説明

光信号分割多重装置、光信号分割多重伝送システム、光信号分割多重方法、及び光信号分割多重伝送方法

【課題】受信側装置による不要又は不正なチャネルの受信を減らすことができ、且つ、送信側装置における設備コスト及び回路規模を抑制することができる。
【解決手段】光信号分割多重装置10は、変調光パルス信号S1A,S1B,S1Cを出力する変調部12と、変調光パルス信号の中から選択された波長の1つ以上の変調光パルス信号を含む光信号の束S1CA,S1AB,S1BCを複数生成して出力する選択部13と、複数の光信号の束にそれぞれ対応する複数の広帯域光符号器14a,14b,14cとを備え、広帯域光符号器のそれぞれは、複数の光信号の束の内の対応する光信号の束に含まれる1つ以上の変調光パルス信号を符号化して、1つ以上の符号化チップパルス列S2CA,S2AB,S2BCを出力し、広帯域光符号器のそれぞれから出力された1つ以上の符号化チップパルス列を多重化する多重化部15をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光符号分割多重(OCDM)方式と光波長分割多重(光WDM)方式とを組み合わせた光信号分割多重装置、光信号分割多重伝送システム、光信号分割多重方法、及び光信号分割多重伝送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、1本の光ファイバに複数チャネルの光パルス信号を伝送する光多重方式が普及している。光多重方式としては、光時分割多重(OTDM)方式、光WDM方式、及びOCDM方式が知られている。これらの方式は、例えば、非特許文献1(外林秀之著)に説明されている。また、光WDM方式を採用した光伝送方式は、例えば、特許文献1(特開2002−165213号公報)に開示されている。さらに、OCDM方式において、光パルス信号を位相シフトキーイング(PSK)方式によって符号化された光パルス信号に変換する光符号器(光復号器)に、スーパーストラクチャファイバブラッググレーティング(SSFBG)を使用することが、例えば、非特許文献2(西木玲彦ほか著)及び特許文献2(特開2008−153921号公報)に開示されている。
【0003】
また、OCDM方式では、ファイバブラッググレーティング(FBG)符号器が光信号の符号化と波長の識別を行うので、生成される光パルス信号の符号パターンが同じであっても、異なる波長を扱うFBG符号器を用意すれば、新たなチャネルが増設できる。このようなFBG符号器の特性を利用して、チャネル数を増やす目的でOCDM方式と光WDM方式とを組み合わせた光多重方式も研究されている。このような方式は、例えば、非特許文献3(Taro Hamanakaほか著)に開示されている。また、OCDM方式と光WDM方式とを組み合わせた他の光多重方式が、例えば、特許文献3(特開2001−257658号公報)に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】外林秀之著、「光符号分割多重ネットワーク」、応用物理、第71巻、第7号、2002年、pp.853−859
【非特許文献2】西木玲彦ほか著、「SSFBGを用いたOCDM用位相符号器の開発」、信学技法、Technical Report of IEICE、 OFT2002−66、2002年11月、pp.13−18
【非特許文献3】Taro Hamanakaほか著、「Demonstration of 16−user OCDMA over 3−wavelength WDM using 511−chip, 640 Gchip/s SSFBG en/decoder and single light source」、Paper OMO1、Vol.3、OFC2007
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−165213号公報(段落0009、図1)
【特許文献2】特開2008−153921号公報
【特許文献3】特開2001−257658号公報(段落0163−0169、図18、図19)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、映像配信業者の局社側設備(送信側装置)から光通信回線を通して複数の利用者側装置(受信側装置)にデータ配信するために、上記光多重方式のいずれか1つを使用した場合には、利用者側装置は、他の利用者に配信された不要なチャネルのデータも受信することになる(例えば、特許文献1の図1参照)。このため、1つの光多重方式を使用した場合には、利用者側装置は、誤って不要なチャネルを受信したり、不正に未契約のチャネルを受信したりすることが起こりやすいという問題がある。
【0007】
