説明

光受信装置および通信システム

【課題】伝送性能を向上させること。
【解決手段】光受信装置100は、光ファイバ111〜114と、SOA131〜134と、PD160と、レンズ140と、を備えている。光ファイバ111〜114には光が入力される。SOA131〜134は、光ファイバ111〜114にそれぞれ対応してアレイ状に設けられ、光ファイバ111〜114のうちの対応する光ファイバから入力された光を増幅して出射する。PD160は、入射される光を電気信号に変換する。レンズ140は、SOA131〜134から出射される各光をPD160へ入射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光受信装置および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量伝送用ネットワークとして光ネットワークが用いられている。光ネットワークの方式の一つにPON(Passive Optical Network)がある。PONにおいては、たとえば、複数の加入者側端末(ONU:Optical Network Unit)からバースト的に送信された光信号をスターカプラで合波し、一つの収容局側端末(OLT:Optical Line Terminal)で受信する。
【0003】
また、TDM(Time Division Multiplexing:時分割多重)を適用したTDM−PONが知られている。TDM−PONにおいては、たとえば、OLTから各ONUへの下りの信号についてはTDMによって伝送され、各ONUからOLTへの上りの信号についてはTDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)によって伝送される。TDM−PONの上り伝送システムにおいては、伝送波長がたとえば1.3[μm]帯であるため、たとえば1.55[μm]帯により伝送する場合に比べてファイバ損失が大きく、信号が劣化しやすい。
【0004】
また、TDM−PONの上り伝送システムにおいては、光スプリッタ(光カプラ)の分岐によって光パワーが大きく劣化するため、分岐数の拡大や伝送距離の延伸化がさらに困難である。分岐数と光スプリッタの損失劣化量とは互いにほぼ反比例するため、一般的に、分岐数の拡大と伝送距離の延伸化とはトレードオフの関係にある。また、光損失を低減するため、ファイバアレイからの各出力光をレンズアレイおよび集光レンズを用いてPDに受光させるOLTが知られている(たとえば、下記非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ning Cheng,Zhenxing Liao,and Frank J.Effenberger、“Large Splitting and Long Reach Passive Optical Networks with Mode Coupling Receivers”、ECOC 2010年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、たとえばOLTまでの距離がONUごとに異なると、OLTが受信する光の損失がONUごとに異なるため、OLTの受光素子における受光パワーをダイナミックレンジに収めることが困難である。このため、各ONUからの光を精度よく受信することができないという問題がある。
【0007】
これに対して、ONUのそれぞれに光プリアンプを設けて各ONUからの光をONU側で個別に増幅することが考えられるが、ONUのそれぞれにおいて光アンプを設けると各ONUの大型化および高価格化につながるという問題がある。また、各ONUのそれぞれに設けた光アンプの増幅量をOLT側から制御することは困難という問題がある。
【0008】
また、OLTに光ポストアンプを設け、各ONUからTDMAで送信される光をOLT側で増幅することが考えられるが、OLTが受信する光の損失がONUごとに異なるため、損失を補填するための増幅量もONUごとに異なる。このため、光ポストアンプによって受光パワーをダイナミックレンジに収めることが困難という問題がある。
【0009】
開示の光受信装置および通信システムは、上述した問題点を解消するものであり、伝送性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一側面によれば、光が入力される複数の入力部と、前記複数の入力部にそれぞれ対応してアレイ状に設けられ、前記複数の入力部のうちの対応する入力部から入力された光を増幅して出射する複数の増幅器と、光を電気信号に変換する受光素子と、前記複数の増幅器から出射される各光を前記受光素子へ入射させる光学系と、を備える光受信装置および通信システムが提案される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面によれば、伝送性能を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる光受信装置の構成例を示す図である。
