説明

光ディスク装置とそれを用いた車載機器

【課題】 結露が発生した際にも、高い動作信頼性が得られる光ディスク装置を提供すること。
【解決手段】 光ピックアップ11の受光素子22からの信号により、この光ピックアップ11のトラッキング制御およびフォーカス制御を行う制御部14と、受光素子22を介して取得された光ディスク8のデータを記憶するデータ記憶バッファ15とを備え、制御部14によりトラックジャンプさせた時の受光素子22からの信号の大きさを判定部30で判定し、この判定部30による判定によりトラッキング制御およびフォーカス制御の動作ゲインを制御する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車内のように、幅広い環境(温度、湿度)で活用される光ディスク装置とそれを用いた車載機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種、光ディスク装置の構成は、以下のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、本体ケースと、この本体ケース内に設けられるとともに、光ディスクを回転する回転駆動部と、この回転駆動部によって回転駆動される光ディスクに対して発光部から光を照射し、反射光を受光部で受光する光ピックアップと、この光ピックアップの受光部からの信号により、この光ピックアップのトラッキング制御およびフォーカス制御を行う制御部と、前記受光部を介して取得された前記光ディスクのデータを記憶するデータ記憶バッファとを備えた構成となっていた。
【0004】
また、前記本体ケース内には結露を検出する結露センサが配置されている(例えば下記特許文献1)。
【0005】
つまり、本体ケース内で結露が発生していた時には、前記受光部から得られる信号が小さな物となってしまうので、前記制御部ではトラッキング制御やフォーカス制御の制御ゲインを高め、これにより適切なトラッキング制御やフォーカス制御が行えるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−171655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来例における課題は、結露発生時に対する動作の信頼性が低いということであった。
【0008】
すなわち、従来例においては、本体ケース内の結露発生を、結露センサで検出するようにしていたが、結露は光ディスク表面や光ピックアップ内部あるいは光学部品などディスク再生信号に関係する光学系のどの部分で発生するかは定かでなく、時として結露の発生を検出できないことがある。
【0009】
この様に結露が発生した状態で光ディスク装置が起動されると、結露の影響で光ディスクからの反射光量が小さくなってしまう。この時、反射光量がCD−RWなどの低反射ディスクの場合と同程度となる場合がある。
【0010】
すると、駆動されている光ディスクが高反射率の光ディスクであるにも係らず、低反射率の光ディスク、たとえばCD−RWなどと誤検出した状態でサーボ制御が開始されてしまう。その結果として、低反射率の光ディスクに合致させるように動作ゲインの調整を行なった状態で再生動作をすることになる。
【0011】
しかしながら、駆動開始後の時間経過とともに、環境温度が変化し、結露が解消されると、前記高反射率の光ディスク本来の反射光量に戻るため、サーボゲインが高い状態となり、その結果、過電流が流れ、動作信頼性の面で問題が発生する。
【0012】
そこで本発明は、結露発生時の動作信頼性を高めることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そしてこの目的を達成するために本発明は、本体ケースと、この本体ケース内に設けられるとともに、光ディスクを回転する回転駆動部と、この回転駆動部によって回転駆動される光ディスクに対して発光素子から光を照射し、反射光を受光素子で受光する光ピックアップと、この光ピックアップの受光素子からの信号により、この光ピックアップのトラッキング制御およびフォーカス制御を行う制御部と、前記受光素子を介して取得された前記光ディスクのデータを記憶するデータ記憶バッファとを備え、前記制御部によりトラックジャンプさせた時の前記受光素子からの信号の大きさを判定部で判定し、この判定部による判定により前記トラッキング制御およびフォーカス制御の動作ゲインを制御する構成とし、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明は、前記制御部によりトラックジャンプ動作させた時の前記受光部からの信号の大きさを判定部で判定し、この判定部による判定結果により前記トラッキング制御およびフォーカス制御の動作ゲインを制御する構成としたものであるので、動作信頼性を高めることができる。
