説明

光ピックアップ装置、集積回路および光ピックアップ装置のレーザ出力制御方法

【課題】 単層および多層の光ディスクに応じて可変抵抗をそれぞれ調整することなく、バックモニタ用光検出器を用いて多層の光ディスクの再生に対応する。
【解決手段】 第1の波長のレーザ光を出射する第1のレーザダイオードと、前記第1のレーザダイオードから光ディスク側でない後方に出射されるレーザ光を受光して第1の電流信号を出力するバックモニタ用光検出器とを含む第1のレーザ光源と、前記第1の電流信号が流れる抵抗と、前記抵抗に発生する電圧を第2の電流信号に変換する電圧・電流変換回路と、前記第2の電流信号を電圧信号に変換して出力する電流・電圧変換回路とを含む受光回路と、前記受光回路から出力される前記電圧信号に応じて前記第1のレーザダイオードを駆動する第1の駆動回路と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置、集積回路、および光ピックアップ装置のレーザ出力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクに対して信号の記録や再生を行う光ピックアップ装置では、レーザダイオードから出射されるレーザ光をフォトダイオードなどの光検出器によって検出し、検出されたレーザ光の強度に応じてレーザダイオードの出力を制御している。
【0003】
例えば、特許文献1の図5では、レーザダイオードから後方(光ディスク側でない側)に出射されるレーザ光を、レーザダイオードと同一パッケージ内に設けられた光検出器(バックモニタ用光検出器)によって検出し、レーザダイオードの駆動電流を制御するバックモニタ方式の光ピックアップ装置が開示されている。また、例えば、特許文献1の図4では、レーザダイオードから前方(光ディスク側)に出射されるレーザ光を、バックモニタ用光検出器とは別の光検出器(フロントモニタ用光検出器)によって検出し、レーザダイオードの駆動電流を制御するフロントモニタ方式の光ピックアップ装置が開示されている。
【0004】
ここで、バックモニタ方式およびフロントモニタ方式の光ピックアップ装置における一般的なレーザ出力制御回路の構成の一例をそれぞれ図7および図8に示す。
【0005】
図7に示すように、バックモニタ用フォトダイオード(光検出器)PD1は、レーザダイオードLD1から後方に出射されるレーザ光を受光し、フォトダイオードPD1には、受光したレーザ光の強度に応じた電流Ibmが流れる。また、電流Ibmは、光ディスクに応じて調整された可変抵抗VRに流れ、可変抵抗VRに発生する電圧Vbmは、ADC(Analog-Digital Converter:アナログ・デジタル変換回路)12によってデジタル信号に変換されたうえでLD駆動回路13に入力される。そして、LD駆動回路13は、電圧Vbmに応じて、電流源14から供給される駆動電流Ild1を制御することによって、レーザダイオードLD1の出力を制御する。
【0006】
一方、図8に示すように、フロントモニタ用フォトダイオードPDfmは、レーザダイオードLD2から前方に出射されるレーザ光を受光し、フォトダイオードPDfmには、受光したレーザ光の強度に応じた電流Ifmが流れる。また、電流Ifmは、IVアンプ(電流・電圧変換回路)44によって電圧信号Vfmに変換され、さらに、ADC22によってデジタル信号に変換されたうえでLD駆動回路23に入力される。そして、LD駆動回路23は、電圧信号Vfmに応じて、電流源24から供給される駆動電流Ild2を制御することによって、レーザダイオードLD2の出力を制御する。なお、IVアンプ44は、利得を選択するための複数の抵抗、および接続される抵抗を切り替えるスイッチ回路(不図示)を備えており、コントローラ50から光ディスクに応じた選択信号SELを入力することによって利得を調整することができる。
【0007】
このようにして、レーザダイオードから出射されるレーザ光をバックモニタ用光検出器またはフロントモニタ用光検出器によって検出し、レーザダイオードの出力を制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−132581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図7に示したバックモニタ方式のレーザ出力制御回路では、レーザダイオードLD1と同一パッケージ内に設けられたフォトダイオードPD1に流れる電流Ibmを可変抵抗VRによって電圧Vbmに変換し、レーザ光の強度を示すモニタ信号として用いている。そのため、バックモニタ方式は、レーザ出力制御回路を安価に構成することができ、主として、再生動作のみを行う光ピックアップ装置に採用されている。
