説明

光パケット交換システム

【課題】光パケット交換方式において、光パケット信号の破棄率を低減する。
【解決手段】光パケット交換システム10は、光パケット交換装置11と、光パケット送信装置12とを備える。光パケット交換装置11は、クライアント光パケット信号を遅延させるクライアント光遅延部17dと、ネットワーク光パケット信号を遅延させ、クライアント光遅延部17dよりも遅延時間の長いネットワーク光遅延部17a〜17cと、入力した光パケット信号の方路を切り替えて送出する光スイッチ部14と、光スイッチ部14を制御する光スイッチ制御部15とを備える。光スイッチ制御部15は、空きタイムスロットを検出するよう構成されている。光パケット送信装置12は、クライアント光パケット信号が空きタイムスロットに挿入されるよう、クライアント光パケット信号の送出タイミングを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パケット信号に付与された宛先情報に従って光スイッチを切り替えることにより、光パケット単位でのパケット交換を可能とする光パケット交換方式に関する。
【背景技術】
【0002】
波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)を用いた光伝送システムにおいて、波長選択スイッチ(WSS:wavelength selective switch)等を用いることで、波長単位のパス切替を行う技術が実用化されている。その次の技術として、切替を行う単位を例えばIPパケット(10GEther(10 Gigabit Ethernet(登録商標))信号等)一つ一つという細かい単位とし、各々を光パケットという形式に変換して、超高速の光スイッチで方路切り替えを行う光パケット交換方式が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
IPパケットはデータが存在しない間は有意な情報が転送されておらず、その分だけ帯域が無駄になっているが、光パケット交換方式が実現すれば、データが存在しない時間帯を別のパケットが占有できることになる。従って、光パケット交換方式は、伝送路の帯域利用効率を飛躍的に高める可能性があり、将来の技術として有望視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−235986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光パケット交換方式においては、光スイッチの例えば2つの入力ポートにほぼ同じタイミングで到着した2つの光パケット信号が、同じ出力ポートへの出力を要求する場合がある。このような場合、先着の光パケット信号が優先的に通過され、後着の光パケット信号はを破棄される。光パケット回線の使用率が低い状態であればこのように光パケット信号の破棄が発生する確率は低いので、それほど問題にならないが、ネットワークへの光パケット信号が増えて光パケット回線の使用率が高くなると、頻繁に光パケット信号の破棄が発生して通信品質が低下するおそれがある。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、光パケット交換方式において、光パケット信号の破棄率を低減できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の光パケット交換システムは、入力された光パケット信号の方路を切り替える光パケット交換装置と、受信したクライアント信号からクライアント光パケット信号を生成し、光パケット交換装置に送出する光パケット送信装置とを備える。光パケット交換装置は、光パケット送信装置からのクライアント光パケット信号を分岐するクライアント分岐部と、他の光パケット交換システムからのネットワーク光パケット信号を分岐するネットワーク分岐部と、クライアント分岐部にて分岐された一方のクライアント光パケット信号を遅延させるクライアント光遅延部と、ネットワーク分岐部にて分岐された一方のネットワーク光パケット信号を遅延させるネットワーク光遅延部であって、クライアント光遅延部よりも遅延時間の長いネットワーク光遅延部と、クライアント光遅延部からのクライアント光パケット信号を入力するクライアント入力ポートと、ネットワーク光遅延部からのネットワーク光パケット信号を入力するネットワーク入力ポートと、出力ポートとを有し、入力したクライアント光パケット信号およびネットワーク光パケット信号の方路を切り替えて出力ポートから送出する光スイッチ部と、クライアント分岐部にて分岐した他方のクライアント光パケット信号およびネットワーク分岐部にて分岐した他方のネットワーク光パケット信号を入力し、それらの光パケット信号の解析結果に基づいて光スイッチ部を制御する光スイッチ制御部とを備える。光スイッチ制御部は、出力ポートからネットワーク光パケット信号が送出されない時間である空きタイムスロットを検出するよう構成されている。光パケット送信装置は、クライアント光パケット信号が空きタイムスロットに挿入されるよう、クライアント光パケット信号の送出タイミングを調整する。
【0008】
光スイッチ制御部は、検出した空きタイムスロットに基づいて、クライアント光パケット信号の送信可能タイミングおよび送信可能パケット長を光パケット送信装置に通知するよう構成されていてもよい。光パケット送信装置は、受信したクライアント信号を格納する入力バッファと、入力バッファに格納されたクライアント信号にパケット長情報を含むヘッダを付加してクライアントパケット信号を生成するパケット生成部と、生成されたクライアントパケット信号を格納する出力バッファであって、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が送信可能パケット長以下の場合に、送信可能タイミングに合わせて該クライアントパケット信号を出力する出力バッファと、出力バッファから出力されたクライアントパケット信号をクライアント光パケット信号に変換し、光パケット交換装置に送出する電気/光変換部とを備えてもよい。
【0009】
出力バッファは、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が送信可能パケット長よりも長い場合、該クライアントパケット信号をパケット長が送信可能パケット長以下の分割パケット信号に分割して出力してもよい。
【0010】
出力バッファは、分割パケット信号のそれぞれに対し、分割されたクライアントパケット信号であることを示すための分割フラグと、他のクライアントパケット信号と識別するためのパケット識別番号と、出力バッファからの出力順番と、最後に出力された分割パケット信号であるか否かを示すための最終パケットフラグとを付与してもよい。
【0011】
出力バッファは、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が送信可能パケット長よりも長い場合、その後に格納されたクライアントパケット信号の中からパケット長が送信可能パケット長以下のものを検索し、該当したクライアントパケット信号を出力してもよい。
【0012】
出力バッファは、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が送信可能パケット長以下である場合、その後に格納されたクライアントパケット信号の中から、パケット長が送信可能パケット長から先頭のクライアントパケット信号のパケット長を引いた値よりも短いものを検索し、該当したクライアントパケット信号を先頭のクライアントパケット信号に続いて出力してもよい。
【0013】
光スイッチ制御部は、ネットワーク光パケット信号の到着時刻およびパケット長を検出するネットワーク解析部と、検出された到着時刻およびパケット長に基づいて、出力ポートにおけるネットワーク光パケット信号の時間的配置を示す出力予想図を生成し、該出力予想図に基づいて送信可能タイミングおよび送信可能パケット長を光パケット送信装置に通知する出力予想図生成部と、通知を受けて光パケット送信装置から出力されたクライアント光パケット信号の到着時刻およびパケット長を検出するクライアント解析部と、クライアント解析部からの到着時刻およびパケット長と、出力予想図生成部からの出力予想図とに基づいて、出力ポートにおけるネットワーク光パケット信号とクライアント光パケット信号の通過/破棄を判定し、光スイッチ部に制御信号を出力する制御信号生成部とを備えてもよい。
【0014】
光パケット送信装置は、受信したクライアント信号を格納する入力バッファと、入力バッファに格納されたクライアント信号にパケット長情報を含むヘッダを付加してクライアントパケット信号を生成するパケット生成部と、生成されたクライアントパケット信号を格納する出力バッファであって、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長情報を光パケット交換装置に通知するとともに、スイッチ制御部から送信開始トリガが通知されたときに該クライアントパケット信号を出力する出力バッファと、出力バッファから出力されたクライアントパケット信号をクライアント光パケット信号に変換し、光パケット交換装置に送出する電気/光変換部とを備えてもよい。
【0015】
光スイッチ制御部は、ネットワーク分岐部からのネットワーク光パケット信号の到着時刻およびパケット長を検出するネットワーク解析部と、検出された到着時刻およびパケット長に基づいて、出力ポートにおけるネットワーク光パケット信号の時間的配置を示す出力予想図を生成し、該出力予想図から検出した空きタイムスロットの送信可能パケット長が光パケット送信装置から通知されたクライアントパケット信号のパケット長以上である場合に、光パケット送信装置に対して送信開始トリガを通知する出力予想図生成部と、送信開始トリガを受けて光パケット送信装置から出力されたクライアント光パケット信号の到着時刻およびパケット長を検出するクライアント解析部と、クライアント解析部からの到着時刻およびパケット長と、出力予想図生成部からの出力予想図とに基づいて、出力ポートにおけるネットワーク光パケット信号とクライアント光パケット信号の通過/破棄を判定し、光スイッチ部に制御信号を出力する制御信号生成部とを備えてもよい。
【0016】
本発明の別の態様もまた、光パケット交換システムである。この光パケット交換システムは、入力された光パケット信号の方路を切り替える光パケット交換装置と、受信したクライアント信号からクライアント光パケット信号を生成し、光パケット交換装置に送出する光パケット送信装置とを備える。光パケット交換装置は、他の光パケット交換システムからのネットワーク光パケット信号を分岐するネットワーク分岐部と、光パケット送信装置からのクライアント光パケット信号を遅延させるクライアント光遅延部と、ネットワーク分岐部にて分岐された一方のネットワーク光パケット信号を遅延させるネットワーク光遅延部であって、クライアント光遅延部よりも遅延時間の長いネットワーク光遅延部と、クライアント光遅延部からのクライアント光パケット信号を入力するクライアント入力ポートと、ネットワーク光遅延部からのネットワーク光パケット信号を入力するネットワーク入力ポートと、出力ポートとを有し、入力したクライアント光パケット信号およびネットワーク光パケット信号の方路を切り替えて出力ポートから送出する光スイッチ部と、ネットワーク分岐部にて分岐した他方のネットワーク光パケット信号を入力し、該ネットワーク光パケット信号の解析結果に基づいて光スイッチ部を制御する光スイッチ制御部とを備える。光パケット送信装置は、受信したクライアント信号を格納する入力バッファと、入力バッファに格納されたクライアント信号にパケット長情報を含むヘッダを付加してクライアントパケット信号を生成するパケット生成部と、生成されたクライアントパケット信号を格納する出力バッファであって、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長情報を光パケット交換装置に通知するとともに、スイッチ制御部から送信開始トリガが通知されたときに該クライアントパケット信号を出力する出力バッファと、出力バッファから出力されたクライアントパケット信号をクライアント光パケット信号に変換し、光パケット交換装置に送出する電気/光変換部とを備える。光スイッチ制御部は、ネットワーク光パケット信号の到着時刻およびパケット長を検出するネットワーク解析部と、検出された到着時刻およびパケット長に基づいて、出力ポートにおけるネットワーク光パケット信号の時間的配置を示す出力予想図を生成し、該出力予想図から検出した空きタイムスロットの送信可能パケット長が光パケット送信装置から通知されたクライアントパケット信号のパケット長以上である場合に、光パケット送信装置に対して送信開始トリガを通知する出力予想図生成部と、送信開始トリガを通知してから所定時間後に光パケット送信装置からクライアント光パケット信号が到着することを見込んで、光スイッチ部に制御信号を出力する制御信号生成部とを備える。
