説明

光増幅装置

【課題】EDFAにおいて偏波依存性利得を抑制する。
【解決手段】入力光が一端から入力されるEDF20と、励起光を発生する励起光源21と、励起光源21による励起光をEDF20の一端に提供する光合波器22と、を備えたEDFAにおいて、EDF20で発生して入力ポートINに向かって進行する自然放出光のうちの所定帯域の光成分をEDF20に向け反射する反射器23、又は、EDF20の出力光のうちの所定帯域の光成分をEDF20に向け反射する反射器24を設ける。反射器23,24により反射される光成分の所定帯域は、EDF20で生じる偏波ホールバーニングの帯域であって、入力光に含まれた信号光の波長に近い帯域、好ましくは信号光波長±6nmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類添加光ファイバを使用した光増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信ネットワークを構成する光伝送システムの中継局では、光信号の高速化(広帯域化)に対応して、光電変換を伴う再生中継に代わって、光のまま信号増幅を行う光増幅装置が採用されている。光増幅装置として現在一般的に使用されているのは、増幅媒体に希土類添加光ファイバを使用した光増幅装置で、中でも特に、エルビウム添加光ファイバ(Erbium Doped Fiber:EDF)を増幅媒体にした光増幅装置(Erbium Doped Fiber Amplifier:EDFA)が主に使用されている。
【0003】
図15に示すのは、一般的なEDFAの構成である。図15Aに示すEDFAは、入力光O1が一端から入力されるEDF1aと、レーザーダイオード(Laser Diode:LD)等を使用して励起光を発生する励起光源2aと、励起光源2aによる励起光を前記一端からEDF1aに提供する光合波器(例えば、Wavelength Division Multiplexing Coupler:WDMカプラ)3aと、を備え、EDF1aに対して入力光O1の進行方向と同じ方向へ進行する励起光を送り込んで増幅を行う前方励起方式である。また、図15Bに示すEDFAは、入力光が一端から入力されるEDF1bと、レーザーダイオード等を使用して励起光を発生する励起光源2bと、励起光源1bによる励起光をEDF1bの他端からEDF1bに提供する光合波器3bと、を備え、EDF1bに対して入力光の進行方向とは逆方向へ進行する励起光を送り込んで増幅を行う後方励起方式である。この他に、励起光源を前方及び後方の両方に備えて双方向からEDFを励起する双方向励起方式のEDFAもある。
【0004】
なお、図15A中に示すように、EDF1aによる増幅時には、入力光O1の進行方向とは逆方向へ進行する自然放出光A1が発生する。この自然放出光A1の逆進を抑止するために光アイソレータが設けられる場合もある。図15BのEDF1bや双方向励起方式のEDFAでも同様である。
【0005】
このようなEDFAを使用して光信号を中継増幅する場合、EDFにおいて偏波ホールバーニング(Polarization Hole-Burning:PHB)が発生し、偏波依存性利得(Polarization dependent Gain:PDG)を生じることがある。特に、EDFAを用いた中継局が伝送路上に多数存在するシステムでは、各中継局のEDFAによる偏波依存性利得の影響が累積し、例えば波長帯がCバンド(1550nm帯:1530nm〜1565nm)の信号光を中継増幅する場合に、Cバンドにおける短波長側の信号成分の光SN比(Optical Signal-to-Noise Ratio:OSNR)が無視できない程に劣化することがある。近年の光ネットワークは、海底及び陸上の両伝送とも伝送距離の長距離化が進んでおり、これに伴って光増幅装置による中継数も増加する傾向にあるので、光増幅装置の偏波依存性利得による影響は、解決しておくべき事項である。
【0006】
偏波ホールバーニングは、EDFに入力される励起光及び信号光の偏波状態に依存して利得が変動する現象である(非特許文献1の59頁〜61頁参考)。強度及び偏光度(Degree of Polarization:DOP)の高い信号光がEDFに入力されると、偏波ホールバーニングにより、入力された信号光の偏波方向に対して平行な偏波方向をもつ光の利得が削られることになる。EDFにおける利得の変動は、信号光だけではなく、EDF内で発生する自然放出光(Amplified Spontaneous Emission:ASE)にも影響を及ぼす。自然放出光は、無偏光状態の光であり、信号光の偏波方向に対して平行な偏波成分と垂直な偏波成分とを含んでいる。このため、自然放出光のうちの信号光に平行な偏波成分のみが、偏波ホールバーニングによる利得変動の影響を受けることになる。つまり、偏波ホールバーニングの発生によって、信号光の利得と、自然放出光のうちの信号光に平行な偏波成分の利得とが削られる一方、自然放出光のうちの信号光に垂直な偏波成分の利得は削られない。したがって、EDFで発生する自然放出光について、偏光度の高い信号光に平行な偏波成分に対する利得と、前記信号光に垂直な偏波成分に対する利得と、の差分が偏波依存性利得となる。このため、偏波ホールバーニングが無い場合に比べて、自然放出光のうちの信号光に垂直な偏波成分の割合が相対的に増える結果、増幅後の出力光におけるOSNRが低下する。つまり、Cバンドの短波長側に波長をもつ信号光は、強度及び偏光度が高いと、偏波ホールバーニングによる偏波依存性利得の影響を受けて、増幅後のOSNRが低下することになる。
【0007】
偏波ホールバーニングによる偏波依存性利得は、EDF中の光の偏光度に依存し、偏光度が高いほど偏波ホールバーニングの発生が顕著になる(非特許文献2)。「偏光度」は、着目する波長の光の全光パワーに対し、完全に偏光している成分の光パワーの比率を表したもので、偏光度「0」で無偏光状態、偏光度「1」で完全偏光状態となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「エルビウム添加光ファイバ増幅器」,須藤昭一編著,オプトロニクス社
