光ディスク記録装置および同期情報記録方法
【課題】LPP配置フレームの偶数/奇数の移行に追随して、同期情報の同期パターンを切り換えることのできる光ディスク記録装置および同期情報記録方法を提供する。
【解決手段】偶数/奇数判定部2が、LPPパターン検出部1により検出されたたランドプリピットの配置フレームが偶数フレームであるか奇数フレームであるかを判定し、同期パターン選択部3が、偶数/奇数判定部2段の判定結果にもとづいて各フレームに記録する同期情報の同期パターンを選択する。
【解決手段】偶数/奇数判定部2が、LPPパターン検出部1により検出されたたランドプリピットの配置フレームが偶数フレームであるか奇数フレームであるかを判定し、同期パターン選択部3が、偶数/奇数判定部2段の判定結果にもとづいて各フレームに記録する同期情報の同期パターンを選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光ディスク記録装置および同期情報記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録可能型光ディスクであるDVD−R/RWでは、ディスク上の物理アドレスを示すため、記録トラックであるグルーブを所定の周期で蛇行(ウォブル)させるとともに、グルーブに隣接するランドにランドプリピット(LPP)を形成するように規定されている。ここで、データの最小単位を1ch(チャンネル)とした場合、1ウォブルは186chの周期とされている。また、LPPは、ウォブルの頂点の位置に形成されている。
【0003】
光ディスク記録装置は、DVD−R/RWディスクのグルーブにピットを形成することにより、データを記録する。このとき、ピットありがマーク、ピットなしがスペース、となる。
【0004】
DVD−R/RWディスクに記録されるデータは、予めフレーム単位に分割されている。そして、26個のフレームにより1つのセクタが形成され、16個のセクタにより情報ブロックとしての1つのECCブロックが形成される。
【0005】
26個のフレームには、0〜25のフレーム番号が付され、その番号により、偶数フレームと奇数フレームとに分けられる。1フレームには8個のウォルブが存在する。LPPは、通常、偶数フレームの先頭3ウォブルの位置に配置され、3ビットで1セットを構成する。この3ビットは、決められた規則に従ってアサインされるが、その1ビット目は必ず‘1’である。
【0006】
データを記録する際、光ディスク記録装置は、このLPPを検出することによって記録位置を決定し、各フレームの先頭には14T(Tは基準信号長)パターンを含む同期情報を記録する。DVD−R/RWの規格においては、同期情報の同期パターンを14Tマークとするか、14Tスペースとするか、その種類の選択が可能となっている。
【0007】
このとき、LPPが配置されているフレームに同期パターンが14Tマークの同期情報を記録すると、記録パワーのレーザ光照射の影響により、隣接するLPPに変形等が生じ、LPPの検出が困難になるおそれがある。これを避けるためには、LPPが配置されているフレームの同期パターンを常にスペースとするようにすればよい。すなわち、通常LPPが配置される、偶数フレームの同期パターンは常に14Tスペースとすればよい。
【0008】
このように、LPPへの影響の観点から見ると、総ての同期情報の同期パターンを14Tスペースとすることが望ましい。しかし、一方では、同期情報の同期パターンを総て14Tスペースとすると、記録データの低周波成分の増大を招くことがある。記録データの低周波成分が大きいと、再生時に、この低周波成分が光ピックアップのサーボ信号に漏れ込み、そのサーボ動作に悪影響を及ぼす。これを避けるため、同期情報の同期パターンを交互に14Tスペースと14Tマークにする従来提案がある。この提案では、偶数フレームは同期情報の同期パターンを14Tスペースとし、奇数フレームは同期情報の同期パターンを14Tマークとすることが行われる。
【0009】
ところが、DVD−R/RWディスクはCLV(線速度一定)ディスクであるため、1周回当たりのセクタ数が、内周から外周にかけて徐々に増加していく。このため、LPPを常に偶数フレームに配置すると、ディスク内径の複数箇所において、LPPの位置が隣り合うトラック間で並んで配置されることが発生する。その場合、隣り合ったトラックのLPP間でクロストークが発生し、LPPが読みづらくなる。
【0010】
これを避けるため、DVD−R/RWの規格では、前周のLPPに対して、次周のLPPの位置がある程度接近した場合、次周のLPPを偶数フレームではなく奇数フレームに形成するよう、規定されている。ただし、接近とみなす距離の具体的な数値化はされておらず、偶数フレームから奇数フレームへの移行位置の設定は、基本的にはディスク製造メーカに委ねられている。
【0011】
このように、LPPは、基本的には偶数フレームに配置されるが、トラックの位置によっては、奇数フレームに配置されることもある。したがって、各フレームの同期情報の同期パターンを、上述のように、交互に14Tスペースと14Tマークとした場合、LPPの配置が奇数フレームへ移行したときに、LPPに隣接して14Tマークの同期情報が配置されてしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−99879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明の目的は、LPP配置フレームの偶数/奇数の移行に追随して、同期情報の同期パターンを切り換えることのできる光ディスク記録装置および同期情報記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、偶数/奇数判定手段が、光ディスクから検出したランドプリピットの配置フレームが偶数フレームであるか奇数フレームであるかを判定し、同期パターン選択手段が、前記偶数/奇数判定手段の判定結果にもとづいて各フレームに記録する同期情報の同期パターンを選択する光ディスク記録装置が提供される。
【0015】
また、本発明の別の一態様によれば、光ディスクから検出したランドプリピットの配置フレームが偶数フレームであるか奇数フレームであるかを判定し、その判定結果にもとづいて各フレームに記録する同期情報の同期パターンを選択する同期情報記録方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1に係る光ディスク記録装置の構成の例を示すブロック図。
【図2】LPPが配置されるウォブルアドレスの関係およびLPPのパターンの説明図。
【図3】LPPデコーダの構成の例を示すブロック図。
【図4】LPPデコーダの動作説明図。
【図5】セクタの構成説明図。
【図6】実施例1の光ディスク記録装置の処理の流れの例を示すフロー図。
【図7】実施例1の光ディスク記録装置の動作の例を示す波形図。
【図8】本発明の実施例2に係る光ディスク記録装置の構成の例を示すブロック図。
【図9】実施例2の光ディスク記録装置で用いる偶数/奇数移行アドレス情報の記憶部12への格納処理の例を示すフロー図。
