説明

光ピックアップ装置

【課題】
ハウジングを被覆するカバーの変形が抑止された光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】
本発明の光ピックアップ装置の主面はカバー13により被覆されている。このカバーは、被覆部13Gと一体で、第2側壁に設けた突出部に係合する第1係合部13Cと、前記被覆部13Gと一体で、アクチュエータに向かって突出する先端部13Hを有し、この先端部13Hを、前記上面に設けられた開口部35に相当する前記ハウジングの内壁に接触させることで、被覆部13Gの外部への膨らみを抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置に関する。特に本発明は、ハウジングの主面が被覆部材により被覆される光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置は、発光素子から放射される所定の波長のレーザー光を光ディスクに照射し、光ディスクの情報記録層で反射したレーザー光を受光素子で検出する機能を備えている(特許文献1)。このことにより、光ディスクに対して、情報の読取動作または書込動作が行われる。
【0003】
一般的には、光ピックアップ装置は、複数個の光学素子がハウジングに収納されている。ハウジングの上面には、光学素子と接続されたフレキシブル配線基板や制御素子等が配置されている。そして、フレキシブル配線基板や制御素子は、ステンレス等の金属板を所定形状に成形した被覆部材により被覆される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−216436号公報
【特許文献2】特開2007−102826号公報
【特許文献3】特開平09 −231597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した被覆部材は、端部に設けられたねじ機構やフック等の係合手段を用いてハウジングの主面に固定される。しかしながら、被覆部材の両端部のみをハウジングに固定すると、被覆部材の中央部付近が外側に膨らむように変形する場合がある。この原因は、樹脂材料や金属材料を射出成形して製造されるハウジングの加工精度が低いことにある。更には、被覆部材とハウジングとの熱膨張係数が異なることも原因の一つである。このようになると、光ピックアップ装置の外形寸法にバラツキが発生してしまい、被覆部材の変形が大きいと不良となる恐れもある。
【0006】
更には、被覆部材が外側に膨らんだ光ピックアップ装置が、ノート型パソコンの内部等のように矮小な空間に配置されると、光ピックアップ装置が使用状況下にて移動する際に、外側に膨らむ被覆部材が他の部品に接触してしまう恐れもある。
【0007】
本発明はこの様な問題点を鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、ハウジングを被覆する被覆材の変形が抑止された光ピックアップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
カバーは、被覆部と一体で、第2側壁に設けた突出部に係合する第1係合部と、前記被覆部と一体で、アクチュエータに向かって突出する先端部を有し、
前記先端部を、前記上面に設けられた開口部に相当する前記ハウジングの内壁に接触させることで解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被覆部材の長手方向の中間部分が、係合部によりハウジングに係合される。従って、ハウジングの加工精度が良くない場合等であっても、被覆部材の外側への
膨らみが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の光ピックアップ装置を示す図であり、(A)はカバーが備えられた状態の光ピックアップ装置を示す斜視図であり、(B)はカバーを外した状態の光ピックアップ装置を示す斜視図である。
【図2】(A)は本発明の光ピックアップ装置に備えられるカバーを示す図であり、(B)は表裏反転させた状態のカバーを示す斜視図である。
【図3】本発明の光ピックアップ装置を示す図であり、カバーの係合部がハウジングの突出部に係合する構造を示す斜視図である。