【非特許文献2】"Measurement of polarisation-dependent gain in EDFAs against input degree of polarisation and gain compression", F. Bruere, pp.401-403, Electronics Letters 2nd March 1995 Val.31 No.5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在の光通信の主流であるWDM(Wavelength Division Multiplexing)光伝送方式において、多数の波長の信号光が多重されて伝送されている場合は、多重されている各信号光の偏光度が多様なので、WDM光全体としての偏光度は低くなる。したがって、偏波ホールバーニングによる偏波依存性利得の影響は無視できるほどに小さい。しかし、多重される信号光が少なく、例えば1波長の信号光しか伝送されない場合は、特に当該信号光がCバンドの短波長側に位置していると、上述のように偏波ホールバーニングによる偏波依存性利得の影響が顕著になり、無視できなくなる。
【0010】
このような信号光が少ない場合の偏波依存性利得に起因するOSNRの劣化に関し、図15Aを参照して説明する。
図15AのEDFAにおいて、Cバンドの短波長側に配置された1波の信号光S及びCバンドの全域に亘る雑音光N1を含んだ入力光O1がEDFAに入力されるとする。この場合、増幅前の入力光O1は、信号光波長における信号成分のパワーと雑音成分のパワーとに従うOSNRを有する。
【0011】
入力光O1に含まれる信号光Sの偏光度が高い場合、EDF1aにおける増幅時に、上記の偏波ホールバーニングによる偏波依存性利得の影響を受ける。その結果、EDF1aによる増幅後の出力光O2は、特に信号光Sの波長近傍で雑音成分N2の割合が増加し、信号光Sに関するOSNRが低下する。
【0012】
なお、図15Bの後方励起方式及び図示せぬ双方向励起方式のEDFAであっても、同様の原因によりOSNRの低下が生じ得る。
【0013】
以上の背景に鑑みると、希土類添加光ファイバを用いた光増幅装置において、偏波依存性利得を抑制することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために提案する光増幅装置は、入力光が一端から入力される希土類添加光ファイバと、励起光を発生する1以上の励起光源と、前記励起光源による励起光を、前記希土類添加光ファイバの一端及び他端の一方又は両方に提供する1つ又は複数の光合波器と、前記入力光の入力ポートと前記希土類添加光ファイバの一端との間の光経路に設けられ、前記希土類添加光ファイバで発生して前記入力ポートに向かって進行する自然放出光のうちの所定帯域の光成分を、前記希土類添加光ファイバに向け反射する反射器と、を含んで構成される。
【0015】
あるいは、上記課題を解決するために提案する光増幅装置は、入力光が一端から入力される希土類添加光ファイバと、励起光を発生する1以上の励起光源と、前記励起光源による励起光を、前記希土類添加光ファイバの一端及び他端の一方又は両方に提供する1つ又は複数の光合波器と、前記希土類添加光ファイバの他端と該他端から出力される出力光の出力ポートとの間の光経路に設けられ、前記出力光のうちの所定帯域の光成分を、前記希土類添加光ファイバに向け反射する反射器と、を含んで構成される。
【0016】
これら光増幅装置において、前記反射器により反射される光成分の所定帯域は、前記希土類添加光ファイバで生じる偏波ホールバーニングの帯域であって、前記入力光に含まれた信号光の波長に近い帯域とする。
【0017】
また、上記課題を解決するために提案する別の態様の光増幅装置は、入力光が一端から入力される希土類添加光ファイバと、励起光を発生する1以上の励起光源と、前記励起光源による励起光を、前記希土類添加光ファイバの一端及び他端の一方又は両方に提供する1つ又は複数の光合波器と、前記希土類添加光ファイバで生じる偏波ホールバーニングの帯域であって、前記入力光に含まれた信号光の波長に近い帯域をもつ補助光を、前記希土類添加光ファイバの一端又は他端に提供する補助光発生器と、を含んで構成される。
【発明の効果】
【0018】
上記提案に係る光増幅装置によると、希土類添加光ファイバに対して、増幅対象である信号光を含んだ入力光の他に、偏波ホールバーニングの生じる帯域であって信号光の波長に近い帯域をもつ光が反射器又は補助光発生器により入力される。この反射器又は補助光発生器による光は低偏光度(偏光度「0」の無偏光状態も含む)の光となるので、希土類添加光ファイバにおいて該当帯域の光の偏光度を低下させる。すなわち、希土類添加光ファイバにおいて、偏波ホールバーニングを生じる帯域の光の偏光度が低下することになり、偏波ホールバーニングによる偏波依存性利得が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】中継局に光増幅装置を備えた光伝送システムの例を示すブロック図。
【図2】光増幅装置の第1実施形態を示すブロック図。
【図3】EDFの偏波依存性利得と波長の関係を示すグラフ。
【図4】反射器の反射特性を示すグラフ。
【図5】EDFで発生する逆進自然放出光のスペクトル形状を示すグラフ。
【図6】反射器で反射された反射光のスペクトル形状を示すグラフ。
【図7】EDFから出力される順方向自然放出光のスペクトル形状を示すグラフ。
【図8】EDF中の距離に従う信号光及び反射光のパワーを示すグラフ。
【図9】第1実施形態に係る光増幅装置の変形例を示すブロック図。