【図2】図2は、図1に示した光受信装置を適用した通信システムの構成例1を示す図である。
【図3】図3は、図1に示した光受信装置を適用した通信システムの構成例2を示す図である。
【図4】図4は、図1に示した光受信装置の具体的な構成例を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態2にかかる通信システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、開示技術の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる光受信装置の構成例を示す図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる光受信装置100は、ファイバアレイ110と、レンズ120と、SOAアレイ130と、レンズ140と、波長フィルタ150と、PD160と、を備えている。光受信装置100は、たとえば、TDM−PON方式の通信システムにおけるOLTに適用することができる。
【0015】
ファイバアレイ110は、アレイ状に設けられた(すなわち一次元配列された)光ファイバ111〜114を含む。光ファイバ111〜114は、光受信装置100の外部から光が入力される複数の入力部である。光受信装置100をTDM−PON方式の通信システムにおけるOLTに適用する場合は、光ファイバ111〜114に接続された各ONUが光信号をTDMAによって送信する。したがって、各タイムスロットにおいて光ファイバ111〜114のいずれかから光信号が入力される。光ファイバ111〜114のそれぞれは、入力された光をレンズ120へ出射する。
【0016】
レンズ120は、光ファイバ111〜114から出射される各光をそれぞれSOAアレイ130のSOA131〜134の入力部へ入射させる光学系である。ここでは各光をSOAアレイ130へ入射させる光学系を1つのレンズ120によって実現する構成について説明したが、各光をSOAアレイ130へ入射させる光学系を複数のレンズなどによって実現する構成としてもよい。
【0017】
SOAアレイ130は、それぞれ光ファイバ111〜114に対応してアレイ状に設けられた(すなわち一次元配列された)SOA131〜134(Semiconductor Optical Amplifier:半導体光増幅器)を含む。SOA131〜134の入力部には、それぞれ光ファイバ111〜114から出射されてレンズ120を通過した光が入射される。
【0018】
SOA131〜134のそれぞれは、入射された光を増幅してレンズ140へ出射する。また、SOA131〜134のそれぞれは、外部からの駆動信号に応じた可変の増幅量によって光を増幅させる可変増幅器である。SOA131〜134のそれぞれは、たとえばシングルモード光導波路(単一モード光導波路)を用いて実現することができる。
【0019】
レンズ140は、SOA131〜134から出射される各光を単一のPD160へ入射させる光学系である。たとえば、レンズ140は、SOA131〜134から同時に光が出射されたと仮定した場合に、SOA131〜134からの各光をPD160へ集束させるように調整される。ここでは各光をPD160へ入射させる光学系を1つのレンズ140によって実現する構成について説明したが、各光をPD160へ入射させる光学系を複数のレンズなどによって実現する構成としてもよい。
【0020】
波長フィルタ150は、SOAアレイ130とPD160との間に設けられ、SOAアレイ130からPD160へ出射される光を透過させる。図1に示す例では、波長フィルタ150はレンズ140とPD160との間に設けられている。波長フィルタ150は、透過させた光の所定の波長帯域を減衰させることで、SOA131〜134において発生するASE(Amplified Spontaneous Emission:自然放出)光を減衰させる。ただし、SOA131〜134において発生するASE光の影響を考慮しなくてもよい場合は、波長フィルタ150を省いた構成にしてもよい。
【0021】
PD160は、受光部161を有する。受光部161は、レンズ140によって入射された光を電気信号に変換する。PD160は、受光部161によって変換された電気信号を出力する。PD160から出力された電気信号は、たとえば、光受信装置100の内部または外部の信号処理回路によって処理される。
【0022】
