説明

光反応性液晶配向剤、液晶配向素子及びその製造方法

【課題】新規な光反応性液晶配向剤、及び該光反応性液晶配向剤から形成される光配向層を有する液晶表示素子を提供する。
【解決手段】式(1−1)


で表されるポリマーを含む光反応性液晶配向剤を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光反応性液晶配向剤、液晶配向素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル表示装置(FPD)には、偏光板及び位相差板などの光学的に異方的な光学異方層(配向層)が部材として含まれている。このような光学異方層は、一般に二つの方法によって形成される。その方法は、第一にポリマーを延伸して光学異方層を形成する方法、第二に配向剤を塗布して得られる塗布膜から光学異方層を形成する方法である。
とりわけ後者の方法では、配向剤から形成された光学異方層はその光軸の方向を制御しやすいこと、該光学異方層上に液晶化合物を配向・固定化させて形成した光学フィルム(液晶配向素子)が、本質的に薄膜であること、Roll to Rollプロセスにより連続生産が可能であることから有利である。
【0003】
例えば、非特許文献1には、下記式で表される重合性液晶化合物(商品名;LC242、BASF社製)を含む溶液を、配向層上に塗布した後、該重合性液晶化合物を重合して偏光層を得るという製造方法により得られる液晶配向素子が記載されている。しかし、当該重合性液晶化合物が、ネマチック相、及びより高次なスメクチック相の重合性液晶となる配向能を有する光配向層、及び該光配向層を形成し得る光配向剤は知られていない。

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Cordula Mock-Knoblauch, Olivier S. Enger, Ulrich D. Schalkowsky、“L-7 Novel Polymerisable Liquid Crystalline Acrylates for the Manufacturing of Ultrathin Optical Films”、SID Symposium Digest of Technical Papers、2006年、37巻、p.1673
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
重合性液晶化合物が、ネマチック相、及びより高次なスメクチック相の重合性液晶となる配向能を有する光配向層、及び該光配向層を形成し得る、新規な光配向剤(光反応性液晶配向剤)が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の〔1〕〜〔12〕からなる。
〔1〕式(1−1)で表されるポリマーを含む光反応性液晶配向剤。


[式(1−1)中、
n及びmはそれぞれ独立に、0又は1を表す。
v及びwはそれぞれ独立に、1〜3の整数を表す。
及びSはそれぞれ独立に、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。
は、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。
、X、X、X及びXはそれぞれ独立に、単結合、酸素原子、カルボニルオキシ基又はメチレン基を表す。
及びYはそれぞれ独立に、単結合、酸素原子又はカルボニルオキシ基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜2のアルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、vが2又は3の場合、複数存在するRは、同一又は相異なり、wが2又は3の場合、複数存在するRは、同一又は相異なる。
、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
p、q及びrは、全構造単位に対する各構造単位のモル分率を表し、0.25<p≦1、0≦q<0.75及び0≦r<0.75の関係を満たす。]
〔2〕前記ポリマーが、
前記式(1−1)のqが0のポリマーである、前記〔1〕記載の光反応性液晶配向剤。
〔3〕前記ポリマーが、
前記式(1−1)のrが0のポリマーである、前記〔1〕又は〔2〕記載の光反応性液晶配向剤。
〔4〕前記ポリマーが、
前記式(1−1)のR及びRがそれぞれ独立に、メトキシ基又はエトキシ基のポリマーである、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の光反応性液晶配向剤。
〔5〕前記ポリマーが、
前記式(1−1)のn及びmがともに0のポリマーである、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の光反応性液晶配向剤。
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の光反応性液晶配向剤から塗布膜を形成し、該塗布膜を偏光照射してなる液晶配向層。
〔7〕前記〔6〕記載の液晶配向層と、偏光層とを有する液晶配向素子であり、
前記偏光層が、前記液晶配向層上に、重合性液晶化合物を含む組成物溶液を塗布して塗布膜を得、
前記塗布膜中に含まれる前記重合性液晶化合物を偏光照射によって重合することによって形成されたものである液晶配向素子。
〔8〕前記重合性液晶化合物が、スメクチック相の液晶状態を示す化合物である、前記〔7〕記載の液晶配向素子。
〔9〕前記重合性液晶化合物が、高次スメクチック相の液晶状態を示す化合物である、前記〔7〕記載の液晶配向素子。
〔10〕前記重合性液晶化合物が、等方相の液晶状態から直接ネマチック相の液晶状態を示す化合物である、前記〔7〕記載の液晶配向素子。
〔11〕前記重合性液晶化合物が、式(2)で表される、前記〔10〕記載の液晶配向素子。


[式(2)中、
は、置換もしくは非置換の多環式芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の多環式芳香族複素環基を表す。
及びDは、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基を構成する−CH−は、−O−、−S−又は−NH−に置き換わっていてもよい。
及びEは、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びBは、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。該炭素数1〜4のアルキル基及び該炭素数1〜4アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。kが2以上の場合、複数存在するAは、互いに同一又は相異なり、複数存在するBは、互いに同一又は相異なる。lが2以上の場合、複数存在するAは、互いに同一又は相異なり、複数存在するBは、互いに同一又は相異なる。
及びFは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基を構成する−CH−は、−O−又は−CO−に置き換わっていてもよい。
及びPは、それぞれ独立に、水素原子、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表すが、P及びPがともに水素原子であることはない。]
〔12〕式(1−3)で表される化合物。


[式(1−3)中、
nは、0又は1を表す。vは、1〜3の整数を表す。
は、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。
及びXはそれぞれ独立に、単結合、酸素原子、カルボニルオキシ基又はメチレン基を表す。
は、単結合、酸素原子又はカルボニルオキシ基を表す。
は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
は、炭素数1〜2のアルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、vが2又は3の場合、複数存在するRは、同一又は相異なる。
は、水素原子又はメチル基を表す。]
【発明の効果】
【0007】
本発明の光反応性液晶配向剤によれば、重合性液晶化合物がネマチック相、及びより高次なスメクチック相の重合性液晶となる配向能を有する光配向層を形成できる・
【発明を実施するための形態】
【0008】
<光反応性液晶配向剤>
本発明の光反応性液晶配向剤は、式(1−1)で表されるポリマー(以下、場合により「ポリマー(1−1)」という。)を含む光反応性液晶配向剤である。


式(1−1)中、
n及びmはそれぞれ独立に、0又は1を表す。
v及びwはそれぞれ独立に、1〜3の整数を表す。
及びSはそれぞれ独立に、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。
は、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。
、X、X、X及びXはそれぞれ独立に、単結合、酸素原子、カルボニルオキシ基又はメチレン基を表す。
及びYはそれぞれ独立に、単結合、酸素原子又はカルボニルオキシ基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜2のアルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、vが2又は3の場合、複数存在するRは、同一又は相異なり、wが2又は3の場合、複数存在するRは、同一又は相異なる。
、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
p、q及びrは、全構造単位に対する各構造単位のモル分率を表し、0.25<p≦1、0≦q<0.75及び0≦r<0.75の関係を満たす。
【0009】
前記式(1−1)において、各構造単位を結ぶ点線は、該各構造単位の共重合様式が特に限定されるものではなく、ランダム共重合、ブロック共重合、交互共重合及びこれらの組み合わせであることを意味する。
【0010】
及びSのフッ素原子又はシアノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルカンジイル基とは、アルカンジイル基、又は該アルカンジイル基に含まれる水素原子の一部が、フッ素原子及び/又はシアノ基で置換されている基を意味する。このようなアルカンジイル基は直鎖状でも分岐していてもよい。S及びSは、未置換(フッ素原子及びシアノ基を有していない)、且つ直鎖状の炭素数1〜12のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜11のアルカンジイル基がより好ましく、エタンジイル基、ブタンジイル基、ヘキサンジイル基及びウンデカンジイル基が特に好ましい。
【0011】
のフッ素原子又はシアノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基とは、アルキル基、又は該アルキル基に含まれる水素原子の一部が、フッ素原子及び/又はシアノ基で置換されている基を意味する。このようなアルキル基は直鎖状でも分岐していてもよい。Sは、未置換(フッ素原子及びシアノ基を有していない)、且つ直鎖状の炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基及びドデシル基がさらに好ましい。
【0012】
、X、X、X及びXはそれぞれ独立に、単結合又はカルボニルオキシ基であると好ましく、カルボニルオキシ基であると特に好ましい。
【0013】
及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はカルボニルオキシ基であると好ましく、酸素原子であると特に好ましい。
【0014】
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、メチル基及びメトキシ基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0015】
及びRはそれぞれ独立に、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基又はフッ素原子であると好ましく、メトキシ基又はエトキシ基であるとより好ましく、メトキシ基であると特に好ましい。
【0016】
、R及びRはメチル基が特に好ましい。
【0017】
n及びmは、0であると好ましく、v及びwはそれぞれ独立に、1又は2であると好ましい。
【0018】
p、q及びrはそれぞれ、上述のとおり、ポリマー(1−1)の全構造単位に対する各構造単位のモル分率を表す。
qは、0≦q<0.25の関係を満たすと好ましく、q=0であると特に好ましい。
rは、0≦r<0.25の関係を満たすと好ましく、r=0であると特に好ましい。
【0019】
pは、0.75<p≦1の関係を満たすと好ましく、p=1であると形成された光配向層の耐溶剤性に優れるので特に好ましい。q=0、r=0及びp=1の関係を満たすポリマー(1−1)は実質的に、式(1−2)で表される構造単位からなるものである。


(式中の全ての符号はいずれも、前記と同義である。)
【0020】
ここで、実質的に式(1−2)で表される構造単位からなるポリマー(1−1)の製造方法を説明する。このポリマー(1−1)は、式(1−3)で表されるモノマー(以下、場合により「モノマー(1−3)」という。)を重合することにより製造できる。


(式中の全ての符号はいずれも、前記と同義である。)
【0021】
モノマー(1−3)は、ポリマー(1−1)の製造用として、新規且つ有用な化合物であり、本発明は、該モノマー(1−3)に係る発明も包含する。
【0022】
モノマー(1−3)の具体例は例えば、式(M1−1−1)〜式(M1−1−12)で表される化合物などである。

【0023】
モノマー(1−3)の製造方法の一実施形態を、Xがカルボニルオキシ基であり、Yが酸素原子であるモノマー(1−3)[式(1−3A)で表されるモノマー(1−3)]を例にとって説明する。このモノマー(1−3)は、式(1−3B)で表される化合物と、式(1−3C)で表される化合物とを反応させることにより製造できる。かかる反応を反応式の形式で示すと以下のとおりである。