また、データ配信に利用できるチャネル数を増やすために、OCDM方式と光WDM方式とを組み合わせた光多重方式を用いる場合には、波長チャネルごとに、例えば、1台のFBG符号器(送信側装置)と1台のFBG復号器(受信側装置)からなる1対の装置を用意しなければならない(例えば、非特許文献3のFig.3及び特許文献3の図18参照)。このため、このような場合には、1チャネル当たりのコストが高くなり、また、チャネル数に等しい数のFBG符号器を備える回路の実装面積が大きくなるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、受信側装置による不要又は不正なチャネルの受信を減らすことができ、且つ、送信側装置における設備コスト及び回路規模を抑制することができる光信号分割多重装置、光信号分割多重伝送システム、光信号分割多重方法、及び光信号分割多重伝送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態に係る光信号分割多重装置は、互いに異なる波長の、複数の変調光パルス信号を出力する変調光パルス出力部と、前記複数の変調光パルス信号の中から選択された波長の1つ以上の変調光パルス信号を含む光信号の束を複数生成して出力する選択部と、前記複数の光信号の束にそれぞれ対応する複数の広帯域光符号器とを備え、前記複数の広帯域光符号器のそれぞれは、前記複数の光信号の束の内の対応する光信号の束に含まれる1つ以上の変調光パルス信号を符号化して、1つ以上の符号化チップパルス列を出力し、前記複数の広帯域光符号器のそれぞれから出力された前記1つ以上の符号化チップパルス列を多重化する多重化部をさらに備えることを特徴としている。
【0010】
本発明の他の形態に係る光信号分割多重伝送システムは、多重化された光信号を伝送路に出力する送信側装置と、前記伝送路を通して前記多重化された光信号を受信する複数の受信側装置とを備える光信号分割多重伝送システムであって、前記送信側装置は、前記光信号分割多重装置であり、前記複数の受信側装置は、前記複数の広帯域光符号器のいずれかに対応し、前記複数の受信側装置のそれぞれは、対応する前記広帯域光符号器の符号可能帯域により狭い復号可能帯域を持つ狭帯域可変光復号器を有し、前記狭帯域可変光復号器は、多重化された前記1つ以上の符号化チップパルス列を受け取り、復号する光信号の波長を選択し、前記1つ以上の符号化パルス信号のうちの選択された波長の符号化パルス信号を復号する手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、受信側装置による不要又は不正なチャネルの受信を減らすことができ、且つ、送信側装置における設備コスト及び回路規模を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)〜(e)は、SSFBGを利用した光符号器及び光復号器の動作原理を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態の光信号分割多重装置(送信側装置)及びこれを含む光信号分割多重伝送システムの構成を概略的に示す図である。
【図3】図2に示される広帯域光符号器の特性の一例を示す反射スペクトルを示す図である。
【図4】(a)〜(c)は、図2に示される広帯域光符号器の構造、周期的屈折率変調構造部、及び各部の導波方向の長さを示す図である。
【図5】(a)〜(c)は、図2に示される狭帯域可変光復号器の特性の一例を示す反射スペクトルを示す図である。
【図6】(a)〜(c)は、図2に示される広帯域光符号器の符号化波形を示す図である。
【図7】(a)〜(c)は、設定波長のチップパルス列が狭帯域可変光復号器に入力されたときの復号波形(自己相関波形)を示す図である。
【図8】(a)及び(b)は、設定波長以外の波長のチップパルス列が狭帯域可変光復号器に入力されたときの出力波形(相互相関波形)を示す図である。
【図9】(a)及び(b)は、設定波長以外の波長のチップパルス列が狭帯域可変光復号器に入力されたときの出力波形(相互相関波形)を示す図である。
【図10】(a)及び(b)は、設定波長以外の波長のチップパルス列が狭帯域可変光復号器に入力されたときの出力波形(相互相関波形)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施の形態の、光符号分割多重(OCDM)方式と光波長分割多重(光WDM)方式とを組み合わせた光信号分割多重装置、この光信号分割多重装置を含む光信号分割多重伝送システム、光信号分割多重装置によって実行することができる光信号分割多重方法、及び光信号分割多重伝送システムによって実行することができる光信号分割多重伝送方法を説明する。
【0014】
《1》OCDM方式の原理の説明
最初に、本実施の形態で使用されるOCDM方式の原理を説明する。OCDM方式のシステムでは、送信側装置の光符号器は、通信チャネルごとに異なる光符号で光パルス信号を符号化して符号化チップパルス列(符号化された光パルス列)を生成する。受信側装置の光復号器は、送信側装置と同じ光符号を用いて、受信した符号化チップパルス列を復号して元の光パルス信号を生成(復元)する。
【0015】
図1(a)〜(e)は、SSFBGを利用した光符号器100及び光復号器200の動作原理を示す図である。図1(a)は、光符号器100に入力される入力光パルス300の波形を示し、図1(b)は、光符号器100から出力される符号化チップパルス列の波形を示す。図1(c)は、光復号器200から出力される符号化チップパルス列の成分の波形を示し、図1(d)は、光復号器200から出力される符号化チップパルス列の自己相関波形を示す。図1(e)は、入力光パルス300の符号化及び復号化を行う構成を示す。なお、図1(c)及び(d)において、#1〜#7は、時刻の前後関係を示しており、数値が小さいほど先の時刻を示す。
【0016】
図1(e)に示されるように、光符号器100は、光ファイバの導波方向に沿って配列された4つの単位FBG101,102,103,104を有するSSFBGであり、符号長が4ビットの光符号値(例えば、0,0,1,0)を持つ。光復号器200は、光ファイバの導波方向に沿って配列された4つの単位FBG204,203,202,201を有するSSFBGであり、光符号器100に対応する符号長が4ビットの符号値(例えば、0,1,0,0)を持つ。符号値0の単位FBGからのブラッグ反射光と符号値1の単位FBGからのブラッグ反射光との間の位相差はπである。このため、単位FBGを利用した光符号器100が生成する符号を、光位相符号とも言う。
