説明

光モジュール及びその製造方法

【課題】加工コストの高い研磨工程を導入することなく、且つ精密な位置合わせ装置を必要とせずに、光ファイバ端面の光軸方向の位置合わせを可能にする。
【解決手段】光ファイバと面型光素子の光結合に用いられる光モジュールであって、面型光素子100と、光ファイバ200と、電気配線301及びガイド穴302を有するフェルール300と、光ファイバ200の保持部401及びフェルール300の突き当て部403を有するスリーブ400とを備えている。光ファイバ200は、スリーブ400の一端側から突出した状態でスリーブ400に固定され、且つスリーブ400の一端を基準として端面が形成されている。フェルール300のガイド穴302に光ファイバ200が挿入され、スリーブ400の突き当て部403にフェルール300が固定されることにより、光ファイバ200の端面が面型発光素子100に対して光軸方向に位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバ等の光導波路を用いた光配線システム向けの光モジュールが提案されている。
【0003】
この種の光モジュールにおいて、面型光素子と光ファイバとの光結合を行うために、光ファイバはフェルールによって位置決めされることが多い。光ファイバの光軸に対して垂直方向の位置決めは、フェルールのガイド穴によって行うことが可能である。一方、光軸方向に対する位置決めでは、フェルールに挿入した光ファイバの端面を所定の場所に形成する必要があり、光ファイバの反りや封止時の変形による光軸ずれを抑制するために、光ファイバ端面をフェルール端面に一致させることが多い。しかし、この場合、光ファイバクリーバやレーザ切断機等の簡便に光ファイバの端面形成が可能な装置を使用することができないため、タクトタイムが長く、加工コストの比較的高い研磨加工により端面形成を行う必要がある。
【0004】
また、面型光素子が搭載されたフェルールの場合、光ファイバの端面をフェルール内の所定の位置に設置する必要がある。通常は、光ファイバの接触による面型光素子の破壊を防止するため、光ファイバ端面は面型光素子から離して設置するが、離しすぎると面型光素子と光ファイバ間の光結合効率が低下するため、光ファイバの端面を面型光素子から僅かに離した位置に設置する。しかし、光ファイバの端面と面型光素子の距離は数[μm]〜数100[μm]と微小量であるため、光ファイバの端面の所定位置への設置には高精度な位置決め装置を用意する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4351965号公報
【特許文献2】特開2010−197817号公報
【特許文献3】特開平7−287148号公報
【特許文献4】特許第4091011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明が解決しようとする課題は、加工コストの高い研磨加工を要することなく、且つ精密な位置合わせ装置を必要とせずに、光ファイバ端面の光軸方向の位置合わせが可能な光モジュール及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の光モジュールは、光ファイバと、前記光ファイバの光軸に対して垂直方向の位置決めを行うためのガイド穴を有し、且つ該ガイド穴の一方の開口が位置する面に電気配線が形成されたフェルールと、前記フェルールの電気配線に接続され、該フェルールに搭載された面型光素子と、前記光ファイバを保持するための保持部と前記フェルールの一端に接触させるための突き当て部を有し、前記光ファイバ及び前記フェルールが固定されたスリーブとを具備してなる。そして、前記光ファイバは、前記スリーブの一端側から突出した状態で前記スリーブに固定され、且つ前記スリーブの一端を基準として端面が形成される。さらに、前記フェルールのガイド穴に前記端面が形成された前記光ファイバが挿入され、前記スリーブの突き当て部に前記フェルールの一端が接触した状態で前記フェルールが前記スリーブに固定されることにより、前記光ファイバの前記端面が前記面型発光素子に対して光軸方向に位置決めされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係わる光モジュールの概略構成を示す平面図。
【図2】図1の矢視A−A’断面図。
【図3】第1の実施形態の光モジュールの製造方法を説明するためのもので、フェルールの概略構成を示す断面図。
【図4】第1の実施形態の光モジュールの製造方法を説明するためのもので、スリーブの概略構成を示す断面図。