この反応式において、Xは塩素原子及び臭素原子といったハロゲン原子を表し、その他の符号はいずれも前記と同義である。式(1−3C)で表される化合物は、所望のS、R、R及びXなどに応じ、公知の製造方法により製造すればよい。式(1−3B)で表される化合物は例えば、(メタ)アクリル酸クロリド及び(メタ)アクリル酸ブロミドなどであり、これらは市場から容易に入手できる。
この反応は通常、溶媒中で実施される。かかる溶媒としては、この反応に対し不活性であり、式(1−3B)で表される化合物、及び式(1−3C)で表される化合物に対し、十分に溶解性を有するものであればよく、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン及びジメチルアセトアミドなどが用いられる。
また、この反応は、アルカリなどの脱酸剤の存在下に実施されることが好ましい。このアルカリとしては例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン及びジメチルアミノピリジンなどである。
【0024】
続いて、モノマー(1−3)を重合してポリマー(1−1)を製造する方法を説明する。
モノマー(1−3)からポリマー(1−1)を製造する重合は、アニオン重合又はラジカル重合などの付加重合が採用される。ラジカル重合の実施形態は、溶液重合、バルク重合、乳化重合及びソープフリー乳化重合のいずれでもよい。ただし、モノマー(1−3)の安定性や融点を考慮すると、溶液重合が好ましい。
【0025】
溶液重合する場合の重合溶媒としては、ベンゼン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテルなどラジカル活性を失活させない溶媒を使用することが望ましい。これらのうち、モノマー(1−3)の溶解性の観点からはテトラヒドロフランが重合溶媒として特に好ましい。
【0026】
重合温度は、用いる重合開始剤の種類及びその量、モノマー(1−3)の安定性などに応じ、−20℃〜200℃の範囲から適宜調整できるが、20℃〜120℃の範囲がより好ましく、30℃〜100℃の範囲がより好ましく、50℃〜75℃の範囲が特に好ましい。
【0027】
重合開始剤としては、過酸化物及びアゾ化合物などの熱開始剤を用いてもよいし、後述する光開始剤を用いてもよい。熱開始剤は通常、ラジカル発生温度により、低温開始剤、中温開始剤及び高温開始剤に分類される。モノマー(1−3)の重合には、これらの開始剤のうち、いずれでも、あるいはこれらの開始剤を組み合わせて用いることができるが、高重合度のポリマー(1−1)が得られやすいこと、副反応が生じにくいことから中温開始剤がより好ましく、アゾ化合物がさらに好ましい。該アゾ化合物の中では、容易に入手可能なことから、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が特に好ましい。
【0028】
上述のアゾ化合物を重合開始剤として用いることにより、高重合度のポリマー(1−1)を製造することができるが、所望の分子量のポリマー(1−1)を製造する、すなわち、ポリマー(1−1)の分子量を制御するために、連鎖移動剤を適宜使用して、原子移動ラジカル重合を採用することもできる。
【0029】
重合後、未反応のモノマーなどを除去するために、再沈殿精製を実施することが好ましい。再沈殿精製に使用される溶媒としては、水、アルコール溶媒、エーテル溶媒、飽和炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒あるいはこれらの混合溶媒が挙げられ、重合に用いた重合溶媒の種類、モノマー(1−3)の種類などに応じて適宜、好適な溶媒を選択できる。
【0030】
アルコール溶媒としてはメタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられ、中でもメタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールがより好ましい。エーテル溶媒としては、テトラヒドロフラン及びジメトキシエタンが挙げられ、テトラヒドロフランがより好ましい。飽和炭化水素系溶媒としてはn−ペンタン、n−ヘプタン及びシクロヘキサンが挙げられ、n−ヘプタンがより好ましい。芳香族炭化水素系溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン及びクロロベンゼンなどが挙げられ、トルエン及びキシレンが好ましい。かかる溶媒は、その安全性などに応じても適宜最適のものを選択できるが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、トルエン/ヘプタン混合溶媒、水/メタノール混合溶媒、水/エタノール混合溶媒及び水/テトラヒドロフラン混合溶媒がより好ましく、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールが特に好ましい。
【0031】
ポリマー(1−1)の分子量は、例えばゲルパーミエイション法(GPC法)で求められるポリスチレン換算の重量平均分子量で表して、1×10〜1×10の範囲が好ましい。ただし、あまり分子量が高くなると、溶媒への溶解性が低下して、本発明の光反応性液晶配向剤の調製が困難になることや、光照射に対する感度が下がる傾向があるので、該分子量は、1×10〜1×10の範囲が好ましい。なお、この分子量を求めるGPC法の分析条件は、本願の実施例で説明する。
【0032】
以上説明した、モノマー(1−3)の重合によりポリマー(1−1)は製造できる。なお、モノマー(1−3)の重合において、下記のモノマーを合わせて用いることで、共重合体のポリマー(1−1)は製造できる。ただし、下記のモノマーを用いる場合は、ポリマー(1−1)の各構造単位のモル分率が上述の関係を満たすようにして、モノマー(1−3)及び下記に示すモノマーそれぞれの使用量を調整する必要がある。


(式中の全ての符号はいずれも前記と同義である。)
【0033】
<光反応性液晶配向剤>
本発明の光反応性液晶配向剤(以下、場合により「本液晶配向剤」という。)は、ポリマー(1−1)を含むものであり、より好ましくは、後述の光配向層形成法により光配向層を形成するため、ポリマー(1−1)と、溶剤とを含むものである。このような本液晶配向剤を調製するためには、まずは、ポリマー(1−1)を溶剤に溶解する。かかる溶剤は、ポリマー(1−1)が溶解することができ、適正な粘度の本液晶配向剤が得られる範囲で適宜選択できるが、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン又はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチルなどのエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン及びメチルイソブチルケトンなどのケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリルなどのニトリル溶剤;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタンなどのエーテル溶剤;クロロホルム及びクロロベンゼンなどの塩素含有溶剤;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン及びジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられる。これら溶剤は、単独種で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
本液晶配向剤に対する、ポリマー(1−1)の濃度も、当該ポリマー(1−1)の種類や溶解性に応じて適宜調節できるが、固形分濃度で表して、少なくとも0.2質量%とすることが好ましく、0.3〜10質量%の範囲が特に好ましい。また、本液晶配向剤は、ポリビニルアルコ−ルやポリイミドなどの高分子材料やアントラセンなどの光増感剤が含まれていてもよい。
【0035】
ポリマー(1−1)を溶剤に溶解して調製された本液晶配向剤はそのまま、あるいは必要に応じてろ過などを行ってから、光配向層形成に用いられる。
【0036】
<光配向層形成法>
ポリマー(1−1)と溶剤とを含む本液晶配向剤を用いた光配向層の形成方法(光配向層形成法)について説明する。まず、本液晶配向剤を、所定の支持基材上に塗布する。かかる支持基材は透明支持基材が好ましい。透明支持基材上に本液晶配向剤を塗布する方法としては、スピンコ−ティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法及びアプリケータ法などの塗布法や、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法が採用される。
【0037】
次に、透明支持基材上に本液晶配向剤を塗布して形成された塗布膜から溶媒を除去して乾燥被膜を形成させる。この溶媒の除去には、適当な温度で加熱することにより溶媒を乾燥除去する方法(加熱方法)や、適当な耐圧容器に封入した後、該容器内の圧力を減圧状態とすることにより溶媒を乾燥除去する方法(減圧方法)、通風乾燥(通風方法)、自然乾燥、或いはこれらの方法を組み合わせることで、実施できる。Roll to Roll形式の連続形式で実施できることから加熱方法がより好ましい。
【0038】
透明支持基材上に形成された、ポリマー(1−1)を含む乾燥被膜の厚みは例えば、1nm〜10000nmの範囲であり、好ましくは10nm〜1000nmの範囲である。
かかる乾燥被膜の厚みは、本液晶配向剤の固形分濃度(特に、ポリマー(1−1)の固形分濃度)、本液晶配向剤の透明基材に対する塗布条件を調整することでコントロールできる。かくして、ポリマー(1−1)を含む乾燥被膜が、透明支持基材上に設けられた積層体が得られる。
【0039】
続いて、積層体の乾燥被膜に、偏光UV(偏光紫外線)を照射することで、ポリマー(1−1)を配向させ、液晶配向能を付与(以下、場合により「光配向操作」という。)して光配向層を形成する。光配向操作において、偏光UVを積層体に照射するには、該積層体の前記乾燥被膜側から直接、偏光UVを照射する形式(形式(A))でも、該積層体の前記透明基材側に偏光UVを照射し、該透明基材中に偏光UVを透過させることで、偏光UVを乾燥被膜に照射する形式(形式(B))でもよい。これらの形式のいずれにおいても、照射する偏光UVは、直線偏光UV及び楕円偏光UVのいずれでもよいが、効率よく光配向操作を行うためには、直線偏光に近い楕円偏光UV、又は消光比の高い直線偏光UVを用いることが好ましい。また、当該偏光UVは、ほぼ平行光であることが特に好ましい。ただし、形式(B)により光配向操作を行う場合、用いる積層体にある透明基材は、その透明性が高ければ高いほど好ましい。
【0040】
照射する偏光UVは、乾燥被膜に含まれる、ポリマー(1−1)の光反応性基(シンナモイル基)が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250〜400nmの範囲のUV(紫外線)が特に好ましい。光配向操作に用いる光源としては、キセノンランプ;高圧水銀ランプ;超高圧水銀ランプ;メタルハライドランプ;KrF、ArFなどの紫外光レ−ザ−などが挙げられる。光配向操作に用いる光源は、高圧水銀ランプ及び超高圧水銀ランプメタルハライドランプがより好ましい。その理由は、これらのランプは、波長313nmの紫外線の発光強度が大きいためである。前記光源からの光を、適当な偏光子を通過してから積層体に照射すれば、該積層体に偏光UVが照射されることになる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテ−ラ−などの偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
【0041】
積層体の乾燥被膜に偏光UVを照射するに当たり、該積層体の面方向に対して、偏光UVの照射方向が略垂直であることは必ずしも必要ではなく、該積層体の面方向に対して、偏光UVの照射方向が斜めになっていてもよい。該積層体の面方向に対する、偏光UVの照射方向は、光配向操作に用いる光源及び偏光子の種類などに応じて、得られる光配向層が所望の吸収軸を有するように定められる。
【0042】
上述した方法などにより、本液晶配向剤から形成された光配向層は、該光配向層上に重合性液晶化合物を含む組成物を塗布して、該重合性液晶化合物をネマチック相又は、より高次のスメクチック相の液晶状態(重合性液晶)とすることができる。本液晶配向剤から得られる光配向層は、重合性液晶化合物を、このような液晶状態(重合性液晶)にして光配向層を形成し得る本液晶配向剤は極めて有用なものであり、かかる知見は、本発明者らの独自のものである。
【0043】
重合性液晶化合物として、スメクチックの液晶状態を形成し得る重合性スメクチック液晶化合物を用いる場合、該重合性スメクチック液晶化合物は、主に二色性色素を組み合わせることで、光配向膜上に偏光層を形成してなる液晶配向素子を得ることができる。また、重合性液晶化合物として、スメクチックの液晶状態を形成し得る重合性ネマチック液晶化合物を用いる場合、光配向膜上に位相差層を形成してなる液晶配向素子を得ることができる。このように光配向層上に偏光層又は位相差層を設ける場合、重合性液晶化合物を含む溶液を塗布・乾燥して光重合すればよい。以下、これらの方法を、重合性スメクチック液晶化合物を用いる場合と、重合性ネマチック液晶化合物を用いる場合とに分けて説明する。なお、かかる説明において、重合性スメクチック液晶化合物を含む溶液を「偏光層形成用組成物」といい、重合性ネマチック液晶化合物を含む溶液を「位相差層形成用組成物」という。
【0044】
<重合性スメクチック液晶化合物を用いた液晶配向素子>
重合性スメクチック液晶化合物とは、重合性基を有し、かつスメクチック液晶相を示す化合物である。重合性基は、該重合性スメクチック液晶化合物の重合反応に関与する基を意味する。
【0045】
前記重合性スメクチック液晶化合物が示す液晶相は、高次のスメクチック相であることが好ましい。ここでいう高次のスメクチック相とは、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相及びスメクチックL相であり、中でも、スメクチックB相、スメクチックF相、スメクチックI相、傾斜したスメクチックF相及び傾斜したスメクチックI相が好ましく、スメクチックB相がより好ましい。重合性スメクチック液晶化合物が示すスメクチック液晶相が高次であれば、より配向秩序度の高い偏光層が形成でき、より性能の高い偏光層が得られる。
【0046】
好ましい重合性スメクチック液晶組成物としては、例えば、式(3−1)で表される化合物(以下、場合により「化合物(3−1)」という。)が挙げられる。

