説明

光塩基発生剤

【課題】200〜500nmの波長の光を感光して効率よく触媒活性の高い塩基を発生させることができる光塩基発生剤の提供。
【解決手段】例えばN−(N’−((1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エトキシ)カルボニル)アミノプロピル)−N−メチルアセトアミドあるいはN−(N’−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムの様な特定のジアミン誘導体であって、光照射によりアミジンを発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光照射によって塩基を発生させる光塩基発生剤に関する。さらに詳しくは光照射によって発生する塩基を利用して硬化させる材料(たとえば、コーディング剤や塗料)、又は露光部、未露光部の現像液への溶解性差を利用したパターニングを経て形成される製品若しくは部材(たとえば、電子部品、光学製品、光学部品の形成材料、層形成材料又は接着剤)の製造に好適に用いられる光塩基発生剤に関する。
【背景技術】
【0002】
露光によってアミンを発生する光塩基発生剤として、[(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジンが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−189591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光塩基発生剤では、発生するアミンの塩基性が低く(pKa<11)、重合反応用又は架橋反応用の触媒としての活性が不十分であるという問題がある。
本発明の目的は、200〜500nmの波長の光を感光して効率よく触媒活性の高いアミン(アミジン)を発生させることができる光塩基発生剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光塩基発生剤の特徴は、一般式(1)又は(2)で表される点を要旨とする
【0006】
【化1】

【0007】
及びRは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基又は炭素数6〜12のアリール基であり、nは2〜3の整数、mは3〜5の整数、Aは式(3)又は式(4)で表される基である。
【0008】
【化2】

【0009】
は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜18のアシル基、炭素数7〜18のアロイル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルキルチオ基、水酸基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基{以下、置換基を有するフェニル基と略する。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、アロイル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、水酸基及びハロゲン原子は単数又は複数のいずれでもよく、複数の場合、同じでも異なってもよい}、水素原子、フェニル基又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜18のアシル基、炭素数7〜18のアロイル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基若しくはアルキルチオ基、水酸基又はハロゲン原子を表し、qは1〜4の整数、qが2〜4の場合、Rは同じでも異なってもよい。
【0010】
本発明の硬化性樹脂組成物の特徴は、上記の光塩基発生剤と、硬化性樹脂とを含有する点を要旨とする。
【0011】
本発明の硬化樹脂(硬化体)の製造方法の特徴は、上記の光塩基発生剤と硬化性樹脂とを含有する硬化性樹脂組成物に波長200〜500nmの光を照射することによって、光塩基発生剤からカルバモイル基含有第1級アミンを発生させた後、50〜250℃に加熱することによって、カルバモイル基含有第1級アミンをアミジンに分子内環化させて、硬化性樹脂を硬化させて硬化樹脂を得る工程を含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光塩基発生剤は、200〜500nmの波長の光を感光して効率よく第1級アミンを発生させ、そして加熱により触媒活性の高いアミジンを発生させることができる。
また、本発明の光塩基発生剤は、カウンターアニオンとしてハロゲンイオン等を含まないため、金属腐食の懸念がない。
また、本発明の光塩基発生剤は、感光前において、塩基性がないため、反応組成物中に含有させておいても、反応性組成物の貯蔵安定性を低下するということがない。
また、本発明の光塩基発生剤は、熱に対しても安定であり、光を照射しない限り、加熱しても塩基を発生しにくい。
【0013】
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記の光塩基発生剤を含有するため、感光前において、塩基性がないため、硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性を低下するということがない。
【0014】
本発明の硬化樹脂(硬化体)の製造方法によると、上記の光塩基発生剤を用い、200〜500nmの波長の光を照射し、80〜250℃で加熱するため、効率よく触媒活性の高いアミン(アミジン)を発生させることができ、効率よく硬化樹脂(硬化物)を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
光塩基発生剤とは、光照射によりその化学構造が分解し、塩基(アミン)を発生するものをいう。発生した塩基は、エポキシ樹脂の硬化反応、イソシアネートとポリオールのウレタン化反応、アクリレートの架橋反応等の触媒として作用することができる。
【0016】
<一般式(1)>
及びRのうち、炭素数1〜18(1〜12が好ましく、さらに好ましくは1〜8である。)のアルキル基としては、直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等)、分岐アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル、2−エチルヘキシル及び1,1,3,3−テトラメチルブチル等)、シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)及び架橋環式アルキル基(ノルボルニル、アダマンチル及びピナニル等)が含まれる。R及びRは同じでであっても、異なっていてもよい。アルキル基としては、以上の他に、アルキル基の水素原子の一部を水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜18のアルコキシ基及び/又は炭素数1〜18アルキルチオ基等で置換した置換アルキル基も含まれる。置換アルキル基としては、アリールアルキル基(ベンジル等)が含まれる。
【0017】
及びRのうち、炭素数2〜18(2〜12が好ましく、さらに好ましくは2〜8である。)のアルケニル基としては、直鎖又は分岐のアルケニル基(ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1‐ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル及び2−メチル−2−プロぺニル等)及びシクロアルケニル基(2−シクロヘキセニル及び3−シクロヘキセニル等)が含まれる。アルケニル基としては、以上の他に、アルケニル基の水素原子の一部を水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルコキシ基及び/又は炭素数1〜18アルキルチオ基等で置換した置換アルケニル基も含まれる。置換アルケニル基としては、アリールアルケニル基(スチリル及びシンナミル等)が含まれる。
【0018】
及びRのうち、炭素数2〜18(2〜12が好ましく、さらに好ましくは2〜8である。)のアルキニル基としては、直鎖又は分岐のアルキニル基(エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、1,1−ジメチル−2−プロピニル、1−ぺンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、3−メチル−1−ブチニル、1−デシニル、2−デシニル、8−デシニル、1−ドデシニル、2−ドデシニル及び10−ドデシニル等)が含まれる。アルキニル基としては、以上の他に、アルキニル基の水素原子の一部を水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルコキシ基及び/又は炭素数1〜18アルキルチオ基等で置換した置換アルキニル基も含まれる。置換アルキニル基としては、アリールアルキニル基(フェニルエチニル等)が含まれる。
【0019】
及びRのうち、炭素数6〜14のアリール基としては、単環式アリール基(フェ二ル基等)、縮合多環式アリール基(ナフチル、アントラセニル、フェナンスレニル、アントラキノニル、フルオレニル及びナフトキノリル等)及び芳香族複素環炭化水素基(エチ二ル(チオフェンから誘導される基)、フリル(フランから誘導される基)、ピラニル(ピランから誘導される基)、ピリジル(ピリジンから誘導される基)、9−オキソキサンテニル(キサントンから誘導される基)及び9−オキソチオキサンテニル(チオキサントンから誘導される基)等)が含まれる。アリール基としては、以上の他に、アリール基の水素原子の一部を水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18アルキルチオ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基及び/又は炭素数2〜18のアルキニル基等で置換した置換アリール基も含まれる。
【0020】
及びRのうち、第1級アミンからアミジンへの環化反応の容易さ(立体障害)及び生成する塩基の塩基性等の観点から、水素原子及び炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜8の直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル及びn−オクチル)、特に好ましくはメチル及びエチルである。
【0021】
nは、2〜3の整数であり、第1級アミンからアミジンへの環化反応の容易さ等の観点から、3が好ましい。
【0022】
一般式(1)で表される光塩基発生剤として、式(1−1)〜式(1−4)のいずれかで表されるものが好ましく例示できる。
【0023】
【化3】