【0010】
一方、図8に示したフロントモニタ方式のレーザ出力制御回路では、フォトダイオードPD2とは別のフォトダイオードPDfmに流れる電流IfmをIVアンプ44によって電圧信号Vfmに変換し、モニタ信号として用いている。フロントモニタ方式は、バックモニタ方式より高速応答が可能なため、主として、再生動作だけでなく、レーザダイオードの出力を高速で制御する必要がある記録動作も行う光ピックアップ装置に採用されている。
【0011】
一例として、CD(Compact Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)に対して記録および再生の両方を行い、BD(Blu-ray Disc)に対して再生のみを行う光ピックアップ装置では、CD/DVD用のレーザ出力制御回路をフロントモニタ方式とし、BD用のレーザ出力制御回路をバックモニタ方式とすることができる。
【0012】
しかしながら、多層(2層以上)のBDを再生する場合、単層のBDを再生する場合に比べて、レーザダイオードの出力を10倍程度に高くする必要がある。そのため、多層のBDの再生に対応するためには、図7に示したレーザ出力制御回路では、可変抵抗を2個用いて、単層および多層のBDに応じてそれぞれ調整する必要があり、さらに、2個の可変抵抗を切り替えるスイッチ回路などを追加する必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した課題を解決する主たる本発明は、第1の波長のレーザ光を出射する第1のレーザダイオードと、前記第1のレーザダイオードから光ディスク側でない後方に出射されるレーザ光を受光して第1の電流信号を出力するバックモニタ用光検出器とを含む第1のレーザ光源と、前記第1の電流信号が流れる抵抗と、前記抵抗に発生する電圧を第2の電流信号に変換する電圧・電流変換回路と、前記第2の電流信号を電圧信号に変換して出力する電流・電圧変換回路とを含む受光回路と、前記受光回路から出力される前記電圧信号に応じて前記第1のレーザダイオードを駆動する第1の駆動回路と、を有することを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0014】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、単層および多層の光ディスクに応じて可変抵抗をそれぞれ調整することなく、バックモニタ用光検出器を用いて多層の光ディスクの再生に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態における光ピックアップ装置のレーザ出力制御回路の構成を示す回路ブロック図である。
【図2】VI変換回路の具体的な構成の一例を示す回路ブロック図である。
【図3】VI変換回路32aにおける入力に対する出力のばらつきを示す図である。
【図4】VI変換回路の他の構成例を示す回路ブロック図である。
【図5】VI変換回路のさらに他の構成例を示す回路ブロック図である。
【図6】本発明の第2実施形態における光ピックアップ装置のレーザ出力制御回路の構成を示す回路ブロック図である。
【図7】バックモニタ方式の一般的なレーザ出力制御回路の構成の一例を示す回路ブロック図である。
【図8】フロントモニタ方式の一般的なレーザ出力制御回路の構成の一例を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0018】
<第1実施形態>
===レーザ出力制御回路の構成===
以下、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態における光ピックアップ装置のレーザ出力制御回路の構成について説明する。なお、本実施形態では、一例として、光ピックアップ装置は、単層および多層のBDに対して再生のみを行うものとする。
【0019】
図1に示されているレーザ出力制御回路は、レーザダイオードLD1の出力を制御する回路であり、フォトダイオードPD1、ADC12、LD駆動回路13、電流源14、および受光回路30aを含んで構成されている。なお、受光回路30aは、コントローラ50によって制御される。
【0020】
(第1の)レーザダイオードLD1は、例えば、波長405nm帯の青紫色レーザ光を出射することができ、BDの再生に用いられる。また、レーザダイオードLD1とフォトダイオードPD1とは、同一パッケージ内に設けられ、(第1の)レーザ光源11として構成されている。そして、レーザダイオードLD1およびフォトダイオードPD1のカソードは、共通のグランドに接続されている。
【0021】
