光フィルター、光フィルター装置、分析機器、および光フィルターの製造方法
【課題】ミラーが帯電することを防止してミラー同士の貼り付きをなくすことのできる光フィルター、光フィルター装置、分析機器、および光フィルターの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の光フィルター1は、互いに対向配置された第1基板2および第2基板3と、第1基板2の第2基板3側に設けられた第1ミラー4Aおよび第1電極6Aと、第2基板3の第1基板2側に設けられた第2ミラー4Bおよび第2電極6Bと、を備え、第1ミラー4Aと第2ミラー4Bとが配線10A,10Bを介して接続されている。
【解決手段】本発明の光フィルター1は、互いに対向配置された第1基板2および第2基板3と、第1基板2の第2基板3側に設けられた第1ミラー4Aおよび第1電極6Aと、第2基板3の第1基板2側に設けられた第2ミラー4Bおよび第2電極6Bと、を備え、第1ミラー4Aと第2ミラー4Bとが配線10A,10Bを介して接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光フィルター、光フィルター装置、分析機器、および光フィルターの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入射光の中から目的とする波長の光を選択して射出させる光フィルターとして、一対の基板を対向配置し、これら基板の対向する面のそれぞれにミラーを設け、これらのミラーの周囲にそれぞれ電極を設けるとともに、少なくとも一方のミラーの周囲にダイアフラム部を設けた構造のものが知られている。このような光フィルターは、対向する一対のミラー間のギャップに応じた波長の光を選択的に取り出すことができる。ミラー間のギャップは、一方の基板に設けられた固定電極と他方の基板に設けられた可動電極に電圧を印加することで、静電駆動によりギャップを所望の値に制御することができる。
【0003】
光フィルターの製造工程においては、一対の基板を接合する際に、真空中で接合表面をイオンビームまたはプラズマによりエッチングし活性化させることで基板同士の接合を行う表面活性化接合が用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−116669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、表面活性化接合により基板同士を接合させる場合、イオンビームやプラズマ、あるいは基板の支持に用いる静電チャック等によりミラーが帯電してしまい、基板同士を貼り合わせる際に、ミラーに帯電した電荷による静電引力によってミラー同士が貼り付いてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、ミラーが帯電することを防止してミラー同士の貼り付きをなくすことのできる光フィルター、光フィルター装置、分析機器、および光フィルターの製造方法を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光フィルターは、上記課題を解決するために、互いに対向配置された第1基板および第2基板と、第1基板の第2基板側に設けられた第1ミラーおよび第1電極と、第2基板の第1基板側に設けられた第2ミラーおよび第2電極と、を備え、第1ミラーと第2ミラーとが配線を介して接続されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第1ミラーと第2ミラーとが配線を介して接続されているので、ミラー同士が電気的に短絡しており、ミラー間の電位差をなくすことができる。これにより、ミラーの帯電に起因するミラー同士の貼り付きを防止することができ、ミラー間のギャップを精度よく制御することができる。したがって、信頼性の高い光フィルターが得られる。
【0009】
また、第1ミラーから第1基板の接合領域まで引き出された第1配線と、第2ミラーから第2基板の接合領域まで引き出された第2配線とを有し、接合領域において第1配線および第2配線同士が接続されていることが好ましい。
本発明によれば、基板同士を貼り合わせるのと同時に第1配線及び第2配線が接続されるので、簡単な工程で製造可能な光フィルターとなる。
【0010】
また、第1ミラーおよび第2ミラーのいずれか一方が外部接続端子に接続されていることが好ましい。
本発明によれば、第1ミラー及び第2ミラーに帯電する電荷を外部接続端子から解放することができる。
【0011】
本発明の光フィルターは、上記課題を解決するために、互いに対向配置された第1基板および第2基板と、第1基板の第2基板側に設けられた第1ミラーおよび第1電極と、第2基板の第1基板側に設けられた第2ミラーおよび第2電極と、を備え、第1ミラーと第2ミラーとがそれぞれ外部接続端子に接続されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、第1ミラー及び第2ミラーの各々がそれぞれ異なる外部接続端子に接続されているので、各外部接続端子から第1ミラー及び第2ミラーへグランド電位を入力することが可能となり、ミラー間の電位差をなくすことができる。これにより、ミラー同士の貼り付きを防止することができ、ミラー間のギャップを精度よく制御することができる。したがって、信頼性の高い光フィルターが得られる。
【0013】
また、第1ミラーおよび第2ミラーが、配線を介して外部接続端子とそれぞれ接続されていることが好ましい。
本発明によれば、一般的に基板の中央部に配置されるミラーと、基板の周縁部に配置される外部接続端子とを、配線を介して確実に接続することができる。また、基板上における各部材の設計自由度が高まる。
【0014】
また、第1配線および第2配線の接続部位に、内部に弾性体を有するバンプ構造が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、第1配線および第2配線の接続部位に、内部に弾性体を有するバンプ構造が形成されていることとしたので、配線同士の接続を確実且つ良好に行える。
【0015】
また、第1ミラーおよび第2ミラーが導電膜を含んで構成されていることが好ましい。
本発明によれば、第1ミラー及び第2ミラーがそれぞれ導電膜を含んで構成されていることとしたので、ミラー同士を短絡させた構成とすることで、ミラー同士の電位差をなくすことができる。
【0016】
また、前記第1ミラーおよび前記第2ミラーが、透光性を有する前記導電膜と、誘電体膜との積層構造を有することが好ましい。
本発明によれば、誘電体膜の表面に電荷が帯電するのを抑制することが可能となる。
【0017】
また、外部接続端子に接続していた配線を切断した残留部が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、各ミラーにそれぞれ接続する外部接続端子同士を接続していた配線を切断した残留部が形成されていることとしたので、後述する製造時において、各ミラーにそれぞれ接続する外部接続端子同士が配線によって接続されていたことになる。これにより、製造時に各ミラーの帯電に起因する貼り付きをなくすことができる。
【0018】
本発明の光フィルター装置は、本発明の光フィルターと、光フィルターを透過した光を受光する受光素子と、を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、光フィルターを透過した光を受光素子にて受光することで電気信号を生成することのできる光フィルター装置が得られる。
【0019】
本発明の分析機器は、本発明の光フィルターと、光フィルターを透過した光を受光する受光素子と、光フィルターの第1ミラーと第2ミラーとのギャップを駆動する駆動回路部と、受光素子によって生成される電気信号から、透過した前記光の光量を測定する測定回路部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、測定対象物から反射した光が光フィルターに入射され、駆動回路部にて光フィルターのミラー間のギャップを制御し、ギャップが制御された光フィルターを透過した光を受光素子にて受光し、受光素子にて受光量に応じた電気信号を生成し、測定回路部にて生成された電気信号から透過した光の光量を測定する分析機器が得られる。これにより、光フィルターのミラー間のギャップを制度よく制御することができる。
【0020】
本発明の光フィルターの製造方法は、上記課題を解決するために、第1基板および第2基板の対向面側に第1ミラーあるいは第2ミラーを形成する工程と、第1ミラーおよび第2ミラーの周囲に電極を形成する工程と、第1ミラーおよび第2ミラーに接続する配線を形成する工程と、第1基板および第2基板を接合する工程と、を備え、第1基板および第2基板を接合する工程において、第1ミラーと第2ミラーとを配線を介して接続させることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、第1基板及び第2基板を接合する工程において、第1ミラーと第2ミラーとを配線を介して接続させているので、ミラー同士が電気的に短絡してミラー間の電位差をなくすことができる。これにより、ミラー同士の貼り付き防止することができ、ミラー間のギャップを精度よく制御することができる。したがって、信頼性の高い光フィルターが得られる。
【0022】
また、第1ミラーおよび第2ミラーに接続する配線を形成する工程において、第1ミラーから第1基板の接合領域まで引き出して第1配線を形成するとともに、第2ミラーから第2基板の接合領域まで引き出して第2配線を形成し、第1基板および第2基板を接合する工程において、第1配線と第2配線とを接続させることが好ましい。
本発明によれば、接合領域に形成した第1配線及び第2配線を介して第1ミラーと第2ミラーとを接続させることとしたので、基板同士の接合と同時に配線同士を確実に接続させることができ、これによってミラー同士の電気的な接続が実現される。また、その接続状態を光フィルター完成後の状態においても確保することができる。
【0023】
また、第1配線または第2配線を形成する際に、後の第1基板および第2基板を接合する工程において第1配線および第2配線同士が接続される部位に、内部に弾性体を有するバンプ構造を形成することが好ましい。
本発明によれば、第1配線及び第2配線同士が接続される部位にバンプ構造を形成したことから、各配線同士の接続信頼性を高めることが可能となる。
【0024】
また、第1基板および第2基板を接合させた後に、配線を切断することが好ましい。
本発明によれば、第1基板及び第2基板同士を接合させた後に、第1ミラー及び第2ミラー同士を接続していた配線を切断することとしたので、各ミラーが電気的に分離され、それぞれ独立した電位を与えることが可能になる。これにより、ミラー同士のギャップをより精度よく制御することができる。
【0025】