【図10】記憶部12に格納されている偶数/奇数移行アドレス情報の例を示す図。
【図11】実施例2の光ディスク記録装置の処理の流れの例を示すフロー図。
【図12】実施例2の光ディスク記録装置の動作の例を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、図中、同一または相当部分には同一の符号を付して、その説明は繰り返さない。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係る光ディスク記録装置の構成の例を示すブロック図である。ここで、本実施例の光ディスク記録装置は、通常の光ディスク記録装置と同様、LPPデコーダ100、変調タイミング制御部200、同期パターンテーブル300を備えているものとする。
【0019】
LPPデコーダ100は、光ディスクから検出したウォブル信号をPLL回路でロックさせて安定化したロックドウォブル信号と、光ディスクから検出したプリピット信号を適切なスライスレベルでスライスして得られる2値化プリピット信号とから、光ディスク上での各ECCブロック内のセクタアドレス情報、フレームアドレス情報を生成する。
【0020】
変調タイミング制御部200は、記録開始タイミング信号および記録クロック信号の入力を受けて、光ディスクへの変調信号の記録タイミングを制御する。この変調タイミング制御部200により同期情報の出力タイミングが制御される。
【0021】
同期パターンテーブル300には、14Tマークの同期パターンと14Tスペースの同期パターンが格納されている。
【0022】
本実施例の光ディスク記録装置は、2値化プリピット信号からLPPのデータパターンを検出するLPPパターン検出部1と、LPPデコーダ100から取得したフレームアドレス情報にもとづいて、LPPパターン検出部1によりLPPのデータパターンが検出されたフレームが偶数フレームであるか、奇数フレームであるかを判定する偶数/奇数判定部2と、偶数/奇数判定部2の判定結果にもとづいて各フレームに記録する同期情報の記録パターンの種類を選択する同期パターン選択部3と、を備える。
【0023】
図2に、LPPが配置されるウォブルアドレスの位置およびLPPのデータパターンの種類を示す。
【0024】
LPPは、フレーム内の先頭3ウォブル位置である、ウォブルアドレス0、1、2に配置される。
【0025】
LPPありを‘1’、LPPなしを‘0’と表すと、この3ウォブルのLPPの有無により、LPPのデータパターンの内容が区別される。データパターンの内容を大別すると、同期データと情報データとに分けられる。
【0026】
偶数フレームにLPPを配置するときは、第0フレームに同期データとして‘111’が記録される。一方、奇数フレームにLPPを配置するときは、第1フレームに同期データとして‘110’が記録される。
【0027】
第2フレーム以降には、1セクタ当たり12ビット分の情報データが記録される。情報データは、‘100’がデータ値0を表し、‘101’がデータ値1を表す。
【0028】
この12ビットの情報データとして、前半の4ビットにはECCブロック内におけるセクタアドレス情報(Relative Address)が埋め込まれ、後半の8ビットにはECCブロックアドレス情報等が埋め込まれている。
【0029】
LPPパターン検出部1は、2値化プリピット信号を分析し、図2に示したデータパターンのいずれかに該当するビット並びを検出したときに、LPP検出信号を出力する。
【0030】
図3に、LPPデコーダ100の内部構成の例を示す。
【0031】
LPPデコーダ100は、ウォブルカウンタ110と、フレームカウンタ120と、セクタカウンタ130とにより構成される。
【0032】
ウォブルカウンタ110は、LPPが配置されているウォブルを検出するLPP配置ウォブル検出部111の出力期間に合わせて、カウンタ値の0〜2の出力タイミングを調整する。
【0033】
フレームカウンタ120は、ウォブルカウンタ110が示すウォブルアドレスと同期パターン検出部121により検出されたLPPの同期データが、‘11100000’であるときはカウンタ値を‘0’、‘11000000’であるときはカウンタ値を‘1’に初期設定する。
【0034】
セクタカウンタ130は、フレームカウンタ120のカウント値が2〜9の期間中の4ビットの2値化プリピット信号をデコードするセクタアドレスアドレスデコード部131の出力に合わせて、そのカウンタ値を初期設定する。
【0035】
上述の手順により初期設定を行った後は、各カウンタは、カウント動作を連続して実行する。図4に、定常状態における、ウォブルカウンタ110、フレームカウンタ120、セクタカウンタ130のカウンタ値の相互関係を示す。
【0036】
偶数/奇数判定部2は、LPPパターン検出部1からLPP検出信号が入力されると、その時点のフレームアドレス情報をLPPデコーダ100内のフレームカウンタ120から取得する。そして、フレームカウンタ120のカウンタ値にもとづいて、偶数/奇数判定部2は、LPPのデータパターンが検出されたフレームが偶数フレームであるか、奇数フレームであるかを判定する。
【0037】
具体的には、偶数/奇数判定部2は、LPP検出信号が入力されたときのフレームカウンタ120の最下位ビットの値を読み取り、その値が‘0’の場合は偶数フレームにLPPが配置されていると判定し、その値が‘1’の場合は奇数フレームにLPPが配置されていると判定する。
【0038】
同期パターン選択部3は、偶数/奇数判定部2の判定結果にもとづいてスイッチSWを制御し、同期パターンテーブル300に格納されている複数の同期パターンの中から各フレームに記録する同期パターンを選択し、光ディスクに記録する同期情報として出力する。
【0039】
同期情報は、図5に示すように、各フレームの先頭に配置される。そこで、同じく各フレームの先頭位置のランドに配置されているLPPへの影響を避けるため、同期情報選択部3は、LPPが配置されているフレームへは同期パターンが14Tスペースの同期情報が配置され、LPPが配置されていないフレームへは同期パターンが14Tマークの同期情報を配置されるように、同期パターンを選択する。
【0040】
すなわち、偶数/奇数判定部2の判定結果が偶数フレームであるときは、同期情報選択部3は、偶数フレームに対しては14Tスペースの同期パターンを選択し、奇数フレームに対しては14Tマークの同期パターンを選択する。
【0041】
一方、偶数/奇数判定部2の判定結果が奇数フレームであるときは、同期情報選択部3は、偶数フレームに対して14Tマークの同期パターンを選択し、奇数フレームに対しては14Tスペースの同期パターンを選択する。
【0042】
図6に、本実施例における同期情報のパターン選択動作の処理フローの例をフロー図で示す。
【0043】
まず、光ディスクから検出されたプリピット信号を2値化した2値化プリピット信号に対して、LPPパターン検出部1が、LPPパターンの検出を行う(ステップS01)。
【0044】
LPPパターン検出部1は、2値化プリピット信号を分析し、LPPのデータパターンに該当するビット並びを検出したときに、LPP検出信号を出力する。