【図10】光増幅装置の第2実施形態を示すブロック図。
【図11】EDF中の距離に従う信号光及び反射光のパワーを示すグラフ。
【図12】光増幅装置の第3実施形態を示すブロック図。
【図13】光増幅装置の第4実施形態を示すブロック図。
【図14】光増幅装置の第5実施形態を示すブロック図。
【図15】背景技術に係る光増幅装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、光増幅装置を中継局に備えた光伝送システムの一例を示している。
送信局10と受信局11とが光ファイバ伝送路12によって接続されており、光ファイバ伝送路12上に、多数の中継局13が設けられている。各中継局13には、それぞれ光増幅装置が備えられており、光ファイバ伝送路12を伝送される光信号が増幅されて中継される。送信局10と受信局11との間で通信される光信号は、WDM光か、あるいは、単波の信号光である。
【0021】
このような光伝送システムの中継局13に適用され得る光増幅装置の第1実施形態について、図2に示している。図2に示すのは、前方励起方式のEDFAである。
【0022】
図2Aに示すEDFAは、入力ポートINに入射された入力光が一端(入力端)から入力される希土類添加光ファイバとして、EDF20を備えている。そして、EDF20に添加されたエルビウムを励起するための励起光を発生する励起光源21と、励起光源21による励起光をEDF20の入力端に提供する光合波器22と、を含んで構成される。励起光源21には、例えば、0.98μmや1.48μm等の波長の励起光を発生するレーザーダイオードが使用される。また、光合波器22には、例えば、入力ポートINとEDF20の入力端との間の光経路に設けられたWDMカプラが使用される。
【0023】
さらに、入力ポートINとEDF20の入力端との間の光経路には、EDF20で発生して入力ポートINに向かって進行(逆進)する自然放出光(backward ASE)における所定帯域をEDF20に向け反射する反射器23が設けられる。図2Aに示す例では、反射器23は、入力ポートINと光合波器22との間に設けられているが、光合波器22とEDF20との間に設けることもできる。
【0024】
反射器23は、例えば光フィルタを使用して構成することができ、入力ポートINからEDF20へ向かう入力光は全帯域を透過させる。一方、EDF20で発生して入力ポートINへ逆進する自然放出光に関しては、所定帯域の光成分をEDF20へ反射し、該所定帯域以外の光成分は透過させる。反射器23が反射する自然放出光の所定帯域は、EDF20に生じる偏波ホールバーニングの帯域であって、入力光に含まれた信号光の波長に近い帯域である。
【0025】
EDF20を用いたEDFAを中継局13に備えた光伝送システムの場合、EDF20の放射ピーク波長を含むCバンドがWDM光の帯域として使用され得る。1550nm帯のCバンドでは、EDF20の放射ピーク波長が短波長側に位置し、偏波ホールバーニングによる偏波依存性利得は短波長側で顕著に発生する。図3は縦軸に偏波依存性利得(PDG)をとり、横軸に信号波長(nm)をとって示したグラフで、該グラフに示されるように、EDF20における偏波依存性利得(PDG)は、1540nm以下で急増し、1530nm付近でピークとなる。したがって、Cバンドの入力光に含まれた信号光の波長が短波長側に位置していると、偏波依存性利得の影響でOSNRが劣化する。
【0026】
一方、励起光が提供されたEDF20において発生する逆方向の自然放出光は、1530nm近辺にピークをもったスペクトルの広がりを有し、1530nm〜1565nmのCバンドを含む帯域を有する。このEDF20で発生して逆進する自然放出光は、次の過程によって発生すると考えられる。まず、前方励起の励起光がEDF20の入力端から入ることにより、EDF20において、入力端に近い部分でのエルビウムの反転分布率(励起状態)が高くなる。EDF20において反転分布率が高くなると、Cバンドの短波長側の帯域で自然放出光が多く発生するようになる。発生した自然放出光のうち、EDF20の入力端の方向へ進行する自然放出光が、EDF20内で増幅されつつEDF20の入力端から出射する。出射した自然放出光は、入力光とは逆方向へ進行する無偏光状態の自然放出光となり、Cバンドの短波長側にあるEDF20の放射ピーク波長付近でパワーが最大ピークとなるスペクトル形状を示す。
【0027】
図2Aにおいて、逆進する無偏光状態の自然放出光は、反射器23によってその帯域の一部が反射され、EDF20に入力される。当該反射器23による反射帯域は、EDF20の偏波ホールバーニングが生じる帯域であって、入力光に含まれた信号光の波長に近い帯域である。この反射帯域の自然放出光がEDF20に入力されることにより、Cバンドの短波長側に配置された信号光を含んでEDF20を順方向へ進行する入力光において、偏波ホールバーニングの生じる帯域の偏光度が低下する。したがって、EDF20において、偏波ホールバーニングによる偏波依存性利得が抑制されることになる。
【0028】
反射器23が反射する所定帯域は、短波長側に配置された信号光の波長に近い帯域で且つ信号光の波長は含まない帯域とする。信号光の波長を含むと、当該波長における信号成分対雑音成分が悪くなるので、避ける方が好ましい。また、論文1に開示されているように、EDFにおいて偏波ホールバーニングのホール幅は、着目する波長に対し約±6nmの範囲となることから、信号光の波長に近い帯域とは、具体的には、EDF20の場合、増幅対象の信号光の波長±6nmとするのが良い。そして特に、EDF20ではCバンドの帯域において短波長になるほど偏波ホールバーニングが顕著になるので、入力光に含まれる信号光よりも短波長側の帯域の自然放出光を反射させるのが、より効果的である。すなわち、反射器23は、信号光の波長−6nmの帯域で且つ信号光の波長を含まない帯域の自然放出光を反射する構成とする。
[論文1]
