説明

光ディスク搬送機構および光ディスク再生装置

【課題】光ディスクに傷が生じるのを防止可能な光ディスク搬送機構および光ディスク再生装置を提供すること。
【解決手段】光ディスク再生装置10の光ディスク搬送機構11は、光ディスクDに面的に接触する搬送ベルト41と、この搬送ベルト41を駆動させるためのモータ38と、を具備しており、さらには回動支点を中心に回動するアーム部材52を具備し、このアーム部材52の回動によって搬送ベルト41に対して接離可能な圧着ローラ53を具備するローラ部材50を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク搬送機構および光ディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットイン方式のディスク再生装置(光ディスク再生装置)は、ディスク(光ディスク)の下面側に搬送ローラが配置されていると共に、ディスクの上面側に平板状のディスクガイドが配置されていて、この搬送ローラを用いてディスクをディスク再生装置の内部に搬送している。これに対して、特許文献1には、ディスクの上面側に弾性ローラと滑りローラか配置されている構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−269740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のスロットイン方式にみられる圧着ローラ式のディスク搬送装置においては、ディスクの搬送時に傷が生じ易い。そのような傷には、搬送ローラでの摩擦による搬送力/排出力を確保するために、小径かつゴムローラから構成される搬送ローラによって、ディスクの読み取り面側を高い圧着力で圧着することによる傷がある。また、搬送ローラに塵埃等が付着し、当該塵埃が付着したままでディスクを搬送することによって、ディスクの読み取り面に傷が生じる場合もある。さらに、ディスクのラベル面側が平板状のディスクガイドに接触する場合、ディスクガイドとラベル面との間の摩擦摺動によって摩擦傷が生じる場合もある。
【0005】
このような傷は、いずれも、ディスクを搬送する際にディスクと接触する部分(摩擦部位)が局部的であり、不安定な条件でディスクの搬送力を確保していることに起因している。
【0006】
また、ディスクのラベル面には、印刷ラベルが形成されることがあり、またラベル面に対して表面加工処理を施したり、ラベル面に凹凸を形成する場合がある。その場合、ラベル面の摩擦係数が、ラベル面の部位によって変化するため、ディスクの搬送力/排出力が不安定となり易く、その結果としてラベル面に傷を生じさせる場合がある。
【0007】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、光ディスクに傷が生じるのを防止可能な光ディスク搬送機構および光ディスク再生装置を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の光ディスク搬送機構の第1の側面は、光ディスクに面的に接触する搬送ベルトと、搬送ベルトを駆動させるためのモータと、を具備するものである。
【0009】
また、本発明の光ディスク搬送機構の他の側面は、上述の発明において、回動支点を中心に回動するアーム部材を具備し、このアーム部材の回動によって搬送ベルトに対して接離可能な圧着ローラを具備するローラ部材を備えることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の部品取り付け構造の他の側面は、上述の発明において、アーム部材には、圧着ローラが光ディスクから離間する向きに回動させられる場合にディスク挿入口から光ディスクが移動するディスク搬送経路に差し掛かるように起き上がる挿入防止突起が設けられていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の光ディスク搬送機構の他の側面は、上述の発明において、搬送ベルトは、一対の搬送ローラによって駆動可能に設けられていると共に、搬送ローラは、ローラ用シャーシによって回転可能に支持されていて、ローラ用シャーシは、回動軸を支点として回動可能に設けられている、ことが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の光ディスク再生装置は、上述の光ディスク搬送機構に係る各発明を具備すると共に、光ディスクに対して光を照射し、反射された情報を読み取るための光ピックアップを備え、光ディスクを回転可能に保持するターンテーブルを備えると共に、この光ピックアップを支持するトラバースシャーシを備えるトラバースユニットと、トラバースシャーシに設けられている支持軸を中心にトラバースユニットを回動させてターンテーブルを昇降させることにより、光ディスクをターンテーブルに保持させる昇降カム機構部と、を具備することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、光ディスクに傷が生じるのを防止可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係るディスク再生装置の構成の主要部分を示す斜視図である。
【図2】図1のディスク再生装置のうち、主要な構成要素を示す分解斜視図である。
【図3】図1のディスク再生装置のうち、主要な構成要素を側面から見た構成を示す側面図である。
【図4】図1のディスク再生装置のうち、トラバースシャーシが第1突出部によって持ち上げられる前の状態を示す側面図である。
【図5】図1のディスク再生装置のうち、トラバースシャーシが第1突出部によって持ち上げられている状態を示す側面図である。
【図6】図1のディスク再生装置のうち、第2突出部がカム係合部に衝突して、搬送ローラおよびローラアームが回動させられている状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態に係る、ディスク搬送機構11(光ディスク搬送機構に対応)およびディスク再生装置10(光ディスク再生装置に対応)について、各図に基づいて説明する。
【0016】
なお、ディスク再生装置10で再生されるディスクD(記録媒体)は、光ディスクであり、CD、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc)、CD−R、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等の記録媒体があり、その他の記録媒体であっても良い。
【0017】
また、以下の説明では、上側(上方側)とは、底面部21から上面部22に向かう方向を指す。同様に、下向きとは、上面部22から底面部21に向かう方向を指す。さらに、奥側とは、ディスクDがディスク再生装置10の内部に搬入される際の該ディスクDの進行方向の側を指し、手前側とは、搬入される際の当該進行方向の逆側(ディスク挿入口27側)を指す。
【0018】
<構成について>
図1に示すように、ディスク再生装置10は、筐体20と、ベルト搬送部30と、圧着ローラ部材50と、トラバースユニット60と、昇降カム機構部70と、駆動制御部(図示省略)と、を主要な構成要素としている。
【0019】
これらのうち、筐体20は、ディスク再生装置10の各種機器を覆うと共に、それら各種機器を支持する部分である。この筐体20は、図1に示すように、底面部21、上面部22、側面部23,24、前面部25、および後面部26を有している。それらのうち、底面部21には、圧着ローラ部材50、トラバースユニット60および昇降カム機構部70が支持されている。また、上面部22には、ベルト搬送部30が支持されている。また、前面部25には、ディスクDを差し込むためのディスク挿入口27が形成されている。
【0020】
図1および図2に示すように、ベルト搬送部30は、回動軸31を回動中心として回動可能に設けられている。この回動軸31は、図3に示すように、上面部22に取り付けられている。また、この回動軸31には、搬送ベルト用シャーシ32が回動自在に取り付けられている。搬送ベルト用シャーシ32は、前面シャーシ部321、側面シャーシ部322および後側突出部323等を有している。
【0021】
前面シャーシ部321は、上述の回動軸31が挿通される部分である。また、側面シャーシ部322は、搬送ベルト用シャーシ32の幅方向の両端にそれぞれ設けられていて、後述する搬送ローラ39を回転可能に軸支している。また、後側突出部323は、側面シャーシ部322よりも奥側に向かって突出する部位である。後側突出部323の縁部を平面視すると、略円弧状を為すように設けられている。そして、この後側突出部323の縁部には、回動ギヤ323aが形成されている。回動ギヤ323aは、伝達ギヤ33と噛み合っていて、この伝達ギヤ33を介して回動モータ34の駆動力が回動ギヤ323aに伝達され、ベルト搬送部30が回動軸31を中心に回動させられる。
