説明

光ピックアップ及び光ディスク装置

【課題】薄型に構成しながらグレーティングの取付位置及び角度等を調整でき取付状態を保持できるようにする。
【解決手段】光ピックアップ7は、ベース20の空間20Cを上下方向に解放して薄型化すると共に、第2ホルダ34に溝部K1D及びK2Dを有する受け部K1及びK2を設け、押当材35の押当部J1及びJ2が第2ホルダ34の受け部K1及びK2とそれぞれ係合されることにより、グレーティング22が組み込まれた第1ホルダ33及び第2ホルダ34を仮固定すると共に上下方向の位置を定め、第2ホルダ34の水平方向の位置及び第1ホルダ33の回転角度がそれぞれ調整され、接着剤等によって固定されることにより、全体を薄型に構成し得ると共に、グレーティング22の取付位置及び取付角度を調整後の最適な状態に保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ピックアップ及び光ディスク装置に関し、例えば光ピックアップを搭載する光ディスク装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク装置においては、光ディスクに対して光ビームを照射することにより情報を記録し、また当該光ディスクから得られる反射光を読み取ることにより情報を再生するようになされたものが広く普及している。
【0003】
かかる光ディスク装置では、当該光ディスクの半径方向に移動し得る光ピックアップに、光ビームを出射するレーザダイオードや当該光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズ等の光学部品が取り付けられている。
【0004】
また近年では、光ディスク装置がいわゆるノート型コンピュータ等に搭載される場合等、小型化・薄型化を望まれることがある。実際には、厚さ約12.7[mm]のいわゆるスリムドライブや、厚さ約9.5[mm]のいわゆるウルトラスリムドライブが製品化されている。
【0005】
光ディスク装置では、一般に、薄型化の観点から、光ピックアップ内における光軸の進行方向を光ディスクとほぼ平行にする場合が多い。すなわち光ピックアップ内には、光ビームの光路に沿って各種光学部品が配置されることになる。
【0006】
ところで光ディスク装置では、一般に、対物レンズの焦点と光ディスクにおける所望のトラックとのずれ量を表すトラッキングエラー信号を生成し、当該トラッキングエラー信号に基づき、いわゆるトラッキング制御が行われる。
【0007】
光ピックアップのなかには、例えば3ビーム法(3スポット法)のように、グレーティングにより0次光ビーム及び±1次光ビームに回折させ、±1次光ビームを光ディスクにおける所望のトラックから所定間隔だけ離れた箇所に照射させるものがある。
【0008】
このようにグレーティングを用いる光ピックアップでは、光軸に対するグレーティングの取付位置や取付角度等を高精度に調整し、また調整した取付状態を保持する必要がある。しかしながら光ピックアップでは、一般に、部品の取付位置や取付角度等を調整する(すなわち動かす)こととその取付状態を保持する(すなわち固定する)こととが相反する性質のものであるため、その両立が困難であった。
【0009】
そこで光ピックアップのなかには、リーフスプリングを用いることにより、グレーティング(回折格子)の取付位置や取付角度等の調整を容易化し、且つ経時変化を最小限に止めるようになされたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭63−6523号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、このような光ディスク装置に対して、さらなる小型化・薄型化(例えば厚さ約7〜8[mm]程度)が望まれる場合がある。
【0012】
この場合、光ピックアップの厚さとしては、約2〜3[mm]に抑える必要がある。このため光ピックアップ枠体についても、例えば光学部品の上下部分を除去する等の対策が必要となる。
【0013】
しかしながら上述した構成の光ピックアップでは、ピックアップ枠体とリーフスプリングとにより回折格子ホルダを上下方向から挟んで位置決めをしている。このため光ピックアップは、ピックアップ枠体における上下部分を除去してしまうと回折格子を正しく位置決めできなくなってしまう、という問題があった。
【0014】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、薄型に構成しながらグレーティングの取付位置及び角度等を調整でき取付状態を保持できる光ピックアップ及び光ディスク装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる課題を解決するため本発明の光ピックアップにおいては、光ビームを出射する光源が固定されたベースと、ベースに固定され光ビームの光軸と略直交する支持面を有する第1支持体と、ベースに固定され、光軸方向に関して第1支持体との間に所定間隔を形成する第2支持体と、光ビームを回折させるグレーティングと、グレーティングを保持し支持面に当接された第1ホルダと、第1ホルダと当接し光軸を回転軸として当該第1ホルダを回転可能に保持すると共に、当該第1ホルダに当接する面と反対の非当接面に所定の立体形状でなる受け部が形成された第2ホルダと、所定の立体形状でなる押当部と所定の取付部とを有し、取付部を介して第1支持体に取り付けられ、所定の弾性力により押当部を第2ホルダの受け部に押し当てて第2ホルダの移動方向を所定の第1方向に規制する押当材とを設けるようにした。
【0016】
これにより本発明の光ピックアップは、押当部の稜部に作用する弾性力を、第2ホルダの溝部を介して第1ホルダに伝達することができると共に、当該稜部と当該溝部との係合により、第1方向と交差する方向に関して、第2ホルダの位置を定めることができる。さらに光ピックアップは、互いに当接する部品同士の摩擦力により仮固定しながら、微調整として、第1ホルダと一体にグレーティングを回転させると共に、グレーティング、第1ホルダ及び第2ホルダを第1方向に沿って移動させることができる。
【0017】