"Spectral Dependence of Polarization Hole-Burning", C.R. Davidson, et al., Optical Fiber Communication Conference and Exposition and The National Fiber Optic Engineers Conference, Technical Digest (CD), Optical Society of America, 2006, paper OThC3
【0029】
なお、上記±6nmの帯域は増幅媒体の光ファイバに添加される希土類の種類に応じて変化するので、光増幅装置に使用される希土類添加光ファイバの種類に応じて適宜設計する。つまり、上記±6nmの帯域とは、添加された希土類に応じて決まる偏波ホールバーニングのホール幅に対応した帯域である。
【0030】
図2Aの中には、EDFAの要部における光の波形を模式的に図示してある。
一例として、Cバンドの最短波長に配置された1波の信号光S1及びCバンドの全域に亘る雑音光N10を含んだ入力光O10が、EDFAに入力されるとする。この場合、増幅前の入力光O10は、信号光波長における信号成分のパワーと雑音成分のパワーとに従うOSNRを有する。
【0031】
入力光O10に含まれる信号光S1の偏光度が高い場合、EDF20おいて偏波ホールバーニングによる偏波依存性利得の影響を受け得るが、図2AのEDFAでは、偏波ホールバーニングを抑制するために反射器23が設けられている。上述のように反射器23は、逆進する自然放出光A10のうち、偏波ホールバーニングの帯域であって信号光S1の波長よりも短波長側の帯域(例えば信号光波長−6nm)を反射する。したがって、入力光O10が反射器23を透過すると、反射器23による反射光R1が結合し、信号光S1よりも短波長側に、無偏光状態の自然放出光A10の所定帯域反射光R1を含んだ入力光O11となる。
【0032】
反射光R1を含んだ入力光O11は、続いて光合波器22を透過し、励起光源21による励起光が入力端に提供されているEDF20へ入力される。EDF20を伝搬する入力光O11は、無偏光状態の反射光R1によって、信号光S1の波長近傍において偏波ホールバーニングを生じる帯域の偏光度が下げられているので、偏波ホールバーニングの発生が抑えられ、偏波依存性利得が抑制されることになる。その結果、EDF20から出力される出力光O12は、信号光S1の波長近傍における雑音成分N11の増加が抑制されており、信号光S1に関するOSNRが改善されている。
【0033】
具体的数値によるシミュレーション結果を図4〜図7に示す。
まず、図2AのEDFAにおいて、1531.9nm〜1563nmの波長の信号光S1がCバンドの入力光O10に含まれ得るとする。当該EDFAは、信号光S1の波長数が1〜40波の間で変化し得るWDM光伝送用のEDFAである。このEDFAに入力される信号光S1のパワーは−20dBm、EDF20の増幅利得は24dB、出力される信号光S1のパワーは4dBmとし、EDF20の全長が6m、励起光源21による励起光の波長が0.98μmで、当該励起光のパワーは、利得が24dBとなるように制御されているとする。
【0034】
EDF20における上述の偏波ホールバーニングの特性、すなわち信号光波長±6nmの帯域の偏光度が高いと顕著且つCバンドの短波長側で顕著という特性を踏まえ、反射器23は、最短波長の信号光S1の1531.9nmよりも短波長側且つ近い帯域として、1531.4nm以下の帯域の自然放出光A10を反射する特性とする。1531.9nmの自然放出光反射は、信号光直下の雑音成分増加につながるため避ける。また、1531.4nm以下の反射帯域は、偏波ホールバーニングに影響する−6nmまでの1525.9nmと設定する。当該反射器23の反射特性について、図4に示している。図4は、縦軸に反射器23に使用される反射媒体の反射率、横軸に波長をとって示したグラフで、反射器23は、1531.4nm以下且つ1525.9nm以上の帯域で自然放出光A10を反射する。
【0035】
反射器23が反射する帯域は、狭すぎると偏波ホールバーニング抑制作用が弱く、逆に長波長側へ広げすぎると、反射光(自然放出光)の増幅のために励起光が無駄に使われ、WDM光全体としてみて偏波ホールバーニング抑制のメリット以上にNF(雑音指数)の劣化が目立つといったマイナス面が現れる。したがって、上記のように、増幅媒体に添加される希土類の種類や着目する光の波長に応じた適切な反射帯域を設定する。
【0036】
図4の特性をもつ反射器23を備えたEDFAに、1531.9nmの1波長の信号光S1を含んだ入力光O10が入力されるとする。当該EDFAにおいて、励起光源21による励起光がEDF20に与えられると、図5に示すスペクトル形状の逆進自然放出光(backward ASE)がEDF20の入力端から入力ポートINに向け放出される。図5のグラフは、縦軸に自然放出光のパワー、横軸に波長をとって示したグラフで、逆進する自然放出光A10は、EDF20の放射ピーク波長付近の1530nm近辺にピークをもったスペクトルの広がりを有し、1530nm〜1565nmのCバンドを含む帯域を有している。この自然放出光A10のトータルパワーは−3.0dBmである。
【0037】
図5の逆進する自然放出光A10が図4の特性をもつ反射器23に到達すると、図6に示す帯域が反射されることになる。すなわち、図5のスペクトル形状を有する自然放出光A10のうち、1525.9nm〜1531.4nmの帯域が反射されて反射光R1となり、EDF20へ向かう。図6は、縦軸に反射光のパワー、横軸に波長をとって示したグラフである。反射器23で反射された反射光R1のトータルパワーは−9.1dBmである。
【0038】
