説明

光ファイバマイクロ波伝送装置および複合型光ファイバマイクロ波伝送装置

【課題】大きな光路長変動であっても、位相変動を補償することで光路長の変動の補償を行う。
【解決手段】入力された変調用マイクロ波信号で強度変調した変調光を出力する電光変換手段1と、電光変換手段1から光サーキュレータ2および伝送光ファイバ3を介して出力された変調光の一部を当該伝送光ファイバ3に反射し、残りを透過する光部分反射鏡4と、光部分反射鏡4を透過した変調光を第1のマイクロ波信号に変換する第1の光電変換手段5と、光部分反射鏡4から伝送光ファイバ3および光サーキュレータ2を介して出力された変調光を第2のマイクロ波信号に変換する第2の光電変換手段6と、第2の光電変換手段6により変換された第2のマイクロ波信号の位相と基準マイクロ波信号の位相とに基づき、変調用マイクロ波信号を生成する位相同期回路8とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロ波信号を光ファイバで遠方に伝送するシステムにおいて、光ファイバの長さの変動によるマイクロ波信号の位相変動を補償する光ファイバマイクロ波伝送装置および複合型光ファイバマイクロ波伝送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ファイバ中を光波が伝搬する場合、光ファイバ周囲に温度変化や光ファイバに対する振動があると、光ファイバの伸び縮みや屈折率変動などが生じるため光路長が変動する。従って、マイクロ波信号を光波に重畳して光ファイバを介して伝送させるRoF(Radio On Fiber)伝送においても、光ファイバの光路長の変動により、光ファイバ伝送後に復調されたマイクロ波信号の位相変動や遅延時間の変動が生じる。
このため、復調されたマイクロ波信号の位相安定性を高めるためには、伝送路である光ファイバの光路長の変動を補償する必要がある。
【0003】
従来、この種の光ファイバ伝送システムにおいて、光ファイバの光路長の変動量を測定し、測定結果に基づき変動分を補償する方式が提案されている(例えば非特許文献1の図1参照)。
【0004】
この非特許文献1により開示された従来の光路長変動補償方式では、まず、レーザ(ECLD)から出力されたレーザ光が、第1の光カプラ(10dB coupler)により2分岐される。そして、分岐した一方のレーザ光が、第1の光サーキュレータ、光ファイバ(delay line)の長さを可変する光ファイバストレッチャ(fiber stretcher)、伝送路である上記光ファイバ、第2の光サーキュレータ(optical circulator)を順番に介して伝送される。そして、上記第2の光サーキュレータから出力されたレーザ光は第2の光カプラ(3dB coupler)で分岐される。この分岐した一方のレーザ光は基準光として出力され、他方のレーザ光は音響光学光変調器(AOM)を経て、上記第2の光サーキュレータに戻され、第2の光サーキュレータより、上記光ファイバを往復する。
【0005】
この往復したレーザ光は、上記AOMにより角周波数がシフトされている。往復したレーザ光は、上記第1の光サーキュレータで光路が切り替えられ、第3の光カプラ(3dB coupler)において、上記第1の光カプラにより分岐された他方のレーザ光と合波される。
【0006】
そして、上記第3の光カプラから出力された合波光は、光電変換器(PD)により電気信号に変換される。ここで、変換された電気信号の角周波数は、上記AOMにより角周波数シフトされたマイクロ波信号の角周波数となる。上記光ファイバが温度変化などにより光路長が変動した場合、光電変換された電気信号のビート信号は光路長の変動に応じて位相が変動する。
【0007】
そして、基準信号源(synth.55MHz)からの基準信号と上記PDからのビート信号との位相を位相検波器(PSD又はDPFD)で比較し、ビート信号の位相を所望の位相と一致させるための例えば電圧などの制御信号を出力する。この制御信号は、ループフィルタを介して上記光ファイバストレッチャに入力され、制御信号に応じた量だけ光信号の位相がシフトされる。
【0008】
ここで、上記PDからのビート信号により得られる制御信号が、上記光ファイバストレッチャに入力されるという動作が繰り返されることにより、帰還回路が構成される。そして、この帰還回路により、擾乱による光路長の変動を補償する制御を行う。
従って、上記第2の光カプラで分岐された一方のレーザ光も高い位相安定性が得られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Musha,et.al.著、“Robust and precise length correction of 25−km fiber for distribution of local oscillator”、2005 Digest of the LEOS Summer Topical Meeting、TuB4.4、p.123,2005.、(Figure 1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の光ファイバマイクロ波伝送装置では、伝送路である光ファイバの光路長(位相)変動に対して、光ファイバストレッチャにより、光ファイバの長さを直接伸び縮みさせることで光路長の変動を補償していた。このため、光路長の変動量に対する補償範囲は光ファイバストレッチャの長さ可変範囲に制限されている。通常、光ファイバストレッチャの可変範囲は数mm程度であり、長くてもcmオーダである。
【0011】
一方、光ファイバの遅延時間の温度特性は、数10ps/km/℃程度である。例えば、遅延の温度係数を10ps/km/℃と仮定すると、1kmのファイバで10℃の温度変動が生じた場合、100psの遅延時間変動が生じる。これはファイバ長約33mmに相当し、上記の光ファイバストレッチャでの可変範囲を超える。さらに、温度変動範囲が拡大した場合や、ファイバ長が長くなった場合に,光ファイバストレッチャでは対応できなくなる。
【0012】
さらに、光ファイバストレッチャで遅延時間を制御する場合、光ファイバを圧電素子などで引張るため、応答速度も限られる。
このように、従来の構成では大きな光路長変動(遅延時間の変動に相当)に対応することは困難であるとともに、高速制御に対応できないという課題があった。
【0013】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、大きな光路長変動であっても、位相変動を補償することで光路長の変動の補償を行うことができる光ファイバマイクロ波伝送装置および複合型光ファイバマイクロ波伝送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係る光ファイバマイクロ波伝送装置は、入力された変調用マイクロ波信号で強度変調した変調光を出力する電光変換手段と、電光変換手段の後段に配置され、変調光の光路を選択的に切り替える光路切替手段と、電光変換手段から光路切替手段および伝送光ファイバを介して出力された変調光の一部を当該伝送光ファイバに反射し、残りを透過する光部分反射手段と、光部分反射手段を透過した変調光を第1のマイクロ波信号に変換する第1の光電変換手段と、光部分反射手段から伝送光ファイバおよび光路切替手段を介して出力された変調光を第2のマイクロ波信号に変換する第2の光電変換手段と、第2の光電変換手段により変換された第2のマイクロ波信号の位相と基準マイクロ波信号の位相とに基づいて、変調用マイクロ波信号を生成する位相同期手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、上記のように構成したので、大きな光路長変動であっても、位相変動を補償することで光路長の変動の補償を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の光および電気信号の流れを示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係る複合型光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態5に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態6に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態7に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態8に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。図中、光ファイバを実線、電線を破線でそれぞれ描いている(以下同様)。
光ファイバマイクロ波伝送装置は、図1に示すように、電光変換手段1、光サーキュレータ(光路切替手段)2、伝送光ファイバ3、光部分反射鏡(光部分反射手段)4、第1の光電変換手段5、第2の光電変換手段6、基準信号源7および位相同期回路(PLL、位相同期手段)8から構成されている。
【0018】
電光変換手段1は、外部(第2のマイクロ波分配器88)からの変調用マイクロ波信号で強度変調した変調光を生成するものである。この電光変換手段1により生成された変調光は光サーキュレータ2に出力される。
【0019】
光サーキュレータ2は、電光変換手段1、伝送光ファイバ3および第2の光電変換手段6と接続され、電光変換手段1からの変調光を伝送光ファイバ3に出力し、また、伝送光ファイバ3からの変調光を第2の光電変換手段6に出力するものである。
伝送光ファイバ3は、光サーキュレータ2からの変調光を光部分反射鏡4に伝送し、また、光部分反射鏡4からの変調光を光サーキュレータ2に伝送するものである。
【0020】
光部分反射鏡4は、伝送光ファイバ3からの変調光のうち、一部を伝送光ファイバ3に反射し、残りの部分を透過するものである。この光部分反射鏡4を透過した変調光は第1の光電変換手段5に出力される。
第1の光電変換手段5は、光部分反射鏡4からの変調光を電気信号(第1のマイクロ波信号)に光電変換するものである。
【0021】
第2の光電変換手段6は、光サーキュレータ2からの変調光を電気信号(第2のマイクロ波信号)に光電変換するものである。この第2の光電変換手段6により光電変換された第2のマイクロ波信号は位相同期回路8の第2の周波数変換手段83に出力される。
基準信号源7は、マイクロ波の基準信号(基準マイクロ波信号)を発生するものである。この基準信号源7により発生された基準マイクロ波信号は位相同期回路8の第1のマイクロ波分配器81に出力される。
【0022】
位相同期回路8は、第2の光電変換手段6からの第2のマイクロ波信号の位相と基準信号源7からの基準マイクロ波信号の位相とに基づいて、電光変換手段1で用いる変調用マイクロ波信号を生成するものである。この位相同期回路8は、第1のマイクロ波分配器(マイクロ波分配手段)81、第1〜3の周波数変換手段82〜84、位相比較手段85、ループフィルタ(ローパスフィルタ)86、電圧制御型発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator、変調用マイクロ波生成手段)87および第2のマイクロ波分配器88から構成されている。
【0023】
第1のマイクロ波分配器81は、基準信号源7からの基準マイクロ波信号を2つに分岐するものである。この第1のマイクロ波分配器81により分岐された一方の基準マイクロ波信号は第1の周波数変換手段82に出力され、他方の基準マイクロ波信号は位相比較手段85に出力される。
第1の周波数変換手段82は、第1のマイクロ波分配器81からの基準マイクロ波信号の角周波数を3倍に変換するものである。この第1の周波数変換手段82により角周波数が変換された基準マイクロ波信号は第2の周波数変換手段83に出力される。
【0024】
第2の周波数変換手段83は、第2の光電変換手段6からの第2のマイクロ波信号と第1の周波数変換手段82からの基準マイクロ波信号とに基づいて、それらの周波数の差および位相差を持つ第1の差分マイクロ波信号を生成するものである。この第2の周波数変換手段83により生成された第1の差分マイクロ波信号は第3の周波数変換手段84に出力される。
【0025】
第3の周波数変換手段84は、第2の周波数変換手段83からの第1の差分マイクロ波信号と第2のマイクロ波分配器88からの変調用マイクロ波信号とに基づいて、それらの周波数の差および位相差を持つ第2の差分マイクロ波信号を生成するものである。この第3の周波数変換手段84により生成された第2の差分マイクロ波信号は位相比較手段85に出力される。
【0026】
位相比較手段85は、第1のマイクロ波分配器81からの基準マイクロ波信号と第3の周波数変換手段84からの第2の差分マイクロ波信号とを比較して位相変動量(位相差)を計測し、この位相差を電気信号に変換した位相差信号を生成するものである。この位相比較手段85により生成された位相差信号はループフィルタ86に出力される。
【0027】
ループフィルタ86は、位相比較手段85からの位相差信号に対して、短期間の変動分を抑圧するものである。ループフィルタ86により変動分が抑圧された位相差信号はVCO87に出力される。
VCO87は、ループフィルタ86からの位相差信号に基づいて、第2の差分マイクロ波信号と基準マイクロ波信号間の位相差を打ち消す方向に発振周波数を制御した変調用マイクロ波信号を生成するものである。このVCO87により生成された変調用マイクロ波信号は第2のマイクロ波分配器88に出力される。
【0028】
第2のマイクロ波分配器88は、VCO87からの変調用マイクロ波信号を2つに分岐するものである。この第2のマイクロ波分配器88により分岐された一方の変調用マイクロ波信号は電光変換手段1に出力され、他方の変調用マイクロ波信号は第3の周波数変換手段84に出力される。
【0029】
次に、上記のように構成された光ファイバマイクロ波伝送装置の動作について説明する。図2はこの発明の実施の形態1に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の光および電気信号の流れを示す図である。
光ファイバマイクロ波伝送装置の動作では、図2に示すように、まず、電光変換手段1は、外部(第2のマイクロ波分配器88)からの変調用マイクロ波信号で強度変調した変調光を出力する(ステップST1)。
【0030】
次いで、光サーキュレータ2は、電光変換手段1からの変調光を伝送光ファイバ3に出力し、伝送光ファイバ3は、この変調光を光部分反射鏡4に伝送する(ステップST2)。
次いで、光部分反射鏡4は、伝送光ファイバ3からの変調光のうち、一部を伝送光ファイバ3に反射し、残りの部分を透過する(ステップST3)。
次いで、第1の光電変換手段5は、光部分反射鏡4からの透過光(変調光)を第1のマイクロ波信号に光電変換する(ステップST4)。
【0031】
一方、伝送光ファイバ3は、光部分反射鏡4からの反射光(変調光)を光サーキュレータ2に伝送し、光サーキュレータ2は、この変調光を第2の光電変換手段6に出力する(ステップST5)。
次いで、第2の光電変換手段6は、光サーキュレータ2からの変調光を第2のマイクロ波信号に光電変換する(ステップST6)。
【0032】
ここで、伝送光ファイバ3に温度変化などの環境変動が生じていると、この伝送光ファイバ3を伝播した変調光の位相に変動が生じる。よって、光部分反射鏡4を透過して第1の光電変換手段5により光電変換された第1のマイクロ波信号および光部分反射鏡4を反射して第2の光電変換手段6により光電変換された第2のマイクロ波信号に位相変動が生じる。
【0033】
一方、マイクロ波信号の位相Φとその角周波数ωとの間には、式(1)の関係があることが知られている。
ω=dΦ/dt (1)
よって、位相変動ΔΦは式(2)と表される。
ΔΦ=∫ωdt (2)
これにより、電光変換手段1への変調用マイクロ波信号の角周波数ωを制御することで、第1の光電変換手段5から出力される第1のマイクロ波信号の位相変動ΔΦを制御できることが分かる。そこで、第2の光電変換手段6から出力された第2のマイクロ波信号を用いて、位相同期回路8にて角周波数ωの制御を行う(ステップST7)。
【0034】
以下では、図1の主要部分における変調光またはマイクロ波信号の周波数、位相を示しながら、位相同期回路8による角周波数制御について説明する。
まず、基準信号源7からの基準マイクロ波信号の角周波数をωmとし、VCO87からの変調用マイクロ波信号の角周波数をωm+ΔΦ0/Δtとすると、電光変換手段1から出力された変調光は角周波数ωm+ΔΦ0/Δtで変調されている。
【0035】
そして、電光変換手段1からの変調光は、光サーキュレータ2を介して伝送光ファイバ3を伝搬する。ここで、伝送光ファイバ3の環境変動により光路長が変動したときの透過位相の変動量をΔΦ1とすると、光部分反射鏡4を透過して第1の光電変換手段5により光電変換された第1のマイクロ波信号の角周波数は、ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δtとなる。
【0036】
一方、光部分反射鏡4で反射されることで伝送光ファイバ3を往復した変調光の角周波数は、伝送光ファイバ3による位相変動を2回受けることになる。よって、往復した後、第2の光電変換手段6により光電変換された第2のマイクロ波信号の角周波数は、ωm+ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δとなる。
【0037】
