説明

光ディスク装置

【課題】
光ディスク記録再生装置の汚れ及び欠陥の検出において、光ディスクの記録媒体の構造や状態、または装置の使用状況に関連して検出の分解能を変化することで、信頼性を確保しつつ時間的電力的に効率のよい検出を行う。
【解決手段】
101のディスクに対して、汚れ及び欠陥の検出を行う際、109の記録状態認識手段を用いて、光ディスクの検出を行う部分の記録面が既記録か未記録かを認識し、既記録の領域については検出の分解能を下げてすばやく検出を行い、未記録の領域については検出の分解能を上げて検出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク記録再生装置において、ディスク上の汚れ及び欠陥を検出する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
汚れや欠陥の検出を行い、正常に読み書きのできない領域については記録を行わず、交替領域と呼ばれる別の記録領域にデータを書き込むことで動作の正常性を保つ交替処理と呼ばれる方法として特許文献1や、データやアドレスの読み書きができない程度の汚れがディスク記録面に付着しているときには、装置使用者にディスク記録面の清掃を促すなどの方法をとることで光ディスク記録再生の誤動作を防止するものとして特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3040779号公報
【特許文献2】特開2001−160216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大容量のデータ記録媒体として、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク記録再生装置が開発され、PC用途からAV(Audio-Visual)用途まで幅広く利用されている。
【0005】
大容量な光ディスク装置では、デジタル化されたデータは、1μm以下の微細な単位で光ディスク上に記録されており、これらを正確に記録または再生することが要求される。
【0006】
しかしながら、装置から取り出して管理することが可能な光ディスクでは、ディスクを直接手で触れることでディスク記録面に指紋が付着したり、ディスク単体で放置することでディスク記録面に埃が付着したりすることが想定される。
【0007】
光ディスクでは、先に示したとおり、非常に微細なデータの読み書きを正確に行う必要があるため、このような汚れが付着した際には、正常な読み書きの動作ができなくなることが懸念される。
【0008】
上述した方法ではデータあるいはアドレスの読み書きによって汚れ及び欠陥の検出を行うため、データ単位での検出を行うことになり、ディスクの容量が大きくなると、その分ディスク全面の検出における所要時間および消費電力が大きくなる。
【0009】
指紋などの大きな汚れまたは欠陥については、データ単位で細かく検出を行わなくとも、単にディスクからの反射光量の検出をディスクの一面で行い、ある程度の検出を行うことができる。
【0010】
しかしこれらの検出ではディスクの全面で同一の分解能で一様に検出を行うため、ディスク及び装置の使用状態などに関わらず、一定の検出時間および電力を要する。
【0011】
実使用上では、ディスク媒体の表面コートなどによる汚れのつきにくい構造や、装置使用者の注意によって、さほど汚れや欠陥を気にする必要がない場合や、逆に欠陥や汚れに弱い構造のディスク媒体や、装置を使用する環境によっては、欠陥や汚れに対して特に配慮しなくてはならない場合がある。
【0012】
このため、すべての場合で一様な欠陥の検出方法を用いるのは効率が悪く、検出にかかる時間、電力を節約し、かつ状況に合わせて十分な検出分解能を判断し、効率的な検出を行うことが必要となる。
【0013】
本発明の目的は、光ディスク記録再生装置において、汚れ及び欠陥の検出の際に、光ディスク媒体及び光ディスク記録再生装置の状態に関連して、検出の分解能を制御し、効率的な検出方法を提供することで、検出に要する時間、電力を削減し、またそれに伴う発熱を抑えた光ディスク記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
