説明

光出力を改良したLEDデバイス

薄膜白色発光ダイオードデバイスは、反射導電性薄膜構造と、半透明導電性薄膜構造とを含む。1つ、又は2つ以上の薄膜層は、反射導電性薄膜構造と、半透明導電性薄膜構造との間に形成されて、2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造を形成する。薄膜層は、導電性薄膜構造が提供する電流に応答して白色光を発光する。2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造はそれぞれ、1つ、又は2つ以上の光キャビティ内部に異なる共振周波数を有し、単数、又は複数の白色光発光薄膜層のスペクトル域よりも狭いスペクトル域を有する光を発光する。2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造が発光する光の組み合わせが白色である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)に関する。より詳細には、光出力、製造可能性、及び角度性能(angular performance)を改良したLEDデバイス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
発光型のフラットパネルディスプレイデバイスが、計算機器、特に携帯型デバイスと共に広く使用される。これらのディスプレイは、著しい周囲照明がある公共の場所において多々使用され、広角かつ様々な角度から観視される。また、このようなデバイスは、領域照明デバイス、又は照明器具としても開発される。
【0003】
発光材料の薄膜を組み込む発光ダイオード(LED)は、フラットパネルディスプレイにおいて多くの利点を有し、光学システムにおいて有用である。これらの膜は、有機材料、及び無機材料の一方、又は双方を有することができる。2002年5月7日にTangらに特許された米国特許第6384529号は、OLED発光素子(画素)のアレイを有するOLEDカラーディスプレイを示す。有機材料を電流が流れるときに、光が画素から発光され、光の周波数は、使用する有機材料の特性に依存する。有機材料は、基板の間に位置し、カバー層、又はカバー面により密封される。このディスプレイでは、基板(裏面エミッタ)、又は封入カバー(表面エミッタ)、若しくは基板と封入カバーとの双方を介して放出できる。発光は、ランベルトである。すなわち、全ての方向に均等に発光する。LEDデバイスは、光学指数が高い発光材料を使用するので、発光の大部分(50%以上など)は、全体の内部反射のためにデバイス内に閉じ込められて、デバイスの効率を低下させる。例えば、無機材料は、リン光性結晶、又は量子ドットを有することができる。有機材料、又は無機材料の他の薄膜を採用して、発光薄膜への電荷の注入、移動、又は阻止を制御できるが、これは周知である。
【0004】
光キャビティ構造(optical cavity structure)は、LEDデバイス構造から発光される光を増加することが、知られる。このような光キャビティ構造は、薄膜に形成されるときに、マイクロキャビティ、又は光マイクロキャビティとしても知られる。LED構造に形成されるときに、種々のカラー発光有機材料が、反射電極と、半透明電極との間の基板上にパターン状に蒸着される。種々の色を有する発光は、一般的にはパターン化された発光材料が発光する光に対応する、光の所望のピーク波長に調整される光キャビティ内部に、有機発光材料、又は無機発光材料を蒸着することによって形成される。米国特許第6680570号は、スペーサ層を採用して光キャビティを形成する改良型光制御を有する有機発光デバイスを説明する。図9において、アクティブマトリクス薄膜素子30と、平坦化構造32、及び34と、半透明電極16とを有する基板を採用する先行技術であるアクティブマトリクス裏面発光光キャビティデバイスを示す。赤色、緑色、及び青色の発光を提供するパターン化された有機材料14R、14G、及び14Bは、発光層14に蒸着される。光スペーサ26R、26G、及び26Bを採用して、光発振器60、62、及び64を形成して、赤色、緑色、及び青色の光の所望のピーク波長にそれぞれ調整して、赤色光80と、緑色光82と、青色光84とを発光する。カバー20を採用して、デバイスを保護及び封入できる。このような配置は有用であるが、パターン化された有機材料蒸着技術(メタルシャドーマスクによる真空蒸着など)が必要になるので、大きな基板に搭載することが難しい。さらにまた、真空発振器デバイスは、許容できない角度色依存(angular color dependence)を有する。米国特許第7189238号などで教授されるように、光キャビティ構造を有するカラーフィルタを採用することが知られる。しかしながら、このアプローチは、有用である一方、デバイスの製造可能性を改良せず、ある照明条件の下では、このアプローチが提供する環境コントラスト比は不十分である。さらにまた、カラーフィルタが発光層から発光する光を吸収することによって、デバイスの効率が低下する。
【0005】
名称を「発光素子(Light-emitting elements)」という米国特許第5554911号は、発光波長を決定する光学的距離がそれぞれ異なる少なくとも2つの光キャビティ構造を有するマルチカラー発光素子を説明する。光キャビティはそれぞれ、発光領域として有機材料を有するが、これは、素子内において、均一な厚さの単一の膜にできる。名称を「同調マイクロキャビティOLEDディスプレイ(Tuned microcavity color OLED display)」という米国特許第6861800号は、共通の基板に亘って、所定の異なる色の光を発光する少なくとも2つの異なるカラー画素の組に分割される画素のアレイを有するマイクロキャビティOLEDデバイスを説明する。ここで、アレイの画素はそれぞれ、基板に亘って配置される金属製裏面電極層と、金属製裏面電極層から距離をあけて配置される別の半透明金属電極層とを有する。半透明金属電極層の材料は、Ag、Au、及びこれらの合金を含む。半透明金属電極層の膜厚、有機層と、透明導電相の層とを合わせた膜厚、及び発光層の配置は、ディスプレイの画素がそれぞれ、マイクロキャビティを有しない比較可能なOLEDデバイスの発光出力効率を超える発光出力効率を有する同調マイクロキャビティOLEDデバイスを形成するように選択される。米国特許第5949187号は、第1の透明スペーサと、第1のスペーサの上に位置し、OLEDに光を反射し、かつ第1のマイクロキャビティの光学的距離を規定する第1のミラー堆積とを備える第1のマイクロキャビティを有するOLEDを説明する。第1のマイクロキャビティの光学的距離によって、第1のマイクロキャビティから放出される光は、第1のスペクトルを有する。第2のマイクロキャビティは、第1のマイクロキャビティに近接して位置する第2の透明スペーサと、第2のスペーサ上に位置し、第2のマイクロキャビティに向けて光を反射し、かつ第2のマイクロキャビティの光学的距離を規定する第2のミラー堆積とを有する。第2のマイクロキャビティの光学的距離によって、第2のマイクロキャビティから放出される光は、第2のスペクトルを有する。マイクロキャビティを構造内にさらに配置させて、光のスペクトルをさらに増進し、かつ変化できる。しかしながら、このような配置は、製造コストが増加し、所望の光出力よりも光出力が低く、所望の反射率よりも反射率が大きく、さらに法線に対する角度が変化するために光の実効的な光路長が変化することによって、異なる視野角で色が著しく変化する可能性がある。
【0006】