【0015】
すなわち、本発明においては、前記制御部によりトラックジャンプ動作させた時の前記受光部からの信号の大きさを判定部で判定することで、受光部からの信号の変化を定期的に検出する。したがって、結露の発生時、またはその解消時に応じて、前記トラッキング制御およびフォーカス制御の動作ゲインを適切に制御することができ、その結果として、結露発生時の動作信頼性を高めることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1における光ディスク装置が自動車のコクピットに設置される様子を示す斜視図
【図2】同光ディスク装置の構成図
【図3】同光ディスク装置の光デッキ部の構成図
【図4】同光ディスク装置の光ピックアップ部の構成図
【図5】(a)同光ディスク装置のトラックに対して3ビームがセンターに位置している状態を示す図(b)同光ディスク装置のトラックに対して3ビームが1/4ずれた状態を示す図(c)同光ディスク装置のトラックに対して3ビームが1/2ずれた状態を示す図(d)同光ディスク装置のトラックに対して3ビームが3/4ずれた状態を示す図(e)同光ディスク装置における隣のトラックにジャンプした状態を示す図
【図6】同光ディスク装置のショックプルーフ動作を説明するための図
【図7】同光ディスク装置のショックプルーフ動作時のデータ記憶バッファ内の情報蓄積を説明するための図
【図8】同光ディスク装置のショックプルーフ機能の動作を示すフローチャート
【図9】同光ディスク装置の再生動作を示すフローチャート
【図10】同光ディスク装置のトラックジャンプ動作における結露解消時のTE信号の振幅変化を示す図
【図11】本発明の実施の形態2における光ディスク装置の再生動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態1における光ディスク装置について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態1を説明するための自動車のコクピットを、図2は光ディスク装置の構成を、図3は光ディスク装置の光デッキ部の構成を示す。
【0019】
図1において、ステアリング1の左側にある光ディスク装置2は操作パネル部3を前面に設けた本体ケース4の内部にあり、本体ケース4は自動車のコンソール部5に対して固定設置されている。
【0020】
光ディスク装置2は図2に示される通り、本体ケース4の内部にあり、光ピックアップなどの主要な部品が搭載された光デッキ部6と、外部からの振動を減衰するための防振機構7、ディスクの挿排などを行うローディング機構(説明の煩雑さを避けるため図示を省略)と、これら機構部を制御する制御IC9を搭載した回路基板10から成る。
【0021】
次に、図3を用いて光デッキ部6について説明する。光デッキ部6は、光ディスク8を把持し回転させる回転駆動部12と、光ピックアップ11を内外周に大きく移動させるトラバース部13と、光ディスク8の情報を読み取る光ピックアップ11と、これらを制御する制御IC9とから成る。制御IC9は、スピンドルモータ制御部17、トラバースモータ制御部19、光ピックアップ制御部14、およびデータ記憶バッファ15を内蔵する。
【0022】
回転駆動部12は、スピンドルモータ制御部17とスピンドルモータ18で構成される。スピンドルモータ制御部17は、ディスク回転数を制御する信号を生成し、スピンドルモータ18に印加する。
【0023】
トラバース部13は、光ピックアップ11の送りを制御するトラバースモータ制御部19とトラバースモータ20で構成される。そして、トラバースモータ制御部19は、トラバースモータ20を駆動するための信号を生成しトラバースモータ20に印加する。
【0024】
データ記憶バッファ15は、振動や衝撃などによる音飛びなどを防止するため、光ディスク8の情報の先読みデータをメモリ内に蓄積するバッファの機能を果たすものである。
【0025】
ここで、光ピックアップ部16の概略を示す図4を用いて、光ピックアップ部16について詳しく説明する。
【0026】
光ピックアップ部16における光ピックアップ11は、レーザ光を射出する発光素子21と、光ディスク8からの反射光を受光する受光素子22と、光路の軌道を調整するために配置された光学素子23と、光学素子23をフォーカス方向に微小変位するよう駆動を行うフォーカスアクチュエータ24と、トラッキング方向に微小変位するように駆動を行うトラッキングアクチュエータ25とから成る。
【0027】
光ピックアップ制御部14では、光ディスク8からの反射光を受光した受光素子22からの信号を基に各制御信号を生成する。
