光パルス多重化ユニット、それを用いた光パルス発生器、及び光パルス多重化方法
【課題】結合効率が高い光パルス列を射出でき、また、光パルス列のパルス間隔を任意に設定できる光パルス多重化ユニット、それを用いた光パルス発生器、及び光パルス多重化方法を提供する。
【解決手段】ハーフミラー2と、N個の屈折率nの遅延素子311、312、…、31Nを有し、N個の遅延素子の各々が、ハーフミラー2の一方の側に、一端から他端に向かって配置され、且つ、最も小さい厚みをΔとしたとき、各々、Δ,2Δ,…,2N-1Δの互いに異なる厚みを有する。また、平行配置されたミラー11,12を有し、ハーフミラー2が、ミラー11,12の中間位置近傍に平行配置され、N個の遅延素子が、ミラー12とハーフミラー2の間に配置されている。N個の遅延素子の各々は、平行平面板であり、該平行平面板の面の法線方向がハーフミラー2の一端から他端に向かう方向と異なる角度で配置されている。
【解決手段】ハーフミラー2と、N個の屈折率nの遅延素子311、312、…、31Nを有し、N個の遅延素子の各々が、ハーフミラー2の一方の側に、一端から他端に向かって配置され、且つ、最も小さい厚みをΔとしたとき、各々、Δ,2Δ,…,2N-1Δの互いに異なる厚みを有する。また、平行配置されたミラー11,12を有し、ハーフミラー2が、ミラー11,12の中間位置近傍に平行配置され、N個の遅延素子が、ミラー12とハーフミラー2の間に配置されている。N個の遅延素子の各々は、平行平面板であり、該平行平面板の面の法線方向がハーフミラー2の一端から他端に向かう方向と異なる角度で配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パルス列を生成する光パルス多重化ユニット、それを用いた光パルス発生器、及び光パルス多重化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光パルス発生器としては、例えば、次の特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US2003/0012236A1
【0004】
特許文献1に記載のパルス発生器の構成及び作用を図11、図12を用いて簡単に説明する。
図11に示す光パルス発生器は、パルス光源51と、遅延構造52と、集光レンズ53と、導波路54によって構成されている。遅延構造52は、図12に示すように、階段状の形状をしている。これは、屈折率が等しく、厚さが異なる平行平板が複数並んでいるとみなすことができる。各平行平板は、光軸に垂直な方向に、等間隔で並んでいる。また、隣り合う平行平板の光軸に沿った厚さの差は、一定になっている。パルス光源51から出射した光パルスをこの遅延構造52に平面波として入射させると、通過する平行平板の厚さに応じて光路長に変化が生じる。つまり、図12に551,552,…55nで示したように、波面は階段状に変調される。これを、集光レンズ53を介して集光することにより、導波路54に光パルス列を伝送させるというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の光パルス発生器を用いた従来の手法には次に述べるような決定的な欠点があった。
通常、導波路では、伝播する光パルスの伝播モードを制限しないと、モード分散による伝播速度の違いにより、光パルス列のパルス間隔を一定に保つことは困難である。つまり、導波路は単一モードであることが望ましいのであるが、単一モードにすると光結合の条件が非常に厳しくなる。これは、光通信技術において、シングルモードファイバーへの光結合が難しいということと同じ理屈である。
【0006】
図12の構成において、結合効率を高めるためには、導波路54の入力側の開口数(NA)と、集光レンズ53を介して集光される光パルスの開口数(NA)とをほぼ一致させなければならない。ところが、図12に示した従来例においては、階段状に変調された各光パルスのNAは非常に小さくなり、しかも導波路54への入射角度がそれぞれ異なる。この結果、遅延構造52の各平行平板を通過した全ての光パルスに対して、導波路54への結合効率を同時に高めることは不可能である。また、遅延構造52の各平行平板を通過した光パルスのNAが小さくなることにより、集光レンズ53を介して集光した際のスポットサイズを小さくすることができないという問題もある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、結合効率が高い光パルス列を射出できる光パルス多重化ユニット、それを用いた光パルス発生器、及び光パルス多重化方法を提供することを目的とする。また、光パルス列のパルス間隔を任意に設定できる光パルス多重化ユニット、それを用いた光パルス発生器、及び光パルス多重化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明による光パルス多重化ユニットは、入射光を分波して、透過光及び反射光を生成する分波手段と、前記分波手段の一方側及び他方側に配置され、前記分波手段により分波された透過光及び反射光を夫々偏向して、再び前記分波手段上の共通箇所で合波を行わせる一対の光偏向手段と、前記分波手段の一方側及び他方側の少なくともいずれかに設けられ、前記分波手段で分波されて、前記分波手段の一方側を進行した光との間で時間遅延を与える遅延手段とを有することを特徴とする。
ここで、実質的な光路長差とは、例えば、屈折率nで光の透過部分における厚みが異なる素子又は多数の反射鏡の組合わせによる素子により実際の光路長に差を設けるものの他、屈折率を適宜異ならせて実質的に光路長に差を設けるもの及びそれらの組合わせを含むものとする。
【0009】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記分波手段の一方側に、前記遅延手段をN個備え、第1の前記遅延手段による前記実質的な光路長差をDとしたときに、前記第Nの前記遅延手段による前記実質的な光路長差が2N-1Dであることが好ましい。
【0010】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記各遅延手段が屈折率nの遅延素子であり、第1から第Nまでの前記各遅延素子における光の透過部位における厚みが夫々異なるのが好ましい。
【0011】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記各遅延手段が複数のミラーを備え、第1から第Nまでの前記複数のミラー間の間隔が異なるのが好ましい。
【0012】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記一対の光偏向手段が平行に配置された第1ミラー及び第2ミラーであるのが好ましい。
【0013】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記光偏向手段及び前記各遅延手段が楔形プリズムからなるのが好ましい。
【0014】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記一対の光偏向手段が一対の楔形プリズムからなるのが好ましい。
【0015】
また、本発明による光パルス多重化ユニットにおいては、ハーフミラーと、N個の屈折率nの遅延素子を有し、前記N個の遅延素子の各々は、前記ハーフミラーの一方の側に、一端から他端に向かって配置され、且つ、互いに異なる厚みを有し、最も小さい厚みをΔとしたとき、前記N個の遅延素子の各々の厚みが、Δ,2Δ,…,2N-1Δであることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、平行に対向配置された第1ミラーと第2ミラーを有し、前記ハーフミラーが、前記第1ミラーと前記第2ミラーの中間位置近傍に、該前記第1ミラー及び前記第2ミラーと平行に配置され、前記第1ミラーと前記ハーフミラーの間に、前記N個の遅延素子が配置され、前記N個の遅延素子の各々が、平行平面板であり、且つ、該平行平面板の面の法線方向が、前記ハーフミラーの一端から他端に向かう方向と異なる角度で配置されているのが好ましい。
【0017】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、平行に対向配置された第1ミラーと第2ミラーを有し、前記ハーフミラーが、前記第1ミラーと前記第2ミラーの中間位置近傍に、該前記第1ミラー及び前記第2ミラーと平行に配置され、前記第1ミラーと前記ハーフミラーの間に、前記N個の遅延素子が配置され、前記N個の遅延素子の各々は、同一形状の楔形プリズムを2つ有するプリズムユニットであり、前記プリズムユニットの各々において、前記2つの楔形プリズムは、最も小さな頂角を形成している面が互いに接触するように、重なって配置され、前記プリズムユニットの各々は、前記接触する面の面積が互いに異なるのが好ましい。
【0018】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記ハーフミラーと平行に配置されたミラーを有し、前記ハーフミラーを挟んで、前記ミラー側とは反対側に、前記N個の遅延素子が配置され、前記N個の遅延素子が、夫々同一形状の楔形プリズムで構成され、前記楔形プリズムの各々は、頂角と対向する面が、前記ハーフミラー側に位置すると共に、前記対向する面から前記ハーフミラーまでの距離が、互いに異なるように配置されているのが好ましい。
【0019】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、更に別のN個の遅延素子を有し、前記別のN個の遅延素子の各々は、前記ハーフミラーを挟んで、前記N個の遅延素子側とは反対側に、前記ハーフミラーの一端から他端に向かって、等間隔で配置され、前記N個の遅延素子と前記別のN個の遅延素子は、夫々同一形状の楔形プリズムで構成され、前記N個の遅延素子の楔形プリズムの各々は、最も小さな頂角を有する頂点と対向する面が、前記ハーフミラー側に位置すると共に、前記対向する面から前記ハーフミラーまでの距離が互いに異なるように配置され、前記別のN個の遅延素子の楔形プリズムの各々は、最も小さな頂角を有する頂点と対向する面が、前記ハーフミラー側に位置すると共に、前記対向する面から前記ハーフミラーまでの距離を同じにして配置されているのが好ましい。
【0020】
また、本発明による光パルス多重化ユニットにおいては、前記プリズムユニットの楔形プリズムが、互いに接触する面に沿って平行移動可能であるのが好ましい。
【0021】
また、本発明による光パルス多重化ユニットにおいては、前記ハーフミラーが、所定の肉厚を有する平行平板と、該平行平板の一方の面に設けられた半透過反射膜とで構成され、前記第1のミラーと前記第2のミラーのうち、前記ハーフミラーの前記半透過反射膜が設けられた側に配置されたミラーが、前記ハーフミラーを構成する前記平行平板と同じ肉厚を有する平行平板と、該平行平板の前記ハーフミラー側とは反対側の面に設けられた反射膜とで構成され、前記第1のミラーと前記第2のミラーのうち、前記ハーフミラーの前記半透過反射膜が設けられた側とは反対側に配置されたミラーが、平行平板と、該平行平板の前記ハーフミラー側の面に設けられた反射膜とで構成されているのが好ましい。
【0022】
また、本発明による光パルス多重化ユニットにおいては、前記ハーフミラーが、所定の肉厚を有する平行平板と、該平行平板の前記ミラー側の面に設けられた半透過反射膜とで構成され、前記ミラーが、前記ハーフミラーを構成する前記平行平板と同じ肉厚を有する平行平板と、該平行平板の前記ハーフミラー側とは反対側の面に設けられた反射膜とで構成されているのが好ましい。
【0023】
また、本発明による光パルス発生器は、上記本発明のいずれかの光パルス多重化ユニットと、パルス光源を有することを特徴としている。
【0024】
また、本発明による光パルス多重化方法は、入射光を分波して、透過光と反射光を生成し、前記透過光が進行する第1の光路と前記反射光が進行する第2光路の各々で、光路長を変化させ、前記第1の光路を通過した光と前記第2の光路を通過した光を合波して、該合波した光に時間遅延を与える方法であって、前記第1の光路における光路長の変化量と、前記第2光路における光路長の変化量が異なることを特徴としている。
【0025】
また、本発明の光パルス多重化方法においては、前記第1の光路で、前記透過光の反射と分波・合波を交互に行い、前記第2の光路で、前記反射光の反射と分波・合波を交互に行うのが好ましい。
【0026】
また、本発明の光パルス多重化方法においては、前記第1の光路で、前記透過光の分波・合波、屈折及び反射を所定の順番で行い、前記第2の光路で、前記反射光の分波・合波、屈折及び反射を所定の順番で行うのが好ましい。
【0027】
また、本発明の光パルス多重化方法においては、前記第1の光路で、前記透過光の屈折と分波・合波を交互に行い、前記第2の光路で、前記反射光の屈折と分波・合波を交互に行うのが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の光パルス多重化ユニット、それを用いた光パルス発生器、及び光パルス多重化方法によれば、各光パルスが同一の軸に沿って伝播する光パルス列を生成することができる。よって、射出する光パルス列のNAが小さくなることを防ぐことができる。すなわち、結合効率の高い光パルス列を得ることができる。また、光パルス列のパルス間隔を任意に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図であり、(a)は概略構成図、(b)〜(d)は各光パルスの遅延状態を示し、(b)は経路B1O2間の光パルスP、(c)は経路A1O2間の光パルスP1、(d)は経路B2O3間の光パルスP,P1、(e)は経路A2O3間の光パルスP2,P3、(f)は所定箇所O3で分波・合波された直後の光パルスP,P1,P2,P3、を夫々示す説明図である。
【図2】第2実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図4】第3実施形態の光パルス多重化ユニットにおいて用いられる、遅延素子の一構成例及びこの遅延素子の位置を変化させたときの光路長の変化を示す説明図であり、(a)は状態説明図、(b)は(a)の遅延素子を構成するプリズムの移動量に対する光路長の変化量を示すグラフである。