−V−W−E−J−E−J−E−W−V−U (3−1)[式(3−1)中、
、E及びEは、互いに独立に、置換基を有していてもよいp−フェニレン基又は置換基を有していてもよいシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表す。ただし、E、E及びEのうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいp−フェニレン基である。
及びJは、互いに独立に、−CHCH−、−CHO−、−COO−、−OCOO−、単結合、−N=N−、−CR=CR−、−C≡C−又は−CR=N−を表す。R及びRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
は、水素原子又は重合性基を表す。
は、重合性基を表す。
及びWは、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−COO−又は−OCOO−を表す。
及びVは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する−CH−は、−O−、−S−又は−NH−に置き換わっていてもよい。]
【0047】
化合物(3−1)において、上述のように、E、E及びEのうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基であるが、これらのうち、少なくとも2つが、置換基を有していてもよいp−フェニレン基であることが好ましい。
前記p−フェニレン基は、無置換であることが好ましい。前記シクロへキサン−1,4−ジイル基は、トランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基であることが好ましく、これも無置換であることがより好ましい。
【0048】
前記p−フェニレン基又は前記シクロへキサン−1,4−ジイル基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基及びブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;シアノ基;ハロゲン原子などが挙げられる。なお、シクロへキサン−1,4−ジイル基を構成する−CH−は、−O−、−S−又は−NR−に置き換わっていてもよい。Rは、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基である。
【0049】
化合物(3−1)のJは、−CHCH−、−COO−又は単結合であると好ましく、Jは、−CHCH−又は−CHO−であると好ましい。
【0050】
は、重合性基である。Uは、水素原子又は重合性基であり、好ましくは重合性基である。すなわち、U及びUは、ともに重合性基であると好ましく、ともに光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。光重合性基を有する重合性スメクチック液晶化合物を用いると、より低温条件下で該重合性スメクチック液晶化合物を重合させることができる点でも有利である。
【0051】
化合物(3−1)において、U及びUの光重合性基は互いに異なっていてもよいが、同じ種類の基であることが好ましい。光重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基などが挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0052】
及びVのアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基及びイコサン−1,20−ジイル基などが挙げられる。V及びVは、好ましくは炭素数2〜12のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数6〜12のアルカンジイル基である。
該アルカンジイル基が任意に有する置換基としては、シアノ基及びハロゲン原子などを挙げることができるが、該アルカンジイル基は、無置換であることが好ましく、無置換且つ直鎖状のアルカンジイル基であることがより好ましい。
【0053】
及びWは、互いに独立に、好ましくは単結合又は−O−である。
【0054】
化合物(3−1)としては、式(3−1−1)〜式(3−1−24)のいずれかで表される化合物などが挙げられる。かかる化合物(3−1)の具体例が、シクロヘキサン−1,4−ジイル基を有する場合、そのシクロヘキサン−1,4−ジイル基は、トランス体であることが好ましい。
【0055】