名称を「マイクロキャビティOLEDデバイスのための色の変化の抑制、又は除去(Reducing or eliminating color change for microcavity OLED devices)」というAntoniadisによる米国特許出願2006/0066228 A1は、異なる視野角における色の変化を最小化し、又は除去するマイクロキャビティOLEDデバイスを開示する。OLEDデバイスは、OLEDディスプレイ、又は領域照明に使用するOLED光源などにできる。このOLEDデバイスは、それぞれが非吸収材料からなるマルチレイヤミラーを基板上に有する。また、OLEDデバイスは、マルチレイヤー化された第1のミラー上に実質的に透明な第1の電極を有する。発光層は、第1の電極の上にある。第2の電極は、発光層の上にある。第2の電極は、反射が大きく、ミラーとして機能する。マルチレイヤミラーと第2の電極とは、マイクロキャビティを形成する。光変調薄膜は、基板の表面にある。光変調薄膜は、カットオフカラーフィルタ、バンドパスカラーフィルタ、強化輝度フィルム、色の変化が知覚される角度の発光スペクトルを減衰するマイクロ構造、又は出力する発光スペクトルが共通と知覚される色を有するように波長を再配分するマイクロ構造のいずれか1つにできる。この場合もやはり、パターン化する蒸着処理のために製造価格が上昇する可能性がある。また、カラーフィルタが光を著しく吸収することによって、効率が低くなる可能性がある。
【0007】
大きな基板における材料蒸着の問題を克服する1つのアプローチは、名称を「効率を改善した積層OLEDディスプレイ(Stacked OLED Display having Improved Efficiency)」というCokらによる米国特許第6987355号に教授されるように、カラーフィルタと共に白色光エミッタなどの単一の発光層を採用して、フルカラーディスプレイを形成することである。しかしながら、カラーフィルタを使用することによって、デバイスの効率が著しく低下する。名称を「電力効率を改良したカラーOLEDディスプレイ(Color OLED Display with Improved Power Efficiency)」というCokらによる米国特許第6919681号などに教授されるように、カラーフィルタを有しない白色のサブ画素を採用することもまた知られる。しかしながら、この開示は、角度色の問題、又はトラップされる多量の光については対処しない。
【0008】
またマイクロキャビティOLEDデバイスから白色光発光を作り出すことが知られる。名称を「白色発光マイクロキャビティOLEDデバイス(White-emitting microcavity OLED device)」という米国特許出願20050073228 A1は、マイクロキャビティOLEDデバイスと、光統合素子とを有する白色光発光OLED装置を説明する。ここで、マイクロキャビティOLEDデバイスは、白色光発光有機EL素子を有し、マイクロキャビティOLEDデバイスは、角度依存狭帯域発光を有するように構成され、光統合素子は、マイクロキャビティOLEDデバイスからの角度が異なる角度依存狭帯域発光を統合して、白色光発光を形成する。しかしながら、この配置の色、すなわち白色点は、強い角度依存を有する。
【0009】
名称を「マイクロキャビティ・ガモット・サブ画素と、ウィズイン・ガモット・サブ画素とを有するOLEDデバイス(OLED device having microcavity gamut sub-pixels and a within gamut sub-pixel)」というWintersらによる米国特許第7030553号は、マイクロキャビティデバイスの一例を開示する。この開示は、光を作り出す少なくとも1つの発光層と、間隔をあけた電極とを備える有機層を有するサブ画素をそれぞれが備える光放出画素のアレイを有するOLEDデバイスを説明する。カラー・ガモットを規定する光を作り出す少なくとも3つのガモット・サブ画素と、ガモット・サブ画素が作り出すカラー・ガモット内部に光を作り出す少なくとも1つのサブ画素とがある。ガモット・サブ画素の少なくとも1つは、マイクロキャビティを形成するように機能する反射体と、半透明反射体とを有する。しかしながら、この配置は、パターン化された半透明電極を採用して、白色サブ画素を形成するが、表面発光型で製造することが難しい。またこの特許では、角度色変化には対処しない。
【0010】
したがって、先行技術の欠点を克服し、LEDデバイスの光出力、角度色性能、及び製造可能性を向上させる改良型光発光構造のニーズが未だに存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、薄膜と、反射導電性薄膜構造を有する白色光発光ダイオードデバイスと、半透明導電性薄膜構造とを提供することによって、上述のニーズに対処する。1つ、又は2つ以上の薄膜層は、反射導電性薄膜構造と、半透明導電性薄膜構造との間に形成されて、2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造を形成する。薄膜層は、導電性薄膜構造が提供する電流に応答して白色光を発光する。2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造はそれぞれ、1つ、又は2つ以上の光キャビティ内部に異なる共振周波数を有し、単数、又は複数の白色光発光薄膜層のスペクトル域よりも狭いスペクトル域を有する光を発光する。2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造が発光する光の組み合わせが白色である。
【0012】
本発明の他の態様は、単数、又は複数の白色光発光薄膜層のスペクトル域よりもスペクトル域が狭い光を発光する2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造を提供し、1つ、又は2つ以上の角度に亘り共通制御マイクロキャビティ構造が発光する組み合わせ光の色の変化は、1つ又は2つ以上の角度に亘り共通制御マイクロキャビティ構造の少なくとも1つが発光する組み合わせ光の色の変化よりも小さい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、光出力と製造可能性を向上し、角度色変化が減少するという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る実施形態に従うLEDデバイスの部分横断面を概略的に示す図である。
【図2】本発明に係る実施形態に従う上部エミッタLEDデバイスの部分横断面を概略的に示す図である。
【図3A】本発明に係る実施形態に従うスペーサを有する上部エミッタLEDデバイスの部分横断面を概略的に示す図である。
【図3B】本発明に係る実施形態に従うスペーサを有する上部エミッタLEDデバイスの部分横断面を概略的に示す図である。
【図4】本発明に係る様々な実施形態に有用な複数の共振周波数を有する光キャビティを概略的に示す図である。
【図5】本発明に係る実施形態に従うLEDデバイスを採用するシステムである。
【図6】本発明に係る様々な実施形態のCIExとCIEyとにおける光発光波長を概略的に示すグラフである。
【図7】本発明に係る様々な実施形態を理解するのに有用な黄色と青色との様々な周波数を組み合わせした一定のD65光出力を概略的に示すグラフである。
【図8A】本発明に係る様々な実施形態において有用なマイクロキャビティ構造を有しない一般的な視野角における白色発光のスペクトルを概略的に示すグラフである。
【図8B】本発明に係る様々な実施形態において有用なカラーフィルタのスペクトルと共に、垂直の視野角、及び異なる視野角におけるマイクロキャビティによる白色発光のスペクトルを概略的に示すグラフである。
【図8C】カラーフィルタを統合する本発明に係る実施形態のCIExとCIEyとにおける発光波長を概略的に示すグラフである。
【図9】従来の裏面エミッタLEDデバイスの部分横断面を概略的に示す図である。
【図10A】本発明に係る様々な実施形態に従う共通制御可能な部分の相対的に大きさが異なる白色サブ画素での視野角における白色点の変化を概略的に示すグラフである。
【図10B】本発明に係る様々な実施形態に従う共通制御可能な部分の相対的に大きさが異なる白色サブ画素での視野角における白色点の変化を概略的に示すグラフである。
【図11】本発明に係るLEDデバイスの製造方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
