説明

光ディスク装置及びその制御方法

【課題】光ヘッド上の対物レンズのチルト制御とフォーカス制御との互いの干渉を抑制しつつ、対物レンズの好適な駆動制御を実現する。
【解決手段】本発明の光ディスク装置1は、対物レンズユニット74を光ヘッド65上に支持する弾性支持部材59と、対物レンズユニット74の重心位置Gを対物レンズ70の光軸と直交する方向から挟んで対向する当該対物レンズユニット74上の第1及び第2の被駆動位置P1、P2に駆動力f1、f2をそれぞれ付与するアクチュエータ71、72と、対物レンズユニット74にチルト方向θ及びフォーカシング方向yの変位力が作用したときに重心位置Gでのチルト方向θへの変位力がフォーカシング方向yの変位力に与え得る影響が回避されるように、被駆動位置P1、P2に各々付与される駆動力f1、f2の配分を調整するアンプ871、872を有するフォーカス/チルト制御回路87と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクを用いて情報の再生又は記録を行う光ディスク装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ヘッド上の対物レンズの駆動機構に設けられた二種類のフォーカスコイルを利用して、対物レンズのフォーカス制御と共に対物レンズのチルト補正をフィードフォワード制御で行う光ディスク装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、光ディスク上の異なる半径位置で検出した対物レンズにおけるチルトの検出値の差を反映させたるかたちで、二つのフォーカスコイルに供給するための電流値を補正することにより、対物レンズのチルト制御に改善を加えた光ディスク装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特表2005−521985号公報
【特許文献2】特開2003−272203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した各文献の技術は、対物レンズのチルト方向への制御とフォーカス方向への制御とが互いに干渉し合い、対物レンズを適切に駆動制御することが難しい構成となっている。
【0005】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、光ヘッド上の対物レンズのチルト制御とフォーカス制御との互いの干渉を抑制しつつ、対物レンズの好適な駆動制御を実現できる光ディスク装置及びその制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る光ディスク装置は、対物レンズ及びレンズホルダが一体化された対物レンズユニットと、前記対物レンズユニットを光ヘッド本体上に変位可能に支持する弾性支持部材と、前記弾性支持部材に支持された前記対物レンズユニットの重心位置を前記対物レンズの光軸と直交する方向から挟んで対向する当該対物レンズユニット上の第1及び第2の被駆動位置に駆動力をそれぞれ付与する第1及び第2の駆動部と、前記第1及び第2の駆動部により前記第1及び第2の被駆動位置にそれぞれ付与される前記駆動力の配分を調整する駆動力調整部と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る光ディスク装置の制御方法は、光ヘッド本体上に変位可能に支持された対物レンズを有する対物レンズユニットの重心位置を、前記対物レンズの光軸と直交する方向から挟んで対向した当該対物レンズユニット上の第1及び第2の被駆動位置へ各々付与するための駆動力を設定するステップと、前記設定された駆動力の配分を調整するステップと、前記配分の調整された各駆動力を前記第1及び第2の被駆動位置にそれぞれ付与するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光ヘッド上の対物レンズのチルト制御とフォーカス制御との互いの干渉を抑制しつつ、対物レンズの好適な駆動制御を実現することの可能な光ディスク装置及びその制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置1の構成を機能的に示すブロック図である。また、図2は、この光ディスク装置1に搭載された光ヘッド65の構造を模式的に示す図である。さらに、図3は、この光ディスク装置1が備えるフォーカス/チルト制御回路87及び第1及び第2の駆動力発生回路51、52の構成を機能的に示すブロック図である。
【0010】
図1及び図3に示すように、この実施形態の光ディスク装置1は、光ヘッド65、スピンドルモータ63、送りモータ67、スピンドルモータ制御回路64、送りモータ制御回路68、RFアンプ85、PLL制御回路76、データ再生回路78、トラック制御回路88、フォーカス/チルト制御回路87、第1及び第2の駆動力発生回路51、52、信号バス89、CPU90、RAM91、ROM92、NV−RAM99、エラー訂正回路62などを主に備える。また、このような光ディスク装置1は、所定のインタフェース回路93を介してホスト装置94に接続されている。
【0011】
すなわち、光ディスク装置1は、情報記憶媒体としての例えばDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク100を用いて情報の再生及び/又は記録を行うものである。光ディスク100には、図2に示す情報記録面100aに同心円状又は螺旋状に溝が刻まれている。光ディスク100のこのような溝の凹部をランド、凸部をグルーブと呼び、グルーブ又はランドの一周をトラックと呼ぶ。ユーザデータは、このトラック(グルーブのみ又はグルーブ及びランド)に沿って、強度変調されたレーザ光を照射して記録マークを形成することで情報の記録が行われる。
【0012】
データ再生は、記録時より弱いリードパワー(read power)のレーザ光をトラックに沿って照射して、トラック上にある記録マークによる反射光強度の変化を検出することにより行われる。記録されたデータの消去は、前記リードパワーより強いイレースパワー(erase power)のレーザ光をトラックに沿って照射し、記録層を結晶化することにより行われる。
【0013】
光ディスク100は、図1に示すように、ディスク回転駆動部として機能するスピンドルモータ63によって回転駆動される。スピンドルモータ63に設けられたロータリエンコーダ63aからは回転角信号が得られる。回転角信号は、スピンドルモータ63が1回転すると、例えば5パルスのパルス信号を発生させる。この回転角信号からスピンドルモータ63の回転角度及び回転数を検出することができる。
【0014】
また、上述した光ヘッド65は、図1及び図2に示すように、対物レンズ70、対物レンズユニット74、第1〜第3のアクチュエータ71、72、73、レーザダイオード79、レーザ変調制御回路75、ハーフミラー96、FM−PD95、コリメータレンズ80、ハーフプリズム81、集光レンズ82、シリンドリカルレンズ83、光検出器84などから構成される。
【0015】
つまり、光ディスク100に対する情報の記録、再生は、光ヘッド(光ピックアップ)65によって行われる。光ヘッド65は、ギア60やスクリューシャフト61を介して送りモータ67と連結されている。この送りモータ67は、送りモータ制御回路68により駆動される。つまり、送りモータ制御回路68からの送りモータ駆動電流により送りモータ67を回転させることによって、光ヘッド65は、光ディスク100の半径方向に移動する。
【0016】