【0056】

【0057】

【0058】

【0059】

【0060】

【0061】

【0062】

【0063】
例示した化合物(3−1)を、その式番号に応じて、以下「化合物(3−1−1)」などという。
【0064】
例示した化合物(3−1)は、単独又は2種以上を混合した重合性スメクチック液晶混合物として用いることができる。また、2種以上の重合性スメクチック化合物を用い、この2種以上の重合性スメクチック化合物のうち、少なくとも1種が化合物(3−1)であるという形式でもよい。以下の説明では、単独種の重合性スメクチック液晶化合物を用いる場合と、2種以上の重合性スメクチック液晶化合物を用いる場合とを総じて、「重合性スメクチック液晶化合物」と称することがある。
【0065】
化合物(3−1)を偏光層形成用組成物に用いる場合、予め化合物(3−1)の相転移温度を求め、その相転移温度を下回る温度条件下で、該化合物(3−1)が重合できるように、偏光層形成用組成物の化合物(3−1)[重合性スメクチック液晶化合物]以外の成分を調整する。このような重合温度をコントロールし得る成分としては、後述する光重合開始剤、光増感剤及び重合禁止剤などが挙げられる。これらの種類及び量を適宜調節することで化合物(3−1)の重合温度をコントロールできる。なお、偏光層形成用組成物に、2種以上の化合物(3−1)[重合性スメクチック液晶組成物]の混合物、すなわち、重合性スメクチック液晶組成物を用いる場合にも、当該重合性スメクチック液晶組成物の相転移温度を求めた後、重合性スメクチック液晶化合物の場合と同様にして、重合温度をコントロールする。
【0066】
例示した化合物(3−1)の中でも、式(3−1−3)、式(3−1−6)、式(3−1−7)、式(3−1−12)、式(3−1−13)及び式(3−1−23)のいずれかで表されるものが好ましい。これらの化合物(3−1)は、混合することで、あるいは、ともに用いられる光重合開始剤との相互作用により、容易に相転移温度を下回る温度条件下で、すなわち高次のスメクチック相の液晶状態を十分に保持したままで過冷却状態が得られるため、該化合物(3−1)を重合させることができる。より具体的には、光重合開始剤との相互作用により、これらの化合物(3−1)は、70℃以下、好ましくは60℃以下の温度条件下で、高次のスメクチック相の液晶状態を十分に保持したまま重合させることができる。
【0067】
前記化合物(3−1)は上述のとおり、単独種であっても、複数種であってもよいが、複数種であることが好ましい。すなわち、該偏光層形成用組成物には、重合性スメクチック液晶組成物を2種以上、好ましくは化合物(3−1)を2種以上、用いることが好ましい。
【0068】
前記偏光層形成用組成物における化合物(3−1)の含有割合は、当該偏光層形成用組成物の固形分に対して、70〜99.9質量%が好ましく、90〜99.9質量%がより好ましい。化合物(3−1)の含有割合が前記の範囲内であれば、化合物(3−1)の配向性が高くなる傾向がある。ここで、固形分とは、当該偏光層形成用組成物から溶剤などの揮発性成分を除いた成分の合計量のことをいう。なお、複数種の化合物(3−1)が該偏光層形成用組成物に含有される場合、その合計含有割合が前記の範囲であればよい。
【0069】
前記偏光層形成用組成物は、レベリング剤を含有すると好ましい。該レベリング剤とは、重合性液晶組成物の流動性を調整し、前記偏光層形成用組成物を塗布して得られる塗布膜をより平坦にする機能を有するものであり、界面活性剤などを挙げることができる。該レベリング剤は、ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤及びフッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
【0070】
ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤としては、”BYK−350”、”BYK−352”、”BYK−353”、”BYK−354”、”BYK−355”、”BYK−358N”、”BYK−361N”、”BYK−380”、”BYK−381”及び”BYK−392”[BYK Chemie社]などが挙げられる。
【0071】
フッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤としては、”メガファックR−08”、同”R−30”、同”R−90”、同”F−410”、同”F−411”、同”F−443”、同”F−445”、同”F−470”、同”F−471”、同”F−477”、同”F−479”、同”F−482”及び同”F−483”[DIC(株)];”サーフロンS−381”、同”S−382”、同”S−383”、同”S−393”、同”SC−101”、同”SC−105”、”KH−40”及び”SA−100”[AGCセイミケミカル(株)];”E1830”、”E5844”[(株)ダイキンファインケミカル研究所];”エフトップEF301”、同”EF303”、同”EF351”及び同”EF352”[三菱マテリアル電子化成(株)]などが挙げられる。
【0072】
前記偏光層形成用組成物にレベリング剤を含有させる場合、その含有量は、重合性スメクチック液晶化合物100質量部に対して、0.3質量部以上5質量部以下が好ましく、0.5質量部以上3質量部以下がさらに好ましい。レベリング剤の含有量が前記の範囲内であると、重合性スメクチック液晶化合物を水平配向させることが容易であり、かつ形成される偏光層がより平滑となる傾向がある。重合性スメクチック液晶化合物に対するレベリング剤の含有量が前記の範囲を超えると、得られる偏光層にムラが生じやすい傾向がある。なお、該偏光層形成用組成物は、レベリング剤を2種類以上含有していてもよい。
【0073】
前記偏光層形成用組成物は、溶剤を含有する。当該溶剤は、用いる重合性スメクチック液晶化合物の溶解性などを考慮して適宜、好ましいものを選択できる。ただし、該重合性スメクチック液晶化合物の重合反応の進行を著しく妨げることのない不活性な溶剤であることが好ましい。このような溶剤としては、本液晶配向剤組成物調製用の溶剤と例示したものと同じである。偏光層形成用組成物調製用の溶剤も、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
前記偏光層形成用組成物における溶剤の含有量は、該偏光層形成用組成物の総量に対して50〜98質量%が好ましい。一方、該偏光層形成用組成物の固形分が50質量%以下であると、この組成物の粘度が低くなることから、塗布膜の厚みが略均一になる。また、かかる固形分は、偏光層が所望の厚みとなるようにして定めることができる。
【0075】
前記偏光層形成用組成物は、重合開始剤を含有すると好ましい。当該重合開始剤は、重合性スメクチック液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物であり、より低温条件下で、当該重合反応を開始できる点で、光重合開始剤が好ましい。具体的には、この温度条件下、光の作用により活性ラジカル又は酸を発生できる化合物が光重合開始剤として用いられる。当該光重合開始剤の中でも、光の作用によりラジカルを発生するものがより好ましい。
【0076】
前記光重合開始剤としては、例えばベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩などが挙げられる。
【0077】
以下、この光重合開始剤の具体例を挙げる。
ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0078】
ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン及び2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0079】
アルキルフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニル−2,2−ジメトキシエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0080】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0081】
トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン及び2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0082】
光重合開始剤は、市場から容易に入手できるものを用いることもできる。市販の光重合開始剤としては、”イルガキュア(Irgacure)907”、”イルガキュア184”、”イルガキュア651”、”イルガキュア819”、”イルガキュア250”、”イルガキュア369”(チバ・ジャパン(株));”セイクオールBZ”、”セイクオールZ”、”セイクオールBEE”(精工化学(株));”カヤキュアー(kayacure)BP100”(日本化薬(株));”カヤキュアーUVI−6992”(ダウ社製);”アデカオプトマーSP−152”、”アデカオプトマーSP−170”((株)ADEKA);”TAZ−A”、”TAZ−PP”(日本シイベルヘグナー社);及び”TAZ−104”(三和ケミカル社)などが挙げられる。
【0083】
前記偏光層形成用組成物が重合開始剤を含有する場合、その含有量は、当該偏光層形成用組成物に含有される重合性スメクチック液晶化合物の種類及びその量に応じて適宜調節できるが、例えば、重合性スメクチック液晶化合物の合計100質量部に対する重合開始剤の含有量は、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、0.5〜8質量部がさらに好ましい。重合性開始剤の含有量が、この範囲内であれば、重合性スメクチック液晶化合物の配向を乱すことなく重合させることができるため、該重合性スメクチック液晶化合物が高次スメクチック相の液晶状態を保持したまま重合することができる。
【0084】
また、前記偏光層形成用組成物が光重合開始剤を含有する場合、該組成物には光増感剤を含有していてもよい。該光増感剤としては、例えば、キサントン及びチオキサントンなどのキサントン化合物(例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなど);アントラセン及びアルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセンなど)などのアントラセン化合物;フェノチアジン及びルブレンなどが挙げられる。
【0085】
前記偏光層形成用組成物が光重合開始剤及び光増感剤を含有するものである場合、当該偏光層形成用組成物に含有される重合性スメクチック液晶化合物の重合反応をより促進することができる。かかる光増感剤の使用量は、併用する光重合開始剤及び重合性スメクチック液晶化合物の種類及びその量に応じて適宜調節できるが、例えば、重合性スメクチック液晶化合物の合計100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、0.5〜8質量部がさらに好ましい。
【0086】
前記偏光層形成用組成物に光増感剤を含有させることにより、重合性スメクチック液晶化合物の重合反応を促進できることを説明したが、該重合反応を安定的に進行させるために、該偏光層形成用組成物には重合禁止剤を適度に含有させることもできる。重合禁止剤を含有することにより、重合性スメクチック液晶化合物の重合反応の進行度合いをコントロールすることができる。
【0087】
前記重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、アルコキシ基含有ハイドロキノン、アルコキシ基含有カテコール(例えば、ブチルカテコールなど)、ピロガロール、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカルなどのラジカル補足剤;チオフェノール類;β−ナフチルアミン類及びβ−ナフトール類などが挙げられる。
【0088】
前記偏光層形成用組成物に重合禁止剤を含有させる場合、その含有量は、用いる重合性スメクチック液晶化合物の種類及びその量、並びに光増感剤の使用量などに応じて適宜調節できるが、例えば、重合性スメクチック液晶化合物の合計100質量部に対する重合禁止剤の含有量が、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、0.5〜8質量部がさらに好ましい。重合禁止剤の含有量が、この範囲内であれば、該偏光層形成用組成物に含有される重合性スメクチック液晶化合物の配向を乱すことなく重合させることができるため、該重合性スメクチック液晶化合物がより一層、高次スメクチック相の液晶状態を良好に保持したまま重合することができる。
【0089】
以上、説明した偏光層形成用組成物を、透明支持基材及び光配向層を設けた積層板(第1積層板)の光配向層上に塗布して塗布膜を得、該塗布膜中に含まれる前記重合性スメクチック液晶化合物が重合しない条件で乾燥することにより、偏光層形成用の乾燥被膜が形成され、第2積層体が得られる。
【0090】
前記第1積層板へ前記偏光層形成用組成物を塗布する方法(塗布方法)、乾燥方法は透明支持基材上に本液晶配向剤を塗布する方法として説明したものと同じ方法が採用される。かくして形成された塗布膜の厚みは、0.5〜10μmの範囲が好ましく、0.5〜3μmの範囲がさらに好ましい。この塗布膜の厚みは、得られる偏光層が所望の厚みとなるようにして定められる。なお、該偏光層の厚みは、干渉膜厚計やレーザー顕微鏡あるいは触針式膜厚計の測定で求められるものである。
【0091】
さらに、前記第2積層体の乾燥被膜(偏光層形成用の乾燥被膜)に含まれる重合性スメクチック液晶化合物に対し光重合を行うことにより、該重合性スメクチック液晶化合物は、スメクチック相、好ましくは、すでに例示したような高次スメクチック相の液晶状態を保持したまま重合し、結果として乾燥被膜は偏光層へと添加する。
【0092】
<重合性ネマチック液晶化合物を用いた液晶配向素子>
次に、本液晶配向剤から形成された光配向膜上に、位相差層形成用組成物(重合性ネマチック液晶化合物を含む溶液)を用いて位相差層を形成する方法に関して説明する。
【0093】
前記位相差層形成用組成物に含まれる重合性ネマチック液晶化合物としては例えば、式(20)で表される化合物(以下、場合により「化合物(20)」という。)などが挙げられる。
【0094】
11−E11−(B11−A11−B12−G (20)
[式(20)中、
11は、2価の芳香族炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基又は2価の複素環基を表し、該2価の芳香族炭化水素基、該2価の脂環式炭化水素基及び該2価の複素環基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基又はスルファニル基で置換されていてもよい。
11及びB12は、それぞれ独立に、−CR1415−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR16−、−NR16−C(=O)−、−OCH−、−OCF−、−NR16−、−CHO−、−CFO−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R14及びR15が連結して炭素数4〜7のアルカンジイル基を構成してもよい。R16は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
11は、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
11は、重合性基を表す。
Gは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、炭素数1〜13のフルオロアルキル基、炭素数1〜13のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜26のN,N−ジアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基であるか、炭素数1〜12のアルカンジイル基を介して結合する重合性基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
tは、1〜5の整数を表す。tが2以上の整数である場合、複数のA11は互いに同一又は相異なり、複数のB11は互いに同一又は相異なる。]
【0095】
11及びGにおける重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、スチリル基、p−(2−フェニルエテニル)フェニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、カルボキシ基、アセチル基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アミノ基、炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、ホルミル基、−N=C=O及びN=C=Sなどが挙げられる。なかでも、光重合反応性が高いという点で、ラジカル重合性基又はカチオン重合性基が好ましく、取り扱いが容易で、液晶化合物の製造も容易であるという点で、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基又はビニルオキシ基がより好ましい。
【0096】
また、A11の2価の芳香族炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基及び2価の複素環基の炭素数はそれぞれ、例えば3〜18の範囲であり、5〜12の範囲であることが好ましく、5又は6であることが特に好ましい。
【0097】
化合物(20)としては、例えば、式(20−1)で表される化合物、及び式(20−2)で表される化合物が挙げられる。
【0098】
P11-E11-(B11-A11)t1-B12-E12-P12 (20−1)
P11-E11-(B11-A11)t2-B12-F11 (20−2)
[式(20−1)及び式(20−2)中、
11、E11、B11、A11及びB12は、前記と同義である。
11は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、炭素数1〜13のフルオロアルキル基、炭素数1〜13のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜26のN,N−ジアルキルアミノ基、シアノ基又はニトロ基を表す。
12は、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子を有していてもよい。
12は、重合性基を表す。
及びtはそれぞれ独立に、1〜5の整数を表す。]
【0099】
さらに、これら式(20−1)及び(20−2)で表される化合物として、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)又は式(V)で表される化合物が挙げられる。
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-A13-B14-A14-B15-A15-B16-E12-P12 (I)
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-A13-B14-A14-B15-E12-P12 (II)
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-A13-B14-E12-P12 (III)
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-A13-B14-F11 (IV)
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-F11 (V)
[式(I)〜式(V)中、
12〜A15は、A11と同義であり、B13〜B16は、B11と同義である。]
【0100】
なお、式(20−1)、式(20−2)、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)及び式(V)で表される化合物において、P11とE11がエーテル結合又はエステル結合を介して結合されていることが好ましく、P12とE12がエーテル結合又はエステル結合を介して結合されていることが好ましい。
【0101】
重合性ネマチック液晶化合物の具体例としては、式(I−1)〜式(I−5)、式(B1)〜式(B20)、式(C1)〜式(C4)で示される化合物などの式(I)で示される化合物;式(II−1)〜式(II−6)で示される化合物などの式(II)で示される化合物;式(III−1)〜式(III−19)で示される化合物などの式(III)で示される化合物;式(IV−1)〜式(IV−14)で示される化合物などの式(IV)で示される化合物;式(V−1)〜式(V−5)で示される化合物などの式(V)で示される化合物等が挙げられる。なお、式中kは、1〜11の整数を表し、*印は結合手を表す。これらの重合性ネマチック液晶化合物であれば、比較的、容易に製造できるか、市場からの入手が容易であることから好ましいものである。
【0102】