層はそれぞれ、非常に薄く、それぞれの層の膜厚の違いは、縮尺比を描写するには大き過ぎるので、図において、縮尺比は一定ではない。
【0016】
図1を参照すると、本発明に従う白色光発光薄膜ダイオードデバイスは、反射導電性薄膜構造12と、半透明導電性薄膜構造16とを有する。1つ、又は2つ以上の薄膜層14を、反射導電性薄膜構造12と、半透明導電性薄膜構造16との間に形成することによって、2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造28を形成する。薄膜層14は、導電性薄膜構造12、及び16が提供する電流に応答して白色光を発光する。2つ以上のマイクロキャビティ構造28はそれぞれ、単数、又は複数の白色光発光薄膜層14のスペクトル域よりも狭いスペクトル域を有する光を発光する。マイクロキャビティ構造28が発光する光の組み合わせは、白色である。マイクロキャビティ構造28が発光する光の角度の範囲に亘る色の変化は、マイクロキャビティ構造28の少なくとも1つが発光する光の角度の範囲に亘る色の変化よりも小さい。
【0017】
全ての薄膜層は、基板10の上に形成できる。基板10及びカバー20に対する反射導電性薄膜構造12と、半透明導電性薄膜構造16との位置を、反対にして、表面発光LED、又は裏面発光LEDを形成できる。これらの双方は、本発明において考慮される。公知のように、薄膜層は、白色光を発光すると共に、複数の発光層をそれぞれ有することができる。しかしながら、マイクロキャビティ内部で採用されるとき、マイクロキャビティ構造からの発光は、マイクロキャビティ構造による建設的、及び破壊的な(constructive and destructive)光の干渉によって、カラー化されるであろう。
【0018】
本発明をさらに理解するために、採用されるいくつかの用語を理解することは有用である。反射薄膜構造は、典型的には、少なくとも1つの所望の波長において、放射エネルギの少なくとも50%が典型的には反射されることになり、好適には、少なくとも1つの所望の波長において、放射エネルギの少なくとも80%が反射されることになるであろう。しかしながら、このような反射薄膜構造は、放射エネルギの少なくとも90%より多くを反射することが望ましいことが認識されるであろう。本発明に係る半透明導電性膜は、所望の波長範囲内において、吸収率が非常に低いことが望まれる。このような膜は、典型的には、衝突する放射エネルギの少なくとも10%を反射することになり、好適には、所望の波長範囲に亘り衝突する放射エネルギの実質的にはより多くを反射することができる。角度の範囲を説明するとき、典型的には、この角度は、基板の法線ベクトルに対応して測定され、反射導電性薄膜構造のアクティブ領域にも垂直になることが多いであろう。
【0019】
さらにこの開示において、用語白色は、人間の観察者に適応して、白色であると知覚される、いずれの色を参照する。この色は、CIE1976統一色度図などの知覚的に関連する色空間内部のプランク軌跡に対応して特定されることが多い。本発明のためには、典型的には、CIE1976統一色度図にプロットしたときに、3000ケルビンと20000ケルビンとの間の黒体温度であるプランク軌跡の0.05単位内にある場合に、色は、白色であると特定されるであろう。
【0020】
パターン化されていない白色エミッタが、本発明において採用できる一方、本発明の他の実施形態において、発光層は、パターン化できる。例えば、種々の共通制御マイクロキャビティ構造に種々の発光材料を採用できる。この場合、2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造はそれぞれ、単数、又は複数の発光薄膜層が発光する組み合わせ光のスペクトル域よりも狭いスペクトル域を有する光を発光する。共通制御マイクロキャビティ構造が角度範囲に亘って発光する組み合わせ光の色の変化は、共通制御マイクロキャビティ構造の少なくとも1つが角度範囲に亘り発光する組み合わせ光の色の変化よりも小さい。本発明のさらなる実施形態に従うと、共通制御マイクロキャビティ構造28の少なくとも2つが発光する光は、補完的である。本明細書で使用するとき、補完的な光(complementary light)は、白色光をともに形成する光の2つの周波数、又は周波数範囲をいう。マイクロキャビティ構造28A及び28Bの対は、マイクロキャビティ構造27Aを形成する。マイクロキャビティ構造27Aの一方のマイクロキャビティ構造28Aは、黄色光を発光し、マイクロキャビティ構造27Aの他方のマイクロキャビティ構造28Bは、青色光を発光する。また例えば、マイクロキャビティ構造27Bの一方のマイクロキャビティ構造28Cは、マゼンタ光を発光し、マイクロキャビティ構造27Bの他方のマイクロキャビティ構造28Dは、緑色光を発光する。またさらなる他の例では、マイクロキャビティ構造27Cの一方のマイクロキャビティ構造28Eは、赤色光を発光し、マイクロキャビティ構造27Cの他方のマイクロキャビティ構造28Fは、シアン光を発光する。本発明のいくつかの実施形態では、27Aなどの補完的な対の1つを採用できる。他の実施形態において、補完的な対を有する2つのマイクロ構造(27A及び27Bなど)を採用できる。さらなる他の実施形態において、図1に示すように、補完的な対を有する3つのマイクロ構造(27A、27B、及び27Cなど)を採用できる。本発明の1つの実施形態に従うと、全ての補完的な対は、単一の制御によって、共通制御できる。本発明の他の実施形態に従うと、マイクロキャビティ構造27Aに関連付けられる補完的な対の第1の制御と、マイクロキャビティ構造27Bに関連付けられる補完的な対の第2の制御と、マイクロキャビティ構造27Cに関連付けられる補完的な対の第3の制御とを有し、個別制御できる。
【0021】
本発明の他の実施形態において、さらなるマイクロキャビティ構造、又は非マイクロキャビティ構造を、カラーフィルタと共に採用し、又はカラーフィルタを有さずに採用できる。例えば図2を参照すると、本発明に従う発光ダイオードデバイスの典型的な実施形態は、基板10と、ここではアルミニウム、又は銀などの反射導電性金属で形成される反射電極である導電性薄膜構造12と、ここでは、銀などの金属の非常に薄い薄膜で形成される半透明電極である半透明導電性薄膜構造16とを有する。反射導電性薄膜構造12と、半透明導電性薄膜構造16とは、基板上に形成される。反射電極、又は半透明電極の少なくとも1つをパターン化して、個別制御可能な発光ダイオード素子50、52、54、及び56を形成する。図2に示すように、例えば、反射電極12をパターン化できる。個別制御可能な発光ダイオード素子は、基板10上に形成される薄膜電極コンポーネント30などによって制御できる。他方の電極16は、パターン化されず、発光素子50、52、54、及び56の全てと電気的に共通にできる。パターン化されていない白色発光層14は、反射導電性薄膜構造12と、半透明導電性薄膜構造16との間に形成され、公知のように電荷制御層などのいくつかの層を有することができる。反射導電性薄膜構造12と、半透明導電性薄膜構造16と、パターン化されていない白色発光層14とは、光キャビティ60、62、64、及び66を形成する。光キャビティは、以下で説明するように66Y及び66Bなどの複数の共通制御光マイクロキャビティをさらに有する。いくつかのカラーフィルタ40R、40G、及び40Bは、個別制御可能な発光素子50、52、及び54に対応するパターン化されていない白色発光層14の反対の、半透明導電性薄膜構造16の側に形成され、カラー化サブ画素を形成する。カラーフィルタは、少なくとも2つの異なる色を有する。1つの個別制御可能な少なくとも1つの発光素子56は、ともに実質的に白色光を発光して白色サブ画素を形成する少なくとも2つの共通制御部56Y及び56Bを有する。光キャビティ66の白色サブ画素の1つ、又は2つ以上の共通制御部56Y及び56Bは、複数の光マイクロキャビティ66Y、及び66Bを有する。光マイクロキャビティはそれぞれ、発光角の範囲において、補完的な異なる波長の光を発光するように調整される。本発明に従うと、共通制御マイクロキャビティ構造が角度の範囲において発光する組み合わせ光の色の変化は、マイクロキャビティ構造の少なくとも1つが角度の範囲において発光する組み合わせ光の色の変化よりも小さい。
