光ディスク装置およびデフォーカス補正方法
【課題】
光ディスクへの記録開始時に色収差に起因して発生するデフォーカスを補正する。
【解決手段】
記録開始前の所定アドレス位置となるタイミングでフォーカスエラー信号のバイアスを変更して記録開始時に発生するデフォーカスを相殺するように逆極性のデフォーカスを予め発生させておく。さらに、前記バイアスは記録パワーに応じた値とする。
光ディスクへの記録開始時に色収差に起因して発生するデフォーカスを補正する。
【解決手段】
記録開始前の所定アドレス位置となるタイミングでフォーカスエラー信号のバイアスを変更して記録開始時に発生するデフォーカスを相殺するように逆極性のデフォーカスを予め発生させておく。さらに、前記バイアスは記録パワーに応じた値とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクへデータの記録を開始する際に色収差に起因して発生するデフォーカスを補正する光ディスク装置およびデフォーカス補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、波長400nm近傍の青紫色レーザ光源と開口数(以下、NAと呼ぶ)0.85の対物レンズとを組み合わせた光学システムによってデータの記録再生が可能な高密度の光ディスクが実用化されている。例えば、記憶容量25GBや50GBのBlu-ray Disc(以下、BDと呼ぶ)が実用化されている。
【0003】
前記レーザ光源の発光パワーは、データ再生時には比較的低いパワー(以下、再生パワーと呼ぶ)を用いるがデータ記録時には比較的高いパワー(以下、記録パワーと呼ぶ)を用いる。光ディスクへデータを記録開始する際には発光パワーを再生パワーから記録パワーへ切り換えるが、この切り換え時に瞬時的にレーザ波長が数nm程度変化して所謂色収差が発生することが知られている。色収差が発生するとデフォーカスが発生するが、フォーカスサーボの追従動作により時間の経過と共にデフォーカスはやがてほぼ0レベルに収束してジャストフォーカスとなる。しかし、記録開始時からジャストフォーカスとなるまでの期間においてはジャストフォーカスとなっていないので記録品質が低下してしまう。
【0004】
この課題を解決するために、色収差補正用光学素子を備えた光ピックアップが提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、色収差補正用光学素子を備えると光ピックアップのコストが上昇するという新たな課題が発生する。そのため、色収差補正用光学素子を備えない光ピックアップを用いた光ディスク装置において記録開始時のデフォーカスを補正可能であることが望ましい。
【0005】
この課題を解決するために、例えば特許文献2においては、記録を開始した瞬間のデフォーカス量を低減するために、記録開始前においてフォーカスエラー信号(以下、FE信号と呼ぶ)と予め学習しておいたデフォーカス補正量とを加算する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−167190号公報
【特許文献2】特開2008−4227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献2で開示されているデフォーカス補正方法においては、以下の2つの課題がある。
【0008】
第1の課題については以下の通りである。
【0009】
特許文献2では、テスト信号を記録する所謂OPC(Optimum Power Control)のときに発生するデフォーカス量を学習する方法が開示されている。しかしながら、OPCのときの記録パワーと実際のユーザデータ記録領域における記録品質が最良となる最適記録パワーとが異なる場合、学習したデフォーカス量は、実際のユーザデータ記録領域における最適記録パワー時に発生するデフォーカス量と異なる。これは、色収差に伴って発生するデフォーカス量が記録パワーに依存するためである。以上の理由により、特許文献2では、実際のユーザデータ記録領域における最適記録パワーに対応するデフォーカス補正量を正確に学習することができない。
【0010】
第2の課題については以下の通りである。
【0011】
前記特許文献2では、OPC開始時に発生するデフォーカスを補正しないのでOPC先頭部の再生信号品質が低下する。そのため、OPC記録部を再生して記録品質を評価する際には、OPC先頭部から所定期間(期間Aとする)の再生信号を遮断する構成としている。OPC部の記録品質を評価するためには所定期間(期間Bとする)以上を記録しておく必要があるので、OPCの初回発光パワーで記録する長さは、前記期間Aと前記期間Bとの合計となり、従来のOPCに比べて記録領域が長くなる。追記型の光ディスク(例えばBD−R)においては、OPC領域は規格書によって規定されている。そのため、光ディスク一枚で実行可能なOPCの最大回数が減少してしまう。
【0012】
以上の2点の課題を解決するためには、学習動作を行うことなく記録開始時のデフォーカスを補正できることが望ましい。
【0013】
本発明の目的は、学習動作を行うことなく記録開始時のデフォーカスを補正可能な光ディスク装置およびデフォーカス補正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、例えば、記録開始時に発生するデフォーカスを低減するように逆極性のデフォーカスを予め発生させることで達成できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、学習動作を行うことなく記録開始時のデフォーカスを補正可能な光ディスク装置およびデフォーカス補正方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光ディスク装置の構成例を示すブロック図(実施例1、実施例3)
【図2】フォーカスエラー信号生成回路の構成例を示すブロック図(実施例1)
【図3】フォーカスエラー信号生成回路の動作例を示す波形図(実施例1)
【図4】記録パワーとレーザダイオードの波長シフトとの関係例を示す模式図
【図5】記録パワーとデフォーカス量との関係例を示す模式図
【図6】デフォーカス補正動作の例を説明するための波形図(実施例1、実施例2)
【図7】フォーカスエラー信号生成回路の他の構成例を示すブロック図(実施例1)
【図8】フォーカスエラー信号生成回路の他の構成における動作例を示す波形図(実施例1)
【図9】光ディスク装置の構成例を示すブロック図(実施例2、実施例4)
【図10】デフォーカス補正動作の例を示すフローチャート(実施例2)
【図11】BDにおけるディスク半径と記録速度との関係例を示す模式図
【図12】BDにおけるディスク半径と1セクタ周期との関係例を示す模式図
【図13】デフォーカス補正動作の例を説明するための波形図(実施例3、実施例4)
【図14】デフォーカス補正動作の例を示すフローチャート(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1における光ディスク装置の構成例を示すブロック図である。
【0019】
符号1は光ディスクである。光ディスク1は図示しないスピンドルモータによって回転駆動される。
【0020】
符号2は光ピックアップである。光ピックアップ2の構成は以下の通りである。
【0021】
レーザダイオード3から発せされたレーザ光は、コリメータレンズ4によって並行光とされ、ビームスプリッタ5および対物レンズ6を通過して光ディスク1の記録面に集光される。光ディスク1からの反射光は、再び対物レンズ6を通過してビームスプリッタ5によって反射され、シリンドリカルレンズ7、集光レンズ8を通過して4分割光検出器9に集光する。4分割光検出器9は受光した光の強度に応じた電気信号を各々の光検出器から出力する。また、対物レンズ6はフォーカスアクチュエータ10によってレーザ光の略光軸方向へ駆動可能となっている。なお、光ピックアップ2は図示しないトラッキングアクチュエータも備えており、対物レンズ6を光ディスク1の略半径方向へ駆動可能となっている。
【0022】
符号11はフォーカスエラー信号生成回路であり、4分割光検出器9の各々の出力信号を用いてFE信号を生成する。また、フォーカスエラー信号生成回路11は、後述するバイアス制御回路18と信号処理回路19とからの出力信号に応じてFE信号のバイアスを変化させる。この動作については後述する。
【0023】
符号12はフォーカス補償回路であり、FE信号に対してフォーカスサーボの安定性および追従性能を改善するために位相とゲインの補償を行った信号を出力する。フォーカス補償回路12の出力信号がフォーカス駆動信号であり、以降FOD信号と呼ぶ。
【0024】
符号13はドライバ回路であり、FOD信号を増幅して光ピックアップ2内のフォーカスアクチュエータ10に供給する。
【0025】
符号14はアドレス復調回路であり、光ピックアップ2の出力信号を用いて光ディスク1のアドレス情報を復調して出力する。
【0026】
符号15は目標アドレス記憶部であり、後述する制御回路21によって後述する目標アドレスが設定される。
【0027】
符号16は比較回路であり、アドレス復調回路14が出力するアドレス情報と前記目標アドレスとを比較し、両者が一致したときにHighレベルのパルス信号を出力する。
【0028】
符号17はバイアス算出回路であり、制御回路21から記録パワー情報を受け取り、それに応じたバイアス量を算出して出力する。
【0029】
符号18はバイアス制御回路であり、比較回路16がHighレベルのパルス信号を出力したことを検出するとフォーカスエラー信号生成回路11に対してバイアス算出回路17の出力信号であるバイアス量に応じたバイアス設定を行う。
【0030】
符号19は信号処理回路であり、制御回路21から供給されたデータに対して所定の記録フォーマットに従って信号処理を行った信号を出力する。また、信号処理回路19は前記アドレス情報が所定の値となるタイミングから記録を開始させる。また、信号処理回路19は記録動作中を示すWGATE信号を出力して、フォーカスエラー信号生成回路11に供給する。本実施例では、WGATE信号がHighレベルの時にレーザダイオードは記録パワーで発光することとし、Lowレベルの時は再生パワーで発光することとする。
【0031】
符号20はレーザダイオードドライバであり、信号処理回路19の出力信号に応じてレーザダイオード3を駆動して発光させる。
【0032】
符号21は制御回路であり、光ディスク装置全体を制御する。制御回路21は、タイマー回路等を内蔵する一般的なCPUを用いることができる。また、制御回路21は図示しないインターフェース回路を備え、前記インターフェース回路を介して外部機器と接続可能な構成となっている。前記外部機器とは、例えば一般的なパーソナルコンピュータなどであり光ディスク1に対してデータの記録再生動作を行う機器である。
【0033】
次に、フォーカスエラー信号生成回路11の構成について詳細に説明する。
【0034】
図2は、フォーカスエラー信号生成回路11の構成例を示すブロック図である。
【0035】
4分割光検出器9は、検出面が光検出器9a、9b、9c、9dの各構成要素に分割されており各光検出器の出力信号をそれぞれMA、MB、MC、MDとする。対角線上に配置された光検出器9a、9cの各出力MA、MCは第1の加算回路111で加算演算され、一方他の対角線上に配置された光検出器9b、9dの各出力MB、MDは第2の加算回路112で加算演算される。さらに、各加算回路の出力は減算回路113によってその差分が算出される。よって、減算回路113の出力信号は(MA+MC)−(MB+MD)となり、公知の非点収差法によるFE信号を得る。
【0036】
バイアス設定回路114はバイアス制御回路18により所定のバイアスレベルが設定され、その出力信号は切り換え回路115の入力端子aに供給される。
【0037】
また、切り換え回路115は、入力端子bへ0レベルの信号が供給されており、信号処理回路19から供給されるWGATE信号に応じて入力端子a側か入力端子b側に切り換わる。図2においては、WGATE信号がLowレベル(再生パワー発光)の時に入力端子a側に切り換わり、Highレベル(記録パワー発光)の時に入力端子b側に切り換わるものとする。切り換え回路115の出力信号がFE信号へ加算するバイアスレベルとなる。
【0038】
減算回路113の出力信号は、第3の加算回路116によって切り換え回路115から出力されるバイアスレベルが加算され、もってフォーカスサーボ動作に用いるFE信号を得る。
【0039】
以上に述べたFE信号を出力するフォーカスエラー信号生成回路11の動作例を示す波形例を図3に示す。図3の横軸はデフォーカス量であり、縦軸は信号レベルである。なお、デフォーカス量が+極性の場合は、記録面に対してレーザスポットが奥側つまり光ピックアップ2から遠ざかる方向に位置していることを示し、−極性の場合は、記録面に対してレーザスポットが手前側つまり光ピックアップ2に近づく方向に位置していることを示すものとする。
【0040】
図3の波形aはWGATE信号がHighレベル(記録パワー発光)の場合のFE信号であり、切り換え回路115は入力端子bに供給される0レベル信号を加算バイアスとして出力するのでFE信号は上下対称の公知のS字波形となる。一方、図3の波形bはWGATE信号がLowレベル(再生パワー発光)の場合のFE信号である。ここで、バイアス設定回路114はバイアス制御回路18によって予めバイアスレベル(−BL)が設定されているものとする。切り換え回路115は入力端子aに供給されるバイアスレベル(−BL)を加算バイアスとして出力するので、波形bは波形aに対して−BLだけオフセットした波形となる。
【0041】
ここで、波形aの0レベルは図中の点Aであり、波形bの0レベルは同じく点Bである。フォーカスサーボはFE信号が0となるように制御を行うので、WGATE=Low(再生パワー発光)時には、光ディスク1の記録面に対して点Bに相当する図3中の(−F1)だけデフォーカスした位置でジャストフォーカス位置となる。
【0042】
次に、バイアス算出回路17の動作について詳細に説明する。
【0043】
図4は記録パワーとレーザダイオード3の波長シフトとの関係例を示す模式図である。記録パワーが再生パワーと同じ場合は色収差が発生しないのでLD波長シフトは0であるが、再生パワーに対して記録パワーが高くなるに従ってLD波長シフトが大きくなる。このLD波長シフトが原因でデフォーカスが発生し、そのデフォーカス量はLD波長シフトに比例する。これを示すのが図5であり、記録パワーが再生パワーと同じ場合にはデフォーカス量は0であるが、記録パワーが大きくなるに従ってデフォーカス量も大きくなる。図5に示した記録パワーとデフォーカス量の関係は光ピックアップ2の光学設計によって決まる。これより、バイアス算出回路17は図5に示した記録パワーとデフォーカス量の関係を記憶する構成としておき、制御回路21から記録パワーの情報を受け取って、その情報に応じてデフォーカス量を算出可能な構成としておく。
