説明

光ディスク及び光ディスク用紫外線硬化型組成物

【課題】 長時間にわたる荷重に対して、光透過層の変形が少なく、信号再生に優れた光ディスク及び光透過層に用いる紫外線硬化型組成物を提供する。
【解決手段】 稜間角136°のビッカース圧子を用いて荷重100mNで押し込むことによって得られる弾性率(25℃)が2000MPa以上で、且つ、荷重100mNで60秒間保持した時の塑性変形率が25%以下である光透過層を有する光ディスクにより、押し込み弾性率が高く、更に一定時間、一定荷重を与えた際の変形率が低い硬化膜により、変形しにくい光透過層を実現でき、長期間にわたる荷重に対しても、光透過層の変形が少なく、信号再生に優れた長期信頼性の高い光ディスクを実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも光反射層と光透過層とが形成され、前記光透過層を通して370nm〜430nmの範囲内に発振波長を有する半導体レーザー(以下ブルーレーザーと称す)により記録又は再生を行う光ディスクの光透過層に適した紫外線硬化型組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度記録可能な光ディスクとして主流となっているDVD(Digital Versatile Disc)は厚さ0.6mmの2枚の基板を接着剤で貼り合わせた構造を有している。DVDにおいては高密度化を達成するため、CD(Compact Disc)に比べ短波長の650nmのレーザーを用い、光学系も高開口数化している。
【0003】
しかし、HDTV(high definition television)に対応した高画質の映像等を記録または再生する為には更なる高密度化が必要となる。DVDの次世代に位置する更なる高密度記録の方法及びその光ディスクの検討が行われており、DVDよりも更に短波長のブルーレーザー及び高開口数の光学系を用いる新しい光ディスク構造による高密度記録方式が提案されている。
【0004】
この新しい光ディスクはポリカーボネート等のプラスチックで形成される透明又は不透明の基板上に記録層を形成し、次いで記録層上に約100μmの光透過層を積層してなり、該光透過層を通して記録光又は再生光が、あるいはその両方が入射する構造の光ディスクである。この光ディスクの光透過層には、生産性の観点から、紫外線硬化型組成物を使用することがもっぱら研究されている。
【0005】
ブルーレーザーを使用した光ディスクは長期に安定した記録再生特性を保持する必要がある。そのため、光透過層は、長期間の使用においても、その表面の変形や、傷付きにより、記録再生特性に悪影響を与えないことが望まれる。DVD及びCDは、記録光又は再生光が入射する面に、ポリカーボネートが基板材料として使用されているが、上記光ディスクは、紫外線硬化型組成物が、入射面になるため、ポリカーボネートに比較して、長時間にわたり荷重が加わると、変形しやすい問題がある。
【0006】
ブルーレーザーにより記録又は再生を行う光ディスクの光透過層に使用する紫外線硬化型組成物としては、例えば、分子量400以上の高分子ポリオールによるウレタンアクリレートと多官能(メタ)アクリレートを含有する紫外線硬化型組成物が開示されている(特許文献1参照)。当該紫外線硬化型組成物は、光透過層に用いた場合に、透明性、表面硬度、耐久性を有する硬化膜を与えるものであるが、長時間にわたり荷重が加わると、変形が生じ、その結果、信号再生に悪影響を与える場合があった。
【0007】
【特許文献1】特開2007−238819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、長時間にわたる荷重に対して、光透過層の変形が少なく、信号再生に優れた光ディスク及び光透過層に用いる紫外線硬化型組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光ディスクは、稜間角136°のビッカース圧子を用いて荷重100mNで押し込むことによって得られる弾性率(25℃)が2000MPa以上で、且つ、荷重100mNで60秒間保持した時の塑性変形率が25%以下である光透過層を有する光ディスクである。外部からの荷重によって変形にしにくい光透過層を形成するには、押し込み弾性率が高く硬い硬化膜であることが望まれるが、長時間にわたる荷重に対しては、押し込み弾性率が高いだけでは、時間と共に塑性変形が生じ、不十分である。そこで、押し込み弾性率が高く、更に一定時間、一定荷重を与えた際の変形率が低い硬化膜により、変形しにくい光透過層を実現できることを見出した。更に、単官能(メタ)アクリレートモノマーの含有率を20質量%以下とすることにより、変形に対して優れた硬化膜を与えることを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、基板上に、少なくとも光反射層と、光透過層とが積層され、前記光透過層側からレーザー光を入射して情報の再生を行う光ディスクであって、光透過層が紫外線硬化型組成物の硬化膜であり、稜間角136°のビッカース圧子を用いて荷重100mNで押し込むことによって得られる弾性率(25℃)が2000MPa以上で、且つ、荷重100mNで60秒間保持した時の塑性変形率が25%以下である光透過層からなることを特徴とする光ディスクを提供する。更に、基板上に、少なくとも光反射層と、光透過層とが積層され、前記光透過層側からレーザー光を入射して情報の再生を行う光ディスクの光透過層に使用する紫外線硬化型組成物であって、稜間角136°のビッカース圧子を用いて荷重100mNで押し込むことによって得られる弾性率(25℃)が2000MPa以上で、且つ、荷重100mNで60秒間保持した時の塑性変形率が25%以下であることを満たし、単官能(メタ)アクリレートモノマーの含有率が20%以下である光ディスク用紫外線硬化型組成物を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光ディスクは、長期間にわたる荷重に対しても、光透過層の変形が少なく、信号再生に優れるため、長期信頼性の高い光ディスクを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の光ディスクは、基板上に、少なくとも光反射層と光透過層とが形成され、光透過層を通してレーザー光により記録又は再生を行う光ディスクであって、光透過層が紫外線硬化型組成物の硬化膜であり、稜間角136°のビッカース圧子を用いて荷重100mNで押し込むことによって得られる弾性率(25℃)が2000MPa以上で、且つ、荷重100mNで60秒間保持した時の塑性変形率が25%以下である光ディスクである。
【0013】
[基板]
本発明の光ディスクに使用する基板としては、ディスク形状の円形樹脂基板を使用でき、当該樹脂としてはポリカーボネートを好ましく使用できる。光ディスクが再生専用の場合には、基板上に情報記録を担うピットが光反射層と積層される表面に形成される。レーザー光の発振波長が370〜430nmであるブルーレーザーにより情報の読み取りを行うブルーレイディスクとして使用する際には、1.1mm程度の厚さの基板が使用できる。
【0014】
[光反射層]
本発明の光ディスクに使用する光反射層としては、レーザー光を反射し、記録・再生が可能な光ディスクを形成できるものであればよく、例えば、金、銅、アルミニウムなどの金属又はその合金、シリコンなどの無機化合物を使用できる。なかでも、400nm近傍の光の反射率が高いことから銀又は銀を主成分とする合金を使用することが好ましい。光反射層の厚さは、10〜60nm程度の厚さとすることが好ましい。
【0015】
[光透過層]
本発明の光ディスクに使用する光透過層は、稜間角136°のビッカース圧子を用いて荷重100mNで押し込むことによって得られる弾性率(25℃)が2000MPa以上で、且つ、荷重100mNで60秒間保持した時の塑性変形率が25%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは18%以下である光透過層を使用する。当該光透過層を使用することにより、長時間の荷重に対しても、変形が少ないので、良好に情報の記録・再生を行うことができる。
【0016】
ビッカース圧子を用いた弾性率及び塑性変形率は、ISO標準規格ISO14577に従って測定することができる。
ISO14577において、稜間角136°のビッカース圧子を押し込むことによって得られる弾性率は、押し込み弾性率EITとして表される。塑性変形率は、押し込みクリープCITと表され、次の式から求められる。