【0017】
ネットワーク光パケット信号は、複数の波長の光パケット信号が波長多重された光パケット信号であり、光スイッチ制御部は、光パケット信号の波長ごとに空きタイムスロットを検出するよう構成されており、光パケット送信装置は、クライアント光パケット信号が検出された空きタイムスロットに挿入されるよう、クライアント光パケット信号の送出タイミングおよび波長を調整してもよい。
【0018】
光パケット交換装置から送出された光パケット信号を受信する光パケット受信装置をさらに備えてもよい。光スイッチ部は、当該光パケット交換システムの外部に光パケット信号を出力するネットワーク出力ポートと、光パケット受信装置に光パケット信号を出力するクライアント出力ポートとを有してもよい。光スイッチ制御部は、ネットワーク出力ポートにおいてネットワーク光パケット信号同士の時間的な競合が発生している場合、先着のネットワーク光パケット信号を優先的にネットワーク出力ポートに通過させ、後着のネットワーク光パケット信号をクライアント出力ポートに出力し、光パケット受信装置は、受信した後着のネットワーク光パケット信号を光パケット送信装置に転送してもよい。
【0019】
本発明の別の態様もまた、光パケット交換システムである。この光パケット交換システムは、入力された光パケット信号の方路を切り替える光パケット交換装置と、受信したクライアント信号からクライアント光パケット信号を生成し、光パケット交換装置に送出する光パケット送信装置とを備える。光パケット交換装置は、光パケット信号を受信する複数の入力部と、入力部で受信した光パケット信号をそれぞれ分岐する複数の分岐部と、分岐部にて分岐された一方の光パケット信号の遅延時間をそれぞれ可変できる複数の光遅延時間可変部と、光遅延時間可変部からの光パケット信号をそれぞれ入力する複数の入力ポートと、出力ポートとを有し、入力した光パケット信号の方路を切り替えて出力ポートから送出する光スイッチ部と、分岐部にて分岐した他方の光パケット信号を入力し、それらの光パケット信号の解析結果に基づいて光スイッチ部を制御する光スイッチ制御部と、各光遅延時間可変部の遅延時間を個別に制御する遅延時間制御部であって、遅延時間可変部に光パケット送信装置からのクライアント光パケット信号が入力される場合には、遅延時間を所定の第1遅延時間に制御し、他の光パケット交換システムからのネットワーク光パケット信号が入力される場合には、遅延時間を第1遅延時間よりも長い所定の第2遅延時間に制御する遅延時間制御部とを備える。光スイッチ制御部は、出力ポートからネットワーク光パケット信号が送出されない時間である空きタイムスロットを検出するよう構成されている。光パケット送信装置は、クライアント光パケット信号が空きタイムスロットに挿入されるよう、クライアント光パケット信号の送出タイミングを調整する。
【0020】
光遅延時間可変部は、光パケット信号を第1遅延時間遅延させるクライアント光遅延部と、光パケット信号を第2遅延時間遅延させるネットワーク光遅延部と、クライアント光遅延部とネットワーク光遅延部とを選択的に切り替える遅延選択光スイッチとを備えてもよい。
【0021】
光パケット交換装置は、入力部に入力される光パケット信号を、クライアント光パケット信号とネットワーク光パケット信号との間で選択的に切り替える複数の入力選択光スイッチをさらに備えてもよい。
【0022】
光パケット交換装置は、光パケット信号の出力先を、当該光パケット交換システムの外部と、当該光パケット交換システムの備える光パケット受信装置との間で選択的に切り替える出力選択光スイッチをさらに備えてもよい。
【0023】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、光パケット交換方式において、光パケット信号の破棄率を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る光パケット交換システムを示す図である。
【図2】図2(a)〜(f)は、本発明の実施形態に係る光パケット交換システムの動作を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に係る光パケット送信装置を示す図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、図3に示す光パケット送信装置の動作を説明するための図である。
【図5】本発明の別の実施形態に係る光パケット送信装置を示す図である。
【図6】図5に示す光パケット送信装置が適用される光パケット交換システムを示す図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、図5に示す光パケット送信装置の動作を説明するための図である。
【図8】図8(a)〜(d)は、光パケット送信装置の別の動作を説明するための図である。
【図9】可変長で分割する場合のヘッダフォーマットの一例を示す図である。
【図10】図10(a)〜(d)は、光パケット送信装置のさらに別の動作を説明するための図である。
【図11】図11(a)〜(d)は、光パケット送信装置のさらに別の動作を説明するための図である。
【図12】光スイッチ制御部の構成を説明するための図である。
【図13】図13(a)(b)は、第1〜第3ネットワーク入力部に入力したネットワーク光パケット信号を示す図である。
【図14】空きタイムスロットを監視する様子を示す図である。
【図15】本発明の別の実施形態に係る光パケット交換システムを示す図である。
【図16】本発明のさらに別の実施形態に係る光パケット交換システムを示す図である。
【図17】図17(a)〜(c)は、光パケット送信装置のさらに別の動作を説明するための図である。
【図18】図17(a)〜(c)で説明した実施形態におけるヘッダフォーマットの一例を示す図である。
【図19】本発明のさらに別の実施形態に係る光パケット交換システムを示す図である。
【図20】本発明のさらに別の実施形態に係る光パケット交換システムを示す図である。
【図21】本発明の実施例に係る光パケット交換システムを示す図である。
【図22】本実施例における光パケット信号の形式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る光パケット交換システムについて説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る光パケット交換システム10を示す。図1に示すように、光パケット交換システム10は、光パケット交換装置11と、光パケット送信装置12と、光パケット受信装置13とを備える。
【0028】
本実施形態に係る光パケット交換装置11は、4入力×4出力の光パケット交換装置である。光パケット交換装置11は、クライアント側またはネットワーク側から入力した光パケット信号から宛先情報を抽出する。そして、該宛先情報に従って、光パケット信号の方路を切り替える。
【0029】
図1に示すように、光パケット交換装置11は、光スイッチ部14と、光スイッチ制御部15と、第1〜第4光分岐部16a〜16dと、第1〜第4光遅延部17a〜17dと、第1〜第3ネットワーク入力部NW_IN1〜NW_IN3と、クライアント入力部CL_INと、第1〜第3ネットワーク出力部NW_OUT1〜NW_OUT3と、クライアント出力部CL_OUTとを備える。
【0030】
第1〜第3ネットワーク入力部NW_IN1〜NW_IN3にはそれぞれ、光パケットネットワークから光パケット信号(以下適宜、「ネットワーク光パケット信号」と呼ぶ)が入力される。ネットワーク光パケット信号は、光パケット交換システム10に接続された他の光パケット交換システムから送信された光パケット信号である。また、クライアント入力部CL_INには、光パケット送信装置12から光パケット信号(以下適宜、「クライアント光パケット信号」と呼ぶ)が入力される。
【0031】
入力された光パケット信号は、それぞれ第1〜第4光分岐部16a〜16dにて2つに分岐される。分岐された一方の光パケット信号は、第1〜第4光遅延部17a〜17dに入力される。これらの光遅延部は、所定長の光ファイバを収容するものであり、光ファイバの長さに応じて通過する光パケット信号に遅延を生じさせる。以下においては適宜、ネットワーク光パケット信号が入力される第1〜第3光遅延部17a〜17cを「ネットワーク光遅延部」と呼び、クライアント光パケット信号が入力される第4光遅延部17dを「クライアント光遅延部」と呼ぶ。第1〜第4光遅延部17a〜17dを通過した光パケット信号は、光スイッチ部14に入力される。
【0032】
また、第1〜第4光分岐部16a〜16dにて分岐された他方の光パケット信号は、光スイッチ制御部15の第1〜第4ヘッダ入力部H_IN1〜H_IN4に入力される。光スイッチ制御部15は、入力された光パケット信号を電気のパケット信号に変換した後、該パケット信号のヘッダを解析して宛先情報を抽出する。そして、光スイッチ制御部15は、抽出した宛先情報に応じた方路に光パケット信号を出力すべく、光スイッチ部14に対して制御信号を出力する。
【0033】
光パケット交換装置11に同時又はほぼ同時に到着した複数の光パケット信号が同一の出力部を出力先としている場合、光スイッチ制御部15は、各光パケット信号の通過/破棄を判定する。例えば、第1ネットワーク入力部NW_IN1と第2ネットワーク入力部NW_IN2にそれぞれ光パケット信号が入力され、それら2つの光パケット信号が共に第1出力ポート12cを出力先としている場合を考える。この場合、光スイッチ制御部15は、それら2つの光パケット信号が競合しているか否かを判定する。言い換えると、2つの光パケット信号が時間的に重なっているか否かを判定する。2つの光パケット信号が競合している場合、光スイッチ制御部15は、先に到着した光パケット信号を通過させ、後の光パケットを破棄する判定を行う。つまり、先着の光パケット信号を優先的に通過させる。このような判定を「出力競合判定」と呼ぶ。
【0034】
光スイッチ部14は、4×4の光スイッチであり、第1〜第4入力ポートIN1〜IN4と、第1〜第4出力ポートOUT1〜OUT4を有する。第1〜第4入力ポートIN1〜IN4には、それぞれ第1〜第4光遅延部17a〜17dを通過した光パケット信号が入力される。以下においては適宜、ネットワーク光パケット信号が入力される入力ポートIN1〜IN3を「ネットワーク入力ポート」と呼び、クライアント光パケット信号が入力される入力ポートIN4を「クライアント入力ポート」と呼ぶ。