【0024】
<(式2)>
nは、2〜3の整数であり、第1級アミンからアミジンへの環化反応の容易さ等の観点から、3が好ましい。
【0025】
mは、3〜5の整数であり、環化で生じる2環式アミジンの塩基性の強さ等の観点から、3又は5好ましい。
【0026】
一般式(2)で表される光塩基発生剤として、式(2−1)又は式(2−2)で表されるものが好ましく例示できる。
【0027】
【化4】

【0028】
<A>
Aは、光を吸収する置換基であって、光を吸収することにより、A-O-CO-NH−(CH)n−部分が、式(3’)又は式(4’)で表される化合物と、二酸化炭素と、NH−(CH)n−とに分解する。
【0029】
【化5】

【0030】
のうち、置換基を有するフェニル基に関して、1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基としては、上記のと同じものが含まれる。
また、炭素数1〜18のアシル基としては、ホルミル、アセチル及びオクタデシロイル等が挙げられる。
また、炭素数7〜18のアロイル基としては、ベンゾイル及びナフタノイル等が挙げられる。
また、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルキルチオ基としては、メトキシ、エトキシ、デシルオキシ、オクタデシルオキシ、イソオクタデシル、メチルチオ、エチルチオお呼びオクチルチオ等が挙げられる。
また、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。
【0031】
置換基を有するフェニル基としては、ニトロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、オクチルフェニル、ジメトキシフェノル、ジエトキシフェニル、メトキシエトキシフェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、ビニルフェニル、アリルフェニル、エチニルフェニル、ビフェニル、メチルチオフェニル、アセチルフェニル、ベンゾイルフェニル、ヒドロキシフェニル及びクロロフェニル等が挙げられる。
【0032】
のうち、炭素数1〜8(1〜4が好ましい。)のアルキル基としては、上記のアルキル基のうち炭素数1〜8のアルキル基が含まれる。
【0033】
のうち、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、フェ二ル基及び置換基を有するフェニル基が好ましく、さらに好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ニトロフェニル基及びジニトロフェニル基、特に好ましくはメチル、イソプロピル、2−ニトロフェ二ル、3−ニトロフェ二ル、4−ニトロフェ二ル及び2,6−ジニトロフェニルである。
【0034】
のうち、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルコキシチオ基、炭素数1〜18のアシル基及び炭素数7〜18のアロイル基は、上記と同じものが含まれる。
【0035】
置換基(R)がベンゼン環に結合していると、ベンゼン環の吸収波長を長波長側にシフトさせることができる。使用する光の波長に応じ、光分解に必要な置換基(R)を適宜選択し吸収を持たせることが光分解性の効率を高めることになる。
【0036】
吸収波長のシフトする程度(シフト値)は、置換基(R)の種類によって相違する。このシフト値については、「有機化学のスペクトルによる同定法 第5版(R.M.Silverstein著、281頁、1992年東京化学同人発行)」に記載の表が参考となる(原本「Spectrometric Identification of Organic Compounds 5th ed(R.M.Silverstein著、1991年John Wiley & Sons発行)」)。
【0037】
以上のシフト値等の観点から、置換基(R)としては、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数7〜13のアロイル基(特にベンゾイル基が好ましい)、ニトロ基、シアノ基及び炭素数6〜12のアリール基が好ましい。
【0038】
のうち、アルコキシ基及びニトロ基が好ましく、さらに好ましくはメトキシ及びニトロである。
【0039】
qは、1〜4の整数であり、1〜3の整数が好ましく、さらに好ましくは1又は2である。
qが2以上の場合、すべてのRが同じでも、全て異なってもよく、一部異なってもよい。
【0040】
式(3)で表される基として、式(3−1)〜式(3−3)で表されるものが好ましく例示できる。
【0041】
【化6】

