説明

光ディスク装置及びそのレーベル記録方法

【課題】本発明は、レーベル面のように表面が粗い光ディスクの記録面にレーザ光のフォーカスを安定して合わせることが可能な光ディスク装置及びそのレーベル記録方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、光ディスクの反射光を受光する手段と、光ディスクの記録層を種別する判別手段と、反射光に基づいてフォーカス誤差信号を検出する手段と、フォーカス誤差信号に基づいて所定のフォーカス位置に駆動する駆動手段と、を備え、駆動手段は記録層がレーベル面のとき所定のフォーカス位置に設定したあと駆動を保持したままフォーカス誤差信号を監視し、フォーカス誤差信号が閾値を越えたら再駆動する制御手段を具備したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスクの記録面にレーザ光のフォーカスを合わせて情報記録を行う光ディスク装置に関し、特に光学的に記録可能なレーベル面を備えた光ディスクにレーベル情報を記録する光ディスク装置及びそのレーベル記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスクに情報を記録するには、光ピックアップに設けたレーザ光を光ディスクの記録面にフォーカスを合わせて照射し、光ディスクの記録面の化学変化を利用して記録マークなどを形成し、再生のときにはこの記録マークを読取信号に変換して情報の復元を行いっている。
【0003】
光ディスクの記録面に情報を記録したり、光ディスクの情報を再生するには、光ディスクの記録面に追従してフォーカスを合わせようにフォーカス制御が実施される。従って記録面が平坦で光ディスクの面振れなどによる記録面の変動が少ないほどフォーカス制御が容易であるが記録面が粗い光ディスクでは、粗い記録面の状態に応じてフォーカス制御を行うので記録に時間を要することがあった。
【0004】
一方、光ディスクの記録面側とは反対側の面には、光ディスクに記録した情報の内容が把握できるようにレーベル情報を表示することがよく行われている。この光ディスクの記録面と反対側の面をレーベル面と呼んでいる。
【0005】
従来は、光ディスクの記録面に記録した情報の内容が把握できるようにレーベル面に情報を記録するには、印刷したシールを貼り付けたり、レーベル面に設けた記録面にユーザがフェルトペンなどで手書きにより記入したり、レーベル面に設けた印刷可能な面にインクジェットプリンタなどでレーベル情報を印刷したりして情報を記録していたが、近年光ディスク装置の光ピックアップにより照射されるレーザ光により、光ディスクのレーベル面に設けた可視光特性変化層を設けて、光学的に文字や可視画像などのレーベル情報を記録する技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−012420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術は、光ディスク装置の光ピックアップは記録面とレーベル面の記録とで光ピックアップを共用で使用できるので有用であるが、光ディスクの記録面とレーベル層とでは、光ディスクの表面からの記録位置が異なっていたり記録面の粗さが異なっている。従って記録面を記録するときと同一の方法によってレーベル面の記録のときもフォーカス制御をするとレーベル面の凹凸によって頻繁にフォーカスエラーが発生しやすくフォーカス制御の時間がかかりその結果全体としての記録時間がかかる課題があった。
【0007】
本発明は、光ディスクのレーベル面に光学的に情報を記録するときにおけるレーザ光のフォーカス制御を安定させて、フォーカス制御時間を短縮し、その結果全体としての記録時間を短縮した光ディスク装置及びそのレーベル記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる問題を解決するため、本発明は、光ディスクの光学的に記録可能なレーベル面からのレーザ光の反射光を受光する手段と、反射光に基づいてフォーカス誤差信号を検出する手段と、フォーカス誤差信号に基づいて所定のフォーカス位置にレーザ光のフォーカスを合わせる駆動手段と、フォーカスを合わせた所定のフォーカス位置と同一位置でフォーカス誤差信号を監視し、フォーカス誤差信号が閾値を越えたら所定のフォーカス位置にレーザ光のフォーカスを再設定する制御手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、光ディスクのレーベル面の所定のフォーカス位置にレーザ光のフォーカスを合わせ、フォーカスを合わせた位置でフォーカス誤差信号を監視してフォーカス誤差信号が閾値を越えたら再設定することにより、常時、フォーカス制御するのでなく所定の閾値を越えたときにフォーカス制御を再設定するので、表面が粗い記録面に対してフォーカスサーボ制御することで頻繁に発生するフォーカスエラーに対するフォーカス制御にかかる時間を短縮できる。その結果、記録時間が長くなるのを防止できるので、記録時間を全体として短くできる。