一方、基準信号源7からの基準マイクロ波信号(角周波数ωm)の一部は、第1の周波数変換手段82で3倍の周波数に変換され、その角周波数は3ωmとなる。
そして、第2の周波数変換手段83として例えばミキサなどを用い、第2の光電変換手段6からの第2のマイクロ波信号と第1の周波数変換手段82からの基準マイクロ波信号との差成分を出力すると、式(3)に示すような角周波数の第1の差分マイクロ波信号が出力される。
3ωm−(ωm+ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δt)=2ωm−ΔΦ0/Δt−2・ΔΦ1/Δt (3)
【0038】
さらに、第3の周波数変換手段84として例えばミキサなどを用い、第2の周波数変換手段83からの第1の差分マイクロ波信号とVCO87(第2のマイクロ波分配器88)からの変調用マイクロ波信号との差成分を出力すると、式(4)に示すような角周波数の第2の差分マイクロ波信号が出力される。
(2ωm−ΔΦ0/Δt−2・ΔΦ1/Δt)−(ωm+ΔΦ0/Δt)=ωm−2ΔΦ0/Δt−2・ΔΦ1/Δt (4)
【0039】
そして、この第2の差分マイクロ波信号の位相と基準信号源7からの基準マイクロ波信号の位相とを位相比較手段85で比較し、VCO87でその差を打ち消す方向に発振周波数を制御した変調用マイクロ波信号を生成する。
よって、位相比較手段85への両入力信号が等しくなった場合には式(5)が成り立つため、式(6)のような関係が成り立つ。
ωm=ωm−2ΔΦ0/Δt−2・ΔΦ1/Δt (5)
ΔΦ0/Δt=−ΔΦ1/Δt (6)
【0040】
このとき、上記の光部分反射鏡4を透過して第1の光電変換手段5により光電変換された第1のマイクロ波信号の角周波数(ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt)は、上式(6)によってωmとなるため、伝送光ファイバ3による位相変動成分を打ち消すことができ、基準信号源7の出力信号と同一となる。なお、上記の説明では、固定の光路長(位相)の初期オフセット分は省略している。
【0041】
以上のように、この実施の形態1によれば、変調光の伝送先近傍で往復する変調光をモニタして、変調光の角周波数を制御するように構成したので、伝送光ファイバ3などの伝送後の位相変動を補償することができる。また、従来の構成では、光ファイバストレッチャなどにより直接伝送路の位相変動分の長さを補償していたため、光ファイバストレッチャなどの光路長制御デバイスの制御可能な長さ、応答速度が制限されていたが、実施の形態1に係る光ファイバマイクロ波伝送装置では、変調用マイクロ波信号の周波数制御により位相変動を補償できることから、位相補償可能な長さを容易に拡大することができる。
【0042】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。図3に示す実施の形態2に係る光ファイバマイクロ波伝送装置は、図1に示す実施の形態1に係る光ファイバマイクロ波伝送装置にマイクロ波信号源9、第3のマイクロ波分配器10および第5,6の周波数変換手段11,12を追加したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。また、図3では、位相同期回路8の内部構成の記載は省略している(以下同様)。
【0043】
マイクロ波信号源9は、所定の角周波数の第3のマイクロ波信号を発生するものである。この基準信号源7により発生された第3のマイクロ波信号は第3のマイクロ波分配器10に出力される。
【0044】
第3のマイクロ波分配器10は、マイクロ波信号源9からの第3のマイクロ波信号を2つに分岐するものである。この第3のマイクロ波分配器10により分岐された一方の第3のマイクロ波信号は第5の周波数変換手段11に出力され、他方の第3のマイクロ波信号は第6の周波数変換手段12に出力される。
【0045】
第5の周波数変換手段11は、位相同期回路8の第2のマイクロ波分配器88からの変調用マイクロ波信号と第3のマイクロ波分配器10からの第3のマイクロ波信号とに基づいて、それらの周波数の差および位相差を持つ第4の差分マイクロ波信号を生成するものである。この第5の周波数変換手段11により生成された第4の差分マイクロ波信号は電光変換手段1に出力される。
なお、電光変換手段1は、実施の形態1における変調用マイクロ波信号に換えて上記第4の差分マイクロ波信号を用いて、変調光を生成する。
【0046】
第6の周波数変換手段12は、第2の光電変換手段6からの第2のマイクロ波信号と第3のマイクロ波分配器10からの第3のマイクロ波信号とに基づいて、それらの周波数の差および位相差を持つ第5の差分マイクロ波信号を生成するものである。この第6の周波数変換手段12により生成された第5の差分マイクロ波信号は位相同期回路8の第2の周波数変換手段83に出力される。
なお、第2の周波数変換手段83は、実施の形態1における第2のマイクロ波信号に換えて上記第5の差分マイクロ波信号を用いて、第1の差分マイクロ波信号を生成する。
【0047】
ここで、実施の形態1と同様に基準信号源7からの基準マイクロ波信号の角周波数をωmとし、位相同期回路8からの変調用マイクロ波信号の角周波数をωm+ΔΦ0/Δtとして、また、マイクロ波信号源9からの第3のマイクロ波信号の角周波数をωm2とすると、第5の周波数変換手段11から出力された第4の差分マイクロ波信号の角周波数は、ωm+ωm2+ΔΦ0/Δtとなる。
【0048】
そして、電光変換手段1にて、この第3の差分マイクロ波信号で強度変調された変調光は、伝送光ファイバ3などで位相変動(ΔΦ1/Δt)を受ける。そのため、光部分反射鏡4を透過して第1の光電変換手段5により光電変換された第1のマイクロ波信号の角周波数は、ωm+ωm2+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δtとなる。
【0049】
一方、光部分反射鏡4により反射されることで伝送光ファイバ3を往復した変調光は、伝送光ファイバ3などによる位相変動を2回受けることになる。よって、往復した後、第2の光電変換手段6により光電変換された第2のマイクロ波信号の角周波数は、ωm+ωm2+ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δとなる。
【0050】
一方、基準信号源7からの基準マイクロ波信号(角周波数ωm)の一部は、第1の周波数変換手段82で3倍の周波数に変換され、その角周波数は3ωmとなる。
そして、第2の周波数変換手段83として例えばミキサなどを用い、第2の光電変換手段6からの第2のマイクロ波信号と第1の周波数変換手段82からの基準マイクロ波信号との差成分を出力すると、式(7)に示すような角周波数の第1の差分マイクロ波信号が出力される。
3ωm−(ωm+ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δt)=2ωm−ΔΦ0/Δt−2・ΔΦ1/Δt (7)
【0051】
そして、第6の周波数変換手段12として例えばミキサなどを用い、この第2のマイクロ波信号とマイクロ波信号源9からの第3のマイクロ波信号(ωm2)との差成分を出力すると、その角周波数は、ωm+ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δとなる。
この第5の差分マイクロ波信号が位相同期回路8に出力されて、実施の形態1と同様に基準信号源7からの基準マイクロ波信号との差を打ち消す方向に制御される。
よって、位相比較手段85への両入力信号が等しくなった場合には式(8)が成り立つため、式(9)のような関係が成り立つ。
ωm=ωm−2ΔΦ0/Δt−2・ΔΦ1/Δt (8)
ΔΦ0/Δt=−ΔΦ1/Δt (9)
【0052】
このとき、上記の光部分反射鏡4を透過して第1の光電変換手段5により光電変換された第1のマイクロ波信号の角周波数(ωm+ωm2+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt)は、上式(6)によってωm+ωm2となるため、伝送光ファイバ3による位相変動成分を打ち消すことができる。また、第1のマイクロ波信号の角周波数は、基準信号源7の出力信号の角周波数とマイクロ波信号源9の出力信号の角周波数の和となる。なお、上記の説明では、固定の光路長(位相)の初期オフセット分は省略している。
【0053】
以上のように、この実施の形態2によれば、電光変換手段1への入力信号および第2の光電変換手段6からの出力信号を、同一のマイクロ波信号源9からの出力信号で周波数変換するように構成したので、基準信号源7からの出力信号の角周波数に関わらず、マイクロ波信号源9からの出力信号の角周波数を制御することで、任意の角周波数のマイクロ波信号を伝送することが可能となる。