【0017】
図1(a)に示される光パルス300が光ファイバ111、光サーキュレータ112、光ファイバ113を介して光符号器100に入力されると、図1(b)に示されるように、単位FBG101,102,103,104からのブラッグ反射光a,b,c,dによる符号化チップパルス列400(チップパルス401,402,403,404)が生成される。ブラッグ反射光a,b,c,dの位相はそれぞれ、0,0,π,0である。図1(b)〜(d)において、位相0の波形を実線で示し、位相πの波形を破線で示す。また、図1(e)において、位相シフトを与えない反射を実線矢印で示し、位相シフトを与える反射を破線矢印で示す。
【0018】
光符号器100で生成された符号化チップパルス列400(チップパルス401,402,403,404)は、光ファイバ113、光サーキュレータ112、光ファイバ114、光サーキュレータ211、光ファイバ212を介して光復号器200に入力される。光復号器200は、光符号器100と同一の構造であるが、単位FBGの配列が逆になっている。すなわち、光復号器200の単位FBG201,202,203,204はそれぞれ、光符号器100の単位FBG101,102,103,104に対応している。
【0019】
図1(b)に示されるチップパルス401(位相0)が光復号器200に入力されると、図1(c)に符号501で示されるように、単位FBG204,203,202,201からのブラッグ反射光a′,b′,c′,d′による符号化チップパルス列501が生成される。符号化チップパルス列501で示されるブラッグ反射光a′,b′,c′,d′の位相はそれぞれ、0,π,0,0(時刻#1,#2,#3,#4にそれぞれ対応する)である。
【0020】
図1(b)に示されるチップパルス402(位相0)が光復号器200に入力されると、図1(c)に符号502で示されるように、単位FBG204,203,202,201からのブラッグ反射光a′,b′,c′,d′による符号化チップパルス列502が生成される。符号化チップパルス列502で示されるブラッグ反射光a′,b′,c′,d′の位相はそれぞれ、0,π,0,0(時刻#2,#3,#4,#5にそれぞれ対応する)である。
【0021】
図1(b)に示されるチップパルス403(位相π)が光復号器200に入力されると、図1(c)に符号503で示されるように、単位FBG204,203,202,201からのブラッグ反射光a′,b′,c′,d′による符号化チップパルス列503が生成される。符号化チップパルス列503で示されるブラッグ反射光a′,b′,c′,d′の位相はそれぞれ、π,0,π,π(時刻#3,#4,#5,#6にそれぞれ対応する)である。
【0022】
図1(b)に示されるチップパルス404(位相0)が光復号器200に入力されると、図1(c)に符号504で示されるように、単位FBG204,203,202,201からのブラッグ反射光a′,b′,c′,d′による符号化チップパルス列504が生成される。符号化チップパルス列504で示されるブラッグ反射光a′,b′,c′,d′の位相はそれぞれ、0,π,0,0(時刻#4,#5,#6,#7にそれぞれ対応する)である。
【0023】
図1(c)に示されるチップパルス列500を構成する全てのチップパルスは、重ね合わされて(足し算されて)、図1(d)に示される白己相関波形が生成される。図1(d)において時刻#4の最大ピーク波形は、図1(c)に示される時刻#4における4つの同位相(位相0)のチップパルスが重ね合わされて形成された波形であり、入力光パルス300に相当する波形である。
【0024】
なお、以上の説明では、光符号の符号値が0,0,1,0である場合を例示したが、他の光符号であっても同様である。また、以上の説明では、符号長が4ビットの場合を説明した、4ビット以外の符号長の場合も、同様である。
【0025】
光符号分割多重通信では、各チャネルに異なる符号を割り当てて多重化が行われる。多重化するチャネルを増やすためには、少なくともチャネル数に等しい数の互いに異なる符号が必要となる。互いに異なる符号の数を増やすためには、符号長を長くしなければならない。例えば、符号長が15ビットであるM系列符号を用いる場合、互いに異なる符号として使用できるのは2符号である。この場合は、2チャネルの光符号分割多重通信を実現できる。より多くのチャネルの光符号分割多重通信を実現させたい場合には、より長い符号長の符号を用いる必要がある。例えば、符号長を31ビットに増やせば、M系列とGold系列の符号を合わせて33種類の符号を準備することができ、33チャネルの光符号分割多重通信を実現できる。
【0026】
《2》実施の形態の構成
図2は、本発明に係る実施の形態の光信号分割多重装置(送信側装置)10及びこれを含む光信号分割多重伝送システムの構成を概略的に示す図である。本実施の形態の光信号分割多重装置10は、本発明に係る実施の形態の光信号分割多重方法を実施することができる装置であり、本実施の形態の光信号分割多重伝送システムは、本発明に係る実施の形態の光信号分割多重伝送方法を実施することができるシステムである。本実施の形態においては、波長分割多重(WDM)方式によるチャネル識別及び光符号分割多重(OCDM)方式による利用者側装置(受信側装置)識別の両方を利用している。
