説明

光ディスク装置

【課題】直径の異なる複数種類の光ディスクに対応可能であって、いずれの種類の光ディスクでも挿入ミスが発生し難い光ディスク装置を提供する。
【解決手段】光ディスク装置は、光ディスクの装置内への挿入に伴って光ディスクとともにスライド移動しながら光ディスクの移動を案内するディスクガイド部122を備える。ディスクガイド部122には、光ディスクに当接して該光ディスクの挿入方向の移動量を規制する規制部122f、122gが、光ディスクの直径に応じて変更されるように複数種類設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録される情報の再生を行う際、及び/又は、光ディスクに情報を記録する際に使用される光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブルーレイディスク(以下BDと記載)、デジタル多用途ディスク(以下DVDと記載)、コンパクトディスク(以下CDと記載)等の光ディスクに記録される情報を再生したり、これらの光ディスクに情報を記録したりするために光ディスク装置が使用される。このような光ディスク装置の中には、いわゆるスロットインタイプと呼ばれる光ディスク装置がある。スロットインタイプの光ディスク装置では、光ディスクは、ディスクトレイ(装置内に出し入れ可能に設けられる)に載置されることなく、直接装置内に挿入される。
【0003】
従来、光ディスク装置は、大径(例えば直径12cm)及び小径(例えば直径8cm)の光ディスクに対応するのが一般的であり、この点は、上記スロットインタイプの光ディスク装置も例外でない(例えば特許文献1や2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−298904号公報
【特許文献2】特開平3−296962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本出願人は、光ディスクを搬送する搬送ローラと、光ディスクの搬送方向に光ディスクとともにスライド移動しながら光ディスクを所定の位置に案内するディスクガイド部と、を含むディスク搬送機構を備えた光ディスク装置(スロットインタイプの光ディスク装置)の開発を行っている。なお、上記ディスクガイド部を含むディスク搬送機構は、特許文献1や2には開示されない構成である。
【0006】
上記ディスクガイド部を含むディスク搬送機構を備える光ディスク装置の開発を進める中で、大径の光ディスクに対応する場合と、小径の光ディスクに対応する場合との両方で、チャッキングの成功率を上げることが望まれた。なお、ここでいうチャッキングとは、光ディスク装置内に挿入された光ディスクの中心が、光ディスクを回転するモータの回転軸と軸合わせされた状態で保持される状態を指している。
【0007】
そこで、本発明の目的は、直径の異なる複数種類の光ディスクに対応可能であって、いずれの種類の光ディスクでも挿入ミスが発生し難い光ディスク装置を提供することである。なお、本発明は、いわゆるスロットインタイプの光ディスク装置に好適な技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の光ディスク装置は、光ディスクの装置内への挿入に伴って光ディスクとともにスライド移動しながら光ディスクの移動を案内するディスクガイド部を備える光ディスク装置であって、前記ディスクガイド部には、光ディスクに当接して該光ディスクの挿入方向の移動量を規制する規制部が、光ディスクの直径に応じて変更されるように複数種類設けられている構成(第1の構成)とされる。
【0009】
本構成では、光ディスクの挿入方向の移動量を規制する規制部が、光ディスクの直径に応じて適宜変更されるように複数種類設けられている。このため、光ディスク装置に、いずれの直径の光ディスクが入れられる場合にも、光ディスクを所定の位置に正確に案内してチャッキングの成功率を高くできる。したがって、本構成の光ディスク装置は、ユーザにとって使い勝手が良い。
【0010】
上記第1の構成の光ディスク装置において、前記ディスクガイド部は、挿入方向への移動量が光ディスクの直径に応じて変更される構成(第2の構成)であるのが好ましい。本構成は、いわゆるスロットインタイプの光ディスク装置に好適な構成である。
【0011】
