光回折構造体とその製造方法、ステッカー、漉き込み用紙、包装材
【課題】インクジェット方式にて紫外線硬化型接着剤を印刷することにより、回折構造体を任意のパターンで転写する技術を提供する。
【解決手段】基材に紫外線もしくは電子線硬化型接着層をパターン状に塗布するパターン形成工程、前記接着層を塗布した面に少なくとも光回折構造層、光回折構造効果層及び転写基材を有する転写箔を貼り合せる転写工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着剤層を紫外線もしくは電子線を用いて硬化して紫外線もしくは電子線硬化接着剤層とする硬化工程、転写基材を紫外線もしくは電子線硬化型接着層がない部分の光回折構造層と光回折構造効果層を伴って剥離する剥離工程を含む請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の製造方法などを提供する。
【解決手段】基材に紫外線もしくは電子線硬化型接着層をパターン状に塗布するパターン形成工程、前記接着層を塗布した面に少なくとも光回折構造層、光回折構造効果層及び転写基材を有する転写箔を貼り合せる転写工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着剤層を紫外線もしくは電子線を用いて硬化して紫外線もしくは電子線硬化接着剤層とする硬化工程、転写基材を紫外線もしくは電子線硬化型接着層がない部分の光回折構造層と光回折構造効果層を伴って剥離する剥離工程を含む請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の製造方法などを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネーションや熱箔押しでは困難であった、可変情報などのパターンが転写された光回折構造体とその製造方法、ステッカー、漉き込み用紙、包装材を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
光回折構造体は、その画像の意匠性のほか複製の困難さのため、装飾以外にもそのセキュリティ性によりクレジットカードなど各種金券に広く利用されている。
【0003】
一般に、光回折構造体は、光の干渉を利用して立体的な画像を再生し得るものである。この画像は、光回折構造を介して得られる。従来、光回折構造は生産効率の観点から熱エンボス等によりウェブ状に形成されている。
【0004】
従来、この様に作製された光回折構造体の実装方法は、ホログラム転写箔をホットスタンプにより、カードなどの被転写体上に転写するものであった。
【0005】
この方式はセキュリティを持った被転写体の大量生産には大きく寄与した。しかし、その大量性のために被転写体1枚1枚が持つセキュリティ性は薄くなってしまった。
【0006】
そこで、任意のホログラムパターンを被転写体に記録することができ、個々の被転写体が、ホログラムで固有の情報を持つことが可能になることは、今後、被転写体のセキュリティが重要視される時代に望ましいことである。
【0007】
そのため、サーマルヘッドを用いて回折構造体を支持基材から熱により剥離すると同時に熱可塑性樹脂を接着剤とし、所望の被転写基材に任意のパターンを形成させる技術が提案されている。
【0008】
以下に、上記先行技術特許を示す。
【特許文献1】特開平1−283583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、被転写基材が紙の場合、サーマルヘッドの押し圧が低いと、回折構造を被転写基材との接着を行なう接着層が被転写基材と十分接触しないため、転写ムラが発生し易い。
【0010】
さらには被転写基材がシュリンクフィルムのように、熱安定性が低い基材の場合はサーマルヘッドの印字熱による収縮が発生し、回折構造転写時にシワが入る等の転写不良が発生する。
【0011】
そこで、本発明では耐熱性のない基材にも光回折構造を鮮明に表現することのできる金属反射層を有する光回折構造体とその製造方法、ステッカー、漉き込み用紙、包装材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明で、前記課題を解決するため、まず、請求項1では、基材上にパターン状の紫外線もしくは電子線硬化接着剤層、光回折構造効果層、光回折構造層、保護層が形成された
ことを特徴とする光回折構造体を提供するものである。
【0013】
また、請求項2では、請求項1に記載の光回折構造効果層の紫外線もしくは電子線の透過率が0.1%〜80%であることを特徴とする請求項1に記載の光回折構造体を提供するものである。
【0014】
また、請求項3では、請求項2に記載の光回折構造効果層が金属で形成されており、紫外線の透過率が0.5%〜5%であることを特徴とする請求項2に記載の光回折構造体を提供するものである。
【0015】
また、請求項4では、基材に紫外線もしくは電子線硬化型接着層をパターン状に塗布するパターン形成工程、前記接着層を塗布した面に少なくとも光回折構造層、光回折構造効果層及び転写基材を有する転写箔を貼り合せる転写工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着剤層を紫外線もしくは電子線を用いて硬化して紫外線もしくは電子線硬化接着剤層とする硬化工程、転写基材を紫外線もしくは電子線硬化型接着層がない部分の光回折構造層と光回折構造効果層を伴って剥離する剥離工程を含む請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の製造方法を提供するものである。
【0016】
また、請求項5では、少なくとも転写基材に光回折構造及び光回折構造効果層を有する転写箔に紫外線もしくは電子線硬化型接着層をパターン状に塗布するパターン形成の工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着層を塗布した面に基材を貼り合せる貼り合せ工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着層を紫外線もしくは電子線を用いて硬化し紫外線もしくは電子線硬化接着層とする硬化工程、転写基材を紫外線もしくは電子線硬化型接着層がない部分の光回折構造層と光回折構造効果層を伴って剥離する剥離工程を含む請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の製造方法を提供するものである。