【図5】アレイ状にフェルールを作製した例を示す斜視図。
【図6】第1の実施形態の効果を説明するためのもので、フェルール内装部がない場合の例を示す平面図。
【図7】フェルール及びスリーブの構造を示す断面図。
【図8】フェルールの光素子搭載面が光ファイバの光軸に対し傾いている例を示す断面図。
【図9】第2の実施形態に係わる光モジュールの概略構成を示す断面図。
【図10】第3の実施形態に係わる光モジュールを説明するためのもので、フェルールの構成を示す断面図。
【図11】第4の実施形態に係わる光モジュールの概略構成を示す断面図。
【図12】第5の実施形態に係わる光モジュールの概略構成を示す断面図と平面図。
【図13】第6の実施形態に係わる光モジュールの概略構成を示す断面図と平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施の形態を説明する。図面の記載において、同一或いは類似の部分には、同一又は類似の符号が付してある。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0010】
(第1の実施形態)
図1及び図2は、第1の実施形態に係わる光モジュール10の概略構成を説明するためのもので、図1は平面図、図2は図1の矢視A−A’断面図である。
【0011】
本実施形態の光モジュール10は、面型光素子100、光ファイバ200、電気配線301とガイド穴302が形成されたフェルール300、更にはファィバ保持部401とフェルール内装部402が形成されたスリーブ400等から構成されている。
【0012】
面型光素子100は、例えば垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)であり、面型光素子100の光出射口の中心がフェルール300に形成されたガイド穴302の中心に略一致するようにフェルール300に搭載されている。具体的には、Auバンプで構成される光素子搭載用バンプ503を介してフェルール300に形成された電気配線301に接続されている。そのため、ガイド穴302に挿入された光ファイバ200の芯線201の略中心に面型光素子100から出射する光を結合することができると共に、面型光素子100は電気配線301を介して駆動することができるようになっている。
【0013】
光ファイバ200は、芯線201が石英系マルチモードGI(Graded Index)ファイバ(コア径50μm、外径125μm)で、被覆202により4チャンネルリボン化されている。また、光ファイバ200の先端部は、スリーブ400への固定、及びフェルール300に形成されたガイド穴302への挿入のため、被覆202がリムーブされ、芯線201が露出した状態となっている。
【0014】
フェルール300は、30μm程度のガラスフィラーを80%程度混入したエポキシ樹脂からなり、金型による樹脂成形で直方体形状に形成されている。フェルール300に形成されたガイド穴302は、光ファイバ200の芯線201の外形と略同じ形状の円形であり、光ファイバ200の光軸に対して垂直方向の芯線201の端面201aの位置決めを行うようになっている。また、フェルール300の一つの面、即ちガイド穴302の一方の開口が位置する素子搭載面には、メタルマスクとスパッタ等によるパターンメタライズを行って電気配線301が形成されている。さらに、フェルール300の素子搭載面に対向する面には、スリーブ突き当て部303が形成されている。
【0015】
スリーブ400は、フェルール300と同様に30μm程度のガラスフィラーを80%程度混入したエポキシ樹脂からなり、金型による樹脂成形で形成されている。スリーブ400には、光ファイバ保持用のファイバ保持部401が形成されている。光ファイバ200は、その被覆202が熱硬化型エポキシ系の第1の接着剤501を介してファイバ保持部401に保持される。また、スリーブ400にはフェルール300を内装、即ちフェルール300の一部を挿入するためのフェルール内装部402が形成されており、フェルール内装部402にはフェルール突き当て部403が形成されている。
【0016】
フェルール300はフェルール内装部402に内装される際、ガイド穴302に光ファイバ200の芯線201が挿入される。これにより、芯線201の端面201aは、ファイバ200の光軸に対して垂直な方向の位置決めが行われる。また、フェルール300のフェルール内装部402に内装される領域とフェルール内装部402の断面形状は、内装時にフェルール300が不用意にずれないような形状となっている。これにより、フェルール300の光軸に対して垂直な方向の位置決めが行われる。さらに、内装時にフェルール突き当て部403とスリーブ突き当て部303が突き合うことで、フェルール300の光軸方向の位置決めが行われる。