ここで、h1:荷重が100mNに達した時の押し込み深さ、h2:荷重が100mNに達した後に60秒間保持した時の押し込み深さ、である。
【0017】
ISO14577に従った測定器として、フィッシャー・インスツルメンツ製のフィッシャースコープHM2000を用いて測定することができる。
【0018】
測定は、測定器の試料台上に、光透過層の面が上になるように、光透過層を設けた光ディスクを載せ、光透過層の表面から、ビッカース圧子を押し込むことにより行う。測定に際し、光透過層表面にハードコートが施されていてもよいが、ハードコート層は5μm以下であれば、測定値に影響を与えない。
【0019】
本発明の光ディスクにおける光透過層は、レーザー光の発振波長が370〜430nmであるブルーレーザーを効率良く透過することが好ましく、100μmの厚さにおいて405nmの光の透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0020】
本発明の光ディスクにおける光透過層の厚みは70〜110μmであることが好ましい。光透過層の厚みは、通常、約100μmに設定されるが、厚みは光透過率や信号の読み取り及び記録に大きく影響を及ぼすため、十分な管理が必要である。光透過層は、当該厚さの硬化層単層で形成されていても、複数層が積層されていてもよい。
【0021】
本発明の光ディスクの光透過層は、紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる光透過層である。当該紫外線硬化型組成物は、上記弾性率と塑性変形率を有する硬化膜を形成できればよく、(メタ)アクリレートオリゴマー及び/又は(メタ)アクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化型組成物を好ましく使用できる。
【0022】
〔(メタ)アクリレートオリゴマー〕
光透過層を形成する紫外線硬化型組成物に使用する(メタ)アクリレートオリゴマーは、特に制限されず、各種のウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートを使用できる。なかでも紫外線硬化型組成物の(メタ)アクリロイル基濃度と硬化後の弾性率を上記範囲に調整しやすいことから、ウレタン(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレートを好ましく使用できる。ウレタン(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレートは、単独で使用しても良いし、また、併用しても良い。また、多官能の(メタ)アクリレートオリゴマーを使用することが好ましい。
【0023】
本発明の紫外線硬化型組成物中の(メタ)アクリレート中のオリゴマーの含有量は、使用する(メタ)アクリレートオリゴマーや(メタ)アクリレートモノマーの組み合わせにより適宜調整すれば良いが、紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の5〜70質量%程度とし、(メタ)アクリレートモノマーを30〜95質量%程度で調整することが好ましい。(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が70質量%以上になると、粘度が高くなりすぎ、ディスク基板への塗布性が不十分になる。
【0024】
〔ウレタン(メタ)アクリレート〕
ウレタン(メタ)アクリレートは、分子内に有するウレタン結合により、凝集性が向上し、凝集破壊が生じにくくなるため、得られる硬化物は好適な密着性を有する。また、酸素移動を抑制できることから、表面硬度の向上にも貢献する。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物と、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートも好ましく使用できる。また、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物と、分子内に2個のイソシアネート基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートも好ましく使用できる。
【0025】
2個以上のヒドロキシル基を有する化合物としては、ポリオール類が好ましく用いられ、その具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、エオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン等のアルキレンポリオール類、並びにこれらアルキレンポリオールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールが挙げられる。また、これらアルキレンポリオールと、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸等の多塩基酸との反応や、ε-カプロラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等の環状エステルの開環重合により得られるエステル結合を有するポリエステルポリオール、又は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物との反応により得られるカーボネート結合を有するポリカーボネートポリオールが挙げられる。さらに、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ポリグリセリン、及びこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの付加物、ε−カプロラクトン等のラクトン付加物があげられる。
【0026】
分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート類が挙げられる。なかでも、分子内に2個のイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物を好ましく使用でき、特にイソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン等の脂環式ジイソシアネート化合物は、色相の悪化が無く、かつ光線透過性も低下することがないため特に好ましい。
【0027】
ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、さらに、これらのε-カプロラクトン付加物等がある。2個以上のヒドロキシキル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる化合物でも良く、例えば、グリコール化合物のモノ(メタ)アクリレート体等が挙げられる。さらに、グリシジルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物も使用できる。
【0028】
上記ウレタン(メタ)アクリレートのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)としては、1000〜20000であることが好ましく、1500〜15000であることがより好ましい。なお、GPCによる重量平均分子量は、例えば、東ソー(株)社製 HLC−8220を用い、カラムはSuper HZM―M4本を使用し、溶媒はTHFを用い、1.0ml/minの流量でカラム温度が40℃、検出器温度が30℃、分子量は標準ポリスチレン換算で測定を行うことで特定される。
【0029】
〔エポキシ(メタ)アクリレート〕
また、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、分子内にエポキシ基を1個以上有する化合物とアクリル酸を反応させて得られるものであれば、特に制限がなく、ポリエステル、ポリエーテル、ゴムなどにより変性されていてもよい。残留する全塩素量は2000ppm以下であることが好ましい。
【0030】
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させることで得られたエポキシ(メタ)アクリレートを好ましく用いることができる。なかでも、ビスフェノール骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートは耐久性能に優れるため好ましく使用できる。
【0031】
グリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加ジグリシジルエーテル、ビスフェノールFあるいはそのアルキレンオキサイド付加ジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加ジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールFあるいはそのアルキレンオキサイド付加ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等を挙げることができ、これらのエポキシ(メタ)アクリレート等の活性エネルギー線硬化性オリゴマーの1種もしくは2種以上を用いる事が出来る。
【0032】
このうち、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレートとして、DIC(株)製EPICLON 850、850S、1050等、油化シェルエポキシ社製エピコート802、1001、1004等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びエピコート4001P、4002P、4003P等のビスフェノールF型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応によって得られるエポキシアクリレート(UNIDIC V−5530,V−5810(DIC(株))などが挙げられる。
【0033】
また、ポリエステルなどにより変性されたエポキシ(メタ)アクリレートも好ましく使用できる。当該エポキシ(メタ)アクリレートとしては、下式(i)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0034】
【化1】