【図5】本発明の第4実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図6】本発明の第5実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図であり、(a)は全体図、(b)は(a)中の第1の遅延手段(円で囲んだ部分)の拡大図である。
【図7】本発明の実施例1にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図8】本発明の実施例2にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図9】本発明の実施例3にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図10】本発明の実施例4にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図11】光パルス発生器の一従来例の概略構成を示すブロック図である。
【図12】図11の光パルス発生器における光パルス列を発生させる遅延構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの説明図であり、(a)は概略構成図、(b)〜(d)は各光パルスの遅延状態を示し、(b)は経路B1O2間の光パルスP、(c)は経路A1O2間の光パルスP1、(d)は経路B2O3間の光パルスP,P1、(e)は経路A2O3間の光パルスP2,P3、(f)は所定箇所O3で分波・合波された直後の光パルスP,P1,P2,P3、を夫々示す説明図である。
第1実施形態の光パルス多重化ユニットは、第1ミラー11と、第2ミラー12と、ハーフミラー2と、N個の屈折率nの遅延素子311、312、…、31Nを有して構成されている。
第1ミラー11と第2ミラー12は、平行に対向配置されている。
ハーフミラー2は、第1ミラー11と第2ミラー12の中間位置近傍に、第1ミラー11及び第2ミラー12と平行に配置されている。
【0031】
ハーフミラー2は、光パルスをハーフミラー2に対して斜入射させたときに、光パルスを反射側と透過側とに分波(振幅分割)する。分波された一方の光パルスは、第1ミラー11において反射される。また、分波された他方の光パルスは、第2ミラー12において反射される。第1ミラー11及び第2ミラー12で反射された各々の光は、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波される。合波された光パルスは、再びハーフミラー2で分波される。このように、第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、ハーフミラー2による光パルスの分波から、ハーフミラー2上における光パルスの合波までを、N回繰り返す。第1ミラー11、第2ミラー12及びハーフミラー2は、このような分波と合波が複数回行えるように、所定の大きさを有している。このように構成された光パルス多重化ユニットは、光パルスの入射光路に対して、第1ミラー11、第2ミラー12及びハーフミラー2が傾斜するように配置して、使用される。
【0032】
また、N個の遅延素子311、312、…、31Nは、平行平板で構成されている。平行平板の各々には、屈折率がnの同じ硝材を用いている。また、平行平板は、夫々、Δ、2Δ、…、2N-1Δの肉厚(厚み)を有する。ここで、Δは、遅延素子311、312、…、31Nのうち、最も小さい肉厚である。そして、平行平面板は、ハーフミラー2と第1ミラー11との間に、所定の間隔で配置されている。図1に示すように、第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、ハーフミラー2から第1ミラー11に向かって、光が進行する光路が複数存在する。所定の間隔は、この複数の光路のうちの、隣り合う光路の間隔と同じである。すなわち、各光路ごとに1つずつ、その光路中に、遅延素子311、312、…、31Nが配置されている。なお、第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、遅延素子311、312、…、31Nは、光パルスの入射側から射出側に向かって、次第に、各遅延素子の肉厚(厚み)が厚くなるように配置されているが、これら遅延素子311、312、…、31Nをランダムな順番で配置しても良い。
【0033】
このように構成された第1実施形態の光パルス多重化ユニットによれば、ハーフミラー2上の所定箇所O1に、図示省略したパルス光源から出射された光パルスPが入射する。すると、光パルスPは、ハーフミラー2の透過側と反射側とに分波される。ハーフミラー2を透過した光パルスPは、遅延素子311を通過し、時間遅延が生じた光パルスP1になる(図1(c))。光パルスP1は、第1ミラー11上の所定箇所A1で反射されて、ハーフミラー2上の所定箇所O2に入射する。他方、ハーフミラー2で反射された光パルスPは、そのままの状態で(図1(b))、第2ミラー12上の所定箇所B1で反射されて、ハーフミラー2上の所定箇所O2に入射する。即ち、ハーフミラー2上の所定箇所O1で分波された光パルスPは、夫々、経路O1A1O2と経路O1B1O2を経て、ハーフミラー2上の所定箇所O2において交わる。
【0034】
次に、所定箇所O2では、経路O1A1O2を進行した光パルスP1が、ハーフミラー2の透過側と反射側とに分波される。同様に、経路O1B1O2を進行した光パルスPも、ハーフミラー2の透過側と反射側とに分波される。よって、経路O1A1O2を進行した光パルスP1のうち、ハーフミラー2を透過した光パルスP1は、経路O1B1O2を進行した光パルスPのうち、ハーフミラー2で反射された光パルスPと、所定箇所O2において合波される。また、経路O1A1O2を進行した光パルスP1のうち、ハーフミラー2で反射された光パルスP1は、経路O1B1O2を進行した光パルスPのうち、ハーフミラー2を透過した光パルスPと、所定箇所O2において合波される。このように、所定箇所O2では、光パルスの分波と合波が同時に行なわれる。
所定箇所O2を通過した直後では、分波された光パルス(透過側と反射側の光パルス)は、両者とも、光パルスPとP1を含んでいる。
分波されたパルスのうち、第1ミラー11に向かう光パルスP及びP1は、遅延素子312を通過する。このとき、時間遅延が生じるので、光パルスPは光パルスP2になり、光パルスP1は光パルスP3になる(図1(e))。この光パルスP2及びP3は、第1ミラー11上の所定箇所A2で反射されてハーフミラー2上の所定箇所O3に入射する。分波された光パルスのうち、第2ミラー12に向かう光パルスP及びP1は、第2ミラー12上の所定箇所B2で反射されるだけなので、時間遅延は生じない。すなわち、光パルスP及びP1のままである(図1(d))。この光パルスP及びP1は、ハーフミラー2上の所定箇所O3に入射する。即ち、ハーフミラー2上の所定箇所O2で分波された光パルスは、夫々経路O2A2O3と経路O2B2O3を経て、ハーフミラー2上の所定箇所O3において交わる。
所定箇所O3では、所定箇所O2と同じように、分波が行なわれる。よって、図1(f)に示すように、分波された光パルスの各々は、光パルスP,P1,P2,P3が含まれる。
このように、第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、最初に分波されたときに生じた透過光に対して、光路O1・A1・O2・B2・O3を進行する過程で、反射と分波・合波を交互に繰り返す。同様に、最初に分波されたときに生じた反射光に対して、光路O1・B1・O2・A2・O3で、反射と分波・合波を交互に繰り返す。
【0035】
つまり、第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、例えば、ハーフミラー2上の所定箇所O1から所定箇所O3に至るまでには、
(1)O1A1O2A2O3
(2)O1A1O2B2O3
(3)O1B1O2A2O3
(4)O1B1O2B2O3
の4つの経路が存在する。
【0036】
図1の構成において、上記4つの経路を経たそれぞれの光パルスは、ハーフミラー2上の所定箇所O3において同時に合波される。このとき、遅延素子311、312が存在しなければ、合波された光パルスには、光パルスPしか含んでいないことは容易に理解できる。これに対し、第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、多重化遅延素子311と遅延素子312が、屈折率がnの同じ硝材を用いた平行平板で構成され、夫々Δ、2Δの肉厚を有している。また、遅延素子の内部における光パルスの光路長は屈折率n−1に肉厚を乗じた長さとなる。このため、上記各経路における光路長差は、下記のように変化する。その結果、上記各経路を経た光パルスには、ハーフミラー2上の所定箇所O3に到達した時点で、時間差(時間遅延)が生じる。
経路 光路長差
O1A1O2A2O3 3Δ(n−1)
O1A1O2B2O3 1Δ(n−1)
O1B1O2A2O3 2Δ(n−1)
O1B1O2B2O3 0Δ(n−1)
【0037】
つまり、4つの経路を通った光パルスは、光速をCとすると、Δ(n−1)/Cのパルス間隔を有した光パルス列となる。従って、上記経路以降のハーフミラー2上の所定箇所ON+1に至るまでの経路においても上記経路と同様に、光パルスは、N回の分波と合波を繰り返す。これにより、第1実施形態の光パルス多重化ユニットによれば、2のN乗個のパルスの列を生成させることができる。しかも、第1実施形態の光パルス多重化ユニットにおいて生成されたパルス列は、光パルスが空間に分離しているのではなく、完全に同じ軸上を伝播する光パルス列である。このため、第1実施形態の光パルス多重化ユニットを介して多重化された光パルス列を、集光レンズを用いて集光させても、全ての光パルスが全く同一の方向から同一点へ集光するので、光ファイバへの結合を試みたときに良好な結合効率が実現できる。
【0038】
(第2実施形態)
図2は本発明の第2実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、遅延素子として肉厚が固定の平行平板を用いたため、光パルス列のパルス間隔は固定であった。これに対し、第2実施形態の光パルス多重化ユニットでは、図1に示した遅延素子311、312、…、31Nの代わりに、肉厚が可変の遅延素子321、322、…、32Nを用いている。これにより、第2実施形態の光パルス多重化ユニットでは、光パルス列のパルス間隔を可変にしている。
【0039】
図2に示すように、第2実施形態の光パルス多重化ユニットでは、各遅延素子321、322、…、32Nは、夫々、1対の楔形プリズム321aと321b、322aと322b、…、32Naと32Nbで構成されている。
1対の楔形プリズム321aと321b、322aと322b、…、32Naと32Nbは、夫々互いに面同士で接触し、プリズムユニットを構成している。そして、その接触する面(最も小さな頂角を形成している面)に沿って、2つの楔形プリズムが、相対的に平行移動するように構成されている。この移動は、2つの楔形プリズムのうち1つを移動させてもよく、2つを移動させてもよい。このように、第2実施形態の光パルス多重化ユニットでは、2つの楔形プリズムが移動する。よって、この1対の楔形プリズムの重なりに応じて、遅延素子としての肉厚Δ'を可変にすることができる。このため、第2実施形態の光パルス多重化ユニットによれば、光パルス列のパルス間隔を自由に変えることが可能となる。
その他の構成及び作用効果は、第1実施形態の光パルス多重化ユニットとほぼ同じである。
【0040】
(第3実施形態)
図3は本発明の第3実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図、図4は第3実施形態の光パルス多重化ユニットにおいて用いられる、遅延素子の一構成例及びこの遅延素子の位置を変化させたときの光路長の変化を示す説明図であり、(a)は状態説明図、(b)は(a)の遅延素子を構成するプリズムの移動量に対する光路長の変化量を示すグラフである。
第3実施形態の光パルス多重化ユニットは、ミラー12と、ハーフミラー2と、N個の屈折率nの遅延素子331、332、…、33Nを有して構成されている。
ハーフミラー2は、ミラー12と平行に配置されている。
【0041】
N個の遅延素子331、332、…、33Nは、夫々、屈折率がnの同じ硝材を用いて形成された同一形状の楔形プリズムで構成されている。そして、楔形プリズムの各々は、ハーフミラー2を挟んでミラー12の反対側に配置されている。このとき、また、楔形プリズムの各々は、頂角と対向する面が、ハーフミラー2側に位置するように配置されている。すなわち、頂角がハーフミラー2から離れるように、楔形プリズムの各々が配置されている。
また、楔形プリズムの各々は、対向する面からハーフミラー2までの距離が、互いに異なるように配置されている。また、楔形プリズムの各々は、ハーフミラー2を透過した光パルスに対して、最小偏角を満足するように夫々配置されている。
【0042】
ハーフミラー2は、光パルスをハーフミラー2に斜入射させたときに、光パルスを反射側と透過側に分波する。分波された一方の光パルスは、ミラー12において反射される。また、分波された他方の光パルスは、遅延素子331、332、…、33Nを構成するプリズムの屈折作用により偏向される。その後、偏向された光パルスは、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波される。合波された光パルスは、再びハーフミラー2で分波される。このように、第3実施形態の光パルス多重化ユニットでは、ハーフミラー2による光パルスの分波から、ハーフミラー2上における光パルスの合波までを、N回繰り返す。ハーフミラー2、ミラー12、プリズムは、このような分波と合波が複数回行えるように、所定の大きさを有している。このように構成された光パルス多重化ユニットは、光パルスの入射光路に対して、ハーフミラー2、ミラー12が傾斜するように配置して、使用される。
【0043】
第3実施形態の光パルス多重化ユニットでも、ハーフミラー2による光パルスの分波とハーフミラー2上における光パルスの合波が、N回繰り返される。そして、分波から合波に至る1つの光路中に、1つの遅延素子が配置されている。そこで、N個の遅延素子331、332、…、33Nは、夫々、(n−1)Δ、2(n−1)Δ、…、2N-1(n−1)Δの光路長差を満足するように、各光路ごとに1つずつ配置されている。