【0017】
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態に係わる光モジュール10の製造方法について説明する。
【0018】
図3(a)は、フェルール300の概略断面図を示している。前述の通り、光素子搭載面には電気配線301が形成され、素子搭載面と対向する面にはスリーブ突き当て面303が形成されている。また、素子搭載面からスリーブ突き当て面303に貫通するガイド穴302が形成されている。
【0019】
図3(b)は、フェルール300に面型光素子100を搭載した状態を示している。面型光素子100は熱圧着により光素子搭載用バンプ503を介してフェルール300の電気配線301上に搭載される。
【0020】
なお、フェルール300の樹脂成形は一方向からの金型取り付けにより行うことが可能である。そのため、図5に示すように、アレイ状にフェルール300を作製することができると共に、アレイ状のフェルール300の状態で面型光素子100を搭載することも可能である。即ち、フェルール300の多数個取り、及び面型光素子100の連続搭載が可能となり、これにより製造時間を大幅に短縮できる。なお、フェルール300の個片化は所定の切断位置305をダイシング等により切断することで行うことができる。
【0021】
図4(a)は、スリーブ400の概略断面図を示している。前述の通り、スリーブ400にはファイバ保持部401及びフェルール内装部402が形成されている。さらに、フェルール内装部402にはフェルール突き当て部403が形成されている。
【0022】
図4(b)は、スリーブ400のファイバ保持部401に光ファイバ200を保持した状態を示している。先端部分の被覆202をリムーブした光ファイバ200を、リムーブした領域の一部がスリーブ400から突出するようにスリーブ400に差し込む。その後、ファイバ保持部401と光ファイバ200を第1の接着剤501で接着することで、光ファイバ200をスリーブ400に保持する。
【0023】
図4(c)は、スリーブ400に保持された光ファイバ200の端面201aを形成するステップを示している。端面201aはスリーブ400の基準端面405を基準として距離L1離れた位置で形成される。ここで、端面201aは、光ファイバクリーバ或いはレーザ切断機を用いて形成される。このように光ファイバ200の芯線201をスリーブ400に固定した後に、基準端面405を利用して端面形成が行われるため、端面201aの形成される位置は一意に決定される。ここで、芯線201の一部はスリーブ400から突出しているため、加工コストの高い研磨加工を用いる必要はなく、上記のような低コストで短タクトタイムの端面形成方法を用いることが可能である。
【0024】
前記図2は、フェルール300をスリーブ400のフェルール内装部402に内装した状態を示している。まず、芯線201をフェルール300のガイド穴302に挿入し、芯線201をガイドしながらフェルール200をフェルール内装部402に内装し、最終的にはスリーブ突き当て部303がフェルール突き当て部403に突き当たるようにする。こうすることで、端面201aの光ファイバ200の光軸に対して垂直方向の位置合わせがガイド穴202によって行われる。さらに、フェルール200の光軸方向の位置合わせはスリーブ突き当て部303とフェルール突き当て部403の突き当てにより行われる。前述の通り、端面201aは基準端面405から距離L1離れた位置で形成されているため、結果として、フェルール300に挿入された端面201aの位置は、特段精密な位置合わせ装置を使用しなくとも一意に決めることが可能となる。
【0025】
最後に、光ファイバ200の芯線201とフェルール300、及びフェルール300とスリーブ400のそれぞれが第2の接着剤502によって固定される。なお、第2の接着剤502は芯線201のガイド穴302への挿入、及びフェルール300のフェルール内装部402への内装前に塗布しても問題はない。
【0026】
以上述べたように、本実施形態の光モジュール10は、光ファイバ200の端面201aの光軸方向の位置合わせを、加工コストの高い研磨工程を導入することなく、且つ精密な位置合わせ装置を必要とせず行うことができ、その工業的価値は極めて大きい。
【0027】
