説明

光ディスク装置

【課題】スレッドの軽さ/重さ(制動距離の長短)に合わせて制動ブレーキ本数を制御することができる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】スレッドモータを駆動して光ピックアップの焦点を移動させるトラバースシークを行うとき、制御部は、高速,中速,低速の3段階に分けて、このトラバースシークを行う。高速トラバースシークにおける制動距離に基づいて、中速,低速のトラバースシークの制動トラック本数を調整する。これにより、スレッドの軽い(制動距離の長い)製品に合わせて設定されている基準制動トラック本数を少なく補正して的確に着地目標トラックに着地できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ディスク装置におけるトラバースシークの高速化に関する。
【背景技術】
【0002】
数十本以上のトラックを横切って光ピックアップの焦点を移動させる場合、スレッドモータを駆動して光ピックアップを搭載したスレッド自体を光ディスクの半径方向に移動させるトラバースシークを実行する。スレッドは慣性重量を有するため、着地目標トラックの所定本数出前のトラックから制動をかけるようにしている。
【0003】
ところで、光ディスク装置を構成する各部品の性能等は完全に均一ではなく、若干のばらつきがあるため、スレッドの移動の軽さにもばらつきがある。ここで、トラバースシークした場合にスレッドの制動距離が長いものを「スレッドが軽い」または「軽いスレッド」と称し、スレッドの制動距離が短いものを「スレッドが重い」または「重いスレッド」と称することとする。
【0004】
トラバースシークにおいてオーバーランは厳禁である。すなわち、最内周から最外周へ移動する場合にオーバーランしてしまうと、光ピックアップの焦点がディスク外へ飛び出してしまい、トラッキングの回復か不可能になってしまううえ、光ピックアップユニット等に損傷をきたすおそれがあるためである。
【0005】
このため、従来の光ディスク装置では、最もスレッドの軽いものを基準に、トラバースシーク時の制動開始タイミングが早い目に設定されていた。一般に制動開始タイミングは、制動開始時に通過するトラックから着地目標トラックまでの制動区間のトラック本数(制動トラック本数)で定義され、この制動トラック本数が、最もスレッドの軽いものを基準に長く設定されていた。
【0006】
このようなトラバースシークの制御を行う先行技術としては、特許文献1や特許文献2等がある。
【特許文献1】特開2005−190541号公報
【特許文献2】特開2003−022632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、スレッドの重い光ディスク装置でトラバースシークを行った場合、最もスレッド軽いものに合わせて設定された制動トラック本数で制動を掛けると、着地目標トラックの大きく手前で光ピックアップの焦点が着地してしまうことになり、その後さらに長い距離(たくさんのトラック本数)を追加でトラバースシークしなければならなくなり、トラバースシークに時間が掛かってしまうという問題点があった。
【0008】
この発明は、スレッドの軽さ/重さ(制動距離の長短)に合わせて制動ブレーキ本数を制御することができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) この発明は、スレッドモータを駆動して加速区間、定速区間および制動区間を含む速度制御で光ピックアップの焦点を移動させるトラバースシークを行う光ディスク装置において、
シーク対象トラックが指示されたとき、定速区間の速度を順次低くして複数回のトラバースシークを行って、光ピックアップの焦点が前記シーク対象トラックに到達するよう制御するトラバース制御手段と、各回のトラバースシークにおいて基準となる制動区間の開始タイミングである基準制動開始タイミングを記憶した記憶手段と、前記複数回のトラバースシークのうち、1回目のトラバースシークにおける制動区間の移動距離である制動距離に基づいて、2回目以後のトラバースシークの基準制動開始タイミングを補正して前記トラバース制御手段に供給する制動制御手段と、光ディスクがセットされたとき実行するTOCリード動作時のトラバースシークにおける制動距離および/または過去のトラバースシークにおける制動距離に基づいて、前記記憶手段の標準制動開始タイミングを修正する修正手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
