光変調器および光導波路素子
【課題】P型領域とN型領域との間の電圧印加により位相を変調させる際の応答速度を高めることができる光変調器を提供する。
【解決手段】光導波路素子1が位相変調部に用いられた光変調器。光導波領域4は、光の導波方向に沿って延在する厚板部3と、厚板部3の幅方向一方側および他方側にある薄板部2(2A、2B)とを有する。光導波領域4は、厚板部3にてP型領域5とN型領域6とに分離されている。P型領域5とN型領域6の薄板部2A、2Bには、それぞれ電圧印加用の電極7A、7Bが接続されている。薄板部2A、2Bの厚さは80〜110nmとされる。
【解決手段】光導波路素子1が位相変調部に用いられた光変調器。光導波領域4は、光の導波方向に沿って延在する厚板部3と、厚板部3の幅方向一方側および他方側にある薄板部2(2A、2B)とを有する。光導波領域4は、厚板部3にてP型領域5とN型領域6とに分離されている。P型領域5とN型領域6の薄板部2A、2Bには、それぞれ電圧印加用の電極7A、7Bが接続されている。薄板部2A、2Bの厚さは80〜110nmとされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信に利用される光変調器およびこれに用いられる光導波路素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信で伝送される情報量は増加の一途をたどっている。これに対しては、(I)信号の伝送速度を増す、(II)波長多重通信のチャンネル数を増す、といった対策が進められているが、光部品の数が増すとともに伝送経路も複雑になるため、光通信設備の大型化、複雑化、高額化、消費電力増大という問題が生じる。
光通信設備が使用されるデータセンター等では、高速化や消費電力低減の要請から、近年、シリコン(Si)などの屈折率の高い材料を用いた光導波路素子の使用が検討されている。
媒質中の光の波長はその媒質の屈折率に反比例するため、屈折率が高い材料を使用すると、光導波路のコア幅などの寸法を小さくできる。また、高屈折率材料(シリコン等)に対し屈折率が大きく異なるシリカ等をクラッドとすることで、閉じ込めが強い光導波路が得られ、曲げ半径を小さくすることができ、光導波路素子の小型化が可能となる。
さらに、シリコン等を用いた光導波路素子では、従来のCPU、メモリ等の半導体デバイス製造で使用する半導体プロセスに関する技術・装置と共通の要素が多く、低コスト化を図ることができる。また、従来の半導体デバイスとの同一基板上での集積も可能である。
このように、シリコン等を用いた小型かつ低価格の光導波路素子の実現により、情報通信機器で使用している電気処理の一部を光で置き換え、システム全体の消費電力を削減できる可能性が議論されている。
【0003】
光変調器は、光通信における主要デバイスの一つであり、他のデバイス同様、光集積デバイスの実現に向けた要素の一つとして研究開発が進められている(特許文献1、2、非特許文献1等を参照)。
図12は、光変調器の一例であり、この光変調器30は、マッハツェンダ型の光変調器であり、分配導波路31、31にそれぞれ位相変調部32が設けられている。
図11は、位相変調部32に用いられる光導波路素子21の断面図であり、光導波路素子21は、薄板部22と、薄板部22の一方の面から突出する厚板部23とを備えたリブ型形状の光導波領域24を有する。
光導波領域24は、厚板部23の幅方向中央にてP型領域25とN型領域26とに分離されている。
P型領域25は、第1薄板部22Aと第1厚板部23Aとを有する。N型領域26は、第2薄板部22Bと第2厚板部23Bとを有する。
P型領域25の第1薄板部22Aには第1電極27Aが設けられ、N型領域26の第2薄板部22Bには第2電極27Bが設けられている。
光導波路素子21は、第1電極27Aと第2電極27Bとの間に印加する電圧によって屈折率を調整し、これを利用して位相変調が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第00/58776号
【特許文献2】米国特許第7085443号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Tsung-Yang Liow, Kah-Wee Ang, Qing Fang, Jun-Feng Song, Yong-Zhong Xiong, Ming-Bin Yu, Guo-Qiang Lo,“Silicon Modulators and Germanium Photodetectors on SOI: Monolithic Integration, Compatibility, and Performance Optimization”, IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, Vol.16, No.1, pp.307-315 (2010).