【0017】
また、請求項6では、紫外線もしくは電子線硬化型接着剤を塗布する工程がインクジェット方式でなされることを特徴とする請求項4または5記載の光回折構造体の製造方法を提供するものである。
【0018】
また、請求項7では、請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の基材側もしくは転写箔側に粘着層と剥離基材を形成したことを特徴とするステッカーを提供するものである。
【0019】
また、請求項8では、請求項1乃至3何れか記載に光回折構造体を紙の中に証紙した漉き込み用紙を提供するものである。
【0020】
また、請求項9では、請求項1乃至3記載の光回折構造体もしくは請求項9に記載の漉き込み用紙を少なくとも一部に用いた包装材を提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、回折構造体を、インクジェット方式にて紫外線硬化型接着剤を印刷することにより、回折構造体を任意のパターンで転写することが出来た。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するにあたって、最良の形態を説明する。
【0023】
本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明では例えば回折構造につきそれがホログラムである場合で説明している様に、具体的な最良の形態に落とし込んで説明しているが、以下の最良の形態以外でも、本願の作用効果を奏する構成であれば変形実施可能である。
【0024】
ホログラム転写箔を製作するためには、転写箔の基材の一方の面に剥離性保護層を形成し、この剥離性保護層上にホログラム形成層を設け、このホログラム形成層に熱エンボスを行いホログラムを形成した後、このホログラム層上に金属反射層を形成し、必要に応じて金属反射層の上に接着層を形成した構成をしている。
【0025】
ここで転写箔の転写基材としては、厚みが安定しており、且つ耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いるのが一般的であるが、これに限るものではない。その他の材料としては、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム等が耐熱性の高いフィルムとして知られており、同様の目的で使用する事が可能である。また、他のフィルム、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、耐熱塩化ビニル等の材料でも、塗液の塗工条件や乾燥条件によっては使用可能である。
【0026】
剥離性保護層を形成する樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、アクリル系樹脂ビニル系樹脂の混合物等を塗料化し、コーティング方については特に限定するものではなく、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷等の公知のコーティング方法で塗布をして乾燥することにより、厚さ1〜2μm程度の樹脂層を形成する。
【0027】
また、ホログラム形成層を形成する樹脂としては、例えば飽和共重合ポリエステル等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体等の塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、ポリアクリレートもしくはポリメタクリレート樹脂またはこれらの共重合体等の熱可塑性樹脂があり、これらを単独あるいは2種類以上混合して適用することができる。
【0028】
さらに、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を、これらを単独あるいは2種類以上混合して適用することができる。
【0029】
さらに、上記熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合物であっても適用することができ、上記樹脂を塗料化し、公知のコーティング法によりホログラム形成層を形成する。そして、その厚さとしては、0.3〜2μm程度、好ましくは0.5〜1.5μmとするのがよい。
【0030】
次に、ホログラム形成層上にエンボスによるホログラムを形成するが、この場合、ホログラムパターンが形成されたニッケル製のプレス版を、当該ホログラム形成層に対して加熱押圧することによりホログラムを形成する。
【0031】
次に、ホログラムが形成されたホログラム形成層上に金属反射層を形成するが、この金属反射層は入射光線を反射する層であり、アルミニウム、スズ等の金属、およびその化合物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成する。蒸着を行う金属としては、Al、Ag、Au、Sn、Ti等の金属単体が好ましい。そして、その厚さとしては、10〜55nm程度が好ましい。これは、Alで蒸着を行ったときの金属反射層の紫外線(365nm)の透過率は約0.1%〜65%である。
【0032】
金属蒸着層は、紫外線もしくは電子線硬化型樹脂を硬化させるために十分な透過率を有することが望ましい。また、光回折構造を鮮明に見せるためにも十分な金属反射率を必要とする。そこで、本発明における金属蒸着層の紫外線透過率は0.1%〜80%であるこ
とが好ましい。0.1%以下になると、紫外線照射量が多くなり、転写箔及び耐熱性のない基材に熱による付加がかかり、熱ジワ等の発生の原因となる。また、紫外線透過率が80%を超えてしまうと、紫外線による基材への熱のダメージは減るが、金属反射層の反射率が低下してしまいホログラムの効果が十分に発揮できなくなくなる。さらに好ましくは、金属反射層の紫外線透過率が0.5%〜5%であることが望ましい。この範囲の透過率があれば、基材にダメージを与えない程度の紫外線照射量で紫外線硬化型接着剤を硬化させることが出来、金属反射率も十分なホログラム効果を発揮する反射率となりうる。
【0033】
被転写基材としては特に制限は無く、二軸延伸を行なったポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)等のプラスチックフィルムや、上質紙、中質紙等の紙が適宜使用可能である。
【0034】
