説明

光ディスク装置及びディスク判別方法

【課題】ウォブル信号を用いた光ディスクの判別において、偏心量が大きい光ディスクの場合でもディスク判別の精度を向上させること。
【解決手段】光ディスク1をトラッキングサーボOFFの状態で回転させて光ディスク1の偏心量を測定する。偏心量は、トラックゼロクロス信号生成回路7により生成されたトラックゼロクロス信号から測定する。レンズ駆動回路9は、測定された偏心量を打ち消すように対物レンズ4を駆動する。ウォブル信号検出回路8は、対物レンズ4が駆動された状態で光ディスク1からウォブル信号を検出しそのウォブル周波数を計測する。マイコン10は、計測されたウォブル周波数に基づき光ディスク1の種類を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクにデータを記録再生する光ディスク装置及び光ディスクからウォブル信号を検出することで光ディスクの種類を判別するディスク判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクの種類を判別する方法の1つとして、案内溝(グルーブ)に形成したウォブルの信号を利用する方式がある。これにより、例えばウォブルのないDVD−ROMとウォブルを有するもの、ウォブル周波数の違いからDVD−RとDVD+Rなどを判別することができる。しかし一般にウォブル信号は微弱であるので、信号を安定に検出することが必要である。
【0003】
特許文献1には、記録媒体の読取信号からラジアルプッシュプル信号を生成し、ラジアルプッシュプル信号を2値化した信号の自己相関値を計算し、これを所定の基準値と比較することで媒体の種類を判別することが開示されている。この自己相関値の計算では、2値化信号を符号付きデータに変換し、符号付きデータをウォブル信号の半周期だけ遅延してその符号を反転させ、符号付きデータと符号反転データを乗算することにより、所定周波数成分のみを出力させることが述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−55079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウォブル信号を用いるディスク判別では、ピックアップのトレース位置があるトラックに一致している状態(トラックON)でのみウォブル信号の検出が可能である。トラックとトラックの間の状態(トラックOFF)では、隣接トラックからのウォブル信号が混入して正しく検出できないからである。しかし、ディスク判別工程では時間短縮のためトラッキングサーボをOFF状態としていること、ディスクには大なり小なりの偏心が存在することから、ピックアップは複数個のトラックを横断することになり、トラックONの期間は分断され、ONとなる時間は短いものとなる。ディスクが1回転する中で、偏心量が外周方向及び内周方向に最大になる位置(偏心ピーク位置)ではトラックONの時間が最大となる。よって、このピーク位置を含む期間でウォブル信号を検出し、またウォブル周波数を計測するのが望ましい。
【0006】
入力するウォブル信号からその周波数を正確に計測するには、ウォブル信号を所定時間以上取り込む必要がある。それには、トラックONとなる期間が所定時間以上必要となる。トラックON時間はディスクの偏心量や回転数に依存し、偏心量が大きくなるほどON時間は短くなり、計測の精度が低下する。前記特許文献1に記載の技術では、入力信号に自己相関の演算処理を施すことで計測精度を向上させるものであるが、ディスク偏心の影響を回避する技術ではない。よって、偏心量が大きいディスクの場合には計測の精度が悪化し、ディスク判別に影響すると予想される。
【0007】
本発明の目的は、ウォブル信号を用いた光ディスクの判別において、偏心量が大きい光ディスクの場合でもディスク判別の精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による光ディスク装置は、回転する光ディスクに対物レンズを介してレーザ光を照射し光ディスクから信号を検出する光ピックアップと、対物レンズを光ディスクの半径方向に駆動させるレンズ駆動回路と、光ピックアップの検出信号からトラックゼロクロス信号を生成するトラックゼロクロス信号生成回路と、光ピックアップの検出信号からウォブル信号を検出し、ウォブル信号からウォブル周波数を計測するウォブル信号検出回路と、レンズ駆動回路を制御するとともに、ウォブル信号検出回路で計測されたウォブル周波数に基づき光ディスクの種類を判別するマイコンと、を備える。マイコンは、光ディスクをトラッキングサーボOFFの状態で回転させて光ディスクの偏心量を測定し、レンズ駆動回路は、測定された偏心量を打ち消すように対物レンズを駆動し、ウォブル信号検出回路は、対物レンズが駆動された状態で光ディスクからウォブル信号を検出しそのウォブル周波数を計測する。