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光変調器30では、P型領域25とN型領域26との間の電圧印加により位相を変調させる際の応答速度が十分とはいえず、改善が要望されていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、P型領域とN型領域との間の電圧印加により位相を変調させる際の応答速度を高めることができる光変調器およびこれに用いられる光導波路素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光を導波する光導波領域を有する光導波路素子が位相変調部に用いられた光変調器であって、前記光導波領域が、前記光の導波方向に沿って延在する厚みの厚い厚板部と、前記厚板部の幅方向一方側および他方側にあって前記厚板部より厚みの薄い薄板部とを有し、前記光導波領域が、前記厚板部にて幅方向一方側のP型領域と他方側のN型領域とに分離され、前記一方側および他方側の薄板部には、前記厚板部から離れた位置に、それぞれ電圧印加用の電極が接続され、前記一方側および他方側の薄板部の厚さは、80〜110nmである光変調器を提供する。
前記厚板部は、前記薄板部の一方の面から突出している形状とすることができる。
本発明の光変調器は、前記P型領域が、前記一方側の薄板部と、前記厚板部の部分領域であって前記分離位置よりも一方側の厚板領域とを有し、前記N型領域が、前記他方側の薄板部と、前記厚板部の部分領域であって前記分離位置よりも他方側の厚板領域とを有する構造とすることができる。
前記光導波領域は、シリコンからなることが好ましい。
本発明は、光が入射される入力導波路と、前記入力導波路からの光を複数に分配する分配部と、前記分配部に接続された複数の分配導波路と、前記分配導波路に接続された合波部と、前記合波部からの合波光を出射する出力導波路とを有し、前記位相変調部が、前記分配導波路に設けられている光変調器を提供する。
本発明は、前記光変調器に用いられる光導波路素子を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、位相変調部に用いられる光導波路素子の薄板部の厚みを80〜110nmとすることによって、P型領域とN型領域との間の電圧印加により位相を変調させる際の応答速度を高め、しかも位相変化量の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の光変調器に用いられる光導波路素子の断面を示す図である。
【図2】図1の光導波路素子を用いた光変調器を模式的に示す図である。
【図3】図2の光変調器の等価回路を模式的に示す図である。
【図4】薄板部の厚みと抵抗との関係、および薄板部の厚みと位相変化量との関係を示す図である。
【図5】図1の光導波路素子を用いた光変調器を示す図である。
【図6】図5の光変調器で得られたアイパターンを示す図である。
【図7】図5の光変調器に入力されたRF信号を示す図である。
【図8】マスクテストの結果を示す図である。
【図9】マスクテストの結果を示す図である。
【図10】マスクテストの結果を示す図である。
【図11】従来の光導波路素子の一例の断面を示す図である。
【図12】前図の光導波路素子を用いた光変調器を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図2は、本発明の一実施形態の光変調器であり、この光変調器10はマッハツェンダ型の光変調器である。
光変調器10は、光が入射される入力導波路11と、入力導波路11からの光を2つに分配する分配部12と、分配部12に接続された2つの分配導波路13、13と、分配導波路13、13に設けられた位相変調部14、14(光導波路素子)と、分配導波路14、14に接続された合波部15と、合波部15からの合波光を出射する出力導波路16とを有する。
【0011】
図1は、位相変調部14に使用される光導波路素子1を模式的に示す断面図であり、図2のA1−A1断面図である。以下の説明において、幅方向とは、薄板部2に沿い、かつ光の導波方向に直交する方向であり、図1の左右方向である。
この光導波路素子1は、光が導波する光導波領域4(コア領域)を有する。
光導波領域4は、光の導波方向(例えば図1の紙面に垂直な方向)に沿って延在する厚みの厚い厚板部3と、厚板部3の幅方向の一方側および他方側にあって厚板部3より厚みの薄い薄板部2(2A、2B)とを有する。
光導波領域4は、薄板部2(平板部)と、薄板部2の上面2a(一方の面)から上方に突出する厚板部3(凸状部)とからなるリブ型形状をなす。
【0012】
光導波路素子1は、光導波領域4の一方の面4a側および他方の面4b側に、それぞれ光導波領域4より屈折率が低いクラッド(図示略)が形成された構造が好ましい。
光導波路素子1は、SOI基板を加工して作製することができる。光導波領域4は、前記クラッド(例えばSOI基板のSiO2層)よりも屈折率が高い材料、好ましくはSi(シリコン)からなる。光導波領域4は、SOI基板の最上層のシリコン(Si)層を加工して形成することができる。
【0013】
図示例では、薄板部2は、一定の厚みを有する平板状とされている。厚板部3は、断面略矩形状に形成され、光の導波方向に沿って延在する。
【0014】
光導波領域4は、厚板部3の幅方向中央の分離箇所9(PN接合箇所)にて、一方側(図1の左側)のP型領域5と、他方側(図1の右側)のN型領域6とに電気的に分離されている。P型領域5とN型領域6とは、分離箇所9において対向配置されている。
なお、P型領域5とN型領域6との分離箇所9は、厚板部3の幅方向中央に限らず、厚板部3の幅方向のいずれの位置にあってもよい。
【0015】
