説明

光ファイバ型光電センサ

【課題】光ファイバ型光電センサにおいて、結合効率と受光効率の向上を図る。
【解決手段】光ファイバ型光電センサは、白色LEDパッケージ160と、波長分離型PDアレイパッケージ170と、投光側光ファイバ180と、受光側光ファイバ190と、ホルダ部材120とを備える。ホルダ部材120は、投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190を受け入れる凹部形状の投光側光ファイバ受け部121および受光側光ファイバ受け部122と、これら凹部の底面によって構成される投光側光ファイバ突き当たり面121aおよび受光側光ファイバ突き当たり面122aと、貫通孔形状の光導波路を規定する投光側光導波路規定部126および受光側光導波路規定部127とを有している。これら投光側光導波路規定部126および受光側光導波路規定部127の内周面は、鏡面反射面に仕上げられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出対象物に向けて光を投光し、その反射光または透過光を受光することによって検出対象物の有無、色、反射率、表面状態等の情報を検出する光電センサに関し、特に、検出対象物に向けて投光する光や検出対象物からの光を光ファイバを利用して導波する光ファイバ型光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のファイバ型光電センサとしては、たとえば特開2001−155598号公報(特許文献1)に開示のものが知られている。上記特許文献1に開示のファイバ型光電センサにおいては、本体ケーシングに収容配置されるベース部材に投光側光ファイバを挿入するための貫通孔と受光側光ファイバを挿入するための貫通孔とを設け、当該貫通孔の各々に投光側光ファイバおよび受光側光ファイバのそれぞれを挿入保持させる構成が採用されている。ここで、各々の貫通孔の一方の開口端には、それぞれ投光素子のパッケージ表面および受光素子のパッケージ表面が対面配置されており、貫通孔の他方の開口端から挿入された投光側光ファイバおよび受光側光ファイバのそれぞれは、投光素子のパッケージ表面および受光素子のパッケージ表面のそれぞれに突き当てて固定される。
【0003】
ところで、投光素子として利用されるLED(light emitting diode)パッケージや受光素子として利用されるPD(photodiode)パッケージ等の半導体パッケージにおいては、半導体チップを基材の主表面に実装し、当該基材の主表面と半導体チップとを覆うように透光性の樹脂封止層が形成されていることが一般的である。このため、上述のように光ファイバを半導体パッケージの樹脂封止層の表面に突き当てた場合にも、半導体チップとパッケージ表面との間には所定の距離だけ隔たりがあるため、当該部分において光の拡散が生じることになり、実際に投光側光ファイバのコアに入射する光や受光素子の受光面によって受光される光の量は僅かに過ぎないこととなってしまうという問題が生じる。また、光ファイバに対する半導体パッケージの組付け位置にずれが生じた場合には、さらに極端に受光効率や結合効率が低下することにもなる。
【0004】
また、上記特許文献1に開示の光ファイバ型光電センサにあっては、光ファイバを直接半導体パッケージに突き当てる構成を採用しているため、光ファイバを半導体パッケージに突き当てることによって生じる応力が半導体パッケージの端子ピンと実装基板のランドとを接合するはんだ接合部に加わり、はんだ接合部における信頼性の低下につながる問題も有している。さらには、上記荷重がさらに大きい場合には、当該荷重によって半導体パッケージ自体が破壊するおそれもある。
【0005】
このような課題を解決するために、たとえば特開平9−127374号公報(特許文献2)に開示されるような光ファイバ型光電センサの構造が提案されている。上記特許文献2に開示の光ファイバ型光電センサにおいては、空気の屈折率(=1)に比較して大きな屈折率を有する光学用ガラスまたは光学用透光性樹脂を用いて円錐台柱形状の光学部材を構成し、当該光学部材を光ファイバと半導体パッケージとの間に介在させることにより、上記光学部材に入射した光が上記光学部材中を反射しながら進むようにし、結合効率の向上や受光効率の向上を図っている。また、上記特許文献2には、受光素子または投光素子と上記光学部材とが直接接触しないように構成した構造も開示されており、当該構造を採用すれば上述の如くはんだ接合部に応力が集中する問題も生じない。
【特許文献1】特開2001−155598号公報
【特許文献2】特開平9−127374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような円錐台柱形状の光学部材を利用した場合には、当該光学部材を本体ケーシングの内部において精度よく位置決めして固定することが困難であり、光ファイバと当該光学部材の位置決めを精度よく行なうことが非常に困難であった。そのため、半導体パッケージに対する当該光学部材の組付け位置にずれが生じた場合や、当該光学部材に対する光ファイバの組付け位置にずれが生じた場合には、やはり極端に受光効率や結合効率が著しく低下してしまう問題が生じる。
【0007】
また、上記問題とは別に、近年用いられているバンドルファイバやマルチコアファイバを投光側光ファイバまたは受光側光ファイバとして利用した場合には、その軸中心から離れた位置にあるコアにおける結合効率や当該コアから出射された光の受光素子による受光効率が著しく低下してしまうという問題も生じている。
【0008】
したがって、本発明は、上述の問題点を解決すべくなされたものであり、受光側光ファイバと受光側光導波路との位置決めが容易にかつ高精度に行なえ、その結果、受光効率が飛躍的に向上した光ファイバ型光電センサを提供することを目的とする。また、本発明は、上記目的に加え、投光側光ファイバと投光素子との位置決めが容易にかつ高精度に行なえ、その結果、結合効率が飛躍的に向上した光ファイバ型光電センサを提供することもあわせて目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に基づく光ファイバ型光電センサは、検出対象物に向けて光を投光する投光素子と、検出対象物からの光を受光する受光素子と、検出対象物からの光を上記受光素子に導波する受光側光ファイバと、上記受光側光ファイバの一端面と上記受光素子の受光面との間に介在し、上記受光側光ファイバの上記一端面から出射された光を上記受光素子の上記受光面に導波する受光側光導波路を規定する受光側光導波路規定部とを備える。上記受光側光導波路規定部は、上記受光側光ファイバの上記一端面の周縁に突き当たる受光側光ファイバ突き当たり面を有している。上記受光側光導波路は、一方の開口端が上記受光側光ファイバの上記一端面に面しかつ他方の開口端が上記受光素子の上記受光面に面するように形成されるとともに内周面が鏡面反射面となるように形成された貫通孔にて構成されている。
【0010】
このように構成することにより、受光側光ファイバの一端面から出射された光を受光側光導波路規定部に設けれた貫通孔形状の受光側光導波路の内周面によって鏡面反射させつつ受光素子の受光面に集光することが可能になるため、受光効率の向上が図られる。また、受光側光ファイバが直接受光素子に突き当たらない構成のため、受光側光ファイバを挿入する際の挿入圧が受光素子に加わるおそれもなく、信頼性の向上が図られる。さらには、受光側光導波路規定部を設けない場合に比べ、受光素子と受光側光ファイバに位置ずれが生じた場合にも、受光効率の低下が低く抑制可能になる。
【0011】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、上記受光側光導波路規定部が上記受光側光ファイバの上記一端面を含む一方端を受け入れる凹部形状の受光側光ファイバ受け部をさらに有していることが好ましい。その場合には、上記受光側光ファイバ受け部の底面によって上記受光側光ファイバ突き当たり面が構成されていることが好ましく、また、上記受光側光ファイバ受け部の底面の中央に上記受光側光導波路の上記一方の開口端が設けられていることが好ましい。
【0012】
このように構成することにより、受光側光ファイバ受け部によって受光側光ファイバの位置決めが行なわれるため、位置決め精度の向上が可能になる。したがって、受光効率の低下をさらに低く抑制することが可能になる。また、受光側光ファイバを保持する部材と受光側光導波路を規定する部材とを一体化させることが可能になるため、部品点数の削減が可能となり、製造の容易化と製造コストの削減が可能になる。
【0013】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにおいては、当該光ファイバ型光電センサが、上記受光側光ファイバ突き当たり面に上記受光側光ファイバの上記一端面を突き当てた状態で上記受光側光ファイバを移動不能に固定する固定機構をさらに備えていることが好ましい。
【0014】
このように構成することにより、受光側光ファイバ受け部によって位置決めされて保持された受光側光ファイバを確実に固定できるようになるため、使用時等に受光側光ファイバが位置ずれを起こすことによって受光効率が低下する等の不具合を確実に防止できる。