【0035】
光スイッチ部14の第1〜第3出力ポートOUT1〜OUT3から出力された光パケット信号は、それぞれ第1〜第3ネットワーク出力部NW_OUT1〜NW_OUT3から光パケットネットワークに送出される。また、光スイッチ部14の第4出力ポートOUT4から出力された光パケット信号は、クライアント出力部CL_OUTから光パケット受信装置13に送出される。
【0036】
光スイッチ部14は、複数の光ゲートスイッチと、複数の光カプラから構成されている。光ゲートスイッチとしては、半導体光増幅器を用いたものや、PLZT(チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)にランタンをドープした薄膜)を用いたもの等を使用できる。光スイッチ部14は、光スイッチ制御部15からの光スイッチ制御信号により各光ゲートスイッチオン/オフさせ、入力された光パケット信号の方路を切り替えて出力する。
【0037】
上述の第1〜第4光遅延部17a〜17dは、光スイッチ制御部15が光スイッチ制御信号を生成する時間を稼ぐために設けられている。第1〜第4光遅延部17a〜17dにより分岐した一方の光パケット信号を遅延させることにより、光パケット信号が光スイッチ部14に到着するタイミング合わせて、光スイッチ部14のスイッチングを制御できる。
【0038】
ここで、本実施形態に係る光パケット交換装置11においては、ネットワーク光遅延部である第1〜第3光遅延部17a〜17cの遅延時間が、クライアント光遅延部である第4光遅延部17dの遅延時間よりも長くなっている。言い換えると、第1〜第3光遅延部17a〜17cの光ファイバ長が、第4光遅延部17dの光ファイバ長よりも長くなっている。これにより、光スイッチ制御部15において、ネットワーク光パケット信号を先行して解析することが可能となる。なお、第1〜第3光遅延部17a〜17cの遅延時間は、同じ値に設定されている。
【0039】
光パケット送信装置12は、クライアント側から受信したクライアント信号(例えば、10GEtherパケット)に宛先情報やパケット長情報を含むヘッダを付加して光パケット信号(クライアント光パケット信号)を生成する。そして、生成したクライアント光パケット信号を光パケット交換装置11のクライアント入力部CL_INに送出する。
【0040】
光パケット受信装置13は、光パケット交換装置11のクライアント出力部CL_OUTから送出された光パケット信号を受信する。光パケット受信装置13は、光パケット信号のヘッダを除去する等の所定の受信処理を行ってクライアント信号を生成し、クライアント側に送出する。
【0041】
図2(a)〜(f)は、本発明の実施形態に係る光パケット交換システムの動作を説明するための図である。図2において、横軸は時間軸である。
【0042】
図2(a)〜(c)は、それぞれ光パケット交換装置11の第1〜第3ネットワーク入力部NW_IN1〜NW_IN3に入力されるネットワーク光パケット信号を示す。なお、光パケット信号に付された例えば「2→1」という表記は、第2ネットワーク入力部NW_IN2から入力され、光スイッチ部14の第1出力ポートOUT1を出力先とする光パケット信号を意味する。ここでは、説明を簡単にするために、第1出力ポートOUT1を出力先とする光パケット信号に関して説明する。
【0043】
図2(d)は、光パケット交換装置11の第1出力ポートOUT1におけるネットワーク光パケット信号の出力予想図を示す。この出力予想図は、第1〜第3ネットワーク入力部NW_IN1〜NW_IN3に入力したネットワーク光パケット信号の到着時刻と、ヘッダに含まれる宛先情報およびパケット長情報とに基づいて、光スイッチ制御部15により作成される。出力予想図は、出力ポートにおけるネットワーク光パケット信号の時間的配置を示す。図2(d)に示すように、各ネットワーク光パケット信号には、光パケット交換装置11への到着順に出力可能な時間帯が割り当てられる。なお、複数のネットワーク光パケット信号が時間的に競合した場合には、先着のネットワーク光パケット信号に優先的に時間帯が割り当てられ、後着のネットワーク光パケット信号は破棄される。
【0044】
光スイッチ制御部15は、作成した出力予想図から、ネットワーク光パケット信号が存在しない空きタイムスロットを検出する。空きタイムスロットにおいては、出力ポートからネットワーク光パケット信号が送出されない。そして、光スイッチ制御部15は、その空きタイムスロットに関する情報を光パケット送信装置12に通知する。
【0045】
図2(e)は、クライアント入力部CL_INに入力されるクライアント光パケット信号を示す。空きタイムスロット通知を受けた光パケット送信装置12は、該空きタイムスロットにクライアント光パケット信号が挿入されるよう、クライアント光パケット信号の送出タイミングを調整する。より具体的には、光パケット送信装置12は、電気信号の状態でパケット信号を保持しておき、空きタイムスロットのタイミングに合わせて、クライアント光パケット信号を生成し、送出するのである。
【0046】
図2(f)は、実際の第1出力ポートOUT1の出力を示す。図2において、一点鎖線はネットワーク光遅延部による遅延を表し、破線はクライアント光遅延部による遅延を表している。図示されるように、クライアント光遅延部による遅延時間は、ネットワーク光遅延部による遅延時間よりも短い。これにより、ネットワーク光パケット信号間の空きタイムスロット検出後にクライアント光パケット信号を送出したとしても、クライアント光パケット信号はネットワーク光パケット信号間の空きタイムスロットに挿入され、第1出力ポートOUT1から送出される。
【0047】
上記の説明では、第1出力ポートOUT1を出力先とする光パケット信号について説明したが、その他の第2〜第4出力ポートOUT2〜OUT4を出力先とする光パケット信号についても同様の処理がなされる。
【0048】
ネットワーク光パケット信号は、他の光パケット交換システムから送られてくる光パケット信号であるため、光パケット交換装置11への到着時間を制御することはできない。しかしながら、クライアント光パケット信号は、光パケット交換システム10内の光パケット送信装置12で生成される光パケット信号であるため、光パケット信号の生成及び送信のタイミングを任意に決めることができる。そこで、本実施形態においては、光パケット交換装置11においてネットワーク光パケット信号が存在しない空きタイムスロットの検出を常時行い、空きタイムスロットが検出された場合に光パケット送信装置12からクライアント光パケット信号を送出する構成とした。これにより、光パケット交換装置11においてネットワーク光パケット信号とクライアント光パケット信号とが時間的に競合する事態が回避されるので、光パケット信号の破棄率を低減できる。
【0049】
上記のように、ネットワーク光パケット信号間の空きタイムスロット検出後にクライアント光パケット信号を送出しても該空きタイムスロットにクライアント光パケット信号を挿入できるのは、ネットワーク光遅延部の遅延時間が、クライアント光遅延部の遅延時間よりも長くなっていることによる。適切な遅延時間差は、回路構成などによって変わってくるので、実験やシミュレーションなどにより適宜設定すればよい。
【0050】
図3は、本発明の実施形態に係る光パケット送信装置12を示す。図3に示すように、光パケット送信装置12は、入力バッファ18と、パケット生成部19と、宛先・出力変換表20と、第1セレクタ21と、第1〜第4出力バッファ22a〜22dと、第2セレクタ23と、電気/光変換部24とを備える。
【0051】
入力バッファ18は、クライアント側から受信したクライアント信号を格納する。パケット生成部19は、入力バッファ18に格納されたクライアント信号から、宛先情報およびパケット長情報を抽出し、それらの情報を含むヘッダをクライアント信号に付加して電気のクライアントパケット信号を生成する。このクライアントパケット信号は、第1セレクタ21に送られる。
【0052】
また、パケット生成部19は、抽出した宛先情報と、宛先・出力変換表20とに基づいて、クライアント光パケット信号を光パケット交換装置11のどの出力部に出力するべきかを決定する。第1セレクタ21は、その決定に応じて、クライアントパケット信号を第1〜第4出力バッファ22a〜22dのいずれかに転送する。
【0053】
第1〜第4出力バッファ22a〜22dはそれぞれ、光スイッチ部14の第1〜第4出力ポートOUT1〜OUT4用に用意された出力バッファである。第1〜第4出力バッファ22a〜22dには、先入れ先出し形式で、第1セレクタ21から転送された電気のクライアント光パケット信号が蓄積される。
【0054】
また、第1〜第4出力バッファ22a〜22dにはそれぞれ、光スイッチ制御部15から空きタイムスロットに関する情報として、クライアント光パケット信号の送信可能タイミングおよび送信可能パケット長が通知される。第1〜第4出力バッファ22a〜22dは、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が通知された送信可能パケット長以下の場合に、通知された送信可能タイミングに合わせて該クライアントパケット信号を出力する。第1〜第4出力バッファ22a〜22dから出力されたクライアントパケット信号は、第2セレクタ23により時間多重された後、電気/光変換部24でクライアント光パケット信号に変換され、光パケット交換装置11のクライアント入力部CL_INに送出される。
【0055】
ここで、光スイッチ制御部15からの空きタイムスロット情報の受信から実際にクライアント光パケット信号が出力されるまでの時間が変動すると、光パケット交換装置11でクライアント光パケット信号がネットワーク光パケット信号と合流した際の時間関係が崩れてしまうので、この時間は正確に一定である必要がある。そのために、光スイッチ制御部15と光パケット送信装置12が同期クロックで動作するような構成としてもよい。
【0056】
図4(a)〜(c)は、図3に示す光パケット送信装置の動作を説明するための図である。
【0057】
図4(a)は、光スイッチ制御部15により作成された、光スイッチ部14の第1〜第4出力ポートOUT1〜OUT4の出力予想図を示す。上述したように、光スイッチ制御部15は、光スイッチ部14の各出力ポートに関して、ネットワーク光パケット信号の出力予想図を作成する。そして、光スイッチ制御部15は、作成した出力予想図から、ネットワーク光パケット信号が存在しない空きタイムスロットを検出する。その後、光スイッチ制御部15は、空きタイムスロット通知として、クライアント光パケット信号の送信可能タイミングおよび送信可能パケット長を第1〜第4出力バッファ22a〜22dに通知する。図4(a)には、一例として、第2出力ポートOUT2の出力予想図における「送信可能パケット(PKT)長=4」の空きタイムスロットと、第3出力ポートOTU3の出力予想図における「送信可能パケット長=8」の空きタイムスロットが図示されている。なお、ここで示すパケット長の値は、任意単位である。
【0058】
なお、光パケット交換方式においては一般的に、隣接する光パケット間に所定の最小間隔以上の隙間が設けられる。この隙間を設ける理由は二つある。一つ目の理由は、先行する光パケット信号と後続の光パケット信号を区別し、後続の光パケット信号の同期を確立するためである。光パケット交換方式においては、入力する光パケット信号は異なる光パケット交換システムから出力されたものである可能性があるため、連続した光パケット信号であっても各々別々にクロック抽出する必要がある。それには、光パケット信号が存在しない状態を経る必要がある。二つ目の理由は、光スイッチ部においてパケット単位で方路切替する際に、光スイッチ部が切り替わる過渡的な時間の間はロスが変動するため、光パケット信号を配置できないからである。従って、光スイッチ制御部15は、所定の最小間隔より大きい隙間を空きタイムスロットとして検出する。