【図4】本発明の光ピックアップ装置を示す図であり、カバーの係合部がハウジングの開口部に係合する構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の光ピックアップ装置に用いられるフレキシブル配線基板を示す図であり、(A)はフレキシブル配線基板を展開した状態を示す平面図であり、(B)はハウジングに組み込まれる状態のフレキシブル配線基板を示す斜視図である。
【図6】本発明の光ピックアップ装置に於いて、パッケージが配置される部分をカバーが被覆する構造を示す断面図である。
【図7】本発明の光ピックアップ装置に用いられるフレキシブル配線基板が曲折される構造を示す斜視図である。
【図8】本発明の光ピックアップ装置が組み込まれた光ディスク装置を示す図である。
【図9】本発明の光ピックアップ装置の外形形状を示す図である。
【図10】本発明の光ピックアップ装置が組み込まれた光ディスク装置を部分的に示す図である。
【図11】本発明の光ピックアップ装置の外形形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して光ピックアップ装置10の構成を説明する。図1(A)は本形態の光ピックアップ装置を示す斜視図であり、(B)はカバー13(被覆部材)を外した状態の光ピックアップ装置10を示す斜視図である。以下の説明では、対物レンズ33が露出する主面を上面と称し、上面に対向する主面を下面と称する。ハウジング28の形状は、後述するが、BOX形状で、下面には、厚みのある底板があり、その底板の周囲から垂直に側壁が設けられている。この底板は、レンズ側を表側、そして対向面を裏側と定義する。また側壁の収納側を内側、対向面を外側とする。更にハウジング28の平面形状は、色々であるが、図9(B)と(C)の様に、湾曲部を無視すれば、矩形または矩形の2つの角をカットした形がある。
【0012】
光ピックアップ装置10は、BD(Blu−ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)またはCD(Compact Disc)規格のレーザー光を、光ディスク(情報記録媒体)の情報記録層に合焦させ、この情報記録層からの反射光を受光して電気信号に変換する機能を備えている。光ピックアップ装置10は、例えば、BD用の発光チップ、DVD用およびCD用の発光チップを内蔵している。
【0013】
光ピックアップ装置10から放射されるレーザー光としては、BD規格のレーザー光(青紫色波長帯400nm〜420nm)、DVD規格のレーザー光(赤色波長帯645nm〜675nm)およびCD規格のレーザー光(赤外波長帯765nm〜805nm)である。ここで、光ピックアップ装置10は必ずしも3種類の規格のレーザー光に対応する必要はなく、1つまたは2つの規格のレーザー光に対応するタイプでも良い。
【0014】
光ピックアップ装置10は、ハウジング28と、このハウジング28に内蔵された各種光学素子と、光学素子と電気的に接続されるフレキシブル配線基板26と、対物レンズ3
3が配置されるハウジング28の上面を被覆するカバー13とを備えている。尚、図1(A)に示す様に、対物レンズが組み込まれたアクチュエータATは、カバー13から露出している。
【0015】
ハウジング28は、射出成形で一体的に形成された樹脂材料や金属材料(例えばマグネシム)から成り、内部および側面には、各種光学素子が配置されている。ハウジング28の両端部分には、ガイド孔30とガイド溝32が設けられている。使用状況下に於いては、ガイド孔30にはガイド軸が挿通され、ガイド溝32には別のガイド軸が係合される。そして、光ピックアップ装置10は、これらのガイド軸に沿って、ディスクの径方向に移動する。
【0016】
ハウジング28の内側には、底板から、または側壁から区画壁が伸びて配置され、光学素子が取り付けられる複数の収納空間が設けられている。このハウジング28には、アクチュエータ外形の前記収納空間がある。ハウジング28の上面には、対物レンズ33を移動可能に保持するアクチュエータが配置さる。また、ハウジング28の上面には、フレキシブル配線基板26が折り畳まれた状態で固定されている。
【0017】
ハウジング28の内部には、複数の光学素子が内蔵される。例えば、レーザー光を放射するレーザー装置、レーザー光を受光するPDIC、回折格子、プリズム、アナモレンズ、ミラー等がハウジング28に備えられる。
【0018】
カバー13は、ステンレス等の金属材料から成る薄い金属板を所定形状に曲折加工したものであり、ハウジング28の上面を被覆している。具体的には、対物レンズ33を支持するアクチュエータが配置される箇所を除いて、ハウジング28の上面の大部分の領域がカバー13により被覆されている。
