説明

光ピックアップ装置、再生装置

【課題】ホモダイン検波光学系の小型化。
【解決手段】従来のホモダイン検波光学系は、ホモダイン検波に用いる所定の位相差を有する信号光と参照光の各組を平行光の状態で生成後、それらを集光して受光するように構成されている。そこで、ホモダイン検波光学系における上記各組の生成系の前段に集光レンズを配置し、収束光の状態で上記各組を生成する構成として、サイズの小型化を図る。但し、収束光の状態で位相差付与を行う場合には付与すべき位相差の他に余分な位相差分布が与えられてしまう。そこで位相差分布相殺部を設け、位相差付与部を通過後の信号光と参照光に位相差分布が生じないようにする。この結果、位相差付与部に平行光の状態で信号光と参照光を入射させる必要がなくなり、上記の小型化のための構成を採ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、いわゆるホモダイン検波による信号再生を行う場合に好適な光ピックアップ装置と、当該光ピックアップ装置を備えて光記録媒体に記録された情報の再生を行う再生装置とに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2008−269680号公報
【背景技術】
【0003】
光の照射により信号の記録/再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスク記録媒体(単に光ディスクとも称する)が普及している。
【0004】
このような光ディスクに関し、検出信号(再生信号)のSNR(信号対雑音比)の低下を改善するための手法として上記特許文献1などに開示されるようなホモダイン方式(ホモダイン検波方式)が提案されている。
周知のようにホモダイン方式は、検出対象とする光(信号光)に対し、参照光としてのコヒーレントな光(DC光)を干渉させた光を検波することで、信号増幅を図る技術である。
【0005】
上記特許文献1では、信号光と参照光とを干渉させた光を検波するホモダイン方式として、それぞれその位相差が90°ずつ異なるようにされた4つの信号光・参照光の組について検波を行うようにされている。具体的には、位相差がそれぞれ0°、90°、180°、270°とされた信号光・参照光の組について、それぞれ検波を行うものである。
ここで、これら各組についての検波は、それぞれ信号光と参照光とを干渉させた光についての光強度を検出することで行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1では、これら位相差の異なる4組の信号光・参照光を生成・受光するためのホモダイン検波光学系として、無偏光回折素子203、角度選択性偏光変換素子204、偏光分離回折格子205、及び集光レンズ115による光学系を形成するものとしている(特許文献1の図1を参照)。
しかしながらこの検波光学系では、平行光の状態で4組の信号光・参照光を生成した後、これらを集光レンズ115で集光して受光するようにされている。
つまり、上記の4組を生成するための光路長と、その後にこれらを集光するための光路長とを別々に要する構成となっており、この点で、光学系のサイズが比較的大型化するものとなっている。
【0007】
本技術はかかる問題点に鑑み為されたもので、ホモダイン方式を採用する場合において、ホモダイン検波光学系のサイズの小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本技術では、光ピックアップ装置として以下のように構成することとした。
すなわち、光記録媒体からの戻り光としての信号光と、コヒーレント光としての参照光とを生成し、それらを重ね合わせて出射する光生成部を備える。
また、上記光生成部より出射された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光を集光する集光部を備える。
また、上記集光部を介した上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光を異なる方向に分光する第1の分光部を備える。
また、上記集光部を介さずに平行光の状態で上記第1の分光部により分光された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光がそれぞれ入射した場合に、その一方の信号光と参照光の組に対し波面全体に0°の位相差を与え、他方の信号光と参照光の組に対し波面全体に90°の位相差を与えるように構成された角度選択性を有する位相差付与部を備える。
また、上記集光部を介して収束光の状態で上記第1の分光部により分光された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光が上記位相差付与部に入射した場合にそれら分光された重ね合わせ光のそれぞれに生じる位相差分布を相殺するように、上記信号光と上記参照光に位相差分布を与える位相差分布相殺部を備えるようにした。
【0009】
また、本技術では再生装置として以下のように構成することとした。
つまり、光記録媒体からの戻り光としての信号光と、コヒーレント光としての参照光とを生成し、それらを重ね合わせて出射する光生成部と、
上記光生成部より出射された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光を集光する集光部と、
上記集光部を介した上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光を異なる方向に分光する第1の分光部と、
上記集光部を介さずに平行光の状態で上記第1の分光部により分光された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光がそれぞれ入射した場合に、その一方の信号光と参照光の組に対し波面全体に0°の位相差を与え、他方の信号光と参照光の組に対し波面全体に90°の位相差を与えるように構成された角度選択性を有する位相差付与部と、
上記集光部を介して収束光の状態で上記第1の分光部により分光された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光が上記位相差付与部に入射した場合にそれら分光された重ね合わせ光のそれぞれに生じる位相差分布を相殺するように、上記信号光と上記参照光に位相差分布を与える位相差分布相殺部と
を備える光ピックアップを備える。
また、上記位相差付与部により得られる上記0°の位相差を有する信号光と参照光の組と上記90°の位相差を有する信号光と参照光との組とに基づく受光信号を利用して、上記光記録媒体に記録された信号の再生を行う再生部を備えるようにした。
【0010】
上記のような位相差分布相殺部を設けることで、収束光の状態で第1の分光部により分光されて得られる信号光と参照光のそれぞれの組を位相差付与部に入射しても、当該位相差付与部を通過後のこれら信号光と参照光の組に位相差分布が生じないようにできる。つまりこれにより、位相差付与部に平行光の状態で信号光と参照光を入射させる必要がなくなり、第1の分光部の前段に対して集光レンズを配置する構成が可能となる。この結果、従来との比較で、ホモダイン検波光学系のサイズを小型化できる。
【発明の効果】
【0011】
本技術によれば、ホモダイン検波光学系を従来より小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態で再生対象とする光記録媒体の断面構造を示した図である。
【図2】実施の形態の再生装置が備える主に光学系の構成について説明するための図である。
【図3】実施の形態としての再生装置全体の内部構成について説明するための図である。
【図4】具体的な光路長サーボの手法について説明するための図である。
【図5】従来のホモダイン検波光学系の構成を示した図である。
【図6】従来のホモダイン検波光学系におけるグレーティングとウォラストンプリズムの分光方向について説明するための図である。
【図7】従来の課題解決のために見い出したホモダイン検波光学系の構成を示した図である。
【図8】本実施の形態で採用するホモダイン検波光学系におけるグレーティングとウォラストンプリズムの分光方向について説明するための図である。
【図9】平行光入射のときのグレーティングによる分光と角度選択性位相差板による位相差付与の様子を示した図である。
【図10】収束光入射のときのグレーティングによる分光と角度選択性位相差板による位相差付与の様子を示した図である。
【図11】収束光入射としたときに生じる位相差分布を相殺するために付与すべき位相差分布について説明するための図である。
【図12】位相差分布を相殺するための具体的な構成例について説明するための図である。
【図13】第2の実施の形態で用いる角度選択性位相差板について説明するための図である。
【図14】グレーティングの前段に集光レンズを配置した場合(収束光入射のとき)におけるグレーティングによる分光と角度選択性位相差板による位相差付与の様子を示した図である。
【図15】収束光入射としたときに生じる位相差分布を相殺するために付与すべき位相差分布について説明するための図である。
【図16】位相差分布を相殺するための第2の実施の形態としての構成例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。

<1.第1の実施の形態>
[1-1.再生対象とする光記録媒体]
[1-2.再生装置の構成]
[1-3.光路長サーボの具体的手法について]
[1-4.従来のホモダイン検波光学系の構成]
[1-5.本実施の形態のホモダイン検波光学系]
<2.第2の実施の形態>
<3.変形例>
【0014】
<1.第1の実施の形態>
[1-1.再生対象とする光記録媒体]