【0009】
本発明はウォブル信号を用いて光ディスクの種類を判別するディスク判別方法であって、光ディスクをトラッキングサーボOFFの状態で回転させるステップと、回転する光ディスクの偏心量を測定するステップと、測定した偏心量に応じて偏心量を打ち消すように対物レンズを駆動するステップと、対物レンズを駆動した状態で光ディスクからウォブル信号を検出するステップと、ウォブル信号からウォブル周波数を計測するステップと、計測したウォブル周波数に基づき光ディスクの種類を判別するステップとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウォブル信号を用いた光ディスクの判別において、偏心量が大きい光ディスクの場合でもディスク判別の誤りがなくなり、光ディスク装置の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による光ディスク装置の一実施例を示す構成ブロック図である。
【図2】本実施例における対物レンズの駆動制御を説明する図である。
【図3】アクチュエータの応答特性の一例を示す図である。
【図4】本実施例におけるウォブル信号の検出波形の一例を示す図である。
【図5】本実施例におけるディスク判別処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明による光ディスク装置の一実施例を示す構成ブロック図である。
光ディスク装置は、光ディスクにデータを記録し、または光ディスクからデータを再生するものであるが、この図では、装着された光ディスクからウォブル信号を検出してディスクの種類を判別する機能の部分について示し、他の要素は省略している。
【0013】
装着された光ディスク1はスピンドルモータ2により回転駆動される。光ピックアップ3は、対物レンズ4を介して光ディスク1にレーザ光を照射し、その反射光を光検出器にて電気信号に変換して出力する。トラックゼロクロス(TZC)信号生成回路7は、光ピックアップ3の出力信号からトラッキングエラー信号及びトラックを横切ることを示すTZC信号を生成する。
【0014】
マイコン10は、TZC信号からディスクの偏心量を算出し、偏心量を打ち消すように対物レンズ4を半径方向(図面左右方向)に移動させるための制御信号を生成してレンズ駆動回路9へ送る。レンズ駆動回路9は、光ピックアップ3内のアクチュエータ5に対してレンズ駆動信号を送る。アクチュエータ5は対物レンズ4を支持するコイルで構成され、コイルと永久磁石6との電磁力(吸引、反発力)により対物レンズ4を移動させる。こうして対物レンズ4を移動させた状態で、ウォブル信号検出回路8は光ピックアップ3の出力信号から、ウォブル信号とその周波数を検出する。マイコン10は検出されたウォブル周波数に基づき、装着された光ディスク1の種類を判別する。そして、判別したディスクの種類に従い、記録又は再生のための初期条件を設定し、指示された記録再生動作を開始する。
【0015】
このように本実施例の光ディスク装置では、対物レンズ4を光ディスク1の偏心量に同期して移動させ、偏心があたかも発生していない状態とする。その結果、偏心量の大きいディスクでもトラックONの時間が長くなりウォブル周波数を正確に計測することができ、ディスク判別精度を向上させることができる。
【0016】
図2は、本実施例における対物レンズの駆動制御を説明する図である。
本実施例では、光ディスク判別のため光ディスクを回転させて偏心量を測定し、測定した偏心量に追従してこれを打ち消すように対物レンズ4を半径方向に変位させることで、見かけの偏心量を低減させるものである。
【0017】
符号21は、光ディスクを回転させたときの偏心量の変化を示す。トラッキングサーボはOFF状態である。ディスク回転とともに偏心量はほぼ正弦波状に変化し、点A,Eでは外周側のピーク値(+R)を示し、点Cでは内周側のピーク値(−R)を示す。点B,Dは偏心量がゼロ(0)となる位置である。