このように、SOA131〜134からの各光をレンズ140によってPD160へ直接入射させることで、たとえばSOA131〜134の各出力部とPD160とを光ファイバおよび光カプラによって結合しなくても各光をPD160へ入射することができる。このため、各ONUからPD160までの各経路の光カプラによる結合数を減らし、光カプラによる結合損失を低減することができる。
【0023】
たとえば、SOA131〜134からの各光を光ファイバおよび光カプラによって合波してPD160へ入射させる場合に比べて、光カプラによる結合損失(4分岐では約6.5[dB])の分がパワーバジェットとして利用できるようになる。また、SOA131〜134からの各光を光ファイバおよび光カプラによって合波してPD160へ入射させる場合に比べて、SOA131〜134の各出力部と光ファイバとの結合損失(たとえば約1.5[dB])の分がパワーバジェットとして利用できるようになる。
【0024】
また、光ファイバ111〜114から入力される各光を複数の増幅器(SOA131〜134)によって増幅するため、各光の増幅量を個別に調整することができる。これにより、入力される各光のパワーが異なっていても、PD160における受光パワーをPD160のダイナミックレンジに収めることができる。このため、パワーバジェットを拡大することができる。
【0025】
なお、図1に示す例ではファイバアレイ110は4本の光ファイバ111〜114を含む場合について説明したが、ファイバアレイ110はn本(nは2以上の自然数)の光ファイバを有していればよい。この場合は、SOAアレイ130もたとえばn個のSOAを含むようにする。
【0026】
図2は、図1に示した光受信装置を適用した通信システムの構成例1を示す図である。図2に示す通信システム200は、TDM−PON方式の通信システムである。通信システム200は、OLT210と、ONU211,212,…と、ONU221,222,…と、ONU231,232,…と、ONU241,242,…と、光カプラ251〜254と、を含んでいる。
【0027】
<ONUについて>
以下の説明において、OLT210に接続された各ONU、すなわちONU211,212,…、ONU221,222,…、ONU231,232,…およびONU241,242,…を単に「各ONU」と称する。各ONUは、各ONUの数より少ない群(図2に示す例では4つ)に分類され、群ごとに対応して設けられた光カプラ251〜254によってOLT210に接続されている。
【0028】
たとえば、各ONUは、OLT210(たとえば光受信装置100の光ファイバ111〜114)までの経路における光損失に応じて群に分類され、分類された群ごとに光カプラ251〜254によってまとめられてOLT210に接続されている。たとえば、経路における光損失は経路の長さに依存するため、OLT210までの経路の長さに応じて各ONUを分類することで、OLT210までの経路における光損失に応じて各ONUを分類することができる。OLT210までの経路における光損失に応じて各ONUを分類することで、光カプラ251〜254のそれぞれに、OLT210までの経路における光損失が同程度のONUが接続される。
【0029】
ONU211,212,…は、光カプラ251を介してOLT210と接続されている。そして、ONU211,212,…は、OLT210への上りの光信号をTDMAによって光カプラ251へ送信する光送信装置である。また、ONU211,212,…は、OLT210からTDMによって光カプラ251を介して送信される下りの光信号に含まれる自装置宛の信号を受信する。同様に、ONU221,222,…、ONU231,232,…およびONU241,242,…は、それぞれ光カプラ252〜254を介してOLT210と接続されており、OLT210との間で光信号を送受信する。
【0030】
光カプラ251は、ONU211,212,…からTDMAによって送信された光信号をOLT210へ出射する。同様に、光カプラ252〜254は、それぞれONU221,222,…、ONU231,232,…およびONU241,242,…からTDMAによって送信された光信号をOLT210へ出射する。
【0031】
また、光カプラ251は、OLT210から出射された光信号を分岐し、分岐した各光信号をONU211,212,…へ出射する。同様に、光カプラ252〜254は、OLT210から出射された光信号を分岐し、分岐した各光信号をそれぞれONU221,222,…、ONU231,232,…およびONU241,242,…へ出射する。
【0032】
このように、通信システム200においては、各ONU(ONU211,212,…、ONU221,222,…、ONU231,232,…およびONU241,242,…)を各ONUよりも少ない複数の光カプラ(光カプラ251〜254)で束ねる。
【0033】
<OLTについて>
OLT210は、光受信装置100(Rx)と、分岐用波長フィルタ201〜204と、光送信装置205(Tx)と、光アンプ206と、光カプラ207と、を含んでいる。光受信装置100は、たとえば図1に示した光受信装置100と同様である。