【0019】
このようにすることで、プリズム等の光学素子が内蔵されるハウジング28の内部空間がカバー13により密閉されるので、内部空間に外部から粉塵等が侵入することが抑制される。更には、ハウジング28の内部空間への外部からの光の侵入も抑制される。
【0020】
カバー13は、所定形状に切り出された金属板に対してプレス加工を施すことにより整形されるので、寸法制度は非常に高い。また、カバー13は、ネジ機構による固定のための孔部および係合部が設けられており、これらによりハウジング28の上面の所定の箇所に固定される。この事項は図2を参照して後述する。更に、カバー13を部分的に開口させて開口部15が設けられている。この開口部15は内蔵される光学素子の位置調整のために用いられる。
【0021】
図1(B)を参照して、フレキシブル配線基板26は、光ピックアップ装置10に内蔵された光学素子を外部と接続する。また、フレキシブル配線基板26は複数回の曲折加工が施されて畳まれた状態で、ハウジング28の上面部分に固定されている。フレキシブル配線基板26の具体的な構成は図5を参照して後述する。
【0022】
一方、フレキシブル配線基板34は、第1光学素子の1つであるDVD、CD用LDと、このLDを制御する制御素子を内蔵するパッケージ22とを接続し、基材の両主面に配線パターンが形成されている。フレキシブル配線基板34の両面に形成される配線パターンは、フレキシブル配線基板26に形成される配線パターンよりも太く形成されている。
【0023】
図2を参照して、ハウジングの上面を被覆するカバーの形状を説明する。図2(A)はカバー13の上面を示す斜視図であり、図2(B)は表裏を逆転した状態のカバー13を示す斜視図である。
【0024】
カバー13は、ハウジングの上面を被覆する被覆部13Gと、被覆部13Gを段差形状に曲折した段差部13Fと、カバー13の端部に設けた孔部13Eと、被覆部13Gの周縁部に配置された係合部13A−13Dを備えている。更に、カバー13の段差部が儲けられた箇所の内側の端部は、エポキシ樹脂等の接着剤ADを介して、ハウジング28またはアクチュエータATに固着される。
【0025】
図2(B)を参照して、係合部13A−13Cは、被覆部13Gから90度曲折した状態で連続し、L字の形状を有している。これらの係合部13A−13Cは、ハウジングの側面を部分的に突出させた部位に、外側から係合する。係合部13A、13Bはカバー13の長手方向の端部付近に設けられており、係合部13Cは中間部付近に設けられている。尚、ここでは3つの係合部13A−13Cが設けられているが、係合部の個数は2個以下でも良いし、4個以上でも良い。
【0026】
孔部13Eは、ねじ機構によりハウジングの上面に固着されるために、カバー13の端部に設けられている。ここでは一方の端部のみに孔部13Eが設けられているが、長手方向の両端部に孔部13Eが配置されても良い。
【0027】
係合部13Dは、被覆部13Gの周縁部と連続して90度曲折されており、カバー13の長手方向に於いて中心部付近に設けられている。他の係合部13A等がハウジングの側面に係合する一方、係合部13Dは、ハウジングの上面に設けた開口部に係合する。
【0028】
また、係合部13Dの形状は他の係合部13A等とは異なる。具体的には、係合部13A等は、ハウジングの側面を突起させた突起部に係合するために、外形形状に沿って突出するL字形状を呈している。一方、係合部13Dは、カバー13の外側に向かって突出するL字形状を呈している。係合部13Dは、被覆部13Gの膨らみを抑制するためにこのような形状となっている。更に、係合部13Dをこのような形状とすることで、カバー13のハウジングへのはめ込みが容易になる。
【0029】
ここで、図2(A)を参照すると、本形態ではカバー13の長手方向の一端付近にネジ止めのための孔部13Eが設けられ、他端付近に係合部13Aが配置されている。このようにすることで、孔部13Eをネジ止めすることによりカバー13とハウジングとの相対的な位置が決定される。そして、カバー13の他端付近に係合部13Aを設けることにより、ハウジングの実際の形状にバラツキがあっても、係合部13Aが弾性変形することにより対処可能となる。
【0030】
図3を参照して、カバー13の係合部13Bがハウジング28に係合する構造を説明する。ここでは、係合部13Bが係合する形状を説明するが、図2(B)に示す係合部13A、13Cが係合する形状も同様である。