図1は、実施の形態において再生対象とする光記録媒体1の断面構造を示した図である。
光記録媒体1は、ディスク状の光記録媒体とされ、回転駆動される光記録媒体1に対するレーザ光照射が行われて記録信号の再生が行われる。なお、光記録媒体とは、光の照射により情報の再生が行われる記録媒体を総称したものである。
本例の場合、光記録媒体1は、ピット(エンボスピット)の形成により情報が記録されたいわゆるROM型(再生専用型)の光記録媒体であるとする。
【0015】
図1に示されるように光記録媒体1には、上層側から順にカバー層2、記録層(反射膜)3、基板4が形成されている。
ここで、本明細書において「上層側」とは、後述する実施の形態としての再生装置側からのレーザ光が入射する面を上面としたときの上層側を指す。つまりこの場合、光記録媒体1に対しては、カバー層2側からレーザ光が入射することになる。
【0016】
光記録媒体1において、基板4は、例えばポリカーボネートやアクリルなどの樹脂で構成され、図示するようにその上面側にはピットの形成に伴う凹凸の断面形状が与えられている。
このようにピットが形成された基板4は、例えばスタンパを用いた射出成形などにより生成される。
そして、上記凹凸形状が与えられた基板4の上面側に対して、例えば金属などによる反射膜が成膜され、これにより記録層3が形成される。
【0017】
記録層3の上層側に形成されるカバー層2は、例えば紫外線硬化樹脂をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射による硬化処理を施すことで形成されたものとなる。
カバー層2は、記録層3の保護のために設けられている。
【0018】
[1-2.再生装置の構成]

図2は、上記により説明した光記録媒体1についてホモダイン方式による信号再生を行う実施の形態としての再生装置が備える主に光学ピックアップOPの内部構成について説明するための図である。
なお図中において、光記録媒体1とスピンドルモータ(SPM)30とを除いた部分が、光学ピックアップOPとなる。
【0019】
図2において、光記録媒体1は、再生装置に装填されると、図中のスピンドルモータ30によって回転駆動される。
光学ピックアップOPは、このように回転駆動される光記録媒体1についての再生を行うためのレーザ光を照射するように構成されている。
【0020】
光学ピックアップOP内には、再生のためのレーザ光源となるレーザ(半導体レーザ)10が設けられている。
該レーザ10より出射されたレーザ光は、コリメーションレンズ11を介して平行光となるようにされた後、1/2波長板12を介して偏光ビームスプリッタ(PBS)13に入射する。
【0021】
このとき、偏光ビームスプリッタ13は、例えばP偏光を透過しS偏光を反射するように構成されているとする。その上で、上記1/2波長板12の取り付け角度(レーザ光の入射面内において光軸を中心した回転角度)は、偏光ビームスプリッタ13を透過して出力される光(P偏光成分)と反射して出力される光(S偏光成分)との比率(すなわち偏光ビームスプリッタ13による分光比)が1:1となるように調整されているとする。
【0022】
偏光ビームスプリッタ13にて反射されたレーザ光は、ビームスプリッタ(無偏光ビームスプリッタ)14に入射し、その一部が該ビームスプリッタ14を透過して1/4波長板15に導かれる。そして、該1/4波長板15を介したレーザ光は、2軸アクチュエータ17により保持された対物レンズ16を介して、光記録媒体1の記録層3に集光するようにして照射される。
【0023】
2軸アクチュエータ17は、対物レンズ16をフォーカス方向(光記録媒体1に対して接離する方向)及びトラッキング方向(光記録媒体1の半径方向に平行な方向:上記フォーカス方向とは直交関係となる方向)に変位可能に保持する。
この場合の2軸アクチュエータ17にはフォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられており、これらフォーカスコイル、トラッキングコイルにそれぞれ後述するフォーカスドライブ信号FD、トラッキングドライブ信号TDが供給されることで、対物レンズ16を上記フォーカス方向、上記トラッキング方向にそれぞれ変位させる。
【0024】
記録層3に対してレーザ光が照射されることに応じては、該記録層3からの反射光(信号光)が得られる。該反射光は、対物レンズ16→1/4波長板15を介して、ビームスプリッタ14に入射する。ビームスプリッタ14では、該反射光の一部が透過、一部が反射される。
【0025】
ここで、ビームスプリッタ14にて反射された上記反射光は、図のように集光レンズ18を介して位置制御用受光部19の受光面上に集光するようにされる。
これら集光レンズ18、位置制御用受光部19から成る光学系は、対物レンズ16のフォーカスサーボ、トラッキングサーボを行うためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号を生成するための受光系として設けられたものである。
ここで、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号については、光記録媒体1に記録された情報信号についての再生信号(RF信号)と比較してその周波数帯域が非常に低いため、検出光量が小であってもSNR(信号対ノイズ比)の悪化が抑制される。このため本例では、上記の受光系によって、エラー信号の検出用に光記録媒体1からの反射光を導き、これを独立に検出するものとしている。
なお、図示されているように、位置制御用受光部19にて得られた受光信号については、受光信号D_psと表記する。
【0026】
ビームスプリッタ14を透過した光記録媒体1からの反射光は、前述した偏光ビームスプリッタ13に入射する。
このように偏光ビームスプリッタ13に入射する反射光(復路光)は、1/4波長板15による作用と記録層3における反射時の作用とにより、その偏光方向が、レーザ10側から入射し該偏光ビームスプリッタ13にて反射された光(往路光とする)の偏光方向に対して90°異なったものとなっている。すなわち、上記反射光はP偏光で偏光ビームスプリッタ13に入射する。
このため、復路光としての上記反射光は偏光ビームスプリッタ13を透過する。
なお、以下、このように偏光ビームスプリッタ13を透過することになる光記録媒体1の記録信号を反映した反射光のことを、信号光と称する。
【0027】
また、本実施の形態の再生装置において、レーザ10より出射され偏光ビームスプリッタ13を透過したレーザ光(P偏光)は、ホモダイン方式における参照光として機能する。
偏光ビームスプリッタ13を透過した参照光は、図中の1/4波長板20を介して、アクチュエータ22により保持されたミラー21に入射する。
【0028】
アクチュエータ22は、ミラー21を、当該ミラー21に入射する参照光の光軸に平行な方向に変位可能に保持しており、図中の駆動信号Ddsにより駆動制御される。
このアクチュエータ22は、後述する光路長サーボを実現するために設けられたものとなる。
なお、アクチュエータ22としては、例えばボイスコイルモータ等の電磁方式によるものやピエゾ素子を用いたものなどを挙げることができる。
【0029】
ミラー21にて反射された参照光は、1/4波長板20を介して偏光ビームスプリッタ13に入射する。
ここで、このように偏光ビームスプリッタ13に入射する参照光(復路光)は、1/4波長板20による作用とミラー21での反射時の作用とにより、その偏光方向が、往路光としての参照光とは90°異なるものとされる(つまりS偏光となる)。従って、上記復路光としての参照光は、偏光ビームスプリッタ13にて反射されることになる。
【0030】
図中では、このように偏光ビームスプリッタ13にて反射された参照光を破線矢印により示している。
また図中では、前述のように偏光ビームスプリッタ13を透過した信号光については実線矢印により示している。
【0031】
図のように、偏光ビームスプリッタ13によっては、これら信号光と参照光とが重ね合わされた状態で同方向に出射される。具体的にこの場合、信号光と参照光とはそれらの光軸が一致するように重ね合わされた状態で同方向に出射される。
ここで、参照光は、いわゆるコヒーレント光である。
【0032】
これら偏光ビームスプリッタ13から出力される信号光及び参照光は、ホモダイン検波光学系23に入射する。
ホモダイン検波光学系23は、偏光ビームスプリッタ13から入射する信号光と参照光の重ね合わせ光に基づき、それぞれその位相差が異なるものとされる4組の信号光と参照光の組を生成し、それらの組をそれぞれ異なる位置に集光して、信号光・参照光の各組をそれぞれ対応する検出器上で光干渉させるように構成されている。
具体的に、本例の場合は、図中に光線L1、L2、L3、L4と示す4組の信号光と参照光の組を生成・集光するように構成されている。
ここで、光線L1は、位相差が0°(つまり同位相)の信号光と参照光の組、光線L2は位相差が180°の信号光と参照光の組、光線L3は位相差が90°の信号光と参照光の組、光線L4は位相差が270°の信号光と参照光の組をそれぞれ表す。
なお、このようにそれぞれの位相差が0°、90°、180°、270°となる4つの信号光と参照光の組を生成・集光するためのホモダイン検波光学系23の具体的な構成については、後に改めて説明する。
【0033】
図示するようにホモダイン検波光学系23によってそれぞれ生成された信号光と参照光の組は、第1ホモダイン検波用ディテクタPD1、第2ホモダイン検波用ディテクタPD2、第1光路長サーボ用ディテクタPD3、第2光路長サーボ用ディテクタPD4にそれぞれ集光する。
具体的に、光線L1としての、位相差=0°の信号光と参照光の組は第1ホモダイン検波用ディテクタPD1に集光し、光線L2としての位相差=180°の信号光と参照光の組は第2ホモダイン検波用ディテクタPD2に集光する。また、光線L3としての位相差=90°の信号光と参照光の組は第1光路長サーボ用ディテクタPD3に集光し、光線L4としての位相差=270°の信号光と参照光の組は第2光路長サーボ用ディテクタPD4に集光する。
【0034】
ここで、第1ホモダイン検波用ディテクタPD1による受光信号については、受光信号D_hm1と表記する。また、第2ホモダイン検波用ディテクタPD2による受光信号については受光信号D_hm2と表記する。
また、第1光路長サーボ用ディテクタPD3による受光信号については受光信号D_hm3と、第2光路長サーボ用ディテクタPD4による受光信号については受光信号D_hm4とそれぞれ表記する。
【0035】
図3は、実施の形態の再生装置全体の内部構成について説明するための図である。
なお図3において、光学ピックアップOPの内部構成については、2軸アクチュエータ17、アクチュエータ22のみを抽出して示している。
またこの図では、スピンドルモータ30の図示は省略している。
【0036】
図示するように光学ピックアップOPの外部には、図2に示した第1ホモダイン検波用ディテクタPD1による受光信号D_hm1と第2ホモダイン検波用ディテクタPD2による受光信号D_hm2とに基づき再生データを得るための構成として、第1I−V変換回路31、第2I−V変換回路32、コンパレータ33、及び再生処理部34が設けられる。
また、位置制御用受光部19による受光信号D_psに基づき2軸アクチュエータ17(対物レンズ16)についてのサーボ制御を行うための構成として、エラー信号生成回路35、サーボ回路36が設けられる。
さらに、光路長サーボを行うための構成として第3I−V変換回路37、第4I−V変換回路38、減算部39、ローパスフィルタ(LPF)40、加算部41、光路長サーボ回路42が設けられている。
【0037】
第1I−V変換回路31は、第1ホモダイン検波用ディテクタPD1からの受光信号D_hm1を入力し電流−電圧変換を行って、信号光に対して同位相の参照光が干渉した光についての再生信号を得る。
また、第2I−V変換回路32は、第2ホモダイン検波用ディテクタPD2からの受光信号D_hm2を入力し電流−電圧変換を行って、信号光に対して逆位相の参照光が干渉した光についての再生信号を得る。
【0038】
第1I−V変換回路31、第2I−V変換回路32により得られたそれぞれの再生信号は、コンパレータ33に供給される。
コンパレータ33は、第1I−V変換回路31より供給される再生信号と第2I−V変換回路32より供給される再生信号との差分信号を生成する。換言すれば、当該コンパレータ33は、「信号光に同位相の参照光が干渉した光についての再生信号」−「信号光に逆位相(位相差180°)の参照光が干渉した光についての再生信号」による演算を行うことに相当する。
このようなコンパレータ33の演算により、いわゆる差動検出が行われたことになる。当該差動検出によって、DC成分としての参照光成分が除去(相殺)され、増幅された信号光の成分を得ることができる。
【0039】
上記のようなコンパレータ33による差動検出で得られた再生信号については、第1I−V変換回路31、第2I−V変換回路32で得られる再生信号と区別する意味で、RF信号と表記する。
【0040】
ここで、ホモダイン検波で検出される受光信号D_hm1、D_hm2をそれぞれ数式により表すと、以下のようになる。
なお下記[式1][式2]においては、説明の便宜上、偏光ビームスプリッタ13から出射される信号光の電界を1/2|Esig|、参照光の電界を1/2|Eref|と表している。