また、耐熱性を持たない基材としては、セロハン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどが挙げられる。シュリンクフィルムなどの熱に弱い基材や脆性フィルム、厚みが3.5μm以下の薄いフィルムも使用でき、本発明では特に熱による変形や変質する基材を用いることができる。
【0035】
本発明に用いる転写用接着剤は紫外線もしくは電子線を照射することにより硬化するものであれば特にその組成等を限定するものではないが、組成物として安定な品質を有する紫外線硬化型もしくは電子線硬化型接着剤を用いることが出来る。この接着剤は、転写箔を転写する際の工程に応じたものを使用することが出来る。例えば、ラジカル重合反応を利用した紫外線照射直後に反応を開始し短時間で硬化するタイプの即効性ものや、カチオン重合もしくはアニオン重合を利用した紫外線照射後の所定時間経過後に硬化が開始するような遅効性のものを用いることが出来る。例として、接着剤塗布後に貼り合せてから紫外線を照射する場合は、ラジカル重合を利用した即効性の接着剤を用いることができ、また、接着剤塗布後に紫外線を照射してから貼り合せる場合はカチオン重合を利用した遅効性の接着剤を用いると良い。このように、加工機に応じて自由に接着剤を選択することが出来る。
【0036】
また、紫外線等を照射する際、必要に応じて冷却ロールを用い、基材が熱ダメージを受けないような工程としても良い。
【0037】
紫外線硬化型接着剤もしくは電子線硬化型接着剤を塗工する方法としては、インクジェット方式を用いる。
【0038】
インクジェットのヘッドはコンティニュアスタイプやオンデマンドのピエゾ素子やバブルジェット(登録商標)タイプが使用可能である。
【0039】
特にコンティニュアス方式では吐出させる接着剤の粘度範囲が広いため好適に用いられる。
【0040】
インクジェット適正を持つ紫外線硬化もしくは電子線硬化型接着剤は、その粘度が2〜15mPa.sの範囲が良く、より好ましくは3〜5mPa.sの範囲である。
【0041】
粘度がこれより低いと接着剤インキの液滴形成が不安定になり、これより高いとインクジェットノズルからインキが出難くなる。
【0042】
接着剤粘度の調整は、低粘度の紫外線、もしくは電子線硬化型接着剤をそのまま用いても良いが、有機溶剤、例えばメチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール等の有機溶剤や、ポリエチレングリコールやジグリセロール等を単独もしくは適宜混合して上記粘度となるよう調整可能である。
【0043】
紫外線硬化型接着剤もしくは電子線硬化型接着剤を塗工する基材としては、転写箔側に塗布しても良いし、被転写側の耐熱性のない基材に塗布しても良い。塗布する基材及び塗工方法、使用する接着剤は転写工程順に応じて自由に選択してよい。また、基材と転写箔を貼り合わせる工程としては、公知のラミネーター方法、装置を用いてよい。
【0044】
上記のように作成した積層体をステッカーにすることやスレッド加工して紙に漉き込むことが出来る。ステッカー加工を行う際に粘着層を設けるが、粘着層としてはブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、ポリイソブチル、アクリル系などが挙げられる。これらの中には、アルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルモノマーなどの凝集成分や、不飽和カルボン酸、ヒドロキシル基含有モノマー、アクリロニトリルなどに代表される改質成分や、重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤などの添加剤を必要に応じて添加してもよい。粘着層を設ける側は転写箔側でも被転写基材でもどちらでも良い。
【0045】
次に漉き込み用紙について説明をする。前記の積層体を0.1mmから10mmの幅、より好ましくは1mmから5mmの幅にスリットしてスレッドを作成し、紙に漉き込むことにより漉き込み用紙を作製する。漉き込む際、積層体が少なくとも一部が露呈するように窓開きにしてもよい。また、紙基材との密着力をあげるように積層体に粘着層もしくは接着層を設けても良い。また、スレッドの本数は1本には限らず複数本でも良く、スレッドの配置の仕方は自由でスレッド同士は交わるように配置しても良いし交わらなくても良い。
【0046】
紙基材の中にスレッド体を漉き込むにはいろいろな方法がある。その一つの方法としては、既に形成された2枚の紙基材の間にスレッド体を挿入して貼り合わせ、所定の部分においてスレッド体が露出するように一体的に貼り合わせる方法がある。また、円網あるいは短網または円網と長網などとの組み合わせにより、部分的にスレッド体が露出できる部分を予め設けた湿紙を作製した後、各湿紙を抄き合わせる工程中でスレッド体を湿紙間に見当を合わせて挿入し、一体化する方法もある。
【0047】
本発明の積層体が熱収縮性プラスチックフィルムで製作された場合は、そのままシュリンクフィルムとして用いることも可能である。
【実施例】
【0048】
次に実施例をあげて本発明について具体的に説明する。
【0049】
厚さ25μmの透明のポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材1の上に以下の層構成からなるホログラム転写箔を形成した。基材1にアクリル樹脂を主成分とした塗工剤をグラビアコーティング法により約1.5μmの剥離性保護層2を成形し、次に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とウレタン樹脂の混合物を塗料化しグラビアコーティング法により、ホログラム形成層3として、塗布膜厚2.0μmで塗布し図2の様にした。
【0050】
ホログラムパターンが形成されたニッケル製のプレス版をホログラム形成層3に対し、版面温度160℃で加熱押圧することにより光回折構造のホログラム形成層3aを形成し図3の様にした。次に金属反射層4を真空蒸着法によってAlを膜厚約50nmで形成した。このときのホログラム転写箔の紫外線(365nm)の透過率が約0.3%であった
。
【0051】
次にウレタンアクリレートモノマー100重量部に対し、光重合開始剤を10重量部、メチルエチルケトン80重量部、酢酸エチル15重量部を加え溶解させたものをインクジェットインキとして作製した。粘度は3mPa.sであった。
【0052】