【0059】
図4(b)は、空きタイムスロット通知を受けた光パケット送信装置12の動作を示す。図4(b)において、各出力バッファに格納されたクライアントパケット信号に付された例えば「PKT1−1」および「PKT1−2」という表記は、それぞれ第1出力バッファ22aの先頭および2番目に格納されたクライアントパケット信号という意味である。また、図4(b)においては、各クライアントパケット信号ごとにパケット(PKT)長が示されている。
【0060】
光スイッチ制御部15から空きタイムスロット通知を受けた光パケット送信装置12の第1〜第4出力バッファ22a〜22dは、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が通知された送信可能パケット長以下の場合、通知された送信可能タイミングに合わせて該クライアントパケット信号を出力する。例えば、光スイッチ制御部15から「送信可能パケット長=4」という空きタイムスロット通知を受けた第2出力バッファ22bは、先頭に格納されたクライアントパケット信号PKT2−1のパケット長が「4」であるので、通知された送信可能タイミングに合わせて該クライアントパケット信号PKT2−1を出力する。また、光スイッチ制御部15から「送信可能パケット長=8」という空きタイムスロット通知を受けた第3出力バッファ22cは、先頭に格納されたクライアントパケット信号PKT3−1のパケット長が「3」であるので、通知された送信可能タイミングに合わせて該クライアントパケット信号PKT3−1を出力する。
【0061】
ここで、光パケット送信装置12の電気/光変換部24および光出力端子が一つしかない場合には、図4(b)に示すように各出力バッファからのクライアントパケット信号を第2セレクタ23で合流させ、時間多重化する必要がある。その際、複数の出力ポートに向けたクライアント光パケット信号を同時に出力することはできないので、各出力バッファは、通知された送信可能タイミングだけでなく、他の出力バッファとの出力競合を考慮して、クライアントパケット信号を出力する必要がある。より具体的には、各出力バッファは、通知された送信可能タイミングであっても、他の出力バッファからクライアントパケット信号が出力中であるときには、出力を一旦待つ。そして、その後まだ空きタイムスロットに挿入可能な場合に、該クライアントパケット信号を出力する。
【0062】
図4(c)は、光スイッチ部14の第1〜第4出力ポートOUT1〜OUT4からの実際の出力を示す。クライアント光パケット信号を受信した光パケット交換装置11は、ネットワーク光パケット信号と同様にクライアント光パケット信号の方路切替を行う。図4(c)には、クライアント光パケット信号PKT2−1が第2出力ポートOUT2の空きタイムスロットに挿入され、クライアント光パケット信号PKT3−1が第3出力ポートOUT3の空きタイムスロットに挿入された様子が図示されている。
【0063】
図5は、本発明の別の実施形態に係る光パケット送信装置を示す。本実施形態に係る光パケット送信装置12は、上述の複数の出力ポートに向けたクライアント光パケット信号を同時に出力することはできないという課題を解決する。本実施形態において、図3に示す光パケット送信装置と同一または対応する構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。
【0064】
図5に示す光パケット送信装置12は、光スイッチ部14の出力ポート数に相当する電気/光変換部および光出力端子を備えることを特徴とする。図5に示すように、光パケット送信装置12は、第1〜第4電気/光変換部24a〜24dを備え、第1〜第4出力バッファ22a〜22dから直接第1〜第4電気/光変換部24a〜24dにクライアントパケット信号が出力される点が図3に示す光パケット送信装置と異なっている。第1〜第4電気/光変換部24a〜24dに入力されたクライアントパケット信号は、各電気/光変換部によりクライアント光パケット信号に変換され、光パケット交換装置に出力される。
【0065】
図6は、図5に示す光パケット送信装置が適用される光パケット交換システムを示す。本実施形態において、図1に示す光パケット交換システムと同一または対応する構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。
【0066】
図6に示す光パケット交換システム10の光パケット交換装置11は、光パケット送信装置12の第1〜第4出力バッファ22a〜22dからのクライアント光パケット信号が入力される第1〜第4クライアント入力部CL_IN1〜CL_IN4を備える。
【0067】
また、これらの第1〜第4クライアント入力部CL_IN1〜CL_IN4のそれぞれに対して、第4〜第7光分岐部16d〜16gと、それらによって分岐された一方のクライアントパケット信号が入力される第4〜第7光遅延部17d〜17gとが設けられている。
【0068】
第4〜第7光遅延部17d〜17gは、クライアント光遅延部であり、その遅延時間は、ネットワーク光遅延部である第1〜第3光遅延部17a〜17cの遅延時間よりも短くなっている。第4〜第7光遅延部17d〜17gで遅延したクライアント光パケット信号は、光スイッチ部14の第4〜第7入力ポートに入力される。第4〜第7入力ポートは、クライアント入力ポートである。
【0069】
また、第4〜第7光分岐部16d〜16gによって分岐された他方のクライアントパケット信号は、光スイッチ制御部15の光スイッチ制御部15の第4〜第7ヘッダ入力部H_IN4〜H_IN7に入力される。
【0070】
図7(a)〜(c)は、図5に示す光パケット送信装置の動作を説明するための図である。図7(a)は、光スイッチ制御部15により作成された、光スイッチ部14の第1〜第4出力ポートOUT1〜OUT4の出力予想図を示す。図7(a)には、一例として、第2出力ポートOUT2の出力予想図における「送信可能パケット長=4」の空きタイムスロットと、第3出力ポートOTU3の出力予想図における「送信可能パケット長=8」の空きタイムスロットが図示されている。
【0071】
図7(b)は、空きタイムスロット通知を受けた光パケット送信装置12の動作を示す。空きタイムスロット通知を受けた光パケット送信装置12の第1〜第4出力バッファ22a〜22dは、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が通知された送信可能パケット長以下の場合、通知された送信可能タイミングに合わせて該クライアントパケット信号を出力する。例えば、光スイッチ制御部15から「送信可能パケット長=4」という空きタイムスロット通知を受けた第2出力バッファ22bは、先頭に格納されたクライアントパケット信号PKT2−1のパケット長が「4」であるので、通知された送信可能タイミングに合わせて該クライアントパケット信号PKT2−1を出力する。また、光スイッチ制御部15から「送信可能パケット長=8」という空きタイムスロット通知を受けた第3出力バッファ22cは、先頭に格納されたクライアントパケット信号PKT3−1のパケット長が「3」であるので、通知された送信可能タイミングに合わせて該クライアントパケット信号PKT3−1を出力する。
【0072】
ここで、図5に示す光パケット送信装置12は、並列に設けられた第1〜第4電気/光変換部24a〜24dを備えるので、第1〜第4出力バッファ22a〜22dは、クライアントパケット信号を同時に出力できる。図7(b)においては、クライアントパケット信号PKT2−1とPKT3−1とが時間的に重複した状態で出力されている様子を示す。
【0073】
図7(c)は、光スイッチ部14の第1〜第4出力ポートOUT1〜OUT4からの実際の出力を示す。図7(c)に示すように、本実施形態によれば、クライアント光パケット信号PKT2−1とPKT3−1とを時間的に重複した状態でそれぞれ光スイッチ部14の第2出力ポートOUT2および第3出力ポートOUT3から送出できる。これにより、図4の場合と比較してクライアント光パケット信号PKT3−2を早く送出できるので、残りの空きタイムスロットに2番目のクライアント光パケット信号PKT3−2を挿入することができる。このように、本実施形態によれば、帯域利用効率を高めることができる。
【0074】
図5および図6の構成では、複数の電気/光変換部が必要となり、また光スイッチ部14の入力ポート数を増やす必要がある。従って、コスト面を重視する場合には、図1および図3の構成を採用し、帯域利用効率を重視する場合には、図5および図6の構成を採用すればよい。
【0075】
図8(a)〜(d)は、光パケット送信装置の別の動作を説明するための図である。図4において、光パケット送信装置12の第1〜第4出力バッファ22a〜22dは、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が通知された送信可能パケット長以下の場合、該クライアントパケット信号を出力する。この場合、送信したいクライアント光パケット信号が長い場合、なかなか送信できず、クライアント光パケット信号の遅延時間が長くなったり、出力バッファのオーバーフローによってパケット損失が発生したりする可能性がある。
【0076】
そこで、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が送信可能パケット長よりも長い場合、該クライアントパケット信号を分割して、パケット長が送信可能パケット長以下である複数の分割パケット信号とした上で出力してもよい。
【0077】
図8(a)は、光スイッチ部14のある出力ポートにおける出力予想図を示し、図8(b)は、該出力ポートに対応する光パケット送信装置12の出力バッファの状態を示し、図8(c)は、クライアント光パケット信号を分割した状態を示し、図8(d)は、実際の出力ポートの出力を示す。
【0078】
図8(a)に示すように、出力予想図から送信可能パケット長=8の2つの空きタイムスロットが検出されたとする。この空きタイムスロット通知を受けた光パケット送信装置12の出力バッファは、先頭のクライアントパケット信号のパケット長が「12」であり、通知された送信可能パケット長よりも長いので、図8(c)に示すように該クライアントパケット信号を半分に分割する。これにより、図8(d)に示すように、2つの空きタイムスロットに分割光パケット信号を挿入して光スイッチ部14の出力ポートから送出できる。このような出力方法を採用することにより、空きタイムスロットが削減されるので、更なる帯域利用効率向上が可能となる。
【0079】
クライアントパケット信号を分割する方法としては、固定長に分割する方法と、通知された送信可能パケット長にあわせて可変長で分割する方法とが考えられる。
【0080】
図9は、可変長で分割する場合のヘッダフォーマットの一例を示す。図9に示すように、このヘッダは、「宛先アドレス」と、「送信元アドレス」と、分割後のパケット長である「分割パケット長」と、分割されたクライアントパケット信号であることを示すための「分割フラグ」と、他のクライアントパケット信号と識別するための「パケット識別番号」と、出力バッファからの「出力順番」と、最後に出力された分割パケット信号であるか否かを示すための「最終パケットフラグ」とを含む。