【0010】
また、所定のフォーカス位置と同一位置で監視するので、記録するレーベル面の表面の凹凸によって過剰にフォーカス制御を行わなくすることができる。その結果、所定のフォーカス位置と同一位置で所定の閾値以上のフォーカス誤差信号を検出したときにだけフォーカス位置を修正して再設定することができるので、フォーカス制御に要する記録時間が長くなるのを防止でき、記録時間を全体として短くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
請求項1記載の発明は、光ディスクの光学的に記録可能なレーベル面からのレーザ光の反射光を受光する手段と、反射光に基づいてフォーカス誤差信号を検出する手段と、フォーカス誤差信号に基づいて所定のフォーカス位置にレーザ光のフォーカスを合わせる駆動手段と、フォーカスを合わせた所定のフォーカス位置と同一位置でフォーカス誤差信号を監視し、フォーカス誤差信号が閾値を越えたら所定のフォーカス位置にレーザ光のフォーカスを再設定する制御手段を備えたものである。
【0012】
この構成によれば、光ディスクのレーベル面の所定のフォーカス位置にレーザ光のフォーカスを合わせ、フォーカスを合わせた所定のフォーカス位置と同一位置でフォーカス誤差信号を監視してフォーカス誤差信号が閾値を越えたら所定のフォーカス位置にフォーカス位置を再設定することにより、記録層に記録するときに行うフォーカス制御ように常時フォーカス制御をするのでなく所定の閾値を越えたときに限ってフォーカス制御をし所定のフォーカス位置に再設定するので、表面が粗い記録面に対してフォーカスサーボ制御することで頻繁に発生するフォーカスエラーに対するフォーカス制御にかかる時間を短縮できる。その結果、記録時間が長くなるのを防止できるので、記録時間を全体として短くできる。
【0013】
また、所定のフォーカス位置と同一位置で監視するので、記録するレーベル面の表面の凹凸によって過剰にフォーカス制御を行わなくすることができる。その結果、所定のフォーカス位置と同一位置で所定の閾値以上のフォーカス誤差信号を検出したときにだけフォーカス位置を修正して再設定することができるので、フォーカス制御に要する記録時間が長くなるのを防止でき、記録時間を全体として短くできる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、制御手段はレーザ光の発光強度の制御手段を備え、フォーカス誤差信号が閾値を超えたらレーザ光を減光し、所定のフォーカス位置にフォーカスを再設定したあとレーザ光を増光するようにしたものである。
【0015】
この構成によれば、所定の閾値を越えたときに、一旦、レーザ光を減光してレーザ光を所定のフォーカス位置に再設定したあとレーザ光を増光することにより、フォーカスの再設定のときに記録面に画像や文字を形成することがなくなるので、印字品質を向上させることができる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、受光手段は、少なくとも2つの受光手段を設け、一方の受光手段は、レーザ光の反射光の焦点が合う位置で第1の反射光を受光し、駆動手段は、第1の反射光に基づくフォーカス誤差信号によりレーザ光のフォーカスを合わせ、一方、他方の受光手段は、レーザ光の反射光の焦点が広がる位置で第2の反射光を受光し、制御手段は、第2の反射光に基づくフォーカス誤差信号を監視するである。
【0017】
この構成によれば、所定のフォーカス位置は、第1の反射光を受光しフォーカス誤差信号が最小となるようにレーザ光のフォーカスを合わせ、他の受光手段でフォーカス誤差信号を監視することにより、反射光の検出器上での光ビームの径を大きくするとともに検出器上での光ビームの輪郭も広がり、フォーカス誤差信号の検出のレベル変動を少なくすることができるので、記録層がレーベル面などの粗い表面である場合、フォーカス位置の変動が頻繁に発生するためにフォーカス制御の時間が長くなるのを防止できる。その結果、記録時間が長くなるのを減らすことができるので、記録時間を全体として短くできる。
【0018】
請求項4記載の発明は、光ディスクの光学的に記録可能なレーベル面に記録するときレーベル面からのレーザ光の反射光を受光し、受光した反射光に基づいてフォーカス誤差信号を検出し、フォーカス誤差信号に基づいて所定のフォーカス位置にレーザ光のフォーカスを合わせ、フォーカスを合わせた所定のフォーカス位置と同一位置でフォーカス誤差信号を監視し、フォーカス誤差信号が閾値を越えたら所定のフォーカス位置にレーザ光のフォーカスを再設定する光ディスク装置のレーベル記録方法である。
