説明

光ディスク装置

【課題】レーザダイオードを適切に保護する。
【解決手段】レーザダイオード31のアノードは、スタートリミットスイッチ25の一端に接続される。レーザダイオード31のカソードは、接地される。また、スタートリミットスイッチ25の他端も接地される。ピックアップ12が光ディスクの最内周側の位置に移送されたとき、ピックアップ12は、スタートリミットスイッチ25を押圧し、スタートリミットスイッチ25は閉じる。スタートリミットスイッチ25が閉じると、レーザダイオード31のアノードとカソードとが短絡される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置は、光ディスクに光を照射して、光ディスクに記録されたデータを読み出すためのピックアップを備える。ピックアップは、光ディスクの面に光を照射する発光手段として、レーザダイオードを備える。このレーザダイオードは、半導体によって形成されているため、電流が供給されずに発光が停止していると、静電気に弱く、静電破壊されるおそれがある。
【0003】
このため、レーザダイオードを、静電破壊から保護するようにする必要がある。光ディスク装置の製造工程において、レーザダイオードを取り付ける取付基板には、ランド部が形成され、レーザダイオードのアノードとカソードとは、このランド部にパターン配線される。このランド部は半田付けされてレーザダイオードのアノードとカソードとが短絡される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
レーザダイオードを搭載したピックアップは、光ディスク装置の筐体に取り付けられる。筐体に取り付けられたピックアップは、一般的には、フレキシブルフラットケーブル(FFC)を介して、ピックアップの駆動回路が搭載されたプリント基板に接続される。
【0005】
ランド部の半田付けは、静電破壊のおそれがなくなる工程において、取り除かれる。しかし、光ディスク装置の製造工程において、ランド部を半田付けしたり、半田付けを取り除いたりしていたのでは、作業が繁雑になる。この点を改善したものとして、レーザダイオードの非動作時に、接点を閉じてレーザダイオードの両端をリレーで短絡するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−124620号公報(第5−7頁、図4、図5)
【特許文献2】実開平1−161352号公報(第4−7頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような従来のものであっても、レーザダイオードが非動作時であることを判別して、リレー接点を閉じる必要があり、発光素子の保護が十分とはいえない。
【0007】
また、光ディスク装置のセットが複雑な構造になる傾向にあり、ピックアップに接続されるプリント基板には、必ずしも光検出信号の処理回路が搭載されず、プリント基板は信号を中継するだけのものになりつつある。
【0008】
この場合、レーザダイオードのアノードとカソードとの短絡状態を、どの工程において解除すれば、最も適切にレーザダイオードを保護することができるかといったことも考慮されなければらない。
【0009】
また、光ディスクの製造時だけでなく、光ディスクの製造後においても、レーザダイオードに電流が供給されない発光停止状態では、レーザダイオードの静電破壊が起こりうる。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、発光手段を適切に保護することが可能な光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る光ディスク装置は、
電流流入端と電流流出端とを備え、電流流入端から電流流出端に流れる電流によって光ディスクの記録面に照射する光を発する発光手段と、
前記発光手段と光ディスクとを相対移動させる移動手段と、
前記発光手段が前記光ディスクに対して発光が不要である位置まで移動したときに検出信号を出力する検出手段と、
前記発光手段の前記電流流入端と前記電流流出端とに接続され、前記検出手段からの検出信号に基づいて、前記発光手段の前記電流流入端と前記電流流出端とを電気的に接続する接続手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
例えば、前記検出手段は、前記検出信号を出力するスイッチと、前記発光手段が前記光ディスクにおいて光照射を不要とする発光不要位置まで移動したときに、前記スイッチ手段を、前記検出信号を出力するように制御するスイッチ制御手段と、を備える。
【0013】
例えば、前記移動手段は、前記スイッチ制御手段を前記光ディスクの半径方向に移送する移送手段を備え、前記検出手段は、前記発光手段を搭載して前記移送手段によって移送され、前記発光手段が前記光ディスクにおける発光不要位置まで移動して、前記スイッチ手段を制御する。
【0014】
この目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る光ディスク装置は、