ここで、フェルール300がフェルール内装部402に内装されている理由について説明する。端面201aの光ファイバ200の光軸方向の位置合わせのみ行うだけであるなら、本来はフェルール突き当て部403のみあればよく、フェルール内装部402は必要ない。しかし、図6に示すように、フェルール内装部402がない場合、フェルール300の光ファイバ200の光軸に対して垂直な方向の位置合わせができなくなり、フェルール300にずれが発生する恐れが生じる。このようなずれが発生した場合、各々の端面201aと面型光素子100の光出射口との間の距離に差が生じてしまい、各々の光結合特性にばらつきが生じる。
【0028】
このような問題を回避するために、フェルール300はフェルール内装部402に内装されるようになっている。なお、フェルール300のフェルール内装部402に内装される領域の断面構造とフェルール内装部402の断面構造は、図7(a)に示すような略一致する形状でも良いし、図7(b)に示すようにスリーブ400のフェルール内装部402に凸部406を持つ形状、図7(c)に示すようにフェール300の外周面に凹部306を持つ形状でも良い。図7(b)(c)の場合、フェルール300をスリーブ400へ固定する際の第2の接着剤502をフェルール内装部402に流入させやすい特徴を持つ。以上の理由より、フェルール300はフェルール内装部402に内装され、フェルール300がフェルール内装部402に固定できるような構造となっていることが望ましい。
【0029】
同様の理由で、光ファイバ200をファイバ保持部401に保持した際、光ファイバ200のずれを抑制するために、保持時に光ファイバ200の被覆202とファイバ保持部401の断面形状を適切に設定することが望ましい。
【0030】
また、フェルール300の光素子搭載面は、必ずしも光ファイバ200の光軸に対して垂直になっている必要はなく、図8に示すように、フェルール300の光素子搭載面が光ファイバ200の光軸に対して垂直な方向から傾いても良い。このように光素子搭載面に傾きを持たせることにより、端面201aからの反射光の面型光素子100へ入力される量を低減することが可能となり、結果として面型光素子100の戻り光雑音を抑制することが可能となる。
【0031】
ここで、面型光素子100の搭載は熱圧着の他に、光素子搭載用バンプ503としてAuバンプを用いた場合、超音波接合でも行うことができる。また、光素子搭載用バンプ503は、Auバンプの他に半田バンプ(加熱溶融)、Sn/Cuバンプ(固相接合)等、種々の材料、及び接合方法を用いることができる。
【0032】
なお、光ファイバ200としては、多成分ガラス系の光ファイバやプラスチック光ファイバを用いることも可能である。さらに、光ファイバ200は4チャンネルリボンに限らず、光モジュール10の使用される通信システムに対して適切なチャネル数にすることができる。
【0033】
また、フェルール300及びスリーブ400の材料としては、上記エポキシ樹脂の他にPPS(ポリフェニレンサルファイド)、LCP(液晶ポリマー)、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂にガラスフィラーを混合した樹脂を用いることもできる。
【0034】
なお、電気配線301はフェルール300の樹脂成形時にリードフレームを埋め込んで形成しても良い。また、前記図2では、電気配線301は、フェルール300の素子搭載面のみに形成されているが、フェルール300を他の基板へ搭載することを考慮して、フェルール300の他の面、例えば図2において上面或いは下面に跨って形成しても良い。
【0035】
また、第1の接着剤501、及び第2の接着剤502は熱硬化型エポキシ系に限らず、紫外線硬化型接着剤も使用することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係わる光モジュールの概略構成を示す断面図である。
【0037】
本実施形態の光モジュール20が先の第1の実施形態と異なる点は、フェルール300のガイド穴302の一部をテーパ状にしたことである。具体的には、フェルール300の素子搭載面に対向する面、即ちスリーブ側の端面におけるガイド穴のサイズをフェルール300の素子搭載面側のそれよりも大きくしている。
【0038】
このような構造にすることにより、フェルール300の素子搭載面に対向する面に近いガイド穴302のサイズが光ファイバ200の端面201aのサイズより大きいため、スリーブ400に保持された光ファイバ200の芯線201を容易にガイド穴302に挿入することが可能となる。従って、先の第1の実施形態の効果に加えて、短時間で光モジュール20を作製できる利点がある。
