説明

光ピックアップ装置および光ディスク装置

【課題】光ピックアップ装置および光ディスク装置における二つの対物レンズの角度差を少なく抑える。
【解決手段】基準となる第一対物レンズ31と、第一対物レンズ31に並設される第二対物レンズと、第一対物レンズ31および第二対物レンズが取り付けられるレンズホルダ5iとを備える光ピックアップ装置1iおよびこの光ピックアップ装置1iを備える光ディスク装置に関する。第一対物レンズ31に対し、第二対物レンズは、角度調整が行われてレンズホルダ5iに取り付けられる。第一対物レンズ31の光軸と、第二対物レンズの光軸とが略平行に調整されて、レンズホルダ5iに、第一対物レンズ31と、第二対物レンズとが取り付けられることにより、第一対物レンズ31に対する第二対物レンズの角度差を少なく抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録されたデータを再生させることや、光ディスクにデータを記録させることが可能な光ピックアップ装置および光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ピックアップ装置(図示せず)いわゆる光学ヘッドのレンズホルダに、二つの対物レンズを装備させたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−120573号公報(第2頁、第1−3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の対物レンズ付レンズホルダを備えた光ピックアップ装置にあっては、二つの対物レンズの角度ずれが問題とされていた。対物レンズがレンズホルダに二個搭載されるモデルの光ピックアップ装置においては、一方の対物レンズに対し、他方の対物レンズの角度がずらされて、二個の対物レンズがレンズホルダに取り付けられることが懸念されていた。
【0005】
二つの対物レンズが搭載されるアクチュエータにおいて、二つの対物レンズの角度調整が行われることなく、レンズホルダにそのまま二つの対物レンズが取り付けられた場合、各対物レンズの取付状況によっては、それぞれの対物レンズに角度差が生じる。
【0006】
そのようなアクチュエータを備えた光ピックアップ装置が組み立てられ、例えば、この光ピックアップ装置が光ディスク装置などに組み付けられた完成状態において、光ディスク装置に光ディスクが挿入されて光ディスク装置が使用されると、光ディスクに対し、光ピックアップ装置の対物レンズに相対スキューが生じる。スキュー(skew)とは、「歪み」や「曲り」を意味する。光ピックアップ装置の対物レンズに相対スキューが生じると、光ピックアップ装置が正常に作動されないということが問題とされていた。
【0007】
本発明は、上記した問題点を解決することにある。本発明は、上記した点に鑑み、二つの対物レンズの角度差が少なく抑えられた光ピックアップ装置および光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る光ピックアップ装置は、基準となる第一対物レンズと、該第一対物レンズに並設される第二対物レンズと、該第一対物レンズおよび該第二対物レンズが取り付けられるレンズホルダとを備え、該第一対物レンズに対し、該第二対物レンズは、角度調整が行われて該レンズホルダに取り付けられたことを特徴とする。
【0009】
上記構成により、第二対物レンズは、第一対物レンズに対して精度よく角度調整が行われて、レンズホルダに取り付けられる。基準となる第一対物レンズに対し、第二対物レンズは、角度調整が行われてレンズホルダに取り付けられるので、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度差は、少なく抑えられる。従って、レンズホルダに第一対物レンズおよび第二対物レンズが精度よく取り付けられて構成された光ピックアップ装置の提供が可能となる。
【0010】
請求項2に係る光ピックアップ装置は、請求項1に記載の光ピックアップ装置において、前記第一対物レンズの光軸と、前記第二対物レンズの光軸とが略平行に調整されて、前記レンズホルダに、該第一対物レンズと、該第二対物レンズとが取り付けられたことを特徴とする。
【0011】
上記構成により、第一対物レンズの光軸に対する第二対物レンズの光軸の角度差は、少なく抑えられる。レンズホルダに取り付けられた第一対物レンズの光軸に対し、第二対物レンズの光軸が略平行となるように調整されて、レンズホルダに第二対物レンズが取り付けられるので、精度よく第一対物レンズおよび第二対物レンズがレンズホルダに取り付けられて構成された光ピックアップ装置を提供することが可能となる。
【0012】
請求項3に係る光ピックアップ装置は、請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置において、前記レンズホルダは、前記第一対物レンズが取り付けられる第一レンズ装着部と、前記第二対物レンズが取り付けられる第二レンズ装着部とを備え、該第一レンズ装着部に、該第一対物レンズの取付部が合わせられる基準部が設けられ、該第二レンズ装着部に、該第二対物レンズの取付部が角度調整可能に合わせられる調整部が設けられたことを特徴とする。
【0013】
上記構成により、第一対物レンズおよび第二対物レンズは、精度よくレンズホルダに取り付けられる。レンズホルダの第一レンズ装着部の基準部に、第一対物レンズの取付部が合わせられることにより、第一対物レンズは、レンズホルダに精度よく取り付けられる。また、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に、第二対物レンズの取付部が合わせられて、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整が行われることにより、第二対物レンズは、レンズホルダに精度よく取り付けられる。従って、レンズホルダに対する第一対物レンズおよび第二対物レンズの取付は、精度よく行われる。
【0014】
請求項4に係る光ピックアップ装置は、請求項3に記載の光ピックアップ装置において、前記調整部は、前記第二対物レンズの角度調整を可能とさせる球座部を備えることを特徴とする。
【0015】
上記構成により、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、精度よく行われる。第二対物レンズが取り付けられるレンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に球座部が設けられているので、レンズホルダの第二レンズ装着部の球座部上にて、第二対物レンズの角度は自在に調整される。
【0016】
請求項5に係る光ピックアップ装置は、請求項4に記載の光ピックアップ装置において、前記球座部に、前記第二対物レンズの前記取付部の周縁端部が接することを特徴とする。
【0017】
上記構成により、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、精度よく行われる。レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた球座部に、第二対物レンズの取付部の周縁端部が接した状態で、第二対物レンズの角度調整が行われる。第二対物レンズは、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた球座部上において、自在に角度調整される。従って、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整が精度よく行われる。
【0018】
請求項6に係る光ピックアップ装置は、請求項4又は5に記載の光ピックアップ装置において、略平面状の前記基準部に対し、前記第二対物レンズに形成された略平面状の基準面部が0〜3°の角度とされて、前記球座部に該第二対物レンズが備えられたことを特徴とする。
【0019】
上記構成により、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、精度よく容易に行われる。レンズホルダの第二レンズ装着部に設けられた調整部の球座部に、第二対物レンズが備えられて、レンズホルダの第一レンズ装着部に設けられた略平面状の基準部に対し、第二対物レンズに形成された略平面状の基準面部が0〜3°の角度に調整されて、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整が行われるので、第二対物レンズの角度調整が行われるときの微調整は、精度よく容易に行われる。
【0020】
請求項7に係る光ピックアップ装置は、請求項3に記載の光ピックアップ装置において、前記調整部は、前記第二対物レンズの角度調整を可能とさせる斜面部を備えることを特徴とする。
【0021】
上記構成により、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、容易に行われる。第二対物レンズが取り付けられるレンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に斜面部が設けられているので、レンズホルダの第二レンズ装着部の斜面部上にて、第二対物レンズの角度は容易に調整される。
【0022】
請求項8に係る光ピックアップ装置は、請求項3に記載の光ピックアップ装置において、前記調整部は、前記第二対物レンズの角度調整を可能とさせる一対の斜面部と、一対の該斜面部の間に設けられた頂部とを備えることを特徴とする。
【0023】
上記構成により、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、容易に行われる。第二対物レンズが取り付けられるレンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に、一対の斜面部が設けられると共に、一対の斜面部の間に頂部が設けられているので、レンズホルダの第二レンズ装着部における一対の斜面部および頂部上に第二対物レンズが備えられたのちに、第二対物レンズの角度調整が容易に行われる。第二対物レンズは、例えばシーソのように、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた頂部を支点として、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部における一方の斜面部または他方の斜面部に向けて傾けられる。従って、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、容易に実行される。
【0024】
請求項9に係る光ピックアップ装置は、請求項8に記載の光ピックアップ装置において、前記頂部に、前記第二対物レンズの前記取付部が接することを特徴とする。
【0025】
上記構成により、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、容易に行われる。レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた頂部に、第二対物レンズの取付部が接した状態で、第二対物レンズの角度調整が行われる。第二対物レンズの取付部は、例えばシーソのように、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた頂部を支点として、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部における一方の斜面部と、他方の斜面部との間で傾けられる。レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた頂部を支点として、第二対物レンズが傾けられることにより、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整が容易に実行される。
【0026】
請求項10に係る光ピックアップ装置は、請求項8又は9に記載の光ピックアップ装置において、略平面状の前記基準部に対し、一対の略平面状の前記斜面部は、0°を超え3°以下の角度に傾けられて、前記頂部の角度は、鈍角とされたことを特徴とする。