【0042】
【化7】

【0043】
【化8】

【0044】
式(4)で表される基として、式(14)〜式(16)で表されるものが好ましく例示できる。
【0045】
【化9】

【0046】
【化10】

【0047】
【化11】

【0048】
本発明の光塩基発生剤は、たとえば、A−OH{Aは式(3)又は式(4)で表される基}と第1級アミンとをカーバメート結合でつなぐことにより得ることができる。
カーバメート結合を形成するには、アルコール(A−OH)と、第1級アミンと、カーバメート結合形成剤(ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン及びN,N’−カルボニルジイミダゾール等)と反応させることにより達成できる(反応条件等は公知のものでよい)。
カーバメート結合形成剤のうち、安全性等の観点から、N,N’−カルボニルジイミダゾールが好ましい。
【0049】
アルコール(A−OH)は、公知の方法により容易に得られ、たとえば、2−ニトロベンズアルデヒドとアルキルグリニャール試薬とを反応させて2−ニトロ−α−アルキルベンジルアルコールを得る方法(1);触媒(ハロゲン化アルミニウム等)の存在下、ベンゼンとハロゲン化アルカノイル(又はハロゲン化アリロイル)とを反応させてフェニルアルキルケトンとし、次いでニトロ化剤(硝酸等)を用いてベンゼン環にニトロ基を導入し、還元剤(テトラヒドロホウ酸ナトリウム等)で還元して2−ニトロ−α−アルキルベンジルアルコールを得る方法(2);2−ニトロベンズアルデヒドを還元剤(テトラヒドロホウ酸ナトリウム等)で還元して2−ニトロベンジルアルコールを得る方法(3);2−ニトロベンズアルデヒドとフェニルアルカリ金属(フェニルリチウム等)とを反応させて2−ニトロ−α−フェニルベンジルアルコールを得る方法(4);触媒(ハロゲン化アルミニウム等)の存在下、ベンゼンとハロゲン化アルキルとを反応させてアルキルベンゼンとし、次いでニトロ化剤(硝酸等)を用いてベンゼン環にニトロ基を導入し、塩基(t−ブトキシカリウム等)存在下でパラホルムアルデヒドと反応させて2−(2−ニトロフェニル)−2-アルキルエチルアルコールを得る方法(5);触媒(ハロゲン化アルミニウム等)の存在下、ベンゼンとベンジルハライドとを反応させてジフェニルメタン(C−CH−C)とし、次いでニトロ化剤(硝酸等)を用いてベンゼン環にニトロ基を導入し、塩基(t−ブトキシカリウム等)存在下でパラホルムアルデヒドと反応させて2,2−ビス(2−ニトロフェニル)エチルアルコールを得る方法(6)等により製造される。これらの方法のうち、簡便性等の観点から、方法(2)及び方法(4)が好ましい。
【0050】
方法(1)〜(6)において、2−ニトロベンズアルデヒド、ベンゼンは、式(3)又は式(4)に対応する置換基(R;アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アロイル基、水酸基又はハロゲン原子)を持っていてもよい。このような置換基(R)を持つニトロベンズアルデヒドやベンゼンは公知の方法により得られる。
【0051】
たとえば、Rとしてニトロ基を持つニトロベンズアルデヒドは、ベンズアルデヒドと発煙硝酸とを反応させることにより得られる。また、Rとしてニトロ基を持つベンゼンは、ベンゼンと硝酸とを反応させることにより得られる。
【0052】
また、Rとしてアルコキシ基を持つニトロベンゼンは、フェノールを塩基(水酸化ナトリウム等)を用いてフェノラートとし、次いでハロゲン化アルキルと反応させることによりアルコキシベンゼンとし、次いで硝酸と反応させることにより得られる。
他の置換基(R)を持つニトロベンズアルデヒドやベンゼンは、公知の有機化学反応(フリーデルクラフト反応等)により得てもよいし、市場(和光純薬工業株式会社等)から得てもよい。
【0053】
第1級アミンは、1分子内に第1級アミノ基(NH−)とカルバモイル基(RNCO−)とを持っており、次式で表されるもの含まれる。なお、n、m、R及びRは一般式(1)及び(2)と同様である。
【0054】
【化12】

【0055】
一般式(1)で表される光塩基発生剤を合成するのに用いられる第1級アミンは、たとえば、アルキレンジアミン1等量に対し、エステルを0.5等量反応させて一方のアミノ基をアミド化してカルバモイル基含有第1級アミンを得る方法;このカルバモイル基含有第1級アミンのアミノ基を保護(アセトン等)した後、とアリキル化剤(ジアルキル硫酸等)とを反応させてからアミノ基の保護を外して、N−アルキルカルバモイル基含有第1級アミンを得る方法等により得られる。
【0056】
一般式(2)で表される光塩基発生剤を合成するのに用いられる第1級アミンは、ラクタムとアルケンニトリルとを反応させ、次いで水添することにより得られる。
以上の反応条件等は公知の範囲と同様である。
【0057】
エステルとしては、RCOORで表されるエステルが含まれる。
は一般式(1)、(2)と同様である。Rは炭素数1〜8のアルキルが含まれる。
エステルのうち、メチル酢酸、メチルプロピオン酸、エチル酢酸及びエチルプロピオン酸が好ましく、さらに好ましくはメチル酢酸及びメチルプロピオン酸である。
【0058】
ラクタムとしては、次式で表されるラクタムが含まれる。
【化13】