【0034】
分岐用波長フィルタ201〜204は、それぞれ光カプラ251〜254に接続されている。分岐用波長フィルタ201〜204は、それぞれ光カプラ251〜254から出射された光に含まれる特定の波長(たとえば1.3[μm])の成分のみを光受信装置100へ透過させることで、各ONUからの上りの光信号を光受信装置100へ出射する。
【0035】
また、分岐用波長フィルタ201〜204は、光カプラ207から出射された光に含まれる特定の波長(たとえば1.55[μm])の成分のみをそれぞれ光カプラ251〜254へ透過させる。これにより、光送信装置205からの下りの光信号をそれぞれ光カプラ251〜254へ出射することができる。
【0036】
分岐用波長フィルタ201〜204から出射される各光は、それぞれ光受信装置100の光ファイバ111〜114へ入力される。上述したように、光受信装置100は、光ファイバ111〜114から入力される各光の増幅量を個別に調整することができる。また、光カプラ251〜254のそれぞれには光損失が同程度のONUが接続されている。
【0037】
このため、光受信装置100へ入力される各光の増幅量を個別に調整することで、各ONUからの光に対して光損失に応じた適切な増幅量を設定することができる。このため、各ONUからの光のPD160における受光パワーをPD160のダイナミックレンジに収めることができる。
【0038】
光送信装置205は、各ONUへの下りの光信号をTDMによって光アンプ206へ送信する。光アンプ206は、光送信装置205から送信された光信号を増幅する。光アンプ206は、増幅した光信号を光カプラ207へ出射する。光カプラ207は、光アンプ206から出射された光信号を分岐する。光カプラ207は、分岐した各光信号をそれぞれ分岐用波長フィルタ201〜204へ出射する。
【0039】
図3は、図1に示した光受信装置を適用した通信システムの構成例2を示す図である。図3において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図3に示す通信システム300は、伝送レートおよび波長が異なる信号を混在させたTDM−PON方式の通信システムである。通信システム300において伝送される光信号には、伝送レートが異なる光信号が混在している。
【0040】
たとえば、通信システム300の上りの各光信号においては、伝送レートが1[G]で波長が1.31[μm]の光信号と、伝送レートが10[G]で波長が1.27[μm]の光信号と、が混在している。また、通信システム300の下りの光信号には、伝送レートが1[G]で波長が1.49[μm]の光信号と、伝送レートが10[G]で波長が1.57[μm]の光信号と、が混在している。
【0041】
<ONUについて>
ONU211,221,231,241(ONU 10[G])のそれぞれは、伝送レートが10[G]のONUである。具体的には、ONU211,221,231,241のそれぞれは、伝送レートが10[G]で波長が1.27[μm]の光信号を送信する。また、ONU211,221,231,241のそれぞれは、伝送レートが10[G]で波長が1.57[μm]の光信号を受信する。
【0042】
ONU212,222,232,242(ONU 1[G])のそれぞれは、伝送レートが1[G]のONUである。具体的には、ONU212,222,232,242のそれぞれは、伝送レートが1[G]で波長が1.31[μm]の光信号を送信する。また、ONU212,222,232,242のそれぞれは、伝送レートが1[G]で波長が1.49[μm]の光信号を受信する。
【0043】
<OLTについて>
OLT210は、分岐用波長フィルタ201〜204と、透過バンドパスフィルタ301〜304と、光カプラ311と、光受信装置100(Rx 10[G])と、光受信装置312(Rx 1[G])と、光送信装置205(Tx 10[G])と、光送信装置321と、合波用波長フィルタ322と、を備えている。
【0044】
分岐用波長フィルタ201〜204は、それぞれ光カプラ251〜254に接続されている。分岐用波長フィルタ201〜204は、それぞれ光カプラ251〜254から出射された光に含まれる特定の波長(たとえば1.31[μm]および1.27[μm])の成分のみをそれぞれ透過バンドパスフィルタ301〜304へ透過させる。
【0045】
また、分岐用波長フィルタ201〜204は、光カプラ207から出射された光に含まれる特定の波長(たとえば1.57[μm]および1.49[μm])の成分のみをそれぞれ光カプラ251〜254へ透過させる。これにより、光送信装置205からの下りの光信号をそれぞれ光カプラ251〜254へ出射することができる。
【0046】