【0031】
上記したように、カバー13の被覆部13Gの周縁部から、連続して90度曲折して係合部13Bが設けられている。一方、ハウジング28の側壁外側の、係合部13Bに対応する箇所を部分的に外側に突出させて突出部31が設けられている。そして、係合部13Bの内側が、突出部31に側方および下方から係合するように、カバー13はハウジング28に組み込まれる。
【0032】
このように、略L字型の係合部13Bがハウジング28の突出部に係合することにより、ハウジング28の厚み方向および面方向に対してカバー13が固定される。
【0033】
図4を参照して、次に、カバー13の中央部付近に設けた係合部13Dを説明する。先
ず、ハウジング28の上面中央部を部分的に開口して開口部35が設けられている。そして、この開口部35に、カバー13の係合部13Dが挿入されて係合される。係合部13Dの先端部13Hは、外部に向かって被覆部13Gと平行な形状となるように曲折されている。従って、開口部35に係合部13Dを挿入すると、ハウジング28の内壁に、内側から係合部13Dの先端部13Hが接触する。
【0034】
このことにより、カバー13の中央部付近が外側に向かって膨らむ現象が防止される。具体的には、カバー13とハウジング28に固着させた際に、ハウジング28の実際の寸法が設計値と異なると、カバー13の中央部を外側に膨らませるような応力が作用する。特に、上記したようにハウジング28は射出成形により製造されるので、ハウジング28の実際の寸法が設計値と大きく異なる場合がある。また、使用状況下の温度変化によりカバー13とハウジング28との膨張量が異なると、カバー13の中央部付近が外側に向かって膨らむ応力が発生する場合もある。
【0035】
本形態では、カバー13の中央部付近に設けた係合部13Dの先端部13Hを、ハウジング28の上面に設けた開口部35に係合させている。従って、カバー13の中央部付近が外側に膨らもうとしても、開口部35の内壁に係合した係合部13Dがフックの如く作用して、その膨らみが防止される。ここで、開口部35は、ハウジング28の上面の中央部付近に配置されている。
【0036】
ここでは、カバー13の中央部付近に1つのみの係合部13Dが設けられているが、同様な形状を呈する複数個の係合部13Dが、カバー13の中央部付近に設けられても良い。
【0037】
図5を参照して、カバー13により被覆されるフレキシブル配線基板26の全体的な構成を説明する。図5(A)はフレキシブル配線基板26を展開して示す平面図であり、図5(B)は光ピックアップ装置に組み込まれた状態のフレキシブル配線基板26を示す斜視図である。ここで、図5(A)では、単層の配線パターンが露出する面を上面にしてフレキシブル配線基板26が示されており、図5(A)と図5(B)とでは表裏逆の状態を示している。また、図5(A)では、フレキシブル配線基板26が曲折される部分を点線にて示している。
【0038】
図5(A)を参照して、フレキシブル配線基板26には、光ピックアップ装置10を構成する各光学素子を実装する部位が設けられている。具体的には、DVD用LDおよびCD用LDを制御する制御素子が実装される制御素子実装部A1、チップ素子実装部A2、BD用LD実装部A3、PDIC実装部A4、FMD実装部A5、パッケージ実装部A6、パッケージ実装部A7、チップ素子実装部A8、接続端子部A9、接続端子部A10、チップ素子実装部A11がフレキシブル配線基板26に設けられている。これらの各部位は、フレキシブル配線基板26の配線部11を経由して連続している。
【0039】
この配線部11は、フレキシブル配線基板26の中で一番幅が広く、且つ一番長く形成されている。この一端は、つまりチップ素子実装部A2が設けられた周辺部は、ある程度の大きさの矩形領域である。この矩形領域に於いて、右側辺に2つの枝状の配線部B1、B2が、上辺は配線部11が一体で設けられている。また左側辺からは、4本の枝状の配線部B3〜B6が設けられている。
【0040】
配線部B1、B4およびB5には、チップ素子実装部A2、A8、A11が設けられ、チップ型の抵抗、コンデンサーまたはコイルが半田接続で実装される。
【0041】
配線部B5から分岐した配線部B7には、パッケージ実装部A6があり、ここに固着さ
れるパッケージは、FMDの感度を決定するボリューム抵抗が配置される。そして、配線部B4には、パッケージ実装部A7があり、ここには、BD用LDに供給される電流に重畳周波数を載せるための重畳ICを内蔵するパッケージが実装される。