【0059】
ラクタムのうち、4−ペンタンラクタム、5−ヘキサンラクタム及び6−ヘプタンラクタムが好ましく、さらに好ましくは4−ペンタンラクタム及び6−ヘプタンラクタムである。
【0060】
アルケンニトリルとしては、ビニルニトリル及び2−プロピレンニトリル等が挙げられる。
アルケンニトリルのうち、2−プロピレンニトリルが好ましい。
【0061】
第1級アミンは、アミジンを加水分解することによっても得ることができる。アミジンとしては、たとえば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU、サンアプロ株式会社、「DBU」は同社の登録商標である)、1,5−ジアザビシクロ「4.3.0」ノナ−5−エン(DBN、サンアプロ株式会社)が含まれる。
【0062】
一般式(2)で表される光塩基発生剤は、合成の簡便性等の観点から、アミジンを加水分解することによって得ることが好ましい。
【0063】
本発明の光塩基発生剤は、露光することにより、第1級アミンが生じる。さらにこの第1級アミンを加熱することにより、アミジンを発生させることができる。
【0064】
露光波長(nm)は、光塩基発生剤の吸収波長から、200〜500が好ましく、さらに好ましくは300〜450、特に好ましくは300〜425である。
露光量(mJ/cm)は、塩基の発生量及びエネルギーコスト等の観点から、100〜100000が好ましく、さらに好ましくは500〜50000、特に好ましくは1000〜30000である。
【0065】
加熱は、露光と共に行ってもよいし、露光後に行ってもよく、この両方に行ってもよい。加熱温度(℃)は、環化反応の進行性等の観点から、50〜250が好ましく、さらに好ましくは80〜150、特に好ましくは90〜140である。
【0066】
加熱時間(分)としては、環化反応の進行性及びエネルギーコスト等の観点から、1〜300が好ましく、さらに好ましくは3〜120である。
【0067】
露光、加熱における雰囲気としては、減圧下、加圧下、大気圧下のいずれでもよいが、プロセスの簡便性等の観点から、大気圧が好ましい。また、不活性ガス雰囲気下でもよい。
【0068】
本発明の光塩基発生剤は、潜在性塩基触媒(光が照射される前は触媒作用はないが、光照射によって塩基触媒の作用を発現する触媒)等に適用でき、たとえば、硬化性樹脂組成物等の硬化触媒として使用でき、200〜500nmの光を照射し、露光中及び/又は露光後、加熱すると硬化する硬化性樹脂組成物用の硬化触媒として好適である。
たとえば、塩基で硬化が促進する基本樹脂及び本発明の光塩基発生剤、並びに必要に応じて、溶剤及び/又は添加剤を含んでなる硬化性樹脂組成物を容易に構成できる。
【0069】
このような硬化性樹脂組成物は、本発明の光塩基発生剤を含有するため、保存安定性に優れている他、硬化性にも優れている。
すなわち、本発明の光塩基発生剤を含有する硬化性樹脂組成物に200〜500nmの波長の光を照射し、露光中及び/又は露光後、加熱することによって塩基を発生させ、硬化反応を促進させて、硬化物を得ることができる。
したがって、このような硬化樹脂(硬化物)の製造方法としては、上記の光塩基発生剤と硬化性樹脂とを含有する硬化性樹脂組成物に波長200〜500nmの光を照射することによって、光塩基発生剤からカルバモイル基含有第1級アミンを発生させた後、50〜250℃に加熱することによって、カルバモイル基含有第1級アミンをアミジンに分子内環化させて、硬化性樹脂を硬化させて硬化樹脂を得る工程を含むことが好ましい。
【0070】
なお、このような硬化樹脂(硬化物)の製造方法には、上記の工程と共に、又は上記の工程に代えて、上記の光塩基発生剤と硬化性樹脂とを含有する硬化性樹脂組成物に波長200〜500nmの光を照射することによって、光塩基発生剤からカルバモイル基含有第1級アミンを発生させると共に、50〜250℃に加熱することによって、カルバモイル基含有第1級アミンをアミジンに分子内環化させて、硬化性樹脂を硬化させて硬化樹脂を得る工程を含んでもよい。
【0071】
光照射により発生する塩基で硬化が促進する硬化性樹脂組成物は、塩基によって硬化する硬化性樹脂であれば制限がなく、たとえば、硬化性ウレタン樹脂{(ポリ)イソシアネートと硬化剤(ポリオール及びチオール等)とからなる樹脂等}、硬化性エポキシ樹脂{(ポリ)エポキシドと硬化剤(酸無水物、カルボン酸、(ポリ)エポキシド及びチオール等)とからなる樹脂や、エピクロルヒドリンとカルボン酸とからなる樹脂等}、硬化性アクリル樹脂{アクリルモノマー及び/又はアクリルオリゴマーと硬化剤(チオール、マロン酸エステル及びアセチルアセトナート等)}及びポリシロキサン(硬化して架橋ポリシロキサンとなる。)である。
【0072】
本発明の光塩基発生剤は、400nm以上の波長の光にも感光するので、一般的に使用されている高圧水銀灯の他、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ及びハイパワーメタルハライドランプ等(UV・EB硬化技術の最新動向、ラドテック研究会編、シーエムシー出版、138頁、2006)が使用できる。
【実施例】
【0073】
<製造例1>
4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルアルコールの合成
500mlマイヤーフラスコに、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンズアルデヒド(和光純薬工業株式会社)9.0g、テトラヒドロホウ酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社)1.7g及びメタノール400mlを入れ、室温(約25℃)にて3時間撹拌した後、得られた反応液を、400mlの水が入った3Lビーカーに撹拌下にて滴下すると黄色懸濁液となった。この黄色懸濁液にクロロホルム200mlを加え抽出操作を行い、有機層を分取しロータリーエバポレーターで溶媒を減圧下にて留去し、淡黄色固体を得た。この固体を酢酸エチル30mlに溶解して再結晶を行い、淡黄色結晶8.0gを得た。
【0074】
なお、1H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):7.63(s、1H)、7.38(s、1H)、5.50(t、1H)、4.80(d、2H)、3.85(d、6H)}、この淡黄色結晶が4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルアルコールであることを確認した。
【0075】
<製造例2>
1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エタノールの合成
(1)4,5−ジメトキシ−2−ニトロアセトフェノン(中間体1)の合成
200mlマイヤーフラスコに濃硝酸90ml入れ、冷水浴にて系内の温度を18〜22℃に保ちながら、4,5−ジメトキシアセトフェノン(和光純薬工業株式会社)15.0gを1時間かけて投入した後、同温度にて1時間撹拌し、反応液を1200mlの水の入った3Lビーカーに撹拌下にて30分かけて滴下すると淡黄色の固体が析出した。この固体を吸引ろ過し淡黄色固体を得た。この淡黄色固体をエタノール250mlに溶解し再結晶を行い淡黄色針状結晶(中間体1)8.4gを得た。
【0076】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):7.62(s、1H)、7.20(s、1H)、3.90(d、6H)、2.50(s、3H)}、この淡黄色針状結晶が4,5−ジメトキシ−2−ニトロアセトフェノン(中間体1)であることを確認した。
【0077】
(2)1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エタノールの合成
500mlマイヤーフラスコに、中間体(1)10.0g、テトラヒドロホウ酸ナトリウム1.7g及びメタノール400mlを入れ、室温(約25℃)にて3時間撹拌した後、得られた反応液を400mlの水が入った3Lビーカーに撹拌下にて滴下すると黄色懸濁液となった。この黄色懸濁液にクロロホルム200mlを加え抽出操作を行い、有機層を分取しロータリーエバポレーターで溶媒を減圧下にて留去し、淡黄色固体を得た。この淡黄色固体を酢酸エチル30mlに溶解し再結晶操作を行い、淡黄色結晶8.6gを得た。
【0078】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):7.55(s、1H)、7.35(s、1H)、5,50(s、1H)、5.23(t、1H)、3.90(d、6H)、1.35(d、3H)}、この淡黄色結晶が1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エタノールであることを確認した。
【0079】
<製造例3>
1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)−2−メチル−プロパノールの合成
(1)1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−メチル−プロパノン(中間体2)の合成
滴下ロート、温度計及びマグネチックスターラーを備えた500mlの三口ガラスフラスコを窒素置換し、塩化アルミニウム(和光純薬工業株式会社)6.68g、1,2−ジメトキシベンゼン(和光純薬工業株式会社)5.52g及びジクロロメタン30mlを仕込み、マグネチックスターラーで撹拌しながら氷浴で冷却し、0〜5℃の混合液を得た。
一方、イソブチリルクロリド(東京化学工業株式会社)4.50gをジクロロメタン10mlに溶解させて、イソブチリルクロリドのジクロロメタン溶液を得た。
【0080】
氷浴で先の混合液の温度を0〜5℃に維持しながら、混合液にこのジクロロメタン溶液を、滴下ロートから30分かけて滴下して加えた後、氷浴をはずし室温(約25℃)にて2時間撹拌した。その後、反応液に2N−塩酸40ml、水100ml及びジクロロメタン100gを加えて30分撹拌し、有機層を分取した。有機層を水200mlにて3回洗浄し、ロータリーエバポレーターで溶媒を減圧下にて留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色オイル状物(中間体2)7.56gを得た。
【0081】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、クロロホルム−d、δ(ppm):7.55(d、1H)、7.5(s、1H)、6.80(d、1H)、3.80(s、6H)、3.50(m、1H)、1.20(d、6H)}、この黄色オイル状物が1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−メチル−プロパノン(中間体2)であることを確認した。
【0082】
(2)1−(3,4−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)−2−メチル−プロパノン(中間体3)の合成
「4,5−ジメトキシアセトフェノン15.0g」を「(中間体2)17.0g」に変更したこと以外、製造例2(1)と同様にして、淡黄色結晶(中間体3)16.0gを得た。
【0083】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、クロロホルム−d、δ(ppm):7.65(s、1H)、7.22(s、1H)、3.95(s、6H)、2.90(m、1H)、1.20(d、6H)}、この淡黄色結晶が1−(3,4−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)−2−メチル−プロパノン(中間体3)であることを確認した。
【0084】
(3)1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)−2−メチル−プロパノールの合成
「中間体(1)10.0g」を「(中間体3)12.0g」に変更したこと以外、製造例2(2)と同様にして、淡黄色結晶10.0gを得た。