【0018】
符号22は、偏心量21に対応するトラックゼロクロス信号(TZC信号)を示す。TZC信号は、トラッキングエラー信号をゼロクロス点(トラックONとなる位置)で二値化した信号である。TZC信号のパルス数をカウントすればトラック横断数となり、これから偏心量Rを計算することができる。TZC信号の周期(パルス幅)は、偏心量のピーク位置(点A,C,E)では最大に、偏心量のゼロ位置(点B,D)では最小となる。つまり、偏心量のピーク位置(点A,C,E)ではトラックON時間が最大となるので、この近傍にてウォブル信号の検出を行うのが良い。なお、偏心量のピーク値は外周側(点A,E)と内周側(点C)の両方に存在するが、いずれの側を利用しても良い。ただし、TZC信号の波形は外周側と内周側とでほぼ同一であり、波形から両者を区別することはできない。
【0019】
光ディスクの偏心量Rが大きくなると、TZC信号の周期は全体的に短くなり、偏心量のピーク位置(点A,C,E)においても同様である。ウォブル信号の検出を行う期間(トラックON時間)が短くなり、ウォブル信号の周波数の計測が困難になる。その結果、ディスクの誤判別が発生しやすくなる。そこで、見かけの偏心量を低減させるために、対物レンズ4を偏心量Rに追従して変位させる。
【0020】
符号23は対物レンズ4の半径方向の変位を示す。対物レンズ4の変位量Lはディスクの偏心量Rに等しい量とし、また変位量Lのピーク位置は偏心量Rのピーク位置に同期させる。その際、ディスクの偏心量RはTZC信号22のパルス数とトラックピッチを用いて算出し、これに合わせて対物レンズ4の変位量Lを決定する。
【0021】
符号24,24’は、レンズ駆動回路9からアクチュエータ5に印加する駆動電圧を示す。駆動電圧24’は、駆動電圧24の極性を反転したもので、いずれかを選択する。駆動電圧の振幅Vmと位相δは、使用するアクチュエータ5の応答特性を考慮して、対物レンズ4に所望の変位量Lを与えるように決定する。駆動波形は正弦波状とし、その周波数はディスクの回転周波数に同期させる。このようにして、対物レンズ4をディスクの偏心量Rと同じ量だけ変位させることで、ディスクの見かけの偏心量をほぼゼロとすることができる。
【0022】
ここで、駆動電圧の印加開始位置(印加タイミング)と極性について説明する。印加タイミングの基準位置は、ディスクの偏心量がゼロとなる位置(点BまたはD)とする。近似的には、点Bはピーク点A,Cの中間点、点Dはピーク点C,Eの中間点として求めることができる。後述するように、アクチュエータ5はコイルで構成され位相遅れが伴うので、これを補償するように印加タイミングを早める。つまり、基準位置(点BまたはD)から位相δだけ進んだ位置(点PまたはQ)を起点に正弦波状の駆動電圧を印加する。また偏心量を打ち消すためには、印加タイミングにおける偏心量の変化方向(内周→外周方向か、外周→内周方向か)を知り、これに合わせて駆動開始電圧の極性(対物レンズ4の移動開始方向)を決めなければならない。しかしながら、TZC信号22の波形だけでは、基準位置である点BまたはDにおける偏心量の変化方向を識別することができない。よって本実施例では、レンズ駆動回路9から2通りの駆動電圧波形24,24’を生成し、駆動開始電圧の極性を選択できるようにしている。
【0023】
アクチュエータ5に駆動電圧24(または24’)を印加すると、対物レンズ4は符号23のように変位し、光ディスクの見かけの偏心量は符号21’のように大幅に低減する。その結果、トラックON時間が長くなりウォブル周波数を計測するための時間を十分に確保することができる。
【0024】
図3は、アクチュエータ5の応答特性の一例を示す図である。
この図では、駆動電圧に対する対物レンズ4の変位の周波数特性を示す。ゲインは単位電圧当たりの変位量で、0dBは1mm/1Vの感度である。また位相遅れは周波数が高くなるにつれて大きくなる。
【0025】
例えば、前記図2においてディスクの回転数40Hzでこれに同期してレンズを1mm振幅で動かす場合、その駆動条件は次のようになる。周波数40Hzでのゲインは約−6dB(感度0.5mm/V)なので、駆動電圧Vm=2V必要である。また周波数40Hzでの位相遅れは20°なので、駆動電圧の印加タイミングP(またはQ)を基準位置B(またはD)よりもδ=20°だけ進めて設定する。