【0022】
また、前面シャーシ部321には、ベルト駆動ギヤ35が、回動軸31を介して回動自在に取り付けられている。このベルト駆動ギヤ35は、後述するローラギヤ393と噛合するギヤ部351を下方に有している。なお、ギヤ部351は、ローラギヤ393に駆動力を良好に伝達させるために、ネジ歯車等であることが好ましい。また、ベルト駆動ギヤ35のうち、その上方側には、従動プーリ部352が設けられている。従動プーリ部352には、伝達ベルト36が掛け渡される。
【0023】
上述の伝達ベルト36は、伝達ギヤ37の駆動プーリ部372にも掛け渡されている。伝達ギヤ37は、筐体20の内部のうち、一方側(図2においては、右側)に設けられている。この伝達ギヤ37は、ギヤ部371と、駆動プーリ部372とを有している。ギヤ部371は、ベルト駆動モータ38の回転軸に取り付けられている伝達ギヤ381と噛み合って、回転させられる。それにより、駆動プーリ部372が回転させられ、伝達ベルト36およびベルト駆動ギヤ35を介して、搬送ローラ39が回転させられる。なお、ベルト駆動モータ38は、モータに対応している。このベルト駆動モータ38は、筐体20の内部のうち、伝達ギヤ37よりも一方側(図2において右側)に設けられている。
【0024】
また、搬送ローラ39は、不図示の軸支部と、ベルト接触部392と、ローラギヤ393とを有している。軸支部は、側面シャーシ部322に回転可能に軸支される部分であり、例えばベルト接触部392よりも小径に設けられている。また、ベルト接触部392は、搬送ローラ39の長手方向の中央に位置するローラギヤ393を挟んで一対設けられている。このベルト接触部392は、搬送ベルト41を接触させるための部分であり、その接触により搬送ベルト41を良好に駆動させることを可能としている。そのため、ベルト接触部392は、搬送ローラ39の他の部位よりも摩擦力の大きな部材から形成されているか、または歯車状に形成されている。さらに、ローラギヤ393は、搬送ローラ39の長手方向の中央に設けられている。このローラギヤ393は、上述のギヤ部351と噛み合って、ベルト駆動モータ38からの駆動力が伝達させられる部分である。
【0025】
また、ディスク再生装置10の奥側にも、搬送ローラ40が設けられている。搬送ローラ40は、ローラギヤを有していないが、ローラギヤを有していても良い。また、搬送ローラ40は、それ以外の構成は搬送ローラ39と同様である。
【0026】
また、搬送ベルト41は、上述のベルト接触部392に接触して駆動させられる。この搬送ベルト41は、本実施の形態では、ディスクDを搬送するための摩擦力を与えると共に、例えば透明な材質から形成されている。そのため、後述する検出センサ56から発せられる光およびディスクDから反射される光が、この搬送ベルト41を透過することが可能となっている。また、搬送ベルト41は、本実施の形態では、ベルト接触部392の長さ寸法に対応する幅寸法を有している。また、ベルト接触部392が一対設けられていることに対応して、搬送ベルト41も一対設けられている。一対の搬送ベルト41は、ローラギヤ393に対応する間隔が空けられて配置されている。
【0027】
なお、搬送ベルト41は、検出センサ56から発せられる光およびディスクDから反射される光を透過可能であれば、その材質は透明材質には限られない。透明材質以外の材質としては、例えば、光を透過可能な孔が多数形成されて、網目状となっている材質が挙げられる。
【0028】
また、図2等に示すように、圧着ローラ部材50は、ローラ部材に対応している。圧着ローラ部材50は、底面部21に取り付けられていて、ベルト搬送部30の手前側かつ下方側に設けられている。また、圧着ローラ部材50は、ローラ用シャーシ51と、ローラアーム52と、圧着ローラ53とを具備している。これらのうち、圧着ローラ部材50は、底面部21に取り付けられている回動軸54を回動中心として回動可能に設けられている。この回動軸54には、ローラ用シャーシ51が回動自在に取り付けられている。このローラ用シャーシ51は、プレート部511、前面突出部512、および不図示の軸支部等を有している。
【0029】