【0027】
上記構成により、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、精度よく容易に行われる。レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた鈍角の頂部に、第二対物レンズの取付部が接した状態で、第二対物レンズの角度調整が行われる。鈍角とは、90°よりも大きく180°よりも小さい角を意味する。レンズホルダの第一レンズ装着部に設けられた略平面状の基準部に対し、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた一対の略平面状の斜面部が、0°を超え3°以下の角度に傾けられて、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた頂部の角度が鈍角とされているので、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整が行われているときに、例えば、第二対物レンズの角度が大幅に狂い、第二対物レンズの角度調整が行われ難くなるという不具合の発生は回避される。第二対物レンズは、例えばシーソのように、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた頂部を支点として、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部における一方の斜面部(例:−3°)と、他方の斜面部(例:+3°)との間で精度よく傾けられる。従って、第二対物レンズの角度調整が行われるときの微調整は、精度よく容易に行われる。
【0028】
請求項11に係る光ピックアップ装置は、請求項7〜10の何れか1項に記載の光ピックアップ装置において、前記第一対物レンズまたは前記第二対物レンズを透過した光が照射される光ディスクのトラック方向またはピット方向をタンジェンシャル方向と定めたときに、前記斜面部は、該第二対物レンズの光軸を該タンジェンシャル方向に沿って調整可能な傾斜面部として形成されたことを特徴とする。
【0029】
上記構成により、第二対物レンズの光軸は、光ディスクのタンジェンシャル方向に沿って容易に調整される。レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた傾斜面部に第二対物レンズが合わされつつ、光ディスクのタンジェンシャル方向に沿った第二対物レンズの光軸角度調整が行われる。従って、第一対物レンズの光軸に対する第二対物レンズの光軸のタンジェンシャル方向に沿った角度調整は、容易に行われる。
【0030】
請求項12に係る光ピックアップ装置は、請求項7〜10の何れか1項に記載の光ピックアップ装置において、前記第一対物レンズまたは前記第二対物レンズを透過した光が照射される光ディスクの径方向をラジアル方向と定めたときに、前記斜面部は、該第二対物レンズの光軸を該ラジアル方向に沿って調整可能な傾斜面部として形成されたことを特徴とする。
【0031】
上記構成により、第二対物レンズの光軸は、光ディスクのラジアル方向に沿って容易に調整される。レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた傾斜面部に第二対物レンズが合わされつつ、光ディスクのラジアル方向に沿った第二対物レンズの光軸角度調整が行われる。従って、第一対物レンズの光軸に対する第二対物レンズの光軸のラジアル方向に沿った角度調整は、容易に行われる。
【0032】
請求項13に係る光ディスク装置は、請求項1〜12の何れか1項に記載の光ピックアップ装置を備えることを特徴とする。
【0033】
上記構成により、レンズホルダに第一対物レンズおよび第二対物レンズが精度よく取り付けられて構成された光ピックアップ装置付の光ディスク装置を提供することが可能となる。光ディスク装置に各光ディスクが挿入されて、光ディスクのデータが読み出されたり、光ディスクにデータが書き込まれたりされるときに、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度差を少なく抑えた光ピックアップ装置が、光ディスク装置に装備されるので、各光ディスクからのデータの読出しや、各光ディスクに対するデータの書込みは、光ピックアップ装置を備える光ディスク装置にて正常に行われることとなる。
【発明の効果】
【0034】
以上の如く、請求項1に記載の発明によれば、第二対物レンズは、第一対物レンズに対して精度よく角度調整が行われて、レンズホルダに取り付けられる。基準となる第一対物レンズに対し、第二対物レンズは、角度調整が行われてレンズホルダに取り付けられるので、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度差は、少なく抑えられる。従って、レンズホルダに第一対物レンズおよび第二対物レンズが精度よく取り付けられて構成された光ピックアップ装置を提供することができる。
【0035】
請求項2に記載の発明によれば、第一対物レンズの光軸に対する第二対物レンズの光軸の角度差は、少なく抑えられる。レンズホルダに取り付けられた第一対物レンズの光軸に対し、第二対物レンズの光軸が略平行となるように調整されて、レンズホルダに第二対物レンズが取り付けられるので、精度よく第一対物レンズおよび第二対物レンズがレンズホルダに取り付けられて構成された光ピックアップ装置を提供することができる。
【0036】
請求項3に記載の発明によれば、第一対物レンズおよび第二対物レンズは、精度よくレンズホルダに取り付けられる。レンズホルダの第一レンズ装着部の基準部に、第一対物レンズの取付部が合わせられることにより、第一対物レンズは、レンズホルダに精度よく取り付けられる。また、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に、第二対物レンズの取付部が合わせられて、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整が行われることにより、第二対物レンズは、レンズホルダに精度よく取り付けられる。従って、レンズホルダに対する第一対物レンズおよび第二対物レンズの取付を精度よく行うことができる。
【0037】
請求項4に記載の発明によれば、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、精度よく行われる。第二対物レンズが取り付けられるレンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に球座部が設けられているので、レンズホルダの第二レンズ装着部の球座部上にて、第二対物レンズの角度を自在に調整することができる。
【0038】
請求項5に記載の発明によれば、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、精度よく行われる。レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた球座部に、第二対物レンズの取付部の周縁端部が接した状態で、第二対物レンズの角度調整が行われる。第二対物レンズは、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた球座部上において、自在に角度調整される。従って、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整を精度よく行うことができる。
【0039】
請求項6に記載の発明によれば、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、精度よく容易に行われる。レンズホルダの第二レンズ装着部に設けられた調整部の球座部に、第二対物レンズが備えられて、レンズホルダの第一レンズ装着部に設けられた略平面状の基準部に対し、第二対物レンズに形成された略平面状の基準面部が0〜3°の角度に調整されて、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整が行われるので、第二対物レンズの角度調整が行われるときの微調整を精度よく容易に行うことができる。
【0040】
請求項7に記載の発明によれば、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、容易に行われる。第二対物レンズが取り付けられるレンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に斜面部が設けられているので、レンズホルダの第二レンズ装着部の斜面部上にて、第二対物レンズの角度を容易に調整することができる。
【0041】
請求項8に記載の発明によれば、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、容易に行われる。第二対物レンズが取り付けられるレンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に、一対の斜面部が設けられると共に、一対の斜面部の間に頂部が設けられているので、レンズホルダの第二レンズ装着部における一対の斜面部および頂部上に第二対物レンズが備えられたのちに、第二対物レンズの角度調整が容易に行われる。第二対物レンズは、例えばシーソのように、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた頂部を支点として、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部における一方の斜面部または他方の斜面部に向けて傾けられる。従って、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整を容易に実行することができる。
【0042】
請求項9に記載の発明によれば、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、容易に行われる。レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた頂部に、第二対物レンズの取付部が接した状態で、第二対物レンズの角度調整が行われる。第二対物レンズの取付部は、例えばシーソのように、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた頂部を支点として、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部における一方の斜面部と、他方の斜面部との間で傾けられる。レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた頂部を支点として、第二対物レンズが傾けられることにより、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整を容易に実行することができる。
【0043】
請求項10に記載の発明によれば、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整は、精度よく容易に行われる。レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた鈍角の頂部に、第二対物レンズの取付部が接した状態で、第二対物レンズの角度調整が行われる。レンズホルダの第一レンズ装着部に設けられた略平面状の基準部に対し、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた一対の略平面状の斜面部が、0°を超え3°以下の角度に傾けられて、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた頂部の角度が鈍角とされているので、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度調整が行われているときに、例えば、第二対物レンズの角度が大幅に狂い、第二対物レンズの角度調整が行われ難くなるという不具合の発生は回避される。第二対物レンズは、例えばシーソのように、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた頂部を支点として、レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部における一方の斜面部(例:−3°)と、他方の斜面部(例:+3°)との間で精度よく傾けられる。従って、第二対物レンズの角度調整が行われるときの微調整を精度よく容易に行うことができる。