【0022】
本発明の1つの実施形態に従うと、反射導電性薄膜構造12、又は半透明導電性薄膜構造16は、アルミニウム、銀、マグネシウム、又はこれらの金属の合金などの金属層などの単一の層を有する。
【0023】
図2に示すように、本発明は、反射導電性薄膜構造12と、発光層14、又は半透明導電性薄膜構造16との間に種々の膜厚を有する透明スペーサ層26R、26G、26B、及び26Wを採用できる。この層は、有機、又は無機であるが、所望の高い導電性を有して、LEDの電圧を抑制する。また先行技術で教授されるように、透明抵抗層を採用して、短絡低減特性を提供できる。種々の膜厚を選択して、種々の光キャビティ60、62、64の光学的な応答を調整する。
【0024】
図3Aを参照すると、図2の一部のより詳細な図において、反射導電性薄膜構造12は、光キャビティのためのスペーサ26と共に、基板(図示せず)上に形成される。光キャビティ60、62、64、66Y、66Bはそれぞれ、スペーサ26R、26G、26B、26WY、26WBによって調整されて、赤色、緑色、青色、青色、黄色などの光マイクロキャビティをそれぞれ形成する。この例では64と66Bなどの同様なカラーを提供する光キャビティ内部のスペーサ層は、共通の厚さを有し、共通のステップで形成されるスペーサ26B、及び26WBを有することができる。しかしながら、これは必須ではなく、2つのスペーサを異なる厚さにして、彩度、効率などのパラメータの間の種々のトレードオフを提供する。本発明の他の実施形態において、図3Bに示すように、光キャビティは、分離した反射層11と透明導電性層15との間の透明スペーサ層13R、13G、13B、13WY、13WBを採用して調整でき、分離した反射層11と透明導電性層15もまた、反射導電性薄膜12を有する。導電性、又は非導電性透明スペーサ素子13を、反射層11と、二酸化シリコン、シリコン窒化物、若しくはITO、IZO、又はAIZOなどを、導電性酸化物などの分離した透明導電性層15との間に採用できる。また、透明導電性層15は、反射層11上に電気的に接続して直接形成できる。反射層15もまた導電性である。
【0025】
本発明の1つの実施形態において、マイクロキャビティ構造26は、(図1及び2に示すように)基板と互いに近接して形成される。図4に示す他の実施形態において、第1及び第2のマイクロキャビティ構造を2つ以上の異なる周波数29A及び29Bにおける共通のキャビティ共振において形成される。本明細書で採用されるとき、このような2つの周波数における光キャビティの共振は、それぞれが共振周波数の1つにおいて発光する2つの光キャビティ構造を形成すると考えられる。具体的には、このような光キャビティは、青色及び赤色の双方の周波数で共振して、マゼンタ光と知覚される光を発光できる。
【0026】
RGBW(赤色、緑色、青色、及び白色)サブ画素アーキテクチャにおいて、本発明を採用して、ディスプレイなどの情報表示デバイスにおいてそれぞれの画素を形成できる(図2)。パターン化されていない共通の白色エミッタ14を採用する。カラー化された光は、(カラーサブ画素のための)カラーフィルタ40R、40G、40Bと共にそれぞれの色に調整されたマイクロキャビティを組み合わせて形成する。ブラックマトリクス40Kを採用して、発光素子50、52、54、及び56の間の環境光を吸収できる。平坦化層32、及び絶縁層34によって、個別制御可能な発光素子を電気的に絶縁できる。カラーフィルタは、光マイクロキャビティ66Y及び66Bが補完的な色を形成するので、共通制御可能なマイクロキャビティ構造56Y、及び56Bには必要ではないことがある。しかしながら、以下に説明するように、本発明のさらなる実施形態において、1つ、又は2つ以上の分離したカラーフィルタ40WY、及び40WBを、白色サブ画素56の共通制御可能な部分56Y、及び56Bと共に採用でき、又は別に採用できる。
【0027】
また、本発明を採用して、領域照明デバイス、又は照明器具を形成できる。後者の場合、高い演色指数(CRI)を提供するために、広範な様々な周波数における発光が必要である。それ故に、図1に示すように広範に分布する周波数の組を有する補完的なマイクロキャビティ構造を採用することによって、高品質の白色光源を提供できる。図5に示すように、ディスプレイ、領域照明、又は照明器具などは、典型的には、情報信号、又は電力信号320に応答して導電する電極である反射導電性薄膜構造12と半透明導電性薄膜構造16を介して、薄膜、白色発光ダイオードデバイスに電力を供給し、制御する制御器310と共にLEDデバイス300を有する発光システムに採用できる。
【0028】
薄膜光キャビティ構造を採用する先行技術の発光の解決法は、白色発光が十分でなく、特に、様々な角度において観視するときに色が変化する傾向が強い。しかしながら、本発明が教授するように、共通制御マイクロキャビティ構造28は、単数、又は複数の白色発光薄膜層14のスペクトル域よりも狭いスペクトル域を有する光を発光する。マイクロキャビティ構造28が発光する組み合わせは、実質的に白色であり、マイクロキャビティ構造28は発光する組み合わせ光の角度の範囲における色の変化は、マイクロキャビティ構造28の少なくとも1つが発光する光の角度の範囲における色の変化よりも小さい。したがって、本発明は、角度依存が低い白色光を作り出す薄膜光キャビティ構造を提供する。
【0029】
この開示において、光の補完的な波長は、ともに観視されるときに、プランク軌跡上の、又はプランク軌跡に近接する光など、実質的に白色に近い光を形成する光の波長である。例えば、青色と、及び黄色は、チアン及び赤色、並びに緑色及びマゼンタのように補完的な対を形成する。それ故に、白色サブ画素56の共通制御可能な光マイクロキャビティ構造56Y、及び56Bの共通制御可能な光マイクロキャビティ66Y、及び66Bは、ともに観視されるときに、白色光を発光する。本発明の様々な実施形態に従って、白色サブ画素56の共通制御可能な光マイクロキャビティ構造56Y、及び56Bなどの共通制御マイクロキャビティは、典型的な観視距離から観視するとき、人間の目でそれぞれ識別されない。それ故に、白色サブ画素56から発光される光は、実際には補完的な色の組み合わせであるが、白色として観視されることになるであろう。簡単にするために、図2において、青色を発光する光キャビティ66Bと、黄色を発光する光キャビティ66Yとが説明されるが、本発明は、この実施形態にのみに限定されない。
【0030】
動作中、薄膜トランジスタ30を介するなどして供給される電流は、薄膜導電性構造(電極)12、及び16を介して発光層14を通電することによって、光を発光する。発光した光の一部は、デバイスから直接通過し、又はカラーフィルタを介してデバイスから通過する。他の光は、反射電極12から反射して、デバイスを通過する。法線に対して大きい角度で発光する他の光は、全体的な内部反射によって、トラップされる。光キャビティ構造は、発光した光の発光角を減少する役目を果たす。これによって、トラップされる光の量を減少させ、順方向の所望の光により一層集中させる。白色サブ画素56の共通制御可能な光マイクロキャビティ構造56Y、及び56Bは、無関係に活性化されないように、共通の電気制御(トランジスタ30など)によって、同時に駆動される。これによって、異なる光学的な構成素子を有するにも関わらず、1つのサブ画素に相当する。本発明は、アクティブマトリクス制御回路、及びパッシブマトリクス制御回路の双方と共に、採用できる。なお、少なくともいくつかの実施形態において、白色サブ画素56の共通制御可能な光マイクロキャビティ構造56Y、及び56Bの相対的な大きさは、設計及び製造の間に、白色光を発光するように調整できる。また、種々の抵抗を2つのマイクロキャビティ構造56Y、及び56Bのそれぞれの間に採用して、2つのマイクロキャビティ構造に提供する相対的な電流を調整することによって、相対的な輝度を調整する。