【0035】
[式(i)中、Dはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Aは、エステル基、エーテル基、芳香族炭化水素基、環式脂肪族基で置換されていてもよく、また、分岐鎖を有していてもよい重量平均分子量250〜10000の長鎖アルキルジオール基であり、Bは式(ii)
【0036】
【化2】

(式(ii)中、Eは−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−を表し、iは0〜8の整数を表す。)
で表される基である。]
【0037】
上記式(i)中のAは、式(iii)〜(v)で表される基であることが好ましい。
【0038】
【化3】

(式(iii)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Lは、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基又は−(RO)−R−(Rは分岐鎖を有していても良い炭素数2〜8のアルキレン基を表し、pは1〜10の整数である。)で表される基であり、kは1〜20の整数を表す。)
【0039】
【化4】

(式(iv)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Lは、数平均分子量が250〜10000の長鎖アルキルジオール残基又はポリエーテルジオール残基を表す。)
【0040】
【化5】

(式(v)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、L、Lは各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、k、kは各々独立して1〜20の整数を表す。)
【0041】
式(i)中、Aの重量平均分子量は、高い弾性率を実現するために、250〜2000が好ましい。
【0042】
このようなエポキシ(メタ)アクリレートとしては、DICLITE UE−8080、RS26−269(DIC(株))等が挙げられる。
【0043】
さらに、下式(vi)にて表される変性エポキシアクリレートも好ましく使用できる。
【0044】
【化6】

[式(vi)中、Dはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Aは式(vii)
【0045】
【化7】

(式(vii)中、Eは−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−を表し、nは0〜8の整数を表す。)
で表される基であり、Bは、式(viii)
【0046】
【化8】

(式(viii)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基で表される基である。)
で表される基であり、Cは、式(ix)
【0047】
【化9】

(L、Lは、各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、kは各々独立して1〜20の整数である。)
又は、式(x)
【0048】
【化10】

(L、Lは、各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、kは各々独立して1〜20の整数である。)で表される基である。)
【0049】
高い弾性率を実現するためには、B式(viii)中、Jは剛直な構造を有することが好ましく、芳香族炭化水素基あるいは、脂環式炭化水素基が特に好ましい。また、C式(ix)中、kは1〜4が好ましく、式(x)中、kは1〜4が好ましい。
【0050】
このようなエポキシ(メタ)アクリレートとしては、CNUVE151(SARTOMER)、EBECRYL3708(ダイセル・サイテック(株))等が挙げられる。
【0051】
また、分岐構造を有するエポキシ(メタ)アクリレートも好ましく使用でき、式(1)〜(2)
【0052】
【化11】

【0053】
【化12】

(式(1)〜(2)中、X〜Xは、それぞれ独立してSO、CH、CH(CH)またはC(CHを表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
で表される構造単位の少なくとも一種と、
式(3)〜(4)
【0054】
【化13】

(式(3)中、Xは、SO、CH、CH(CH)またはC(CHを表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
【0055】
【化14】