【0019】
この方法によれば、記録層がレーベル面のとき所定のフォーカス位置に設定したあと駆動を保持したままフォーカス誤差信号を監視し、フォーカス誤差信号が閾値を越えたら再駆動することにより、常時、フォーカス制御するのでなく所定の閾値を越えたときにフォーカス制御を再駆動するので、表面が粗い記録面に対してフォーカスサーボ制御することで頻繁に発生するフォーカスエラーでのフォーカス制御の時間がかかり、結果として記録時間が長くなるのを減らすことができるので、記録時間の短い光ディスク装置を提供することができる。
【0020】
請求項5記載の発明は、光ディスクの光学的に記録可能なレーベル面に記録するとき、レーベル面からのレーザ光の反射光を受光し、受光した反射光に基づいてフォーカス誤差信号を検出し、フォーカス誤差信号に基づいて所定のフォーカス位置にレーザ光のフォーカスを合わせ、フォーカスを合わせた所定のフォーカス位置と同一位置でフォーカス誤差信号を監視し、フォーカス誤差信号が所定の閾値を越えたときレーザ光を減光し、所定のフォーカス位置にレーザ光のフォーカスを再設定してレーザ光を増光することを特徴とする光ディスク装置のレーベル記録方法ある。
【0021】
この方法によれば、記録層がレーベル面のとき所定のフォーカス位置に設定したあと駆動を保持したままフォーカス誤差信号を監視し、フォーカス誤差信号が閾値を越えたら、一旦、レーザ光を減光して所定のフォーカス位置に再設定したあとレーザ光を増光することにより、フォーカスの再設定のときに記録面に画像や文字を形成することがなくなるので、印字品質のよい光ディスク装置を提供することができる。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項4乃至請求項5記載の発明において、反射光の受光は、少なくとも2つの受光手段で受光し、一方の受光手段は、レーザ光の反射光の焦点が合う位置で第1の反射光を受光して前記第1の反射光に基づくフォーカス誤差信号により前記レーザ光のフォーカスを合わせ、一方、他方の受光手段は、レーザ光の反射光の焦点が広がる位置で第2の反射光を受光し、前記第2の反射光の受光に基づくフォーカス誤差信号を監視するものである。
【0023】
この方法によれば、所定のフォーカス位置は、第1の反射光を受光しフォーカス誤差信号が最小となるように前記レーザ光のフォーカスを合わせ、他の受光手段でフォーカス誤差信号を監視することにより、反射光の検出器上での光ビームの径を大きくするとともに検出器上での光ビームの輪郭も広がり、フォーカス誤差信号の検出のレベル変動を少なくすることができるので、記録層がレーベル面などの粗い表面である場合、フォーカス位置の変動が頻繁に発生するためにフォーカス制御の時間が長くなるのを防止できる。その結果、記録時間が長くなるのを減らすことができるので、記録時間を全体として短くできる。
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係わる光ディスク装置の斜視図、図2は本発明の実施の形態1に係わる光ディスク装置の外観図で、筐体の天部を除去した図である。
【0026】
図1および図2において光ディスク装置1には筐体2及びトレイ3があり図1、図2は筐体2からトレイ3を引き出した状態を示している。
【0027】
筐体2は天部2aと底部2bから構成されている。トレイ3には光ピックアップモジュール4が設けられている。光ピックアップモジュール4には光学系を構成した光ピックアップ5と光ディスクを回転させるスピンドルモータ4a及び制御回路を構成する回路基板4cが構成されている。
【0028】
光ピックアップモジュール4に設けられた光ピックアップ5はスピンドルモータ4aに対して近づいたり離れたりし、即ち光ディスクの半径方向に移動する。スピンドルモータ4aには光ディスク装着部4bがあり、光ディスク装着部4b装着された光ディスクを回転させる。
【0029】
トレイ3の両側部にはレール部6があり、両側部共にレール7と光ディスク引き出し方向に摺動自在に嵌合している。また、レール7は筐体2両側部内面に設けられたレールガイド8とも光ディスク引き出し方向に摺動自在に嵌合しており、トレイ3は筐体2に対し挿抜自在である。トレイ3は筐体2から所定の長さだけ引き出されると筐体2に対して係止する。このときトレイ3に設けられた光ディスク装着部4bに光ディスクを装着もしくは取り外すことが可能である。トレイ3には押出部12が設けられており、排出(イジェクト)動作時に押出部12が筐体2を押すことにより、トレイ3は筐体2から飛び出す。
【0030】