電流流入端と電流流出端とを備え、電流流入端から電流流出端に流れる電流によって光ディスクの記録面に照射する光を発する発光手段と、
前記光ディスクに対する前記発光手段の光照射を不要とする状態として、前記光ディスクが、前記光ディスク収納用の筐体から排出されたことを検出する排出状態検出手段と、
前記排出状態検出手段の検出信号に応答して、前記発光手段の前記電流流入端と前記電流流出端とを電気的に接続する接続手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
この目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る光ディスク装置は、
電流流入端と電流流出端とを備え、電流流入端から電流流出端に流れる電流によって光ディスクの記録面に照射する光を発する発光手段と、
前記光ディスクに対する前記発光手段の光照射を不要とする状態として、前記光ディスクが、前記光ディスク収納用の筐体から排出可能状態とされたことを検出する排出可能状態検出手段と、
前記排出可能状態検出手段の検出信号に応答して、前記発光手段の前記電流流入端と前記電流流出端とを電気的に接続する接続手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
前記接続手段は、望ましくは、前記電流流入端と前記電流流出端と短絡する手段から構成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、発光手段を適切に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る光ディスク装置を図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光ディスク装置の構成を図1に示す。
本実施形態に係る光ディスク装置は、光ディスク1に記録されたデータを読み出すためのものである。但し、光ディスク装置は、データを読み出すとともに、光ディスク1にデータを記録する機能を備えたものであってよい。
【0019】
光ディスク装置は、スピンドルモータ11と、ピックアップ12と、APC(Auto Power Control)回路13と、信号処理部14と、フォーカス制御部15と、ドライバ16と、トラッキング制御部17と、ドライバ18と、フィルタ19と、スレッド制御部20と、ドライバ21と、スレッドモータ22と、ガイド23と、突き当て部24と、スタートリミットスイッチ25と、状態検出回路26と、ホストコントローラ27と、を備えている。
【0020】
この光ディスク1は、例えば、CD(Compact Disk)、ミニディスク(MD;Mini Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical disk)といったディスク状記録媒体である。
【0021】
光ディスク1には、内周側からリードインエリア、プログラムエリア、リードアウトエリアが形成されている。リードインエリアは、トラック情報を示すTOC(Table Of Contents)が記録される領域である。プログラムエリアは、楽曲データ等のユーザデータを記録するための領域である。リードアウトエリアは、データの読み出しを終了させるための領域である。
【0022】
スピンドルモータ11は、光ディスク1を回転させるためのモータである。
ピックアップ12は、光ディスク1の記録面に光を照射して光ディスク1に記録されたデータを読み出すためのものであり、図2に示すように、レーザダイオード31と、ピンフォトダイオード32と、コリメータレンズ33と、偏光ビームスプリッタ34と、1/4波長板35と、対物レンズ36と、光検出器37と、を備える。
【0023】
レーザダイオード31は、光ディスク1の面に照射するレーザ光を発する発光手段である。
ピンフォトダイオード32は、レーザダイオード31の発光によりレーザダイオード31の裏面から出射した裏面出射光を受光して、その光の強度に対応する信号レベルの光強度信号をAPC回路13に出力するものである。
【0024】
コリメータレンズ33は、レーザダイオード31の発光によりレーザダイオード31の前面から出射した前面出射光を平行光に変換するものである。
【0025】
偏光ビームスプリッタ34は、コリメータレンズ33からの平行光と光ディスク1からの戻り光とを分離して、光ディスク1からの戻り光を光検出器37に導くためのものである。
【0026】
1/4波長板35は、コリメータレンズ33から偏光ビームスプリッタ34を通過した光を円偏光に変換するためのものである。
【0027】
対物レンズ36は、1/4波長板35によって変換された円偏光を集光して光ディスク1に照射する光を光スポットにするためのものである。
【0028】
光検出器37は、偏光ビームスプリッタ34で分離した光ディスク1からの戻り光を受光して、戻り光の強度に応じた信号レベルの電気信号を光検出信号として信号処理部14に出力するものである。
【0029】