【0045】
LPPパターン検出部1からLPP検出信号が出力されると、偶数/奇数判定部2が、LPPデコーダ100内のフレームカウンタ120からフレームアドレス情報を取得する(ステップS02)。
【0046】
続いて、偶数/奇数判定部2は、フレームカウンタ120のカウンタ値にもとづいて、LPPのデータパターンが検出されたフレームが偶数フレームであるか、奇数フレームであるかを判定する(ステップS03)。
【0047】
次に、偶数/奇数判定部2の判定結果にもとづいて、同期パターン選択部3が、同期パターンテーブル300に格納されている複数の同期パターンの中から、各フレームに記録する同期情報の同期パターンを選択する(ステップS04)。
【0048】
ここでは、偶数/奇数判定部2の判定結果が偶数フレームであるときは、同期情報選択部3は、偶数フレームに対しては14Tスペースの同期パターンを選択し、奇数フレームに対しては14Tマークの同期パターンを選択する。
【0049】
また、偶数/奇数判定部2の判定結果が奇数フレームであるときは、同期情報選択部3は、偶数フレームに対して14Tマークの同期パターンを選択し、奇数フレームに対しては14Tスペースの同期パターンを選択する。
【0050】
図7に、本実施例の光ディスク記録装置で上述の処理を行ったときの動作例を波形図で示す。
【0051】
図7に示す例は、LPP配置フレームが偶数フレームから奇数フレームに変更されている例である。すなわち、それまで偶数フレームに配置されていたLPPが、偶数フレームである第6フレームに配置されず、第7フレームからは、奇数フレームに配置されている。
【0052】
このLPP配置フレームが偶数フレームから奇数フレームに変更されたことに対して、偶数/奇数判定部2の判定結果が“偶数”から“奇数”へ変化する。
【0053】
この偶数/奇数判定部2の判定結果の変化を受けて、同期情報選択部3は、偶数フレームに配置する同期情報の同期パターンを、14Tスペースから14Tマークへ切り替える。また、同期情報選択部3は、奇数フレームに配置する同期情報の同期パターンを、14Tマークから14Tスペースへ切り替える。
【0054】
ただし、偶数/奇数判定部2の判定結果の確定が第7フレームの終了時点であるため、第7フレームの同期パターンは、本来14Tスペースが望まれるのに対して、14Tマークとなっている。したがって、この部分では、LPPと14Tマークの同期パターンの配置位置が重なってしまう。しかしながら、このような重なりが発生するのは、光ディスク全体から見ると、ごく僅かな比率である。なぜなら、LPP配置フレームの偶数、奇数の変化周期はディスク約1周回分となっており、1周回には、最内周でも約32×26フレーム分の同期パターンが配置されるからである。
【0055】
したがって、仮にLPPの読み取りエラーが発生したとしても、十分エラー訂正が行える範囲であり、実用上、問題は生じない。
【0056】
このような本実施例によれば、LPP配置フレームが、偶数フレームから奇数フレーム、あるいは奇数フレームから偶数フレームへ移行しても、その移行に追随して、同期情報の同期パターンを切り替えることができる。
【実施例2】
【0057】
実施例1では、光ディスクへの記録を行いながら、偶数/奇数判定部2の判定を行うため、LPP配置フレームの偶数/奇数の移行の検出に時間を要し、上述したように判定結果の出力に遅れを生じる。
【0058】
しかしながら、LPP配置フレームの偶数/奇数の移行アドレスは、同じメーカの同じ型番の光ディスクであれば、どれも同じである。したがって、LPP配置フレームの偶数/奇数の移行を予め検出し、その移行アドレス情報を記憶しておけば、光ディスクへの記録の都度偶数/奇数判定部2による判定を行う必要がなく、上述した判定結果の出力遅れの問題も解消される。
【0059】
そこで、本実施例では、様々な型番の光ディスクについて、予め、LPP配置フレームの偶数/奇数の移行の検出を行って、その移行アドレス情報を光ディスクの型番ごとに記憶するようにした光ディスク記録装置の例を示す。
【0060】
図8は、本発明の実施例2に係る光ディスク記録装置の構成の例を示すブロック図である。
【0061】
本実施例の光ディスク記録装置は、実施例1の光ディスク記録装置に、アドレス値算出部11と、記憶部12と、を付加したものである。
【0062】
また、本実施例のLPPパターン検出部1Aは、LPP検出信号のほかに、LPPに記録された情報データのデータ値をビットデータ情報として出力する。
【0063】
アドレス値算出部11は、LPPの形成が検出されたフレームのアドレス情報を算出する。アドレス情報には、そのフレームの光ディスク上の位置を示すECCブロックアドレス、セクタ番号、フレーム番号が含まれる。
【0064】
アドレス値算出部11は、LPPパターン検出部1Aから出力されたビットデータ情報からLPPに記録されている16バイトのECCブロックアドレス情報を取得する。また、LPPデコーダ100から、セクタ番号およびフレーム番号を取得する。
【0065】
記憶部12は、偶数/奇数判定部2の判定結果が、偶数から奇数へ移行したとき、または奇数から偶数へ移行したときに、その移行が発生したフレームのアドレス情報をアドレス値算出部11から取得し、その移行方向の情報とともに、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに格納する。
【0066】
ただし、偶数/奇数判定部2の判定結果の出力には、上述の遅れ時間があるので、記憶部12は、その遅れを差し引いて、偶数/奇数移行フレームのアドレス値を算出する。
【0067】
本実施例では、記憶部12への記憶作業を、光ディスクの型番ごとに予め行っておく。記憶部12は、光ディスクの型番とともに、偶数/奇数移行方向情報とアドレス情報を記憶する。
【0068】
図9に、偶数/奇数移行アドレス情報の記憶部12への格納処理の例をフロー図で示す。
【0069】
ある型番の光ディスクに対する処理が開始されると、偶数/奇数判定部2により、LPP配置フレームが偶数フレームであるか、奇数フレームであるかの判定を行う(ステップS11)。
【0070】
記憶部12は、偶数/奇数判定部2の判定結果をモニターし、その判定結果が、偶数から奇数へ移行したとき、または奇数から偶数へ移行したときに、その移行が発生したフレームのアドレス情報をアドレス値算出部11から取得する(ステップS12)。
【0071】
続いて、記憶部12は、取得したアドレス情報に対して偶数/奇数判定部2の判定遅れを補正して、偶数/奇数移行アドレス情報を生成する(ステップS13)。
【0072】
続いて、記憶部12は、型番を1つの単位として、偶数/奇数移行アドレス情報、偶数/奇数移行方向情報を、不揮発性メモリに格納する。
【0073】
光ディスクの最終フレームまで本フローの処理を繰り返し、記録終了に至ったら、その処理を終了する。
【0074】
様々な型番の光ディスクについて図9に示すフローの処理を行うと、記憶部12には、図10に示すような、型番ごとの偶数/奇数移行アドレス情報が格納される。
【0075】