【0044】
請求項11に記載の発明によれば、第二対物レンズの光軸は、光ディスクのタンジェンシャル方向に沿って容易に調整される。レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた傾斜面部に第二対物レンズが合わされつつ、光ディスクのタンジェンシャル方向に沿った第二対物レンズの光軸角度調整が行われる。従って、第一対物レンズの光軸に対する第二対物レンズの光軸のタンジェンシャル方向に沿った角度調整を容易に行うことができる。
【0045】
請求項12に記載の発明によれば、第二対物レンズの光軸は、光ディスクのラジアル方向に沿って容易に調整される。レンズホルダの第二レンズ装着部の調整部に設けられた傾斜面部に第二対物レンズが合わされつつ、光ディスクのラジアル方向に沿った第二対物レンズの光軸角度調整が行われる。従って、第一対物レンズの光軸に対する第二対物レンズの光軸のラジアル方向に沿った角度調整を容易に行うことができる。
【0046】
請求項13に記載の発明によれば、レンズホルダに第一対物レンズおよび第二対物レンズが精度よく取り付けられて構成された光ピックアップ装置付の光ディスク装置を提供することができる。光ディスク装置に各光ディスクが挿入されて、光ディスクのデータが読み出されたり、光ディスクにデータが書き込まれたりされるときに、第一対物レンズに対する第二対物レンズの角度差を少なく抑えた光ピックアップ装置が、光ディスク装置に装備されるので、各光ディスクからのデータの読出しや、各光ディスクに対するデータの書込みは、光ピックアップ装置を備える光ディスク装置にて正常に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る光ピックアップ装置の第一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】光ピックアップ装置に備えられる各対物レンズを示す斜視図である。
【図4】本発明に係る光ピックアップ装置の第二の実施形態を示す斜視図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】光ピックアップ装置のレンズホルダの第二レンズ装着部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に本発明に係る光ピックアップ装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0049】
図1は、本発明に係る光ピックアップ装置の第一の実施形態を示す斜視図、図2は、図1のA−A断面図、図3は、光ピックアップ装置に備えられる各対物レンズを示す斜視図である。
【0050】
図示されたものの各方向について説明すると、コイル43からコイル44にかけた方向もしくはコイル44からコイル43にかけた方向、又は、コイル45からコイル46にかけた方向もしくはコイル46からコイル45にかけた方向を、レンズホルダ5iの前後方向Drまたは光ピックアップ装置1iの前後方向Drとする。この方向Drを、便宜上、第一方向Drと定める。
【0051】
また、レンズホルダ5iに各対物レンズ31,32が取り付けられる側を、レンズホルダ5iの上側または光ピックアップ装置1iの上側とする。また、各対物レンズ31,32が取り付けられる側の反対側を、レンズホルダ5iの下側または光ピックアップ装置1iの下側とする。レンズホルダ5iの上側部5cから下側部5dにかけた方向もしくはレンズホルダ5iの下側部5dから上側部5cにかけた方向を、レンズホルダ5iの上下方向Daまたは光ピックアップ装置1iの上下方向Daとする。この方向Daを、便宜上、第二方向Daと定める。
【0052】
また、コイル41からコイル42にかけた方向もしくはコイル42からコイル41にかけた方向を、レンズホルダ5iの左右方向Dtまたは光ピックアップ装置1iの左右方向Dtとする。この方向Dtを、便宜上、第三方向Dtと定める。
【0053】
なお、この明細書における「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」の定義は、光ピックアップ装置1iおよび光ディスク装置(図示せず)を説明するために、便宜上、定められたものとされる。
【0054】
この光ピックアップ装置1i(図1,図2)は、基準となる第一対物レンズ31(図1〜図3)と、第一対物レンズ31に並設される第二対物レンズ32(図3)と、電流が流されて通電状態とされたときに電磁力を発生するコイル41,42,43,44,45,46(図1)と、コイル41,42,43,44,45,46に通電可能に接続されるサスペンションワイヤ(図示せず)と、第一対物レンズ31と、第二対物レンズ32と、各コイル41,42,43,44,45,46と、サスペンションワイヤとが取り付けられるレンズホルダ5i(図1,図2)と、サスペンションワイヤが通電可能に接続される回路基板(図示せず)とを備える。
【0055】
光ピックアップ(optical pickup)は、一般に「OPU」と略称される。また、「optical pickup unit」が「OPU」と略称されて用いられることもある。ここでは、便宜上、光ピックアップ装置をOPUと略称して用いる。
【0056】
また、対物レンズ(objective lens)は、「OBL」と略称して用いられている。OBL31(図1〜図3)又は32(図3)は、各発光素子(図示せず)から出射されたレーザ光を光ディスクの信号部へ集光させる役割を果たす。OBL31,32は、例えば、略無色透明なガラス材料が用いられて形成される。又は、OBL31,32は、例えば、略無色透明な合成樹脂材料が用いられ、大量生産性に優れる射出成形法に基づいて形成される。
【0057】
OPU1i(図1,図2)を構成するレンズホルダ5iは、複数のOBL31,32が装着される第一ピース10iと、第一ピース10iの下側に装着される第二ピース20とを備えて構成されている。
【0058】
また、コイル41が備えられるコイル装着部11が、レンズホルダ5iの本体5bの側面部5eから本体5bの外側に向けて凸設されている。また、コイル42が備えられるコイル装着部12が、レンズホルダ5iの本体5bの側面部5eから本体5bの外側に向けて凸設されている。第一方向駆動用コイル41,42が巻回される第一コイル装着部11,12が、レンズホルダ5iを構成する第一ピース10iの側面部5eに一対ほど突出形成されている。
【0059】
また、コイル43(図1)が備えられるコイル装着部23が、レンズホルダ5iを構成する骨組部5f(図2)から骨組部5fの外側に向けて凸設されている(図1)。また、コイル44が備えられるコイル装着部24が、レンズホルダ5iを構成する骨組部5f(図2)から骨組部5fの外側に向けて凸設されている(図1)。また、コイル45が備えられるコイル装着部25が、レンズホルダ5iを構成する骨組部5f(図2)から骨組部5fの外側に向けて凸設されている(図1)。また、コイル46が備えられるコイル装着部26が、レンズホルダ5iを構成する骨組部5f(図2)から骨組部5fの外側に向けて凸設されている(図1)。第二方向駆動用コイル43,44,45,46が巻回される第二コイル装着部23,24,25,26が、レンズホルダ5iを構成する第二ピース20の骨組部5fに二対ほど突出形成されている。
【0060】
また、レンズホルダ5i(図1,図2)を構成する第一ピース10iおよび第二ピース20は、レンズホルダ5iを軽量化させると共に成形性に優れる合成樹脂材料が用いられて、大量生産性に優れる射出成形法に基づき形成されている。レンズホルダ5iを構成する第一ピース10iおよび第二ピース20は、コイル41,42,43,44,45,46に流される電流を絶縁させるために、絶縁性に優れる合成樹脂材料が用いられて形成されている。各コイル41,42,43,44,45,46が装備されるレンズホルダ5iは、絶縁性に優れる合成樹脂材料が用いられて形成される。レンズホルダ5iは、金属材料よりも比重が小さく軽量化に適した合成樹脂材料が用いられて形成されている。詳しく説明すると、レンズホルダ5iを構成する第一ピース10iおよび第二ピース20は、液晶ポリマなどの成形性に優れる耐熱性の熱可塑性合成樹脂が用いられて、大量生産性に優れる射出成形法に基づいて形成されている。
【0061】
レンズホルダ5iを構成する第一ピース10iおよび第二ピース20は、例えば、薄肉成形性に優れると共に半田付け等が行われるときの耐熱性に優れ、また射出成形性に優れ、さらに鉄材などよりも軽量化が可能とされる液晶ポリマ(LCP:liquid crystal polymer)が用いられて形成される。耐熱性に優れるタイプIの液晶ポリマとして、例えば、住友化学社製:スミカスーパー(登録商標)等が挙げられる。また、スミカスーパー(登録商標)の商品として、例えば、E5008L,E6008等が挙げられる。また、タイプIIの液晶ポリマとして、例えば、ポリプラスチックス社製:ベクトラ(登録商標)等が挙げられる。また、ベクトラ(登録商標)の商品として、例えば、グレードA410,S471等が挙げられる。
【0062】
複雑な形状のレンズホルダ5iとされていても、レンズホルダ5iが、第一ピース10iと、第一ピース10iに組み付けられる第二ピース20との二部材に分けられることにより、レンズホルダ5iは、射出成形法に基づいて容易に製造される。
【0063】
図1および図2においては、レンズホルダ5iは、第一ピース10iと、第二ピース20との二つのものを備えた二構造のものとして構成されているが、OPU1iの設計/仕様などにより、例えば、2ピース構造とされることなく単一部材のレンズホルダ(5i)とされたものも使用可能とされる。なお、この明細書において、符号に付けられた括弧( )は、図示されたものと若干異なる形状のもの等を説明するために、便宜上、用いられている。
【0064】
レンズホルダ5i(図1)の各コイル装着部11,12,23,24,25,26に、例えば、導線などの細径の電線が直に巻かれることで、各コイル41,42,43,44,45,46が構成される。一対の第一方向駆動用コイル41,42がレンズホルダ5iを構成する第一ピース10iに装着される。また、二対の第二方向駆動用コイル43,44,45,46がレンズホルダ5iを構成する第二ピース20に装着される。導線などの電線が巻回されることにより構成されたコイル41,42,43,44,45,46は、例えば、二層巻タイプのコイル41,42,43,44,45,46として構成される。
【0065】
コイル41,42,43,44,45,46は、例えば、治工具(図示せず)などが用いられて細径の線状導体がコイル装着部11,12,23,24,25,26に巻回されることにより構成される。導体として、例えば、軽量化が図られるエナメル銅クラッドアルミ線などの細径のエナメル材被覆電線が用いられる。また、エナメル材として、例えばB種はんだ付けエナメル樹脂などが挙げられる。エナメル材が被覆された細径線状導体の巻回作業が行われることにより、例えば、二層巻タイプのコイル41,42,43,44,45,46が構成される。
【0066】
なお、OPU1iの設計/仕様などにより、図1に示すコイル41,42,43,44,45,46に代えて、他の形態のコイル(図示せず)が用いられてもよい。例えば、コイル(41,42,43,44,45,46)として、一層巻されたコイル(41,42,43,44,45,46)が用いられてもよい。また、例えば、コイル(41,42,43,44,45,46)として、ガラス層部や、エポキシ樹脂層部などの樹脂層部などを備える基板に、回路導体が鍍金処理されて構成されたコイルが用いられてもよい(何れも図示せず)。例えば、コイルとして、プリントコイルが用いられてもよい。
【0067】