【0044】
例えば、図5における記録パワーをX、デフォーカス量をYとすると、その関係は
(式1)
Y=M・X+N …… (式1)
となる。ここで、MおよびNは光ピックアップ2の光学設計により決まる定数である。バイアス算出回路17は予め定数MおよびNを記憶しておき、記録パワーXおよび前記(式1)に応じてデフォーカス量Yを算出する。さらに、算出したデフォーカス量Yとは逆極性のデフォーカス量(−Y)を発生させるバイアス量を算出する。ここでデフォーカス量(−Y)を発生させるためのバイアス量は、光ディスク装置の光学設計、より具体的にはFE信号の0接線感度によって決まるので、バイアス算出回路は0接線感度を予め記憶しておき、それに応じてデフォーカス量からバイアス量を算出する構成としておけばよい。なお、前記の定数M、Nおよび0接線感度は制御回路21によってバイアス算出回路17へ設定可能な構成であることが望ましい。
【0045】
以上に述べた構成において、実施例1のデフォーカス補正動作例を示す図6の波形図を用いて以下説明する。
【0046】
波形(a)は目標アドレス記憶部15の出力信号、波形(b)はアドレス復調回路14が出力するアドレス情報、波形(c)は比較回路16の出力信号、波形(d)はバイアス設定回路114の出力信号、波形(e)はWGATE信号、波形(f)は加算回路116が出力するFE信号である。また、波形(g)はデフォーカス量を示す波形であり、図1の構成要素の出力信号ではないが本実施例の理解の助けとするために図中に示す。なお、波形(f’),(g’)は本実施例を適用しない場合のFE信号とデフォーカス量とを示す波形であり、比較のために示す。
【0047】
時刻T2において記録動作を開始(WGATE信号(e)=High)すると、レーザダイオード3の発光パワー変化に伴って色収差が発生する。本実施例を適用しない場合は、波形(g’)に示すようにフォーカスサーボが追従するまでの期間P0においてデフォーカスが発生する。このとき、FE信号(f’)のレベルは過渡的に変化する。この期間P0においてはデフォーカスが発生しているために記録品質が低下してしまう。
【0048】
この問題を解決するため、本実施例では以下のように対処する。
【0049】
図6中の記録開始アドレスXから記録を行うに先立って、制御回路21は時刻T0において目標アドレス記憶部15に目標アドレスを設定する。本実施例では目標アドレスとして(X−2)を設定するものとする。
【0050】
回転する光ディスク1に対してトラッキングサーボが追従し、時刻T1において目標アドレス(a)とアドレス情報(b)が一致すると比較回路16はHighパルスの信号を出力する(波形(c))。バイアス制御回路18は、比較回路出力(c)のHighパルスを検出すると、バイアス算出回路17から供給されるバイアスレベルをフォーカスエラー信号生成回路11内のバイアス設定回路114に設定する。本実施例においては、図3で説明したデフォーカス量(−F1)を発生させるバイアスレベル(−BL)を設定するものとする(波形(d))。このため、FE信号(f)はバイアスレベル(−BL)と同じレベルまで瞬間的に変化するが、フォーカスサーボが追従して安定すると再び0レベルに収束する。このとき、デフォーカス量(g)はバイアスレベル(−BL)に対応するデフォーカス量(−F1)に収束する。なお、このときのフォーカスサーボの収束時間は波形(g’)で説明した期間P0とほぼ同じである。期間P0はフォーカスサーボ帯域によって決り、帯域を約5kHzに設計している場合は200μs程度である。
【0051】
この状態において、時刻T2でアドレス情報(b)が記録開始アドレスXと一致すると光ディスク1に対してデータの記録動作が開始されてWGATE信号(e)がHighレベルとなる。よって、フォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115は入力端子b側に切り換わる。
【0052】
記録動作を開始するとレーザダイオード3の発光パワーが高くなって色収差に伴うデフォーカスF1が瞬時的に発生するが、時刻T2においては発生するデフォーカス量F1と逆極性のデフォーカス量(−F1)でフォーカスサーボが動作しているため色収差発生に伴って生じるデフォーカス量F1は相殺される。そのため、デフォーカス量(g)は0となりFE信号(f)に過渡的なレベル変化が生じない。以上の動作により、記録開始時のデフォーカス発生を防止することができるので、記録開始部の記録品質を良好に保つことができる。
【0053】
時刻T4において記録動作を終了するとWGATE信号(e)がLowレベルとなるので、フォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115は入力端子a側に切り換わる。ここで、バイアスレベル(d)を−BLのままにしておくと、その後のシーク動作や再生性能の低下原因となる。そこで、バイアス制御回路18は、バイアスレベル(d)を−BLに設定した時刻T1から所定時間P1を経過した時刻T3においてバイアスレベル(d)を0レベルに戻す。ここで、バイアスレベル(d)を0レベルに戻すタイミングT3は記録期間中であることが望ましい。これは、記録期間中にはフォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115は入力端子b側に切り換わっており、バイアス設定回路114の出力信号を使用しないので記録中にバイアスレベル(d)を変化させてもフォーカスサーボ動作には影響を及ぼさないためである。
【0054】
なお、時刻T4において記録動作を終了して、フォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115が入力端子a側に切り換わったときには上記動作によりバイアスレベル(d)は0レベルに戻っている。このとき、レーザダイオード3の発光パワーは記録パワーから再生パワーへ切り換わる。このため、記録開始時とは逆極性のデフォーカス量(−F1)が発生する。このため、FE信号(f)はデフォーカス量(−F1)に相当するレベルBLまで変化するが、フォーカスサーボが追従して安定になるとFE信号(f)は再び0レベルに収束する。
【0055】
上記説明ではバイアスレベル(d)を時刻T1で設定してから所定期間P1が経過した時刻T3においてバイアスレベル(d)を0レベルに戻す動作としたが、他の動作としても良い。例えばバイアス制御回路18にWGATE信号を供給する構成とし、さらにバイアス制御回路18内にタイマー回路を設けて、WGATE信号がHighレベルとなる記録開始時刻T2から前記タイマー回路による時間計測を開始し、計測時間が所定期間を経過したタイミングで0レベルに戻してもよい。なお、前記所定期間を0に設定しておけば、記録開始時刻T2においてバイアスレベル(d)を0レベルに戻す動作も可能である。
【0056】
また、バイアスレベル(d)を元に戻す他の構成としては、例えば記録開始してから所定アドレス分だけデータを記録したタイミングでバイアスレベル(d)を0レベルに戻す構成としてもよい。その実現方法としては、記録開始時刻T2以降のタイミングで制御回路21は目標アドレス記憶部15にバイアスレベル復帰目標アドレスを設定し、バイアス制御回路18はアドレス情報(a)が前記復帰目標アドレスと一致したことを検出してバイアスレベル(d)を0レベルに戻す構成とすればよい。
【0057】
上記いずれの場合もバイアスレベル(d)を0レベルに戻すタイミングは記録期間中であることが望ましい。しかし、バイアスレベル(d)をレベル(−BL)にした状態で記録動作を終了してからシークや再生を行うまでにサーボ動作に不具合が生じなければ、記録動作を終了した後にバイアスレベル(d)を0レベルに戻す構成としても良い。
【0058】
以上に述べたバイアスレベル(d)を元に戻す構成は本実施例に限るものではなく、以降に述べる他の実施例においても同様に適用可能である。
【0059】
また、FE信号のバイアス変更手段は図2に示した構成に限るものではない。図7は、フォーカスエラー信号生成回路11の他の構成例を示すブロック図である。なお、図2と同一構成要素については同番号を付して説明を省略する。
【0060】
第1の加算回路111の出力信号である(MA+MC)は、切り換え回路119の入力端子bおよび第1の可変アンプ117に供給される。また、第2の加算回路112の出力信号である(MB+MD)は切り換え回路120の入力端子bおよび第2の可変アンプ118に供給される。
【0061】
また、第1の可変アンプ117の出力信号は切り換え回路119の入力端子aへ、第2の可変アンプ118の出力信号は切り換え回路120の入力端子aへそれぞれ供給される。減算回路113は切り換え回路119と切り換え回路120の出力信号との差を演算して出力し、もってFE信号を得る。なお、切り換え回路119、120はWGATE信号によって制御され、WGATE信号がLowレベル(再生パワー発光)の時は入力端子a側に切り換わり、Highレベル(記録パワー発光)の時は入力端子b側に切り換わる。また、可変アンプ117、118はバイアス制御回路18によって利得が設定される。
【0062】
図8は、図7に示したフォーカスエラー信号生成回路11の他の構成例における動作例を示す波形図である。
【0063】
図8の左側の波形はWGATE信号がHighレベル(記録パワー発光)の場合の波形であり、切り換え回路119,120は共に入力端子(b)側に切り換わっている。図8の波形aは第1の加算回路111が出力する(MA+MC)の信号であり、波形bは第2の加算回路112が出力する(MB+MD)の信号である。また、波形cはこのときに減算回路113が出力するFE信号である。波形aおよびbはそれぞれ異なるデフォーカス量で極大レベルとなり、それ以外のデフォーカス量では信号レベルが減少する山状の波形となる。
【0064】
一方、図8の右側の波形はWGATE信号がLowレベル(再生パワー発光)の場合の波形であり、切り換え回路119,120は共に入力端子(a)側に切り換わっている。図8の波形dは第1の可変アンプ117の出力信号であり、波形eは第2の可変アンプ118の出力信号である。ここで、第1の可変アンプ117はバイアス制御回路18によって利得が例えば0.8倍に設定されているものとする。そのため、波形dは、第1の加算回路111の出力信号である波形aに対して信号振幅が0.8倍となる。また、第2の可変アンプ118はバイアス制御回路18によって利得が例えば1.2倍に設定されているものとする。そのため、波形eは、第2の加算回路112の出力信号である波形bに比べて信号振幅が1.2倍となる。このとき、減算回路113は波形d、eの差分を演算出力するので、FE信号は波形fに示すとおり上下にアンバランスとなる波形になり、その0レベルは図中の点Cとなる。よって、この状態においては、図8中に示す(−F2)のデフォーカスが発生した状態でフォーカスサーボによる制御が行われる。このように、FE信号のバランスを変更する方法でもフォーカス制御にデフォーカスを与えることができるので、図6と同様に記録開始時のデフォーカスを補正することができる。
【0065】
なお、実際の光ディスク装置はフォーカスエラー信号生成回路11にAGC(Auto Gain Control)回路を内蔵する構成が一般的に用いられる。FE信号は光ディスク1からの反射光量に応じてその振幅が変化するので、その振幅変化に伴ってフォーカスサーボゲインが変動してしまう。そこで、光ディスク1からの反射光量(例えば4分割光検出器9の各出力信号の総和)に応じてFE信号の振幅を補正するAGC回路を用いることで、フォーカスサーボゲインを所定値に保つようにしている。図2に示したフォーカスエラー信号生成回路11においてAGC回路を用いる場合、減算回路113と加算回路116との間にAGC回路を設けてAGC回路の出力信号に対してバイアスレベルを加算する構成にすることが望ましい。これは、AGC回路が出力するFE信号においては振幅が一定値に補正されており、切り換え回路115が出力するバイアスレベルを加算回路116によって加算したときに光ディスク1の反射光量に依存せずに所定のデフォーカス量を得られるからである。
【0066】
一方、図7に示したフォーカスエラー信号生成11においてAGC回路を用いる場合、その設置位置は例えば、加算回路111および112の後段、切り換え回路119および120の後段、または減算回路113の後段など、いずれの箇所でもよい。この理由は、可変アンプ117、118によってFE信号のバランスを変更する方式の場合、FE信号の振幅によってデフォーカス量が依存しないためである。
【0067】
以上のように本実施例においては記録開始アドレスの手前の所定アドレスタイミングにおいてFE信号にバイアスレベルを設定するが、前記所定アドレスの決め方を以下に説明する。
【0068】
図11は、BDの記録速度の一例である。横軸はディスク半径位置であり縦軸は記録速度である。なお、記録速度は標準線速度で記録する場合を1xと表記し、前記標準線速度の2倍の速度で記録する場合は2xと表記する。その他の速度についても同様である。図11においては、線速度一定(以下、CLVと呼ぶ)の1x,2xと角速度一定(以下、CAVと呼ぶ)6xの例を示す。CLV制御の場合はディスクの内外周で記録速度は変化しない。一方、CAV制御の場合は内周から外周へ記録するに従って記録速度が増加する。
【0069】
光ディスク1においては1セクタの物理的な長さディスク全周にわたって一定であるとする。この1セクタ周期を図12に示す。CLV制御においては、ディスクの内外周で線速度が一定なので1セクタ周期も一定である。一方、CAV制御においては内周に比べて外周では線速度が大きくなるので、1セクタ周期は内周に比べて外周で短くなる。ここで、フォーカスバイアスを変更する際のサーボ収束時間(約200μs)と1セクタ周期とを比較すると、CLV 1xの場合は1セクタ周期が400μs以上ありサーボ収束時間に対して十分余裕がある。そのため、前記所定アドレスは記録開始アドレスの1セクタ手前に設定しても問題ない。一方、CLV 2xの場合には1セクタ周期は約230μsであり、サーボ収束時間(約200μs)に対してマージンが少ない。そのため、CLV 2xでは前記所定アドレスは記録開始アドレスの2セクタ手前に設定することが望ましい。
【0070】
また、CAV 6xでは全半径位置において1セクタ周期がサーボ収束時間(約200μs)以下となっている。そこで、前記所定アドレスを記録開始アドレスの3セクタ手前に設定すれば、全半径位置でサーボ収束時間(約200μs)以上を確保できる。また、例えば半径40mmより内周であれば、前記所定アドレスを記録開始アドレスの2セクタ手前に設定してもサーボ収束時間(約200μs)以上を確保できる。つまり、記録を開始する半径位置に応じて前記所定アドレスを切り換える方式を用いても良い。
【0071】