【0031】
具体的には、本発明は、法線からの様々な角度において白色として観視される実質的な白色を形成する方法を提供する。それぞれの光マイクロキャビティ66Y、及び66Bから出力される光は、発光する光の角度が、基板に対する法線(90度)から増加すると、周波数が増加する(波長が減少する)。人間の観視システムが緑色に最も敏感であり、また法線に対する視野角が増加すると、白色サブ画素が発光する白色光の全ての周波数が、増加するので、先行技術に従う従来の単一素子白色エミッタは、実質的に青色、より詳細には緑色に近くなる。しかしながら、本発明に従うと、白色サブ画素56の種々の光キャビティは、この効果に対して互いに補完できる。より正確には、白色サブ画素56の共通制御可能な光マイクロキャビティ構造56Y、及び56Bのそれぞれから発光される光の波長は、種々の視野角において変化する一方、共通制御可能な光マイクロキャビティ構造56Y、及び56Bから発光する組み合わせ光の白色点の変化は、共通制御可能な光マイクロキャビティ構造56Y、及び56Bの少なくとも1つの波長の変化による白色点の変化よりも小さい。
【0032】
図6を参照すると、CIE1931x、y色度図は、単色光源の位置を示すスペクトル軌跡205と、赤色光と青色光の双方を含む純紫軌跡206と共に示される。スペクトル軌跡205と、純紫軌跡206とによって囲まれる領域は、全ての可視色を含む。シアン/青色を発光する光マイクロキャビティ(光マイクロキャビティ66Bなどからの)の発光210は、x座標0.160、y座標0.253における法線から開始して、x座標0.186、y座標0.116における60度において終了する、基板法線に対して増加させた、いくつかの角度を示す。具体的には、光マイクロキャビティの視野角が増加すると、知覚される光の色は、周波数が高くなり、波長が短くなり、青色に近くなる。同様に、黄色/緑色を発光する光マイクロキャビティからの(光キャビティ66Yなどからの)発光215は、複数の角度で示される。この場合もやはり、光キャビティの視野角が増加すると、知覚される光の色は、x座標0.469、y座標0.389における法線から開始して、x座標0.233、y座標0.598において60度で終了し、周波数が高くなり、波長が短くなり、緑色に近くなる。共通制御可能な部分のそれぞれから発光される光はカラー化されるにもかかわらず、色が補完されるために、0度視野角で観視するときのCIE1931色度座標0.267、0.300、及び60度視野角で観視するときのCIE1931色度座標0.1987、0.246を有する組み合わせ光が白色として現れる。視野角が変化すると、青色エミッタ、及び黄色エミッタの双方の色が著しく変化する。しかしながら、組み合わせ光は、比較的一定に維持され、実質的に白色である。点225は、基板に対する垂直角の白色点を示し、点230は、基板の法線に対する60度における白色点を示す。これらの曲線は、様々な角度にモデル化した色の変化を、出願人が組み立てた実際の白色OLEDデバイスから採ったものである。
【0033】
図6から理解できるように、白色の色度座標は、y次元には変化が小さいが、x次元にはいくらか変化が大きいように思われる。しかしながら、全体的な変化は、青色エミッタ、又は黄色エミッタのいずれか一方の変化よりも小さく、色は、白色を維持する。図7を参照すると、一定のD65の白色点200のグラフが、種々の黄色発光の補完周波数、及び青色発光の補完周波数において示される。図7から理解されるように、白色点を維持するためには、黄色の波長を大きく変化するときに、青色の波長は小さく変化するようにオフセットする必要がある。さらに出願人が行った実験によると、観察者は、白色、すなわち中間色から黄色の方向に向かうよりも青色の方向に向かうカラーのシフトへの耐性が高いことが明らかになっている。図6に示す発光は、青色と黄色の分配をバランスすることによってこの効果を採用して、黄色のシフトを最小化する一方、青色方向の多少の逸脱を許容する。この変化は、共通制御可能な部分56Y、及び56Bの1つを覆うように形成し、好適には基板に対する垂直角で発光する光を伝送し、好適には法線以外の角度で発光する光を吸収するカラーフィルタを採用することによって、物理的に制御できる。例えば、フィルタ(図1における40WYなど)は、黄色光を発光する光キャビティ66Yを覆って使用できる。カラーフィルタは、570nm、560nm、又は550nmなどよりも短い波長を有する緑色を帯びた光を吸収する。これにより、白色点の移動の短い方の波長に限定し、すなわち青色エミッタの相対的な影響を大きくする効果を有する。出願人がモデル化したとき、他の実施形態において、500nm、490nm、又は480nmなどよりも短い波長を有する青色を帯びた光を吸収するフィルタ(図1の40WBなど)を採用できる。
【0034】
本発明に合わせて、カラー化されたサブ画素50、52、及び54と、白色サブ画素56の光マイクロキャビティ66B、及び66Yとの双方の光キャビティの大きさは、広範な選択を有し、多くの種類の白色光発光材料を採用できる。本発明の1つの実施形態では、白色サブ画素56の共通制御部分56Y、及び56Bの1つは、基板に対する垂直角において、実質的に青色光、又はシアン光を発光し、他の共通制御部分は、基板に対する垂直角において、実質的に黄色、オレンジ色、又は赤色の光を発光する。白色サブ画素56の共通制御部分の一方は、基板に対する垂直角において、550nmよりも大きいピーク波長発光を有する光を発光し、少なくとも2つの共通制御部分の他方は、基板に対する垂直角において、500nmよりも小さいピーク波長発光を有する光を発光する。他の実施形態において、白色サブ画素の光マイクロキャビティは、赤色、緑色、及び青色の光、又は黄色、及び青色の光、又は、赤色、及びシアンの光、又はオレンジ色、及びシアンの光、又はマゼンタ、及び緑色の光を発光するように調整される。具体的には、白色サブ画素の共通制御部分の1つは、垂直角において550nmよりも大きなピーク波長を有する光を発光するように調整され、白色サブ画素の共通制御部分を覆うように形成されるカラーフィルタを有することができる。このカラーフィルタは、550nmより小さい波長を有する光を相当量吸収する。
【0035】
様々な白色光エミッタを本発明と共に採用でき、様々なマイクロキャビティを形成して、これらの白色光エミッタからの白色発光成分を作り出すことができる。例えば、図8Aは、出願人が作成した本発明に有用な白色光エミッタのスペクトル250のグラフである。図8Bを参照すると、スペクトル252は、白色サブ画素の共通制御される黄色の部分として有用な1つのマイクロキャビティから出力される光である。シフトしたスペクトル255によって示すように、視野角が増加すると、発光周波数は、増加する。共通制御部分の1つ(56Yなど)を覆って形成され、ハイパススペクトル260を有するカラーフィルタを採用することによって、光は、好適には基板に対する垂直角で発光する光を伝送し、好適には法線以外の角度で発光する光を吸収することができる。それ故に、視野角による色のシフトは、垂直角で発光する光の量を減少することなく、減少できる。図8Cを参照すると、カラーフィルタを有することなく、黄色発光を調整するマイクロキャビティにおける白色エミッタの点264における角度による色のシフトは、カラーフィルタにより黄色発光を調整するマイクロキャビティにおける白色エミッタの点262における角度による色のシフトよりも大きい。しかしながら、(カラー化されたサブ画素を含む)カラーフィルタは、法線から離れた角度におけるデバイスの輝度を減少させることになるであろう。なお、しかしながら、白色サブ画素の共通制御部分のそれぞれの色度座標と同様に、それぞれの部分の相対的な輝度効率は、視野角の関数として変化することになるであろう。人間の目の輝度効率は、黄色におけるピークが550nmに向かって移動するときに増加するので、いくつかのこのデバイスにおいて、黄色フィルタを使用して、共通制御される黄色の部分の輝度を視野角に応じて減少させることは、比較的一定の輝度を維持するためには有用であろう。
