説明

光伝送システム

【課題】着脱可能な光送受信器を有する光伝送装置を用いた光伝送システムで、個々の光送受信器の管理や異常発生の有無の判断を容易に行えるようにする。
【解決手段】複数の光伝送装置1が光ケーブル3を介して互いに接続されるとともに、各光伝送装置1を含む光ネットワークを管理するネットワーク管理装置2を備え、各光伝送装置1は着脱可能な光送受信器5を有し、各光送受信器5は送受信される光信号の送受信レベルおよびバイアス電流値を測定した測定データを所定のタイミングでネットワーク管理装置2に送信する。ネットワーク管理装置2はこの測定データを光送受信器番号とその製品型名に対応付けて第2データベース22に登録するとともに、この測定データを第1データベース21に予め登録されている警報しきい値と製品型名をキーとして照合して各光送受信器5の異常発生の有無を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光伝送装置が光ケーブルを介して互いに接続されて光ネットワークが構成された光伝送システムに係り、特には各光伝送装置にSFP(Small Form factor Pluggable)やXFP(10(X) gigabit small Form factor Pluggable)などの着脱可能な光送受信器が設けられている場合の各光伝送装置の管理を適切に行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、中継用の複数の光伝送装置が光ケーブルを介して互いに接続されて光ネットワークが構成された光伝送システムでは、各光伝送装置の使用状況や構成ネットワークの環境によって、光伝送装置に設けられている光送受信器の特性が経時変化する可能性がある。例えば、光伝送装置に設けられている光送受信器は、光電変換用のフォトダイオードや発光用のレーザダイオードといった半導体素子を備えているが、このような半導体素子の特性が次第に経時変化すると、光ケーブルを介して伝送される光信号レベルが低下して適切な情報通信が行えなくなる。
【0003】
このような不具合発生を防止するため、従来技術では、各光伝送装置に、光送受信レベルやレーザバイアス電流を測定する手段を設け、この測定手段で得られた情報を定期的に収集し、一定時間が経過したときの前後の測定値の変化が予め設定されたしきい値を越えたどうかを判断して異常発生の有無を判断するようにしている(例えば、下記の特許文献1、2参照)。
【0004】
上記の特許文献1、2に記載の従来技術の光伝送装置に設けられている光送受信器は、当該装置に一体的に組み込まれていて容易に交換ができない構造のものであるが、一方、近年では、光伝送装置に設けられる光送受信器として、SFPやXFPなどの着脱可能な光送受信器が提供されている。
【0005】
このような着脱可能な光送受信器は、光伝送装置側に実装されたレセプタクルに挿入して使用できるため、例えば光伝送装置間の伝送距離を延長する場合にも、光送受信器のみを交換するといった作業で済むため、ネットワークの伝送範囲を拡張することが容易で、また、装置が通電状態でも交換が可能であるので、交換、保守などの作業性の面でも優れている。
【0006】
したがって、光伝送装置にこのような交換可能な光送受信器を使用する場合、システムの拡張等に伴って、伝送範囲に応じた最適距離の各種の光送受信器が選択使用されるので、光伝送システム内には伝送距離が異なる複数の光送受信器が混在することになる。そして、このような各光送受信器は、メーカや伝送距離の違いによって、当然ながら光送受信レベルやバイアス電流値が異なったものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−116231号公報
【特許文献2】特開平11−186963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のように、光伝送装置に交換可能な光送受信器を使用する場合、メーカや伝送距離の違いによって、当然ながら光送受信レベルやバイアス電流値が異なるので、従来に比べて各光送受信器の種別管理や交換後の情報管理が難しくなる。
【0009】
しかも、前述の従来技術1、2のものは、光伝送装置の光送受信器が交換されずシステム構築した設置当初から同じものを使用することを前提としているので、特性の経時変化を適切に監視することができるものの、光伝送装置に交換可能な光送受信器を使用している場合、システムの拡張等に伴って光送受信器が交換されているときには、光送受信レベルやバイアス電流の値がシステム構築当初の場合と異なったものとなるため、基準となる初期値から現在の値がどの程度変化したのかを容易に判断することが難しい。