上記第1又は第2の構成の光ディスク装置において、複数種類の前記規制部は、大径の光ディスクの挿入方向の移動量を規制する第1の規制部と、小径の光ディスクの挿入方向の移動量を規制する第2の規制部と、を含む構成(第3の構成)であるのが好ましい。本構成は、例えば直径12cmの光ディスク(大径の光ディスクの一例)と直径8cmの光ディスク(小径の光ディスクの一例)との両方に適用可能な光ディスク装置に好適な構成である。
【0012】
上記第1から第3のいずれかの構成の光ディスク装置において、第1のシャーシと、前記第1のシャーシの開口を覆うように設けられる第2のシャーシと、を更に備え、前記第1のシャーシには、駆動部によって回転可能であるとともに前記光ディスクが載置される載置部が設けられ、前記第2のシャーシには、前記ディスクガイド部と、前記載置部とともに前記光ディスクを挟持する保持部と、が設けられている構成(第4の構成)が採用されても構わない。本構成は、いわゆるスロットインタイプの光ディスク装置に好適な構成である。
【0013】
上記第4の構成の光ディスク装置において、前記第2のシャーシには、回動可能であるとともに前記ディスクガイド部及び前記保持部が取り付けられる可動部が設けられ、前記可動部の回動を利用して、前記載置部と前記保持部とによる前記光ディスクの挟持が達成される構成(第5の構成)が採用されてもよい。
【0014】
上記第5の構成の光ディスク装置において、前記ディスクガイド部には、前記第1のシャーシに配置される光ピックアップと前記光ディスクとの接触を防止する接触防止部が設けられる構成(第6の構成)を採用するのが好ましい。本構成によれば、光ディスク装置内に設けられる光ピックアップや、光ディスクが損傷する可能性を低減できる。
【0015】
上記第1から第6のいずれかの構成の光ディスク装置において、前記ディスクガイド部は、板状の本体部と、前記本体部の板面から突出して前記規制部となる複数のボス部と、を有する構成としてもよい。本構成によれば、いずれの直径の光ディスクに対してもチャッキングミスが生じ難く、光ディスクを所定の位置に案内し易い構成を実現し易い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、直径の異なる複数種類の光ディスクに対応可能であって、いずれの種類の光ディスクにおいても挿入ミスが発生し難い光ディスク装置を提供可能である。本発明は、いわゆるスロットインタイプの光ディスク装置に好適な技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の光ディスク装置が適用される光ディスクプレーヤ(或いは光ディスクレコーダ)の一例を示す概略斜視図
【図2】本実施形態の光ディスク装置の構成を示す概略正面図
【図3】本実施形態の光ディスク装置を構成する下シャーシの概略上面図
【図4】本実施形態の光ディスク装置を構成する上シャーシの概略上面図
【図5】本実施形態の光ディスク装置を構成する上シャーシを裏面側から見た場合の概略平面図
【図6】本実施形態の光ディスク装置が備えるディスクガイドの構成を説明するための概略図
【図7】本実施形態の光ディスク装置の動作を説明するための図で、光ディスク装置の概略上面図
【図8】本実施形態の光ディスク装置が備える駆動機構に含まれるスライド部の構成及び作用を説明するための図
【図9】大径の光ディスクとディスクガイドとの関係を示す概略平面図
【図10】小径の光ディスクとディスクガイドとの関係を示す概略平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の光ディスク装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の光ディスク装置は、例えばBDプレーヤやDVDプレーヤ等の光ディスクプレーヤ、BDレコーダやDVDレコーダ等の光ディスクレコーダ等に適用可能である。ここで言う光ディスクプレーヤや光ディスクレコーダは、家庭に配置される据え置き型のものに限らず、例えば携帯用や車載用のもの等も含む趣旨であり、また、例えばテレビジョン受像機やパーソナルコンピュータ等に一体的に取り付けられるものも含む趣旨である。
【0019】
(光ディスク装置の構成)
図1は、本発明の光ディスク装置が適用される光ディスクプレーヤ(或いは光ディスクレコーダ)の一例を示す概略斜視図である。図1に示すように、光ディスクプレーヤの筐体CA内部に、本発明の実施形態に係る光ディスク装置1が内蔵される。筐体CAの正面パネルFPには開口OPが形成され、この開口OPを介して光ディスク装置1内に光ディスクDを挿入することが可能になっている。
【0020】