【0042】
配線部B1、B3には、接続端子部A9、A10が設けられ、ここには、配線パターンから成るパッドが設けられており、ハウジングに内蔵されるモーター等と電気的に接続するための部位である。
【0043】
更に、配線部B2には、制御素子やチップ素子が実装される部位があり、補強板36が貼着されている。この補強板36は、フレキシブル配線基板26の基材よりも機械的強度が強い樹脂材料(例えば繊維状のフィラーを含むエポキシ樹脂)から成る。更に、補強板36は、配線パターンが設けられない基材の主面に貼着されている。ここでは、補強板36をハッチング付きの領域で示している。
【0044】
補強板36によりフレキシブル配線基板26を補強することで、半田接続されるチップ部品等を安定して固着することが可能となる。更には、フレキシブル配線基板26の変形やたわみが抑制されるので、フレキシブル配線基板26を精度良くハウジングに固定することができる。
【0045】
図5(B)を参照して、上記した構成のフレキシブル配線基板26は、複数の曲折加工が施された状態で、光ピックアップ装置に組み込まれる。ここで、制御素子実装部A1とチップ素子実装部A2とは重畳されており、この事項は図7を参照して後述する。そして、BD用LD実装部A3、チップ素子実装部A11、チップ素子実装部A8およびパッケージ実装部A7は、畳み込まれた状態を呈しており、この詳細は図6および図7を参照して後述する。また、FMD実装部A5は、FMDが内側を向く様に曲折加工されており、その先のパッケージ実装部A6も内側を向くように曲折されている。更に、接続端子部A10も、配線パターンが内側を向くように曲折加工されている。
【0046】
図6を参照して、上記したように本形態では、ハウジング28の上面に曲折された状態のフレキシブル配線基板26が配置されてカバー13により被覆されている。
【0047】
ここでは、フレキシブル配線基板26を曲折加工することで、固定部38、チップ素子実装部A2および制御素子実装部A1が、三重に重畳されている。この重畳する構造は図7を参照して後述する。
【0048】
また、制御素子実装部A1の上面には、レーザー装置を制御する制御素子が樹脂封止されたパッケージ22が実装されている。そして、このパッケージ22を被覆するカバー13は、段差部13Fが設けられることにより、突出領域29とされている。このようにすることで、パッケージ22を配置するための空間が、カバー13とハウジング28上面との間に確保される。
【0049】
フレキシブル配線基板26の固定部38と連続する挿通部40と、カバー13の孔部13Eは、共通にネジ16を用いてハウジング28に固定される。このことにより、ハウジング28、フレキシブル配線基板26およびカバー13が互いに固定される。
【0050】
図7を参照して、図6に示したフレキシブル配線基板26の制御素子実装部A1、チップ素子実装部A2および固定部38を重畳する方法を説明する。
【0051】
図7(A)を参照して、先ず、制御素子実装部A1の下面には、DVD、CD用LDに供給される電流を制御する制御素子(LDD)がパッケージの状態で固着されている。そ
して、チップ素子実装部A2の下面には、このLDDのノイズ対策部品であるチップ部品が固着されている。また、制御素子実装部A1からは概略的に「L字状」の固定部38が伸びており、この固定部38の先端部には固定のための挿通部40が設けられている。挿通部40には、ネジ止めを可能とする開口部が設けられている。
【0052】
この状態で、制御素子実装部A1を、チップ素子実装部A2との間に規定された境界線にて、180度折り曲げ、制御素子実装部A1とチップ素子実装部A2とを重畳させる。
【0053】
図7(B)を参照して、次に、固定部38と制御素子実装部A1との境界で、固定部38を180度折り曲げ、固定部38と制御素子実装部A1とを重畳させる。
【0054】
更に、図4(C)、図4(D)を参照して、挿通部40を中央部から180度折り曲げることにより、挿通部40の両側に設けた孔部が重なりあい、挿通部40の強度が確保される。この挿通部40に挿通されるネジ等の締結手段により、フレキシブル配線基板26はハウジングに固着される(図6参照)。
【0055】
更にハウジングやカバーの形状を図8〜図11を使って説明する。図8は、図1の光ピックアップ装置10が実装された、携帯用PC、ステーション型のPCの一部を示したものである。PCの一部を軽くPUSHすると、図8の光ディスク実装用のテーブルDTが顔を出すようになっている。