図10に示す例では、型番ごとに、ECCブロック番号、セクタ番号、フレーム番号により構成される偶数/奇数移行アドレス情報と、偶数/奇数移行方向情報が1組にまとめられて格納されている。
【0076】
なお、この例では、偶数/奇数移行方向情報は、‘1’が偶数から奇数への移行を示し、‘0’が奇数から偶数への移行を示している。
【0077】
図8に戻って、本実施例の同期パターン選択部3Aは、記録対象の光ディスクから読み取られた型番識別情報と、記憶部12から読み出した偶数/奇数移行アドレス情報と、アドレス値算出部11から入力されたアドレス情報とにもとづいて、同期パターンの選択を行う。
【0078】
図11に、同期パターン選択部3Aにおける処理の流れをフロー図で示す。
【0079】
まず、同期パターン選択部3Aは、記録対象の光ディスクのLPPから読み取られた型番識別情報を取得する(ステップS21)。
【0080】
続いて、同期パターン選択部3Aは、記憶部12から該当型番の偶数/奇数移行アドレス情報、偶数/奇数移行方向情報を読み出す(ステップS22)。
【0081】
なお、読み出した偶数/奇数移行アドレス情報、偶数/奇数移行方向情報は、記録動作の実行中は保持しておく。
【0082】
記録動作が開始されると、同期パターン選択部3Aは、アドレス値算出部11から入力される、現在記録が行われているフレームのアドレス情報から、次に記録が実行されるフレームのアドレスを算出する(ステップS23)。
【0083】
次に、同期パターン選択部3Aは、その算出したアドレスを、記憶部12から読み出して保持している偶数/奇数移行アドレス情報と比較する。そして、両者が一致するときは、同期パターン選択部3Aは、次に記録が実行されるフレームの先頭で、偶数/奇数移行方向情報にもとづいて、同期パターンの切り替えを行う(ステップS23)。
【0084】
図12に、本実施例の光ディスク記録装置で上述の処理を行ったときの動作例を波形図で示す。
【0085】
図12に示す例も、図7と同様、LPP配置フレームが、第7フレーム以降、偶数フレームから奇数フレームへ変更されている。
【0086】
したがって、記憶部12から読み出した偶数/奇数移行アドレス情報、偶数/奇数移行方向情報には、このLPP配置フレームの移行に関する情報が記載されている。すなわち、偶数/奇数移行アドレス情報中には、フレーム番号=7であることが記載され、偶数/奇数移行方向情報には、‘1’(偶数から奇数への移行)が記載されている。
【0087】
そこで、同期パターン選択部3Aは、この偶数/奇数移行アドレス情報および偶数/奇数移行方向情報にもとづいて、この第7フレームに配置する同期情報の同期パターンを14Tスペースとし、以降、奇数フレームに配置する同期情報の同期パターンを14Tスペースとする。
【0088】
また、同期情報選択部3Aは、第8フレーム以降の偶数フレームに配置する同期情報の同期パターンを、14Tマークとする。
【0089】
このような本実施例によれば、予め検出したLPP配置フレームの偶数/奇数移行情報にもとづいて、同期情報の同期パターンの切り替えを行うので、LPPと14Tマークの同期パターンの配置位置が重なることを防止することができる。
【0090】
また、偶数/奇数移行に関する情報の記憶部12への書き込みは、随時行うことができる。これにより、例えば新しい型番の光ディスクが発売されても、その光ディスクに関する偶数/奇数移行に関する情報を直ちに記憶部12へ書き込むことができ、その光ディスクに対する同期パターンの配置を適切に行うことができる。
【符号の説明】
【0091】
1、1A LPPパターン検出部
2 偶数/奇数判定部
3、3A 同期パターン選択部
11 アドレス値算出部
12 記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光ディスク記録装置および同期情報記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録可能型光ディスクであるDVD−R/RWでは、ディスク上の物理アドレスを示すため、記録トラックであるグルーブを所定の周期で蛇行(ウォブル)させるとともに、グルーブに隣接するランドにランドプリピット(LPP)を形成するように規定されている。ここで、データの最小単位を1ch(チャンネル)とした場合、1ウォブルは186chの周期とされている。また、LPPは、ウォブルの頂点の位置に形成されている。
【0003】
光ディスク記録装置は、DVD−R/RWディスクのグルーブにピットを形成することにより、データを記録する。このとき、ピットありがマーク、ピットなしがスペース、となる。
【0004】
DVD−R/RWディスクに記録されるデータは、予めフレーム単位に分割されている。そして、26個のフレームにより1つのセクタが形成され、16個のセクタにより情報ブロックとしての1つのECCブロックが形成される。
【0005】
26個のフレームには、0〜25のフレーム番号が付され、その番号により、偶数フレームと奇数フレームとに分けられる。1フレームには8個のウォルブが存在する。LPPは、通常、偶数フレームの先頭3ウォブルの位置に配置され、3ビットで1セットを構成する。この3ビットは、決められた規則に従ってアサインされるが、その1ビット目は必ず‘1’である。
【0006】
データを記録する際、光ディスク記録装置は、このLPPを検出することによって記録位置を決定し、各フレームの先頭には14T(Tは基準信号長)パターンを含む同期情報を記録する。DVD−R/RWの規格においては、同期情報の同期パターンを14Tマークとするか、14Tスペースとするか、その種類の選択が可能となっている。
【0007】
このとき、LPPが配置されているフレームに同期パターンが14Tマークの同期情報を記録すると、記録パワーのレーザ光照射の影響により、隣接するLPPに変形等が生じ、LPPの検出が困難になるおそれがある。これを避けるためには、LPPが配置されているフレームの同期パターンを常にスペースとするようにすればよい。すなわち、通常LPPが配置される、偶数フレームの同期パターンは常に14Tスペースとすればよい。
【0008】
このように、LPPへの影響の観点から見ると、総ての同期情報の同期パターンを14Tスペースとすることが望ましい。しかし、一方では、同期情報の同期パターンを総て14Tスペースとすると、記録データの低周波成分の増大を招くことがある。記録データの低周波成分が大きいと、再生時に、この低周波成分が光ピックアップのサーボ信号に漏れ込み、そのサーボ動作に悪影響を及ぼす。これを避けるため、同期情報の同期パターンを交互に14Tスペースと14Tマークにする従来提案がある。この提案では、偶数フレームは同期情報の同期パターンを14Tスペースとし、奇数フレームは同期情報の同期パターンを14Tマークとすることが行われる。
【0009】
ところが、DVD−R/RWディスクはCLV(線速度一定)ディスクであるため、1周回当たりのセクタ数が、内周から外周にかけて徐々に増加していく。このため、LPPを常に偶数フレームに配置すると、ディスク内径の複数箇所において、LPPの位置が隣り合うトラック間で並んで配置されることが発生する。その場合、隣り合ったトラックのLPP間でクロストークが発生し、LPPが読みづらくなる。