このように、第3実施形態の光パルス多重化ユニットでは、最初に分波されたときに生じた透過光は、光路O1・プリズム331・O2・B2・O3を進行する過程で、屈折、分波・合波及び反射を所定の順番で行う。図3の場合、所定の順番は、屈折、分波・合波、反射、分波・合波、屈折となる。同様に、最初に分波されたときに生じた反射光は、光路O1・B1・O2・プリズム332・O3を進行する過程で、屈折、分波・合波及び反射を所定の順番で行う。図3の場合、所定の順番は、反射、分波・合波、屈折、分波・合波、反射となる。
【0044】
楔形プリズムで構成された遅延素子331、332、…、33Nは、遅延素子としても機能し、しかも偏向素子としても機能する。このため、第3実施形態の光パルス多重化ユニットでは、第1実施形態及び第2実施形態の光パルス多重化ユニットで必要とされた第1ミラーを設ける必要がない。
【0045】
さらに、遅延素子331、332、…、33Nの機能を、図4を用いて詳細に説明する。なお、第3実施形態の光パルス多重化ユニットでは、これらの遅延素子331、332、…、33Nは構成が同じである。そのため、図4ではこれらの遅延素子331、332、…、33Nのうちの一つを、遅延素子33として示してある。
図4(a)に示す遅延素子33は、硝材としては合成石英を用いている。そして、遅延素子33は、頂角が45°の二等辺三角形の形状に形成されている。このプリズム33を用いた第3実施形態の光パルス多重化ユニットにおいて、波長が800nmの光パルスが入射するものとする。
【0046】
その場合、プリズム33は、最小偏角を満たすように配置されている。具体的には、プリズム33の底面が、ハーフミラー2に対して平行となるように、プリズム33は配置されている。さらに、光パルスがプリズム33に入射する際に、光パルスの入射光線と、ハーフミラー2に対して平行な(即ち、紙面において水平な)線L1とのなす角度が、11.291°となるように、プリズム33は配置されている。このとき、プリズム33の入射面の法線に対する光パルスの入射角度は33.79°、プリズム33で屈折する光パルスの屈折角度は22.5°となる。
【0047】
このように楔形プリズムで構成された遅延素子33を、図4(a)に示すように紙面において上下方向に(即ち、ハーフミラー2に対して垂直方向に)変化させる。すると、光パルスが入射する遅延素子33上の位置(位置P1〜位置P3)、及びハーフミラー2を透過した光パルスが遅延素子33に入射するまでの光路長と、遅延素子33に入射した光パルスがハーフミラー2に対して平行に(即ち、紙面において水平に)通る経路(経路P1Q1〜経路P3Q3)及びその長さと、光パルスが出射する遅延素子33上の位置(位置Q1〜位置Q3)及び遅延素子33から出射した光パルスがハーフミラー2に再入射するまでの光路長が変化する。しかし、遅延素子33に対する光パルスの入射光線の角度、及び射出光線の角度は全く変化しない。図4(a)では、所定位置を基準位置とした場合に、基準位置よりも−5mm紙面において下方向に移動させた(即ち、ハーフミラー2に対して垂直方向に近付けた)ときの経路を点線、基準位置に対して0mmの移動量のときの経路を実線、基準位置よりも+5mm紙面において上方向に移動させた(即ち、ハーフミラー2に対して垂直方向に遠ざけた)ときの経路を一点鎖線で夫々表している。
【0048】
この楔形プリズムで構成された遅延素子33を、図4(a)に示すように、所定の基準位置に対して±5mm変化させたとする。このときのA方向から遅延素子33を通りB方向へ向かう光パルスの光路長の変化量は、図4(b)に示すようになる。但し、図4(b)のグラフでは、所定の基準位置に対する遅延素子33の変化量が0mmのときの光路長を基準とし、その光路長との差で示している。
図4(a),(b)より明らかなように、遅延素子33を紙面に対して上下方向に(即ち、ハーフミラー2に対して垂直方向に)に変化させても、遅延素子33に対する光パルスの入射光線及び射出光線の角度は全く変化しない。一方で、光パルスが通過する位置における遅延素子の肉厚が、第1実施形態の光パルス多重化ユニットと同様にΔ、2Δ、…、2N-1Δと変化する。このため、ハーフミラー2上の所定箇所O1から所定箇所ON+1に至る各経路における光路長差が、第3実施形態の光パルス多重化ユニットでも変化することがわかる。つまり、図3に示した光パルス多重化ユニットにおいて、夫々の遅延素子331、332、…、33Nについて、ハーフミラー2に対する距離を変化させる。これによって、第1実施形態及び第2実施形態の光パルス多重化ユニットと同様に、第3実施形態の光パルス多重化ユニットでも光パルス列を生成させることができる。しかも、第2実施形態の光パルス多重化ユニットと同様に、光パルス列のパルス間隔を自由に変えることができる。
【0049】
(第4実施形態)
図5は本発明の第4実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
第4実施形態の光パルス多重化ユニットは、図3に示した第3実施形態の光パルス多重化ユニットにおけるミラー12の代わりに、N個の遅延素子331、332、…、33Nと同様の楔形プリズムで構成されたN個の遅延素子121、122、…、12N)を用いている。
N個の遅延素子121、122、…、12Nは、ハーフミラー2を挟んで、N個の遅延素子331、332、…、33Nに対向して配置されている。また、N個の遅延素子121、122、…、12Nは、ハーフミラー2を透過、反射した光パルスに対して、最少偏角を満足するように配置されている。また、N個の遅延素子121、122、…、12Nは、入射した光パルスを偏向して、ハーフミラー2に向けて出射するようになっている。
第4実施形態の光パルス多重化ユニットでは、最初に分波されたときに生じた透過光に対して、光路O1・プリズム331・O2・プリズム122・O3を進行する過程で、屈折と分波・合波を交互に繰り返す。同様に、最初に分波されたときに生じた反射光に対して、光路O1・プリズム121・O2・プリズム332・O3を進行する過程で、屈折と分波・合波を交互に繰り返す。
【0050】
ハーフミラー2は、光パルスをハーフミラー2に斜入射させたときに、光パルスを反射側と透過側に分波する。分波された夫々の光パルスは、対応する側に配置された遅延素子を構成するプリズムの屈折作用により、偏向される。偏向された各々の光パルスは、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波される。このように、第4実施形態の光パルス多重化ユニットでは、このハーフミラー2による光パルスの分波から、ハーフミラー2上における光パルスの合波までを、N回繰り返す。ハーフミラー2、N個の遅延素子331、332、…、33N及びN個の遅延素子121、122、…、12Nは、このような分波と合波が複数回行なえるように、所定の大きさを有している。このように構成された光パルス多重化ユニットは、光パルスの入射光路に対して、ハーフミラー2が傾斜するように配置して、使用される。
【0051】
但し、N個の遅延素子121、122、…、12Nは、N個の遅延素子331、332、…、33Nとは異なり、遅延量が変化するようには配置されていない。つまり、ハーフミラー2からの距離がいずれも等しくなるように配置されている。これにより、N個の遅延素子121、122、…、12Nは、第3実施形態の光パルス多重化ユニットにおけるミラー12と同様に機能する。
第4実施形態の光パルス多重化ユニットによれば、第3実施形態の光パルス多重化ユニットと同様の効果が得られる。
【0052】
(第5実施形態)
図6は本発明の第5実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図であり、(a)は全体図、(b)は(a)中の第1の遅延手段(円で囲んだ部分)の拡大図である。
第5実施形態の光パルス多重化ユニットでは、第2実施形態における1対の楔形プリズムを組合わせてなる遅延素子321、322、…、32Nの代わりに、4枚のミラー341、342、…、34Nの組み合せを用いて光パルス列のパルス間隔を可変とするように構成されている。
即ち、第5実施形態では、図6に示すとおり、第1の遅延手段としてのミラーユニット341は、それぞれ直交方向に光を偏向するミラー3411、3412、3413、3414を備えている。そして、ミラー3412及びミラー3413は、ミラー移動ユニット3415に一体に固定され、ミラー移動ユニット3415は、ミラー3411及び3414に対して対向間隔が可変である。
【0053】
第2の遅延手段としてのミラーユニット342、…、第Nの遅延手段としてのミラーユニット34Nも同様に構成され、ミラー移動ユニット3415により、ミラーユニット341による光路長差をDとしたときに、ミラーユニット34Nによる光路長差が2N-1Dとなるように夫々の光路長が適宜調整されている。
その他の構成及び作用効果は、第1及び第2実施形態の光パルス多重化ユニットとほぼ同じである。
【0054】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0055】
図7は本発明の実施例1にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
実施例1の光パルス多重化ユニットは、図1に示した第1実施形態の光パルス多重化ユニットの構成を具体化したものであり、第1ミラー11と、第2ミラー12と、ハーフミラー2と、3個の屈折率nの遅延素子311、312、313を有して構成されている。
【0056】
ハーフミラー2は、所定の肉厚を有する平行平板2aの一方の面2bに、半透過反射膜を備えて構成されている。第2ミラー12は、平行平板2aと同じ肉厚を有する平行平板12aを有している。そして、ミラー12は、平行平板12aの2つの面のうち、ハーフミラー2側とは反対側の面12bに反射膜を備えている。第1のミラー11は、平行平板11aを有している。そして、第1のミラー11は、平行平板11aの2つの面のうち、ハーフミラー2側の面11bに反射膜を備えている。
ハーフミラー2、及び2つのミラー11,12の半透過反射膜及び反射膜の配置、並びに平行平板の肉厚をこのように設計することで、ハーフミラー2を介して分波される光パルスの光路長を、いずれの経路を辿っても等しくすることができ、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波することができるようにしている。
【0057】
第1ミラー11と第2ミラー12は、平行に対向配置されている。
ハーフミラー2は、第1ミラー11と第2ミラー12の中間位置近傍に、第1ミラー11及び第2ミラー12と平行に配置されている。
そして、ハーフミラー2は、光パルスをハーフミラー2に対して斜入射させたときに、光パルスを反射側と透過側とに分波する。分波された一方の光パルスは、第1ミラー11において反射される。また、分波された他方の光パルスは、第2ミラー12において反射される。第1ミラー11及び第2ミラー12で反射された各々の光は、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波される。合波された光パルスは、再びハーフミラー2で分波される。このように、実施例1の光パルス多重化ユニットでは、ハーフミラー2による光パルスの分波から、ハーフミラー2上における光パルスの合波までを、3回繰り返す。第1ミラー11、第2ミラー12及びハーフミラー2は、このような分波と合波が複数回行えるように、所定の大きさを有している。このように構成された光パルス多重化ユニットは、光パルスの入射光路に対して、第1ミラー11、第2ミラー12及びハーフミラー2が傾斜するように配置して、使用される。
【0058】
また、3個の遅延素子311、312、313は、平行平板で構成されている。平行平板の各々には、屈折率がnの同じ硝材を用いている。また、平行平板は、夫々、Δ、2Δ、4Δの肉厚を有する。そして、平行平面板は、ハーフミラー2と第1ミラー11との間に、所定の間隔で配置されている。図7に示すように、実施例1の光パルス多重化ユニットでは、ハーフミラー2から第1ミラー11に向かって、光が進行する光路が3つ存在する。所定の間隔は、この複数の光路のうちの、隣り合う光路の間隔と同じである。すなわち、各光路ごとに1つずつ、その光路中に、遅延素子311、312、313が配置されている。なお、実施例1の光パルス多重化ユニットでは、遅延素子311、312、313は、光パルスの入射側から射出側に向かって、次第に肉厚が厚くなるように配置されている。
その他の構成及び作用効果は、第1実施形態の光パルス多重化ユニットと同じである。
なお、実施例1の光パルス多重化ユニットでは、遅延素子を3個配置したが、勿論それ以上配置して光パルス多重化ユニットを構成することも可能である。
【実施例2】
【0059】
図8は本発明の実施例2にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
実施例2の光パルス多重化ユニットは、図2に示した第2実施形態の光パルス多重化ユニットの構成を具体化したものであり、図7に示した実施例1の光パルス多重化ユニットの構成における遅延素子311、312、313の代わりに、肉厚を可変の遅延素子321、322、323を用いて光パルス列のパルス間隔を可変に構成されている。
各遅延素子321、322、323は、夫々、1対の楔形プリズム321aと321b、322aと322b、323aと323bで構成されている。
1対の楔形プリズム321aと321b、322aと322b、323aと323bは、夫々互いに面同士で接触し、プリズムユニットを構成している。そして、その接触する面に沿って、平行移動可能に構成されている。そして、この1対の楔形プリズムの重なりに応じて、遅延素子としての肉厚Δ'を可変にすることができるようになっている。このため、実施例2の光パルス多重化ユニットによれば、光パルス列のパルス間隔を自由に変えることが可能となる。
その他の構成及び作用効果は実施例1の光パルス多重化ユニットとほぼ同じである。
なお、実施例1の光パルス多重化ユニットでは、遅延素子を3個配置したが、勿論それ以上配置して光パルス多重化ユニットを構成することも可能である。
【実施例3】
【0060】
図9は本発明の実施例3にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
実施例3の光パルス多重化ユニットは、図3及び図4に示した第3実施形態の光パルス多重化ユニットの構成を具体化したものであり、ミラー12と、ハーフミラー2と、3個の屈折率nの遅延素子331、332、333を有して構成されている。