【0054】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。図4に示す実施の形態3に係る光ファイバマイクロ波伝送装置は、図1に示す実施の形態1に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の光サーキュレータ2を偏光ビームスプリッタ(PBS、光路切替手段)13に変更し、光部分反射鏡4を光合分波器(光合分波手段)14およびファラディ回転鏡(偏波回転手段)15に変更したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0055】
PBS13は、入力された変調光を、その偏波方向に応じて、透過または反射するものである。ここで、電光変換手段1からの変調光が直線変調光である場合、PBS13は、この変調光を透過して伝送光ファイバ3に出力し、また、伝送光ファイバ3からの偏波方向が90度回転した変調光を反射して光合波器7に出力する。
【0056】
光合分波器14は、伝送光ファイバ3からの変調光を2つに分岐するものである。この光合分波器14により分岐された一方の変調光はファラディ回転鏡15に出力され、他方の変調光は第1の光電変換手段5に出力される。また、光合分波器14は、ファラディ回転鏡15からの反射光(変調光)を伝送光ファイバ3に出力する。
ファラディ回転鏡15は、光合分波器14からの変調光の偏波方向を90度回転させて光合分波器14に反射するものである。
【0057】
この場合、電光変換手段1から出力された変調光は、PBS13を透過(図4では左から右に進行)し、伝送光ファイバ3を介して光合分波器14で分岐されて、一方の変調光がファラディ回転鏡15に出力される。そして、ファラディ回転鏡15は、この変調光の偏波方向を90度回転させて光合分波器14に反射する。
【0058】
そして、この反射光(変調光)は、光合分波器14を介して伝送光ファイバ3で上記とは逆方向に伝送(図4では右から左に進行)されてPBS13に出力される。ここで、PBS13に到達した変調光の偏波方向は、PBS13を透過した際の偏波方向に対して90度傾いているため、PBS13により反射されて第2の光電変換手段6に出力される(図4では下側に反射)。
【0059】
以上のように、この実施の形態3によれば、ファラディ回転鏡15により伝送光ファイバ3からの変調光の偏波方向を90度回転させて伝送光ファイバ3に反射するように構成したので、実施の形態1における効果に加えて、伝送光ファイバ3中で光の偏波方向が変動した場合であっても、往復する過程で偏波方向は直交させることができるため、ファイバ伝送中の偏波の変動を打ち消すことができる。
【0060】
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4に係る複合型光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。図5に示す実施の形態4に係る複合型光ファイバマイクロ波伝送装置は、図1に示す実施の形態1に係る光ファイバマイクロ波伝送装置を複数組備えたものである(図5では2組の場合を示し、2組目の光ファイバマイクロ波伝送装置内の各機能部の符号に「a」を付している)。なお、基準信号源7は各光ファイバマイクロ波伝送装置で共有する構成となっている。
これにより、各電光変換手段1,1aから出力された変調光を、位相を同期させた状態で複数の地点に伝送することが可能となる。
【0061】
実施の形態5.
図6はこの発明の実施の形態5に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。図6に示す実施の形態5に係る光ファイバマイクロ波伝送装置は、図1に示す実施の形態1に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の位相同期回路8から、第1のマイクロ波分配器81および第1〜3の周波数変換手段82〜84を取り除き、第2のマイクロ波分配器88を第1のマイクロ波分配器81bに変更し、第1,2の周波数変換手段82b,83bを追加したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
第1のマイクロ波分配器81bは、VCO87からの変調用マイクロ波信号を2つに分岐するものである。この第1のマイクロ波分配器81bにより分岐された一方の変調用マイクロ波信号は電光変換手段1に出力され、他方の変調用マイクロ波信号は第1の周波数変換手段82bに出力される。
【0063】
第1の周波数変換手段82bは、第2の光電変換手段6からの第2のマイクロ波信号と第1のマイクロ波分配器81bからの変調用マイクロ波信号とに基づいて、それらの周波数の差および位相差を持つ第1の差分マイクロ波信号を生成するものである。この第1の周波数変換手段82bにより生成された第1の差分マイクロ波信号は第2の周波数変換手段83bに出力される。
【0064】
第2の周波数変換手段83bは、第1の周波数変換手段82bからの第1の差分マイクロ波信号の角周波数を1/2倍に変換するものである。この第2の周波数変換手段83bにより角周波数が変換された第1の差分マイクロ波信号は位相比較手段85に出力される。
【0065】
なお、位相比較手段85は、基準信号源7からの基準マイクロ波信号と第2の周波数変換手段83bからの第1の差分マイクロ波信号とを比較して位相変動量(位相差)を計測し、この位相差を電気信号に変換した位相差信号を生成する。
【0066】
ここで、実施の形態1と同様に基準信号源7からの基準マイクロ波信号の角周波数をωmとし、VCO87からの変調用マイクロ波信号の角周波数をωm+ΔΦ0/Δtとする。
【0067】
電光変換手段1からの変調光は、光サーキュレータ2を介して伝送光ファイバ3を伝搬する。ここで、伝送光ファイバ3の環境変動により光路長が変動したときの透過位相の変動量をΔΦ1とすると、光部分反射鏡4を透過して第1の光電変換手段5により光電変換された第1のマイクロ波信号の角周波数は、ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δtとなる。
【0068】
一方、光部分反射鏡4で反射されることで伝送光ファイバ3を往復した変調光の角周波数は、伝送光ファイバ3による位相変動を2回受けることになる。よって、往復した後、第2の光電変換手段6により光電変換された第2のマイクロ波信号の角周波数は、ωm+ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δとなる。
【0069】
第1の周波数変換手段82bとして例えばミキサなどを用い、第2の光電変換手段6からの第2のマイクロ波信号と第1のマイクロ波分配器81bからの変調用マイクロ波信号との差成分を出力すると、式(10)に示すような角周波数の第1の差分マイクロ波信号が出力される。
2ωm+2・ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δt (10)
【0070】
さらに、第2の周波数変換手段83bとして例えば分周器などを用い、第1の周波数変換手段82bからの第1の差分マイクロ波信号を1/2倍の角周波数に変換すると、式(11)に示すような角周波数の第1の差分マイクロ波信号が出力される。
ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt (11)
【0071】
そして、この第1の差分マイクロ波信号の位相と基準信号源7からの基準マイクロ波信号の位相とを位相比較手段85で比較し、VCO87でその差を打ち消す方向に発振周波数を制御した変調用マイクロ波信号を生成する。
よって、位相比較手段85への両入力信号が等しくなった場合には式(12)が成り立つため、式(13)のような関係が成り立つ。
ωm=ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt (12)
ΔΦ0/Δt=−ΔΦ1/Δt (13)
【0072】
このとき、上記の光部分反射鏡4を透過して第1の光電変換手段5により光電変換された第1のマイクロ波信号の角周波数(ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt)は、上式(13)によってωmとなるため、伝送光ファイバ3による位相変動成分を打ち消すことができる。なお、上記の説明では、固定の光路長(位相)の初期オフセット分は省略している。
【0073】
以上のように、この実施の形態5によれば、変調光の伝送先近傍で往復する変調光をモニタして、変調光の角周波数を制御するように構成したので、伝送光ファイバ3などの伝送後の位相変動を補償することができる。
【0074】
実施の形態6.