【0010】
これを避けるため、DVD−R/RWの規格では、前周のLPPに対して、次周のLPPの位置がある程度接近した場合、次周のLPPを偶数フレームではなく奇数フレームに形成するよう、規定されている。ただし、接近とみなす距離の具体的な数値化はされておらず、偶数フレームから奇数フレームへの移行位置の設定は、基本的にはディスク製造メーカに委ねられている。
【0011】
このように、LPPは、基本的には偶数フレームに配置されるが、トラックの位置によっては、奇数フレームに配置されることもある。したがって、各フレームの同期情報の同期パターンを、上述のように、交互に14Tスペースと14Tマークとした場合、LPPの配置が奇数フレームへ移行したときに、LPPに隣接して14Tマークの同期情報が配置されてしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−99879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明の目的は、LPP配置フレームの偶数/奇数の移行に追随して、同期情報の同期パターンを切り換えることのできる光ディスク記録装置および同期情報記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、偶数/奇数判定手段が、光ディスクから検出したランドプリピットの配置フレームが偶数フレームであるか奇数フレームであるかを判定し、同期パターン選択手段が、前記偶数/奇数判定手段の判定結果にもとづいて各フレームに記録する同期情報の同期パターンを選択する光ディスク記録装置が提供される。
【0015】
また、本発明の別の一態様によれば、光ディスクから検出したランドプリピットの配置フレームが偶数フレームであるか奇数フレームであるかを判定し、その判定結果にもとづいて各フレームに記録する同期情報の同期パターンを選択する同期情報記録方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1に係る光ディスク記録装置の構成の例を示すブロック図。
【図2】LPPが配置されるウォブルアドレスの関係およびLPPのパターンの説明図。
【図3】LPPデコーダの構成の例を示すブロック図。
【図4】LPPデコーダの動作説明図。
【図5】セクタの構成説明図。
【図6】実施例1の光ディスク記録装置の処理の流れの例を示すフロー図。
【図7】実施例1の光ディスク記録装置の動作の例を示す波形図。
【図8】本発明の実施例2に係る光ディスク記録装置の構成の例を示すブロック図。
【図9】実施例2の光ディスク記録装置で用いる偶数/奇数移行アドレス情報の記憶部12への格納処理の例を示すフロー図。
【図10】記憶部12に格納されている偶数/奇数移行アドレス情報の例を示す図。
【図11】実施例2の光ディスク記録装置の処理の流れの例を示すフロー図。
【図12】実施例2の光ディスク記録装置の動作の例を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、図中、同一または相当部分には同一の符号を付して、その説明は繰り返さない。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係る光ディスク記録装置の構成の例を示すブロック図である。ここで、本実施例の光ディスク記録装置は、通常の光ディスク記録装置と同様、LPPデコーダ100、変調タイミング制御部200、同期パターンテーブル300を備えているものとする。
【0019】
LPPデコーダ100は、光ディスクから検出したウォブル信号をPLL回路でロックさせて安定化したロックドウォブル信号と、光ディスクから検出したプリピット信号を適切なスライスレベルでスライスして得られる2値化プリピット信号とから、光ディスク上での各ECCブロック内のセクタアドレス情報、フレームアドレス情報を生成する。
【0020】
変調タイミング制御部200は、記録開始タイミング信号および記録クロック信号の入力を受けて、光ディスクへの変調信号の記録タイミングを制御する。この変調タイミング制御部200により同期情報の出力タイミングが制御される。
【0021】
同期パターンテーブル300には、14Tマークの同期パターンと14Tスペースの同期パターンが格納されている。
【0022】
本実施例の光ディスク記録装置は、2値化プリピット信号からLPPのデータパターンを検出するLPPパターン検出部1と、LPPデコーダ100から取得したフレームアドレス情報にもとづいて、LPPパターン検出部1によりLPPのデータパターンが検出されたフレームが偶数フレームであるか、奇数フレームであるかを判定する偶数/奇数判定部2と、偶数/奇数判定部2の判定結果にもとづいて各フレームに記録する同期情報の記録パターンの種類を選択する同期パターン選択部3と、を備える。
【0023】
図2に、LPPが配置されるウォブルアドレスの位置およびLPPのデータパターンの種類を示す。
【0024】
LPPは、フレーム内の先頭3ウォブル位置である、ウォブルアドレス0、1、2に配置される。
【0025】
LPPありを‘1’、LPPなしを‘0’と表すと、この3ウォブルのLPPの有無により、LPPのデータパターンの内容が区別される。データパターンの内容を大別すると、同期データと情報データとに分けられる。
【0026】
偶数フレームにLPPを配置するときは、第0フレームに同期データとして‘111’が記録される。一方、奇数フレームにLPPを配置するときは、第1フレームに同期データとして‘110’が記録される。
【0027】
第2フレーム以降には、1セクタ当たり12ビット分の情報データが記録される。情報データは、‘100’がデータ値0を表し、‘101’がデータ値1を表す。
【0028】
この12ビットの情報データとして、前半の4ビットにはECCブロック内におけるセクタアドレス情報(Relative Address)が埋め込まれ、後半の8ビットにはECCブロックアドレス情報等が埋め込まれている。
【0029】
LPPパターン検出部1は、2値化プリピット信号を分析し、図2に示したデータパターンのいずれかに該当するビット並びを検出したときに、LPP検出信号を出力する。
【0030】
図3に、LPPデコーダ100の内部構成の例を示す。
【0031】
LPPデコーダ100は、ウォブルカウンタ110と、フレームカウンタ120と、セクタカウンタ130とにより構成される。
【0032】
ウォブルカウンタ110は、LPPが配置されているウォブルを検出するLPP配置ウォブル検出部111の出力期間に合わせて、カウンタ値の0〜2の出力タイミングを調整する。
【0033】
フレームカウンタ120は、ウォブルカウンタ110が示すウォブルアドレスと同期パターン検出部121により検出されたLPPの同期データが、‘11100000’であるときはカウンタ値を‘0’、‘11000000’であるときはカウンタ値を‘1’に初期設定する。
【0034】
セクタカウンタ130は、フレームカウンタ120のカウント値が2〜9の期間中の4ビットの2値化プリピット信号をデコードするセクタアドレスアドレスデコード部131の出力に合わせて、そのカウンタ値を初期設定する。