また、透過バンドパスフィルタ301〜304は、それぞれ分岐用波長フィルタ201から出射された光に含まれる特定の波長(たとえば1.27[μm])の成分のみを光受信装置100へ透過させる。これにより、ONU211,221,231,241からの伝送レートが10[G]の光信号を光受信装置100へ出射することができる。
【0047】
透過バンドパスフィルタ301〜304は、それぞれ分岐用波長フィルタ201〜204から出射された光に含まれる特定の波長(たとえば1.31[μm])の成分のみを光カプラ311へ透過させる。これにより、ONU212,222,232,242からの伝送レートが1[G]の光信号を光カプラ311へ出射することができる。
【0048】
光受信装置100は、透過バンドパスフィルタ301〜304から出射される各光信号を受信する。光カプラ311は、透過バンドパスフィルタ301〜304から出射された伝送レートが1[G]の光信号を光受信装置312へ出射する。光受信装置312は、光カプラ311から出射された伝送レートが1[G]の光信号を受信する。
【0049】
光送信装置205は、ONU211,221,231,241への10[G]の光信号(波長は1.57[μm])を合波用波長フィルタ322へ出射する。光送信装置321は、ONU212,222,232,242への1[G]の光信号(波長は1.49[μm])の光信号を合波用波長フィルタ322へ出射する。
【0050】
合波用波長フィルタ322は、光送信装置205から出射された光信号(波長が1.57[μm])と、光送信装置321から出射された光信号(波長が1.49[μm])と、を合波する。合波用波長フィルタ322は、合波した光信号を光カプラ207へ出射する。光カプラ207は、合波用波長フィルタ322から出射された光信号を分岐する。
【0051】
なお、光受信装置312および光カプラ311に代えて光受信装置100をさらに設けてもよい。この場合は、透過バンドパスフィルタ301〜304から出射される各光は、光受信装置312および光カプラ311に代えてさらに設けられた光受信装置100の光ファイバ111〜114へ入射される。
【0052】
図4は、図1に示した光受信装置の具体的な構成例を示す図である。図4において、図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図4に示す光受信装置100は、ファイバアレイ110と、コネクタ401と、筐体402と、レンズ403と、アイソレータ404と、窓405と、レンズ406と、SOAアレイ130と、キャリア407と、配線408と、端子409と、レンズ410と、レンズ411と、波長フィルタ150と、PD160と、を備えている。
【0053】
ファイバアレイ110は、コネクタ401によって筐体402に接続されている。ファイバアレイ110から出射された光は、レンズ403、アイソレータ404および窓405を介して筐体402の内部へ入力される。筐体402の内部には、レンズ403と、アイソレータ404と、窓405と、レンズ406と、SOAアレイ130と、キャリア407と、配線408と、端子409と、レンズ410と、レンズ411と、PD160と、が格納されている。筐体402の内部へ入力された光は、レンズ406によってSOAアレイ130のSOA131〜134の入力部へ入射される。
【0054】
SOAアレイ130は、キャリア407の上に固定されている。キャリア407は、たとえば放熱部材であり、筐体402の内部に固定されている。また、キャリア407は、図示しないペルチェ素子などによって温度が調整されてもよい。これにより、SOAアレイ130の温度が調整される。SOAアレイ130のSOA131〜134から出射された光は、レンズ410,411によってPD160の受光部161に入射される。レンズ410,411は、図1に示したレンズ140に対応する構成である。
【0055】
また、SOA131〜134から出射される各光は、レンズ410およびレンズ411に対して斜めに入射される。これに対して、レンズ410およびレンズ411は、SOA131〜134から出射される各光を、中心とは異なる位置で通過させる。これにより、SOA131〜134から斜めに出射される各光が焦点を結ぶ位置を、レンズ410およびレンズ411の収差によってPD160に合わせることができる。
【0056】
SOAアレイ130のSOA131〜134のそれぞれは、配線408を介して端子409に接続されている。端子409は筐体402の外部へ導出されている。端子409には、たとえば、SOAアレイ130のSOA131〜134をそれぞれ駆動する各駆動信号が入力される各端子や、図示しないペルチェ素子を駆動する駆動信号が入力される各端子や、PD160が出力する電気信号が出力される端子などが含まれる。たとえば、端子409から入力する駆動信号を制御することで、SOA131〜134における増幅のオン/オフや増幅量をそれぞれ制御することができる。また、PD160から出力される電気信号は、たとえば端子409を介して外部の信号処理回路へ出力される。