【0027】
図2に示されるように、本実施の形態の光信号分割多重伝送システムは、局社側設備内の光信号分割多重装置(送信側装置)10と、複数の利用者側装置(受信側装置)30,40,50と、光ケーブルなどの伝送路(光通信回線)21と、スプリッタ22とを備えている。図2には、光信号分割多重装置10から3つの利用者側装置30,40,50にデータを配信する例が示されている。ここでは、1つの光信号分割多重装置10から、3つの利用者側装置30,40,50に、データを光信号にして配信する場合を説明するが、利用者側装置の数(利用者の数)は、3台(3人)に限定されない。
【0028】
光信号分割多重装置10は、パルス信号発生部11と、光変調部(変調光パルス出力部)12と、選択部13と、複数の広帯域光符号器14a,14b,14cと、多重化部を構成するカプラ15とを備えている。ここでは、広帯域光符号器の数が3台の場合を説明するが、この数は3台に限定されない。
【0029】
利用者側装置30は、狭帯域可変光復号器31と、この狭帯域可変光復号器31の出力を受信する光受信機32とを備えている。また、利用者側装置40は、狭帯域可変光復号器41と、この狭帯域可変光復号器41の出力を受信する光受信機42とを備えている。さらに、利用者側装置50は、狭帯域可変光復号器51と、この狭帯域可変光復号器51の出力を受信する光受信機52とを備えている。
【0030】
光信号分割多重装置10において、パルス信号発生部11は、複数のパルス発生器11a,11b,11cを有している。各パルス発生器11a,11b,11cは、互いに異なる波長WA,WB,WCのパルス信号S0A,S0B,S0Cを生成する。ここでは、パルス発生器の数が3台の場合を説明するが、この数は3台に限定されない。
【0031】
光変調部12は、複数の光変調器12a,12b,12cを有している。各光変調器12a,12b,12cは、互いに異なる波長WA,WB,WCの、光パルス信号S1A,S1B,S1Cを生成する。光変調器12a,12b,12cは、例えば、入力されるパルス信号S0A,S0B,S0Cに基づいて、光パルス信号S1A,S1B,S1Cを発生させる装置、例えば、レーザー光発生器である。なお、パルス発生器11a,11b,11cを光パルスを出力するレーザー光発生器とし、光変調器12a,12b,12cが、入力される光パルス信号S0A,S0B,S0Cを変調して光パルス信号S1A,S1B,S1Cとする構成であってもよい。
【0032】
選択部13は、複数のスプリッタ13a,13b,13cを有している。スプリッタ13aは、光変調器12aから出力された光パルス信号S1Aを分岐して、同じ光パルス信号S1Aを広帯域光符号器14a及び広帯域光符号器14bに供給する。スプリッタ13bは、光変調器12bから出力された光パルス信号S1Bを分岐して、同じ光パルス信号S1Bを広帯域光符号器14b及び広帯域光符号器14cに供給する。スプリッタ13cは、光変調器12cから出力された光パルス信号S1Cを分岐して、同じ光パルス信号S1Cを広帯域光符号器14c及び広帯域光符号器14aに供給する。このように、選択部13は、複数の変調光パルス信号S1A,S1B,S1Cの中から選択された波長の1つ以上の変調光パルス信号を含む光信号の束又は光信号群(例えば、光信号S1CとS1Aの束であるS1CA、光信号S1AとS1Bの束であるS1AB、光信号S1BとS1Cの束であるS1BC)を複数生成して出力する。図3では、選択部13が、3つの光信号の束S1CA,S1AB,S1BCを生成する場合を示している。
【0033】
選択部13は、3つの変調光パルス信号S1A,S1B,S1Cをスプリッタ13a,13b,13cで分け、各利用者側装置30,40,50に割り当てられた3つの符号を持つ広帯域光符号器14a,14b,14cに物理的に選択して結合する装置である。選択部13により、各利用者側装置30,40,50が必要な波長チャネルの信号だけが、各利用者側装置30,40,50に対応する広帯域光符号器14a,14b,14cに入力される。ここでは、一例として、利用者側装置30については、波長WCのチャネルCh−Cと波長WAのチャネルCh−Aの利用契約があり、利用者側装置40については、波長WAのチャネルCh−Aと波長WBのチャネルCh−Bの利用契約があり、利用者側装置50については、波長WBのチャネルCh−Bと波長WCのチャネルCh−Cの利用契約がある場合を説明する。
【0034】
利用者側装置30は、波長設定部33により、波長WCのチャネルCh−C又は波長WAのチャネルCh−Aのいずれかの受信を選択する。波長WCのチャネルCh−Cが選択されたときは、入力される符号化チップパルス列は、狭帯域可変光復号器31内の波長WC用の狭帯域光復号器31Cに入力され、波長WAのチャネルCh−Aが選択されたときは、入力される符号化チップパルス列は、狭帯域可変光復号器31内の波長WA用の狭帯域光復号器31Aに入力される。狭帯域光復号器31Cと狭帯域光復号器31Aは、同じ符号値を持つ。狭帯域可変光復号器31が1つの波長チャネル用である場合には、波長設定部33は備える必要がない。
【0035】
利用者側装置40は、波長設定部43により、波長WAのチャネルCh−A又は波長WBのチャネルCh−Bのいずれかの受信を選択する。波長WAのチャネルCh−Aが選択されたときは、入力される符号化チップパルス列は、狭帯域可変光復号器41内の波長WA用の狭帯域光復号器41Aに入力され、波長WBのチャネルCh−Bが選択されたときは、入力される符号化チップパルス列は、狭帯域可変光復号器41内の波長WB用の狭帯域光復号器41Bに入力される。狭帯域光復号器41Aと狭帯域光復号器41Bは、同じ符号値を持つ。狭帯域可変光復号器41が1つの波長チャネル用である場合には、波長設定部43は備える必要がない。