【0010】
システム管理者が、各光伝送装置の設置箇所を一定期間ごとに巡回して光送受信器の光送受信レベルの値を測定し、その測定値が適切であるかを判断することで異常発生の有無を判断することは可能であるが、このような対処の仕方であると、人手がかかり、保守点検管理に多大な労力を要する。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、SFPやXFPなどの着脱可能な光送受信器を有する光伝送装置を用いた光伝送システムにおいて、各光伝送装置に実装されている個々の光送受信器の管理や異常発生の有無の判断を容易に行うことができる光伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明にあっては、光送信情報を中継する複数の光伝送装置が光ケーブルを介して互いに接続されて光ネットワークが構成されるとともに、これらの各光伝送装置を含む光ネットワークを管理するネットワーク管理装置を備えた光伝送システムにおいて、次の構成を採用している。
【0013】
すなわち、本発明では、各光伝送装置は、着脱可能な光送受信器を備え、この光送受信器には、上記光ケーブルを介して送受信される光信号の送受信レベルおよびバイアス電流値を測定する測定手段と、この測定手段で測定された測定データを記憶する記憶手段とを含み、さらに各光伝送装置には、上記記憶手段で記憶されている測定データを収集して上記ネットワーク管理装置に送信する送信手段を有する一方、上記ネットワーク管理装置は、上記各光送受信器ごとの製品型名、およびその製品型名ごとの光送受信レベルやバイアス電流値の異常の有無の判断基準となる警報しきい値が予め登録された第1データベースと、上記各光伝送装置に対応させた光伝送装置番号、各光伝送装置を構成する各光送受信器に対応付けた光送受信器番号、およびその各光送受信器番号に対応付けた製品型名が登録された第2データベースと、上記各光伝送装置の上記送信手段から上記測定データが送信されてきた場合には、この測定データを上記光送受信器番号に対応付けて上記第2データベースに登録するとともに、上記第1データベースに登録されている上記警報しきい値と上記第2データベースに登録された上記測定データとを上記製品型名をキーとして互いに照合して各光送受信器の異常発生の有無を判断する監視手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、SFPやXFPなどの着脱可能な光送受信器を有する光伝送装置を用いた光伝送システムにおいて、各光伝送装置に実装されている光送受信器が交換されて光送受信レベルやバイアス電流値がシステム構築当初の場合と異なった場合でも、個々の光送受信器の管理、および異常発生の有無の判断を余分な労力を要することなく容易かつ確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における光伝送システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】同光伝送システムにおける光伝送装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】同光伝送システムにおけるネットワーク管理装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図4】同光伝送システムにおけるネットワーク管理装置に登録されている各光送受信器ごとの警報しきい値に対応させた光送受信レベルやバイアス電流値が予め登録された第1データベースを示す説明図である。
【図5】同光伝送システムにおけるネットワーク管理装置において各光送受信レベルやバイアス電流値などの測定データを登録した第2データベースを示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態3における光伝送システムで使用される光伝送装置の詳細構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における光伝送システムの全体構成を示すブロック図、図2は同光伝送システムにおける光伝送装置の詳細構成を示すブロック図である。
【0017】