【0028】
まず、フォーカスサーボに関して説明する。光ピックアップ制御部14は、光ディスク8との高さ方向のずれを検出するフォーカスエラー信号(以下FE信号)を検出するFE信号検出部26と、このFE信号を基にフォーカス制御を行うフォーカスドライブ演算部27を有する。そして、フォーカスドライブ演算部27の演算結果をフォーカスアクチュエータ24にフィードバックすることでフォーカスサーボが構成されている。
【0029】
次に、トラッキングサーボに関して説明する。光ディスク8のトラックに対するずれを
検出するトラッキングエラー信号(以下でTE信号)を検出するTE信号検出部28と、このTE信号を基にトラッキング制御を行うトラッキングドライブ演算部29を有する。そして、トラッキングドライブ演算部29の演算結果をトラッキングアクチュエータ25にフィードバックすることでトラッキングサーボが構成されている。なお、トラッキングサーボにおいては、光ディスク8のトラック上に常に追従して情報の読み込みを行うトレースモードと、近隣のトラックに移動を行うトラックジャンプモードがあり、トラッキングドライブ演算部29がモードを切り替えて駆動を行う。
【0030】
さらに、光ピックアップ制御部14は、トラックジャンプモードの際に、TE信号の振幅の大きさの変化を検出し、起動時と同様の手順でサーボ再調整が必要か否かを判定する判定部30を有する。詳しい処理手順は、後述する。
【0031】
次に、図5から図8を用いて、ショックプルーフ機能について説明する。
【0032】
ショックプルーフ機能は、光ディスク装置2に振動や衝撃などが加わった際に音飛び
などを防止するため、先読みしたディスク情報をバッファ内に一時的に保持するもので、よく知られた機能である。
【0033】
まず、トラックジャンプ動作について説明を行う。例えば、トラック1本分トラックジャンプ動作を行った時のTE信号は、図5の信号波形となることが一般的によく知られている。なお、図5(a)はトラックに対して3ビームがセンターに位置している状態、図5(b)はトラックに対して3ビームが1/4ずれた状態、図5(c)はトラックに対して3ビームが1/2ずれた状態、図5(d)はトラックに対して3ビームが3/4ずれた状態、図5(e)は隣のトラックにジャンプした状態を示している。
【0034】
この状態を、CDでよく用いられる3ビーム法を用いてこの原理を簡単に説明する。なお、今回3ビーム法を用いた場合について説明を行うが、その他の方式を用いていても構わない。
【0035】
発光素子21から射出されたレーザ光は、光学素子23にある回折格子により、1つのメインビームと2つのサブビームに分割され、光ディスク8上に各々スポットを形成する。3つのスポットはラジアル方向(ディスクの半径方向)に約1/4トラックピッチずつずらして配置され、光ディスク8からの戻り反射光は各々独立した3つの受光素子22で受光する。
【0036】
3ビームでは、2つのサブビームの出力の差分からTE信号を生成してトラックからのずれ量を検出し、この値を用いてトラッキングサーボを行っている。すなわち、トラッキングドライブ演算部29は、2つのサブビームの差分がゼロとなるようにトラッキングアクチュエータを駆動することで、常にトラック中心にスポットが位置するように制御を行う。なお、トラッキング制御が動作している状態をトレースモードと呼ぶ。
【0037】
ここで、トラックジャンプモードの例として内周側へ1本トラックジャンプを行う際の動作を、図5を参照しながら説明する。
【0038】
トラックジャンプを行う際は、一旦トラッキングサーボをオフした後、内周側にトラック1本分移動させる。この動作は、トラッキングドライブ演算部29がパルス駆動電圧をトラッキングアクチュエータへ印加することにより行なう。
【0039】
この時、トラック中心から内周側へ1/4ずれた位置でサブビームの一方が戻り光量最大となり、同じく1/2ずれた位置では両サブビームが同じ戻り光量となるため差分が再
びゼロとなる。元のトラックから3/4ずれた位置では、反対側のサブビームが戻り光量最大となり、内周側トラック中心に位置し差分ゼロとなった時に再びトラッキングオンする。なお、トラックジャンプ動作に要する時間は短く5ms程度の間に一連の動作を完了する。
【0040】
ショックプルーフ機能は、図6および図7に示されるように、トラッキングジャンプ動作を定期的に発生させて、データ記憶バッファ15に所定量以上のデータを蓄積しながら再生動作を行う。ショックプルーフ機能がない場合、光ディスク8のトラック上を常にトレースし連続的にデータの読み込みを行う。
【0041】
一方、ショックプルーフ機能があれば、光ディスク8の回転速度およびトレース速度を速めることにより、先読みした情報をデータ記憶バッファ15に情報を蓄積することができる。図8のフローチャートを用いて詳しく説明する。