光ヘッド65には、図2に示すように、上記した対物レンズ70及びこの対物レンズ70を保持するレンズホルダ74aが一体化された対物レンズユニット74が設けられている。対物レンズユニット74は、サスペンションワイヤ又は板バネなどの弾性変形可能な弾性支持部材59を介して光ヘッド65本体(ヘッドベース)上に変位可能に支持されている。
【0017】
ここで、第1及び第2の駆動部として機能する上述した第1及び第2の駆動力発生回路51、52は、図1〜図3に示すように、第1、第2の磁気回路57、58を各々有する第1、第2のアクチュエータ71、72、並びに第1及び第2の駆動電流回路97、98をそれぞれ備える。第1及び第2の駆動電流回路97、98は、入力された信号の電圧値に対応する値の駆動電流を出力する。また、第1、第2のアクチュエータ71、72は、第1及び第2の駆動電流回路97、98から各々出力される駆動電流の値に対応する駆動力をそれぞれ発生させる。
【0018】
すなわち、上記のアクチュエータ71、72は、図3に示すように、磁気駆動用のマグネット55、56やコイル53、54によって、第1、第2の磁気回路57、58を構成しており、第1及び第2の駆動電流回路97、98から駆動電流を上記コイル53、54に供給することで生じるローレンツ力によって、対物レンズユニット74を所定の方向に駆動させる駆動力を発生させる。また、同様に、第3のアクチュエータ73も、磁気駆動用のマグネットやコイルによって構成される磁気回路を有する。
【0019】
詳述すると、図1〜図3に示すように、上記のアクチュエータ71、72を有する第1及び第2の駆動力発生回路51、52は、弾性支持部材59に支持された対物レンズユニット74の重心位置Gを対物レンズの光軸s1と直交する方向(本実施形態ではラジアル方向)xから挟んで対向する当該対物レンズユニット74上の第1及び第2の被駆動位置P1、P2に駆動力をそれぞれ付与する。
【0020】
つまり、図2及び図3に示すように、第1及び第2の駆動電流回路97、98が、例えば互いに電流値の等しい駆動電流を磁気回路57、58の各コイル53、54に供給することで、図2に示すように、対物レンズ70の光軸s1に沿ったフォーカシング方向yへ、光ヘッド65上の対物レンズユニット74(対物レンズ70)を移動させることが可能である。一方、第1及び第2の駆動電流回路97、98が、例えば互いに電流値の異なる駆動電流を磁気回路57、58の各コイル53、54に供給することで、光ディスクの情報記憶面100aに対して対物レンズ70の光軸s1が傾く方向(光軸s1が光軸s2のように傾斜する方向)となるチルト方向θにも対物レンズユニット74(対物レンズ70)を駆動することが可能である。さらに、アクチュエータ73が備える磁気回路の駆動用コイルに所定の駆動電流を供給することで、光ディスク100の半径方向に沿ったトラッキング方向(ラジアル方向)xへ対物レンズユニット74を移動させることが可能である。なお、図2中のθは、タンジェンシャル方向dからみた、対物レンズ70の光軸s2とフォーカシング方向yとのずれ角を表している。
【0021】
ここで、本実施形態の光ヘッド65では、図2に示すように、対物レンズユニット74の重心位置Gをラジアル方向xから挟んで対向する第1及び第2の被駆動位置P1、P2から、フォーカス方向yへの駆動力を付与する構造である。このため、アクチュエータ71、72により移動制御可能な対物レンズ70のチルト方向とは、ラジアルチルト方向である。ここで、アクチュエータ71、72に代えて、例えば対物レンズユニット74の重心位置Gをタンジェンシャル方向dから挟んで対向する二つの被駆動位置から、フォーカス方向yへの駆動力を付与するように配置した一対のアクチュエータを設けてもよい。この場合の制御可能な対物レンズ70のチルト方向とは、タンジェンシャルチルト方向となる。さらに、これらの中間の位置に一対のアクチュエータを配置することで、ラジアルチルト方向及びタンジェンシャルチルト方向のそれぞれに対物レンズ70を駆動制御できる光ヘッドを構成してもよい。
【0022】
レーザ変調制御回路75は、情報記録時(記録マーク形成時)に、ホスト装置94からインタフェース回路93を介して送られてくる記録データに基づいて、書き込み用信号をレーザダイオード(レーザ発光素子)79に供給する。また、レーザ変調制御回路75は情報読取り時に、(前記書き込み用信号より駆動電流の小さい)読取り用信号をレーザダイオード79に供給する。
【0023】
また、光ヘッド65は、フォトダイオードにより構成されるFM−PD95を備える。FM−PD95は、レーザダイオード79が発生するレーザ光の一部をハーフミラー96により一定比率だけ分岐し、光量、つまり照射パワーに比例した受光信号を検出してこの受光信号をレーザ変調制御回路75に供給する。レーザ変調制御回路75は、FM−PD95からの受光信号に基づいて、CPU90により各々設定される再生時、記録時及びデータ消去時に適するレーザパワーでレーザ光が発光されるように、レーザダイオード79を制御する。
【0024】
レーザダイオード79は、レーザ変調制御回路75から供給される信号に応じてレーザ光を発生する。レーザダイオード79から発せられるレーザ光は、コリメータレンズ80、ハーフプリズム81、対物レンズ70を介して光ディスク100上に照射される。光ディスク100からの反射光は、対物レンズ70、ハーフプリズム81、集光レンズ82及びシリンドリカルレンズ83を介して、光検出器84に導かれる。
【0025】
光検出器84は、例えば4分割の光検出セルから成り、これら光検出セルの検知信号はRFアンプ85に出力される。RFアンプ85は、光検知セルからの信号を処理し、ジャストフォーカスからの誤差を示すフォーカスエラー信号、レーザ光のビームスポット中心とトラック中心との誤差を示すトラッキングエラー信号、及び光検知セル信号の全加算信号である再生信号を生成する。つまり、RFアンプ85は、図1及び図2に示すように、スピンドルモータ63により回転駆動される光ディスク100の情報記録面100aと光ヘッド65上の対物レンズ70の焦点位置とのフォーカス方向の位置ずれを示すフォーカスエラー信号を出力するフォーカスエラー信号出力回路としての機能を有する。
【0026】
フォーカスエラー信号は、フォーカス/チルト制御回路87に供給される。フォーカス/チルト制御回路87は、図2に示すように、スピンドルモータ63により回転駆動される光ディスク100の情報記録面100aと光ヘッド上の前記対物レンズの焦点位置とのフォーカス方向の位置ずれを補正するための補正量に対応する値を持つフォーカス駆動信号を生成する。このフォーカス駆動信号は、ヘッド65上の対物レンズユニット74を駆動する駆動力発生回路51、52に供給され、これにより、レーザ光が光ディスク100の情報記録面100aの記録膜上に常時ジャストフォーカスとなるフォーカスサーボが行われる。
【0027】
また、CPU90は、図1及び図3に示すように、対物レンズ70の補正するために、後述するチルトエラー信号を信号バス89を介してフォーカス/チルト制御回路87に供給する。フォーカス/チルト制御回路87は、フォーカス駆動信号に後述するチルト駆動信号を加えた駆動信号を駆動力発生回路51、52に供給する。
【0028】
トラッキングエラー信号は、トラック制御回路88に供給される。トラック制御回路88はトラッキングエラー信号に応じてトラック駆動信号を生成する。トラック制御回路88から出力されるトラック駆動信号(トラック駆動電流)は、第3のアクチュエータ73側に供給される。これにより、レーザ光が光ディスク100上に形成されたトラック上を常時トレースするトラッキングサーボが行われる。
【0029】