図7はこの発明の実施の形態6に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。図7に示す実施の形態6に係る光ファイバマイクロ波伝送装置は、図6に示す実施の形態5に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の位相同期回路8から、第1,2の周波数変換手段82b,83bを取り除き、マイクロ波信号源89および第1〜4の周波数変換手段82c〜84c,90を追加したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0075】
マイクロ波信号源89は、所定の角周波数の第4のマイクロ波信号を発生するものである。このマイクロ波信号源89により発生された第4のマイクロ波信号は第1の周波数変換手段82cおよび第3の周波数変換手段84cに出力される。
【0076】
第1の周波数変換手段82cは、第2の光電変換手段6からの第2のマイクロ波信号とマイクロ波信号源89からの第4のマイクロ波信号に基づいて、それらの周波数の差および位相差を持つ第1の差分マイクロ波信号を生成するものである。この第1の周波数変換手段82cにより生成された第1の差分マイクロ波信号は第2の周波数変換手段83cに出力される。
【0077】
第2の周波数変換手段83cは、第1の周波数変換手段82cからの第1の差分マイクロ波信号と第1のマイクロ波分配器81bからの変調用マイクロ波信号とに基づいて、それらの周波数の差および位相差を持つ第2の差分マイクロ波信号を生成するものである。この第2の周波数変換手段83cにより生成された第2の差分マイクロ波信号は第3の周波数変換手段84cに出力される。
【0078】
第3の周波数変換手段84cは、第2の周波数変換手段83cからの第2の差分マイクロ波信号とマイクロ波信号源89からの第4のマイクロ波信号に基づいて、それらの周波数の差および位相差を持つ第3の差分マイクロ波信号を生成するものである。この第3の周波数変換手段84cにより生成された第3の差分マイクロ波信号は第4の周波数変換手段90に出力される。
【0079】
第4の周波数変換手段90は、第3の周波数変換手段84cからの第3の差分マイクロ波信号の角周波数を1/2倍に変換するものである。この第4の周波数変換手段90により角周波数が変換された第3の差分マイクロ波信号は位相比較手段85に出力される。
【0080】
なお、位相比較手段85は、基準信号源7からの基準マイクロ波信号と第4の周波数変換手段90からの第3の差分マイクロ波信号とを比較して位相変動量(位相差)を計測し、この位相差を電気信号に変換した位相差信号を生成する。
【0081】
ここで、実施の形態1と同様に基準信号源7からの基準マイクロ波信号の角周波数をωmとし、VCO87からの変調用マイクロ波信号の角周波数をωm+ΔΦ0/Δtとし、マイクロ波信号源89からの第4のマイクロ波信号の角周波数をωm3+ΔΦ3/Δtとする。
【0082】
電光変換手段1からの変調光は、光サーキュレータ2を介して伝送光ファイバ3を伝搬する。ここで、伝送光ファイバ3の環境変動により光路長が変動したときの透過位相の変動量をΔΦ1とすると、光部分反射鏡4を透過して第1の光電変換手段5により光電変換された第1のマイクロ波信号の角周波数は、ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δtとなる。
【0083】
一方、光部分反射鏡4で反射されることで伝送光ファイバ3を往復した変調光の角周波数は、伝送光ファイバ3による位相変動を2回受けることになる。よって、往復した後、第2の光電変換手段6により光電変換された第2のマイクロ波信号の角周波数は、ωm+ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δとなる。
【0084】
第1の周波数変換手段82cとして例えばミキサなどを用い、第2の光電変換手段6からの第2のマイクロ波信号とマイクロ波信号源89からの第4のマイクロ波信号との差成分を出力すると、式(14)に示すような角周波数の第1の差分マイクロ波信号が出力される。
ωm−ωm3+ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δt−ΔΦ3/Δt (14)
【0085】
また、第2の周波数変換手段83cとして例えばミキサなどを用い、第1の周波数変換手段82cからの第1の差分マイクロ波信号と第1のマイクロ波分配器81bからの変調用マイクロ波信号との差成分を出力すると、式(15)に示すような角周波数の第2の差分マイクロ波信号が出力される。
2ωm−ωm3+2・ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δt−ΔΦ3/Δt (15)
【0086】
また、第3の周波数変換手段84cとして例えばミキサなどを用い、第2の周波数変換手段83cからの第2の差分マイクロ波信号とマイクロ波信号源89からの第4のマイクロ波信号との差成分を出力すると、式(16)に示すような角周波数の第3の差分マイクロ波信号が出力される。
2ωm+2・ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δt (16)
【0087】
さらに、第4の周波数変換手段90として例えば分周器などを用い、第3の周波数変換手段84cからの第3の差分マイクロ波信号を1/2倍の角周波数に変換すると、式(17)に示すような角周波数の第3の差分マイクロ波信号が出力される。
ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt (17)
【0088】
そして、この第3の差分マイクロ波信号の位相と基準信号源7からの基準マイクロ波信号の位相とを位相比較手段85で比較し、VCO87でその差を打ち消す方向に発振周波数を制御した変調用マイクロ波信号を生成する。
よって、位相比較手段85への両入力信号が等しくなった場合には式(18)が成り立つため、式(19)のような関係が成り立つ。
ωm=ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt (18)
ΔΦ0/Δt=−ΔΦ1/Δt (19)
【0089】
このとき、上記の光部分反射鏡4を透過して第1の光電変換手段5により光電変換された第1のマイクロ波信号の角周波数(ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt)は、上式(19)によってωmとなるため、伝送光ファイバ3による位相変動成分を打ち消すことができる。なお、上記の説明では、固定の光路長(位相)の初期オフセット分は省略している。
【0090】
以上のように、この実施の形態6によれば、変調光の伝送先近傍で往復する変調光をモニタして、変調光の角周波数を制御するように構成したので、伝送光ファイバ3などの伝送後の位相変動を補償することができる。
【0091】
実施の形態7.