【0056】
このテーブルDTは、外側は、金属でなるBOX(MT)で、その厚みは、1cm位、或いはそれ以下の薄さである。この図の円で示される部分がディスクが配置されるディスクエリア(DA)で、その中心には、ディスクが固定されるターンテーブル(TB)がある。このディスクエリア(DA)の部分は、殆どが樹脂で、その裏側には、プリント基板等が装着されている。また部分的に、金属から成るカバー(CV)が配置されている。このカバー(CV)は、U字型である。つまり、カバー(CV)は、下側の突出部X、上側の突出部Yそして底部ZからなるU字型であり、2つの突出部の間は、カバーが設けられていない開放部(OP)である。
【0057】
この開放部OPは、幅は、少なくとも対物レンズ33が露出できる幅で、半径方向に細長く設けられ、ここの部分に光ピックアップ装置10が設けられている。ここは、この光ピックアップ装置10が半径方向に移動するエリアであり、光の出入りが必要なことから開放されている。尚、このカバー(CV)は、ディスクエリア(DA)に有る樹脂のカバーと同一材料で構成されても良い。
【0058】
続いて図1に戻ると、ガイド孔30とガイド溝32にガイド軸が挿入され、この光ピックアップ装置10を移動させると、図8では、ちょうど矢印Bの方向となる。カバー(CV)の開放部は、およそ対物レンズ33およびの対物レンズのホルダー部が露出できる幅で、それ以外は、このカバー(CV)やディスクエリアの樹脂カバーで覆われている。
【0059】
図1(B)では、紙面に対して、対物レンズ33が設けられたアクチュエータの上側に制御用のIC22が配置されている。ここの部分は、フレキシブルシートの折り曲げ部分であると同時にIC等の電子部品が配置され、他のエリアから比べると、上に突出している。ここの部分は、図8の点線で囲んだエリアであり、ここは、カバーが切除された開放部であるため、他のエリアから比べると厚くできる。他のエリアで実装したら、カバーの部分の、光ピックアップ装置10の厚みが厚くなるため、点線の部分にフレキシブルシートやIC22を設け、カバー(CV)の表面は、途中から厚み方向に、若干盛り上がっている。ここの開放エリアに、厚くなる要素を設けるため、その分、光ピックアップ装置10の厚みが薄くなるメリットを有する。当然であるが、光ディスクに当たらない程度の範
囲である。また前述したが、対物レンズ33の頂部と同程度の飛び出しで設けられていると言っても良い。
【0060】
よって、図1(B)で見れば、ここの部分で、フレキシブルシートが折り曲げられて、何層にも成っている。また他の部分よりも、数多く折り曲げられている。また折り曲げることで、IC22の配置用のパターンが上を向くように配置されている。この導電パターンは、チップ素子やIC、可変抵抗、可変容量等の部品が設けられて他の部分よりも厚くなっている。よって図1(A)に於いては、カバー13が突状に盛り上がって形成されている。尚、例えばフレキシブルシートが片側1層の導電パターンで形成されている場合、折りかたにより導電パターンを表面に配置することが可能であり、導電パターンが両面に形成される多層シートを用意することも無い。
【0061】
では、図9および図10を参照して、光ピックアップ装置10の形状や配置について説明する。この光ピックアップ装置10の平面的な外形は、基本的には、矩形、円等と何でも良い。例えば、仮に図9(A)の点線で示す矩形と仮定する。その時、この光ピックアップ装置10は、矩形の金属BOX(MT)の対角線方向、つまり矢印Bの方向に移動させる際、角S1やS2をカットすることで、できるだけ対物レンズ33の移動距離を大きくしている。更には、角S1を共有する側辺と対向する側の、側辺L1に、ターンテーブルTBを入り込ませるため、一部湾曲させている。その結果、図9(B)の形状が完成する。これは、矩形の2つの角を切除し、角を切除していない長辺L1をターンテーブルのアールで切除した形である。
【0062】
一方、金属BOXの非対角線エリアで移動させる場合、図9(C)の如く矩形で、長側辺L1にターンテーブルのアールを設けても良い。
【0063】
続いて、図1のカバー13を模式的に説明したものが、図11である。前述した平面的な形状に対して、点線で示す中心線に於いて、湾曲側に対物レンズ33または対物レンズのホルダーが配置される。よってカバー13は、このホルダーを除いた部分の中心線から右側が覆われている。そしてホルダーの上側が盛り上がっている。