サスペンションワイヤとして、弾性支持特性に優れると共に細径の導体とされる電線に例えば鍍金処理されたもの等が用いられる。金属製サスペンションワイヤは、レンズホルダ5i(図1)の第一ピース10iに突出形成されたワイヤ装着部5vのワイヤ取付孔5wに挿通され、コイル41,42,43,44,45,46の一端部に半田接続されて、レンズホルダ5iに取り付けられる。そのときに、一対のワイヤ装着部5v,5vの各ワイヤ取付孔5wに各サスペンションワイヤが挿通された状態で、ワイヤ取付孔5wに下記電子線硬化型接着剤などの接着剤が塗布され、電子線硬化型接着剤などの接着剤が固化することにより、レンズホルダ5iに各サスペンションワイヤが固定される。接着剤として、例えば、レンズホルダ5iを構成する第一ピース10iに第一OBL31および第二OBL32(図3)を固着させる接着剤と同じ種類の接着剤を用いる。各OBL31,32が装着されたレンズホルダ5i(図1)は、複数の金属製サスペンションワイヤによって、移動可能に弾性支持される。
【0068】
また、各金属製サスペンションワイヤは、回路導体が設けられた回路基板に通電可能に接続されて取り付けられる(何れも図示せず)。回路基板の基板本体(図示せず)は、絶縁性に優れる合成樹脂材料が用いられて形成されている。例えば、合成樹脂製の基板本体の上に、金属製の回路導体が形成され、その上に、絶縁被膜が設けられて、回路基板が構成される(何れも図示せず)。回路基板は、例えば、PWB(printed wired board / printed wiring board)等と呼ばれている。
【0069】
光ディスク装置(図示せず)に内装されたOPU1iが用いられて、光ディスク(図示せず)における情報などのデータの再生または記録が行われる。光ディスクとして、例えば、CD系列の光ディスクや、DVD系列の光ディスクなどが挙げられる(何れも図示せず)。「CD」は、「Compact Disc」(商標)の略称である。また、「DVD」は「Digital Versatile Disc」(登録商標)の略称である。
【0070】
光ディスクについて詳しく説明すると、光ディスクとして、例えば「CD−ROM」,「DVD−ROM」などのデータ読出し専用の光ディスクや、「CD−R」,「DVD−R」,「DVD+R」などのデータ追記型の光ディスクや、「CD−RW」,「DVD−RW」,「DVD+RW」(登録商標),「DVD−RAM」,「HD DVD」(登録商標),「Blu-ray Disc」(登録商標)などのデータ書込み/消去やデータ書換え可能なタイプの光ディスクなどが挙げられる。
【0071】
「CD−ROM」若しくは「DVD−ROM」の「ROM」は、「Read Only Memory」の略称である。「CD−ROM」もしくは「DVD−ROM」は、データ/情報読出し専用のものである。また「CD−R」又は「DVD−R」若しくは「DVD+R」の「R」は、「Recordable」の略称である。「CD−R」又は「DVD−R」若しくは「DVD+R」は、データ/情報の書込みが可能なものである。また「CD−RW」又は「DVD−RW」若しくは「DVD+RW」の「RW」は、「Re-Writable」の略称である。「CD−RW」又は「DVD−RW」若しくは「DVD+RW」は、データ/情報の書換えが可能なものである。また「DVD−RAM」は、「Digital Versatile Disc Random Access Memory」の略称である。「DVD−RAM」は、データ/情報の読み書き/消去が可能なものである。
【0072】
また「HD DVD」は「High Definition DVD」の略称である。「HD DVD」は、従来のDVD系列のものと互換性をもたせ、且つ、従来のDVD系列のディスクよりも記憶容量の大きいものである。従来のCDには、赤外レーザが用いられていた。また、従来のDVDには、赤色レーザが用いられていた。しかしながら、「HD DVD」の光ディスクに記録されたデータ/情報が読み出されるときには、青紫色レーザが用いられる。また「Blu-ray」とは、従来の信号の読み書きに用いられていた赤色のレーザに対し、高密度記録が実現されるために採用された青紫色のレーザを意味する。
【0073】
また、光ディスクとして、例えばディスク両面に信号面が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換えが可能とされた光ディスク(図示せず)等も挙げられる。また、光ディスクとして、例えば二層の信号面が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換えが可能とされた光ディスク(図示せず)等も挙げられる。また、例えば三層の信号面が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換えが可能とされた「HD−DVD」用光ディスク(図示せず)等も挙げられる。また、例えば四層の信号面が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換えが可能とされた「Blu-ray Disc」用光ディスク(図示せず)等も挙げられる。また、ディスクのレーベル面側にもレーザ光を照射させてレーベル等の各種書込みが可能とされた光ディスク(図示せず)等も挙げられる。
【0074】
OPU1iは、前記各種光ディスクに記録されたデータを再生させたり、前記書込み可能もしくは書換え可能な各種光ディスクにデータを記録させたりするときに用いられる。OPU1iは、CD系の光ディスクや、DVD系の光ディスク等に対応する。このOPU1iは、複数の光ディスクに対応可能なものとされている。
【0075】
また、OPU1iは、第一波長レーザ光と、第一波長レーザ光と異なる波長光の第二波長レーザ光と、第一波長レーザ光および第二波長レーザ光と異なる波長光の第三波長レーザ光との三波長に対応したものとされている。第一波長レーザ光は、例えば波長が約390〜420nm(ナノメータ)、基準とされる波長が略405nmの「HD DVD」用および「Blu-ray Disc」用の青紫色レーザ光とされている。また、第二波長レーザ光は、例えば波長が約630〜685nm、基準とされる波長が略635nmまたは650nmのDVD用の赤色レーザ光とされている。また、第三波長レーザ光は、例えば波長が約770〜830nm、基準とされる波長が略780nmのCD用の赤外レーザ光とされている。
【0076】
第一OBL31は、例えば、第一波長レーザ光に対応した「Blu-ray Disc」専用のものとされている。第一OBL31の開口数は、略0.85とされている。開口数とは、光学器械でOBLの有効半径(入射ひとみの半径)を物点から見る角の正弦と、入射側の媒質の屈折率との積をいう。開口数は、OBLの性能を表すときに用いられる。開口数(Numerical Aperture)は、「NA」と省略されて用いられている。
【0077】
第二OBL32は、例えば、「HD DVD」用の第一波長レーザ光と、「DVD」用の第二波長レーザ光と、「CD」用の第三波長レーザ光との三種類のレーザ光に対応したものとされている。第二OBL32の開口数は、略0.6とされている。第二OBL32を透過するレーザ光の光路に、開口制限付広帯域1/4波長板(図示せず)が設けられ、この開口制限付広帯域1/4波長板により、第二OBL32は、例えば開口数約0.37〜0.95、実質的に開口数略0.45〜0.65として機能する。
【0078】
第一発光素子(図示せず)から出射された第一波長レーザ光は、OPU1i(図2)を構成するレンズホルダ5iの下側開口部5aからレンズホルダ5iの第一のレーザ光通過空間部5m内に入射されて第一のレーザ光通過空間部5mを通り抜け、第一OBL31により集光されて、「Blu-ray Disc」系光ディスクの信号面にスポット状に照射される。
【0079】
また、第一発光素子(図示せず)から出射された第一波長レーザ光は、OPU1i(図2)を構成するレンズホルダ5iの下側開口部5aからレンズホルダ5iの第二のレーザ光通過空間部5n内に入射されて第二のレーザ光通過空間部5nを通り抜け、第二OBL32(図3)により集光されて、「HD DVD」系光ディスクの信号面にスポット状に照射される。
【0080】
また、第二発光素子(図示せず)から出射された第二波長レーザ光は、OPU1i(図2)を構成するレンズホルダ5iの下側開口部5aからレンズホルダ5iの第二のレーザ光通過空間部5n内に入射されて第二のレーザ光通過空間部5nを通り抜け、第二OBL32(図3)により集光されて、「DVD」系光ディスクの信号面にスポット状に照射される。
【0081】
また、第三発光素子(図示せず)から出射された第三波長レーザ光は、OPU1i(図2)を構成するレンズホルダ5iの下側開口部5aからレンズホルダ5iの第二のレーザ光通過空間部5n内に入射されて第二のレーザ光通過空間部5nを通り抜け、第二OBL32(図3)により集光されて、「CD」系光ディスクの信号面にスポット状に照射される。
【0082】
OPU1iの設計/仕様などにより、例えば、第二発光素子および第三発光素子が、一つの発光素子として構成された二波長発光素子が用いられてもよい。また、OPU1iの設計/仕様などにより、例えば、第一発光素子と第二発光素子と第三発光素子とが、一つの発光素子として構成された三波長発光素子が用いられてもよい。
【0083】
OPU1i(図1)の駆動部は、例えば、電流が流されて通電状態とされたときに電磁力を発生する複数のコイル41,42,43,44,45,46と、複数のコイル41,42,43,44,45,46に対応し常に磁力を発生する複数の磁石(図示せず)と、前記複数の磁石のうち各第一磁石が装着される第一ヨーク(図示せず)と、前記複数の磁石のうち各第二磁石が装着される第二ヨーク(図示せず)と、コイル41の近傍に位置しレーザ光が透過する第一OBL31と、コイル42の近傍に位置しレーザ光が透過する第二OBL32と、複数のコイル41,42,43,44,45,46と複数のOBL31,32とが装着される一つのレンズホルダ5iと、一つのレンズホルダ5iを弾性支持する複数のサスペンションワイヤ(図示せず)とを備えるものとして構成される。
【0084】
「ヨーク」とは、例えば磁気的な連結を構造的に支持したものを意味する。また、ヨーク(yoke)は、磁石から生じる磁力の漏れを少なくさせるものとされている。また、OPU1iの駆動部は、いわゆるアクチュエータとして構成される。「アクチュエータ」とは、例えばエネルギーを並進運動または回転運動に変換させる駆動装置を意味する。アクチュエータ(actuator)は、「ACT」と略称されて用いられる。各OBL31,32によって絞られたレーザ光の焦点が、光ディスクの信号層に合わせられるときに、各OBL31,32がレンズホルダ5iに装着されて構成されたレンズ組立体は、アクチュエータにより前後上下に駆動される。
【0085】
第一方向駆動用コイル41に対応して、第一方向駆動用磁石が第一ヨークに取付固定される。また、第一方向駆動用コイル42に対応して、第一方向駆動用磁石が第一ヨークに取付固定される。また、第二方向駆動用コイル43に対応して、第二方向駆動用磁石が第二ヨークに取付固定される。また、第二方向駆動用コイル44に対応して、第二方向駆動用磁石が第二ヨークに取付固定される。また、第二方向駆動用コイル45に対応して、第二方向駆動用磁石が第二ヨークに取付固定される。また、第二方向駆動用コイル46に対応して、第二方向駆動用磁石が第二ヨークに取付固定される。
【0086】
また、各OBL31,32が装着されるレンズホルダ5iは、複数のサスペンションワイヤによって、移動可能に弾性支持される。また、各サスペンションワイヤは、回路基板(図示せず)に通電可能に接続されて取り付けられる。
【0087】
また、OPU1iの可動部は、例えば、電流が流されて通電状態とされたときに電磁力を発生する六つのコイル41,42,43,44,45,46と、コイル41の近傍に位置しレーザ光が透過する第一OBL31と、コイル42の近傍に位置しレーザ光が透過する第二OBL32と、六つのコイル41,42,43,44,45,46と二つのOBL31,32とが装着される一つのレンズホルダ5iと、一つのレンズホルダ5iを弾性支持する六本のサスペンションワイヤとを備えるものとして構成される。