P型領域5は、P型の導電性が付与された領域であり、一方側の第1薄板部2Aと、第1薄板部2Aの内方側の縁部から上方に突出して形成された第1厚板部3Aとを有する形状である。
第1薄板部2Aは、薄板部2の部分領域であって、厚板部3よりも一方側(左側)の領域である。第1厚板部3Aは、厚板部3の部分領域であって、分離箇所9よりも一方側(左側)の領域(厚板領域)である。
P型の導電性を与える添加物としてはホウ素(B)等のIII族元素がある。P型領域5は、前記添加物(ホウ素等)を光導波領域4の当該領域にイオン注入することにより得られる。
【0016】
N型領域6は、N型の導電性が付与された領域であり、他方側の第2薄板部2Bと、第2薄板部2Bの内方側の縁部から上方に突出して形成された第2厚板部3Bとを有する形状である。
第2薄板部2Bは、薄板部2の部分領域であって、厚板部3よりも他方側(右側)の領域である。第2厚板部3Bは、厚板部3の部分領域であって、分離箇所9よりも他方側(右側)の領域(厚板領域)である。
N型の導電性を与える添加物としてはリン(P)やヒ素(As)等のV族元素が挙げられる。N型領域6は、前記添加物(リン等)を光導波領域4の当該領域にイオン注入することにより得られる。
【0017】
P型領域5の第1薄板部2Aには、厚板部3から一方側に離れた位置に、電圧印加用の第1電極7Aが設けられている。図示例の第1電極7Aは第1薄板部2Aの上面2aに設けられている。
N型領域6の第2薄板部2Bには、厚板部3から他方側に離れた位置に、電圧印加用の第2電極7Bが設けられている。図示例の第2電極7Bは第2薄板部2Bの上面2aに設けられている。
【0018】
光導波路素子1は、第1電極7Aと第2電極7Bとの間に印加する電圧を調整することによってキャリア密度を変化させることができる。導波路を伝搬する光の実効屈折率は、その導波光の分布する領域の屈折率により決まり、その屈折率はキャリア密度に依存するため、電極7A、7B間に印加する電圧によって実効屈折率を調整することができ、これを利用して位相変調が可能となる。
第1電極7Aと第2電極7Bとの間に印加する電圧は、高速変調に適した逆バイアス電圧であることが好ましい。
【0019】
図1に示すように、厚板部3の幅(W)は、例えば300〜1000nmとすることができる。高さ(tR)は、例えば150〜500nmとすることができる。
厚板部3の幅および高さを前記範囲とすることによって、電圧印加時のキャリア密度変化領域と導波光の分布の重なりを大きくし、効率的な(印加電圧の変化に対する屈折率変化量の大きい)動作を行うことができる。
位相変調器において、印加する逆バイアスの差が大きいほど、出力部におけるその2つの状態間の位相変化量は大きくなり、また、2つの状態の印加電圧を一定であっても、位相変調器の光の導波方向の長さが長いほど、位相変化量が大きくなる。そこで、一定の長さの導波路において、一定の逆バイアスを印加するという条件において、より大きな位相変化量を得られることを、ここでは「効率的」と表現した。
【0020】
薄板部2(2A、2B)の厚み(tS)(詳しくは電極7A、7Bから厚板部3までの領域8A、8Bにおける薄板部2(2A、2B)の厚み)は、80〜110nmとされる。
薄板部2の厚みが前記範囲を下回ると、抵抗が大きくなり、P型領域5とN型領域6との間の電圧印加により位相を変調させる際の応答速度が低下する。薄板部2の厚みが前記範囲を越えると、導波光のパワー密度が低下するため損失が大きくなり、位相変化量が低下する。
薄板部2の厚みを前記範囲とすることによって、P型領域5とN型領域6との間の電圧印加により位相を変調させる際の応答速度を高め、しかも位相変化量の低下を抑えることができる。
【0021】
以下、薄板部2の厚みが応答速度および位相変化量に及ぼす影響について検証を行った結果を説明する。
図1の構造の光導波路素子1について、電極からPN接合までの抵抗R(寄生抵抗)と、PN接合のキャパシタC(接合容量C)とが直列に接続された等価回路を考えると(図3参照)、光変調器の応答時間は2RCで表すことができる。抵抗Rは、薄板部2の厚みに大きく依存する。薄板部の厚みを増すと、導波方向単位長さ当たりの面積が増大し、薄板部における抵抗値は厚みに反比例して低減すると考えられる。
【0022】
図4に薄板部2の厚みと抵抗Rとの関係を示す。図1に示す構造において、厚板部3の幅(W)が600nm、高さ(tR)が220nm、薄板部2の厚み(tS)が95nm、導波方向の長さが4mmである光導波路素子1(以下、実施例1という)では、抵抗Rは5.7Ωとなった。これに対し、薄板部2の厚みが60nmであること以外は実施例1と同様の光導波路素子(以下、比較例1という)における抵抗Rは、8.2Ωであった。実施例1における抵抗Rは、比較例1に比べ、約2/3となっており、薄板部2を厚く形成することで、抵抗Rを低くできることが確認された。
【0023】
実施例1の光導波路素子1では容量Cは1.6pFであるため、応答時間の指標となる2RCは18psとなる。この値は、比較例1の光変調器における2RC(26ps)に比べ、約2/3となる。
このため、実施例1の光導波路素子1では、応答速度を高めることができ、高速動作が期待できる。
【0024】
薄板部2の厚みが増加すると、導波光の密度が低下するため位相変化量が低下することが考えられる。