【0026】
図4は、本実施例におけるウォブル信号の検出波形の一例を示す図である。
図面左側には対物レンズの静止時の信号波形を、図面右側には対物レンズの駆動時の信号波形を対比させ、またそれぞれの下段には信号波形の拡大図を示す。符号31,41はトラッキングエラー(TE)信号で、符号32,42はTE信号を二値化したトラックゼロクロス(TZC)信号である。符号33,43はレンズ駆動信号で、符号34,44は検出されたウォブル信号である。
【0027】
レンズ静止時には、ディスクの偏心量を反映して周波数の高い(周期の短い)TE信号31及びTZC信号34が得られる。この例は偏心量が150μmppの場合である。TZC信号34は、位置A,C,EにてTZC信号の周期が最大(偏心量がピーク)となり、それらの中間位置B,DにてTZC信号の周期が最小(偏心量がほぼゼロ)となる。すなわち、位置A,C,EにてトラックONとなる時間が最大となる。この近傍でウォブル信号34の検出を行う場合、トラックONの時間が短く、ウォブル信号34の周波数の計測は困難である。
【0028】
レンズ駆動時には、正弦波状のレンズ駆動信号43を印加する。駆動信号43は、対物レンズの変位がディスク偏心量に等しく、またディスク偏心量の変化に同期するように与える。駆動信号の印加開始位置は、偏心量がほぼゼロとなる位置B(またはD)を基準に、アクチュエータの位相遅れ分を補償した位置P(またはQ)とする。
【0029】
レンズ駆動の結果、見かけの偏心量が低減し、この例では10μmppにまで改善している。すなわち、TE信号41とTZC信号42の周期は大きくなり、トラックONの時間が大幅に(10倍以上に)拡大する。その結果、ウォブル信号44の振幅が安定に得られ周波数の計測が容易になる。
【0030】
図5は、本実施例におけるディスク判別処理を示すフローチャートである。
具体例として、偏心量が200μmppのDVD−R(SL)ディスクを判別対象とする。まず、ディスク判別の前段階として、BD系かDVD系かCD系かを判別する。これには波長の異なる3通りのレーザ光(BD用レーザ、DVD用レーザ、CD用レーザ)をディスクに照射し、それらの反射光からフォーカスエラー(FE)信号を生成し、どのレーザ光を照射したときのFE信号の振幅が最大を示すかによりBD系、DVD系、CD系を判別する。この例ではDVD系と判別され、以下、ウォブル信号に基づきDVD系のどのタイプに属するかを判別する。
【0031】
S101では、スピンドルモータ2により光ディスク1を回転させてフォーカスサーボをかける。この例ではDVD系ディスクの仕様に従い所定の回転数(所定の線速度)でディスクを回転させ、またフォーカスサーボ制御を行う。
S102では、TZC信号生成回路7により光ピックアップ3の出力信号からTE信号とこれを二値化したTZC信号を生成する。そして、ディスク1/2回転期間のTZC信号のパルス数を計測する。計測する期間は、前記図2におけるA点からC点までの期間、またはC点からE点までの期間とし、計測したパルス数をNとする。
【0032】
S103では、マイコン10によりTZCパルス数NとトラックピッチTp(DVDの場合Tp=0.74μm)から偏心量Rを計算する。この例では偏心量R=N×Tp=200μmppと求まる。
【0033】
S104では、計算した偏心量Rが閾値Ro以内かどうかを判定する。この閾値Roは、ウォブル信号からウォブル周波数の計測が可能であるための偏心量の許容値である。閾値Roは、ウォブル信号検出回路8の検出性能(周波数計測時間)に基づいて決定されるもので、例えばRo=100μmppとする。もし偏心量Rが閾値Ro以内であれば(S104でYes)、S113に進み、対物レンズ4を駆動することなく(静止状態で)ウォブル信号からディスク判別を行う。偏心量Rが閾値Roより大きい場合は(S104でNo)、S105に進み、対物レンズ4を駆動してのディスク判別を行う。本例ではR=200μmppなのでS105に進み、対物レンズ4を駆動する。
【0034】
S105では、対物レンズ4を駆動するためにアクチュエータ5に印加する駆動電圧Vmを計算する。対物レンズ4の変位量はディスク偏心量R=200μmppに等しくなるようにする。例えば前記図3のアクチュエータ5を用いる場合には、応答感度が0.5mm/Vであるので、必要な電圧Vmは0.4Vppと求まる。