反射器23で反射された図6の反射光R1は、入力光O10と共にEDF20に入力されるので、EDF20の入力端には、−20dBmの信号光S1と−9.1dBmの反射光R1を含んだ入力光O11が入力されることになる。EDF20の偏波ホールバーニングを生じる帯域であって信号光S1の波長に近い帯域の反射光R1が含まれることによって、EDF20に入力された信号光S1近傍の偏光度が100%から8%に低減され、偏波ホールバーニングによる偏波依存性利得は0.20dBから0.01dBに抑制される。このとき、EDF20の出力端から出力される順方向自然放出光のスペクトル形状は、図7のようになる。図7は、縦軸に自然放出光のパワー、横軸に波長をとって示したグラフで、反射器23による反射光R1がもつ1525.9nm〜1531.4nmの帯域におけるパワーが突出している。
【0039】
図2Bは、図2Aと同様の前方励起方式のEDFAにおいて、反射器の配置を変更した変形例を示す。反射器の配置以外の構成は図2AのEDFAと同じである。
図2BのEDFAにおいては、反射器24が、EDF20の出力端(他端)の側に設けられ、出力光のうちの所定帯域を反射し、該反射帯域以外の帯域は透過させる。すなわち、反射器24は、EDF20の出力端と出力ポートOUTとの間の光経路に設けられて出力光の一部帯域を反射し、EDF20の出力端へ逆進させる。反射器24の反射帯域は、上述の反射器23の反射帯域と同じで、EDF20に生じる偏波ホールバーニングの帯域であって、入力光に含まれた信号光の波長に近い帯域である。
【0040】
図2B中に、EDFAの要部における光の波形を模式的に図示してある。
一例として、Cバンドの最短波長に配置された1波の信号光S2及びCバンドの全域に亘る雑音光N20を含んだ入力光O20が、EDFAに入力されるとする。この場合、増幅前の入力光O20は、信号光波長における信号成分のパワーと雑音成分のパワーとに従うOSNRを有する。
【0041】
入力光O20は、光合波器22を透過して、励起光源21による励起光と共にEDF20に入力される。入力光O20に含まれる信号光S2の偏光度が高い場合、EDF20おいて偏波ホールバーニングによる偏波依存性利得の影響を受け得るが、図2BのEDFAでは、偏波ホールバーニングを抑制するために反射器24が設けられている。反射器24は、EDF20から出力される光において、図2Aの反射器23の反射帯域と同様の帯域、すなわち、偏波ホールバーニングの帯域であって信号光S2の波長よりも短波長側の帯域(例えば信号光波長−6nm)を反射し、この逆進する反射光R2が出力端からEDF20に入力される。反射光R2は、EDF20で発生した自然放出光を含む雑音成分を反射したものとなるので、無偏光状態の光である。
【0042】
EDF20内において、入力端から入力光O20が入力され、出力端から反射光R2が入力される結果、EDF20を伝搬する入力光O20は、無偏光状態の反射光R2によって、信号光S2の波長近傍において偏波ホールバーニングを生じる帯域の偏光度が下げられる。したがって、EDF20で偏波ホールバーニングの発生が抑えられ、偏波依存性利得が抑制されることになり、EDF20から出力される出力光O21は、信号光S2の波長近傍における雑音成分N21の増加が抑制されており、信号光S2に関するOSNRが改善されている。
【0043】
出力光O21は、反射器24を透過して、雑音成分N21中から反射帯域が削られた出力光O22となって出力ポートOUTから出射される。反射器24で反射された反射光R2は、EDF20を経て増幅された後、逆進自然放出光A20と共にEDF20の入力端から出力され、入力ポートINへ進行する。
【0044】
上記前方励起方式のEDFAに関し、図2Aに示す反射器23を入力側に設けた形態と、図2Bに示す反射器24を出力側に設けた形態とを比較してみると、図2AのEDFAの方が偏波ホールバーニングの抑制作用が大きい。
論文2に記載されているように、偏波ホールバーニングは、EDF20中の光パワーが強いほど顕著に発生する性質をもつ。したがって、入力端から出力端までのEDF20中の距離を横軸にして、縦軸を光パワーにしたグラフで見てみると、図8に示すように、信号光パワーはEDF20の出力端に近くなるほど増幅されて強くなるので、偏波ホールバーニングは、出力端付近で顕著に生じると言える。そこで、この信号光パワーが強い出力端付近において偏光度を低下させるのが効果が高い、ということになる。図8Aは図2AのEDF20中のグラフで、図8Aに示す反射光は、信号光と同じく入力端から入力されて出力端へ向かうので、出力端に近づくほど増幅されて強くなっている。一方、図8Bは図2BのEDF20中のグラフで、図8Bに示す反射光の場合は、出力端から入力されて入力端へ向かうので、入力端に近づくほど増幅されて強くなっている。すなわち、両者を比較すると分かるように、信号光パワーが強くなるEDF20の出力端付近で反射光パワーが強い図2AのEDFAの方が、偏波ホールバーニングの抑制作用が高いと言える。
[論文2]
"Polarisation dependent gain in erbium doped fibre amplifiers", E.J. Greer, at al., Electronics Letters 6th March 1994 Vol.30 No.1 P46-47
【0045】
図9に、図2AのEDFAの変形例をさらに示す。
図9のEDFAは、図2Aと同じEDF20、励起光源21、光合波器22及び反射器23を有すると共に、EDF20の出力端と出力ポートOUTとの間の光経路に、反射器23の反射帯域で光の透過を阻止する光フィルタ25が設けられている。光フィルタ25は、図7に示すようにEDF20から順方向へ出力される自然放出光に含まれる反射光成分を抑止する。すなわち、EDF20では、信号光のパワーと共に反射光のパワーも増幅されるが、当該増幅される反射光パワーが、信号光パワーに対して無視できないほどに強くなる場合には、EDFAの出力パワーを検出する、図示しないモニタフォトダイオードの検出精度への影響が懸念される。したがって、光フィルタ25を設けて反射光パワーを抑圧すると、より好ましい。