【0085】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、クロロホルム−d、δ(ppm):7.50(s、1H)、7.20(s、1H)、5.27(d、1H)、3.90(s、3H)、3.80(s、3H)、2.25(s、1H)、1.95(m、1H)、0.90(d、6H)}、この淡黄色結晶が1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)−2−メチル−プロパノールであることを確認した。
【0086】
<製造例4>
1−(2−ニトロ−4.5−ジメトキシフェニル)−1−(2−ニトロフェニル)−メタノールの合成
滴下ロート、温度計及びマグネチックスターラーを備えた300mlの三口ガラスフラスコを窒素置換し、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンズアルデヒド3.0g及びテトラヒドロフラン200mlを入れ溶解させ、氷浴にて0℃まで冷やした後、2−ニトロ−フェニルリチウム(和光純薬工業株式会社)5、0gを液温が5℃を超えないように滴下ロートより滴下し、液温が5℃以下で3時間撹拌した。その後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を300ml及びジエチルエーテル300mlを投入し、1時間撹拌後、有機層を分取した。有機層を水200mlにて3回洗浄し、有機層を分取、ロータリーエバポレーターで溶媒を減圧下にて留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体2.0gを得た。
【0087】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):7.85(d、1H)、7.18(s、1H)、7.40−7.20(m、2H)、7.37(s、1H)、7.18(d、1H)、6.49(d、1H)、3.80(s、6H)}、この黄色固体が1−(2−ニトロ−4.5−ジメトキシフェニル)−1−(2−ニトロフェニル)−メタノールであることを確認した。
【0088】
<製造例5>
2−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)プロパノールの合成
(1)4,5−ジメトキシエチルベンゼン(中間体4)の合成
滴下ロート、温度計及びマグネチックスターラーを備えた500mlの三口ガラスフラスコを窒素置換し、塩化アルミニウム(和光純薬工業株式会社)6.68g、1,2−ジメトキシベンゼン(和光純薬工業株式会社)5.52g及びジクロロメタン30mlを仕込み、マグネチックスターラーで撹拌しながら氷浴で冷却し、0〜5℃の混合液を得た。
一方、エチルクロリド(東京化学工業株式会社)3.0gをジクロロメタン10mlに溶解させて、エチルクロリドのジクロロメタン溶液を得た。
【0089】
氷浴で先の混合液の温度を0〜5℃に維持しながら、混合液にこのジクロロメタン溶液を、滴下ロートから30分かけて滴下して加えた後、氷浴をはずし室温(約25℃)にて2時間撹拌した。その後、反応液に2N−塩酸40ml、水100ml及びジクロロメタン100gを加えて30分撹拌し、有機層を分取した。有機層を水200mlにて3回洗浄し、有機層を分取、ロータリーエバポレーターで溶媒を減圧下にて留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色オイル状物(中間体4)2.00gを得た。
【0090】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、クロロホルム−d、δ(ppm):7.55(d、1H)、7.5(s、1H)、6.80(d、1H)、3.80(s、6H)、5.10(q、2H)、1.20(t、3H)}、この黄色オイル状物が4,5−ジメトキシエチルベンゼン(中間体4)であることを確認した。
【0091】
(2)2−エチル−4,5−ジメトキシ−ニトロベンゼン(中間体5)の合成
「4,5−ジメトキシアセトフェノン15.0g」を「(中間体4)10.0g」に変更したこと以外、製造例2(1)と同様にして、淡黄色結晶(中間体5)8.0gを得た。
【0092】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、クロロホルム−d、δ(ppm):7.65(s、1H)、7.22(s、1H)、3.95(s、6H)、5.05(q、2H)、1.20(t、3H)}、この黄色結晶が2−エチル−4,5−ジメトキシ−ニトロベンゼン(中間体5)であることを確認した。
【0093】
(3)2−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)プロパノールの合成
100ml二口ナスフラスコを窒素置換し、これに、(中間体5)3.0g及びジメチルスルホキシド30mlを入れ、室温(約25℃)にて溶解させた後、パラホルムアルデヒド(和光純薬工業株式会社)1.0g及びt−ブトキシカリウム(和光純薬工業株式会社)1.0gを入れ室温(約25)にて3時間撹拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて中和し、ジクロロメタン及び水を加えて30分撹拌した後、有機層を分取し、有機層を水200mlにて3回洗浄し、有機層を分取、ロータリーエバポレーターで溶媒を減圧下にて留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体2.0gを得た。
【0094】
なお、1H−NMRによる分析の結果{300MHz、クロロホルム−d、δ(ppm):7.50(s、1H)、7.20(s、1H)、5.27(d、1H)、3.90(s、3H)、3.80(s、3H)、3.10(d、2H)、2.25(s、1H)、1.95(m、1H)、1.00(d、3H)}、この黄色固体が2−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)プロパノールであることを確認した。
【0095】
<製造例6>
N−(3−アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムの合成
100mlマイヤーフラスコに、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU、サンアプロ株式会社、「DBU」は同社の登録商品である)15g及び水10gを加え、80℃で2時間加熱撹拌した後、減圧乾燥機にて水を留去し、透明油状物16.5gを得た。
【0096】
なお、1H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):3.40−3.30(m、4H)、2.60−2.40(m、4H)、1.50−1.80(m、8H)}、この透明油状物がN−(3−アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムであることを確認した。
【0097】
<製造例7>
N−(3−アミノプロピル)−4−ペンタンラクタムの合成
100mlマイヤーフラスコに、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN、サンアプロ株式会社)15g及び水10gを加え、80℃で2時間加熱撹拌した後、減圧乾燥機にて水を留去し、透明油状物16.5gを得た。
【0098】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):3.60−3.50(m、4H)、2.80−2.60(m、4H)、1.50−1.80(m、4H)}、この透明油状物がN−(3−アミノプロピル)−4−ペンタンラクタムであることを確認した。
【0099】
<製造例8>
N−(3−アミノプロピル)−N−メチルアセトアミドの合成
(1)N−(3−アミノプロピル)−アセトアミド(中間体6)の合成
100mlマイヤーフラスコに、プロピレンジアミン(和光純薬工業株式会社)3.0g及びメチル酢酸(和光純薬工業株式会社)1.0gを入れ、室温(約25℃)にて3時間撹拌して、透明油状物4.0gを得た。
この透明油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、透明油状物(中間体6)を得た。
【0100】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):7.00(s、1H)、3.30(t、2H)、2.05(s、3H)、1.80(m、2H)、1.20(t、2H)}、この透明油状物がN−(3−アミノプロピル)−アセトアミドであることを確認した。
【0101】
(2)N−(3−アミノプロピル)−N−メチルアセトアミドの合成
100mlマイヤーフラスコに、(中間体6)4.0g及びビス(1,1−ジメチルエチル)ジカルボナート2.0g(和光純薬工業株式会社)を入れ、室温(約25℃)にて3時間攪拌して、アミノ基をBoc基で保護した。その後、ジメチル硫酸(和光純薬工業株式会社)1.0gを加え、室温(約25℃)にて3時間撹拌した後、2N塩酸5.0gを加え、室温(約25℃)にて1時間攪拌し、フラスコの底に沈んだ透明油状物を分離して、透明油状物4.0gを得た。
【0102】
なお、1H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):3.40(t、2H)、2.90(s、3H)、2.00(s、3H)、1.70(m、2H)、1.10(t、2H)}、この透明油状物がN−(3−アミノプロピル)−N−メチルアセトアミドであることを確認した。
【0103】
<実施例1>
N−(N’−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムの合成
滴下ロート、温度計及びマグネチックスターラーを備えた100mlの三口ガラスフラスコを窒素置換し、N,N’−カルボニルジイミダゾール(東京化学工業株式会社)1.78g及びN,N−ジメチルホルムアミド5mlを加えて懸濁させ、懸濁液をマグネチックスターラーで撹拌しながら氷浴で冷却し、0〜5℃の懸濁液を得た。
一方、製造例1で得た「4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルアルコール」2.13gをN,N−ジメチルホルムアミド5mlに溶解させて、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルアルコールのDMF溶液を得た。
【0104】
氷浴で懸濁液の温度を0〜5℃に維持しながら、懸濁液にこのDMF溶液を、滴下ロートから30分かけて滴下して加え、0〜5℃で30分熟成した後、反応液をこの温度に維持しながら、これに、製造例6で得た「N−(アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタム」2.40gのDMF5ml溶液を滴下ロートから10分かけて滴下して加えた。次いで、氷浴をはずして反応液を室温(約25℃)で4時間熟成した後、反応液をロータリーエバポレーターで濃縮しDMFを除き、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、本発明の光塩基発生剤(1)(淡黄色固体3.29g)を得た。
【0105】
なお、1H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):7.7(s、1H)、7.35(t、1H)、7.15(s、1H)、5.30(s、2H)、3.85(d、6H)、3.4−3.2(m、4H)、3.0(m、2H)、2.4(m、2H)、1.8−1.3(m、8H)}、この淡黄色固体がN−(N’−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムであることを確認した。
【0106】
<実施例2>