(式(4)中、Xは、SO、CH、CH(CH)またはC(CHを表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
で表される構造単位とからなり、
前記式(1)で表される構造単位中のYが、式(1)〜(2)で表される他の構造単位のZ〜Zのいずれか又は式(3)中のZに結合し、
前記式(2)で表される構造単位中のY〜Yが、それぞれ水素原子、あるいは、式(1)〜(2)で表される他の構造単位のZ〜Zのいずれか又は式(3)中のZに結合し、
前記式(1)〜(2)で表される構造単位中のZ〜Zが、それぞれ式(1)〜式(2)で表される他の構造単位中のY〜Yのいずれか又は式(4)中のYと結合した分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)を使用することが好ましい。
【0056】
上記分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)のなかでも、X〜XがC(CHであり、R〜Rが水素原子のものが、安価に製造できると共に反応制御が容易となるため好ましい。
【0057】
また、上記分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)は、式(5)
【0058】
【化15】

(式(5)中、XはSO、CH、CH(CH)またはC(CHを表し、R〜R10はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
で表されるエポキシ(メタ)アクリレート(E2)とのエポキシ(メタ)アクリレート混合物として使用されても良い。通常、分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)の製造時に、式(5)で表されるエポキシ(メタ)アクリレート(E2)が生成するため、両者の混合物を使用することが製造工程上有利である。
【0059】
本発明においては、上記分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)として、式(6)
【0060】
【化16】