【0081】
「分割パケット長」は、光スイッチ制御部15において分割光パケット信号を方路切り替えする際に必要となる。光パケット交換装置11の出力バッファは、通知された送信可能パケット長以下となるように先頭に格納されたクライアントパケット信号を分割する。
【0082】
「分割フラグ」、「パケット識別番号」、「出力順番」および「最終パケットフラグ」は、光パケット受信装置13において分割パケット信号を元のクライアントパケット信号に再生する際に必要となる。
【0083】
「パケット識別番号」は、そのクライアントパケット信号を生成する光パケット送信装置12においてカウンタを持ち、シリアルに付与してもよいし、乱数表を用いてランダムな値を付与してもよい。
【0084】
「出力順番」は、一つの分割パケット信号を出力するたびに出力順番カウンタをインクリメントし、「最終パケットフラグ」を立てて最後の分割パケット信号を出力した後に、出力順番カウンタを「0」にリセットすればよい。
【0085】
光パケット受信装置13においては、「分割フラグ」の有無に基づいて通常のパケット信号であるか、分割パケット信号であるか判別する。通常のパケット信号である場合には、所定の受信処理を行った後、クライアント側に出力し、分割パケット信号である場合には、受信バッファに格納する。可変長で分割する場合には、送信開始時点で分割数が確定しないので、いつデータが揃うかわからない。そこで、受信バッファに格納されている分割パケット信号をパケット識別番号を元に整理し、最終パケットフラグが立っている分割パケット信号を受信した際に、その分割パケット信号に付与された出力順番を最終番号として認識する。そして出力順番が0から最終番号となるように並べ替え、元のクライアントパケット信号に再生してクライアント側に出力する。所定時間経過後に最終パケットフラグを持った分割パケット信号が届かない場合や、途中の出力順番の分割パケット信号が届かず、全ての分割パケット信号が揃わない場合には、該当のクライアントパケット信号を破棄してもよい。固定長に分割する場合については説明を省略するが、上記と同様な処理を行うことにより実現可能である。
【0086】
図10(a)〜(d)は、光パケット送信装置のさらに別の動作を説明するための図である。クライアントパケット信号のさらに別の出力方法として、出力するクライアントパケット信号の順序を入れ替えるという方法も考えられる。この方法において、光パケット送信装置12の出力バッファは、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が通知された送信可能パケット長よりも長い場合、その後に格納されたクライアントパケット信号の中からパケット長が送信可能パケット長以下のものを検索し、該当したクライアントパケット信号を出力する。
【0087】
図10(a)は、光スイッチ部14のある出力ポートにおける出力予想図を示し、図10(b)は、該出力ポートに対応する光パケット送信装置12の出力バッファの状態を示し、図10(c)は、出力順序を入れ替えた状態を示し、図10(d)は、実際の出力ポートの出力を示す。
【0088】
図10(a)に示すように、出力予想図から送信可能パケット長=6の第1空きタイムスロットと、その後に位置する送信可能パケット長=10の第2空きタイムスロットとが検出されたとする。また、図10(b)に示すように、光パケット送信装置12の出力バッファに格納された先頭のクライアントパケット信号のパケット長が「8」であり、2番目のクライアントパケット信号のパケット長が「4」であるとする。この場合、出力バッファは、先頭のクライアントパケット信号のパケット長=8が第1空きタイムスロットの送信可能パケット長=6よりも長いので、その後に格納されたクライアントパケット信号の中からパケット長が送信可能パケット長=6以下のものを検索する。本例においては、2番目のクライアントパケット信号のパケット長が「4」であるので、該2番目のクライアントパケット信号を先に出力している。そしてその後、出力バッファは、先頭のクライアント光パケット信号のパケット長が第2空きタイムスロットの送信可能パケット長=10以下であるので、先頭のクライアント光パケット信号を出力する。その結果、図10(d)に示すように、第1空きアイムスロットに2番目のクライアント光パケット信号を挿入し、第2空きタイムスロットに先頭のクライアント光パケット信号を挿入して光スイッチ部14の出力ポートから送出できる。このような出力方法を採用した場合も、空きタイムスロットが削減されるので、更なる帯域利用効率向上が可能となる。
【0089】
図11(a)〜(d)は、光パケット送信装置のさらに別の動作を説明するための図である。通知された空きタイムスロットが先頭に格納されたクライアントパケット信号よりもかなり長く、該先頭のクライアント光パケット信号を挿入しても未だ空きタイムスロットに余裕がある場合、光パケット送信装置12の出力バッファは、連続してクライアントパケット信号を出力してもよい。この方法において、光パケット送信装置12の出力バッファは、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が通知された送信可能パケット長以下である場合、その後に格納されたクライアントパケット信号の中から、パケット長が送信可能パケット長から先頭のクライアントパケット信号のパケット長を引いた値よりも短いものを検索し、該当したクライアントパケット信号を先頭のクライアントパケット信号に続いて出力する。
【0090】
図11(a)は、光スイッチ部14のある出力ポートにおける出力予想図を示し、図11(b)は、該出力ポートに対応する光パケット送信装置12の出力バッファの状態を示し、図11(c)は、クライアントパケット信号の連続出力状態を示し、図11(d)は、実際の出力ポートの出力を示す。
【0091】
図11(a)に示すように、出力予想図から送信可能パケット長=12の空きタイムスロットが検出されたとする。また、図11(b)に示すように、光パケット送信装置12の出力バッファに格納された先頭のクライアントパケット信号のパケット長が「8」であり、2番目のクライアントパケット信号のパケット長が「4」であるとする。この場合、出力バッファは、先頭のクライアントパケット信号のパケット長=8が空きタイムスロットの送信可能パケット長=12以下であるので、まず先頭のクライアントパケット信号を出力する。また、出力バッファは、未だ送信可能パケット長=12から先頭のクライアントパケット信号のパケット長=8を引いた送信可能パケット長の残り=4が存在するので、その後に格納されたクライアントパケット信号の中からパケット長が「4」以下のものを検索する。本例においては、2番目のクライアントパケット信号のパケット長が「4」であるので、該2番目のクライアントパケット信号を先頭のクライアントパケット信号に続けて出力している。その結果、図11(d)に示すように、空きアイムスロットに先頭と2番目のクライアント光パケット信号を挿入して光スイッチ部14の出力ポートから送出できる。このような出力方法を採用した場合も、空きタイムスロットが削減されるので、更なる帯域利用効率向上が可能となる。
【0092】
図12は、光スイッチ制御部の構成を説明するための図である。図12に示すように、光スイッチ制御部15は、第1〜第4解析部25a〜25dと、宛先・出力ポート対応表26と、第1〜第4出力予想図生成部27a〜27dと、第1〜第4制御信号生成部28a〜28dとを備える。
【0093】
図1において説明したように、光スイッチ制御部15の第1〜第4ヘッダ入力部H_IN1〜H_IN4には、第1〜第4光分岐部16a〜16dにて分岐された光パケット信号が入力される。第1〜第3ヘッダ入力部H_IN1〜H_IN3に入力したネットワーク光パケット信号は、第1〜第3解析部25a〜25c(以下、適宜「ネットワーク解析部25a〜25c」とも呼ぶ)に入力する。また、第4ヘッダ入力部H_IN4に入力したクライアント光パケット信号は、第4解析部25d(以下、適宜「クライアント解析部25d」とも呼ぶ)に入力する。
【0094】
ネットワーク解析部25a〜25cは、受信したネットワーク光パケット信号を電気のネットワークパケット信号に変換後、ヘッダを解析して、宛先情報およびパケット長情報を抽出する。そして、ネットワーク解析部25a〜25cは、宛先・出力ポート対応表26を用いて、光スイッチ部14に入力するネットワーク光パケット信号の出力ポートを選択する。宛先・出力ポート対応表26は、宛先アドレスと出力ポートの対応表であり、例えば、宛先アドレス100番地向けの光パケット信号は、第2出力ポートに出力すること、といったテーブルを有する。また、ネットワーク解析部25a〜25cは、ネットワーク光パケット信号の到着時刻を記録する。
【0095】
ネットワーク解析部25a〜25cはそれぞれ、ネットワーク光パケット信号の到着時刻、パケット長などの情報を第1〜第4出力予想図生成部27a〜27dに転送する。第1〜第4出力予想図生成部27a〜27dは、光スイッチ部14の第1〜第4出力ポートOUT1〜OUT4の出力予想図を生成する。各出力予想図生成部は、各出力ポートに到達するネットワーク光パケット信号の重ね合わせによって、ネットワーク光パケット信号が時間的にどのような配置になるか算出する。
【0096】
図13(a)(b)は、各出力ポートにおける出力予想図の一例を示す。図13(a)は、第1〜第3ネットワーク入力部NW_IN1〜NW_IN3に入力したネットワーク光パケット信号を示す。図13(b)は、第1〜第4出力ポートOUT1〜OUT4における出力予想図を示す。ネットワーク光パケット信号同士が時間的に競合している場合、先着のネットワーク光パケット信号を優先的に配置し、後着のネットワーク光パケット信号は破棄される。時間的に競合していないネットワーク光パケット信号を全てマッピングした上で、ネットワーク光パケット信号が存在しない空きタイムスロットをリアルタイムで監視する。
【0097】
図14は、空きタイムスロットを監視する様子を示す。図14は、ある瞬間についての出力予想図であるが、この図に示した光パケット信号が順々に右方向に流れていき、新しく到着した光パケット信号が左から登場するといったイメージである。ネットワーク遅延部の遅延時間がクライアント遅延部の遅延時間よりも長いため、ある時間幅について光パケット信号の存在有無を認識する「可視範囲」を作ることができる。この可視範囲より短い光パケット信号しか挿入可否を判別することができないので、ジャンボパケットのような長い光パケット信号を挿入したい場合にはそれだけ長い可視範囲を確保する必要がある。つまり、ネットワーク遅延部とクライアント遅延部との遅延差を大きくする必要がある。
【0098】
第1〜第4出力予想図生成部27a〜27dは、図14に示すような各出力ポートの出力予想図を元に可視範囲内の空きタイムスロットを検出し、送信可能タイミングと送信可能パケット長を空きタイムスロット通知として光パケット送信装置12に出力する。図12に示すように、第1〜第4出力予想図生成部27a〜27dからそれぞれ空きタイムスロット通知が出力され、光パケット送信装置12の第1〜第4出力バッファ22a〜22dに入力される。また、第1〜第4出力予想図生成部27a〜27dは、生成した出力予想図を第1〜第4制御信号生成部28a〜28dに出力する。
【0099】
