説明

光変調器および光復調器

【課題】電子放射部から放射され真空中を走行する電子ビームと、3層構造の誘電体光導波路から真空中にしみ出した光およびマイクロ波との相互作用を利用して、原理的にTHz領域を含む電磁波領域において光をマイクロ波で変調し得る光変調器を提供する。
【解決手段】電子放射部11から放射される電子ビームの走行方向に形成された誘電体導波路12は、電子ビーム走行路側から順次積層された、第1層12a、第2層12b、第3層12cを含む3層以上の誘電体層および金属層12dから成り、第1層12aの光入力端12eから入力された光の一部および第3層12cのマイクロ波入力端12fから入力されたマイクロ波の一部と電子ビームとが交差することで光およびマイクロ波の電界成分を生じさせ、電子ビームの走行速度と、電子ビーム走行方向における光およびマイクロ波の走行速度とを一致させるように、第1層、第2層、第3層の厚さが設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子工学、量子エレクトロニクス、光エレクトロニクス、光通信工学、光ファイバ通信、レーザ、通信、超高周波光学、THz等の多くの分野に適用可能な、光をマイクロ波で変調する光変調器およびマイクロ波で変調された光からマイクロ波を復調する光復調器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信の送信源としては半導体レーザや光ファイバレーザが用いられており、レーザ光へ信号を載せる手段としては、半導体レーザへの注入電流を電気的に変調する直接変調法や、強誘電体での電気光学効果を用いた外部変調器をレーザに接続する方法などがある。
半導体レーザへの注入電流を電気的に変調する直接変調法は、簡便な方法ではあるが、電子の寿命時間により10GHz程度が変調周波数の上限になっている。また、強誘電体での電気光学効果を用いた外部変調器をレーザに接続する方法は、電極間の静電容量により、数10GHz程度が変調周波数の上限になっている。
【0003】
一方、本願発明者は、真空中を走行する電子ビームと誘電体導波路で遅延させた光との相互作用を用いて光を発生させたり光を増幅したりする技術(例えば特許文献1、非特許文献1および非特許文献2参照)を提案済みである。このような電子ビームと光との相互作用は、誘電体導波路の層の厚さなどを適切に設定することにより、マイクロ波からX線領域までの超広帯域で実現可能になるとともに、電子ビームを介在して異なる周波数の電磁波間での相互作用が可能になる。つまり、従来実現されている帯域よりも超広帯域での電磁波による光変調が可能になる。
【0004】
また、真空中を走行する電子ビームと誘電体導波路で遅延させたマイクロ波との相互作用を用いてマイクロ波を発生させたりマイクロ波を増幅したりする技術(例えば非特許文献3参照)が発表されている。非特許文献3は、100GHz以上のマイクロ波(ミリ波)を発生させて増幅させた実験であり、上記技術がTHz領域まで適用可能であることを示唆しているが、現時点では「THz領域まで測定可能な測定器」が実現されていないため、上記技術が実際にTHz領域まで適用可能であるか否かは立証されていない。
【0005】
【特許文献1】特許第2972879号公報
【非特許文献1】金井猛志,岡本龍一,ヒシャム ファリス,桑村有司,山田実,「進行する電子による導波路からの光放射」,電子情報通信学会技術報告,LQE2008-1,pp.1-6(2008)
【非特許文献2】H.Fares, M.Yamada, Y.Kuwamura, M.Asada, "Two Models for Electro-Magnetic Wave Amplifier by Utilizing Traveling Electron Beam",電子情報通信学会技術報告,LQE2008-2,pp.7-12(2008)
【非特許文献3】I.J. Owens and J.H. Brownell, "Compact superradiant Cerenkov Source", JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 97, 104915(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、「真空中を走行する電子ビームと誘電体導波路で遅延させた光との相互作用を用いて光を発生させたり光を増幅したりする技術」や、「真空中を走行する電子ビームと誘電体導波路で遅延させたマイクロ波との相互作用を用いてマイクロ波を発生させたりマイクロ波を増幅したりする技術」は既に公知になっているが、「真空中を走行する電子ビームと、誘電体導波路で遅延させた光および誘電体導波路で遅延させたマイクロ波との相互作用を用いて光を変調したり光を復調したりする技術」は、発表されていない。そこで、本願発明者は、「真空中を走行する電子ビームと、誘電体導波路で遅延させた光および誘電体導波路で遅延させたマイクロ波との相互作用を用いて、光を変調したり光を復調したりすることができる装置」を創案し、後述するような理論的解析を行った。