図2は、本実施形態の光ディスク装置1の構成を示す概略正面図である。図2に示すように、光ディスク装置1は下シャーシ11と上シャーシ12とからなる。特に材質を限定する趣旨ではないが、下シャーシ11は例えば樹脂によって形成され、上シャーシ12は例えば板金によって形成される。上シャーシ12は、下シャーシ11の上面開口を覆うように配置され、例えばビス(不図示)を用いて下シャーシ11に固定される。下シャーシ11と上シャーシ12とからなる光ディスク装置1の正面側となる側面には、光ディスクDを挿入するための開口10が形成される。
【0021】
なお、下シャーシ11は本発明の第1のシャーシの一例であり、上シャーシ12は本発明の第2のシャーシの一例である。
【0022】
図3は、本実施形態の光ディスク装置1を構成する下シャーシ11の概略上面図である。図3に示すように、箱形に形成される下シャーシ11の内部には、モータ111と、搬送ローラ112と、ターンテーブル113と、光ピックアップ114と、が備えられる。モータ111は、詳細な図示は省略する複数の歯車を介して搬送ローラ112を駆動する。また、モータ111は、上シャーシ12の可動部(詳細は後述する可動プレートが該当)の回動を可能とする駆動機構115を駆動するためにも用いられる。駆動機構115にはラックや歯車が含まれる。
【0023】
搬送ローラ112は、光ディスク装置1の正面(開口10が設けられる面)寄りに設けられ、光ディスクDが装置内に挿入される場合、及び、光ディスクDが装置外に排出される場合に駆動される。搬送ローラ112の駆動による光ディスクDの搬送方向は、図3の矢印C方向(図3の上下方向)である。ターンテーブル113は、テーブルの下部側に配置されるモータ(不図示)によって回転されるようになっている。ターンテーブル113は、光ディスク装置1内に挿入された光ディスクDの載置部として機能し、ターンテーブル113の回転とともに光ディスクDを回転することができる。なお、ターンテーブル113は、本発明の載置部の一例である。
【0024】
光ピックアップ114は、光ディスクDの搬送方向(矢印C方向)と平行な方向に延びる2本のガイドシャフト116に摺動可能に支持される。光ピックアップ114のガイドシャフト116に沿った移動は、図示しないモータとリードスクリュとを用いて行われる。光ピックアップ114は、光ディスクDに光を照射するとともに、光ディスクDからの反射光を受光する。光ピックアップ114は、光ディスクDに記録される情報の読み取りや、光ディスクへの情報の書き込みを行うために使用される。
【0025】
なお、本実施形態の光ディスク装置1では、ターンテーブル113や光ピックアップ114は板金製の基台117に搭載され、この基台117が下シャーシ11に取り付けられる構成となっている。また、下シャーシ11(又は基台117)には、図示は省略するが、光ディスク装置1を動作させる上で必要となる各種の基板や配線が配置される。
【0026】
図4は、本実施形態の光ディスク装置1を構成する上シャーシ12の概略上面図である。また、図5は、本実施形態の光ディスク装置1を構成する上シャーシ12を裏面(下)側から見た場合の概略平面図である。なお、図4においては、位置関係の理解を容易とするために、破線で搬送ローラ112が示されている。
【0027】
図4及び図5に示すように、上シャーシ12には広範囲に亘って開口12aが形成されている。この開口12aと重なるように、板金製の可動プレート121(本発明の可動部の一例)が配置されている。可動プレート121は、回転軸A1(図5参照)を中心として上シャーシ12本体部に対して回動可能になっている。可動プレート121には、一端が上シャーシ12本体部に取り付けられるコイルバネの他端が取り付けられている。このために、可動プレート121は、上シャーシ12本体部に向けて引っ張り上げられた状態になっている。可動プレート121の前面寄り(光ディスク装置1の正面寄り、図4及び図5の下側)には、ターンテーブル113とともに光ディスクDを挟持するクランパ125(本発明の保持部の一例)が取り付けられている。
【0028】
図5に示すように、可動プレート121の裏面側には、光ディスクDの搬送方向(矢印C方向)に沿ってスライド可能な樹脂製のディスクガイド122(本発明のディスクガイド部の一例)が取り付けられている。ここで、図6を参照しながら、ディスクガイド122の構成について説明する。なお、図6(a)はディスクガイド122の上面図、図6(b)はディスクガイド122の下面図、図6(c)はディスクガイド122の正面図である。なお、図6(b)は、図5と同じ方向から見た図に相当する。
【0029】