【0061】
ハーフミラー2は、所定の肉厚を有する平行平板2aの一方の面2bに、半透過反射膜を備えている。ミラー12は、平行平板2aと同じ肉厚を有する平行平板12aを有している。そして、ミラー12は、平行平板12aの2つの面のうち、ハーフミラー2側とは反対側の面12bに、反射膜を備えて構成されている。
ハーフミラー2、及びミラー12の半透過反射膜及び反射膜の配置、並びに平行平板の肉厚をこのように設計することで、ハーフミラー2を介して分波される光パルスの光路長を、いずれの経路を辿っても等しくすることができ、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波することができるようにしている。
【0062】
ハーフミラー2は、ミラー12と平行に配置されている。
3個の遅延素子331、332、333は、夫々、屈折率がnの同じ硝材を用いて形成された同一形状の楔形プリズムで構成されている。そして、楔形プリズムの各々は、ハーフミラー2を挟んでミラー12の反対側に、配置されている。また、楔形プリズムの各々は、ハーフミラー2を透過した光パルスに対して、最小偏角を満足するように夫々配置されている。
【0063】
ハーフミラー2は、光パルスをハーフミラー2に斜入射させたときに、光パルスを反射側と透過側に分波する。分波された一方の光パルスは、ミラー12において反射される。また、分波された他方の光パルスは、遅延素子331、332、333を構成するプリズムの屈折作用により偏向される。その後、偏光された光パルスは、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波される。合波された光パルスは、再びハーフミラー2で分波される。このように、実施例3の光パルス多重化ユニットでは、ハーフミラー2による光パルスの分波から、ハーフミラー2上における光パルスの合波までを、3回繰り返す。ハーフミラー2、ミラー12、プリズムは、このような分波と合波が複数回行なえるように、所定の大きさを有している。このように構成された光パルス多重化ユニットは、光パルスの入射光路に対して、ハーフミラー2、ミラー12が傾斜するように配置して、使用される。
【0064】
実施例3の光パルス多重化ユニットでも、ハーフミラー2による光パルスの分波とハーフミラー2上における光パルスの合波が、3回繰り返される。そして、分波から合波に至る1つの光路中に、1つの遅延素子が配置されている。そこで、3個の遅延素子331、332、333は、夫々、(n−1)Δ、2(n−1)Δ、4(n−1)Δの光路長差を満足するように、各光路ごとに1つずつ配置されている。
その他の構成及び作用効果は、第3実施形態の光パルス多重化ユニットと同じである。
なお、実施例3の光パルス多重化ユニットでは、遅延素子を3個配置したが、勿論それ以上配置して光パルス多重化ユニットを構成することも可能である。
【実施例4】
【0065】
図10は本発明の実施例4にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
実施例4の光パルス多重化ユニットは、図5に示した第4実施形態の光パルス多重化ユニットの構成を具体化したものであり、図8に示した実施例3の光パルス多重化ユニットの構成におけるミラー12の代わりに、3個の遅延素子331、332、333と同様の楔形プリズムで構成された3個の遅延素子121、122、123を用いている。
3個の遅延素子121、122、123は、ハーフミラー2を挟んで、3個の遅延素子331、332、333に対向して配置されている。また、N個の遅延素子121、122、123は、ハーフミラー2を透過、反射した光パルスに対して、最少偏角を満足するように配置されている。また、N個の遅延素子121、122、123は、入射した光パルスを偏向して、ハーフミラー2に向けて出射するようになっている。
【0066】
ハーフミラー2は、光パルスをハーフミラー2に斜入射させたときに、光パルスを反射側と透過側に分波する。分波された夫々の光パルスは、対応する側に配置された遅延素子を構成するプリズムの屈折作用により、偏向される。偏向された各々の光パルスは、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波される。このように、実施例4の光パルス多重化ユニットでは、このハーフミラー2による光パルスの分波から、ハーフミラー2上における光パルスの合波までを、3回繰り返す。ハーフミラー2、3個の遅延素子331、332、333及び3個の遅延素子121、122、123は、このような分波と合波が3回行えるように、所定の大きさを有している。このように構成された光パルス多重化ユニットは、光パルスの入射光路に対して、ハーフミラー2が傾斜するように配置して、使用される。
【0067】
但し、3個の遅延素子121、122、123は、3個の遅延素子331、332、333とは異なり、遅延量が変化するようには配置されていない。つまり、ハーフミラー2からの距離がいずれも等しくなるように配置されている。これにより、3個の遅延素子121、122、123は、実施例3の光パルス多重化ユニットにおけるミラー12と同様に機能する。
【0068】
その他の構成及び作用効果は実施例4の光パルス多重化ユニットとほぼ同じである。
なお、実施例3の光パルス多重化ユニットでは、2組の遅延素子331〜333、121〜123を夫々3個ずつ配置したが、勿論それ以上配置して光パルス多重化ユニットを構成することも可能である。
【0069】
以上、本発明の光パルス多重化ユニットの実施形態及び実施例について説明した。これらの本発明の各実施形態、各実施例の光パルス多重化ユニットと、その光パルス多重化ユニットに向けてパルス光を出射するパルス光源を備えれば、本発明の光パルス発生器が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の光パルス多重化ユニット、光パルス発生器、及び光パルス多重化方法は、顕微鏡や計測装置を用いて、非常に微小な領域での、非常に短い時間領域で起こる物性変化を、ポンプ−プローブ法、コヒーレント分光等、複数の照明光を時間遅延を設けて照射することによって、測定することが求められる生物学、医学、薬学の分野において有用である。
【符号の説明】
【0071】
2 ハーフミラー
2a、11a、12a 平行平板
11 第1ミラー
12 第2ミラー
33、121、122、123、12N、311、312、313、31N、321、322、323、323N、331、332、33N、341、342、34N
遅延素子
3411、3412、3413、3414、3421、3422、3423、3424、34N1,34N2、34N3、34N4 ミラー
51 パルス光源
52 遅延構造
53 集光レンズ
54 導波路
551,552,…55n 各光パルスの波面
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パルス列を生成する光パルス多重化ユニット、それを用いた光パルス発生器、及び光パルス多重化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光パルス発生器としては、例えば、次の特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US2003/0012236A1
【0004】
特許文献1に記載のパルス発生器の構成及び作用を図11、図12を用いて簡単に説明する。
図11に示す光パルス発生器は、パルス光源51と、遅延構造52と、集光レンズ53と、導波路54によって構成されている。遅延構造52は、図12に示すように、階段状の形状をしている。これは、屈折率が等しく、厚さが異なる平行平板が複数並んでいるとみなすことができる。各平行平板は、光軸に垂直な方向に、等間隔で並んでいる。また、隣り合う平行平板の光軸に沿った厚さの差は、一定になっている。パルス光源51から出射した光パルスをこの遅延構造52に平面波として入射させると、通過する平行平板の厚さに応じて光路長に変化が生じる。つまり、図12に551,552,…55nで示したように、波面は階段状に変調される。これを、集光レンズ53を介して集光することにより、導波路54に光パルス列を伝送させるというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の光パルス発生器を用いた従来の手法には次に述べるような決定的な欠点があった。
通常、導波路では、伝播する光パルスの伝播モードを制限しないと、モード分散による伝播速度の違いにより、光パルス列のパルス間隔を一定に保つことは困難である。つまり、導波路は単一モードであることが望ましいのであるが、単一モードにすると光結合の条件が非常に厳しくなる。これは、光通信技術において、シングルモードファイバーへの光結合が難しいということと同じ理屈である。
【0006】
図12の構成において、結合効率を高めるためには、導波路54の入力側の開口数(NA)と、集光レンズ53を介して集光される光パルスの開口数(NA)とをほぼ一致させなければならない。ところが、図12に示した従来例においては、階段状に変調された各光パルスのNAは非常に小さくなり、しかも導波路54への入射角度がそれぞれ異なる。この結果、遅延構造52の各平行平板を通過した全ての光パルスに対して、導波路54への結合効率を同時に高めることは不可能である。また、遅延構造52の各平行平板を通過した光パルスのNAが小さくなることにより、集光レンズ53を介して集光した際のスポットサイズを小さくすることができないという問題もある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、結合効率が高い光パルス列を射出できる光パルス多重化ユニット、それを用いた光パルス発生器、及び光パルス多重化方法を提供することを目的とする。また、光パルス列のパルス間隔を任意に設定できる光パルス多重化ユニット、それを用いた光パルス発生器、及び光パルス多重化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明による光パルス多重化ユニットは、入射光を分波して、透過光及び反射光を生成する分波手段と、前記分波手段の一方側及び他方側に配置され、前記分波手段により分波された透過光及び反射光を夫々偏向して、再び前記分波手段上の共通箇所で合波を行わせる一対の光偏向手段と、前記分波手段の一方側及び他方側の少なくともいずれかに設けられ、前記分波手段で分波されて、前記分波手段の一方側を進行した光との間で時間遅延を与える遅延手段とを有することを特徴とする。
ここで、実質的な光路長差とは、例えば、屈折率nで光の透過部分における厚みが異なる素子又は多数の反射鏡の組合わせによる素子により実際の光路長に差を設けるものの他、屈折率を適宜異ならせて実質的に光路長に差を設けるもの及びそれらの組合わせを含むものとする。
【0009】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記分波手段の一方側に、前記遅延手段をN個備え、第1の前記遅延手段による前記実質的な光路長差をDとしたときに、前記第Nの前記遅延手段による前記実質的な光路長差が2N-1Dであることが好ましい。
【0010】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記各遅延手段が屈折率nの遅延素子であり、第1から第Nまでの前記各遅延素子における光の透過部位における厚みが夫々異なるのが好ましい。
【0011】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記各遅延手段が複数のミラーを備え、第1から第Nまでの前記複数のミラー間の間隔が異なるのが好ましい。
【0012】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記一対の光偏向手段が平行に配置された第1ミラー及び第2ミラーであるのが好ましい。
【0013】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記光偏向手段及び前記各遅延手段が楔形プリズムからなるのが好ましい。
【0014】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記一対の光偏向手段が一対の楔形プリズムからなるのが好ましい。
【0015】
また、本発明による光パルス多重化ユニットにおいては、ハーフミラーと、N個の屈折率nの遅延素子を有し、前記N個の遅延素子の各々は、前記ハーフミラーの一方の側に、一端から他端に向かって配置され、且つ、互いに異なる厚みを有し、最も小さい厚みをΔとしたとき、前記N個の遅延素子の各々の厚みが、Δ,2Δ,…,2N-1Δであることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、平行に対向配置された第1ミラーと第2ミラーを有し、前記ハーフミラーが、前記第1ミラーと前記第2ミラーの中間位置近傍に、該前記第1ミラー及び前記第2ミラーと平行に配置され、前記第1ミラーと前記ハーフミラーの間に、前記N個の遅延素子が配置され、前記N個の遅延素子の各々が、平行平面板であり、且つ、該平行平面板の面の法線方向が、前記ハーフミラーの一端から他端に向かう方向と異なる角度で配置されているのが好ましい。
【0017】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、平行に対向配置された第1ミラーと第2ミラーを有し、前記ハーフミラーが、前記第1ミラーと前記第2ミラーの中間位置近傍に、該前記第1ミラー及び前記第2ミラーと平行に配置され、前記第1ミラーと前記ハーフミラーの間に、前記N個の遅延素子が配置され、前記N個の遅延素子の各々は、同一形状の楔形プリズムを2つ有するプリズムユニットであり、前記プリズムユニットの各々において、前記2つの楔形プリズムは、最も小さな頂角を形成している面が互いに接触するように、重なって配置され、前記プリズムユニットの各々は、前記接触する面の面積が互いに異なるのが好ましい。
【0018】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、前記ハーフミラーと平行に配置されたミラーを有し、前記ハーフミラーを挟んで、前記ミラー側とは反対側に、前記N個の遅延素子が配置され、前記N個の遅延素子が、夫々同一形状の楔形プリズムで構成され、前記楔形プリズムの各々は、頂角と対向する面が、前記ハーフミラー側に位置すると共に、前記対向する面から前記ハーフミラーまでの距離が、互いに異なるように配置されているのが好ましい。