(式(6)中、X〜Xは、それぞれ独立してSO、CH、CH(CH)またはC(CHを表し、R11〜R16はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、nは0〜20である。)
で表される分岐エポキシ(メタ)アクリレートを有することが反応制御が容易となるため好ましい。なかでも、X〜XがC(CHであり、R11〜R16が水素原子のものが、安価に製造できると共に反応制御が容易となるため特に好ましい。
【0061】
上記分岐エポキシ(メタ)アクリレートを合成した場合、通常、上記式(1)や(2)で表される構造単位の繰り返し数nが1〜100の範囲にある分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)と、上記式(5)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートの混合物として得られ、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等で分析すると、nが種々の値を示す化合物の分布が観察できる。従って、本発明の紫外線硬化型組成物を調整する際には、当該混合物を使用することが簡便である。
【0062】
本発明においては、上記の分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)と上記式(5)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートの混合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した結果より確認される分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)の重量平均分子量(Mw)が、1000〜10000のものを使用することが好ましく、1500〜8000であることが好ましく、2000〜6000であることがさらに好ましい。分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)の分子量を上記の範囲とすることにより、粘度が必要以上に高くなる事が避けられ、本発明の紫外線硬化型組成物中に含有される必須成分である分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)の含有量を高くする事が出来る。また、混合物中の分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)とエポキシ(メタ)アクリレート(E2)との比が、上記GPCで測定したクロマトグラムによる面積比で、分岐エポキシ(メタ)アクリレート(E1)/エポキシ(メタ)アクリレート(E2)=10/1〜1/2であることが好ましく、5/1〜1/1であることがより好ましく、3/1〜3/2が更に好ましい。
【0063】
なお、GPCによる重量平均分子量は、例えば、東ソー(株)社製 HLC−8220を用い、カラムはSuper HZM―M4本を使用し、溶媒はTHFを用い、1.0ml/minの流量でカラム温度が40℃、検出器温度が30℃、分子量は標準ポリスチレン換算で測定を行うことで特定される。
【0064】
〔(メタ)アクリレートモノマー〕
(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に制限されず、一分子中に一の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(以下、単官能(メタ)アクリレートと称する)や、一分子中に二個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(以下、二官能(メタ)アクリレートと称する。)、更には一分子中に三以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(以下、多官能(メタ)アクリレートモノマーと称する。)を使用でき、これらを適宜配合することで、所望の粘度、硬化後の弾性率を有する組成物を得ることができる。
【0065】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、等の脂肪族(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタンアダマンチル(メタ)アクリレート、などを使用できる。
【0066】
中でも、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートを用いた場合、膜厚変化量が少なく、反り変化量も少なくなるため、好ましい。
【0067】
二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、芳香環を有する二官能(メタ)アクリレートとして、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、脂環式構造を有する二官能(メタ)アクリレートとして、シクロヘキサンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等を使用できる。
【0068】
なかでもトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が好ましく、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0069】
また、硬化後の弾性率を高く調整したい場合に、三官能以上の(メタ)アクリレートを使用してもよく、例えば、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、等を使用できる。
【0070】
また、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルエーテルモノマー、リン酸基含有(メタ)アクリレート等の紫外線硬化性化合物も必要に応じて使用できる。
【0071】
光透過層に使用する紫外線硬化型組成物は、紫外線照射後の硬化膜の弾性率と塑性変形率が上記範囲になるように上記(メタ)アクリレートオリゴマーや(メタ)アクリレートモノマーを使用して組成物を調製すればよく、当該弾性率と塑性変形率の硬化膜により、長時間にわたる荷重に対しても変形が少ない光透過層を実現できる。外部からの長時間にわたる荷重によっても変形が少ない光透過層により、長期信頼性の高い光ディスクを得ることができる。
【0072】
光透過層に使用する紫外線硬化型組成物として、弾性率を上げ、且つ塑性変形率を下げるには、例えば、架橋密度を高くするか、あるいは、構造を剛直にしつつ、塑性流動を抑える組成物設計が有効である。架橋密度を向上するのみでは、硬化収縮が大きくなるので、剛直な構造を有する芳香環や脂環式骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートのオリゴマー、あるいは芳香環や脂環式骨格を有する二官能(メタ)アクリレートのモノマーを用いて弾性率を上げることが好ましい。塑性流動を抑えるためには、単官能(メタ)アクリレートの含有量を抑え、二官能(メタ)アクリレートを中心に、剛直なオリゴマーと併用することが好ましい。
【0073】
特に好ましい組成としては、本発明における紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の単官能(メタ)アクリレートの含有量を20質量%以下とすることで塑性変形を生じ難くできる。
【0074】
剛直な構造を有する芳香環や脂環式骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートのオリゴマーとしては、上記式(vi)で表される変性エポキシ(メタ)アクリレートを特に好ましく使用できる。また、剛直な構造を有する芳香環や脂環式骨格を有する二官能(メタ)アクリレートのモノマーとしては、特に芳香環を有する二官能(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、なかでも、ビスフェノールA構造を有する二官能(メタ)アクリレートがより好ましく、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート又はプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。これら二官能(メタ)アクリレートは、その重量平均分子量が450〜1000であると、硬化収縮を抑制しつつ架橋密度を向上させやすい。
【0075】
このような、式(vi)で表される変性エポキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、あるいは、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートは、剛直なビスフェノールA構造を有すると共に、分子内に反りの緩和に効果のある変性構造を有する。このため、本発明においては、これらの少なくとも1種を使用することで、高い弾性率の硬化膜を実現し易く、また硬化膜の硬化時の反りを低減しやすくなる。なお、これら化合物の効果を十分に発現するためには、その含有率は30質量%以上であることが好ましい。
【0076】
本発明の紫外線硬化型組成物においては、(メタ)アクリレートモノマーとして、三官能以上の(メタ)アクリレートを使用する場合には、その含有量は、0〜20質量%であることが好ましく、0〜10質量%であることが反りを低減するために好ましい。
【0077】
[開始剤、添加剤]
光透過層に使用する光ディスク用紫外線硬化型組成物中には、上記(メタ)アクリレートオリゴマーや(メタ)アクリレートモノマー以外に、公知の光重合開始剤、及び熱重合開始剤等を用いる事が出来る。
【0078】
使用できる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド等の分子開裂型や、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、等の水素引き抜き型の光重合開始剤等がある。
【0079】
光透過層に使用する紫外線硬化型組成物には、必要に応じて、添加剤として、界面活性剤、レベリング剤、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ホスファイト等の酸化防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤を使用することもできる。また、増感剤として、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が使用でき、更に、前記の光重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。
【0080】
光透過層に使用する紫外線硬化型組成物は、上記紫外線硬化性化合物を調整し、粘度を800〜5000mPa・s、好ましくは1000〜2500mPa・sとすることで、厚膜の光透過層を好適に形成できる。
【0081】
また、光透過層に使用する紫外線硬化型組成物の(メタ)アクリロイル基濃度が4.2mmol/g以下であることが好ましく、4.0mmol/g以下であることが特に好ましい。(メタ)アクリロイル基濃度を当該範囲とすることにより、紫外線照射時の硬化収縮や、湿熱環境変化時における反り変化を低減できる。
【0082】
[光ディスクの構成]
本発明の光ディスクには、再生専用のディスクと、記録・再生可能なディスクがある。再生専用のディスクは、1枚の円形樹脂基板を射出成形する際に、情報記録層であるピットを設け、次いで該情報記録層上に光反射層を形成し、更に、該光反射層上に紫外線硬化型組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射により硬化させて光透過層を形成することにより製造することができる。また、記録・再生可能なディスクは、1枚の円形樹脂基板上に光反射層を形成し、次いで相変化膜、又は光磁気記録膜等の情報記録層を設け、更に、該光反射層上に紫外線硬化型組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射により硬化させて光透過層を形成することにより製造することができる。
【0083】
光反射層上に塗布した紫外線硬化型組成物を紫外線照射することにより硬化させる場合、例えばメタルハライドランプ、高圧水銀灯などを用いた連続光照射方式で行うこともできるし、USP5904795記載の閃光照射方式で行うこともできる。効率よく硬化出来る点で閃光照射方式がより好ましい。
【0084】
紫外線を照射する場合、積算光量は0.05〜1J/cmとなるようにコントロールするのが好ましい。積算光量は0.05〜0.8J/cmであることがより好ましく、0.05〜0.6J/cmであることが特に好ましい。本発明の光ディスクに使用する紫外線硬化型組成物は、積算光量が少量であっても、十分に硬化し、光ディスク端面や表面のタックが発生せず、更に光ディスクの反りや歪みが発生しない。
【0085】
また、書込可能な光ディスクの場合には、光反射層と光透過層との間に情報記録層が設けられる。情報記録層としては、情報の記録・再生が可能であればよく、相変化型記録層、光磁気記録層、あるいは有機色素型記録層のいずれであってもよい。
【0086】