以上に述べたように、前記所定アドレスは記録速度および記録開始半径位置に応じて変更する構成としても良い。なお、半径位置は光ディスクのアドレスと1対1に対応しているので、半径位置をアドレス位置と置き換えても良い。
【0072】
さらに、前記所定アドレスは以上に述べた2セクタ前や3セクタ前よりも手前の位置としてもよく、光ディスク装置の記録再生動作の速度に影響が無い程度に手前としても良い。例えば、制御回路21は1ECCブロック長単位で動作する構成が用いられる場合があるので、1ECCブロック手前や2ECCブロック手前など1ECCブロック単位で前記所定アドレスを記録開始アドレスの手前に設定しても良い。なお、BDの場合には1ECCブロックは32セクタ長である。
【0073】
なお、上記の所定アドレスの決め方は本実施例だけでなく、以降に説明する他の実施例においても同様に適用できる。
【0074】
以上に説明した実施例1は、記録開始前に光ディスクのアドレス情報が所定アドレスとなるタイミングにおいて、記録発光に伴って発生するデフォーカスを相殺するようにデフォーカスを与えるので、記録開始時にデフォーカスが発生しない。このことにより、記録開始部の記録品質を良好に保つことができる。また、与えるデフォーカス量は記録パワーから算出するため学習動作が不要である。そのため、最適記録パワーに応じたデフォーカス量を設定可能である。
【実施例2】
【0075】
実施例1ではハードウェア処理によって記録開始時のデフォーカスを補正する動作について説明したが、本実施例ではソフトウェア処理によって記録開始時のデフォーカスを補正する動作について説明する。
【0076】
図9は、本実施例における光ディスク装置の構成例を示すブロック図である。
【0077】
実施例1の光ディスク装置である図1に対して図9が異なる点は、目標アドレス記憶部15、比較回路16、バイアス算出回路17、バイアス制御回路18が含まれないことであり、これらの構成要素の機能は制御回路21によってソフトウェア処理によって実行されるものとする。なお、制御回路21は、アドレス復調回路14から出力されるアドレス情報が供給されると共に、フォーカスエラー信号生成回路11内のバイアス設定回路114、または可変アンプ117、118を設定可能な構成とする。実施例1と同様に実施例2でもフォーカスエラー信号生成回路11は図2、図4のどちらの構成であっても良いが、以降の説明では図2の構成を用いることとする。
【0078】
図10は本実施例のデフォーカス補正動作の例を示すフローチャートであり、制御回路21によってソフトウェア処理によって実行される。なお、本実施例においては、実施例1と同様に光ディスクへの情報の記録を開始する記録開始アドレスはXとし、デフォーカス補正を行う目標アドレスは(X−2)とする。また、本実施例における動作波形は実施例1と同じ図6である。
【0079】
補正処理を開始(ステップS101)すると、制御回路21は図6の時刻T0においてデフォーカス補正を行う目標アドレス(X−2)をその内部に設定する(ステップS102)。
【0080】
次に、制御回路21はアドレス復調回路14から供給されるアドレス情報を監視し、前記の目標アドレス(X−2)と一致するか確認する(ステップS103)。ここで、目標アドレス(X−2)とアドレス情報が一致しなければ(Noの場合)ステップS103に戻る。一方、図6の時刻T1において目標アドレス(X−2)とアドレス情報が一致すると(Yesの場合)ステップS103の処理を終了して、記録パワーを取得する(ステップS104)。さらに取得した記録パワーに応じたデフォーカス量を算出し(ステップS105)、算出したデフォーカス量を発生させるためのバイアスレベルを算出する(ステップS106)。さらに算出したバイアスレベルとは逆極性のバイアスレベルをフォーカスエラー信号生成回路11内のバイアス設定回路114に設定する(ステップS107)。
【0081】
その後、制御回路21は内蔵するタイマーを用いて時間計測を開始し(ステップS108)、前記アドレス情報と記録開始アドレスXが一致するかを監視する(ステップS109)。ステップS109において、前記アドレス情報と記録開始アドレスXが一致しなければ(Noの場合)、ステップS109へ戻る。一方、図6の時刻T2において前記アドレス情報と記録開始アドレスXが一致すると(Yesの場合)ステップS109の処理を終了して、信号処理回路19に対して記録開始を指示する(ステップS110)。なお、信号処理回路19が前記アドレス情報を監視して、記録開始アドレスXとなったことを検出して記録開始する構成を用いてもよく、その場合は、前記ステップS109およびS110は省略してもよい。
【0082】
その後、制御回路21は前記タイマーによる計測時間を取得して所定時間P1を経過したかを監視する(ステップS111)。前記ステップS111において所定時間P1を経過していないとき(Noの場合)はステップS111へ戻り、一方所定時間を経過していれば(Yesの場合)ステップS111の処理を終了し、バイアス設定回路114の設定値を元に戻してバイアスレベルを復帰させる(ステップS112)。このタイミングが図6の時刻T3である。
【0083】
以上の処理をもって、制御回路21はデフォーカスの補正処理を終了する(ステップS113)。
【0084】
実施例2では、実施例1で行ったデフォーカス補正処理をソフトウェア処理によって実行するので、低コストである。
【実施例3】
【0085】
実施例1および2では、図6の時刻T1においてフォーカスバイアス(−BL)を設定するが、その際に過渡的にデフォーカスが発生する。記録パワーが大きくなるほど設定するバイアスレベルが大きくなるので発生するデフォーカス量も大きくなる。この場合、フォーカスサーボの追従性能が足りずにフォーカスサーボが外れる危険性がある。そこで、本実施例では設定バイアスレベルが比較的大きい場合でもフォーカスサーボが安定して動作可能な構成について説明する。
【0086】
実施例3における光ディスク装置の構成は実施例1と同じ図1である。ただし、バイアス制御回路18の動作が異なる。
【0087】
本実施例の特徴はフォーカスバイアスを変更する際に複数回に分割してバイアスレベルを設定することである。
【0088】
図13は、実施例3のデフォーカス補正動作の例を示す波形図である。なお、図中の各波形は図6と同様に図1の各構成要素の出力波形である。
【0089】
制御回路21は、時刻T0において実施例1と同様に目標アドレス記憶部15に目標アドレス(X−2)を設定する。
【0090】
図13の時刻T1において目標アドレス(a)とアドレス情報(b)が一致すると比較回路16はHighパルスの信号を出力する(波形(c))。バイアス制御回路18は、比較回路出力(c)のHighパルスを検出すると、バイアス算出回路17から供給されるデフォーカス量に応じたバイアスレベルをフォーカスエラー信号生成回路11内のバイアス設定回路114に設定する。本実施例においては、図3で説明したデフォーカス量(−F1)を発生させるバイアスレベル(−BL)をN段階(Nは2以上の整数)、例えば4段階に分割して設定するものとする(波形(d))。すなわち、1回当たりに変更するバイアスレベルは(−BL/4)である。また、バイアスレベルを変更する周期は図13中に示す期間P0毎とする。期間P0は実施例1で説明したサーボ収束時間(約200μs)を考慮して、それよりも長い期間、例えば400μsとする。
【0091】
時刻T1においてバイアスレベル(d)に(−BL/4)を設定すると、FE信号(f)はバイアスレベル(−BL/4)と同じレベルまで過渡的に変化するが、フォーカスサーボが追従して安定すると再び0レベルに収束する。このとき、デフォーカス量(g)はバイアスレベル(−BL/4)に対応する(−F1/4)に収束する。
【0092】
その後、時刻T2においてバイアスレベル(d)に(−2×BL/4)を設定すると、FE信号(f)はバイアスレベルの変化分に相当する(−BL/4)と同じレベルまで過渡的に変化するが、フォーカスサーボが追従して安定すると再び0レベルに収束する。また、デフォーカス量(g)はバイアスレベル(−2×BL/4)に対応する(−2×F1/4)に収束する。
【0093】
同様に、時刻T3、T4においてバイアスレベル(d)に(−3×BL/4)、(−BL)を設定するとFE信号(f)はバイアスレベルの変化分に相当する(−BL/4)と同じレベルまで過渡的に変化するが、フォーカスサーボが追従して安定すると再び0レベルに収束する。また、デフォーカス量(g)は各バイアスレベルに対応する(−3×BL/4)、(−BL)にそれぞれ収束する。
この状態において、時刻T5でアドレス情報(b)が記録開始アドレスXと一致すると光ディスク1に対してデータの記録動作が開始されてWGATE信号(e)がHighレベルとなる。よって、フォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115は入力端子b側に切り換わる。
【0094】
記録を開始するとレーザダイオード3の発光パワーが高くなって色収差に伴うデフォーカスF1が瞬時的に発生するが、時刻T5においては発生するデフォーカス量F1と逆極性のデフォーカス量(−F1)でフォーカスサーボが動作しているため色収差発生に伴って生じるデフォーカス量F1は相殺される。そのため、デフォーカス量(g)は0となりFE信号(f)に過渡的なレベル変化が生じない。以上の動作により、記録開始時のデフォーカス発生を防止することができるので、記録開始部の記録品質を良好に保つことができる。
【0095】
また、バイアス制御回路18は、時刻T4において最終的なバイアスレベル(−BL)を設定してから、所定時間P1を経過した時刻T6においてバイアスレベル(d)を0レベルに戻す。ここで、バイアスレベル(d)を0レベルに戻すタイミングT6は記録期間中であることが望ましい。この理由は実施例1で述べたように、記録期間中にはフォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115は入力端子b側に切り換わっており、バイアス設定回路114の出力信号を使用しないので記録中にバイアスレベル(d)を変化させてもフォーカスサーボ動作には何ら影響を及ぼさないためである。
【0096】
時刻T7において記録動作を終了するとWGATE信号(e)がLowレベルとなるので、フォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115は入力端子a側に切り換わる。このとき、バイアスレベル(d)は0レベルに戻っている。このとき、レーザダイオード3の発光パワーは記録パワーから再生パワーに切り換わる。このため、記録開始時とは逆極性のデフォーカス量(−F1)が発生し、FE信号(f)はデフォーカス量(−F1)に相当するレベルBLまで変化するが、フォーカスサーボが追従して安定になるとFE信号(f)は再び0レベルに収束する。
【0097】
なお、バイアスレベル(d)を0に戻す動作は上記の説明に限定されるものではなく、実施例1に記載した他の動作例を用いても良い。
【0098】
なお、本実施例ではフォーカスバイアス(d)を4回に分割して設定する構成としたが、分割回数は設計事項であり他の分割回数としても良い。
また、更新周期P0も設計事項でありサーボ収束時間を確保できる時間以上であれば良い。例えば、低い記録速度の時には低帯域サーボ特性を、高い記録速度の時には高帯域サーボ特性をそれぞれ切り換えて使用する場合、各サーボ特性でサーボ収束時間が異なる。このため、各サーボ特性に応じて更新周期を切り換えても良い。
【0099】
また、実施例3ではバイアスレベルを複数に分割して設定するので、バイアスレベル(d)を変更開始してからデフォーカス量(g)が(−F1)に収束するまで時間が実施例1,2のそれに比べて長くなる。そのため、記録開始アドレスXに対する目標アドレス(a)のオフセット量を実施例1,2に比べて大きくしても良い。より具体的には、時刻T0において目標アドレス(a)に(X−4)などを設定するものである。このオフセット量は設計事項として適宜決定すれば良い。
【0100】
なお、本実施例ではバイアスレベル(d)を段階的に変更する動作としたが、バイアスレベル(d)を0レベルから(−BL)まで連続して変化させる動作としても良い。
【実施例4】
【0101】
実施例3ではハードウェア処理によって記録開始時のデフォーカスを補正する動作について説明したが、本実施例ではソフトウェア処理によって記録開始時のデフォーカスを補正する動作について説明する。
【0102】
なお、実施例における光ディスク装置は実施例2と同様に図9に示す構成である。また、本実施例においては、実施例3と同様に光ディスクへの情報の記録を開始する記録開始アドレスはXとし、デフォーカス補正を行う目標アドレスは(X−2)とする。また、本実施例における動作波形は実施例3と同じ図13である。
【0103】
図14は本実施例のデフォーカス補正動作の例を示すフローチャートであり、制御回路21によってソフトウェア処理によって実行される。図14において、実施例2のフローチャートである図10と同一動作については同一符号を付して説明を省略する。
【0104】
補正処理を開始(ステップS101)すると、制御回路21は実施例2と同様にバイアスレベル算出(ステップS106)までの一連の動作を行う。算出したバイアスレベルは例えば実施例3と同様に(−BL)であるとする。
【0105】
その後、制御回路21は図13の時刻T1においてフォーカスエラー信号生成回路11内のバイアス設定回路114にバイアスレベルを変更する(ステップS115)。ここで変更するバイアスレベルの量は実施例3と同様に(−BL/4)とする。
【0106】
ステップS115の後、制御回路21はバイアス設定回路114の設定と前記算出バイアス(−BL)とを比較してバイアスレベルの変更が完了したかどうかを判断する(ステップS116)。ここで比較結果が一致しなければ変更未完了(No)と判断して所定時間のウェイト処理を行う(ステップS117)。前記所定時間は実施例3と同様に図13に示す期間P0とする。
【0107】
ステップS117の後、制御回路21は再びステップS115に戻り、図13の時刻T2においてバイアス設定回路114を残在の設定値である(−BL/4)からさらに(−BL/4)だけ変更した(−2×BL/4)を設定する。
【0108】
以降同様に、ステップS116、S117、S115の順番で動作を繰り返すので、図13の時刻T3,T4でバイアスレベル(d)は(−3×BL/4),(−BL)となる。
【0109】
時刻T4でバイアスレベル(d)が(−BL)になると、ステップS116における比較結果が一致するので制御回路21は変更完了(Yes)と判断しステップS116を終了して、タイマーを用いた時間計測を開始する(ステップS108)。
【0110】
以降、制御回路21は実施例2と同様にステップS109からステップS112を実行してデフォーカス補正処理を終了する(ステップS113)。