光ディスク装置1は、光ディスクがCD−ROM、CD−R/RWの高速タイプもしくはDVD等に対応しており、データ転送速度が速いもので、20Mbps以上のデータ転送速度を有するものである。
【0031】
筐体2の底部2bには制御回路を備える回路基板9が設けられており、トレイ3には制御回路を備える回路基板4cが設けられている。回路基板9と回路基板4cとは、フレキシブルプリント基板(FPCとも呼ぶ)10で接続されており、このFPC10によって回路基板9と回路基板4cとの電気的導通が図られる。
【0032】
電力系としては、スピンドルモータ4aや、光ピックアップモジュール4に設けられ光ピックアップ5を光ディスクの径方向に駆動するフィードモータ(図示せず)への電力供給及び光ピックアップ5に設けられたレーザ(図示せず)への電力供給が有り、信号としては、光ディスクから読み取りまたは光ディスクに書き込むデータの信号や、スピンドルモータ4a、フィードモータ、レーザを制御する信号がある。
【0033】
図3は、本発明の実施の形態1に係わる光ディスク装置のブロック図である。
【0034】
図3において、111はパーソナルコンピュータ、1は光ディスク装置、15はインターフェースケーブル、20はインターフェース、11は光ディスク、4は光ピックアップモジュール、5は光ピックアップ、4aはスピンドルモータ、205はフォーカス駆動手段、31は対物レンズ、207はレーザ発光手段であるレーザ、208は反射光受光手段である検出器、209はキャリッジ、212はデジタルサーボコントローラ、213はデータ処理部、214はフォーカス制御手段、215はコマンド判別手段、217はレーザ制御手段、218は回転制御手段、219はスピンドルモータ駆動手段、220は記憶手段、222はディスク判別手段、223はフォーカス誤差監視手段である。
【0035】
パーソナルコンピュータ111と光ディスク装置1はインターフェースケーブル15で接続され、インターフェース23を介して光ディスク11に記録されたデータをパーソナルコンピュータ111に出力したり、パーソナルコンピュータ111のデータを光ディスク201出力する。
【0036】
光ピックアップ手段である光ピックアップモジュール4は、レーザ207を有し、光ディスク11へのデータの記録および光ディスク11の情報の再生時にレーザ光を照射し、記録および再生を行う。また、光学的に記録可能なレーベル面を有する光ディスク11のレーベル面に文字や可視画像などを印字する。
【0037】
スピンドルモータ4aは、光ディスク11の回転を行う。
【0038】
光ピクアップモジュール4はキャリッジ209が備えられ、移動手段であるフィードモータ(図示せず)によって光ピックアップモジュール4をスピンドルモータ4aに近づいたり離れたりするように光ディスク11の半径方向に移動させる。
【0039】
レーザ207で出力されたレーザ光は、光ディスク11の所定のフォーカス位置にフォーカスが合うようにフォーカスコイル制御手段214で制御されフォーカス駆動手段205でフォーカスを合わせられる。
【0040】
レーザ制御手段217は、光ディスク11に記録または再生の動作のときに所定のレーザパワーに制御したり、光学的に記録可能なレーベル面に対して、フォーカス制御動作切り替え時のレーザ発光強度の制御をする。
【0041】
光ディスク11からのレーザ光の反射光は、反射光受光手段である検出器208で受光して光ディスク11の情報がデジタルサーボコントローラ212に送られ、トラッキング誤差信号やフォーカス誤差信号が求められる。
【0042】
ディスク判別手段222は、光ディスク11からの情報をもとに、対物レンズ31と対向している記録面がデータなどの情報の記録面か光学的に記録可能なレーベル面であるかを判別する。
【0043】
コマンド判別手段218は、パーソナルコンピュータ111から送られてくるコマンドを入力し、入力したコマンドが光ディスク11に対するレーベル情報を記録するときのフォーカス制御に関するパラメータのコマンドコマンドを判別する。
【0044】
パーソナルコンピュータ111と光ディスク装置1とは、インターフェース20で接続されており、パーソナルコンピュータ111からの制御信号たとえばATAPIパケットコマンドを基に光ディスク装置1はパーソナルコンピュータ111に応答し、光ディスク11の情報を読み込んだり、光ディスク11に情報を記録したりする。パーソナルコンピュータ111と光ディスク装置1はインターフェースケーブル15で接続されている。また、インターフェース20は、SCSIインターフェースや、IDEインターフェース等である。
【0045】
パーソナルコンピュータ111から光ディスク装置1にATAPIパケットインターフェースのコマンドでレーベル情報の記録に用いるフォーカス制御に関する動作のパラメータを転送し、光ディスク装置1は受信した制御パラメータを含むコマンドを基に光ディスク11のパラメータを記憶手段220に格納する。