また本発明の光ディスク装置においては、光ビームを出射する光源が固定されたベースと、ベースに固定され光ビームの光軸と略直交する支持面を有する第1支持体と、ベースに固定され、光軸方向に関して第1支持体との間に所定間隔を形成する第2支持体と、光ビームを回折させるグレーティングと、グレーティングを保持し支持面に当接された第1ホルダと、第1ホルダと当接し光軸を回転軸として当該第1ホルダを回転可能に保持すると共に、当該第1ホルダに当接する面と反対の非当接面に所定の立体形状でなる受け部が形成された第2ホルダと、所定の立体形状でなる押当部と所定の取付部とを有し、取付部を介して第1支持体に取り付けられ、所定の弾性力により押当部を第2ホルダの受け部に押し当てて第2ホルダの移動方向を所定の第1方向に規制する押当材と、ベースを光ディスクの半径方向に移動させる駆動部とを設けるようにした。
【0018】
これにより本発明の光ディスク装置は、押当部の稜部に作用する弾性力を、第2ホルダの溝部を介して第1ホルダに伝達することができると共に、当該稜部と当該溝部との係合により、第1方向と交差する方向に関して、第2ホルダの位置を定めることができる。さらに光ディスク装置は、互いに当接する部品同士の摩擦力により仮固定しながら、微調整として、第1ホルダと一体にグレーティングを回転させると共に、グレーティング、第1ホルダ及び第2ホルダを第1方向に沿って移動させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、押当部の稜部に作用する弾性力を、第2ホルダの溝部を介して第1ホルダに伝達することができると共に、当該稜部と当該溝部との係合により、第1方向と交差する方向に関して、第2ホルダの位置を定めることができる。さらに本発明は、互いに当接する部品同士の摩擦力により仮固定しながら、微調整として、第1ホルダと一体にグレーティングを回転させると共に、グレーティング、第1ホルダ及び第2ホルダを第1方向に沿って移動させることができる。かくして本発明は、薄型に構成しながらグレーティングの取付位置及び角度等を調整でき取付状態を保持できる光ピックアップ及び光ディスク装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】光ディスク装置の構成(1)を示す略線図である。
【図2】光ディスク装置の構成(2)を示す略線的ブロック図である。
【図3】光ピックアップの構成(1)を示す略線的斜視図である。
【図4】光ピックアップの構成(2)を示す略線図である。
【図5】グレーティングの取付(1)の説明に供する略線的斜視図である。
【図6】第2ホルダの構成を示す略線的斜視図である。
【図7】押当材の構成を示す略線的斜視図である。
【図8】グレーティングの取付(2)の説明に供する略線図である。
【図9】従来の光ピックアップの構成(1)を示す略線図である。
【図10】従来の光ピックアップの構成(2)を示す略線図である。
【図11】他の実施の形態による第2ホルダ及び押当材の構成を示す略線的斜視図である。
【図12】他の実施の形態による第2ホルダの構成を示す略線的斜視図である。
【図13】他の実施の形態による押当材の構成を示す略線斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(光ディスク装置・光ピックアップ)
2.他の実施の形態
【0022】
<1.実施の形態>
[1−1.光ディスク装置の構成]
図1(A)及び(B)に示すように、光ディスク装置1は、全体として薄型に構成されており、DVD(Digital Versatile Disc)方式又はCD(Compact Disc)方式でなる光ディスク100を回転駆動させ、また所定の光ビームを照射し得るようになされている。因みに図1(A)は上面図を示し、図1(B)は側面図を示している。
【0023】
光ディスク装置1は、筐体部2にスピンドルモータ3が取り付けられており、当該スピンドルモータ3の出力軸にターンテーブル4が取り付けられている。ターンテーブル4は、所定のチャッキング機構により光ディスク100を固定するようになされている。
【0024】
また光ディスク装置1は、薄板状の上側カバー5及び下側カバー6の間で光ピックアップ7を光ディスク100の内周側又は外周側へ移動させ得るようになされている。
【0025】
光ピックアップ7は、可撓性のフレキシブルプリント基板8を介して、筐体部2に取り付けられた電子回路9と電気的に接続されており、移動された際にも電気的に接続された状態を維持し得るようになされている。
【0026】
ところで光ディスク装置1は、全体の厚さが約7[mm]となっている。これに伴い光ディスク装置1では、光ディスク100の下面から光ピックアップ7の下面までの距離t1が約3〜4.5[mm]に制限されており、また光ピックアップ7の上下方向の厚さを表す距離t2が約2〜3[mm]に制限されている。
【0027】
因みに、光ディスク装置1全体の厚さが約9.5[mm]のいわゆるウルトラスリムドライブの場合には、距離t1は約4.5〜6[mm]まで緩和され、距離t2は約3.3〜4.2[mm]まで緩和される。さらに、光ディスク装置1全体の厚さが約12.7[mm]のいわゆるスリムドライブの場合には、距離t1は約6.5〜8[mm]まで緩和され、距離t2は約5〜6[mm]まで緩和される。
【0028】
図2は、光ディスク装置1のブロック構成を表す。電子回路9には、光ディスク装置1全体を統括制御する制御部11、各種モータ等を駆動制御する駆動制御部12及び各種信号を用いた演算処理等を行う信号処理部13が設けられている。
【0029】
制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラム等が格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークメモリとして用いられるRAM(Random Access Memory)とによって構成されている。
【0030】
実際上制御部11は、各種プログラムを実行することにより、駆動制御部12を介してスピンドルモータ3を回転駆動させ、ターンテーブル4に装着された光ディスク100を所望の速度で回転させる。また制御部11は、駆動制御部12を介して送りモータ14を駆動させることにより、リードスクリュー14S及びスライドレール14L等に沿って光ピックアップ7を光ディスク100の内周側又は外周側へ向かう方向であるトラッキング方向に大きく移動させる。