【0064】
よってカバー13は、孔部15を介して光学素子の位置調整が可能であると同時に、この盛り上がりの部分に設けられたフレキシブルシート、それに実装されている電子部品は、カバーの盛り上がりにより内臓品の保護が可能である。また短絡等も抑止可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 光ピックアップ装置
13 カバー
13A 係合部
13B 係合部
13C 係合部
13D 係合部
13E 孔部
13F 段差部
15 開口部
16 ネジ
22 パッケージ
26 フレキシブル配線基板
28 ハウジング
29 突出領域
30 ガイド孔
31 突出部
32 ガイド溝
33 対物レンズ
34 フレキシブル配線基板
35 開口部
36 補強板
38 固定部
40 挿通部
B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7 配線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部に設けられたガイド孔と、他方の端部に設けられたガイド溝と、前記ガイド孔と前記ガイド溝との間に位置し、一方の側に設けられた湾曲部を有する第1側壁と、前記ガイド孔と前記ガイド溝との間に位置し、他方の側に設けられた第2側壁とを有する側壁と、前記側壁から延在し、一体で設けられた複数の区画壁と、前記区画壁と側壁でなる複数の収納空間と、前記第1側壁の側に、対物レンズを有するアクチュエータの第1の長い側を配置し、前記アクチュエータの前記第1の長い側の前記ガイド溝の側に前記アクチュエータの短い側が設けられ、前記アクチュエータの短い側に相当する領域の所の前記第1側壁から延在し、上面を有する前記区画壁を構成する第1区画壁が設けられてなる前記アクチュエータの収納空間と、前記アクチュエータの第1の長い側と対向する第2の長い側と前記第2側壁の間に位置する第1配置領域と、前記アクチュエータの短い側と前記第2側壁の間に位置する第2配置領域とを有するハウジングと、
前記アクチュエータの収納空間に設けられたアクチュエータと、
前記複数の収納空間に設けられた光学素子と、
前記光学素子と電気的に接続される配線パターンを有し、前記第1配置領域から前記第2配置領域に渡り設けられたフレキシブル配線基板と、
前記アクチュエータを露出して前記フレキシブル配線基板を覆い、前記第1配置領域から前記第2配置領域に渡り設けられた被覆部を有しする薄い金属板から成るカバーとを有し、
前記カバーは、前記被覆部と一体で、前記第2側壁に設けた突出部に係合する第1係合部と、前記被覆部と一体で、前記被覆部から前記アクチュエータに向かって突出する先端部を有し、
前記先端部は、前記上面に設けられた開口部に相当する前記ハウジングの内壁に接触する事を特徴とした光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記フレキシブル配線基板は、前記フレキシブル配線基板の片側にのみ1層の導電パターンが設けられ、前記フレキシブル配線基板が折り曲げられて設けられる請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記折り曲げられたフレキシブル配線基板は、前記折り曲げられたフレキシブル配線基板の表側に前記1層の導電パターンが配置される請求項2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記折り曲げられたフレキシブル配線基板の前記表側の前記導電パターンには、前記光学素子を構成するレーザーの制御素子が接続されて設けられる請求項3に記載の光ピックアップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−93095(P2013−93095A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−284111(P2012−284111)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2012−529478(P2012−529478)の分割
【原出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLU−RAY DISC
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】