【0111】
以上に述べた動作により、本実施は実施例3と同様の動作となって記録開始時のデフォーカス発生を防止することができるので、記録開始部の記録品質を良好に保つことができる。
【0112】
なお、実施例1から4の動作を説明した図6および図13の波形図においては、時刻T1までのバイアスレベル(d)は0レベル設定としたが、0レベル設定に限るものではない。例えば光ディスク1からの情報再生性能が最適となるバイアスレベルを設定すれば、時刻T1までは良好に情報の再生を行うことができる。このことにより、例えば既に記録した箇所を時刻T1までに再生して再生エラーが発生しないかどうか確認し、確認の結果が問題なければそのまま引き続いて記録動作を行うことができる。
【0113】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0114】
また、本発明が対象とする光ディスク装置の光学系およびサーボエラー信号の生成方式は実施例中の説明に限るものではなく、例えばFE信号の生成方式として公知のナイフエッジ方式等を用いても良い。
【0115】
また、図2に示したフォーカスエラー信号生成回路11において切り換え回路115の入力端子b側には記録時のバイアスレベルとして0レベルを供給する構成としたが、記録時のバイアスは0レベルに限るものではなく、記録品質を良好に保てるように他のバイアスレベルとしても良い。
【0116】
さらに、上記の各実施例では、それらの一部または全部が、ハードウェアで構成されていても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0117】
本実施例によれば、色収差補正用光学素子が不要となり光ピックアップおよび光ディスク装置のコストを低減することができる。また、任意の最適記録パワーに対して記録開始時のデフォーカスを補正可能となり、記録先頭部の記録品質を良好に保つことができる。さらに、光ディスク1枚でのOPC実行可能回数を従来同等に保つことができる。
【符号の説明】
【0118】
1…光ディスク、2…光ピックアップ、3…レーザダイオード、4…コリメータレンズ、5…ビームスプリッタ、6…対物レンズ、7…シリンドリカルレンズ、8…集光レンズ、9…4分割光検出器、10…フォーカスアクチュエータ、11…フォーカスエラー信号生成回路、12…フォーカス補償回路、13…ドライバ回路、14…アドレス復調回路、15…目標アドレス記憶部、16…比較回路、17…バイアス算出回路、18…バイアス制御回路、19…信号処理回路、20…レーザダイオードドライバ、21…制御回路、111,112,116…加算回路、113…減算回路、114…バイアス設定回路、115,119,120…切り換え回路、117,118…可変アンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクへデータの記録を開始する際に色収差に起因して発生するデフォーカスを補正する光ディスク装置およびデフォーカス補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、波長400nm近傍の青紫色レーザ光源と開口数(以下、NAと呼ぶ)0.85の対物レンズとを組み合わせた光学システムによってデータの記録再生が可能な高密度の光ディスクが実用化されている。例えば、記憶容量25GBや50GBのBlu-ray Disc(以下、BDと呼ぶ)が実用化されている。
【0003】
前記レーザ光源の発光パワーは、データ再生時には比較的低いパワー(以下、再生パワーと呼ぶ)を用いるがデータ記録時には比較的高いパワー(以下、記録パワーと呼ぶ)を用いる。光ディスクへデータを記録開始する際には発光パワーを再生パワーから記録パワーへ切り換えるが、この切り換え時に瞬時的にレーザ波長が数nm程度変化して所謂色収差が発生することが知られている。色収差が発生するとデフォーカスが発生するが、フォーカスサーボの追従動作により時間の経過と共にデフォーカスはやがてほぼ0レベルに収束してジャストフォーカスとなる。しかし、記録開始時からジャストフォーカスとなるまでの期間においてはジャストフォーカスとなっていないので記録品質が低下してしまう。
【0004】
この課題を解決するために、色収差補正用光学素子を備えた光ピックアップが提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、色収差補正用光学素子を備えると光ピックアップのコストが上昇するという新たな課題が発生する。そのため、色収差補正用光学素子を備えない光ピックアップを用いた光ディスク装置において記録開始時のデフォーカスを補正可能であることが望ましい。
【0005】
この課題を解決するために、例えば特許文献2においては、記録を開始した瞬間のデフォーカス量を低減するために、記録開始前においてフォーカスエラー信号(以下、FE信号と呼ぶ)と予め学習しておいたデフォーカス補正量とを加算する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−167190号公報
【特許文献2】特開2008−4227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献2で開示されているデフォーカス補正方法においては、以下の2つの課題がある。
【0008】
第1の課題については以下の通りである。
【0009】
特許文献2では、テスト信号を記録する所謂OPC(Optimum Power Control)のときに発生するデフォーカス量を学習する方法が開示されている。しかしながら、OPCのときの記録パワーと実際のユーザデータ記録領域における記録品質が最良となる最適記録パワーとが異なる場合、学習したデフォーカス量は、実際のユーザデータ記録領域における最適記録パワー時に発生するデフォーカス量と異なる。これは、色収差に伴って発生するデフォーカス量が記録パワーに依存するためである。以上の理由により、特許文献2では、実際のユーザデータ記録領域における最適記録パワーに対応するデフォーカス補正量を正確に学習することができない。
【0010】
第2の課題については以下の通りである。
【0011】
前記特許文献2では、OPC開始時に発生するデフォーカスを補正しないのでOPC先頭部の再生信号品質が低下する。そのため、OPC記録部を再生して記録品質を評価する際には、OPC先頭部から所定期間(期間Aとする)の再生信号を遮断する構成としている。OPC部の記録品質を評価するためには所定期間(期間Bとする)以上を記録しておく必要があるので、OPCの初回発光パワーで記録する長さは、前記期間Aと前記期間Bとの合計となり、従来のOPCに比べて記録領域が長くなる。追記型の光ディスク(例えばBD−R)においては、OPC領域は規格書によって規定されている。そのため、光ディスク一枚で実行可能なOPCの最大回数が減少してしまう。
【0012】
以上の2点の課題を解決するためには、学習動作を行うことなく記録開始時のデフォーカスを補正できることが望ましい。
【0013】
本発明の目的は、学習動作を行うことなく記録開始時のデフォーカスを補正可能な光ディスク装置およびデフォーカス補正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、例えば、記録開始時に発生するデフォーカスを低減するように逆極性のデフォーカスを予め発生させることで達成できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、学習動作を行うことなく記録開始時のデフォーカスを補正可能な光ディスク装置およびデフォーカス補正方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光ディスク装置の構成例を示すブロック図(実施例1、実施例3)
【図2】フォーカスエラー信号生成回路の構成例を示すブロック図(実施例1)
【図3】フォーカスエラー信号生成回路の動作例を示す波形図(実施例1)
【図4】記録パワーとレーザダイオードの波長シフトとの関係例を示す模式図
【図5】記録パワーとデフォーカス量との関係例を示す模式図
【図6】デフォーカス補正動作の例を説明するための波形図(実施例1、実施例2)
【図7】フォーカスエラー信号生成回路の他の構成例を示すブロック図(実施例1)
【図8】フォーカスエラー信号生成回路の他の構成における動作例を示す波形図(実施例1)
【図9】光ディスク装置の構成例を示すブロック図(実施例2、実施例4)
【図10】デフォーカス補正動作の例を示すフローチャート(実施例2)
【図11】BDにおけるディスク半径と記録速度との関係例を示す模式図
【図12】BDにおけるディスク半径と1セクタ周期との関係例を示す模式図
【図13】デフォーカス補正動作の例を説明するための波形図(実施例3、実施例4)
【図14】デフォーカス補正動作の例を示すフローチャート(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1における光ディスク装置の構成例を示すブロック図である。
【0019】
符号1は光ディスクである。光ディスク1は図示しないスピンドルモータによって回転駆動される。
【0020】
符号2は光ピックアップである。光ピックアップ2の構成は以下の通りである。
【0021】
レーザダイオード3から発せされたレーザ光は、コリメータレンズ4によって並行光とされ、ビームスプリッタ5および対物レンズ6を通過して光ディスク1の記録面に集光される。光ディスク1からの反射光は、再び対物レンズ6を通過してビームスプリッタ5によって反射され、シリンドリカルレンズ7、集光レンズ8を通過して4分割光検出器9に集光する。4分割光検出器9は受光した光の強度に応じた電気信号を各々の光検出器から出力する。また、対物レンズ6はフォーカスアクチュエータ10によってレーザ光の略光軸方向へ駆動可能となっている。なお、光ピックアップ2は図示しないトラッキングアクチュエータも備えており、対物レンズ6を光ディスク1の略半径方向へ駆動可能となっている。
【0022】
符号11はフォーカスエラー信号生成回路であり、4分割光検出器9の各々の出力信号を用いてFE信号を生成する。また、フォーカスエラー信号生成回路11は、後述するバイアス制御回路18と信号処理回路19とからの出力信号に応じてFE信号のバイアスを変化させる。この動作については後述する。
【0023】
符号12はフォーカス補償回路であり、FE信号に対してフォーカスサーボの安定性および追従性能を改善するために位相とゲインの補償を行った信号を出力する。フォーカス補償回路12の出力信号がフォーカス駆動信号であり、以降FOD信号と呼ぶ。
【0024】
符号13はドライバ回路であり、FOD信号を増幅して光ピックアップ2内のフォーカスアクチュエータ10に供給する。
【0025】
符号14はアドレス復調回路であり、光ピックアップ2の出力信号を用いて光ディスク1のアドレス情報を復調して出力する。
【0026】
符号15は目標アドレス記憶部であり、後述する制御回路21によって後述する目標アドレスが設定される。
【0027】
符号16は比較回路であり、アドレス復調回路14が出力するアドレス情報と前記目標アドレスとを比較し、両者が一致したときにHighレベルのパルス信号を出力する。
【0028】
符号17はバイアス算出回路であり、制御回路21から記録パワー情報を受け取り、それに応じたバイアス量を算出して出力する。
【0029】
符号18はバイアス制御回路であり、比較回路16がHighレベルのパルス信号を出力したことを検出するとフォーカスエラー信号生成回路11に対してバイアス算出回路17の出力信号であるバイアス量に応じたバイアス設定を行う。
【0030】
符号19は信号処理回路であり、制御回路21から供給されたデータに対して所定の記録フォーマットに従って信号処理を行った信号を出力する。また、信号処理回路19は前記アドレス情報が所定の値となるタイミングから記録を開始させる。また、信号処理回路19は記録動作中を示すWGATE信号を出力して、フォーカスエラー信号生成回路11に供給する。本実施例では、WGATE信号がHighレベルの時にレーザダイオードは記録パワーで発光することとし、Lowレベルの時は再生パワーで発光することとする。
【0031】
符号20はレーザダイオードドライバであり、信号処理回路19の出力信号に応じてレーザダイオード3を駆動して発光させる。
【0032】
符号21は制御回路であり、光ディスク装置全体を制御する。制御回路21は、タイマー回路等を内蔵する一般的なCPUを用いることができる。また、制御回路21は図示しないインターフェース回路を備え、前記インターフェース回路を介して外部機器と接続可能な構成となっている。前記外部機器とは、例えば一般的なパーソナルコンピュータなどであり光ディスク1に対してデータの記録再生動作を行う機器である。
【0033】
次に、フォーカスエラー信号生成回路11の構成について詳細に説明する。
【0034】
図2は、フォーカスエラー信号生成回路11の構成例を示すブロック図である。
【0035】
4分割光検出器9は、検出面が光検出器9a、9b、9c、9dの各構成要素に分割されており各光検出器の出力信号をそれぞれMA、MB、MC、MDとする。対角線上に配置された光検出器9a、9cの各出力MA、MCは第1の加算回路111で加算演算され、一方他の対角線上に配置された光検出器9b、9dの各出力MB、MDは第2の加算回路112で加算演算される。さらに、各加算回路の出力は減算回路113によってその差分が算出される。よって、減算回路113の出力信号は(MA+MC)−(MB+MD)となり、公知の非点収差法によるFE信号を得る。
【0036】
バイアス設定回路114はバイアス制御回路18により所定のバイアスレベルが設定され、その出力信号は切り換え回路115の入力端子aに供給される。
【0037】
また、切り換え回路115は、入力端子bへ0レベルの信号が供給されており、信号処理回路19から供給されるWGATE信号に応じて入力端子a側か入力端子b側に切り換わる。図2においては、WGATE信号がLowレベル(再生パワー発光)の時に入力端子a側に切り換わり、Highレベル(記録パワー発光)の時に入力端子b側に切り換わるものとする。切り換え回路115の出力信号がFE信号へ加算するバイアスレベルとなる。
【0038】
減算回路113の出力信号は、第3の加算回路116によって切り換え回路115から出力されるバイアスレベルが加算され、もってフォーカスサーボ動作に用いるFE信号を得る。
【0039】
以上に述べたFE信号を出力するフォーカスエラー信号生成回路11の動作例を示す波形例を図3に示す。図3の横軸はデフォーカス量であり、縦軸は信号レベルである。なお、デフォーカス量が+極性の場合は、記録面に対してレーザスポットが奥側つまり光ピックアップ2から遠ざかる方向に位置していることを示し、−極性の場合は、記録面に対してレーザスポットが手前側つまり光ピックアップ2に近づく方向に位置していることを示すものとする。