【0031】
さらに制御部11は、駆動制御部12を介して光ピックアップ7のアクチュエータ(図示せず)を駆動制御する。これにより駆動制御部12は、対物レンズ15を光ディスク100に近接させ又は離隔させる方向であるフォーカス方向に移動させると共にトラッキング方向に細かく移動させ、当該対物レンズ15の位置調整を行う。
【0032】
実際上制御部11は、光ディスク100が装填されると、まず所定のディスク種別判定処理を行うことにより当該光ディスク100がいずれの方式であるかを判定する。その後制御部11は、このときの判定結果を基に、光ディスク100の方式に応じた各処理を行うようになされている。
【0033】
制御部11は、例えば光ディスク100に情報を記録する場合、当該情報を信号処理部13へ供給して所定の符号化処理及び変調処理等を施すことにより、当該情報に応じたレーザ制御信号を生成し、これを光ピックアップ7へ供給する。
【0034】
光ピックアップ7は、信号処理部13から供給されるレーザ制御信号に基づき、レーザダイオードから光強度が比較的大きい情報記録用の光ビームLを出射する。続いて光ピックアップ7は、位置調整された対物レンズ15を介して当該光ビームLを光ディスク100へ照射する。これにより光ピックアップ7は、当該光ディスク100に情報を記録することができる。
【0035】
また制御部11は、光ディスク100から情報を再生する場合、信号処理部13から光ピックアップ7へレーザ制御信号を供給する。これにより、光ピックアップ7のレーザダイオードは、光ディスク100に対して光強度が比較的小さい情報再生用の光ビームLを照射する。これと共に光ピックアップ7は、当該光ビームLが反射されてなる反射光ビームLRをフォトディテクタにより検出し、その検出結果に応じた検出信号Uを生成し信号処理部13へ供給する。
【0036】
信号処理部13は、検出信号Uを基に所定の演算処理を行うことによりフォーカスエラー信号SFEを算出し、これを駆動制御部12へ送出する。また信号処理部13は、検出信号を基に3ビーム法に従った演算処理を行うことによりトラッキングエラー信号STEを算出し、これを駆動制御部12へ送出する。
【0037】
駆動制御部12は、フォーカスエラー信号SFE及びトラッキングエラー信号STEを基にアクチュエータ(図示せず)を制御し、対物レンズ15のフォーカス制御及びトラッキング制御を行う。
【0038】
さらに信号処理部13は、検出信号Uを基に再生RF信号SRFを生成し、これに所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に記録されている情報を再生し得るようになされている。
【0039】
このように光ディスク装置1は、光ピックアップ7における対物レンズ15の位置調整を行った上で、当該対物レンズ15を介して光ビームLを光ディスク100へ照射することにより、情報の記録又は再生を行い得るようになされている。
【0040】
[1−2.光ピックアップの構成]
光ピックアップ7は、図3に外観図を示すように、ベース20に多数の光学部品が組み込まれることにより構成されている。また図4は、光ピックアップ7の各光学部品の配置を模式的に表している。
【0041】
2波長LD(レーザダイオード)21は、DVD方式に対応した波長約660[nm]の光ビームLD又はCD方式に対応した波長約780[nm]でなる光ビームLCを切り替えて出射し得るようになされている。以下、これらをまとめて光ビームLと呼ぶ。
【0042】
制御部11は、光ディスク100の方式を判別した上で、その判別結果に応じたレーザ制御信号を2波長LD21へ供給する。これにより2波長LD21は、光ディスク100の方式に対応した波長でなる光ビームLを出射し、グレーティング22へ入射させる。因みに光ビームLは、例えばP偏光の発散光として出射される。
【0043】
グレーティング22は、光ビームLを回折させることにより、0次の回折光でなる光ビームL0並びに±1次の回折光でなる光ビームL1p及びL1mに分離し、それぞれをプリズム23へ入射させる。
【0044】
なお光ピックアップ7内では、実際には光ビームL0並びに光ビームL1p及びL1mが互いの光軸を僅かに離隔させた状態で進行するが、いずれもほぼ同様の光路を進行する。このため図4等においては、説明の都合上、光ビームL0を光ビームLとして示し、光ビームL1p及びL1mについては表示を省略している。
【0045】
プリズム23は、入射される光ビームの偏光方向に応じて異なる割合で当該光ビームを反射又は透過する反射透過面23Sを有している。例えば反射透過面23Sは、P偏光の光ビームの一部を所定の割合で反射すると共にその残りを透過し、またS偏光の光ビームをほぼ全て反射するようになされている。
【0046】
実際上プリズム23は、光ビームLの一部を反射してモニタ光ビームLMとし、これをFPD(フロントモニタフォトディテクタ)24へ入射させる。FPD24は、モニタ光ビームLMの光量を検出し、その光量に応じたフロントモニタ信号SFMを生成して制御部11へ送出する。
【0047】
このとき制御部11は、フロントモニタ信号SFMを基に、2波長LD21から実際に出射される光ビームLの光量が所望の値となるよう、レーザ制御信号を調整する。すなわち制御部11は、フロントモニタ信号SFMを用いて光ビームLの光量をフィードバック制御する。
【0048】
またプリズム23は、光ビームLの残り部分を透過して1/4波長板25へ入射させる。1/4波長板25は、光ビームLをP偏光から例えば左円偏光に変換してコリメータレンズ26へ入射させる。
【0049】
コリメータレンズ26は、光ビームLを発散光から平行光に変換し、立上プリズム27へ照射する。立上プリズム27は、光ビームLを反射することにより、当該光ビームLの進行方向を光ディスク100と略平行な水平方向から当該光ディスク100へ向かう垂直方向、すなわち上方向(図3)へ立ち上げ、対物レンズ15へ入射させる。
【0050】