図1に戻り、APC回路13は、レーザダイオード31に電流を供給して、レーザダイオード31を発光させるとともに、レーザダイオード31の光出力制御を行うものである。APC回路13は、ピンフォトダイオード32から出力された光強度検出信号に基づいて、レーザダイオード31の発光出力の制御を行う。
【0030】
信号処理部14は、光検出器37が出力した光検出信号に基づいて、RF(Radio Frequency)信号と、FE(フォーカスエラー)信号と、TE(トラッキングエラー)信号と、を生成するものである。FE信号は、光スポットが合焦した場合の合焦距離と、対物レンズ36の光ディスク1の記録面までの距離との誤差を示す信号であり、TE信号は、光ディスク1の記録面において、読み取り中のトラックの中心位置と光スポットの位置との誤差を示す信号である。信号処理部14は、生成したFE信号をフォーカス制御部15に供給し、TE信号をトラッキング制御部17とフィルタ19とに供給する。
【0031】
フォーカス制御部15は、フォーカスサーボがオンしている場合、信号処理部14から供給されたFE信号に基づいて位相補償とゲイン調整とを行い、FE信号の信号レベルを0に近づけるようなフォーカス制御信号をドライバ16へ供給するものである。
【0032】
ドライバ16は、フォーカス制御部15から供給されたフォーカス制御信号に基づいて、ピックアップ12の対物レンズ36の位置を制御するものである。
【0033】
トラッキング制御部17は、トラッキングサーボがオンしている場合、TE(トラッキングエラー)信号に基づいて位相補償とゲイン調整とを行い、TE信号の信号レベルを0に近づけるようなトラッキング制御信号をドライバ18に供給するものである。
【0034】
ドライバ18は、トラッキング制御部17から供給されたトラッキング制御信号に基づいて、ピックアップ12の姿勢を制御するものである。
【0035】
フィルタ19は、信号処理部14から出力されたTE信号の低域成分を取り出して、SE(スレッドエラー)信号を生成するものである。このSE信号は、対物レンズ36の現在位置と、ピックアップ12上での中立位置との誤差を示す信号である。
【0036】
スレッド制御部20は、スレッドサーボがオンしている場合、SE信号に基づいてスレッド制御信号をドライバ21に出力するものである。スレッド制御信号は、SE信号の信号レベルが所定の制御範囲内から外れた場合に、この制御範囲内に入るように制御するための信号である。
【0037】
ドライバ21は、スレッド制御部20が出力したスレッド制御信号に基づいてスレッドモータ22を制御するものである。スレッドモータ22は、ドライバ21に制御されてピックアップ12を光ディスク1の外方向あるいは内方向に移動させるためのモータである。
【0038】
ガイド23は、ピックアップ12を支持しつつ、ピックアップ12を径方向に案内するためのものである。
【0039】
従って、光ディスク装置がオフしているときは、スレッドモータ22もオフし、ピックアップ12は内周側に移動する。そして、APC回路13も動作を停止するため、レーザダイオード31の発光も停止する。ガイド23の一端は、突き当て部24で支持されている。この突き当て部24は、ピックアップ12の位置を最内周側で規制するものである。
【0040】
スタートリミットスイッチ25は、ピックアップ12の位置検出用のスイッチである。ピックアップ12は、最内周位置に移送されたときに、このスタートリミットスイッチ25を押圧し、スタートリミットスイッチ25は、閉じてオンする。スタートリミットスイッチ25は、オンしてピックアップ12が最内周位置に移送されたことを示す検出信号を出力する。
【0041】
状態検出回路26は、スタートリミットスイッチ25が出力した検出信号に基づいてスタートリミットスイッチ25のオン、オフ状態を検出するためのものである。状態検出回路26は、例えば、コンパレータで構成される。但し、状態検出回路26は、A/Dコンバータによって構成されてもよいし、コンピュータが備えるA/Dポートによって構成されてもよい。
【0042】
ホストコントローラ27は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、光ディスク装置全体を制御するものである。
【0043】
ホストコントローラ27は、光ディスク1の記録面に照射された光スポットを、トラックに追従させる場合は、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スレッドサーボをオンにする。
【0044】
また、ホストコントローラ27は、光スポットを光ディスク1の半径方向にトラックジャンプさせる場合は、サーボ、トラッキングサーボ、スレッドサーボをオフにする。
【0045】
そして、光スポットが目標となるトラックに達した場合、ホストコントローラ27は、トラッキングサーボをオンしてからスレッドサーボをオンする。
【0046】
また、ホストコントローラ27は、状態検出回路26を介して、スタートリミットスイッチ25のオン、オフ状態を取得する。
【0047】