【0015】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、上記受光側光導波路の上記他方の開口端の開口面積が上記受光側光導波路の上記一方の開口端の開口面積よりも小さくなるように、上記受光側光導波路が上記一方の開口端から上記他方の開口端に向かうに連れて絞られていることが好ましい。
【0016】
このように構成することにより、受光側光ファイバの一端面から出射された光を受光側光導波路規定部に設けれた貫通孔形状の受光側光導波路の内周面によってより確実に受光素子の受光面に集光することが可能になるため、受光面上に集光される光の光芒を適切な大きさにまで確実に絞ることが可能になる。
【0017】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、上記受光素子が表面実装デバイスであってもよい。
【0018】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、上記受光素子が波長分離型フォトダイオードアレイパッケージであってもよい。
【0019】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、上記受光側光導波路の内周面が、上記受光側光導波路規定部の基材の表面に金属膜が蒸着されかつ当該金属膜の表面が透光性樹脂被膜によってコーティングされることによって鏡面反射面として仕上げられていることが好ましい。
【0020】
このように構成することにより、受光側光導波路の内周面を確実に鏡面反射面とすることができる。
【0021】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、上記受光側光ファイバは、バンドルファイバまたはマルチコアファイバであってもよい。
【0022】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにおいては、当該光ファイバ型光電センサが、上記投光素子から出射された光を検出対象物に向けて導波する投光側光ファイバと、上記投光側光ファイバの一端面と上記投光素子の発光面との間に介在し、上記発光素子の上記発光面から出射された光を上記投光側光ファイバの上記一端面に導波する投光側光導波路を規定する投光側光導波路規定部とをさらに備えていてもよい。その場合には、上記投光側光導波路規定部が、上記投光側光ファイバの上記一端面の周縁に突き当たる投光側光ファイバ突き当たり面を有していることが好ましく、また、上記投光側光導波路が、一方の開口端が上記投光側光ファイバの上記一端面に面しかつ他方の開口端が上記投光素子の上記投光面に面するように形成されるとともに内周面が鏡面反射面となるように形成された貫通孔にて構成されていることが好ましい。
【0023】
このように構成することにより、投光素子から出射された光を投光側光導波路規定部に設けれた貫通孔形状の投光側光導波路の内周面によって鏡面反射させつつ投光側光ファイバの一端面に集光することが可能になるため、結合効率の向上が図られる。また、投光側光ファイバが直接投光素子に突き当たらない構成のため、投光側光ファイバを挿入する際の挿入圧が投光素子に加わるおそれもなく、信頼性の向上が図られる。さらには、投光側光導波路規定部を設けない場合に比べ、投光素子と投光側光ファイバに位置ずれが生じた場合にも、結合効率の低下が低く抑制可能になる。
【0024】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、上記投光側光導波路規定部が上記投光側光ファイバの上記一端面を含む一方端を受け入れる凹部形状の投光側光ファイバ受け部をさらに有していることが好ましい。その場合には、上記投光側光ファイバ受け部の底面によって上記投光側光ファイバ突き当たり面が構成されていることが好ましく、また、上記投光側光ファイバ受け部の底面の中央に上記投光側光導波路の上記一方の開口端が設けられていることが好ましい。
【0025】
このように構成することにより、投光側光ファイバ受け部によって投光側光ファイバの位置決めが行なわれるため、位置決め精度の向上が可能になる。したがって、結合効率の低下をさらに低く抑制することが可能になる。また、投光側光ファイバを保持する部材と投光側光導波路を規定する部材とを一体化させることが可能になるため、部品点数の削減が可能となり、製造の容易化とコスト低減が可能になる。
【0026】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにおいては、当該光ファイバ型光電センサが、上記投光側光ファイバ突き当たり面に上記投光側光ファイバの上記一端面を突き当てた状態で上記投光側光ファイバを移動不能に固定する固定機構をさらに備えていることが好ましい。
【0027】
このように構成することにより、投光側光ファイバ受け部によって位置決めされて保持された投光側光ファイバを確実に固定できるようになるため、使用時等に投光側光ファイバが位置ずれを起こすことによって投光効率が低下する等の不具合を確実に防止できる。
【0028】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、上記投光素子が表面実装デバイスであってもよい。
【0029】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、上記投光素子が、光源としての発光ダイオードチップおよび当該発光ダイオードチップを封止しかつシリコンを含有する透光性樹脂層を含む白色発光ダイオードパッケージであってもよい。
【0030】
上述のように本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、投光側光ファイバが直接投光素子に突き当たらない構成を採用しているため、脆弱な透光性樹脂層を有する上記構造の白色発光ダイオードパッケージを投光素子として利用した場合にも、白色発光ダイオードパッケージが破損することを防止することが可能である。
【0031】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、上記投光側光導波路の内周面が、上記投光側光導波路規定部の基材表面に金属膜が蒸着されかつ当該金属膜の表面が透光性樹脂被膜によってコーティングされることによって鏡面反射面として仕上げられていることが好ましい。
【0032】
このように構成することにより、投光側光導波路の内周面を確実に鏡面反射面とすることができる。
【0033】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、上記受光側光ファイバ突き当たり面と上記投光側光ファイバ突き当たり面とが同一平面上に位置していることが好ましい。
【0034】
このように構成することにより、投光側光ファイバと受光側光ファイバの挿し込むべき長さを等しくすることが可能になるため、挿し込み量が不十分になるおそれが低減できる。また、投光側光ファイバと受光側光ファイバとが一体化された光ファイバを使用した場合にも、投光側光ファイバおよび受光側光ファイバの両方を確実に投光側光ファイバ突き当たり面および受光側光ファイバ突き当たり面にまで挿し込むことが可能になる。
【0035】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、上記受光側光導波路規定部の上記受光素子に面する主面と上記投光側光導波路規定部の上記投光素子に面する主面とが非同一平面上に位置していてもよい。
【0036】
このように構成することにより、組付け状態において受光素子の受光側光導波路に面する主面と投光素子の投光側光導波路に面する主面とが非同一平面上に位置することとなる場合にも、上述の如く受光側光導波路規定部の受光素子に面する主面と投光側光導波路規定部の投光素子に面する主面とをこれに応じて非同一平面上に位置するようにすることにより、受光素子と受光側光導波路との位置関係および投光素子と投光側光導波路との位置関係を簡便に所望のものとすることができる。したがって、受光効率の向上と結合効率の向上とを同時に図ることが可能になる。
【0037】
上記本発明に基づく光ファイバ型光電センサにあっては、上記受光側光導波路規定部と上記投光側光導波路規定部とが一体化された一の部材にて構成されていることが好ましい。
【0038】
このように構成することにより、受光側光導波路規定部と投光側光導波路規定部とを一の部材ににて構成することが可能になるため、部品点数の削減が可能となり、製造の容易化と製造コストの削減が可能になる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、受光側光ファイバと受光素子との位置決めを容易にかつ高精度に行なうことができるようになるため、受光効率が飛躍的に向上した光ファイバ型光電センサとすることができる。また、本発明によれば、上記効果に加え、投光側光ファイバと投光素子との位置決めを容易にかつ高精度に行なうことができるようになるため、結合効率が飛躍的に向上した光ファイバ型光電センサとすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の一実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態においては、投光素子として白色発光ダイオードチップ(以下、白色LEDチップと略す)がパッケージング化された白色発光ダイオードパッケージ(以下、白色LEDパッケージと略す)を利用し、受光素子として波長分離型フォトダイオードアレイチップ(以下、波長分離型PDアレイチップと略す)がパッケージング化された波長分離型フォトダイオードアレイパッケージ(以下、波長分離型PDアレイパッケージと略す)を利用した反射型の光ファイバ型光電センサを例示して説明を行なう。