図1に示す工程にて下記の印字と転写を行なった。
【0053】
この紫外線硬化型インキをDOMINO社製A300:コンティニュアス方式のインキジェット出力機を用い、ラインスピード10m/min.にて予めコロナ処理を行なったポリプロピレンフィルム5上に印字を行いパターン形成工程11となった。
【0054】
なお、印刷パターン6は文字高さ5mmの4桁の数字とし、0000〜9999までを数字が連番となるようにした。
【0055】
その後、上記のように製作された転写箔と印刷したプロピレンフィルムを貼り合せ工程12にて貼り合わせて図6の様にしてから、硬化工程13にて転写箔側から紫外線900mJ/cm2照射し図7の様に硬化させた。その際、25℃の冷却水を循環させた冷却ロールに抱き合わせた状態とした。紫外線接着剤硬化後、転写箔の基材を剥離工程14で剥離することにより図8および図11に示すポリプロピレンフィルムにホログラムを転写させることが出来た。
【0056】
その結果、熱に耐性のないためにホログラムエンボスが出来なかったプロピレンフィルムに回折構造体を形成することができた。さらに、回折構造体付ポリプロピレンフィルムに粘着層7を設け、剥離紙8を設けて図9の様にし、さらに半抜き加工を行い図10の様なステッカーとした。ポリプロピレンフィルムの如く耐熱性の低いフィルムにも、回折構造体を任意のパターンで形成することが出来た。
【0057】
同様に、少なくとも転写基材に光回折構造及び光回折構造効果層を有する転写箔に紫外線もしくは電子線硬化型接着層をパターン状に塗布するパターン形成の工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着層を塗布した面に基材を貼り合せる貼り合せ工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着層を紫外線もしくは電子線を用いて硬化し紫外線もしくは電子線硬化接着層とする硬化工程、転写基材を紫外線もしくは電子線硬化型接着層がない部分の光回折構造層と光回折構造効果層を伴って剥離する剥離工程を含む請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の製造方法によっても同様に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明にかかる光回折構造体の製造方法の一実施例を示す概念側面図である。
【図2】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図3】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図4】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図5】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図6】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図7】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図8】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図9】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図10】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図11】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0059】
1…基材
2…剥離性保護層
2a…剥離後の剥離性保護層
3…ホログラム形成層
3a…プレス後のホログラム形成層
3b…剥離後のホログラム形成層
4…金属反射層
4a…剥離後の金属反射層
5…ポリプロピレンフィルム
6…印刷パターン
6a…貼り合せ後の印刷パターン
6b…硬化後の印刷パターン
7…粘着層
7a…半抜き加工後の粘着層
8…剥離紙
11…パターン形成工程
12…貼り合せ工程
13…硬化工程
14…剥離工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネーションや熱箔押しでは困難であった、可変情報などのパターンが転写された光回折構造体とその製造方法、ステッカー、漉き込み用紙、包装材を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
光回折構造体は、その画像の意匠性のほか複製の困難さのため、装飾以外にもそのセキュリティ性によりクレジットカードなど各種金券に広く利用されている。
【0003】
一般に、光回折構造体は、光の干渉を利用して立体的な画像を再生し得るものである。この画像は、光回折構造を介して得られる。従来、光回折構造は生産効率の観点から熱エンボス等によりウェブ状に形成されている。
【0004】
従来、この様に作製された光回折構造体の実装方法は、ホログラム転写箔をホットスタンプにより、カードなどの被転写体上に転写するものであった。
【0005】
この方式はセキュリティを持った被転写体の大量生産には大きく寄与した。しかし、その大量性のために被転写体1枚1枚が持つセキュリティ性は薄くなってしまった。
【0006】
そこで、任意のホログラムパターンを被転写体に記録することができ、個々の被転写体が、ホログラムで固有の情報を持つことが可能になることは、今後、被転写体のセキュリティが重要視される時代に望ましいことである。
【0007】
そのため、サーマルヘッドを用いて回折構造体を支持基材から熱により剥離すると同時に熱可塑性樹脂を接着剤とし、所望の被転写基材に任意のパターンを形成させる技術が提案されている。
【0008】
以下に、上記先行技術特許を示す。
【特許文献1】特開平1−283583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、被転写基材が紙の場合、サーマルヘッドの押し圧が低いと、回折構造を被転写基材との接着を行なう接着層が被転写基材と十分接触しないため、転写ムラが発生し易い。
【0010】
さらには被転写基材がシュリンクフィルムのように、熱安定性が低い基材の場合はサーマルヘッドの印字熱による収縮が発生し、回折構造転写時にシワが入る等の転写不良が発生する。
【0011】