本発明の光フィルターの製造方法は、上記課題を解決するために、第1基板および第2基板の対向面側に第1ミラーあるいは第2ミラーを形成する工程と、第1ミラーおよび第2ミラーの周囲に電極を形成する工程と、第1ミラーおよび第2ミラーに接続する配線を形成する工程と、第1基板および第2基板を接合する工程と、を備え、第1基板および第2基板を接合する工程において、配線に電位を入力した状態で第1基板および第2基板を接合させることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、第1基板および第2基板を接合する工程において、配線に電位を入力した状態で第1基板および第2基板を接合させることとしたので、第1基板と第2基板との接合時にミラー同士を同電位にすることができる。これにより、ミラー同士の貼り付きを防止することができ、ミラー間のギャップを精度よく制御することができる。したがって、信頼性の高い光フィルターを得ることができる。
【0027】
また、第1基板および第2基板のいずれか一方に、第1ミラーおよび第2ミラーに接続する一対の外部接続端子を形成し、これら一対の外部接続端子を介して第1ミラーおよび第2ミラーに電位を入力することが好ましい。
本発明によれば、各ミラーにそれぞれ接続する外部接続端子を設けることとしたので、ミラー毎に独立した電位を与えることが可能となる。これにより、ミラー同士のギャップを精度よく制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態の光フィルターを示す断面図。
【図2】第1実施形態の光フィルターを構成する第1基板を示す平面図。
【図3】第1実施形態の光フィルターを構成する第2基板を示す平面図。
【図4】第1実施形態の光フィルターの製造方法を示すフローチャート。
【図5】第1実施形態の光フィルターの製造方法を示す工程図。
【図6】第2実施形態の光フィルターを示す断面図。
【図7】第2実施形態の光フィルターを構成する第1基板を示す平面図。
【図8】第2実施形態の光フィルターを構成する第2基板を示す平面図。
【図9】第3実施形態の光フィルターを構成する第1基板を示す断面図。
【図10】第3実施形態の光フィルターを構成する第2基板を示す平面図。
【図11】第3実施形態の光フィルターの製造方法を示す工程図。
【図12】本発明の分析機器である測色機器の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0030】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である光フィルターを示す断面図、図2は、光フィルターを構成する第1基板2を接合面2b側からみた平面図、図3は、光フィルターを構成する第2基板3を接合面3a側から見た示す平面図である。
【0031】
図1〜図3に示す本実施形態の光フィルター1は、エアギャップ型で静電駆動型のエタロン素子である。
光フィルター1は、第1基板2と、第1基板2に対向した状態で接合された第2基板3とを備えている。
第1基板2には、図1及び図2に示すように、第2基板3と対向する側の接合面2bの中央部に設けられた平面視円形状のミラー4A(第1ミラー)と、第1基板2のミラー4Aの周囲に設けられたほぼ円環状の電極6Aと、第1基板2内かつ電極6Aの外周部とほぼ対応する位置にエッチング(選択除去)により形成された薄肉の円環状のダイアフラム部8と、電極6Aの周囲に設けられた接合用金属膜9Aと、ミラー4Aから第1電極6Aよりも外側の接合領域(ダイアフラム部8と平面視で重ならない領域)まで引き出された第1配線10Aと、少なくともその接続部11aが第1電極6Aから上記接合領域まで引き出された基板間導通配線11Aとが設けられている。
【0032】
第2基板3には、図1及び図3に示すように、第2基板3の中央部に形成された第1凹部5の底部に上記ミラー4Aと第1のギャップG1を介して対向して設けられた平面視円形状のミラー4B(第2ミラー)と、第2基板3の第1凹部5の周囲に形成された底浅の円環状の第2凹部7に上記電極6Aと第2のギャップG2を介して対向して設けられたほぼ円環状の電極6Bと、電極6Bの周囲に設けられた接合用金属膜9Bと、ミラー4Bから第2電極6Bよりも外側の接合領域(凹部5,7と平面視で重ならない領域)まで引き出された第2配線10Bと、接合面3aの辺縁に形成された複数の電極パッド14a、14b、14cと、電極パッド14aに接続されている側とは反対側の端部に上記基板間導通配線11Aの接続部11aと電気的に接続される接続部11bを有する基板間導通配線11Bとが設けられている。
【0033】
第1基板2及び第2基板3は、概して平面視矩形状あるいは正方形状を呈しており、第2基板3の一部が第1基板2から張り出す大きさとなっている。第1基板2および第2基板3は、光透過性を有するとともに絶縁性を有する材料からなるもので、特にガラス等の透明材料により構成されていることが好ましい。
このガラスとしては、具体的には、ソーダガラス、結晶化ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス、無アルカリガラス等が好適に用いられる。
このように、第1基板2及び第2基板3を共に光透過性を有する材料とすることにより、電磁波のうち所望の波長帯域の電磁波や可視光線を入射光として用いることができる。
また、第1基板2及び第2基板3を共に半導体材料、例えばシリコンで形成すれば、入射光として近赤外線を用いることができる。
【0034】
ミラー4A、4Bは、高屈折率層と低屈折率層とが交互に複数積層された誘電体多層膜4と、ITO等の透明金属材料からなる導電膜16とにより構成されている。そして、これらミラー4A,4Bのうち、一方のミラー4Aは変形可能な第1基板2に設けられているので可動ミラーと称し、他方のミラー4Bは変形しない第2基板3に設けられているので固定ミラーと称することもある。
【0035】
この光フィルター1を可視光線の領域あるいは赤外線の領域で用いる場合、誘電体多層膜における高屈折率層を形成する材料としては、例えば、酸化チタン(Ti2O)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ニオブ(Nb2O5)等が用いられる。また、光フィルター1を紫外線の領域で用いる場合、高屈折率層を形成する材料としては、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化トリウム(ThO2)等が用いられる。
一方、誘電体多層膜における低屈折率層を形成する材料としては、例えば、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化ケイ素(SiO2)等が用いられる。
【0036】
この高屈折率層及び低屈折率層の層数及び厚みについては、必要とする光学特性に基づいて適宜に設定される。一般に、誘電体多層膜を用いる場合、その光学特性を得るために必要な層数は12層以上である。これら誘電体多層膜4、4上には導電膜16、16がそれぞれ形成されている。
導電膜16の材料としては、例えばITOやその他の透明導電膜や、薄い金属膜などが挙げられる。このような導電膜16が誘電体多層膜4,4の表面全体を覆うことで、後述する製造時において基板2,3同士を接合させる際にミラー4A,4Bが帯電するのを防ぐことができる。そして、これら導電膜16には、配線10A、10Bがそれぞれ接続されている。
【0037】
第1配線10A及び第2配線10Bは、各々の先端に設けられた接続部10a、10bにおいて互いに接続されており、これによってミラー4A,4B同士が電気的に接続された状態となっている。これら配線10A,10Bのうち、第2配線10Bは、さらに接地用の電極パッド14b(外部接続端子)に接続されている。
【0038】
第1電極6A及び第2電極6Bは、第2のギャップG2を介して互いに対向して配置されたもので、入力される駆動電圧に応じてこれら電極6A、6B間に静電力を発生させ、ミラー4A、4Bを互いに対向した状態で相対移動させる静電アクチュエータの一部を構成するものである。これにより、電極6A、6Bは、ダイアフラム部8を図1中上下方向(z方向)に変位させてミラー4A、4B間の第1のギャップG1を変化させ、この第1のギャップG1に対応する波長の光を出射するようになっている。
【0039】
電極6A、6Bを形成する材料としては導電性であればよく、特に限定はされないが、例えば、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Ti、Au等の金属、あるいはカーボン、チタン等を分散した樹脂、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン、ITO等の透明導電材料等が用いられる。
【0040】
電極6Aは、基板間導通配線11A,11Bを介して電極パッド14aと接続されており、電極6Bは、配線17を介して電極パッド14cと接続されている。これら電極パッド14a,14cは電源(図示せず)に接続されている。
【0041】
なお、電極6A,6Bの周方向の一部には隙間部18がそれぞれ形成されており、ミラー4A,4Bに接続する第1配線10A及び第2配線10Bが、これら隙間部18内を通って電極6A,6Bの外側までそれぞれ引き出されている。
【0042】
電源は、駆動信号として、電極6A、6Bに電圧を印加することにより、電極6A、6Bを駆動させ、これらの間に所望の静電力を発生させるものである。なお、この電源には制御装置(図示せず)が接続されており、この制御装置によって電源を制御することにより、電極6A、6B間の電位差を調整することができるようになっている。
【0043】
ダイアフラム部8は、このダイアフラム部8が形成されていない第1基板2の箇所に比べて厚さが薄くなっている。このように、第1基板2のうち他の箇所に比べて厚さが薄い箇所は、弾性(可撓性)を有して変形可能(変位可能)になっており、これにより、このダイアフラム部8は、第1のギャップG1を変化させてミラー4A、4B間の間隔を所望の波長の光に対応する間隔に変化させることにより、所望の波長の光を出射させる波長選択機能を有するようになっている。
【0044】
ダイアフラム部8の形状や厚み等は、所望の波長の範囲の光を出射させることができればよく、具体的には、ミラー4A、4B間の間隔の変化量及び変化の速さ等を勘案し、この光フィルター1に求められる出射光の波長の範囲に対応して設定される。
【0045】
ダイアフラム部8は、第1基板2を面2a側からエッチング(選択除去)することにより形成されているが、発生する撓みを吸収してミラー4Aに伝搬するのを抑制するために十分な厚みがあればよく、第1基板2を面2a及び面2bの双方からエッチング(選択除去)することにより形成してもよい。
【0046】
本実施形態の光フィルター1においては、各基板2,3間に形成される第2のギャップG2を介して対向して設けられた電極6A、6Bと、ダイアフラム部8とによって、光フィルター1の静電アクチュエータが構成されている。
【0047】
このような構成を有する光フィルター1の動作(作用)を説明する。