空きタイムスロット通知を受けた光パケット送信装置12は、クライアント光パケット信号を送信してくるはずであるので、所定の遅延時間の後にクライアント光パケット信号が光スイッチ制御部15の第4ヘッダ入力部H_IN4に到着する。このクライアント光パケット信号は、クライアント解析部25dに入力する。クライアント解析部25dは、受信したクライアント光パケット信号を電気のクライアントパケット信号に変換後、ヘッダを解析して、宛先情報およびパケット長情報を抽出する。そして、クライアント解析部25dは、宛先・出力ポート対応表26を用いて、光スイッチ部14に入力するクライアント光パケット信号の出力ポートを選択する。また、クライアント解析部25dは、クライアント光パケット信号の到着時刻を記録する。クライアント解析部にて取得されたクライアント光パケット信号のパケット長、到着時刻などの情報は、第1〜第4制御信号生成部28a〜28dに転送される。
【0100】
第1〜第4制御信号生成部28a〜28dはそれぞれ、出力予想図にクライアント光パケット信号を重ね合わせ、先着優先で実際の光スイッチ制御部15の制御を決定し、光スイッチ部14に光スイッチ制御信号を出力する。このとき、ネットワーク入力ポートとクライアント出力ポートでは時間差があるので、いずれかに遅延を入れて時間軸を揃える処理が必要となることに注意する必要がある。なお、光パケット送信装置12の出力バッファが空で、空きタイムスロットを通知したもののクライアント光パケット信号が出力されないという場合もあり得るが、その場合にはクライアント入力部には光パケット信号無しとして扱えばよいだけである。
【0101】
上述の光パケット交換システムは、以下のような役割分担であった。
(1)光パケット送信装置12は、クライアントパケット信号を出力バッファに蓄積する。
(2)光スイッチ制御部15は、空きタイムスロットを光パケット送信装置12に通知する。
(3)光パケット送信装置12は、出力バッファに格納されているクライアントパケット信号が空きタイムスロットに納まるかどうか自ら判断し、納まるときにはクライアント光パケットとして出力する。
(4)光スイッチ制御部15は、光パケット送信装置12から受信したクライアント光パケット信号のヘッダの内容に従って方路切替を行う。
以下においては、上記の光パケット交換システムとは異なる方式の光パケット交換システムを説明する。
【0102】
図15は、本発明の別の実施形態に係る光パケット交換システムを示す。本実施形態に係る光パケット交換システム10は、クライアント光パケット信号を出力するか否かの判断を、光スイッチ制御部15で行う点が図1に示す光パケット交換システムと異なる。本実施形態において、図1に示す光パケット交換システムと同一または対応する構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。
【0103】
本実施形態に係る光パケット交換システム10の動作手順は以下の通りである。
(1)光パケット送信装置12は、クライアントパケット信号を出力バッファに蓄積する。
(2)光パケット送信装置12は、出力バッファの先頭に格納されたクライアント光パケット信号のパケット長情報を光スイッチ制御部15に通知する。
(3)光スイッチ制御部15は、空きタイムスロットを常時モニタする。
(4)光スイッチ制御部15は、空きタイムスロットの送信可能パケット長が光パケット送信装置12から通知されたクライアント光パケット信号のパケット長が以上と判断した場合、光パケット送信装置12に対して送信開始トリガを発行する。
(5)光パケット送信装置12は、送信開始トリガを受信したら出力バッファの先頭にあるクライアントパケット信号をクライアント光パケット信号に変換し、送信する。
(6)光スイッチ制御部15は、光パケット送信装置12から受信したクライアント光パケット信号のヘッダの内容に従って方路切替を行う。
【0104】
図16は、本発明のさらに別の実施形態に係る光パケット交換システムを示す。本実施形態に係る光パケット交換システム10は、光スイッチ制御部15の第4ヘッダ入力部H_IN4にクライアント光パケット信号が入力しない点が上述の光パケット交換システムと異なる。従って、本実施形態においては、クライアント光パケット信号を分岐するための分岐部は設けられていない。本実施形態においても、図1に示す光パケット交換システムと同一または対応する構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。
本実施形態に係る光パケット交換システム10の動作手順は以下の通りである。手順(5)までは、図15に示す光パケット交換システムと同様である。
(1)光パケット送信装置12は、クライアントパケット信号を出力バッファに蓄積する。
(2)光パケット送信装置12は、出力バッファの先頭に格納されたクライアント光パケット信号のパケット長情報を光スイッチ制御部15に通知する。
(3)光スイッチ制御部15は、空きタイムスロットを常時モニタする。
(4)光スイッチ制御部15は、空きタイムスロットの送信可能パケット長が光パケット送信装置12から通知されたクライアント光パケット信号のパケット長が以上と判断した場合、光パケット送信装置12に対して送信開始トリガを発行する。
(5)光パケット送信装置12は、送信開始トリガを受信したら出力バッファの先頭にあるクライアントパケット信号をクライアント光パケット信号に変換し、送信する。
(6)光スイッチ制御部15は、送信開始トリガを発行してから所定の遅延時間後にクライアント光パケット信号が到着することを見込んで、光スイッチ部14の制御を行う。
【0105】
本実施形態においては、光パケット送信装置12からの光パケット信号が光スイッチ部14に到着する時間を精密に一定に出来るかが重要であり、それが実現できるのであれば本実施形態の方が構成部品数を削減できるため、コスト的に有利となる。
【0106】
図17(a)〜(c)は、光パケット送信装置のさらに別の動作を説明するための図である。上述の実施形態では、時間軸方向で空きタイムスロットを検出して挿入する方式をとっているが、波長軸方向で空きタイムスロットを検出して挿入する方式をとることもできる。光パケット交換方式においては、複数の波長の光パケット信号が波長多重されたWDM光パケット信号が光パケット交換される場合がある。このような場合、光スイッチ制御部15は、光パケット信号の波長ごとに空きタイムスロットを検出する。そして、光パケット送信装置12は、クライアント光パケット信号が該空きタイムスロットに挿入されるよう、クライアント光パケット信号の送出タイミングおよび波長を調整する。
【0107】
図17(a)は、光スイッチ部14の第1出力ポートOUT1における出力予想図の一例を示す。光スイッチ制御部15の第1出力予想図作成部27aは、波長λ1〜λ4ごとに出力予想図を生成する。図17(a)では、波長λ3に送信可能パケット長=6の空きタイムスロットが検出され、波長λ4に送信可能パケット長=10の空きタイムスロットが検出されている。光スイッチ制御部15は、これらの空きタイムスロットを光パケット送信装置12に通知する。
【0108】
図17(b)は、空きタイムスロット通知を受けた光パケット送信装置12の動作を示す。空きタイムスロット通知を受けた光パケット送信装置12の第1出力バッファ22aは、先頭に格納されたクライアントパケット信号PKT1−1のパケット長=6が通知された波長λ3の空きタイムスロットの送信可能パケット長=6以下であるので、クライアントパケット信号PKT1−1が該空きタイムスロットに納まると判定し、出力する。クライアントパケット信号PKT1−1は、第2セレクタ23により波長λ3の電気/光変換部24に入力される。同じように、第1出力バッファ22aは、2番目に格納されたクライアントパケット信号PKT1−2のパケット長=4が通知された波長λ4の空きタイムスロットの送信可能パケット長=10以下であるので、クライアントパケット信号PKT1−2が該空きタイムスロットに納まると判定し、出力する。電気/光変換部24から出力された波長λ3のクライアント光パケット信号PKT1−1と波長λ4のクライアント光パケット信号PKT1−2は、WDMカプラ29により合波され、光パケット交換装置11のクライアント入力部CL_INに送出される。
【0109】
図17(c)は、光スイッチ部14の第1出力ポートOUT1からの実際の出力を示す。本実施形態によれば、図17(c)に示すように、波長λ3の空きタイムスロットに先頭のクライアント光パケット信号PKT1−1を挿入し、波長λ4の空きタイムスロットに2番目のクライアント光パケット信号PKT1−2を挿入して、光パケット交換装置11から送出できる。このように時間軸方向だけでなく、波長軸方向においても空きタイムスロットを検出し、該空きタイムスロットにクライアント光パケット信号を挿入することにより、更なる帯域利用効率向上が可能となる。
【0110】
図18は、図17(a)〜(c)で説明した実施形態におけるヘッダフォーマットの一例を示す。図18に示すように、このヘッダは、「宛先アドレス」と、「送信元アドレス」と、「パケット長」と、「使用波長情報」とを含む。「使用波長情報」はパラレルビット情報であり、使用波長に「1」、不使用波長に「0」が割り振られる。
【0111】
図19は、本発明のさらに別の実施形態に係る光パケット交換システムを示す。上記の実施形態に係る光パケット交換システムによれば、ネットワーク光パケット信号とクライアント光パケット信号との時間的競合を避けることができる。しかしながら、上述したように、ネットワーク光パケット信号は、他の光パケット交換システムから送られてくる光パケット信号であるため、ネットワーク光パケット信号同士の時間的競合は避けることができない。そこで、本実施形態では、ネットワーク光パケット信号同士の時間的競合が発生した場合に、後着の光パケット信号の破棄を避ける方法を示す。本実施形態において、図1に示す光パケット交換システムと同一または対応する構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。
【0112】
図19に示すように、先に第1ネットワーク入力部NW_IN1に第1出力ポートOUT1を出力先とするネットワーク光パケット信号PKT1が到着し、その後第2ネットワーク入力部NW_IN2に同じく第1出力ポートOUT1を出力先とするネットワーク光パケット信号PKT2が到着したとする。この場合、光スイッチ制御部15は、先着のネットワーク光パケット信号PKT1を優先的に第1出力ポートOUT1に出力する。
【0113】
一方、後着のネットワーク光パケット信号PKT2は、上記の光パケット交換システムであれば破棄されていた。しかしながら、本実施形態においては、ネットワーク光パケット信号PKT2を破棄せず、第4出力ポートOUT4に出力する。第4出力ポートOUT4から出力されたネットワーク光パケット信号PKT2は、光パケット受信装置13に受信され、電気のネットワークパケット信号PKT2に変換された後、光パケット送信装置12に転送される。あるいは、光パケット受信装置13は、光信号のままネットワーク光パケット信号PKT2を光パケット送信装置12に転送し、光パケット送信装置12にて電気のネットワークパケット信号PKT2に変換されてもよい。
【0114】
光パケット送信装置12に受信されたネットワークパケット信号PKT2は、クライアントパケット信号と同様に扱われる。すなわち、出力バッファに格納され、光スイッチ制御部15から空きタイムスロット通知があった場合に出力される。これにより、ネットワーク光パケット信号PKT2は、目的の第1出力ポートOUT1から送出される。
【0115】
本実施形態に係る光パケット交換システム10によれば、ネットワーク光パケット信号の破棄を低減できるので、通信品質をさらに向上できる。
【0116】