【0019】
また、本発明の光パルス多重化ユニットにおいては、更に別のN個の遅延素子を有し、前記別のN個の遅延素子の各々は、前記ハーフミラーを挟んで、前記N個の遅延素子側とは反対側に、前記ハーフミラーの一端から他端に向かって、等間隔で配置され、前記N個の遅延素子と前記別のN個の遅延素子は、夫々同一形状の楔形プリズムで構成され、前記N個の遅延素子の楔形プリズムの各々は、最も小さな頂角を有する頂点と対向する面が、前記ハーフミラー側に位置すると共に、前記対向する面から前記ハーフミラーまでの距離が互いに異なるように配置され、前記別のN個の遅延素子の楔形プリズムの各々は、最も小さな頂角を有する頂点と対向する面が、前記ハーフミラー側に位置すると共に、前記対向する面から前記ハーフミラーまでの距離を同じにして配置されているのが好ましい。
【0020】
また、本発明による光パルス多重化ユニットにおいては、前記プリズムユニットの楔形プリズムが、互いに接触する面に沿って平行移動可能であるのが好ましい。
【0021】
また、本発明による光パルス多重化ユニットにおいては、前記ハーフミラーが、所定の肉厚を有する平行平板と、該平行平板の一方の面に設けられた半透過反射膜とで構成され、前記第1のミラーと前記第2のミラーのうち、前記ハーフミラーの前記半透過反射膜が設けられた側に配置されたミラーが、前記ハーフミラーを構成する前記平行平板と同じ肉厚を有する平行平板と、該平行平板の前記ハーフミラー側とは反対側の面に設けられた反射膜とで構成され、前記第1のミラーと前記第2のミラーのうち、前記ハーフミラーの前記半透過反射膜が設けられた側とは反対側に配置されたミラーが、平行平板と、該平行平板の前記ハーフミラー側の面に設けられた反射膜とで構成されているのが好ましい。
【0022】
また、本発明による光パルス多重化ユニットにおいては、前記ハーフミラーが、所定の肉厚を有する平行平板と、該平行平板の前記ミラー側の面に設けられた半透過反射膜とで構成され、前記ミラーが、前記ハーフミラーを構成する前記平行平板と同じ肉厚を有する平行平板と、該平行平板の前記ハーフミラー側とは反対側の面に設けられた反射膜とで構成されているのが好ましい。
【0023】
また、本発明による光パルス発生器は、上記本発明のいずれかの光パルス多重化ユニットと、パルス光源を有することを特徴としている。
【0024】
また、本発明による光パルス多重化方法は、入射光を分波して、透過光と反射光を生成し、前記透過光が進行する第1の光路と前記反射光が進行する第2光路の各々で、光路長を変化させ、前記第1の光路を通過した光と前記第2の光路を通過した光を合波して、該合波した光に時間遅延を与える方法であって、前記第1の光路における光路長の変化量と、前記第2光路における光路長の変化量が異なることを特徴としている。
【0025】
また、本発明の光パルス多重化方法においては、前記第1の光路で、前記透過光の反射と分波・合波を交互に行い、前記第2の光路で、前記反射光の反射と分波・合波を交互に行うのが好ましい。
【0026】
また、本発明の光パルス多重化方法においては、前記第1の光路で、前記透過光の分波・合波、屈折及び反射を所定の順番で行い、前記第2の光路で、前記反射光の分波・合波、屈折及び反射を所定の順番で行うのが好ましい。
【0027】
また、本発明の光パルス多重化方法においては、前記第1の光路で、前記透過光の屈折と分波・合波を交互に行い、前記第2の光路で、前記反射光の屈折と分波・合波を交互に行うのが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の光パルス多重化ユニット、それを用いた光パルス発生器、及び光パルス多重化方法によれば、各光パルスが同一の軸に沿って伝播する光パルス列を生成することができる。よって、射出する光パルス列のNAが小さくなることを防ぐことができる。すなわち、結合効率の高い光パルス列を得ることができる。また、光パルス列のパルス間隔を任意に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図であり、(a)は概略構成図、(b)〜(d)は各光パルスの遅延状態を示し、(b)は経路B1O2間の光パルスP、(c)は経路A1O2間の光パルスP1、(d)は経路B2O3間の光パルスP,P1、(e)は経路A2O3間の光パルスP2,P3、(f)は所定箇所O3で分波・合波された直後の光パルスP,P1,P2,P3、を夫々示す説明図である。
【図2】第2実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図4】第3実施形態の光パルス多重化ユニットにおいて用いられる、遅延素子の一構成例及びこの遅延素子の位置を変化させたときの光路長の変化を示す説明図であり、(a)は状態説明図、(b)は(a)の遅延素子を構成するプリズムの移動量に対する光路長の変化量を示すグラフである。
【図5】本発明の第4実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図6】本発明の第5実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図であり、(a)は全体図、(b)は(a)中の第1の遅延手段(円で囲んだ部分)の拡大図である。
【図7】本発明の実施例1にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図8】本発明の実施例2にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図9】本発明の実施例3にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図10】本発明の実施例4にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
【図11】光パルス発生器の一従来例の概略構成を示すブロック図である。
【図12】図11の光パルス発生器における光パルス列を発生させる遅延構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの説明図であり、(a)は概略構成図、(b)〜(d)は各光パルスの遅延状態を示し、(b)は経路B1O2間の光パルスP、(c)は経路A1O2間の光パルスP1、(d)は経路B2O3間の光パルスP,P1、(e)は経路A2O3間の光パルスP2,P3、(f)は所定箇所O3で分波・合波された直後の光パルスP,P1,P2,P3、を夫々示す説明図である。
第1実施形態の光パルス多重化ユニットは、第1ミラー11と、第2ミラー12と、ハーフミラー2と、N個の屈折率nの遅延素子311、312、…、31Nを有して構成されている。
第1ミラー11と第2ミラー12は、平行に対向配置されている。
ハーフミラー2は、第1ミラー11と第2ミラー12の中間位置近傍に、第1ミラー11及び第2ミラー12と平行に配置されている。
【0031】
ハーフミラー2は、光パルスをハーフミラー2に対して斜入射させたときに、光パルスを反射側と透過側とに分波(振幅分割)する。分波された一方の光パルスは、第1ミラー11において反射される。また、分波された他方の光パルスは、第2ミラー12において反射される。第1ミラー11及び第2ミラー12で反射された各々の光は、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波される。合波された光パルスは、再びハーフミラー2で分波される。このように、第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、ハーフミラー2による光パルスの分波から、ハーフミラー2上における光パルスの合波までを、N回繰り返す。第1ミラー11、第2ミラー12及びハーフミラー2は、このような分波と合波が複数回行えるように、所定の大きさを有している。このように構成された光パルス多重化ユニットは、光パルスの入射光路に対して、第1ミラー11、第2ミラー12及びハーフミラー2が傾斜するように配置して、使用される。
【0032】
また、N個の遅延素子311、312、…、31Nは、平行平板で構成されている。平行平板の各々には、屈折率がnの同じ硝材を用いている。また、平行平板は、夫々、Δ、2Δ、…、2N-1Δの肉厚(厚み)を有する。ここで、Δは、遅延素子311、312、…、31Nのうち、最も小さい肉厚である。そして、平行平面板は、ハーフミラー2と第1ミラー11との間に、所定の間隔で配置されている。図1に示すように、第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、ハーフミラー2から第1ミラー11に向かって、光が進行する光路が複数存在する。所定の間隔は、この複数の光路のうちの、隣り合う光路の間隔と同じである。すなわち、各光路ごとに1つずつ、その光路中に、遅延素子311、312、…、31Nが配置されている。なお、第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、遅延素子311、312、…、31Nは、光パルスの入射側から射出側に向かって、次第に、各遅延素子の肉厚(厚み)が厚くなるように配置されているが、これら遅延素子311、312、…、31Nをランダムな順番で配置しても良い。
【0033】
このように構成された第1実施形態の光パルス多重化ユニットによれば、ハーフミラー2上の所定箇所O1に、図示省略したパルス光源から出射された光パルスPが入射する。すると、光パルスPは、ハーフミラー2の透過側と反射側とに分波される。ハーフミラー2を透過した光パルスPは、遅延素子311を通過し、時間遅延が生じた光パルスP1になる(図1(c))。光パルスP1は、第1ミラー11上の所定箇所A1で反射されて、ハーフミラー2上の所定箇所O2に入射する。他方、ハーフミラー2で反射された光パルスPは、そのままの状態で(図1(b))、第2ミラー12上の所定箇所B1で反射されて、ハーフミラー2上の所定箇所O2に入射する。即ち、ハーフミラー2上の所定箇所O1で分波された光パルスPは、夫々、経路O1A1O2と経路O1B1O2を経て、ハーフミラー2上の所定箇所O2において交わる。
【0034】
次に、所定箇所O2では、経路O1A1O2を進行した光パルスP1が、ハーフミラー2の透過側と反射側とに分波される。同様に、経路O1B1O2を進行した光パルスPも、ハーフミラー2の透過側と反射側とに分波される。よって、経路O1A1O2を進行した光パルスP1のうち、ハーフミラー2を透過した光パルスP1は、経路O1B1O2を進行した光パルスPのうち、ハーフミラー2で反射された光パルスPと、所定箇所O2において合波される。また、経路O1A1O2を進行した光パルスP1のうち、ハーフミラー2で反射された光パルスP1は、経路O1B1O2を進行した光パルスPのうち、ハーフミラー2を透過した光パルスPと、所定箇所O2において合波される。このように、所定箇所O2では、光パルスの分波と合波が同時に行なわれる。
所定箇所O2を通過した直後では、分波された光パルス(透過側と反射側の光パルス)は、両者とも、光パルスPとP1を含んでいる。
分波されたパルスのうち、第1ミラー11に向かう光パルスP及びP1は、遅延素子312を通過する。このとき、時間遅延が生じるので、光パルスPは光パルスP2になり、光パルスP1は光パルスP3になる(図1(e))。この光パルスP2及びP3は、第1ミラー11上の所定箇所A2で反射されてハーフミラー2上の所定箇所O3に入射する。分波された光パルスのうち、第2ミラー12に向かう光パルスP及びP1は、第2ミラー12上の所定箇所B2で反射されるだけなので、時間遅延は生じない。すなわち、光パルスP及びP1のままである(図1(d))。この光パルスP及びP1は、ハーフミラー2上の所定箇所O3に入射する。即ち、ハーフミラー2上の所定箇所O2で分波された光パルスは、夫々経路O2A2O3と経路O2B2O3を経て、ハーフミラー2上の所定箇所O3において交わる。
所定箇所O3では、所定箇所O2と同じように、分波が行なわれる。よって、図1(f)に示すように、分波された光パルスの各々は、光パルスP,P1,P2,P3が含まれる。
このように、第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、最初に分波されたときに生じた透過光に対して、光路O1・A1・O2・B2・O3を進行する過程で、反射と分波・合波を交互に繰り返す。同様に、最初に分波されたときに生じた反射光に対して、光路O1・B1・O2・A2・O3で、反射と分波・合波を交互に繰り返す。
【0035】
つまり、第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、例えば、ハーフミラー2上の所定箇所O1から所定箇所O3に至るまでには、
(1)O1A1O2A2O3
(2)O1A1O2B2O3
(3)O1B1O2A2O3
(4)O1B1O2B2O3
の4つの経路が存在する。
【0036】
図1の構成において、上記4つの経路を経たそれぞれの光パルスは、ハーフミラー2上の所定箇所O3において同時に合波される。このとき、遅延素子311、312が存在しなければ、合波された光パルスには、光パルスPしか含んでいないことは容易に理解できる。これに対し、第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、多重化遅延素子311と遅延素子312が、屈折率がnの同じ硝材を用いた平行平板で構成され、夫々Δ、2Δの肉厚を有している。また、遅延素子の内部における光パルスの光路長は屈折率n−1に肉厚を乗じた長さとなる。このため、上記各経路における光路長差は、下記のように変化する。その結果、上記各経路を経た光パルスには、ハーフミラー2上の所定箇所O3に到達した時点で、時間差(時間遅延)が生じる。
経路 光路長差
O1A1O2A2O3 3Δ(n−1)
O1A1O2B2O3 1Δ(n−1)
O1B1O2A2O3 2Δ(n−1)
O1B1O2B2O3 0Δ(n−1)
【0037】