対物レンズ15は、光ビームLを集光し、光ディスク100(図2)の記録面に照射させる。このとき光ビームLの光強度が比較的大きい場合、光ディスク100の記録面には、光ビームLの照射パターンに応じた記録マークが形成され、情報として記録される。
【0051】
また光ビームLの光強度が比較的小さい場合、光ビームLは、記録面で反射されることにより反射光ビームLRとなる。このとき反射光ビームLRは、反射時に円偏光における回転方向が反転されるため右円偏光となり、さらに記録面で一度焦点を結ぶため発散光となり、元の光ビームLの光路を反対方向である下方向(図3)へ進行し、対物レンズ15へ入射される。
【0052】
反射光ビームLRは、対物レンズ15により平行光に変換され、立上プリズム27に反射されて水平方向へ進行し、コリメータレンズ26により収束光に変換され、1/4波長板25により直線偏光(S偏光)に変換され、プリズム23へ入射される。
【0053】
プリズム23は、S偏光でなる反射光ビームLRを反射透過面23Sによって反射し、SENSレンズ29へ入射させる。SENSレンズ29は、反射光ビームLRを集光し、フォトディテクタ30へ照射させる。
【0054】
フォトディテクタ30は、複数の検出領域が設けられており、各検出領域によりそれぞれ受光量に応じた検出信号Uを生成し信号処理部13(図2)へ送出する。
【0055】
このように光ピックアップ7は、制御部11の制御に基づき、2波長LD21から出射した光ビームLをグレーティング22により回折させた上で、光ディスク100に照射するようになされている。
【0056】
[1−3.グレーティングの取付]
次に、光ピックアップ7のベース20に対するグレーティング22の取付について説明する。
【0057】
[1−3−1.各部品の構成]
グレーティング22は、図5に示すように、複数の部品を介してベース20に取り付けられるようになされている。因みに図5は、図3の一部を拡大すると共に部品ごとに分解した状態を示しており、ベース20については一部分のみを示している。
【0058】
ベース20には、2波長LD21が取り付けられる箇所の近傍に、グレーティング22を取り付けるための空間20Cが設けられている。空間20Cは、上下方向に解放され、2波長LD21が取り付けられる側の側壁が第1支持体31となっており、また当該第1支持体31と対向する側壁が第2支持体32となっている。
【0059】
なお以下では、光ビームLの進行方向に沿って前方向及び後方向を定義した上で説明する。
【0060】
第1支持体31は、ベース20の一部が上方向へ延設されることにより、光ビームLの光軸と略直交するような板状に形成されると共に、略中央に設けられた孔部31Hに光ビームLを通過させるようになされている。また第1支持体31における後面31Aには、その上側部分が後ろ方向へ盛り上がることにより段差部31AEが形成されている。
【0061】
また第1支持体31の前面31Cにおける下端部分には、一部が前方向へ突出した突出部31CEが形成されている。
【0062】
第2支持体32は、第1支持体31と同様、ベース20の一部が上方向へ延設されることにより、光ビームLの光軸と略直交するような板状に形成されると共に、略中央に設けられた孔部32Hに光ビームLを通過させるようになされている。
【0063】
また第2支持体32は、その後面32Aが光ビームLの光軸と略直交する平面状に形成されている。
【0064】
かかる空間20Cには、第1支持体31及び第2支持体32の間に、第1ホルダ33、第2ホルダ34及び押当材35が組み込まれるようになされている。
【0065】
第1ホルダ33は、全体的として短い円柱状の本体部33Aを中心に構成されており、また本体部33Aの後面33AQには、当該円柱よりも短径でなり同軸の略円筒状でなる円筒部33Bが後方へ向けて延設されている。
【0066】
本体部33Aの内部には、略円盤状でなるグレーティング22が組み込まれ、当該グレーティング22を保持するようになされている。本体部33Aの前面33APは、平面状に形成されると共に、その中央にグレーティング22を組み込むため及び光ビームLを通過させるための孔部33AH(図示せず)が形成されている。また円筒部33Bは、前後方向に貫通する孔部33BHにより光ビームLを通過させるようになされている。
【0067】
第2ホルダ34は、図5及び図6(A)に示すように、第1ホルダ33の円筒部33Bよりも大きい外形でなる円板の前側に当該円板と同等の外径でなる円筒を延設したような形状となっている。
【0068】
この第2ホルダ34は、第1ホルダ33と組み合わされることを前提に設計されており、当該第2ホルダ34の内周面34Rが、第1ホルダ33における円筒部33Bの外周面33BRよりも僅かに大きくなっている。
【0069】
また第2ホルダ34における円筒部分の前面34P及び円板部分の前面34Sは、第1ホルダ33における本体部33Aの後面33AQ及び円筒部33Bの後端面33BQとそれぞれ対応するようになされている。
【0070】
さらに第2ホルダ34の後面34Qにおける上下方向の中央部分に、すなわち孔部34Hの真横であり、光ビームLが通過する際の光軸と略同等の高さとなる位置に、受け部K1及びK2が形成されている。
【0071】
図6(B)に拡大図を示すように、受け部K1は、後面34Qに水平方向へ伸びる略三角柱状の突出部K1B及びK1Cが互いに上下に隣接して配置されている。すなわち突出部K1B及びK1Cは、後面34Qから後方向へ向けて山状に突出しており、その頂上部分により稜線K1BR及びK1CRをそれぞれ形成している。
【0072】
これにより受け部K1は、突出部K1B及びK1Cの間に、すなわち稜線K1BR及びK1CRの間に、水平方向に渡って溝部K1Dが形成されている。これと同様に受け部K2には、同様の突出部K2B及びK2C(図示せず)の間に、水平方向に渡って溝部K2Dが形成されている。
【0073】
押当材35は、図5及び図7に示すように、例えばステンレス等でなる1枚の薄い金属板が折り曲げ加工されることにより、前側から見てU字を上下反転したような形状となっている。
【0074】
この押当材35は、略水平な上面部35Aを中心に構成されており、当該上面部35Aの後ろ側には、下方向へ向けて後面部35Bが延設されている。さらに当該後面部35Bの下端には、前方向へ向けて後係合部35Cが短く延設されている。