本発明においては、バイアス電圧印加時のキャリア密度の変化は、主として厚板部に生じる。従って、実効屈折率の変化は、導波光のパワーのうちこのキャリア密度変化領域に位置する割合(パワー割合)に比例すると考えることができる。そこで、導波光の厚板部へのパワー割合をシミュレーションにより求め、実施例1の位相変化量と比較した。図4には、このパワー割合について、実施例1の位相変化量に対する比を、「位相変化量の比」として、前述の抵抗値の結果と共に示す。
実施例1の光導波路素子1(薄板部2の厚み95nm)の位相変化量の低下についてのシミュレーションの結果、比較例1の光変調器(薄板部2の厚み60nm)に比べて、位相変化量の低下は約3%に留まるという結果が得られた。
これらの結果より、薄板部2の厚みを前記範囲とすることによって、応答速度を高め、しかも位相変化量の低下を抑えることができることが確認された。
【0025】
図5に示すように、光導波路素子1を位相変調部14に使用して、図2の光変調器10と同じ構成の光変調器10Aを作製した。
光変調器10Aで得られた強度変調信号のアイパターンを図6に示す。光導波路素子1(位相変調部14)に入力したRF信号を図7に示す。
本試験ではBessel-Thomsonフィルタは使用せず、伝送速度は10Gpsとした。駆動電圧は7Vppとし、DCバイアス電圧は−5Vとした。測定に使用したオシロスコープはAgilent86100C/86107Cである。
【0026】
実施例1の光導波路素子1を用いた場合には、アイパターンの立上がりおよび立下がり時間は44psであり、消光比は13.9dBと高い値になった。
これに対し、比較例1の光導波路素子を用いた場合には、立上がりおよび立下がり時間は69psであり、消光比は7dB未満と低い値になった。
【0027】
光変調器10Aを、各動作速度に応じたBessel-Thomsonフィルタを用いたマスクテストに供した。結果を表1および図8〜図10に示す。図8〜図10は、それぞれ実施例2〜4の結果である。
測定に使用したオシロスコープはAgilent86100B/86105Bであり、使用したマスクは10GBE(実施例2)、STM−64/OC−192(実施例3、4)である。
【0028】
【表1】
【0029】
表1および図8〜図10より、各伝送速度において、10dBを越える高い消光比が得られたことがわかる。
【0030】
図2に示すマッハツェンダ型の光変調器10では、入力導波路11から入射された光が分配部12で2つに分配され、分配導波路13、13の位相変調部14、14で位相変調がなされ、合波部15において2つの位相変調部14からの光の位相差に応じた強度変調や位相変調がなされた合波光が得られ、出力導波路16から出射される。
なお、本発明の光変調器は図示例に限らず、例えば分配導波路13、13の一方にのみ位相変調部14を設けた構造であってもよい。また、分配構造をもたず、1つの導波路に光変調器を設けた構造も可能である。
【符号の説明】
【0031】
1・・・光導波路素子、2・・・薄板部、2A・・・第1薄板部(一方側の薄板部)、2B・・・第2薄板部(他方側の薄板部)、3・・・厚板部、3A・・・第1厚板部(一方側の厚板領域)、3B・・・第2厚板部(他方側の厚板領域)、4・・・光導波領域、5・・・P型領域、6・・・N型領域、7A・・・第1電極(一方側の薄板部の電極)、7B・・・第2電極(他方側の薄板部の電極)、9・・・分離位置、10、10A・・・光変調器、11・・・入力導波路、12・・・分配部、13・・・分配導波路、14・・・位相変調部、15・・・合波部、16・・・出力導波路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信に利用される光変調器およびこれに用いられる光導波路素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信で伝送される情報量は増加の一途をたどっている。これに対しては、(I)信号の伝送速度を増す、(II)波長多重通信のチャンネル数を増す、といった対策が進められているが、光部品の数が増すとともに伝送経路も複雑になるため、光通信設備の大型化、複雑化、高額化、消費電力増大という問題が生じる。
光通信設備が使用されるデータセンター等では、高速化や消費電力低減の要請から、近年、シリコン(Si)などの屈折率の高い材料を用いた光導波路素子の使用が検討されている。
媒質中の光の波長はその媒質の屈折率に反比例するため、屈折率が高い材料を使用すると、光導波路のコア幅などの寸法を小さくできる。また、高屈折率材料(シリコン等)に対し屈折率が大きく異なるシリカ等をクラッドとすることで、閉じ込めが強い光導波路が得られ、曲げ半径を小さくすることができ、光導波路素子の小型化が可能となる。
さらに、シリコン等を用いた光導波路素子では、従来のCPU、メモリ等の半導体デバイス製造で使用する半導体プロセスに関する技術・装置と共通の要素が多く、低コスト化を図ることができる。また、従来の半導体デバイスとの同一基板上での集積も可能である。
このように、シリコン等を用いた小型かつ低価格の光導波路素子の実現により、情報通信機器で使用している電気処理の一部を光で置き換え、システム全体の消費電力を削減できる可能性が議論されている。
【0003】
光変調器は、光通信における主要デバイスの一つであり、他のデバイス同様、光集積デバイスの実現に向けた要素の一つとして研究開発が進められている(特許文献1、2、非特許文献1等を参照)。