【0103】


(式(B1)中の2つの*は、(B1−1)〜(B1−8)のいずれかの*と結合している。)
【0104】


(式(B2)中の2つの*は、(B2−1)〜(B2−8)のいずれかの*と結合している。)
【0105】


(式(B3)中の2つの*は、(B3−1)〜(B3−8)のいずれかの*と結合している。)
【0106】


(式(B4)中の2つの*は、(B4−1)〜(B4−8)のいずれかの*と結合している。)
【0107】


(式(B5)中の2つの*は、(B5−1)〜(B5−8)のいずれかの*と結合している。)
【0108】


(式(B6)中の2つの*は、(B6−1)〜(B6−8)のいずれかの*と結合している。)
【0109】


(式(B7)中の2つの*は、(B7−1)〜(B7−8)のいずれかの*と結合している。)
【0110】


(式(B8)中の2つの*は、(B8−1)〜(B8−8)のいずれかの*と結合している。)
【0111】


(式(B9)中の2つの*は、(B9−1)〜(B9−8)のいずれかの*と結合している。)
【0112】


(式(B10)中の2つの*は、(B10−1)〜(B10−8)のいずれかの*と結合している。)
【0113】


(式(B11)中の2つの*は、(B11−1)〜(B11−8)のいずれかの*と結合している。)
【0114】


(式(B12)中の2つの*は、(B12−1)〜(B12−8)のいずれかの*と結合している。)
【0115】


(式(B13)中の2つの*は、(B13−1)〜(B13−8)のいずれかの*と結合している。)
【0116】


(式(B14)中の2つの*は、(B14−1)〜(B14−8)のいずれかの*と結合している。)
【0117】


(式(B15)中の2つの*は、(B15−1)〜(B15−8)のいずれかの*と結合している。)
【0118】


(式(B16)中の2つの*は、(B16−1)〜(B16−8)のいずれかの*と結合している。)
【0119】


(式(B17)中の2つの*は、(B17−1)〜(B17−8)のいずれかの*と結合している。)
【0120】


(式(B18)中の2つの*は、(B18−1)〜(B18−8)のいずれかの*と結合している。)
【0121】


(式(B19)中の2つの*は、(B19−1)〜(B19−8)のいずれかの*と結合している。)
【0122】


(式(B20)中の2つの*は、(B20−1)〜(B20−8)のいずれかの*と結合している。)
【0123】


(式(C1)中の2つの*は、(C1−1)〜(C1−8)のいずれかの*と結合している。)
【0124】


(式(C2)中の2つの*は、(C2−1)〜(C2−8)のいずれかの*と結合している。)
【0125】


(式(C3)中の2つの*は、(C3−1)〜(C3−8)のいずれかの*と結合している。)
【0126】


(式(C4)中の2つの*は、(C4−1)〜(C4−8)のいずれかの*と結合している。)
【0127】

【0128】

【0129】

【0130】

【0131】
化合物(20)と同様に、式(2)で表される重合性ネマチック液晶化合物(以下、場合により「化合物(2)」という。)も、位相差層形成用組成物に用いるものとして用いることにより、前記光配向層上に、位相差層を形成することができる。

[式(2)中、
は、置換もしくは非置換の多環式芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の多環式芳香族複素環基を表す。
及びDは、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基を構成する−CH−は、−O−、−S−又は−NH−に置き換わっていてもよい。
及びEは、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びBは、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。該炭素数1〜4のアルキル基及び該炭素数1〜4アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。kが2以上の場合、複数存在するAは、互いに同一又は相異なり、複数存在するBは、互いに同一又は相異なる。lが2以上の場合、複数存在するAは、互いに同一又は相異なり、複数存在するBは、互いに同一又は相異なる。
及びFは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基を構成する−CH−は、−O−又は−CO−に置き換わっていてもよい。
及びPは、それぞれ独立に、水素原子、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表すが、P及びPがともに水素原子であることはない。]
【0132】
の具体例として、式(ar−1)〜式(ar−840)のいずれかで表される基が挙げられる。以下の基において、Meはメチル基を、Etはエチル基を、*は結合手を表わす。

【0133】

【0134】

【0135】

【0136】

【0137】

【0138】

【0139】

【0140】

【0141】

【0142】

【0143】

【0144】

【0145】

【0146】

【0147】

【0148】

【0149】

【0150】

【0151】

【0152】

【0153】

【0154】

【0155】

【0156】

【0157】

【0158】

【0159】

【0160】

【0161】

【0162】

【0163】

【0164】

【0165】

【0166】

【0167】

【0168】

【0169】

【0170】

【0171】

【0172】

【0173】

【0174】

【0175】

【0176】

【0177】

【0178】

【0179】

【0180】

【0181】

【0182】

【0183】

【0184】

【0185】

【0186】

【0187】

【0188】

【0189】

【0190】

【0191】

【0192】

【0193】

【0194】

【0195】

【0196】

【0197】

【0198】

【0199】

【0200】

【0201】

【0202】

【0203】

【0204】

【0205】

【0206】

【0207】

【0208】

【0209】

【0210】

【0211】

【0212】

【0213】

【0214】

【0215】

【0216】

【0217】

【0218】

【0219】

【0220】

【0221】

【0222】

【0223】

【0224】

【0225】

【0226】

【0227】

【0228】

【0229】

【0230】

【0231】

【0232】

【0233】

【0234】

【0235】

【0236】

【0237】

【0238】

【0239】

【0240】

【0241】

【0242】

【0243】

【0244】

【0245】

【0246】

【0247】

【0248】

【0249】

【0250】

【0251】

【0252】
式(2)中、D及びDはそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表わす。該2価の連結基としては例えば、−CO−O−、−O−CO−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CR−、−CR−CR−、−O−CR−、−CR−O−、−CR−O−CR−、−CR−O−CO−、−O−CO−CR−、−CR−O−CO−CR−、−CR−CO−O−CR−、−NR−CR−、−CR−NR−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−、−S−、−NR−及び−CR=CR−などが挙げられる。ここで、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基及びブチル基など)を表す。
これらの中でも、D及びDはそれぞれ独立に、*−O−CO−、*−O−C(=S)−、*−O−CR−、*−NR−CR−又は*−NR−CO−であることが好ましく、*−O−CO−、*−O−C(=S)−又は*−NR−CO−であることがより好ましい。ここで、*は、化合物(2)の


で示される基の*の一方に対する結合手を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。Rは、水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
【0253】
及びGの2価の脂環式炭化水素基は、環を構成する原子(環構成原子)の数の3〜10の範囲である基が好ましい。環構成原子にヘテロ原子が含まれる場合、そのヘテロ原子の数は2以下である。かかる脂環式炭化水素基の具体例は、式(g−1)〜式(g−10)のいずれかで表されるものである。中でも、G及びGの2価の脂環式炭化水素基は、5員環又は6員環の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。


(式中、*は結合手を表す。)
【0254】
前記式(g−1)〜(g−10)のいずれかで表される基に含まれる水素原子は、メチル基、エチル基、イソプロピル基及びtert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基及びエトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4のフルオロアルキル基;トリフルオロメトキシ基などの炭素数1〜4のフルオロアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子及び臭素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0255】
及びGとしては、式(g−1)で表される基であることが好ましく、1,4−シクロヘキサンジイル基であることがさらに好ましく、trans−1,4−シクロへキサンジイル基であることが特に好ましい。
【0256】
及びEの2価の連結基としては、例えば、−CR10−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR11−、−NR11−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−、−NR11−及び−CR=CR10−などが挙げられる。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R11は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0257】
及びEは、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NR11−、−NR11−CO−、−CH−O−、−CH−S−又は単結合であることが好ましく、−CO−O−であることがより好ましい。
【0258】
及びBの2価の連結基としては、例えば、−CR10−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR11−、−NR11−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−、−NR11−及び−CR=CR10−などが挙げられる。
【0259】
より製造が容易であるという観点からは、B及びBはそれぞれ独立に、−CH−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−O−CH−、−CH−O−又は単結合であることが好ましく、化合物(2)が特に高い液晶性を示すという点で、−CO−O−又は−O−CO−が好ましい。
また、より容易に化合物(2)を製造できる点では、BとBとが同一であることが好ましい。
【0260】
及びAにおける2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基の具体例としては、G及びGの説明で示した式(g−1)〜式(g−10)のいずれかで表される基と、以下の式(a−1)〜式(a−8)のいずれかで表される炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基とが挙げられる。

【0261】
前記式(a−1)〜式(a−8)で表される基に含まれる水素原子は、メチル基、エチル基、イソプロピル基及びtert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基及びエトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4のフルオロアルキル基;トリフルオロメトキシ基などの炭素数1〜4のフルオロアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子及び臭素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0262】
中でも、A及びAとしては、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキサンジイル基であることが好ましく、化合物(2)の製造が容易という点で、1,4−フェニレン基がより好ましい。さらに、化合物(2)の製造がより容易であるという点で、AとAが同一であることが好ましい。
【0263】
化合物(2)の液晶性の観点から、、k及びlは0、1又は2であることが好ましい。
k及びlの和が、5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。
【0264】
及びFにおける炭素数1〜12のアルカンジイル基は、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−(CF−、−(CF−、−(CF−が好ましく、−(CH−、−(CH−がより好ましい。
及びBはそれぞれ独立に、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は単結合であることが好ましい。
【0265】
及びPは、それぞれ独立に、水素原子又は重合性基を表すが、ともに水素原子であることはない。すなわち、P及びPのうち少なくとも1つは、重合性基である。化合物(2)から得られる位相差層の硬度が優れる傾向があるという点で、P及びPがともに重合性基であることがより好ましい。
【0266】
重合性基とは、化合物(2)の重合反応に関与し得る基であればよい。前記化合物(3−1)のU及びUの重合性基と重複するが、該重合性基の具体例を挙げると、ビニル基、ビニルオキシ基、スチリル基、p−(2−フェニルエテニル)フェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、カルボキシ基、アセチル基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、ホルミル基、イソシアナト基及びイソチオシアナト基などである。中でも、光重合に適するという点で、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基が好ましく、取り扱いが容易で、化合物(2)の製造も容易であるという点でアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基がより好ましく、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
重合性基は、F及びFに直接結合してもよいが、一つ以上の2価の連結基(例えば、前記B及びBにおける2価の連結基等)を介して結合することが好ましい。
【0267】
−D−G−E−(A−B−F−P及び−D−G−E−(A−B−F−Pの具体的例としては、式(R−1)〜式(R−134)で表される基が挙げられる。*は、