【0088】
回路基板と、サスペンションワイヤとが通電可能に接続され、サスペンションワイヤと、コイル41,42,43,44,45,46とが通電可能に接続され、回路基板からサスペンションワイヤを経由してコイル41,42,43,44,45,46に電流が流されることで、コイル41,42,43,44,45,46と、対物レンズ31,32とを備えるレンズホルダ5iが動かされる。
【0089】
このOPU1i(図1,図2)は、第一波長光に対応し取付基準となる第一OBL31(図1〜図3)と、第一波長光と異なる波長光の第二波長光に対応し第一OBL31に並設される第二OBL32(図3)と、第一OBL31および第二OBL32が取り付けられるレンズホルダ5i(図1,図2)とを少なくとも備えるものとされている。レンズホルダ5iに位置合せされて取り付けられた第一OBL31に対し、第二OBL32(図3)は、光軸角度調整が行われてレンズホルダ5iに取り付けられる。第一OBL31の環状をした略平面状の上側基準面部31nと、第二OBL32の環状をした略平面状の上側基準面部32nとが、略平行となるように微調整されて、第二OBL32(図3)がレンズホルダ5i(図1,図2)に取り付けられる。
【0090】
このようにOPU1iが構成されていれば、第二OBL32は、第一OBL31に対して精度よく光軸角度調整が行われて、レンズホルダ5iに取り付けられる。取付基準となる第一OBL31に対し、第二OBL32は、光軸角度調整が行われてレンズホルダ5iに取り付けられるので、第一OBL31に対する第二OBL32の光軸の角度差は、少なく抑えられる。従って、レンズホルダ5iに第一OBL31および第二OBL32が精度よく取り付けられて構成されたOPU1iの提供が可能となる。
【0091】
第一OBL31(図1〜図3)を透過するレーザ光の光軸と、第二OBL32(図3)を透過するレーザ光の光軸とが略平行状態に調整されて、レンズホルダ5i(図1,図2)に、第一OBL31と、第二OBL32(図3)とが取り付けられる。
【0092】
これにより、第一OBL31の光軸に対する第二OBL32の光軸の角度差は、少なく抑えられる。レンズホルダ5iに取り付けられた第一OBL31の光軸に対し、第二OBL32の光軸が略平行状態となるように調整されて、レンズホルダ5iに第二OBL32が取り付けられるので、精度よく第一OBL31および第二OBL32がレンズホルダ5iに取り付けられて構成されたOPU1iを提供することが可能となる。
【0093】
図1および図2の如く、レンズホルダ5iは、第一OBL31が取り付けられる第一レンズ装着部13aと、第二OBL32が取り付けられる第二レンズ装着部13bとを備えるものとされている。図2の如く、第一レンズ装着部13aに、第一OBL31の取付部31aが合わせられる基準部13が設けられている。具体的に説明すると、第一レンズ装着部13aに、第一OBL31の取付面部31aが合わせられる基準面部13が設けられている。また、第二レンズ装着部13bに、第二OBL32(図3)の取付部32bが光軸角度調整可能に合わせられる光軸角度調整部13(図1,図2)が設けられている。
【0094】
このようにOPU1iが構成されていれば、第一OBL31および第二OBL32は、精度よくレンズホルダ5iに取り付けられる。レンズホルダ5iの第一レンズ装着部13aの基準面部13に、第一OBL31の取付面部31aが合わせられることにより、第一OBL31は、レンズホルダ5iに精度よく取り付けられる。また、レンズホルダ5iの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に、第二OBL32の取付部32bが合わせられて、第一OBL31に対する第二OBL32の光軸角度調整が行われることにより、第二OBL32は、レンズホルダ5iに精度よく取り付けられる。従って、レンズホルダ5iに対する第一OBL31および第二OBL32の取付作業は、精度よく行われる。
【0095】
レンズホルダ5i(図1,図2)の第一レンズ装着部13aの基準面部13上に、第一OBL31の略円環状取付部31aの下側周縁端部31eが位置する。レンズホルダ5iの第一レンズ装着部13aの基準面部13は、滑らかな平面として形成されている。
【0096】
レンズホルダ5i(図1,図2)の第二レンズ装着部13bに設けられた光軸角度調整部13は、第二OBL32(図3)の光軸角度調整を可能とさせる球座部13s(図1,図2)を備えるものとされている。光ディスクに対し、OPU1iの第二OBL32に相対スキューが発生することを解消させるために、基準となる一方の対物レンズ31に対し、他方の対物レンズ32(図3)の角度を調整させることが可能とされた形状のレンズホルダ5i(図1,図2)を構成する。
【0097】
これにより、第一OBL31の光軸に対する第二OBL32の光軸の角度調整は、精度よく行われる。第二OBL32が取り付けられるレンズホルダ5iの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に球座部13sが設けられているので、レンズホルダ5iの第二レンズ装着部13bの球座部13s上にて、第二OBL32の光軸角度は自在に調整される。
【0098】
レンズホルダ5i(図1,図2)の第二レンズ装着部13bに設けられた光軸角度調整部13の球座部13sは、レンズホルダ5iの第一レンズ装着部13aの基準面部13よりもレンズホルダ5iの上側に球座部13sの上側周縁端部13eが位置し且つレンズホルダ5iの上側に向けて突設された断面内部略湾曲面状の鍔部13rを有する。断面内部略湾曲面状の鍔部13rは、レンズホルダ5iの第一レンズ装着部13aの基準面部13よりも上側の光軸角度調整部13を構成する球座部13sの周縁端部13eまで延長形成されている。
【0099】
これにより、第一OBL31の光軸に対する第二OBL32の光軸の角度調整は、精度よく行われ易くなる。レンズホルダ5iの第二レンズ装着部13bに設けられた光軸角度調整部13の球座部13sは、レンズホルダ5iの第一レンズ装着部13aの基準面部13よりもレンズホルダ5iの上側に球座部13sの上側周縁端部13eが位置し且つレンズホルダ5iの上側に向けて突設された断面内部略湾曲面状の鍔部13rを有する構造とされているので、レンズホルダ5iの第二レンズ装着部13bの球座部13s上にて、第二OBL32の光軸角度が行われるときに、例えば、第二OBL32の略円環状取付部32bの下側周縁端部32eが、光軸角度調整部13の球座部13sの周縁端部13eからはみ出されるということは回避される。第二OBL32の略円環状取付部32bの下側周縁端部32eが光軸角度調整部13の球座部13sの周縁端部13eからはみ出されないので、第一OBL31の光軸に対する第二OBL32の光軸の角度調整が精度よく行われないという不具合の発生は、回避され易くなる。
【0100】
レンズホルダ5i(図1,図2)の第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた球座部13sに、第二OBL32(図3)の略円環状取付部32bの下側周縁端部32eが接する。レンズホルダ5i(図1,図2)の第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた球座部13sは、滑らかな曲面で形成された球面座部13sとされている。
【0101】
これにより、第一OBL31の光軸に対する第二OBL32の光軸の角度調整は、精度よく行われる。レンズホルダ5iの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた球面座部13sに、第二OBL32の略円環状取付部32bの下側周縁端部32eが接した状態で、第二OBL32の光軸角度調整が行われる。第二OBL32は、レンズホルダ5iの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた球面座部13s上において、自在に角度調整される。従って、第一OBL31に対する第二OBL32の光軸角度調整が精度よく行われる。
【0102】
レンズホルダ5i(図1,図2)の第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、第二OBL32(図3)に形成された略平面状の上側基準面部32nが0〜3°の角度とされて、レンズホルダ5i(図1,図2)の第二レンズ装着部13bに設けられた角度調整部13の球面座部13sに、第二OBL32(図3)が備えられる。
【0103】
第一OBL31(図1,図2)に対する第二OBL32(図3)の角度調整が行われるときに、レンズホルダ5i(図1,図2)の第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、第二OBL32(図3)の上側に設けられた略平面状の基準面部32nが、設計数値上、−3°ないし+3°の範囲内で傾けられる。
【0104】
これにより、第一OBL31に対する第二OBL32の角度調整は、精度よく容易に行われる。レンズホルダ5iの第二レンズ装着部13bに設けられた角度調整部13の球面座部13sに、第二OBL32が備えられて、レンズホルダ5iの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、第二OBL32に形成された略平面状の上側基準面部32nが0〜3°の角度に調整されて、第一OBL31に対する第二OBL32の角度調整が行われるので、第二OBL32の角度調整が行われるときの微調整は、精度よく容易に行われる。
【0105】
レンズホルダ5i(図1,図2)の第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、第二OBL32(図3)に形成された略平面状の上側基準面部32nが0〜2°の角度とされて、レンズホルダ5i(図1,図2)の第二レンズ装着部13bに設けられた角度調整部13の球面座部13sに、第二OBL32(図3)が備えられることが好ましい。
【0106】
第一OBL31(図1,図2)に対する第二OBL32(図3)の角度調整が行われるときに、レンズホルダ5i(図1,図2)の第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、第二OBL32(図3)の上側に設けられた略平面状の基準面部32nが、設計数値上、−2°ないし+2°の範囲内で傾けられることが好ましい。
【0107】
これにより、レンズホルダ5iの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、第二OBL32が甚だしく傾けられることなく、レンズホルダ5iに第二OBL32が精度よく装着される。
【0108】
レンズホルダ5i(図1,図2)の第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、第二OBL32(図3)に形成された略平面状の上側基準面部32nが0〜1°の角度とされて、レンズホルダ5i(図1,図2)の第二レンズ装着部13bに設けられた角度調整部13の球面座部13sに、第二OBL32(図3)が備えられるとよい。
【0109】
第一OBL31(図1,図2)に対する第二OBL32(図3)の角度調整が行われるときに、レンズホルダ5i(図1,図2)の第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、第二OBL32(図3)の上側に設けられた略平面状の基準面部32nが、設計数値上、−1°ないし+1°の範囲内で傾けられるとよい。
【0110】
これにより、レンズホルダ5iの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13と、第二OBL32の上側に設けられた略平面状の基準面部32nとが略平行な状態とされ、レンズホルダ5iに第二OBL32が高精度に装着される。
【0111】
第一OBL31に対する第二OBL32の角度調整は、治具が用いられて行われる。レンズホルダ5iを下から支えた状態で、第二OBL32を上からゴニオステージ(図示せず)に取り付けたヘッド(図示せず)などで押さえながら、第二OBL32の角度調整を行う。