受光回路30aは、抵抗31、VI(電圧・電流)変換回路32、およびIVアンプ34を含み、少なくとも端子INbmを備えた集積回路として構成されている。また、端子INbmには、フォトダイオードPD1のアノードが接続され、フォトダイオードPD1に流れる電流Ibm1は、端子INbmを介して受光回路30aに入力される。さらに、抵抗31の一端は、端子INbmに接続され、他端は、グランドに接続されている。
【0022】
VI変換回路32は、例えば図2に示すVI変換回路32aのように、オペアンプ(演算増幅器)OP、(NPN)トランジスタQ1、および抵抗R1を含んで構成されている。オペアンプOPの非反転入力には、端子INbmの電圧Vbm1が印加され、出力は、トランジスタQ1のベースに接続されている。また、トランジスタQ1のエミッタには、抵抗R1の一端が接続され、抵抗R1の他端は、グランドに接続されている。さらに、トランジスタQ1と抵抗R1との接続点の電圧Vbm2は、オペアンプOPの反転入力に印加されている。そして、トランジスタQ1のコレクタは、電流Ibm2を出力する出力ノードとなっている。
【0023】
IVアンプ34は、例えば、反転入力と出力とが抵抗を介して接続されたオペアンプを用いて構成することができ、IVアンプ34には、VI変換回路32から出力される電流Ibm2が入力される。また、IVアンプ34から出力される電圧信号Vmは、ADC12を介して、LD駆動回路13に入力されている。そして、LD駆動回路13(第1の駆動回路)は、電流源14を制御し、電流源14からLD1のアノードには、駆動電流Ild1が供給されている。なお、IVアンプ34は、利得を選択するための複数の抵抗、および接続される抵抗を切り替えるスイッチ回路(不図示)を備えており、コントローラ50から入力される選択信号SELに応じて利得を調整することができる。
【0024】
===レーザ出力制御回路の動作===
以下、本実施形態における光ピックアップ装置のレーザ出力制御回路の動作について説明する。なお、コントローラ50は、IVアンプ34に選択信号SELを入力することによって、IVアンプ34の利得としてBD用の利得を選択する。
【0025】
電流源14から駆動電流Ild1が供給され、レーザダイオードLD1からレーザ光が出射されると、フォトダイオードPD1は、レーザダイオードLD1から後方に出射されるレーザ光を受光する。また、フォトダイオードPD1には、受光したレーザ光の強度に応じた電流Ibm1が流れ、電流Ibm1は、端子INbmを介して受光回路30aにソース電流として入力される。なお、本実施形態では、電流Ibm1が第1の電流信号に相当する。
【0026】
さらに、電流Ibm1は、抵抗31に流れ、抵抗31に発生する電圧(端子INbmの電圧)Vbm1がVI変換回路32に入力される。そして、図2に示したVI変換回路32aにおいて、トランジスタQ1には、電圧Vbm1と電圧Vbm2とが等しくなるように電流Ibm2(=Vbm1/R1)が流れ、電流Ibm2は、IVアンプ34にシンク電流として入力される。なお、本実施形態では、電流Ibm2が第2の電流信号に相当する。
【0027】
IVアンプ34は、利得に応じて電流Ibm2を電圧信号Vmに変換する。また、ADC12は、電圧信号Vmをさらにデジタル信号に変換する。そして、LD駆動回路13は、デジタル信号に変換された電圧信号Vmに応じて、電流源14から供給される駆動電流Ild1を制御することによって、レーザダイオードLD1の出力を制御する。
【0028】
このようにして、レーザ光源11内に設けられたバックモニタ用フォトダイオードPD1に流れる電流Ibm1を、抵抗31、VI変換回路32、およびIVアンプ34を用いて電圧信号Vmに変換し、モニタ信号として用いている。前述したように、単層のBDを再生する場合と多層のBDを再生する場合とで、レーザダイオードLD1の出力は10倍程度異なるものの、IVアンプ34の可変幅は通常十分に大きい(例えば40dB)ため、いずれのBDの再生にも対応することができる。
【0029】
===VI変換回路の他の構成例===
上記実施形態では、フォトダイオードPD1をゼロバイアスで使用することによって暗電流が抑制され、フォトダイオードPD1には、レーザダイオードLD1の出力に略比例する電流Ibm1が流れる。また、図2に示したVI変換回路32aから出力される電流Ibm2は、図3のAのように、電圧Vbm1に略比例し、レーザダイオードLD1の出力にも略比例する。
【0030】
しかしながら、暗電流や周囲光の影響によって、図3のBのように、レーザダイオードLD1からレーザ光が出射されていなくても電流Ibm2が流れる場合がある。さらに、オペアンプOPの入力オフセット電圧の影響によって、図3のBの場合だけでなく、図3のCのように、レーザダイオードLD1からレーザ光が出射されても電流Ibm2が流れず、不感帯が生じる場合もある。