【0041】
図1は、本発明の実施の形態における光ファイバ型光電センサの外観構造を示す概略斜視図である。まず、図1を参照して本実施の形態における光ファイバ型光電センサの外観構造について説明する。
【0042】
図1に示すように、本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100は、本体部101と、ヘッド部102と、これら本体部101とヘッド部102とを接続する投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190とを備えている。
【0043】
本体部101は、本体ケーシング110と、本体ケーシング110に回動自在に取付けられた開閉カバー114と、本体ケーシング110の内部に収容されたフレーム116とを主として有しており、開閉カバー114の開状態において露出するフレーム116の上面に表示部103および操作部104を有している。本体部101の前面に位置する本体ケーシング110の前壁部分には、投光側光ファイバ180が挿し込まれる開口部111(図2等参照)と受光側光ファイバ190が挿し込まれる開口部112(図2等参照)とが設けられており、当該開口部111,112にそれぞれ投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190が挿し込まれている。
【0044】
本体部101の背面からは、電源ラインや信号ライン等の芯線が一体化された電気コード105が引き出されている。また、本体部101の上面の所定位置には、投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190を本体部101へ固定する際に操作する回動レバー130が設けられている。なお、本体部101の内部には、投光素子としての白色LEDパッケージ160(図2等参照)および受光素子としての波長分離型PDアレイパッケージ170(図2等参照)やアンプ部(不図示)等が収容されている。
【0045】
投光側光ファイバ180は、白色LEDパッケージ160から発せられた光を導波し、ヘッド部102へと伝送する。受光側光ファイバ190は、ヘッド部102に入射した光を導波し、波長分離型PDアレイパッケージ170へと伝送する。これら投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190は、それぞれコアおよびクラッドと呼ばれる2層構造からなる光ファイバ芯線181,191(図2等参照)と、これら光ファイバ芯線181,191を覆う外皮182,192(図2等参照)とによって構成されている。なお、このように光ファイバ芯線とこれを覆う外皮とからなる光ファイバを外皮を有しない光ファイバと区別するために光ファイバコードと称することもある。
【0046】
ヘッド部102は、投光側光ファイバ180によって導波された光を検出対象物に対して投光するとともに、検出対象物に投光された光の反射光を捉え、この反射光を受光側光ファイバ190によって本体部101へと導波する。
【0047】
図2ないし図4は、本実施の形態における光ファイバ型光電センサにおける光ファイバの取付け構造を説明するための図であり、図2は、非取付け状態における本体部前部の断面図、図3は、非取付け状態における主要部の一部破断斜視図、図4は、取付け状態における本体部前部の断面図である。また、図5は、本実施の形態における光ファイバ型光電センサにおける光ファイバの固定構造を説明するための断面図である。次に、これら図2ないし図5を参照して、本実施の形態における光ファイバ型光電センサにおける光ファイバの取付け構造および固定構造について詳説する。
【0048】
図2に示すように、本体ケーシング110の内部に収容されたフレーム116の前面と本体ケーシング110の前壁部分との間には、所定の大きさの空間が形成されており、当該空間に各種の構成部品が配置されている。具体的には、当該空間には、投光側光導波路および受光側光導波路を規定するとともに投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190を保持するホルダ部材120と、ホルダ部材120によって保持された投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190を本体部101に固定する光ファイバ固定部材140と、白色LEDパッケージ160および波長分離型PDアレイパッケージ170が実装された実装基板150とが主として配置されている。
【0049】
図2に示すように、ホルダ部材120は、フレーム116の前面に固定されている。図2および図3に示すように、ホルダ部材120の前面には、円柱形状の空洞を有するように凹部が一対形成されており、一方の凹部によって投光側光ファイバ受け部121が、他方の凹部によって受光側光ファイバ受け部122がそれぞれ構成されている。これら投光側光ファイバ受け部121および受光側光ファイバ受け部122のそれぞれは、いずれも投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190の外径よりも僅かに大きい内径を有するように構成されている。そのため、図4に示すように、投光側光ファイバ180の一端および受光側光ファイバ190の一端がこれら投光側光ファイバ受け部121および受光側光ファイバ受け部122に挿し込まれた状態においては、投光側光ファイバ受け部121および受光側光ファイバ受け部122のそれぞれによって投光側光ファイバ180の上記一端および受光側光ファイバ190の上記一端が保持されることになる。
【0050】
図2および図3に示すように、投光側光ファイバ受け部121は、投光側光ファイバ180の挿し込み側の端面183の周縁部分に突き当たる投光側光ファイバ突き当たり面121aを有している。一方、受光側光ファイバ受け部122は、受光側光ファイバ190の挿し込み側の端面193の周縁部分に突き当たる受光側光ファイバ突き当たり面122aを有している。これら投光側光ファイバ突き当たり面121aおよび受光側光ファイバ突き当たり面122aは、凹部形状の投光側光ファイバ受け部121の底面および受光側光ファイバ受け部122の底面によってそれぞれ構成されている。
【0051】
投光側光ファイバ受け部121および受光側光ファイバ受け部122のそれぞれの後方には、貫通孔形状の光導波路が位置している。具体的には、投光側光ファイバ受け部121の底面からホルダ部材120の背面にまで達するように貫通孔が設けられることにより貫通孔形状の投光側光導波路が形成されており、受光側光ファイバ受け部122の底面からホルダ部材120の背面にまで達するように貫通孔が設けられることにより貫通孔形状の受光側光導波路が形成されている。したがって、これらホルダ部材120の貫通孔が形成された部分の周縁が投光側光導波路規定部126および受光側光導波路規定部127に相当することになる。なお、上記貫通孔形状の投光側光導波路および受光側光導波路は、必ずしも物理的な意味合いにおいて完全な空洞にて構成されている必要はなく、光学的な意味合いにおいて光が導波可能な貫通孔にて構成されていればよく、上記貫通孔が空洞にて構成されている場合の他、透光性樹脂等によって充填されている場合をも含む意味である。なお、透光性樹脂等によって貫通孔が充填されている場合には、当該貫通孔を充填する透光性樹脂が空気の屈折率により近い材質であることが好ましい。
【0052】
ホルダ部材120に設けられた上記貫通孔形状の投光側光導波路および受光側光導波路のそれぞれの内周面126a,127aは、鏡面反射面として仕上げられている。鏡面反射面とは、巨視的に見て反射の法則に従う反射面のことであり、入射光の角度と等しい角度で反射光が主として反射する反射面のことである。この鏡面反射面を具体的に実現する方法としては、たとえば、ホルダ部材120の基材表面にアルミニウムを蒸着し、さらにこのアルミニウム膜の表面にコーティング処理を施すことによって鏡面を形成する方法がある。本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100においては、この方法を採用して鏡面仕上げを行なっており、図2ないし図4においてはその図示を省略しているが、ホルダ部材120の基材表面には、蒸着によって形成されたアルミニウム膜129aと、このアルミニウム膜129aの表面にコーティング処理を施すことによって形成された透光性樹脂層被膜129bとを有している(図8参照)。
【0053】
図2に示すように、ホルダ部材120の上方前端部分には、ヒンジ部123が設けられている。このヒンジ部123は、上述の回動レバー130に設けられた回動軸131を軸支することにより、回動レバー130を回動可能に支持している。また、ホルダ部材120の前面には、後述するスライダー134を上下方向にスライド移動可能に案内するガイド部材132(図5参照)と、回動レバー130の操作にリンクしてガイド部材132によって案内されて上下方向にスライド移動するスライダー134と、スライダー134によって押圧されて弾性変形することにより投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190を挟持して固定する光ファイバ固定部材140とが組み付けられている。これら回動レバー130、ガイド部材132、スライダー134および光ファイバ固定部材140によって投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190を一回の操作で同時に本体部101に固定する固定機構が構成されている。