【0036】
利用者側装置50は、波長設定部53により、波長WBのチャネルCh−B又は波長WCのチャネルCh−Cのいずれかの受信を選択する。波長WBのチャネルCh−Bが選択されたときは、入力される符号化チップパルス列は、狭帯域可変光復号器51内の波長WB用の狭帯域光復号器51Bに入力され、波長WCのチャネルCh−Cが選択されたときは、入力される符号化チップパルス列は、狭帯域可変光復号器51内の波長WC用の狭帯域光復号器51Cに入力される。狭帯域光復号器51Bと狭帯域光復号器51Cは、同じ符号値を持つ。狭帯域可変光復号器51が1つの波長チャネル用である場合には、波長設定部53は備える必要がない。
【0037】
各利用者側装置30,40,50による利用契約の内容は、上記例に限定されない。また、契約チャネルの数は、上記例に限定されず、1以上、利用可能なチャネル数以下であれば、他の数であってもよい。
【0038】
複数の広帯域光符号器14a,14b,14cはそれぞれ、利用者側装置30,40,50に対応する。広帯域光符号器14aの符号化によって生成されたチップパルス列は、利用者側装置30で復号でき、広帯域光符号器14b,14cの符号化によって生成されたチップパルス列は、利用者側装置30で復号できない。同様に、広帯域光符号器14bの符号化によって生成されたチップパルス列は、利用者側装置40で復号でき、広帯域光符号器14a,14cの符号化によって生成されたチップパルス列は、利用者側装置40で復号できない。同様に、広帯域光符号器14cの符号化によって生成されたチップパルス列は、利用者側装置50で復号でき、広帯域光符号器14b,14cの符号化によって生成されたチップパルス列は、利用者側装置50で復号できない。
【0039】
複数の広帯域光符号器14a,14b,14cはそれぞれ、複数の光信号の束S1CA,S1AB,S1BCにそれぞれ対応する。広帯域光符号器14aは、3つの異なる波長WA,WB,WCの光パルスのそれぞれから、符号化チップパルス列を生成することができる。同様に、広帯域光符号器14bも、3つの異なる波長WA,WB,WCの光パルスのそれぞれから、符号化チップパルス列を生成することができる。同様に、広帯域光符号器14cも、3つの異なる波長WA,WB,WCの光パルスのそれぞれから、符号化チップパルス列を生成することができる。光信号の束S1CAに対応する広帯域光符号器14aは、光信号の束S1CAに含まれる1つ以上の変調光パルス信号(例えば、光信号の束S1CAに含まれる光信号S1C又はS1A)を符号化して、符号化チップパルス列S2CAを出力する。同様に、光信号の束S1ABに対応する広帯域光符号器14bは、光信号の束S1ABに含まれる1つ以上の変調光パルス信号(例えば、光信号の束S1ABに含まれる光信号S1A又はS1B)を符号化して、符号化チップパルス列S2ABを出力する。同様に、光信号の束S1BCに対応する広帯域光符号器14cは、光信号の束S1BCに含まれる1つ以上の変調光パルス信号(例えば、光信号の束S1BCに含まれる光信号S1B又はS1C)を符号化して、符号化チップパルス列S2BCを出力する。
【0040】
符号化チップパルス列S2CA,S2AB,S2BCは、カプラ15で結合(多重化)され、光ファイバ21を伝送して、スプリッタ22により各利用者側装置30,40,50へ分配される。このとき、利用者側装置30,40,50の各々が持つ、固有の狭帯域可変光復号器31,41,51の波長を設定することにより、受信した符号化チップパルス列の符号及び波長と一致する符号及び波長(波長設定部で設定された波長)を持つ狭帯域可変光復号器31,41,51が、一致する符号及び波長を持つ符号化チップパルス列だけから復号を行い、復号(再生)された光パルス信号を光受信機32,42,52に供給する。
【0041】
図3は、図2に示される広帯域光符号器14a,14b,14cの特性の一例を示す反射スペクトルを示す図である。図3には、広帯域光符号器14a,14b,14cの符号は、符号長31で、2値の位相符号
(0πππ000πππ0ππ000000ππππ0π0ππ000)
である場合を示している。図3から、広帯域光符号器14a,14b,14cは、中心波長WB(例えば、1547.72nm)で最も反射率が高く、中心波長WBから短波長側に進むにしたがって反射率は低下し、中心波長WBから長波長側に進むにしたがって反射率は低下する。しかし、中心波長WBから、短波長側に進む波長(例えば、波長WA)及び長波長側に進む波長(例えば、波長WC)のいずれにおいても、波長WBに類似したパターンのスペクトル形状が繰り返している。本実施の形態においては、3つのチャネルの持つ光信号の波長は、中心波長WBに類似するパターンの矢印で示すスペクトルのくぼみの波長WA(1547.40nm)とWC(1548.04nm)に設定している。
【0042】
図4(a)〜(c)は、図2に示される広帯域光符号器14a,14b,14cの構造、周期的屈折率変調構造部である単位回折格子(単位FBG)、及び各部の導波方向の長さを示す図である。図4(a)〜(c)に示されるように、複数の広帯域光符号器14a,14b,14cのそれぞれは、光ファイバ61のコア(光導波路)63と、コア63内に形成され、コア63の導波方向(光ファイバ61の長手方向)に並ぶ複数の周期的屈折率分布構造部62である単位FBGと、複数の単位FBGの間に備えられ、符号化チップパルス列を構成するチップパルスのいずれかの位相をシフトさせる位相シフト部64とを有する。単位FBGは、ブラッグ反射の式