図6に示すように、ディスクガイド122は板状の本体部122aを有する。本体部122aの上面、短手方向の一端寄り(図6(a)の下側寄り)の中央部には、レール状の突出部122bが形成されている。レール状の突出部122bは、本体部122aの短手方向(図6(a)の上下方向)と平行な方向に延びている。レール状の突出部112bの一端は、本体部122aから突出している(図6(a)の下方向に突出している)。レール状の突出部122bの上面には略円柱状の係合ボス部122cが形成されている。また、本体部122aの上面には、本体部122aの長手方向(図6(a)の左右方向)を二等分する二等分線を挟んで対称配置される、側面視略フック状(図6(c)参照)の一対の係合フック部122dが形成されている。
【0030】
本体部122aの長手方向(図6(b)の左右方向)の両端部には、本体部122aの下面(板面)から突出するように略円柱状の第1のボス部122eが形成されている。一対の第1のボス部122eは、前記二等分線を挟んで対称配置されている。また、本体部122aの下面には、長手方向の両端部よりも内側の位置に、一対の第1のボス部122eに挟まれるように、略円柱状の一対の第2のボス部122fが形成されている。一対の第2のボス部122fは、前記二等分線を挟んで対称配置されている。更に、本体部122aの下面には、一対の第2のボス部122fよりも内側の位置に、一対の第2のボス部122fに挟まれるように、略円柱状の一対の第3のボス部122gが形成されている。一対の第3のボス部122gは、前記二等分線を挟んで対称配置されている。
【0031】
なお、図6に示すように、一対の第1のボス部122e及び一対の第2のボス部122fの先端には、突出部PPが形成されており、これらのボス部122e、122fは側面から見た場合に、略L字状に見えるようになっている。
【0032】
図4及び図5に戻って、可動プレート121には、ディスクガイド122のレール状の突出部122bを案内する案内溝121aが形成されている。なお、案内溝121aは、光ディスクDの搬送方向(矢印C方向)に延びる長孔である。また、可動プレート121には、案内溝121aを挟むように対称に配置される、長孔形状の一対の取り付け溝121bが形成されている。この一対の取り付け溝121bには、ディスクガイド122の一対の係合フック部122dが摺動可能に取り付けられる。
【0033】
可動プレート121の上側(表側)には、回転軸A2を中心に回動可能な板金製の回動アーム123が設けられる。回動アーム123の長手方向の一端寄りには、可動プレート121に摺動可能に取り付けられるディスクガイド122の係合ボス部122cと係合する係合孔123aが形成されている。係合孔123aは、回動アーム123の回動によって係合ボス部122cが回動アーム123に対して揺動可能となるように、その形状が調整されている。
【0034】
回動アーム123には、一端が可動プレート121に取り付けられるコイルバネ(不図示)の他端が取り付けられている。図4において、このコイルバネによって、回動アーム123には時計周り方向の回転力が加わるようになっている。ただし、回動アーム123の時計周り方向の回転とともにスライド移動(図4の下向きに移動)するディスクガイド122の先端(レール状の係合部122bの先端)が、可動プレート121に取り付けられる捩じりコイルバネSPに当接する。このために、コイルバネによる回動アーム123の回転は、図4の状態で維持される。なお、この図4の状態は、光ディスク装置1に光ディスクDが挿入される前の状態に該当する。
【0035】
回動アーム123の長手方向の他端には、ロックアーム124の長手方向の一端寄りに設けられる係合ピン124a(図4において、紙面と垂直な方向の奥側に向けて突出している)と係合する係合孔123bが形成されている。この係合孔123bは、回動アーム123の回動によって、ロックアーム124の係合ピン124aが回動アーム123に対して揺動するように孔の形状が調整されている。また、この係合孔123bには、回動アーム123とロックアーム124との動きを連動させることが可能となるロック位置RPが設けられている。このロック位置RPは、係合孔123の両端部の合計2箇所(図4及び後述の図7参照)に設けられている。
【0036】