図20は、本発明のさらに別の実施形態に係る光パケット交換システムを示す。本実施形態に係る光パケット交換システム10の光パケット交換装置11は、第1〜第4入力部IN1〜IN4と、第1〜第4出力部OUT1〜OUT4とを備える。本実施形態において、図1に示す光パケット交換システムと同一または対応する構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。
【0117】
第1〜第4入力部IN1〜IN4の前段には、第1〜第4入力選択光スイッチ31a〜31dが設けられている。第1〜第4入力選択光スイッチ31a〜31dは、第1〜第4入力部IN1〜IN4に入力される光パケット信号を、ネットワーク光パケット信号とクライアント光パケット信号との間で選択的に切り替える。
【0118】
また、第1〜第4出力部OUT1〜OUT4の後段には、第1〜第4出力選択光スイッチ32a〜32dが設けられている。第1〜第4出力選択光スイッチ32a〜32dは、光パケット信号の出力先を、光パケットネットワークと、光パケット受信装置13との間で選択的に切り替える。
【0119】
また、本実施形態においては、第1〜第4光分岐部16a〜16dと光スイッチ制御部14の第1〜第4入力ポートIN1〜IN4との間にそれぞれ、第1〜第4光遅延時間可変部39a〜39dが設けられている。この第1〜第4光遅延時間可変部39a〜39dは、第1〜第4光分岐部16a〜16dにて分岐された一方の光パケット信号の遅延時間をそれぞれ可変できる。
【0120】
第1〜第4光遅延時間可変部39a〜39dの遅延時間を個別に制御するために、光パケット交換装置11は遅延時間制御部40を備える。ある遅延時間可変部に光パケット送信装置からのクライアント光パケット信号が入力される場合、遅延時間制御部40は、その遅延時間可変部の遅延時間を所定の第1遅延時間に制御する。一方、ある遅延時間可変部に他の光パケット交換システムからのネットワーク光パケット信号が入力される場合、遅延時間制御部40は、その遅延時間可変部の遅延時間を第1遅延時間よりも長い所定の第2遅延時間に制御する。第1〜第4光遅延時間可変部39a〜39dに入力される光パケット信号の種類は、上述したように第1〜第4入力選択光スイッチ31a〜31dにより切り替えられる。
【0121】
第1〜第4光遅延時間可変部39a〜39dはそれぞれ、光パケット信号を第1遅延時間遅延させる第1〜第4クライアント光遅延部30a〜30dと、光パケット信号を第2遅延時間遅延させる第1〜第4ネットワーク光遅延部35a〜35dと、光遅延部の切替のために、第1〜第4ネットワーク光遅延部35a〜35dおよび第1〜第4クライアント光遅延部30a〜30dの前後に設けられた第1〜第4遅延選択光スイッチ33a〜33dとを備える。第1〜第4遅延選択光スイッチ33a〜33dは、遅延時間制御部40により制御される。
【0122】
また、光スイッチ制御部15は、ネットワーク光パケット信号が入力される場合とクライアント光パケット信号が入力される場合とで動作が異なるので、入力される光パケット信号に応じた論理回路を選択可能となっている。
【0123】
本実施形態に係る光パケット交換システム10のように、光パケット交換装置11の入出力部の用途を固定せず、自由に選択できるようにすることで、光パケット交換システム10を用いた柔軟なシステム構成を行うことができる。
【0124】
第1〜第4入力選択光スイッチ31a〜31d、第1〜第4出力選択光スイッチ32a〜32dおよび第1〜第4遅延選択光スイッチ33a〜33dは、光スイッチ部14と異なり、パケット単位での切替は不要であるため、秒オーダ程度の応答速度があれば十分であり、安価且つ低損失なものを使えばよい。
【0125】
本実施形態に係る光パケット交換システム10において、クライアント光パケット信号が入力される入力部が複数存在する設定とした場合には、同じ空きタイムスロットに複数の入力部からのクライアント光パケット信号を挿入することはできないので、クライアント光パケット信号間で競合判定を行ってもよい。
【0126】
図21は、本発明の実施例に係る光パケット交換システムを示す。また、図22は、本実施例における光パケット信号の形式を示す。
【0127】
図22に示すように、本実施例においては、ヘッダ波長λ0の光パケット信号に宛先アドレス、送信元アドレス、パケット長などを含むヘッダが搭載され、データ波長λ1〜λ4の光パケット信号にデータが搭載される。各光パケット信号の先頭にはプリアンブル(PA)が付加されている。これらの波長λ0〜λ4の光パケット信号が波長多重され、WDM光パケット信号として伝送される。
【0128】
クライアント信号は、10Gイーサネット(登録商標)信号である。光パケット送信装置12は、受信したクライアント信号を4分割し、データ波長λ0〜λ4の光パケット信号に搭載する。そして、ヘッダ波長λ0の光パケット信号とデータ波長λ0〜λ4の光パケット信号とを波長多重して送信する。光パケット送信装置12は、光パケット信号がない場合、光出力として「0」が連続するように制御する。
【0129】
本実施例において、光パケット交換装置11は2入力×2出力の光パケット交換装置であり、ネットワーク入力部NW_INと、クライアント入力部CL_INと、ネットワーク出力部NW_OUTと、クライアント出力部CL_OUTとを備える。
【0130】
バンドパスフィルタ38aおよび38bは、それぞれWDM光パケット信号からヘッダ波長λ0の光パケット信号のみ抽出するために設けられている。抽出されたヘッダ波長λ0の光パケット信号は、光スイッチ制御部15のヘッダ入力部H_IN1およびH_IN2に入力される。
【0131】
光スイッチ部14は、ナノ秒オーダの高速動作が実現可能な4つの半導体光スイッチゲート素子36と、4つの光カプラ37とを備える。
【0132】
本実施例において、ネットワーク光遅延部17aの光ファイバ長は2.1kmとされており、クライアント光遅延部17bの光ファイバ長は100mとされている。これにより、ネットワーク光遅延部17aとクライアント光遅延部17bの光路差は約2kmとなる。このときの光ファイバによる損失は0.5dB程度であり、ほとんど無視できる値である。
【0133】
2kmの光路差による光パケット信号の到着時間差は、約10μsである。この約10μsから、(1)光スイッチ制御部15がヘッダを読み取り、空きタイムスロット情報を出力するまでの第1時間と、(2)光パケット送信装置12が空きタイムスロット情報を受けてからクライアント光パケット信号を出力するまでの第2時間とを差し引く必要がある。回路構成およびLSI内部での処理CLK周波数やFF段数の設計によるところ大きいが、第1時間で約500ns、第2時間で約500ns、合計で約1μsあればFPGA等によって実現可能である。従って、約9μsを可視範囲として確保できる。
【0134】
一方、光パケット信号の信号速度が10Gbit/sとすると、1bitあたり0.1nsの時間を占有するため、1250Byteの10Gイーサパケットであれば、4分割した光パケット信号に換算すると、1パケットあたり0.1ns×1250×8bit/4=250nsの時間を占有することになる。9μsを250nsで割ると、遅延時間差内に36個の光パケット信号が収まる計算となる。ジャンボパケットの9600Byteであっても3個は収まるということで、十分な視野範囲を確保できるといえる。
【0135】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せによりいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0136】
10 光パケット交換システム、 11 光パケット交換装置、 12 光パケット送信装置、 13 光パケット受信装置、 14 光スイッチ制御部、 14 光スイッチ部、 15 光スイッチ制御部、 18 入力バッファ、 19 パケット生成部、 21 第1セレクタ、 23 第2セレクタ、 24 電気/光変換部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された光パケット信号の方路を切り替える光パケット交換装置と、
受信したクライアント信号からクライアント光パケット信号を生成し、前記光パケット交換装置に送出する光パケット送信装置と、
を備える光パケット交換システムであって、
前記光パケット交換装置は、
前記光パケット送信装置からのクライアント光パケット信号を分岐するクライアント分岐部と、
他の光パケット交換システムからのネットワーク光パケット信号を分岐するネットワーク分岐部と、
前記クライアント分岐部にて分岐された一方のクライアント光パケット信号を遅延させるクライアント光遅延部と、
前記ネットワーク分岐部にて分岐された一方のネットワーク光パケット信号を遅延させるネットワーク光遅延部であって、前記クライアント光遅延部よりも遅延時間の長いネットワーク光遅延部と、
前記クライアント光遅延部からのクライアント光パケット信号を入力するクライアント入力ポートと、前記ネットワーク光遅延部からのネットワーク光パケット信号を入力するネットワーク入力ポートと、出力ポートとを有し、入力したクライアント光パケット信号およびネットワーク光パケット信号の方路を切り替えて前記出力ポートから送出する光スイッチ部と、
前記クライアント分岐部にて分岐した他方のクライアント光パケット信号および前記ネットワーク分岐部にて分岐した他方のネットワーク光パケット信号を入力し、それらの光パケット信号の解析結果に基づいて前記光スイッチ部を制御する光スイッチ制御部と、を備え、
前記光スイッチ制御部は、前記出力ポートからネットワーク光パケット信号が送出されない時間である空きタイムスロットを検出するよう構成されており、
前記光パケット送信装置は、クライアント光パケット信号が前記空きタイムスロットに挿入されるよう、クライアント光パケット信号の送出タイミングを調整する、
ことを特徴とする光パケット交換システム。
【請求項2】
前記光スイッチ制御部は、検出した空きタイムスロットに基づいて、クライアント光パケット信号の送信可能タイミングおよび送信可能パケット長を前記光パケット送信装置に通知するよう構成されており、
前記光パケット送信装置は、
受信したクライアント信号を格納する入力バッファと、
前記入力バッファに格納されたクライアント信号にパケット長情報を含むヘッダを付加してクライアントパケット信号を生成するパケット生成部と、
生成されたクライアントパケット信号を格納する出力バッファであって、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が前記送信可能パケット長以下の場合に、前記送信可能タイミングに合わせて該クライアントパケット信号を出力する出力バッファと、
前記出力バッファから出力されたクライアントパケット信号をクライアント光パケット信号に変換し、前記光パケット交換装置に送出する電気/光変換部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の光パケット交換システム。
【請求項3】
前記出力バッファは、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が前記送信可能パケット長よりも長い場合、該クライアントパケット信号をパケット長が前記送信可能パケット長以下の分割パケット信号に分割して出力することを特徴とする請求項2に記載の光パケット交換システム。
【請求項4】
前記出力バッファは、分割パケット信号のそれぞれに対し、分割されたクライアントパケット信号であることを示すための分割フラグと、他のクライアントパケット信号と識別するためのパケット識別番号と、前記出力バッファからの出力順番と、最後に出力された分割パケット信号であるか否かを示すための最終パケットフラグとを付与することを特徴とする請求項3に記載の光パケット交換システム。