【0057】
このように、実施の形態1によれば、光ファイバ111〜114によって複数の経路から入力される各光をSOAアレイ130により個別に増幅することで、各光の損失に応じて各光を適切に増幅することができる。これにより、PD160による受光パワーをPD160のダイナミックレンジに収めることができる。このため、たとえば光受信装置100に接続された各経路の長さが異なり、各経路から入力される各光の損失が異なっていても、各光を精度よく受信して伝送性能を向上させることができる。
【0058】
また、SOAアレイ130から出射される各光を光学系により受光素子に入射させることで、たとえばSOAアレイ130の各出力部とPD160とを光ファイバおよび光カプラによって結合する構成に比べて光損失を低減することができる。これにより、各光を精度よく受信して伝送性能を向上させることができる。したがって、たとえば、OLT210に接続されるONUの数を増加させたり、OLT210とONUの伝送距離を長くしたりすることも可能になる。
【0059】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2にかかる通信システムの構成例を示す図である。図5において、図1または図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図5に示すように、実施の形態2にかかるOLT210は、図2に示した構成に加えて、タップPD511〜514と、遅延部521〜524と、を備えている。
【0060】
タップPD511〜514は、それぞれ分岐用波長フィルタ201〜204から光受信装置100へ出射された各光信号の一部を分岐し、分岐した光信号を電気信号に変換する。タップPD511〜514のそれぞれは、変換した電気信号を光受信装置100へ出力する。遅延部521〜524は、それぞれ分岐用波長フィルタ201〜204から光受信装置100へ出射された各光信号を所定の時間遅延させる。
【0061】
光受信装置100は、図1に示した構成に加えて、制御回路530と、駆動部541〜544と、を備えている。制御回路530は、タップPD511〜514から出力された各電気信号を、SOA131〜134のそれぞれについて光が入力されているか否かを示す入力情報として取得する取得部である。すなわち、タップPD511〜514から出力された各電気信号は、光ファイバ111〜114のそれぞれについて光が入力されているか否かを示すため、SOA131〜134のそれぞれについて光が入力されているか否かを示す入力情報とみなすことができる。
【0062】
また、制御回路530は、取得した入力情報に基づいて、SOA131〜134を制御する制御部である。具体的には、制御回路530は、SOA131〜134のうちの光が入力されていないSOAの増幅量を、SOA131〜134のうちの光が入力されているSOAの増幅量より低くするように駆動部541〜544を制御する。これにより、SOA131〜134のうちの光が入力されていないSOAにおいて発生するASE光を低減し、PD160によって受光される光信号の雑音を低減することができる。
【0063】
たとえば、制御回路530は、SOA131〜134のうちの光が入力されていないSOAに対して駆動電流を入力しないようにすることで増幅量をゼロにする。これにより、SOA131〜134のうちの光が入力されていないSOAにおいてASE光が発生することを回避し、PD160によって受光される光信号の雑音を低減することができる。駆動部541〜544は、制御回路530の制御によってそれぞれSOA131〜134へ駆動電流を入力する。SOA131〜134は、それぞれ駆動部541〜544から入力される駆動電流に応じて光を増幅する。
【0064】
たとえば、ONU211,212,…のいずれかのONUがOLT210へ光信号を送信するタイムスロットにおいては、各ONUのうちの他のONUは光信号を送信しない。したがって、光ファイバ111には光信号が入力され、光ファイバ112〜114には光信号が入力されない。このため、SOA131へ光信号が入力され、SOA132〜134には光信号が入力されない。
【0065】
また、タップPD511から制御回路530には電気信号が入力され、タップPD512〜514から制御回路530には電気信号が入力されない。このため、制御回路530は、SOA131へ光信号が入力され、SOA132〜134には光信号が入力されないことを認識することができる。これに対して、制御回路530は、SOA131へ駆動電流を入力するとともに、SOA132〜134には駆動電流を入力しないようにする。これにより、SOA131によって光信号を増幅するとともに、光信号が入力されないSOA132〜134においてASEが発生することを回避することができる。