図8はこの発明の実施の形態7に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。図8に示す実施の形態7に係る光ファイバマイクロ波伝送装置は、図6に示す実施の形態5に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の位相同期回路8から、第1,2の周波数変換手段82b,83bを取り除き、第1〜3の周波数変換手段82d〜84dを追加したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0092】
第1の周波数変換手段82dは、第2の光電変換手段6からの第2のマイクロ波信号の角周波数を1/2倍に変換するものである。この第1の周波数変換手段82dにより角周波数が変換された第2のマイクロ波信号は第3の周波数変換手段84dに出力される。
【0093】
第2の周波数変換手段83dは、第1のマイクロ波分配器81bからの変調用マイクロ波信号の角周波数を1/2倍に変換するものである。この第2の周波数変換手段83dにより角周波数が変換された変調用マイクロ波信号は第3の周波数変換手段84dに出力される。
【0094】
第3の周波数変換手段84dは、第1の周波数変換手段82dからの第2のマイクロ波信号と第2の周波数変換手段83dからの変調用マイクロ波信号とに基づいて、それらの周波数の差および位相差を持つ第1の差分マイクロ波信号を生成するものである。
【0095】
また、位相比較手段85は、基準信号源7からの基準マイクロ波信号と第3の周波数変換手段84dからの第1の差分マイクロ波信号とを比較して位相変動量(位相差)を計測し、この位相差を電気信号に変換した位相差信号を生成する。
【0096】
ここで、実施の形態1と同様に基準信号源7からの基準マイクロ波信号の角周波数をωm、VCO87からの変調用マイクロ波信号の角周波数をωm+ΔΦ0/Δtとする。
【0097】
電光変換手段1からの変調光は、光サーキュレータ2を介して伝送光ファイバ3を伝搬する。ここで、伝送光ファイバ3の環境変動により光路長が変動したときの透過位相の変動量をΔΦ1とすると、光部分反射鏡4を透過して第1の光電変換手段5により光電変換された第1のマイクロ波信号の角周波数は、ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δtとなる。
【0098】
一方、光部分反射鏡4で反射されることで伝送光ファイバ3を往復した変調光の角周波数は、伝送光ファイバ3による位相変動を2回受けることになる。よって、往復した後、第2の光電変換手段6により光電変換された第2のマイクロ波信号の角周波数は、ωm+ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δとなる。
【0099】
第1の周波数変換手段82dとして例えば分周器などを用い、第2の光電変換手段6からの第2のマイクロ波信号を1/2倍の角周波数に変換すると、式(20)に示すような角周波数の第2のマイクロ波信号が出力される。
ωm/2+ΔΦ0/Δt/2+ΔΦ1/Δt (20)
【0100】
また、第2の周波数変換手段83dとして例えば分周器などを用い、第1のマイクロ波分配器81bからの変調用マイクロ波信号を1/2倍の角周波数に変換すると、式(21)に示すような角周波数の変調用マイクロ波信号が出力される。
ωm/2+ΔΦ0/Δt/2 (21)
【0101】
さらに、第3の周波数変換手段84dとして例えばミキサなどを用い、第1の周波数変換手段82dからの第2のマイクロ波信号と第2の周波数変換手段83dからの変調用マイクロ波信号との差成分を出力すると、式(22)に示すような角周波数の第1の差分マイクロ波信号が出力される。
ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt (22)
【0102】
そして、この第1の差分マイクロ波信号の位相と基準信号源7からの基準マイクロ波信号の位相とを位相比較手段85で比較し、VCO87でその差を打ち消す方向に発振周波数を制御した変調用マイクロ波信号を生成する。
よって、位相比較手段85への両入力信号が等しくなった場合には式(23)が成り立つため、式(24)のような関係が成り立つ。
ωm=ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt (23)
ΔΦ0/Δt=−ΔΦ1/Δt (24)
【0103】
このとき、上記の光部分反射鏡4を透過して第1の光電変換手段5により光電変換された第1のマイクロ波信号の角周波数(ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt)は、上式(24)によってωmとなるため、伝送光ファイバ3による位相変動成分を打ち消すことができる。なお、上記の説明では、固定の光路長(位相)の初期オフセット分は省略している。
【0104】
以上のように、この実施の形態7によれば、変調光の伝送先近傍で往復する変調光をモニタして、変調光の角周波数を制御するように構成したので、伝送光ファイバ3などの伝送後の位相変動を補償することができる。
【0105】
実施の形態8.
図9はこの発明の実施の形態8に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の構成を示すブロック図である。図9に示す実施の形態8に係る光ファイバマイクロ波伝送装置は、図6に示す実施の形態5に係る光ファイバマイクロ波伝送装置の位相同期回路8から、第1,2の周波数変換手段82b,83bを取り除き、第4〜6のマイクロ波分配器91,93,95、周波数シンセサイザ92、マイクロ波結合器94、第1〜4の周波数変換手段82e〜84e,90eおよび第1,2の周波数制限手段96,97を追加したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0106】
なお、第1のマイクロ波分配器81bは、分岐した一方の変調用マイクロ波信号を第4のマイクロ波分配器91に出力し、他方の変調用マイクロ波信号を周波数シンセサイザ92に出力する。
【0107】
第4のマイクロ波分配器91は、第1のマイクロ波分配器81bからの変調用マイクロ波信号を2つに分岐するものである。この第4のマイクロ波分配器91により分岐された一方の変調用マイクロ波信号はマイクロ波結合器94に出力され、他方の変調用マイクロ波信号は第3の周波数変換手段84eに出力される。
【0108】
周波数シンセサイザ92は、第1のマイクロ波分配器81bからの変調用マイクロ波信号の角周波数を任意の実数倍(N倍)にして、第2の変調用マイクロ波信号を生成するものである。この周波数シンセサイザ92により生成された第2の変調用マイクロ波信号は第5のマイクロ波分配器93に出力される。
【0109】
第5のマイクロ波分配器93は、周波数シンセサイザ92からの第2の変調用マイクロ波信号を2つに分岐するものである。この第5のマイクロ波分配器93により分岐された一方の第2の変調用マイクロ波信号はマイクロ波結合器94に出力され、他方の第2の変調用マイクロ波信号は第3の周波数変換手段84eに出力される。
【0110】
マイクロ波結合器94は、第4のマイクロ波分配器91からの変調用マイクロ波信号と第5のマイクロ波分配器93からの第2の変調用マイクロ波信号とを合成して、最終的な変調用マイクロ波信号を生成するものである。このマイクロ波結合器94により生成された変調用マイクロ波信号は電光変換手段1に出力される。
【0111】
第3の周波数変換手段84eは、第4のマイクロ波分配器91からの変調用マイクロ波信号と第5のマイクロ波分配器93からの第2の変調用マイクロ波信号とに基づいて、それらの周波数の差および位相差を持つ第2の差分マイクロ波信号を生成するものである。この第3の周波数変換手段84eにより生成された第2の差分マイクロ波信号は第1の周波数変換手段82eに出力される。
【0112】
第6のマイクロ波分配器95は、第2の光電変換手段6からの第2のマイクロ波信号を2つに分岐するものである。この第6のマイクロ波分配器95により分岐された一方の第2のマイクロ波信号は第1の周波数制限手段96に出力され、他方の第2のマイクロ波信号は第2の周波数制限手段97に出力される。
【0113】
第1の周波数制限手段96は、第6のマイクロ波分配器95からの第2のマイクロ波信号に含まれる変調用マイクロ波信号と角周波数が一致する第3のマイクロ波信号を抽出するものである。この第1の周波数制限手段96により抽出された第3のマイクロ波信号は第4の周波数変換手段90eに出力される。
【0114】
第2の周波数制限手段97は、第6のマイクロ波分配器95からの第2のマイクロ波信号に含まれる第2の変調用マイクロ波信号と角周波数が一致する第4のマイクロ波信号を抽出するものである。この第2の周波数制限手段97により抽出された第4のマイクロ波信号は第4の周波数変換手段90eに出力される。