汚れ及び欠陥の検出を行うことのできる光ディスク記録再生装置において、光ディスク媒体及び光ディスク記録再生装置の使用状況に関する情報を取得し、取得した情報を元にして汚れ及び欠陥の検出における分解能を制御し、検出を行うことを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光ディスク記録再生装置は、光ディスク上の汚れ及び欠陥の検出において、使用の状態に合わせて、より効率的な検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光ディスクの記録状態に関連して汚れおよび欠陥の検出の分解能を制御することを特徴とする光ディスク記録再生装置の実施方法を示した説明図である(実施例1)
【図2】汚れ及び欠陥検出を行った際の光スポットが光ディスク上を走査する軌跡を示した説明図である
【図3】汚れ及び欠陥検出の分解能と検出所要時間とをスピンドルモーターの回転速度と光ヘッドの移動速度に関連して示した説明図である
【図4】光ディスクに記録された情報の種別に関連して汚れ及び欠陥の検出の分解能を制御することを特徴とする光ディスク記録再生装置の実施方法を示した説明図である(実施例2)
【図5】光ディスク媒体の構造上の特徴に関連して汚れ及び欠陥の検出における分解能を制御することを特徴とする光ディスク記録再生装置の実施方法を示した説明図である(実施例3)
【図6】記憶された過去の汚れおよび欠陥の検出結果の情報に関連して汚れおよび欠陥の検出の分解能を制御することを特徴とする光ディスク記録再生装置の実施方法を示した説明図である(実施例4)
【図7】装置周囲の温度情報に関連して汚れ及び欠陥の検出における分解能を制御することを特徴とする光ディスク記録再生装置の実施方法を示した説明図である(実施例5)
【図8】装置使用者の皮膚の湿度に関連して汚れ及び欠陥の検出における分解能を制御することを特徴とする光ディスク記録再生装置の実施方法を示した説明図である(実施例6)
【図9】センサーを備えたカムコーダーの例の概観図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明による光ディスク記録再生装置の一実施の構成をブロック図で示したものである。
【0019】
図1において、101は記録媒体となる光ディスク、102は光ヘッド、103は光ディスクを回転するスピンドルモーター、104はサーボ制御手段、105は光ディスク上に記録された情報を再生する手段、106は欠陥を検出する手段、107はシステムを制御する手段、108は光ヘッドを光ディスクの半径方向に対して移動するための送りモーター、109はディスク記録面の記録未記録を判別する手段である。
【0020】
101のディスクの内周側からディスク途中までデータの記録がされており、外周側に未記録の領域が存在しているとする。ディスクの記録状態については、外周側に既記録領域、内周側に未記録領域がある構造でもよく、また複数の既記録領域と複数の未記録領域が混在していても問題はない。102の光ヘッドにより101の光ディスクにレーザ光を照射し、反射光を示す電気信号から109の記録状態の判別手段により、レーザスポット照射位置のディスク記録面の記録未記録状態を判別する。ここで、記録未記録を判別するのに、105の再生手段を用いてディスクの管理情報に記録された情報を再生し判別を行ってもよい。汚れ及び欠陥の検出を開始すると、107の制御手段は、取得されたディスクの記録未記録状態とのデータをもとに、検出分解能の設定を行う。107の制御手段は106の欠陥検出手段に対して、検出閾値を設定、または、104のサーボ制御手段に対し、103のスピンドルモーターの回転速度と102の送りモーターによる光ヘッドの移動速度を設定することで検出分解能の設定を行う。
【0021】
汚れ及び欠陥の検出動作中には102の光ヘッドからの信号を用いて、106の欠陥検出手段によって欠陥を検出する。また、検出動作時に109の判別手段により検出を行っている間も、光スポット位置の記録面の記録未記録状態を同時に検出し、レーザスポットの走査位置が既記録領域から未記録領域に、あるいは逆に未記録領域から既記録領域に変わったことが検出されると、107の制御手段は、前述のような手段で検出の分解能を設定する、分解能の制御に関しては後述する内容で具体例を示す。このようにして未記録の領域と既記録の領域とで分解能を制御して検出を行う。
【0022】
つぎに本発明の汚れ及び欠陥検出における分解能制御の仕組みに関して例示する。
【0023】