【0066】
このように、実施の形態2によれば、SOA131〜134のうちの光が入力されていないSOAの増幅量を、光が入力されているSOAの増幅量より低くする(たとえばゼロにする)ことができる。これにより、SOA131〜134のうちの光が入力されていないSOAにおいて発生するASE光を低減することができる。このため、PD160において光を精度よく受信し、伝送性能を向上させることができる。
【0067】
また、光ファイバ111〜114から入力された各光を増幅する複数の増幅器をSOA131〜134(半導体光増幅器)とすることで、増幅量の制御を高速に行うことができる。このため、SOA131〜134のそれぞれにおける光の入力の有無がTDMAによって切り替わっても追従してSOA131〜134の増幅量の制御を行うことができる。
【0068】
以上説明したように、光受信装置および通信システムによれば、伝送性能を向上させることができる。
【0069】
上述した各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0070】
(付記1)光が入力される複数の入力部と、
前記複数の入力部にそれぞれ対応してアレイ状に設けられ、前記複数の入力部のうちの対応する入力部から入力された光を増幅して出射する複数の増幅器と、
光を電気信号に変換する受光素子と、
前記複数の増幅器から出射される各光を前記受光素子へ入射させる光学系と、
を備えることを特徴とする光受信装置。
【0071】
(付記2)前記複数の増幅器のそれぞれは半導体光増幅器であることを特徴とする付記1に記載の光受信装置。
【0072】
(付記3)前記複数の入力部には、
光を送信する複数の光送信装置を分類した複数の群にそれぞれ対応して設けられた複数の光カプラであって、前記複数の群のうちの対応する群に含まれる光送信装置によって送信された光を出射する複数の光カプラから出射される光がそれぞれ入力されることを特徴とする付記1または2に記載の光受信装置。
【0073】
(付記4)前記複数の光送信装置は、複数の入力部までの経路における光損失に応じて前記複数の群に分類されていることを特徴とする付記3に記載の光受信装置。
【0074】
(付記5)前記複数の入力部には、前記複数の入力部にそれぞれ接続された複数の光送信装置が時分割多元接続によって送信した光が入力されることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の光受信装置。
【0075】
(付記6)前記複数の増幅器のそれぞれについて光が入力されているか否かを示す入力情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された入力情報に基づいて、前記複数の増幅器のうちの光が入力されていない増幅器の増幅量を、前記複数の増幅器のうちの光が入力されている増幅器の増幅量より低くする制御部と、
をさらに備えることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の光受信装置。
【0076】
(付記7)前記複数の増幅器によって発生する自然放出光を減衰させるフィルタを前記複数の増幅器と前記受光素子との間にさらに備えることを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の光受信装置。
【0077】
(付記8)複数の群に分類された複数の光送信装置と、
前記複数の群にそれぞれ対応して設けられ、前記複数の群のうちの対応する群に含まれる光送信装置によって送信された光を出射する複数の光カプラと、
前記複数の光カプラから出射される各光を受信する光受信装置と、
を含む通信システムであって、
前記光受信装置は、
前記複数の光カプラから出射される各光がそれぞれ入力される複数の入力部と、
前記複数の入力部にそれぞれ対応してアレイ状に設けられ、前記複数の入力部のうちの対応する入力部から入力された光を増幅して出射する複数の増幅器と、
光を電気信号に変換する受光素子と、
前記複数の増幅器から出射される各光を前記受光素子へ入射させる光学系と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【0078】
(付記9)前記複数の増幅器のそれぞれは半導体光増幅器であることを特徴とする付記8に記載の通信システム。
【0079】
(付記10)前記複数の光送信装置は、前記光受信装置までの経路における光損失に応じて前記複数の群に分類されていることを特徴とする付記8または9に記載の通信システム。
【0080】
(付記11)前記複数の光送信装置は、時分割多元接続によってそれぞれ光を送信することを特徴とする付記8〜10のいずれか一つに記載の通信システム。