【0112】
接着剤(図示せず)が用いられて、レンズホルダ5i(図1,図2)に、第一OBL31および第二OBL32(図3)が固定される。接着剤が用いられることにより、第一OBL31および第二OBL32は、レンズホルダ5iに確実に固定される。
【0113】
レンズホルダ5i(図1,図2)の第一ピース10iの基準部13に備えられた第一OBL31の周縁部31dからレンズホルダ5iの第一ピース10iの基準部13にかけて接着剤が点付け状態で塗布されて、レンズホルダ5iの第一ピース10iの基準部13に、第一OBL31が接着固定される。また、レンズホルダ5iの第一ピース10iの光軸角度調整部13に備えられた第二OBL32(図3)の周縁部32dからレンズホルダ5i(図1,図2)の第一ピース10iの光軸角度調整部13における球座部13sにかけて接着剤が点付け状態で塗布されて、レンズホルダ5iの第一ピース10iの光軸角度調整部13に、第二OBL32が接着固定される。
【0114】
接着剤として、光などの電子線が照射されることで硬化する電子線硬化型接着剤が用いられた。具体的に説明すると、接着剤として、紫外線が照射されることで硬化する紫外線硬化型接着剤が用いられた。
【0115】
これにより、第一OBL31および第二OBL32は、レンズホルダ5iを構成する第一ピース10iに精度よく迅速に固定される。レンズホルダ5iを構成する第一ピース10iの基準部13に第一OBL31が精度よく固定されることにより、光ディスクの信号面部に精度よくレーザ光が照射される。また、レンズホルダ5iを構成する第一ピース10iの光軸角度調整部13に第二OBL32が精度よく固定されることにより、光ディスクの信号面部に精度よくレーザ光が照射される。また、レンズホルダ5iを構成する第一ピース10iに第一OBL31および第二OBL32が迅速に固着されることにより、レンズホルダ5iを構成する第一ピース10iに対する第一OBL31および第二OBL32の接着作業は速やかに行われる。従って、OPU1iの組立工程における接着工程が迅速化される。OPU1iの組立方法は、効率よく迅速に行われる。また、これに伴って、OPU1iの価格低減化が図られる。
【0116】
電子線硬化型接着剤の一種とされる紫外線硬化型接着剤として、例えば、米国EMI社製:商品名「OPTOCAST」シリーズのもの等が挙げられる。具体的な紫外線硬化型接着剤としては、米国EMI社製:OPTOCAST3400,OPTOCAST3415等が挙げられる。OPTOCAST3400,OPTOCAST3415等の紫外線硬化型接着剤は、エポキシ系のものとされ、一液性の紫外線硬化型接着剤とされている。エポキシ系の紫外線硬化型接着剤は、低収縮性で高耐熱性のものとされ、耐薬品性、耐湿性に優れるものとされている。一液性の紫外線硬化型接着剤が用いられることにより、二液性の紫外線硬化型接着剤が使用されるときに行われる液と液との混合作業が不要となる。従って、接着剤の塗布工程は、迅速で効率的に行われる。
【0117】
また、電子線硬化型接着剤の一種とされる紫外線硬化型接着剤として、例えば、米国NORLAND社製:光学UV接着剤NOA60,NOA83H等が挙げられる。光学UV接着剤NOA60,NOA83H等の紫外線硬化型接着剤は、アクリル系のものとされ、一液性の紫外線硬化型接着剤とされている。アクリル系の紫外線硬化型接着剤は、硬化時間が短く数秒単位で硬化可能なものとされている。「UV」とは、「ultraviolet」を意味する。また、「ultraviolet radiation」は、「紫外線」を意味する。紫外線硬化型接着剤は、UV硬化型接着剤などと呼ばれている。光ピックアップ装置の設計仕様などにより、例えば二液性の紫外線硬化型接着剤が用いられて接着工程が行われたものも使用可能とされる。二液性の紫外線硬化型接着剤として、例えば二液性エポキシ系の紫外線硬化型接着剤などが挙げられる。
【0118】
上記OPU1iは、光ディスク装置(図示せず)に内装される。光ディスク装置は、上記OPU1iを備えるものとして構成される。
【0119】
これにより、レンズホルダ5iに第一OBL31および第二OBL32が精度よく取り付けられて構成されたOPU1i付の光ディスク装置を提供することが可能となる。光ディスク装置に各種光ディスク(図示せず)が挿入されて、光ディスクのデータが読み出されたり、光ディスクにデータが書き込まれたりされるときに、第一OBL31に対する第二OBL32の光軸の角度差を少なく抑えたOPU1iが、光ディスク装置に装備されるので、各種光ディスクからのデータの読出しや、各種各光ディスクに対するデータの書込みは、OPU1iを備える光ディスク装置にて正常に行われる。
【実施例2】
【0120】
図4は、本発明に係る光ピックアップ装置の第二の実施形態を示す斜視図、図5は、図4のB−B断面図、図6は、光ピックアップ装置のレンズホルダの第二レンズ装着部を示す拡大断面図である。
【0121】
光ピックアップ装置(OPU)1ii(図4,図5)のレンズホルダ5iiの第一ピース10iiに取り付けられる各対物レンズ(OBL)31,32について、図3を併用して説明する。
【0122】
また、第一の実施形態におけるOPU1i(図1,図2)と、第二の実施形態におけるOPU1ii(図4,図5)との差異部について説明すると、OPU1i(図1,図2)のレンズホルダ5iの第一ピース10iにおける第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に対し、OPU1ii(図4,図5)のレンズホルダ5iiの第一ピース10iiにおける第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13が異なる。他の部分においては、図1および図2に示す実施例1のものと、図4および図5に示す実施例2のものとは、全て同一とされている。実施例2において、実施例1にて説明したものと同一のものについては、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略した。
【0123】
OPU1ii(図4,図5)を構成するレンズホルダ5iiは、複数のOBL31,32が装着される上記合成樹脂製の第一ピース10iiと、第一ピース10iiの下側に装着される上記合成樹脂製の第二ピース20とを備えて構成されている。レンズホルダ5iiを構成する第一ピース10iiおよび第二ピース20は、上記液晶ポリマなどの成形性に優れる耐熱性の熱可塑性合成樹脂が用いられて、大量生産性に優れる射出成形法に基づいて形成されている。
【0124】
図4および図5においては、レンズホルダ5iiは、第一ピース10iiと、第二ピース20との二つのものを備えた二構造のものとして構成されているが、OPU1iiの設計/仕様などにより、例えば、2ピース構造とされることなく単一部材のレンズホルダ(5ii)とされたものも使用可能とされる。
【0125】
OPU1iiは、上記複数の光ディスクに対応可能なものとされている。また、OPU1iiは、上記第一波長レーザ光と、上記第一波長レーザ光と異なる波長光の上記第二波長レーザ光と、上記第一波長レーザ光および上記第二波長レーザ光と異なる波長光の上記第三波長レーザ光との三波長に対応したものとされている。
【0126】
このOPU1ii(図4,図5)は、第一波長光に対応し取付基準となる第一OBL31(図3〜図5)と、第一波長光と異なる波長光の第二波長光に対応し第一OBL31に並設される第二OBL32(図3)と、第一OBL31および第二OBL32が取り付けられるレンズホルダ5ii(図4,図5)とを少なくとも備えるものとされている。レンズホルダ5iiに位置合せされて取り付けられた第一OBL31に対し、第二OBL32(図3)は、光軸角度調整が行われてレンズホルダ5iiに取り付けられる。第一OBL31の環状をした略平面状の上側基準面部31nと、第二OBL32の環状をした略平面状の上側基準面部32nとが、略平行となるように微調整されて、第二OBL32(図3)がレンズホルダ5ii(図4,図5)に取り付けられる。
【0127】
このようにOPU1iiが構成されていれば、第二OBL32は、第一OBL31に対して精度よく光軸角度調整が行われて、レンズホルダ5iiに取り付けられる。取付基準となる第一OBL31に対し、第二OBL32は、光軸角度調整が行われてレンズホルダ5iiに取り付けられるので、第一OBL31に対する第二OBL32の光軸の角度差は、少なく抑えられる。従って、レンズホルダ5iiに第一OBL31および第二OBL32が精度よく取り付けられて構成されたOPU1iiの提供が可能となる。
【0128】
第一OBL31(図3〜図5)を透過するレーザ光の光軸と、第二OBL32(図3)を透過するレーザ光の光軸とが略平行状態に調整されて、レンズホルダ5ii(図4,図5)に、第一OBL31と、第二OBL32(図3)とが取り付けられる。
【0129】
これにより、第一OBL31の光軸に対する第二OBL32の光軸の角度差は、少なく抑えられる。レンズホルダ5iiに取り付けられた第一OBL31の光軸に対し、第二OBL32の光軸が略平行状態となるように調整されて、レンズホルダ5iiに第二OBL32が取り付けられるので、精度よく第一OBL31および第二OBL32がレンズホルダ5iiに取り付けられて構成されたOPU1iiを提供することが可能となる。
【0130】
図4および図5の如く、レンズホルダ5iiは、第一OBL31が取り付けられる第一レンズ装着部13aと、第二OBL32が取り付けられる第二レンズ装着部13bとを備えるものとされている。図5の如く、第一レンズ装着部13aに、第一OBL31の取付部31aが合わせられる基準部13が設けられている。具体的に説明すると、第一レンズ装着部13aに、第一OBL31の取付面部31aが合わせられる基準面部13が設けられている。また、第二レンズ装着部13bに、第二OBL32(図3)の取付部32bが光軸角度調整可能に合わせられる光軸角度調整部13(図4,図5,図6)が設けられている。
【0131】
このようにOPU1iiが構成されていれば、第一OBL31および第二OBL32は、精度よくレンズホルダ5iiに取り付けられる。レンズホルダ5iiの第一レンズ装着部13aの基準面部13に、第一OBL31の取付面部31aが合わせられることにより、第一OBL31は、レンズホルダ5iiに精度よく取り付けられる。また、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に、第二OBL32の取付部32bが合わせられて、第一OBL31に対する第二OBL32の光軸角度調整が行われることにより、第二OBL32は、レンズホルダ5iiに精度よく取り付けられる。従って、レンズホルダ5iiに対する第一OBL31および第二OBL32の取付作業は、精度よく行われる。
【0132】
レンズホルダ5ii(図4,図5)の第一レンズ装着部13aの基準面部13上に、第一OBL31の略円環状取付部31aの下側周縁端部31eが位置する。レンズホルダ5iの第一レンズ装着部13aの基準面部13は、滑らかな平面として形成されている。
【0133】
レンズホルダ5ii(図4〜図6)の第二レンズ装着部13bに設けられた光軸角度調整部13は、第二OBL32(図3)の光軸角度調整を可能とさせる略平面状の斜面部13s,13s(図4〜図6)を備えるものとされている。略平面状の斜面部13s,13sは、例えばテーパとして形成されている。光ディスクに対し、OPU1ii(図4,図5)の第二OBL32に相対スキューが発生することを解消させるために、基準となる一方の対物レンズ31に対し、他方の対物レンズ32(図3)の角度を調整させることが可能とされた形状のレンズホルダ5ii(図4,図5)を構成する。
【0134】
これにより、第一OBL31の光軸に対する第二OBL32の光軸の角度調整は、容易に行われる。第二OBL32が取り付けられるレンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に、略平面状の斜面部13s,13sが設けられているので、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの略平面状斜面部13s,13s上にて、第二OBL32の光軸角度は、容易に調整される。