N−(N’−((1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エトキシ)カルボニル)アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムの合成
「製造例1で得た4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルアルコール2.13g」を「製造例2で得た1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エタノール2.3g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の光塩基発生剤(2)(淡黄色固体3.3g)を得た。
【0107】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):7.60(s、1H)、7.28(t、1H)、7.10(s、1H)、6.10(q、1H)、3.90(d、6H)、3.40−3.20(m、4H)、2.90(m、2H)、2.40(m、2H)、1.70−1.40(m、11H)}、この淡黄色固体がN−(N’−((1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エトキシ)カルボニル)アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムであることを確認した。
【0108】
<実施例3>
N−(N’−((1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)−2−メチル−プロポキシ)カルボニル)アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムの合成
「製造例1で得た4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルアルコール2.13g」を「製造例3で得た1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)−2−メチル−プロパノール2.6g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の光塩基発生剤(3)(淡黄色固体3.5g)を得た。
【0109】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、クロロホルム−d、δ(ppm):7.60(s、1H)、7.00(s、1H)、6.25(d、1H)、6.10(t、1H)、3.90(d、6H)、3.40−3.25(m、4H)、3.00(m、2H)、2.50(m、2H)、1.77−1.50(m、8H)、0.90(t、6H)}、この淡黄色固体はN−(N’−((1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)−2−メチル−プロポキシ)カルボニル)アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムであることを確認した。
【0110】
<実施例4>
N−(N’−((1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)−1−(2−ニトロフェニル)メトキシ)カルボニル)アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムの合成
「製造例1で得た4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルアルコール2.13g」を「製造例4で得た1−(2−ニトロ−4.5−ジメトキシフェニル)−1−(2−ニトロフェニル)−メタノール3.0g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の光塩基発生剤(4)(淡黄色固体4.0g)を得た。
【0111】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):8.02(d、1H)、7.75(s、1H)、7.65(m、2H)、7.60(s、1H)、7.48(t、1H)、7.22(d、1H)、7.00(s、1H)、3.85(d、6H)、3.40−3.20(m、4H)、2.90(m、2H)、2.40(m、2H)、1.70−1.40(m、8H)}、この淡黄色固体がN−(N’−((1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)−1−(2−ニトロフェニル)メトキシ)カルボニル)アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムであることを確認した。
【0112】
<実施例5>
N−(N’−((1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エトキシ)カルボニル)アミノプロピル)−4−ペンタンラクタムの合成
「製造例1で得た4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルアルコール2.13g」を「製造例2で得た1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エタノール2.3g」に変更したこと、「製造例6で得たN−(アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタム2.40g」を「N−(3−アミノプロピル)−4−ペンタンラクタム2.30g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の光塩基発生剤(5)(淡黄色固体4.0g)を得た。
【0113】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):7.60(s、1H)、7.28(t、1H)、7.10(s、1H)、6.10(q、1H)、3.90(d、6H)、3.40−3.20(m、4H)、2.90(m、2H)、2.40(m、2H)、1.70−1.40(m、7H)}、この淡黄色固体はN−(N’−((1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エトキシ)カルボニル)アミノプロピル)−4−ペンタンラクタムであることを確認した。
【0114】
<実施例6>
N−(N’−((2−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)プロポキシ)カルボニル)アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムの合成
「製造例1で得た4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルアルコール2.13g」を「製造例5で得た2−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)プロパノール3.2g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の光塩基発生剤(6)(淡黄色固体4.0g)を得た。
【0115】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):7.60(s、1H)、7.28(t、1H)、7.10(s、1H)、6.10(q、1H)、4.10(d、2H)、3.90(d、6H)、3.40−3.20(m、4H)、2.90(m、2H)、2.40(m、2H)、1.70−1.40(m、11H)}、この淡黄色固体は、N−(N’−((2−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)プロポキシ)カルボニル)アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムであることを確認した。
【0116】
<実施例7>
N−(N’−((1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エトキシ)カルボニル)アミノプロピル)−N−メチルアセトアミドの合成
「製造例1で得た4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルアルコール2.13g」を「製造例2で得た1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エタノール2.3g」に変更したこと、「製造例6で得たN−(アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタム2.40g」を「製造例8で得たN−(3−アミノプロピル)−N−メチルアセトアミド2.00g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の光塩基発生剤(7)(淡黄色固体3.0g)を得た。
【0117】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):7.60(s、1H)、7.28(t、1H)、7.10(s、1H)、6.10(q、1H)、3.90(d、6H)、3.40−3.20(m、4H)、2.90(m、2H)、2.70(s、3H)、2.00(s、3H)、1,60(d、3H)}、この淡黄色固体は、N−(N’−((1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)エトキシ)カルボニル)アミノプロピル)−N−メチルアセトアミドであることを確認した。
【0118】
<比較例>
N−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)−2,6−ジメチルピペリジンの合成
「製造例6で得たN−(アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタム2.40g」を「2,6−ジメチルピペリジン1.50g」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の光塩基発生剤(H1)(淡黄色固体2.0g)を得た。
【0119】
なお、H−NMRによる分析の結果{300MHz、DMSO−d6、δ(ppm):7.60(s、1H)、7.10(s、1H)、5.35(s、2H)、4.23(m、2H)、3.90(d、6H)、1.80−1.60(m、1H)、1.50(m、4H)、1.40(m、1H)、1.15(d、6H)}、この淡黄色固体はN−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)−2,6−ジメチルピペリジンであることを確認した。
【0120】
<評価>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER−828、ジャパンエポキシレジン株式会社)100g、酸無水物(HN5500E、日立化成工業株式会社)90g及び光塩基発生剤4.5gを均一混合し、ガラス板(76mm×52mm、厚み5mm)に、バーコーター(No.10、株式会社安田精機製作所)を用いて塗布した後、ベルトコンベア式UV照射装置(アイグラフィックス株式会社、ECS−151U)で露光(365nmの積算光量で10J/cm)した{露光波長を制御するために300〜450nmの波長の光を透過するフィルター(アイグラフィックス株式会社、365フィルター)を使用した。}。引き続き直ちに、150℃に加熱したホットプレート上に載せて、ホットプレート上に載せてから塗布面のタックがなくなるまでの時間(分)を計測し、下表に示した。
【0121】
また、ホットプレート上での加熱温度を150℃から80又は115℃に変更した以外、上記と同様にして、ホットプレート上に載せてから塗布面のタックがなくなるまでの時間(分)を計測し、下表に示した。
【0122】
【表1】