図12は、光変調器の一例であり、この光変調器30は、マッハツェンダ型の光変調器であり、分配導波路31、31にそれぞれ位相変調部32が設けられている。
図11は、位相変調部32に用いられる光導波路素子21の断面図であり、光導波路素子21は、薄板部22と、薄板部22の一方の面から突出する厚板部23とを備えたリブ型形状の光導波領域24を有する。
光導波領域24は、厚板部23の幅方向中央にてP型領域25とN型領域26とに分離されている。
P型領域25は、第1薄板部22Aと第1厚板部23Aとを有する。N型領域26は、第2薄板部22Bと第2厚板部23Bとを有する。
P型領域25の第1薄板部22Aには第1電極27Aが設けられ、N型領域26の第2薄板部22Bには第2電極27Bが設けられている。
光導波路素子21は、第1電極27Aと第2電極27Bとの間に印加する電圧によって屈折率を調整し、これを利用して位相変調が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第00/58776号
【特許文献2】米国特許第7085443号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Tsung-Yang Liow, Kah-Wee Ang, Qing Fang, Jun-Feng Song, Yong-Zhong Xiong, Ming-Bin Yu, Guo-Qiang Lo,“Silicon Modulators and Germanium Photodetectors on SOI: Monolithic Integration, Compatibility, and Performance Optimization”, IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, Vol.16, No.1, pp.307-315 (2010).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光変調器30では、P型領域25とN型領域26との間の電圧印加により位相を変調させる際の応答速度が十分とはいえず、改善が要望されていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、P型領域とN型領域との間の電圧印加により位相を変調させる際の応答速度を高めることができる光変調器およびこれに用いられる光導波路素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光を導波する光導波領域を有する光導波路素子が位相変調部に用いられた光変調器であって、前記光導波領域が、前記光の導波方向に沿って延在する厚みの厚い厚板部と、前記厚板部の幅方向一方側および他方側にあって前記厚板部より厚みの薄い薄板部とを有し、前記光導波領域が、前記厚板部にて幅方向一方側のP型領域と他方側のN型領域とに分離され、前記一方側および他方側の薄板部には、前記厚板部から離れた位置に、それぞれ電圧印加用の電極が接続され、前記一方側および他方側の薄板部の厚さは、80〜110nmである光変調器を提供する。
前記厚板部は、前記薄板部の一方の面から突出している形状とすることができる。
本発明の光変調器は、前記P型領域が、前記一方側の薄板部と、前記厚板部の部分領域であって前記分離位置よりも一方側の厚板領域とを有し、前記N型領域が、前記他方側の薄板部と、前記厚板部の部分領域であって前記分離位置よりも他方側の厚板領域とを有する構造とすることができる。
前記光導波領域は、シリコンからなることが好ましい。
本発明は、光が入射される入力導波路と、前記入力導波路からの光を複数に分配する分配部と、前記分配部に接続された複数の分配導波路と、前記分配導波路に接続された合波部と、前記合波部からの合波光を出射する出力導波路とを有し、前記位相変調部が、前記分配導波路に設けられている光変調器を提供する。
本発明は、前記光変調器に用いられる光導波路素子を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、位相変調部に用いられる光導波路素子の薄板部の厚みを80〜110nmとすることによって、P型領域とN型領域との間の電圧印加により位相を変調させる際の応答速度を高め、しかも位相変化量の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の光変調器に用いられる光導波路素子の断面を示す図である。
【図2】図1の光導波路素子を用いた光変調器を模式的に示す図である。
【図3】図2の光変調器の等価回路を模式的に示す図である。
【図4】薄板部の厚みと抵抗との関係、および薄板部の厚みと位相変化量との関係を示す図である。
【図5】図1の光導波路素子を用いた光変調器を示す図である。
【図6】図5の光変調器で得られたアイパターンを示す図である。
【図7】図5の光変調器に入力されたRF信号を示す図である。
【図8】マスクテストの結果を示す図である。
【図9】マスクテストの結果を示す図である。
【図10】マスクテストの結果を示す図である。
【図11】従来の光導波路素子の一例の断面を示す図である。