(2) この発明は、スレッドモータを駆動して加速区間、定速区間および制動区間を含む速度制御で光ピックアップの焦点を移動させるトラバースシークを行う光ディスク装置において、
シーク対象トラックが指示されたとき、複数回のトラバースシークを行って、光ピックアップの焦点が前記シーク対象トラックに到達するよう制御するトラバース制御手段と、前記複数回のトラバースシークのうち、1回目のトラバースシークにおける制動区間の移動距離である制動距離に基づいて、2回目以後のトラバースシークにおける制動区間の開始タイミングを調整する制動制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
この発明では、シーク動作がオーバーランしないように、シーク対象トラックよりも手前に着地させつつトラバースシークを複数回に分けて行う。この場合において、2回目以後のトラバースシークにおける制動区間の開始タイミングを1回目のトラバースシークにおける制動距離に基づいて調整する。これにより、2回目以後のトラバースシークを高精度に着地目標トラックに着地させることができる。ここで、制動区間の長さは、一般的にトラックの本数で表され、着地目標トラックから該本数手前のトラックを通過したタイミングが前記制動区間の開始タイミングとなる。
【0012】
(3) この発明は、前記トラバース制御手段は、定速区間の速度を順次低くして、複数回のトラバースシークを実行することを特徴とする。
【0013】
この発明では、複数回のトラバースシークを順次速度を低くして行うことにより、最初は粗く高速にシークし、順次短い距離(少ないトラック数)を細かくシークしてゆくことができる。
【0014】
(4) この発明は、各回のトラバースシークにおいて基準となる制動区間の開始タイミングである基準制動開始タイミングを記憶した記憶手段を備え、前記制動制御手段は、1回目のトラバースシークの制動距離に基づいて2回目以後のトラバースシークの基準制動開始タイミングを補正して前記トラバース制御手段に供給する手段であることを特徴とする。
【0015】
一般の光ディスク装置では、最もスレッドの軽い製品に合わせた早い制動開始タイミングを基準制動開始タイミングとして設定しているが、すなわち、長い制動トラック本数を基準制動トラック本数として設定しているが、この発明では、1回目のトラバースシークにおける制動距離(実際に着地(停止)したトラック)に基づいて、基準制動開始タイミング(制動トラック本数)を補正する。これにより、2回目以後のトラバースシークでは、装置の実態にあった制動開始タイミング(制動トラック本数)で制動を行うことができる。
【0016】
(5) この発明は、過去のトラバースシークにおける制動距離に基づいて、前記記憶手段の標準制動開始タイミングを修正する修正手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
一般の光ディスク装置では、最もスレッドの軽い製品に合わせた早い制動開始タイミングを基準制動開始タイミングとして設定しているが、すなわち、長い制動トラック本数を基準制動トラック本数として設定しているが、この発明では、過去のトラバースシークにおける制動距離(実際に着地(停止)したトラック)の履歴に基づいて、基準制動開始タイミング(制動トラック本数)を修正して新たに記憶する。これにより、それ以後の上記(4)の処理における補正量を少なくすることができる。
【0018】
(6) この発明は、光ディスクがセットされたとき実行するTOCリード動作時のトラバースシークにおける制動距離に基づいて、前記記憶手段の標準制動開始タイミングを修正する修正手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、光ディスク装置のスレッドの軽さ/重さ(制動距離の長短)にばらつきがあり、スレッドの軽いものに合わせて、トラバースシークにおける制動開始タイミング(制動トラック本数)が設定されていても、各トラバースシークにおいて自動的に個々の製品に合わせた制動開始タイミングを設定して高速なシークが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、この発明の実施形態である光ディスク装置の制御部のブロック図である。