【0042】
まず、光ピックアップ制御部14がショックプルーフ再生を開始し(ステップ81)、光ディスク8から読み取ったデータをデータ記憶バッファ15に蓄積させる(ステップ82)。そして、データ記憶バッファ15に情報がフルに蓄積されたことを光ピックアップ制御部14が検知すると(ステップ83)、トラッキングドライブ演算部29がトラックジャンプ動作にモードを切り替える(ステップ84)。トラックジャンプ動作は、読み出す情報を一時的に少し前の情報に戻すため、一旦トラッキングサーボをオフし、トラッキングオンする位置を1本もしくは数本分内周側に戻して、再びトレースを開始する動作である。
【0043】
すなわち、光ピックアップ制御部14は、数秒に1回の頻度でトラックジャンプ動作を発生させることによって、バッファ内の情報が常に一定値以上になるように制御する。なお、トラックジャンプで戻るトラック本数や発生頻度は、データ記憶バッファ15の容量により適宜決めればよい。たとえば、16Mbitの容量のメモリを搭載した場合、トラックジャンプ動作の発生間隔は約2secに1回の割合で発生させる。ショックプルーフ再生は、光ディスク8の再生の終了と共に終了する(ステップ85、86)。
【0044】
このように、振動や衝撃があってサーボ制御が瞬時外れるようなことがあっても、データ記憶バッファ15に蓄積されたデータ情報分の時間内にサーボ制御が復帰し読み込みが可能となれば、音が途切れることがなく再生を行える。以下では、このショックプルーフ機能を用いた再生をショックプルーフ再生と呼ぶ。
【0045】
以上のようなショックプルーフ再生を利用した結露発生時の光ディスク装置2の動作に関し、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0046】
操作者が光ディスク装置2に対し、再生動作を指示すると(ステップ91)、光ピックアップ制御部14はフォーカスサーボ動作を開始する(ステップ92)。そして、光ピックアップ制御部14は、FE信号検出部26が検出したFE信号から装着されている光ディスク8の種類を特定する(ステップ93)。次に、フォーカスドライブ演算部27が光ディスク8の種類に合わせて、フォーカスサーボのゲイン設定値を決定する。同様に、トラッキングドライブ演算部29が光ディスク8の種類に合わせて、トラッキングサーボのゲイン設定値を決定する(ステップ94)。
【0047】
次に、ステップ93のディスク検出での種類の特定が低反射率ディスクでない場合は(ステップ95でNo)、すなわち、結露による戻り光量低下が発生していないと考えられるので、時間経過があっても戻り光量に変化が発生することがない。従って、起動時に実施したゲイン設定値に従って通常のショックプルーフ再生を継続して実施する(ステップ96)。
【0048】
一方、ステップ93のディスク検出での種類の特定が低反射率ディスクの場合は(ステップ95でYes)、ディスク種類をデータ記憶バッファ15に記憶するステップ97へ進み、ショックプルーフ再生を開始する。その後のステップ98からステップ100の動作は、図8のフローチャートで説明した内容と同じである。
【0049】
そして、トラッキングドライブ演算部29がトラックジャンプ動作のモードに切り替えた際、ステップ101において、TE信号検出部28は、TE信号の振幅Vjmpを検出する。そして、判定部30は、TE信号検出部28から得たTE信号の振幅Vjmpを所定値Vdと比較し、振幅Vjmpが所定値Vdより小さい場合は(ステップ102でNo)、ショックプルーフ再生をそのまま続行する。一方、判定部30が振幅Vjmpが所定値Vd以上であると判定するとステップ103へ進む(ステップ102でYes)。
【0050】
以下に所定値Vdについて説明する。
【0051】
ステップ102でYesとなるのは、起動時に光ビームが通過する経路のいずれかの場所で結露が発生しており、経時変化とともに解消されたことが考えられる。これは、起動時に結露で低下した戻り光量に対してサーボ系のゲイン設定値を決定したが、結露の解消に従い回復した戻り光量によってサーボ系が高ゲインに推移したと想定される。この結露解消が始まると、10〜30sec程度の間に反射光量の過渡的変化が一気に進み、TE信号は12〜18dB程度のゲイン変化を生じる。起動時に結露があって低反射率ディスクと誤検出した状態で再生を開始し、時間経過とともに結露が解消した場合のトラックジャンプ動作の時のTE信号の振幅の変化を図10に示す。
【0052】