【0054】
図5に示すように、ガイド部材132は、スライダー134の左右方向の側面に面する一対のガイド壁部132a,132bを有しており、このガイド壁部132a,132bの間にスライダー134が嵌挿されている。スライダー134には、光ファイバ固定部材140が収容される切り欠き部135が設けられている。この切り欠き部135を規定するスライダー134の壁面の所定位置には、当該壁面から突設された突設部134a,134bが位置している。
【0055】
光ファイバ固定部材140は、所望の弾性を有するようにたとえば樹脂部材によって形成されており、投光側光ファイバ180が挿通される上部側中空部を規定する上部側固定部141と、受光側光ファイバ190が挿通される下部側中空部を規定する下部側固定部143とを有している。上部側固定部141は、投光側光ファイバ180が光ファイバ固定部材140の上部側中空部に挿通された状態において、投光側光ファイバ180の上部に圧着する上部側アーム部141aと、投光側光ファイバ180の下部に圧着する下部側アーム部141bとを含んでいる。一方、下部側固定部143は、受光側光ファイバ190が光ファイバ固定部材140の下部側中空部に挿通された状態において、受光側光ファイバ190の上部に圧着する上部側アーム部143aと、受光側光ファイバ190の下部に圧着する下部側アーム部143bとを含んでいる。
【0056】
上部側固定部141の上部側アーム部141aの先端には、上述したスライダー134の突設部134aに係合する舌状部142が設けられており、下部側固定部143の上部側アーム部143aの先端には、上述したスライダー134の突設部134bに係合する舌状部144が設けられている。また、上部側固定部141の下部側アーム部141bは、ホルダ部材120の前面に設けられたストッパ部124aによって移動不能に支持されており、下部側固定部143の下部側アーム部143bは、ホルダ部材120の前面に設けられたストッパ部124bによって移動不能に支持されている。
【0057】
図2および図3に示すように、ホルダ部材120の背面には、実装基板150が固定されている。実装基板150の主面には、投光素子としての白色LEDパッケージ160と、受光素子としての波長分離型PDアレイパッケージ170とが実装されている。ここで、白色LEDパッケージ160は、ホルダ部材120の背面に設けられた凹部125に収容されており、その発光面がホルダ部材120に設けられた貫通孔形状の投光側光導波路に面するように配置されている。一方、波長分離型PDアレイパッケージ170は、ホルダ部材120の背面に設けられた凹部125に収容されており、その受光面がホルダ部材120に設けられた貫通孔形状の受光側光導波路に面するように配置されている。
【0058】
白色LEDパッケージ160は、図3に示すように、基材161と、この基材161の主表面に実装された光源としての青色LEDチップ162と、これら基材161の主表面および青色LEDチップ162を封止しかつ蛍光体材料を含有する透光性樹脂層163とを含む半導体パッケージからなる。この白色LEDパッケージ160においては、青色LEDチップ162から発せられる青色光と、青色LEDチップ162から発せられた青色光を吸収することによって蛍光体材料から発っせられる黄色光との混色により、白色光が生成されて出射される。なお、透光性樹脂層163としては、シリコンを主成分として含有する樹脂材料が好適に用いられる。
【0059】
波長分離型PDアレイパッケージ170は、図3に示すように、基材171と、この基材171の主表面に実装された波長分離型PDアレイチップ172と、これら基材171の主表面および波長分離型PDアレイチップ172を封止する透光性樹脂層173とを含む半導体パッケージからなる。ここで、波長分離型PDアレイチップ172は、受光領域がマトリックス状に分割された分割型フォトダイオードの受光面に、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のバンドパスフィルタが個々の受光領域に対応付けて分散配置されたものであり、受光される光の波長を分離して検出することが可能な半導体受光チップである。
【0060】
次に、図2、図4および図5を参照して、本実施の形態における光ファイバ型光電センサにおいて、本体部に投光側光ファイバおよび受光側光ファイバを接続および固定する操作について説明する。
【0061】
まず、図2中に示す矢印A方向に沿って、投光側光ファイバ180を、本体ケーシング110に設けられた開口部111および光ファイバ固定部材140に設けられた上部側中空部を経由して、ホルダ部材120に設けられた投光側光ファイバ受け部121に挿し込む。ここで、投光側光ファイバ受け部121に挿し込んだ投光側光ファイバ180は、その挿し込んだ側に位置する端面183が投光側光ファイバ受け部121の底面によって構成される投光側光ファイバ突き当り面121aに突き当たるまで挿し込まれる必要がある。
【0062】
次に、図2中に示す矢印B方向に沿って、受光側光ファイバ190を、本体ケーシング110に設けられた開口部112および光ファイバ固定部材140に設けられた下部側中空部を経由して、ホルダ部材120に設けられた受光側光ファイバ受け部122に挿し込む。ここで、受光側光ファイバ受け部122に挿し込んだ受光側光ファイバ190は、その挿し込んだ側に位置する端面193が受光側光ファイバ受け部122の底面によって構成される受光側光ファイバ突き当り面122aに突き当たるまで挿し込まれる必要がある。
【0063】
つづいて、この状態において、図2中に示す矢印C方向に回動レバー130が回動するように操作する。これにより、回動レバー130の所定部位がスライダー134の上面に接触し、スライダー134が図2中および図5中に示す矢印D方向に押し下げられることになる。この回動レバー130による押下により、スライダー134はガイド部材132によって案内されて下方(図2中および図5中に示す矢印D方向)に向けてスライド移動する。
【0064】
スライダー134が下方に移動した状態においては、スライダー134に設けられた突設部134a,134bが光ファイバ固定部材140に設けられた舌状部142,144にそれぞれ当接し、さらにこれを下方に押し下げる。これにより、光ファイバ固定部材140の上部側固定部141の上部側アーム部141aおよび下部側固定部143の上部側アーム部143aがそれぞれ下方に向けて弾性変形し、上部側固定部141の上部側アーム部141aと下部側アーム部141bとによって投光側光ファイバ180が挟持されるとともに、下部側固定部143の上部側アーム部143aと下部側アーム部143bとによって受光側光ファイバ190が挟持される。
【0065】
以上により、投光側光ファイバ180と受光側光ファイバ190とが、その一端がそれぞれ投光側光ファイバ受け部121および受光側光ファイバ受け部122に挿し込まれかつその挿し込んだ側の端面183,193がそれぞれ投光側光ファイバ突き当たり面121aおよび受光側光ファイバ突き当たり面122aに突き当たった状態で本体部101に固定されることになる。
【0066】
図6は、本実施の形態における光ファイバ型光電センサの投光側光導波路内における光の導波の様子を模式的に表した断面図である。本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100は、上述のように、投光側光ファイバ180と白色LEDパッケージ160との間に介在し、貫通孔形状を有する投光側光導波路が形成された投光側光導波路規定部126を有している。ここで、投光側光導波路の内周面126aは、鏡面反射面にて構成されている。そのため、図6に示すように、白色LEDパッケージの発光面162aから所定の指向角をもって広がるように出射された光Pは、投光側光導波路に入射し、投光側光ファイバ180のコアに導波される。このとき、投光側光導波路の内周面126aに入射した光は、当該内周面126aにおいて鏡面反射することになり、投光側光ファイバ180のコア部分に集光される。したがって、投光側光導波路を設けない場合に比べて大幅に結合効率が向上することになる。なお、本実施の形態における白色LEDパッケージ160は、複数の波長帯の光を混色して白色光とするものであるため、混色のための空間が必要になり、結果として所定の広がりをもった発光面全体から白色光が出射される、いわゆる面光源として機能することになる。これに基づき、図6においては、見かけ上の発光面を符号162aで示している。
【0067】
図7は、本実施の形態における光ファイバ型光電センサの受光側光導波路内における光の導波の様子を模式的に表した断面図である。本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100は、上述のように、受光側光ファイバ190と波長分離型PDアレイパッケージ170との間に介在し、貫通孔形状を有する受光側光導波路が形成された受光側光導波路規定部127を有している。ここで、受光側光導波路の内周面127aは、鏡面反射面にて構成されている。そのため、図7に示すように、受光側光ファイバ190のコア部分から所定の指向角をもって広がるように出射された光Pは、受光側光導波路に入射し、波長分離型PDアレイパッケージ170の受光面172aに導波される。このとき、受光側光導波路の内周面127aに入射した光は、当該内周面127aにおいて鏡面反射することになり、波長分離型PDアレイパッケージ170の受光面172aに集光される。したがって、受光側光導波路を設けない場合に比べて大幅に受光効率が向上することになる。