この実施の形態1の光伝送システムは、光送信情報を中継する複数(ここではN台、N:2以上の整数)の光伝送装置1を有し、各光伝送装置1が光ケーブル3を介して互いに接続されて光ネットワークが構成されるとともに、これらの各光伝送装置1を含む光ネットワークを管理するネットワーク管理装置2を備えている。そして、一つの光伝送装置1に対してネットワーク管理装置2が接続されている。また、他の各光伝送装置1には、パーソナルコンピュータや測定器、カメラ、モニタなどの端末機器4が接続されている。
【0018】
各光伝送装置1には、SFPやXFPなどの着脱可能な複数の光送受信器5が実装されている。ここでは、光送受信器5はM台(M:2以上の整数)設けられているが、図1に示した単純なリング型の光ネットワークのシステム構成の場合、一つの光送受信器5の両側にそれぞれ光伝送装置1が接続されることになるために、M=2台の光送受信器5があればよいことになる。
【0019】
そして、これらの各光送受信器5は、基本的に同じ構成であって、光ケーブル3を介して光信号を送受信する光受信部51と光送信部52、光受信部51の光受信レベルを測定する光受信レベル測定部53、光送信部52のレーザダイオードによる光送信レベルおよびレーザバイアス電流を測定する光送信レベル測定部54とレーザバイアス測定部55が設けられるとともに、これらの光受信レベル、光送信レベル、レーザバイアス電流値の各測定データを記憶するEEPROM56を備えている。なお、各測定データを記憶するのはEEPROM56に限らず他のメモリであってもよい。
そして、上記の各測定部53〜55が特許請求の範囲の測定手段に、EEPROM56が特許請求の範囲の記憶手段にそれぞれ対応している。
【0020】
さらに、光伝送装置1は、情報格納部7、送信処理部8、およびデータ中継部9を有する。
ここに、情報格納部7は、送信処理部8からの指令に基づき各光送受信器5のEEPROM56に記憶されている測定データを各光送受信器5に応じて付された各光送受信器番号に対応付けて収集して一時的に格納するものである。
また、送信処理部8は、ネットワーク管理装置2からの情報送信要求に応じて情報格納部7に格納されている情報を読み出し当該光伝送装置1に固有の光伝送装置番号を付加して送信処理を実行するものである。
【0021】
データ中継部9は、各光伝送装置1の相互間で送受信されるデータの中継処理を行うとともに、ネットワーク管理装置2や端末機器4からのデータを光送受信器5を介して他の各光伝送装置1に送信したり、他の光伝送装置1からの光信号を光送受信器5を介して受信してネットワーク管理装置2や端末機器4に送出し、さらに、送信処理部8から送信される情報をネットワーク管理装置2に向けて送出するものである。
そして、上記の情報格納部7、送信処理部8、およびデータ中継部9が特許請求の範囲における送信手段に対応している。
【0022】
一方、ネットワーク管理装置2は、例えばパーソナルコンピュータからなるもので、図3に示すように、第1データベース21、第2データベース22、データ入出力部23、コントローラ24、および表示器25を備えている。
【0023】
第1データベース21には、図4に示すように、各光伝送装置1に使用される各光送受信器5ごとの製品型名、およびその製品型名ごとの光送受信レベルやバイアス電流値の異常の有無の判断基準となる警報しきい値が予め登録されている。
【0024】
第2データベース22には、システムが構築された当初、あるいは光送受信器5が交換された際に、図5に示すように、各光伝送装置1に対応させた光伝送装置番号、各光伝送装置1を構成する各光送受信器5に対応付けた光送受信器番号、および各光送受信器番号に対応付けた製品型名が登録されており、さらに、各光伝送装置1から所要のタイミングで送られてくる測定データが登録される。
【0025】
データ入出力部23は、光伝送装置1への指令データの出力や各光伝送装置1から送られてくる測定データの取り込みを行う。また、コントローラ24は、予めインストールされたプログラムに従い、上記の第1、第2データベース22へのデータの登録および読み出しを行うとともに、データ入出力部23との間でデータのやり取りを行う。表示器25は、例えば各種のLCDなどの表示ディスプレイなどで構成されている。
【0026】
なお、第1、第2データベース22は、例えばハードディスクなどの外部記憶装置に所要のデータを登録することで構成され、またコントローラ24は、例えばCPUからなるもので、このコントローラ24が特許請求の範囲における監視手段に対応している。
【0027】