D_hm1=|1/2Esig+1/2Eref2
=1/4|Esig2+1/4|Eref2+1/2|Esig||Eref|cos(Δφ)
・・・[式1]


D_hm2=|1/2Esig−1/2Eref2
=1/4|Esig2+1/4|Eref2−1/2|Esig||Eref|cos(Δφ)
・・・[式2]


これら[式1][式2]において、右辺の第1項目、第2項目はそれぞれ信号光の二乗検波信号、参照光の二乗検波信号である。そして第3項目が、ホモダインによる信号光と参照光の干渉信号(つまり抽出したい信号)である。
【0041】
上述のように受光信号D_hm1,D_hm2については差動検出が行われ、その結果は、


D_hm1−D_hm2=|Esig||Eref|cos(Δφ) ・・・[式3]


と表される。
この[式3]より、ホモダイン検波(及び差動検出)による再生動作によれば、参照光(|Eref2)などのホモダイン信号以外の成分が除去されて、参照光の強度に応じて増幅された信号光が抽出されることが分かる。
【0042】
また図3において、第3I−V変換回路37は、図2に示した第1光路長サーボ用ディテクタPD3からの受光信号D_hm3を入力し電流−電圧変換を行って、位相差が90°の信号光と参照光の組についての再生信号を得る。
また、第4I−V変換回路38は、第2光路長サーボ用ディテクタPD4からの受光信号D_hm4を入力し電流−電圧変換を行って、位相差が270°の信号光と参照光の組についての再生信号を得る。
【0043】
第3I−V変換回路37、第4I−V変換回路38により得られたそれぞれの再生信号は、コンパレータ39に供給される。
コンパレータ39は、第3I−V変換回路37より供給される再生信号と第4I−V変換回路38より供給される再生信号との差分信号を生成する。すなわち、これらの再生信号についての差動検出を行っているものであり、この結果、DC成分としての参照光成分が除去され、参照光の強度に応じて増幅された信号光の成分を得ることができる。
コンパレータ39の出力信号(差動検出結果)については、図のように信号DEoと表記する。
【0044】
ここで、受光信号D_hm3、D_hm4をそれぞれ数式により表すと、以下のようになる。


D_hm3=|1/2Esig+1/2exp(iπ/4)Eref2
=1/4|Esig2+1/4|Eref2+1/2|Esig||Eref|sin(Δφ)
・・・[式4]


D_hm4=|1/2Esig−1/2exp(iπ/4)Eref2
=1/4|Esig2+1/4|Eref2−1/2|Esig||Eref|sin(Δφ)
・・・[式5]