【図12】前図の光導波路素子を用いた光変調器を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図2は、本発明の一実施形態の光変調器であり、この光変調器10はマッハツェンダ型の光変調器である。
光変調器10は、光が入射される入力導波路11と、入力導波路11からの光を2つに分配する分配部12と、分配部12に接続された2つの分配導波路13、13と、分配導波路13、13に設けられた位相変調部14、14(光導波路素子)と、分配導波路14、14に接続された合波部15と、合波部15からの合波光を出射する出力導波路16とを有する。
【0011】
図1は、位相変調部14に使用される光導波路素子1を模式的に示す断面図であり、図2のA1−A1断面図である。以下の説明において、幅方向とは、薄板部2に沿い、かつ光の導波方向に直交する方向であり、図1の左右方向である。
この光導波路素子1は、光が導波する光導波領域4(コア領域)を有する。
光導波領域4は、光の導波方向(例えば図1の紙面に垂直な方向)に沿って延在する厚みの厚い厚板部3と、厚板部3の幅方向の一方側および他方側にあって厚板部3より厚みの薄い薄板部2(2A、2B)とを有する。
光導波領域4は、薄板部2(平板部)と、薄板部2の上面2a(一方の面)から上方に突出する厚板部3(凸状部)とからなるリブ型形状をなす。
【0012】
光導波路素子1は、光導波領域4の一方の面4a側および他方の面4b側に、それぞれ光導波領域4より屈折率が低いクラッド(図示略)が形成された構造が好ましい。
光導波路素子1は、SOI基板を加工して作製することができる。光導波領域4は、前記クラッド(例えばSOI基板のSiO2層)よりも屈折率が高い材料、好ましくはSi(シリコン)からなる。光導波領域4は、SOI基板の最上層のシリコン(Si)層を加工して形成することができる。
【0013】
図示例では、薄板部2は、一定の厚みを有する平板状とされている。厚板部3は、断面略矩形状に形成され、光の導波方向に沿って延在する。
【0014】
光導波領域4は、厚板部3の幅方向中央の分離箇所9(PN接合箇所)にて、一方側(図1の左側)のP型領域5と、他方側(図1の右側)のN型領域6とに電気的に分離されている。P型領域5とN型領域6とは、分離箇所9において対向配置されている。
なお、P型領域5とN型領域6との分離箇所9は、厚板部3の幅方向中央に限らず、厚板部3の幅方向のいずれの位置にあってもよい。
【0015】
P型領域5は、P型の導電性が付与された領域であり、一方側の第1薄板部2Aと、第1薄板部2Aの内方側の縁部から上方に突出して形成された第1厚板部3Aとを有する形状である。
第1薄板部2Aは、薄板部2の部分領域であって、厚板部3よりも一方側(左側)の領域である。第1厚板部3Aは、厚板部3の部分領域であって、分離箇所9よりも一方側(左側)の領域(厚板領域)である。
P型の導電性を与える添加物としてはホウ素(B)等のIII族元素がある。P型領域5は、前記添加物(ホウ素等)を光導波領域4の当該領域にイオン注入することにより得られる。
【0016】
N型領域6は、N型の導電性が付与された領域であり、他方側の第2薄板部2Bと、第2薄板部2Bの内方側の縁部から上方に突出して形成された第2厚板部3Bとを有する形状である。
第2薄板部2Bは、薄板部2の部分領域であって、厚板部3よりも他方側(右側)の領域である。第2厚板部3Bは、厚板部3の部分領域であって、分離箇所9よりも他方側(右側)の領域(厚板領域)である。
N型の導電性を与える添加物としてはリン(P)やヒ素(As)等のV族元素が挙げられる。N型領域6は、前記添加物(リン等)を光導波領域4の当該領域にイオン注入することにより得られる。
【0017】
P型領域5の第1薄板部2Aには、厚板部3から一方側に離れた位置に、電圧印加用の第1電極7Aが設けられている。図示例の第1電極7Aは第1薄板部2Aの上面2aに設けられている。
N型領域6の第2薄板部2Bには、厚板部3から他方側に離れた位置に、電圧印加用の第2電極7Bが設けられている。図示例の第2電極7Bは第2薄板部2Bの上面2aに設けられている。
【0018】
光導波路素子1は、第1電極7Aと第2電極7Bとの間に印加する電圧を調整することによってキャリア密度を変化させることができる。導波路を伝搬する光の実効屈折率は、その導波光の分布する領域の屈折率により決まり、その屈折率はキャリア密度に依存するため、電極7A、7B間に印加する電圧によって実効屈折率を調整することができ、これを利用して位相変調が可能となる。
第1電極7Aと第2電極7Bとの間に印加する電圧は、高速変調に適した逆バイアス電圧であることが好ましい。
【0019】
図1に示すように、厚板部3の幅(W)は、例えば300〜1000nmとすることができる。高さ(tR)は、例えば150〜500nmとすることができる。
厚板部3の幅および高さを前記範囲とすることによって、電圧印加時のキャリア密度変化領域と導波光の分布の重なりを大きくし、効率的な(印加電圧の変化に対する屈折率変化量の大きい)動作を行うことができる。
位相変調器において、印加する逆バイアスの差が大きいほど、出力部におけるその2つの状態間の位相変化量は大きくなり、また、2つの状態の印加電圧を一定であっても、位相変調器の光の導波方向の長さが長いほど、位相変化量が大きくなる。そこで、一定の長さの導波路において、一定の逆バイアスを印加するという条件において、より大きな位相変化量を得られることを、ここでは「効率的」と表現した。