【0035】
上述の手順により初期設定を行った後は、各カウンタは、カウント動作を連続して実行する。図4に、定常状態における、ウォブルカウンタ110、フレームカウンタ120、セクタカウンタ130のカウンタ値の相互関係を示す。
【0036】
偶数/奇数判定部2は、LPPパターン検出部1からLPP検出信号が入力されると、その時点のフレームアドレス情報をLPPデコーダ100内のフレームカウンタ120から取得する。そして、フレームカウンタ120のカウンタ値にもとづいて、偶数/奇数判定部2は、LPPのデータパターンが検出されたフレームが偶数フレームであるか、奇数フレームであるかを判定する。
【0037】
具体的には、偶数/奇数判定部2は、LPP検出信号が入力されたときのフレームカウンタ120の最下位ビットの値を読み取り、その値が‘0’の場合は偶数フレームにLPPが配置されていると判定し、その値が‘1’の場合は奇数フレームにLPPが配置されていると判定する。
【0038】
同期パターン選択部3は、偶数/奇数判定部2の判定結果にもとづいてスイッチSWを制御し、同期パターンテーブル300に格納されている複数の同期パターンの中から各フレームに記録する同期パターンを選択し、光ディスクに記録する同期情報として出力する。
【0039】
同期情報は、図5に示すように、各フレームの先頭に配置される。そこで、同じく各フレームの先頭位置のランドに配置されているLPPへの影響を避けるため、同期情報選択部3は、LPPが配置されているフレームへは同期パターンが14Tスペースの同期情報が配置され、LPPが配置されていないフレームへは同期パターンが14Tマークの同期情報を配置されるように、同期パターンを選択する。
【0040】
すなわち、偶数/奇数判定部2の判定結果が偶数フレームであるときは、同期情報選択部3は、偶数フレームに対しては14Tスペースの同期パターンを選択し、奇数フレームに対しては14Tマークの同期パターンを選択する。
【0041】
一方、偶数/奇数判定部2の判定結果が奇数フレームであるときは、同期情報選択部3は、偶数フレームに対して14Tマークの同期パターンを選択し、奇数フレームに対しては14Tスペースの同期パターンを選択する。
【0042】
図6に、本実施例における同期情報のパターン選択動作の処理フローの例をフロー図で示す。
【0043】
まず、光ディスクから検出されたプリピット信号を2値化した2値化プリピット信号に対して、LPPパターン検出部1が、LPPパターンの検出を行う(ステップS01)。
【0044】
LPPパターン検出部1は、2値化プリピット信号を分析し、LPPのデータパターンに該当するビット並びを検出したときに、LPP検出信号を出力する。
【0045】
LPPパターン検出部1からLPP検出信号が出力されると、偶数/奇数判定部2が、LPPデコーダ100内のフレームカウンタ120からフレームアドレス情報を取得する(ステップS02)。
【0046】
続いて、偶数/奇数判定部2は、フレームカウンタ120のカウンタ値にもとづいて、LPPのデータパターンが検出されたフレームが偶数フレームであるか、奇数フレームであるかを判定する(ステップS03)。
【0047】
次に、偶数/奇数判定部2の判定結果にもとづいて、同期パターン選択部3が、同期パターンテーブル300に格納されている複数の同期パターンの中から、各フレームに記録する同期情報の同期パターンを選択する(ステップS04)。
【0048】
ここでは、偶数/奇数判定部2の判定結果が偶数フレームであるときは、同期情報選択部3は、偶数フレームに対しては14Tスペースの同期パターンを選択し、奇数フレームに対しては14Tマークの同期パターンを選択する。
【0049】
また、偶数/奇数判定部2の判定結果が奇数フレームであるときは、同期情報選択部3は、偶数フレームに対して14Tマークの同期パターンを選択し、奇数フレームに対しては14Tスペースの同期パターンを選択する。
【0050】
図7に、本実施例の光ディスク記録装置で上述の処理を行ったときの動作例を波形図で示す。
【0051】
図7に示す例は、LPP配置フレームが偶数フレームから奇数フレームに変更されている例である。すなわち、それまで偶数フレームに配置されていたLPPが、偶数フレームである第6フレームに配置されず、第7フレームからは、奇数フレームに配置されている。
【0052】
このLPP配置フレームが偶数フレームから奇数フレームに変更されたことに対して、偶数/奇数判定部2の判定結果が“偶数”から“奇数”へ変化する。
【0053】
この偶数/奇数判定部2の判定結果の変化を受けて、同期情報選択部3は、偶数フレームに配置する同期情報の同期パターンを、14Tスペースから14Tマークへ切り替える。また、同期情報選択部3は、奇数フレームに配置する同期情報の同期パターンを、14Tマークから14Tスペースへ切り替える。
【0054】
ただし、偶数/奇数判定部2の判定結果の確定が第7フレームの終了時点であるため、第7フレームの同期パターンは、本来14Tスペースが望まれるのに対して、14Tマークとなっている。したがって、この部分では、LPPと14Tマークの同期パターンの配置位置が重なってしまう。しかしながら、このような重なりが発生するのは、光ディスク全体から見ると、ごく僅かな比率である。なぜなら、LPP配置フレームの偶数、奇数の変化周期はディスク約1周回分となっており、1周回には、最内周でも約32×26フレーム分の同期パターンが配置されるからである。
【0055】
したがって、仮にLPPの読み取りエラーが発生したとしても、十分エラー訂正が行える範囲であり、実用上、問題は生じない。
【0056】
このような本実施例によれば、LPP配置フレームが、偶数フレームから奇数フレーム、あるいは奇数フレームから偶数フレームへ移行しても、その移行に追随して、同期情報の同期パターンを切り替えることができる。
【実施例2】
【0057】
実施例1では、光ディスクへの記録を行いながら、偶数/奇数判定部2の判定を行うため、LPP配置フレームの偶数/奇数の移行の検出に時間を要し、上述したように判定結果の出力に遅れを生じる。
【0058】
しかしながら、LPP配置フレームの偶数/奇数の移行アドレスは、同じメーカの同じ型番の光ディスクであれば、どれも同じである。したがって、LPP配置フレームの偶数/奇数の移行を予め検出し、その移行アドレス情報を記憶しておけば、光ディスクへの記録の都度偶数/奇数判定部2による判定を行う必要がなく、上述した判定結果の出力遅れの問題も解消される。
【0059】
そこで、本実施例では、様々な型番の光ディスクについて、予め、LPP配置フレームの偶数/奇数の移行の検出を行って、その移行アドレス情報を光ディスクの型番ごとに記憶するようにした光ディスク記録装置の例を示す。
【0060】
図8は、本発明の実施例2に係る光ディスク記録装置の構成の例を示すブロック図である。
【0061】
本実施例の光ディスク記録装置は、実施例1の光ディスク記録装置に、アドレス値算出部11と、記憶部12と、を付加したものである。
【0062】