【0068】
以上において説明した本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100においては、白色LEDパッケージ160から出射された光をホルダ部材120に設けた貫通孔形状の投光側光導波路の内周面126aによって鏡面反射させつつ投光側光ファイバ180の一端面に集光することが可能になる。また、受光側光ファイバ190の一端面から出射された光をホルダ部材120に設けた貫通孔形状の受光側光導波路の内周面127aによって鏡面反射させつつ波長分離型PDアレイパッケージ170に集光することが可能になる。したがって、結合効率および受光効率が高められた光ファイバ型光電センサとすることができる。
【0069】
また、本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100においては、投光側光ファイバ180が直接白色LEDパッケージ160に突き当たらず、かつ受光側光ファイバ190が直接波長分離型PDアレイパッケージ170に突き当たらない構成のため、投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190を挿入する際の挿入圧が白色LEDパッケージ160および波長分離型PDアレイパッケージ170に加わるおそれもなく、信頼性の向上が図られる。
【0070】
また、本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100においては、投光側光ファイバ受け部121および受光側光ファイバ受け部122により、投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190の位置決めが行なわれることになる。したがって、投光側光ファイバ180と投光側光導波路の位置決めおよび受光側光ファイバ190と受光側光導波路の位置決めが高精度に行なえることになり、さらなる結合効率および受光効率の向上が図られることになる。また、投光側光ファイバ受け部121および受光側光ファイバ受け部122と投光側光導波路規定部126および受光側光導波路規定部127とを一の部材にて構成することが可能になるため、部品点数の削減が可能となり、製造の容易化およびコスト低減にもつながる。
【0071】
また、本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100においては、投光側光ファイバ受け部121および受光側光ファイバ受け部122によって位置決めされて保持された投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190を光ファイバ固定機構によって確実に固定できるため、使用時等に投光側光ファイバ180や受光側光ファイバ190が位置ずれを起こすことによって投光効率や受光効率が低下する等の不具合を確実に防止することができる。
【0072】
以上のように、本実施の形態の如くの構成を採用することにより、従来に比して信頼性が高く、また結合効率や受光効率が向上した高性能の光電センサを安価に製作することが可能になる。
【0073】
なお、本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100においては、ホルダ部材120の基材表面にアルミニウムを蒸着し、さらにこのアルミニウム膜の表面にコーティング処理を施すことによって鏡面を形成する方法を採用して、投光側光導波路の内周面126aおよび受光側光導波路の内周面127aを鏡面反射面とした場合を例示しているが、この他にも種々の方法を採用することが可能である。たとえば、ホルダ部材120の基材表面にニッケルめっき、クロムめっき、錫めっき等の金属めっきを施すことによって鏡面を形成する方法や、ホルダ部材120を樹脂材料にて射出成形するに際し、金型磨きを行なって成形されるホルダ部材120の表面を鏡面にする方法、ホルダ部材を高反射材料である白色の樹脂材料を用いて射出成形を行なうことによりホルダ部材120の表面を鏡面にする方法等が利用可能である。
【0074】
また、上述のいずれかの方法を用いてホルダ部材の投光側光導波路の内周面および受光側光導波路の内周面を金属膜等の導電膜で覆う構成を採用した場合に、投光側光導波路の内周面および受光側光導波路の内周面のみならず、さらにホルダ部材の背面全体あるいはホルダ部材の表面全体を金属膜等の導電膜で覆うこととすれば、当該導電膜を接地することにより、実装基板に形成された電気回路に対する外部からの電磁波の重畳や実装基板に形成された電気回路から外部に漏出する電磁波等をシールドすることができるという副次的な効果も得ることもできる。
【0075】
以下においては、上記構成を採用する場合に、結合効率および受光効率をより高いものとするために考慮すべき事項について説明する。図8は、本実施の形態における光ファイバ型光電センサの投光側光導波路および受光側光導波路近傍の拡大断面図である。
【0076】
本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100の如く、白色LEDパッケージ180に代表されるような大型の発光面を有する投光素子を利用する場合には、投光側光導波路の形状として、図8に示すように、投光側光ファイバ180の端面183に面する側の投光側光導波路の開口端の開口面積が白色LEDパッケージ160に面する側の投光側光導波路の開口端の開口面積よりも小さくなるように、投光側光導波路が上記投光側光ファイバ180の端面183に面する側の投光側光導波路の開口端から上記白色LEDパッケージ160に面する側の投光側光導波路の開口端に向かうに連れて絞られるように構成されていることが好ましい。すなわち、投光側光導波路の軸方向と直交する断面における形状を真円形状とする場合には、投光側光ファイバ180の端面183に面する側の投光側光導波路の開口端の直径r11が、白色LEDパッケージ160に面する側の投光側光導波路の開口端の直径r12よりも小さくなるように設定する。換言すれば、図8に示す断面において、投光側光ファイバ180の端面183に面する側の投光側光導波路の開口面と投光側光導波路の内周面126aとが成す角θ1を90°を超えるものとする。これにより、白色LEDパッケージ160から出射された光を投光側光導波路の内周面126aによって投光側光ファイバ180のコアに向けて反射させることが可能になるため、結合効率の向上が図られる。なお、上記の構成の場合に上記角θ1を大きく設定し過ぎた場合には、投光側光導波路の内周面126aによって反射した光が再び白色LEDパッケージ160側へと戻ってくることとなるため、上記角θ1の設定には十分な配慮が必要である。
【0077】
なお、結合効率を高めるためには、白色LEDパッケージから出射された光を可能な限り投光側光ファイバ180のコアに集光させることが好ましい。そのため、白色LEDパッケージ160に面する側の投光側光導波路の開口端の直径r12は、白色LEDパッケージ160の見かけ上の発光面163aの幅w1よりも大きいことが好ましい。また、結合効率を高めるためには、投光側光導波路によって導波された光を可能な限り投光側光ファイバ180のコアに集光することも必要である。そのため、投光側光ファイバ180の端面183に面する側の投光側光導波路の開口端の直径r11は、投光側光ファイバ180の端面における光ファイバ芯線181の直径R1と同じか僅かに大きいものとすることが好ましい。
【0078】
なお、図8においては、投光側光導波路の内周面126aが所定の円錐面上に位置するように貫通孔形状を設計した場合を例示したが、当該内周面126aが所定の放射面上や所定の球面上あるいは所定の円柱面上等の曲面上に位置するように貫通孔形状を設計してもよいし、上記内周面126aが平面となるように貫通孔形状を平面視多角形状等に設計してもよい。また、上述の白色LEDパッケージ160に代えて発光面が非常に小さい(すなわち、実質的に点光源とみなせる程度に受光面が小さい)投光素子を利用した場合には、上記角θ1を90°以下としてもよい。
【0079】
また、図8に示すように、受光側光導波路の形状としては、受光側光ファイバ190の端面193に面する側の受光側光導波路の開口端の開口面積が波長分離型PDアレイパッケージ170に面する側の受光側光導波路の開口端の開口面積よりも大きくなるように、受光側光導波路の内周面127aが断面傾斜状となるように構成されていることが好ましい。すなわち、受光側光導波路の軸方向と直交する断面における形状を真円形状とする場合には、受光側光ファイバ190の端面193に面する側の受光側光導波路の開口端の直径r21が、波長分離型PDアレイパッケージ170に面する側の受光側光導波路の開口端の直径r22よりも大きくなるように設定する。換言すれば、図8に示す断面において、受光側光ファイバ190の端面193に面する側の受光側光導波路の開口面と受光側光導波路の内周面127aとが成す角θ2を90°よりも小さいものとする。これにより、受光側光ファイバ190のコアから出射された光を受光側光導波路の内周面127aによって波長分離型PDアレイパッケージ170に向けて反射させることが可能になるため、受光効率の向上が図られる。なお、上記角θ2を小さく設定し過ぎた場合には、受光側光導波路の内周面127aによって反射した光が再び受光側光ファイバ190側へと戻ってくることとなるため、上記角θ2としては60°以上が好ましい。