【0123】
本発明の光塩基発生剤(1)〜(7)は、比較用の光塩基発生剤に比べて、タックがなくなるのに要する時間が著しく少なかった。また、加熱温度を高くすると、本発明の光塩基発生剤はタックがなくなるまでの時間が減少したのに対して、比較用の光塩基発生剤では変化が見られなかった。これは、本発明の光塩基発生剤を露光して発生した第1級アミンが、加熱温度が高くなることによりアミジンへの環化反応が容易となったのに対して、比較用の光塩基発生剤では加熱温度により3,5−ジメチルピペリジンが変化しないことによるものと考えられる。
【0124】
本発明の光塩基発生剤が、露光することにより第1級アミンを生じ、さらにこの第1級アミンを加熱することにより、アミジンを発生することを以下のように確認した。
【0125】
本発明の光塩基発生剤(1)2.17mgと重DMSO(DMSO−d6)0.75gとを均一溶解させ(濃度7.02×10−6mol/L)、NMRチューブに充填し、ベルトコンベア式UV照射装置(アイグラフィックス株式会社、ECS−151U)で露光(365nmの積算光量で50J/cm)した{露光波長を制御するために300〜450nmの波長の光を透過するフィルター(アイグラフィックス株式会社、365フィルター)を使用した。}。
その後、H−NMR(300MHz)分析を行い、本発明の光塩基発生剤(1)が分解し、第1級アミン{N−(アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタム}が生成したことを確認した{ベンジル位のプロトンのシグナル5.30ppm(s、2H)が消失し、N−(アミノプロピル)−6−ヘプタンラクタムのシグナルを確認した。}
【0126】
本発明の光塩基発生剤(2)〜(7)について、上記と同様にして、本発明の光塩基発生剤(2)〜(7)が分解し、第1級アミンが生成したことを確認した{光塩基発生剤(2)〜(5)及び(7);ベンジル位のプロトンのシグナルが消失し、第1級アミンのシグナルを確認した。光塩基発生剤(6);ベンジル位のプロトンのシグナル6.10ppm(q、1H)が高磁場6.50ppm(m、1H)へシフトしたことを確認した。}
【0127】
本発明の光塩基発生剤(1)〜(7)を露光分解して得た第1級アミン(NMRチューブ)をオイルバスにて120℃1時間加熱した後、再度、H−NMR(300MHz)分析を行い、第1級アミンのシグナルが消失し、アミジンのシグナルを確認した。得られたアミジンのNMRデータを下表に示した。
【0128】
【表2】