【0036】
本発明のデバイスからの発光は、白色サブ画素56の共通制御部分56Y、及び56Bの異なる大きさの領域を採用することによって、さらに制御される。図10Aに示すように、対象の最大角、及び最小角における青色エミッタ、及び黄色エミッタのCIEのx座標、及びy座標に接続する境界線270、及び275は、点290において共通の交点を有する領域280、及び285を形成する。共通制御部分56Y、及び56Bの領域の相対的な大きさを変更することにより、白色点の相対的な位置は、交点290により近接するように移動し、又は交点290から遠方に移動する。それ故に、交点290に近接するように白色点が移動すると、白色点における変化の量は、減少できる。同様に、交点290に遠方に白色点が移動すると、白色点における変化の量は、増加できる。典型的な有機発光ダイオードシステムにおいて、黄色放射は、青色よりも効率が高いので、白色点の変化が許容されるならば、白色点の変化が大きいのにも関わらず、エミッタが黄色発光点に向かって移動することは、有利である。図10Bを参照すると、3つの曲線は、白色光エミッタ(図8A〜Cに示す異なる白色光)における最小の視野角から最大の視野角までの白色点の変化を示すCIEx、yグラフにおいて示される。共通制御される黄色の部分56Yと、共通制御される青色の部分56Bの領域の相対的な大きさは、曲線296において等しく、曲線295において1.3であり、曲線297において0.7である。D65白色点は、点298として示される。曲線295に示す相対的な発光、及び色のシフトは、曲線296、又は297の相対的な発光、及び色よりも比較的大きい。
【0037】
本発明の光キャビティからの発光は、発光材料のスペクトル、カラーフィルタのピーク透過、及び光マイクロキャビティの応答を適合させることにより、増加する。すなわち、カラー化されたサブ画素の光キャビティは、キャビティの光学的距離を変化させることによって、対応するカラーフィルタのピーク透過波長と対応するピーク波長近くに調整される。同様に、白色サブ画素の光マイクロキャビティは、白色発光層のピーク発光波長に近似的に対応する1つ、又は2つ以上のピーク波長に調整される。同様に、白色発光層のピーク発光波長は、対応するカラーフィルタのピーク透過波長に調整される。
【0038】
しかしながら、システムの全体的な最適化は、発光層のピーク発光、ピークカラーフィルタ透過、及び光キャビティのピークのすべてを適合させないことが必要になる可能性がある。また、白色サブ画素56の共通制御部分56Y、及び56Bの少なくとも1つを調整して、カラー化されたサブ画素50、52、及び54のピーク波長と異なるピーク波長の光を発光することが可能である。2つ以上の光キャビティ(青色にカラー化されたサブ画素のキャビティ64、及び白色サブ画素56の青色発光部56Bのキャビティ66など)の大きさを共通にする場合、製造工程数が減少する一方、光キャビティが異なる長さを有する場合は、全体的なシステムを最適化することが可能になる。例えば、白色サブ画素は、青色カラー化されたサブ画素のキャビティよりもシアンカラー化された光を発光するように調整された部分のキャビティを有することができる。
【0039】
また、白色サブ画素の垂直の発光を、D65などの特定の白色点にするシステムを配置することが可能である。しかしながら、この配置の視野角による色の変化、又は所望の白色点からの平均的な発光は、所望の白色点に発光がより近い他の配置、又は白色点における視野角の変化による発光の減少が少ないが、所望の白色点では実質的には発光しない配置よりも大きくすることが可能である。平均的な性能を超えるような配置が望まれる可能性がある。平均的な発光による、アプリケーションにおける重要性によって重み付けされ、又は重み付けされずに、対象の視野角の全ての平均的な白色点が重要である。それ故に、好適な配置において、白色サブ画素の発光を調整して、単一の視野角における所望の白色点を一致させるよりもむしろ、白色サブ画素の平均的な発光と、1つより多い角度における好適なデバイスの白色点との間の差異を最小化することが可能である。
【0040】
様々な光発光材料が、本発明において採用される。例えば、白色発光層は、小分子有機材料、ポリ有機材料などの有機材料、若しくは多結晶半導体マトリックスに形成される無機量子ドットを有することができる。従来のフォトリソグラフィー技術を採用して、光キャビティを規定するのに適当な透明層を形成するのと同様に、基板上に制御構造(バス、トランジスタ、キャパシタ、電極など)を形成できる。キャビティを規定するのに適当な透明材料は、二酸化シリコン、又はインジウムスズ酸化物などを含むことができる。有機材料は、真空蒸着などの様々な公知の方法で蒸着する。しかしながら、この方法は、光キャビティの一貫性のある製造を可能にする十分な正確度、及び精度を提供しなければならない。具体的にはKodak(登録商標) Vapor Injection System(商標)は、1%以内の均一性と、有効に使用できる精度である有機層の蒸着を提供する線形性の有機真空蒸着源である。適当な半透明カソードは、銀、マグネシウム、アルミニウム、又は他の金属、若しくは合金などの公知の蒸着技術、又はスパッタ技術によって、形成できる。これらの半透明電極は、典型的には、20%よりも大きい反射率を有し、理想的には10%より小さい吸収率を有することになるであろう。本発明に有用な有機材料、及び無機材料の双方のためのカプセル化技術は、公知である。本発明は、円偏光子(図1における18)などのデバイスの環境コントラストを改良するのに適当な様々な素子と共に使用できる。1つの実施形態では、本発明は、図1に示すように、表面エミッタである。他の実施形態(図示せず)では、デバイスは、裏面電極デバイスである。
【0041】
図11を参照すると、本発明に従って、LEDデバイスの製造方法は、基板を提供するステップ400と、反射導電性薄膜構造を形成するステップ410と、スペーサを形成するステップ415と、反射導電性薄膜構造を覆うパターン化されていない白色発光層を形成するステップ420とを有する。ステップ430において、半透明導電性薄膜構造は、パターン化されていない白色発光層が、反射導電性薄膜構造と、半透明導電性薄膜構造との間に形成されるように、反射導電性薄膜構造上に形成される。反射導電性薄膜構造と、半透明導電性薄膜構造と、パターン化されていない白色発光層とは、光キャビティを形成する。ステップ440において、反射導電性薄膜構造と、半透明導電性薄膜構造とのいずれか一方は、パターン化されて、複数の個別制御可能な発光サブ画素素子を形成する。そして、カラー化されたサブ画素を形成するために、個別制御可能な発光素子に対応するパターン化されていない白色発光層の反対の半透明導電性薄膜構造側を覆ってカラーフィルタを随意的に形成する。カラーフィルタは、少なくとも2つの異なるカラーを有する。少なくとも1つの個別制御可能な発光素子は、実質的に白色の光をともに形成する少なくとも2つの共通制御マイクロキャビティ構造を有して、白色発光素子を形成する。白色発光素子の共通制御マイクロキャビティ構造の1つ、又は2つ以上の光キャビティは、複数の光マイクロキャビティを有する。光マイクロキャビティはそれぞれ調整されて、1つの発光角度、又は複数の発光角度において、異なる補完波長の光を発光する。本発明の他の実施形態では、パターン化されていない白色発光層は、半透明導電性薄膜構造を覆って形成される。
【0042】
白色発光エミッタの最適化し、注意深く選択した光キャビティの選択した需要調査を通して、本発明の光キャビティを使用した白色光エミッタにおける色の変化は、消費者に満足なものである。このマイクロキャビティ構造は、(銀の薄い層などを有する)半透明電極が(インジウムスズ酸化物などの透明な導電性酸化物などを有する)完全な透明電極よりも導電性が非常に良いため、特に表面エミッタ構造において有利である。本発明は、有機、又は無機のいずれかのパターン化されていない光発光層を採用するとき、色角度シフト、及び価格を低減したマイクロキャビティ構造から出力される改良された光を提供する。