λ=2neff×Λ
に従う回折格子の屈折率変調周期Λで、本実施の形態では、λは約534.8nmとしている。また、neffは、光ファイバのコアの有効屈折率である。
【0043】
単位セグメント長Lsに対する単位回折格子長Lgを制御することにより、反射帯域を制御することができる。本実施の形態では、広帯域光符号器構造部は、3波長(Nw=3)を扱う構造とするため、3倍の帯域が必要である。このため、単位セグメント長Lsは約2.4mmとし、単位回折格子長Lgは、単位セグメント長Lsの3分の1(Ls/Nw)以下となり、ここでは約0.8mmとしている。
【0044】
このように、複数の広帯域光符号器14a,14b,14cのそれぞれにおいては、
コア63に、導波方向に等しい長さに区分した区画である単位セグメントを複数個決め、複数の単位セグメントのそれぞれの中に、複数の単位FBGの1つが配置されている。単位回折格子長(単位FBG長)をLgとし、1個の単位セグメントの導波方向の長さをLsとし、複数の広帯域光符号器のそれぞれが符号化する、異なる周波数の変調光パルス信号の数をNwとしたときに、
Lg≦Ls/Nw
を満たすことが必要である。
【0045】
また、符号に応じて位相シフト量の単位回折格子間に位相シフト部64を持っている構成になっており、単位回折格子間のシフト量は屈折率変調周期Λに対して、隣合う単位回折格子の位相符号が[0,0]又は[π,π]と同じ場合、隣合う単位回折格子は屈折率変調は位相差0を持ち、且つ、隣合う単位回折格子の位相符号が[0,π]又は[π,0]と異なる場合は、屈折率変調は0.5*Λの位相差を持つ。
【0046】
カプラ15は、複数の広帯域光符号器のそれぞれから出力された符号化チップパルス列S2CA,S2AB,S2BCを多重化して、光ケーブルなどの伝送路21に出力する。多重化された符号化チップパルス列S2CA,S2AB,S2BCは、スプリッタ22で分岐され、符号化チップパルス列S2CA,S2AB,S2BCが利用者側装置30,40,50に入力される。
【0047】
図5(a)〜(c)は、狭帯域可変光復号器31,41,51の特性の一例を示す反射スペクトルを示す図である。図5(a)〜(c)においては、狭帯域可変光復号器の符号は、広帯域光符号器と同じ符号長31で、2値の位相符号
(0πππ000πππ0ππ000000ππππ0π0ππ000)
である。狭帯域可変光復号器31,41,51の反射中心波長はそれぞれ1547.40nm、1547.72nm、1548.04nmである。本実施の形態に用いた狭帯域光符号器の光ファイバコア屈折率変調のイメージは、図4と同様な構造で、単位セグメント長は約2.4mmとし、単位回折格子の長さは単位セグメント長と同じとした。狭帯域可変光復号器31,41,51の回折格子の屈折率変調周期Λは、それぞれ約534.7nm、約534.8nm、約534.9nmとした。
【0048】
本実施の形態では、狭帯域可変光復号器31が、図5(c)の特性を持つ狭帯域光復号器31Cと、図5(a)の特性を持つ狭帯域光復号器31Aとを有し、波長設定部33で、使用する狭帯域光復号器を狭帯域光復号器31C又は狭帯域光復号器31Aのいずれかに設定する。同様に、狭帯域可変光復号器41が、図5(a)の特性を持つ狭帯域光復号器41Aと、図5(b)の特性を持つ狭帯域光復号器41Bとを有し、波長設定部43で、使用する狭帯域光復号器を狭帯域光復号器41A又は狭帯域光復号器41Bのいずれかに設定する。同様に、狭帯域可変光復号器51が、図5(b)の特性を持つ狭帯域光復号器51Bと、図5(c)の特性を持つ狭帯域光復号器51Cとを有し、波長設定部53で、使用する狭帯域光復号器を狭帯域光復号器51B又は狭帯域光復号器51Cのいずれかに設定する。
【0049】
狭帯域可変光復号器31には、1又は複数の波長の符号化チップパルス列S2CAと、1又は複数の波長の符号化チップパルス列S2ABと、1又は複数の波長の符号化チップパルス列S2BCとが入力される。狭帯域可変光復号器31は、波長設定部33で設定された波長(受信契約などにより予め決められた波長)の符号化チップパルス列S3A又はS3Cを、受信機32に出力する。
【0050】
狭帯域可変光復号器41には、1又は複数の波長の符号化チップパルス列S2CAと、1又は複数の波長の符号化チップパルス列S2ABと、1又は複数の波長の符号化チップパルス列S2BCとが入力される。狭帯域可変光復号器41は、波長設定部43で設定された波長(受信契約などにより予め決められた波長)の符号化チップパルス列S3A又はS3Bを、受信機42に出力する。
【0051】
狭帯域可変光復号器51には、1又は複数の波長の符号化チップパルス列S2CAと、1又は複数の波長の符号化チップパルス列S2ABと、1又は複数の波長の符号化チップパルス列S2BCとが入力される。狭帯域可変光復号器51は、波長設定部53で設定された波長(受信契約などにより予め決められた波長)の符号化チップパルス列S3B又はS3Cを、受信機52に出力する。
【0052】
《3》実施の形態の動作