図示しない通電回路により第1電極6Aと第2電極6Bとの間に電圧が印加されると、第1電極6Aと第2電極6Bとが互いに逆極性に帯電して、両者の間にクーロン力(静電引力)が発生する。このとき、図示しない検出回路がダイアフラム部8の変位状態を検出し、その検出結果に基づき、図示しない制御手段が通電回路の駆動を制御する。
【0048】
このクーロン力によって、ダイアフラム部8は、第2電極6Bに向け下方向に移動(変
位)する。これにより、第1のギャップG1および第2のギャップG2の大きさが変化する。
一方、図1に示すように、光フィルター1の上方から第1のギャップG1に向けて光Lが照射されると、光Lは、第1基板2、ミラー4Aを透過して、第1のギャップG1に入射する。
【0049】
前述したようにミラー4Aとミラー4Bとの間で光が反射を繰り返す過程において、ミラー4Aとミラー4Bとの間の第1のギャップG1の大きさに対応する干渉条件を満たさない波長の光は急激に減衰し、この干渉条件を満たした波長の光だけが残って最終的に光フィルター1から出射する。
したがって、第1電極6Aと第2電極6Bとの間に印加される電圧を変更することにより、第1のギャップG1を変更(すなわち干渉条件を変更)すれば、光フィルター1を透過する光の波長を変更することができる。
【0050】
次に、本実施形態における光フィルターの製造方法について述べる。図4は、本実施形態における光フィルターの製造方法を示すフローチャート、図5は製造方法の工程図である。
【0051】
図4に示すように、光フィルターの製造方法は、ミラーおよび導電膜形成工程S1と、電極その他端子等形成工程S2と、基板接合工程S3と、を備えている。
まず、光フィルター1を形成するにあたって、図5(a)に示すように所定の加工が施された第1基板2及び第2基板3を用意する。第1基板2にはダイアフラム部8を形成しておき、第2基板3には第1凹部5及び第2凹部7を予め形成しておく。
【0052】
そして、ミラー及び導電膜形成工程S1では、まず、図5(b)に示すように第1基板2の中央部に誘電体多層膜4を形成するとともに、第2基板3の第1凹部5の中央部に誘電体多層膜4を形成する。その後、各誘電体多層膜4,4上にこれらの表面全体を覆うようにして導電膜16,16を形成する。
【0053】
次に、電極その他端子等形成工程S2では、図5(c)に示すように第1基板2及び第2基板3の各接合面2b、3a上に、電極6A、6B、第1配線10A、第2配線10B、接合用金属膜9A、9B、基板間導通配線11A,11B(不図示)および電極パッド14c(電極パッド14a及び14bは不図示)をそれぞれパターン形成する。
【0054】
基板接合工程S3では、表面活性化接合装置(図示しない)を用いて基板2,3の接合を行う。表面活性化接合は、接合面となる面を減圧下(真空中)で表面処理することにより、接合面の原子を化学結合しやすい活性した状態とした後、常温のような低温度下で接合を行うものである。
【0055】
具体的には、まず、基板2,3を表面活性化接合装置の真空チャンバーに入れ、上部チャックへ第1基板2を静電気力で吸着させて固定し、下部台座に第2基板3を搭載する。そして、図5(d)に示すように第1基板2の接合面2bと第2基板3の接合面3aとを向かい合わせて互いに位置合わせをし、接合を行う。
基板2,3同士を位置合わせする際、第1配線10Aの接続部10aと第2配線10Bの接続部10bとを平面視で一致させるとともに、図示しない基板間導通配線11Aの接続部11aと基板間導通配線11Bの接続部11bとにおいても平面視で一致させるようにする。
【0056】
そして、真空中(減圧下)において、接合面となる接合用金属膜9A,9Bの表面に対して、それぞれイオンビームやプラズマなどによりスパッタを行うことで活性化させる。これにより、接合用金属膜9A,9B上の汚染物等が除去されて、結合手をもった原子が露出するような状態となる。
【0057】
このような状態とされた接合用金属膜9A,9Bの表面同士を接触(圧接)させるように常温で第1基板2と第2基板3とを押し当てることで、接合用金属膜9A,9B同士、つまり、基板2,3同士を簡単且つ強固に接合することができる。接合と同時に、第1基板2側の可動ミラー4Aと第2基板3側の固定ミラー4Bとが接続部10a,10bを介して電気的に接続される。
【0058】
本実施形態の光フィルター1およびその製造方法によれば、一対の対向するミラー4A,4B同士を基板接合工程S3において電気的に短絡させてミラー4A,4B間の電位差をなくすことにより、接合時におけるミラー4A,4B同士の貼り付きをなくすことができる。
【0059】
上述したように接合工程では、基板2,3の接合面の表面活性化処理に用いたイオンビームやプラズマ、あるいは真空チャンバー内の上部チャックへ第1基板2を固定する際の静電チャック等によってミラー4A,4Bがそれぞれ帯電してミラー4A,4B間に電位差が生じてしまう。すると、基板2,3を接合させる際にミラー4A,4Bに帯電した電荷による静電引力によってミラー4A,4B同士が貼り付いてしまうことがある。
【0060】
そこで本実施形態では、基板接合時に第1配線10A及び第2配線10Bの接続部10a,10bを接続させることでミラー4A,4B同士を短絡させて、表面活性化処理などによって帯電したミラー4A,4Bの電位差をなくすこととした。これによって、接合後におけるミラー4A,4B同士の貼り付きをなくすことができる。また、完成後の構成においてもミラー4A,4B同士は短絡した状態であることから、静電アクチュエータの駆動によってミラー4A,4Bが帯電するのを防止することができる。なお、電極パッド14bを接地してミラー4A,4Bに帯電した電荷を外部に逃がすようにすることが好ましい。これにより、ミラー4A,4B間のギャップを精度よく制御することができ、光フィルターの信頼性を向上させることが可能となる。
【0061】
また、本実施形態では、ミラー4Bから引き出した第1配線10Aを電極パッド14bに接続させているが、接合用金属膜9Bに接合させてもよい。このとき、接合用金属膜9Bを接地させておくようにする。
【0062】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6〜図8を用いて説明する。図6は、第2実施形態の光フィルターを示す断面図、図7は、第2実施形態の光フィルターを構成する第1基板を接合面側から示す平面図、図8は第2基板を接合面側から示す平面図である。
【0063】
以下に示す本実施形態の光フィルターの基本構成は先の実施形態と略同様であるが、基板間の導通がバンプ接続により実現されている点において異なる。よって、以下の説明では、先の実施形態と異なる構成について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、図1〜図5と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0064】
本実施形態の光フィルター1は、図6〜図8に示すように、接合面2b上に可動ミラー4A、第1電極6A、基板間導通配線11A、第1配線10Aが設けられた第1基板2と、接合面3a上に固定ミラー4B、第2電極6B、基板間導通配線11B、第2配線10Bが設けられた第2基板3とを備えている。これら接合面2b,3a上の対向する基板と接合する部分には、それぞれシリコン窒化膜等の表面活性化接合が可能な誘電体膜(図示しない)が形成されている。
【0065】
本実施形態の第1基板2上に設けられた第1配線10Aおよび基板間導通配線11Aには、これらの一方の端部(ミラー4Aおよび第1電極6Aに接続される側とは反対側の端部)側に、弾性体19を内側に有するバンプ接続部21,22が設けられている。これらバンプ接続部21,22は、第2基板3上に設けられた第2配線10Bの接続部10bおよび基板間導通配線11Bの接続部11bに接続されている。ここで、第1配線10A及び基板間導通配線11Aの材料としては、接続時にバンプの変形が容易になるようにAuを用いることが好ましい。
【0066】
また、第2配線10B、基板間導通配線11B、各電極パッド14a,14b,14cおよび配線17は、第2基板3の接合面3aに設けられた溝23内に形成されており、第1基板2側のバンプ接続部21,22は各溝23内に入り込んだ状態で、対応する接続部10b、11bとそれぞれ接続されている。
【0067】
このようなバンプ接続構造を有した光フィルター1を製造する場合には、第1基板2と第2基板3との接合面2b、3a上に設けられたシリコン窒化膜(図示しない)を介して第1基板2および第2基板3同士を表面活性化接合する際に、各フィルタ領域A内の第1配線10Aのバンプ接続部21と接続部10bとが接触するとともに、基板間導通配線11Aのバンプ接続部22と基板間導通配線11Bの接続部11bとが接触し、基板2,3同士の押圧によりこれらバンプ接続部21,22が変形することによって、第1のギャップG1に影響を与えずに可動ミラー4Aと固定ミラー4Bとが電気的に接続される。
【0068】
本実施形態の構成によれば、弾性体19をコアとするバンプ接続部21(22)を有することから、バンプ接続部21(22)を押し潰しながら基板2、3同士を接合することで、バンプ接続部21を介してミラー4A,4B同士を確実に接続することができる。また、バンプ接続部21,22は所謂樹脂コアバンプであることから、これらバンプ接続部21,22による電気的接点が光フィルター1の動作中の温度上昇に伴う熱変形などによって破壊されるのを防ぐことができる。
【0069】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図9および図10を用いて説明する。図9は、第3実施形態の光フィルターを示す断面図、図10(a)は、第3実施形態の光フィルターを構成する第1基板を接合面側から示す平面図、図10(b)は第2基板を接合面側から示す平面図である。
【0070】
本実施形態の光フィルターは、図9に示すように、完成した状態においてミラー4A,4B同士が絶縁された構成となっている点で先の各実施形態と異なっている。
図9に示すように、可動ミラー4Aは、第1配線10Aのバンプ接続部21及び第2配線10Bの接続部10bを介して第2基板3側の電極パッド14bに接続している。一方、第1基板2に設けられた第1電極6Aは、基板間導通配線11Aのバンプ接続部22および基板間導通配線11Bの接続部11bを介して第2基板3側の電極パッド14aと接続している。
【0071】
本実施形態の第2基板3には、図10(a),(b)に示すように、第1電極6Aに接続される電極パッド14aと、可動ミラー4Aに接続される電極パッド14bと、第2電極6Bに接続される電極パッド14cの他に、固定ミラー4Bに接続される電極パッド14dがさらに設けられており、各ミラー4A,4Bがそれぞれ異なる電極パッド14b、14dに接続した構成となっている。これら電極パッド14b、14dに同電位を入力することで、静電アクチュエーターの駆動によってミラー4A,4Bが帯電するのを防止できる。
【0072】
次に、本実施形態の光フィルターの製造方法の一例について図11を用いて説明する。図11(a)はガラスウェハW1を示す平面図、図11(b)はガラスウェハW2を示す平面図である。