【0135】
レンズホルダ5ii(図4〜図6)の第二レンズ装着部13bに設けられた光軸角度調整部13は、第二OBL32(図3)の光軸角度調整を可能とさせる一対の略平面状斜面部13s,13s(図4〜図6)と、一対の略平面状斜面部13s,13sの間に設けられた頂部13tとを備えるものとして構成されている。略直線状の頂部13tを境に、一方の略平面状斜面部13sと、他方の略平面状斜面部13sとが設けられて、第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13がレンズホルダ5iiに構成されている。
【0136】
このようにレンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13が構成されていれば、第一OBL31の光軸に対する第二OBL32の光軸の角度調整は、容易に行われる。第二OBL32が取り付けられるレンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に、一対の略平面状斜面部13s,13sが設けられると共に、一対の略平面状斜面部13s,13sの間に頂部13tが設けられているので、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bにおける一対の略平面状斜面部13s,13sおよび頂部13t上に第二OBL32が備えられたのちに、第二OBL32の光軸角度調整が容易に行われる。
【0137】
第二OBL32は、例えばシーソのように、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた頂部13tを支点として、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13における一方の略平面状斜面部13sまたは他方の略平面状斜面部13sに向けて傾けられる。従って、第一OBL31に対する第二OBL32の光軸角度調整は、容易に実行される。
【0138】
レンズホルダ5ii(図4〜図6)の第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13上に第二OBL32(図3)が備えられたときに、レンズホルダ5ii(図4〜図6)の第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた頂部13tに、第二OBL32(図3)の略円環状取付部32bが必ず接する。
【0139】
これにより、第一OBL31の光軸に対する第二OBL32の光軸の角度調整は、容易に行われる。レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた頂部13tに、第二OBL32の略円環状取付部32bが必ず接した状態で、第二OBL32の光軸角度調整が行われる。
【0140】
第二OBL32の取付部32bは、例えばシーソのように、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた頂部13tを支点として、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13における一方の略平面状斜面部13sと、他方の略平面状斜面部13sとの間で傾けられる。レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた頂部13tを支点として、第二OBL32が傾けられることにより、第一OBL31に対する第二OBL32の光軸角度調整が容易に実行される。
【0141】
レンズホルダ5ii(図4〜図6)の第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた一対の略平面状の斜面部13s,13sは、0°を超え3°以下の角度αs,αsに傾けられている。
【0142】
図5および図6において、第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、第二レンズ装着部13bに設けられた頂部13tを中心として反時計回り方向に傾けられたものを、設計数値上、マイナス(−)の角度に傾けられたものと定める。また、第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、第二レンズ装着部13bに設けられた頂部13tを中心として時計回り方向に傾けられたものを、設計数値上、プラス(+)の角度に傾けられたものと定める。
【0143】
レンズホルダ5iiの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13が0°と定められたときに、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた第一の略平面状の斜面部13sは、例えば、設計数値上、−3°以上0°未満の角度に傾けられている。
【0144】
また、レンズホルダ5iiの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13が0°と定められたときに、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた第二の略平面状の斜面部13sは、例えば、設計数値上、0°を超え+3°以下の角度に傾けられている。
【0145】
レンズホルダ5iiの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた一対の略平面状の斜面部13sまたは13sは、例えば、設計数値上、−3°以上0°未満または0°を超え+3°以内の範囲内の角度αs,αsに傾けられている。
【0146】
また、レンズホルダ5iiの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、一対の略平面状斜面部13s,13sの傾斜角度αs,αsが、0°を超え3°以下とされたことにより、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた頂部13tの角度αtは、174°以上180°未満の鈍角とされる。鈍角とは、90°よりも大きく180°よりも小さい角を意味する。
【0147】
このように各角度αs,αs,αtが定められていれば、第一OBL31の光軸に対する第二OBL32の光軸の角度調整は、精度よく容易に行われる。レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた鈍角の頂部13tに、第二OBL32の略円環状取付部32bが接した状態で、第二OBL32の光軸角度調整が行われる。
【0148】
レンズホルダ5iiの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた一対の略平面状の斜面部13s,13sが、0°を超え3°以下の角度αs,αsに傾けられて、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた頂部13tの角度αtが、174°以上180°未満の鈍角とされているので、第一OBL31に対する第二OBL32の光軸角度調整が行われているときに、例えば、第二OBL32の光軸角度が大幅に狂い、第二OBL32の光軸角度調整が行われ難くなるという不具合の発生は回避される。
【0149】
第二OBL32は、例えばシーソのように、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた頂部13tを支点として、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13における第一の略平面状斜面部13s(例:−3°)と、第二の略平面状斜面部13s(例:+3°)との間で精度よく傾けられる。従って、第二OBL32の光軸角度調整が行われるときの微調整は、精度よく容易に行われる。
【0150】
レンズホルダ5ii(図4〜図6)の第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた一対の略平面状の斜面部13s,13sは、0°を超え2°以下の小さい角度αs,αsに傾けられることが好ましい。
【0151】
レンズホルダ5iiの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた一対の略平面状の斜面部13sまたは13sは、例えば、設計数値上、−2°以上0°未満または0°を超え+2°以内の範囲内の角度αs,αsに傾けられることが好ましい。
【0152】
また、レンズホルダ5iiの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、一対の略平面状斜面部13s,13sの傾斜角度αs,αsが、0°を超え2°以下とされたことにより、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた頂部13tの角度αtは、176°以上180°未満の鈍角とされることが好ましい。
【0153】
これにより、レンズホルダ5iiの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、第二OBL32が大きく傾けられることなく、レンズホルダ5iiに第二OBL32が精度よく装着される。
【0154】
レンズホルダ5ii(図4〜図6)の第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた一対の略平面状の斜面部13s,13sは、0°を超え1°以下の僅かな角度αs,αsに傾けられるとよい。
【0155】
レンズホルダ5iiの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた一対の略平面状の斜面部13sまたは13sは、例えば、設計数値上、−1°以上0°未満または0°を超え+1°以内の範囲内の角度αs,αsに傾けられるとよい。
【0156】
また、レンズホルダ5iiの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13に対し、一対の略平面状斜面部13s,13sの傾斜角度αs,αsが、0°を超え1°以下とされたことにより、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた頂部13tの角度αtは、178°以上180°未満の鈍角とされるとよい。
【0157】
これにより、レンズホルダ5iiの第一レンズ装着部13aに設けられた略平面状の基準面部13と、第二OBL32の上側に設けられた略平面状の基準面部32nとが略平行な状態とされ、レンズホルダ5iiに第二OBL32が高精度に装着される。
【0158】
第一OBL31もしくは第二OBL32を透過したレーザ光が光ディスクに向けて進む方向Da、又は、光ディスクに反射されたレーザ光が第一OBL31もしくは第二OBL32に向けて進む方向Daをアキシャル方向Daと定める。アキシャル方向Daは、レンズホルダ5iまたはOPU1iの上下方向Daとされる。
【0159】
また、第一OBL31(図4,図5)または第二OBL32(図3)を透過したレーザ光が照射される光ディスクのトラック方向Dtまたはピット方向Dtをタンジェンシャル方向Dt(図3〜図6)と定める。タンジェンシャル方向Dtは、レンズホルダ5iまたはOPU1iの左右方向Dtとされる。このように方向Dtが定められたときに、レンズホルダ5ii(図4〜図6)の第二レンズ装着部13bに設けられた略平面状の斜面部13s,13sは、第二OBL32(図3)の光軸をタンジェンシャル方向Dtに沿って調整可能な一対の略平面状の傾斜面部13s,13s(図4〜図6)として形成されている。
【0160】
レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bに設けられた略直線状の頂部13tは、光ディスクの径方向Drとされるラジアル方向Drに略沿って形成されている。ラジアル方向Drに略沿って延設された略直線状の頂部13tを境に、一方の略平面状斜面部13sと、他方の略平面状斜面部13sとが設けられて、第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13がレンズホルダ5iiに構成されている。