これら[式4][式5]において、右辺の第1項目、第2項目はそれぞれ信号光の二乗検波信号、参照光の二乗検波信号である。そして第3項目が、ホモダインによる信号光と参照光の干渉信号(つまり抽出したい信号)である。
【0045】
上述のように受光信号D_hm3,D_hm4についても差動検出が行われ、その結果は、


D_hm3−D_hm4=|Esig||Eref|sin(Δφ) ・・・[式6]


と表される。
この[式6]より、この場合も参照光(|Eref2)などのホモダイン信号以外の成分が除去されて、参照光の強度に応じて増幅された信号光が抽出されることが分かる。
【0046】
なお、光路長サーボ系についての説明は後に改めて行う。
【0047】
図3において、コンパレータ33によって得られたRF信号は、再生処理部34に供給される。
再生処理部34は、RF信号について2値化処理や記録変調符号の復号化・エラー訂正処理など、記録データを得るために必要とされる再生処理を行い、上述の記録データを再生した再生データを得る。
【0048】
また図3において、エラー信号生成回路35は、図2に示した位置検出用受光部19からの受光信号D_psに基づき、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEを生成する。
【0049】
サーボ回路36は、エラー信号生成回路35にて生成されたフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに基づき、フォーカスサーボ信号、トラッキングサーボ信号をそれぞれ生成する。そして、これらフォーカスサーボ信号、トラッキングエラー信号から生成したフォーカスドライブ信号FD、トラッキングドライブ信号TDにより、光学ピックアップOP内の2軸アクチュエータ17のフォーカスコイル、トラッキングコイルをそれぞれ駆動する。
これにより、対物レンズ16についてのフォーカスサーボループ、トラッキングサーボループが形成される。
【0050】
[1-3.光路長サーボの具体的手法について]

ここで、ホモダイン方式は、信号光に対して参照光を干渉させて信号増幅を図る手法であるため、信号光と参照光との光路長差は、可干渉距離内で且つ位相差を0とすることが望ましいものとされている。当該条件が満たされれば、ディテクタ上で検出される光強度が最大となるためである。
この点より、ホモダイン方式を採用する場合には、信号光と参照光との光路長差を上記の条件が満たされるように一定に保つために、光路長サーボを行うようにされる。
【0051】
ここで具体的に、可干渉距離内で位相差を0とするにあたっては、ディテクタ上で検出される光強度(つまり受光信号D_hm1やD_hm2の信号レベル)が最大となるようにすればよい。つまりは、「D_hm1−D_hm2」と表記することのできるRF信号の振幅が最大となるようにすればよい。
但し、サーボ制御にあたり、入力信号の最大値を目標値とするのは安定したサーボ制御を実現する上で好ましくない。
そこで本例では、光路長サーボのエラー信号としては、「D_hm1−D_hm2」によるRF信号ではなく、これに対し90°の位相差を有するようにされた信号を用いるものとしている。
【0052】
図4は、この点について説明するための図であり、図4(a)では信号光と参照光の光路長差を変化させたときのRF信号(D_hm1−D_hm2)の波形を示し、図4(b)ではRF信号に対し位相差が90°ずれたものとなる「D_hm3−D_hm4」の波形(先に示した[式6])を示している。
この図4を参照して分かるように、受光信号D_hm3と受光信号D_hm4との差動検出結果である「D_hm3−D_hm4」を光路長エラー信号として用いれば、光路長サーボ制御の目標値は「0」とすることができる。
【0053】
この点を踏まえた上で、図3に示す光路長サーボ系について説明する。
コンパレータ39で得られた「D_hm3−D_hm4」としての信号DEoは、ローパスフィルタ40を介して光路長サーボ回路41に入力される。
ここで、ローパスフィルタ40は、信号DEoとして得られる再生信号(RF信号との位相差が90°となる再生信号)の高周波成分を除去する。このローパスフィルタ40は、光路長サーボの周波数特性(サーボ帯域)がフォーカスサーボの周波数特性と同程度となるようにするために設けられる。すなわち、信号光と参照光の光路長差は主にディスクの面振れに伴って生じるので、これに応じ光路長サーボの周波数特性はフォーカスサーボの周波数特性と同程度とすることが要求されるものである。
以下、当該ローパスフィルタ40の出力を、光路長エラー信号DEと称する。
【0054】
光路長サーボ回路41は、ローパスフィルタ40からの光路長エラー信号DEを入力し、当該光路長エラー信号DEの値が、所定の目標値で一定となるようにアクチュエータ22を駆動するための駆動信号Ddsを生成する。具体的にこの場合は、光路長エラー信号DEの値が0で一定となるようにするための駆動信号Ddsを生成し、当該駆動信号Ddsに基づきアクチュエータ22を駆動制御する。
これにより、RF信号の振幅を最大とする光路長サーボ制御が実現される。
【0055】
[1-4.従来のホモダイン検波光学系の構成]

ここで、先に説明した光線L1〜L4としての、それぞれ位相差が0°、90°、180°、270°となる4つの信号光と参照光の組を生成・集光するためのホモダイン検波光学系に関して、従来のホモダイン検波光学系23’の構成を図5に示す。
なお、この図5では従来のホモダイン検波光学系23’の構成と共に、図2に示した第1ホモダイン検波用ディテクタPD1、第2ホモダイン検波用ディテクタPD2、第1光路長サーボ用ディテクタPD3、第2光路長サーボ用ディテクタPD4も併せて示している。
この図5に示す従来のホモダイン検波光学系23’は、先に挙げた特許文献1に開示されるホモダイン検波光学系(偏光位相変換分離素子114及び集光レンズ115:特許文献1の図1,2を参照)とほぼ同等の構成となる。
【0056】
この図5に示されるように、従来のホモダイン検波光学系23’は、1/2波長板44、無偏光回折格子45、角度選択性位相差板46、ウォラストンプリズム47、及び集光レンズ48を有して構成される。
先の図2を参照して理解されるように、ホモダイン検波光学系23’には、偏光ビームスプリッタ13から出射された信号光と参照光の重ね合わせ光が入射することになる。そして、このようにホモダイン検波光学系23’に入射する信号光と参照光は、平行光の状態とされ、且つ、互いの偏光方向が直交した関係にある(本例の場合、信号光はP偏光、参照光はS偏光となる)。
【0057】
1/2波長板44には、上記のように互いの偏光方向が直交した関係となる信号光・参照光が入射する。1/2波長板44は、その取り付け角度(レーザ光の入射面内において光軸を中心とした回転角度)が調整されることで、信号光と参照光の偏光方向を図のように45度回転させる。
【0058】
無偏光回折素子45は、1/2波長板44を介した平行光の状態の信号光と参照光の重ね合わせ光を分光して、2つの異なる進行方向の光線を出力する。一方は、直進する0次光、他方は所定の回折角で回折された1次光である。
【0059】
無偏光回折素子45で分光された上記2つの光線は、角度選択性位相差板46に入射する。
後の図9にて説明するように、本例の場合、角度選択性位相差板46は、例えば水晶などの複屈折性をもった一軸の異方性結晶で構成され、その結晶の光学軸の方向が上記0次光の光軸に対して所定角度だけ傾いた方向に設定される。これにより、直進する上記0次光については、信号光と参照光とに90°の位相差が与えられるものとなり、一方、上記1次光については、信号光と参照光に位相差は与えられない(位相差は変化しない)ものとなる。
【0060】
角度選択性位相差板46を介した上記0次光及び上記1次光は、ウォラストンプリズム47に入射する。
ウォラストンプリズム47は、上記0次光(位相差=90°)、上記1次光(位相差=0°)をそれぞれ分光して、計4つの光線を生成する。すなわち、上記1次光を基に、位相差=0°の信号光と参照光の組による光線と、位相差=180°の信号光と参照光の組による光線を生成する。また、上記0次光を基に、位相差=90°の信号光と参照光の組による光線と、位相差=270°の信号光と参照光の組による光線とを生成する。
【0061】
なお、上記の構成により、ウォラストンプリズム47から位相差0°、90°、180°、270°による各光線が得られる原理は、下記の参考文献1で説明される原理([0015]の記載及び図3を参照)と同様である。