板金製のロックアーム124は、上シャーシ12本体部の上側(表側)に、回転軸A3を中心に回動可能に設けられる。また、ロックアーム124は、搬送方向(図4の矢印C方向)にスライド可能に設けられる。ただし、このスライド量は、例えばロックアーム124の一部と上シャーシ12の一部との当接を利用して所定量に制限されている。上述のように、ロックアーム124の長手方向の一端寄りには回動アーム123の係合孔123bと係合する係合ピン124aが設けられる。そして、ロックアーム124の長手方向の他端寄りには、光ディスク装置1内に挿入される光ディスクDと係合可能な係合ピン124b(図4において、紙面と垂直な方向の奥側に向けて突出している)が設けられる。
【0037】
なお、ロックアーム124には、一端が上シャーシ12に取り付けられるコイルバネ(不図示)の他端が取り付けられている。このコイルバネの作用によって、ロックアーム124には、図4において反時計周り方向の回転力が加わるようになっている。ただし、この回転力による回動は、ロックアーム124の係合ピン124b(他端寄りに設けられるもの)と上シャーシ12との接触によって止められる(図4の状態が該当する)。また、ロックアーム124には、ロックアーム124の下面から突出するように折り曲げ形成された係合突起124c(図5参照)が形成されている。この係合突起124cは、ロックアーム124が図4の下向きに移動した場合に、可動プレート121を回動させる駆動機構115の一部と係合し、駆動機構115による可動プレート121の回動を可能にする。
【0038】
(光ディスク装置の動作)
次に、以上のように構成される光ディスク装置1の動作について説明する。なお、本実施形態の光ディスク装置1は、直径12cmの光ディスクD1(大径の光ディスク)と、直径8cmの光ディスクD2(小径の光ディスク)との両方に対して情報の再生や記録を行えるようになっている。
【0039】
1.大径の光ディスクが使用される場合
まず、直径12cmの光ディスクD1が使用される場合の動作から説明する。説明にあたって、搬送ローラ112によって光ディスクD1が搬送される方向のうち、光ディスクD1が装置内に挿入される方向を挿入方向と表現する(後述する小径の光ディスクD2の場合も同様である)。光ディスク装置1の開口10(図2参照)から光ディスクD1が挿入されると、開口10近傍に設けられるセンサ(不図示)により、光ディスクD1の挿入が検知される。これにより、搬送ローラ112が駆動を開始して、光ディスクD1の装置内への搬送が開始される。なお、この段階で、回動アーム123やロックアーム124は、図4の状態となっている。
【0040】
光ディスクD1の装置内への搬送(挿入)に伴い、ロックアーム124の係合ピン124bが光ディスクD1に押される。これにより、ロックアーム124は、回転軸A3を中心として時計回り方向(図4を想定した表現)に回動する。その結果、ロックアーム124の係合ピン124aが、回動アーム123の係合孔123bのロック位置RPから外れる。そして、この状態で、搬送ローラ112によって搬送される光ディスクD1がディスクガイド122に当接する状態となる。
【0041】
ロックアーム124の係合ピン124aがロック位置RPを脱した状態では、回動アーム123はロックアーム124とは連動することなく回動する。搬送ローラ112による光ディスクD1の搬送によってディスクガイド122が挿入方向(図4の上向き方向)にスライド移動し、これに伴い、回動アーム123も回転する(図4において反時計周り方向に回転する)。回動アーム123が所定量回動すると、ロックアーム124の係合ピン124aが、回動開始前と比べて反対側にあるロック位置RPに至る。図7は、この状態を示す。
【0042】
ロックアーム124の係合ピン124aがロック位置RPに存在する状態では、ディスクガイド122のスライド移動(搬送ローラ112による光ディスクD1の搬送に伴う移動)に伴う回動アーム123の回動によって、ロックアーム124が光ディスクD1の挿入方向と逆向きにスライド移動する。このスライド移動の移動量は、所定量に制限されており、このスライド移動の移動量が限界位置に到達した時点で、ディスクガイド122は、それ以上、挿入方向に移動できなくなる。
【0043】
上述のように、ディスクガイド122には、一対の第1のボス部122eと一対の第2のボス部122fとが設けられている。装置内に搬送される光ディスクD1は、これらのボス部122e、122fと適宜当接しながら所定の位置に案内される。ディスクガイド122の移動が止まった後、光ディスクD1はディスクガイド122の第2のボス部122fに当接した状態になる(図9参照)。この後、光ディスクD1は、それ以上、挿入方向への移動はできない。すなわち、ディスクガイド122に設けられる一対の第2のボス部122fは、光ディスクD1が挿入方向に移動する量を規制する規制部として機能する。なお、本実施形態では、光ディスクD1と第2のボス部122fとが当接した状態において、光ディスクD1と第3のボス部122gとは当接しないようになっている(図9参照)。