【0046】
光ディスク11は、パーソナルコンピュータ111の外部記録装置として使用されるときのデータ記録する記録面とは別に記録した内容を光学的に記録可能なレーベル面を有し、かかるレーベル面にはユーザが任意に光学的に可視画像や文字などを記録できるものである。
【0047】
フォーカス誤差監視手段223は、光ディスク11からの反射光を基にフォーカス誤差を検出するとともに、光ピックアップ5と対向する位置に光ディスク11の記録面が装着されているときは常にフォーカス誤差が最小となるフォーカス制御をし、光ピックアップ5と対向する位置に光学的に記録可能なレーベル面が装着されると、最適フォーカス位置に設定したら設定した位置のまま所定のフォーカス位置と同一位置でフォーカス誤差信号が所定の閾値を越えたかどうかを監視し、フォーカス誤差信号が閾値を越えたら所定のフォーカス位置にレーザ光のフォーカスを再設定するものである。
【0048】
この構成について図を基に説明する。
【0049】
図4は、本発明の実施の形態1に係わる光ディスクとレーザ光の関係を示した図である。
【0050】
光ディスク11は、記録面とレーベル面の両方の面に記録ができるものである。
【0051】
図4において、図4(a)は記録面に記録するときのレーザ光の焦点位置を、図4(b)はレーベル面に記録するときのレーザ光の焦点位置を、図4(c)は光ディスク11のレーベル面側の外観図を示している。
【0052】
光ディスク11の表面から反射面までの距離は、CDで約1.2mm、DVDで約0.6mm、ブルーレイディスクで約0.1mmであるのに、レーベル面までの距離は、約0.02mmで短い。
【0053】
光ディスク11において、記録面11aに記録するときとレーベル面11bに記録するときとで同一の光ピックアップ5を使用して記録動作を行う。
【0054】
従って、ユーザは、記録面11aに記録した後、レーベル面11bに記録するときに、光ディスク11のレーベル面11bを光ピックアップ5の対物レンズ31側に対向するように裏返して取り付ける。
【0055】
光ディスク11の記録面11aとレーベル面11bとの表面の粗さが異なっており、レーベル面11b側が粗い構成となっている。
【0056】
光ディスク11への記録動作や再生動作をするときは、所望の記録面に焦点(フォーカス)をあわせるように対物レンズ31を駆動し、光ディスク11に対して近づけたり遠ざけたりしてフォーカス誤差信号が最小となるように光ビーム32の焦点をあわせる。
【0057】
図4(c)に示すように光ディスク11のレーベル面の内周近くには、光ピックアップ5に向けて装着されている装着面が、レーベル面側でありレーザ光によって情報の記録、例えば文字や写真・可視画像・イラストなどを記録することが可能であることを示す情報を含んだエンボス領域51を設けている。
【0058】
図5は、本発明の実施の形態1に係わるフォーカス誤差信号を説明する図である。
【0059】
図5は光ピックアップ5の対物レンズ31を光ディスク11から離れた位置から一定の速度で光ディスク11に近づけるようにフォーカス駆動値(図中FC駆動値)を上げ、所定の位置からフォーカス駆動値を下げたときのフォーカス誤差信号(図中FE信号)のS字波形を示す。
【0060】
図5(a)はデータ記録層に対するフォーカス誤差信号のS字波形、図5(b)はレーベル面に対するフォーカス誤差信号のS字波形、図5(c)はフォーカス駆動電圧を示す。
【0061】
図5(a)に示すようにデータ記録層に対するフォーカス誤差信号はフォーカス駆動値を上昇させたとき及びフォーカス駆動値を戻したときに生じ、それぞれ略単一のS字波形を示している。このS字波形のフォーカス誤差の値が0となる位置(ゼロクロス点と呼ぶ)L1、L2がデータ記録層にフォーカスが合った最適なフォーカス駆動位置である。
【0062】
図5(b)に示すようにレーベル面に対するフォーカス誤差信号はフォーカス駆動値を上昇させたとき及びフォーカス駆動値を戻したときに生じ、それぞれ複数のS字波形を示している。このS字波形のフォーカス誤差の値が0となる位置(ゼロクロス点と呼ぶ)L3、L4がレーベル面にフォーカスが合った最適フォーカス駆動位置である。
【0063】
前述のように光ディスクの表面から記録層の反射面までの距離は、CDで約1.2mm、DVDで約0.6mm、ブルーレイディスク約0.1mmであるのに、レーベル面までの距離は、約0.02mmで極端に短いので、ゼロクロス点L1とゼロクロス点L2との時間差をW1,ゼロクロス点L3とゼロクロス点L4との時間差をW2とすると、この時間差W1,W2が記録層ごとに異なるので、この時間差W1、W2を基によって対物レンズ31と対向している記録面がデータ記録面かレーベル面かを認識することもできる。