上記フォーカスサーボ及びトラッキングサーボがなされることで、光検出器84の各光検出セルの出力信号の全加算信号には、記録情報に対応して光ディスク100のトラック上に形成されたピットなどからの反射光の変化が反映される。この信号はデータ再生回路78に供給される。データ再生回路78は、PLL制御回路76からの再生用クロック信号に基づき、記録データを再生する。
【0030】
上記トラック制御回路88によって対物レンズ70が制御されているとき、送りモータ制御回路68により、対物レンズ70が光ヘッド65内の所定位置近傍に位置するよう送りモータ67、つまり光ヘッド65が制御される。
【0031】
また、スピンドルモータ制御回路64、送りモータ制御回路68、レーザ変調制御回路75、PLL制御回路76、データ再生回路78、フォーカス/チルト制御回路87、トラック制御回路88、エラー訂正回路62などは、信号バス89を介してCPU90によって制御される。CPU90は、インタフェース回路93を介してホスト装置94から提供される動作コマンドに従って、光ディスク装置1本体を統括的に制御する。また、CPU90は、RAM91を作業エリアとして使用すると共に、不揮発メモリで構成されるNV−RAM99に記録された例えば装置個体ごとの各種のパラメータを適宜参照しつつ、ROM92に記録された制御プログラムに従って動作する。
【0032】
ここで、図2に基づき、駆動力発生回路51、52のアクチュエータ71、72を通じて駆動される対物レンズユニット74に生じる作用について説明を行う。また、この図2では、上述した被駆動位置(の起点)P1、P2を結ぶ直線と上記光軸s1とが90°で直交しかつ被駆動位置P1、P2を結ぶ直線上に(対物レンズ70を保持した)対物レンズユニット74の重心位置Gが存在するものとして説明を行う。
【0033】
すなわち、図3に示すように、第1及び第2のアクチュエータ71、72のコイル53、54へそれぞれ駆動信号電流i1、i2を供給することにより、図3に示すように、二つのアクチュエータ71、72上の被駆動位置P1、P2の直上に光ヘッド65上の対物レンズ70の光軸s1に沿ったフォーカシング方向yと平行な方向の駆動力(ローレンツ力)f1、f2が生じる。これにより、上記したように、対物レンズユニット74をフォーカシング方向y、及びチルト方向θに駆動させることが可能となる。駆動信号電流i1、i2と駆動力f1、f2との関係は、光ヘッド65の物理的性質によって決定される定数をH1、H2とした場合、以下の式で与えられる。
【0034】
1=H1×i1
2=H2×i2
【0035】
また、本実施形態の光ヘッド65では、アクチュエータ71、72により駆動力f1、f2の付与される被駆動位置P1、P2から対物レンズユニット74の重心位置Gまでの各々の距離は、後に詳述する理由から、互いに異なる離間距離a、bであることが許容される。ここで、第1及び第2のアクチュエータ71、72それぞれに同じ電流値で、同一極性の駆動電流を供給した場合、チルト方向θの角度が0°に整定される。この場合、以下の関係が満たされる。
【0036】
1×a=H2×b
【0037】
光ヘッド65は、一般にこの関係を満たすように設計されるため、アクチュエータ71、72に駆動電流を供給する上記の駆動電流回路97、98は、同一の特性を有するものを使用することが可能である。また、図3に示すように、フォーカス/チルト制御回路87は、チルト制御回路877を備え、このチルト制御回路877は、スピンドルモータ63により回転駆動される光ディスク100の情報記録面100aと光ヘッド65上の対物レンズ70の光軸との傾き量に対応する値を持つチルト駆動信号(チルト駆動指令値電圧)を出力する。ここで、本実施形態の光ヘッド65上には、例えばチルトセンサが設けられており、光ディスク100の情報記録面100aと光ヘッド65上の対物レンズ70の光軸との傾き量を示す信号がこのチルトセンサから出力される。CPU90は、図1、図3に示すように、このチルトセンサから出力される信号をチルトエラー信号としてチルト制御回路877に供給する。チルト制御回路877は、このチルト誤差信号に基づいて、上述したチルト駆動信号を生成する。すなわち、このようにして得られたチルト駆動信号に対応する駆動電流をアクチュエータ71、72に供給することで、光ヘッド65上の対物レンズ70のチルトを補正することが可能となる。
【0038】
ここで、二つのフォーカスコイルを適用したチルトアクチュエータ機構を備える上記特許文献2(特開2003−272203号公報)の光ヘッドでは、二つのフォーカスコイルへ供給する駆動電流i1、i2が以下の関係を満たす。
【0039】
1=if−it
2=if+it
【0040】
上記の駆動電流ifによりフォーカス駆動を行い、駆動電流itによりチルト駆動を行うことが可能とされる。ここで、図2の構成において特許文献2の方法を適用すると、チルト方向θの合モーメントは、以下の関係となる。
【0041】
−f1×a+f2×b=(−H1×a×i1+H2×b×i2)×cosθ
=(−H1×a×(if−it)+H1×a×(if+it))×cosθ
=(2×H1×a×cosθ)×it
=(2×H2×b×cosθ)×it
【0042】
上記itによりチルト方向に対物レンズ(対物レンズユニット)を駆動できることがわかる。ところが、駆動電流の供給制御を本実施形態の光ヘッド65に適用した場合、対物レンズユニット74の重心位置Gから駆動力f1、f2の付与される被駆動位置P1、P2までの各々の距離が、互いに異なる離間距離a、bで構成されていることから、同時に以下の関係も成り立ち、この場合のフォーカシング方向yの合力は、次の式で与えられる。
【0043】
1+f2=H1×(if−it)+H2×(if+it
=H1×(if−it)+H1×(if+it)×a/b
=H1×(1+a/b)×if−H1×(1−a/b)×it
=H×(1+b/a)×if−H2×(1−b/a)×it
【0044】
上記の式より、フォーカシング方向yへの対物レンズ70(対物レンズユニット74)の駆動においては、チルト方向θへ対物レンズ70を駆動させるための駆動電流itが干渉していることがわかる。すなわち、フォーカス駆動とチルト駆動とをそれぞれ独立したかたちで駆動制御できていない。このため、例えばフォーカス制御中に特許文献2の方法によるチルト制御を行うとフォーカスサーボの制御性能の劣化が起き、光ディスク100のトラック上に形成されたピットなどからの反射光の変化が正常に反映されず、信号がデータ再生回路78へ正常に供給されないといった課題の発生が予想される。
【0045】
そこで、本実施形態の光ディスク装置1では、上述したチルト駆動に伴うフォーカス駆動への干渉の課題を考慮して、光ヘッド65本体の対物レンズユニット74の設計寸法や、対物レンズユニット74の本体の実寸を測定することなどで、予め取得しておいた上記の離間距離a、bの関係に基づいて、フィードフォワード的にフォーカス駆動とチルト駆動とを独立して行う。つまり、図2の構成の光ヘッド65において、
対物レンズユニット74にチルト方向θ及びフォーカシング方向yの変位力が作用したときに重心位置Gでのチルト方向θへの変位力がフォーカシング方向yの変位力に与え得る影響が回避されるように、チルト方向θの制御に作用する駆動信号itをそれぞれ1/b:1/aの比率で配分し、さらに、この駆動信号itを互いに逆符号(逆極性)でフォーカシング方向yへの制御に作用する駆動電流ifに加算したものを第1及び第2のアクチュエータ71、72の駆動電流i1、i2とすることである。ここで、駆動電流itだけに着目した場合、上記の比率で配分した駆動電流itを第1及び第2のアクチュエータ71、72に供給することで、配分した駆動電流itにより被駆動位置P1、P2に各々発生する重心位置Gを基準としたモーメントは、互いに等しくなる。このようにして配分された上記の駆動電流i1、i2は、次の式[1]、[2]で表すことができる。