【0129】
本発明の光塩基発生剤(1)〜(7)を露光分解して得た第1級アミン(NMRチューブ)をオイルバスにて、80、115、150℃のいずれかで1時間加熱した後、再度、H−NMR(300MHz)分析を行い、第1級アミンのアミジンへの転換率(モル%)を求め、下表に示した。
なお、第1級アミンのアミジンへの転換率(モル%)は、第1級アミンとアミジンとのプロトン積分値から算出した。
【0130】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)又は一般式(2)で表わされることを特徴とする光塩基発生剤。
【化1】

及びRは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基又は炭素数6〜12のアリール基であり、nは2〜3の整数、mは3〜5の整数、Aは式(3)又は式(4)で表される基である。
【化2】

は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜18のアシル基、炭素数7〜18のアロイル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルキルチオ基、水酸基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基{アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、アロイル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、水酸基及びハロゲン原子は単数又は複数のいずれでもよく、複数の場合、同じでも異なってもよい}、水素原子、フェニル基又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜18のアシル基、炭素数7〜18のアロイル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基若しくはアルキルチオ基、水酸基又はハロゲン原子を表し、qは1〜4の整数、qが2〜4の場合、Rは同じでも異なってもよい。
【請求項2】
式(2−1)又は式(2−2)で表される請求項1に記載の光塩基発生剤。
【化3】

Aは請求項1に記載のとおりである。
【請求項3】
Aが式(3−1)〜(3−4)のいずれかで表される基、又は式(4−1)〜(4−3)のいずれかで表される基である光塩基発生剤。
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載された光塩基発生剤と、硬化性樹脂とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載された光塩基発生剤と硬化性樹脂とを含有する硬化性樹脂組成物に波長200〜500nmの光を照射することによって、光塩基発生剤からカルバモイル基含有第1級アミンを発生させた後、50〜250℃に加熱することによって、カルバモイル基含有第1級アミンをアミジンに分子内環化させて、硬化性樹脂を硬化させて硬化樹脂を得る工程を含むことを特徴とする硬化樹脂の製造方法。

【公開番号】特開2011−116869(P2011−116869A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275983(P2009−275983)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000106139)サンアプロ株式会社 (32)
【Fターム(参考)】