【0064】
光ディスク11に記録するときのフォーカス制御の方法は、データ記録層に情報を記録するときは常にS字波形が零(0)となる最適位置へフォーカス制御を行う。一方、レーベル面に画像や文字を記録するときには、一旦S字波形のフォーカス誤差の値が零(0)となる最適位置でフォーカス設定すると、フォーカス設定した位置を保持したままフォーカス誤差を監視し、フォーカス誤差信号が閾値301、閾値302を越えたときに限ってS字波形のフォーカス誤差の値が零(0)となる最適位置でフォーカス位置を再設定する。
【0065】
これにより、一般にデータ記録層より凹凸が大きくフォーカスエラーが頻繁に発生しやすいレーベル面に対してフォーカス制御する時間を短縮できるので全体としてレーベル面への文字や可視情報などの記録時間を短縮できる。
【0066】
また、フォーカス誤差信号のレベルが閾値301および閾値302を越えたときにS字波形のフォーカス誤差の値が零(0)となる最適位置でフォーカスを再設定する際には、レーザ制御手段217によって、光ビームの強度を一旦減光して最適フォーカス位置を求め、最適フォーカス位置が再び見つかり設定すると、レーザ制御手段217によって光ビームの強度を増光させる。
【0067】
これにより、最適フォーカスの設定のときにフォーカス位置が変化しレーベル面での記録が変化し、フォーカス再設定中に記録レーベル情報を記録することがなく、記録品質が悪化することを防止することができる。
【0068】
図6は、本発明の実施の形態1に係わる光ピックアップの光学系構成の略図である。
【0069】
レーザ207から発射された光ビームは、光学部材(回折格子)124によって、主として記録再生用に用いるメイン光(0次回折光)と、トラッキング制御に用いられる2つのサブ光(±1次回折光)に分離される。分離された光ビームのメイン光(0次回折光)と±1次回折光との強度は、メイン光(0次回折光)の光の強度に対してサブ光(±1次回折光)の強度は1/10〜1/20程度に設定している。回折格子124によって分離された光ビームはビームスプリッタ122を通りコリメータレンズ121によって平行光にされて対物レンズ31によって光ディスク11の記録面125で集束される。
【0070】
光ディスク11のレーベル面125に集束された反射光は、対物レンズ31およびコリメータレンズ121を通過して、ビームスプリッタ122の斜面122aで反射されてビームスプリッタ122の主平面122bを通り、検出レンズ123を通って反射光受光手段である検出器208によって信号検出される。検出された信号を基にフォーカス制御を行う。
【0071】
図7は、本発明の実施の形態1に係わるフローチャートである。
【0072】
図7において、レーベル面への記録動作が開始されると(S700)、対物レンズ31に対向している光ディスク11の記録面がレーベル面かどうかを判断し(S701)、レーベル面でなければレーベル面が設定されるのを監視する。このとき光ディスク装置1と接続されたパーソナルコンピュータ111に光ディスク装置1に情報を送りパーソナルコンピュータ111からユーザにレーベル面を装着するように指示するようにしてもよい。
【0073】
対物レンズ31に対向している光ディスク11の記録面がレーベル面と判断すると、フォーカスコイルを駆動し(S702)、フォーカス誤差信号を検出し(S703)、フォーカス誤差信号が最適になったかどうかを判別し(S704)、フォーカス誤差信号が最適でないときは(S702)に戻り処理を続ける。
【0074】
フォーカス誤差信号が最適になったら、フォーカスコイル駆動を保持し(S705)、保持したままフォーカス誤差信号を検出し(S706)、フォーカス誤差信号が閾値を越えたかどうかを判別し(S707)、フォーカス誤差信号が閾値を越えていなければ(S706)に戻り、フォーカス誤差信号が閾値を越えるかどうかの監視を続ける。
【0075】
フォーカス誤差信号が閾値を越えると、レーザの発光強度を減光し(S708)、フォーカスコイルを駆動して(S709)、フォーカス誤差信号を検出し(S710)、フォーカス誤差信号が最適になったかどうか判別し(S711)、最適でなければ(S709)に戻り処理を続ける。
【0076】
フォーカス誤差信号が最適になり再設定ができると、レーザ光を増光し(S712)、処理を終了するかどうかを判別し(S713)、処理を終了するときは処理終了処理をする(S714)。
【0077】
終了をしないと判断したら(S705)に戻り処理を続ける。
【0078】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。
【0079】