光ディスク装置は、機構部として光ピックアップユニット4を備えている。光ピックアップユニット4は、光ピックアップ2を搭載したスレッド3、このスレッドを光ディスク10の半径方向に移動させるスレッドモータ5、光ディスク10を回転させるスピンドルモータ6等を備えている。また、スレッドには、光ピックアップを光ディスクの半径方向に微小距離移動させるトラッキングアクチュエータ(不図示)、光ピックアップの対物レンズを光ディスクの法線方向に移動させるフォーカスアクチュエータ(不図示)が設けられている。
【0021】
図1に示す制御部は、アナログ信号処理部11、サーボ処理部12、モータ駆動部13、デジタル信号処理部14、レーザ駆動部15、コントローラ16、アクチュエータ駆動部17を有している。
【0022】
アナログ信号処理部11は、光ピックアップ2が受光した反射光に基づいてフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号を生成し、サーボ処理部12に出力する。
【0023】
フォーカスエラー信号とは、光ピックアップに備えられた対物レンズより照射される光ビームスポットと光ディスク10の記録面との焦点方向のずれを示す信号である。トラッキングエラー信号とは、前記光ビームスポットと光ディスク10の情報トラックの光ディスク半径方向のずれを示す信号である。情報トラックを横切って光ピックアップを移動させたとき、このトラッキングエラー信号の変化波形により、トラックを何本横切ったかを測定することができるとともに、その変化波形の周波数により移動速度を検出することができる。
【0024】
サーボ処理部12は、ON/OFF回路、演算回路、フィルタ回路、増幅回路等によって構成され、光ビームスポットが光ディスク10の情報トラックに追従するように対物レンズをフォーカス/トラッキング制御し、さらにトラッキングエラー信号の低域成分を用いて対物レンズが概略中立位置を保持するようにフィード制御を行う。対物レンズのフォーカス/トラッキング制御は、サーボ処理部12の指示により、アクチュエータ駆動部17により、前記フォーカスアクチュエータおよびトラッキングアクチュエータを駆動し、対物レンズをフォーカス方向およびトラッキング方向に駆動制御することによって行われる。スレッド3は、スレッドモータ5を回転させることによって光ディスクの半径方向に移動するが、その際スレッドモータ5はサーボ処理部12の指示によりモータ駆動部13によって駆動制御される。
【0025】
コントローラ16は、このように構成されたサーボ部の全体のコントロールを行うものである。コントローラは、不揮発性メモリおよび揮発性メモリを備えており、不揮発性メモリに図2(B)に示すトラバースシーク設定テーブルを記憶している。なお、不揮発性メモリは書き換え可能なフラッシュメモリであってもよく、書き換え不可能なROMであってもよい。
【0026】
次にアクセス制御について説明する。アクセス制御によって行われるシーク制御には、粗シークであるトラバースシークと、微調整であるトラックジャンプとがある。トラバースシークは、スレッドモータ5を駆動してスレッド3そのものを移動させるシーク動作であり、トラックジャンプは、トラッキングアクチュエータを用いて光ピックアップ2を光ディスクの半径方向に移動させるシーク動作である。
【0027】
図2を用いてトラバースシークについて詳述する。この光ディスク装置は、トラバースシークを高速且つ確実に行うため、図2(C)に示すように、シーク動作を3段階に分けて行う。すなわち、最初に高速トラバースシーク111を行い、次に中速(通常)トラバースシーク112を行い、最後に低速トラバースシーク113を行う。そして、トラバースシークによって着地したトラックからシーク対象トラックまではマルチジャンプ114で移動させる。
【0028】
ここで、各トラバースシークは、同図(A)に示すような駆動制御で行われ、加速区間101,定速区間102,制動区間103の3つの区間からなる。トラッキング(光ピックアップ2の焦点)がオーバーランしないように、シーク対象トラックよりも所定本数手前のトラックが、各トラバースシークの着地目標トラックとして設定され、この着地目標トラックに向けて、所定本数手前のトラックから制動区間103が設定される。この制動区間は、最もスレッドの軽い製品を基準として設定された(長い)制動トラック本数(基準制動トラック本数)に基づいて決定される。
