説明

光半導体を光源とする灯器

【課題】低消費電力対策、メンテナンスのコストダウン、光半導体による大型航空障害灯の制作実用化を図る。
【解決手段】グローブの中心にモーター12により回転する両面反射板8を構成し、グローブの内側に近接した適当な場所に発光素子基板11を発光ダイオードの光軸が両面反射板の回転軸10方向に位置するように配設し、LED光出力群が両面反射板8のL7a,L7b面の回転によって水平方向に360度に掃引照射することでグローブの外部に発光出力をするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード、可視光半導体レーザ等の光半導体を光源とする航空障害灯に関するものである。
【0002】
【背景技術】
【0003】
航空障害灯は、航空機に対して送電鉄塔、風力発電塔、高層ビル等の障害物を認識させるための灯器である。
【0004】
従来から発光ダイオードを光源に使った航空障害灯として円筒状の支持体図2の6の表面に発光ダイオードを多数配列したものが知られている。
【0005】
この様に発光ダイオードを使った航空障害灯では、定められた光度、低光度航空障害灯の場合32cdを確保するために、非常に多くの発光ダイオードを必要とする。
通常航空障害灯は図1に示す様に発光ダイオード1を基板上に数個並べた発光素子基板2によって構成した点光源の集合体であるが、10メートル以上離れると全体を一つの点光源と看做すとしている。
【0006】
光源である高輝度発光ダイオードの光出力は指向特性があり現在は指光角15度位のものが使用されているが、指光角が狭い為に主として図2のAに示すように規定の有効光度を有するのは正面の2列であり円周方向全面に対して十分な輝度を確保する為には約12度間隔で30列以上配列する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、[0006]に述べた様にこのような発光ダイオードによる航空障害灯からの光出力の大半が航空障害灯を認識する方向以外に光出力されている。
この事は航空障害灯全体照度の15パーセントにも満たない光量であり残りは無駄なエネルギーとして浪費しているものである。
電球の様に点光源を光源として使用した場合は光源が360度何れの方向に対しても常に全光出力の有効照度を供給しているが、発光ダイオードによる光源の場合は発光ダイオード一個当たりの光度が小さいため一方向当たり数十個の発光ダイオードで構成した面光源でなければならない。そのため360度面光源に近い光源を用意する為には発光ダイオードを配設する円筒の直径をある程度大きくして多くの発光ダイオードを配設し面光源にする必要がある。しかしながら、この航空障害灯をA方向から認識する場合図2の発光ダイオードの光軸が視野に入るのはわずか2列の発光素子基板に配列した発光ダイオードだけである。
このような問題が有る為に電球を使用して2000cd以上の大きな光度を要求される中光度航空障害灯を発光ダイオードで制作しようとすると、低光度航空障害灯に比較して発光ダイオードの数が60倍以上必要となり支持体6のダイオード取り付け面の表面積も60倍以上必要となるので、光源を電球から発光ダイオードに改良する事が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためには多数の発光ダイオードによる面光源を求めるよりも少ない発光ダイオードの光出力を見掛け上電球の様に点光源として利用する事である。
【発明の効果】
【0009】
それにより発光ダイオードの光出力を100パーセント有効に利用する事が出来る為に発光ダイオードの数量と消費電力は電球を使用して2000cdを確保している中光度航空障害灯の場合本発明による方法によると現在の使用電力の約15パーセント以下とする事が可能となり要求光度を満たすことが出来る。それ故構造に於いて円筒支持体は不要となり航空障害灯全体の軽量化、工事の簡素化、およびメンテナンスについては電球の寿命は約1500時間だが、発光ダイオードは2万5千時間使用可能であり消費電力は電球の約15%の150ワットであり、又中光度航空障害灯は送電線鉄塔とか90メートル以上のビル等の高所に設置している為灯器の交換には大きなコストが必要であり大幅なコストダウンを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、従来のLEDを発光素子とする航空障害灯の発光部を表す正面図
【図2】図2は、図1の航空障害灯の発光素子の光出力状態を示す平面図
【図3】図3は、本発明の航空障害灯の反射板とLED光出力群との構成を示す正面図
【図4】図4は、本発明の航空障害灯のLED発光素子群の光出力が反射板図3の7aによってグローブの内側を掃引することによる光の放射方向を示す平面図
【図5】図5は、本発明の航空障害灯のLED発光素子群の光出力が反射板図3の7bによってグローブの内側を掃引することによる光の放射方向を示す平面図
【発明を実施するための形態】
前述の課題を解決する為に、従来発光ダイオードの出力は直接外部に向けてグローブを通して出力しているが、本発明は発光ダイオードの出力をグローブの内側中心方向に出力する。グローブの中心にモーターによって水平方向に回転する光反射板を形成し、グローブの外周側の一部に発光ダイオードを配設した発光素子基板を設ける。発光ダイオードの中心光軸が反射板の中心、回転軸方向に向く様に形成することによって発光ダイオードのすべての出力は電球のフィラメントの様にグローブの中心に集光する。次に発光ダイオードを点灯し反射板を回転すると発光ダイオードの光出力は反射板の回転する角度の変化によりグローブの内側全面を水平方向に掃引することによりグローブの中心から点光源の様にグローブ外部に必要とする輝度を提供する。