本実施形態では、ガラスウェハW1,W2を用いて複数の光フィルター1を一括して形成する。ガラスウェハW1,W2は、個片化後に光フィルター1の第1基板2あるいは第2基板3となる部分である。なお、図11(a),(b)には、フィルタ領域A(1つの光フィルター1と対応する領域)を拡大して示している。
【0073】
まず、図11(a),(b)に示すように、予め所定の加工が施されたガラスウェハW1,W2を用意する。各ガラスウェハW1,W2には、ダイアフラム部8や凹部5,7等が形成されており、接合時に各々が対向する面側の各フィルタ領域Aに上記した各構成部材を形成する。
【0074】
具体的には、ガラスウェハW1の各フィルタ領域A内に、第1電極6A、可動ミラー4A、バンプ接続部21を有する第1配線10A、バンプ接続部22を有する基板間導通配線11A等を形成するとともに、ガラスウェハW2の各フィルタ領域A内に、第2電極6B、固定ミラー4B、第2配線10B、基板間導通配線11B、配線17、及び複数の電極パッド14a,14b,14c,14dを形成する。
【0075】
本実施形態のガラスウェハW1,W2上には、各フィルタ領域Aの周囲にそれぞれダイシング領域Bが設けられている。ここでは、ガラスウェハW2側の各ダイシング領域Bに、各フィルタ領域A内に形成した電極パッド14bと電極パッド14dとを接続する接続配線25を各電極パッド等と同時にパターン形成する。
【0076】
次に、各ガラスウェハW1,W2の接合面(各接合面2b,3a)に対して表面活性化処理を施した後、各々を重ね合わせて接合する。上述したように、ガラスウェハW2上には各フィルタ領域A毎に電極パッド14b、14dを接続する接続配線25が形成されているため、ガラスウェハW1、2同士を接合させる際に可動ミラー4Aと固定ミラー4Bとを電気的に接続することが可能となる。ミラー4A,4B同士を短絡させて同電位にした状態で基板2,3同士の接合を行うことによって、ミラー4A,4B同士の貼り付きをなくすことができる。
【0077】
次に、各ガラスウェハW1,W2同士を図12中のダイシングラインDに沿って各フィルタ領域Aごとに個片化する。接合後にダイシングすることで接続配線25が切断されて、電極パッド14bと電極パッド14dとが電気的に分離され、それぞれ独立した電位を各ミラー4A,4Bへ与えることが可能となる。
【0078】
これにより、電極パッド14b、14dによる容量検出によるギャップ測定も可能となる。また、接続配線25の配線パターンを変形することで、ダイシング時も電極パッド14b,14d同士を電気的に接続した状態に保つことが可能である。これは、接続配線25をフィルタ領域A内に形成することによって実現できる。
【0079】
なお、本実施形態の光フィルターの第2基板3上には、図10(b)に示すように、電極パッド14b、14d同士を接続していた接続配線25の一部が残留部25a、25aとして存在することとなる。
【0080】
次に、応用例として、上述した本発明の光フィルターを備えた分析機器である測色機器30について説明する。図12は、本発明の測色機器30の実施形態を示す図である。
この測色機器30は、光フィルター31(本発明の光フィルター1)と受光素子32とを備える光フィルター装置33および駆動回路部34と測定回路部35とを備える回路部36を備える。受光素子32としては、例えば、フォトダイオードなどを用いることができる。また、回路部36は、増幅回路部を有していても良い。この測色機器30(分析機器)は、測定対象物Mから反射した光が光フィルター31に入射され、駆動回路部34にて光フィルター31の第1ミラーおよび第2ミラー間のギャップを制御し、ギャップが制御された光フィルター31を透過した光を受光素子32にて受光し、受光素子32にて受光量に応じた電気信号を生成し、測定回路部35にて生成された電気信号から透過した光の光量を測定する。なお、光源40は、測色機器30に内蔵されていてもよい。
【0081】
上記応用例として分析機器である測色機器30を例示したが、分析機器は、ガス特有の吸収波長を検出することでガス検出を行うガス検出機器などにも適用することができる。また、分析機器は、光ファイバーなどの光伝達媒体により伝送された光から所望の波長を取り出す光機器などにも適用することができる。また、分析機器は、ハイパースペクトルカメラなどにも適用することができる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
なお、先の各実施形態においては、誘電体膜と導電膜とによる積層構造を有したミラーとしたが、Agなどの金属膜のみでミラーを構成してもよい。
また、先の各実施形態における光フィルターは、例えば測色センサ、光通信センサ、ガスセンサ等への応用が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1,31…光フィルター、2…第1基板、3…第2基板、4A…ミラー(第1ミラー、可動ミラー)、4B…ミラー(第2ミラー、固定ミラー)、6A…第1電極、6B…第2電極、10A…第1配線、10B…第2配線、10a…接続部、10b…接続部、14a,14b,14c,14d…電極パッド(外部接続端子)、16…導電膜、25…接続配線(配線)、25a…残留部、30…測色機器(分析機器)、32…受光素子、33…光フィルター装置、34…駆動回路部、35…測定回路部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光フィルター、光フィルター装置、分析機器、および光フィルターの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入射光の中から目的とする波長の光を選択して射出させる光フィルターとして、一対の基板を対向配置し、これら基板の対向する面のそれぞれにミラーを設け、これらのミラーの周囲にそれぞれ電極を設けるとともに、少なくとも一方のミラーの周囲にダイアフラム部を設けた構造のものが知られている。このような光フィルターは、対向する一対のミラー間のギャップに応じた波長の光を選択的に取り出すことができる。ミラー間のギャップは、一方の基板に設けられた固定電極と他方の基板に設けられた可動電極に電圧を印加することで、静電駆動によりギャップを所望の値に制御することができる。
【0003】
光フィルターの製造工程においては、一対の基板を接合する際に、真空中で接合表面をイオンビームまたはプラズマによりエッチングし活性化させることで基板同士の接合を行う表面活性化接合が用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−116669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、表面活性化接合により基板同士を接合させる場合、イオンビームやプラズマ、あるいは基板の支持に用いる静電チャック等によりミラーが帯電してしまい、基板同士を貼り合わせる際に、ミラーに帯電した電荷による静電引力によってミラー同士が貼り付いてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、ミラーが帯電することを防止してミラー同士の貼り付きをなくすことのできる光フィルター、光フィルター装置、分析機器、および光フィルターの製造方法を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光フィルターは、上記課題を解決するために、互いに対向配置された第1基板および第2基板と、第1基板の第2基板側に設けられた第1ミラーおよび第1電極と、第2基板の第1基板側に設けられた第2ミラーおよび第2電極と、を備え、第1ミラーと第2ミラーとが配線を介して接続されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第1ミラーと第2ミラーとが配線を介して接続されているので、ミラー同士が電気的に短絡しており、ミラー間の電位差をなくすことができる。これにより、ミラーの帯電に起因するミラー同士の貼り付きを防止することができ、ミラー間のギャップを精度よく制御することができる。したがって、信頼性の高い光フィルターが得られる。
【0009】
また、第1ミラーから第1基板の接合領域まで引き出された第1配線と、第2ミラーから第2基板の接合領域まで引き出された第2配線とを有し、接合領域において第1配線および第2配線同士が接続されていることが好ましい。
本発明によれば、基板同士を貼り合わせるのと同時に第1配線及び第2配線が接続されるので、簡単な工程で製造可能な光フィルターとなる。
【0010】
また、第1ミラーおよび第2ミラーのいずれか一方が外部接続端子に接続されていることが好ましい。
本発明によれば、第1ミラー及び第2ミラーに帯電する電荷を外部接続端子から解放することができる。
【0011】
本発明の光フィルターは、上記課題を解決するために、互いに対向配置された第1基板および第2基板と、第1基板の第2基板側に設けられた第1ミラーおよび第1電極と、第2基板の第1基板側に設けられた第2ミラーおよび第2電極と、を備え、第1ミラーと第2ミラーとがそれぞれ外部接続端子に接続されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、第1ミラー及び第2ミラーの各々がそれぞれ異なる外部接続端子に接続されているので、各外部接続端子から第1ミラー及び第2ミラーへグランド電位を入力することが可能となり、ミラー間の電位差をなくすことができる。これにより、ミラー同士の貼り付きを防止することができ、ミラー間のギャップを精度よく制御することができる。したがって、信頼性の高い光フィルターが得られる。
【0013】
また、第1ミラーおよび第2ミラーが、配線を介して外部接続端子とそれぞれ接続されていることが好ましい。
本発明によれば、一般的に基板の中央部に配置されるミラーと、基板の周縁部に配置される外部接続端子とを、配線を介して確実に接続することができる。また、基板上における各部材の設計自由度が高まる。
【0014】
また、第1配線および第2配線の接続部位に、内部に弾性体を有するバンプ構造が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、第1配線および第2配線の接続部位に、内部に弾性体を有するバンプ構造が形成されていることとしたので、配線同士の接続を確実且つ良好に行える。
【0015】
また、第1ミラーおよび第2ミラーが導電膜を含んで構成されていることが好ましい。
本発明によれば、第1ミラー及び第2ミラーがそれぞれ導電膜を含んで構成されていることとしたので、ミラー同士を短絡させた構成とすることで、ミラー同士の電位差をなくすことができる。
【0016】
また、前記第1ミラーおよび前記第2ミラーが、透光性を有する前記導電膜と、誘電体膜との積層構造を有することが好ましい。
本発明によれば、誘電体膜の表面に電荷が帯電するのを抑制することが可能となる。
【0017】