情報記録層が相変化型記録層である場合には、当該情報記録層は通常、誘電体層と相変化膜から構成される。誘電体層は、相変化層に発生する熱を緩衝する機能、ディスクの反射率を調整する機能を求められ、ZnSとSiOの混合組成が用いられる。相変化膜は、膜の相変化により非晶状態と結晶状態で反射率差を生じるものであり、Ge−Sb−Te系、Sb−Te系、Ag−In−Sb−Te系合金を用いることができる。
【0087】
本願発明の光ディスクは、情報記録部位が二つ以上形成されていても良い。例えば、再生専用光ディスクの場合には、ピットを有する基板上に、第一の光反射層、第一の光透過層が積層され、当該第一の光透過層上又は他の層を積層し、当該層上に第二の光反射層、第二の光透過層を形成してもよい。この場合には第一の光透過層やこれに積層する他の層上にピットが形成される。また、記録・再生可能な光ディスクの場合は、基板上に、情報記録層、光反射層及び光透過層が積層された構成を有するものであるが、当該光透過層上に更に、第二の光反射層、第二の情報記録層、第二の光透過層を形成して二層の情報記録層を有する構成、あるいは、同様に層を積層して三層以上の情報記録層を有する構成としてもよい。複数層を積層する場合には、各層の層厚さの和が上記の厚さになるように適宜調整すればよい。
【0088】
また、本発明の光ディスクにおいては、光透過層が最表面の層であってもよいが、更にその表層にハードコート層を設けてもよい。ハードコート層は、光ディスクの反りの観点から、膜厚が薄いことが好ましく、5μm以下が好ましい。
【0089】
本発明の光ディスクは、光透過層の面に荷重をかけたのちの信号エラーSERが10−2以下であることが、信号の再生不良が少ないので、好ましい。
【0090】
[実施態様]
以下、本発明の光ディスクの具体例として、単層型光ディスク及び二層型光ディスクの具体的構成の一例を以下に示す。
【0091】
本発明の光ディスクのうち、単層型光ディスクの好ましい実施態様としては、例えば、図1に示したように、基板1上に、光反射層2と、光透過層3とが積層され、光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の記録又は再生を行う構成が例示できる。図中の凹凸は、記録トラック(グルーブ)を模式的に表したものである。光透過層3は、本発明の紫外線硬化型組成物の硬化物からなる層であり、その厚さは100±10μmの範囲である。基板1の厚さは1.1mm程度、光反射膜は銀等の薄膜である。
【0092】
図2は図1に示した構成の最表層にハードコート層4を設けた構成である。ハードコート層は、高硬度で、耐摩耗性に優れる層であることが好ましい。ハードコート層の厚さは、1〜5μmであることが好ましく、3〜5μmであることがより好ましい
【0093】
多層型光ディスクの好ましい実施態様としては、例えば、図3に示したように、基板1上に、光反射層5と、光透過層6とが積層され、さらにその上に、光反射層2と、光透過層3とが積層され、光透過層3側からブルーレーザーを入射して情報の記録又は再生を行う二層型光ディスクの構成が例示できる。光透過層3及び光透過層6は、紫外線硬化型組成物の硬化物からなる層であり、少なくともいずれかの層が本発明の紫外線硬化型組成物からなる層である。層の厚さとしては、光透過層3の厚さと光透過層6の厚さの和が100±10μmの範囲である。基板1の厚さは1.1mm程度、光反射膜は銀等の薄膜である。
【0094】
当該構成の二層型光ディスクにおいては、記録トラック(グルーブ)が、光透過層6の表面にも形成されるため、光透過層6は、接着性に優れる紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる層の上に、記録トラックを好適に形成できる紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる層を積層した複層で形成されていてもよい。また当該構成においても最表層にハードコート層が設けられていてもよい。
【0095】
図1に示す光ディスクの製造方法を以下に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を射出成形することによって、記録トラック(グルーブ)と呼ばれるレーザー光をトラッキングするための案内溝を有する基板1を作製する。次に基板1の記録トラック側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層2を成膜する。この上に本発明の紫外線硬化型組成物を塗布し、ディスクの片面または両面から紫外線を照射して、紫外線硬化型組成物を硬化させ、光透過層3を形成し、図1の光ディスクを作製する。図2の光ディスクの場合には、この上に更にスピンコート等によりハードコート層4を形成する。
【0096】
図3に示す光ディスクの製造方法を以下に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を射出成形にすることによって、記録トラック(グルーブ)と呼ばれるレーザー光をトラッキングするための案内溝を有する基板1を作製する。次に、基板1の記録トラック側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層6を成膜する。
【0097】
この上に、本発明の紫外線硬化型組成物又は任意の紫外線硬化型組成物の光透過層5を形成するが、その際に型を用いて表面に記録トラック(グルーブ)を転写する。記録トラック(グルーブ)を転写する工程は次の通りである。基板1に形成された光反射層6上に紫外線硬化型組成物を塗布し、その上に記録トラック(グルーブ)を形成するための型と貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの片面または両面から紫外線を照射して、紫外線硬化型組成物を硬化させる。その後、型を剥離して、光透過層5の記録トラック(グルーブ)を有する側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層2を成膜し、この上に、紫外線硬化型組成物を塗付した後、紫外線照射により硬化させ、光透過層3を形成することで、図3の光ディスクを作製できる。また、光反射層に相変化型記録層を用いる場合でも上記と同様の方法により光ディスクを作成することができる。
【実施例】
【0098】
次に、合成例及び実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下実施例中の「部」は「質量部」を表す。
【0099】
<合成例1>(EA1の合成)
温度計、攪拌機および環流冷却器を備えたフラスコに、フェノキシエチルアクリレート(PEA)65.5gを入れ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189g/当量;DIC(株)製EPICLON850)189gを溶解し、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1gを加えた後、アクリル酸50.7g(0.7mol)を仕込んだ。触媒としてトリフェニルフォスフィン0.48gを添加し、撹拌を行いながら2時間で130℃まで昇温した。130℃で6時間保持した後、酸価が0mg/KOHになったことを確認した後、80℃まで降温してアクリル酸22.2g(0.3mol)を仕込んだ。1時間で再び130℃まで昇温してトリフェニルフォスフィン0.48gを添加し4時間保持後、分岐エポキシ(メタ)アクリレート(EA1)を含有する淡黄色透明の樹脂状の反応混合物(酸価=0.2mg/KOH、エポキシ当量=15000)を得た。
得られた分岐エポキシ(メタ)アクリレート(EA1)の混合液のGPC測定分子量は、分岐エポキシ(メタ)アクリレート(EA1)の数平均分子量(Mn)2507,重量平均分子量(Mw)3786であった。
【0100】
<合成例2>(UA1の合成)
合成例1と同様の装置を用い、コスモネートT−100S 522g(3mol、2,4−トリレンジイソシアネート:三井化学ポリウレタン(株)製、ジイソシアネート)、SCAT−52A 0.39g(オクチル錫系化合物:第一三共ケミカルファーマ(株)製、ウレタン化触媒)、メトキノン 0.39g(p−メトキシフェノール:精工化学工業(株)製、重合禁止剤)、ヨシノックスBHT 3.92g(2,6−ジ−t−ブチル−P―クレゾール:(株)APIコーポレーション製、酸化防止剤)を入れ、均一に混合しながら徐々に昇温した。50℃に達したところで、HEA−CL1(3mol、中間体 ヒドロキシエチルアクリレート−ε−カプロラクトン1モル付加物、活性水素含有アクリルモノマー)690gを分割添加し、80℃で2時間反応後、精製グリセリン(1.02mol、3官能ポリオール(多官能ポリオール)、花王(株)製)93.8gを加えさらに5時間反応させた。NCO%が0.2%以下になったことを確認し、フェノキシエチルアクリレート(PEA)327.6gを加え、混合し、ウレタンアクリレート(UA1)を含有する淡黄色透明の樹脂状の反応混合物を得た。
【0101】
<合成例3>(EA2の合成)
精溜塔、水分離器、コンデンサー、温度計及び窒素導入管を備えた攪拌機付き反応器に、エチレングリコールを91g、アジピン酸を318g加えて攪拌しながら140℃まで1時間で昇温する。更に3時間で230℃迄昇温、230℃で3時間反応。酸価221KOHmg/gで冷却した。100℃迄冷却した後、エピクロン850(大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量188g/当量)を529g、トリフェニルホスフィン0.2gを加えて120℃で4時間反応した。酸価7.5KOHmg/gであった。窒素導入管を空気吹き込みに換えて、アクリル酸(98%)99g、メトキノン0.5g、トリフェニルホスフィン1gを加えて110℃にて12時間反応させて、酸価1.7KOHmg/gの半固形樹脂状物の変性エポキシアクリレート(B)を得た。
得られた変性エポキシアクリレートのGPC測定分子量は、数平均分子量(Mn)2000,重量平均分子量(Mw)6400,分散度(Mw/Mn)は3.20であった。
【0102】
<合成例4>(UA2の合成)
合成例1と同様の装置を用い、コスモネートT−100S 243g(1.4mol、2,4−トリレンジイソシアネート:三井化学ポリウレタン(株)製、ジイソシアネート)、ジブチル錫ジアセテート0.1g、メトキノン 0.4g(p−メトキシフェノール:精工化学工業(株)製、重合禁止剤)、ヨシノックスBHT 1.8g(2,6−ジ−t−ブチル−P―クレゾール:(株)APIコーポレーション製、酸化防止剤)を入れ、均一に混合しながら徐々に昇温した。60℃に達したところで、HEA(1.4mol、ヒドロキシエチルアクリレート)162gを分割添加し、3時間反応後、PTMG850 594g(水酸基価132(計算分子量850)、ポリテトラメチレングリコール:保土谷化学(株)製)を加え、80℃で5時間反応させた。NCO%が0.2%以下になったことを確認し、淡黄色透明の樹脂状のウレタンアクリレート(UA2)を得た。
【0103】
下記表1に示した組成(表中の組成の数値は質量部を表す)により配合した各組成物を60℃で3時間加熱、溶解して、実施例1〜4及び比較例1〜3の各実施例及び比較例の紫外線硬化型組成物を調製した。得られた組成物について、下記の評価を行い、得られた結果を表1に示す。
【0104】
<粘度の測定方法>
紫外線硬化型組成物について、25℃における粘度をB型粘度計((株)東京計器製、BM型)を用いて測定した。
【0105】
<評価用光ディスクの作製条件>
直径120mm、厚さ1.1mmのポリカーボネート基板を準備し、(株)コベルコ科研製銀合金ターゲットGBD05(銀を主成分とするビスマスとの合金)を20〜40nmの膜厚でスパッタした後、反対面側に窒化シリコン(SiNx)を5〜10nmの膜厚でスパッタした。得られた基板の銀合金反射膜上に、表1の各組成物をスピンコート方式の塗布実験機にて塗布し、ウシオ電機(株)製キセノンフラッシュ照射装置(型式:FUV−201WJ02)を使用し、仮硬化2ショット、本硬化20ショットの条件で紫外線を照射、硬化させた。更に、硬化膜上にハードコート ダイキュアクリアHC−1(DIC(株)製)を約3μmで塗布、上記照射装置にて10ショットで硬化し、続いて、XENON製キセノンフラッシュ照射装置(型式:RC−801)にて紫外線を10ショット照射し、光透過層の膜厚が100±5μmの試験用サンプルディスクを得た。
【0106】
<弾性率及び塑性変形率の測定方法>
フィッシャースコープHM2000Xyp(フィッシャーインストルメンツ社)を用いて、上記方法にて得た各サンプルディスクの光透過層の面を、稜間角136°のビッカース圧子を図4の荷重プログラムにて押し込み、弾性率EIT、塑性変形率CIT1を測定した。
【0107】
<光ディスクのエラーレート測定>
各サンプルディスクの光透過層の面に、CD保管用不織布シートを載せ、半径35〜45mmの範囲に重り625g(単位面積あたりの荷重24.9g/cm)を載せ、23℃50%RHの条件で96時間荷重を与え続けた。その後、ディスクを取り出し、直ちにエラーレートRandom SERをパルステック工業(株)製「BD MASTER」を用いて測定した。荷重試験後のSERの平均値を下記基準に基づき評価した。
◎:1×10−3未満
○:1×10−3以上、1×10−2未満
×:1×10−2以上
【0108】
【表1】