【0075】
一方上面部35Aの前側には、下方向へ向けて前面部35Dが延設されている。前面部35Dは、比較的上側の部分において、中央部分を空けるように左側の左前面部35D1及び右側の右前面部35D2に分岐されている。
【0076】
左前面部35D1及び右前面部35D2の下端部分には、それぞれ後方向へ向けて前係合部35E1及び35E2が短く延設されている。
【0077】
さらに左前面部35D1及び右前面部35D2は、上下方向における略中央となる部分が折り曲げ加工されることにより、前方向へ突出する押当部J1及びJ2がそれぞれ形成されている。
【0078】
押当部J1及びJ2は、それぞれの頂上部分に水平方向へ伸びる稜線J1R及びJ2Rを有している。
【0079】
また押当材35は、弾性材料である金属板で構成されるため、外力が加えられた場合、自然状態(すなわち図5及び図7に示す状態)に戻ろうとする復元力が作用する。
【0080】
[1−3−2.各部品の組立]
光ピックアップ7は、ベース20にグレーティング22が組み込まれる際、図8(A)〜(C)に示すように、まずベース20の第1支持体31に押当材35が取り付けられる。
【0081】
押当材35は、上面部35Aの背面が第1支持体31の上面31B(図5)に当接され、後係合部35Cが段差部31AE(図5)に係合され、前係合部35E1及び35E2がそれぞれ突出部31CE(図5)に係合される。
【0082】
このとき押当材35は、第1支持体31に対する取付位置が固定されるものの、上下中央の押当部J1及びJ2が当該第1支持体31から浮き上がるため、前後方向に弾性力を作用させ得る状態となる。
【0083】
また第1ホルダ33及び第2ホルダ34は、第1ホルダ33の円筒部33Bに第2ホルダ34が被さるように組み合わされた上で、第2支持体32と押当材35との間に挿入される。
【0084】
さらに第1ホルダ33及び第2ホルダ34は、ベース20に対する上下方向の位置が調整されることにより、受け部K1及びK2の溝部K1D及びK2Dに対し、押当部J1及びJ2の稜線J1R及びJ2Rがそれぞれ係合される。
【0085】
このとき押当材35の左前面部35D1及び右前面部35D2は、押当部J1及びJ2において後方向への外力を受け、弾性力の作用により、受け部K1及びK2に対し前方向へ向かう力を加える。
【0086】
第2ホルダ34は、受け部K1及びK2を介して受けた前方向への力を、第1ホルダ33へ印加する。これにより第1ホルダ33は、第2支持体32に押し当てられることになる。
【0087】
すなわち押当材35は、第1ホルダ33及び第2ホルダ34を一体として、第2支持体32に対し前方向に押し当てる。このとき第2支持体32は、その反作用として、第1ホルダ33に対し後方向への力を作用させることになる。
【0088】
ところで押当部J1及びJ2の稜線J1R及びJ2R並びに受け部K1及びK2の溝部K1D及びK2Dは、いずれも水平方向に延長されている。このため第1ホルダ33及び第2ホルダ34は、押当材35に対して上下方向へは移動され得ず、水平方向に移動され得る。
【0089】
因みに第2ホルダ34及び押当材35は、図8(A)に示すように、水平方向に関し、押当部J1における稜線J1Rの幅WJよりも受け部K1における溝部K1Dの幅WKが狭められている。
【0090】
これにより第2ホルダ34は、水平方向に位置調整される際に、押当部J1における頂点J1G1及びJ1G2(図7)が溝部K1Dから常にはみ出た状態となり、当該頂点J1G1及びJ1G2が当該溝部K1Dの内側面に引っかかることを防止している。
【0091】
また第1ホルダ33は、第2支持体32との間で、押当材35からの弾性力が伝達されることによる摩擦力が作用する。このため第1ホルダ33及び第2ホルダ34は、この摩擦力により、比較的強い外力が加えられたときには移動されるものの比較的弱い外力が加えられたときには移動しない、いわば仮固定された状態となる。
【0092】
さらに第2ホルダ34の内周面34Rは、第1ホルダ33における円筒部33Bの外周面33BRと当接する。また第2ホルダ34(図6(A))における円筒部分の前面34P及び円板部分の前面34Sは、第1ホルダ33における本体部33A(図5)の後面33AQ及び円筒部33Bの後端面33BQとそれぞれ当接する。
【0093】
このような当接状態により、第2ホルダ34は、第1ホルダ33に対し、光ビームLの光軸と略平行な回転軸を中心に回転することができ、また各当接部分の摩擦力により仮固定された状態となる。
【0094】
実際上光ピックアップ7は、2波長LD21から光ビームLを出射させた状態で、所定の治具等により光ビームを受光しながら、グレーティング22の調整作業が行われるようになされている。
【0095】
具体的に光ピックアップ7は、グレーティング22が組み込まれた第1ホルダ33の第2ホルダ34に対する回転角度が調整されると共に、押当材35に対する第2ホルダ34の水平方向の位置が調整される。その後第2ホルダ34及び第1ホルダ33は、仮固定された状態のまま所定の接着剤等を用いて接着固定される。
【0096】
かくして光ピックアップ7は、その組立工程において、第1ホルダ33、第2ホルダ34及び押当材35の組み合わせによりグレーティング22を仮固定しながら、当該グレーティング22の回転角度及び水平方向の位置が調整されるようになされている。
【0097】
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、光ディスク装置1の光ピックアップ7は、グレーティング22が取り付けられる際、まずベース20の第1支持体31に対し押当材35が取り付けられる。
【0098】
このとき押当材35は、上面部35Aの背面が第1支持体31の上面31Bに当接し、前係合部35E1及び35E2がそれぞれ第1支持体31の突出部31CEに係合されることにより、ベース20に対し固定される。
【0099】
次に光ピックアップ7は、グレーティング22が組み込まれた第1ホルダ33の円筒部33Bに第2ホルダ34が被さるように組み合わされ(図5)、当該第1ホルダ33及び第2ホルダ34が空間20Cにおける第2支持体32と押当材35との間に挿入される。