【0115】
第4の周波数変換手段90eは、第1の周波数制限手段96からの第3のマイクロ波信号と第2の周波数制限手段97からの第4のマイクロ波信号とに基づいて、それらの周波数の差および位相差を持つ第3の差分マイクロ波信号を生成するものである。この第4の周波数変換手段90eにより生成された第3の差分マイクロ波信号は第1の周波数変換手段82eに出力される。
【0116】
第1の周波数変換手段82eは、第3の周波数変換手段84eからの第2の差分マイクロ波信号と第4の周波数変換手段90eからの第3の差分マイクロ波信号とに基づいて、それらの周波数の差および位相差を持つ第1の差分マイクロ波信号を生成するものである。この第1の周波数変換手段82eにより生成された第1の差分マイクロ波信号は第2の周波数変換手段83eに出力される。
【0117】
第2の周波数変換手段83eは、第1の周波数変換手段82eからの第1の差分マイクロ波信号の角周波数を1/2(N−1)倍するものである。この第2の周波数変換手段83eにより角周波数および位相が変換された第1の差分マイクロ波信号は位相比較手段85に出力される。
【0118】
なお、位相比較手段85は、基準信号源7からの基準マイクロ波信号と第2の周波数変換手段83eからの第1の差分マイクロ波信号とを比較して位相変動量(位相差)を計測し、この位相差を電気信号に変換した位相差信号を生成する。
【0119】
ここで、実施の形態1と同様に基準信号源7からの基準マイクロ波信号の角周波数をωmとし、VCO87からの変調用マイクロ波信号の角周波数をωm+ΔΦ0/Δtとする。
【0120】
この場合、周波数シンセサイザ92からの第2の変調用マイクロ波信号の角周波数は変調用マイクロ波信号の角周波数のN倍となりNωm+NΔΦ0/Δtとなる。
【0121】
電光変換手段1からの変調光は、光サーキュレータ2を介して伝送光ファイバ3を伝搬する。ここで、伝送光ファイバ3の環境変動により光路長が変動したときの透過位相の変動量をΔΦ1とすると、光部分反射鏡4を透過して第1の光電変換手段5により光電変換された変調用マイクロ波信号の角周波数は、ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δtとなる。また、第2の変調用マイクロ波信号の角周波数は変調用マイクロ波信号の角周波数のN倍となりNωm+NΔΦ0/Δt+NΔΦ1/Δtとなる。
【0122】
一方、光部分反射鏡4で反射されることで伝送光ファイバ3を往復した変調光の角周波数は、伝送光ファイバ3による位相変動を2回受けることになる。よって、往復した後、第2の光電変換手段6により光電変換された第1のマイクロ波信号に含まれる変調マイクロ波信号の角周波数はωm+ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δとなる。また、第1のマイクロ波信号に含まれる第2の変調用マイクロ波信号の角周波数はNωm+NΔΦ0/Δt+2N・ΔΦ1/Δとなる。
【0123】
ここで、光サーキュレータ2と伝送光ファイバ3の間または伝送光ファイバ3と光部分反射鏡4の間に反射が生じた場合、第2の光電変換手段6に干渉マイクロ波信号が生成される。この第2の光電変換手段6からの干渉マイクロ波信号は光電変換された第1のマイクロ波信号に加算されるため、位相変動が生じる。ここで、干渉マイクロ波信号により生じる変調用マイクロ波信号の位相の変動をΔΦ2とし、干渉マイクロ波信号により生じる第2の変調用マイクロ波信号の位相の変動をΔΦ3とすると、変調マイクロ波信号の角周波数は、ωm+ΔΦ0/Δt+2・ΔΦ1/Δt+ΔΦ2/Δtとなる。また、のマイクロ波信号に含まれる第2の変調用マイクロ波信号の角周波数はNωm+NΔΦ0/Δt+2N・ΔΦ1/Δt+ΔΦ3/Δtとなる。
【0124】
第1のマイクロ波信号は、第6のマイクロ波分配器95にて分配され、第1の周波数制限手段96により変調用マイクロ波信号が分離され、第2の周波数制限手段97により第2の変調用マイクロ波信号が分離される。
【0125】
第4の周波数変換手段90eとして例えばミキサなどを用い、第1の周波数制限手段96からの変調用マイクロ波信号と第2の周波数制限手段97からの第2の変調用マイクロ波信号との差成分を出力すると、式(25)に示すような角周波数の第3の差分マイクロ波信号が出力される。
(N−1)ωm+(N−1)ΔΦ0/Δt+2(N−1)ΔΦ1/Δt+(ΔΦ3/Δt−ΔΦ2/Δt) (25)
【0126】
さらに、第1の周波数変換手段82eとして例えばミキサなどを用い、第3の周波数変換手段84eからの第2の差分マイクロ波信号と第4の周波数変換手段90eからの第3の差分マイクロ波信号との差成分を出力すると、式(26)に示すような角周波数の第1の差分マイクロ波信号が出力される。
2(N−1)ωm+2(N−1)ΔΦ0/Δt+2(N−1)ΔΦ1/Δt+(ΔΦ3/Δt−ΔΦ2/Δt)(26)
【0127】
また、第2の周波数変換手段83eとして例えば分周器などを用い、第1の周波数変換手段82eからの第1の差分マイクロ波信号を1/2(N−1)倍の角周波数に変換すると、式(27)に示すような角周波数の比較用マイクロ波信号が出力される。
ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt+(ΔΦ3/Δt−ΔΦ2/Δt)/2(N−1) (27)
【0128】
そして、この第1の差分マイクロ波信号の位相と基準信号源7からの基準マイクロ波信号の位相とを位相比較手段85で比較し、VCO87でその差を打ち消す方向に発振周波数を制御した変調用マイクロ波信号を生成する。
【0129】
よって、位相比較手段85への両入力信号が等しくなった場合には式(28)が成り立つため、式(29)のような関係が成り立つ。
ωm=ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt+(ΔΦ3/Δt−ΔΦ2/Δt)/2(N−1) (28)
ΔΦ0/Δt=−ΔΦ1/Δt−(ΔΦ3/Δt−ΔΦ2/Δt)/2(N−1) (29)
【0130】
このとき、上記の光部分反射鏡4を透過して第1の光電変換手段5により光電変換された第1のマイクロ波信号の角周波数(ωm+ΔΦ0/Δt+ΔΦ1/Δt)は、上式(29)によってωm−(ΔΦ3/Δt−ΔΦ2/Δt)/2(N−1)となるため、伝送光ファイバ3による位相変動成分を打ち消すことができるが、光伝送路で生じる反射による位相変動は残存する。ただし、周波数シンセサイザ92の角周波数の倍数Nを1より大きくすることにより、光伝送路で生じる反射による位相変動を小さくする効果が期待できる。
【0131】
以上のように、この実施の形態8によれば、周波数シンセサイザ92により変調用マイクロ波信号の角周波数および位相を任意の実数倍にするように構成したので、光伝送路で生じる反射による位相変動を小さくすることができる。
【0132】
なお、上記実施の形態5〜8では、図1に示す光ファイバマイクロ波伝送装置の構成をベースにして位相同期回路8の別構成について説明した。しかしながら、これに限るものではなく、図3,4に示す光ファイバマイクロ波伝送装置に対しても同様に適用可能であり、さらに、図5に示す複合型光ファイバマイクロ波伝送装置に対しても同様に適用可能である。
【0133】
また、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0134】
1 電光変換手段、2 光サーキュレータ(光路切替手段)、3 伝送光ファイバ、4 光部分反射鏡(光部分反射手段)、5,6 第1,2の光電変換手段、7 基準信号源、8 位相同期回路(位相同期手段)、9 マイクロ波信号源、10 第3のマイクロ波分配器、11,12 第5,6の周波数変換手段、13 PBS(光路切替手段)、14 光合分波器(光合分波手段)、15 ファラディ回転鏡(偏波回転手段)、81,81b 第1のマイクロ波分配器(マイクロ波分配手段)、82〜84,82b,83b,82c〜84c,82d〜84d,82e〜84e 第1〜3の周波数変換手段、85 位相比較手段、86 ループフィルタ、87 VCO(変調用マイクロ波生成手段)、88 第2のマイクロ波分配器、89 マイクロ波信号源、90,90e 第4の周波数変換手段、91 第4のマイクロ波分配器、92 周波数シンセサイザ、93 第5のマイクロ波分配器、94 マイクロ波結合器、95 第6のマイクロ波分配器、96,97 第1,2の周波数制限手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された変調用マイクロ波信号で強度変調した変調光を出力する電光変換手段と、
前記電光変換手段の後段に配置され、変調光の光路を選択的に切り替える光路切替手段と、
前記電光変換手段から前記光路切替手段および伝送光ファイバを介して出力された変調光の一部を当該伝送光ファイバに反射し、残りを透過する光部分反射手段と、