【0029】
なお、制動は、DCモータであるスレッドモータ5に制動電圧を印加するか、または、通電を停止し、モータを短絡させることで行う。また、光ピックアップ2の焦点がトラックを横切る毎にトラッキングエラー信号が振動するため、トラッキングエラー信号の振動周波数でトラバースシークの速度を測定する。
【0030】
高速トラバースシークは、8000本以上のトラックを横切るシーク指示が発生したときに実行されるものであり、トラッキングエラー信号の振動周波数が40kHzになる速度で行い、着地目標トラックをシーク対象トラックの500本手前に設定する。そして、その着地目標トラックの1500本手前のトラックから制動を開始する。
【0031】
中速トラバースシークは、300〜8000本のトラックを横切るシーク指示が発生したときに実行されるものである。したがって、上記の高速トラバースシークを行った場合でも、その着地トラックからシーク対象トラックまではトラック300本以上の距離があるため、再度中速トラバースシークを行う。中速トラバースシークは、トラッキングエラー信号の振動周波数が27kHzになる速度で行い、着地目標トラックをシーク対象トラックの70本手前に設定する。そして、その着地目標トラックの210本手前のトラックから制動を開始する。
【0032】
低速トラバースシークは、50〜300本のトラックを横切るシーク指示が発生したときに実行されるものである。上記の中速トラバースシークを行った場合でも、その着地トラックからシーク対象トラックまではトラック50本以上の距離があるため、再度低速トラバースシークを行う。低速トラバースシークは、トラッキングエラー信号の振動周波数が10kHzになる速度で行い、着地目標トラックをシーク対象トラックの5本手前に設定する。そして、その着地目標トラックの15本手前のトラックから制動を開始する。
【0033】
高速,中速,低速の各トラバースシークの基準設定内容は図2(B)のトラバースシーク設定テーブルとしてコントローラ16の不揮発性メモリに記憶されている。
【0034】
図3は、シーク動作制御処理を示すフローチャートである。この処理はコントローラ16が実行してサーボ制御部12等を制御する。
シーク指示が発生すると、現在光ピックアップ2がトラッキングしているトラックとシーク対象トラックとの距離(トラック本数)を計算する(s1)。s2でその本数を判断し、その本数が8000本以上であれば高速トラバースシーク(s4以下)を実行する。その本数が300〜8000本の範囲であれば中速トラバースシーク(s8以下)を実行する。その本数が50〜300本の範囲であれば低速トラバースシーク(s12以下)を実行する。その本数が50本未満であれば、直接マルチジャンプを行ってシーク対象トラックへ到達する(s15)。
【0035】
高速トラバースシークでは、図2(B)のトラバースシーク設定テーブルの上段に示した設定で、同図(A)の形状の加速区間−定速区間−制動区間の動作を実行する。高速トラバースシークで着地すると、その着地した点のアドレスを読み出して実着地トラックを割り出し、シーク対象トラックまでの本数(残トラック数)を算出する(s5)。そして、この着地したトラック位置と着地目標トラックとのずれ(誤差)を算出する(s6)。この誤差に基づいて中速トラバースシークの制動トラック本数,低速トラバースシークの制動トラック本数を修正する(s7)。すなわち、高速トラバースシークで、実着地トラックが着地目標トラックよりどの程度手前であったかに基づいて、中速トラバースシークおよび低速トラバースシークの制動トラック本数を基準制動トラック本数から少なく補正する。
【0036】
中速トラバースシークでは、図2(B)のトラバースシーク設定テーブルの中段に示した設定で、同図(A)の形状の加速区間−定速区間−制動区間の動作を実行する(s8)。なお、高速トラバースシーク(s7)から移行してきた場合には、制動トラック本数はs7で修正された値を用いる。中速トラバースシークで着地すると、その着地した点のアドレスを読み出して実着地トラックを割り出し、シーク対象トラックまでの本数(残トラック数)を算出する(s9)。
【0037】