図2において、201a、201b、201c、201dは光ディスクであり、(a)(b)(c)(d)において202、203、204、205の破線はそれぞれ光スポットを走査して汚れ及び欠陥の検出を行う際の光スポット走査の軌跡を示している。また(d)において206の斜線で示された領域は、ディスク記録面の既記録領域を示しており、201dに示す光ディスクの斜線部以外の領域は未記録であるものとする。
【0024】
202、203、204、205で示されるような軌跡について、回転中のディスク上に光スポットをディスクの内周側から外周側にディスクの半径方向に直線的に走査することで、ディスク上を光スポットが通る軌跡が図のような螺旋状となる。
【0025】
図2の(a)を通常の汚れ及び欠陥の検出における分解能で検出を行った場合の光スポットの軌跡とすると、(b)では203で示された軌跡は螺旋の幅が狭くなり、より小さな汚れあるいは欠陥を検出できるため、検出の分解能が高い。逆に(c)では、204で示された軌跡の螺旋の幅が広いため、検出の分解能は低い。
【0026】
汚れ及び欠陥の検出の方法はこのとおりでなくともよく、光ディスクの回転方向が逆であったり、光ヘッドの移動の方向が逆であったり、ディスクの回転や光ヘッドの移動に折り返しを伴っていてもよい。
【0027】
図2(d)では、図1で示した第一の実施例において、既記録領域の検出の分解能を未記録領域の検出の分解能よりも低くなるように制御して汚れ及び欠陥検出を行ったとき、光ディスク上に光スポットを走査する軌跡を示している、ディスク内周の既記録領域では図2(c)と同様の分解能で検出を行い、ディスク外周の未記録領域では図2(b)と同様の分解能で検出を行っている。
【0028】
図3では、図2に例示したような方法の汚れ及び欠陥の検出における分解能と検出にかかる所要時間を、光ヘッドの移動速度と光ディスクの回転速度に関連して例示した。
【0029】
図3において、301の矢印はディスク回転速度の変化を示しており、右に進むと回転速度が速くなることを示す。302は光ヘッドが光ディスクの半径方向に対して移動する速度の変化を示しており、左下に行くほど移動速度が速くなることを示す。304、305、306、307、308、309の各点は、ある一定の回転速度で光ディスクを回転し、同時に光ヘッドをある一定の移動速度で内周から外周へ移動させて、汚れ及び欠陥の検出を行った際の分解能と検出にかかる所要時間を示している。304の点では通常のパラメータで検出を行った際の分解能と検出所要時間を示しているとする、このときの光スポットの軌跡は図2の(a)のようになるとする。
【0030】
ここで、光ディスクの回転数は一定のまま、光ヘッドの移動速度を速くすると、304の点から303の点へ検出パラメータが変化し、検出にかかる時間は少なくなり、検出分解能は低くなる、このときの検出における光スポットの移動の軌跡は図2の(c)のようになる。逆に光ディスクの回転数は一定のまま、光ヘッドの移動速度を遅くすると、304の点から305の点へ検出パラメータが変化し、検出にかかる時間は長くなるが、検出分解能は高くなる、このとき光スポットの移動の軌跡は図2の(b)に対応する。このように、光ヘッドの移動速度のみでの分解能の制御は、高い分解能で検出を行おうとすると、より多くの時間を要することとなる。
【0031】
次に光ヘッドの移動速度は一定のまま、光ディスクの回転数を速くすると、304の点から307の点に検出パラメータが変化し、検出にかかる時間はそのままで検出の分解能を高くすることができる、このとき検出時の光スポットの軌跡は図2の(b)で示されるような軌跡となる。逆に、光ヘッドの移動速度は一定のままで、光ディスクの回転数を遅くすることで、検出の分解能を下げることも可能である。光ディスクの回転数を制御することにより、検出にかかる所要時間を変えずに分解能を制御できるが、光ディスクの回転数の変化を頻繁に行うと電力的及び時間的な消耗が大きくなる、このため光ヘッドの移動速度の制御と光ディスクの回転数制御の両者を併用して検出の分解能を制御するのが効率的である。
【実施例2】
【0032】
図4は本発明による光ディスク記録再生装置における第二の実施例の構成をブロック図で示したものである。
【0033】
図4において、401は記録媒体となる光ディスク、402は光ヘッド、403は光ディスクを回転するスピンドルモーター、404はサーボ制御手段、405は光ディスク上に記録された情報を再生する手段、406は欠陥を検出する手段、407はシステムを制御する手段、408は光ヘッドを光ディスクの半径方向に対して移動するための送りモーター、409は光ヘッドの位置を検出する手段、410は光ディスクに記録されている情報の種類を認識する手段である。