【0044】
ところで、ロックアーム124が挿入方向と逆方向に移動すると、駆動機構115を構成する部材の一部115bとロックアーム124の係合突起124c(図7参照)とが係合し(なお、図7は係合前の状態を示している)、駆動機構115に含まれるスライド部115a(図7参照)が挿入方向と反対向きに移動を開始するようになっている。スライド部115aの移動は、モータ111(図3参照)によって駆動される歯車と、この歯車と噛合するラック(いずれも不図示)とを用いて実現される。
【0045】
図8は、本実施形態の光ディスク装置1が備える駆動機構115に含まれるスライド部115aの構成及び作用を説明するための図である。図8(a)に示すように、駆動機構115が備えるスライド部115aにはカム溝115cが形成されている。カム溝115cには、光ディスクD1の搬送方向(図7の矢印C方向)と平行な方向に延びる第1の溝115caと第2の溝115cbとが含まれる。第1の溝115caと第2の溝115cbとは、上下方向及び左右方向(搬送方向と同方向)の位置がずれている。カム溝115cに含まれる第3の溝115ccは、第1の溝115caと第2の溝115cbとを接続する傾斜した溝になっている。
【0046】
このカム溝115cには、可動プレート121の側面に取り付けられる係合ピン121d(図5参照)が係合している。図8(a)は、光ディスクD1が装置内に挿入される場合において、スライド部115cが移動を開始する前の状態である。スライド部115cが挿入方向と逆向きに移動を開始すると、図8(b)に示す矢印S方向にカム溝115cも移動を開始する。このために、可動プレート121に取り付けられる係合ピン121dがカム溝115cに沿って移動し、可動プレート121は、回転軸A1を中心として図8(b)に示す矢印R方向に回動を開始する。
【0047】
そして、係合ピン121dがカム溝115cを構成する第2の溝115cbに至ると可動プレート121の回動は停止する(図8(c)の状態)。この状態で、ターンテーブル113と、可動プレート121に取り付けられるクランパ125とによる光ディスクD1の挟持(チャッキング)が達成される。ディスクガイド122に設けられる第2のボス部122fによって光ディスクD1の挿入方向の位置決めがなされた状態でチャッキング動作が行われるために、光ディスクD1のチャッキングの成功確率は高い。
【0048】
なお、このチャッキング動作によって、光ディスクD1とディスクガイド122との当接は解除される。また、チャッキング動作時に発生する衝撃で、光ディスクD1と光ピックアップ114との衝突が懸念されるが、ディスクガイド122が有する第2のボス部122fの先端に設けた突出部PPが、光ディスクD1と光ピックアップ114との接触(衝突)を防止する。すなわち、この突出部PPは本発明の接触防止部の一例に該当する。
【0049】
この後は、モータ駆動によってターンテーブル113が回転されると光ディスクD1も回転される。そして、光ピックアップ114がガイドシャフト116に沿って適宜移動されながら、光ディスクD1の情報の再生や、光ディスクD1への情報の書き込みが行われる。光ディスクD1の排出は、ユーザによりリモコン等の操作によって開始されるが、その動作は、上述した光ディスクD1の挿入動作のほぼ反対の動作のために、ここでは、説明は省略する。
【0050】
2.小径の光ディスクが使用される場合
次に、直径8cmの光ディスクD2が使用される場合の動作について説明する。光ディスク装置1の開口10(図2参照)から光ディスクD2が挿入されると、開口10近傍に設けられるセンサ(不図示)により、光ディスクD2の挿入が検知される。これにより、搬送ローラ112が駆動を開始して、光ディスクD2の装置内への搬送が開始される。
【0051】
直径8cmの光ディスクD2では、その径が小さいために、光ディスクD2の装置内への搬送(挿入)に伴い、ロックアーム124の係合ピン124bが光ディスクD2に押された状態で、光ディスクD2とディスクガイド122とが当接することはない。このために、ロックアーム124の係合ピン124aがロック位置RPに存在したまま、光ディスクD2とディスクガイド122とが当接した状態になる。
【0052】