【0031】
図3のBの場合、レーザダイオードLD1からレーザ光が出射されている場合の電流Ibm2の変化は、レーザダイオードLD1の出力に略比例するため、電流Ibm2から変換された電圧信号Vmに応じてレーザダイオードLD1の出力を制御することができる。一方、図3のCの場合、不感帯の範囲内では、電流Ibm2および電圧信号Vmが変化しないため、レーザダイオードLD1の出力を制御することができない。そこで、VI変換回路として、図2に示したVI変換回路32aに代えて、図4に示すVI変換回路32bを用いることができる。
【0032】
VI変換回路32bには、VI変換回路32aに対して抵抗R2が追加されており、トランジスタQ1と抵抗R1との接続点の電圧Vbm2は、抵抗R2を介してオペアンプOPの反転入力に印加されている。ここで、抵抗R2を介してオペアンプOPの反転入力に流れ込む入力バイアス電流をIbnとすると、電流Ibm2は、
Ibm2=Vbm2/R1
=(Vbm1+Ibn・R2)/R1
と表すことができ、電圧Vbm1にオフセット電圧Vos(=Ibn・R2)を加算した電圧に比例する。したがって、加算されるオフセット電圧VosがオペアンプOPの入力オフセット電圧の最大値以上となるように抵抗R2の抵抗値を設定することによって、不感帯が生じるのを防止することができる。
【0033】
また、VI変換回路として、図5に示すVI変換回路32cを用いることもできる。VI変換回路32cは、(NPN)トランジスタQ1ないしQ3、(PNP)トランジスタQ4、Q5、および電流源S1、S2を含んで構成されている。また、トランジスタQ2ないしQ5、および電流源S1は、差動増幅回路(オペアンプ)を構成しており、トランジスタQ2およびQ3のベースがそれぞれ非反転入力および反転入力に相当し、トランジスタQ5およびQ3の接続点が出力に相当する。そして、トランジスタQ1のベースは、差動増幅回路の出力に接続され、エミッタは、グランドに接続された電流源S2に接続され、コレクタは、電流Ibm2を出力する出力ノードとなっている。
【0034】
ここで、カレントミラー回路を構成するトランジスタQ4およびQ5のサイズ(エミッタ面積)を等しくし、トランジスタQ2のサイズをトランジスタQ3のサイズより十分に大きくすると、差動増幅回路の入力オフセット電圧は、常に非反転入力側が高くなる。したがって、VI変換回路32bの場合と同様に、電圧Vbm1にオフセット電圧Vosを加算した電圧に比例する電流Ibm2を出力し、不感帯が生じるのを防止することができる。
【0035】
<第2実施形態>
===レーザ出力制御回路の構成===
以下、図6を参照して、本発明の第2の実施形態における光ピックアップ装置のレーザ出力制御回路の構成について説明する。なお、本実施形態では、一例として、光ピックアップ装置は、CDおよびDVDに対して記録および再生の両方を行い、単層および多層のBDに対して再生のみを行うものとする。
【0036】
図6に示されているレーザ出力制御回路は、レーザダイオードLD1およびLD2の出力を制御する回路であり、フォトダイオードPD1、PD2、ADC12、22、LD駆動回路13、23、電流源14、24、および受光回路30bを含んで構成されている。なお、受光回路30bは、コントローラ50によって制御される。
【0037】
本実施形態のレーザ出力制御回路のうち、レーザ光源11、ADC12、LD駆動回路13、および電流源14の構成は、第1実施形態のレーザ出力制御回路と同様である。また、受光回路30bには、第1実施形態の受光回路30aに対して、フォトダイオードPDfmおよびスイッチ回路33が追加されている。
【0038】
(第2の)レーザダイオードLD2は、例えば、波長780nm帯の赤外線レーザ光および波長650nm帯の赤色レーザ光を出射することができ、CD/DVDの記録・再生に用いられる。また、レーザダイオードLD2とフォトダイオードPD2とは、同一パッケージ内に設けられ、(第2の)レーザ光源21として構成されている。そして、レーザダイオードLD2およびフォトダイオードPD2のカソードは、共通のグランドに接続されている。なお、フォトダイオードPD2のアノードは、オープンとなっている。
【0039】
受光回路30bのフォトダイオードPDfmは、レーザダイオードLD2から前方に出射されるレーザ光を受光するように配置され、アノードは、グランドに接続されている。また、スイッチ回路33は、IVアンプ34の入力ノードと、VI変換回路32の出力ノードまたはフォトダイオードPDfmのカソードとを接続する。そして、IVアンプ34には、スイッチ回路33を介して、VI変換回路32から出力される電流Ibm2、またはフォトダイオードPDfmに流れる電流Ifmが入力される。なお、スイッチ回路33は、コントローラ50から入力される切替信号SWに応じて接続を切り替えることができる。