【0034】
402の光ヘッドにより、401の光ディスク媒体にレーザ光を照射し、光ディスクに記録されている管理情報のうち、ディスクに記録されている情報のディスク上における位置を示す部分を読み取り、405の再生手段によって再生し、410の情報の種類を認識する手段はこの情報を管理情報とデータ情報とに大別し、それらの記録された領域を認識する。401の光ディスクの記録面にはらせん状か同心円状にデータが記録されているため、記録されているデータによって光ディスクの領域を分割すると、分割された領域はディスクの円形と同心円状の領域となる。402の光ヘッドはディスクの半径方向に直線的に移動ので、光ヘッドの位置と前記の領域分割手段により分割された領域の関係は、光ヘッドのディスクの半径方向についての位置によって決まる。ここで、ディスク内の管理情報とデータ情報が記録された領域を認識する際、管理情報を読み取らなくとも、ディスクの規格や装置の仕様などによって、ディスクに記録する情報のデータ構造があらかじめ定められている場合にはそれを参照してもよい。
【0035】
検出は前述の実施例1と同様、407の制御手段が、404のサーボ制御手段を介して403のスピンドルモーターを駆動しディスクを回転させ、408の送りモーターによって402の光ヘッドを内周から外周へ走査し、光ヘッドからのレーザ光が401のディスクによって反射したレーザ戻り光を検出し、406の欠陥検出手段を用いて行う。402の光ヘッドの移動の方向はこのとおりでなくてもよく、逆方向でもよいし、折り返しを伴っていてもよい。分解能の設定は前述の実施例1と同様に、404のサーボ制御手段、403のスピンドルモーター、408の送りモーター、406の欠陥検出手段に対して、設定値を制御することで行う。
【0036】
汚れ及び欠陥の検出動作中、409の光ヘッド位置検出手段は402の光ヘッドのディスク半径方向に対しての初期位置からの移動量を408の送りモーターの駆動を監視することにより検出し、走査中の光スポットの光ディスク上における位置を認識する。ここで、409の光ヘッド位置検出手段の光ヘッドの位置を検出する方法は、408の送りモーターを監視する方法でなくとも、光ヘッドの位置を、センサーを用いることにより直接測定する方法でもよい。407の制御手段は、409の光ヘッド位置検出手段により検出される光スポットの位置と、410の記録情報の種類を認識する手段により認識される、管理情報の記録領域とデータ情報の記録領域の情報とを参照する。409により検出される光ヘッドの位置が管理情報の記録された領域である場合、汚れ及び欠陥を行っている部分の記録データは管理情報であり、管理情報のデータとしての重要性は高いため、この領域での汚れ及び欠陥の検出における分解能は高く設定して行う。
【0037】
同様の構成で、ディスクの管理情報から、ディスクの記録領域と未記録領域とを検出し、未記録の領域での汚れ及び欠陥の検出における分解能を高く設定して検出を行ってもよい。
【実施例3】
【0038】
図5は本発明による光ディスク記録再生装置における第三の実施例の構成をブロック図で示したものである。
【0039】
図5において、501は記録媒体となる光ディスク、502は光ヘッド、503は光ディスクを回転するスピンドルモーター、504はサーボ制御手段、505は光ディスク上に記録された情報を再生する手段、506は欠陥を検出する手段、507はシステムを制御する手段、508は光ヘッドを光ディスクの半径方向に対して移動するための送りモーター、509は光ディスク媒体の構造を判別する手段である。
【0040】
502の光ヘッドにより、501の光ディスク媒体にレーザ光を照射し、光ディスクに記録されている管理情報のうち、媒体の構造を示す情報を読み取り、509の判別手段は読み取った情報から光ディスク媒体の構造を判別する。構造の認識に当たっては、管理情報を読み取らなくとも、502の光ヘッドのフォーカスを動かし、焦点深度を変えた際の反射光の変化からその構造を判断してもよい。
【0041】