・参考文献1・・・特開2009−15944号公報
【0062】
ここで、ウォラストンプリズム47による分光方向は、無偏光回折素子45による分光方向とは直交する関係となる。
図6は、この点について説明するための図であり、図6Aは無偏光回折素子45による分光方向に平行な面を切断面とした場合のホモダイン検波光学系23’(無偏光回折素子45以降)の断面図を、図6Bは無偏光回折素子45による分光方向に平行な面に対して直交する面を切断面とした場合のホモダイン検波光学系23’の断面図をそれぞれ示している。
【0063】
説明を図5に戻す。
ウォラストンプリズム47にて得られる上記4つの光線は、共に平行光の状態にある。
従来のホモダイン検波光学系23’では、このようにウォラストンプリズム47によって得た4つの平行光による光線を、集光レンズ48によって集光することで、前述した光線L1〜L4を得るようにされている。
【0064】
しかしながら、前述もしたようにこのような構成は、上記の位相差による4組の光線を生成するための光路長と、その後にこれらを集光するための光路長とを別々に要するものとなっており、その分、光学系のサイズが大型化してしまうという問題がある。
【0065】
[1-5.本実施の形態のホモダイン検波光学系]

そこで本発明者らは、上記問題点の解決を図るべく、図7に示すようなホモダイン検波光学系23''の構成とすることを見い出した。
なお以下の説明において、既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
この図7に示すように、ホモダイン検波光学系23''では、図2に示した偏光ビームスプリッタ13より平行光の状態で入射する信号光と参照光の重ね合わせ光について、先ずは1/2波長板44によりその偏光方向(信号光と参照光の偏光方向)を45度回転させる点は従来の場合と同様となる。
その上でこの場合は、1/2波長板44を介した信号光と参照光の重ね合わせ光を、集光レンズ48により収束光に変換するものとしている。
そして、このように収束光に変換された信号光と参照光の重ね合わせ光を、無偏光回折素子45により分光し、さらに角度選択性位相差板46に入射させた上で、ウォラストンプリズム47により分光して各ディテクタPDに集光するものとしている。
ウォラストンプリズム47からは、収束光の状態による光線L1〜L4が出射され、これらが、それぞれ前述した対応関係によりディテクタPD1〜PD4の何れか1つに受光される。
なお、各ディテクタPD上では、それぞれ信号光と参照光との干渉が起こり、その光強度が検出されることになる。
【0067】
確認のため、図8に、ホモダイン検波光学系23''における無偏光回折素子45とウォラストンプリズム47による分光の様子を示しておく。
図8Aは無偏光回折素子45による分光方向に平行な面を切断面とした場合のホモダイン検波光学系23''(集光レンズ48以降)の断面図を、図6Bは無偏光回折素子45による分光方向に平行な面に対して直交する面を切断面とした場合のホモダイン検波光学系23''の断面図をそれぞれ示すものである。
このように、ホモダイン検波光学系23''においても、無偏光回折素子45による分光方向とウォラストンプリズム47による分光方向とは直交関係となる。
【0068】
上記のように集光レンズ48で収束光とした後の光線を分光するようにしたホモダイン検波光学系23''によれば、従来のホモダイン検波光学系23’のように、平行光の状態で4組の光線を分光するための光路長は不要とできるので、その分、ホモダイン検波光学系のサイズを小型化することができる。
例えば一例として、レーザ波長λ=405nm、ビーム径φ=3mm、集光レンズ48の焦点距離F及び開口数NAがF=17.5mm、NA=0.09の条件下において、光線L1〜L4が適切に対応するディテクタPD上に集光するように光学系を設計した場合の従来のホモダイン検波光学系23’の全長(1/2波長板44〜ディテクタPD間の距離)は44mm程度であった。これに対し、同条件下における図7に示すホモダイン検波光学系23''の全長は26mm程度となる。すなわち、従来比でおよそ1/2程度にホモダイン検波光学系のサイズを抑えることができる。
なお、上記設計例において、使用した各素子の厚さは、従来・本例共に1/2波長板44=1mm、無偏光回折素子45=1mm、角度選択性位相差板46=0.4mm、ウォラストンプリズム47=6mm、集光レンズ48=4mmであった。
【0069】
但し、先の図2にて説明したままの光学ピックアップOPの構成により、ホモダイン検波光学系23を単に図7で説明したホモダイン検波光学系23''とした場合には、以下のような問題が生じることとなる。
【0070】
先ずは図9により、従来のホモダイン検波光学系23’(平行光入射のとき)における、無偏光回折素子45による分光と角度選択性位相差板46による位相差付与の様子について説明する。
先ず前提として、この場合、無偏光回折素子45に入射する信号光と参照光の重ね合わせ光は、平行光の状態でかつその光束内における波面の位相差は全面で0°となる。なお図示もしているように、この場合の「波面」とは、光線の進行方向に対し垂直な面でみた波面を意味するものである。
平行光の状態の信号光と参照光の重ね合わせ光の光束が無偏光回折素子45を介することで、角度選択性位相差板46には、直進する0次光(図中、実線矢印)と、直進方向から所定角度だけ傾いた1次光(破線矢印)とが平行光の状態で入射することになる。
ここで本例の場合、角度選択性位相差板46は、例えば水晶などの複屈折性をもった一軸の異方性結晶で構成される。
【0071】
ここで、図中に示すように、本実施の形態では、角度選択性位相差板46の結晶光学軸の方向は、無偏光回折素子45から入射する0次光の光軸から傾けられた方向に設定されることを前提としている。つまりこのような結晶光学軸の設定により、前述のように、無偏光回折素子45による0次光(直進)には角度選択性位相差板46を通過後に90°の位相差(信号光と参照光の位相差)を与え、直進方向から所定角度傾いて入射する1次光に対しては位相差を与えないようにすることができる。
【0072】
このように角度選択性位相差板46は、無偏光回折素子45からの0次光に対して90°の位相差を与え、1次光に対しては位相差を付与しないように設計されているものである。具体的に、この場合における角度選択性位相差板46は、当該角度選択性位相差板46を介した後の上記0次光と上記1次光として、図のようにそれらの光束内における同じ位置の位相差の差(信号光と参照光の位相差の差)が等しく90°となるように設計されているものである。
【0073】
図10は、ホモダイン検波光学系23''(収束光入射のとき)における無偏光回折素子45による分光と角度選択性位相差板46による位相差付与の様子を示した図である。
先ず、この場合も、無偏光回折素子45に入射する信号光と参照光の重ね合わせ光(この場合は集光レンズ48を介して収束光の状態となっている)の位相差は、光束内の全面において等しく0°である。
ホモダイン検波光学系23''の場合は、無偏光回折素子45からの0次光(実線)と1次光(破線)とが収束光の状態で角度選択性位相差板46に入射することになる。