【0020】
薄板部2(2A、2B)の厚み(tS)(詳しくは電極7A、7Bから厚板部3までの領域8A、8Bにおける薄板部2(2A、2B)の厚み)は、80〜110nmとされる。
薄板部2の厚みが前記範囲を下回ると、抵抗が大きくなり、P型領域5とN型領域6との間の電圧印加により位相を変調させる際の応答速度が低下する。薄板部2の厚みが前記範囲を越えると、導波光のパワー密度が低下するため損失が大きくなり、位相変化量が低下する。
薄板部2の厚みを前記範囲とすることによって、P型領域5とN型領域6との間の電圧印加により位相を変調させる際の応答速度を高め、しかも位相変化量の低下を抑えることができる。
【0021】
以下、薄板部2の厚みが応答速度および位相変化量に及ぼす影響について検証を行った結果を説明する。
図1の構造の光導波路素子1について、電極からPN接合までの抵抗R(寄生抵抗)と、PN接合のキャパシタC(接合容量C)とが直列に接続された等価回路を考えると(図3参照)、光変調器の応答時間は2RCで表すことができる。抵抗Rは、薄板部2の厚みに大きく依存する。薄板部の厚みを増すと、導波方向単位長さ当たりの面積が増大し、薄板部における抵抗値は厚みに反比例して低減すると考えられる。
【0022】
図4に薄板部2の厚みと抵抗Rとの関係を示す。図1に示す構造において、厚板部3の幅(W)が600nm、高さ(tR)が220nm、薄板部2の厚み(tS)が95nm、導波方向の長さが4mmである光導波路素子1(以下、実施例1という)では、抵抗Rは5.7Ωとなった。これに対し、薄板部2の厚みが60nmであること以外は実施例1と同様の光導波路素子(以下、比較例1という)における抵抗Rは、8.2Ωであった。実施例1における抵抗Rは、比較例1に比べ、約2/3となっており、薄板部2を厚く形成することで、抵抗Rを低くできることが確認された。
【0023】
実施例1の光導波路素子1では容量Cは1.6pFであるため、応答時間の指標となる2RCは18psとなる。この値は、比較例1の光変調器における2RC(26ps)に比べ、約2/3となる。
このため、実施例1の光導波路素子1では、応答速度を高めることができ、高速動作が期待できる。
【0024】
薄板部2の厚みが増加すると、導波光の密度が低下するため位相変化量が低下することが考えられる。
本発明においては、バイアス電圧印加時のキャリア密度の変化は、主として厚板部に生じる。従って、実効屈折率の変化は、導波光のパワーのうちこのキャリア密度変化領域に位置する割合(パワー割合)に比例すると考えることができる。そこで、導波光の厚板部へのパワー割合をシミュレーションにより求め、実施例1の位相変化量と比較した。図4には、このパワー割合について、実施例1の位相変化量に対する比を、「位相変化量の比」として、前述の抵抗値の結果と共に示す。
実施例1の光導波路素子1(薄板部2の厚み95nm)の位相変化量の低下についてのシミュレーションの結果、比較例1の光変調器(薄板部2の厚み60nm)に比べて、位相変化量の低下は約3%に留まるという結果が得られた。
これらの結果より、薄板部2の厚みを前記範囲とすることによって、応答速度を高め、しかも位相変化量の低下を抑えることができることが確認された。
【0025】
図5に示すように、光導波路素子1を位相変調部14に使用して、図2の光変調器10と同じ構成の光変調器10Aを作製した。
光変調器10Aで得られた強度変調信号のアイパターンを図6に示す。光導波路素子1(位相変調部14)に入力したRF信号を図7に示す。
本試験ではBessel-Thomsonフィルタは使用せず、伝送速度は10Gpsとした。駆動電圧は7Vppとし、DCバイアス電圧は−5Vとした。測定に使用したオシロスコープはAgilent86100C/86107Cである。
【0026】
実施例1の光導波路素子1を用いた場合には、アイパターンの立上がりおよび立下がり時間は44psであり、消光比は13.9dBと高い値になった。
これに対し、比較例1の光導波路素子を用いた場合には、立上がりおよび立下がり時間は69psであり、消光比は7dB未満と低い値になった。
【0027】
光変調器10Aを、各動作速度に応じたBessel-Thomsonフィルタを用いたマスクテストに供した。結果を表1および図8〜図10に示す。図8〜図10は、それぞれ実施例2〜4の結果である。
測定に使用したオシロスコープはAgilent86100B/86105Bであり、使用したマスクは10GBE(実施例2)、STM−64/OC−192(実施例3、4)である。
【0028】
【表1】
【0029】
表1および図8〜図10より、各伝送速度において、10dBを越える高い消光比が得られたことがわかる。
【0030】
図2に示すマッハツェンダ型の光変調器10では、入力導波路11から入射された光が分配部12で2つに分配され、分配導波路13、13の位相変調部14、14で位相変調がなされ、合波部15において2つの位相変調部14からの光の位相差に応じた強度変調や位相変調がなされた合波光が得られ、出力導波路16から出射される。
なお、本発明の光変調器は図示例に限らず、例えば分配導波路13、13の一方にのみ位相変調部14を設けた構造であってもよい。また、分配構造をもたず、1つの導波路に光変調器を設けた構造も可能である。