【0046】
図10は、EDFAの第2実施形態として、後方励起方式のEDFAを示す。図10Aは、図2Aのように反射器23をEDF20の入力側に設けた形態、図10Bは、図2Bのように反射器24をEDF20の出力側に設けた形態である。EDF20及び反射器23,24は図2の第1実施形態と同じであり、第2実施形態のEDFAが第1実施形態と相異するのは、図10A及び図10BのEDFAが共に、励起光源30により発生された励起光を、EDF20の出力端(他端)に提供する光合波器31を備えている点である。
【0047】
図10AのEDFAの場合、後方励起されるEDF20で発生して入力端から入力ポートINへ逆進する自然放出光のうちの上記帯域が反射器23で反射され、上述のように偏光度を低下させる反射光としてEDF20に入力される。また、図10BのEDFAの場合、EDF20の出力端から出力されて光合波器31を透過した出力光のうちの上記帯域が反射器24で反射され、上述のように偏光度を低下させる反射光としてEDF20に入力される。図10AのEDFAの場合、図9の光フィルタ25を設けることも可能である。
【0048】
第2実施形態に係る後方励起方式のEDFAでも、第1実施形態同様の効果を得ることができるが、図10Aに示す反射器23を入力側に設けた形態と、図10Bに示す反射器24を出力側に設けた形態とを比較してみたときには、第2実施形態の場合、図10BのEDFAの方が偏波ホールバーニングの抑制作用が大きいことになる。後方励起方式の場合は、EDF20から入力ポートINへ逆進する自然放出光が弱いためである。
【0049】
すなわち、図11に示すように、入力端から出力端までのEDF20中の距離を横軸にして、縦軸を光パワーにしたグラフで見てみると、信号光パワーは、図8同様にEDF20の出力端に近くなるほど増幅されて強くなる。一方、図10AのEDF20中の信号光及び反射光を示す図11Aにおいて反射光は、反射器23で反射される前の逆進自然放出光が元々弱いので、出力端におけるパワーも弱い。逆に、図10BのEDF20中の信号光及び反射光を示す図11Bにおいて反射光は、図2Bの前方励起方式の場合よりも強くなる。これは、上述した自然放出光の発生過程から分かるように、後方励起方式の場合、励起光が入力されるEDF20の出力端付近で自然放出光の発生が強く、この強い自然放出光が反射器24で反射されるためである。したがって、両者を比較すると分かるように、信号光パワーが強くなるEDF20の出力端付近で反射光パワーが強い図11BのEDFAの方が、偏波ホールバーニングの抑制作用が高いと言える。
【0050】
図12は、EDFAの第3実施形態を示す。第3実施形態に係るEDFAは、前方励起方式で、EDF20、励起光源21及び光合波器22は、図2に示す第1実施形態と同じである。なお、第3実施形態は図2A相当のEDFAの例のみ示すが、上記の各形態のいずれにも適用可能である。
【0051】
図12において反射器40は、第1実施形態と同様に入力ポートINとEDF20の入力端(一端)との間の光経路に設けられ、逆進する自然放出光のうちの上述の帯域を反射する。さらに、第3実施形態の反射器40は、その反射媒体の反射率が可変とされ、当該反射率が、入力光に含まれる信号光の波長数に応じて制御器41により制御される。制御器41は、反射率決定回路を有し、送信局10又は前段の中継局13(図1参照)から送られてくる信号光の波長数情報に基づいて、反射器40の反射率を決定する。反射率と波長数の関係は装置立上げ時などにインプットされ、例えば図12中に示すように、波長数が多くなるに従い反射率を低下させる一次関数の関係に設定される。
【0052】
反射器40の反射率は、偏波ホールバーニングが顕著に発生する少数波長時に大きくし、信号光の波長数が多くなるに従い小さくする。多波長の信号光が入力光に含まれている場合は、EDF20での信号光増幅に大きな励起光パワーが必要となるのに加え、反射光増幅にかかる励起光パワーも加算されるとなると、励起光源21に高出力の光源を要することになり、好ましくない。したがって、偏波ホールバーニングの影響を無視することのできる多波長の信号光が多重されたWDM光の場合は、反射率を低く抑えることにより、所要励起光パワーを軽減する。
【0053】
図13は、EDFAの第4実施形態を示す。第4実施形態に係るEDFAは、前方励起方式で、EDF20、励起光源21及び光合波器22は、図2に示す第1実施形態と同じである。また、第4実施形態は図2A相当のEDFAの例のみ示すが、図2B相当のEDFAでも適用可能である。
【0054】
図13のEDFAは、EDF20に生じる偏波ホールバーニングの帯域であって、入力光に含まれた信号光の波長に近い帯域をもつ補助光を、EDF20の入力端(一端)に提供する補助光発生器を備える。すなわち、補助光発生器は、補助光を発生する補助光源50と、その補助光をEDF20の入力端に提供する光合波器51と、を含んで構成される。補助光源50による補助光は、上述の反射器23による反射光と同じ帯域の光である。補助光源50から発生された補助光は、偏波面が回転しつつ光合波器51を経てEDF20へ至るので、特に発生時に偏光状態を考慮せずとも無偏光状態に近い光となってEDF20に提供される。したがって、上記の各実施形態と同様の効果を得ることができる。補助光源50としては、レーザーダイオード等を使用することができる。
【0055】
補助光発生器は、補助光源50及び光合波器51だけの構成でも良いが、補助光源50の出力パワーを制御する制御器52を備え、入力光に含まれる信号光の波長数に応じて補助光のパワーを制御するものとしておくとなお良い。制御器52は、補助光源パワー決定回路を有し、送信局10又は前段の中継局13(図1参照)から送られてくる信号光の波長数情報に基づいて、補助光源50の出力パワーを決定する。パワーと波長数の関係は装置立上げ時などにインプットされ、例えば図13中に示すように、波長数が多くなるに従いパワーを低下させる一次関数の関係に設定される。当該関係とする理由は、第3実施形態に関して述べた通りである。