また、本実施例のLPPパターン検出部1Aは、LPP検出信号のほかに、LPPに記録された情報データのデータ値をビットデータ情報として出力する。
【0063】
アドレス値算出部11は、LPPの形成が検出されたフレームのアドレス情報を算出する。アドレス情報には、そのフレームの光ディスク上の位置を示すECCブロックアドレス、セクタ番号、フレーム番号が含まれる。
【0064】
アドレス値算出部11は、LPPパターン検出部1Aから出力されたビットデータ情報からLPPに記録されている16バイトのECCブロックアドレス情報を取得する。また、LPPデコーダ100から、セクタ番号およびフレーム番号を取得する。
【0065】
記憶部12は、偶数/奇数判定部2の判定結果が、偶数から奇数へ移行したとき、または奇数から偶数へ移行したときに、その移行が発生したフレームのアドレス情報をアドレス値算出部11から取得し、その移行方向の情報とともに、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに格納する。
【0066】
ただし、偶数/奇数判定部2の判定結果の出力には、上述の遅れ時間があるので、記憶部12は、その遅れを差し引いて、偶数/奇数移行フレームのアドレス値を算出する。
【0067】
本実施例では、記憶部12への記憶作業を、光ディスクの型番ごとに予め行っておく。記憶部12は、光ディスクの型番とともに、偶数/奇数移行方向情報とアドレス情報を記憶する。
【0068】
図9に、偶数/奇数移行アドレス情報の記憶部12への格納処理の例をフロー図で示す。
【0069】
ある型番の光ディスクに対する処理が開始されると、偶数/奇数判定部2により、LPP配置フレームが偶数フレームであるか、奇数フレームであるかの判定を行う(ステップS11)。
【0070】
記憶部12は、偶数/奇数判定部2の判定結果をモニターし、その判定結果が、偶数から奇数へ移行したとき、または奇数から偶数へ移行したときに、その移行が発生したフレームのアドレス情報をアドレス値算出部11から取得する(ステップS12)。
【0071】
続いて、記憶部12は、取得したアドレス情報に対して偶数/奇数判定部2の判定遅れを補正して、偶数/奇数移行アドレス情報を生成する(ステップS13)。
【0072】
続いて、記憶部12は、型番を1つの単位として、偶数/奇数移行アドレス情報、偶数/奇数移行方向情報を、不揮発性メモリに格納する。
【0073】
光ディスクの最終フレームまで本フローの処理を繰り返し、記録終了に至ったら、その処理を終了する。
【0074】
様々な型番の光ディスクについて図9に示すフローの処理を行うと、記憶部12には、図10に示すような、型番ごとの偶数/奇数移行アドレス情報が格納される。
【0075】
図10に示す例では、型番ごとに、ECCブロック番号、セクタ番号、フレーム番号により構成される偶数/奇数移行アドレス情報と、偶数/奇数移行方向情報が1組にまとめられて格納されている。
【0076】
なお、この例では、偶数/奇数移行方向情報は、‘1’が偶数から奇数への移行を示し、‘0’が奇数から偶数への移行を示している。
【0077】
図8に戻って、本実施例の同期パターン選択部3Aは、記録対象の光ディスクから読み取られた型番識別情報と、記憶部12から読み出した偶数/奇数移行アドレス情報と、アドレス値算出部11から入力されたアドレス情報とにもとづいて、同期パターンの選択を行う。
【0078】
図11に、同期パターン選択部3Aにおける処理の流れをフロー図で示す。
【0079】
まず、同期パターン選択部3Aは、記録対象の光ディスクのLPPから読み取られた型番識別情報を取得する(ステップS21)。
【0080】
続いて、同期パターン選択部3Aは、記憶部12から該当型番の偶数/奇数移行アドレス情報、偶数/奇数移行方向情報を読み出す(ステップS22)。
【0081】
なお、読み出した偶数/奇数移行アドレス情報、偶数/奇数移行方向情報は、記録動作の実行中は保持しておく。
【0082】
記録動作が開始されると、同期パターン選択部3Aは、アドレス値算出部11から入力される、現在記録が行われているフレームのアドレス情報から、次に記録が実行されるフレームのアドレスを算出する(ステップS23)。
【0083】
次に、同期パターン選択部3Aは、その算出したアドレスを、記憶部12から読み出して保持している偶数/奇数移行アドレス情報と比較する。そして、両者が一致するときは、同期パターン選択部3Aは、次に記録が実行されるフレームの先頭で、偶数/奇数移行方向情報にもとづいて、同期パターンの切り替えを行う(ステップS23)。
【0084】
図12に、本実施例の光ディスク記録装置で上述の処理を行ったときの動作例を波形図で示す。
【0085】
図12に示す例も、図7と同様、LPP配置フレームが、第7フレーム以降、偶数フレームから奇数フレームへ変更されている。
【0086】
したがって、記憶部12から読み出した偶数/奇数移行アドレス情報、偶数/奇数移行方向情報には、このLPP配置フレームの移行に関する情報が記載されている。すなわち、偶数/奇数移行アドレス情報中には、フレーム番号=7であることが記載され、偶数/奇数移行方向情報には、‘1’(偶数から奇数への移行)が記載されている。
【0087】
そこで、同期パターン選択部3Aは、この偶数/奇数移行アドレス情報および偶数/奇数移行方向情報にもとづいて、この第7フレームに配置する同期情報の同期パターンを14Tスペースとし、以降、奇数フレームに配置する同期情報の同期パターンを14Tスペースとする。
【0088】
また、同期情報選択部3Aは、第8フレーム以降の偶数フレームに配置する同期情報の同期パターンを、14Tマークとする。
【0089】
このような本実施例によれば、予め検出したLPP配置フレームの偶数/奇数移行情報にもとづいて、同期情報の同期パターンの切り替えを行うので、LPPと14Tマークの同期パターンの配置位置が重なることを防止することができる。
【0090】
また、偶数/奇数移行に関する情報の記憶部12への書き込みは、随時行うことができる。これにより、例えば新しい型番の光ディスクが発売されても、その光ディスクに関する偶数/奇数移行に関する情報を直ちに記憶部12へ書き込むことができ、その光ディスクに対する同期パターンの配置を適切に行うことができる。
【符号の説明】
【0091】
1、1A LPPパターン検出部
2 偶数/奇数判定部
3、3A 同期パターン選択部
11 アドレス値算出部
12 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームごとに同期情報を挿入しつつ光ディスクにデータを記録する光ディスク記録装置であって、
前記光ディスクから検出したランドプリピットの配置フレームが偶数フレームであるか奇数フレームであるかを判定する偶数/奇数判定手段と、
前記偶数/奇数判定手段の判定結果にもとづいて各フレームに記録する同期情報の同期パターンを選択する同期パターン選択手段と
を備えることを特徴とする光ディスク記録装置。
【請求項2】
前記同期パターン選択手段が、
前記偶数/奇数判定手段の判定結果が偶数フレームの場合は、偶数フレームに記録する前記同期パターンをスペース、奇数フレームに記録する前記同期パターンをマークとする選択を行い、