ホストコントローラ27は、スタートリミットスイッチ25がオン状態であることを判別すると、ピックアップ12が最内周に位置したことを判別して、レーザダイオード31の発光を停止する。
【0048】
図3に示すように、ホストコントローラ27と状態検出回路26とAPC回路13とは、メイン基板部41に配置され、スタートリミットスイッチ25とピックアップ12とは、メカ部42に配置される。
【0049】
また、スタートリミットスイッチ25の一端は、状態検出回路26に接続され、他端は、接地されている。スタートリミットスイッチ25は、オンすることにより、その一端と他端とが短絡する。
【0050】
レーザダイオード31のアノードは、APC回路13とスタートリミットスイッチ25の一端に接続される。レーザダイオード31のカソードは接地される。
【0051】
ピンフォトダイオード32のアノードは、レーザダイオード31のカソードに接続され、接地される。また、ピンフォトダイオード32のカソードは、APC回路13に接続される。
【0052】
前述のように、スタートリミットスイッチ25は、光ディスク1の最内周側の位置で、ピックアップ12により押圧される。また、この光ディスク1の最内周側の位置は、レーザダイオード31の発光が不要な位置でもある。従って、スタートリミットスイッチ25は、レーザダイオード31の発光停止に連動して閉じ、レーザダイオード31の両端を短絡するようになっている。つまり、本実施形態では、レーザダイオード31のアノード及びカソードがそれぞれ接地され、アノード、カソードがともに同電位とされる。
【0053】
次に、このメカ部42の構造の一例を図4に示す。
スピンドルモータ11は、シャーシ43に取り付けられる。スピンドルモータ11には、ターンテーブル44が直結されている。光ディスク1は、ターンテーブル44に載置され、ターンテーブル44とチャッキング部45とによって支持される。シャーシ43には突き当て部24が形成され、また、シャーシ43は、ガイド23を支持可能なように形成されている。
【0054】
シャーシ43の底部には、スレッドモータ22が取り付けられる。ピックアップ12は、ガイド23によって支持され、ピックアップ12にラックギア46が係合される。スレッドモータ22は、減速機47を介してラックギア46を回転する。ラックギア46が回転することによって、ピックアップ12は、ガイド23に案内されて光ディスク1の径方向に移送される。
【0055】
このメカ部42とメイン基板部41とは、FFC(Flexible Flat Cable)48を介して接続される。また、スタートリミットスイッチ25とレーザダイオード31とは、ともに、光ディスク1へのデータの記録又は再生を行うためのメカ部42に配置される。
【0056】
これにより、FFC48がメカ部42とメイン基板部41に接続されていなくても、スタートリミットスイッチ25は、レーザダイオード31の両端を短絡して、レーザダイオード31の静電気から保護する。
【0057】
レーザダイオード31のカソードとスタートリミットスイッチ25の他端とを接地するには、配線によって行われる。但し、レーザダイオード31のカソードとスタートリミットスイッチ25の他端とが、例えば、ガイド23、シャーシ43を介して電気接続されるようにしてもよい。
【0058】
この場合、ガイド23は、例えば、導電性の部材で形成され、このガイド23とピックアップ12内のレーザダイオード31のカソードとが接続される。また、シャーシ43は、例えば、絶縁物でコーティングされた鉄部材によって形成され、スタートリミットスイッチ25の他端がシャーシ43に接続される。
【0059】
次に、本実施形態に係る光ディスク装置の動作を説明する。
製造工程において、光ディスク装置に電源が投入されていなければ、ピックアップ12は、最内周側に位置している。ピックアップ12は、スタートリミットスイッチ25を押圧し、スタートリミットスイッチ25は、オンする。
【0060】
スタートリミットスイッチ25がオンすると、レーザダイオード31のアノードは、スタートリミットスイッチ25を介してシャーシ43に接地される。また、レーザダイオード31のカソードは、シャーシ43に接地されているため、レーザダイオード31のアノードとカソードとは短絡される。これにより、レーザダイオード31の静電破壊は防止される。
【0061】
メイン基板部41とメカ部42とは、FFC48を介して接続される。光ディスク装置に電源が投入されると、光ディスク装置は動作を開始する。ホストコントローラ27は、スタートリミットスイッチ25がオンしているため、ピックアップ12が最内周側に位置していることを判別する。
【0062】
ホストコントローラ27は、光ディスク装置の各部を初期化する。また、ホストコントローラ27は、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スレッドサーボをオフにして、ピックアップ12を移送するように、スレッド制御部20を制御する。スレッドモータ22は、スレッド制御部20によって制御されてピックアップ12を移送し、スタートリミットスイッチ25は、オフする。