また、外部接続端子に接続していた配線を切断した残留部が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、各ミラーにそれぞれ接続する外部接続端子同士を接続していた配線を切断した残留部が形成されていることとしたので、後述する製造時において、各ミラーにそれぞれ接続する外部接続端子同士が配線によって接続されていたことになる。これにより、製造時に各ミラーの帯電に起因する貼り付きをなくすことができる。
【0018】
本発明の光フィルター装置は、本発明の光フィルターと、光フィルターを透過した光を受光する受光素子と、を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、光フィルターを透過した光を受光素子にて受光することで電気信号を生成することのできる光フィルター装置が得られる。
【0019】
本発明の分析機器は、本発明の光フィルターと、光フィルターを透過した光を受光する受光素子と、光フィルターの第1ミラーと第2ミラーとのギャップを駆動する駆動回路部と、受光素子によって生成される電気信号から、透過した前記光の光量を測定する測定回路部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、測定対象物から反射した光が光フィルターに入射され、駆動回路部にて光フィルターのミラー間のギャップを制御し、ギャップが制御された光フィルターを透過した光を受光素子にて受光し、受光素子にて受光量に応じた電気信号を生成し、測定回路部にて生成された電気信号から透過した光の光量を測定する分析機器が得られる。これにより、光フィルターのミラー間のギャップを制度よく制御することができる。
【0020】
本発明の光フィルターの製造方法は、上記課題を解決するために、第1基板および第2基板の対向面側に第1ミラーあるいは第2ミラーを形成する工程と、第1ミラーおよび第2ミラーの周囲に電極を形成する工程と、第1ミラーおよび第2ミラーに接続する配線を形成する工程と、第1基板および第2基板を接合する工程と、を備え、第1基板および第2基板を接合する工程において、第1ミラーと第2ミラーとを配線を介して接続させることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、第1基板及び第2基板を接合する工程において、第1ミラーと第2ミラーとを配線を介して接続させているので、ミラー同士が電気的に短絡してミラー間の電位差をなくすことができる。これにより、ミラー同士の貼り付き防止することができ、ミラー間のギャップを精度よく制御することができる。したがって、信頼性の高い光フィルターが得られる。
【0022】
また、第1ミラーおよび第2ミラーに接続する配線を形成する工程において、第1ミラーから第1基板の接合領域まで引き出して第1配線を形成するとともに、第2ミラーから第2基板の接合領域まで引き出して第2配線を形成し、第1基板および第2基板を接合する工程において、第1配線と第2配線とを接続させることが好ましい。
本発明によれば、接合領域に形成した第1配線及び第2配線を介して第1ミラーと第2ミラーとを接続させることとしたので、基板同士の接合と同時に配線同士を確実に接続させることができ、これによってミラー同士の電気的な接続が実現される。また、その接続状態を光フィルター完成後の状態においても確保することができる。
【0023】
また、第1配線または第2配線を形成する際に、後の第1基板および第2基板を接合する工程において第1配線および第2配線同士が接続される部位に、内部に弾性体を有するバンプ構造を形成することが好ましい。
本発明によれば、第1配線及び第2配線同士が接続される部位にバンプ構造を形成したことから、各配線同士の接続信頼性を高めることが可能となる。
【0024】
また、第1基板および第2基板を接合させた後に、配線を切断することが好ましい。
本発明によれば、第1基板及び第2基板同士を接合させた後に、第1ミラー及び第2ミラー同士を接続していた配線を切断することとしたので、各ミラーが電気的に分離され、それぞれ独立した電位を与えることが可能になる。これにより、ミラー同士のギャップをより精度よく制御することができる。
【0025】
本発明の光フィルターの製造方法は、上記課題を解決するために、第1基板および第2基板の対向面側に第1ミラーあるいは第2ミラーを形成する工程と、第1ミラーおよび第2ミラーの周囲に電極を形成する工程と、第1ミラーおよび第2ミラーに接続する配線を形成する工程と、第1基板および第2基板を接合する工程と、を備え、第1基板および第2基板を接合する工程において、配線に電位を入力した状態で第1基板および第2基板を接合させることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、第1基板および第2基板を接合する工程において、配線に電位を入力した状態で第1基板および第2基板を接合させることとしたので、第1基板と第2基板との接合時にミラー同士を同電位にすることができる。これにより、ミラー同士の貼り付きを防止することができ、ミラー間のギャップを精度よく制御することができる。したがって、信頼性の高い光フィルターを得ることができる。
【0027】
また、第1基板および第2基板のいずれか一方に、第1ミラーおよび第2ミラーに接続する一対の外部接続端子を形成し、これら一対の外部接続端子を介して第1ミラーおよび第2ミラーに電位を入力することが好ましい。
本発明によれば、各ミラーにそれぞれ接続する外部接続端子を設けることとしたので、ミラー毎に独立した電位を与えることが可能となる。これにより、ミラー同士のギャップを精度よく制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態の光フィルターを示す断面図。
【図2】第1実施形態の光フィルターを構成する第1基板を示す平面図。
【図3】第1実施形態の光フィルターを構成する第2基板を示す平面図。
【図4】第1実施形態の光フィルターの製造方法を示すフローチャート。
【図5】第1実施形態の光フィルターの製造方法を示す工程図。
【図6】第2実施形態の光フィルターを示す断面図。
【図7】第2実施形態の光フィルターを構成する第1基板を示す平面図。
【図8】第2実施形態の光フィルターを構成する第2基板を示す平面図。
【図9】第3実施形態の光フィルターを構成する第1基板を示す断面図。
【図10】第3実施形態の光フィルターを構成する第2基板を示す平面図。
【図11】第3実施形態の光フィルターの製造方法を示す工程図。
【図12】本発明の分析機器である測色機器の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0030】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である光フィルターを示す断面図、図2は、光フィルターを構成する第1基板2を接合面2b側からみた平面図、図3は、光フィルターを構成する第2基板3を接合面3a側から見た示す平面図である。
【0031】
図1〜図3に示す本実施形態の光フィルター1は、エアギャップ型で静電駆動型のエタロン素子である。
光フィルター1は、第1基板2と、第1基板2に対向した状態で接合された第2基板3とを備えている。
第1基板2には、図1及び図2に示すように、第2基板3と対向する側の接合面2bの中央部に設けられた平面視円形状のミラー4A(第1ミラー)と、第1基板2のミラー4Aの周囲に設けられたほぼ円環状の電極6Aと、第1基板2内かつ電極6Aの外周部とほぼ対応する位置にエッチング(選択除去)により形成された薄肉の円環状のダイアフラム部8と、電極6Aの周囲に設けられた接合用金属膜9Aと、ミラー4Aから第1電極6Aよりも外側の接合領域(ダイアフラム部8と平面視で重ならない領域)まで引き出された第1配線10Aと、少なくともその接続部11aが第1電極6Aから上記接合領域まで引き出された基板間導通配線11Aとが設けられている。
【0032】
第2基板3には、図1及び図3に示すように、第2基板3の中央部に形成された第1凹部5の底部に上記ミラー4Aと第1のギャップG1を介して対向して設けられた平面視円形状のミラー4B(第2ミラー)と、第2基板3の第1凹部5の周囲に形成された底浅の円環状の第2凹部7に上記電極6Aと第2のギャップG2を介して対向して設けられたほぼ円環状の電極6Bと、電極6Bの周囲に設けられた接合用金属膜9Bと、ミラー4Bから第2電極6Bよりも外側の接合領域(凹部5,7と平面視で重ならない領域)まで引き出された第2配線10Bと、接合面3aの辺縁に形成された複数の電極パッド14a、14b、14cと、電極パッド14aに接続されている側とは反対側の端部に上記基板間導通配線11Aの接続部11aと電気的に接続される接続部11bを有する基板間導通配線11Bとが設けられている。
【0033】
第1基板2及び第2基板3は、概して平面視矩形状あるいは正方形状を呈しており、第2基板3の一部が第1基板2から張り出す大きさとなっている。第1基板2および第2基板3は、光透過性を有するとともに絶縁性を有する材料からなるもので、特にガラス等の透明材料により構成されていることが好ましい。
このガラスとしては、具体的には、ソーダガラス、結晶化ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス、無アルカリガラス等が好適に用いられる。
このように、第1基板2及び第2基板3を共に光透過性を有する材料とすることにより、電磁波のうち所望の波長帯域の電磁波や可視光線を入射光として用いることができる。
また、第1基板2及び第2基板3を共に半導体材料、例えばシリコンで形成すれば、入射光として近赤外線を用いることができる。
【0034】
ミラー4A、4Bは、高屈折率層と低屈折率層とが交互に複数積層された誘電体多層膜4と、ITO等の透明金属材料からなる導電膜16とにより構成されている。そして、これらミラー4A,4Bのうち、一方のミラー4Aは変形可能な第1基板2に設けられているので可動ミラーと称し、他方のミラー4Bは変形しない第2基板3に設けられているので固定ミラーと称することもある。
【0035】
この光フィルター1を可視光線の領域あるいは赤外線の領域で用いる場合、誘電体多層膜における高屈折率層を形成する材料としては、例えば、酸化チタン(Ti2O)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ニオブ(Nb2O5)等が用いられる。また、光フィルター1を紫外線の領域で用いる場合、高屈折率層を形成する材料としては、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化トリウム(ThO2)等が用いられる。
一方、誘電体多層膜における低屈折率層を形成する材料としては、例えば、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化ケイ素(SiO2)等が用いられる。
【0036】
この高屈折率層及び低屈折率層の層数及び厚みについては、必要とする光学特性に基づいて適宜に設定される。一般に、誘電体多層膜を用いる場合、その光学特性を得るために必要な層数は12層以上である。これら誘電体多層膜4、4上には導電膜16、16がそれぞれ形成されている。