なおこの場合、集光レンズ48による収束角は、先の設計例(F=17.5mm、NA=0.09)によると図のように5°程度となる。
【0074】
但し、角度選択性位相差板46は、前述のように、無偏光回折素子45より平行光の状態の0次光と1次光とが入射したときに、0次光に90°の位相差を与え、1次光には位相差を与えないように設計されている。
従って、上記のように角度選択性位相差板46に収束光の状態の0次光と1次光とが入射した場合には、角度選択性位相差板46を介した後のこれら0次光と1次光に、図のような位相差分布が与えられてしまうことになる。具体的に、角度選択性位相差板46の結晶光学軸は、0次光の光軸から傾いた方向に設定されているので、この場合の0次光と1次光の波面には、当該結晶光学軸の傾きに応じた角度で傾斜する態様の位相差分布が与えることになる。
この場合、1次光の波面の位相差分布の態様としては、図のようにその中心高さ位置の位相差は0°となるが、当該中心高さ位置から上方の高さ位置となるに従って位相差の値が+180°を上限として徐々に大となり、上記中心高さ位置から下方の高さ位置となるに従って位相差の値が−180°を下限として徐々に小となる。
一方、0次光の位相差分布の態様としては、その中心高さ位置の位相差は90°となるが、当該中心高さ位置から上方の位置となるに従って位相差の値が+270°を上限として徐々に大となり、上記中心高さ位置から下方の位置となるに従って位相差の値が−90°を下限として徐々に小となる。
なお確認のために述べておくと、これら位相差分布の具体的な上限・下限の数値(180°、−180°、270°、−90°)は、前述の従来の設計例とした場合のものである。換言すれば、これらの数値は設計により異なるものとなる。
【0075】
上記のような位相差分布が生じると、0次光を基に生成される光線L1(位相差=0°)と光線L2(位相差=180°)とに基づくホモダイン検波を行った場合に、ディテクタPD上で信号光と参照光の干渉光が受光された段階で信号の打ち消し合いが生じ、再生信号RFの振幅が著しく低下してしまうという問題が生じる。
また1次光を基に生成される光線L3(位相差=90°)と光線L4(位相差=270°)とに基づき行われるホモダイン検波についても、同様に再生信号振幅の著しい低下を招いてしまい、光路長サーボを適切に行うことが非常に困難となってしまう。
【0076】
そこで本実施の形態では、上記のように角度選択性位相差板46を通過後の0次光と1次光とに生じる位相差分布を相殺するための構成を付加する。
ここで、図10に示したような位相差分布を相殺するためには、図11に示すように、角度選択性位相差板46に入射する前の段階の光線に対し、逆の位相差分布を付与するものとすればよい。具体的に、先の設計例の場合には、図10に示した位相差分布の態様としては0次光、1次光共に上方から下方にかけて+180°〜−180°の位相差が与えられるものとなっているので、これを相殺するための位相差分布としては、図11に示すように、上方から下方にかけて−180°〜+180°の位相差分布を与えるものとすればよい。これは、波面の形状を模式化して例えれば、「/」の形状として表すことのできる位相差分布を相殺するために、「\」の形状として表すことのできる位相差分布を付与するものと表現できる。
これにより、角度選択性位相差板46を通過後の1次光、0次光として、図のようにそれぞれ全面で0°、全面で90°の均一な位相差が付与されるようにできる。つまりこの結果、図7に示した小型化を意図した構成を採る場合に問題となる、ホモダイン再生信号の振幅低下の防止を図ることができる。
【0077】
図12は、位相差分布を相殺するための具体的な構成例について説明するための図である。
図12Aは、位相差分布の相殺に角度選択性位相差板を用いる構成例である。
具体的にこの構成例では、集光レンズ48と無偏光回折素子45との間に、角度選択性位相差板49を挿入するものとしている。この角度選択性位相差板49としては、角度選択性位相差板46と同様、例えば水晶などの複屈折性をもった一軸の異方性結晶で構成されたものを用いればよい。
このような角度選択性位相差板49として、集光レンズ48から入射する信号光と参照光の重ね合わせ光に前述の相殺のための位相差分布(本例の場合は−180°〜+180°)を与えるように設計されたものを用いることで、角度選択性位相差板46を通過後の0次光、1次光のそれぞれについて、位相差が全面で均一となるようにすることができる。この場合、図のように角度選択性位相差板49の結晶光学軸の向きは、角度選択性位相差板46の結晶光学軸の向きに対し逆向きとなる。
なお確認のために述べておくと、この場合、図2に示したホモダイン検波光学系23としては、図7に示したホモダイン検波光学系23''に対して、集光レンズ48と無偏光回折素子45との間に角度選択性位相差板49を挿入したものを設けることになる。
【0078】
また図12Bは、参照光反射ミラーとしてのミラー21を傾斜配置する構成例である。
ミラー21を傾斜配置することで、偏光ビームスプリッタ13から出射され集光レンズ48に入射する参照光の波面を所定角度だけ傾けることができる。なお、ここで言う「傾斜」とは、参照光の光軸に対して直交する状態を無傾斜としたときの傾斜を意味する。
このように波面を傾斜させた参照光と、波面が傾斜されていない信号光との位相差分布が、先に説明した相殺のための位相差分布(本例の場合は−180°〜+180°)となるようにミラー21の傾斜角度を設定する。これにより、角度選択性位相差板46を通過後の0次光、1次光それぞれの位相差を全面で均一とできる。
なおこの場合、図2に示したホモダイン検波光学系23の構成は、図7にて説明したホモダイン検波光学系23''と同様でよい。
【0079】
また図12Cは、集光レンズ48の前段にて相殺のための位相差分布を与える構成例である。
具体的に、この構成例では、1/2波長板44と集光レンズ48との間に、複合プリズム50を配置するものとしている。この場合、複合プリズム50は、ガラス(図中白抜き部分)と、先の角度選択性位相差板46と同様に複屈折性をもった一軸性結晶(図中斜線部)とを貼り合わせて構成されたものとなる。
この複合プリズム50を通過後の信号光と参照光との位相差分布として、先に説明した相殺のための位相差分布(−180°〜+180°)が付与されるように当該複合プリズム50を設計することで、角度選択性位相差板46を通過後の0次光、1次光それぞれの位相差を全面で均一とできる。
なおこの場合も、図2に示したホモダイン検波光学系23の構成は、図7にて説明したホモダイン検波光学系23''と同様でよい。
【0080】
なお、上記では、平行光の状態の信号光と参照光とに上記相殺のための位相差分布を与えるにあたり、複合プリズム50を用いる場合を例示したが、これに代えて、集光レンズ48に入射する参照光の波面を所定角度だけ傾けるように設計したウォラストンプリズムや、複屈折性をもった液晶素子、或いはフォトニック結晶を用いることによっても、同様の位相差分布を与えることができる。
【0081】
<2.第2の実施の形態>