そこで、本発明では耐熱性のない基材にも光回折構造を鮮明に表現することのできる金属反射層を有する光回折構造体とその製造方法、ステッカー、漉き込み用紙、包装材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明で、前記課題を解決するため、まず、請求項1では、基材上にパターン状の紫外線もしくは電子線硬化接着剤層、光回折構造効果層、光回折構造層、保護層が形成された
ことを特徴とする光回折構造体を提供するものである。
【0013】
また、請求項2では、請求項1に記載の光回折構造効果層の紫外線もしくは電子線の透過率が0.1%〜80%であることを特徴とする請求項1に記載の光回折構造体を提供するものである。
【0014】
また、請求項3では、請求項2に記載の光回折構造効果層が金属で形成されており、紫外線の透過率が0.5%〜5%であることを特徴とする請求項2に記載の光回折構造体を提供するものである。
【0015】
また、請求項4では、基材に紫外線もしくは電子線硬化型接着層をパターン状に塗布するパターン形成工程、前記接着層を塗布した面に少なくとも光回折構造層、光回折構造効果層及び転写基材を有する転写箔を貼り合せる転写工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着剤層を紫外線もしくは電子線を用いて硬化して紫外線もしくは電子線硬化接着剤層とする硬化工程、転写基材を紫外線もしくは電子線硬化型接着層がない部分の光回折構造層と光回折構造効果層を伴って剥離する剥離工程を含む請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の製造方法を提供するものである。
【0016】
また、請求項5では、少なくとも転写基材に光回折構造及び光回折構造効果層を有する転写箔に紫外線もしくは電子線硬化型接着層をパターン状に塗布するパターン形成の工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着層を塗布した面に基材を貼り合せる貼り合せ工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着層を紫外線もしくは電子線を用いて硬化し紫外線もしくは電子線硬化接着層とする硬化工程、転写基材を紫外線もしくは電子線硬化型接着層がない部分の光回折構造層と光回折構造効果層を伴って剥離する剥離工程を含む請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の製造方法を提供するものである。
【0017】
また、請求項6では、紫外線もしくは電子線硬化型接着剤を塗布する工程がインクジェット方式でなされることを特徴とする請求項4または5記載の光回折構造体の製造方法を提供するものである。
【0018】
また、請求項7では、請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の基材側もしくは転写箔側に粘着層と剥離基材を形成したことを特徴とするステッカーを提供するものである。
【0019】
また、請求項8では、請求項1乃至3何れか記載に光回折構造体を紙の中に証紙した漉き込み用紙を提供するものである。
【0020】
また、請求項9では、請求項1乃至3記載の光回折構造体もしくは請求項9に記載の漉き込み用紙を少なくとも一部に用いた包装材を提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、回折構造体を、インクジェット方式にて紫外線硬化型接着剤を印刷することにより、回折構造体を任意のパターンで転写することが出来た。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するにあたって、最良の形態を説明する。
【0023】
本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明では例えば回折構造につきそれがホログラムである場合で説明している様に、具体的な最良の形態に落とし込んで説明しているが、以下の最良の形態以外でも、本願の作用効果を奏する構成であれば変形実施可能である。
【0024】
ホログラム転写箔を製作するためには、転写箔の基材の一方の面に剥離性保護層を形成し、この剥離性保護層上にホログラム形成層を設け、このホログラム形成層に熱エンボスを行いホログラムを形成した後、このホログラム層上に金属反射層を形成し、必要に応じて金属反射層の上に接着層を形成した構成をしている。
【0025】
ここで転写箔の転写基材としては、厚みが安定しており、且つ耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いるのが一般的であるが、これに限るものではない。その他の材料としては、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム等が耐熱性の高いフィルムとして知られており、同様の目的で使用する事が可能である。また、他のフィルム、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、耐熱塩化ビニル等の材料でも、塗液の塗工条件や乾燥条件によっては使用可能である。
【0026】
剥離性保護層を形成する樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、アクリル系樹脂ビニル系樹脂の混合物等を塗料化し、コーティング方については特に限定するものではなく、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷等の公知のコーティング方法で塗布をして乾燥することにより、厚さ1〜2μm程度の樹脂層を形成する。
【0027】
また、ホログラム形成層を形成する樹脂としては、例えば飽和共重合ポリエステル等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体等の塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、ポリアクリレートもしくはポリメタクリレート樹脂またはこれらの共重合体等の熱可塑性樹脂があり、これらを単独あるいは2種類以上混合して適用することができる。
【0028】
さらに、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を、これらを単独あるいは2種類以上混合して適用することができる。