導電膜16の材料としては、例えばITOやその他の透明導電膜や、薄い金属膜などが挙げられる。このような導電膜16が誘電体多層膜4,4の表面全体を覆うことで、後述する製造時において基板2,3同士を接合させる際にミラー4A,4Bが帯電するのを防ぐことができる。そして、これら導電膜16には、配線10A、10Bがそれぞれ接続されている。
【0037】
第1配線10A及び第2配線10Bは、各々の先端に設けられた接続部10a、10bにおいて互いに接続されており、これによってミラー4A,4B同士が電気的に接続された状態となっている。これら配線10A,10Bのうち、第2配線10Bは、さらに接地用の電極パッド14b(外部接続端子)に接続されている。
【0038】
第1電極6A及び第2電極6Bは、第2のギャップG2を介して互いに対向して配置されたもので、入力される駆動電圧に応じてこれら電極6A、6B間に静電力を発生させ、ミラー4A、4Bを互いに対向した状態で相対移動させる静電アクチュエータの一部を構成するものである。これにより、電極6A、6Bは、ダイアフラム部8を図1中上下方向(z方向)に変位させてミラー4A、4B間の第1のギャップG1を変化させ、この第1のギャップG1に対応する波長の光を出射するようになっている。
【0039】
電極6A、6Bを形成する材料としては導電性であればよく、特に限定はされないが、例えば、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Ti、Au等の金属、あるいはカーボン、チタン等を分散した樹脂、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン、ITO等の透明導電材料等が用いられる。
【0040】
電極6Aは、基板間導通配線11A,11Bを介して電極パッド14aと接続されており、電極6Bは、配線17を介して電極パッド14cと接続されている。これら電極パッド14a,14cは電源(図示せず)に接続されている。
【0041】
なお、電極6A,6Bの周方向の一部には隙間部18がそれぞれ形成されており、ミラー4A,4Bに接続する第1配線10A及び第2配線10Bが、これら隙間部18内を通って電極6A,6Bの外側までそれぞれ引き出されている。
【0042】
電源は、駆動信号として、電極6A、6Bに電圧を印加することにより、電極6A、6Bを駆動させ、これらの間に所望の静電力を発生させるものである。なお、この電源には制御装置(図示せず)が接続されており、この制御装置によって電源を制御することにより、電極6A、6B間の電位差を調整することができるようになっている。
【0043】
ダイアフラム部8は、このダイアフラム部8が形成されていない第1基板2の箇所に比べて厚さが薄くなっている。このように、第1基板2のうち他の箇所に比べて厚さが薄い箇所は、弾性(可撓性)を有して変形可能(変位可能)になっており、これにより、このダイアフラム部8は、第1のギャップG1を変化させてミラー4A、4B間の間隔を所望の波長の光に対応する間隔に変化させることにより、所望の波長の光を出射させる波長選択機能を有するようになっている。
【0044】
ダイアフラム部8の形状や厚み等は、所望の波長の範囲の光を出射させることができればよく、具体的には、ミラー4A、4B間の間隔の変化量及び変化の速さ等を勘案し、この光フィルター1に求められる出射光の波長の範囲に対応して設定される。
【0045】
ダイアフラム部8は、第1基板2を面2a側からエッチング(選択除去)することにより形成されているが、発生する撓みを吸収してミラー4Aに伝搬するのを抑制するために十分な厚みがあればよく、第1基板2を面2a及び面2bの双方からエッチング(選択除去)することにより形成してもよい。
【0046】
本実施形態の光フィルター1においては、各基板2,3間に形成される第2のギャップG2を介して対向して設けられた電極6A、6Bと、ダイアフラム部8とによって、光フィルター1の静電アクチュエータが構成されている。
【0047】
このような構成を有する光フィルター1の動作(作用)を説明する。
図示しない通電回路により第1電極6Aと第2電極6Bとの間に電圧が印加されると、第1電極6Aと第2電極6Bとが互いに逆極性に帯電して、両者の間にクーロン力(静電引力)が発生する。このとき、図示しない検出回路がダイアフラム部8の変位状態を検出し、その検出結果に基づき、図示しない制御手段が通電回路の駆動を制御する。
【0048】
このクーロン力によって、ダイアフラム部8は、第2電極6Bに向け下方向に移動(変
位)する。これにより、第1のギャップG1および第2のギャップG2の大きさが変化する。
一方、図1に示すように、光フィルター1の上方から第1のギャップG1に向けて光Lが照射されると、光Lは、第1基板2、ミラー4Aを透過して、第1のギャップG1に入射する。
【0049】
前述したようにミラー4Aとミラー4Bとの間で光が反射を繰り返す過程において、ミラー4Aとミラー4Bとの間の第1のギャップG1の大きさに対応する干渉条件を満たさない波長の光は急激に減衰し、この干渉条件を満たした波長の光だけが残って最終的に光フィルター1から出射する。
したがって、第1電極6Aと第2電極6Bとの間に印加される電圧を変更することにより、第1のギャップG1を変更(すなわち干渉条件を変更)すれば、光フィルター1を透過する光の波長を変更することができる。
【0050】
次に、本実施形態における光フィルターの製造方法について述べる。図4は、本実施形態における光フィルターの製造方法を示すフローチャート、図5は製造方法の工程図である。
【0051】
図4に示すように、光フィルターの製造方法は、ミラーおよび導電膜形成工程S1と、電極その他端子等形成工程S2と、基板接合工程S3と、を備えている。
まず、光フィルター1を形成するにあたって、図5(a)に示すように所定の加工が施された第1基板2及び第2基板3を用意する。第1基板2にはダイアフラム部8を形成しておき、第2基板3には第1凹部5及び第2凹部7を予め形成しておく。
【0052】
そして、ミラー及び導電膜形成工程S1では、まず、図5(b)に示すように第1基板2の中央部に誘電体多層膜4を形成するとともに、第2基板3の第1凹部5の中央部に誘電体多層膜4を形成する。その後、各誘電体多層膜4,4上にこれらの表面全体を覆うようにして導電膜16,16を形成する。
【0053】
次に、電極その他端子等形成工程S2では、図5(c)に示すように第1基板2及び第2基板3の各接合面2b、3a上に、電極6A、6B、第1配線10A、第2配線10B、接合用金属膜9A、9B、基板間導通配線11A,11B(不図示)および電極パッド14c(電極パッド14a及び14bは不図示)をそれぞれパターン形成する。
【0054】
基板接合工程S3では、表面活性化接合装置(図示しない)を用いて基板2,3の接合を行う。表面活性化接合は、接合面となる面を減圧下(真空中)で表面処理することにより、接合面の原子を化学結合しやすい活性した状態とした後、常温のような低温度下で接合を行うものである。
【0055】
具体的には、まず、基板2,3を表面活性化接合装置の真空チャンバーに入れ、上部チャックへ第1基板2を静電気力で吸着させて固定し、下部台座に第2基板3を搭載する。そして、図5(d)に示すように第1基板2の接合面2bと第2基板3の接合面3aとを向かい合わせて互いに位置合わせをし、接合を行う。
基板2,3同士を位置合わせする際、第1配線10Aの接続部10aと第2配線10Bの接続部10bとを平面視で一致させるとともに、図示しない基板間導通配線11Aの接続部11aと基板間導通配線11Bの接続部11bとにおいても平面視で一致させるようにする。
【0056】
そして、真空中(減圧下)において、接合面となる接合用金属膜9A,9Bの表面に対して、それぞれイオンビームやプラズマなどによりスパッタを行うことで活性化させる。これにより、接合用金属膜9A,9B上の汚染物等が除去されて、結合手をもった原子が露出するような状態となる。
【0057】
このような状態とされた接合用金属膜9A,9Bの表面同士を接触(圧接)させるように常温で第1基板2と第2基板3とを押し当てることで、接合用金属膜9A,9B同士、つまり、基板2,3同士を簡単且つ強固に接合することができる。接合と同時に、第1基板2側の可動ミラー4Aと第2基板3側の固定ミラー4Bとが接続部10a,10bを介して電気的に接続される。
【0058】
本実施形態の光フィルター1およびその製造方法によれば、一対の対向するミラー4A,4B同士を基板接合工程S3において電気的に短絡させてミラー4A,4B間の電位差をなくすことにより、接合時におけるミラー4A,4B同士の貼り付きをなくすことができる。
【0059】
上述したように接合工程では、基板2,3の接合面の表面活性化処理に用いたイオンビームやプラズマ、あるいは真空チャンバー内の上部チャックへ第1基板2を固定する際の静電チャック等によってミラー4A,4Bがそれぞれ帯電してミラー4A,4B間に電位差が生じてしまう。すると、基板2,3を接合させる際にミラー4A,4Bに帯電した電荷による静電引力によってミラー4A,4B同士が貼り付いてしまうことがある。
【0060】
そこで本実施形態では、基板接合時に第1配線10A及び第2配線10Bの接続部10a,10bを接続させることでミラー4A,4B同士を短絡させて、表面活性化処理などによって帯電したミラー4A,4Bの電位差をなくすこととした。これによって、接合後におけるミラー4A,4B同士の貼り付きをなくすことができる。また、完成後の構成においてもミラー4A,4B同士は短絡した状態であることから、静電アクチュエータの駆動によってミラー4A,4Bが帯電するのを防止することができる。なお、電極パッド14bを接地してミラー4A,4Bに帯電した電荷を外部に逃がすようにすることが好ましい。これにより、ミラー4A,4B間のギャップを精度よく制御することができ、光フィルターの信頼性を向上させることが可能となる。
【0061】
また、本実施形態では、ミラー4Bから引き出した第1配線10Aを電極パッド14bに接続させているが、接合用金属膜9Bに接合させてもよい。このとき、接合用金属膜9Bを接地させておくようにする。
【0062】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6〜図8を用いて説明する。図6は、第2実施形態の光フィルターを示す断面図、図7は、第2実施形態の光フィルターを構成する第1基板を接合面側から示す平面図、図8は第2基板を接合面側から示す平面図である。
【0063】
以下に示す本実施形態の光フィルターの基本構成は先の実施形態と略同様であるが、基板間の導通がバンプ接続により実現されている点において異なる。よって、以下の説明では、先の実施形態と異なる構成について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、図1〜図5と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0064】