で表される基の*の一方との結合手を表す。
【0268】

【0269】

【0270】

【0271】

【0272】

【0273】

【0274】

【0275】

【0276】

【0277】

【0278】

【0279】

【0280】


(式(A1)中の2つの*は、(A1−1)〜(A1−8)のいずれかの*と結合している。)
【0281】


(式(A2)中の2つの*は、(A2−1)〜(A2−8)のいずれかの*と結合している。)
【0282】


(式(A3)中の2つの*は、(A3−1)〜(A3−8)のいずれかの*と結合している。)
【0283】


(式(A4)中の2つの*は、(A4−1)〜(A4−8)のいずれかの*と結合している。)
【0284】


(式(A5)中の2つの*は、(A5−1)〜(A5−8)のいずれかの*と結合している。)
【0285】


(式(A6)中の2つの*は、(A6−1)〜(A6−8)のいずれかの*と結合している。)
【0286】


(式(A7)中の2つの*は、(A7−1)〜(A7−8)のいずれかの*と結合している。)
【0287】


(式(A8)中の2つの*は、(A8−1)〜(A8−8)のいずれかの*と結合している。)
【0288】


(式(A9)中の2つの*は、(A9−1)〜(A9−8)のいずれかの*と結合している。)
【0289】


(式(A10)中の2つの*は、(A10−1)〜(A10−8)のいずれかの*と結合している。)
【0290】


(式(A11)中の2つの*は、(A11−1)〜(A11−8)のいずれかの*と結合している。)
【0291】


(式(A12)中の2つの*は、(A12−1)〜(A12−8)のいずれかの*と結合している。)
【0292】


(式(A13)中の2つの*は、(A13−1)〜(A13−8)のいずれかの*と結合している。)
【0293】


(式(A14)中の2つの*は、(A14−1)〜(A14−8)のいずれかの*と結合している。)
【0294】


(式(A15)中の2つの*は、(A15−1)〜(A15−8)のいずれかの*と結合している。)
【0295】


(式(A16)中の2つの*は、(A16−1)〜(A16−8)のいずれかの*と結合している。)
【0296】


(式(A17)中の2つの*は、(A17−1)〜(A17−8)のいずれかの*と結合している。)
【0297】


(式(A18)中の2つの*は、(A18−1)〜(A18−8)のいずれかの*と結合している。)
【0298】


(式(A19)中の2つの*は、(A19−1)〜(A19−8)のいずれかの*と結合している。)
【0299】


(式(A20)中の2つの*は、(A20−1)〜(A20−8)のいずれかの*と結合している。)
【0300】


(式(A21)中の2つの*は、(A21−1)〜(A21−8)のいずれかの*と結合している。)
【0301】


(式(A22)中の2つの*は、(A22−1)〜(A22−8)のいずれかの*と結合している。)
【0302】


(式(A23)中の2つの*は、(A23−1)〜(A23−8)のいずれかの*と結合している。)
【0303】


(式(A24)中の2つの*は、(A24−1)〜(A24−8)のいずれかの*と結合している。)
【0304】


(式(A25)中の2つの*は、(A25−1)〜(A25−8)のいずれかの*と結合している。)
【0305】


(式(A26)中の2つの*は、(A26−1)〜(A26−8)のいずれかの*と結合している。)
【0306】


(式(A27)中の2つの*は、(A27−1)〜(A27−8)のいずれかの*と結合している。)
【0307】


(式(A28)中の2つの*は、(A28−1)〜(A28−8)のいずれかの*と結合している。)
【0308】


(式(A29)中の2つの*は、(A29−1)〜(A29−8)のいずれかの*と結合している。)
【0309】


(式(A30)中の2つの*は、(A30−1)〜(A30−8)のいずれかの*と結合している。)
【0310】


(式(A31)中の2つの*は、(A31−1)〜(A31−8)のいずれかの*と結合している。)
【0311】


(式(A32)中の2つの*は、(A32−1)〜(A32−8)のいずれかの*と結合している。)
【0312】


(式(A33)中の2つの*は、(A33−1)〜(A33−8)のいずれかの*と結合している。)
【0313】


(式(A34)中の2つの*は、(A34−1)〜(A34−8)のいずれかの*と結合している。)
【0314】


(式(A35)中の2つの*は、(A35−1)〜(A35−8)のいずれかの*と結合している。)
【0315】


(式(A36)中の2つの*は、(A36−1)〜(A36−8)のいずれかの*と結合している。)
【0316】


(式(A37)中の2つの*は、(A37−1)〜(A37−8)のいずれかの*と結合している。)
【0317】


(式(A38)中の2つの*は、(A38−1)〜(A38−8)のいずれかの*と結合している。)
【0318】


(式(A39)中の2つの*は、(A39−1)〜(A39−8)のいずれかの*と結合している。)
【0319】


(式(A40)中の2つの*は、(A40−1)〜(A40−8)のいずれかの*と結合している。)
【0320】


(式(A41)中の2つの*は、(A41−1)〜(A41−8)のいずれかの*と結合している。)
【0321】


(式(A42)中の2つの*は、(A42−1)〜(A42−8)のいずれかの*と結合している。)
【0322】


(式(A43)中の2つの*は、(A43−1)〜(A43−8)のいずれかの*と結合している。)
【0323】


(式(A44)中の2つの*は、(A44−1)〜(A44−8)のいずれかの*と結合している。)
【0324】


(式(A45)中の2つの*は、(A45−1)〜(A45−8)のいずれかの*と結合している。)
【0325】


(式(A46)中の2つの*は、(A46−1)〜(A46−8)のいずれかの*と結合している。)
【0326】


(式(A47)中の2つの*は、(A47−1)〜(A47−8)のいずれかの*と結合している。)
【0327】


(式(A48)中の2つの*は、(A48−1)〜(A48−8)のいずれかの*と結合している。)
【0328】


(式(A49)中の2つの*は、(A49−1)〜(A49−8)のいずれかの*と結合している。)
【0329】


(式(A50)中の2つの*は、(A50−1)〜(A50−8)のいずれかの*と結合している。)
【0330】


(式(A51)中の2つの*は、(A51−1)〜(A51−8)のいずれかの*と結合している。)
【0331】


(式(A52)中の2つの*は、(A52−1)〜(A52−8)のいずれかの*と結合している。)
【0332】


(式(A53)中の2つの*は、(A53−1)〜(A53−8)のいずれかの*と結合している。)
【0333】


(式(A54)中の2つの*は、(A54−1)〜(A54−8)のいずれかの*と結合している。)
【0334】


(式(A55)中の2つの*は、(A55−1)〜(A55−8)のいずれかの*と結合している。)
【0335】


(式(A56)中の2つの*は、(A56−1)〜(A56−8)のいずれかの*と結合している。)
【0336】


(式(A57)中の2つの*は、(A57−1)〜(A57−8)のいずれかの*と結合している。)
【0337】


(式(A58)中の2つの*は、(A58−1)〜(A58−8)のいずれかの*と結合している。)
【0338】


(式(A59)中の2つの*は、(A59−1)〜(A59−8)のいずれかの*と結合している。)
【0339】


(式(A60)中の2つの*は、(A60−1)〜(A60−8)のいずれかの*と結合している。)
【0340】


(式(A61)中の2つの*は、(A61−1)〜(A61−8)のいずれかの*と結合している。)
【0341】


(式(A62)中の2つの*は、(A62−1)〜(A62−8)のいずれかの*と結合している。)
【0342】


(式(A63)中の2つの*は、(A63−1)〜(A63−8)のいずれかの*と結合している。)
【0343】


(式(A64)中の2つの*は、(A64−1)〜(A64−8)のいずれかの*と結合している。)
【0344】


(式(A66)中の2つの*は、(A66−1)〜(A66−8)のいずれかの*と結合している。)
【0345】


(式(A67)中の2つの*は、(A67−1)〜(A67−8)のいずれかの*と結合している。)
【0346】


(式(A68)中の2つの*は、(A68−1)〜(A68−8)のいずれかの*と結合している。)
【0347】


(式(A69)中の2つの*は、(A69−1)〜(A69−8)のいずれかの*と結合している。)
【0348】


(式(A70)中の2つの*は、(A70−1)〜(A70−8)のいずれかの*と結合している。)
【0349】


(式(A71)中の2つの*は、(A71−1)〜(A71−8)のいずれかの*と結合している。)
【0350】


(式(A72)中の2つの*は、(A72−1)〜(A72−8)のいずれかの*と結合している。)
【0351】


(式(A73)中の2つの*は、(A73−1)〜(A73−8)のいずれかの*と結合している。)
【0352】
位相差層形成に用いる重合性ネマチック液晶化合物としては、例示した化合物(2)を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜混合させてもよい。とりわけ式(A1)〜式(A73)のいずれかで表される化合物を用いると、得られる位相差層が逆波長分散位相差層となるのでより好ましい。これらの化合物(2)は、その波長分散性がより理想的な逆波長分散性を示す点からも好ましい。
【0353】
前記位相差層形成用組成物には、さらに重合開始剤を含有すると好ましい。好適な重合開始剤は、前記偏光層形成用組成物に任意に含有される、好ましい重合開始剤として例示したものと同じである。また、該位相差層形成用組成物には、前記偏光層形成用組成物と同様に、重合性液晶化合物(重合性ネマチック液晶化合物)の重合をより促進させるために光増感剤や、重合をコントロールするための重合禁止剤が含有されていてもよい。この光増感剤や重合禁止剤についても、前記偏光層形成用組成物で説明したとおりである。さらに、該位相差層形成用組成物には、前記偏光層形成用組成物と同様に、レベリング剤を含有することもできる。
【0354】
前記位相差層形成用組成物は、その流動性の点で、溶剤、特に有機溶剤を含むことが好ましい。この有機溶剤は、該位相差層形成用組成物に用いる重合性ネマチック液晶化合物の種類及びその量などに応じて適宜選択することができるが、具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の非塩素化脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、キシレン、フェノール等の非塩素化芳香族炭化水素溶剤;アセトニトリル等のニトリル溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤;フェノール;などが挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。特に、アルコール溶剤、エステル溶剤、ケトン溶剤、非塩素化脂肪族炭化水素溶剤及び非塩素化芳香族炭化水素溶剤が好ましい。
【0355】
前記位相差層形成用組成物に有機溶剤を用いる場合、その含有量は、重合性ネマチック液晶化合物100質量部に対して、10〜10,000質量部であり、好ましくは100〜5,000質量部である。前記位相差層形成用組成物の粘度は、形成される位相差層の膜厚のムラが生じにくくなる傾向があるという点で、0.1〜10mPa・s、好ましくは0.1〜7mPa・sである。そのため、このような好適な粘度となるようにして、前記位相差層形成用組成物に用いる有機溶剤の種類及び量(含有量)を定めることもできる。
【0356】
また、前記位相差層形成用組成物中の固形分濃度は、2〜50質量%の範囲であり、5〜50質量%の範囲が好ましい。固形分濃度が2質量%以上であると、位相差層が薄くなりすぎず、液晶表示装置の液晶パネルとしての光学補償のために必要とする複屈折率を有する位相差層が得られやすい傾向がある。また、固形分濃度が50質量%以下であると、該位相差層形成用組成物の粘度が小さくなりすぎず、上述の適度な粘度となるので、位相差層の膜厚のムラが生じにくくなる傾向がある。なお、固形分とは、前記位相差層形成用組成物から有機溶剤などの揮発成分を除いた成分をいう。
【0357】
前記位相差層とは、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換したり、逆に円偏光又は楕円偏光を直線偏光に変換したりするために用いられる。
【0358】
前記位相差層は、前記位相差層形成用組成物に含まれる重合性ネマチック液晶化合物を重合することにより得られる。
【0359】
本液晶配向剤から形成された光配向層上に、前記位相差層形成用組成物を塗布し、乾燥することにより、未重合フィルム(位相差層形成用の乾燥被膜)が得られる。なお、かかる塗布方法や乾燥方法は、前記偏光層形成用塗布膜から、偏光層形成用の塗布膜及び乾燥被膜を得る方法において説明したものと同じである。
未重合フィルム中の重合性ネマチック液晶をネマチック相の液晶状態にした後、重合させることにより得られる位相差層は、モノドメイン配向による複屈折性を示す。
【0360】
前記位相差層形成用組成物の固形分濃度及び有機溶剤の含有量、並びに、支持基材上への該位相差層形成用組成物の塗布量を適宜調整することにより、位相差層の膜厚はコントロールできる。前記位相差層形成用組成物に含まれる重合性ネマチック液晶化合物の含有量が一定である場合、得られる位相差層の位相差値(リタデーション値、Re(λ))は、式(7)
Re(λ)=d×Δn(λ) (7)
(式中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表わす。)
に従って決定されるため、所望のRe(λ)を得るためには、膜厚d及びΔn(λ)を調整すればよい。
【0361】
未重合フィルム中の重合性ネマチック液晶化合物を重合させる方法は、該重合性ネマチック液晶化合物の種類に応じて、適宜決定すればよい。該重合性ネマチック液晶化合物が重合性基として、光重合性基を有するものである場合は、光重合法が用いられ、該重合性基が熱重合性基である場合は、熱重合法が用いられる。光重合法によれば低温で該重合性ネマチック液晶化合物を重合させることができ、支持基材の耐熱性の選択幅が広がるという点及び工業的に製造が容易であるという点で、光重合性の重合性基を有する重合性ネマチック液晶化合物を用いることが好ましい。また成膜性の観点からも光重合が好ましい。
光重合法に係る重合反応は、未重合フィルムに可視光、紫外光又はレーザー光を照射することにより行われる。取り扱いやすいという点で、紫外光が特に好ましい。光照射は、本発明の化合物が液晶相をとる温度で行ってもよい。この際、マスキングなどによって重合フィルムをパターニングすることもできる。
複屈折率Δn(λ)は、重合時の露光量、加熱温度、加熱時間適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように調製することができる。
【0362】
かくして得られる位相差層は、ポリマーを延伸することによって位相差を与える延伸フィルムと比較して、より膜厚が薄いものとなる。さらに本液晶配向剤から形成された光配向層と組み合わせることで、パターン化や進相軸(遅相軸)の方向を自由に制御できる。
【0363】
さらに、位相差層は透明性に優れ、様々なディスプレイ用フィルムとして使用される位相差層の厚みは、上記のとおり、光学フィルムの位相差値によって、異なるものであるが、0.1〜10μmであることが好ましく、光弾性を小さくする点で0.2〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることが特に好ましい。
【0364】
複屈折性を示す位相差層の位相差値としては、50〜500nm程度であり、好ましくは100〜300nmである。
【0365】
このような位相差層は、より広い波長域において一様の偏光変換が可能である。そのため、該位相差層は、本液晶配向剤から形成された光配向層と組み合わせた液晶配向素子は、すべての液晶パネルや有機ELなどのFPDにおいて、光学補償フィルムとして用いることができる。
【0366】
前記位相差層は、広帯域λ/4板又はλ/2板として使用することができる。広帯域λ/4板又はλ/2板として使用する場合には、該位相差層中の、重合性ネマチック液晶化合物から形成された重合体の含有量を適宜選択すればよい。λ/4板の場合には、得られる液晶配向素子のRe(550)を113〜163nm、好ましくは135〜140nm、特に好ましくは約137.5nm程度に膜厚を調整すればよく、λ/2板の場合には、得られる液晶配向素子のRe(550)を250〜300nm、好ましくは273〜277nm、特に好ましくは約275nm程度となるように、膜厚を調整すればよい。
【0367】
前記位相差層は、VA(Vertical Alingment)モード用光学フィルムとして使用することもできる。VAモード用光学フィルムとして使用する場合には、重合性ネマチック液晶化合物から形成された重合体の位相差層中の含有量を適宜選択すればよい。得られる光学フィルムのRe(550)が、好ましくは40〜100nm、より好ましくは60〜80nmとなるように膜厚を調整すればよい。
【実施例】
【0368】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0369】
実施例1:化合物(M1−1−1)の合成
化合物(1−1−1)は下記のスキームに従って合成した。