【0100】
第1ホルダ33及び第2ホルダ34は、受け部K1及びK2の溝部K1D及びK2Dに対し、押当部J1及びJ2の稜線J1R及びJ2Rをそれぞれ係合させるよう、ベース20に対する上下方向の位置が調整される(図8(B)及び(C))。
【0101】
続いて第1ホルダ33は、グレーティング22と一体に回転されることにより、第2ホルダ34に対する回転角度が調整される。また第2ホルダ34は、受け部K1及びK2と押当部J1及びJ2との係合状態を維持したまま、第1ホルダ33と一体に、水平方向の位置が調整される。
【0102】
このとき押当材35は、弾性力の作用により、第2ホルダ34に対し前方向へ向かう力を作用させる。これに応じて第2ホルダ34は、第1ホルダ33に対し前方向へ向かう力を作用させる。
【0103】
このため第2支持体32と第1ホルダ33との間、及び第1ホルダ33と第2ホルダ34との間には、それぞれ摩擦力が作用する。この結果押当材35は、第1ホルダ33及び第2ホルダ34をそれぞれ調整後の状態で仮固定する。
【0104】
その後光ピックアップ7は、第1ホルダ33及び第2ホルダ34が仮固定されたままの状態で所定の接着剤等により固定される。
【0105】
これにより光ピックアップ7は、第1ホルダ33に組み込まれたグレーティング22を、ベース20に対する取付位置及び取付角度が調整された状態で固定することができる。
【0106】
ここで、光ピックアップ7と対応する従来の光ピックアップ47を、図8(A)及び(B)とそれぞれ対応する図9(A)及び(B)に示す。
【0107】
光ピックアップ47は、光ピックアップ7と比較して、ベース20、第2ホルダ34及び押当材35に代わるベース50、第2ホルダ54及び押当材55がそれぞれ設けられている点が相違している。
【0108】
ベース50は、ベース20の空間20Cと対応する空間50Cの下面に底面部50Bが形成されており、その一部に第1ホルダ33及び第2ホルダ54の位置調整を行うための孔部50CHが設けられている。
【0109】
第2ホルダ54は、第2ホルダ34と対比して、受け部K1及びK2を有していない点が相違している。押当材55は、押当材35と対比して、左前面部35D1及び右前面部35D2とそれぞれ対応する左前面部55D1及び右前面部55D2を有しており、さらに前方向へ突出した前突出部55D3を有している。
【0110】
すなわち押当材55は、左前面部55D1及び右前面部55D2の押当部J1及びJ2により第2ホルダ54を前方向へ押し付け、前突出部55D3の弾性力により第2ホルダ34を下方向へ押し付ける。
【0111】
このとき第2ホルダ54は、第1ホルダ33と一体に下側の底面部50Bに押し付けられることにより、上下方向の位置が定められ、また水平方向に位置調整された上で仮固定される。
【0112】
このように従来の光ピックアップ47では、底面部50Bを用いて第2ホルダ54を位置決めしていたため、ベース50から当該底面部50Bを省略することができず、薄型化の阻害要因となっていた。
【0113】
これに対し本発明の光ピックアップ7(図8)では、第2ホルダ34に受け部K1及びK2を設けて押当部J1及びJ2と係合させている。
【0114】
これにより光ピックアップ7では、第1ホルダ33及び当該第2ホルダ34を上下方向に位置決めしながら水平方向に調整させることができ、さらに調整後の状態のまま仮固定することができる。
【0115】
このため光ピックアップ7は、ベース20における空間20Cに底面部50Bのような構造を設ける必要がなく、薄型化を図ることができる。
【0116】
また、光ピックアップ7と対応する従来の光ピックアップ67を、図4との対応部分に同一符号を付した図10に示す。
【0117】
光ピックアップ67は、2波長LD21に対応するLDチップ71、グレーティング22、プリズム23、FPD24、SENSレンズ29及びフォトディテクタ30が一体化されることにより、いわゆる集積型の集積モジュール70が構成されている。
【0118】
因みにFPD24及びフォトディテクタ30は、フレキシブルプリント基板72により配線されている。また集積モジュール70から出射された光ビームLは、ミラー73により反射された上でコリメータレンズ26、1/4波長板25及び立上プリズム27を順次介して対物レンズ15へ入射される。
【0119】
この集積モジュール70は、極めて局所的なスペースに複数の光学素子を集積してマウントしているため、ベアチップの実装設備等、高度且つ複雑な製造設備が必要となり、また集積に伴う精度等の問題が生じるおそれもある。
【0120】
これに対し光ピックアップ7(図8)は、従来の光ピックアップ47(図9)と同様の光学部品を多数利用している。
【0121】
第2ホルダ34は、従来の第2ホルダ54と対比して、受け部K1及びK2を設けるだけで良いため、例えば金型を加工するだけで、従来とほぼ同様の製造工程により比較的容易に製造することができる。
【0122】
また押当材35は、従来の押当材55と形状は相違するものの、加工の程度としては同様であるため、やはり従来とほぼ同様の製造工程により比較的容易に製造することができる。
【0123】
さらにベース20は、空間20Cの下方が完全に解放されているため、第1ホルダ33及び第2ホルダ34の水平方向に関する位置や回転角度の調整作業における作業性を低下させることがない。
【0124】
すなわち光ピックアップ7は、第2ホルダ34及び押当材35を用いることによる製造工程や調整工程が殆ど複雑化されることなく、従来の光ピックアップ47とほぼ同程度の容易さで製造及び調整されることが可能となる。
【0125】
かくして光ピックアップ7は、比較的簡易な構成により第1ホルダ33及び第2ホルダ34を仮固定しながら、グレーティング22の取付位置及び取付角度を精度良く調整し得ると共に、全体を薄型に構成することができる。
【0126】