【0080】
上記角θ2が60°以上であることが好ましい理由は以下のとおりである。通常、光ファイバから出射される光は、光軸に対して±30°程度の広がりをもっており、そのため受光側光ファイバ190の光ファイバ芯線191の端面の各点から出射される光も光軸に対して±30°程度の角度の広がりをもって出射されることになる。この光が受光側光導波路の内周面127aにおいて正反射したときに受光側光導波路から出射される光の角度をxとすると、当該角xは、x=30+(90−θ2)×2の関係を満たすことになる。ここで、角xが90°を超えると、波長分離型PDアレイパッケージ170の受光面へと進まない光となってしまうため、上記角xとしてはx<90°の条件を満たす必要があり、上記2つの式よりθ2>60°が導き出されることになる。
【0081】
なお、上記角θ2の具体的な値としては、図8に示す構成において、受光側光ファイバ190から出射された光が2度にわたって受光側光導波路の内周面127aにて反射されない条件を満たしていればよく、受光側光導波路の光軸方向の長さをおおよそ0.6mmとし、受光側光ファイバ190の端面193に面する側の受光側光導波路の開口端の開口径を1.2mmとした場合には、計算より角θ2が約75°に設定されていることが必要であることが導き出される。
【0082】
なお、図8においては、受光側光導波路の内周面127aが所定の円錐面上に位置するように貫通孔形状を設計した場合を例示しているが、当該内周面127aが所定の放射面上や所定の球面上あるいは所定の円柱面上等の曲面上に位置するように貫通孔形状を設計してもよいし、上記内周面126aが平面となるように貫通孔形状を平面視多角形状等に設計してもよい。
【0083】
なお、受光効率を高めるためには、受光側光ファイバ190のコアから出射された光を可能な限り波長分離型PDアレイパッケージ170の受光面に集光させることが好ましい。そのため、受光側光ファイバ190の端面193に面する側の受光側光導波路の開口端の直径r21は、受光側光ファイバ190の端面193における光ファイバ芯線181の直径R1と同じか僅かに大きいものとすることが好ましい。また、受光効率を高めるためには、受光側光導波路によって導波された光を可能な限り波長分離型PDアレイパッケージ170の受光面に集光することも必要である。そのため、波長分離型PDアレイパッケージ170に面する側の受光側光導波路の開口端の直径r21は、波長分離型PDアレイパッケージ170の受光面の幅w2と同じか僅かに大きいものとすることが好ましい。
【0084】
また、図8に示すように、本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100においては、投光側光ファイバ180と受光側光ファイバ190の挿し込むべき長さ(図2に示す距離L)を等しくするために、投光側光ファイバ突き当たり面121aと受光側光ファイバ突き当たり面122bとが同一平面上に配置されるように構成している。これは、投光側光ファイバ180と受光側光ファイバ190の挿し込むべき長さが等しくしなるように設計されていない場合には、一方の光ファイバのみが突き当たり面に突き当たり他方の光ファイバが突き当たり面に突き当たっていない状態で光ファイバの固定が行なわれてしまうおそれがあるためである。特に、投光側光ファイバと受光側光ファイバとが一体化された光ファイバを使用した場合には、投光側光ファイバ180と受光側光ファイバ190の挿し込むべき長さを等しく設定しておかない限り、必ず一方の光ファイバに挿し込み量不足が生じてしまうことになる。
【0085】
しかしながら、このように、投光側光ファイバ180と受光側光ファイバ190の挿し込むべき長さを等しく設定した場合において、異なる厚みの白色LEDパッケージ160と波長分離型PDアレイパッケージ170とを同一平面上である実装基板150の主面上に実装した場合には、薄い方の半導体パッケージと光導波路との間の距離が必要以上に大きくなってしまう問題が生じ、結合効率または受光効率の低下が生じることとなってしまう。
【0086】
そこで、本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100においては、図8に示すように、ホルダ部材120の背面に設けられた凹部125の深さを白色LEDパッケージ160の厚みH1と波長分離型PDアレイパッケージ170の厚みH2とに合わせて部位ごとに変更している。具体的には、凹部125の所定位置に段差部128を設けることにより、白色LEDパッケージ160に面する部分のホルダ部材120の背面と波長分離型PDアレイパッケージ170に面する部分のホルダ部材120の背面とが非同一平面上に位置するようにし、上記半導体パッケージと光導波路との間の距離が必要以上に大きくなることを防止している。換言すれば、白色LEDパッケージ160と投光側光導波路との間に必要なギャップD1および波長分離型PDアレイパッケージ170と受光側光導波路との間に必要なギャップD2を確保しつつ、白色LEDパッケージ160の厚みH1と波長分離型PDアレイパッケージ170の厚みH2の違いを投光側光導波路規定部126の厚みT1を受光側光導波路規定部127の厚みT2の違いによって吸収している。
【0087】
このように構成することにより、異なる厚みの半導体パッケージを使用する場合にも、結合効率または受光効率の低下を防止することができる。なお、投光側光導波路規定部126の厚みT1を受光側光導波路規定部127の厚みT2は、投光側光ファイバ180および受光側光ファイバ190の挿入圧を考慮して、30Nの力に耐える程度の厚みとすることが好ましい。一例を挙げれば、ホルダ部材120をABS樹脂で成形した場合には、投光側光導波路規定部126の厚みT1を受光側光導波路規定部127の厚みT2はいずれも概ね0.5mm以上程度とすることが好ましい。
【0088】
また、本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100においては、受光側光導波路規定部127を設けない構成の光ファイバ型光電センサに比べ、組付けの際に波長分離型PDアレイパッケージ170と受光側光ファイバ190との間に位置ずれが生じた場合にも、受光効率の低下が著しく低く抑制することができるという効果が得られる。以下においては、この点について詳説する。
【0089】
図9は、本実施の形態における光ファイバ型光電センサにおいて、波長分離型PDアレイパッケージと受光側光ファイバとの間に位置ずれが生じた場合の受光側光導波路内における光の導波の様子を模式的に表した断面図である。また、図10は、比較のために、従来の光ファイバ型光電センサにおいて、波長分離型PDアレイパッケージと受光側光ファイバとの間に位置ずれが生じた場合の受光側光導波路内における光の導波の様子を模式的に表した断面図である。
【0090】
図9に示すように、本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100においては、波長分離型PDアレイパッケージ170がその主面と平行な方向において位置ずれを起こし、波長分離型PDアレイチップ172が図中に示す距離Xだけ位置ずれを起こして設置された場合にも、受光側光ファイバ190のコアから出射された光Pが受光側光導波路の内周面127aによって鏡面反射されて波長分離型PDアレイチップ172の受光面172aに集光される。そのため、受光効率の低下が低く抑えられる。
【0091】
これに対し、図10に示すように、受光側光導波路規定部を設けない構成(すなわち、波長分離型PDアレイパッケージ170の主面に受光側光ファイバ190の端面193を直接突き当てた構成)の光ファイバ型光電センサにおいては、波長分離型PDアレイパッケージ170がその主面と平行な方向において位置ずれを起こし、波長分離型PDアレイチップ172が図9と同様に図中に示す距離Xだけ位置ずれを起こして設置された場合にも、何ら受光側光ファイバ190のコアから出射された光Pが波長分離型PDアレイチップ172の受光面172aに集光されるように構成されていないため、著しい受光効率の低下が発生する。
【0092】
図11は、図9および図10に示す構成を採用した場合に、位置ずれの大きさと受光効率の変化率との関係がどのようになるかをシミュレーションした結果を示すグラフである。図11に示すように、受光側光導波路を設けた構成とした場合には、受光側光導波路を設けない構成とした場合に比べ、位置ずれに伴う受光効率の低下が低く抑制されていることが分かる。特に、位置ずれが大きく生じれば生じるほどその効果が大きいことが当該グラフから理解される。したがって、本実施の形態における光ファイバ型光電センサとすることにより、従来に比して歩留まりを向上させることが可能になることになる。
【0093】