光ディスクの構造について、たとえば光ディスクの片面に複数の記録面の層構造を持つ光ディスク媒体は、複数の層を選択して精度よく焦点をあわせなくてはならないため、表面に少しの汚れや欠陥がある場合でも大きな影響がある。またディスク表面の傷や汚れの付着を防ぐためのハードコートを持たない構造の光ディスク媒体、ディスクの両面に記録面を持つ光ディスク媒体などは、使用者がディスクの出し入れなどでディスクに触れる際に、指紋をつける可能性が高い。また青色レーザーダイオードをつかって記録再生を行う次世代光ディスクなどの記録密度の高いディスク媒体に対しては、より微細な精度で記録再生を行わなくてはならないため、表面の汚れや欠陥にはより注意を払う必要がある。したがって上記のような構造のディスク媒体を509の判別手段によって判別し、507の制御手段は認識されたディスク媒体の構造によって、欠陥検出を行う際に、その分解能を通常より高く設定する。ここで、分解能をあげるための手段は前述した実施例1と同様に、503のスピンドルモーター、504のサーボ制御手段、508の送りモーター、506の欠陥検出手段のうち一つ以上に対して設定を行うことで実現する。
【0042】
汚れ及び欠陥の検出は実施例1と同様に、507の制御手段が、504のサーボ制御手段を介して503のスピンドルモーターを駆動し、508の送りモーターによって502の光ヘッドを内周から外周へ走査し、光ヘッドによって検出されたレーザ戻り光から506の欠陥検出手段を用いて行うことができる。
【実施例4】
【0043】
図6は本発明による光ディスク記録再生装置における第四の実施例の構成をブロック図で示したものである。
【0044】
図6において、601は記録媒体となる光ディスク、602は光ヘッド、603は光ディスクを回転するスピンドルモーター、604はサーボ制御手段、605は光ディスク上に記録された情報を再生する手段、606は欠陥を検出する手段、607はシステムを制御する手段、608は光ヘッドを光ディスクの半径方向に対して移動するための送りモーター、609は光ヘッドの位置から光スポットが光ディスクの半径方向のどの位置にあるかを検出する手段、610は記憶手段、611は記憶手段に蓄積されたデータから汚れのディスク上に汚れの検出されやすい領域と検出されにくい領域とを統計的に判断する手段である。
【0045】
610の記憶手段には、過去数回分の汚れ及び欠陥検出を行った際の検出結果と検出された汚れ及び欠陥のディスク上の位置情報データが記憶される。610に記憶する情報は、検出された汚れまたは欠陥の大きさ、濃さでもよい。610の記憶手段に、過去の検出結果データがない場合には、通常の分解能で汚れ及び欠陥検出を行う。以下には610の記憶手段内に過去の検出結果データが記憶されている場合について説明する。汚れ及び欠陥検出を行う際に、611の統計的判断手段はディスクの記録領域をディスクの半径方向について複数のゾーンに分け、610の記憶手段から、過去の汚れ及び欠陥の検出における検出回数と光ディスクの半径方向の位置との関係を参照し、ディスク上におけるゾーンごとの過去の汚れ及び欠陥の検出回数情報を取得する。
【0046】
611の判断手段はさらに、取得された過去の汚れ及び欠陥のゾーンごとの検出回数情報から検出分解能を決定する。検出分解能の決定には、ゾーンごとに過去の汚れ及び欠陥の検出回数が、任意の閾値A1よりも少ない場合には、検出の分解能を下げ、閾値A2よりも多い場合には検出の分解能を上げる。分解能の決定については閾値A1、A2による判別でなくとも、過去の検出確率の値に応じた値を設定してもよい。
【0047】
検出は前述の実施例1と同様607の制御手段が、604のサーボ制御手段を介して603のスピンドルモーターを駆動し、608の送りモーターによって602の光ヘッドを内周から外周へ走査し、光ヘッドによって検出されたレーザ戻り光から606の欠陥検出手段を用いて行う。分解能の設定は前述の実施例1と同様に、604のサーボ制御手段、603のスピンドルモーター、608の送りモーター、606の欠陥検出手段に対して、設定値を制御することで行う。汚れ及び欠陥の検出動作中、609の光ヘッド位置検出手段は光ディスクの半径方向に対する602の光ヘッドの初期位置からの移動量を608の送りモーターの駆動を監視することにより検出し、走査中の光スポットの光ディスク半径方向における位置を認識する。ここで、609の光ヘッド位置検出手段の光ヘッドの位置を検出する方法は、608の送りモーターを監視する方法でなくとも、光ヘッドの位置を、センサーを用いることにより直接測定する方法でもよい。607の制御手段は、609の光ヘッド位置検出手段により検出された光スポットの位置が、611の統計的判断手段により分割されたゾーンの別のゾーンに移動したことを認識すると、611の判断手段により設定されたゾーンごとの検出分解能を参照し設定を行う。
【0048】