【0040】
図3の波形aはWGATE信号がHighレベル(記録パワー発光)の場合のFE信号であり、切り換え回路115は入力端子bに供給される0レベル信号を加算バイアスとして出力するのでFE信号は上下対称の公知のS字波形となる。一方、図3の波形bはWGATE信号がLowレベル(再生パワー発光)の場合のFE信号である。ここで、バイアス設定回路114はバイアス制御回路18によって予めバイアスレベル(−BL)が設定されているものとする。切り換え回路115は入力端子aに供給されるバイアスレベル(−BL)を加算バイアスとして出力するので、波形bは波形aに対して−BLだけオフセットした波形となる。
【0041】
ここで、波形aの0レベルは図中の点Aであり、波形bの0レベルは同じく点Bである。フォーカスサーボはFE信号が0となるように制御を行うので、WGATE=Low(再生パワー発光)時には、光ディスク1の記録面に対して点Bに相当する図3中の(−F1)だけデフォーカスした位置でジャストフォーカス位置となる。
【0042】
次に、バイアス算出回路17の動作について詳細に説明する。
【0043】
図4は記録パワーとレーザダイオード3の波長シフトとの関係例を示す模式図である。記録パワーが再生パワーと同じ場合は色収差が発生しないのでLD波長シフトは0であるが、再生パワーに対して記録パワーが高くなるに従ってLD波長シフトが大きくなる。このLD波長シフトが原因でデフォーカスが発生し、そのデフォーカス量はLD波長シフトに比例する。これを示すのが図5であり、記録パワーが再生パワーと同じ場合にはデフォーカス量は0であるが、記録パワーが大きくなるに従ってデフォーカス量も大きくなる。図5に示した記録パワーとデフォーカス量の関係は光ピックアップ2の光学設計によって決まる。これより、バイアス算出回路17は図5に示した記録パワーとデフォーカス量の関係を記憶する構成としておき、制御回路21から記録パワーの情報を受け取って、その情報に応じてデフォーカス量を算出可能な構成としておく。
【0044】
例えば、図5における記録パワーをX、デフォーカス量をYとすると、その関係は
(式1)
Y=M・X+N …… (式1)
となる。ここで、MおよびNは光ピックアップ2の光学設計により決まる定数である。バイアス算出回路17は予め定数MおよびNを記憶しておき、記録パワーXおよび前記(式1)に応じてデフォーカス量Yを算出する。さらに、算出したデフォーカス量Yとは逆極性のデフォーカス量(−Y)を発生させるバイアス量を算出する。ここでデフォーカス量(−Y)を発生させるためのバイアス量は、光ディスク装置の光学設計、より具体的にはFE信号の0接線感度によって決まるので、バイアス算出回路は0接線感度を予め記憶しておき、それに応じてデフォーカス量からバイアス量を算出する構成としておけばよい。なお、前記の定数M、Nおよび0接線感度は制御回路21によってバイアス算出回路17へ設定可能な構成であることが望ましい。
【0045】
以上に述べた構成において、実施例1のデフォーカス補正動作例を示す図6の波形図を用いて以下説明する。
【0046】
波形(a)は目標アドレス記憶部15の出力信号、波形(b)はアドレス復調回路14が出力するアドレス情報、波形(c)は比較回路16の出力信号、波形(d)はバイアス設定回路114の出力信号、波形(e)はWGATE信号、波形(f)は加算回路116が出力するFE信号である。また、波形(g)はデフォーカス量を示す波形であり、図1の構成要素の出力信号ではないが本実施例の理解の助けとするために図中に示す。なお、波形(f’),(g’)は本実施例を適用しない場合のFE信号とデフォーカス量とを示す波形であり、比較のために示す。
【0047】
時刻T2において記録動作を開始(WGATE信号(e)=High)すると、レーザダイオード3の発光パワー変化に伴って色収差が発生する。本実施例を適用しない場合は、波形(g’)に示すようにフォーカスサーボが追従するまでの期間P0においてデフォーカスが発生する。このとき、FE信号(f’)のレベルは過渡的に変化する。この期間P0においてはデフォーカスが発生しているために記録品質が低下してしまう。
【0048】
この問題を解決するため、本実施例では以下のように対処する。
【0049】
図6中の記録開始アドレスXから記録を行うに先立って、制御回路21は時刻T0において目標アドレス記憶部15に目標アドレスを設定する。本実施例では目標アドレスとして(X−2)を設定するものとする。
【0050】
回転する光ディスク1に対してトラッキングサーボが追従し、時刻T1において目標アドレス(a)とアドレス情報(b)が一致すると比較回路16はHighパルスの信号を出力する(波形(c))。バイアス制御回路18は、比較回路出力(c)のHighパルスを検出すると、バイアス算出回路17から供給されるバイアスレベルをフォーカスエラー信号生成回路11内のバイアス設定回路114に設定する。本実施例においては、図3で説明したデフォーカス量(−F1)を発生させるバイアスレベル(−BL)を設定するものとする(波形(d))。このため、FE信号(f)はバイアスレベル(−BL)と同じレベルまで瞬間的に変化するが、フォーカスサーボが追従して安定すると再び0レベルに収束する。このとき、デフォーカス量(g)はバイアスレベル(−BL)に対応するデフォーカス量(−F1)に収束する。なお、このときのフォーカスサーボの収束時間は波形(g’)で説明した期間P0とほぼ同じである。期間P0はフォーカスサーボ帯域によって決り、帯域を約5kHzに設計している場合は200μs程度である。
【0051】
この状態において、時刻T2でアドレス情報(b)が記録開始アドレスXと一致すると光ディスク1に対してデータの記録動作が開始されてWGATE信号(e)がHighレベルとなる。よって、フォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115は入力端子b側に切り換わる。
【0052】
記録動作を開始するとレーザダイオード3の発光パワーが高くなって色収差に伴うデフォーカスF1が瞬時的に発生するが、時刻T2においては発生するデフォーカス量F1と逆極性のデフォーカス量(−F1)でフォーカスサーボが動作しているため色収差発生に伴って生じるデフォーカス量F1は相殺される。そのため、デフォーカス量(g)は0となりFE信号(f)に過渡的なレベル変化が生じない。以上の動作により、記録開始時のデフォーカス発生を防止することができるので、記録開始部の記録品質を良好に保つことができる。
【0053】
時刻T4において記録動作を終了するとWGATE信号(e)がLowレベルとなるので、フォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115は入力端子a側に切り換わる。ここで、バイアスレベル(d)を−BLのままにしておくと、その後のシーク動作や再生性能の低下原因となる。そこで、バイアス制御回路18は、バイアスレベル(d)を−BLに設定した時刻T1から所定時間P1を経過した時刻T3においてバイアスレベル(d)を0レベルに戻す。ここで、バイアスレベル(d)を0レベルに戻すタイミングT3は記録期間中であることが望ましい。これは、記録期間中にはフォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115は入力端子b側に切り換わっており、バイアス設定回路114の出力信号を使用しないので記録中にバイアスレベル(d)を変化させてもフォーカスサーボ動作には影響を及ぼさないためである。
【0054】
なお、時刻T4において記録動作を終了して、フォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115が入力端子a側に切り換わったときには上記動作によりバイアスレベル(d)は0レベルに戻っている。このとき、レーザダイオード3の発光パワーは記録パワーから再生パワーへ切り換わる。このため、記録開始時とは逆極性のデフォーカス量(−F1)が発生する。このため、FE信号(f)はデフォーカス量(−F1)に相当するレベルBLまで変化するが、フォーカスサーボが追従して安定になるとFE信号(f)は再び0レベルに収束する。
【0055】
上記説明ではバイアスレベル(d)を時刻T1で設定してから所定期間P1が経過した時刻T3においてバイアスレベル(d)を0レベルに戻す動作としたが、他の動作としても良い。例えばバイアス制御回路18にWGATE信号を供給する構成とし、さらにバイアス制御回路18内にタイマー回路を設けて、WGATE信号がHighレベルとなる記録開始時刻T2から前記タイマー回路による時間計測を開始し、計測時間が所定期間を経過したタイミングで0レベルに戻してもよい。なお、前記所定期間を0に設定しておけば、記録開始時刻T2においてバイアスレベル(d)を0レベルに戻す動作も可能である。
【0056】
また、バイアスレベル(d)を元に戻す他の構成としては、例えば記録開始してから所定アドレス分だけデータを記録したタイミングでバイアスレベル(d)を0レベルに戻す構成としてもよい。その実現方法としては、記録開始時刻T2以降のタイミングで制御回路21は目標アドレス記憶部15にバイアスレベル復帰目標アドレスを設定し、バイアス制御回路18はアドレス情報(a)が前記復帰目標アドレスと一致したことを検出してバイアスレベル(d)を0レベルに戻す構成とすればよい。
【0057】
上記いずれの場合もバイアスレベル(d)を0レベルに戻すタイミングは記録期間中であることが望ましい。しかし、バイアスレベル(d)をレベル(−BL)にした状態で記録動作を終了してからシークや再生を行うまでにサーボ動作に不具合が生じなければ、記録動作を終了した後にバイアスレベル(d)を0レベルに戻す構成としても良い。
【0058】
以上に述べたバイアスレベル(d)を元に戻す構成は本実施例に限るものではなく、以降に述べる他の実施例においても同様に適用可能である。
【0059】
また、FE信号のバイアス変更手段は図2に示した構成に限るものではない。図7は、フォーカスエラー信号生成回路11の他の構成例を示すブロック図である。なお、図2と同一構成要素については同番号を付して説明を省略する。
【0060】
第1の加算回路111の出力信号である(MA+MC)は、切り換え回路119の入力端子bおよび第1の可変アンプ117に供給される。また、第2の加算回路112の出力信号である(MB+MD)は切り換え回路120の入力端子bおよび第2の可変アンプ118に供給される。
【0061】
また、第1の可変アンプ117の出力信号は切り換え回路119の入力端子aへ、第2の可変アンプ118の出力信号は切り換え回路120の入力端子aへそれぞれ供給される。減算回路113は切り換え回路119と切り換え回路120の出力信号との差を演算して出力し、もってFE信号を得る。なお、切り換え回路119、120はWGATE信号によって制御され、WGATE信号がLowレベル(再生パワー発光)の時は入力端子a側に切り換わり、Highレベル(記録パワー発光)の時は入力端子b側に切り換わる。また、可変アンプ117、118はバイアス制御回路18によって利得が設定される。
【0062】
図8は、図7に示したフォーカスエラー信号生成回路11の他の構成例における動作例を示す波形図である。
【0063】
図8の左側の波形はWGATE信号がHighレベル(記録パワー発光)の場合の波形であり、切り換え回路119,120は共に入力端子(b)側に切り換わっている。図8の波形aは第1の加算回路111が出力する(MA+MC)の信号であり、波形bは第2の加算回路112が出力する(MB+MD)の信号である。また、波形cはこのときに減算回路113が出力するFE信号である。波形aおよびbはそれぞれ異なるデフォーカス量で極大レベルとなり、それ以外のデフォーカス量では信号レベルが減少する山状の波形となる。
【0064】
一方、図8の右側の波形はWGATE信号がLowレベル(再生パワー発光)の場合の波形であり、切り換え回路119,120は共に入力端子(a)側に切り換わっている。図8の波形dは第1の可変アンプ117の出力信号であり、波形eは第2の可変アンプ118の出力信号である。ここで、第1の可変アンプ117はバイアス制御回路18によって利得が例えば0.8倍に設定されているものとする。そのため、波形dは、第1の加算回路111の出力信号である波形aに対して信号振幅が0.8倍となる。また、第2の可変アンプ118はバイアス制御回路18によって利得が例えば1.2倍に設定されているものとする。そのため、波形eは、第2の加算回路112の出力信号である波形bに比べて信号振幅が1.2倍となる。このとき、減算回路113は波形d、eの差分を演算出力するので、FE信号は波形fに示すとおり上下にアンバランスとなる波形になり、その0レベルは図中の点Cとなる。よって、この状態においては、図8中に示す(−F2)のデフォーカスが発生した状態でフォーカスサーボによる制御が行われる。このように、FE信号のバランスを変更する方法でもフォーカス制御にデフォーカスを与えることができるので、図6と同様に記録開始時のデフォーカスを補正することができる。
【0065】
なお、実際の光ディスク装置はフォーカスエラー信号生成回路11にAGC(Auto Gain Control)回路を内蔵する構成が一般的に用いられる。FE信号は光ディスク1からの反射光量に応じてその振幅が変化するので、その振幅変化に伴ってフォーカスサーボゲインが変動してしまう。そこで、光ディスク1からの反射光量(例えば4分割光検出器9の各出力信号の総和)に応じてFE信号の振幅を補正するAGC回路を用いることで、フォーカスサーボゲインを所定値に保つようにしている。図2に示したフォーカスエラー信号生成回路11においてAGC回路を用いる場合、減算回路113と加算回路116との間にAGC回路を設けてAGC回路の出力信号に対してバイアスレベルを加算する構成にすることが望ましい。これは、AGC回路が出力するFE信号においては振幅が一定値に補正されており、切り換え回路115が出力するバイアスレベルを加算回路116によって加算したときに光ディスク1の反射光量に依存せずに所定のデフォーカス量を得られるからである。
【0066】
一方、図7に示したフォーカスエラー信号生成11においてAGC回路を用いる場合、その設置位置は例えば、加算回路111および112の後段、切り換え回路119および120の後段、または減算回路113の後段など、いずれの箇所でもよい。この理由は、可変アンプ117、118によってFE信号のバランスを変更する方式の場合、FE信号の振幅によってデフォーカス量が依存しないためである。
【0067】
以上のように本実施例においては記録開始アドレスの手前の所定アドレスタイミングにおいてFE信号にバイアスレベルを設定するが、前記所定アドレスの決め方を以下に説明する。
【0068】