前記光部分反射手段を透過した変調光を第1のマイクロ波信号に変換する第1の光電変換手段と、
前記光部分反射手段から前記伝送光ファイバおよび前記光路切替手段を介して出力された変調光を第2のマイクロ波信号に変換する第2の光電変換手段と、
前記第2の光電変換手段により変換された第2のマイクロ波信号の位相と基準マイクロ波信号の位相とに基づいて、前記変調用マイクロ波信号を生成する位相同期手段と
を備えた光ファイバマイクロ波伝送装置。
【請求項2】
前記位相同期手段は、
前記第2の光電変換手段により変換された第2のマイクロ波信号と、前記変調用マイクロ波信号との差成分である第1の差分マイクロ波信号を生成する第1の周波数変換手段と、
前記第1の周波数変換手段により生成された第1の差分マイクロ波信号の角周波数を変換する第2の周波数変換手段と、
前記基準マイクロ波信号の位相と、前記第2の周波数変換手段により変換された第1の差分マイクロ波信号の位相とに基づいて、位相差信号を生成する位相比較手段と、
前記位相比較手段により生成された位相差信号に基づいて角周波数を制御した前記変調用マイクロ波信号を生成する変調用マイクロ波生成手段とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の光ファイバマイクロ波伝送装置。
【請求項3】
前記位相同期手段は、
前記第2の光電変換手段により変換された第2のマイクロ波信号と、所定のマイクロ波信号との差成分である第1の差分マイクロ波信号を生成する第1の周波数変換手段と、
前記第1の周波数変換手段により生成された第1の差分マイクロ波信号と、前記変調用マイクロ波信号との差成分である第2の差分マイクロ波信号を生成する第2の周波数変換手段と、
前記第2の周波数変換手段により生成された第2の差分マイクロ波信号と、前記マイクロ波信号との差成分である第3の差分マイクロ波信号を生成する第3の周波数変換手段と、
前記第3の周波数変換手段により生成された第3の差分マイクロ波信号の角周波数を変換する第4の周波数変換手段と、
前記基準マイクロ波信号の位相と、前記第4の周波数変換手段により変換された第3の差分マイクロ波信号の位相とに基づいて、位相差信号を生成する位相比較手段と、
前記位相比較手段により生成された位相差信号に基づいて角周波数を制御した前記変調用マイクロ波信号を生成する変調用マイクロ波生成手段とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の光ファイバマイクロ波伝送装置。
【請求項4】
前記位相同期手段は、
前記第2の光電変換手段により変換された第2のマイクロ波信号の角周波数を変換する第1の周波数変換手段と、
前記変調用マイクロ波信号の角周波数を変換する第2の周波数変換手段と、
前記第1の周波数変換手段により変換された第2のマイクロ波信号と、前記第2の周波数変換手段により変換された変調用マイクロ波信号との差成分である第1の差分マイクロ波信号を生成する第3の周波数変換手段と、
前記基準マイクロ波信号の位相と、前記第3の周波数変換手段により生成された第1の差分マイクロ波信号の位相とに基づいて、位相差信号を生成する位相比較手段と、
前記位相比較手段により生成された位相差信号に基づいて角周波数を制御した前記変調用マイクロ波信号を生成する変調用マイクロ波生成手段とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の光ファイバマイクロ波伝送装置。
【請求項5】
前記位相同期手段は、
前記基準マイクロ波信号を2分岐するマイクロ波分配手段と、
前記マイクロ波分配手段により分岐された一方の基準マイクロ波信号の角周波数を変換する第1の周波数変換手段と、
前記第2の光電変換手段により変換された第2のマイクロ波信号と、前記第1の周波数変換手段により変換された基準マイクロ波信号との差成分である第1の差分マイクロ波信号を生成する第2の周波数変換手段と、
前記第2の周波数変換手段により生成された第1の差分マイクロ波信号と前記変調用マイクロ波信号との差成分である第2の差分マイクロ波信号を生成する第3の周波数変換手段と、
前記マイクロ波分配手段により分岐された他方の基準マイクロ波信号の位相と、前記第3の周波数変換手段により生成された第2の差分マイクロ波信号の位相とに基づいて、位相差信号を生成する位相比較手段と、
前記位相比較手段により生成された位相差信号に基づいて角周波数を制御した前記変調用マイクロ波信号を生成する変調用マイクロ波生成手段とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の光ファイバマイクロ波伝送装置。
【請求項6】
前記変調用マイクロ波生成手段により生成された変調用マイクロ波信号の角周波数をN倍(Nは実数)して、第2の変調用マイクロ波信号を生成する周波数シンセサイザと、
前記変調用マイクロ波生成手段により生成された変調用マイクロ波信号と、前記周波数シンセサイザにより生成された第2の変調用マイクロ波信号とを合成して、最終的な前記変調用マイクロ波信号を生成するマイクロ波結合器と、
前記変調用マイクロ波生成手段により生成された変調用マイクロ波信号と、前記周波数シンセサイザにより生成された第2の変調用マイクロ波信号との差成分である第2の差分マイクロ波信号を生成する第3の周波数変換手段と、
前記第2の光電変換手段により変換された第2のマイクロ波信号から変調用マイクロ波信号を抽出する第1の周波数制限手段と、
前記第2の光電変換手段により変換された第2のマイクロ波信号から第2の変調用マイクロ波信号を抽出する第2の周波数制限手段と、
前記第1の周波数制限手段により抽出された変調用マイクロ波信号と、第2の周波数制限手段により抽出された第2の変調用マイクロ波信号との差成分である第3の差分マイクロ波信号を出力する第4の周波数変換手段とを備え、
前記第1の周波数変換手段は、前記第1の差分マイクロ波信号の生成に代えて、前記第3の周波数変換手段により生成された前記第2の差分マイクロ波信号と、前記第4の周波数変換手段により生成された前記第3の差分マイクロ波信号との差成分である第1の差分マイクロ波信号を生成し、
前記第2の周波数変換手段は、前記第1の周波数変換手段により生成された第1の差分マイクロ波信号の角周波数を1/2(N−1)倍する
ことを特徴とする請求項2記載の光ファイバマイクロ波伝送装置。
【請求項7】
所定の角周波数の第3のマイクロ波信号を発生するマイクロ波信号源と、
前記変調用マイクロ波生成手段により生成された変調用マイクロ波信号と、前記マイクロ波信号源により発生された第3のマイクロ波信号との差成分である第4の差分マイクロ波信号を生成する第5の周波数変換手段と、
前記第2の光電変換手段により変換された第2のマイクロ波信号と、前記マイクロ波信号源により発生された第3のマイクロ波信号との差成分である第5の差分マイクロ波信号を生成する第6の周波数変換手段とを備え、
前記電光変換手段は、前記変調用マイクロ波信号に換えて前記第4の差分マイクロ波信号を用い、
前記位相同期手段は、前記第2のマイクロ波信号に換えて前記第5の差分マイクロ波信号を用いる
ことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の光ファイバマイクロ波伝送装置。
【請求項8】
前記光路切替手段は光サーキュレータである
ことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の光ファイバマイクロ波伝送装置。
【請求項9】
前記光部分反射手段は、
入力された変調光の偏波方向を90度回転させて反射する偏波回転手段と、
前記伝送光ファイバにより伝送された変調光を分岐して前記第1の光電変換手段および前記偏波回転手段にそれぞれ出力し、当該偏波回転手段により反射された変調光を当該伝送光ファイバに出力する光合分波手段とからなり、
前記光路切替手段は偏光ビームスプリッタである
ことを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の光ファイバマイクロ波伝送装置。
【請求項10】
前記第1の周波数変換手段は、前記マイクロ波分配手段により分岐された一方の基準マイクロ波信号の角周波数を3倍に変換する
ことを特徴とする請求項5記載の光ファイバマイクロ波伝送装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載の光ファイバマイクロ波伝送装置を複数備え、前記各光ファイバマイクロ波伝送装置間で基準マイクロ波信号を共用とした
ことを特徴とする複合型光ファイバマイクロ波伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−42478(P2013−42478A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115585(P2012−115585)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】