【0043】
パターン化されたデバイスにおいて、種々の材料を採用して、電流に応答して種々の色の光を発光する。反対に、パターン化されていないデバイスにおいて、いくつかの材料を使用して、白色などの単一の色を発光し、カラーサブ画素が発光する光は、白色光エミッタと組み合わせたカラーフィルタを採用してカラー化される。白色光エミッタは、青色、及び黄色、又は赤色、及びシアンなどの異なる色をそれぞれ発光する1つ、又は2つ以上のパターン化されていない層における材料の組み合わせを有して、全体的に白色であると知覚される光を発光する。重要な点は、いかに多くの光発光材料が単一の層に含まれていようと、又はいかに多くの層が含まれていようと、層は、パターン化されておらず、全ての画素内の全てのサブ画素において合計した発光を採用することである。
【0044】
LEDデバイスにおいて、実際に光を発光する高屈折率層、電荷を制御する高屈折率層、又は高屈折率の半透明電極における全体的な内部反射によってトラップされる可能性があることは、公知である。法線に対して小さい角度で発光された光が、デバイスから発光できる一方、法線に対して比較的大きい角度で発光された光が、高屈折率層でトラップされる可能性がある。光キャビティ構造を使用することによって、法線に対して比較的小さい角度でデバイスから発光する光を多くするように、大きい角度での光の発光は、抑制される。
【0045】
また、光キャビティ構造から発光される光の色は、視野角に対する依存性を有することは、事実である。この角度依存性は、特に大きな視野角がもとめられる応用において、観視者を非常に苛立たせる可能性がある。角度によるこの色のシフトは、白色光エミッタを使用するカラーサブ画素において、特に顕著である。しかしながら、本発明において、カラーサブ画素に採用されるカラーフィルタは、環境光を吸収するだけでなく、一般的には光キャビティデバイスが有する、観測される光の角度への依存性も抑制する。
【0046】
しかしながら、カラーサブ画素の角度が増加と共に明らかになる本発明が提供する色のシフトの抑制は、カラーサブ画素の輝度を低下させる。輝度が低下することは、色がシフトすることと比較して、観視者に対して顕著ではなく、不快にさせない。さらにまた、カラーサブ画素の輝度が低下することについては、(白色点がシフトする可能性はあるが、)白色サブ画素の輝度が視野角によって一定である一方、実際の影響は、全体的な彩度の低下である可能性がある。この彩度の低下は、(色がほとんど飽和しない画像などの)いくつかの画像では影響を与えず、非常に飽和した色を有する画像の色の変化と比較して、顕著ではない。それ故に、画質が改良される。さらにまた、多くの画像は、相対的に飽和しないので、実際の輝度の影響は、比較的小さいことが多い。
【0047】
出願人は、パターン化されたカラー化エミッタと、白色エミッタとの双方を有するマイクロキャビティを採用するいくつかのOLEDデバイスを組み立てて、円偏光子、及びカラーフィルタの性能と共に、その性能を研究した。さらにまた、光モデリングツールを使用して、様々な環境下での本発明の性能を理解してきた。一般に、光キャビティと、カラーフィルタとを採用するパターン化されていない白色光発光OLEDデバイスは、光キャビティとカラーフィルタとを有しないパターン化されていない白色光発光OLEDデバイスと比較して、カラー化されたがその光出力の大まかに2倍が期待できる。カラーサブ画素は、光出力が大幅に増加する一方、白色光発光サブ画素は、光キャビティ構造において狭域の光よりも広帯域の光を増加することがより難しいため、大まかに0.6〜1.2の乗法因子によってのみ光出力が変化することになるであろう。しかしながら、白色光発光サブ画素は、カラーサブ画素よりもより効率的(だいたい3倍で)であるので(カラーフィルタを白色サブ画素に採用しないので)、多くの画像がほとんど飽和色を有さず、より効果的な白色光エミッタが主として使用されるときに、白色サブ画素を使用することによって、OLEDデバイスの全体的な性能は改良される。出願人は、カラーフィルタ配置においてこの白色サブ画素を使用することによって、いくつかの画像形成アプリケーションにおいて、全体的なデバイス性能を約2倍改良できることを明らかにしてきた。
【0048】
本発明のLEDデバイスは、所望される場合は、特性を向上させるために、様々な周知の光学的な効果を採用できる。これは、層の膜厚を最適化して、光の透過率を最大化すること、誘電体反射鏡構造を提供すること、ディスプレイ上に、アンチグレアコーティング、又は反射防止コーティングを提供すること、減光を提供すること、又はディスプレイ上に色温度変換フィルタを提供することを含む。フィルタ、円偏光子、及びアンチグレアコーティング、又は反射防止コーティングは、カバー、又は基板の全て、又は一部に特に提供できる。
【0049】
本発明は、アクティブマトリクスOLEDデバイス、又はパッシブマトリクスOLEDデバイスと共に実施でき、情報表示デバイスにおいて特に有用である。1つの実施形態において、本発明は、1988年9月6日にTangらに特許されたよる米国特許第4769292号、1991年10月29日にVanSlykeらに特許された米国特許第5061569号において開示される小分子OLED、又は高分子OLEDを有するフラットパネルOLEDデバイスにおいて採用されるが、これには限定されない。(Kahenらによる米国特許出願第2007/0057263号などに教授される)多結晶半導体マトリックスで形成される量子ドット、及び有機電荷制御層、又は無機電荷制御層などで採用する無機デバイス、若しくは有機/無機ハイブリッドデバイスで採用できる。有機光発光ディスプレイ、又は無機光発光ディスプレイの多くの組み合わせ、及び変化を使用して、表面エミッタ構造、又は裏面エミッタ構造を有するアクティブマトリクスディスプレイ、及びパッシブマトリクスディスプレイの双方を含むデバイスを組み立てることができる。
【符号の説明】
【0050】
10 基板
11 反射層
12 反射導電性薄膜構造
13、13R、13G、13B、13WY、13WB スペーサ
14 単数、又は複数の発光層
14R、14G、14B パターン化された発光層
15 透明導電性層
16 半透明導電性薄膜
18 円偏光子
20 カバー
26 スペーサ
26R、26G、26B、26WY、26WB スペーサ
28 マイクロキャビティ構造
28A、28B、28C、28D、28E、28F マイクロキャビティ構造
29A、29B 光の周波数
30 薄膜電気回路
32 絶縁体
34 絶縁体
40R、40G、40B、40WY、40WB カラーフィルタ
40K ブラックマトリクス
50、52、54、56 発光素子、サブ画素
56Y、56B 共通制御可能な部分
60、62、64、66、66B、66Y 光キャビティ
80、82、84 光
200 D65白色点
205 スペクトル軌跡
206 純紫軌跡
210 青色発光曲線
215 黄色発光曲線
220 白色点曲線
225 垂直角の白色点
230 最大視野角の白色点
250 白色発光スペクトル
252 スペクトル
255 シフトした白色発光スペクトル
260 カラーフィルタ通過スペクトル
262 角度による色のシフト
264 角度による色のシフト
270 境界線
275 境界線
280 領域
285 領域
290 交点
295 発光曲線
296 発光曲線
297 発光曲線
298 D65白色点
300 デバイス
310 制御器
320 信号
400 処理ステップ:基板の提供
410 処理ステップ:電極の形成
415 処理ステップ:スペーサの形成
420 処理ステップ:パターン化されない白色発光層の形成
430 処理ステップ:半透明電極の形成
440 処理ステップ:カラーフィルタの形成

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)反射導電性薄膜構造と、半透明導電性薄膜構造と、