これらのうち、プレート部511は、上述したように回動軸54が取り付けられる部分であり、回動軸54を差し込むための不図示の孔部が形成されている。また、前面突出部512は、プレート部511よりも前面側に向かって突出している部位であり、平面部分が筐体20の側面部23,24と略平行を為すように配置されている。この前面突出部512には、係止孔513が形成されている。係止孔513には、係止バネ514(図1参照)の一端側が掛け止めされる。なお、係止バネ514の他端側は、筐体20の前面部25等の所定部位に掛け止めされる。また、係止バネ514は、係止孔513の左右に、それぞれ配置されていて、一対の係止バネ514が釣り合い状態にある場合には、後述する圧着ローラ53が奥行き方向の中心線に沿ってディスクDを送り込むことを可能としている。
【0030】
また、軸支部は、ローラアーム52を回動自在に軸支する部分であり、プレート部511のうち奥側かつ側縁部にそれぞれ(合計一対)設けられている。なお、軸支部は、ローラアーム52を軸支可能であれば、どのような形態を有していても良いが、その一例としては、小径の突出形状とするものが挙げられる。
【0031】
また、ローラ用シャーシ51には、上述の軸支部を介して、一対のローラアーム52が回動自在に取り付けられている。ローラアーム52は、アーム部材に対応している。このローラアーム52は、例えば長板状の部材から構成されていて、図2等に示すように、ディスク再生装置10の奥行き方向に向かって延伸している。なお、本実施の形態では、ローラ用シャーシ51は圧着ローラ53の長さ寸法よりも幅狭に設けられているため、ローラアーム52は、圧着ローラ53からローラ用シャーシ51に向かうにつれて、ディスク再生装置10の中央側に向かうように設けられている。
【0032】
図2等に示すように、一対のローラアーム52からは、側方突出部521が突出している。側方突出部521は、ディスク再生装置10の幅方向に向かって突出している。なお、側方突出部521は、一対のローラアーム52を連結するように延伸していても良く、一対のローラアーム52を連結せず、途切れる状態(すなわち一対存在する状態)に設けられていても良い。この側方突出部521の所定部位からは、上方に向かって挿入防止突起522が突出している。挿入防止突起522は、圧着ローラが底面部21側に向かうように圧着ローラ部材50が回動させられる場合、ディスク挿入口27に差し掛かってディスクDの2枚入れを防止する。本実施の形態では、挿入防止突起522は、ディスク再生装置10の幅方向に沿って、一対設けられている。
【0033】
図4等に示すように、ローラアーム52には、カム係合部523が設けられている。カム係合部523は、後述する第2突出部712と衝突する部位であり、その衝突によって圧着ローラ53が底面部21に向かうように、ローラアーム52および圧着ローラ53を、回動させることが可能となる。なお、カム係合部523は、図4等においては、ローラアーム52から下方側に向かうように突出しているが、第2突出部712と衝突可能であれば、どのような突出形状を有していても良い。
【0034】
また、一対のローラアーム52の奥側には、圧着ローラ53が回転自在に取り付けられている。図3等に示すように、圧着ローラ53は、上述の搬送ベルト41に対して、下方側から上方に向かうように圧着する部分である。この圧着ローラ53と搬送ベルト41の間にディスクDを挟み込み、その状態で搬送ベルト41が駆動させられると、ディスクDを搬送することが可能となっている。かかる搬送を実現するため、圧着ローラ53の表面は、ディスクDに対して所定の摩擦力を及ぼす材質(ゴム等)から形成されている。
【0035】
図3に示すように、ローラアーム52には、付勢バネ55の一端が連結されている。この付勢バネ55の他端は、筐体20の前面部25に連結されている。そのため、ローラアーム52には、図3において時計回りに回動する向きの付勢力が与えられる。かかる付勢力により、圧着ローラ53には、搬送ベルト41に向かって圧着するための力(圧着力)が与えられる。
【0036】
また、搬送ベルト用シャーシ32には、ディスクDの有無を検出するための検出センサ56が取り付けられている。この検出センサ56は、例えば反射式の光学センサであり、投光部および受光部を備えている。なお、検出センサ56としては、光学センサには限られず、接触式のセンサ、導通のオン/オフ方式のセンサ、磁気方式のセンサ、静電気方式のセンサ等の他の方式のセンサを用いるようにしても良い。また、検出センサ56は、ディスク再生装置10の幅方向に沿って、所定のピッチで複数個配置されている。そのため、異なる径のディスクD、または形状が円形でないディスクDが挿入された場合でも、そのディスクDの外縁部を認識可能となっている。
