繰り返し回数で最適値探索が終わることになり、最適値探索時間を短縮することができる。
【0075】
《発明の実施形態5》
図12は、発明の実施形態5に係る光ディスク再生装置500の構成を示すブロック図である。同図に示すように、光ディスク再生装置500は、実施形態4の補正幅閾値探索終了判定部428に代えてジッタ閾値探索終了判定部528を備えて構成されている。
【0076】
ジッタ閾値探索終了判定部528は、前記補正幅閾値探索終了判定部428とは、ジッタ最適値複数回絞込み探索部326における探索を終了させる場合の判定基準が異なっている。
【0077】
すなわち、探索N回目のジッタ最適点におけるジッタ指標値が次に示す式(4)を満足した場合に、ジッタ最適値複数回絞込み探索部326での探索を終了させると判定する。
【0078】
探索N回目のジッタ最適点におけるジッタ指標値 > J (J:所定のジッタ指標値)・・・(4)
前記のように、本実施形態でも、ジッタ分布によっては前記式(2)の探索を終了条件を満足する前に探索を終了できるので、実施形態3の装置よりも少ない繰り返し回数で最適値探索が終わることになり、最適値探索時間を短縮することができる。
【0079】
《発明の実施形態6》
図13は、発明の実施形態6に係る光ディスク再生装置600の構成を示すブロック図である。同図に示すように、光ディスク再生装置600は、実施形態4の補正幅閾値探索終了判定部428に代えて交点最適時探索終了判定部628を備えて構成されている。
【0080】
交点最適時探索終了判定部628は、前記補正幅閾値探索終了判定部428とは、ジッタ最適値複数回絞込み探索部326における探索を終了させる場合の判定基準が異なっている。
【0081】
すなわち、交点最適時探索終了判定部628は、探索N回目において、前記FC、BST平面分割部227によって分割した4角形領域の頂点と前記4角形領域の重心の計5つのジッタ測定点中、前記重心のジッタ指標値が他の測定点におけるジッタ指標値よりも大きな値であった場合、探索N回目でジッタ最適値複数回絞込み探索部326での探索を終了させると判定するようになっている。
【0082】
前記のように、本実施形態でも、ジッタ分布によっては前記式(2)の探索を終了条件を満足する前に探索を終了できるので、実施形態3の装置よりも少ない繰り返し回数で最適値探索が終わることになり、最適値探索時間を短縮することができる。
【0083】
《発明の実施形態7》
図14は、発明の実施形態7に係る光ディスク再生装置700の構成を示すブロック図である。同図に示すように、光ディスク再生装置700は、実施形態2のFC、BST平面分割部227に代えてFC、BST平面9点分割部727を備えて構成されている。
【0084】
FC、BST平面9点分割部727は、前記2変数平面における4角形の領域をその重心と4角形の各頂点を結ぶ線分によって4つの三角形領域に分割し、前記4角形の4つの頂点、前記重心、さらに4角形の各辺の中点の計9点についてジッタ検出部125によりジッタ値の計測を行い、各三角形領域ごとに3つの頂点、およびその三角形の一つの辺に含まれる前記中点のジッタ指標値の総和を求め、総和がもっとも大きなものをジッタ値が最適になる前記2つのパラメータの組み合わせを含む三角形領域として求めるようになっている。
【0085】
このように構成された光ディスク再生装置700では、以下のようにしてジッタ最適点が探索され、前記2つのパラメータが設定される。
【0086】
例えば、図15に示す2変数平面の4角形領域において、ジッタ測定点730a〜730dを4角形の頂点、ジッタ測定点730eを重心、ジッタ測定点730f〜730iを各辺の中点とすれば、FC、BST平面9点分割部727は、これら9つのジッタ測定点について、ジッタ検出部125によってジッタ値を測定する。そして、各三角形領域ごとにその三角形領域に含まれる4つのジッタ測定点におけるジッタ指標値の総和を求め、総和がもっとも大きな三角形領域をジッタ値が最適にな前記2つのパラメータの組み合わせを含む三角形領域として求める。ジッタ最適値探索部126は、この三角形領域におけるジッタ最適値を求め、この場合の2つのパラメータを再生信号波形整形部122に設定する。
【0087】
前記実施形態2の装置では確実にジッタ最適値を含む領域を選択できないようなジッタ分布であっても、本実施形態は、ジッタ測定点を増加することで、ジッタ最適点を含む領域を選択する際の精度を実施形態2の装置よりも向上することができる。
【0088】
なお、前記各実施形態で説明した構成要素は、論理的に可能な範囲で種々に組み合わせてもよい。具体的には、例えば、実施形態7においても、ジッタ最適値探索部126の代わりに実施形態3のジッタ最適値複数回絞込み探索部326を設けたり、さらに補正幅閾値探索終了判定部428、ジッタ閾値探索終了判定部528、または交点最適時探索終了判定部628を用いてジッタ最適値複数回絞込み探索部326の探索の終了を判定するようにしてもよい。また、補正幅閾値探索終了判定部428、ジッタ閾値探索終了判定部528、および交点最適時探索終了判定部628は、これらを組み合わせて、ジッタ最適値複数回絞込み探索部326の探索の終了を判定するようにしてもよい。
【0089】
また、ジッタ最適値複数回絞込み探索部326では、探索の終了の判定を行わず、補正幅閾値探索終了判定部428、ジッタ閾値探索終了判定部528、または交点最適時探索終了判定部628で探索の終了の判定を行うようにしてもよい。