【0029】
さらに、上記熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合物であっても適用することができ、上記樹脂を塗料化し、公知のコーティング法によりホログラム形成層を形成する。そして、その厚さとしては、0.3〜2μm程度、好ましくは0.5〜1.5μmとするのがよい。
【0030】
次に、ホログラム形成層上にエンボスによるホログラムを形成するが、この場合、ホログラムパターンが形成されたニッケル製のプレス版を、当該ホログラム形成層に対して加熱押圧することによりホログラムを形成する。
【0031】
次に、ホログラムが形成されたホログラム形成層上に金属反射層を形成するが、この金属反射層は入射光線を反射する層であり、アルミニウム、スズ等の金属、およびその化合物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成する。蒸着を行う金属としては、Al、Ag、Au、Sn、Ti等の金属単体が好ましい。そして、その厚さとしては、10〜55nm程度が好ましい。これは、Alで蒸着を行ったときの金属反射層の紫外線(365nm)の透過率は約0.1%〜65%である。
【0032】
金属蒸着層は、紫外線もしくは電子線硬化型樹脂を硬化させるために十分な透過率を有することが望ましい。また、光回折構造を鮮明に見せるためにも十分な金属反射率を必要とする。そこで、本発明における金属蒸着層の紫外線透過率は0.1%〜80%であるこ
とが好ましい。0.1%以下になると、紫外線照射量が多くなり、転写箔及び耐熱性のない基材に熱による付加がかかり、熱ジワ等の発生の原因となる。また、紫外線透過率が80%を超えてしまうと、紫外線による基材への熱のダメージは減るが、金属反射層の反射率が低下してしまいホログラムの効果が十分に発揮できなくなくなる。さらに好ましくは、金属反射層の紫外線透過率が0.5%〜5%であることが望ましい。この範囲の透過率があれば、基材にダメージを与えない程度の紫外線照射量で紫外線硬化型接着剤を硬化させることが出来、金属反射率も十分なホログラム効果を発揮する反射率となりうる。
【0033】
被転写基材としては特に制限は無く、二軸延伸を行なったポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)等のプラスチックフィルムや、上質紙、中質紙等の紙が適宜使用可能である。
【0034】
また、耐熱性を持たない基材としては、セロハン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどが挙げられる。シュリンクフィルムなどの熱に弱い基材や脆性フィルム、厚みが3.5μm以下の薄いフィルムも使用でき、本発明では特に熱による変形や変質する基材を用いることができる。
【0035】
本発明に用いる転写用接着剤は紫外線もしくは電子線を照射することにより硬化するものであれば特にその組成等を限定するものではないが、組成物として安定な品質を有する紫外線硬化型もしくは電子線硬化型接着剤を用いることが出来る。この接着剤は、転写箔を転写する際の工程に応じたものを使用することが出来る。例えば、ラジカル重合反応を利用した紫外線照射直後に反応を開始し短時間で硬化するタイプの即効性ものや、カチオン重合もしくはアニオン重合を利用した紫外線照射後の所定時間経過後に硬化が開始するような遅効性のものを用いることが出来る。例として、接着剤塗布後に貼り合せてから紫外線を照射する場合は、ラジカル重合を利用した即効性の接着剤を用いることができ、また、接着剤塗布後に紫外線を照射してから貼り合せる場合はカチオン重合を利用した遅効性の接着剤を用いると良い。このように、加工機に応じて自由に接着剤を選択することが出来る。
【0036】
また、紫外線等を照射する際、必要に応じて冷却ロールを用い、基材が熱ダメージを受けないような工程としても良い。
【0037】
紫外線硬化型接着剤もしくは電子線硬化型接着剤を塗工する方法としては、インクジェット方式を用いる。
【0038】
インクジェットのヘッドはコンティニュアスタイプやオンデマンドのピエゾ素子やバブルジェット(登録商標)タイプが使用可能である。
【0039】
特にコンティニュアス方式では吐出させる接着剤の粘度範囲が広いため好適に用いられる。
【0040】
インクジェット適正を持つ紫外線硬化もしくは電子線硬化型接着剤は、その粘度が2〜15mPa.sの範囲が良く、より好ましくは3〜5mPa.sの範囲である。
【0041】
粘度がこれより低いと接着剤インキの液滴形成が不安定になり、これより高いとインクジェットノズルからインキが出難くなる。
【0042】
接着剤粘度の調整は、低粘度の紫外線、もしくは電子線硬化型接着剤をそのまま用いても良いが、有機溶剤、例えばメチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール等の有機溶剤や、ポリエチレングリコールやジグリセロール等を単独もしくは適宜混合して上記粘度となるよう調整可能である。
【0043】
紫外線硬化型接着剤もしくは電子線硬化型接着剤を塗工する基材としては、転写箔側に塗布しても良いし、被転写側の耐熱性のない基材に塗布しても良い。塗布する基材及び塗工方法、使用する接着剤は転写工程順に応じて自由に選択してよい。また、基材と転写箔を貼り合わせる工程としては、公知のラミネーター方法、装置を用いてよい。
【0044】
上記のように作成した積層体をステッカーにすることやスレッド加工して紙に漉き込むことが出来る。ステッカー加工を行う際に粘着層を設けるが、粘着層としてはブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、ポリイソブチル、アクリル系などが挙げられる。これらの中には、アルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルモノマーなどの凝集成分や、不飽和カルボン酸、ヒドロキシル基含有モノマー、アクリロニトリルなどに代表される改質成分や、重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤などの添加剤を必要に応じて添加してもよい。粘着層を設ける側は転写箔側でも被転写基材でもどちらでも良い。
【0045】