【0037】
底面部21には、トラバースユニット60が取り付けられている。トラバースユニット60は、トラバースシャーシ61を有している。トラバースシャーシ61には、主軸62および副軸63が取り付けられていると共に、この主軸62および副軸63に沿って、光ピックアップ65を備える光ピックアップユニット64が摺動可能に設けられている。そして、光ピックアップ65の所定部位には、下方側に向かい爪(図示省略)が突出していて、該爪は、リードスクリュー(図示省略)に係合している。リードスクリューは、スレッドモータ(図示省略)により回転駆動され、この回転駆動により光ピックアップユニット64は、ディスクDの半径方向に摺動し、ディスクDより信号を読み取る。
【0038】
また、図2に示すように、トラバースシャーシ61には、スピンドルモータ67が取り付けられていて、このスピンドルモータ67の回転軸には、ディスクDがチャッキングされるターンテーブル66が取り付けられている。なお、ターンテーブル66には、ディスクDの中心孔に差し込まれる凸部分661が設けられていて、かかる凸部分661によって、ディスクDの保持を行える構成となっている。また、トラバースユニット60は、支持軸611を介して底面部21に回動自在に取り付けられている。支持軸611は、トラバースシャーシ61のうち奥側の部位に取り付けられている。そして、トラバースユニット60が図4において反時計回りに回動させられる。
【0039】
図4〜図6に示すように、底面部21のうち、トラバースユニット60の手前側の部位には、昇降カム機構部70が設けられている。昇降カム機構部70は、トラバースユニット60を、支持軸611を中心として回動させて、ターンテーブル66を昇降させるための部材である。この昇降カム機構部70は、昇降カム71と、カム駆動モータ(図示省略)と、駆動ギヤ73とを具備している。昇降カム71には、第1突出部711と、第2突出部712とが設けられている。第1突出部711は、トラバースシャーシ61の下方側かつ手前側の部位に当接して、その回転に伴ってトラバースユニット60を上方に持ち上げるための部分である。そのため、第1突出部711は、第2突出部712以外の昇降カム71の外縁部よりも、その回転中心から離間している。
【0040】
また、第2突出部712も、第1突出部711と同様に、昇降カム71の他の部分と比較して、昇降カム71の回転中心から離間している部分である。第2突出部712は、カム係合部523と衝突して、上述したローラアーム52および圧着ローラ53を、回動させるための部分である。すなわち、第2突出部712は、ローラアーム52のカム係合部523と当接して、圧着ローラ53を下方に移動させるようにローラアーム52を回動させるための部分である。
【0041】
また、カム駆動モータは、昇降カム71を回動させるためのモータであり、その回転軸には回転ギヤ74が取り付けられている。また、駆動ギヤ72は、昇降カム71と同軸に設けられていて、回転ギヤ74と噛み合ってカム駆動モータの駆動力が伝達される部分である。
【0042】
なお、昇降カム71とトラバースシャーシ61とのそれぞれには、付勢バネ75の一端側および他端側がそれぞれ連結されている。この付勢バネ75により、トラバースユニット60は、その手前側が下方に向かう付勢力が与えられる。そのため、昇降カム71は、その外縁部においてトラバースシャーシ61の下面と常時接触する状態となる。
【0043】
また、駆動制御部は、検出センサ56を始めとする各種センサからの出力が入力されると共に、回動モータ34、ベルト駆動モータ38、スレッドモータ、スピンドルモータ67、およびカム駆動モータの駆動を制御する。なお、この制御部の他に、光ピックアップ65がディスクDから読み取った信号を処理する信号処理部も設けられている。
【0044】
<動作について>
以上のような構成を有する、ディスク再生装置10の動作について、以下に説明する。ユーザがディスクDを把持して、そのディスクDを挿入すると、当該ディスクDの挿入は、不図示の検知センサによって検知される。そして、駆動制御部は、この検知センサの検知に基づいて、ディスクDが搬送ベルト41によって奥側に送られるように、ベルト駆動モータ38を駆動させる。