【0046】
1=(if−it/b)…式[1]
2=(if+it/a)…式[2]
【0047】
ここで、この場合の対物レンズユニット74に作用するチルト方向θの合モーメントは、以下の関係を満たす。
【0048】
−f1×a+f2×b=(−H1×a×i1+H2×b×i2)×cosθ
=(−H1×a×(if−it/b)+H1×a×(if+it/a))×cosθ
=H1×(1+a/b)×it×cosθ…式[3]
=H2×(1+b/a)×it×cosθ…式[4]
【0049】
また、対物レンズユニット74に作用するフォーカシング方向yの合力は次の式で与えられる。
1+f2 =H1×i1+H2×i2
=H1×(if−it/b)+H1×(if+it/a)×a/b
=H1×(1+a/b)×if…式[5]
=H2×(1+b/a)×if…式[6]
【0050】
つまり、対物レンズユニット74のチルト制御は、式[3]、式[4]に示すように駆動電流itによって、また、対物レンズユニット74のフォーカス制御は、式[5]、式[6]に示すように駆動電流ifによって、それぞれ独立したかたちで行われる。また、アクチュエータ71、72に同じ方向、同じ大きさの電流を供給し、フォーカシング方向yの変位を計測することにより、供給した電流に対するフォーカシング方向yの変位の比率である電流駆動量感度α[m/A]を求めることが可能である。また、上記の電流駆動量感度αと図2に示す光ヘッド65上の弾性支持部材59のフォーカシング方向yの剛性Kb、重心位置Gから被駆動位置P1、P2までの離間距離a、bによりアクチュエータ71、72の駆動電流i1、i2と駆動力f1、f2とは、次の式[7]の関係を満たす。
【0051】
【数1】

【0052】
この関係より、例えばチルト方向θの角度が微小である場合には、フォーカス方向の駆動電流の値を駆動力F[N]、チルト方向の駆動電流の値を駆動トルクT[Nm]の値に対応させると、アクチュエータ71、72へ供給するための駆動電流i1、i2は、下記の式[8]のように定めることができる。
【0053】
【数2】

【0054】
前記の例では、チルト方向の駆動信号itを1/b倍と1/a倍にし、互いに逆符号でフォーカス方向の駆動電流に加算した場合について説明したが、本態様では分配の比率が1/b:1/aであればよいので、等価な比率a:bや、a/(a+b):b/(a+b)、k×a:k×b (k:0でない定数)などの場合も同様にしてチルト駆動とフォーカス駆動とをitとifによって独立に行うことが可能である。いずれにせよチルト駆動信号itに対し、最終的に何倍の駆動信号電流がチルト駆動に寄与するかは、駆動電流回路97、98や光ヘッド65に要求される仕様に応じて決定すればよい。
【0055】
以上の点を踏まえて、本実施形態の光ディスク装置1に係るフォーカス/チルト制御回路87は、次のように構成されている。すなわち、図3に示すように、フォーカス/チルト制御回路87は、フォーカス制御回路870、チルト制御回路877、駆動信号合成回路として機能する加算器(詳細には減算器)873及び加算器874、並びにアンプ(増幅器/AMP)871、872、875、876を備える。フォーカス制御回路870は、RFアンプ85から出力されるフォーカスエラー信号に基づいて、光ヘッド65上の対物レンズユニット74のフォーカシング方向yの駆動信号(フォーカス駆動信号)となるフォーカス駆動指令値電圧Vfを生成する。
【0056】
アンプ871、アンプ872は、チルト制御回路877から出力されるチルト駆動信号としてのチルト駆動指令値電圧Vtを増幅する。アンプ871、アンプ872の増幅率の比率は、図2に示すように、対物レンズユニット74の重心位置Gからアクチュエータ71、72の駆動力f1、f2を付与する第1及び第2の被駆動位置P1、P2までの離間距離a、bに対応させて、1/b:1/aに定められている。一例として詳述すると、アンプ871の増幅率は、1/bであり、アンプ872の増幅率は、1/aである。すなわち、このようなアンプ871、872は、
対物レンズユニット74にチルト方向θ及びフォーカシング方向yの変位力が作用したときに重心位置Gでのチルト方向θへの変位力がフォーカシング方向yの変位力に与え得る影響が回避されるように、被駆動位置P1、P2に(駆動力発生回路51、52の)アクチュエータ71、72が各々付与する駆動力f1、f2の配分を調整する駆動力調整部として機能する。
【0057】
ここで、上記の式[1]、式[2]を表す情報に加え、離間距離の値[a]、[b]を例えば光ヘッド65の固有の情報として、NV−RAM99などに予め(光ディスク装置1の製造時などに)記憶させておくと共に、アンプ871、872に可変利得アンプを適用してもよい。つまり、CPU90が、NV−RAM99に記憶された式[1]、式[2]の情報、及び離間距離の値[a]、[b]を示す情報を、対物レンズユニット74の駆動制御時に参照して、二つの可変利得アンプの増幅率の比率を適宜設定するものであってもよい。
【0058】
また、図3に示すように、加算器873は、フォーカス制御回路870から出力されるフォーカス駆動指令値電圧Vfに、アンプ871の出力電圧を逆符号にして加算する(加算アンプ871の出力電圧を減算する)。さらに、加算器874は、フォーカス制御回路870から出力されるフォーカス駆動指令値電圧Vfに、アンプ872の出力電圧を加算する。
【0059】
また、アンプ875、876の増幅率は、例えばチルト制御回路877から出力されるチルト駆動指令値電圧Vtの範囲及び分解能、アクチュエータ71、72を駆動する駆動電流回路97、98の仕様、アクチュエータ71、72に要求される駆動精度などに応じて設定されている。
【0060】
次に、このように構成された本実施形態の光ディスク装置1により行われる対物レンズユニット74上の第1及び第2の被駆動位置P1、P2に配分を調整した駆動力f1、f2を付与するための制御を図4に基づき説明する。ここで、図4は、図3のフォーカス/チルト制御回路87及び第1、第2駆動力発生回路51、52で行われる処理を示すフローチャートである。
【0061】
図2〜図4に示すように、まず、フォーカス/チルト制御回路87は、対物レンズユニット74上の被駆動位置P1、P2へ各々付与するための基準となる配分調整前の駆動力の設定、つまり、配分調整前の駆動力に対応した駆動信号を生成する。この場合、フォーカス制御回路870は、フォーカスエラー信号に基づくフォーカス駆動指令値電圧Vfを生成(出力)し、一方、チルト制御回路877は、チルトエラー信号に基づくチルト駆動指令値電圧Vtを生成(出力)する(S[ステップ]11)。
【0062】
次に、アンプ871、アンプ872は、対物レンズユニット74にチルト方向θ及びフォーカシング方向yの変位力が作用したときに重心位置Gでのチルト方向θへの変位力がフォーカシング方向yの変位力に与え得る影響が回避されるように、第1及び第2の被駆動位置P1、P2に各々付与される駆動力f1、f2の配分を調整するための処理として、各々入力したチルト駆動指令値電圧Vtの互いに増幅率を変えたチルト駆動指令値Vt1、Vt2を各々出力する。すなわち、アンプ871は、チルト駆動指令値電圧Vtを1/b倍に増幅したチルト駆動指令値Vt1を出力し、一方、アンプ872は、チルト駆動指令値電圧Vtを1/a倍に増幅したチルト駆動指令値Vt2を出力する(S12)。
【0063】