606の欠陥検出手段により、検出動作中に汚れあるいは欠陥が検出された際には、607の制御手段は、608の光ヘッド位置検出手段をから光ヘッドの位置情報を参照し、610の記憶手段に対し検出結果として記録する。この検出結果の記録動作は、検出動作中に行ってもよいし、検出終了時にまとめて行ってもよい。また、このとき新たな検出結果を記録するとともに、610の記憶手段に存在するもっとも古い検出結果のデータを消去してもよい。
【実施例5】
【0049】
図7は本発明による光ディスク記録再生装置における第五の実施例の構成をブロック図で示したものである。
【0050】
図7において、701は記録媒体となる光ディスク、702は光ヘッド、703は光ディスクを回転するスピンドルモーター、704はサーボ制御手段、705は光ディスク上に記録された情報を再生する手段、706は欠陥を検出する手段、707はシステムを制御する手段、708は光ヘッドを光ディスクの半径方向に対して移動するための送りモーター、709は外部温度情報を取得するためのセンサー、710はセンサーからの情報から検出分解能を判断する手段である。
【0051】
汚れ及び欠陥の検出は、前述の実施例1と同様に702の光ヘッドが701の光ディスク上にレーザ光を照射し、703のスピンドルモーターによる光ディスクの回転と、708の送りモーターによって702の光ヘッドを光ディスクの半径方向に駆動することによって、光ディスク上に照射されたレーザスポットを走査する。光ディスクからの反射光を観測し、706の欠陥の検出手段により、反射光の増減を観測し欠陥を検出する。
【0052】
検出を行う前に、709のセンサーにより装置周辺の温度情報を取得し、710の分解能判断手段は、取得された温度情報が、任意の閾値B1よりも高い場合には、装置使用者の汗による汚れがディスクにつきやすい状態と判断し、検出分解能を高く設定するように707の制御手段に対して情報を送信する。707の制御手段は検出における分解能を上げるため、前述の実施例1と同様に704のサーボ制御手段を介して、703のスピンドルモーターの回転数を速くする、あるいは702の光ヘッドの移動速度を遅くする、もしくは706の欠陥検出手段における欠陥検出の閾値を下げるように設定を行う。ここでは709のセンサーは温度情報を得るためのセンサーとしたが、取得する環境情報としては湿度、環境光、天候の情報でもよく、また直接環境情報を取得する手段でなく、外部ネットワークより環境情報のデータを取得する手段でもよい。また、環境情報を取得する契機は、装置から光ディスクを出し入れしたときでもよいし、検出を行う直前でもよい。
【実施例6】
【0053】
図8は本発明による光ディスク記録再生装置における第六の実施例の構成をブロック図で示したものである。
【0054】
図8において、801は記録媒体となる光ディスク、802は光ヘッド、803は光ディスクを回転するスピンドルモーター、804はサーボ制御手段、805は光ディスク上に記録された情報を再生する手段、806は欠陥を検出する手段、807はシステムを制御する手段、808は光ヘッドを光ディスクの半径方向に対して移動するための送りモーター、809は装置使用者の皮膚の湿度を測定するセンサー、810はセンサーからの情報に関連して検出分解能を判断する手段である。
【0055】
本発明の装置としては、図8の809のセンサーが、装置を通常使用時に使用者が自然に触れる位置にあり、図9に示すようなカムコーダーの場合、図9(a)に示す901aのカムコーダーでは、902aの斜線部の位置にセンサーがあると、図9(b)のように片手で持って使用する際、903の使用者の手が902bの斜線部で示すセンサー部にちょうど接触するため、使用者が意識することなく検出が行える。本発明の適用は、カムコーダーに限ったものではないが、図9のカムコーダーのような携帯型の装置やリモコンといった自然に手に触れる位置にセンサーを設置する構成が効果的である。検出の際に使用者に対してセンサー部に触れることを要求するようにしてもよく、据え置き型の装置本体にセンサーが付属するような装置構成でもよい。
【0056】
汚れ及び欠陥の検出は、前述の実施例1と同様に802の光ヘッドが801の光ディスク上にレーザ光を照射し、803のスピンドルモーターによる光ディスクの回転と、808の送りモーターによって802の光ヘッドを光ディスクの半径方向に駆動することによって、光ディスク上に照射されたレーザスポットを走査する。光ディスクからの反射光を観測し、806の欠陥の検出手段により、反射光の増減を観測し欠陥を検出する。
【0057】