つまり、4つの経路を通った光パルスは、光速をCとすると、Δ(n−1)/Cのパルス間隔を有した光パルス列となる。従って、上記経路以降のハーフミラー2上の所定箇所ON+1に至るまでの経路においても上記経路と同様に、光パルスは、N回の分波と合波を繰り返す。これにより、第1実施形態の光パルス多重化ユニットによれば、2のN乗個のパルスの列を生成させることができる。しかも、第1実施形態の光パルス多重化ユニットにおいて生成されたパルス列は、光パルスが空間に分離しているのではなく、完全に同じ軸上を伝播する光パルス列である。このため、第1実施形態の光パルス多重化ユニットを介して多重化された光パルス列を、集光レンズを用いて集光させても、全ての光パルスが全く同一の方向から同一点へ集光するので、光ファイバへの結合を試みたときに良好な結合効率が実現できる。
【0038】
(第2実施形態)
図2は本発明の第2実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
第1実施形態の光パルス多重化ユニットでは、遅延素子として肉厚が固定の平行平板を用いたため、光パルス列のパルス間隔は固定であった。これに対し、第2実施形態の光パルス多重化ユニットでは、図1に示した遅延素子311、312、…、31Nの代わりに、肉厚が可変の遅延素子321、322、…、32Nを用いている。これにより、第2実施形態の光パルス多重化ユニットでは、光パルス列のパルス間隔を可変にしている。
【0039】
図2に示すように、第2実施形態の光パルス多重化ユニットでは、各遅延素子321、322、…、32Nは、夫々、1対の楔形プリズム321aと321b、322aと322b、…、32Naと32Nbで構成されている。
1対の楔形プリズム321aと321b、322aと322b、…、32Naと32Nbは、夫々互いに面同士で接触し、プリズムユニットを構成している。そして、その接触する面(最も小さな頂角を形成している面)に沿って、2つの楔形プリズムが、相対的に平行移動するように構成されている。この移動は、2つの楔形プリズムのうち1つを移動させてもよく、2つを移動させてもよい。このように、第2実施形態の光パルス多重化ユニットでは、2つの楔形プリズムが移動する。よって、この1対の楔形プリズムの重なりに応じて、遅延素子としての肉厚Δ'を可変にすることができる。このため、第2実施形態の光パルス多重化ユニットによれば、光パルス列のパルス間隔を自由に変えることが可能となる。
その他の構成及び作用効果は、第1実施形態の光パルス多重化ユニットとほぼ同じである。
【0040】
(第3実施形態)
図3は本発明の第3実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図、図4は第3実施形態の光パルス多重化ユニットにおいて用いられる、遅延素子の一構成例及びこの遅延素子の位置を変化させたときの光路長の変化を示す説明図であり、(a)は状態説明図、(b)は(a)の遅延素子を構成するプリズムの移動量に対する光路長の変化量を示すグラフである。
第3実施形態の光パルス多重化ユニットは、ミラー12と、ハーフミラー2と、N個の屈折率nの遅延素子331、332、…、33Nを有して構成されている。
ハーフミラー2は、ミラー12と平行に配置されている。
【0041】
N個の遅延素子331、332、…、33Nは、夫々、屈折率がnの同じ硝材を用いて形成された同一形状の楔形プリズムで構成されている。そして、楔形プリズムの各々は、ハーフミラー2を挟んでミラー12の反対側に配置されている。このとき、また、楔形プリズムの各々は、頂角と対向する面が、ハーフミラー2側に位置するように配置されている。すなわち、頂角がハーフミラー2から離れるように、楔形プリズムの各々が配置されている。
また、楔形プリズムの各々は、対向する面からハーフミラー2までの距離が、互いに異なるように配置されている。また、楔形プリズムの各々は、ハーフミラー2を透過した光パルスに対して、最小偏角を満足するように夫々配置されている。
【0042】
ハーフミラー2は、光パルスをハーフミラー2に斜入射させたときに、光パルスを反射側と透過側に分波する。分波された一方の光パルスは、ミラー12において反射される。また、分波された他方の光パルスは、遅延素子331、332、…、33Nを構成するプリズムの屈折作用により偏向される。その後、偏向された光パルスは、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波される。合波された光パルスは、再びハーフミラー2で分波される。このように、第3実施形態の光パルス多重化ユニットでは、ハーフミラー2による光パルスの分波から、ハーフミラー2上における光パルスの合波までを、N回繰り返す。ハーフミラー2、ミラー12、プリズムは、このような分波と合波が複数回行えるように、所定の大きさを有している。このように構成された光パルス多重化ユニットは、光パルスの入射光路に対して、ハーフミラー2、ミラー12が傾斜するように配置して、使用される。
【0043】
第3実施形態の光パルス多重化ユニットでも、ハーフミラー2による光パルスの分波とハーフミラー2上における光パルスの合波が、N回繰り返される。そして、分波から合波に至る1つの光路中に、1つの遅延素子が配置されている。そこで、N個の遅延素子331、332、…、33Nは、夫々、(n−1)Δ、2(n−1)Δ、…、2N-1(n−1)Δの光路長差を満足するように、各光路ごとに1つずつ配置されている。
このように、第3実施形態の光パルス多重化ユニットでは、最初に分波されたときに生じた透過光は、光路O1・プリズム331・O2・B2・O3を進行する過程で、屈折、分波・合波及び反射を所定の順番で行う。図3の場合、所定の順番は、屈折、分波・合波、反射、分波・合波、屈折となる。同様に、最初に分波されたときに生じた反射光は、光路O1・B1・O2・プリズム332・O3を進行する過程で、屈折、分波・合波及び反射を所定の順番で行う。図3の場合、所定の順番は、反射、分波・合波、屈折、分波・合波、反射となる。
【0044】
楔形プリズムで構成された遅延素子331、332、…、33Nは、遅延素子としても機能し、しかも偏向素子としても機能する。このため、第3実施形態の光パルス多重化ユニットでは、第1実施形態及び第2実施形態の光パルス多重化ユニットで必要とされた第1ミラーを設ける必要がない。
【0045】
さらに、遅延素子331、332、…、33Nの機能を、図4を用いて詳細に説明する。なお、第3実施形態の光パルス多重化ユニットでは、これらの遅延素子331、332、…、33Nは構成が同じである。そのため、図4ではこれらの遅延素子331、332、…、33Nのうちの一つを、遅延素子33として示してある。
図4(a)に示す遅延素子33は、硝材としては合成石英を用いている。そして、遅延素子33は、頂角が45°の二等辺三角形の形状に形成されている。このプリズム33を用いた第3実施形態の光パルス多重化ユニットにおいて、波長が800nmの光パルスが入射するものとする。
【0046】
その場合、プリズム33は、最小偏角を満たすように配置されている。具体的には、プリズム33の底面が、ハーフミラー2に対して平行となるように、プリズム33は配置されている。さらに、光パルスがプリズム33に入射する際に、光パルスの入射光線と、ハーフミラー2に対して平行な(即ち、紙面において水平な)線L1とのなす角度が、11.291°となるように、プリズム33は配置されている。このとき、プリズム33の入射面の法線に対する光パルスの入射角度は33.79°、プリズム33で屈折する光パルスの屈折角度は22.5°となる。
【0047】
このように楔形プリズムで構成された遅延素子33を、図4(a)に示すように紙面において上下方向に(即ち、ハーフミラー2に対して垂直方向に)変化させる。すると、光パルスが入射する遅延素子33上の位置(位置P1〜位置P3)、及びハーフミラー2を透過した光パルスが遅延素子33に入射するまでの光路長と、遅延素子33に入射した光パルスがハーフミラー2に対して平行に(即ち、紙面において水平に)通る経路(経路P1Q1〜経路P3Q3)及びその長さと、光パルスが出射する遅延素子33上の位置(位置Q1〜位置Q3)及び遅延素子33から出射した光パルスがハーフミラー2に再入射するまでの光路長が変化する。しかし、遅延素子33に対する光パルスの入射光線の角度、及び射出光線の角度は全く変化しない。図4(a)では、所定位置を基準位置とした場合に、基準位置よりも−5mm紙面において下方向に移動させた(即ち、ハーフミラー2に対して垂直方向に近付けた)ときの経路を点線、基準位置に対して0mmの移動量のときの経路を実線、基準位置よりも+5mm紙面において上方向に移動させた(即ち、ハーフミラー2に対して垂直方向に遠ざけた)ときの経路を一点鎖線で夫々表している。
【0048】
この楔形プリズムで構成された遅延素子33を、図4(a)に示すように、所定の基準位置に対して±5mm変化させたとする。このときのA方向から遅延素子33を通りB方向へ向かう光パルスの光路長の変化量は、図4(b)に示すようになる。但し、図4(b)のグラフでは、所定の基準位置に対する遅延素子33の変化量が0mmのときの光路長を基準とし、その光路長との差で示している。
図4(a),(b)より明らかなように、遅延素子33を紙面に対して上下方向に(即ち、ハーフミラー2に対して垂直方向に)に変化させても、遅延素子33に対する光パルスの入射光線及び射出光線の角度は全く変化しない。一方で、光パルスが通過する位置における遅延素子の肉厚が、第1実施形態の光パルス多重化ユニットと同様にΔ、2Δ、…、2N-1Δと変化する。このため、ハーフミラー2上の所定箇所O1から所定箇所ON+1に至る各経路における光路長差が、第3実施形態の光パルス多重化ユニットでも変化することがわかる。つまり、図3に示した光パルス多重化ユニットにおいて、夫々の遅延素子331、332、…、33Nについて、ハーフミラー2に対する距離を変化させる。これによって、第1実施形態及び第2実施形態の光パルス多重化ユニットと同様に、第3実施形態の光パルス多重化ユニットでも光パルス列を生成させることができる。しかも、第2実施形態の光パルス多重化ユニットと同様に、光パルス列のパルス間隔を自由に変えることができる。
【0049】
(第4実施形態)
図5は本発明の第4実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
第4実施形態の光パルス多重化ユニットは、図3に示した第3実施形態の光パルス多重化ユニットにおけるミラー12の代わりに、N個の遅延素子331、332、…、33Nと同様の楔形プリズムで構成されたN個の遅延素子121、122、…、12N)を用いている。
N個の遅延素子121、122、…、12Nは、ハーフミラー2を挟んで、N個の遅延素子331、332、…、33Nに対向して配置されている。また、N個の遅延素子121、122、…、12Nは、ハーフミラー2を透過、反射した光パルスに対して、最少偏角を満足するように配置されている。また、N個の遅延素子121、122、…、12Nは、入射した光パルスを偏向して、ハーフミラー2に向けて出射するようになっている。
第4実施形態の光パルス多重化ユニットでは、最初に分波されたときに生じた透過光に対して、光路O1・プリズム331・O2・プリズム122・O3を進行する過程で、屈折と分波・合波を交互に繰り返す。同様に、最初に分波されたときに生じた反射光に対して、光路O1・プリズム121・O2・プリズム332・O3を進行する過程で、屈折と分波・合波を交互に繰り返す。
【0050】
ハーフミラー2は、光パルスをハーフミラー2に斜入射させたときに、光パルスを反射側と透過側に分波する。分波された夫々の光パルスは、対応する側に配置された遅延素子を構成するプリズムの屈折作用により、偏向される。偏向された各々の光パルスは、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波される。このように、第4実施形態の光パルス多重化ユニットでは、このハーフミラー2による光パルスの分波から、ハーフミラー2上における光パルスの合波までを、N回繰り返す。ハーフミラー2、N個の遅延素子331、332、…、33N及びN個の遅延素子121、122、…、12Nは、このような分波と合波が複数回行なえるように、所定の大きさを有している。このように構成された光パルス多重化ユニットは、光パルスの入射光路に対して、ハーフミラー2が傾斜するように配置して、使用される。
【0051】
但し、N個の遅延素子121、122、…、12Nは、N個の遅延素子331、332、…、33Nとは異なり、遅延量が変化するようには配置されていない。つまり、ハーフミラー2からの距離がいずれも等しくなるように配置されている。これにより、N個の遅延素子121、122、…、12Nは、第3実施形態の光パルス多重化ユニットにおけるミラー12と同様に機能する。
第4実施形態の光パルス多重化ユニットによれば、第3実施形態の光パルス多重化ユニットと同様の効果が得られる。
【0052】
(第5実施形態)
図6は本発明の第5実施形態にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図であり、(a)は全体図、(b)は(a)中の第1の遅延手段(円で囲んだ部分)の拡大図である。
第5実施形態の光パルス多重化ユニットでは、第2実施形態における1対の楔形プリズムを組合わせてなる遅延素子321、322、…、32Nの代わりに、4枚のミラー341、342、…、34Nの組み合せを用いて光パルス列のパルス間隔を可変とするように構成されている。
即ち、第5実施形態では、図6に示すとおり、第1の遅延手段としてのミラーユニット341は、それぞれ直交方向に光を偏向するミラー3411、3412、3413、3414を備えている。そして、ミラー3412及びミラー3413は、ミラー移動ユニット3415に一体に固定され、ミラー移動ユニット3415は、ミラー3411及び3414に対して対向間隔が可変である。
【0053】
第2の遅延手段としてのミラーユニット342、…、第Nの遅延手段としてのミラーユニット34Nも同様に構成され、ミラー移動ユニット3415により、ミラーユニット341による光路長差をDとしたときに、ミラーユニット34Nによる光路長差が2N-1Dとなるように夫々の光路長が適宜調整されている。
その他の構成及び作用効果は、第1及び第2実施形態の光パルス多重化ユニットとほぼ同じである。
【0054】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0055】
図7は本発明の実施例1にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