また、図3及び図4に示すように、加算器873は、フォーカス制御回路870から出力されるフォーカス駆動指令値電圧Vfに、アンプ871から出力されるチルト駆動指令値Vt1を逆符号で加算する。一方、加算器874は、フォーカス制御回路870から出力されるフォーカス駆動指令値電圧Vfに、アンプ872から出力されるチルト駆動指令値Vt2を加算する。アンプ875、876は、加算器873、874側から入力され電圧を増幅してアクチュエータ駆動指令値電圧V1、V2を生成し(S13)、これを第1及び第2の駆動電流回路97、98に供給する。駆動電流回路97、98は、供給されたアクチュエータ駆動指令値電圧V1、V2に対応する駆動電流i1=if−it/b、i2=if+it/aを磁気回路57、58(コイル53、54)に出力する。この磁気回路57、58(コイル53、54)を備える第1及び第2のアクチェータ71、72は、図2に示すように、駆動電流i1、i2に対応して発生する配分の調整された各駆動力f1、f2を対物レンズユニット74の第1及び第2の被駆動位置P1、P2にそれぞれ付与する(S14)。
【0064】
これにより、対物レンズユニット74のチルト制御は、式[3]、式[4]に示すように、駆動電流itによって、また、対物レンズユニット74のフォーカス制御は、式[5]、式[6]に示したように、駆動電流ifによって、それぞれ独立したかたちで行われる。したがって、本実施形態の光ヘッド65を備えた光ディスク装置1では、光ヘッド65上の対物レンズ70のチルト制御とフォーカス制御との互いの干渉を防止しつつ、対物レンズ70の好適な駆動制御を実現できる。
【0065】
また、本実施形態の光ディスク装置1では、上述したように、アクチュエータ71、72の駆動力f1、f2が生じる被駆動位置P1、P2から光ヘッド65の重心位置Gまでの各々の距離が、互いに異なる離間距離a、bであることが許容される。したがって、光ヘッド65の構成部品の部品レイアウトの自由度が高まり、これにより、機械的及び光学的に最適な設計の光ヘッド65を得ることができる。
【0066】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施形態を図5〜図7に基づき説明する。ここで、図5は、この実施形態の光ディスク装置が備えるフォーカス/チルト制御回路187及び上述した第1及び第2の駆動力発生回路51、52の構成を機能的に示すブロック図である。また、図6は、本実施形態の光ディスク装置が備える第1及び第2の駆動電流回路97、98から各々出力される駆動電流i1、i2の電流アンバランス量の時間経過に伴う変化率を示す図である。さらに、図7は、図5のフォーカス/チルト制御回路187及び第1、第2駆動力発生回路51、52で行われる処理を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、第1の実施形態で参照した図1〜図4を流用して説明を行うと共に、上記の図5〜7において、図1〜図4に示した第1の実施形態の光ディスク装置1で適用されていたものと同一の構成要素については、主に、同一の符号、名称を付与しその説明を省略する。
【0067】
すなわち、この実施形態の光ディスク装置は、第1の実施形態の光ディスク装置1が備えていたフォーカス/チルト制御回路87に代えて、図5に示すように、フォーカス/チルト制御回路187を備えて構成される。フォーカス/チルト制御回路187は、第1の実施形態のフォーカス/チルト制御回路87のアンプ871、872に代えて、抵抗878と静電容量(コンデンサ)878とで構成するローパスフィルタ880を備える。
【0068】
本実施形態において、ローパスフィルタ880は、図6に示すように、チルト制御回路877から出力されたチルト駆動指令値電圧Vtの値の時間経過に伴う変化率を低減させる変化率低減回路として機能する。ローパスフィルタ880によって時間変化量の小さい信号になったチルト駆動指令値電圧は、アンプ875、876を介し駆動電流回路97、98に印加される。この結果、アクチュエータ71、72に供給される駆動電流の差i2−i1(電流アンバランス量)の時間変化量は図6に示すように滑らかになる。
【0069】
つまり、フォーカス/チルト制御回路187では、図4に示した処理とほぼ同様の処理が行われる。具体的には、図7に示すように、S(ステップ)21〜S24の処理を行う過程において、チルト制御回路877から出力されたチルト駆動指令値電圧Vtにローパスフィルタをかけ、チルト駆動指令値電圧Vtの値の時間経過に伴う変化率を低減させる(S22)。また、ローパスフィルタ880によって変化率の低減されたチルト駆動指令値電圧Vt3を、加算器873、874により、フォーカス制御回路870から出力されたフォーカス駆動指令値電圧Vfに加え、さらに、この加算(合成)した駆動指令値電圧をアンプ875、876で増幅して得られたアクチュエータ駆動指令値電圧V1、V2が、図5に示すように第1及び第2の駆動力発生回路51、52側にそれぞれ出力される(S23)。
【0070】
したがって、本実施形態に係る光ディスク装置1では、レーザ光の焦点が光ディスク100の情報記録面100a上に一致するようにフォーカス制御されている状態において、アクチュエータ71、72の駆動電流の差i2−i1(電流アンバランス量)を急激に変化させずに光ヘッド65をチルト方向θに駆動させ制御を行う。すなわち、チルト方向θへの変位力を急激に作用させないようフォーカス/チルト制御回路187によってアクチュエータ駆動指令値V1、V2が配分される。このような制御により、チルト駆動が引き起こす、フォーカシング方向への突発的な外乱力の影響が回避される。例えば、フォーカス制御系にチルト駆動が引き起こした突発的な外乱力が加わり、フォーカス制御が外れてしまうなどといったことが抑制される。
ただし、本実施形態はフォーカス制御に対する急激なチルト駆動が引き起こすフォーカス制御系への影響を実用的に取り除くものである。急激でないチルト駆動が引き起こすフォーカス制御系の定常的な偏差等、性能悪化要因が実用上許容できない範囲にまで至る場合おいては、後述の第3の実施の形態を用いる。
【0071】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施形態を図8、図9に基づき説明する。ここで、図8は、この実施形態の光ディスク装置が備えるフォーカス/チルト制御回路287及び上述した第1及び第2の駆動力発生回路51、52の構成を機能的に示すブロック図である。また、図9は、図8のフォーカス/チルト制御回路287及び第1、第2駆動力発生回路51、52で行われる処理を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、第1、第2の実施形態で参照した図1〜図7を流用して説明を行うと共に、上記の図8、図9において、図1〜図7に示した第1、第2の実施形態の光ディスク装置で適用されていたものと同一の構成要素については、主に、同一の符号、名称を付与しその説明を省略する。
【0072】
また、この実施形態の光ディスク装置は、第2の実施形態の光ディスク装置が備えていたフォーカス/チルト制御回路187に代えて、図8に示すように、フォーカス/チルト制御回路287を備えて構成される。フォーカス/チルト制御回路287は、フォーカス/チルト制御回路187の構成要素に加え、可変利得アンプ(AMP)881をさらに備える。
【0073】
すなわち、上記の可変利得アンプ881は、CPU90の制御下で、ローパスフィルタ880により低減されたチルト駆動指令値電圧の値の時間経過に伴う変化率に対応させて、フォーカス制御回路870に入力されるフォーカスエラー信号の利得を可変する利得可変回路として機能する。この可変利得アンプ881は、その増幅率がチルト駆動指令値電圧Vtと所望の制御仕様を満たすような非負の関数fg(Vti)によって、1+fg(Vti)倍となるものが適用されている。つまり、この可変利得アンプ881は、チルト駆動指令値電圧の時間変化量をローパスフィルタ880により低減させた状況において、上記の電流アンバランス量の絶対量が増加したときにフォーカスエラー信号の利得を上げ、これに伴いフォーカス制御のエラー抑圧を向上させるものである。これにより、前期第2の実施の形態で時間変化の急激でない重心位置Gでのチルト方向θへの変位力がフォーカス制御へあたえる影響も回避される。たとえば、定常的な偏差が低減される。