なお、本発明の実施の形態2においては、実施の形態1と重複する構成や方法については繰り返し述べず省略するものである。
【0080】
図8は、本発明の実施の形態2に係わる光ピックアップの光学系構成の略図である。
【0081】
レーザ207から発射された光ビームは、光学部材(回折格子)124によって、主として記録再生用に用いるメイン光(0次回折光)と、トラッキング制御に用いられる2つのサブ光(±1次回折光)に分離される。回折格子124によって分離された光ビームはビームスプリッタ122を通りコリメータレンズ121によって平行光にされて対物レンズ31によって光ディスク11の記録面125よりで集束される。
【0082】
光ディスク11のレーベル面125に集束された反射光は、対物レンズ31およびコリメータレンズ121を通過して、ビームスプリッタ122の斜面122aで反射されてビームスプリッタ122の主平面122bを通り、検出レンズ123を通って、ハーフミラー303で反射光受光手段である検出器208a、208bに分離されて信号検出される。
【0083】
検出器208aにて検出された反射光を基にフォーカス誤差信号が求められ、フォーカス誤差信号が最適となる位置に対物レンズ31を駆動する。
【0084】
最適フォーカス誤差信号となる位置に駆動された対物レンズ31は、位置を一定にしたまま検出器208bでフォーカス誤差信号が閾値を越えるかどうかを監視する。
【0085】
これにより検出器208bで検出される光ビームB2の径が検出器208aでのフォーカス最適調整のときの光ビームB1より大きくなり、また光ビームの輪郭もぼけて形成するので、僅かなレーベル面の凹凸に対応するフォーカス誤差信号の変動に対する検出レベルをの変動を少なくでき、レーベル面の粗い表面に対してのフォーカス位置の変動に対して頻繁に発生するフォーカス制御の時間を減らすことができ、全体として記録時間の短い光ディスク装置を提供できるようになる。
【0086】
図9は、本発明の実施の形態2に係わるフローチャートである。
【0087】
図9において、レーベル面への記録動作が開始されると(S900)、対物レンズ31に対向している光ディスク11の記録面がレーベル面かどうかを判断し(S901)、レーベル面でなければレーベル面が設定されるのを監視する。このとき光ディスク装置1と接続されたパーソナルコンピュータ111に光ディスク装置1に情報を送りパーソナルコンピュータ111からユーザに指示するようにしてよい。
【0088】
対物レンズ31に対向している光ディスク11の記録面がレーベル面と判断すると、フォーカスコイルを駆動し(S902)、第1検出位置でFE信号を検出し(S903)、フォーカス誤差信号が最適になったかどうかを判別し(S904)、フォーカス誤差信号が最適でないときは(S902)に戻り処理を続ける。
【0089】
フォーカス誤差信号が最適になったら、第2検出位置でFE信号の監視を開始し(S905)、第1FE信号検出で最適にした位置でフォーカスコイル駆動を保持し(S906)、保持したままフォーカス誤差信号を検出し(S907)、フォーカス誤差信号が閾値を越えたかどうかを判別し(S908)、フォーカス誤差信号が閾値を越えていなければ(S907)に戻り、フォーカス誤差信号を検出しフォーカス誤差信号が閾値を越えるかどうかの監視を続ける。
【0090】
フォーカス誤差信号が閾値を越えると、レーザの発光強度を減光し(S909)、フォーカスコイルを駆動して(S910)、第1検出位置でFE信号を検出し(S911)、フォーカス誤差信号が最適になったかどうか判別し(S912)、最適でなければ(S910)に戻り処理を続ける。
【0091】
フォーカス誤差信号が最適になり再設定ができると、レーザ光を増光し(S913)、処理を終了するかどうかを判別し(S914)、処理を終了するときは処理終了処理をする(S915)。
【0092】
終了をしないと判断したら(S905)に戻り処理を続ける。
【0093】
なお、本発明の実施の形態1及び本発明の実施の形態2の光学系の構成に限定するものではなく、スポットサイズ法、ナイフエッジ法などフォーカス誤差を検出する色々な構成でも同様に実施できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明にかかる光ディスク装置及びそのレーベル記録方法は、光学的に記録可能なレーベル面を有する光ディスクに画像や文字を光学的に記録できるので、光ディスクに記録した内容をレーベル情報として記録するパーソナルコンピュータなどの外部記憶装置としての光ディスク装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる光ディスク装置の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1に係わる光ディスク装置の外観図