実施例1の光パルス多重化ユニットは、図1に示した第1実施形態の光パルス多重化ユニットの構成を具体化したものであり、第1ミラー11と、第2ミラー12と、ハーフミラー2と、3個の屈折率nの遅延素子311、312、313を有して構成されている。
【0056】
ハーフミラー2は、所定の肉厚を有する平行平板2aの一方の面2bに、半透過反射膜を備えて構成されている。第2ミラー12は、平行平板2aと同じ肉厚を有する平行平板12aを有している。そして、ミラー12は、平行平板12aの2つの面のうち、ハーフミラー2側とは反対側の面12bに反射膜を備えている。第1のミラー11は、平行平板11aを有している。そして、第1のミラー11は、平行平板11aの2つの面のうち、ハーフミラー2側の面11bに反射膜を備えている。
ハーフミラー2、及び2つのミラー11,12の半透過反射膜及び反射膜の配置、並びに平行平板の肉厚をこのように設計することで、ハーフミラー2を介して分波される光パルスの光路長を、いずれの経路を辿っても等しくすることができ、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波することができるようにしている。
【0057】
第1ミラー11と第2ミラー12は、平行に対向配置されている。
ハーフミラー2は、第1ミラー11と第2ミラー12の中間位置近傍に、第1ミラー11及び第2ミラー12と平行に配置されている。
そして、ハーフミラー2は、光パルスをハーフミラー2に対して斜入射させたときに、光パルスを反射側と透過側とに分波する。分波された一方の光パルスは、第1ミラー11において反射される。また、分波された他方の光パルスは、第2ミラー12において反射される。第1ミラー11及び第2ミラー12で反射された各々の光は、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波される。合波された光パルスは、再びハーフミラー2で分波される。このように、実施例1の光パルス多重化ユニットでは、ハーフミラー2による光パルスの分波から、ハーフミラー2上における光パルスの合波までを、3回繰り返す。第1ミラー11、第2ミラー12及びハーフミラー2は、このような分波と合波が複数回行えるように、所定の大きさを有している。このように構成された光パルス多重化ユニットは、光パルスの入射光路に対して、第1ミラー11、第2ミラー12及びハーフミラー2が傾斜するように配置して、使用される。
【0058】
また、3個の遅延素子311、312、313は、平行平板で構成されている。平行平板の各々には、屈折率がnの同じ硝材を用いている。また、平行平板は、夫々、Δ、2Δ、4Δの肉厚を有する。そして、平行平面板は、ハーフミラー2と第1ミラー11との間に、所定の間隔で配置されている。図7に示すように、実施例1の光パルス多重化ユニットでは、ハーフミラー2から第1ミラー11に向かって、光が進行する光路が3つ存在する。所定の間隔は、この複数の光路のうちの、隣り合う光路の間隔と同じである。すなわち、各光路ごとに1つずつ、その光路中に、遅延素子311、312、313が配置されている。なお、実施例1の光パルス多重化ユニットでは、遅延素子311、312、313は、光パルスの入射側から射出側に向かって、次第に肉厚が厚くなるように配置されている。
その他の構成及び作用効果は、第1実施形態の光パルス多重化ユニットと同じである。
なお、実施例1の光パルス多重化ユニットでは、遅延素子を3個配置したが、勿論それ以上配置して光パルス多重化ユニットを構成することも可能である。
【実施例2】
【0059】
図8は本発明の実施例2にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
実施例2の光パルス多重化ユニットは、図2に示した第2実施形態の光パルス多重化ユニットの構成を具体化したものであり、図7に示した実施例1の光パルス多重化ユニットの構成における遅延素子311、312、313の代わりに、肉厚を可変の遅延素子321、322、323を用いて光パルス列のパルス間隔を可変に構成されている。
各遅延素子321、322、323は、夫々、1対の楔形プリズム321aと321b、322aと322b、323aと323bで構成されている。
1対の楔形プリズム321aと321b、322aと322b、323aと323bは、夫々互いに面同士で接触し、プリズムユニットを構成している。そして、その接触する面に沿って、平行移動可能に構成されている。そして、この1対の楔形プリズムの重なりに応じて、遅延素子としての肉厚Δ'を可変にすることができるようになっている。このため、実施例2の光パルス多重化ユニットによれば、光パルス列のパルス間隔を自由に変えることが可能となる。
その他の構成及び作用効果は実施例1の光パルス多重化ユニットとほぼ同じである。
なお、実施例1の光パルス多重化ユニットでは、遅延素子を3個配置したが、勿論それ以上配置して光パルス多重化ユニットを構成することも可能である。
【実施例3】
【0060】
図9は本発明の実施例3にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
実施例3の光パルス多重化ユニットは、図3及び図4に示した第3実施形態の光パルス多重化ユニットの構成を具体化したものであり、ミラー12と、ハーフミラー2と、3個の屈折率nの遅延素子331、332、333を有して構成されている。
【0061】
ハーフミラー2は、所定の肉厚を有する平行平板2aの一方の面2bに、半透過反射膜を備えている。ミラー12は、平行平板2aと同じ肉厚を有する平行平板12aを有している。そして、ミラー12は、平行平板12aの2つの面のうち、ハーフミラー2側とは反対側の面12bに、反射膜を備えて構成されている。
ハーフミラー2、及びミラー12の半透過反射膜及び反射膜の配置、並びに平行平板の肉厚をこのように設計することで、ハーフミラー2を介して分波される光パルスの光路長を、いずれの経路を辿っても等しくすることができ、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波することができるようにしている。
【0062】
ハーフミラー2は、ミラー12と平行に配置されている。
3個の遅延素子331、332、333は、夫々、屈折率がnの同じ硝材を用いて形成された同一形状の楔形プリズムで構成されている。そして、楔形プリズムの各々は、ハーフミラー2を挟んでミラー12の反対側に、配置されている。また、楔形プリズムの各々は、ハーフミラー2を透過した光パルスに対して、最小偏角を満足するように夫々配置されている。
【0063】
ハーフミラー2は、光パルスをハーフミラー2に斜入射させたときに、光パルスを反射側と透過側に分波する。分波された一方の光パルスは、ミラー12において反射される。また、分波された他方の光パルスは、遅延素子331、332、333を構成するプリズムの屈折作用により偏向される。その後、偏光された光パルスは、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波される。合波された光パルスは、再びハーフミラー2で分波される。このように、実施例3の光パルス多重化ユニットでは、ハーフミラー2による光パルスの分波から、ハーフミラー2上における光パルスの合波までを、3回繰り返す。ハーフミラー2、ミラー12、プリズムは、このような分波と合波が複数回行なえるように、所定の大きさを有している。このように構成された光パルス多重化ユニットは、光パルスの入射光路に対して、ハーフミラー2、ミラー12が傾斜するように配置して、使用される。
【0064】
実施例3の光パルス多重化ユニットでも、ハーフミラー2による光パルスの分波とハーフミラー2上における光パルスの合波が、3回繰り返される。そして、分波から合波に至る1つの光路中に、1つの遅延素子が配置されている。そこで、3個の遅延素子331、332、333は、夫々、(n−1)Δ、2(n−1)Δ、4(n−1)Δの光路長差を満足するように、各光路ごとに1つずつ配置されている。
その他の構成及び作用効果は、第3実施形態の光パルス多重化ユニットと同じである。
なお、実施例3の光パルス多重化ユニットでは、遅延素子を3個配置したが、勿論それ以上配置して光パルス多重化ユニットを構成することも可能である。
【実施例4】
【0065】
図10は本発明の実施例4にかかる光パルス多重化ユニットの概略構成図である。
実施例4の光パルス多重化ユニットは、図5に示した第4実施形態の光パルス多重化ユニットの構成を具体化したものであり、図8に示した実施例3の光パルス多重化ユニットの構成におけるミラー12の代わりに、3個の遅延素子331、332、333と同様の楔形プリズムで構成された3個の遅延素子121、122、123を用いている。
3個の遅延素子121、122、123は、ハーフミラー2を挟んで、3個の遅延素子331、332、333に対向して配置されている。また、N個の遅延素子121、122、123は、ハーフミラー2を透過、反射した光パルスに対して、最少偏角を満足するように配置されている。また、N個の遅延素子121、122、123は、入射した光パルスを偏向して、ハーフミラー2に向けて出射するようになっている。
【0066】
ハーフミラー2は、光パルスをハーフミラー2に斜入射させたときに、光パルスを反射側と透過側に分波する。分波された夫々の光パルスは、対応する側に配置された遅延素子を構成するプリズムの屈折作用により、偏向される。偏向された各々の光パルスは、再びハーフミラー2上の共通箇所において合波される。このように、実施例4の光パルス多重化ユニットでは、このハーフミラー2による光パルスの分波から、ハーフミラー2上における光パルスの合波までを、3回繰り返す。ハーフミラー2、3個の遅延素子331、332、333及び3個の遅延素子121、122、123は、このような分波と合波が3回行えるように、所定の大きさを有している。このように構成された光パルス多重化ユニットは、光パルスの入射光路に対して、ハーフミラー2が傾斜するように配置して、使用される。
【0067】
但し、3個の遅延素子121、122、123は、3個の遅延素子331、332、333とは異なり、遅延量が変化するようには配置されていない。つまり、ハーフミラー2からの距離がいずれも等しくなるように配置されている。これにより、3個の遅延素子121、122、123は、実施例3の光パルス多重化ユニットにおけるミラー12と同様に機能する。
【0068】
その他の構成及び作用効果は実施例4の光パルス多重化ユニットとほぼ同じである。
なお、実施例3の光パルス多重化ユニットでは、2組の遅延素子331〜333、121〜123を夫々3個ずつ配置したが、勿論それ以上配置して光パルス多重化ユニットを構成することも可能である。
【0069】
以上、本発明の光パルス多重化ユニットの実施形態及び実施例について説明した。これらの本発明の各実施形態、各実施例の光パルス多重化ユニットと、その光パルス多重化ユニットに向けてパルス光を出射するパルス光源を備えれば、本発明の光パルス発生器が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の光パルス多重化ユニット、光パルス発生器、及び光パルス多重化方法は、顕微鏡や計測装置を用いて、非常に微小な領域での、非常に短い時間領域で起こる物性変化を、ポンプ−プローブ法、コヒーレント分光等、複数の照明光を時間遅延を設けて照射することによって、測定することが求められる生物学、医学、薬学の分野において有用である。
【符号の説明】
【0071】
2 ハーフミラー
2a、11a、12a 平行平板
11 第1ミラー
12 第2ミラー
33、121、122、123、12N、311、312、313、31N、321、322、323、323N、331、332、33N、341、342、34N
遅延素子
3411、3412、3413、3414、3421、3422、3423、3424、34N1,34N2、34N3、34N4 ミラー
51 パルス光源
52 遅延構造
53 集光レンズ
54 導波路
551,552,…55n 各光パルスの波面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を分波して、透過光及び反射光を生成する分波手段と、
前記分波手段の一方側及び他方側に配置され、前記分波手段により分波された透過光及び反射光を夫々偏向して、再び前記分波手段上の共通箇所で合波を行わせる一対の光偏向手段と、
前記分波手段の一方側及び他方側の少なくともいずれかに設けられ、前記分波手段で分波されて、前記分波手段の一方側を進行した光との間で時間遅延を与える遅延手段とを有することを特徴とする光パルス多重化ユニット。
【請求項2】
前記分波手段の一方側に、前記遅延手段をN個備え、
第1の前記遅延手段による前記実質的な光路長差をDとしたときに、前記第Nの前記遅延手段による前記実質的な光路長差が2N-1Dである請求項1に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項3】
前記各遅延手段が屈折率nの遅延素子であり、第1から第Nまでの前記各遅延素子における光の透過部位における厚みが夫々異なる請求項1又は2に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項4】
前記各遅延手段が複数のミラーを備え、第1から第Nまでの前記複数のミラー間の間隔が異なる請求項1に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項5】
前記一対の光偏向手段が平行に配置された第1ミラー及び第2ミラーである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項6】
前記光偏向手段及び前記各遅延手段が楔形プリズムからなる請求項1又は2に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項7】
前記一対の光偏向手段が一対の楔形プリズムからなる請求項1、2又は6に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項8】
ハーフミラーと、N個の屈折率nの遅延素子を有し、
前記N個の遅延素子の各々は、前記ハーフミラーの一方の側に、一端から他端に向かって配置され、且つ、互いに異なる厚みを有し、
最も小さい厚みをΔとしたとき、前記N個の遅延素子の各々の厚みが、Δ,2Δ,…,2N-1Δであることを特徴とする光パルス多重化ユニット。
【請求項9】