図6(a)〜(c)は、図2に示される光信号分割多重装置10の広帯域光符号器14a,14b,14cの符号化波形を示す図である。本実施の形態においては、1つの広帯域光符号器14a,14b,14cによる3つの異なる光信号入力パルス幅20psの符号化パルス列を示す。図6(a)〜(c)において、3つの波長WA,WB,WCの光信号の符号化パルス列は、ほぼ同様な形である。このことは、広帯域光符号器14a,14b,14cの各々が、異なる波長の複数の光信号を、同じ符号で符号化していることを示している。
【0053】
図7(a)〜(c)は、図2に示される利用者側装置30,40,50の狭帯域可変光復号器31,41,51の復号波形(自己相関波形)を示す図である。図7(a)は波長WA用の狭帯域光復号器(図2においては、狭帯域光復号器31A又は41A)による復号波形(自己相関波形)である。図7(b)は波長WB用の狭帯域光復号器(図2においては、狭帯域光復号器41B又は51B)による復号波形(自己相関波形)である。図7(c)は波長WC用の狭帯域光復号器(図2においては、狭帯域光復号器51C又は31C)による復号波形(自己相関波形)である。図7(a)〜(c)に示されるように、狭帯域可変光復号器31,41,51による、それぞれの3つの異なる光信号の自己相関波形は、各々の狭帯域光復号器が扱う波長に対応する波長の光信号を再現している。
【0054】
図8(a)及び(b)は、波長WA用の狭帯域光復号器(図2においては、狭帯域光復号器31A又は41A)により、波長WBと波長WCのチップパルス列を復号したときの相互相関波形を示す図である。図8(a)及び(b)に示される相互相関波形の光の強度は、図7(a)の波長WAの光信号の自己相関波形のピーク値で規格化されている。このように、図8(a)及び(b)に示される相互相関波形のピーク値は、図7(a)の波長WAの光信号の自己相関波形のピーク値より十分に小さく、図7(a)の波長WAの光信号の自己相関波形を、しきい値処理により容易に区別することができる。
【0055】
図9(a)及び(b)は、波長WB用の狭帯域光復号器(図2においては、狭帯域光復号器41B又は51B)により、波長WAと波長WCのチップパルス列を復号したときの相互相関波形を示す図である。図9(a)及び(b)に示される相互相関波形の光の強度は、図7(b)の波長WBの光信号の自己相関波形のピーク値で規格化されている。このように、図9(a)及び(b)に示される相互相関波形のピーク値は、図7(b)の波長WBの光信号の自己相関波形のピーク値より十分に小さく、図7(b)の波長WBの光信号の自己相関波形を、しきい値処理により容易に区別することができる。
【0056】
図10(a)及び(b)は、波長WC用の狭帯域光復号器(図2においては、狭帯域光復号器51C又は31C)により、波長WAと波長WBのチップパルス列を復号したときの相互相関波形を示す図である。図10(a)及び(b)に示される相互相関波形の光の強度は、図7(c)の波長WCの光信号の自己相関波形のピーク値で規格化されている。このように、図10(a)及び(b)に示される相互相関波形のピーク値は、図7(c)の波長WCの光信号の自己相関波形のピーク値より十分に小さく、図7(c)の波長WCの光信号の自己相関波形を、しきい値処理により容易に区別することができる。
【0057】
《4》実施の形態の効果
以上に説明したように、本実施の形態によれば、加入者系システムの映像配信など、局社側設備である光信号分割多重装置10から複数の利用者側装置30,40,50へデータ配信する場合に、チャネル毎に波長を振り分け、且つ、利用者側装置30,40,50を符号ごとに振り分けている。このようにすることにより、各利用者側装置30,40,50は不要なチャネルのデータも受信することになく、物理的に利用者側装置30,40,50が必要な複数のチャネル信号(例えば、受信契約しているチャンルに対応する波長のチャネル信号)を受信し、希望の波長チャネルを波長設定部で選択することができる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、複数の波長チャネルの光信号を同時に同じ符号に符号化できる広帯域光符号器を用いているので、広帯域光符号器は、FBG符号器を複数の波長チャネルに1つ備えればよい。このため、FBG符号器とFBG復号器とを、波長チャネルごとに1対用意する必要がある従来の構成に比べて、1チャネル当たりのコストの削減、FBF符号器の実装面積の低減を実現できる。
【0059】
《5》変形例
上記説明では、光ファイバのコアにブラッグ回折格子を形成することによって形成された周期的屈折率変調構造部を、光符号器及び光復号器に適用した場合を述べた。しかし、ブラッグ回折格子以外の周期的屈折率変調構造部を、光符号器及び光復号器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 光信号分割多重装置(送信側装置)、 11 パルス信号発生部、 11a,11b,11c パルス発生器、 12 光変調部(変調光パルス出力部)、 12a,12b,12c 光変調器、 13 選択部、 13a,13b,13c スプリッタ、 14a,14b,14c 広帯域光符号器、 15 カプラ、 21 光ケーブル、 22 スプリッタ、 30,40,50 利用者側装置(受信側装置)、 31,41,51 狭帯域可変光復号器、 32,42,52 光受信機、 33,43,53 波長設定部、 61 光ファイバ、 62 単位回折格子、 63 コア、 64 位相シフト部、 65 回折格子、 WA,WB,WC 波長、 S0A 波長WAのパルス信号、 S0B 波長WBのパルス信号、 S0C 波長WCのパルス信号、 S1A 波長WAの変調光パルス信号、 S1B 波長WBの変調光パルス信号、 S1C 波長WCの変調光パルス信号、 S2CA 多重化された波長WCの符号化チップパルス列と波長WAの符号化チップパルス列、 S2AB 多重化された波長WAの符号化チップパルス列と波長WBの符号化チップパルス列、 S2BC 多重化された波長WBの符号化チップパルス列と波長WCの符号化チップパルス列、 S3A 波長WAの復号波形(自己相関波形)、 S3B 波長WBの復号波形(自己相関波形)、 S3C 波長WCの復号波形(自己相関波形)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる波長の、複数の変調光パルス信号を出力する変調光パルス出力部と、