【0040】
IVアンプ34から出力される電圧信号Vmは、それぞれADC12および22を介して、LD駆動回路13および23に入力されている。そして、LD駆動回路23(第2の駆動回路)は、電流源24を制御し、電流源24からLD2のアノードには、駆動電流Ild2が供給されている。
【0041】
===レーザ出力制御回路の動作===
以下、本実施形態における光ピックアップ装置のレーザ出力制御回路の動作について説明する。
【0042】
まず、単層または多層のBDの再生時の動作について説明する。なお、BDの再生時には、コントローラ50は、スイッチ回路33に切替信号SWを入力することによって、IVアンプ34の入力ノードとVI変換回路32の出力ノードとを接続する。また、コントローラ50は、IVアンプ34に選択信号SELを入力することによって、IVアンプ34の利得としてBD用の利得を選択する。したがって、BDの再生時の動作は、第1実施形態のレーザ出力制御回路と同様である。
【0043】
次に、CD/DVDの記録・再生時の動作について説明する。なお、CD/DVDの記録・再生時には、コントローラ50は、スイッチ回路33に切替信号SWを入力することによって、IVアンプ34の入力ノードとフォトダイオードPDfmのカソードとを接続する。また、コントローラ50は、IVアンプ34に選択信号SELを入力することによって、IVアンプ34の利得としてCD用またはDVD用の利得を選択する。
【0044】
電流源24から駆動電流Ild2が供給され、レーザダイオードLD2からレーザ光が出射されると、フォトダイオードPDfmは、レーザダイオードLD2から前方に出射されるレーザ光を受光する。また、フォトダイオードPDfmには、受光したレーザ光の強度に応じた電流Ifmが流れ、電流Ifmは、スイッチ回路33を介して、IVアンプ34にシンク電流として入力される。なお、本実施形態では、電流Ifmが第3の電流信号に相当する。
【0045】
IVアンプ34は、利得に応じて電流Ifmを電圧信号Vmに変換する。また、ADC22は、電圧信号Vmをさらにデジタル信号に変換する。そして、LD駆動回路23は、デジタル信号に変換された電圧信号Vmに応じて、電流源24から供給される駆動電流Ild2を制御することによって、レーザダイオードLD2の出力を制御する。
【0046】
このようにして、受光回路30bのフロントモニタ用フォトダイオードPDfmに流れる電流Ifmを、IVアンプ34を用いて電圧信号Vmに変換し、モニタ信号として用いることによって、レーザダイオードLD2の出力を高速で制御することができ、CD/DVDの再生だけでなく記録も行うことができる。
【0047】
前述したように、図1に示したBDの再生のみを行う光ピックアップ装置のレーザ出力制御回路において、バックモニタ用フォトダイオードPD1に流れる電流Ibm1(第1の電流信号)を受光回路30aに入力し、抵抗31、VI変換回路32、およびIVアンプ34を用いて電圧信号Vmに変換することによって、LD駆動回路13は、電圧信号Vmに応じてレーザダイオードLD1の出力を制御することができ、単層および多層のBDに応じて可変抵抗をそれぞれ調整することなく、多層のBDの再生に対応することができる。
【0048】
また、VI変換回路32bおよび32cのように、電流Ibm1が流れる抵抗31に発生する電圧Vbm1にオフセット電圧Vosを加算した電圧に比例する電流Ibm2(第2の電流信号)を生成することによって、レーザダイオードLD1からレーザ光が出射されても電流Ibm2が流れない不感帯が生じるのを防止することができる。
【0049】
また、図6に示した光ピックアップ装置のレーザ出力制御回路において、BDの再生時にバックモニタ用フォトダイオードPD1に流れる電流Ibm1を受光回路30bに入力し、スイッチ回路33によって、CD/DVDの記録・再生時に受光回路30bが備えるフロントモニタ用フォトダイオードPDfmに流れる電流Ifm(第3の電流信号)と切り替えることによって、LD駆動回路13および23は、電圧信号Vmに応じてレーザダイオードLD1およびLD2の出力をそれぞれ制御することができ、CDおよびDVDに対して記録および再生の両方を行い、単層および多層のBDに対して再生のみを行うことができる。
【0050】
また、受光回路(集積回路)30aおよび30bにおいて、バックモニタ用フォトダイオードPD1に流れる電流Ibm1が入力される端子INbmと、電流Ibm1が流れる抵抗31と、抵抗31に発生する電圧Vbm1を電流Ibm2に変換する電圧・電流変換回路32と、電流Ibm2を電圧信号Vmに変換して出力するIVアンプ34と、を備えることによって、電圧信号Vmをモニタ信号として出力することができる。