検出を行う前に、809のセンサーにより装置使用者の皮膚の湿度の情報を取得する。810の分解能判断手段は、取得された皮膚の湿度の情報が、任意の閾値C1よりも高い場合には、装置使用者の汗による汚れがディスクにつきやすい状態と判断し、検出分解能を高く設定するように807の制御手段に対して情報を送信する。807の制御手段は検出における分解能を上げるため、前述の実施例1と同様に804のサーボ制御手段を介して、803のスピンドルモーターの回転数を速くする、あるいは802の光ヘッドの移動速度を遅くする、もしくは806の欠陥検出手段における欠陥検出の閾値を下げるように設定を行う。
【0058】
ここでは809のセンサーは皮膚の乾燥状態の情報を得るためのセンサーとしたが、取得する情報としては体温、体脂肪、心拍数、血圧でもよい。また、使用者の身体情報を取得する契機は、装置から光ディスクを出し入れしたときでもよいし、検出を行う直前でもよい。
【符号の説明】
【0059】
101、201a、201b、201c、201d、401、501、601、701、801 … 光ディスク媒体、
102、402、502、602、702、802 … 光ヘッド 、
103、403、503、603、703、803 … スピンドルモーター、
104、404、504、604、704、804 … サーボ制御手段、
105、405、505、605、705、805 … 再生手段、
106、406、506、606、706、806 … 欠陥検出手段、
107、407、507、607、707、807 … 制御手段、
108、408、508、608、708、808 … 送りモーター、
109 … 記録状態を認識する手段、
202、203、204、205 … 汚れ及び欠陥の検出時光スポット軌跡、
206 … 未記録領域、
301 … ディスク回転速度の変化、
302 … 光ヘッド移動速度の変化、
303、304、305、306、307、308 … 汚れ及び欠陥の検出における所要時間と検出分解能を示す点、
409、609 … 光ヘッドの位置を検出する手段、
410 … 情報の領域を認識する手段、
509 … 媒体構造を判別する手段、
610 … 記憶手段、
611 … 統計的に分解能を判別する手段、
709 … 装置周囲の温度を測定するセンサー、
710… 装置周囲の環境情報を判断手段、
809… 装置使用者の皮膚湿度測定用センサー、
810 … 装置使用者の身体的特徴を判断する手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ヘッドから光ディスク記録面に光スポットをあて、汚れまたは欠陥を検出する汚れ検出手段を有する光ディスク記録再生装置であって、光ディスクの構造を検出する第一の検出手段、または光ディスクの状態を検出する第二の検出手段、または装置の使用環境を検出する第三の検出手段のうち少なくともひとつ以上の検出手段を備え、前記第一から第三の検出手段のうち少なくともひとつからの検出結果により前記汚れ検出手段の分解能を制御する手段を有することを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク記録再生装置であって、
前記分解能を制御する手段は、光ディスクの半径方向に光ヘッドが移動する移動速度、光ディスクの回転速度、汚れまたは欠陥の検出感度、のうち少なくともひとつ以上を切り替えて、分解能を制御することを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項3】
光ヘッドから光ディスク記録面に光スポットをあて汚れまたは欠陥を検出する汚れ検出手段と、光ヘッドの位置を検出する位置検出手段と、光ディスクをデータ記録面の状態によって同心円状の複数領域に分割する分割手段を有する光ディスク記録再生装置であって、
前記光ヘッド位置検出手段によりデータ記録面上に分割された領域のどこに光ヘッドが位置するかの情報により、前記汚れ検出手段の分解能を制御する手段を有することを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光ディスク記録再生装置であって、
前記領域分割手段は、光ディスクの管理情報の記録領域とデータ情報の記録領域によって領域を分割する、光ディスクのデータ記録面の既記録と未記録によって領域を分割するのうち、少なくともひとつ以上の分割手段である、ことを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項5】