【0045】
それにより、搬送ローラ39が回転させられ、その回転に伴って搬送ベルト41は、ディスクDを奥側に向って搬送するように駆動させられる。また、ディスクDが搬入される場合、昇降カム71の第1突出部711はトラバースシャーシ61の下方側と接触していない。そのため、図4に示すように、トラバースユニット60は、ターンテーブル66が搬送ベルト66よりも下方に位置する回動位置に位置している。
【0046】
また、図4に示すように、ディスクDが搬入される場合、昇降カム71の第2突出部712は、カム係合部523と衝突していない。そのため、圧着ローラ53は、搬送ベルト41に対して、付勢バネ55によって付勢力を及ぼす状態で当接している。このため、ディスクDは、搬送ベルト41と圧着ローラ53との間に挟み込まれ、その状態で搬送ベルト41が駆動させられることによって、奥側に送られる。
【0047】
ここで、ディスクDの先端が所定だけ進行すると、当該ディスクDは、検出センサ56に差し掛かる。この検出センサ56によって、ディスクDの有無が検出される。また、検出センサ56は、ディスク再生装置10の幅方向に沿って、所定のピッチで複数個配置されていることから、さらにディスクDが進行することにより、検出センサ56によってディスクDの直径(例えば、大径ディスクであるか、または小径ディスクであるか等)を識別可能となる。
【0048】
そして、ディスクDの直径を識別後、駆動制御部は、ディスクDの送り量を決定し、その分だけベルト駆動モータ38の駆動を継続させ、その後ベルト駆動モータ38の駆動を停止させる。
【0049】
その停止後、カム駆動モータが駆動させられ、昇降カム71が回動させられる。それにより、第1突出部711は、トラバースシャーシ61の下方に接触し、トラバースユニットの手前側を持ち上げるようにして、トラバースユニット60を支持軸611を支点として回動させる。それにより、図5に示すように、ターンテーブル66の上方側は、一対の搬送ベルト41,41の間の間隔において上昇し、その凸部分661はディスクDの上面よりも上方に突出する。それにより、ディスクDのターンテーブル66に対するチャッキングがなされる。
【0050】
ディスクDのターンテーブル66によるチャッキング後、さらに昇降カム71がカム駆動モータの駆動により回動させられると、第1突出部711はトラバースシャーシ61との接触状態を経過し、トラバースシャーシ61の下方は、昇降カム71の低位部と接触する。それにより、トラバースユニット60は、支持軸611を支点として、その手前側が下方に向かうように回動させられる。この回動により、ディスクDは、搬送ベルト41から下方に向かうように離間させられる。それにより、ディスクDの再生が可能な状態となる。
【0051】
一方、ディスクDのチャッキング後、さらに昇降カム71がカム駆動モータの駆動により回動させられると、図6に示すように、第2突出部712がカム係合部523に衝突して、圧着ローラ53が下方に向かうようにローラアーム52および圧着ローラ53を回動させる。それにより、圧着ローラ53は、ディスクDの再生状態においても、当該ディスクDから離間させられる。また、図5から図6に示す昇降カム71の回動においては、挿入防止突起522がディスク挿入口27からのディスク搬送経路に差し掛かる。そのため、ディスクDを更に挿入する、いわゆる2枚入れを防止する。
【0052】
なお、ディスクDをディスク再生装置10の内部から排出する場合の動作は、上述の動作と逆となるが、それ以外に差異は少ないため、その説明を省略する。また、光ピックアップ65によりディスクDの有無の検出をしている場合において、新たなディスクDの挿入が不図示の検知センサによって検出される場合、ディスクDを搬送ベルト41によって排出させるように、ベルト駆動モータ38を駆動させるようにしても良い。また、ディスクDの排出時においては、検出センサ56によってディスクDの中心孔を検出した場合、または検出センサ56によってディスクDの縁部を検出した場合、またはそれらの検出のタイミングから所定後に、ベルト駆動モータ38の駆動を停止させるようにしても良い。
【0053】
<効果>