【図3】本発明の実施の形態1に係わる光ディスク装置のブロック図
【図4】本発明の実施の形態1に係わる光ディスクとレーザ光の関係を示した図
【図5】本発明の実施の形態1に係わるフォーカス誤差信号を説明する図
【図6】本発明の実施の形態1に係わる光ピックアップの光学系構成の略図
【図7】本発明の実施の形態1に係わるフローチャート
【図8】本発明の実施の形態2に係わる光ピックアップの光学系構成の略図
【図9】本発明の実施の形態2に係わるフローチャート
【符号の説明】
【0096】
1 光ディスク装置
2 筐体
3 トレイ
4 光ピックアップモジュール
4a スピンドルモータ
4b 光ディスク装着部
5 光ピックアップ
9 回路基板
10 FPC
11 光ディスク
31 対物レンズ
111 パーソナルコンピュータ
205 フォーカス駆動手段
207 レーザ
208 反射光受光手段
214 フォーカス制御手段
217 レーザ制御手段
222 ディスク判別手段
223 フォーカス誤差監視手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの光学的に記録可能なレーベル面からのレーザ光の反射光を受光する受光手段と、
前記反射光に基づいて所定のフォーカス誤差信号を検出する検出手段と、
前記フォーカス誤差信号に基づいて前記レーザ光のフォーカスを合わせる駆動手段と、
前記フォーカスを合わせたフォーカス位置と同一位置で前記フォーカス誤差信号を監視し、前記フォーカス誤差信号が閾値を越えたら前記所定のフォーカス位置に前記レーザ光のフォーカスを再設定する制御手段を備えた光ディスク装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記フォーカス誤差信号が閾値を越えたら前記レーザ光を減光し、前記所定のフォーカス位置にフォーカスを再設定したあと前記レーザ光を増光することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記受光手段は、少なくとも2つの受光手段を設け、
一方の受光手段は、レーザ光の反射光の焦点が合う位置で第1の反射光を受光し、前記駆動手段は、前記第1の反射光に基づくフォーカス誤差信号により前記レーザ光のフォーカスを合わせ、一方、
他方の受光手段は、レーザ光の反射光の焦点が広がる位置で第2の反射光を受光し、前記制御手段は、前記第2の反射光に基づくフォーカス誤差信号を監視することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項4】
光ディスクの光学的に記録可能なレーベル面に記録するとき前記レーベル面からのレーザ光の反射光を受光し、
前記受光した反射光に基づいてフォーカス誤差信号を検出し、
前記フォーカス誤差信号に基づいて所定のフォーカス位置に前記レーザ光のフォーカスを合わせ、
前記フォーカスを合わせた所定のフォーカス位置と同一位置で前記フォーカス誤差信号を監視し、
前記フォーカス誤差信号が閾値を越えたら前記所定のフォーカス位置に前記レーザ光のフォーカスを再設定する光ディスク装置のレーベル記録方法。
【請求項5】
光ディスクの光学的に記録可能なレーベル面に記録するとき、
前記レーベル面からのレーザ光の反射光を受光し、
前記受光した反射光に基づいてフォーカス誤差信号を検出し、
前記フォーカス誤差信号に基づいて所定のフォーカス位置に前記レーザ光のフォーカスを合わせ、
前記フォーカスを合わせた所定のフォーカス位置と同一位置で前記フォーカス誤差信号を監視し、
前記フォーカス誤差信号が所定の閾値を越えたとき前記レーザ光を減光し、
前記所定のフォーカス位置に前記レーザ光のフォーカスを再設定してレーザ光を増光することを特徴とする光ディスク装置のレーベル記録方法。
【請求項6】
前記反射光の受光は、少なくとも2つの受光手段で受光し、
一方の受光手段は、レーザ光の反射光の焦点が合う位置で第1の反射光を受光して前記第1の反射光に基づくフォーカス誤差信号により前記レーザ光のフォーカスを合わせ、一方、
他方の受光手段は、レーザ光の反射光の焦点が広がる位置で第2の反射光を受光し、前記第2の反射光の受光に基づくフォーカス誤差信号を監視することを特徴とする請求項4乃至請求項5記載の光ディスク装置のレーベル記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−217925(P2008−217925A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55606(P2007−55606)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】