第2の実施の形態は、無偏光回折素子45からの出射光に対し、0次光の光軸に平行な方向の結晶光学軸を有する角度選択性位相差板(角度選択性位相差板51)により位相差を付与する場合に対応した構成を提案するものである。
【0082】
図13は、角度選択性位相差板51について説明するための図である。
図示するように角度選択性位相差板51は、無偏光回折素子45から入射する0次光(実線)の光軸に平行な方向の結晶光学軸を有する。
第2の実施の形態で用いる角度選択性位相差板51は、この図に示すように平行光の状態の0次光と1次光とが入射したときに、0次光に対して90°の位相差を与え、1次光に対しては位相差を付与しないように設計されたものとなる。
この場合も、無偏光回折素子45に入射する信号光と参照光の位相差は全面で0°であるので、角度選択性位相差板51は、当該角度選択性位相差板51を介した後の上記0次光と上記1次光として、それらの光束内における同じ位置の位相差の差(信号光と参照光の位相差の差)が等しく90°となるように設計されたものとなる。
【0083】
図14は、無偏光回折素子45の前段に集光レンズ48を配置した場合における無偏光回折素子45による分光と角度選択性位相差板51による位相差付与の様子を示している。
角度選択性位相差板51に対し、無偏光回折素子45より収束光の状態で0次光と1次光とが入射されたときは、図のように、当該角度選択性位相差板51を通過後の0次光、1次光にはそれぞれ同心円状の位相差分布が与えられてしまう。具体的に、1次光には、その中心が位相差=0°となり、中心から外周となるに従って位相差の値が−180°を下限として徐々に低下する態様の位相差分布が与えられてしまう。また0次光には、その中心が位相差=+90°となり、中心から外周となるに従って位相差の値が−90°を下限として徐々に低下する態様の位相差分布が与えられてしまう。
このように0次光の光軸と平行な方向の結晶光学軸を有する角度選択性位相差板51を用いる場合には、当該角度選択性位相差板51を通過後の0次光、1次光に対して、本来付与されるべき位相差の他に、光束の中心から外周にかけて位相差=0°〜−180°となる同心円状の位相差分布が与えられてしまうことになる。
なおこの場合の位相差分布の下限値についても、その具体的な数値は設計により異なるものである。上記の数値は、第1の実施の形態で例示したものと同様の設計例(λ=405nm、φ=3mm、F=17.5mm、NA=0.09の条件下で光線L1〜L4が適切に対応するディテクタPD上に集光するように光学系を設計した場合)におけるものである。
【0084】
このような位相差分布を相殺するためには、図15に示すように、角度選択性位相差板51に入射前の段階の信号光と参照光の光線に対し逆の位相差分布を与えればよい。具体的にこの場合は、その光束の中心から外周にかけて位相差=0°〜+180°となる同心円状の位相差分布を与えるものとすればよい。
これにより、角度選択性位相差板51を通過後の1次光、0次光の位相差分布として、それぞれ図のように全面で位相差=0°、全面で位相差=90°となる適正な位相差分布が得られるようにできる。
【0085】
図16は、上記のような位相差分布を相殺するための第2の実施の形態としての構成例について説明するための図である。
この図16に示す構成例は、ミラー21に照射される参照光をデフォーカスさせる、すなわち参照光の波面を略球面状に変形させることで、集光レンズ48に入射する信号光と参照光とに前述の相殺のための位相差分布を与えるものである。
具体的にこの場合は、1/4波長板20とミラー21との間に集光レンズ52を配置し、当該集光レンズ52によって、ミラー21に照射される参照光をデフォーカスさせるものとしている。
このときのデフォーカス量を、集光レンズ48に入射する信号光と参照光に前述の相殺のための位相差分布が与えられるように設定する。すなわち本例の場合は、光束中心から外周にかけて位相差=0°〜+180°となる同心円状の位相差分布が得られるように設定する。
これにより、角度選択性位相差板51を通過後の0次光、1次光それぞれの位相差を全面で均一とできる。
なおこの場合、図2に示したホモダイン検波光学系23の構成は、図7にて説明したホモダイン検波光学系23''と同様(但し、角度選択性位相差板46でなく角度選択性位相差板51が設けられる点は異なる)となる。
【0086】
このような第2の実施の形態によっても、ホモダイン検波光学系のサイズを従来より小型化することができる。
【0087】
なお第2の実施の形態において、参照光をデフォーカスさせる(波面を略球面に変形させる)ための構成としては、集光レンズ48以外にも、例えば液晶素子などで実現することもできる。
【0088】
<3.変形例>