以上の構成によれば、光ディスク装置1の光ピックアップ7は、ベース20の空間20Cを上下方向に解放して薄型化すると共に、第2ホルダ34に溝部K1D及びK2Dを有する受け部K1及びK2を設けた。光ピックアップ7は、押当材35の押当部J1及びJ2が第2ホルダ34の受け部K1及びK2とそれぞれ係合されることにより、グレーティング22が組み込まれた第1ホルダ33及び第2ホルダ34を仮固定すると共に上下方向の位置を定める。その後光ピックアップ7は、第2ホルダ34の水平方向の位置及び第1ホルダ33の回転角度がそれぞれ調整され、接着剤等によって固定される。この結果光ピックアップ7は、全体を薄型に構成し得ると共に、グレーティング22の取付位置及び取付角度を調整後の最適な状態に保持することができる。
【0127】
<2.他の実施の形態>
なお上述した実施の形態においては、第2ホルダ34に受け部K1及びK2を設け、押当材35に押当部J1及びJ2を設けるようにした場合について述べた。
【0128】
本発明はこれに限らず、例えば図5の一部と対応する図11に示すように、第2ホルダ34に押当部J1及びJ2を設けると共に、押当材35に受け部K1及びK2を設けるようにしても良い。要は、押当部J1及びJ2と受け部K1及びK2との係合により、第2ホルダ34が前方向へ押し付けられて仮固定され、且つ押当材35に対する第2ホルダ34の位置が上下方向に定められると共に水平方向へ調整され得れば良い。
【0129】
また上述した実施の形態においては、受け部K1において、略三角柱状の突出部K1B及びK1C(図6(B))を互いに上下に隣接して配置することにより溝部K1Dを形成するようにした場合について述べた。
【0130】
本発明はこれに限らず、例えば図5の一部と対応する図12に示すように、第2ホルダ34の後面34Qが溝状にえぐられたような受け部K1を形成する等しても良い。また溝の断面形状としては、例えば半円形状やU字状等であっても良い。受け部K1としては、要は水平方向に延長された溝状の形状が形成されていれば良い。受け部K2についても同様である。
【0131】
さらには、図11に示したように押当材35に受け部K1及びK2を設ける場合についても、図13に示すように、押当材35の左前面部35D1及び右前面部35D2の一部を後方向へ凹ませることにより溝部をそれぞれ設けるようにしても良い。
【0132】
さらに上述した実施の形態においては、水平方向に関し、押当部J1における稜線J1Rの幅WJよりも受け部K1における溝部K1Dの幅WKを狭めるようにした場合について述べた(図8(A))。
【0133】
本発明はこれに限らず、例えば押当部J1における頂点J1G1及びJ1G2(図7)に対し面取り加工等が施されている場合に、溝部K2Dの幅WKを稜線J1Rの幅WJと同等若しくはそれ以上としても良い。要は、頂点J1G1及びJ1G2が受け部K1に引っかかることを防止し、第2ホルダ34の水平方向に関する位置調整をスムーズに行い得れば良い。押当部J2及び受け部K2についても同様である。
【0134】
さらに上述した実施の形態においては、押当材35をステンレス等の金属材料により構成するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば銅等の種々の金属や樹脂材料により押当材35を構成するようにしても良い。要は、押当材35が、第2ホルダ34に対して弾性力を作用させ得れば良い。
【0135】
さらに上述した実施の形態においては、第2ホルダ34に対し、上下方向に関して光ビームLの光軸とほぼ同等の高さとなる位置に受け部K1を設ける場合について述べた。
【0136】
本発明はこれに限らず、第2ホルダ34に対し、例えば上下方向に関して光ビームLの光軸の上側や下側となる位置に受け部K1を設けるようにしても良い。また受け部K2については、受け部K1と結合しても良く、或いは当該受け部K1と相違する高さに配置するようにしても良い。この場合、押当材35の押当部J1及びJ2は、第2ホルダ34における受け部K1及びK2の位置と対応するよう配置されていれば良い。
【0137】
さらに上述した実施の形態においては、押当材35の前係合部35E1及び35E2を突出部31CEに係合させ、後係合部35Cを段差部31AEに係合させることにより、当該押当材35を第1支持体31に固定するようにした場合について述べた(図8)。
【0138】
本発明はこれに限らず、例えば押当材35の後係合部35Cのみを用いる等、種々の手法により当該押当材35を第1支持体31に固定するようにしても良い。
【0139】
さらに上述した実施の形態においては、第2ホルダ34の外形を略円筒状(すなわち略円柱状)とするようにした場合について述べた(図5)。本発明はこれに限らず、第2ホルダ34の外形としては、略直方体状や略6角柱状等、種々の形状としても良い。要は、内周面34Rが第1ホルダ33における円筒部33Bの外周面33BRと対応した形状に形成され、当該第1ホルダ33を回転させ得るようになされていれば良い。
【0140】
さらに上述した実施の形態においては、2種類の波長(すなわち約660[nm]及び約780[nm])の光ビームLを切り替えて出射する2波長LD21を光源として用いる場合について述べた。
【0141】
本発明はこれに限らず、光ディスク装置1が対応する光ディスク100の方式に応じて、例えば単一の波長を出射するレーザダイオードや3種類以上の波長を切り替えて出射するレーザダイオード等を光源として用いるようにしても良い。すなわち光ディスク装置1としては、DVD方式及びCD方式の光ディスク100のみに限らず、例えばさらにBD(Blu−ray Disc、登録商標)方式等の光ディスク100にも対応するようにしても良い。
【0142】
さらに上述した実施の形態においては、グレーティング22に対し発散光でなる光ビームLを入射させるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、平行光や収束光でなる光ビームLを入射させるようにしても良い。
【0143】
さらに上述した実施の形態においては、光ディスク装置1が光ディスク100に対し情報の記録処理及び再生処理の双方を行うようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば光ディスク装置1が光ディスク100から情報の再生処理のみを行うようにしても良い。
【0144】