【0090】
また、再生信号の波形に影響する複数のパラメータとして説明した前記遮断周波数(FC)、およびブースト量(BST)は例示であり、ジッタ値の分布が唯一つのピーク値を持つ単峰状の分布を示すような関係を有する2つのパラメータであれば本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明に係る信号処理装置は ジッタ最適点探索精度を向上させることができ、またジッタ最適点探索時間を短縮することが可能になるという効果を有し、光ディスク再生装置等に適用され、例えば光ディスクを再生する際の再生信号の高周波成分のノイズを除去するローパスフィルタの遮断周波数などの再生信号の波形に影響する複数のパラメータのうちの2つのパラメータの最適な組合せを探索し、探索したパラメータを用いて再生などの信号処理を行う信号処理装置、信号処理方法、および光ディスク再生装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施形態1に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態1においてジッタ値が最適となるパラメータが探索される領域を示す図である。
【図3】実施形態1においてジッタ最適値を求める手順を示すフローチャートである。
【図4】実施形態1においてジッタ最適値を求める方法を示す図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図6】実施形態2におけるジッタ最適値の探索方法を示す図である。
【図7】本発明の実施形態3に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図8】実施形態3におけるジッタ最適値の探索方法を示す図である。
【図9】実施形態3における他のジッタ最適値の探索方法を示す図である。
【図10】実施形態3における他のジッタ最適値の探索方法を示す図である。
【図11】本発明の実施形態4に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施形態5に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施形態6に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施形態7に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図15】実施形態7におけるジッタ最適値の探索方法を示す図である。
【図16】従来の光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図17】遮断周波数(FC)、およびブースト量(BST)をパラメータとした場合のジッタ値分布を示す図である。
【図18】従来の装置におけるジッタ最適値の探索方法を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
100 光ディスク再生装置
110 光ピックアップ
120 信号処理装置
121 再生信号検出部
122 再生信号波形整形部
122a ローパスフィルタ設定部
122b 高域増幅率設定部
123 再生信号2値化部
124 PLL回路
125 ジッタ検出部
126 ジッタ最適値探索部
130a ジッタ測定点
130b ジッタ測定点
130c ジッタ測定点
130d 重心
130e ジッタ最適点
130f 算出点
130g 算出点
130h 算出点
200 光ディスク再生装置
220 信号処理装置
227 BST平面分割部
230a 最適分割領域
230b ジッタ最適値
300 光ディスク再生装置
320 信号処理装置
326 探索部
400 光ディスク再生装置
420 信号処理装置
428 補正幅閾値探索終了判定部
500 光ディスク再生装置
528 ジッタ閾値探索終了判定部
600 光ディスク再生装置
628 交点最適時探索終了判定部
700 光ディスク再生装置
727 点分割部
730a〜730i ジッタ測定点
800 光ディスク
900 信号処理装置
910 光ピックアップ
921 再生信号検出部
922 再生信号波形整形部
923 再生信号2値化部
924 PLL回路
925 ジッタ検出部
926 ジッタ最適値検出部
930 ジッタ最小値
940 領域
940a〜940d 分割領域
950a 重心
950a〜950d 重心
950e 接点
960a〜960d 第2分割領域
970a〜970d 重心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのパラメータによって周波数特性が設定されるフィルタに、光ディスクから読み取られた信号を通過させて波形整形を行う波形整形手段と、
前記波形整形手段から出力される信号を2値化した2値化信号を出力する2値化手段と、
前記2値化信号に同期したクロック信号を生成するPLL回路と、
前記2値化信号とクロック信号との位相のずれが小さいほど大きな値を示すジッタ指標値を出力するジッタ検出手段と、
前記ジッタ指標値に基づいて、前記フィルタに設定されるパラメータを決定し、前記フィルタに設定するパラメータ設定手段と、
を備え、