ロックアーム124の係合ピン124aがロック位置RPに存在する状態では、ディスクガイド122のスライド移動(搬送ローラ112による光ディスクD2の搬送に伴う移動)に伴う回動アーム123の回動によって、ロックアーム124が光ディスクD2の挿入方向と逆向きにスライド移動する。このスライド移動の移動量は、所定量に制限されており、このスライド移動の移動量が限界位置に到達した時点で、ディスクガイド122は、それ以上、挿入方向に移動できなくなる。
【0053】
上述のように、ディスクガイド122には、一対の第1のボス部122e、一対の第2のボス部122f、及び、一対の第3のボス部gが設けられている。装置内に搬送される光ディスクD2は、これらのボス部122e、122f、122gと適宜当接しながら所定の位置に案内される。ディスクガイド122の移動が止まった後、光ディスクD2はディスクガイド122の第3のボス部122gに当接した状態となる(図10参照)。この後、光ディスクD2は、それ以上、挿入方向への移動できない。すなわち、ディスクガイド122に設けられる一対の第3のボス部122gは、光ディスクD2が挿入方向に移動される量を規制する規制部として機能する。なお、光ディスクD2と第3のボス部122gとが当接した状態において、光ディスクD2と第2のボス部122fとは当接しないようになっている(図10参照)。
【0054】
ロックアーム124が挿入方向と逆方向に移動すると、駆動機構115を構成する部材の一部115bとロックアーム124の係合突起124c(図7参照)とが係合し、駆動機構115に含まれるスライド部115a(図7参照)が挿入方向と反対向きに移動を開始するようになっている。この後のチャッキング動作については、上述した大径の光ディスクD1の場合と同様であるために、その詳細説明は省略する。
【0055】
小径の光ディスクD2の場合も、ディスクガイド122に設けられる第3のボス部122gによって光ディスクD1の挿入方向の位置決めがなされた状態でチャッキング動作が行われるために、光ディスクD2のチャッキングの成功確率は高い。また、チャッキング動作時に発生する衝撃で、光ディスクD2と光ピックアップ114との衝突が懸念されるが、ディスクガイド122が有する第2のボス部122fの先端に設けた突出部PPが、光ディスクD2と光ピックアップ114との接触(衝突)を防止する。
【0056】
(作用効果のまとめ)
本実施形態の光ディスク装置1では、光ディスクDの移動を案内するディスクガイド122に、大径の光ディスクD1と当接して大径の光ディスクD1が挿入方向に移動される量を規制する第2のボス部122f(本発明の第1の規制部に相当)と、小径の光ディスクD2と当接して小径の光ディスクD2が挿入方向に移動される量を規制する第3のボス部122g(本発明の第2の規制部に相当)と、を別々に設ける構成となっている。なお、第2のボス部122fは、大径及び小径の光ディスクを所定の位置に案内する機能も有する。また、第3のボス部122gは、小径の光ディスクDの移動を案内する機能も有する。このために、光ディスク装置1に大径の光ディスクD1を入れる場合と、光ディスク装置1に小径の光ディスクD2を入れる場合と、の両方の場合で、光ディスクDのチャッキングの成功率を高くできる。したがって、本実施形態の光ディスク装置1は、ユーザにとって使い勝手が良い。
【0057】
本実施形態では、第3のボス部122gは大径の光ディスクD1に当接しないように構成している。これは、第3のボス部122gの存在のために、大径の光ディスクD1の案内位置がずれて、チャッキング成功率が低下しないようにするためである。ただし、第3のボス部112gは、大径の光ディスクD1のチャッキング成功率が低下しないように調整されていれば、大径の光ディスクD1に当接してもよい。
【0058】
(その他)
以上に示した実施形態は本発明の例示であって、本発明は以上に示した実施形態の構成に限定されるものではない。
【0059】
例えば、以上に示した実施形態では、上シャーシ12の一部(可動プレート121)が回動して、ターテーブル113とクランパ125による光ディスクDの挟持(チャッキング)が行われる構成とした。しかし、本発明の適用範囲は、この構成に限定されるものではない。例えば、上シャーシ12はいずれの部分も回動することなく、下シャーシ11の一部(例えば、ターンテーブル113や光ピックアップ114が取り付けられる基台117)が回動することによってチャッキングが達成される構成であっても本発明は適用可能である。
【0060】
また、以上に示した実施形態では、挿入方向の移動量を規制する第2のボス部122f及び第3のボス部122gが、一対ずつ設けられる構成とした。この構成に限らず、それぞれの種類のボスについて、複数組のボスが設けられるようにしてもよい。また、各ボス122f、122gが設けられる位置や形状についても適宜変更して構わない。