【0051】
また、受光回路(集積回路)30aまたは30bを用いて、端子INbmに電流Ibm1を入力することによって、受光回路(集積回路)30aまたは30bから出力される電圧信号Vmに応じてレーザダイオードLD1の出力を制御することができ、単層および多層のBDに応じて可変抵抗をそれぞれ調整することなく、多層のBDの再生に対応することができる。
【0052】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0053】
11、21 レーザ光源
12、22 ADC(アナログ・デジタル変換回路)
13、23 LD駆動回路
14、24 電流源
30a、30b、40 受光回路(集積回路)
31 抵抗
32(32a〜32c) VI(電圧・電流)変換回路
33 スイッチ回路
34、44 IVアンプ(電流・電圧変換回路)
50 コントローラ
LD1、LD2 レーザダイオード
PD1、PD2、PDfm フォトダイオード(光検出器)
INbm 端子
OP オペアンプ(演算増幅器)
Q1〜Q3 (NPN)トランジスタ
Q4、Q5 (PNP)トランジスタ
R1、R2 抵抗
S1、S2 電流源
VR 可変抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長のレーザ光を出射する第1のレーザダイオードと、前記第1のレーザダイオードから光ディスク側でない後方に出射されるレーザ光を受光して第1の電流信号を出力するバックモニタ用光検出器とを含む第1のレーザ光源と、
前記第1の電流信号が流れる抵抗と、前記抵抗に発生する電圧を第2の電流信号に変換する電圧・電流変換回路と、前記第2の電流信号を電圧信号に変換して出力する電流・電圧変換回路とを含む受光回路と、
前記受光回路から出力される前記電圧信号に応じて前記第1のレーザダイオードを駆動する第1の駆動回路と、
を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記電圧・電流変換回路は、前記抵抗に発生する電圧に所定のオフセット電圧を加算した電圧に応じた前記第2の電流信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
第2の波長のレーザ光を出射する第2のレーザダイオードを含む第2のレーザ光源と、
前記受光回路から出力される前記電圧信号に応じて前記第2のレーザダイオードを駆動する第2の駆動回路と、
をさらに有し、
前記受光回路は、前記第2のレーザダイオードから光ディスク側である前方に出射されるレーザ光を受光して第3の電流信号を出力するフロントモニタ用光検出器と、前記第2および第3の電流信号が入力され、切替信号に応じて前記第2または第3の電流信号の何れか一方を出力するスイッチ回路とをさらに含み、
前記電圧・電流変換回路は、前記第3の電流信号と同一方向の前記第2の電流信号を生成し、
前記電流・電圧変換回路は、前記スイッチ回路から出力される前記第2または第3の電流信号を前記電圧信号に変換して出力することを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
レーザダイオードと、前記レーザダイオードから光ディスク側でない後方に出射されるレーザ光を受光するバックモニタ用光検出器とを含むレーザ光源の、前記バックモニタ用光検出器から出力される第1の電流信号が入力される端子と、
前記第1の電流信号が流れる抵抗と、
前記抵抗に発生する電圧を第2の電流信号に変換する電圧・電流変換回路と、
前記第2の電流信号を電圧信号に変換して出力する電流・電圧変換回路と、
を有することを特徴とする集積回路。
【請求項5】
請求項4に記載の集積回路を用いて、
前記端子に前記第1の電流信号を入力し、
前記集積回路から出力される前記電圧信号に応じて前記レーザダイオードの出力を制御することを特徴とする光ピックアップ装置のレーザ出力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−195044(P2012−195044A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60163(P2011−60163)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(300057230)セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (119)
【Fターム(参考)】