【0074】
フォーカス/チルト制御回路287では、図7に示した処理とほぼ同様の処理が行われる。具体的には、図9に示すように、S(ステップ)31〜S36の処理を行う過程において、チルト制御回路877から出力されたチルト駆動指令値電圧Vtにローパスフィルタをかけ、チルト駆動指令値電圧Vtの値の時間経過に伴う変化率を低減させる(S32)。ローパスフィルタ880により低減された、チルト駆動指令値電圧の値の時間経過に伴う変化率に対応させて、フォーカス制御回路870に入力されるフォーカスエラー信号の利得を可変する。具体的には、ローパスフィルタ880通過後のチルト駆動指令値電圧と所望の性能を満たすように設計された非負の関数fg(Vt)を用いて、可変利得アンプ881の増幅率を1+fg(Vt)に設定する(S33)。可変利得アンプ881のこの増幅率に基づき、フォーカスエラー信号が増幅されるため、これに伴いフォーカシング方向のエラーを抑圧する度合いを変化させるフォーカス駆動指令値電圧Vfが得られる(S34)。さらに、前記フォーカス制御回路870が出力する、利得を可変させたフォーカスエラー信号に基づいて得られたフォーカス駆動指令値電圧Vfに、加算器873、874により、ローパスフィルタ880によって変化率の低減されたチルト駆動指令値電圧Vt3を加え、さらに、この加算(合成)した駆動指令値電圧をアンプ875、876で増幅して得られたアクチュエータ駆動指令値電圧V1、V2が、図8に示すように第1及び第2の駆動力発生回路51、52側にそれぞれ出力される(S35)。
【0075】
したがって、本実施形態のフォーカス/チルト制御回路287を備えた光ディスク装置によれば、チルト駆動指令値電圧の時間変化量を低減させた状況において、上記の電流アンバランス量の絶対量が増加したとき(チルト方向の制御力が高いとき)にフォーカスエラー信号の利得を上げることが可能となり、これに伴いフォーカス制御の感度を向上させて、対物レンズ70の好適な駆動制御を実現できる。
【0076】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施形態を図10〜図15に基づき説明する。ここで、図10は、この実施形態に係る光ディスク装置301の構成を機能的に示すブロック図である。また、図11は、光ディスク装置301が備えるフォーカス/チルト制御回路387及び上述した第1及び第2の駆動力発生回路51、52の構成を機能的に示すブロック図である。さらに、図12は、この光ディスク装置301が備える駆動電流回路97、98の特性パラメータの測定項目について説明するための図である。
【0077】
また、図13は、この光ディスク装置301が備える第1の駆動電流回路97の特性の測定及びその測定結果の登録に関する処理を示すフローチャートであり、図14は、光ディスク装置301が備える第2の駆動電流回路98の特性の測定及びその測定結果の登録に関する処理を示すフローチャートである。さらに、図15は、光ディスク装置301の使用時の第1及び第2の駆動電流回路の特性を補正するための動作制御を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、第1〜3の実施形態で参照した図1〜図9などを流用して説明を行うと共に、上記の図10〜図15において、図1〜図9に示した第1〜第3の実施形態の光ディスク装置で適用されていたものと同一の構成要素については、同一の符号、名称を付与しその説明を省略する。
【0078】
すなわち、この実施形態に係る光ディスク装置301は、第1〜第3の実施形態いずれか一形態の光ディスク装置301が備えていたフォーカス/チルト制御回路に代えて、図5に示すように、フォーカス/チルト制御回路387を有すると共に、加算器303、304をさらに備えて構成されている。フォーカス/チルト制御回路387は、第1〜第3の実施形態いずれか一形態のフォーカス/チルト制御回路のアンプ875、876に代えて、可変利得アンプ(AMP)885、886を備える。
【0079】
ここで、実施形態に係る光ディスク装置301では、対物レンズユニット74にチルト方向θ及びフォーカシング方向yの変位力が作用したときに重心位置Gでのチルト方向θへの変位力がフォーカシング方向yの変位力に与え得る影響が回避されるように、第1及び第2のアクチュエータ71、72へ駆動電流i1、i2が供給される。
【0080】
また、上述したように、第1及び第2の駆動力発生回路51、52は、図10、図11に示すように、第1及び第2の駆動電流回路97、98は、入力された信号の電圧値(アクチュエータ駆動指令値電圧V1、V2)に対応する値の駆動電流i1、i2を出力する。また、図2に示したように、第1、第2のアクチュエータ71、72は、第1及び第2の駆動電流回路97、98から各々出力される駆動電流i1、i2の値に対応する駆動力f1、f2をそれぞれ発生させる。
【0081】
また、本実施形態では、この光ディスク装置301の例えば製造時などにおいて、第1及び第2の駆動電流回路97、98それぞれに入力した信号の電圧値とこの電圧値を持つ信号の入力より発生した駆動電流の値との対応関係を示す当該駆動電流回路ごとに固有の特性パラメータが記憶部としての例えばNV−RAM99などに記憶される。さらに、CPU90は、光ディスク装置301の使用時(記録/再生時)にNV−RAM99に記憶された特性パラメータの値を読み出して、図10、図11に示すように、読み出した値に対応する増幅率で可変利得アンプ885、886の利得を設定すると共に、加算器303、304を通じてこの特性パラメータの値を、可変利得アンプ885、886により値の増幅されたアクチュエータ駆動指令値電圧V1、V2に加算する。これにより、CPU90は、実質的に対物レンズユニット74の被駆動位置P1、P2に各々付与される駆動力f1、f2の配分を、上記の特性パラメータに基づいて実質的に調整する。
【0082】
以下では、具体的な特定パラメータの測定及びその測定結果の登録に関する処理について説明する。すなわち、アクチュエータ71、72に駆動電流i1、i2供給する駆動電流回路97、98の電気的ばらつきによる望ましくない駆動力オフセットと駆動ゲインの差を取り除く方法は、まず、図12に示すように、それぞれの駆動電流回路97、98に印加された駆動指令値電圧と駆動電流の関係を2点以上調べ(97b〜97d、98b〜98dを調べ)、それぞれの駆動電流回路97、98の入出力関係を1次の関数で推定しておく。続いて1次の関数より駆動信号電流0[A]に相当するオフセット電圧と一次の関数の傾きに相当する駆動ゲインを測定し、これらを装置個体毎のパラメータとして不揮発メモリであるNV−RAM99に記憶させる。そして、製品使用段階において記憶された特性パラメータを参照して、それぞれの駆動電流回路97、98の駆動ゲインg1、g2(傾き)を補正し、かつ駆動電流のオフセットδi1、δi2に対応するオフセット電圧VO1、VO2、(切片)を印加する。
【0083】
そこで、まず、図12〜図14に示すように、光ディスク装置301の製造時などにおいて、可変利得アンプ885、886を互いに等しい増幅率、例えば1.0倍に設定した状態で、図12及び図13に示すように、駆動指令値電圧を駆動電流回路97、98に印加し(S41、S51)、この駆動指令値電圧V1、V2を記録する(S42、S52)。さらに、駆動電流回路97、98より出力された駆動電流値I1、I2を計測し(S43、S53)、この時の駆動電流値I1、I2を記録する(S44、S54)。