【符号の説明】
【0031】
1・・・光導波路素子、2・・・薄板部、2A・・・第1薄板部(一方側の薄板部)、2B・・・第2薄板部(他方側の薄板部)、3・・・厚板部、3A・・・第1厚板部(一方側の厚板領域)、3B・・・第2厚板部(他方側の厚板領域)、4・・・光導波領域、5・・・P型領域、6・・・N型領域、7A・・・第1電極(一方側の薄板部の電極)、7B・・・第2電極(他方側の薄板部の電極)、9・・・分離位置、10、10A・・・光変調器、11・・・入力導波路、12・・・分配部、13・・・分配導波路、14・・・位相変調部、15・・・合波部、16・・・出力導波路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を導波する光導波領域を有する光導波路素子が位相変調部に用いられた光変調器であって、
前記光導波領域が、前記光の導波方向に沿って延在する厚みの厚い厚板部と、前記厚板部の幅方向一方側および他方側にあって前記厚板部より厚みの薄い薄板部とを有し、
前記光導波領域が、前記厚板部にて幅方向一方側のP型領域と他方側のN型領域とに分離され、
前記一方側および他方側の薄板部には、前記厚板部から離れた位置に、それぞれ電圧印加用の電極が接続され、
前記一方側および他方側の薄板部の厚さは、80〜110nmであることを特徴とする光変調器。
【請求項2】
前記厚板部は、前記薄板部の一方の面から突出して形成されていることを特徴とする請求項1記載の光変調器。
【請求項3】
前記P型領域は、前記一方側の薄板部と、前記厚板部の部分領域であって前記分離位置よりも一方側の厚板領域とを有し、
前記N型領域は、前記他方側の薄板部と、前記厚板部の部分領域であって前記分離位置よりも他方側の厚板領域とを有することを特徴とする請求項1または2記載の光変調器。
【請求項4】
前記光導波領域がシリコンからなることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の光変調器。
【請求項5】
光が入射される入力導波路と、前記入力導波路からの光を複数に分配する分配部と、前記分配部に接続された複数の分配導波路と、前記分配導波路に接続された合波部と、前記合波部からの合波光を出射する出力導波路とを有し、
前記位相変調部が、前記分配導波路に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の光変調器。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項記載の光変調器に用いられることを特徴とする光導波路素子。
【請求項1】
光を導波する光導波領域を有する光導波路素子が位相変調部に用いられた光変調器であって、
前記光導波領域が、前記光の導波方向に沿って延在する厚みの厚い厚板部と、前記厚板部の幅方向一方側および他方側にあって前記厚板部より厚みの薄い薄板部とを有し、
前記光導波領域が、前記厚板部にて幅方向一方側のP型領域と他方側のN型領域とに分離され、
前記一方側および他方側の薄板部には、前記厚板部から離れた位置に、それぞれ電圧印加用の電極が接続され、
前記一方側および他方側の薄板部の厚さは、80〜110nmであることを特徴とする光変調器。
【請求項2】
前記厚板部は、前記薄板部の一方の面から突出して形成されていることを特徴とする請求項1記載の光変調器。
【請求項3】
前記P型領域は、前記一方側の薄板部と、前記厚板部の部分領域であって前記分離位置よりも一方側の厚板領域とを有し、
前記N型領域は、前記他方側の薄板部と、前記厚板部の部分領域であって前記分離位置よりも他方側の厚板領域とを有することを特徴とする請求項1または2記載の光変調器。
【請求項4】
前記光導波領域がシリコンからなることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の光変調器。
【請求項5】
光が入射される入力導波路と、前記入力導波路からの光を複数に分配する分配部と、前記分配部に接続された複数の分配導波路と、前記分配導波路に接続された合波部と、前記合波部からの合波光を出射する出力導波路とを有し、
前記位相変調部が、前記分配導波路に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の光変調器。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項記載の光変調器に用いられることを特徴とする光導波路素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図11】
【図12】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図11】
【図12】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−47721(P2013−47721A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185824(P2011−185824)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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