図11は、BDの記録速度の一例である。横軸はディスク半径位置であり縦軸は記録速度である。なお、記録速度は標準線速度で記録する場合を1xと表記し、前記標準線速度の2倍の速度で記録する場合は2xと表記する。その他の速度についても同様である。図11においては、線速度一定(以下、CLVと呼ぶ)の1x,2xと角速度一定(以下、CAVと呼ぶ)6xの例を示す。CLV制御の場合はディスクの内外周で記録速度は変化しない。一方、CAV制御の場合は内周から外周へ記録するに従って記録速度が増加する。
【0069】
光ディスク1においては1セクタの物理的な長さディスク全周にわたって一定であるとする。この1セクタ周期を図12に示す。CLV制御においては、ディスクの内外周で線速度が一定なので1セクタ周期も一定である。一方、CAV制御においては内周に比べて外周では線速度が大きくなるので、1セクタ周期は内周に比べて外周で短くなる。ここで、フォーカスバイアスを変更する際のサーボ収束時間(約200μs)と1セクタ周期とを比較すると、CLV 1xの場合は1セクタ周期が400μs以上ありサーボ収束時間に対して十分余裕がある。そのため、前記所定アドレスは記録開始アドレスの1セクタ手前に設定しても問題ない。一方、CLV 2xの場合には1セクタ周期は約230μsであり、サーボ収束時間(約200μs)に対してマージンが少ない。そのため、CLV 2xでは前記所定アドレスは記録開始アドレスの2セクタ手前に設定することが望ましい。
【0070】
また、CAV 6xでは全半径位置において1セクタ周期がサーボ収束時間(約200μs)以下となっている。そこで、前記所定アドレスを記録開始アドレスの3セクタ手前に設定すれば、全半径位置でサーボ収束時間(約200μs)以上を確保できる。また、例えば半径40mmより内周であれば、前記所定アドレスを記録開始アドレスの2セクタ手前に設定してもサーボ収束時間(約200μs)以上を確保できる。つまり、記録を開始する半径位置に応じて前記所定アドレスを切り換える方式を用いても良い。
【0071】
以上に述べたように、前記所定アドレスは記録速度および記録開始半径位置に応じて変更する構成としても良い。なお、半径位置は光ディスクのアドレスと1対1に対応しているので、半径位置をアドレス位置と置き換えても良い。
【0072】
さらに、前記所定アドレスは以上に述べた2セクタ前や3セクタ前よりも手前の位置としてもよく、光ディスク装置の記録再生動作の速度に影響が無い程度に手前としても良い。例えば、制御回路21は1ECCブロック長単位で動作する構成が用いられる場合があるので、1ECCブロック手前や2ECCブロック手前など1ECCブロック単位で前記所定アドレスを記録開始アドレスの手前に設定しても良い。なお、BDの場合には1ECCブロックは32セクタ長である。
【0073】
なお、上記の所定アドレスの決め方は本実施例だけでなく、以降に説明する他の実施例においても同様に適用できる。
【0074】
以上に説明した実施例1は、記録開始前に光ディスクのアドレス情報が所定アドレスとなるタイミングにおいて、記録発光に伴って発生するデフォーカスを相殺するようにデフォーカスを与えるので、記録開始時にデフォーカスが発生しない。このことにより、記録開始部の記録品質を良好に保つことができる。また、与えるデフォーカス量は記録パワーから算出するため学習動作が不要である。そのため、最適記録パワーに応じたデフォーカス量を設定可能である。
【実施例2】
【0075】
実施例1ではハードウェア処理によって記録開始時のデフォーカスを補正する動作について説明したが、本実施例ではソフトウェア処理によって記録開始時のデフォーカスを補正する動作について説明する。
【0076】
図9は、本実施例における光ディスク装置の構成例を示すブロック図である。
【0077】
実施例1の光ディスク装置である図1に対して図9が異なる点は、目標アドレス記憶部15、比較回路16、バイアス算出回路17、バイアス制御回路18が含まれないことであり、これらの構成要素の機能は制御回路21によってソフトウェア処理によって実行されるものとする。なお、制御回路21は、アドレス復調回路14から出力されるアドレス情報が供給されると共に、フォーカスエラー信号生成回路11内のバイアス設定回路114、または可変アンプ117、118を設定可能な構成とする。実施例1と同様に実施例2でもフォーカスエラー信号生成回路11は図2、図4のどちらの構成であっても良いが、以降の説明では図2の構成を用いることとする。
【0078】
図10は本実施例のデフォーカス補正動作の例を示すフローチャートであり、制御回路21によってソフトウェア処理によって実行される。なお、本実施例においては、実施例1と同様に光ディスクへの情報の記録を開始する記録開始アドレスはXとし、デフォーカス補正を行う目標アドレスは(X−2)とする。また、本実施例における動作波形は実施例1と同じ図6である。
【0079】
補正処理を開始(ステップS101)すると、制御回路21は図6の時刻T0においてデフォーカス補正を行う目標アドレス(X−2)をその内部に設定する(ステップS102)。
【0080】
次に、制御回路21はアドレス復調回路14から供給されるアドレス情報を監視し、前記の目標アドレス(X−2)と一致するか確認する(ステップS103)。ここで、目標アドレス(X−2)とアドレス情報が一致しなければ(Noの場合)ステップS103に戻る。一方、図6の時刻T1において目標アドレス(X−2)とアドレス情報が一致すると(Yesの場合)ステップS103の処理を終了して、記録パワーを取得する(ステップS104)。さらに取得した記録パワーに応じたデフォーカス量を算出し(ステップS105)、算出したデフォーカス量を発生させるためのバイアスレベルを算出する(ステップS106)。さらに算出したバイアスレベルとは逆極性のバイアスレベルをフォーカスエラー信号生成回路11内のバイアス設定回路114に設定する(ステップS107)。
【0081】
その後、制御回路21は内蔵するタイマーを用いて時間計測を開始し(ステップS108)、前記アドレス情報と記録開始アドレスXが一致するかを監視する(ステップS109)。ステップS109において、前記アドレス情報と記録開始アドレスXが一致しなければ(Noの場合)、ステップS109へ戻る。一方、図6の時刻T2において前記アドレス情報と記録開始アドレスXが一致すると(Yesの場合)ステップS109の処理を終了して、信号処理回路19に対して記録開始を指示する(ステップS110)。なお、信号処理回路19が前記アドレス情報を監視して、記録開始アドレスXとなったことを検出して記録開始する構成を用いてもよく、その場合は、前記ステップS109およびS110は省略してもよい。
【0082】
その後、制御回路21は前記タイマーによる計測時間を取得して所定時間P1を経過したかを監視する(ステップS111)。前記ステップS111において所定時間P1を経過していないとき(Noの場合)はステップS111へ戻り、一方所定時間を経過していれば(Yesの場合)ステップS111の処理を終了し、バイアス設定回路114の設定値を元に戻してバイアスレベルを復帰させる(ステップS112)。このタイミングが図6の時刻T3である。
【0083】
以上の処理をもって、制御回路21はデフォーカスの補正処理を終了する(ステップS113)。
【0084】
実施例2では、実施例1で行ったデフォーカス補正処理をソフトウェア処理によって実行するので、低コストである。
【実施例3】
【0085】
実施例1および2では、図6の時刻T1においてフォーカスバイアス(−BL)を設定するが、その際に過渡的にデフォーカスが発生する。記録パワーが大きくなるほど設定するバイアスレベルが大きくなるので発生するデフォーカス量も大きくなる。この場合、フォーカスサーボの追従性能が足りずにフォーカスサーボが外れる危険性がある。そこで、本実施例では設定バイアスレベルが比較的大きい場合でもフォーカスサーボが安定して動作可能な構成について説明する。
【0086】
実施例3における光ディスク装置の構成は実施例1と同じ図1である。ただし、バイアス制御回路18の動作が異なる。
【0087】
本実施例の特徴はフォーカスバイアスを変更する際に複数回に分割してバイアスレベルを設定することである。
【0088】
図13は、実施例3のデフォーカス補正動作の例を示す波形図である。なお、図中の各波形は図6と同様に図1の各構成要素の出力波形である。
【0089】
制御回路21は、時刻T0において実施例1と同様に目標アドレス記憶部15に目標アドレス(X−2)を設定する。
【0090】
図13の時刻T1において目標アドレス(a)とアドレス情報(b)が一致すると比較回路16はHighパルスの信号を出力する(波形(c))。バイアス制御回路18は、比較回路出力(c)のHighパルスを検出すると、バイアス算出回路17から供給されるデフォーカス量に応じたバイアスレベルをフォーカスエラー信号生成回路11内のバイアス設定回路114に設定する。本実施例においては、図3で説明したデフォーカス量(−F1)を発生させるバイアスレベル(−BL)をN段階(Nは2以上の整数)、例えば4段階に分割して設定するものとする(波形(d))。すなわち、1回当たりに変更するバイアスレベルは(−BL/4)である。また、バイアスレベルを変更する周期は図13中に示す期間P0毎とする。期間P0は実施例1で説明したサーボ収束時間(約200μs)を考慮して、それよりも長い期間、例えば400μsとする。
【0091】
時刻T1においてバイアスレベル(d)に(−BL/4)を設定すると、FE信号(f)はバイアスレベル(−BL/4)と同じレベルまで過渡的に変化するが、フォーカスサーボが追従して安定すると再び0レベルに収束する。このとき、デフォーカス量(g)はバイアスレベル(−BL/4)に対応する(−F1/4)に収束する。
【0092】
その後、時刻T2においてバイアスレベル(d)に(−2×BL/4)を設定すると、FE信号(f)はバイアスレベルの変化分に相当する(−BL/4)と同じレベルまで過渡的に変化するが、フォーカスサーボが追従して安定すると再び0レベルに収束する。また、デフォーカス量(g)はバイアスレベル(−2×BL/4)に対応する(−2×F1/4)に収束する。
【0093】
同様に、時刻T3、T4においてバイアスレベル(d)に(−3×BL/4)、(−BL)を設定するとFE信号(f)はバイアスレベルの変化分に相当する(−BL/4)と同じレベルまで過渡的に変化するが、フォーカスサーボが追従して安定すると再び0レベルに収束する。また、デフォーカス量(g)は各バイアスレベルに対応する(−3×BL/4)、(−BL)にそれぞれ収束する。
この状態において、時刻T5でアドレス情報(b)が記録開始アドレスXと一致すると光ディスク1に対してデータの記録動作が開始されてWGATE信号(e)がHighレベルとなる。よって、フォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115は入力端子b側に切り換わる。
【0094】
記録を開始するとレーザダイオード3の発光パワーが高くなって色収差に伴うデフォーカスF1が瞬時的に発生するが、時刻T5においては発生するデフォーカス量F1と逆極性のデフォーカス量(−F1)でフォーカスサーボが動作しているため色収差発生に伴って生じるデフォーカス量F1は相殺される。そのため、デフォーカス量(g)は0となりFE信号(f)に過渡的なレベル変化が生じない。以上の動作により、記録開始時のデフォーカス発生を防止することができるので、記録開始部の記録品質を良好に保つことができる。
【0095】
また、バイアス制御回路18は、時刻T4において最終的なバイアスレベル(−BL)を設定してから、所定時間P1を経過した時刻T6においてバイアスレベル(d)を0レベルに戻す。ここで、バイアスレベル(d)を0レベルに戻すタイミングT6は記録期間中であることが望ましい。この理由は実施例1で述べたように、記録期間中にはフォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115は入力端子b側に切り換わっており、バイアス設定回路114の出力信号を使用しないので記録中にバイアスレベル(d)を変化させてもフォーカスサーボ動作には何ら影響を及ぼさないためである。
【0096】
時刻T7において記録動作を終了するとWGATE信号(e)がLowレベルとなるので、フォーカスエラー信号生成回路11内の切り換え回路115は入力端子a側に切り換わる。このとき、バイアスレベル(d)は0レベルに戻っている。このとき、レーザダイオード3の発光パワーは記録パワーから再生パワーに切り換わる。このため、記録開始時とは逆極性のデフォーカス量(−F1)が発生し、FE信号(f)はデフォーカス量(−F1)に相当するレベルBLまで変化するが、フォーカスサーボが追従して安定になるとFE信号(f)は再び0レベルに収束する。
【0097】
なお、バイアスレベル(d)を0に戻す動作は上記の説明に限定されるものではなく、実施例1に記載した他の動作例を用いても良い。
【0098】
なお、本実施例ではフォーカスバイアス(d)を4回に分割して設定する構成としたが、分割回数は設計事項であり他の分割回数としても良い。
また、更新周期P0も設計事項でありサーボ収束時間を確保できる時間以上であれば良い。例えば、低い記録速度の時には低帯域サーボ特性を、高い記録速度の時には高帯域サーボ特性をそれぞれ切り換えて使用する場合、各サーボ特性でサーボ収束時間が異なる。このため、各サーボ特性に応じて更新周期を切り換えても良い。
【0099】
また、実施例3ではバイアスレベルを複数に分割して設定するので、バイアスレベル(d)を変更開始してからデフォーカス量(g)が(−F1)に収束するまで時間が実施例1,2のそれに比べて長くなる。そのため、記録開始アドレスXに対する目標アドレス(a)のオフセット量を実施例1,2に比べて大きくしても良い。より具体的には、時刻T0において目標アドレス(a)に(X−4)などを設定するものである。このオフセット量は設計事項として適宜決定すれば良い。
【0100】
なお、本実施例ではバイアスレベル(d)を段階的に変更する動作としたが、バイアスレベル(d)を0レベルから(−BL)まで連続して変化させる動作としても良い。
【実施例4】
【0101】
実施例3ではハードウェア処理によって記録開始時のデフォーカスを補正する動作について説明したが、本実施例ではソフトウェア処理によって記録開始時のデフォーカスを補正する動作について説明する。
【0102】
なお、実施例における光ディスク装置は実施例2と同様に図9に示す構成である。また、本実施例においては、実施例3と同様に光ディスクへの情報の記録を開始する記録開始アドレスはXとし、デフォーカス補正を行う目標アドレスは(X−2)とする。また、本実施例における動作波形は実施例3と同じ図13である。
【0103】
図14は本実施例のデフォーカス補正動作の例を示すフローチャートであり、制御回路21によってソフトウェア処理によって実行される。図14において、実施例2のフローチャートである図10と同一動作については同一符号を付して説明を省略する。