【実施例】
本発明の航空障害灯について発光ダイオードによる実施例を以下に、図3、図4、図5を用いて説明をするが、可視光半導体レーザ等発光ダイオード以外の光源を使用した航空障害灯にも適用する。
【0011】
図3は本実施形態による航空障害灯の一部を切欠した概略の正面図である。
【0012】
グローブ14は透明なプラスチック等で形成されていて、両面反射板8によってコントロールされた発光ダイオード光出力群13を外部に照射する。
【0013】
本実施例の航空障害灯は、少数の発光ダイオード9を配設した発光素子基板11をグローブ14に近接して発光ダイオード9の光軸を反射板8の回転軸10方向に向けて設ける。
【0014】
グローブの中心に発光ダイオード9からの光出力群をグローブの方向に反射させる為の両面反射板7a,7bを位置する。
【0015】
反射板7a,7bは、モーター12により回転する反射板の回転軸10により時計回りに回転をする。
【0016】
いま図4に於いて発光ダイオード群13が発光し反射板が時計回りに回転をすると、発光出力は反射板7aによってL7a1からL7a17を順次掃引する。続いて図5に於いて発光ダイオード群13は反射板7bによってL7b1からL7b17を掃引する。
この様な両面反射板8を高速で回転することに依ってグローブ14の水平方向前面から光の出力を照射するものである。
これは、ブラウン管の画面は小さい光のドットが高速で上下左右を掃引することで明るい輝度画面を造り出していると同様である。
【0017】
従来LED発光素子を使用した航空障害灯において高輝度LEDは通常半減値が15度と指向性が非常に狭い為通常図1の1,2の様に配列した発光ダイオードな場合水平方向と垂直方向共に照射ムラが生じる。本実施例では両面反射板8が回転することでLED出力群の照射は水平方向に連続する為全く照射ムラは生じない。
TVの画面が1秒間30フレームで構成している事から、本実施例に於いても両面反射板8の回転数を毎分1800回転以上で回転させることでグローブ14からの光出力ムラは起きない。
又、垂直方向の照射ムラは発光ダイオードの配列を千鳥に垂直2列配列することで解決出来る。
【産業上の利用可能性】
本発明は、従来の光半導体を使用した航空障害灯の発想を大きく転換した物であり、以下に記述する効果を期待出来る。
【0018】
本発明は、発光ダイオードを光源として使用した航空障害灯について、従来の発光ダイオードによる航空障害灯の使用電力とコストを格段に改善する効果を生じた。
【0019】
LED発光素子について比較すると、低高度航空障害灯の場合照度32cdの光度を満足する為に発光ダイオードを約900個使用し、省エネ改良品として高輝度LED発光素子を使用した製品は発光ダイオードを約150個使用した製品が省エネ航空障害灯として使用されている。本発明による航空障害灯は発光ダイオードを約20個使用して低高度航空障害灯の要求光度32cdを満足できる。 そのため消費電力も2分の1以下にすることが出来たので太陽電池等の小さな電源で運用出来る等の非常に大きな省エネ効果をもたらした。
【0020】
LED発光素子の光出力をグローブの中心に集め電球のフィラメントの光出力と同様の光源を可能とした為、1KWの電力を消費する2000cdの中光度航空障害灯の場合消費電力、重量、製品コストを十分の一以下にし、送電鉄塔でみると灯器交換の費用は20分の一以下を期待することが出来る。
【0021】
超高輝度LED発光体は動作時に高い発熱が発生するため、放熱対策を考慮しなければならない。通常はLED支持体6のような金属を通して放熱をするが、本実施例では両面反射板8が高速回転するためにグローブ14の内部には空気が対流をして発光体を放熱する。
【0022】
発光素子が大幅に減少出来たことにより金属製LED支持体6が不要となり部品点数も減少し全体が軽量化する為工事、維持管理、航空障害灯の交換のコストダウンを図ることが出来る。
【符号の説明】
【0023】
1 発光ダイオードA
2 発光素子基板
3 有効輝度幅
4 発光ダイオードの有効光度幅
5 発光ダイオードの光軸
6 発光ダイオード支持体
7a 反射板のa面
7b 反射板のb面
8 両面反射板
9 発光ダイオードB
10 反射板の回転軸
11 発光ダイオード基板
14 モーター
13 発光ダイオード光出力群
14 グローブ
L7a1,L7a17 両面反射板の7aによる光出力群
L7b1,L7b17 両面反射板の7bによる光出力群
A 航空障害灯の認識可能方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光半導体の光出力をグローブの円周に向かって掃引する為に、グローブの中心に光反射板と反射板を回転する為のモーターを構成したことを特徴とする航空障害灯。
【請求項2】
光半導体の出力をグローブの中心にある反射板に集光して、反射板によって新たに構成された光源を航空障害灯の光源とする航空障害灯。
【請求項3】
モーターの回転によってグローブ内に対流を発生させて光半導体を放熱させることを特徴とした航空障害灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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