このゲイン変化は、通常想定される周囲温度変化や外乱などによる影響を大きく超えるため、結露の無い状態のディスク本来の光量で、再度ディスク種類特定からゲイン調整に到る一連のサーボ再調整を行わなければならない。なお、所定値Vdは、Vd=(高反射率のディスクのトラッキングジャンプ時のTE振幅)/(低反射率のディスクのトラッキングジャンプ時のTE振幅)の値とすることが好適である
このようにサーボ再調整をすることで、サーボゲインを下げることになるので、過電流による問題は発生しないものとなる。
【0053】
以下、フローの説明に戻る。振幅値Vjmpが所定値Vd以上である場合、前述の通り、起動時に光ビームが通過する経路のいずれかの場所で結露が発生しており、経時変化とともに解消されたと考えられる。
【0054】
図9のステップ103からステップ106では、起動時と同様の手順でサーボ再調整を行う。すなわち、光ピックアップ制御部14は、フォーカスサーボをONし(ステップ104)、ディスク検出を行う(ステップ105)。そして、フォーカスドライブ演算部27およびトラッキングドライブ演算部29が、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボのゲイン設定値を決定する(ステップ106)。その後、ショックプルーフ再生を再開する(ステップ107)。そして、操作者の操作オフの指示などによりディスク再生を終了する。
【0055】
このように、ショックプルーフ再生のトラックジャンプ動作が発生する度に、結露解消などによるTE信号の変化の有無を定期的に確認し、大幅な変化があればサーボ再調整を行う。したがって、時間経過と共に環境温度が変化し結露が解消された際にも、サーボ再調整が自動的に実施され、ディスク本来の反射光量の状態で各サーボのゲインが最適な値に再設定される。したがって、光ディスク装置2の高い動作信頼性を確保することができ
る。
【0056】
また、ショックプルーフ再生によるトラックジャンプ動作の発生間隔は、前述の通り、2sec程度である。したがって、結露解消が始まってからディスク本来の光量に戻るまでの時間が10〜30秒であるので、結露解消を精度良く検出するのに十分な時間間隔である。
【0057】
また、起動直後のディスク検出結果が低反射率ディスクであった場合に前記判定処理を行うようにしたので、結露解消による光量変化が最大となる場合を確実に捕捉してサーボ再調整を行うため動作信頼性を高めることができる。
【0058】
なお、本実施例の形態1では、判定部30で判定する受光素子22からの信号をTE信号であると記載したが、結露解消時に光量が戻ることによって同様の変化が生じるその他の信号を用いてもよい。すなわち、TE信号を生成するためのE信号またはF信号、あるいはFE信号やRF信号を判定に用いる受光素子22からの信号としてもよい。同様に、判定部30で判定する受光素子からの信号の大きさをTE信号の振幅であると記載しているが、TE信号、FE信号およびRF信号のDCオフセット値を判定に用いてもよい。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2の光ディスク装置について図面を参照しながら説明する。
【0059】
実施の形態2は、最初のトラックジャンプ時にTE信号の振幅値を初期値として判定部30が有するメモリに格納しておき、判定部30が初期値からの変化量により判定する点が異なる。
【0060】
図11のフローチャートを参照し、詳しく説明する。
【0061】
ステップ91からステップ100まで、およびステップ103からステップ107は、実施の形態1と同じ処理内容のため説明および図示を省略する。
【0062】
トラッキングドライブ演算部29がトラックジャンプ動作のモードに切り替えた際、ステップ108において、TE信号検出部28は、TE信号の振幅Vjmpを検出する。そして、光ピックアップ制御部14は、起動後最初に発生したトラックジャンプであると判断すると(ステップ109でYes)、TE信号の振幅の初期値Vjmp0を判定部30が有するメモリに収納する(ステップ110)。トラックジャンプが2回目以降である場合は(ステップ109でNo)、判定部30が振幅Vjmpの初期値Vjmp0からの変化量ΔVjmpを算出する(ステップ111)。
【0063】
次に、ステップ112において、変化量ΔVjmpと所定値ΔVdとを比較する。ΔVjmpが所定値ΔVdより小さい場合は、ステップ98へ戻りショックプルーフ再生をそのまま続行する。ΔVjmpが所定値ΔVd以上であった場合は、実施の形態1と同様に、一旦全てのサーボをOFFした後、起動時と同様の手順でサーボ再調整を行う。
【0064】