【0084】
計測は、図12〜図14に示すように、それぞれの駆動電流回路97、98について少なくとも2点以上(駆動電流回路97の1次の関数97aを得るための測定点97b〜97d、駆動電流回路98の1次の関数98aを得るための測定点98b〜98dを)測定し(S45、S55)、かつ十分な回数だけ計測する(S46、S56)。次に、各アクチュエータ71、72の駆動電流回路97、98の入出力関係を1次の関数f1、f2で推定する(S47、S57)。次いで、駆動信号電流0[A]に相当するオフセット電圧Vo1、Vo2、及び前記一次の関数の傾きである駆動ゲインg1、g2を測定し、これら値を装置固有のパラメータとしてNV−RAM99に記録する(S48−S49、逆順可)(S58−S59、逆順可)。
【0085】
光ディスク装置301の使用時(光ディスク100の記録/再生時)、図10、図11図15に示すように、CPU90は、オフセット電圧VO1、VO2、駆動ゲインg1、g2を適宜参照し(S101−S104、順不同可)、CPU90より駆動力のオフセットがなくなるようにオフセット電圧VO1、VO2を駆動電流回路97、98へ印加する(S105−S106、逆順可)。また、CPU90は、駆動電流回路97、98の駆動ゲイン差が無くなるような利得補正値を供給して可変利得アンプ885、886の増幅率を変化させる。例えば、駆動ゲインの目標値をgとした場合、可変利得アンプ885、886の増幅率はそれぞれg/g1倍、g/g2倍にすればよい(S107−S108、逆順可)。
【0086】
このように本実施形態では、上述した各種の調整を実施することにより、駆動電流回路97、98の間の駆動電流オフセットの差や指令値電圧から駆動電流までのゲインの差をなくすことが可能となる。なお、フォーカス/チルト制御回路187、287のアンプ875、876を可変利得アンプに変更することなどで、このような駆動電流回路97、98の電気的特性の補正を、フォーカス/チルト制御回路187、287を搭載する光ディスク装置にも適用することができる。
【0087】
以上、本発明を各実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば本発明は、光ディスクの記録/再生を行う光ディスク装置の他、いわゆるMOなどの光磁気ディスクの記録/再生を行うドライブ装置にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の構成を機能的に示すブロック図。
【図2】図1の光ディスク装置に搭載された光ヘッドの構造を模式的に示す図。
【図3】図1の光ディスク装置が備えるフォーカス/チルト制御回路及び第1及び第2の駆動力発生回路の構成を機能的に示すブロック図。
【図4】図3のフォーカス/チルト制御回路及び第1、第2駆動力発生回路で行われる処理を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る光ディスク装置が備えるフォーカス/チルト制御回路及び第1及び第2の駆動力発生回路の構成を機能的に示すブロック図。
【図6】本実施形態の光ディスク装置が備える第1及び第2の駆動力発生回路から出力される駆動電流の電流アンバランス量の時間経過に伴う変化率を示す図。
【図7】図5のフォーカス/チルト制御回路及び第1、第2駆動力発生回路で行われる処理を示すフローチャート。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る光ディスク装置が備えるフォーカス/チルト制御回路及び第1及び第2の駆動力発生回路の構成を機能的に示すブロック図。
【図9】図8のフォーカス/チルト制御回路及び第1、第2駆動力発生回路で行われる処理を示すフローチャート。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る光ディスク装置の構成を機能的に示すブロック図。
【図11】図10の光ディスク装置が備えるフォーカス/チルト制御回路及び第1、第2の駆動力発生回路の構成を機能的に示すブロック図。
【図12】図10の光ディスク装置が備える第1及び第2の駆動電流回路の特性パラメータの測定項目を説明するための図。
【図13】図10の光ディスク装置が備える第1の駆動電流回路の特性の測定及びその測定結果の登録に関する処理を示すフローチャート。
【図14】図10の光ディスク装置が備える第2の駆動電流回路の特性の測定及びその測定結果の登録に関する処理を示すフローチャート。
【図15】図10の光ディスク装置の使用時の第1及び第2の駆動電流回路の特性を補正するための動作制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0089】
1,301…光ディスク装置、51…第1の駆動力発生回路、52…第2の駆動電流回路、53,54…コイル、55,56…マグネット、59…弾性支持部材、63…スピンドルモータ、63a…ロータリエンコーダ、64…スピンドルモータ制御回路、65…光ヘッド、70…対物レンズ、71…第1のアクチュエータ、72…第2のアクチュエータ、73…第3のアクチュエータ、74…対物レンズユニット、74a…レンズホルダ、85…RFアンプ、87,187,287,387…フォーカス/チルト制御回路、90…CPU、91…RAM、92…ROM、97…第1の駆動電流回路,98…第2の駆動電流回路、99…NV−RAM、100…光ディスク、303,304,873,874…加算器、870…フォーカス制御回路、871,872,875,876…アンプ、877…チルト制御回路、878…抵抗、879…静電容量(コンデンサ)、880…ローパスフィルタ、881,885,886…可変利得アンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズ及びレンズホルダが一体化された対物レンズユニットと、
前記対物レンズユニットを光ヘッド本体上に変位可能に支持する弾性支持部材と、
前記弾性支持部材に支持された前記対物レンズユニットの重心位置を前記対物レンズの光軸と直交する方向から挟んで対向する当該対物レンズユニット上の第1及び第2の被駆動位置に駆動力をそれぞれ付与する第1及び第2の駆動部と、
前記対物レンズユニットにチルト方向及びフォーカシング方向の変位力が作用したときに前記重心位置での前記チルト方向への変位力が前記フォーカシング方向の変位力に与え得る影響が回避されるように、前記第1及び第2の被駆動位置に前記第1及び第2の駆動部にて各々付与される前記駆動力の配分を調整する駆動力調整部と、
を具備することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記駆動力調整部は、前記対物レンズユニットの重心位置から前記第1及び第2の被駆動位置までのそれぞれの離間距離の関係に基づいて、前記駆動力の配分を調整することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の駆動部は、入力された信号の値に対応する駆動力をそれぞれ発生させる第1及び第2の駆動力発生回路を備え、
光ディスクを回転駆動するディスク回転駆動部と、
前記ディスク回転駆動部により回転駆動される前記光ディスクの情報記録面と前記光ヘッド上の前記対物レンズの焦点位置とのフォーカス方向の位置ずれを補正する補正量に対応する値を持つフォーカス駆動信号を出力するフォーカス制御回路と、
前記ディスク回転駆動部により回転駆動される前記光ディスクの情報記録面と前記光ヘッド上の前記対物レンズの光軸との傾き量に対応する値を持つチルト駆動信号を出力するチルト制御回路と、