以上のような構成のディスク搬送機構11およびディスク再生装置10によれば、搬送ベルト41によってディスクDが、ディスク再生装置10の内部に送り込まれる。そのため、ディスクDと搬送ベルト41とは、面的に接触し、従来のディスクガイドと搬送ローラとでディスクを搬送する方式と比較して、搬送ベルト41のディスクDに対する接触面積が大面積となる。それにより、ディスクDに付与される応力を小さくすることが可能となり、ディスクDのラベル面等に傷が生じるのを防止可能となる。
【0054】
また、本実施の形態においては、圧着ローラ53を具備するものの、この圧着ローラ53は、搬送ベルト41をディスクDに圧着させることによって効果的に搬送ベルト41の駆動力をディスクDに伝達するための、アイドルローラであるため、ディスクDと圧着ローラ53とはスリップすることがなく、ディスクDには、一層傷を生じさせないことが可能となる。
【0055】
さらに、上述の搬送ベルト41を用いるディスクDの搬送により、ディスクDのラベル面に、印刷ラベル等のような凹凸が形成されていて、ラベル面の摩擦係数がラベル面の部位によって変化する場合であっても、ディスクDの搬送力/排出力を安定化させることが可能となる。そのため、ディスクDのラベル面等に傷が生じるのを効果的に防止可能となる。
【0056】
また、本実施の形態では、圧着ローラ53は、回動軸を支点として回動可能に設けられている。そのため、ディスクDのターンテーブル66へのチャッキングの際には、圧着ローラ53はディスクDから離間させる向きに回動させることが可能となる。
【0057】
さらに、本実施の形態では、ローラアーム52には、挿入防止突起522が設けられていて、この挿入防止突起522は、ディスク挿入口27からのディスク搬送経路に差し掛かるように設けられている。そのため、ディスクDが既にディスク再生装置10の内部に存在しているにも拘わらず、さらにディスクDを挿入しようとする、いわゆる2枚入れが防止可能となる。
【0058】
また、本実施の形態では、ローラ用シャーシ51は、回動軸54を支点として、回動モータ34の駆動により回動可能に設けられている。そのため、ディスクDの中心孔が、ターンテーブル66に対して、例えばディスク再生装置10の幅方向に所定だけずれている場合であっても、ローラ用シャーシ51を回動させることで、所定の範囲内のずれを解消して、ディスクDのターンテーブル66に対するチャッキングを良好に行うことが可能となる。
【0059】
さらに、本実施の形態では、昇降カム機構部70によって、トラバースユニット60が支持軸611を支点として回動させられる。かかる回動により、ターンテーブル66を上下方向に移動させることが可能となり、ターンテーブル66に対してディスクDを良好にチャッキングさせることが可能となる。
【0060】
<変形例>
以上、本発明の一実施の形態に係るディスク搬送機構11およびディスク再生装置10について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0061】
上述の実施の形態においては、ローラ用シャーシ51は、底面部21に対して、回動軸31を支点として回動自在に軸支されている。しかしながら、ローラ用シャーシ51は、上面部22に対して、回動軸を支点として回動自在な構成を採用しても良い。
【0062】
また、上述の実施の形態では、圧着ローラ部材50によりディスクDが下方に落下しないように支持されている。しかしながら、ディスクDが落下しないための構成は、圧着ローラ部材50には限られなく、他の構成を用いるようにしても良い。他の構成としては、例えば、ディスクDを搬送ベルト41側で、例えば真空吸引や粘着力によって保持する構成が挙げられる。
【0063】
また、本実施の形態では、回動モータ34とベルト駆動モータ38とをそれぞれ設ける構成を採用している。しかしながら、例えば前面シャーシ部321とベルト駆動ギヤ35との間でロック可能な構成を採用して、ベルト駆動モータ38に、回動モータ34の機能を兼用させるようにしても良い。
【0064】
また、上述の実施の形態では、トラバースユニット60は、昇降カム機構部70を用いて、支持軸611を支点として回動し、その回動によってターンテーブル66が昇降する構成を採用している。しかしながら、このような昇降カム機構部70を設ける構成を採用せずに、別途の構成を採用して、ターンテーブル66を昇降させる構成を実現しても良い。別途の構成の例としては、モータおよびラックギヤを用いたり、または電磁方式のアクチュエータを用いて、トラバースユニット60を昇降させるものがある。