【0161】
このように一対の略平面状の傾斜面部13s,13sが、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bに形成されていれば、第二OBL32の光軸は、光ディスクのタンジェンシャル方向Dtに沿って精度よく容易に調整される。レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bの光軸角度調整部13に設けられた一対の略平面状傾斜面部13s,13sに第二OBL32が合わされつつ、光ディスクのタンジェンシャル方向Dtに沿った第二OBL32の光軸角度調整が行われる。従って、第一OBL31の光軸に対する第二OBL32の光軸のタンジェンシャル方向Dtに沿った角度調整は、精度よく容易に行われる。
【0162】
また、第一OBL31(図4,図5)または第二OBL32(図3)を透過したレーザ光が照射される光ディスクの径方向Drをラジアル方向Dr(図3〜図6)と定める。ラジアル方向Drは、レンズホルダ5iまたはOPU1iの前後方向Drとされる。このように方向Drが定められたときに、例えば、レンズホルダ(5ii)の第二レンズ装着部(13b)に設けられる略平面状の斜面部は、第二OBL32の光軸をラジアル方向Drに沿って調整可能な一対の略平面状の傾斜面部として形成されてもよい。
【0163】
例えば、図4を用いて説明すると、レンズホルダ5iiの第二レンズ装着部13bに設けられる略平面状の斜面部(13s,13s)は、第二OBL32の光軸をラジアル方向Drに沿って調整可能な一対の略平面状の傾斜面部(13s,13s)として形成されていてもよい。
【0164】
この場合、レンズホルダ(5ii)の第二レンズ装着部(13b)に設けられる略直線状の頂部は、タンジェンシャル方向Dtに略沿って形成される。タンジェンシャル方向Dtに略沿って延設された略直線状の頂部を境に、一方の略平面状斜面部と、他方の略平面状斜面部とが設けられて、第二レンズ装着部(13b)の光軸角度調整部(13)がレンズホルダ(5ii)に構成される。
【0165】
このように一対の略平面状の傾斜面部が、レンズホルダ(5ii)の第二レンズ装着部(13b)に形成されていれば、第二OBL32の光軸は、光ディスクのラジアル方向Drに沿って精度よく容易に調整される。レンズホルダ(5ii)の第二レンズ装着部(13b)の光軸角度調整部(13)に設けられた一対の略平面状傾斜面部に第二OBL32が合わされつつ、光ディスクのラジアル方向Drに沿った第二OBL32の光軸角度調整が行われる。従って、第一OBL31の光軸に対する第二OBL32の光軸のラジアル方向Drに沿った角度調整は、精度よく容易に行われる。
【0166】
第一OBL31に対する第二OBL32の角度調整は、レンズホルダ5iiを下から支えた状態で、第二OBL32の上面を治具で押す等して行われる。第二OBL32を上からゴニオステージ(図示せず)に取り付けたヘッド(図示せず)などで押さえながら、第二OBL32の角度調整を行う。
【0167】
接着剤(図示せず)が用いられて、レンズホルダ5ii(図4,図5)に、第一OBL31および第二OBL32(図3)が固定される。接着剤が用いられることにより、第一OBL31および第二OBL32は、レンズホルダ5iiに確実に固定される。
【0168】
レンズホルダ5ii(図4,図5)の第一ピース10iiの基準部13に備えられた第一OBL31の周縁部31dからレンズホルダ5iiの第一ピース10iiの基準部13にかけて接着剤が点付け状態で塗布されて、レンズホルダ5iiの第一ピース10iiの基準部13に、第一OBL31が接着固定される。また、レンズホルダ5iiの第一ピース10iiの光軸角度調整部13に備えられた第二OBL32(図3)の周縁部32dからレンズホルダ5ii(図4,図5)の第一ピース10iiの光軸角度調整部13における斜面部13s,13sにかけて接着剤が点付け状態で塗布されて、レンズホルダ5iiの第一ピース10iiの光軸角度調整部13に、第二OBL32が接着固定される。
【0169】
接着剤として、光などの電子線が照射されることで硬化する上記電子線硬化型接着剤が用いられた。具体的に説明すると、接着剤として、紫外線が照射されることで硬化する上記紫外線硬化型接着剤が用いられた。
【0170】
これにより、第一OBL31および第二OBL32は、レンズホルダ5iiを構成する第一ピース10iiに精度よく迅速に固定される。レンズホルダ5iiを構成する第一ピース10iiの基準部13に第一OBL31が精度よく固定されることにより、光ディスクの信号面部に精度よくレーザ光が照射される。また、レンズホルダ5iiを構成する第一ピース10iiの光軸角度調整部13に第二OBL32が精度よく固定されることにより、光ディスクの信号面部に精度よくレーザ光が照射される。また、レンズホルダ5iiを構成する第一ピース10iiに第一OBL31および第二OBL32が迅速に固着されることにより、レンズホルダ5iiを構成する第一ピース10iiに対する第一OBL31および第二OBL32の接着作業は速やかに行われる。従って、OPU1iiの組立工程における接着工程が迅速化される。OPU1iiの組立方法は、効率よく迅速に行われる。また、これに伴って、OPU1iiの価格低減化が図られる。
【0171】
上記OPU1iiは、光ディスク装置(図示せず)に内装される。光ディスク装置は、上記OPU1iiを備えるものとして構成される。
【0172】
これにより、レンズホルダ5iiに第一OBL31および第二OBL32が精度よく取り付けられて構成されたOPU1ii付の光ディスク装置を提供することが可能となる。光ディスク装置に各種光ディスク(図示せず)が挿入されて、光ディスクのデータが読み出されたり、光ディスクにデータが書き込まれたりされるときに、第一OBL31に対する第二OBL32の光軸の角度差を少なく抑えたOPU1iiが、光ディスク装置に装備されるので、各種光ディスクからのデータの読出しや、各種各光ディスクに対するデータの書込みは、OPU1iiを備える光ディスク装置にて正常に行われる。
【0173】
以上、本発明の実施形態について説明したが、前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、その等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0174】
1i,1ii OPU(光ピックアップ装置)
5i,5ii レンズホルダ
5a 下側開口部(開口部)
5b 本体
5c 上側部
5d 下側部
5e 側面部
5f 骨組部
5m,5n 光通過空間部(光通過部)
5v ワイヤ装着部
5w ワイヤ取付孔
10i,10ii 第一ピース
11,12 第一コイル装着部(コイル装着部)
13 基準面部(基準部)
13,13 光軸角度調整部(調整部)
13a 第一レンズ装着部(レンズ装着部)
13b,13b 第二レンズ装着部(レンズ装着部)
13e 上側周縁端部(周縁端部)
13r 鍔部
13s 球面座部(球座部)
13s,13s 傾斜面部(斜面部)
13t 頂部
20 第二ピース
23,24,25,26 第二コイル装着部(コイル装着部)
31,32 OBL(対物レンズ)
31a 取付面部(取付部)
31d,32d 周縁部
31e,32e 下側周縁端部(周縁端部)
31n,32n 上側基準面部(基準面部)
32b 取付部
41,42,43,44,45,46 駆動用コイル(コイル)
Da アキシャル方向(方向)
Dr ラジアル方向(方向)
Dt タンジェンシャル方向(方向)
αs,αs,αt 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準となる第一対物レンズと、
該第一対物レンズに並設される第二対物レンズと、
該第一対物レンズおよび該第二対物レンズが取り付けられるレンズホルダとを備え、
該第一対物レンズに対し、該第二対物レンズは、角度調整が行われて該レンズホルダに取り付けられた
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記第一対物レンズの光軸と、
前記第二対物レンズの光軸とが略平行に調整されて、
前記レンズホルダに、該第一対物レンズと、該第二対物レンズとが取り付けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記レンズホルダは、
前記第一対物レンズが取り付けられる第一レンズ装着部と、
前記第二対物レンズが取り付けられる第二レンズ装着部とを備え、
該第一レンズ装着部に、該第一対物レンズの取付部が合わせられる基準部が設けられ、
該第二レンズ装着部に、該第二対物レンズの取付部が角度調整可能に合わせられる調整部が設けられた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記調整部は、前記第二対物レンズの角度調整を可能とさせる球座部を備える
ことを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
前記球座部に、前記第二対物レンズの前記取付部の周縁端部が接する
ことを特徴とする請求項4に記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
略平面状の前記基準部に対し、前記第二対物レンズに形成された略平面状の基準面部が0〜3°の角度とされて、前記球座部に該第二対物レンズが備えられた
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
前記調整部は、前記第二対物レンズの角度調整を可能とさせる斜面部を備える
ことを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
【請求項8】
前記調整部は、
前記第二対物レンズの角度調整を可能とさせる一対の斜面部と、
一対の該斜面部の間に設けられた頂部とを備える
ことを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
【請求項9】
前記頂部に、前記第二対物レンズの前記取付部が接する
ことを特徴とする請求項8に記載の光ピックアップ装置。
【請求項10】
略平面状の前記基準部に対し、一対の略平面状の前記斜面部は、0°を超え3°以下の角度に傾けられて、前記頂部の角度は、鈍角とされた
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の光ピックアップ装置。
【請求項11】
前記第一対物レンズまたは前記第二対物レンズを透過した光が照射される光ディスクのトラック方向またはピット方向をタンジェンシャル方向と定めたときに、
前記斜面部は、該第二対物レンズの光軸を該タンジェンシャル方向に沿って調整可能な傾斜面部として形成された
ことを特徴とする請求項7〜10の何れか1項に記載の光ピックアップ装置。
【請求項12】
前記第一対物レンズまたは前記第二対物レンズを透過した光が照射される光ディスクの径方向をラジアル方向と定めたときに、
前記斜面部は、該第二対物レンズの光軸を該ラジアル方向に沿って調整可能な傾斜面部として形成された
ことを特徴とする請求項7〜10の何れか1項に記載の光ピックアップ装置。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載の光ピックアップ装置を備える
ことを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−222118(P2011−222118A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173364(P2011−173364)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【分割の表示】特願2007−73813(P2007−73813)の分割
【原出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】