【0081】
(付記12)前記光受信装置は、
前記複数の増幅器のそれぞれについて光が入力されているか否かを示す入力情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された入力情報に基づいて、前記複数の増幅器のうちの光が入力されていない増幅器の増幅量を、前記複数の増幅器のうちの光が入力されている増幅器の増幅量より低くする制御部と、
をさらに備えることを特徴とする付記8〜11のいずれか一つに記載の通信システム。
【0082】
(付記13)前記光受信装置は、前記複数の増幅器によって発生する自然放出光を減衰させるフィルタを前記複数の増幅器と前記受光素子との間にさらに備えることを特徴とする付記8〜12のいずれか一つに記載の通信システム。
【符号の説明】
【0083】
100,312 光受信装置
110 ファイバアレイ
120,140,403,406,410,411 レンズ
130 SOAアレイ
150 波長フィルタ
160 PD
111〜114 光ファイバ
131〜134 SOA
161 受光部
200,300 通信システム
210 OLT
251〜254,207,311 光カプラ
211,212,221,222,231,232,241,242 ONU
201〜204 分岐用波長フィルタ
205,321 光送信装置
206 光アンプ
301〜304 透過バンドパスフィルタ
322 合波用波長フィルタ
401 コネクタ
402 筐体
404 アイソレータ
405 窓
407 キャリア
408 配線
409 端子
511〜514 タップPD
521〜524 遅延部
530 制御回路
541〜544 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が入力される複数の入力部と、
前記複数の入力部にそれぞれ対応してアレイ状に設けられ、前記複数の入力部のうちの対応する入力部から入力された光を増幅して出射する複数の増幅器と、
光を電気信号に変換する受光素子と、
前記複数の増幅器から出射される各光を前記受光素子へ入射させる光学系と、
を備えることを特徴とする光受信装置。
【請求項2】
前記複数の増幅器のそれぞれは半導体光増幅器であることを特徴とする請求項1に記載の光受信装置。
【請求項3】
前記複数の入力部には、
光を送信する複数の光送信装置を分類した複数の群にそれぞれ対応して設けられた複数の光カプラであって、前記複数の群のうちの対応する群に含まれる光送信装置によって送信された光を出射する複数の光カプラから出射される光がそれぞれ入力されることを特徴とする請求項1または2に記載の光受信装置。
【請求項4】
前記複数の光送信装置は、複数の入力部までの経路における光損失に応じて前記複数の群に分類されていることを特徴とする請求項3に記載の光受信装置。
【請求項5】
前記複数の増幅器のそれぞれについて光が入力されているか否かを示す入力情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された入力情報に基づいて、前記複数の増幅器のうちの光が入力されていない増幅器の増幅量を、前記複数の増幅器のうちの光が入力されている増幅器の増幅量より低くする制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光受信装置。
【請求項6】
複数の群に分類された複数の光送信装置と、
前記複数の群にそれぞれ対応して設けられ、前記複数の群のうちの対応する群に含まれる光送信装置によって送信された光を出射する複数の光カプラと、
前記複数の光カプラから出射される各光を受信する光受信装置と、
を含む通信システムであって、
前記光受信装置は、
前記複数の光カプラから出射される各光がそれぞれ入力される複数の入力部と、
前記複数の入力部にそれぞれ対応してアレイ状に設けられ、前記複数の入力部のうちの対応する入力部から入力された光を増幅して出射する複数の増幅器と、
光を電気信号に変換する受光素子と、
前記複数の増幅器から出射される各光を前記受光素子へ入射させる光学系と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項7】
前記複数の光送信装置は、前記光受信装置までの経路における光損失に応じて前記複数の群に分類されていることを特徴とする請求項6に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−175583(P2012−175583A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37688(P2011−37688)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】