【0056】
第4実施形態のEDFAの場合も、図13中に点線で示すように、EDF20の出力端と出力ポートOUTとの間の光経路に、補助光の帯域で光の透過を阻止する光フィルタ25を設けることができる。当該光フィルタ25を設ける理由は上述した通りである。
【0057】
図14は、EDFAの第5実施形態を示す。第5実施形態に係るEDFAは、後方励起方式で、EDF20、励起光源30及び光合波器31は、図10に示す第2実施形態と同じである。また、第5実施形態は図10B相当のEDFAの例のみ示すが、図10A相当のEDFAでも適用可能である。
【0058】
図14のEDFAは、第4実施形態同様の補助光を、EDF20の出力端(他端)に提供する補助光発生器を備える。すなわち、補助光発生器は、補助光を発生する補助光源60と、その補助光をEDF20の出力端に提供する光合波器61と、を含んで構成される。補助光源60による補助光は、上述の反射器24による反射光と同じ帯域の光である。レーザーダイオード等を使用した補助光源60から発生された補助光は、第4実施形態同様に偏波面が回転しつつ光合波器61を経てEDF20へ至るので、無偏光状態に近い光となってEDF20に提供される。したがって、上記の各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
第5実施形態の補助光発生器の場合も、補助光源60及び光合波器61だけの構成でも良いが、補助光源60の出力パワーを制御する制御器62を備え、入力光に含まれる信号光の波長数に応じて補助光のパワーを制御するものとすることができる。制御器62は、補助光源パワー決定回路を有する第4実施形態の制御器52と同様の機能をもつ。
【0060】
上記各実施形態は、前方励起方式と後方励起方式のEDFについて説明したが、双方向励起方式であっても適用可能である。
【0061】
以上の実施形態に関する付記を以下に開示する。
【0062】
(付記1)
入力光が一端から入力される希土類添加光ファイバと、
励起光を発生する1以上の励起光源と、
前記励起光源による励起光を、前記希土類添加光ファイバの一端及び他端の一方又は両方に提供する1つ又は複数の光合波器と、
前記入力光の入力ポートと前記希土類添加光ファイバの一端との間の光経路に設けられ、前記希土類添加光ファイバで発生して前記入力ポートに向かって進行する自然放出光のうちの所定帯域の光成分を、前記希土類添加光ファイバに向け反射する反射器と、
を含んで構成され、
前記反射器により反射される光成分の所定帯域が、前記希土類添加光ファイバで生じる偏波ホールバーニングの帯域であって、前記入力光に含まれた信号光の波長に近い帯域である、
光増幅装置。
【0063】
(付記2)
付記1記載の光増幅装置であって、
前記反射器により反射される光成分の所定帯域で光の透過を阻止する光フィルタが、前記希土類添加光ファイバの他端と該他端から出力される出力光の出力ポートとの間の光経路に設けられる、光増幅装置。
【0064】
(付記3)
入力光が一端から入力される希土類添加光ファイバと、
励起光を発生する1以上の励起光源と、
前記励起光源による励起光を、前記希土類添加光ファイバの一端及び他端の一方又は両方に提供する1つ又は複数の光合波器と、
前記希土類添加光ファイバの他端と該他端から出力される出力光の出力ポートとの間の光経路に設けられ、前記出力光のうちの所定帯域の光成分を、前記希土類添加光ファイバに向け反射する反射器と、
を含んで構成され、
前記反射器により反射される光成分の所定帯域が、前記希土類添加光ファイバで生じる偏波ホールバーニングの帯域であって、前記入力光に含まれた信号光の波長に近い帯域である、
光増幅装置。
【0065】
(付記4)
付記1〜3のいずれかに記載の光増幅装置であって、
前記入力光の帯域がCバンド(1550nm帯)であり、
前記反射器により反射される光成分の所定帯域が、前記信号光の波長よりも短波長側である、光増幅装置。
【0066】
(付記5)
付記1〜3のいずれかに記載の光増幅装置であって、
前記入力光は、帯域がCバンドであって該Cバンドの短波長側に位置する波長の信号光を含み、
前記反射器により反射される光成分の所定帯域が、前記信号光の波長以外で且つ前記信号光の波長±6nmの範囲内にある、光増幅装置。
【0067】
(付記6)
付記1〜5のいずれかに記載の光増幅装置であって、
前記反射器の反射率が可変とされ、
前記入力光に含まれる信号光の波長数に応じて前記反射器の反射率を制御する制御器をさらに含む、光増幅装置。
【0068】
(付記7)
付記6記載の光増幅装置であって、
前記制御器は、前記入力光に含まれる信号光の波長数が多くなるに従い前記反射器の反射率を低下させる、光増幅装置。
【0069】
(付記8)
入力光が一端から入力される希土類添加光ファイバと、
励起光を発生する1以上の励起光源と、
前記励起光源による励起光を、前記希土類添加光ファイバの一端及び他端の一方又は両方に提供する1つ又は複数の光合波器と、
前記希土類添加光ファイバで生じる偏波ホールバーニングの帯域であって、前記入力光に含まれた信号光の波長に近い帯域をもつ補助光を、前記希土類添加光ファイバの一端又は他端に提供する補助光発生器と、
を含んで構成される光増幅装置。
【0070】
(付記9)
付記8記載の光増幅装置であって、
前記補助光発生器による補助光が前記希土類添加光ファイバの一端に提供される場合に、
該補助光の帯域で光の透過を阻止する光フィルタが、前記希土類添加光ファイバの他端と該他端から出力される出力光の出力ポートとの間の光経路に設けられる、光増幅装置。
【0071】
(付記10)