【0104】
補正処理を開始(ステップS101)すると、制御回路21は実施例2と同様にバイアスレベル算出(ステップS106)までの一連の動作を行う。算出したバイアスレベルは例えば実施例3と同様に(−BL)であるとする。
【0105】
その後、制御回路21は図13の時刻T1においてフォーカスエラー信号生成回路11内のバイアス設定回路114にバイアスレベルを変更する(ステップS115)。ここで変更するバイアスレベルの量は実施例3と同様に(−BL/4)とする。
【0106】
ステップS115の後、制御回路21はバイアス設定回路114の設定と前記算出バイアス(−BL)とを比較してバイアスレベルの変更が完了したかどうかを判断する(ステップS116)。ここで比較結果が一致しなければ変更未完了(No)と判断して所定時間のウェイト処理を行う(ステップS117)。前記所定時間は実施例3と同様に図13に示す期間P0とする。
【0107】
ステップS117の後、制御回路21は再びステップS115に戻り、図13の時刻T2においてバイアス設定回路114を残在の設定値である(−BL/4)からさらに(−BL/4)だけ変更した(−2×BL/4)を設定する。
【0108】
以降同様に、ステップS116、S117、S115の順番で動作を繰り返すので、図13の時刻T3,T4でバイアスレベル(d)は(−3×BL/4),(−BL)となる。
【0109】
時刻T4でバイアスレベル(d)が(−BL)になると、ステップS116における比較結果が一致するので制御回路21は変更完了(Yes)と判断しステップS116を終了して、タイマーを用いた時間計測を開始する(ステップS108)。
【0110】
以降、制御回路21は実施例2と同様にステップS109からステップS112を実行してデフォーカス補正処理を終了する(ステップS113)。
【0111】
以上に述べた動作により、本実施は実施例3と同様の動作となって記録開始時のデフォーカス発生を防止することができるので、記録開始部の記録品質を良好に保つことができる。
【0112】
なお、実施例1から4の動作を説明した図6および図13の波形図においては、時刻T1までのバイアスレベル(d)は0レベル設定としたが、0レベル設定に限るものではない。例えば光ディスク1からの情報再生性能が最適となるバイアスレベルを設定すれば、時刻T1までは良好に情報の再生を行うことができる。このことにより、例えば既に記録した箇所を時刻T1までに再生して再生エラーが発生しないかどうか確認し、確認の結果が問題なければそのまま引き続いて記録動作を行うことができる。
【0113】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0114】
また、本発明が対象とする光ディスク装置の光学系およびサーボエラー信号の生成方式は実施例中の説明に限るものではなく、例えばFE信号の生成方式として公知のナイフエッジ方式等を用いても良い。
【0115】
また、図2に示したフォーカスエラー信号生成回路11において切り換え回路115の入力端子b側には記録時のバイアスレベルとして0レベルを供給する構成としたが、記録時のバイアスは0レベルに限るものではなく、記録品質を良好に保てるように他のバイアスレベルとしても良い。
【0116】
さらに、上記の各実施例では、それらの一部または全部が、ハードウェアで構成されていても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0117】
本実施例によれば、色収差補正用光学素子が不要となり光ピックアップおよび光ディスク装置のコストを低減することができる。また、任意の最適記録パワーに対して記録開始時のデフォーカスを補正可能となり、記録先頭部の記録品質を良好に保つことができる。さらに、光ディスク1枚でのOPC実行可能回数を従来同等に保つことができる。
【符号の説明】
【0118】
1…光ディスク、2…光ピックアップ、3…レーザダイオード、4…コリメータレンズ、5…ビームスプリッタ、6…対物レンズ、7…シリンドリカルレンズ、8…集光レンズ、9…4分割光検出器、10…フォーカスアクチュエータ、11…フォーカスエラー信号生成回路、12…フォーカス補償回路、13…ドライバ回路、14…アドレス復調回路、15…目標アドレス記憶部、16…比較回路、17…バイアス算出回路、18…バイアス制御回路、19…信号処理回路、20…レーザダイオードドライバ、21…制御回路、111,112,116…加算回路、113…減算回路、114…バイアス設定回路、115,119,120…切り換え回路、117,118…可変アンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに対して情報の記録を行う光ディスク装置であって、
レーザ光を発光するレーザ光源と、
前記レーザ光を集光して前記光ディスクに対して照射する対物レンズと、
前記レーザ光源および前記対物レンズを有して前記光ディスクに記録された情報を光学的に読みとる光学検出手段と、
該光学検出手段の出力を用いてフォーカスエラー信号を生成する信号生成手段と、
前記光ディスクへの情報の記録を制御する記録制御手段と、
該記録制御手段の出力に応じて前記レーザ光源の発光を制御する発光制御手段と、
前記フォーカスエラー信号を用いて前記レーザ光の光スポットを前記光ディスクの記録面に対して追従動作させるフォーカス制御手段と、
前記光学検出手段の出力を用いて前記光ディスクのアドレスを検出するアドレス検出手段と、
記録開始アドレスよりも所定オフセットだけ前となる所定アドレスを記憶するアドレス記憶手段と、
前記アドレス検出手段が出力するアドレスと前記所定アドレスとを比較する比較手段と、
記録パワーに応じてバイアスレベルを算出するバイアス算出手段と、
前記追従動作において所定のデフォーカス量を発生させるデフォーカス制御手段とを備え、
前記アドレス検出手段が出力するアドレスと前記所定アドレスとが一致したことを前記比較手段が検出した際に、前記バイアス算出手段が算出したバイアスレベルに応じて前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記記録制御手段が情報の記録動作を開始した際に、前記デフォーカス制御手段を他の設定とすることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
1回で前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
段階的に前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
連続的に前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記デフォーカス制御手段は、前記フォーカスエラー信号に各々所定のオフセット信号を印加する第1および第2の信号補正手段と、
前記記録制御手段が記録動作状態のときは前記第2の信号補正手段の出力信号を、記録動作以外の状態のときは前記1の信号補正手段の出力信号を切り換えて出力する切り換え手段とを備え、
前記バイアス算出手段が算出したバイアスレベルに応じて前記第1の信号補正手段を設定すると共に前記フォーカス制御手段は前記切り換え手段の出力を用いて前記追従動作を行うことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記デフォーカス制御手段は、前記フォーカスエラー信号のバランスを各々補正する第1および第2の信号補正手段と、
前記記録制御手段が記録動作状態のときは前記第2の信号補正手段の出力信号を、記録動作以外のときは前記第1の信号補正手段の出力信号を切り換えて出力する切り換え手段とを備え、
前記バイアス算出手段が算出したバイアスレベルに応じて前記第1の信号補正手段を設定すると共に前記フォーカス制御手段は前記切り換え手段の出力を用いて前記追従動作を行うことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスク装置は時間の計測を行う時間計測手段を備えて、
前記アドレス検出手段が出力するアドレスと前記所定アドレスとが一致したことを前記比較手段が検出してから前記時間計測手段の出力が所定値となったときに、前記第1の信号補正手段を元の設定に戻すことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項9】
請求項6または7に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスク装置は時間の計測を行う時間計測手段を備えて、
光ディスクへの記録動作を開始してから前記時間計測手段の出力が所定値となったときに前記第1の信号補正手段を元の設定に戻すことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項10】
請求項6または7に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスクへの情報の記録中に前記アドレス検出手段の出力が所定値となったときに前記第1の信号補正手段を元の設定に戻すことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項11】
請求項6または7に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスクへの情報の記録を終了した後に前記第1の信号補正手段を元の設定に戻すことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項12】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記所定オフセットは記録速度および記録開始アドレスに応じて異なることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項13】
レーザ光を発光するレーザ光源と、
前記レーザ光を集光して前記光ディスクに対して照射する対物レンズと、
前記レーザ光源および前記対物レンズを有して前記光ディスクに記録された情報を光学的に読みとる光学検出手段と、
該光学検出手段の出力を用いてフォーカスエラー信号を生成する信号生成手段と、
前記光ディスクへの情報の記録を制御する記録制御手段と、
該記録制御手段の出力に応じて前記レーザ光源の発光を制御する発光制御手段と、
前記フォーカスエラー信号を用いて前記レーザ光の光スポットを前記光ディスクの記録面に対して追従動作させるフォーカス制御手段と、
前記光学検出手段の出力を用いて前記光ディスクのアドレスを検出するアドレス検出手段と、
前記追従動作において所定のデフォーカス量を発生させるデフォーカス制御手段とを備えて光ディスクに対して情報の記録を行う光ディスク装置で用いるデフォーカス補正方法であって、
前記アドレス検出手段が出力するアドレスを監視する第1の工程と、
前記アドレスが記録開始アドレスよりも所定オフセットだけ前となる所定アドレスと一致すると記録パワーを取得する第2の工程と、
前記記録パワーに応じたデフォーカス量を算出する第3の工程と、
前記デフォーカス量に応じたバイアスレベルを算出する第4の工程と、
前記第4の工程で算出したバイアスレベルに応じて前記デフォーカス制御手段を設定する第5の工程と、
前記アドレスが記録開始アドレスとなったときに前記記録制御手段に対して記録動作の開始を指示する第6の工程と、を実行することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項14】
請求項目13に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記第6の工程を実行した際に、前記デフォーカス制御手段を他の設定とする第7の工程を実行することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項15】
請求項13に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記第5の工程は1回で前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項16】
請求項13に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記第5の工程は段階的に前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項17】
請求項13に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記第5の工程は連続的に前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項18】
請求項13に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記デフォーカス制御手段は、前記フォーカスエラー信号に各々所定のオフセット信号を印加する第1および第2の信号補正手段と、
前記記録制御手段が記録動作状態のときは前記第2の信号補正手段の出力信号を、記録動作以外の状態のときは前記1の信号補正手段の出力信号を切り換えて出力する切り換え手段とを備え、
前記第5の工程は前記第1の信号補正手段を設定することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項19】
請求項14に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記デフォーカス制御手段は、前記フォーカスエラー信号のバランスを各々補正する第1および第2の信号補正手段と、
前記記録制御手段が記録動作状態のときは前記第2の信号補正手段の出力信号を、記録動作以外のときは前記第1の信号補正手段の出力信号を切り換えて出力する切り換え手段とを備え、
前記第5の工程は前記第1の信号補正手段を設定することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項20】
請求項18または19に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記アドレスが前記所定アドレスと一致してからの経過時間を計測する第8の工程と、
前記経過時間が所定値となったときに前記第1の信号補正手段の設定を元に戻す第9の工程と、を実行することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項21】
請求項18または19に記載のデフォーカス補正方法であって、
光ディスクへの情報の記録を開始してからの経過時間を計測する第10の工程と、