【0109】
表1中の記号は以下のとおりである。
EA1:合成例1に記載のエポキシアクリレート
EA2:合成例3に記載のエポキシアクリレート
EA3:「CNUVE151」ビスフェノールA型変性エポキシアクリレート(サートマー社製)
UA1:合成例2に記載のウレタンアクリレート
UA2:合成例4に記載のウレタンアクリレート
UA3:「Photomer6019−20P」3官能ウレタンアクリレート、20%フェノキシエチルアクリレート希釈物(コグニス社製)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
HPNDA:ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート
BisA−4EO−DA:EO変性(4モル)ビスフェノールAジアクリレート
BisA−10EO−DA:EO変性(10モル)ビスフェノールAジアクリレート
BisA−6PO−DA:PO変性(6モル)ビスフェノールAジアクリレート
HDDA:ヘキサンジオールジアクリレート
TCDDA:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート
PEA:フェノキシエチルアクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
PM−2:エチレンオキシド変性リン酸メタクリレート(日本化薬(株)製)
GA:没食子酸(大日本住友製薬(株)製)
Irg127:2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン
Irg184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
【0110】
表1に示すように、本発明の組成物を使用した実施例1〜4の光ディスクは、荷重試験後のエラーレートが低く、良好な信号特性を示した。一方、比較例1〜3の光ディスクは、荷重試験後のエラーレートが1×10−2を越え、信号再生に問題のあるものであった。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の単層型光ディスクの一例を示す図である。
【図2】本発明の単層型光ディスクの一例を示す図である。
【図3】本発明の二層型光ディスクの一例を示す図である。
【図4】実施例での弾性率及び塑性変形率の測定における荷重プログラム図である
【符号の説明】
【0112】
1 基板
2 光反射層
3 紫外線硬化型組成物の光透過層
4 ハードコート層
5 光反射層
6 紫外線硬化型組成物の光透過層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、少なくとも光反射層と、紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる光透過層とが積層され、前記光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の再生を行う光ディスクであって、
前記紫外線硬化型組成物の硬化膜表面に、稜間角136°のビッカース圧子を荷重100mNで押し込んで測定される弾性率(25℃)が2000MPa以上であり、且つ、荷重100mNで60秒間保持して測定される塑性変形率が25%以下であることを特徴とする光ディスク。
【請求項2】
前記紫外線硬化型組成物が、下式(vi)で表される変性エポキシ(メタ)アクリレートから選ばれる(メタ)アクリレートの少なくとも一種を含有する請求項1に記載の光ディスク。
【化1】