付記8又は付記9記載の光増幅装置であって、
前記入力光の帯域がCバンド(1550nm帯)であり、
前記補助光発生器による補助光の帯域が、前記信号光の波長よりも短波長側である、光増幅装置。
【0072】
(付記11)
付記8又は付記9記載の光増幅装置であって、
前記入力光は、帯域がCバンドであって該Cバンドの短波長側に位置する波長の信号光を含み、
前記補助光発生器による補助光の帯域が、前記信号光の波長以外で且つ前記信号光の波長±6nmの範囲内にある、光増幅装置。
【0073】
(付記12)
付記8〜11のいずれかに記載の光増幅装置であって、
前記補助光発生器は、前記入力光に含まれる信号光の波長数に応じて前記補助光のパワーを制御する、光増幅装置。
【0074】
(付記13)
付記12記載の光増幅装置であって、
前記補助光発生器は、前記入力光に含まれる信号光の波長数が多くなるに従い前記補助光のパワーを低下させる、光増幅装置。
【符号の説明】
【0075】
20 エルビウム添加光ファイバ(EDF)
21 励起光源(前方励起)
22 光合波器(前方励起)
23,24 反射器
25 光フィルタ
30 励起光源(後方励起)
31 光合波器(後方励起)
40 反射器(反射率可変)
41 制御器
50 補助光源(補助光発生器)
51 光合波器(補助光発生器)
52 制御器(補助光発生器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力光が一端から入力される希土類添加光ファイバと、
励起光を発生する1以上の励起光源と、
前記励起光源による励起光を、前記希土類添加光ファイバの一端及び他端の一方又は両方に提供する1つ又は複数の光合波器と、
前記入力光の入力ポートと前記希土類添加光ファイバの一端との間の光経路に設けられ、前記希土類添加光ファイバで発生して前記入力ポートに向かって進行する自然放出光のうちの所定帯域の光成分を、前記希土類添加光ファイバに向け反射する反射器と、
を含んで構成され、
前記反射器により反射される光成分の所定帯域が、前記希土類添加光ファイバで生じる偏波ホールバーニングの帯域であって、前記入力光に含まれた信号光の波長に近い帯域である、
光増幅装置。
【請求項2】
請求項1記載の光増幅装置であって、
前記反射器により反射される光成分の所定帯域で光の透過を阻止する光フィルタが、前記希土類添加光ファイバの他端と該他端から出力される出力光の出力ポートとの間の光経路に設けられる、光増幅装置。
【請求項3】
入力光が一端から入力される希土類添加光ファイバと、
励起光を発生する1以上の励起光源と、
前記励起光源による励起光を、前記希土類添加光ファイバの一端及び他端の一方又は両方に提供する1つ又は複数の光合波器と、
前記希土類添加光ファイバの他端と該他端から出力される出力光の出力ポートとの間の光経路に設けられ、前記出力光のうちの所定帯域の光成分を、前記希土類添加光ファイバに向け反射する反射器と、
を含んで構成され、
前記反射器により反射される光成分の所定帯域が、前記希土類添加光ファイバで生じる偏波ホールバーニングの帯域であって、前記入力光に含まれた信号光の波長に近い帯域である、
光増幅装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の光増幅装置であって、
前記入力光は、帯域がCバンドであって該Cバンドの短波長側に位置する波長の信号光を含み、
前記反射器により反射される光成分の所定帯域が、前記信号光の波長以外で且つ前記信号光の波長±6nmの範囲内にある、光増幅装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の光増幅装置であって、
前記反射器の反射率が可変とされ、
前記入力光に含まれる信号光の波長数に応じて前記反射器の反射率を制御する制御器をさらに含む、光増幅装置。
【請求項6】
入力光が一端から入力される希土類添加光ファイバと、
励起光を発生する1以上の励起光源と、
前記励起光源による励起光を、前記希土類添加光ファイバの一端及び他端の一方又は両方に提供する1つ又は複数の光合波器と、
前記希土類添加光ファイバで生じる偏波ホールバーニングの帯域であって、前記入力光に含まれた信号光の波長に近い帯域をもつ補助光を、前記希土類添加光ファイバの一端又は他端に提供する補助光発生器と、
を含んで構成される光増幅装置。
【請求項7】
請求項6記載の光増幅装置であって、
前記補助光発生器による補助光が前記希土類添加光ファイバの一端に提供される場合に、
該補助光の帯域で光の透過を阻止する光フィルタが、前記希土類添加光ファイバの他端と該他端から出力される出力光の出力ポートとの間の光経路に設けられる、光増幅装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の光増幅装置であって、
前記入力光は、帯域がCバンドであって該Cバンドの短波長側に位置する波長の信号光を含み、
前記補助光発生器による補助光の帯域が、前記信号光の波長以外で且つ前記信号光の波長±6nmの範囲内にある、光増幅装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の光増幅装置であって、
前記補助光発生器は、前記入力光に含まれる信号光の波長数に応じて前記補助光のパワーを制御する、光増幅装置。

【図1】
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【図2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−61009(P2011−61009A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209163(P2009−209163)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】