【0370】
[化合物(a1−1−1)の合成]
フェルラ酸50g(258mmol)をメタノール360gに溶解させた。得られた溶液に、室温で硫酸10gを加え、溶媒が還流するまで昇温した後、還流下2時間反応させた。得られた反応溶液を冷却後、氷150g及び水150gを加えた。上澄みをデカンテーションにて除去し、さらに5℃の水150g加えて結晶化させた。得られた白色結晶をろ過した、濾過した白色結晶を、さらに1M炭酸水素ナトリウム水溶液及び水で洗浄した後、真空乾燥して、化合物(a1−1−1)を22.2g得た。収率はフェルラ酸を基準として83%であった。
【0371】
[化合物(b1−1−1)の合成]
化合物(a1−1−1)25g(120mmol)をジメチルアセトアミド250gに溶解させた。得られた溶液に、炭酸カリウム33.19g(240mmol)、及びヨウ化カリウム1.99g(12mmol)を加えた。得られた分散液に、6−クロロヘキサノールを滴加し、室温で1時間攪拌後、70℃で8時間攪拌した。得られた反応溶液を濾過して不溶物を除去した。濾液に、メチルイソブチルケトン200g及び水300gを加えて攪拌、静置し、分液して有機層を回収した。回収された有機層に水200gを加え、攪拌、静置及び分液という水洗操作を2回繰り返した。回収した有機層から、エバポレータを用いた減圧蒸留により溶媒を除去して、化合物(b1−1−1)の粗生成物を得た。
【0372】
[化合物(c1−1−1)の合成]
前記化合物(b1−1−1)の粗生成物の全量を、エタノール185gに溶解させた。
得られた溶液に、水92g及び水酸化ナトリウム14.41g(360mmol)を加えて80℃で1時間攪拌した。反応溶液を3℃程度まで冷却後、温度を5℃以下に保ちながら2M塩酸水溶液を加えて、pHを2にした。酸析した白色沈殿を濾取し、さらに水100g及びメタノール80gの混合溶液で2回洗浄し、真空乾燥させて、化合物(c1−1−1)を30.4g得た。収率は化合物(a1−1−1)を基準として86%であった。
【0373】
[化合物(M1−1−1)の合成]
化合物(c1−1−1)27.46g(93mmol)をクロロホルム280gに溶解した。得られた溶液に、重合禁止剤としてBHT(ジt−ブチル−ヒドロキシトルエン)2.06g、トリエチルアミン37.73g(373mmol)を加えて氷冷下で攪拌させた。反応溶液にメタクリル酸クロリド29.26g(260mmol)を滴加し、5℃以下を保持して5時間攪拌した。得られた反応溶液に、ジメチルアミノピリジン5.7g及び水190gを加え、室温下で12時間攪拌した。静置した後、有機層を回収し、この有機層に2N塩酸水溶液100gを加え、攪拌、静置及び分液という洗浄操作を2回繰り返した。有機層を回収し、n−ヘプタン300gを加えて析出した結晶を濾取した。水100g及びメタノール80gからなる混合溶媒で2回洗浄後、真空乾燥して、化合物(M1−1−1)を22.0g得た。収率は化合物(c1−1−1)を基準として65%であった。
【0374】
[化合物(M1−1−1)の合成(別法)]
化合物(c1−1−1)27.46g(93mmol)をクロロホルム280gに溶解した。得られた溶液に、重合禁止剤としてBHT(ジt−ブチル−ヒドロキシトルエン)8.00g、パラトルエンスルホン酸11.16g及びメタクリル酸44.63gを加えて、共沸脱水で水を除去しながら、8時間反応させた。反応溶液を5℃以下まで冷却後、水200gを加えて、攪拌、静置、分液することで有機層を回収した。得られた有機層にジメチルアミノピリジン5.7g及び水190gを加えて室温で12時間攪拌させた。得られた反応液の有機層を回収し、この有機層を、2N塩酸水溶液100gで2回洗浄した。有機層を回収し、n−ヘプタン300gを加えて析出した結晶を濾取した。水100g及びメタノール80gからなる混合溶媒で2回洗浄後、真空乾燥させて化合物(M1−1−1)を18.3g得た。収率は化合物(c1−1−1)を基準として54%であった。
【0375】
実施例2(光反応性基を有するポリマーの製造)
前記化合物(M1−1−1)からの光反応性基を有するポリマーの製造は以下のようにして行った。


シュレンク管中に、化合物(M1−1−1)1.00g(2.76mmol)、及び10gのテトラヒドロフランを加えて、脱酸素後、窒素を流しながらアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.27mgを加え、60℃で72時間攪拌させた。得られた反応溶液をトルエン200gに加えた。析出物を濾取し、ヘプタンで洗浄後、真空乾燥させることにより、0.75gのポリマー1を得た。収率は化合物(M1−1−1)を基準として75%であった。GPC測定より、得られたポリマーの分子量はポリスチレン標準で数平均分子量28200、Mw/Mn1.82を示し、モノマー含有量は0.5%であった。
このポリマーをポリマー(1−1−1)とする。
【0376】
なお、ポリマー(1−1−1)のポリスチレン標準で数平均分子量を求めたGPC分析は以下の条件で測定した。
装置 ;HLC−8220GPC(東ソー(株)製)
ガードカラム ;TSKguardcolumn MP(XL)(商品名)
カラム ;TSK−gel MultiporeHXL−M(商品名)
TSK−gel MultiporeHXL−M(商品名)
TSK−gel MultiporeHXL−M(商品名)
(上記カラムを直列接続した。)
カラム温度 ;40℃
溶媒 ;THF
流速 ;1.0mL/min
注入量 ;50μL
検出器 ;IR、UV
測定試料濃度 ;0.6質量%(溶媒;THF)
校正用標準物質;TSK STANDARD POLYSTYRENE
A−500、A−1000、A−2500、A−5000、
F−1、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40、
F−80、F−128、F−288,F−380
(商品名、東ソー(株)製)
【0377】
実施例3:光反応性液晶配向剤の製造
ポリマー(1−1−1)を、濃度5質量%となるようにシクロペンタノンに溶解し、光反応性液晶配向剤を製造した。
【0378】
評価例1
〔偏光層形成用組成物の調整〕
下記の成分を混合し、80℃で1時間攪拌することで、重合性液晶組成物を得た。