平行に対向配置された第1ミラーと第2ミラーを有し、
前記ハーフミラーが、前記第1ミラーと前記第2ミラーの中間位置近傍に、該前記第1ミラー及び前記第2ミラーと平行に配置され、
前記第1ミラーと前記ハーフミラーの間に、前記N個の遅延素子が配置され、
前記N個の遅延素子の各々が、平行平面板であり、且つ、該平行平面板の面の法線方向が、前記ハーフミラーの一端から他端に向かう方向と異なる角度で配置されていることを特徴とする請求項8に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項10】
平行に対向配置された第1ミラーと第2ミラーを有し、
前記ハーフミラーが、前記第1ミラーと前記第2ミラーの中間位置近傍に、該前記第1ミラー及び前記第2ミラーと平行に配置され、
前記第1ミラーと前記ハーフミラーの間に、前記N個の遅延素子が配置され、
前記N個の遅延素子の各々は、同一形状の楔形プリズムを2つ有するプリズムユニットであり、
前記プリズムユニットの各々において、前記2つの楔形プリズムは、最も小さな頂角を形成している面が互いに接触するように、重なって配置され、
前記プリズムユニットの各々は、前記接触する面の面積が互いに異なることを特徴とする請求項8に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項11】
前記ハーフミラーと平行に配置されたミラーを有し、
前記ハーフミラーを挟んで、前記ミラー側とは反対側に、前記N個の遅延素子が配置され、
前記N個の遅延素子が、夫々同一形状の楔形プリズムで構成され、
前記楔形プリズムの各々は、頂角と対向する面が、前記ハーフミラー側に位置すると共に、前記対向する面から前記ハーフミラーまでの距離が、互いに異なるように配置されていることを特徴とする請求項8に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項12】
更に別のN個の遅延素子を有し、
前記別のN個の遅延素子の各々は、前記ハーフミラーを挟んで、前記N個の遅延素子側とは反対側に、前記ハーフミラーの一端から他端に向かって、等間隔で配置され、
前記N個の遅延素子と前記別のN個の遅延素子は、夫々同一形状の楔形プリズムで構成され、
前記N個の遅延素子の楔形プリズムの各々は、最も小さな頂角を有する頂点と対向する面が、前記ハーフミラー側に位置すると共に、前記対向する面から前記ハーフミラーまでの距離が互いに異なるように配置され、
前記別のN個の遅延素子の楔形プリズムの各々は、最も小さな頂角を有する頂点と対向する面が、前記ハーフミラー側に位置すると共に、前記対向する面から前記ハーフミラーまでの距離を同じにして配置されていることを特徴とする請求項8に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項13】
前記プリズムユニットの楔形プリズムが、互いに接触する面に沿って平行移動可能であることを特徴とする請求項10に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項14】
前記ハーフミラーが、所定の肉厚を有する平行平板と、該平行平板の一方の面に設けられた半透過反射膜とで構成され、
前記第1のミラーと前記第2のミラーのうち、前記ハーフミラーの前記半透過反射膜が設けられた側に配置されたミラーが、前記ハーフミラーを構成する前記平行平板と同じ肉厚を有する平行平板と、該平行平板の前記ハーフミラー側とは反対側の面に設けられた反射膜とで構成され、
前記第1のミラーと前記第2のミラーのうち、前記ハーフミラーの前記半透過反射膜が設けられた側とは反対側に配置されたミラーが、平行平板と、該平行平板の前記ハーフミラー側の面に設けられた反射膜とで構成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項15】
前記ハーフミラーが、所定の肉厚を有する平行平板と、該平行平板の前記ミラー側の面に設けられた半透過反射膜とで構成され、
前記ミラーが、前記ハーフミラーを構成する前記平行平板と同じ肉厚を有する平行平板と、該平行平板の前記ハーフミラー側とは反対側の面に設けられた反射膜とで構成されていることを特徴とする請求項11に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の光パルス多重化ユニットと、パルス光源を有することを特徴とする光パルス発生器。
【請求項17】
入射光を分波して、透過光と反射光を生成し、
前記透過光が進行する第1の光路と前記反射光が進行する第2光路の各々で、光路長を変化させ、
前記第1の光路を通過した光と前記第2の光路を通過した光を合波して、該合波した光に時間遅延を与える方法であって、
前記第1の光路における光路長の変化量と、前記第2光路における光路長の変化量が異なることを特徴とする光パルス多重化方法。
【請求項18】
前記第1の光路で、前記透過光の反射と分波・合波を交互に行い、
前記第2の光路で、前記反射光の反射と分波・合波を交互に行うことを特徴とする請求項17に記載の光パルス多重化方法。
【請求項19】
前記第1の光路で、前記透過光の分波・合波、屈折及び反射を所定の順番で行い、
前記第2の光路で、前記反射光の分波・合波、屈折及び反射を所定の順番で行うことを特徴とする請求項17に記載の光パルス多重化方法。
【請求項20】
前記第1の光路で、前記透過光の屈折と分波・合波を交互に行い、
前記第2の光路で、前記反射光の屈折と分波・合波を交互に行うことを特徴とする請求項17に記載の光パルス多重化方法。
【請求項1】
入射光を分波して、透過光及び反射光を生成する分波手段と、
前記分波手段の一方側及び他方側に配置され、前記分波手段により分波された透過光及び反射光を夫々偏向して、再び前記分波手段上の共通箇所で合波を行わせる一対の光偏向手段と、
前記分波手段の一方側及び他方側の少なくともいずれかに設けられ、前記分波手段で分波されて、前記分波手段の一方側を進行した光との間で時間遅延を与える遅延手段とを有することを特徴とする光パルス多重化ユニット。
【請求項2】
前記分波手段の一方側に、前記遅延手段をN個備え、
第1の前記遅延手段による前記実質的な光路長差をDとしたときに、前記第Nの前記遅延手段による前記実質的な光路長差が2N-1Dである請求項1に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項3】
前記各遅延手段が屈折率nの遅延素子であり、第1から第Nまでの前記各遅延素子における光の透過部位における厚みが夫々異なる請求項1又は2に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項4】
前記各遅延手段が複数のミラーを備え、第1から第Nまでの前記複数のミラー間の間隔が異なる請求項1に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項5】
前記一対の光偏向手段が平行に配置された第1ミラー及び第2ミラーである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項6】
前記光偏向手段及び前記各遅延手段が楔形プリズムからなる請求項1又は2に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項7】
前記一対の光偏向手段が一対の楔形プリズムからなる請求項1、2又は6に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項8】
ハーフミラーと、N個の屈折率nの遅延素子を有し、
前記N個の遅延素子の各々は、前記ハーフミラーの一方の側に、一端から他端に向かって配置され、且つ、互いに異なる厚みを有し、
最も小さい厚みをΔとしたとき、前記N個の遅延素子の各々の厚みが、Δ,2Δ,…,2N-1Δであることを特徴とする光パルス多重化ユニット。
【請求項9】
平行に対向配置された第1ミラーと第2ミラーを有し、
前記ハーフミラーが、前記第1ミラーと前記第2ミラーの中間位置近傍に、該前記第1ミラー及び前記第2ミラーと平行に配置され、
前記第1ミラーと前記ハーフミラーの間に、前記N個の遅延素子が配置され、
前記N個の遅延素子の各々が、平行平面板であり、且つ、該平行平面板の面の法線方向が、前記ハーフミラーの一端から他端に向かう方向と異なる角度で配置されていることを特徴とする請求項8に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項10】
平行に対向配置された第1ミラーと第2ミラーを有し、
前記ハーフミラーが、前記第1ミラーと前記第2ミラーの中間位置近傍に、該前記第1ミラー及び前記第2ミラーと平行に配置され、
前記第1ミラーと前記ハーフミラーの間に、前記N個の遅延素子が配置され、
前記N個の遅延素子の各々は、同一形状の楔形プリズムを2つ有するプリズムユニットであり、
前記プリズムユニットの各々において、前記2つの楔形プリズムは、最も小さな頂角を形成している面が互いに接触するように、重なって配置され、
前記プリズムユニットの各々は、前記接触する面の面積が互いに異なることを特徴とする請求項8に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項11】
前記ハーフミラーと平行に配置されたミラーを有し、
前記ハーフミラーを挟んで、前記ミラー側とは反対側に、前記N個の遅延素子が配置され、
前記N個の遅延素子が、夫々同一形状の楔形プリズムで構成され、
前記楔形プリズムの各々は、頂角と対向する面が、前記ハーフミラー側に位置すると共に、前記対向する面から前記ハーフミラーまでの距離が、互いに異なるように配置されていることを特徴とする請求項8に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項12】
更に別のN個の遅延素子を有し、
前記別のN個の遅延素子の各々は、前記ハーフミラーを挟んで、前記N個の遅延素子側とは反対側に、前記ハーフミラーの一端から他端に向かって、等間隔で配置され、
前記N個の遅延素子と前記別のN個の遅延素子は、夫々同一形状の楔形プリズムで構成され、
前記N個の遅延素子の楔形プリズムの各々は、最も小さな頂角を有する頂点と対向する面が、前記ハーフミラー側に位置すると共に、前記対向する面から前記ハーフミラーまでの距離が互いに異なるように配置され、
前記別のN個の遅延素子の楔形プリズムの各々は、最も小さな頂角を有する頂点と対向する面が、前記ハーフミラー側に位置すると共に、前記対向する面から前記ハーフミラーまでの距離を同じにして配置されていることを特徴とする請求項8に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項13】
前記プリズムユニットの楔形プリズムが、互いに接触する面に沿って平行移動可能であることを特徴とする請求項10に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項14】
前記ハーフミラーが、所定の肉厚を有する平行平板と、該平行平板の一方の面に設けられた半透過反射膜とで構成され、
前記第1のミラーと前記第2のミラーのうち、前記ハーフミラーの前記半透過反射膜が設けられた側に配置されたミラーが、前記ハーフミラーを構成する前記平行平板と同じ肉厚を有する平行平板と、該平行平板の前記ハーフミラー側とは反対側の面に設けられた反射膜とで構成され、
前記第1のミラーと前記第2のミラーのうち、前記ハーフミラーの前記半透過反射膜が設けられた側とは反対側に配置されたミラーが、平行平板と、該平行平板の前記ハーフミラー側の面に設けられた反射膜とで構成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項15】
前記ハーフミラーが、所定の肉厚を有する平行平板と、該平行平板の前記ミラー側の面に設けられた半透過反射膜とで構成され、
前記ミラーが、前記ハーフミラーを構成する前記平行平板と同じ肉厚を有する平行平板と、該平行平板の前記ハーフミラー側とは反対側の面に設けられた反射膜とで構成されていることを特徴とする請求項11に記載の光パルス多重化ユニット。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の光パルス多重化ユニットと、パルス光源を有することを特徴とする光パルス発生器。
【請求項17】
入射光を分波して、透過光と反射光を生成し、
前記透過光が進行する第1の光路と前記反射光が進行する第2光路の各々で、光路長を変化させ、
前記第1の光路を通過した光と前記第2の光路を通過した光を合波して、該合波した光に時間遅延を与える方法であって、
前記第1の光路における光路長の変化量と、前記第2光路における光路長の変化量が異なることを特徴とする光パルス多重化方法。
【請求項18】
前記第1の光路で、前記透過光の反射と分波・合波を交互に行い、
前記第2の光路で、前記反射光の反射と分波・合波を交互に行うことを特徴とする請求項17に記載の光パルス多重化方法。
【請求項19】
前記第1の光路で、前記透過光の分波・合波、屈折及び反射を所定の順番で行い、
前記第2の光路で、前記反射光の分波・合波、屈折及び反射を所定の順番で行うことを特徴とする請求項17に記載の光パルス多重化方法。
【請求項20】
前記第1の光路で、前記透過光の屈折と分波・合波を交互に行い、
前記第2の光路で、前記反射光の屈折と分波・合波を交互に行うことを特徴とする請求項17に記載の光パルス多重化方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−181537(P2012−181537A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97958(P2012−97958)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【分割の表示】特願2006−82978(P2006−82978)の分割
【原出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【分割の表示】特願2006−82978(P2006−82978)の分割
【原出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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