【0039】
(第3の実施形態)
図10(a)〜(d)は、第3の実施形態に係わる光モジュールを説明するためのもので、フェルールの構成を示す断面図である。
【0040】
この実施形態は、ガイド穴302の形状を変形したものである。具体的には、図10(a)ではガイド穴312を楕円にし、図10(b)ではガイド穴322を四角にし、図10(c)ではガイド穴332を菱形にし、図10(d)ではガイド穴342を三角にしている。何れの例も、ガイド穴312,322,332,342と光ファイバ200の芯線201との間の一部に隙間を形成している。
【0041】
このような構造にすることにより、ガイド穴312,322,332,342に第2の接着剤502を流入させやすくなる。また、面型光素子100と端面201aとの間にある第2の接着剤502に気泡がある場合、面型光素子100と光ファイバ200の光結合効率が気泡のない場合と比較して変化し、光ファイバ100のチャネル毎に光結合特性にばらつきが発生する場合がある。これに対して本実施形態のように隙間を設けることにより、第2の接着剤502を加熱硬化させる際に、気泡の膨張を利用して、気泡をこの隙間に誘導することが可能となり、面型光素子100と端面201aとの間の気泡を除去することが可能となる。
【0042】
なお、ガイド穴312,322,332,342の形状は、必ずしも図10(a)〜(d)に限られるものではなく、光ファイバ200の光軸方向に対する芯線201の位置決めが行えるのであれば任意である。
【0043】
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態に係わる光モジュールの概略構成を示す断面図である。
【0044】
本実施形態の光モジュール30は、フェルール300の厚さをスリーブ400の厚さと略一致させ、基板等へ実装する面の凹凸を無くしている。また、フェルール300の素子搭載面と反対側の一部は、スリーブ400のフェルール内装部402に内装されるように、絞り込まれて細くなっている。
【0045】
このような構造にすることにより、光モジュール30の基板等への実装が容易となる。さらに、実装面積を増加させることにより、実装強度を向上させることもできる。また、フェルール300のスリーブ400への内装時に、フェルール300のフェルール内装部402に内装されない領域の側面が早くスリーブ400に当接するようにして、フェルール300の光ファイバ200の光軸方向の位置決めを行うことも可能である。
【0046】
また、フェルール300とスリーブ400の縦方向のみならず幅方向のサイズも略一致させるようにしても良い。この場合、両者の外形が略一致することになるため、フェルール300とスリーブ400の外形と略一致させた空洞を持つ工具の中にフェルール300とスリーブ400を入れ、両者の固定ができるようになる。即ち、光ファイバ200の芯線201をガイド穴302に挿入し易くなる特徴もある。
【0047】
(第5の実施形態)
図12は、第5の実施形態に係わる光モジュール40の概略構成を説明するためのもので図12(a)は全体構成を示す断面図、図12(b)はスリーブ400の概略断面図とフェルール突き当て部側から見た概略正面図である。
【0048】
本実施形の光モジュール40は、第1の実施形態と同様に、面型光素子100、光ファイバ200、フェルール300、及びスリーブ400等から構成されている。第5の実施形態の光モジュール40は、第1の実施形態の光モジュール10と比較して、フェルール突き当て部413がファイバ保持部401の内、光ファイバ200の光軸に対して垂直な最も小さな断面形状の場所(最小断面部410)からフェルール300側に離れている。具体的には、フェルール突き当て部413にフェルール300よりも上下方向の寸法が小さい凹部が形成され、この凹部の底面に光ファイバ保持部401の穴が開口するようになっている。
【0049】
ファイバ保持部401に光ファイバ200を第1の接着剤501で固定する場合、毛細管現象により最小断面部410全体に第1の接着剤501が充填され、更に芯線201を伝ってフェルール内装部402に第1の接着剤501が突出する場合がある。第1の接着剤501の突出量は光モジュール毎にばらつきがあるため、第1の実施形態の光モジュール10でこの現象が発生した場合、フェルール300のスリーブ突き当て部303をスリーブ400のフェルール突き当て部413に直接接触して突き合わせることができなくなる。このため、フェルール300の光軸方向の位置合わせを行うことができず、結果として、端面201aの光軸方向の位置合わせが正確にできなくなる。