そして、この着地したトラック位置と着地目標トラックとのずれ(誤差)を算出し(s10)、この誤差に基づいてて低速トラバースシークの制動トラック本数を修正する(s11)。すなわち、中速トラバースシークで、実着地トラックが着地目標トラックよりどの程度手前であったかに基づいて低速トラバースシークの制動トラック本数を基準制動トラック本数から少なく補正する。なお、このs10,s11の処理は、s3→s8に処理が進んだ場合には必須であるが、s7→s8に処理が進んだ場合には、高速トラバースシークs7で低速トラバースシークの制動トラック本数が補正されているため、必須の処理ではない。
【0038】
低速トラバースシークでは、図2(B)のトラバースシーク設定テーブルの下段に示した設定で、同図(A)の形状の加速区間−定速区間−制動区間の動作を実行する(s12)。なお、中速トラバースシーク(s9またはs11)から移行してきた場合には、制動トラック本数はs7またはs11で修正された値を用いる。低速トラバースシークで着地すると、その着地した点のアドレスを読み出して実着地トラックを割り出し、シーク対象トラックまでの本数(残トラック数)を算出する(s13)。こののち、残ったトラック本数をマルチジャンプで移動させて光ピックアップの焦点をシーク対象トラックに移動させる(s15)。
【0039】
上記処理では、トラバースシークごとに、s7またはs11において、トラバースシーク設定テーブル200の基準制動トラック本数を補正しているが、この基準制動トラック本数自体をこの装置のスレッドの重さに合わせて修正することも可能である。
【0040】
以下、基準制動トラック本数の修正処理動作について説明する。この修正処理を行うためには、過去のトラバースシークにおける誤差の履歴が必要であるため、図3のs6,s10で算出した誤差(およびそのとき用いた制動トラック本数)を記憶するとともに、s13のあと低速トラバースシークにおける誤差も求めてこれを記憶する(s14)。
【0041】
図4(A)は、基準制動トラック本数修正処理を示すフローチャートである。この処理は、シーク動作を所定回数(たとえば10回)行うごとに実行される処理である。
【0042】
まず、高速トラバースシークの着地誤差(およびそのときの制動トラック本数)の履歴に基づいて修正値を算出し(s21)、この修正値で基準ブレーキ本数を修正する(s22)。同様に、中速トラバースシークの着地誤差(およびそのときの制動トラック本数)の履歴に基づいて修正値を算出し(s23)、この修正値で基準ブレーキ本数を修正する(s24)。また、低速トラバースシークの着地誤差(およびそのときの制動トラック本数)の履歴に基づいて修正値を算出し(s25)、この修正値で基準ブレーキ本数を修正する(s26)。
【0043】
この修正した値で図2(B)に示す基準制動トラック本数そのものを書き換えてもよいが、トラバースシーク設定テーブル200(図2(B))とは別に、図4(C)に示す修正テーブル201を、コントローラ16の不揮発性メモリに設定し、この修正テーブル201に修正制動トラック本数を記憶し、それ以後の図3の処理動作では、この修正制動トラック本数を基準ブレーキ本数に代えて用いるようにしてもよい。
【0044】
図4(A)の基準制動トラック本数修正処理は、所定回数のシーク動作毎に実行されるが、2回目以後の処理では直前の処理で算出した修正制動トラック本数をさらに修正する処理を行う。
【0045】
また、光ディスク10がセットされたとき実行されるTOCのシーク動作における誤差に基づいて、基準制動トラック本数を修正してもよい。この処理の例を図4(C)に示す。光ディスク10がこの光ディスク装置にセットされると(s30)、TOCをシークして(s31)、その内容を読み出す(s33)が、そのとき、TOCのシーク動作時の実着地トラックの着地目標トラックとの誤差を算出し(s32)、この誤差に基づいて基準制動トラック本数を修正する。
【0046】
なお、上記実施形態では(たとえば図2(B)のトラバースシーク設定テーブル等においては)、光ディスクとしてDVDを例にあげて説明したが、この発明は、DVDに限定されずCD等を読み取る装置に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施形態である光ディスク装置の制御部のブロック図である。
【図2】この発明の実施形態である光ディスク装置におけるトラバースシークを説明する図である。