以上、本技術に係る各実施の形態について説明したが、本技術としてはこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えば光学系の構成は、実際の実施形態に応じて適宜最適とされる構成が採られればよく、これまでで説明した構成に限定されるべきものではない。
【0089】
また、これまでの説明では、受光信号D_hm3、D_hm4を用いた光路長サーボを行うことを前提としたので、記録信号の再生を受光信号D_hm1、D_hm2のみを用いて行うものとしたが、記録信号の再生は、例えば特許文献1などに記載されるように、受光信号D_hm1〜D_hm4の4信号を用いたいわゆる位相ダイバーシティ方式で行うようにすることもできる。具体的には、D_hm1−D_hm2、D_hm3−D_hm4をそれぞれ計算した上で、それらの二乗和を再生信号とするものである。
【0090】
また、再生対象とする光記録媒体については、ROM型の光記録媒体を例示したが、本技術は、光記録媒体一般に広く好適に適用可能なものであり、もちろん、記録可能型の光記録媒体についての信号再生にも好適に適用できる。
【0091】
また、本技術は、以下に示す構成とすることもできる。
(1)
光記録媒体からの戻り光としての信号光と、コヒーレント光としての参照光とを生成し、それらを重ね合わせて出射する光生成部と、
上記光生成部より出射された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光を集光する集光部と、
上記集光部を介した上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光を異なる方向に分光する第1の分光部と、
上記集光部を介さずに平行光の状態で上記第1の分光部により分光された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光がそれぞれ入射した場合に、その一方の信号光と参照光の組に対し波面全体に0°の位相差を与え、他方の信号光と参照光の組に対し波面全体に90°の位相差を与えるように構成された角度選択性を有する位相差付与部と、
上記集光部を介して収束光の状態で上記第1の分光部により分光された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光が上記位相差付与部に入射した場合にそれら分光された重ね合わせ光のそれぞれに生じる位相差分布を相殺するように、上記信号光と上記参照光に位相差分布を与える位相差分布相殺部と
を備える光ピックアップ装置。
(2)
上記光生成部は、互いの偏光方向が直交関係となる上記信号光と上記参照光とを出射する上記(1)に記載の光ピックアップ装置。
(3)
上記位相差付与部により得られる上記0°の位相差を有する信号光と参照光の組と上記90°の位相差を有する信号光と参照光の組とを分光して、それぞれの位相差が0°、90°、180°、270°となる信号光と参照光の組を得る第2の分光部をさらに備える
上記(1)又は(2)に記載の光ピックアップ装置。
(4)
上記位相差付与部は、
位相差板で構成され、その結晶光学軸の方向が、上記第1の分光部による0次光の光軸から傾いた方向とされる
上記(1)〜(3)に記載の光ピックアップ装置。
(5)
上記位相差分布相殺部は、
上記集光部と上記第1の分光部との間に配置された角度選択性位相差板である
上記(4)に記載の光ピックアップ装置。
(6)
上記光生成部は、
同一光源より出射された光を2方向に分光し、その一方を上記参照光とし、他方を上記光記録媒体に照射してその戻り光を上記信号光とすると共に、上記参照光を反射ミラーで反射させて上記信号光と重ね合わせて出射するように構成されており、
上記位相差分布相殺部は、
上記参照光の光軸に対して傾斜配置された上記反射ミラーとされる
上記(4)に記載の光ピックアップ装置。
(7)
上記位相差分布相殺部は、
上記集光部よりも前段に配置されて、平行光による上記信号光と上記参照光との重ね合わせ光に対して位相差分布を与える
上記(4)に記載の光ピックアップ装置。
(8)
上記位相差分布相殺部は、
複合プリズム、液晶素子、ウォラストンプリズム、フォトニック結晶の何れかで構成される
上記(7)に記載の光ピックアップ装置。
(9)
上記位相差付与部は、
位相差板で構成され、その結晶光学軸の方向が、上記第1の分光部による0次光の光軸に平行な方向とされる
上記(1)〜(3)に記載の光ピックアップ装置。
(10)
上記位相差分布相殺部は、上記参照光の波面を略球面状に変化させて上記位相差分布を与える
上記(9)に記載の光ピックアップ装置。
(11)
上記光生成部は、
同一光源より出射された光を2方向に分光し、その一方を上記参照光とし、他方を上記光記録媒体に照射してその戻り光を上記信号光とすると共に、上記参照光を反射ミラーで反射させて上記信号光と重ね合わせて出射するように構成されており、
上記位相差分布相殺部は、
上記反射ミラーに照射される上記参照光をデフォーカスさせることで上記参照光の波面を略球面状に変化させる
上記(10)に記載の光ピックアップ装置。
(12)
上記位相差分布相殺部は液晶素子で構成される上記(10)に記載の光ピックアップ装置。
(13)
光記録媒体からの戻り光としての信号光と、コヒーレント光としての参照光とを生成し、それらを重ね合わせて出射する光生成部と、
上記光生成部より出射された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光を集光する集光部と、
上記集光部を介した上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光を異なる方向に分光する第1の分光部と、
上記集光部を介さずに平行光の状態で上記第1の分光部により分光された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光がそれぞれ入射した場合に、その一方の信号光と参照光の組に対し波面全体に0°の位相差を与え、他方の信号光と参照光の組に対し波面全体に90°の位相差を与えるように構成された角度選択性を有する位相差付与部と、
上記集光部を介して収束光の状態で上記第1の分光部により分光された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光が上記位相差付与部に入射した場合にそれら分光された重ね合わせ光のそれぞれに生じる位相差分布を相殺するように、上記信号光と上記参照光に位相差分布を与える位相差分布相殺部と
を備える光ピックアップを備えると共に、
上記位相差付与部により得られる上記0°の位相差を有する上記信号光と上記参照光の組と上記90°の位相差を有する上記信号光と上記参照光との組とに基づく受光信号を利用して、上記光記録媒体に記録された信号の再生を行う再生部と
を備える再生装置。
【符号の説明】
【0092】
1 光記録媒体、2 カバー層、3 記録層、4 基板、10 レーザ、11 コリメーションレンズ、12 1/2波長板、13 偏光ビームスプリッタ、14 ビームスプリッタ、15,20 1/4波長板、16 対物レンズ、17 2軸アクチュエータ、18,48,52 集光レンズ、19 位置制御用受光部、21 ミラー、22 アクチュエータ、23,23’,23'' ホモダイン検波光学系、PD1 第1ホモダイン検波用ディテクタ、PD2 第2ホモダイン検波用ディテクタ、PD3 第1光路長サーボ用ディテクタ、PD4 第2光路長サーボ用ディテクタ、OP 光学ピックアップ、30 スピンドルモータ(SPM)、31 第1I−V変換回路、32 第2I−V変換回路、33,39 コンパレータ、34 再生処理部、35 エラー信号生成回路、36 サーボ回路、37 第3I−V変換回路、38 第4I−V変換回路、40 ローパスフィルタ(LPF)、41 光路長サーボ回路、44 1/2波長板、45 無偏光回折素子、46,49,51 角度選択性位相差板、47 ウォラストンプリズム、50 複合プリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光記録媒体からの戻り光としての信号光と、コヒーレント光としての参照光とを生成し、それらを重ね合わせて出射する光生成部と、
上記光生成部より出射された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光を集光する集光部と、
上記集光部を介した上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光を異なる方向に分光する第1の分光部と、
上記集光部を介さずに平行光の状態で上記第1の分光部により分光された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光がそれぞれ入射した場合に、その一方の信号光と参照光の組に対し波面全体に0°の位相差を与え、他方の信号光と参照光の組に対し波面全体に90°の位相差を与えるように構成された角度選択性を有する位相差付与部と、
上記集光部を介して収束光の状態で上記第1の分光部により分光された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光が上記位相差付与部に入射した場合にそれら分光された重ね合わせ光のそれぞれに生じる位相差分布を相殺するように、上記信号光と上記参照光に位相差分布を与える位相差分布相殺部と
を備える光ピックアップ装置。
【請求項2】
上記光生成部は、互いの偏光方向が直交関係となる上記信号光と上記参照光とを出射する請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
上記位相差付与部により得られる上記0°の位相差を有する信号光と参照光の組と上記90°の位相差を有する信号光と参照光の組とを分光して、それぞれの位相差が0°、90°、180°、270°となる信号光と参照光の組を得る第2の分光部をさらに備える
請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
上記位相差付与部は、
位相差板で構成され、その結晶光学軸の方向が、上記第1の分光部による0次光の光軸から傾いた方向とされる
請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
上記位相差分布相殺部は、
上記集光部と上記第1の分光部との間に配置された角度選択性位相差板である
請求項4に記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
上記光生成部は、
同一光源より出射された光を2方向に分光し、その一方を上記参照光とし、他方を上記光記録媒体に照射してその戻り光を上記信号光とすると共に、上記参照光を反射ミラーで反射させて上記信号光と重ね合わせて出射するように構成されており、
上記位相差分布相殺部は、
上記参照光の光軸に対して傾斜配置された上記反射ミラーとされる
請求項4に記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
上記位相差分布相殺部は、
上記集光部よりも前段に配置されて、平行光による上記信号光と上記参照光との重ね合わせ光に対して位相差分布を与える
請求項4に記載の光ピックアップ装置。
【請求項8】
上記位相差分布相殺部は、
複合プリズム、液晶素子、ウォラストンプリズム、フォトニック結晶の何れかで構成される
請求項7に記載の光ピックアップ装置。
【請求項9】
上記位相差付与部は、
位相差板で構成され、その結晶光学軸の方向が、上記第1の分光部による0次光の光軸に平行な方向とされる
請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項10】
上記位相差分布相殺部は、上記参照光の波面を略球面状に変化させて上記位相差分布を与える
請求項9に記載の光ピックアップ装置。
【請求項11】
上記光生成部は、
同一光源より出射された光を2方向に分光し、その一方を上記参照光とし、他方を上記光記録媒体に照射してその戻り光を上記信号光とすると共に、上記参照光を反射ミラーで反射させて上記信号光と重ね合わせて出射するように構成されており、
上記位相差分布相殺部は、
上記反射ミラーに照射される上記参照光をデフォーカスさせることで上記参照光の波面を略球面状に変化させる
請求項10に記載の光ピックアップ装置。
【請求項12】
上記位相差分布相殺部は液晶素子で構成される請求項10に記載の光ピックアップ装置。
【請求項13】
光記録媒体からの戻り光としての信号光と、コヒーレント光としての参照光とを生成し、それらを重ね合わせて出射する光生成部と、
上記光生成部より出射された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光を集光する集光部と、
上記集光部を介した上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光を異なる方向に分光する第1の分光部と、
上記集光部を介さずに平行光の状態で上記第1の分光部により分光された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光がそれぞれ入射した場合に、その一方の信号光と参照光の組に対し波面全体に0°の位相差を与え、他方の信号光と参照光の組に対し波面全体に90°の位相差を与えるように構成された角度選択性を有する位相差付与部と、
上記集光部を介して収束光の状態で上記第1の分光部により分光された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光が上記位相差付与部に入射した場合にそれら分光された重ね合わせ光のそれぞれに生じる位相差分布を相殺するように、上記信号光と上記参照光に位相差分布を与える位相差分布相殺部と
を備える光ピックアップを備えると共に、
上記位相差付与部により得られる上記0°の位相差を有する上記信号光と上記参照光の組と上記90°の位相差を有する上記信号光と上記参照光との組とに基づく受光信号を利用して、上記光記録媒体に記録された信号の再生を行う再生部と
を備える再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図12】
image rotate

【図16】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−33572(P2013−33572A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169962(P2011−169962)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】