【0050】
一方、本実施形態の光モジュール40の場合、第1の接着剤501の突出量より離れた位置にフェルール突き当て部413を配置することにより、フェルール内装部402に第1の接着剤501が突出した場合であっても、フェルール300のスリーブ突き当て部303をスリーブ400のフェルール突き当て部413に直接接触して突き合わせることができる。
【0051】
従って本実施形態によれば、先の第1の実施形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、フェルール300及び端面201aの光軸方向の位置合わせを第1の接着剤501の突出量に依らず正確に行うことができる利点がある。
【0052】
(第6の実施形態)
図13は、第6の実施形態に係わる光モジュール50の概略構成を説明するためのもので、図13(a)は全体構成を示す断面図、図13(b)はフェルール300の概略断面図とスリーブ突き当て部202側から見た概略正面図である。
【0053】
本実施形の光モジュール50は、第1の実施形態と同様に、面型光素子100、光ファイバ200、フェルール300、更にはスリーブ400等から構成されている。第6の実施形態の光モジュール50は、第1の実施形態の光モジュール10と比較して、フェルール300の面型光素子100の搭載面に対向するガイド穴302の周囲が、ファイバ保持部402の内、光ファイバ200の光軸に対して垂直な最も小さな断面形状の場所(最小断面部410)から離れている。即ち、ガイド穴302の素子搭載面と反対側面にガイド穴302の開口を内包するように凹部308が形成されている。
【0054】
第5の実施形態でも述べたように、ファイバ保持部402に光ファイバ200を第1の接着剤501で固定する場合、毛細管現象により最小断面部410全体に第1の接着剤501が充填され、更に芯線201を伝ってフェルール内装部401に第1の接着剤501が突出する場合がある。第1の接着剤501の突出量は光モジュール毎にばらつきがあるため、第1の実施形態の光モジュール10でこの現象が発生した場合、フェルール300のスリーブ突き当て部313をスリーブ400のフェルール突き当て部403に直接接触させて突き合わせることができなくなる。
【0055】
一方、本実施形態の光モジュール50の場合、フェルール内装部402に突出した第1の接着剤501を避けるように、スリーブ突き当て部313を形成するようにしている。このため、スリーブ突き当て部313は第1の接着剤501に接触することなくフェルール突き当て部403に突き当てることが可能となる。なお、フェルール300の面型光素子100の搭載面に対向するガイド穴302の周囲の形状は、第1の接着剤501のフェルール内装部402への突出量を考慮して決定するようにする。
【0056】
このように本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、第5の実施形態と同様に、フェルール300及び端面201aとの光軸方向の位置合わせを第1の接着剤501の突出量に依らず正確に行うことができる利点がある。
【0057】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。
【0058】
光モジュールを構成する面型発光素子、光ファイバ、フェルール、及びスリーブ等は必ずしもこれらの全てが接着固定された状態で提供される必要はない。面型発光素子や光ファイバは後付けするものであるため、接着前のフェルールとスリーブの対があれば、実施形態に説明したような光モジュールを作製することができる。
【0059】
面型光素子は、VCSELに限るものではなく、素子搭載面と垂直方向に光を放出する面型発光素子であればよい。さらに、面型光素子としては、PINフォトダイオード等の面型受光素子を用いることも可能である。
【0060】
また、スリーブは、必ずしも光ファイバを通すための穴を有するものである必要はなく、光ファイバを保持するファイバ保持部を有し、光ファイバの一端を突出させた状態で固定できるものであればよい。
【0061】
本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