以上のように、TE信号の振幅の初期値からの変化量により、結露発生などによるサーーボ再調整が必要かどうかを判断するので、光ディスクや光ピックアップ部の製造上の理由などにより、反射光量にばらつきがある場合にも精度良くサーボ再調整の必要性を判断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の光ディスク装置は、使用環境の変化により装置内に結露が発生した際にも、常に最適なゲイン設定を行うことで高い動作信頼性を確保できるので、車載用音響機器や車
載用ナビゲーション装置として有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 ステアリング
2 光ディスク装置
3 操作パネル部
4 本体ケース
5 コンソール部
6 光デッキ部
7 防振機構
8 光ディスク
9 制御IC
10 回路基板
11 光ピックアップ
12 回転駆動部
13 トラバース部
14 光ピックアップ制御部
15 データ記憶バッファ
16 光ピックアップ部
17 スピンドルモータ制御部
18 スピンドルモータ
19 トラバースモータ制御部
20 トラバースモータ
21 発光素子
22 受光素子
23 光学素子
24 フォーカスアクチュエータ
25 トラッキングアクチュエータ
26 FE信号検出部
27 フォーカスドライブ演算部
28 TE信号検出部
29 トラッキングドライブ演算部
30 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、この本体ケース内に設けられるとともに、光ディスクを回転する回転駆動部と、この回転駆動部によって回転駆動される光ディスクに対して発光素子から光を照射し、反射光を受光素子で受光する光ピックアップと、この光ピックアップの受光素子からの信号により、この光ピックアップのトラッキング制御およびフォーカス制御を行う制御部と、前記受光素子を介して取得された前記光ディスクのデータを記憶するデータ記憶バッファとを備え、前記制御部によりトラックジャンプさせた時の前記受光素子からの信号の大きさを判定部で判定し、この判定部による判定により前記トラッキング制御およびフォーカス制御の動作ゲインを制御する構成とした光ディスク装置。
【請求項2】
前記制御部によりトラックジャンプさせた時の前記発光素子から得られる信号は、光ディスクのトラッキングエラー信号とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記判定部による判定は、前記制御部が前記トラックジャンプを発生させる度に実施することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記判定部による判定は、前記制御部が前記受光素子からの信号の大きさの初期レベルが低反射ディスクのレベルであると特定した場合に実施することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
本体ケースと、この本体ケース内に設けられるとともに、光ディスクを回転する回転駆動部と、この回転駆動部によって回転駆動される光ディスクに対して発光素子から光を照射し、反射光を受光素子で受光する光ピックアップと、この光ピックアップの受光素子からの信号により、この光ピックアップのトラッキング制御およびフォーカス制御を行う制御部と、前記受光素子を介して取得された前記光ディスクのデータを記憶するデータ記憶バッファとを備え、前記制御部によりトラックジャンプさせた時の前記受光素子からの信号の大きさの起動直後からの変化量を算出部で算出し、この算出部の算出結果によって前記トラッキング制御およびフォーカス制御の動作ゲインを制御する構成とした光ディスク装置。
【請求項6】
前記制御部によりトラックジャンプさせた時の前記発光素子から得られる信号は、光ディスクのトラッキングエラー信号とする請求項5に記載の光ディスク装置。
【請求項7】
前記判定部による判定は、前記制御部が前記トラックジャンプを発生させる度に実施することを特徴とする請求項5に記載の光ディスク装置。
【請求項8】
前記判定部による判定は、前記制御部が前記受光素子からの信号の大きさの初期レベルが低反射ディスクのレベルであると特定した場合に実施することを特徴とする請求項6に記載の光ディスク装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光ディスク装置を搭載した車載装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−74107(P2012−74107A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218176(P2010−218176)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】