上記構成において、システム管理者は、ネットワーク管理装置2の図示しない端末機器を操作して、システムが構築される当初、各光伝送装置1毎に当該光伝送装置1を構成する各光送受信器5の製品型名を図4に示したデータベースから選んで設定する。また、各光伝送装置1を構成する光送受信器5が交換された際にも、同様に、各光送受信器5の製品型名を図4に示したデータベースから選んで設定する。これにより、図5に示すような測定データを除く部分の第2データベース22が生成される。すなわち、この第2データベース22には、光伝送システムを構成する各光伝送装置1に対応させた光伝送装置番号、各光伝送装置1を構成する各光送受信器5に対応付けた光送受信器番号、および各光送受信器番号に対応付けた製品型名が登録される。
【0028】
また、ネットワーク管理装置2のコントローラ24は、定周期または所定のタイミングで各光伝送装置1に対して各光送受信器5の監視情報の取得の指令を出す。この監視情報取得の指令に応じて、各光伝送装置1の送信処理部8は情報格納部7から、光送受信器番号に対応付けられた光受信レベル、送信レベル、レーザバイアス電流値の各測定データを読み出し、当該光伝送装置1の番号を付加した上で所定の光送受信器5を経由してネットワーク管理装置2に向けて送信する。なお、監視情報収集の指示および返信する手法としては、例えばMIB(Management Information Base)を利用することができる。
【0029】
なお、ここでは各情報格納部7は、ネットワーク管理装置2から送信が指示されたタイミングで、EEPROM56から測定データを収集しているが、これに限らず、例えば装置内部で定周期で各光送受信器5のEEPROM56から各測定データを収集して情報格納部7を常時更新してもよい。
【0030】
そして、ネットワーク管理装置2のコントローラ24は、各光伝送装置1から送信されてくる上記光送受信器5の測定データを含む監視情報を受信すると、図5に示すように、第2データベース22に光伝送装置番号および光送受信器番号をキーとして、それらの番号に対応付けて測定データを登録する。そして、ネットワーク管理装置2は、情報を取得したタイミングで、この第2データベース22に登録された測定データ(光受信レベル、送信レベル、レーザバイアス電流値)と、図4に示した第1データベース21に予め登録されている警報しきい値とを製品型名をキーとして互いに照合して各光送受信器5の異常発生の有無を判断する。この場合、測定データが警報しきい値を超える場合は警報信号を生成し、例えば表示器25に警報を表示する。
【0031】
以上のように、この実施の形態1の光伝送システムでは、各光伝送装置1に実装されている光送受信器5が交換されて光送受信レベルやバイアス電流値がシステム構築当初の場合と異なってくる場合でも、柔軟に対応して個々の光送受信器5の管理、および異常発生の有無の判断を余分な労力を要することなく容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0032】
実施の形態2.
この実施の形態2における光伝送システムの各光伝送装置1の構成は、図2に示した場合と基本的に同じである。
【0033】
実施の形態1と異なる点は、上記の実施の形態1ではネットワーク管理装置2に第2データベース22を作成する際、手動で各光伝送装置1を構成する各光送受信器5の製品型名を設定していたが、この実施の形態2では、光伝送装置1を構成する各光送受信器5において、光受信レベル、光送信レベル、レーザバイアス電流の各測定データに加えて、当該光送受信器5の製品型名の情報も予めEEPROM56内に格納されていることである。
【0034】
したがって、情報格納部7がEEPROM56内に記憶されている情報を収集する際には、各光送受信器番号とその製品型名とが互いに対応付けられて格納され、さらに測定データを収集する際には、その測定データが光送受信器番号と製品型名に対応付けられて格納される。
【0035】
システムが構築される当初、あるいは各光伝送装置1を構成する光送受信器5が交換された際、システム管理者は、ネットワーク管理装置2から各光伝送装置1の送信処理部8に対して、各光送受信器5の管理情報の取得の指令を出す。この管理情報取得の指令に応じて、各光伝送装置1の送信処理部8は、情報格納部7から、各光送受信器番号に対応付けられた製品型名の情報を読み出し、当該光伝送装置1の番号を付加した上でこれらの管理情報を所定の光送受信器5を経由してネットワーク管理装置2に送信する。
【0036】
これにより、ネットワーク管理装置2は、各光伝送装置1から送信されてくる上記管理情報に基づいて、図5に示したように、測定データの部分を除き、各光伝送装置1に対応させた光伝送装置番号、各光伝送装置1を構成する各光送受信器5に対応付けた光送受信器番号、および各光送受信器番号に対応付けた製品型名が登録された第2データベース22を自動作成する。