次に漉き込み用紙について説明をする。前記の積層体を0.1mmから10mmの幅、より好ましくは1mmから5mmの幅にスリットしてスレッドを作成し、紙に漉き込むことにより漉き込み用紙を作製する。漉き込む際、積層体が少なくとも一部が露呈するように窓開きにしてもよい。また、紙基材との密着力をあげるように積層体に粘着層もしくは接着層を設けても良い。また、スレッドの本数は1本には限らず複数本でも良く、スレッドの配置の仕方は自由でスレッド同士は交わるように配置しても良いし交わらなくても良い。
【0046】
紙基材の中にスレッド体を漉き込むにはいろいろな方法がある。その一つの方法としては、既に形成された2枚の紙基材の間にスレッド体を挿入して貼り合わせ、所定の部分においてスレッド体が露出するように一体的に貼り合わせる方法がある。また、円網あるいは短網または円網と長網などとの組み合わせにより、部分的にスレッド体が露出できる部分を予め設けた湿紙を作製した後、各湿紙を抄き合わせる工程中でスレッド体を湿紙間に見当を合わせて挿入し、一体化する方法もある。
【0047】
本発明の積層体が熱収縮性プラスチックフィルムで製作された場合は、そのままシュリンクフィルムとして用いることも可能である。
【実施例】
【0048】
次に実施例をあげて本発明について具体的に説明する。
【0049】
厚さ25μmの透明のポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材1の上に以下の層構成からなるホログラム転写箔を形成した。基材1にアクリル樹脂を主成分とした塗工剤をグラビアコーティング法により約1.5μmの剥離性保護層2を成形し、次に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とウレタン樹脂の混合物を塗料化しグラビアコーティング法により、ホログラム形成層3として、塗布膜厚2.0μmで塗布し図2の様にした。
【0050】
ホログラムパターンが形成されたニッケル製のプレス版をホログラム形成層3に対し、版面温度160℃で加熱押圧することにより光回折構造のホログラム形成層3aを形成し図3の様にした。次に金属反射層4を真空蒸着法によってAlを膜厚約50nmで形成した。このときのホログラム転写箔の紫外線(365nm)の透過率が約0.3%であった
。
【0051】
次にウレタンアクリレートモノマー100重量部に対し、光重合開始剤を10重量部、メチルエチルケトン80重量部、酢酸エチル15重量部を加え溶解させたものをインクジェットインキとして作製した。粘度は3mPa.sであった。
【0052】
図1に示す工程にて下記の印字と転写を行なった。
【0053】
この紫外線硬化型インキをDOMINO社製A300:コンティニュアス方式のインキジェット出力機を用い、ラインスピード10m/min.にて予めコロナ処理を行なったポリプロピレンフィルム5上に印字を行いパターン形成工程11となった。
【0054】
なお、印刷パターン6は文字高さ5mmの4桁の数字とし、0000〜9999までを数字が連番となるようにした。
【0055】
その後、上記のように製作された転写箔と印刷したプロピレンフィルムを貼り合せ工程12にて貼り合わせて図6の様にしてから、硬化工程13にて転写箔側から紫外線900mJ/cm2照射し図7の様に硬化させた。その際、25℃の冷却水を循環させた冷却ロールに抱き合わせた状態とした。紫外線接着剤硬化後、転写箔の基材を剥離工程14で剥離することにより図8および図11に示すポリプロピレンフィルムにホログラムを転写させることが出来た。
【0056】
その結果、熱に耐性のないためにホログラムエンボスが出来なかったプロピレンフィルムに回折構造体を形成することができた。さらに、回折構造体付ポリプロピレンフィルムに粘着層7を設け、剥離紙8を設けて図9の様にし、さらに半抜き加工を行い図10の様なステッカーとした。ポリプロピレンフィルムの如く耐熱性の低いフィルムにも、回折構造体を任意のパターンで形成することが出来た。
【0057】
同様に、少なくとも転写基材に光回折構造及び光回折構造効果層を有する転写箔に紫外線もしくは電子線硬化型接着層をパターン状に塗布するパターン形成の工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着層を塗布した面に基材を貼り合せる貼り合せ工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着層を紫外線もしくは電子線を用いて硬化し紫外線もしくは電子線硬化接着層とする硬化工程、転写基材を紫外線もしくは電子線硬化型接着層がない部分の光回折構造層と光回折構造効果層を伴って剥離する剥離工程を含む請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の製造方法によっても同様に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明にかかる光回折構造体の製造方法の一実施例を示す概念側面図である。
【図2】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図3】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図4】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図5】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図6】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図7】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図8】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図9】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図10】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す側断面図である。
【図11】本発明にかかる回折構造体の製造方法の一実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0059】
1…基材
2…剥離性保護層
2a…剥離後の剥離性保護層
3…ホログラム形成層
3a…プレス後のホログラム形成層