10,20,30,40,50…光モジュール、100…面型光素子、200…光ファイバ、201…芯線、202…被覆、300…フェルール、301…電気配線、302,312,322,332,342…ガイド穴、303,313…スリーブ突き当て部、305…切断位置、306,308…凹部、400…スリーブ、401…ファイバ保持部、402…フェルール内装部、403,413…フェルール突き当て部、406…凸部、410…最小断面部、501,502…接着剤、503…バンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバと、
前記光ファイバの光軸に対して垂直方向の位置決めを行うためのガイド穴を有し、且つ該ガイド穴の一方の開口が位置する面に電気配線が形成されたフェルールと、
前記フェルールの電気配線に接続され、該フェルールに搭載された面型光素子と、
前記光ファイバを保持するための保持部と前記フェルールの一端に接触させるための突き当て部を有し、前記光ファイバ及び前記フェルールが固定されたスリーブと、を具備してなり、
前記光ファイバは、前記スリーブの一端側から突出した状態で前記スリーブに固定され、且つ前記スリーブの一端を基準として端面が形成され、
前記フェルールのガイド穴に前記端面が形成された前記光ファイバが挿入され、前記スリーブの突き当て部に前記フェルールの一端が接触した状態で前記フェルールが前記スリーブに固定されることにより、前記光ファイバの前記端面が前記面型発光素子に対して光軸方向に位置決めされていることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
光ファイバの光軸に対して垂直方向の位置決めを行うためのガイド穴を有し、且つ該ガイド穴の一方の開口が位置する面に面型光素子を搭載するための電気配線が形成されたフェルールと、
前記光ファイバを保持する保持部と前記前記フェルールの一端に接触させる突き当て部を有し、前記光ファイバ及び前記フェルールを固定するためのスリーブと、を具備してなり、
前記光ファイバは、前記スリーブの一端側から突出して前記スリーブに固定された状態で、該スリーブの一端を基準として端面が形成可能となっており、
前記フェルールは、前記ガイド穴に前記光ファイバを挿入した状態で、前記スリーブの突き当て部に一端を接触させて前記スリーブに固定されるものであることを特徴とする光モジュール。
【請求項3】
前記フェルールの一端が前記スリーブの突き当て部に固定された状態で、前記フェルールの周囲の一部が前記スリーブの一部に内装されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記スリーブの突き当て部は、前記スリーブの前記光ファイバを保持する部分の内径が最も小さい領域よりも前記フェルール側に位置することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の光モジュール。
【請求項5】
前記フェルールの前記スリーブに突き当てられる部分は、前記光ファイバが挿入されるガイド穴の前記スリーブ側の端面よりも前記スリーブ側に位置することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の光モジュール。
【請求項6】
前記フェルールの前記面型光素子の搭載面は、前記光ファイバの光軸に対して垂直な方向から傾いていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の光モジュール。
【請求項7】
請求項1に記載の光モジュールを製造する方法であって、
前記面型光素子を前記電気配線に接続して前記フェルール上に搭載する工程と、
前記光ファイバを前記スリーブの一端側から突出させた状態で該スリーブ固定する工程と、
前記スリーブの一端を基準とし、前記スリーブに固定された前記光ファイバの端面を形成する工程と、
前記面型光素子が搭載された前記フェルールのガイド穴に、前記面型光素子の搭載面に対向する面側から前記端面が形成された前記光ファイバを挿入すると共に、前記スリーブの前記突き当て部に前記フェルールの一端を接触させる工程と、
前記スリーブの前記突き当て部に前記フェルールの一端を接触させた状態で、前記フェルールを前記スリーブに固定する固定する工程と、
を含むことを特徴とする光モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−61478(P2013−61478A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199696(P2011−199696)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】