【0065】
また、上述の実施の形態では、搬送ベルト41は、一対設けられている。しかしながら、搬送ベルト41の個数は一対には限られず、1つのみとしても良く、また3つ以上設けるように構成しても良い。
【0066】
また、上述の実施の形態におけるディスク再生装置10としては、家庭用または車載用を始めとするオーディオ機器、カーナビゲーション装置、映像表示装置、録画再生装置等が代表例として挙げられる。また、ディスク搬送機構11は、光ディスク以外のディスク(光磁気ディスク等)を搬送するものであっても良い。また、ディスク再生装置は、光ディスク再生装置以外のディスク再生装置であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の光ディスク搬送機構および光ディスク再生装置は、各種の電気機器の分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
10…ディスク再生装置(光ディスク再生装置に対応)
11…ディスク搬送機構(光ディスク搬送機構に対応)
20…筐体
30…ベルト搬送部
32…搬送ベルト用シャーシ
33…伝達ギヤ
34…回動モータ
35…ベルト駆動ギヤ
36…伝達ベルト
38…ベルト駆動モータ(モータに対応)
39,40…搬送ローラ
41…搬送ベルト
50…圧着ローラ部材(ローラ部材に対応)
51…ローラ用シャーシ
52…ローラアーム(アーム部材に対応)
53…圧着ローラ
54…回動軸
55…付勢バネ
56…検出センサ
60…トラバースユニット
61…トラバースシャーシ
64…光ピックアップユニット
65…光ピックアップ
66…ターンテーブル
67…スピンドルモータ
70…昇降カム機構部
71…昇降カム
321…前面シャーシ部
322…側面シャーシ部
323…後側突出部
511…プレート部
512…前面突出部
521…側方突出部521
522…挿入防止突起
611…支持軸
711…第1突出部
712…第2突出部
D…ディスク(光ディスクに対応)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに面的に接触する搬送ベルトと、
上記搬送ベルトを駆動させるためのモータと、
を具備することを特徴とする光ディスク搬送機構。
【請求項2】
請求項1記載の光ディスク搬送機構において、
回動支点を中心に回動するアーム部材を具備し、このアーム部材の回動によって前記搬送ベルトに対して接離可能な圧着ローラを具備するローラ部材を備える、
ことを特徴とする光ディスク搬送機構。
【請求項3】
請求項1または2記載の光ディスク搬送機構において、
前記アーム部材には、前記圧着ローラが前記光ディスクから離間する向きに回動させられる場合にディスク挿入口から前記光ディスクが移動するディスク搬送経路に差し掛かるように起き上がる挿入防止突起が設けられている、
ことを特徴とする光ディスク搬送機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光ディスク搬送機構において、
前記搬送ベルトは、一対の搬送ローラによって駆動可能に設けられていると共に、
上記搬送ローラは、ローラ用シャーシによって回転可能に支持されていて、
上記ローラ用シャーシは、回動軸を支点として回動可能に設けられている、
ことを特徴とする光ディスク搬送機構。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の光ディスク搬送機構を具備すると共に、
前記光ディスクに対して光を照射し、反射された情報を読み取るための光ピックアップを備え、前記光ディスクを回転可能に保持するターンテーブルを備えると共に、この光ピックアップを支持するトラバースシャーシを備えるトラバースユニットと、
上記トラバースシャーシに設けられている支持軸を中心に上記トラバースユニットを回動させて上記ターンテーブルを昇降させることにより、前記光ディスクを上記ターンテーブルに保持させる昇降カム機構部と、
を具備することを特徴とする光ディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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