図12は、本実施の形態における光ファイバ型光電センサにおいて、受光側光ファイバとしてバンドルファイバを利用した場合に、外周寄りに位置する光ファイバから出射された光の受光側光導波路内における導波の様子を模式的に表した断面図である。また、図13は、図12に示す場合において、波長分離型PDアレイパッケージと受光側光ファイバとの間に位置ずれが生じた場合に、外周寄りに位置する光ファイバから出射された光の受光側光導波路内における導波がどのように変化するかを模式的に表した断面図である。さらに、図10は、比較のために、従来の光ファイバ型光電センサにおいて、受光側光ファイバとしてバンドルファイバを利用した場合に、波長分離型PDアレイパッケージと受光側光ファイバとの間に位置ずれが生じた場合の受光側光導波路内における光の導波の様子を模式的に表した断面図である。
【0094】
図12に示すように、本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100において、受光側光ファイバ190として複数の光ファイバ芯線191a〜191fを含むバンドルファイバを利用した場合には、内周寄りに位置する光ファイバ(たとえば図中に示す光ファイバ芯線191b〜191e)から出射された光のみならず、外周寄りに位置する光ファイバ(たとえば図中に示す光ファイバ芯線191a,191f)から出射された光についても、受光側光導波路の内周面127aによって鏡面反射されて波長分離型PDアレイチップ172の受光面172aに集光される。したがって、それぞれのコアから出射された光が均等に波長分離型PDアレイチップ172の受光面172aに照射されることになり、高精度の検出が可能になる。
【0095】
しかしながら、本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100のように、受光素子として波長分離型PDアレイパッケージ170を採用した場合に、波長分離型PDアレイパッケージ170と受光側光ファイバ190との間に位置ずれが生じた場合には、外周寄りに位置する光ファイバ(たとえば図12に示す光ファイバ芯線191a,191f)から出射された光が、内周寄りに位置する光ファイバ(たとえば図12中に示す光ファイバ芯線191b〜191e)から出射された光に比べ、波長分離型PDアレイチップ172の受光面172aに照射される光の量が著しく低下するおそれがある。このような現象が生じた場合には、それぞれのコアから出射された光が均等に波長分離型PDアレイチップ172の受光面172aに照射されないことになり、検出性能の低下が生じてしまう。
【0096】
これは、波長分離型PDアレイチップ172においては、マトリックス状に分割された分割受光領域に赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のバンドパスフィルタが個々の分割受光領域に対応付けて分散配置されているためであり、複数のコアのそれぞれから出射される光に波長の偏りがある場合には、それぞれのコアから出射された光が均等に波長分離型PDアレイチップ172の受光面172aに照射されない限り、高精度の検出が行なえなくおそれがあるためである。このことは、受光側光ファイバ190としてバンドルファイバを採用した場合に限らず、マルチコアファイバを利用した場合にもいえることである。
【0097】
しかしながら、本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100の如く受光側光導波路を設けた場合には、上述のような問題も同時に解消される。すなわち、図13に示すように、波長分離型PDアレイパッケージ170がその主面と平行な方向において位置ずれを起こし、波長分離型PDアレイチップ172が図中に示す距離Xだけ位置ずれを起こして設置された場合にも、外周寄りに位置する光ファイバ(たとえば図中に示す光ファイバ芯線191a,191f)から出射された光についても、受光側光導波路の内周面127aによって鏡面反射されて波長分離型PDアレイチップ172の受光面172aに集光される。そのため、外周寄りに位置する光ファイバから出射された光についても大きくロスすることなく波長分離型PDアレイチップ172の受光面172aによって受光されることになる。
【0098】
これに対し、図14に示すように、受光側光導波路規定部を設けない構成(すなわち、波長分離型PDアレイパッケージ170の主面に受光側光ファイバ190の端面193を直接突き当てた構成)の光ファイバ型光電センサにおいては、波長分離型PDアレイパッケージ170がその主面と平行な方向において位置ずれを起こし、波長分離型PDアレイチップ172が図9と同様に図中に示す距離Xだけ位置ずれを起こして設置された場合には、外周寄りに位置する光ファイバ(たとえば図中に示す光ファイバ芯線191a,191f)から出射された光については、波長分離型PDアレイチップ172の受光面172aによってほとんど受光されないことになる。すなわち、外周寄りに位置する光ファイバから出射された光を大きくロスしてしまうことになり、著しい検出性能の低下が生じてしまう。
【0099】
図15は、図13および図14に示す構成を採用した場合に、位置ずれの大きさと受光効率の変化率との関係がどのようになるかをシミュレーションした結果を示すグラフである。図15に示すように、受光側光導波路を設けた構成とした場合には、受光側光導波路を設けない構成とした場合に比べ、位置ずれに伴う受光効率の低下が低く抑制されていることが分かる。したがって、本実施の形態における光ファイバ型光電センサとすることにより、従来に比して歩留まりを向上させることが可能になることになる。
【0100】
以上において説明したように、本実施の形態における光ファイバ型光電センサ100とすることにより、受光側光導波路規定部127を設けない構成の光ファイバ型光電センサに比べ、組付けの際に波長分離型PDアレイパッケージ170と受光側光ファイバ190との間に位置ずれが生じた場合にも、受光効率の低下が著しく低く抑制することができるという効果が得られることになる。
【0101】
上述した本実施の形態においては、投光素子として表面実装デバイスである白色LEDパッケージを採用し、受光素子として表面実装デバイスである波長分離型PDアレイパッケージを採用した光ファイバ型光電センサを例示して説明を行なったが、投光素子や受光素子の種類や実装の形態は特に制限されるものではない。
【0102】
また、上述した本実施の形態においては、反射型の光ファイバ型光電センサに本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、透過型の光ファイバ型光電センサにも本発明は当然に適用である。
【0103】
また、上述した本実施の形態においては、投光器と受光器とが一体化された光ファイバ型光電センサを例示して説明を行なったが、投光器と受光器とが一体化されておらず、それぞれ異なるケーシングに収容された光ファイバ型光電センサとすることも当然に可能である。
【0104】
このように、今回開示した上記一実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施の形態における光ファイバ型光電センサの外観構造を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における光ファイバ型光電センサにおける光ファイバの取付け構造を説明するための非取付け状態における本体部前部の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における光ファイバ型光電センサにおける光ファイバの取付け構造を説明するための非取付け状態における主要部の一部破断斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における光ファイバ型光電センサにおける光ファイバの取付け構造を説明するための取付け状態における本体部前部の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における光ファイバ型光電センサにおける光ファイバの固定構造を説明するための断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における光ファイバ型光電センサの投光側光導波路内における光の導波の様子を模式的に表した断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における光ファイバ型光電センサの受光側光導波路内における光の導波の様子を模式的に表した断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における光ファイバ型光電センサの投光側光導波路および受光側光導波路近傍の拡大断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における光ファイバ型光電センサにおいて、波長分離型PDアレイパッケージと受光側光ファイバとの間に位置ずれが生じた場合の受光側光導波路内における光の導波の様子を模式的に表した断面図である。
【図10】受光側光導波路規定部が設けられていない従来の光ファイバ型光電センサにおいて、波長分離型PDアレイパッケージと受光側光ファイバとの間に位置ずれが生じた場合の受光側光導波路内における光の導波の様子を模式的に表した断面図である。