前記経過時間が所定値となったときに前記第1の信号補正手段の設定を元に戻す第11の工程と、を実行することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項22】
請求項18または19に記載のデフォーカス補正方法であって、
光ディスクへの情報の記録中に前記アドレス検出手段が検出するアドレスを取得する第12の工程と、
前記取得アドレスが所定値となったときに前記第1の信号補正手段の設定を元に戻す第13の工程と、を実行することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項23】
請求項18または19に記載のデフォーカス補正方法であって、
光ディスクへの情報の記録が終了した後に前記第1の信号補正手段の設定を元に戻す第14の工程と、を実行することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項24】
請求項13に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記所定オフセットは記録速度および記録開始アドレスに応じて異なることを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項25】
光ディスクに対して情報の記録を行う記録方法であって、
再生から記録に切替わる際には、記録開始のときに発生するデフォーカスを低減するように、逆極性のデフォーカスを発生させる、
記録方法。
【請求項26】
光ディスクに対して情報の記録を行う光ディスク装置であって、
レーザ光を光ディスクに集光する対物レンズと、
前記対物レンズを駆動するアクチュエータと、
光ディスクからの反射光を検出する光検出器と、
前記光検出器の検出に基づきフォーカスエラー信号を生成するフォーカスエラー信号生成部と、
前記フォーカスエラー信号に基づいて前記アクチュエータを制御するドライバ回路と、
前記フォーカスエラー信号生成部を制御する制御回路と、
を有し、
再生から記録に切替わる際には、前記制御回路は、予め前記フォーカスエラー信号生成部に所定バイアスレベルを設定する、
光ディスク装置。
【請求項1】
光ディスクに対して情報の記録を行う光ディスク装置であって、
レーザ光を発光するレーザ光源と、
前記レーザ光を集光して前記光ディスクに対して照射する対物レンズと、
前記レーザ光源および前記対物レンズを有して前記光ディスクに記録された情報を光学的に読みとる光学検出手段と、
該光学検出手段の出力を用いてフォーカスエラー信号を生成する信号生成手段と、
前記光ディスクへの情報の記録を制御する記録制御手段と、
該記録制御手段の出力に応じて前記レーザ光源の発光を制御する発光制御手段と、
前記フォーカスエラー信号を用いて前記レーザ光の光スポットを前記光ディスクの記録面に対して追従動作させるフォーカス制御手段と、
前記光学検出手段の出力を用いて前記光ディスクのアドレスを検出するアドレス検出手段と、
記録開始アドレスよりも所定オフセットだけ前となる所定アドレスを記憶するアドレス記憶手段と、
前記アドレス検出手段が出力するアドレスと前記所定アドレスとを比較する比較手段と、
記録パワーに応じてバイアスレベルを算出するバイアス算出手段と、
前記追従動作において所定のデフォーカス量を発生させるデフォーカス制御手段とを備え、
前記アドレス検出手段が出力するアドレスと前記所定アドレスとが一致したことを前記比較手段が検出した際に、前記バイアス算出手段が算出したバイアスレベルに応じて前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記記録制御手段が情報の記録動作を開始した際に、前記デフォーカス制御手段を他の設定とすることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
1回で前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
段階的に前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
連続的に前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記デフォーカス制御手段は、前記フォーカスエラー信号に各々所定のオフセット信号を印加する第1および第2の信号補正手段と、
前記記録制御手段が記録動作状態のときは前記第2の信号補正手段の出力信号を、記録動作以外の状態のときは前記1の信号補正手段の出力信号を切り換えて出力する切り換え手段とを備え、
前記バイアス算出手段が算出したバイアスレベルに応じて前記第1の信号補正手段を設定すると共に前記フォーカス制御手段は前記切り換え手段の出力を用いて前記追従動作を行うことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記デフォーカス制御手段は、前記フォーカスエラー信号のバランスを各々補正する第1および第2の信号補正手段と、
前記記録制御手段が記録動作状態のときは前記第2の信号補正手段の出力信号を、記録動作以外のときは前記第1の信号補正手段の出力信号を切り換えて出力する切り換え手段とを備え、
前記バイアス算出手段が算出したバイアスレベルに応じて前記第1の信号補正手段を設定すると共に前記フォーカス制御手段は前記切り換え手段の出力を用いて前記追従動作を行うことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスク装置は時間の計測を行う時間計測手段を備えて、
前記アドレス検出手段が出力するアドレスと前記所定アドレスとが一致したことを前記比較手段が検出してから前記時間計測手段の出力が所定値となったときに、前記第1の信号補正手段を元の設定に戻すことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項9】
請求項6または7に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスク装置は時間の計測を行う時間計測手段を備えて、
光ディスクへの記録動作を開始してから前記時間計測手段の出力が所定値となったときに前記第1の信号補正手段を元の設定に戻すことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項10】
請求項6または7に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスクへの情報の記録中に前記アドレス検出手段の出力が所定値となったときに前記第1の信号補正手段を元の設定に戻すことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項11】
請求項6または7に記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスクへの情報の記録を終了した後に前記第1の信号補正手段を元の設定に戻すことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項12】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記所定オフセットは記録速度および記録開始アドレスに応じて異なることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項13】
レーザ光を発光するレーザ光源と、
前記レーザ光を集光して前記光ディスクに対して照射する対物レンズと、
前記レーザ光源および前記対物レンズを有して前記光ディスクに記録された情報を光学的に読みとる光学検出手段と、
該光学検出手段の出力を用いてフォーカスエラー信号を生成する信号生成手段と、
前記光ディスクへの情報の記録を制御する記録制御手段と、
該記録制御手段の出力に応じて前記レーザ光源の発光を制御する発光制御手段と、
前記フォーカスエラー信号を用いて前記レーザ光の光スポットを前記光ディスクの記録面に対して追従動作させるフォーカス制御手段と、
前記光学検出手段の出力を用いて前記光ディスクのアドレスを検出するアドレス検出手段と、
前記追従動作において所定のデフォーカス量を発生させるデフォーカス制御手段とを備えて光ディスクに対して情報の記録を行う光ディスク装置で用いるデフォーカス補正方法であって、
前記アドレス検出手段が出力するアドレスを監視する第1の工程と、
前記アドレスが記録開始アドレスよりも所定オフセットだけ前となる所定アドレスと一致すると記録パワーを取得する第2の工程と、
前記記録パワーに応じたデフォーカス量を算出する第3の工程と、
前記デフォーカス量に応じたバイアスレベルを算出する第4の工程と、
前記第4の工程で算出したバイアスレベルに応じて前記デフォーカス制御手段を設定する第5の工程と、
前記アドレスが記録開始アドレスとなったときに前記記録制御手段に対して記録動作の開始を指示する第6の工程と、を実行することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項14】
請求項目13に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記第6の工程を実行した際に、前記デフォーカス制御手段を他の設定とする第7の工程を実行することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項15】
請求項13に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記第5の工程は1回で前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項16】
請求項13に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記第5の工程は段階的に前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項17】
請求項13に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記第5の工程は連続的に前記デフォーカス制御手段を設定することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項18】
請求項13に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記デフォーカス制御手段は、前記フォーカスエラー信号に各々所定のオフセット信号を印加する第1および第2の信号補正手段と、
前記記録制御手段が記録動作状態のときは前記第2の信号補正手段の出力信号を、記録動作以外の状態のときは前記1の信号補正手段の出力信号を切り換えて出力する切り換え手段とを備え、
前記第5の工程は前記第1の信号補正手段を設定することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項19】
請求項14に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記デフォーカス制御手段は、前記フォーカスエラー信号のバランスを各々補正する第1および第2の信号補正手段と、
前記記録制御手段が記録動作状態のときは前記第2の信号補正手段の出力信号を、記録動作以外のときは前記第1の信号補正手段の出力信号を切り換えて出力する切り換え手段とを備え、
前記第5の工程は前記第1の信号補正手段を設定することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項20】
請求項18または19に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記アドレスが前記所定アドレスと一致してからの経過時間を計測する第8の工程と、
前記経過時間が所定値となったときに前記第1の信号補正手段の設定を元に戻す第9の工程と、を実行することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項21】
請求項18または19に記載のデフォーカス補正方法であって、
光ディスクへの情報の記録を開始してからの経過時間を計測する第10の工程と、
前記経過時間が所定値となったときに前記第1の信号補正手段の設定を元に戻す第11の工程と、を実行することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項22】
請求項18または19に記載のデフォーカス補正方法であって、
光ディスクへの情報の記録中に前記アドレス検出手段が検出するアドレスを取得する第12の工程と、
前記取得アドレスが所定値となったときに前記第1の信号補正手段の設定を元に戻す第13の工程と、を実行することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項23】
請求項18または19に記載のデフォーカス補正方法であって、
光ディスクへの情報の記録が終了した後に前記第1の信号補正手段の設定を元に戻す第14の工程と、を実行することを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項24】
請求項13に記載のデフォーカス補正方法であって、
前記所定オフセットは記録速度および記録開始アドレスに応じて異なることを特徴とするデフォーカス補正方法。
【請求項25】
光ディスクに対して情報の記録を行う記録方法であって、
再生から記録に切替わる際には、記録開始のときに発生するデフォーカスを低減するように、逆極性のデフォーカスを発生させる、
記録方法。
【請求項26】
光ディスクに対して情報の記録を行う光ディスク装置であって、
レーザ光を光ディスクに集光する対物レンズと、
前記対物レンズを駆動するアクチュエータと、
光ディスクからの反射光を検出する光検出器と、
前記光検出器の検出に基づきフォーカスエラー信号を生成するフォーカスエラー信号生成部と、
前記フォーカスエラー信号に基づいて前記アクチュエータを制御するドライバ回路と、
前記フォーカスエラー信号生成部を制御する制御回路と、
を有し、
再生から記録に切替わる際には、前記制御回路は、予め前記フォーカスエラー信号生成部に所定バイアスレベルを設定する、
光ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−119000(P2011−119000A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277141(P2009−277141)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
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