【0035】
S106では、駆動電圧Vmの開始タイミングを決定する。開始タイミングは前記図2における位置B(またはD)を基準に、アクチュエータ5の位相遅れ分を補償した位置P(またはQ)とする。前記図3のアクチュエータ5を用いる場合には、位相δ=20°だけ進んだ位置とする。
【0036】
S107では、アクチュエータ5に対し、タイミングP(またはQ)にて駆動電圧Vmを有する正弦波を印加する。周波数はディスクの回転周波数に同期させる。駆動開始電圧の極性、すなわち対物レンズ4の移動開始方向は、例えば内周方向(図2の符号24)とする。
【0037】
S108では、レンズ駆動時のTZCパルス数N’から見かけの偏心量R’を計算する。
S109では、レンズ駆動時の偏心量R’が閾値Ro以内かどうかを判定する。偏心量R’が閾値Ro以内であれば(S109でYes)、現在の対物レンズ4の駆動方向は正しい方向(偏心量を打ち消す方向)であるので、S113に進んでウォブル信号からディスク判別を行う。もし偏心量R’が閾値Roより大きい場合は(S109でNo)、現在の対物レンズの駆動方向は逆方向(偏心量を増大させる方向)であると見られるので、S110に進んで駆動方向を修正する。
【0038】
S110では、アクチュエータ5に対して印加する駆動開始電圧の極性を反転させ、対物レンズ4の移動開始方向を外周方向(図2の符号24’)とする。あるいは、駆動開始電圧の極性はそのままで開始タイミングをPからQへ(またはQからPへ)切り替えることでも良い。
【0039】
S111では、レンズ駆動反転時のTZCパルス数N”から見かけの偏心量R”を計算する。
S112では、レンズ駆動反転時の偏心量R”が閾値Ro以内かどうかを判定する。偏心量R”が閾値Ro以内であれば(S112でYes)、反転後の対物レンズの駆動方向は正しい方向であるので、S113に進んでウォブル信号からディスク判別を行う。もし偏心量R”が閾値Roより大きい場合は(S112でNo)、S115に進む。
【0040】
S113では、ウォブル信号検出回路8により光ピックアップ3の出力信号からウォブル信号を検出する。そして、ウォブル信号からウォブル周波数を計測する。
S114では、マイコン10は、計測されたウォブル周波数をディスクの種類ごとに定められている規定の周波数と比較することで、当該ディスクの種類を判別する。この例では、ウォブル周波数140.645kHz(1倍速)を得ることでDVD−R(SL)と判別される。
S115では、偏心量が低減しないのは他の要因と見られるので、ウォブル信号以外の他の方法でディスク判別を行う。
【0041】
本実施例のフローチャートでは、ディスク判別時間を短縮するため、S104にて偏心量Rが閾値Ro以内かどうかを判定し、偏心量Rが閾値Ro以内であれば対物レンズを駆動することなくウォブル信号からディスク判別を行うようにした。もしディスク判別時間に余裕があるなら、偏心量Rが閾値Ro以内であっても対物レンズを駆動しながらウォブル信号からディスク判別を行うように変更しても良い。これにより、判別精度をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0042】
1…光ディスク、
2…スピンドルモータ、
3…光ピックアップ、
4…対物レンズ、
5…アクチュエータ、
6…永久磁石、
7…トラックゼロクロス(TZC)信号生成回路、
8…ウォブル信号検出回路、
9…レンズ駆動回路、
10…マイコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクにデータを記録再生する光ディスク装置において、
回転する上記光ディスクに対物レンズを介してレーザ光を照射し該光ディスクから信号を検出する光ピックアップと、
上記対物レンズを上記光ディスクの半径方向に駆動させるレンズ駆動回路と、
上記光ピックアップの検出信号からトラックゼロクロス信号を生成するトラックゼロクロス信号生成回路と、
上記光ピックアップの検出信号からウォブル信号を検出し、該ウォブル信号からウォブル周波数を計測するウォブル信号検出回路と、
上記レンズ駆動回路を制御するとともに、上記ウォブル信号検出回路で計測されたウォブル周波数に基づき上記光ディスクの種類を判別するマイコンと、を備え、
該マイコンは、上記光ディスクをトラッキングサーボOFFの状態で回転させて該光ディスクの偏心量を測定し、
上記レンズ駆動回路は、測定された偏心量を打ち消すように上記対物レンズを駆動し、
上記ウォブル信号検出回路は、上記対物レンズが駆動された状態で上記光ディスクからウォブル信号を検出しそのウォブル周波数を計測する、
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記トラックゼロクロス信号生成回路は、トラッキングサーボOFFの状態で回転する前記光ディスクのトラッキングエラー信号からトラックゼロクロス信号を生成し、
前記マイコンは、前記光ディスクが1/2回転する期間の上記トラックゼロクロス信号のパルス数を計測し、計測したパルス数に前記光ディスクのトラックピッチを乗じて前記偏心量とする、
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記光ピックアップには前記対物レンズを前記光ディスクの半径方向に変位させるアクチュエータを有し、
前記レンズ駆動回路は上記アクチュエータに対し、前記光ディスクの回転周波数に同期した正弦波状の駆動信号を印加し、
該駆動信号の振幅は、前記対物レンズの変位量が前記光ディスクの偏心量に等しくなるような電圧とし、
上記駆動信号の位相は、上記アクチュエータの位相遅れを補償するような位相タイミングとする、
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記マイコンは、前記測定された光ディスクの偏心量が閾値以内かどうかを判定し、測定された偏心量が閾値以内の場合は、前記レンズ駆動回路により前記対物レンズを駆動することなく前記ウォブル信号検出回路で計測したウォブル周波数に基づき前記光ディスクの種類を判別する、
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
光ディスクのウォブル信号を用いて該光ディスクの種類を判別するディスク判別方法において、
上記光ディスクをトラッキングサーボOFFの状態で回転させるステップと、
回転する上記光ディスクの偏心量を測定するステップと、
測定した偏心量に応じて該偏心量を打ち消すように対物レンズを駆動するステップと、
該対物レンズを駆動した状態で上記光ディスクからウォブル信号を検出するステップと、
該ウォブル信号からウォブル周波数を計測するステップと、
計測したウォブル周波数に基づき上記光ディスクの種類を判別するステップと、
を備えることを特徴とするディスク判別方法。
【請求項6】
請求項5記載のディスク判別方法において、
前記光ディスクの前記偏心量を測定するステップでは、
回転する前記光ディスクからトラッキングエラー信号を検出し、
該トラッキングエラー信号からトラックゼロクロス信号を生成し、
前記光ディスクが1/2回転する期間の上記トラックゼロクロス信号のパルス数を計測し、
計測したパルス数に前記光ディスクのトラックピッチを乗じて前記偏心量とする、
ことを特徴とするディスク判別方法。
【請求項7】
請求項5記載のディスク判別方法において、
前記対物レンズを駆動するステップでは、
該対物レンズを前記光ディスクの半径方向に変位させるアクチュエータに対し、前記光ディスクの回転周波数に同期した正弦波状の駆動信号を印加し、
該駆動信号の振幅は、前記対物レンズの変位量が前記光ディスクの偏心量に等しくなるような電圧とし、
上記駆動信号の位相は、上記アクチュエータの位相遅れを補償するような位相タイミングとする、
ことを特徴とするディスク判別方法。
【請求項8】
請求項5記載のディスク判別方法において、
前記光ディスクの偏心量を測定するステップに続き、測定された偏心量が閾値以内かどうかを判定するステップを備え、
測定された偏心量が閾値以内の場合は、前記対物レンズを駆動することなく前記ウォブル信号のウォブル周波数に基づき前記光ディスクの種類を判別する、
ことを特徴とするディスク判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−243246(P2011−243246A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113036(P2010−113036)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】