【図11】図9および図10に示す構成を採用した場合に、位置ずれの大きさと受光効率の変化率との関係がどのようになるかをシミュレーションした結果を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態における光ファイバ型光電センサにおいて、受光側光ファイバとしてバンドルファイバを利用した場合に、外周寄りに位置する光ファイバから出射された光の受光側光導波路内における導波の様子を模式的に表した断面図である。
【図13】図12に示す場合において、波長分離型PDアレイパッケージと受光側光ファイバとの間に位置ずれが生じた場合に、外周寄りに位置する光ファイバから出射された光の受光側光導波路内における導波がどのように変化するかを模式的に表した断面図である。
【図14】受光側光導波路規定部が設けられていない従来の光ファイバ型光電センサにおいて、受光側光ファイバとしてバンドルファイバを利用した場合に、波長分離型PDアレイパッケージと受光側光ファイバとの間に位置ずれが生じた場合の受光側光導波路内における光の導波の様子を模式的に表した断面図である。
【図15】図13および図14に示す構成を採用した場合に、位置ずれの大きさと受光効率の変化率との関係がどのようになるかをシミュレーションした結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0106】
100 光ファイバ型光電センサ、101 本体部、102 ヘッド部、103 表示部、104 操作部、105 電気コード、110 本体ケーシング、111,112 開口部、114 開閉カバー、116 フレーム、120 ホルダ部材、121 投光側光ファイバ受け部、121a 投光側光ファイバ突き当たり面、122 受光側光ファイバ受け部、122a 受光側光ファイバ突き当たり面、123 ヒンジ部、124a,124b ストッパ部、125 凹部、126 投光側光導波路規定部、126a 内周面、127 受光側光導波路規定部、127a 内周面、130 回動レバー、131 回動軸、132 ガイド部材、132a,132b ガイド壁部、134 スライダー、134a,134b 突設部、135 切り欠き部、140 光ファイバ固定部材、141 上部側固定部、141a 上部側アーム部、141b 下部側アーム部、142 舌状部、143 下部側固定部、143a 上部側アーム部、143b 下部側アーム部、144 舌状部、150 実装基板、160 白色LEDパッケージ、161 基材、162 青色LEDチップ、162a 発光面、163 透光性樹脂層、170 波長分離型PDアレイパッケージ、171 基材、172 波長分離型PDアレイチップ、172a 受光面、173 透光性樹脂層、180 投光側光ファイバ、181 光ファイバ芯線、182 外皮、183 端面、190 受光側光ファイバ、191,191a〜191f 光ファイバ芯線、192 外皮、193 端面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象物に向けて光を投光する投光素子と、
検出対象物からの光を受光する受光素子と、
検出対象物からの光を前記受光素子に導波する受光側光ファイバと、
前記受光側光ファイバの一端面と前記受光素子の受光面との間に介在し、前記受光側光ファイバの前記一端面から出射された光を前記受光素子の前記受光面に導波する受光側光導波路を規定する受光側光導波路規定部とを備え、
前記受光側光導波路規定部は、前記受光側光ファイバの前記一端面の周縁に突き当たる受光側光ファイバ突き当たり面を有し、
前記受光側光導波路は、一方の開口端が前記受光側光ファイバの前記一端面に面しかつ他方の開口端が前記受光素子の前記受光面に面するように形成されるとともに内周面が鏡面反射面となるように形成された貫通孔にて構成されている、光ファイバ型光電センサ。
【請求項2】
前記受光側光導波路規定部は、前記受光側光ファイバの前記一端面を含む一方端を受け入れる凹部形状の受光側光ファイバ受け部をさらに有し、
前記受光側光ファイバ受け部の底面によって前記受光側光ファイバ突き当たり面が構成されるとともに、前記受光側光ファイバ受け部の底面の中央に前記受光側光導波路の前記一方の開口端が設けられている、請求項1に記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項3】
前記受光側光ファイバ突き当たり面に前記受光側光ファイバの前記一端面を突き当てた状態で前記受光側光ファイバを移動不能に固定する固定機構をさらに備えた、請求項1または2に記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項4】
前記受光側光導波路の前記他方の開口端の開口面積が前記受光側光導波路の前記一方の開口端の開口面積よりも小さくなるように、前記受光側光導波路が前記一方の開口端から前記他方の開口端に向かうに連れて絞られている、請求項1から3のいずれかに記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項5】
前記受光素子は、表面実装デバイスである、請求項1から4のいずれかに記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項6】
前記受光素子は、波長分離型フォトダイオードアレイパッケージである、請求項1から5のいずれかに記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項7】
前記受光側光導波路の内周面は、前記受光側光導波路規定部の基材の表面に金属膜が蒸着されかつ当該金属膜の表面が透光性樹脂被膜によってコーティングされることによって鏡面反射面として仕上げられている、請求項1から6のいずれかに記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項8】
前記受光側光ファイバは、バンドルファイバまたはマルチコアファイバである、請求項1から7のいずれかに記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項9】
前記投光素子から出射された光を検出対象物に向けて導波する投光側光ファイバと、
前記投光側光ファイバの一端面と前記投光素子の発光面との間に介在し、前記発光素子の前記発光面から出射された光を前記投光側光ファイバの前記一端面に導波する投光側光導波路を規定する投光側光導波路規定部とをさらに備え、
前記投光側光導波路規定部は、前記投光側光ファイバの前記一端面の周縁に突き当たる投光側光ファイバ突き当たり面を有し、
前記投光側光導波路は、一方の開口端が前記投光側光ファイバの前記一端面に面しかつ他方の開口端が前記投光素子の前記投光面に面するように形成されるとともに内周面が鏡面反射面となるように形成された貫通孔にて構成されている、請求項1から8のいずれかに記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項10】
前記投光側光導波路規定部は、前記投光側光ファイバの前記一端面を含む一方端を受け入れる凹部形状の投光側光ファイバ受け部をさらに有し、
前記投光側光ファイバ受け部の底面によって前記投光側光ファイバ突き当たり面が構成されるとともに、前記投光側光ファイバ受け部の底面の中央に前記投光側光導波路の前記一方の開口端が設けられている、請求項9に記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項11】
前記投光側光ファイバ突き当たり面に前記投光側光ファイバの前記一端面を突き当てた状態で前記投光側光ファイバを移動不能に固定する固定機構をさらに備えた、請求項9または10に記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項12】
前記投光素子は、表面実装デバイスである、請求項9から11のいずれかに記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項13】
前記投光素子は、光源としての発光ダイオードチップおよび当該発光ダイオードチップを封止しかつシリコンを含有する透光性樹脂層を含む白色発光ダイオードパッケージである、請求項9から12のいずれかに記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項14】
前記投光側導波路の内周面は、前記投光側光導波路規定部の基材表面に金属膜が蒸着されかつ当該金属膜の表面が透光性樹脂被膜によってコーティングされることによって鏡面反射面として仕上げられている、請求項9から13のいずれかに記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項15】
前記受光側光ファイバ突き当たり面と、前記投光側光ファイバ突き当たり面とが、同一平面上に位置している、請求項9から14のいずれかに記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項16】
前記受光側光導波路規定部の前記受光素子に面する主面と、前記投光側光導波路規定部の前記投光素子に面する主面とが、非同一平面上に位置している、請求項9から15のいずれかに記載の光ファイバ型光電センサ。
【請求項17】
前記受光側光導波路規定部と前記投光側光導波路規定部とが一体化された一の部材にて構成されている、請求項9から16のいずれかに記載の光ファイバ型光電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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