前記複数の変調光パルス信号の中から選択された波長の1つ以上の変調光パルス信号を含む光信号の束を複数生成して出力する選択部と、
前記複数の光信号の束にそれぞれ対応する複数の広帯域光符号器と
を備え、
前記複数の広帯域光符号器のそれぞれは、前記複数の光信号の束の内の対応する光信号の束に含まれる1つ以上の変調光パルス信号を符号化して、1つ以上の符号化チップパルス列を出力し、
前記複数の広帯域光符号器のそれぞれから出力された前記1つ以上の符号化チップパルス列を多重化する多重化部をさらに備える
ことを特徴とする光信号分割多重装置。
【請求項2】
前記複数の広帯域光符号器のそれぞれは、
光導波路と、
前記光導波路内に形成され、前記光導波路の導波方向に並ぶ複数の周期的屈折率分布構造部と、
前記複数の周期的屈折率分布構造部の間に備えられ、前記符号化チップパルス列を構成するチップパルスのいずれかの位相をシフトさせる位相シフト部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の光信号分割多重装置。
【請求項3】
前記複数の広帯域光符号器のそれぞれは、
前記複数の周期的屈折率分布構造部は、複数の単位回折格子であり、
前記光導波路を導波方向に等しい長さに区分した区画である単位セグメントを複数個決め、前記複数の単位セグメントのそれぞれの中に、前記複数の単位回折構成の1つが配置され、
前記単位回折格子長をLgとし、
1個の前記単位セグメントの導波方向の長さをLsとし、
前記複数の広帯域光符号器のそれぞれが符号化する、異なる周波数の変調光パルス信号の数をNwとしたときに、
Lg≦Ls/Nw
である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光信号分割多重装置。
【請求項4】
多重化された光信号を伝送路に出力する送信側装置と、
前記伝送路を通して前記多重化された光信号を受信する複数の受信側装置と
を備える光信号分割多重伝送システムにおいて、
前記送信側装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光信号分割多重装置であり、
前記複数の受信側装置は、前記複数の広帯域光符号器のいずれかに対応し、
前記複数の受信側装置のそれぞれは、対応する前記広帯域光符号器の符号可能帯域により狭い復号可能帯域を持つ狭帯域可変光復号器を有し、
前記狭帯域可変光復号器は、多重化された前記1つ以上の符号化チップパルス列を受け取り、復号する光信号の波長を選択し、前記1つ以上の符号化パルス信号のうちの選択された波長の符号化パルス信号を復号する手段を有する
ことを特徴とする光信号分割多重伝送システム。
【請求項5】
互いに異なる波長の、複数の変調光パルス信号を出力する工程と、
前記複数の変調光パルス信号の中から選択された波長の1つ以上の変調光パルス信号を含む光信号の束を複数生成して出力する工程と、
前記複数の光信号の束にそれぞれ対応する複数の広帯域光符号器のそれぞれが、前記複数の光信号の束の内の対応する光信号の束に含まれる1つ以上の変調光パルス信号を符号化して、1つ以上の符号化チップパルス列を出力する工程と、
前記複数の広帯域光符号器のそれぞれから出力された前記1つ以上の符号化チップパルス列を多重化する工程と
を有することを特徴とする光信号分割多重方法。
【請求項6】
送信側装置から伝送路を通して、多重化された複数の符号化チップパルス列を複数の受信側装置に伝送する光信号分割多重伝送方法であって、
前記送信側装置において、
互いに異なる波長の、複数の変調光パルス信号を出力し、
前記複数の変調光パルス信号の中から選択された波長の1つ以上の変調光パルス信号を含む光信号の束を複数生成し、
前記複数の光信号の束にそれぞれ対応する複数の広帯域光符号器のそれぞれが、前記複数の光信号の束の内の対応する光信号の束に含まれる1つ以上の変調光パルス信号を符号化して、1つ以上の符号化チップパルス列を出力し、
前記複数の広帯域光符号器のそれぞれから出力された前記1つ以上の符号化チップパルス列を多重化し、
前記複数の受信側装置のそれぞれにおいて、
多重化された前記1つ以上の符号化チップパルス列を受け取り、
復号する光信号の波長を選択し、
前記1つ以上の符号化パルス信号のうちの選択された波長の符号化パルス信号を復号する
ことを特徴とする光信号分割多重伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−199759(P2011−199759A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66624(P2010−66624)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】