【図3】この発明の実施形態である光ディスク装置のコントローラのシーク動作を説明するフローチャートである。
【図4】この発明の実施形態である光ディスク装置のコントローラの基準制動トラック本数を修正する動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
2 光ピックアップ
3 スレッド
4 光ピックアップユニット
5 スレッドモータ
6 スピンドルモータ
10 光ディスク
11 アナログ信号処理部
12 サーボ処理部
13 モータ駆動部
14 デジタル信号処理部
15 レーザ駆動部
16 コントローラ
17 アクチュエータ駆動部
101 加速区間
102 定速区間
103 制動区間
104 制動距離
105 誤差
111 高速トラバースシーク区間
112 中速トラバースシーク区間
113 定速トラバースシーク区間
114 マルチジャンプ区間
200 トラバースシーク設定テーブル
201 修正テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スレッドモータを駆動して加速区間、定速区間および制動区間を含む速度制御で光ピックアップの焦点を移動させるトラバースシークを行う光ディスク装置において、
シーク対象トラックが指示されたとき、定速区間の速度を順次低くして複数回のトラバースシークを行って、前記光ピックアップの焦点が前記シーク対象トラックに到達するよう制御するトラバース制御手段と、
各回のトラバースシークにおいて基準となる制動区間の開始タイミングである基準制動開始タイミングを記憶した記憶手段と、
前記複数回のトラバースシークのうち、1回目のトラバースシークにおける制動区間の移動距離である制動距離に基づいて、2回目以後のトラバースシークの基準制動開始タイミングを補正して前記トラバース制御手段に供給する制動制御手段と、
光ディスクがセットされたとき実行するTOCリード動作時のトラバースシークにおける制動距離および/または過去のトラバースシークにおける制動距離に基づいて、前記記憶手段の標準制動開始タイミングを修正する修正手段と、
を備えた光ディスク装置。
【請求項2】
スレッドモータを駆動して加速区間、定速区間および制動区間を含む速度制御で光ピックアップの焦点を移動させるトラバースシークを行う光ディスク装置において、
シーク対象トラックが指示されたとき、複数回のトラバースシークを行って、前記光ピックアップの焦点が前記シーク対象トラックに到達するよう制御するトラバース制御手段と、
前記複数回のトラバースシークのうち、1回目のトラバースシークにおける制動区間の移動距離である制動距離に基づいて、2回目以後のトラバースシークにおける制動区間の開始タイミングを調整する制動制御手段と、
を備えた光ディスク装置。
【請求項3】
前記トラバース制御手段は、定速区間の速度を順次低くして、複数回のトラバースシークを実行する請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
各回のトラバースシークにおいて基準となる制動区間の開始タイミングである基準制動開始タイミングを記憶した記憶手段を備え、
前記制動制御手段は、1回目のトラバースシークの制動距離に基づいて2回目以後のトラバースシークの基準制動開始タイミングを補正して前記トラバース制御手段に供給する手段である請求項2または請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
過去のトラバースシークにおける制動距離に基づいて、前記記憶手段の標準制動開始タイミングを修正する修正手段を備えた請求項4に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
光ディスクがセットされたとき実行するTOCリード動作時のトラバースシークにおける制動距離に基づいて、前記記憶手段の標準制動開始タイミングを修正する修正手段を備えた請求項4または請求項5に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−193884(P2007−193884A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10442(P2006−10442)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】