【0063】
スタートリミットスイッチ25がオフすると、レーザダイオード31のアノードとカソードとは、短絡から解除される。ホストコントローラ27は、状態検出回路26を介して、スタートリミットスイッチ25のオフを判別して、レーザダイオード31の光出力制御を行うようにAPC回路13を制御する。
【0064】
APC回路13は、レーザダイオード31に電流を供給して、レーザダイオード31を発光させる。ピンフォトダイオード32は、レーザダイオード31の発光により、出射した裏面からの裏面出射光を受光して、その光の強度に対応する信号レベルの光強度信号をAPC回路13に出力する。
【0065】
APC回路13は、ピンフォトダイオード32から出力された光強度検出信号に基づいて、レーザダイオード31の発光出力の制御を行う。
【0066】
また、ピックアップ12の光スポットが光ディスク1のリードインエリアの絶対位置0を捉え、光ディスク装置は、リードインエリアに記録されたTOCを読み取る。ホストコントローラ27は、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スレッドサーボをオンにして、光ディスク1の記録面に照射された光スポットを、トラックに追従させる。
【0067】
そして、光ディスク装置は、プログラムエリアに記録された楽曲データ等のユーザデータを読み取る。このように、スタートリミットスイッチ25がオフしてレーザダイオード31のアノードとカソードとが短絡から解除されると、光ディスク装置は、レーザダイオード31の発光等を行う。
【0068】
以上説明したように、本実施形態によれば、スタートリミットスイッチ25の一端とレーザダイオード31のアノードとを接続し、レーザダイオード31の発光停止に連動してスタートリミットスイッチ25がオンし、レーザダイオード31のアノードとカソードとが接地されるグラウンドを介して短絡されるようにした。
【0069】
従って、光ディスク装置の製造工程やユーザによる使用状態において、レーザダイオード31を静電気から適切に保護することができる。
【0070】
また、レーザダイオード31とスタートリミットスイッチ25とが、メカ部42に配置されることにより、メイン基板部41とメカ部42とがFFC48によって接続されていなくても、スタートリミットスイッチ25は、レーザダイオード31の両端を短絡して、レーザダイオード31を静電気から適切に保護することができる。
【0071】
そして、ピックアップ12と接続されるメイン基板部41に回路が搭載されていない場合であっても、組立工程において、回路を搭載する基板に中継基板を接続する前であっても、ショート半田を要さないことになり、ピックアップ12の光ディスク装置への取付工程において、製造工程を簡略化することができる。
【0072】
尚、本発明を実施するにあたっては、種々の形態が考えられ、上記実施の形態に限られるものではない。
【0073】
例えば、スタートリミットスイッチ25の代わりに、光ディスク装置のディスクを搬送するためのトレイやディスクを収納するための回動蓋等の可動部に備えられたスイッチを用いて、レーザダイオード31のアノードとカソードとを短絡することもできる。
【0074】
図5に示すように、トレイ51は、光ディスク1を載置する載置台51aを備え、載置台51aが光ディスク1収納用の筐体52から外に突出するまで移動し、突出して載置台51aに載置された光ディスク1を筐体52内まで搬送するものである。
【0075】
筐体52内には、CDスイッチ53が配置される。トレイ51は、載置台51aが筐体52から外に突出するまで移動したときに、光ディスク1が筐体52から排出されたことを検出して、CDスイッチ53をオンする。
即ち、トレイ51は、光ディスク1に対するレーザダイオード31の光照射を不要とする状態として、光ディスク1が筐体52から排出されたことを検出するものとしても機能する。
CDスイッチ53は、オンして、光ディスク1が筐体52から排出されたことを検出したことを示す検出信号を出力する。CDスイッチ53がオンして検出信号を出力すると、ホストコントローラ27は、レーザダイオード31の電流入出力線を短絡する。
【0076】
また、図6に示すように、回動蓋61は、光ディスク1を収納する筐体62に備えられた蓋である。筐体62内には、スイッチ63が配置され、回動蓋61は、開いたときに、スイッチ63をオンする。
即ち、回動蓋61は、光ディスク1に対するレーザダイオード31の光照射を不要とする状態として、光ディスク1が筐体62から排出可能になされたことを検出するものとしても機能する。
スイッチ63は、オンして、光ディスク1が筐体62から排出されたことを検出したことを示す検出信号を出力する。スイッチ63がオンして検出信号を出力すると、ホストコントローラ27は、レーザダイオード31の電流入出力線を短絡する。
【0077】
このスイッチは、トレイや回動蓋の位置検出用のスイッチとして備えられた一般的なものであり、このようにすれば、直接、ユーザがレーザダイオード31に触れることができるポーダブル機器、トップに開閉口のあるセットに対しても、ピックアップ12の保護が可能となる。