本実施形態の光フィルター1は、図6〜図8に示すように、接合面2b上に可動ミラー4A、第1電極6A、基板間導通配線11A、第1配線10Aが設けられた第1基板2と、接合面3a上に固定ミラー4B、第2電極6B、基板間導通配線11B、第2配線10Bが設けられた第2基板3とを備えている。これら接合面2b,3a上の対向する基板と接合する部分には、それぞれシリコン窒化膜等の表面活性化接合が可能な誘電体膜(図示しない)が形成されている。
【0065】
本実施形態の第1基板2上に設けられた第1配線10Aおよび基板間導通配線11Aには、これらの一方の端部(ミラー4Aおよび第1電極6Aに接続される側とは反対側の端部)側に、弾性体19を内側に有するバンプ接続部21,22が設けられている。これらバンプ接続部21,22は、第2基板3上に設けられた第2配線10Bの接続部10bおよび基板間導通配線11Bの接続部11bに接続されている。ここで、第1配線10A及び基板間導通配線11Aの材料としては、接続時にバンプの変形が容易になるようにAuを用いることが好ましい。
【0066】
また、第2配線10B、基板間導通配線11B、各電極パッド14a,14b,14cおよび配線17は、第2基板3の接合面3aに設けられた溝23内に形成されており、第1基板2側のバンプ接続部21,22は各溝23内に入り込んだ状態で、対応する接続部10b、11bとそれぞれ接続されている。
【0067】
このようなバンプ接続構造を有した光フィルター1を製造する場合には、第1基板2と第2基板3との接合面2b、3a上に設けられたシリコン窒化膜(図示しない)を介して第1基板2および第2基板3同士を表面活性化接合する際に、各フィルタ領域A内の第1配線10Aのバンプ接続部21と接続部10bとが接触するとともに、基板間導通配線11Aのバンプ接続部22と基板間導通配線11Bの接続部11bとが接触し、基板2,3同士の押圧によりこれらバンプ接続部21,22が変形することによって、第1のギャップG1に影響を与えずに可動ミラー4Aと固定ミラー4Bとが電気的に接続される。
【0068】
本実施形態の構成によれば、弾性体19をコアとするバンプ接続部21(22)を有することから、バンプ接続部21(22)を押し潰しながら基板2、3同士を接合することで、バンプ接続部21を介してミラー4A,4B同士を確実に接続することができる。また、バンプ接続部21,22は所謂樹脂コアバンプであることから、これらバンプ接続部21,22による電気的接点が光フィルター1の動作中の温度上昇に伴う熱変形などによって破壊されるのを防ぐことができる。
【0069】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図9および図10を用いて説明する。図9は、第3実施形態の光フィルターを示す断面図、図10(a)は、第3実施形態の光フィルターを構成する第1基板を接合面側から示す平面図、図10(b)は第2基板を接合面側から示す平面図である。
【0070】
本実施形態の光フィルターは、図9に示すように、完成した状態においてミラー4A,4B同士が絶縁された構成となっている点で先の各実施形態と異なっている。
図9に示すように、可動ミラー4Aは、第1配線10Aのバンプ接続部21及び第2配線10Bの接続部10bを介して第2基板3側の電極パッド14bに接続している。一方、第1基板2に設けられた第1電極6Aは、基板間導通配線11Aのバンプ接続部22および基板間導通配線11Bの接続部11bを介して第2基板3側の電極パッド14aと接続している。
【0071】
本実施形態の第2基板3には、図10(a),(b)に示すように、第1電極6Aに接続される電極パッド14aと、可動ミラー4Aに接続される電極パッド14bと、第2電極6Bに接続される電極パッド14cの他に、固定ミラー4Bに接続される電極パッド14dがさらに設けられており、各ミラー4A,4Bがそれぞれ異なる電極パッド14b、14dに接続した構成となっている。これら電極パッド14b、14dに同電位を入力することで、静電アクチュエーターの駆動によってミラー4A,4Bが帯電するのを防止できる。
【0072】
次に、本実施形態の光フィルターの製造方法の一例について図11を用いて説明する。図11(a)はガラスウェハW1を示す平面図、図11(b)はガラスウェハW2を示す平面図である。
本実施形態では、ガラスウェハW1,W2を用いて複数の光フィルター1を一括して形成する。ガラスウェハW1,W2は、個片化後に光フィルター1の第1基板2あるいは第2基板3となる部分である。なお、図11(a),(b)には、フィルタ領域A(1つの光フィルター1と対応する領域)を拡大して示している。
【0073】
まず、図11(a),(b)に示すように、予め所定の加工が施されたガラスウェハW1,W2を用意する。各ガラスウェハW1,W2には、ダイアフラム部8や凹部5,7等が形成されており、接合時に各々が対向する面側の各フィルタ領域Aに上記した各構成部材を形成する。
【0074】
具体的には、ガラスウェハW1の各フィルタ領域A内に、第1電極6A、可動ミラー4A、バンプ接続部21を有する第1配線10A、バンプ接続部22を有する基板間導通配線11A等を形成するとともに、ガラスウェハW2の各フィルタ領域A内に、第2電極6B、固定ミラー4B、第2配線10B、基板間導通配線11B、配線17、及び複数の電極パッド14a,14b,14c,14dを形成する。
【0075】
本実施形態のガラスウェハW1,W2上には、各フィルタ領域Aの周囲にそれぞれダイシング領域Bが設けられている。ここでは、ガラスウェハW2側の各ダイシング領域Bに、各フィルタ領域A内に形成した電極パッド14bと電極パッド14dとを接続する接続配線25を各電極パッド等と同時にパターン形成する。
【0076】
次に、各ガラスウェハW1,W2の接合面(各接合面2b,3a)に対して表面活性化処理を施した後、各々を重ね合わせて接合する。上述したように、ガラスウェハW2上には各フィルタ領域A毎に電極パッド14b、14dを接続する接続配線25が形成されているため、ガラスウェハW1、2同士を接合させる際に可動ミラー4Aと固定ミラー4Bとを電気的に接続することが可能となる。ミラー4A,4B同士を短絡させて同電位にした状態で基板2,3同士の接合を行うことによって、ミラー4A,4B同士の貼り付きをなくすことができる。
【0077】
次に、各ガラスウェハW1,W2同士を図12中のダイシングラインDに沿って各フィルタ領域Aごとに個片化する。接合後にダイシングすることで接続配線25が切断されて、電極パッド14bと電極パッド14dとが電気的に分離され、それぞれ独立した電位を各ミラー4A,4Bへ与えることが可能となる。
【0078】
これにより、電極パッド14b、14dによる容量検出によるギャップ測定も可能となる。また、接続配線25の配線パターンを変形することで、ダイシング時も電極パッド14b,14d同士を電気的に接続した状態に保つことが可能である。これは、接続配線25をフィルタ領域A内に形成することによって実現できる。
【0079】
なお、本実施形態の光フィルターの第2基板3上には、図10(b)に示すように、電極パッド14b、14d同士を接続していた接続配線25の一部が残留部25a、25aとして存在することとなる。
【0080】
次に、応用例として、上述した本発明の光フィルターを備えた分析機器である測色機器30について説明する。図12は、本発明の測色機器30の実施形態を示す図である。
この測色機器30は、光フィルター31(本発明の光フィルター1)と受光素子32とを備える光フィルター装置33および駆動回路部34と測定回路部35とを備える回路部36を備える。受光素子32としては、例えば、フォトダイオードなどを用いることができる。また、回路部36は、増幅回路部を有していても良い。この測色機器30(分析機器)は、測定対象物Mから反射した光が光フィルター31に入射され、駆動回路部34にて光フィルター31の第1ミラーおよび第2ミラー間のギャップを制御し、ギャップが制御された光フィルター31を透過した光を受光素子32にて受光し、受光素子32にて受光量に応じた電気信号を生成し、測定回路部35にて生成された電気信号から透過した光の光量を測定する。なお、光源40は、測色機器30に内蔵されていてもよい。
【0081】
上記応用例として分析機器である測色機器30を例示したが、分析機器は、ガス特有の吸収波長を検出することでガス検出を行うガス検出機器などにも適用することができる。また、分析機器は、光ファイバーなどの光伝達媒体により伝送された光から所望の波長を取り出す光機器などにも適用することができる。また、分析機器は、ハイパースペクトルカメラなどにも適用することができる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
なお、先の各実施形態においては、誘電体膜と導電膜とによる積層構造を有したミラーとしたが、Agなどの金属膜のみでミラーを構成してもよい。
また、先の各実施形態における光フィルターは、例えば測色センサ、光通信センサ、ガスセンサ等への応用が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1,31…光フィルター、2…第1基板、3…第2基板、4A…ミラー(第1ミラー、可動ミラー)、4B…ミラー(第2ミラー、固定ミラー)、6A…第1電極、6B…第2電極、10A…第1配線、10B…第2配線、10a…接続部、10b…接続部、14a,14b,14c,14d…電極パッド(外部接続端子)、16…導電膜、25…接続配線(配線)、25a…残留部、30…測色機器(分析機器)、32…受光素子、33…光フィルター装置、34…駆動回路部、35…測定回路部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向配置された第1基板および第2基板と、
前記第1基板の前記第2基板側に設けられた第1ミラーおよび第1電極と、
前記第2基板の前記第1基板側に設けられた第2ミラーおよび第2電極と、を備え、
前記第1ミラーと前記第2ミラーとが配線を介して接続されていることを特徴とする光フィルター。
【請求項2】
前記第1ミラーから前記第1基板の接合領域まで引き出された第1配線と、
前記第2ミラーから前記第2基板の接合領域まで引き出された第2配線とを有し、
前記接合領域において前記第1配線および前記第2配線同士が接続されていることを特徴とする請求項1記載の光フィルター。
【請求項3】
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーのいずれか一方が外部接続端子に接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の光フィルター。
【請求項4】
互いに対向配置された第1基板および第2基板と、
前記第1基板の前記第2基板側に設けられた第1ミラーおよび第1電極と、
前記第2基板の前記第1基板側に設けられた第2ミラーおよび第2電極と、を備え、
前記第1ミラーと前記第2ミラーとがそれぞれ外部接続端子に接続されていることを特徴とする光フィルター。
【請求項5】