光ヘッドから光ディスク記録面に光スポットをあて、汚れまたは欠陥を検出する汚れ検出手段と光ディスクのデータ記録面の既記録と未記録とを判別する記録状態の判別手段とを有する光ディスク記録再生装置であって、
前記記録状態の判別手段により取得されたデータ記録面の記録状態により、前記汚れ検出手段の分解能を制御することを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光ディスク記録再生装置であって、
前記第一の検出手段は、光ディスクのデータ記録面に汚れを防ぐ層構造がないこと、光ディスクの両面にデータ記録面を有する構造であること、光ディスクに複数のデータ記録面を有する層構造であることのうち少なくともひとつ以上を検出するものであり、第一の検出手段の検出結果に応じて、分解能を制御する手段は前記汚れ検出手段の分解能を高く設定することを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項7】
光ヘッドから光ディスク記録面に光スポットをあて、汚れまたは欠陥を検出する汚れ検出手段を有する光ディスク記録再生装置であって、
前記汚れ検出の検出結果を記憶する記憶手段を有していることを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光ディスク記録再生装置であって、前記記憶手段に記憶された汚れ検出の検出結果から、統計的に汚れ状態の特徴を検出する検出手段を有することを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光ディスク記録再生装置であって、
汚れ状態の特徴を検出する検出手段による汚れ状態の特徴検出結果に関連して、前記汚れ検出手段の分解能を制御する手段を有することを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項10】
請求項7、または請求項8、または請求項9のいずれかに記載の光ディスク記録再生装置であって、
前記記憶手段は、検出された汚れの光ディスクのデータ記録面上の位置、検出された汚れの大きさ、検出された汚れの濃さのうち、少なくともひとつ以上を記憶することを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項11】
光ヘッドから光ディスク記録面に光スポットをあて、汚れまたは欠陥を検出する汚れ検出手段を有する光ディスク記録再生装置であって、
光ディスク記録再生装置の周囲の環境状態を検出する手段を有し、前記環境状態の検出結果により、前記汚れ検出手段の分解能を制御する手段を有することを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項12】
請求項11に記載の光ディスク記録再生装置であって、
前記環境状態の検出手段は、温度の状態、湿度の状態、環境光の状態、紫外線含有量、天候の状態のうち少なくともひとつ以上を検出することを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項13】
光ヘッドから光ディスク記録面に光スポットをあて、汚れまたは欠陥を検出する汚れ検出手段を有する光ディスク記録再生装置であって、
身体の情報を検出する状態検出手段を備え、検出された身体の状態に関連して、前記汚れ検出の分解能を制御することを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項14】
請求項13に記載の光ディスク記録再生装置であって、前記状態検出手段は、皮膚の乾燥状態、体温の状態、血圧の状態、心拍数の状態、体脂肪率の状態のうち少なくともひとつ以上の状態の情報を取得し、取得した結果により前記汚れ検出手段の分解能を制御することを特徴とする光ディスク記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−181181(P2011−181181A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135884(P2011−135884)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【分割の表示】特願2005−134736(P2005−134736)の分割
【原出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】