【0078】
上記実施形態では、スタートリミットスイッチ25の一端とレーザダイオード31のアノードとを接続し、レーザダイオード31のカソードとスタートリミッタスイッチ25の他端とは、シャーシを介して接続されるように構成された。しかし、レーザダイオード31のカソードとスタートリミットスイッチ25の他端とが直接接続されてもよい。
重要なことは、レーザダイオード31の電流流入端と電流流出端とを電気的に接続する点である。
また、レーザダイオード31の電流流入端と電流流出端とを短絡することが望ましいが、ある程度のインピーダンス(抵抗、キャパシタンス、インダクタンス)を介してこれらを電気的に接続してもよい。
【0079】
スタートリミットスイッチ25は、メカニカルスイッチである必要はなく、トランジスタ等によって構成された半導体スイッチであってもよい。
発光手段は、レーザダイオード31に限られるものではなく、LED(Light Emitting Diode)等であってもよく、いずれの場合も発光するためのエネルギーを供給するための電流流入端と電流流出端との間を適宜接続する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すピックアップの構成を示す断面図である。
【図3】図1に示す光ディスク装置の回路構成を示す回路図である。
【図4】図1に示す光ディスク装置のメカ部の一例を示す断面図である。
【図5】図1に示す光ディスク装置の応用例として、CDスイッチを利用してレーザダイオードの電流入出力線を短絡する構成を示す説明図である。
【図6】図1に示す光ディスク装置の応用例として、回動蓋に備えられたスイッチを利用してレーザダイオードの電流入出力線を短絡する構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0081】
1 光ディスク
31 レーザダイオード
32 ピンフォトダイオード
25 スタートリミットスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流流入端と電流流出端とを備え、電流流入端から電流流出端に流れる電流によって光ディスクの記録面に照射する光を発する発光手段と、
前記発光手段と光ディスクとを相対移動させる移動手段と、
前記発光手段が前記光ディスクに対して発光が不要である位置まで移動したときに検出信号を出力する検出手段と、
前記発光手段の前記電流流入端と前記電流流出端とに接続され、前記検出手段からの検出信号に基づいて、前記発光手段の前記電流流入端と前記電流流出端とを電気的に接続する接続手段と、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記検出手段は、
前記検出信号を出力するスイッチと、
前記発光手段が前記光ディスクにおいて光照射を不要とする発光不要位置まで移動したときに、前記スイッチ手段を、前記検出信号を出力するように制御するスイッチ制御手段と、
を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記スイッチ制御手段を前記光ディスクの半径方向に移送する移送手段を備え、前記検出手段は、前記発光手段を搭載して前記移送手段によって移送され、前記発光手段が前記光ディスクにおける発光不要位置まで移動して、前記スイッチ手段を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
電流流入端と電流流出端とを備え、電流流入端から電流流出端に流れる電流によって光ディスクの記録面に照射する光を発する発光手段と、
前記光ディスクに対する前記発光手段の光照射を不要とする状態として、前記光ディスクが、前記光ディスク収納用の筐体から排出されたことを検出する排出状態検出手段と、
前記排出状態検出手段の検出信号に応答して、前記発光手段の前記電流流入端と前記電流流出端とを電気的に接続する接続手段と、を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
電流流入端と電流流出端とを備え、電流流入端から電流流出端に流れる電流によって光ディスクの記録面に照射する光を発する発光手段と、
前記光ディスクに対する前記発光手段の光照射を不要とする状態として、前記光ディスクが、前記光ディスク収納用の筐体から排出可能状態とされたことを検出する排出可能状態検出手段と、
前記排出可能状態検出手段の検出信号に応答して、前記発光手段の前記電流流入端と前記電流流出端とを電気的に接続する接続手段と、を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
前記接続手段は、前記電流流入端と前記電流流出端と短絡する手段から構成される、ことを特徴とする請求項1乃全5のいずれかに記載の光ディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate