説明

光伝送システム及び光ネットワーク

【課題】
センター局の負担を増やさずに、ユーザ間の通信を可能にする。
【解決手段】
センター局の局光終端装置(OLT)10は、外部ネットワークに接続すると共に、光ファイバ12を介して光カップラ16に接続する。光ファイバ12上、又は光ファイバ12と光カップラ16の接続点に、波長λ3を反射し、波長λ1,λ2を透過する反射器14を配置する。波長λ1を下り信号光に、波長λ2を上り信号光に、波長λ3をユーザ間通信信号光に使用する。光カップラ16は、光ファイバ18−1〜18−nを介して各ユーザのONU20−1〜20−nに接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の加入者を収容可能なパッシブ光ネットワーク(PONシステム)のような光伝送システム及び、PONシステムのような光伝送システムを複数、相互に接続した構成からなる光ネットワークに関し、より具体的には、加入者間で情報を相互に配信可能な光伝送システム及び光ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PONシステムは、電話局に設置される局光終端装置OLT(Optical Line Terminal)と、各加入者宅に設置される加入者光終端装置ONU(Optical Network Unit)との間をパッシブ光デバイスで接続する構成からなる。例えば、PONシステムの光伝送路は、OLTに接続する1本の光ファイバ(局側光ファイバ)と、各ユーザ宅のONUに接続する光ファイバ(加入者側光ファイバ)とを光カップラで接続する構成からなる。
【0003】
PONシステムでは、加入者からセンター局に向かう上り信号光と、センター局から加入者に向かう下り信号光には別の波長が割り当てられる。更に、放送型の情報配信のために下り通信用の波長とは別の波長を割り当てることで、テレビジョン放送に類した放送を可能にする構成も、知られている。
【0004】
また、上り信号光の信号制御に、イーサネット(登録商標)で周知のCSMA/CD方式を用いるものがある。これにより、同じPONシステムに接続する加入者同士で信号を送受信できる(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】Chang-Joon Chae, et al., "Optical CSMA/CD Media Access Scheme for Ethernet Over Passive Optical Network," IEEE Photonics Technology Letters, Vol. 14, No. 5, May 2002, pp. 711-713
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放送型の情報配信は、特定のユーザから別の特定のユーザに情報を配信する用途には適さない。
【0006】
また、上り信号光を使ってユーザ間の通信を行う従来の方法では、センター局を経由する必要があるので、センター局内に、ユーザ間通信のための専用装置を設置する必要がある。
【0007】
本発明は、より簡易な構成でユーザ間の通信又は情報交換を可能にする光伝送システム及び光ネットワークを提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光伝送システムは、下り信号光を出力する局終端装置と、上り信号光及びユーザ間通信信号光を出力する複数の加入者光終端装置と、当該局終端装置に接続する局側光ファイバと、当該複数の加入者光終端装置のそれぞれに接続する複数の加入者側光ファイバと、当該局側光ファイバと当該複数の加入者側光ファイバとを光学的に接続する光カップラと、当該局側光ファイバ上、及び、当該局側光ファイバと当該光カップラとの接続点上の一方に配置される反射器であって、当該ユーザ間通信信号光を反射し、且つ、当該上り信号光及び当該下り信号光を透過する反射器とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る光ネットワークは、上述の構成からなる第1及び第2の光伝送システムと、当該第1の光伝送システムの光カップラと、当該第2の光伝送システムの光カップラとの間に接続し、当該第1の光伝送システムから当該第2の光伝送システムにユーザ間通信信号光を転送する接続装置とを具備することを特徴とする光ネットワーク。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、局側終端装置に負担をかけずに、ユーザから別の1又は複数のユーザに信号を送信又は放送できる。即ち、簡易な構成で、任意のユーザ間での通信と放送を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の第1実施例の概略構成ブロック図を示す。本実施例では、センター局から各ユーザへの下り信号光に波長λ1を、各ユーザからセンター局への上り信号光には波長λ2を、ユーザ間の通信に波長λ3を割り当てる。波長λ1,λ2,λ3は、互いに異なる。
【0013】
センター局の局終端装置(OLT)10は、一方で外部ネットワーク、例えばインターネットに接続し、他方では、光ファイバ12(局側光ファイバ)を介して光カップラ16に接続する。光ファイバ12上又は光ファイバ12と光カップラ16の接続点上に、波長λ3を反射し、波長λ1,λ2を透過する反射器14を配置する。光カップラ16は、光ファイバ18−1〜18−n(加入者側光ファイバ)を介して各ユーザのONU20−1〜20−nに接続する。
【0014】
光カップラ16は、センター局のOLT10から出力される下り信号光をn個に分割して、各光ファイバ18−1〜18−nに供給する分波機能と、各ユーザから光ファイバ18−1〜18−nを介して入力する信号光(波長λ2の上り信号光と、波長λ3のユーザ間通信信号光)を反射器14に出力する合波機能を具備する。このような機能を有する光カップラ16は周知である。
【0015】
各ユーザのONU20−1〜20−nには、コンピュータ等の端末22−1〜22−nが接続する。各ユーザ宅内に1台の端末22−1〜22−nのみを図示してあるが、実際には、ONU20−1〜20−nには宅内LANを介して複数のコンピュータ及びビデオサーバ等を接続可能である。これら複数のデータ処理装置をまとめて、端末22−1〜22−nとして図示してある。
【0016】
下り信号光の伝搬形態を説明する。センター局10から出力される下り信号光は、光ファイバ12及び反射器14を透過して光カップラ16に入射する。光カップラ16は、入射した下り信号光をn分割し、各分割成分光を光ファイバ18−1〜18−nに出力する。これにより、センター局のOLT10から出力される下り信号光が各ユーザのONU20−1〜20−nに入射する。詳細は、後述するが、各ONU20−1〜20−nは、入射した下り信号光を電気信号に変換し、その電気信号から自己宛の下り信号か否かを判断し、自己宛であれば、下り信号を取り込み、自己宛でなければその下り信号を破棄する。
【0017】
上り信号光の伝搬形態を説明する。各ONU20−1〜20−nは、接続する端末22−1〜22−nからの上り信号を波長λ2の光信号、即ち上り信号光に変換し、センター局から割当てられたタイミングで光ファイバ18−1〜18−nに出力する。光ファイバ18−1〜18−nを伝搬した上り信号光は、光カップラ16に入射する。光カップラ16は、各光ファイバ18−1〜18−nからの上り信号光を反射器14に出力する。反射器14は波長λ2の上り信号光を透過する。従って、各ユーザからの上り信号光は、反射器14を透過し、光ファイバ12を伝搬してセンター局のOLT10に入射する。OLT10は、上り信号光の宛先が外部ネットワークの場合、外部ネットワークと接続する伝送媒体に応じた信号形態に上り信号光を変換して、外部ネットワークに出力する。
【0018】
ユーザ間通信信号光の伝搬経路を説明する。例えば、ユーザ1が他のユーザ、例えばユーザnにデータを送る場合を想定する。端末22−1がユーザnに向けたデータをONU20−1に出力する。ONU20−1は、端末22−1からのデータを波長λ3のユーザ間通信信号光に変換して、光ファイバ18−1に出力する。このユーザ間通信信号光は、光ファイバ18−1及び光カップラ16を介して反射器14に入射する。反射器14は、波長λ3のユーザ間通信信号光を反射するように設定されているので、反射器14に入射したユーザ間通信信号光は、反射器14により反射されて光カップラ16に再入射する。
【0019】
光カップラ16は、再入射したユーザ間通信信号光をn個に分割し、各分割光成分を光ファイバ18−1〜18−nに出力する。これにより、ユーザ1から出力されたユーザ間通信信号光は、ユーザ1のONU20−1に戻ると共に、残るユーザ2〜nのONU22−2〜22−nにも入射する。各ONU22−1〜22−nは、入射した波長λ3のユーザ間通信信号光を電気信号に変換し、その電気信号から自己宛のユーザ間通信信号か否かを判断し、自己宛であれば、そのユーザ間通信信号を取り込み、自己宛でなければそのユーザ間通信信号を破棄する。このようにして、ユーザ1からユーザnに宛てて出力されたユーザ間通信信号が、ユーザnのONU22−nに届く。
【0020】
複数のユーザが同時にユーザ間通信信号光を出力する場合、混信する。しかし、このような混信は、イーサネット(登録商標)で採用されるCSMA/CD方式を導入することで、回避できる。CSMA/CD方式の代わりに、上り信号光の送信用に各OPNU20−1〜20−nにセンター局のOLT10により割り当てられたタイムスロットにユーザ間通信用信号光を出力するようしてもよい。こうすれば、複数のONU20−1〜20−nが同時に、ユーザ間通信信号光を光ファイバ18−1〜18−nに出力することは無くなる。
【0021】
図2は、ONU20−1の概略構成ブロック図を示す。他のONU20−2〜20−nの構成も、ONU20−1の構成と同じである。ONU20−1は、受信した波長λ1の下り信号光を電気信号に変換するフォトダイオードからなる受光器30、波長λ2の上り信号光を出力するレーザダイオード32、波長λ3のユーザ間通信信号光を発生するレーザダイオード34、受信した波長λ3のユーザ間通信信号光を電気信号に変換するフォトダイオードからなる受光器36を具備する。ONU20−1は更に、WDMカップラ38,40、光サーキュレータ42、信号処理回路44を具備する。WDMカップラ38,40及び光サーキュレータ42は、レーザダイオード32,34の出力信号光を光ファイバ18−1に出射し、光ファイバ18−1からの下り信号光及びユーザ間通信信号光をそれぞれ受光器30,36に供給する光分配器として機能する。信号処理回路44は、受光器30、レーザダイオード32,34及び受光器36と、端末22−1との間に配置され、これらの間で電気信号をやり取りする。
【0022】
波長λ1の下り信号光及び波長λ3のユーザ間通信信号光は、光ファイバ18−1からWDMカップラ38に入射する。WDM光カップラ38は、波長λ1の下り信号光をWDM光カップラ40に供給し、波長λ3のユーザ間通信信号光を光サーキュレータ42のポートBに入射する。WDM光カップラ40は、WDM光カップラ38からの波長λ1の下り信号光を受光器30に供給する。受光器30は入射する下り信号光を電気信号に変換して、信号処理回路44に印加する。信号処理回路44は、受光器30からの電気下り信号が自己宛であれば、その電気下り信号を端末22−1に供給し、他ユーザ宛であれば破棄する。
【0023】
光サーキュレータ42は、ポートAの入力光をポートBから出力し、ポートBの入力光をポートCから出力する公知の光デバイスである。光サーキュレータ42は、WDM光カップラ38からの波長λ3のユーザ間通信信号光をポートCから受光器36に出力する。受光器36は、入射するユーザ間通信信号光を電気信号に変換して、信号処理回路44に印加する。信号処理回路44は、受光器36からの電気ユーザ間通信信号が自己宛であれば、その電気ユーザ間通信信号を端末22−1に供給し、他ユーザ宛であれば破棄する。
【0024】
端末22−1は、センター局に向けた上り信号を信号処理回路44に供給する。信号処理回路44は、その電気上り信号をレーザダイオード32に印加する。レーザダイオード32は、信号処理回路44からの電気上り信号を光信号に変換し、波長λ2の上り信号光をWDM光カップラ40に出力する。WDM光カップラ40は、レーザダイオード32からの波長λ2の上り信号光をWDM光カップラ38に供給し、WDM光カップラ38は、WDM光カップラ40からの波長λ2の上り信号光を光ファイバ18−1に出力する。このようにして、ONU20−1は、波長λ2の上り信号光を光ファイバ18−1に出力する。
【0025】
また、端末22−1は、他の1又は複数のユーザに向けた電気ユーザ間通信信号を信号処理回路44に供給する。信号処理回路44は、その電気ユーザ間通信信号をレーザダイオード34に印加する。レーザダイオード34は、信号処理回路44からの電気ユーザ間通信信号を光信号に変換し、波長λ3のユーザ間通信信号光を光サーキュレータ42のポートAに出力する。光サーキュレータ42は、ポートAに入力するユーザ間通信信号光をポートBからWDM光カップラ38に出力する。WDM光カップラ38は、光サーキュレータ42のポートBからの波長λ3のユーザ間通信信号光を光りファイバ18−1に出力する。このようにして、ONU20−1は、他の1又は複数のユーザに宛てた波長λ3のユーザ間通信信号光を光ファイバ18−1に出力する。
【0026】
波長λ1,λ2,λ3の信号光を合波及び分波する、WDM光カップラ38,40及び光サーキュレータ42からなる光分配装置の構成は、一例であり、種々の光デバイスを組み合わせて使用することで、同様の機能の光合分波器を実現できることはいうまでもない。
【0027】
同じPONシステムに接続するユーザ間でやり取りされる情報としては、例えば、気象情報、監視カメラ等の映像情報及び事務連絡等の、限られた地域内で共有すると便利な情報があり、他には、ONU20−1〜20−n間の同期情報等がある。従来、センター局のOLT10が各ONU20−1〜20−nを制御することで、各ONU20−1〜20−nを同期動作させていた。しかし、この方法では、ユーザ数が増すと、センター局のOLT10の負担が増し、下り信号光を同期制御用にも使用することになる。これに対し、本実施例のユーザ間通信信号光を利用して各ONU20−1〜20−nを同期させるようにすれば、OLT10は、単一のONU、例えば、ONU20−1を同期制御し、ONU20−1が他のONU20−2〜20−nに同期制御のための信号を送信すれば済む。これにより、OLT10の負担が減り、下り信号光の多くを同期制御用に利用しなくて済む。
【0028】
ユーザ間通信信号を使ってユーザ間で通信される情報を更に、上り信号光を使ってセンター局に、従って、外部ネットワークに接続する外部のサーバ、端末等に送信することも可能である。更には、特定のユーザが下り信号光で受信した情報を、ユーザ間通信信号光を使って同じPONシステムに加入する別の1又は複数のユーザに配信、例えば放送することができる。これは、下り信号光を受信するユーザの端末が、他の1又は複数のユーザにデータを放送する放送サーバとして機能するとも言える。この放送にはセンター局のOLT10は関与しない。従って、OLTが希望するユーザに下り信号光を使って放送する従来構成に比べ、OLT10の負担を大幅に軽減できる。
【0029】
ユーザ間通信信号光は、また、各加入者端末同士で機器状況を確認する用途にも利用可能である。この場合、信号処理回路44は、他のONUからの問合せに対して、波長λ3のユーザ間通信信号光を使って、返答する。問合せを出したONUは、返答が無ければ、問合せ先のONUが故障であると判断し、その旨をセンター局のOLT10に、波長λ2の上り信号光を使って通知する。どのONUが他のONUの動作状況を確認するかは、例えば、電源投入順又は立候補順等により何れかのONUから任意に決定すれば良い。これにより、OLT10の負担を減らつつ、ONU20−1〜20−nの動作状況を効率的に管理できるようになる。
【0030】
図3は、2つののPONシステムA,B間を波長λ3のユーザ間通信信号光で連結する実施例の概略構成ブロック図を示す。
【0031】
PONシステムAは、図1に示す構成と実質的に同じ構成からなり、図1に示す実施例と対応する構成要素には、同じ符号にAを付記してある。また、PONシステムBもまた、図1に示す構成と実質的に同じ構成からなり、図1に示す実施例と対応する構成要素には、同じ符号にBを付記してある。
【0032】
接続装置50は、PONシステムA,B間で波長λ3のユーザ間通信信号光を双方向に転送する機能を具備する。接続装置50は、光ファイバ52を介して光カップラ16Aに接続し、光ファイバ54を介して光カップラ16Bに接続する。図4は、接続装置50の概略構成ブロック図を示す。
【0033】
この構成では、ユーザ間通信に限っては、PONシステムA,Bが接続装置50により一つの光伝送システムに統合された形になる。例えば、PONシステムAのユーザ、例えばユーザA1が、波長λ3のユーザ間通信信号光を使って、PONシステムA,Bの全ユーザA1〜An,B1〜Bm、若しくは、それらの内の1又は複数のユーザにデータを送信することができる。
【0034】
ユーザA1がPONシステムBのユーザBmにデータを送信する場合の信号の流れを説明する。ONU20A−1が、ユーザBmに向けた波長λ3のユーザ間通信信号光を光ファイバ18A−1に出力する。このユーザ間通信信号光は、光ファイバ18A−1及び光カップラ16Aを介して反射器14に入射し、ここで反射され、光カップラ16Aで分波されて、ONU20A−1〜20A−n及び接続装置50に入射する。
【0035】
接続装置50は、光カップラ16Aから光ファイバ52を介して入射する波長λ3のユーザ間通信信号光を、光ファイバ54を介して光カップラ16Bに転送する。この転送動作の詳細は,後述する。
【0036】
接続装置50から光カップラ16Bに供給された波長λ3のユーザ間通信信号光は、反射器14Bに印加され、ここで反射されて、光カップラ16Bに再入射する。光カップラ16Bは、反射器14Bで反射された波長λ3のユーザ間通信信号光を(m+1)分割し、それぞれを光ファイバ54,18B−1〜18B−mに出力する。これにより、ONU20A−1の出力するユーザ間通信信号光が、ONU20B−mに入力する。ONU20B−1は、入射するユーザ間通信信号光を電気信号に変換して、端末22B−mに供給する。このようにして、ユーザA1からユーザBmにデータを送信できる。同様に、PONシステムA,Bの全ユーザA1〜An,B1〜Bmの内の任意のユーザ間でデータを送信でき、あるユーザから残る全ユーザにデータを放送することもできる。
【0037】
図4は、接続装置50の概略構成ブロック図を示す。図4に示す構成では、接続装置50は、波長λ1の下り信号の受信機能及び波長λ2の上り信号の送信機能を具備し、これらの信号光を使って、PONシステムA,Bのセンター局のOLT10A,10Bと通信することができる。
【0038】
先ず、波長λ3のユーザ間通信信号光の転送機能を説明する。PONシステムAからの波長λ3のユーザ間通信信号光は、光ファイバ52を介してWDM光カップラ60に入力する。WDM光カップラ60は、このユーザ間通信信号光を光サーキュレータ62のポートBに供給する。光サーキュレータ62は、ポートBに入力するユーザ間通信信号光をポートCから光アンプ64に出力する。光アンプ64は、入力するユーザ間通信信号光を光増幅する。光アンプ64から出力されるユーザ間通信信号光は、光サーキュレータ68のポートAに入力し、ポートBからWDM光カップラ70に印加される。WDM光カップラ70は、光サーキュレータ68のポートBからの波長λ3のユーザ間通信信号光を光ファイバ54に出力する。このようにして、PONシステムAからPONシステムBにユーザ間通信信号光が転送される。
【0039】
PONシステムBからの波長λ3のユーザ間通信信号光は、光ファイバ54を介してWDM光カップラ70に入力する。WDM光カップラ70は、このユーザ間通信信号光を光サーキュレータ68のポートBに供給する。光サーキュレータ68は、ポートBに入力するユーザ間通信信号光をポートCから光アンプ66に出力する。光アンプ66は、入力するユーザ間通信信号光を光増幅する。光アンプ66から出力されるユーザ間通信信号光は、光サーキュレータ62のポートAに入力し、ポートBからWDM光カップラ60に印加される。WDM光カップラ60は、光サーキュレータ62のポートBからの波長λ3のユーザ間通信信号光を光ファイバ52に出力する。このようにして、PONシステムBからPONシステムAにユーザ間通信信号光が転送される。
【0040】
WDM光カップラ60は、光ファイバ52からの波長λ1の下り信号光をONU72に供給し、ONU72から出力される波長λ2の上り信号光を光ファイバ52に出力する。同様に、WDM光カップラ70は、光ファイバ54からの波長λ1の下り信号光をONU74に供給し、ONU74から出力される波長λ2の上り信号光を光ファイバ54に出力する。ONU72,74の間にネットワーク間接続回路76を接続してあり、ネットワーク間接続回路76は、ONU72からの信号をONU74に、また、ONU74からの信号をONU72に転送することができる。これにより、PONシステムA,Bのセンター局のOLT10A,10Bは、波長λ1の下り信号及び波長λ2の上り信号を使って、通信することができる。
【0041】
波長λ3のユーザ間通信信号光の転送機能のみが必要な場合、ONU72,74及びネットワーク間接続回路76は不要になり、WDM光カップラ60,70の代わりに、波長λ3を選択的に透過する光フィルタを配置すれば良い。接続装置50の、ユーザ間通信信号光を双方向に転送の構成例を説明したが、片方向の転送機能のみであってもよい。
【0042】
光アンプ64,66の代わりに、一旦、電気信号に変換し、増幅してから再度、光信号に変換しても良い。電気段で、波形整形及び誤り訂正等の信号処理を行なっても良い。
【0043】
図3では、2つのPONシステムA,Bを接続装置50で接続する構成を例示したが、3つ以上のPONシステムの間でも同様に、波長λ3のユーザ間通信信号光を流通させることができることは明らかである。隣接する2つのPONシステムの間に波長λ3のユーザ間通信信号光を双方向に転送できる、接続装置50と同様の構成の接続装置を配置すればい。
【0044】
特定の説明用の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する技術分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】ONU20−1の概略構成ブロック図である。
【図3】本発明の第2実施例の概略構成ブロック図である。
【図4】接続装置50の概略構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
10:局光終端装置(OLT)
12:光ファイバ
14:反射器
16:光カップラ
18−1〜18−n:光ファイバ
20−1〜20−n:加入者光終端装置(ONU)
22−1〜22−n:端末
30:受光器
32:レーザダイオード
34:レーザダイオード
36:受光器
38,40:WDMカップラ
42:光サーキュレータ
44:信号処理回路
10A,10B:局光終端装置(OLT)
12A,12B:光ファイバ
14A,14B:反射器
16A,16B:光カップラ
18A−1〜18A−n,18B−1〜18B−m:光ファイバ
20A−1〜20A−n,20B−1〜20B−m:加入者光終端装置(ONU)
22A−1〜22A−n,22B−1〜22B−m:端末
50:接続装置
52,54:光ファイバ
60:WDM光カップラ
62:光サーキュレータ
64,66:光アンプ
68:光サーキュレータ
70:WDM光カップラ
72,74:ONU
76:ネットワーク間接続回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下り信号光を出力する局光終端装置(10)と、
上り信号光及びユーザ間通信信号光を出力する複数の加入者光終端装置(20−1〜20−n)と、
当該局光終端装置(10)に接続する局側光ファイバ(12)と、
当該複数の加入者光終端装置のそれぞれに接続する複数の加入者側光ファイバ(18−1〜18−n)と、
当該局側光ファイバ(12)と当該複数の加入者側光ファイバ(18−1〜18−n)とを光学的に接続する光カップラ(16)と、
当該局側光ファイバ(12)上、及び、当該局側光ファイバ(12)と当該光カップラ(16)との接続点上の一方に配置される反射器であって、当該ユーザ間通信信号光を反射し、且つ、当該上り信号光及び当該下り信号光を透過する反射器(14)
とを具備することを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
当該ユーザ間通信信号光の波長(λ3)が、当該下り信号光の波長(λ1)及び当該上り信号光の波長(λ2)の何れとも異なることを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項3】
当該下り信号光の波長(λ1)、当該上り信号光の波長(λ2)、及び当該ユーザ間通信信号光の波長(λ3)が互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項4】
当該各加入者光終端装置は、CSMA/CD方式に基づき、当該ユーザ間通信信号光を出力することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光伝送システム。
【請求項5】
請求項1に記載の構成からなる第1及び第2の光伝送システムと、
当該第1の光伝送システムの光カップラ(16A)と、当該第2の光伝送システムの光カップラ(16B)との間に接続し、当該第1の光伝送システムから当該第2の光伝送システムにユーザ間通信信号光を転送する接続装置(50)
とを具備することを特徴とする光ネットワーク。
【請求項6】
当該接続装置(50)は、当該第2の光伝送システムから当該第1の光伝送システムにユーザ間通信信号光を転送する請求項5に記載の光ネットワーク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−42252(P2006−42252A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223226(P2004−223226)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】