前記パラメータ設定手段は、前記2つのパラメータを2つの座標軸とする座標平面上の所定の3つの点をa,b,cとし、各点に対応する2つのパラメータをそれぞれ前記フィルタに設定したときに検出される前記ジッタ指標値をA,B,C(ただし、A≦B≦Cとする。)とし、所定の重み付け係数をα,β(ただし、1≦α≦βとする。)としたときに、前記座標平面において、
線分abをBα/(A+Bα):A/(A+Bα)に内分した点、
線分bcをCβ/(Bα+Cβ):Bα/(Bα+Cβ)に内分した点、および
線分caをA/(A+Cβ):Cβ/(A+Cβ)に内分した点、
の3つの点によって形成される三角形領域の重心点を求め、その重心点に対応する2つのパラメータを前記フィルタに設定するように構成されていることを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
請求項1の信号処理装置であって、
さらに、前記座標平面上の所定の4つ以上の点から成る多角形領域における互いに隣り合う2つの頂点、および前記多角形領域の重心点から成る三角形領域のうち、前記2つの頂点および多角形領域の重心点にそれぞれ対応する前記ジッタ指標値の総和が最大になる三角形領域を求める三角形領域決定部を備え、
前記パラメータ設定手段は、前記三角形領域決定部によって求められた三角形領域を前記座標平面上の所定の3つの点として、前記フィルタに設定するパラメータを求めるように構成されていることを特徴とする信号処理装置。
【請求項3】
請求項1の信号処理装置であって、
さらに、前記座標平面上の所定の4つ以上の点からなる多角形領域における互いに隣り合う2つの頂点、および前記多角形領域の重心点から成る三角形領域のうち、前記2つの頂点、前記2つの頂点の中点、および多角形領域の重心点にそれぞれ対応する前記ジッタ指標値の総和が最大になる三角形領域を求める三角形領域決定部を備え、
前記パラメータ設定手段は、前記三角形領域決定部によって求められた三角形領域を前記座標平面上の所定の3つの点として、前記フィルタに設定する2つのパラメータを求めるように構成されていることを特徴とする信号処理装置。
【請求項4】
請求項2、および請求項3のうちの何れか1項の信号処理装置であって、
前記三角形領域決定部は、パラメータ設定手段が求めた前記重心点を重心点とする新たな多角形領域について、前記ジッタ指標値の総和が最大になる三角形領域を求めるように構成され、
前記パラメータ設定手段は、繰り返し、前記三角形領域の重心点を求めるように構成されていることを特徴とする信号処理装置。
【請求項5】
請求項4の信号処理装置であって、
前記パラメータ設定手段は、
前記多角形領域の大きさが所定の大きさ以下になった場合、
前記パラメータ設定手段がN回目(Nは自然数)の繰り返しで求めた2つのパラメータとN+1回目の繰り返しで求めた2つのパラメータのそれぞれ対応する2つのパラメータのそれぞれの差の絶対値の合計が所定値以下になった場合、
前記パラメータ設定手段が求めた重心点に対応するジッタ指標値が所定値より大きな場合、
または前記パラメータ設定手段が求めた重心点に対応するジッタ指標値が多角形領域の頂点に対応するジッタ指標値よりも大きな場合、
の少なくとも何れか1つの場合に前記繰り返しを中止するように構成されていることを特徴とする信号処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちの何れか1項の信号処理装置、および光ディスクから信号を読み取る光ピックアップを有することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項7】
少なくとも2つのパラメータによって周波数特性が設定されるフィルタに、光ディスクから読み取られた信号を通過させて波形整形を行う波形整形手段と、
前記波形整形手段から出力される信号を2値化した2値化信号を出力する2値化手段と、
前記2値化信号に同期したクロック信号を生成するPLL回路と、
前記2値化信号とクロック信号との位相のずれが小さいほど大きな値を示すジッタ指標値を出力するジッタ検出手段と、
前記ジッタ指標値に基づいて、前記フィルタに設定されるパラメータを決定し、前記フィルタに設定するパラメータ設定手段と、
を備えた信号処理装置における信号処理方法であって、
前記パラメータ設定手段において、前記2つのパラメータを2つの座標軸とする座標平面上の所定の3つの点をa,b,cとし、各点に対応する2つのパラメータをそれぞれ前記フィルタに設定したときに検出される前記ジッタ指標値をA,B,C(ただし、A≦B≦Cとする。)とし、所定の重み付け係数をα,β(ただし、1≦α≦βとする。)としたときに、前記座標平面において、
線分abをBα/(A+Bα):A/(A+Bα)に内分した点、
線分bcをCβ/(Bα+Cβ):Bα/(Bα+Cβ)に内分した点、および
線分caをA/(A+Cβ):Cβ/(A+Cβ)に内分した点、
の3つの点によって形成される三角形領域の重心点を求め、その重心点に対応する2つのパラメータを前記フィルタに設定することを特徴とする信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−127581(P2006−127581A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311308(P2004−311308)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】