【0037】
したがって、運用途中で着脱可能な光送受信器5が故障による交換、増設工事により光送受信器5の種別の変更が発生した場合にも、ネットワーク管理装置2に対して製品型名の情報を一緒に渡すため、ネットワーク管理装置2は、自動で第2データベース22における製品型名の情報が更新されることになる。
【0038】
また、ネットワーク管理装置2のコントローラ24から定周期または任意のタイミングで各光伝送装置1に対して各光送受信器5の測定データの監視情報取得の指令が出された場合には、実施の形態1と同様に、各光伝送装置1の送信処理部8は、情報格納部7から光送受信器番号に対応付けられた光受信レベル、送信レベル、レーザバイアス電流値の各測定データを読み出し、当該光伝送装置1の番号を付加した上で所定の光送受信器5を経由してネットワーク管理装置2に向けて送信する。
【0039】
ネットワーク管理装置2のコントローラ24は、各光伝送装置1から送信されてくる上記光送受信器5の測定データを含む監視情報を受信すると、図5に示すように、第2データベース22に光伝送装置番号および光送受信器番号をキーとして、それらの番号に対応付けて測定データを登録する。
その他の構成および動作は、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0040】
以上のように、この実施の形態2の光伝送システムでは、異常発生の有無の判断を容易かつ確実に行うことができるだけでなく、第2データベース22が自動的に作成されるため、システムが構築される当初や光送受信器5が交換された際に、システム管理者が手動で第2データベース22を作成する手間を省くことができ、個々の光送受信器5の管理を一層容易に行うことが可能となる。
【0041】
実施の形態3.
図6は本発明の実施の形態3における光伝送システムで使用される光伝送装置1の詳細構成を示すブロック図であり、実施の形態1、2と対応もしくは相当する構成部分には同一の符号を付す。
【0042】
上記の実施の形態1、2では、ネットワーク管理装置2において各光伝送装置1の光送受信器5で得られる測定データと警報しきい値の比較を実施しているが、この実施の形態3では、各光伝送装置1に警報処理部10が設けられており、この警報処理部10に、図4に示した第1データベース21が予め登録されるとともに、各光送受信器5に対応した番号とその光送受信器番号に対応した製品型名とが互いに対応付けられて格納されている。また、各光送受信器5のEEPROM56には、実施の形態2と同様、光受信レベル、光送信レベル、レーザバイアス電流の各測定データが記憶されるとともに、当該光送受信器5の製品型名の情報も予め格納されている。
【0043】
そして、情報格納部7には、実施の形態2と同様、各光送受信器5のEEPROM56に記憶された光受信レベル、送信レベル、レーザバイアス電流値の各測定データが光送受信器番号および製品型名に対応付けられて格納されているので、警報処理部10は、ネットワーク管理装置2から測定データの監視情報取得の指令が出された場合、これに応じて、各光送受信器番号ごとに、情報格納部7に格納されている測定データと第1データベース21に登録されている上記警報しきい値とを製品型名をキーとして互いに照合して各光送受信器5の異常発生の有無を判断する。そして、異常がある場合には光送受信器番号とその製品型名に対応させた警報情報を生成する。
なお、警報処理部10は、上記のようにネットワーク管理装置2から測定データの監視情報取得の指令が出された場合だけでなく、予め設定さたれ監視周期ごとに各光送受信器5の異常発生の有無を判断して、異常がある場合には光送受信器番号とその製品型名に対応させた警報情報を生成するようにしてもよい。
【0044】
送信処理部8は、警報処理部10から出力される警報情報に対して、当該光伝送装置1の番号を付加した上でその警報情報を所定の光送受信器5を経由してネットワーク管理装置2に向けて送信する。なお、警報情報の通知手法としては、例えばSNMP(Simple Network Management Protocol)trapを利用することができる。
【0045】
ネットワーク管理装置2のコントローラ24は、各光伝送装置1から各光送受信器5に関する警報情報を受信すると、この警報情報を表示器25に出力するので、表示器25にはどの光伝送装置1のいずれの光送受信器5に光信号のレベル劣化などの異常を生じているのかが表示される。
その他の構成および動作は、実施の形態2の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0046】