3b…剥離後のホログラム形成層
4…金属反射層
4a…剥離後の金属反射層
5…ポリプロピレンフィルム
6…印刷パターン
6a…貼り合せ後の印刷パターン
6b…硬化後の印刷パターン
7…粘着層
7a…半抜き加工後の粘着層
8…剥離紙
11…パターン形成工程
12…貼り合せ工程
13…硬化工程
14…剥離工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にパターン状の紫外線もしくは電子線硬化接着剤層、光回折構造効果層、光回折構造層、保護層が形成されたことを特徴とする光回折構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の光回折構造効果層の紫外線もしくは電子線の透過率が0.1%〜80%であることを特徴とする請求項1に記載の光回折構造体。
【請求項3】
請求項2に記載の光回折構造効果層が金属で形成されており、紫外線の透過率が0.5%〜5%であることを特徴とする請求項2に記載の光回折構造体。
【請求項4】
基材に紫外線もしくは電子線硬化型接着層をパターン状に塗布するパターン形成工程、前記接着層を塗布した面に少なくとも光回折構造層、光回折構造効果層及び転写基材を有する転写箔を貼り合せる転写工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着剤層を紫外線もしくは電子線を用いて硬化して紫外線もしくは電子線硬化接着剤層とする硬化工程、転写基材を紫外線もしくは電子線硬化型接着層がない部分の光回折構造層と光回折構造効果層を伴って剥離する剥離工程を含む請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の製造方法。
【請求項5】
少なくとも転写基材に光回折構造及び光回折構造効果層を有する転写箔に紫外線もしくは電子線硬化型接着層をパターン状に塗布するパターン形成の工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着層を塗布した面に基材を貼り合せる貼り合せ工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着層を紫外線もしくは電子線を用いて硬化し紫外線もしくは電子線硬化接着層とする硬化工程、転写基材を紫外線もしくは電子線硬化型接着層がない部分の光回折構造層と光回折構造効果層を伴って剥離する剥離工程を含む請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の製造方法。
【請求項6】
紫外線もしくは電子線硬化型接着剤を塗布する工程がインクジェット方式でなされることを特徴とする請求項4または5記載の光回折構造体の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の基材側もしくは転写箔側に粘着層と剥離基材を形成したことを特徴とするステッカー。
【請求項8】
請求項1乃至3何れか記載に光回折構造体を紙の中に証紙した漉き込み用紙。
【請求項9】
請求項1乃至3記載の光回折構造体もしくは請求項9に記載の漉き込み用紙を少なくとも一部に用いた包装材。
【請求項1】
基材上にパターン状の紫外線もしくは電子線硬化接着剤層、光回折構造効果層、光回折構造層、保護層が形成されたことを特徴とする光回折構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の光回折構造効果層の紫外線もしくは電子線の透過率が0.1%〜80%であることを特徴とする請求項1に記載の光回折構造体。
【請求項3】
請求項2に記載の光回折構造効果層が金属で形成されており、紫外線の透過率が0.5%〜5%であることを特徴とする請求項2に記載の光回折構造体。
【請求項4】
基材に紫外線もしくは電子線硬化型接着層をパターン状に塗布するパターン形成工程、前記接着層を塗布した面に少なくとも光回折構造層、光回折構造効果層及び転写基材を有する転写箔を貼り合せる転写工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着剤層を紫外線もしくは電子線を用いて硬化して紫外線もしくは電子線硬化接着剤層とする硬化工程、転写基材を紫外線もしくは電子線硬化型接着層がない部分の光回折構造層と光回折構造効果層を伴って剥離する剥離工程を含む請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の製造方法。
【請求項5】
少なくとも転写基材に光回折構造及び光回折構造効果層を有する転写箔に紫外線もしくは電子線硬化型接着層をパターン状に塗布するパターン形成の工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着層を塗布した面に基材を貼り合せる貼り合せ工程、紫外線もしくは電子線硬化型接着層を紫外線もしくは電子線を用いて硬化し紫外線もしくは電子線硬化接着層とする硬化工程、転写基材を紫外線もしくは電子線硬化型接着層がない部分の光回折構造層と光回折構造効果層を伴って剥離する剥離工程を含む請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の製造方法。
【請求項6】
紫外線もしくは電子線硬化型接着剤を塗布する工程がインクジェット方式でなされることを特徴とする請求項4または5記載の光回折構造体の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至3何れか記載の光回折構造体の基材側もしくは転写箔側に粘着層と剥離基材を形成したことを特徴とするステッカー。
【請求項8】
請求項1乃至3何れか記載に光回折構造体を紙の中に証紙した漉き込み用紙。
【請求項9】
請求項1乃至3記載の光回折構造体もしくは請求項9に記載の漉き込み用紙を少なくとも一部に用いた包装材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−66568(P2010−66568A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233292(P2008−233292)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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