[式(vi)中、Dはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Aは式(vii)
【化2】

(式(vii)中、Eは−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−を表し、nは0〜8の整数を表す。)
で表される基であり、Bは、式(viii)
【化3】

(式(viii)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基で表される基である。)
で表される基であり、Cは、式(ix)
【化4】

(L、Lは、各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、kは各々独立して1〜20の整数である。)
又は、式(x)
【化5】

(L、Lは、各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、kは各々独立して1〜20の整数である。)で表される基である。)
【請求項3】
前記紫外線硬化型組成物が、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート及びプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの少なくとも一種を含有する請求項1又は2に記載の光ディスク。
【請求項4】
前記エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート及びプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの重量平均分子量が450〜1000である請求項3に記載の光ディスク。
【請求項5】
基板上に、少なくとも光反射層と、光透過層とが積層され、前記光透過層側からレーザー光を入射して情報の再生を行う光ディスクの光透過層に使用する紫外線硬化型組成物であって、
前記紫外線硬化型組成物の硬化膜の、稜間角136°のビッカース圧子を荷重100mNで押し込んで測定される弾性率(25℃)が2000MPa以上であり、且つ、荷重100mNで60秒間保持して測定される塑性変形率が25%以下であり、
紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の単官能(メタ)アクリレートモノマーの含有率が20質量%以下であることを特徴とする光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項6】
下式(vi)で表される変性エポキシ(メタ)アクリレートから選ばれる(メタ)アクリレートの少なくとも一種を、紫外線硬化型組成物中に含まれる紫外線硬化性化合物の30質量%以上含有する請求項5に記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【化6】

[式(vi)中、Dはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Aは式(vii)
【化7】

(式(vii)中、Eは−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−を表し、nは0〜8の整数を表す。)
で表される基であり、Bは、式(viii)
【化8】

(式(viii)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基で表される基である。)
で表される基であり、Cは、式(ix)
【化9】

(L、Lは、各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、kは各々独立して1〜20の整数である。)
又は、式(x)
【化10】

(L、Lは、各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、kは各々独立して1〜20の整数である。)で表される基である。)
【請求項7】
エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート及びプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの少なくとも一種を、紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の30質量%以上含有する含有する請求項5又は6に記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項8】
前記エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート及びプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの重量平均分子量が450〜1000である請求項7に記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−205347(P2010−205347A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50518(P2009−50518)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】