【0061】
また、以上に示した実施形態では、ディスクガイド122の第3のボス部122gには、その先端に突出部PPを設けない構成としたが、第3のボス部122gにも、第2のボス部122f同様に、その先端に突出部を設ける構成としても構わない。また、場合によっては、第2のボス部122fの先端に設けられる突出部PPは設けない構成としても構わない。
【0062】
また、以上に示した実施形態では、光ディスク装置1が直径の異なる2種類の光ディスクに対応可能な構成とした。しかし、本発明は、光ディスク装置が直径の異なる3種類以上の光ディスクに対応可能な場合にも適用可能である。この場合には、例えば、直径の異なる光ディスクの種類の数に対応させて、光ディスクの挿入方向の移動量を規制する規制部の種類を増やすようにしてもよい。そして、この場合において、一部の規制部を直径の異なる複数種類の光ディスクで共用する構成とすることも、場合によっては可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、ディスクトレイを使用することなく光ディスクを直接装置内に挿入する、いわゆるスロットインタイプの光ディスク装置に好適である。
【符号の説明】
【0064】
1 光ディスク装置
11 下シャーシ(第1のシャーシ)
12 上シャーシ(第2のシャーシ)
113 ターンテーブル(載置部)
114 光ピックアップ
121 可動プレート(可動部)
122 ディスクガイド(ディスクガイド部)
122a 本体部
122f 第2のボス部(第1の規制部)
122g 第3のボス部(第2の規制部)
125 クランパ(保持部)
D 光ディスク
D1 大径の光ディスク
D2 小径の光ディスク
PP 突出部(接触防止部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの装置内への挿入に伴って光ディスクとともにスライド移動しながら光ディスクの移動を案内するディスクガイド部を備える光ディスク装置であって、
前記ディスクガイド部には、光ディスクに当接して該光ディスクの挿入方向の移動量を規制する規制部が、光ディスクの直径に応じて変更されるように複数種類設けられている、光ディスク装置。
【請求項2】
前記ディスクガイド部は、挿入方向への移動量が光ディスクの直径に応じて変更される、請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
複数種類の前記規制部は、大径の光ディスクの挿入方向の移動量を規制する第1の規制部と、小径の光ディスクの挿入方向の移動量を規制する第2の規制部と、を含む、請求項1又は2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
第1のシャーシと、
前記第1のシャーシの開口を覆うように設けられる第2のシャーシと、を更に備え、
前記第1のシャーシには、駆動部によって回転可能であるとともに前記光ディスクが載置される載置部が設けられ、
前記第2のシャーシには、前記ディスクガイド部と、前記載置部とともに前記光ディスクを挟持する保持部と、が設けられている、請求項1から3のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記第2のシャーシには、回動可能であるとともに前記ディスクガイド部及び前記保持部が取り付けられる可動部が設けられ、
前記可動部の回動を利用して、前記載置部と前記保持部とによる前記光ディスクの挟持が達成される、請求項4に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記ディスクガイド部には、前記第1のシャーシに配置される光ピックアップと前記光ディスクとの接触を防止する接触防止部が設けられる、請求項5に記載の光ディスク装置。
【請求項7】
前記ディスクガイド部は、板状の本体部と、前記本体部の板面から突出して前記規制部となる複数のボス部と、を有する、請求項1から6のいずれかに記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−41650(P2013−41650A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178740(P2011−178740)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】