前記チルト制御回路から出力された前記チルト駆動信号の値の時間経過に伴う変化率を低減させる変化率低減回路と、
前記変化率低減回路により前記変化率の低減されたチルト駆動信号を前記フォーカス制御回路から出力された前記フォーカス駆動信号に加えて、前記第1及び第2の駆動力発生回路側にそれぞれ出力する駆動信号合成回路と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の駆動部は、入力された信号の値に対応する駆動力をそれぞれ発生させる第1及び第2の駆動力発生回路を備え、
光ディスクを回転駆動するディスク回転駆動部と、
前記ディスク回転駆動部により回転駆動される前記光ディスクの情報記録面と前記光ヘッド上の前記対物レンズの焦点位置とのフォーカス方向の位置ずれを示すフォーカスエラー信号を出力するフォーカスエラー信号出力回路と、
前記フォーカスエラー信号出力回路側から入力した前記フォーカスエラー信号に基づいて、前記フォーカス方向の位置ずれを補正する補正量に対応する値を持つフォーカス駆動信号を出力するフォーカス制御回路と、
前記ディスク回転駆動部により回転駆動される前記光ディスクの情報記録面と前記光ヘッド上の前記対物レンズの光軸との傾き量に対応する値を持つチルト駆動信号を出力するチルト制御回路と、
前記チルト制御回路から出力された前記チルト駆動信号の値の時間経過に伴う変化率を低減させる変化率低減回路と、
前記変化率低減回路により前記変化率の低減されたチルト駆動信号を前記フォーカス制御回路から出力された前記フォーカス駆動信号に加えて、前記第1及び第2の駆動力発生回路側にそれぞれ出力する駆動信号合成回路と、
前記変化率低減回路により低減された前記チルト駆動信号の値の時間経過に伴う変化率に対応させて、前記フォーカス制御回路に入力される前記フォーカスエラー信号の利得を可変する利得可変回路と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の駆動部は、入力された信号の電圧値に対応する値の駆動電流を出力する第1及び第2の駆動電流回路を備えて構成され、かつ前記第1及び第2の駆動電流回路から各々出力される駆動電流の値に対応する駆動力をそれぞれ発生させる第1及び第2の駆動力発生回路を有し、
前記第1及び第2の前記駆動電流回路それぞれに入力した信号の電圧値とこの電圧値を持つ信号の入力より発生した駆動電流の値との対応関係を示す当該駆動電流回路ごとに固有の特性パラメータを記憶する記憶部を光ディスク装置本体がさらに備え、
かつ、前記駆動力調整部は、前記記憶部に記憶された前記特性パラメータに基づいて、前記駆動力の配分を調整する
ことを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項6】
光ヘッド本体上に変位可能に支持された対物レンズを有する対物レンズユニットの重心位置を、前記対物レンズの光軸と直交する方向から挟んで対向した当該対物レンズユニット上の第1及び第2の被駆動位置へ各々付与するための駆動力を設定するステップと、
チルト方向及びフォーカシング方向の変位力が作用したときに前記重心位置での前記チルト方向への変位力がフォーカシング方向の変位力に与え得る影響が回避されるように前記設定された駆動力の配分を調整するステップと、前記配分の調整された各駆動力を前記第1及び第2の被駆動位置にそれぞれ付与するステップと、
を有することを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項7】
前記駆動力の配分を調整するステップでは、前記対物レンズユニットの重心位置から前記第1及び第2の被駆動位置までのそれぞれの離間距離の関係に基づいて、前記駆動力の配分を調整することを特徴とする請求項6記載の光ディスク装置の制御方法。
【請求項8】
光ディスク装置本体は、入力された信号の値に対応する駆動力を前記第1及び第2の被駆動位置にそれぞれ発生させる第1及び第2の駆動力発生回路と、回転駆動される光ディスクの情報記録面と前記光ヘッド上の前記対物レンズの焦点位置とのフォーカス方向の位置ずれを補正する補正量に対応する値を持つフォーカス駆動信号を出力するフォーカス制御回路と、前記回転駆動される前記光ディスクの情報記録面と前記光ヘッド上の前記対物レンズの光軸との傾き量に対応する値を持つチルト駆動信号を出力するチルト制御回路と、を備え、
前記チルト制御回路から出力された前記チルト駆動信号の値の時間経過に伴う変化率を低減させるステップと、
前記変化率の低減されたチルト駆動信号を前記フォーカス制御回路から出力された前記フォーカス駆動信号に加えて前記第1及び第2の駆動力発生回路側にそれぞれ出力するステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項6記載の光ディスク装置の制御方法。
【請求項9】
光ディスク装置本体は、入力された信号の値に対応する駆動力を前記第1及び第2の被駆動位置にそれぞれ発生させる第1及び第2の駆動力発生回路と、回転駆動される光ディスクの情報記録面と前記光ヘッド上の前記対物レンズの焦点位置とのフォーカス方向の位置ずれを示すフォーカスエラー信号を出力するフォーカスエラー信号出力回路と、前記フォーカスエラー信号出力回路側から入力した前記フォーカスエラー信号に基づいて前記フォーカス方向の位置ずれを補正する補正量に対応する値を持つフォーカス駆動信号を出力するフォーカス制御回路と、前記回転駆動される前記光ディスクの情報記録面と前記光ヘッド上の前記対物レンズの光軸との傾き量に対応する値を持つチルト駆動信号を出力するチルト制御回路と、を備え、
前記チルト制御回路から出力された前記チルト駆動信号の値の時間経過に伴う変化率を低減させるステップと、
前記低減された、チルト駆動信号の値の時間経過に伴う変化率に対応させて、前記フォーカス制御回路に入力される前記フォーカスエラー信号の利得を可変するステップと
前記利得を可変させたフォーカスエラー信号に基づいて前記フォーカス方向の位置ずれを補正する補正量に対応する値を持つフォーカス駆動信号を前記フォーカス制御回路が出力するステップと、
前記フォーカス制御回路が出力する、前記利得を可変させたフォーカスエラー信号に基づいて得られたフォーカス駆動信号に、前記変化率の低減されたチルト駆動信号を加えて前記第1及び第2の駆動力発生回路側にそれぞれ出力するステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項6記載の光ディスク装置の制御方法。
【請求項10】
光ディスク装置本体は、入力された信号の電圧値に対応する値の駆動電流を出力する第1及び第2の駆動電流回路を備えて構成されかつ前記第1及び第2の駆動電流回路から各々出力される駆動電流の値に対応する駆動力をそれぞれ発生させる第1及び第2の駆動力発生回路と、前記第1及び第2の前記駆動電流回路それぞれに入力した信号の電圧値とこの電圧値を持つ信号の入力より発生した駆動電流の値との対応関係を示す当該駆動電流回路ごとに固有の特性パラメータを記憶する記憶部と、を備え、
前記駆動力を調整するステップでは、前記記憶部に記憶された前記特性パラメータに基づいて前記駆動力の配分を調整する
ことを特徴とする請求項6記載の光ディスク装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−165932(P2008−165932A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356483(P2006−356483)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】