以上のように、この実施の形態3の光伝送システムでは、光伝送装置1内に警報処理部10を設けたので、異常発生の有無の判断を容易かつ確実に行うことができるだけでなく、ネットワーク管理装置2側に第2データベース22を設ける必要がないので、システム管理者が手動で第2データベース22を作成する手間を省くことができる。
【0047】
なお、上記の各実施の形態1〜3では、光伝送システムとして各光伝送装置1を光ケーブル3でループ状に接続したリング型光ネットワーク構成のものを前提として説明したが、本発明はこれに限らず、一つの光伝送装置1に対して他の光伝送装置1が接続されたスター型光ネットワークや一つの光ケーブル3に光伝送装置1を分散配置したバス型光ネットワークにも適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 光伝送装置、2 ネットワーク管理装置、21 第1データベース、
22 第2データベース、24 コントローラ、3 光ケーブル、5 光送受信器、
53 光受信レベル測定部、54 光送信レベル測定部、55 レーザバイアス測定部、
7 情報格納部、8 送信処理部、9 データ中継部、10 警報処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光送信情報を中継する複数の光伝送装置が光ケーブルを介して互いに接続されて光ネットワークが構成されるとともに、これらの各光伝送装置を含む光ネットワークを管理するネットワーク管理装置を備えた光伝送システムであって、
上記各光伝送装置は、着脱可能な光送受信器を備え、この光送受信器には、上記光ケーブルを介して送受信される光信号の送受信レベルおよびバイアス電流値を測定する測定手段と、この測定手段で測定された測定データを記憶する記憶手段とを含み、さらに各光伝送装置には、上記記憶手段で記憶されている測定データを収集して上記ネットワーク管理装置に送信する送信手段を有する一方、
上記ネットワーク管理装置は、上記各光送受信器ごとの製品型名、およびその製品型名ごとの光送受信レベルやバイアス電流値の異常の有無の判断基準となる警報しきい値が予め登録された第1データベースと、上記各光伝送装置に対応させた光伝送装置番号、各光伝送装置を構成する各光送受信器に対応付けた光送受信器番号、およびその各光送受信器番号に対応付けた製品型名が登録された第2データベースと、上記各光伝送装置の上記送信手段から上記測定データが送信されてきた場合には、この測定データを上記光送受信器番号に対応付けて上記第2データベースに登録するとともに、上記第1データベースに登録されている上記警報しきい値と上記第2データベースに登録された上記測定データとを上記製品型名をキーとして互いに照合して各光送受信器の異常発生の有無を判断する監視手段と、を備える光伝送システム。
【請求項2】
上記各光送受信器の上記記憶手段には、上記測定データに加えて当該光送受信器に対応付けた製品型名の情報が格納されており、上記送信手段は、上記ネットワーク管理装置から各光送受信器の管理情報取得の指令が出された場合には、これに応じて、上記記憶手段から製品型名を読み出し、この製品型名に対応した光送受信器番号、この光送受信器が属する光伝送装置の番号を含む管理情報を上記ネットワーク管理装置に送信するものであり、
上記ネットワーク管理装置は、各光伝送装置から送信されてくる上記管理情報に基づいて上記第2データベースを自動作成するものである請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項3】
上記ネットワーク管理装置に上記監視手段を設ける代わりに、上記各光伝送装置には、上記第1データベースが登録されるとともに、上記記憶手段には、上記測定データに加えて当該光送受信器に対応付けた製品型名の情報が格納されており、かつ、上記記憶手段で記憶された測定データと上記第1データベースに登録されている上記警報しきい値とを製品型名をキーとして互いに照合して各光送受信器の異常発生の有無を判断し、異常がある場合には警報情報を生成して上記送信手段に転送する警報処理部が設けられている請求項1に記載の光伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−239088(P2012−239088A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107792(P2011−107792)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】