b)前記反射導電性薄膜構造と、前記半透明導電性薄膜構造との間に形成されて、2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造を形成する1つ、又は2つ以上の薄膜層であって、前記導電性薄膜構造が提供する電流に応答して白色光を発光する薄膜層と、
を有し、
c)前記2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造はそれぞれ、1つ、又は2つ以上の光キャビティ内部に異なる共振周波数を有し、単数、又は複数の白色光発光薄膜層のスペクトル域よりも狭いスペクトル域を有する光を発光し、前記2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造が発光する光の組み合わせが白色である、
ことを特徴とする薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項2】
前記共通制御マイクロキャビティ構造の少なくとも2つが発光する前記光は、補完的である請求項1に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項3】
前記共通制御マイクロキャビティ構造の少なくとも1つが発光する光は、青色であり、前記共通制御マイクロキャビティ構造の他の少なくとも1つが発光する光は、黄色であるか、前記共通制御マイクロキャビティ構造の少なくとも1つが発光する光は、シアンであり、前記共通制御マイクロキャビティ構造の他の少なくとも1つが発光する光は、赤色であるか、又は前記共通制御マイクロキャビティ構造の少なくとも1つが発光する光は、緑色であり、前記共通制御マイクロキャビティ構造の他の少なくとも1つが発光する光は、マゼンダである請求項2に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項4】
1つ、又は2つ以上の個別制御される付加的な構造であって、光を発光する構造をさらに有する請求項1に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項5】
前記白色光発光薄膜層が発光する光をフィルタリングするカラーフィルタをさらに有する請求項1に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項6】
1つ、又は2つ以上の角度に亘る前記2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造の発光を組み合わせた光の色の変化は、前記1つ、又は2つ以上の角度に亘る前記2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造の少なくとも1つが発光する前記光の色の変化よりも小さい請求項1に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項7】
前記反射導電性薄膜構造、又は前記半透明導電性薄膜構造は、金属の単一層を有する請求項1に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項8】
前記反射導電性薄膜構造は、反射層と、導電性の分離した透明な層とを有する請求項1に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項9】
透明なスペーサ層は、前記反射層と、前記導電性の分離した透明な層との間に配置される請求項8に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項10】
透明なスペーサ層は、前記反射導電性薄膜構造と、前記半透明導電性薄膜構造との間に配置される請求項1に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項11】
それぞれの対が前記単数、又は複数の白色光発光薄膜層の前記スペクトル域よりも狭いスペクトル域を有する光を発光する、少なくとも2対の共通制御マイクロキャビティ構造をさらに有し、前記1対の共通制御マイクロキャビティ構造が発光する光の組み合わせは、白色である請求項1に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項12】
1対の共通制御マイクロキャビティ構造の一方が発光する光は、青色であり、前記1対の共通制御マイクロキャビティ構造の他方が発光する光は、黄色であるか、1対の共通制御マイクロキャビティ構造の一方が発光する光は、シアンであり、前記1対の共通制御マイクロキャビティ構造の他方が発光する光は、赤色であるか、又は1対の共通制御マイクロキャビティ構造の一方が発光する光は、緑色であり、前記1対の共通制御マイクロキャビティ構造の他方が発光する光は、マゼンダである請求項11に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項13】
それぞれの対が補完的な色の光を作り出す3対の共通制御マイクロキャビティ構造をさらに有する請求項12に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項14】
前記共通制御マイクロキャビティ構造は、基板上に互いに近接して配置される請求項1に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項15】
1つ、又は2つ以上の光キャビティを形成するために採用される透明スペーサ層をさらに有する請求項1に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項16】
ディスプレイデバイス、照明器具デバイス、又は領域照明デバイスである請求項1に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項17】
制御、及び電力を供給するための制御器をさらに有する請求項1に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイス。
【請求項18】
請求項1に記載の薄膜白色発光ダイオードデバイスを形成する方法。
【請求項19】
a)反射導電性薄膜構造と、半透明導電性薄膜構造と、
b)前記反射導電性薄膜構造と、前記半透明導電性薄膜構造との間に形成されて、2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造を形成する1つ、又は2つ以上の薄膜層であって、前記導電性薄膜構造が提供する電流に応答して光を発光する薄膜層と、
を有し、
c)前記2つ以上の共通制御マイクロキャビティ構造はそれぞれ、単数、又は複数の光発光薄膜層のスペクトル域よりも狭いスペクトル域を有する光を発光し、1つ、又は2つ以上の角度に亘る前記共通制御マイクロキャビティ構造の発光を組み合わせた光の色の変化は、前記1つ、又は2つ以上の角度に亘る前記共通制御マイクロキャビティ構造の少なくとも1つが発光する前記光の色の変化よりも小さい、
ことを特徴とする薄膜発光ダイオードデバイス。
【請求項20】
前記光発光薄膜層は、種々の共通制御マイクロキャビティ構造内部で種々の発光材料が採用されるように、パターン化される請求項19に記載の薄膜発光ダイオードデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−541160(P2010−541160A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526901(P2010−526901)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/010809
【国際公開番号】WO2009/045273
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(510059907)グローバル オーエルイーディー テクノロジー リミティド ライアビリティ カンパニー (45)
【Fターム(参考)】