さらに上述した実施の形態においては、ベースとしてのベース20と、第1支持体としての第1支持体31と、第2支持体としての第2支持体32と、グレーティングとしてのグレーティング22と、第1ホルダとしての第1ホルダ33と、第2ホルダとしての第2ホルダ34と、押当材としての押当材35とによって光ピックアップとしての光ピックアップ7を構成する場合について述べた。
【0145】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるベースと、第1支持体と、第2支持体と、グレーティングと、第1ホルダと、第2ホルダと、押当材とによって光ピックアップを構成するようにしても良い。
【0146】
さらに上述した実施の形態においては、ベースとしてのベース20と、第1支持体としての第1支持体31と、第2支持体としての第2支持体32と、グレーティングとしてのグレーティング22と、第1ホルダとしての第1ホルダ33と、第2ホルダとしての第2ホルダ34と、押当材としての押当材35と、駆動部としての駆動制御部12及び送りモータ14によって光ディスク装置としての光ディスク装置1を構成する場合について述べた。
【0147】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるベースと、第1支持体と、第2支持体と、グレーティングと、第1ホルダと、第2ホルダと、押当材と、駆動部とによって光ディスク装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、種々の光ディスクに情報を記録し、また種々の光ディスクから情報を再生する種々の光ディスク装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0149】
1……光ディスク装置、7……光ピックアップ、11……制御部、12……駆動制御部、13……信号処理部、14……送りモータ、21……2波長LD、22……グレーティング、23……プリズム、28……対物レンズ、30……フォトディテクタ、31……第1支持体、32……第2支持体、33……第1ホルダ、34……第2ホルダ、35……押当材、J1、J2……押当部、J1R、J2R……稜線、K1、K2……受け部、K1D、K2D……溝部、100……光ディスク、L……光ビーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを出射する光源が固定されたベースと、
上記ベースに固定され上記光ビームの光軸と略直交する支持面を有する第1支持体と、
上記ベースに固定され、上記光軸方向に関して上記第1支持体との間に所定間隔を形成する第2支持体と、
上記光ビームを回折させるグレーティングと、
上記グレーティングを保持し上記支持面に当接された第1ホルダと、
上記第1ホルダと当接し上記光軸を回転軸として当該第1ホルダを回転可能に保持すると共に、当該第1ホルダに当接する面と反対の非当接面に所定の立体形状でなる受け部が形成された第2ホルダと、
所定の立体形状でなる押当部と所定の取付部とを有し、上記取付部を介して上記第1支持体に取り付けられ、所定の弾性力により上記押当部を上記第2ホルダの上記受け部に押し当てて上記第2ホルダの移動方向を所定の第1方向に規制する押当材と
を有する光ピックアップ。
【請求項2】
上記受け部の上記立体形状及び上記押当部の上記立体形状は、
いずれか一方が他方へ向けて突出し上記第1方向に沿って稜線を形成する突出部分でなり、上記他方が上記第1方向に沿った略直線状の溝状部分でなる
請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項3】
上記第2ホルダの上記溝状部分は、
上記非当接面に、所定間隔を空けて互いの稜線が略平行となるよう突出した2本の山状部分により形成されている
請求項2に記載の光ピックアップ。
【請求項4】
上記押当材は、
所定の板状金属部材が加工されてなり、
上記突出部の上記稜線は、
上記板状金属部材が折曲加工されることにより形成されている
請求項3に記載の光ピックアップ。
【請求項5】
上記第2ホルダの上記溝状部分は、
上記第1方向に関し、上記山状部分の長さが上記突出部分における上記山状部分の長さよりも短い
請求項4に記載の光ピックアップ。
【請求項6】
上記第2ホルダの上記受け部及び上記押当材の上記押当部は、
上記光軸と略直交し上記第1方向と略平行な直交線上に配置されている
請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項7】
上記第2ホルダは、
上記光ビームの通過部分に通過孔が形成されると共に、上記非当接面における上記通過孔を挟む両側に上記受け部がそれぞれ形成されている
請求項6に記載の光ピックアップ。
【請求項8】
上記押当部は、
上記光ビームの通過部分を挟む両側に上記押当部がそれぞれ形成されている
請求項6に記載の光ピックアップ。
【請求項9】
上記光源は、発散光でなる上記光ビームを出射し、
上記ベースは、
上記発散光でなる上記光ビームを上記第1支持体及び上記第2支持体の順に通過させる
請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項10】
光ビームを出射する光源が固定されたベースと、
上記ベースに固定され上記光ビームの光軸と略直交する支持面を有する第1支持体と、
上記ベースに固定され、上記光軸方向に関して上記第1支持体との間に所定間隔を形成する第2支持体と、
上記光ビームを回折させるグレーティングと、
上記グレーティングを保持し上記支持面に当接された第1ホルダと、
上記第1ホルダと当接し上記光軸を回転軸として当該第1ホルダを回転可能に保持すると共に、当該第1ホルダに当接する面と反対の非当接面に所定の立体形状でなる受け部が形成された第2ホルダと、
所定の立体形状でなる押当部と所定の取付部とを有し、上記取付部を介して上記第1支持体に取り付けられ、所定の弾性力により上記押当部を上記第2ホルダの上記受け部に押し当てて上記第2ホルダの移動方向を所定の第1方向に規制する押当材と、
上記ベースを光ディスクの半径方向に移動させる駆動部と
を有する光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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