重合性液晶化合物;化合物(3−1−6) 75部
化合物(3−1−7) 25部
二色性色素;アゾ色素(G205;林原生物化学研究所製) 3.0部
重合開始剤;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184;チバスペシャルティケミカルズ社製) 6部
レベリング剤;ポリアクリレート化合物(BYK−361N;BYK−Chemie社製) 1.5部
溶剤;シクロペンタノン 250部
【0379】
〔相転移温度の測定〕
偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって相転移温度を確認した。偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物は、120℃まで昇温して溶剤を除去乾燥後、降温時において、110℃でネマチック相に相転移し104℃でスメクチックA相に相転移し、83℃でスメクチックB相へ相転移したことを確認した。
【0380】
〔光配向層の作製〕
実施例3で得られた光反応性液晶配向剤を、ポリエチレンテレフタレート基板(PET基板)上にバーコート法により塗布し、60℃で1分間乾燥後、厚さ100nmの乾燥被膜を形成した。続いて、得られた乾燥被膜の表面に偏光UV照射処理を施して光配向層を形成した。偏光UV処理は、UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、波長365nmで測定した強度が100mJの条件で行った。
【0381】
〔偏光層の作製〕
光配向膜上に、偏光層形成用組成物をバーコート法により塗布し、120℃の乾燥オーブンにて1分間加熱乾燥した後、室温まで冷却した。UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、露光量1200mJ/cm(365nm基準)の紫外線を、偏光層形成用組成物から形成された層に照射することにより、偏光層を形成し、液晶配向素子を製造した。この際の偏光層の膜厚をレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社社製 OLS3000)により測定したところ、1.6μmであった。
【0382】
〔X線回折測定〕
得られた偏光層に対して、X線回折装置X’Pert PRO MPD(スペクトリス株式会社製)を用いてX線回折測定を行った。ターゲットとしてCuを用いてX線管電流40mA、X線管電圧45kVの条件で発生したX線を固定発散スリット1/2°を介してラビング方向から入射させ、走査範囲2θ=4.0〜40.0°の範囲で2θ=0.01671°ステップで走査して測定を行った結果、2θ=20.22°付近にピーク半価幅(FWHM)=約0.187°のシャープな回折ピーク(ブラッグピーク)が得られた。また、ラビング垂直方向からの入射でも同等な結果を得た。ピーク位置から求めた秩序周期(d)は約4.4Åであり、高次スメクチック相を反映した構造を形成していることがわかる。
【0383】
〔二色比の測定〕
極大吸収波長における透過軸方向の吸光度(A)及び吸収軸方向の吸光度(A)を、分光光度計(島津製作所株式会社製 UV−3150)に偏光子付フォルダーをセットした装置を用いてダブルビーム法で測定した。該フォルダーは、リファレンス側は光量を50%カットするメッシュを設置した。測定された透過軸方向の吸光度(A)及び吸収軸方向の吸光度(A)の値から、比(A/A)を算出し、二色比とした。結果を表に示す。二色比が高いほど、偏光層として有用であるといえる。二色比の測定結果を表1に示す。
【0384】
〔配向状態の観察〕
得られた偏光層の配向状態を偏光顕微鏡観察によって確認した。偏光顕微鏡クロスニコルの間に約45°の方向にサンプルを挿入し、光抜けの状態で観察を実施した。垂直方向に配向している場合、光抜けは発生せずに暗視野の状態が観察され、水平配向している場合、光抜けが発生して明視野の状態で観察される。画面全体に渡って明視野が得られた場合を「○」、画面全体に渡って暗視野が得られた場合には「×」とする二水準で評価した。結果を表1に示す。
【0385】
〔Haze値の測定〕
得られた偏光子に対して、ヘイズメーター(HZ−2;スガ試験機(株)製)を用いてヘイズ値を測定した。ヘイズ値は以下の式で表される。
ヘイズ値(%)= 散乱透過率(%)/全光線透過率(%)×100
光配向層による偏光層の配向規制力が不十分であれば、偏光層の主成分である重合性スメクチック液晶に不連続性の欠陥が発生する。この不連続性欠陥界面で光散乱が発生するために、ヘイズ値が大きな値となる。すなわち、ヘイズ値が小さければ小さいほど良好な配向性であるといえる。ここでは3%以下を良とした。結果を表1に示す。
【0386】
評価例2
二色性色素をアゾ色素(G205;林原生物化学研究所製)からアゾ色素(NKX2029;林原生物化学研究所製)に変えた以外は評価例1と同様にして、液晶配向素子を作製した。
【0387】
〔相転移温度の測定〕
評価例1と同様にして、評価例2の偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶組成物の相転移挙動を測定した。120℃まで昇温して溶剤を除去乾燥後、降温時において、113℃でネマチック相に相転移し107℃でスメクチックA相に相転移し、83℃でスメクチックB相へ相転移したことを確認した。
【0388】
評価例1と同様に、作製した液晶配向素子の二色比測定、配向状態観察、ヘイズ値測定を行った。その結果を表1に示す。
【0389】
評価例3
偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物を、化合物(3−1−6)75部及び化合物(3−1−7)25部の混合物から、化合物(3−1−6)75部及び化合物(3−1−8)25部の混合物に変えた以外は評価例1と同様にして、液晶配向素子を作製した。
【0390】
〔相転移温度の測定〕
評価例1と同様にして、評価例3の偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶組成物の相転移挙動を測定した。120℃まで昇温して溶剤を除去乾燥後、降温時において、111℃でネマチック相に相転移し105℃でスメクチックA相に相転移し、82℃でスメクチックB相へ相転移したことを確認した。
【0391】
評価例1と同様に、作製した液晶配向素子の二色比測定、配向状態観察、ヘイズ値測定を行った。その結果を表1に示す。
【0392】
評価例4
偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物を、化合物(3−1−6)75部及び化合物(3−1−7)25部の混合物から、化合物(3−1−6)75部及び化合物(3−1−13)25部の混合物に変えた以外は評価例1と同様にして、液晶配向素子を作製した。
【0393】
〔相転移温度の測定〕
評価例1と同様にして、実施例4の偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶組成物の相転移挙動を測定した。130℃まで昇温して溶剤を除去乾燥後、降温時において、119℃でネマチック相に相転移し111℃でスメクチックA相に相転移し、82℃でスメクチックB相へ相転移したことを確認した。
【0394】
評価例1と同様に、製造した偏光素子の二色比測定、配向状態観察、ヘイズ値測定を行った。その結果を表1に示す。
【0395】
評価例5
偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物を、化合物(3−1−6)75部及び化合物(3−1−7)25部の混合物から、化合物(3−1−6)75部及び化合物(3−1−14)25部の混合物に変えた以外は評価例1と同様にして、液晶配向素子を作製した。
【0396】
〔相転移温度の測定〕
評価例1と同様にして、実施例5の偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶組成物の相転移挙動を測定した。130℃まで昇温して溶剤を除去乾燥後、降温時において、118℃でネマチック相に相転移し109℃でスメクチックA相に相転移し、79℃でスメクチックB相へ相転移したことを確認した。
【0397】
評価例1と同様に、作製した液晶配向素子の二色比測定、配向状態観察、ヘイズ値測定を行った。その結果を表1に示す。
【0398】
【表1】

【0399】
評価例6
評価例1の重合性液晶(1−6)、(1−7)の代わりにポリビニルアルコールのラビング膜に配向させることのできる重合性ネマチック液晶化合物(例えばA1−1、A5−1、A6−1、A7−1、A9−1、A10−1、A11−1、A15−1、A21−1、A25−1、A63−1、A69−1、A70−1、A71−1、A72−1又はA73−1)を用い、かつ二色性色素を用いない位相差層形成用組成物を調製し、評価例1で示した光配向層上に塗布、ネマチック相転移温度まで加温した後、該重合性ネマチック液晶化合物を重合することにより、光配向層上にネマチック液晶相の液晶配向素子を作製できる。該液晶配向素子は液晶相を所望の位相差になるように厚みを調節すれば位相差層として機能する。
【産業上の利用可能性】
【0400】
本発明の光反応性液晶配向剤によれば、ネマチック液晶、スメクチック液晶を用いた液晶配向素子(例えば偏光層、位相差層)を形成させることができる。本発明の光反応性液晶配向剤によって得られる配向層は、非接触系で配向層が形成されるためダストが少ない、マスクを併用してのパターン化が容易などの利点があり、従来のラビング工程によって得られる配向層に勝る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1−1)で表されるポリマーを含む光反応性液晶配向剤。


[式(1−1)中、
n及びmはそれぞれ独立に、0又は1を表す。
v及びwはそれぞれ独立に、1〜3の整数を表す。
及びSはそれぞれ独立に、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。
は、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。
、X、X、X及びXはそれぞれ独立に、単結合、酸素原子、カルボニルオキシ基又はメチレン基を表す。
及びYはそれぞれ独立に、単結合、酸素原子又はカルボニルオキシ基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜2のアルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、vが2又は3の場合、複数存在するRは、同一又は相異なり、wが2又は3の場合、複数存在するRは、同一又は相異なる。
、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
p、q及びrは、全構造単位に対する各構造単位のモル分率を表し、0.25<p≦1、0≦q<0.75及び0≦r<0.75の関係を満たす。]
【請求項2】
前記ポリマーが、
前記式(1−1)のqが0のポリマーである請求項1記載の光反応性液晶配向剤。
【請求項3】
前記ポリマーが、
前記式(1−1)のrが0のポリマーである請求項1又は2記載の光反応性液晶配向剤。
【請求項4】
前記ポリマーが、
前記式(1−1)のR及びRがそれぞれ独立に、メトキシ基又はエトキシ基のポリマーである請求項1〜3のいずれか記載の光反応性液晶配向剤。
【請求項5】
前記ポリマーが、
前記式(1−1)のn及びmがともに0のポリマーである請求項1〜4のいずれか記載の光反応性液晶配向剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の光反応性液晶配向剤から塗布膜を形成し、該塗布膜を偏光照射してなる液晶配向層。
【請求項7】
請求項6記載の液晶配向層と、偏光層とを有する液晶配向素子であり、
前記偏光層が、前記液晶配向層上に、重合性液晶化合物を含む組成物溶液を塗布して塗布膜を得、
前記塗布膜中に含まれる前記重合性液晶化合物を偏光照射によって重合することによって形成されたものである液晶配向素子。
【請求項8】
前記重合性液晶化合物が、スメクチック相の液晶状態を示す化合物である請求項7記載の液晶配向素子。
【請求項9】
前記重合性液晶化合物が、高次スメクチック相の液晶状態を示す化合物である請求項7記載の液晶配向素子。
【請求項10】
前記重合性液晶化合物が、等方相の液晶状態から直接ネマチック相の液晶状態を示す化合物である請求項7に記載の液晶配向素子。
【請求項11】
前記重合性液晶化合物が、式(2)で表される請求項10記載の液晶配向素子。


[式(2)中、
は、置換もしくは非置換の多環式芳香族炭化水素基又は置換もしくは非置換の多環式芳香族複素環基を表す。
及びDは、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基を構成する−CH−は、−O−、−S−又は−NH−に置き換わっていてもよい。
及びEは、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びBは、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。該炭素数1〜4のアルキル基及び該炭素数1〜4アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。kが2以上の場合、複数存在するAは、互いに同一又は相異なり、複数存在するBは、互いに同一又は相異なる。lが2以上の場合、複数存在するAは、互いに同一又は相異なり、複数存在するBは、互いに同一又は相異なる。
及びFは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基を構成する−CH−は、−O−又は−CO−に置き換わっていてもよい。
及びPは、それぞれ独立に、水素原子、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表すが、P及びPがともに水素原子であることはない。]
【請求項12】
式(1−3)で表される化合物。


[式(1−3)中、
nは、0又は1を表す。vは、1〜3の整数を表す。
は、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。
及びXはそれぞれ独立に、単結合、酸素原子、カルボニルオキシ基又はメチレン基を表す。
は、単結合、酸素原子又はカルボニルオキシ基を表す。
は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
は、炭素数1〜2のアルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、vが2又は3の場合、複数存在するRは、同一又は相異なる。
は、水素原子又はメチル基を表す。]

【公開番号】特開2013−33248(P2013−33248A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−152165(P2012−152165)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】