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーが、配線を介して前記外部接続端子とそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項4記載の光フィルター。
【請求項6】
前記第1配線および前記第2配線の接続部位に、内部に弾性体を有するバンプ構造が形成されていることを特徴とする請求項2または3記載の光フィルター。
【請求項7】
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーが導電膜を含んで構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の光フィルター。
【請求項8】
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーが、透光性を有する前記導電膜と、誘電体膜との積層構造を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の光フィルター。
【請求項9】
前記外部接続端子に接続していた配線を切断した残留部が形成されていることを特徴とする請求項4記載の光フィルター。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の光フィルターと、
前記光フィルターを透過した光を受光する受光素子と、を備えていることを特徴とする光フィルター装置。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の光フィルターと、
前記光フィルターを透過した光を受光する受光素子と、
前記光フィルターの第1ミラーと第2ミラーとのギャップを駆動する駆動回路部と、
前記受光素子によって生成される電気信号から、透過した前記光の光量を測定する測定回路部と、を備えることを特徴とする分析機器。
【請求項12】
第1基板および第2基板の対向面側に第1ミラーあるいは第2ミラーを形成する工程と、
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーの周囲に電極を形成する工程と、
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーに接続する配線を形成する工程と、
前記第1基板および前記第2基板を接合する工程と、を備え、
前記第1基板および前記第2基板を接合する工程において、前記第1ミラーと前記第2ミラーとを前記配線を介して接続させることを特徴とする光フィルターの製造方法。
【請求項13】
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーに接続する配線を形成する工程において、前記第1ミラーから前記第1基板の接合領域まで引き出して第1配線を形成するとともに、前記第2ミラーから前記第2基板の接合領域まで引き出して第2配線を形成し、
前記第1基板および前記第2基板を接合する工程において、前記第1配線と前記第2配線とを接続させることを特徴とする請求項12記載の光フィルターの製造方法。
【請求項14】
前記第1配線または前記第2配線を形成する際に、
後の前記第1基板および前記第2基板を接合する工程において前記第1配線および前記第2配線同士が接続される部位に、内部に弾性体を有するバンプ構造を形成することを特徴とする請求項13記載の光フィルターの製造方法。
【請求項15】
前記第1基板および前記第2基板を接合させた後に、前記配線を切断することを特徴とする請求項12または13記載の光フィルターの製造方法。
【請求項16】
第1基板および第2基板の対向面側に第1ミラーあるいは第2ミラーを形成する工程と、
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーの周囲に電極を形成する工程と、
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーに接続する配線を形成する工程と、
前記第1基板および前記第2基板を接合する工程と、を備え、
前記第1基板および前記第2基板を接合する工程において、前記配線に電位を入力した状態で前記第1基板および前記第2基板を接合させることを特徴とする光フィルターの製造方法。
【請求項17】
前記第1基板および前記第2基板のいずれか一方に、前記第1ミラーおよび前記第2ミラーに接続する一対の外部接続端子を形成し、これら前記一対の外部接続端子を介して前記第1ミラーおよび前記第2ミラーに電位を入力することを特徴とする請求項16記載の光フィルターの製造方法。
【請求項1】
互いに対向配置された第1基板および第2基板と、
前記第1基板の前記第2基板側に設けられた第1ミラーおよび第1電極と、
前記第2基板の前記第1基板側に設けられた第2ミラーおよび第2電極と、を備え、
前記第1ミラーと前記第2ミラーとが配線を介して接続されていることを特徴とする光フィルター。
【請求項2】
前記第1ミラーから前記第1基板の接合領域まで引き出された第1配線と、
前記第2ミラーから前記第2基板の接合領域まで引き出された第2配線とを有し、
前記接合領域において前記第1配線および前記第2配線同士が接続されていることを特徴とする請求項1記載の光フィルター。
【請求項3】
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーのいずれか一方が外部接続端子に接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の光フィルター。
【請求項4】
互いに対向配置された第1基板および第2基板と、
前記第1基板の前記第2基板側に設けられた第1ミラーおよび第1電極と、
前記第2基板の前記第1基板側に設けられた第2ミラーおよび第2電極と、を備え、
前記第1ミラーと前記第2ミラーとがそれぞれ外部接続端子に接続されていることを特徴とする光フィルター。
【請求項5】
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーが、配線を介して前記外部接続端子とそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項4記載の光フィルター。
【請求項6】
前記第1配線および前記第2配線の接続部位に、内部に弾性体を有するバンプ構造が形成されていることを特徴とする請求項2または3記載の光フィルター。
【請求項7】
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーが導電膜を含んで構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の光フィルター。
【請求項8】
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーが、透光性を有する前記導電膜と、誘電体膜との積層構造を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の光フィルター。
【請求項9】
前記外部接続端子に接続していた配線を切断した残留部が形成されていることを特徴とする請求項4記載の光フィルター。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の光フィルターと、
前記光フィルターを透過した光を受光する受光素子と、を備えていることを特徴とする光フィルター装置。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の光フィルターと、
前記光フィルターを透過した光を受光する受光素子と、
前記光フィルターの第1ミラーと第2ミラーとのギャップを駆動する駆動回路部と、
前記受光素子によって生成される電気信号から、透過した前記光の光量を測定する測定回路部と、を備えることを特徴とする分析機器。
【請求項12】
第1基板および第2基板の対向面側に第1ミラーあるいは第2ミラーを形成する工程と、
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーの周囲に電極を形成する工程と、
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーに接続する配線を形成する工程と、
前記第1基板および前記第2基板を接合する工程と、を備え、
前記第1基板および前記第2基板を接合する工程において、前記第1ミラーと前記第2ミラーとを前記配線を介して接続させることを特徴とする光フィルターの製造方法。
【請求項13】
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーに接続する配線を形成する工程において、前記第1ミラーから前記第1基板の接合領域まで引き出して第1配線を形成するとともに、前記第2ミラーから前記第2基板の接合領域まで引き出して第2配線を形成し、
前記第1基板および前記第2基板を接合する工程において、前記第1配線と前記第2配線とを接続させることを特徴とする請求項12記載の光フィルターの製造方法。
【請求項14】
前記第1配線または前記第2配線を形成する際に、
後の前記第1基板および前記第2基板を接合する工程において前記第1配線および前記第2配線同士が接続される部位に、内部に弾性体を有するバンプ構造を形成することを特徴とする請求項13記載の光フィルターの製造方法。
【請求項15】
前記第1基板および前記第2基板を接合させた後に、前記配線を切断することを特徴とする請求項12または13記載の光フィルターの製造方法。
【請求項16】
第1基板および第2基板の対向面側に第1ミラーあるいは第2ミラーを形成する工程と、
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーの周囲に電極を形成する工程と、
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーに接続する配線を形成する工程と、
前記第1基板および前記第2基板を接合する工程と、を備え、
前記第1基板および前記第2基板を接合する工程において、前記配線に電位を入力した状態で前記第1基板および前記第2基板を接合させることを特徴とする光フィルターの製造方法。
【請求項17】
前記第1基板および前記第2基板のいずれか一方に、前記第1ミラーおよび前記第2ミラーに接続する一対の外部接続端子を形成し、これら前記一対の外部接続端子を介して前記第1ミラーおよび前記第2ミラーに電位を入力することを特徴とする請求項16記載の光フィルターの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−8225(P2011−8225A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85353(P2010−85353)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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