【請求項5】
前記出力バッファは、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が前記送信可能パケット長よりも長い場合、その後に格納されたクライアントパケット信号の中からパケット長が前記送信可能パケット長以下のものを検索し、該当したクライアントパケット信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の光パケット交換システム。
【請求項6】
前記出力バッファは、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長が前記送信可能パケット長以下である場合、その後に格納されたクライアントパケット信号の中から、パケット長が前記送信可能パケット長から先頭のクライアントパケット信号のパケット長を引いた値よりも短いものを検索し、該当したクライアントパケット信号を先頭のクライアントパケット信号に続いて出力することを特徴とする請求項2に記載の光パケット交換システム。
【請求項7】
前記光スイッチ制御部は、
ネットワーク光パケット信号の到着時刻およびパケット長を検出するネットワーク解析部と、
検出された到着時刻およびパケット長に基づいて、前記出力ポートにおけるネットワーク光パケット信号の時間的配置を示す出力予想図を生成し、該出力予想図に基づいて前記送信可能タイミングおよび前記送信可能パケット長を前記光パケット送信装置に通知する出力予想図生成部と、
前記通知を受けて前記光パケット送信装置から出力されたクライアント光パケット信号の到着時刻およびパケット長を検出するクライアント解析部と、
前記クライアント解析部からの前記到着時刻および前記パケット長と、前記出力予想図生成部からの出力予想図とに基づいて、前記出力ポートにおけるネットワーク光パケット信号とクライアント光パケット信号の通過/破棄を判定し、前記光スイッチ部に制御信号を出力する制御信号生成部と、
を備えることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項8】
前記光パケット送信装置は、
受信したクライアント信号を格納する入力バッファと、
前記入力バッファに格納されたクライアント信号にパケット長情報を含むヘッダを付加してクライアントパケット信号を生成するパケット生成部と、
生成されたクライアントパケット信号を格納する出力バッファであって、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長情報を前記光パケット交換装置に通知するとともに、前記スイッチ制御部から送信開始トリガが通知されたときに該クライアントパケット信号を出力する出力バッファと、
前記出力バッファから出力されたクライアントパケット信号をクライアント光パケット信号に変換し、前記光パケット交換装置に送出する電気/光変換部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の光パケット交換システム。
【請求項9】
前記光スイッチ制御部は、
前記ネットワーク分岐部からのネットワーク光パケット信号の到着時刻およびパケット長を検出するネットワーク解析部と、
検出された到着時刻およびパケット長に基づいて、前記出力ポートにおけるネットワーク光パケット信号の時間的配置を示す出力予想図を生成し、該出力予想図から検出した空きタイムスロットの送信可能パケット長が前記光パケット送信装置から通知されたクライアントパケット信号のパケット長以上である場合に、前記光パケット送信装置に対して送信開始トリガを通知する出力予想図生成部と、
前記送信開始トリガを受けて前記光パケット送信装置から出力されたクライアント光パケット信号の到着時刻およびパケット長を検出するクライアント解析部と、
前記クライアント解析部からの前記到着時刻および前記パケット長と、前記出力予想図生成部からの出力予想図とに基づいて、前記出力ポートにおけるネットワーク光パケット信号とクライアント光パケット信号の通過/破棄を判定し、前記光スイッチ部に制御信号を出力する制御信号生成部と、
を備えることを特徴とする請求項8に記載の光パケット交換システム。
【請求項10】
入力された光パケット信号の方路を切り替える光パケット交換装置と、
受信したクライアント信号からクライアント光パケット信号を生成し、前記光パケット交換装置に送出する光パケット送信装置と、
を備える光パケット交換システムであって、
前記光パケット交換装置は、
他の光パケット交換システムからのネットワーク光パケット信号を分岐するネットワーク分岐部と、
前記光パケット送信装置からのクライアント光パケット信号を遅延させるクライアント光遅延部と、
前記ネットワーク分岐部にて分岐された一方のネットワーク光パケット信号を遅延させるネットワーク光遅延部であって、前記クライアント光遅延部よりも遅延時間の長いネットワーク光遅延部と、
前記クライアント光遅延部からのクライアント光パケット信号を入力するクライアント入力ポートと、前記ネットワーク光遅延部からのネットワーク光パケット信号を入力するネットワーク入力ポートと、出力ポートとを有し、入力したクライアント光パケット信号およびネットワーク光パケット信号の方路を切り替えて前記出力ポートから送出する光スイッチ部と、
前記ネットワーク分岐部にて分岐した他方のネットワーク光パケット信号を入力し、該ネットワーク光パケット信号の解析結果に基づいて前記光スイッチ部を制御する光スイッチ制御部と、を備え、
前記光パケット送信装置は、
受信したクライアント信号を格納する入力バッファと、
前記入力バッファに格納されたクライアント信号にパケット長情報を含むヘッダを付加してクライアントパケット信号を生成するパケット生成部と、
生成されたクライアントパケット信号を格納する出力バッファであって、先頭に格納されたクライアントパケット信号のパケット長情報を前記光パケット交換装置に通知するとともに、前記スイッチ制御部から送信開始トリガが通知されたときに該クライアントパケット信号を出力する出力バッファと、
前記出力バッファから出力されたクライアントパケット信号をクライアント光パケット信号に変換し、前記光パケット交換装置に送出する電気/光変換部と、を備え、
前記光スイッチ制御部は、
ネットワーク光パケット信号の到着時刻およびパケット長を検出するネットワーク解析部と、
検出された到着時刻およびパケット長に基づいて、前記出力ポートにおけるネットワーク光パケット信号の時間的配置を示す出力予想図を生成し、該出力予想図から検出した空きタイムスロットの送信可能パケット長が前記光パケット送信装置から通知されたクライアントパケット信号のパケット長以上である場合に、前記光パケット送信装置に対して送信開始トリガを通知する出力予想図生成部と、
前記送信開始トリガを通知してから所定時間後に前記光パケット送信装置からクライアント光パケット信号が到着することを見込んで、前記光スイッチ部に制御信号を出力する制御信号生成部と、
を備えることを特徴とする光パケット交換システム。
【請求項11】
前記ネットワーク光パケット信号は、複数の波長の光パケット信号が波長多重された光パケット信号であり、
前記光スイッチ制御部は、光パケット信号の波長ごとに空きタイムスロットを検出するよう構成されており、
前記光パケット送信装置は、クライアント光パケット信号が検出された空きタイムスロットに挿入されるよう、クライアント光パケット信号の送出タイミングおよび波長を調整することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項12】
前記光パケット交換装置から送出された光パケット信号を受信する光パケット受信装置をさらに備え、
前記光スイッチ部は、当該光パケット交換システムの外部に光パケット信号を出力するネットワーク出力ポートと、前記光パケット受信装置に光パケット信号を出力するクライアント出力ポートとを有し、
前記光スイッチ制御部は、ネットワーク出力ポートにおいてネットワーク光パケット信号同士の時間的な競合が発生している場合、先着のネットワーク光パケット信号を優先的にネットワーク出力ポートに通過させ、後着のネットワーク光パケット信号をクライアント出力ポートに出力し、
前記光パケット受信装置は、受信した後着のネットワーク光パケット信号を前記光パケット送信装置に転送することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項13】
入力された光パケット信号の方路を切り替える光パケット交換装置と、
受信したクライアント信号からクライアント光パケット信号を生成し、前記光パケット交換装置に送出する光パケット送信装置と、
を備える光パケット交換システムであって、
前記光パケット交換装置は、
光パケット信号を受信する複数の入力部と、
前記入力部で受信した光パケット信号をそれぞれ分岐する複数の分岐部と、
前記分岐部にて分岐された一方の光パケット信号の遅延時間をそれぞれ可変できる複数の光遅延時間可変部と、
前記光遅延時間可変部からの光パケット信号をそれぞれ入力する複数の入力ポートと、出力ポートとを有し、入力した光パケット信号の方路を切り替えて前記出力ポートから送出する光スイッチ部と、
前記分岐部にて分岐した他方の光パケット信号を入力し、それらの光パケット信号の解析結果に基づいて前記光スイッチ部を制御する光スイッチ制御部と、
各光遅延時間可変部の遅延時間を個別に制御する遅延時間制御部であって、前記遅延時間可変部に前記光パケット送信装置からのクライアント光パケット信号が入力される場合には、遅延時間を所定の第1遅延時間に制御し、他の光パケット交換システムからのネットワーク光パケット信号が入力される場合には、遅延時間を前記第1遅延時間よりも長い所定の第2遅延時間に制御する遅延時間制御部と、を備え、
前記光スイッチ制御部は、前記出力ポートからネットワーク光パケット信号が送出されない時間である空きタイムスロットを検出するよう構成されており、
前記光パケット送信装置は、クライアント光パケット信号が前記空きタイムスロットに挿入されるよう、クライアント光パケット信号の送出タイミングを調整する、
ことを特徴とする光パケット交換システム。
【請求項14】
前記光遅延時間可変部は、
光パケット信号を第1遅延時間遅延させるクライアント光遅延部と、
光パケット信号を第2遅延時間遅延させるネットワーク光遅延部と、
前記クライアント光遅延部と前記ネットワーク光遅延部とを選択的に切り替える遅延選択光スイッチと、
を備えることを特徴とする請求項13に記載の光パケット交換システム。
【請求項15】
前記光パケット交換装置は、
前記入力部に入力される光パケット信号を、クライアント光パケット信号とネットワーク光パケット信号との間で選択的に切り替える複数の入力選択光スイッチをさらに備えることを特徴とする請求項13または14に記載の光パケット交換システム。
【請求項16】
前記光パケット交換装置は、光パケット信号の出力先を、当該光パケット交換システムの外部と、当該光パケット交換システムの備える光パケット受信装置との間で選択的に切り替える出力選択光スイッチをさらに備えることを特徴とする請求項13から15のいずれかに記載の光パケット交換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−209877(P2012−209877A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75759(P2011−75759)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】