前記偶数/奇数判定手段の判定結果が奇数フレームの場合は、偶数フレームに記録する前記同期パターンをマーク、奇数フレームに記録する前記同期パターンをスペースとする選択を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク記録装置。
【請求項3】
型番の異なる光ディスクごとに前記偶数/奇数判定手段による判定を事前に行い、前記ランドプリピットの配置フレームの偶数フレームから奇数フレームへの移行、あるいは奇数フレームから偶数フレームへの移行が行われたアドレスを偶数/奇数移行アドレス情報として、前記型番とともに記憶した記憶手段をさらに備え、
記録時には、前記同期情報パターン選択手段が、記録対象の光ディスクから読み取られた型番識別情報にもとづいて、対応する型番の前記偶数/奇数移行アドレス情報を前記記憶手段から読み出して、前記同期パターンの選択に使用する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスク記録装置。
【請求項4】
光ディスクにデータを記録する際にフレームごとに挿入する同期情報の記録方法であって、
前記光ディスクから検出したランドプリピットの配置フレームが偶数フレームであるか奇数フレームであるかを判定する偶数/奇数判定ステップと、
前記偶数/奇数判定ステップでの判定結果にもとづいて各フレームに記録する同期情報の同期パターンを選択する同期パターン選択ステップと
を備えることを特徴とする同期情報記録方法。
【請求項5】
前記同期パターン選択ステップにおいて、
前記偶数/奇数判定ステップでの判定結果が偶数フレームの場合は、偶数フレームに記録する前記同期パターンをスペース、奇数フレームに記録する前記同期パターンをマークとする選択を行い、
前記偶数/奇数判定ステップでの判定結果が奇数フレームの場合は、偶数フレームに記録する前記同期パターンをマーク、奇数フレームに記録する前記同期パターンをスペースとする選択を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の同期情報記録方法。
【請求項6】
型番識別情報の異なる光ディスクごとに前記偶数/奇数判定ステップによる判定を事前に行い、前記ランドプリピットの配置フレームの偶数フレームから奇数フレームへの移行、あるいは奇数フレームから偶数フレームへの移行が行われたアドレスを偶数/奇数移行アドレス情報として前記型番識別情報とともに記憶手段へ記憶させる記憶ステップをさらに備え、
記録時には、前記同期パターン選択ステップにおいて、記録対象の光ディスクから読み取られた前記型番識別情報に対応する、前記偶数/奇数移行アドレス情報を前記記憶手段から読み出して、前記同期パターンの選択に使用する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の同期情報記録方法。
【請求項1】
フレームごとに同期情報を挿入しつつ光ディスクにデータを記録する光ディスク記録装置であって、
前記光ディスクから検出したランドプリピットの配置フレームが偶数フレームであるか奇数フレームであるかを判定する偶数/奇数判定手段と、
前記偶数/奇数判定手段の判定結果にもとづいて各フレームに記録する同期情報の同期パターンを選択する同期パターン選択手段と
を備えることを特徴とする光ディスク記録装置。
【請求項2】
前記同期パターン選択手段が、
前記偶数/奇数判定手段の判定結果が偶数フレームの場合は、偶数フレームに記録する前記同期パターンをスペース、奇数フレームに記録する前記同期パターンをマークとする選択を行い、
前記偶数/奇数判定手段の判定結果が奇数フレームの場合は、偶数フレームに記録する前記同期パターンをマーク、奇数フレームに記録する前記同期パターンをスペースとする選択を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク記録装置。
【請求項3】
型番の異なる光ディスクごとに前記偶数/奇数判定手段による判定を事前に行い、前記ランドプリピットの配置フレームの偶数フレームから奇数フレームへの移行、あるいは奇数フレームから偶数フレームへの移行が行われたアドレスを偶数/奇数移行アドレス情報として、前記型番とともに記憶した記憶手段をさらに備え、
記録時には、前記同期情報パターン選択手段が、記録対象の光ディスクから読み取られた型番識別情報にもとづいて、対応する型番の前記偶数/奇数移行アドレス情報を前記記憶手段から読み出して、前記同期パターンの選択に使用する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスク記録装置。
【請求項4】
光ディスクにデータを記録する際にフレームごとに挿入する同期情報の記録方法であって、
前記光ディスクから検出したランドプリピットの配置フレームが偶数フレームであるか奇数フレームであるかを判定する偶数/奇数判定ステップと、
前記偶数/奇数判定ステップでの判定結果にもとづいて各フレームに記録する同期情報の同期パターンを選択する同期パターン選択ステップと
を備えることを特徴とする同期情報記録方法。
【請求項5】
前記同期パターン選択ステップにおいて、
前記偶数/奇数判定ステップでの判定結果が偶数フレームの場合は、偶数フレームに記録する前記同期パターンをスペース、奇数フレームに記録する前記同期パターンをマークとする選択を行い、
前記偶数/奇数判定ステップでの判定結果が奇数フレームの場合は、偶数フレームに記録する前記同期パターンをマーク、奇数フレームに記録する前記同期パターンをスペースとする選択を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の同期情報記録方法。
【請求項6】
型番識別情報の異なる光ディスクごとに前記偶数/奇数判定ステップによる判定を事前に行い、前記ランドプリピットの配置フレームの偶数フレームから奇数フレームへの移行、あるいは奇数フレームから偶数フレームへの移行が行われたアドレスを偶数/奇数移行アドレス情報として前記型番識別情報とともに記憶手段へ記憶させる記憶ステップをさらに備え、
記録時には、前記同期パターン選択ステップにおいて、記録対象の光ディスクから読み取られた前記型番識別情報に対応する、前記偶数/奇数移行アドレス情報を前記記憶手段から読み出して、前記同期パターンの選択に使用する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の同期情報記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−253594(P2011−253594A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127454(P2010−127454)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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