【0007】
本発明は、電子放射部から放射され真空中を走行する電子ビームと、3層構造の誘電体光導波路から真空中にしみ出した光およびマイクロ波との相互作用を利用して、原理的にTHz領域を含む電磁波領域において光をマイクロ波で変調し得る光変調器を提供することを第1の目的とする。
本発明は、電子放射部から放射され真空中を走行する電子ビームと、3層構造の誘電体光導波路から真空中にしみ出したマイクロ波で変調された光との相互作用を利用して、原理的にTHz領域を含む電磁波領域において光からマイクロ波を復調し得る光復調器を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第1の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る光変調器は、電子ビームを放射する電子放射部と、該電子放射部から放射される電子ビームから受けたエネルギーを利用して入力された電磁波を変調するように電子ビーム走行方向に形成された誘電体導波路とを真空中に配置して成る光変調器であって、前記誘電体導波路は、電子ビーム走行路側から順次積層された、第1層、第2層、第3層を含む3層以上の誘電体層および金属層から成り、該誘電体導波路は、前記第1層の光入力端から入力された光の一部および前記第3層のマイクロ波入力端から入力されたマイクロ波の一部と前記電子放射部から放射される電子ビームとが交差することにより前記光の電界成分および前記マイクロ波の電界成分を生じさせるとともに、電子ビームの走行速度と、電子ビーム走行方向における前記光の走行速度と、電子ビーム走行方向における前記マイクロ波の走行速度とを一致させるように、前記第1層、前記第2層および前記第3層の厚さを設定したことを特徴とする。
【0009】
上記本発明の請求項1に係る光変調器の好適例としては、前記第1層は高屈折率の透明性材料から成り、前記第2層は低屈折率の透明性材料から成り、前記第3層は高屈折率の透明性材料から成ること、がある。
【0010】
上記本発明の請求項1に係る光変調器の好適例としては、前記第1層の光入力端および光出力端にそれぞれ曲線部を介して直交方向から接続される光入力導波路および光出力導波路と、前記第3層のマイクロ波入力端に所定方向から接続されるマイクロ波出力導波路とを備えること、がある。
【0011】
上記第2の目的を達成するため、本発明の請求項4に係る光復調器は、電子ビームを放射する電子放射部と、該電子放射部から放射される電子ビームから受けたエネルギーを利用して入力された電磁波を復調するように電子ビーム走行方向に形成された誘電体導波路とを真空中に配置して成る光復調器であって、前記誘電体導波路は、電子ビーム走行路側から順次積層された、第1層、第2層、第3層を含む3層以上の誘電体層および金属層から成り、該誘電体導波路は、前記第1層の光入力端から入力された、マイクロ波で変調された光の一部と前記電子放射部から放射される電子ビームとが交差することにより前記光の電界成分および前記マイクロ波の電界成分を生じさせるとともに、電子ビームの走行速度と、電子ビーム走行方向における前記光の走行速度と、電子ビーム走行方向における前記マイクロ波の走行速度とを一致させるように、前記第1層、前記第2層および前記第3層の厚さを設定したことを特徴とする。
【0012】
上記本発明の請求項4に係る光復調器の好適例としては、前記第1層は高屈折率の透明性材料から成り、前記第2層は低屈折率の透明性材料から成り、前記第3層は高屈折率の透明性材料から成ること、がある。
【0013】
上記本発明の請求項4に係る光復調器の好適例としては、前記第1層の光入力端に曲線部を介して直交方向から接続される光入力導波路および前記第3層のマイクロ波出力端に所定方向から接続されるマイクロ波出力導波路を備えること、がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に係る光変調器によれば、電子放射部から放射される電子ビームから受けたエネルギーを利用して入力された電磁波を変調するように電子ビーム走行方向に形成された誘電体導波路は、電子ビーム走行路側から順次積層された、第1層、第2層、第3層を含む3層以上の誘電体層および金属層から成り、該誘電体導波路は、前記第1層の光入力端から入力された光の一部および前記第3層のマイクロ波入力端から入力されたマイクロ波の一部と前記電子放射部から放射される電子ビームとが交差することにより前記光の電界成分および前記マイクロ波の電界成分を生じさせるとともに、電子ビームの走行速度と、電子ビーム走行方向における前記光の走行速度と、電子ビーム走行方向における前記マイクロ波の走行速度とを一致させるように、前記第1層、前記第2層および前記第3層の厚さを設定したから、後述する理論的解析および後述する実施例により立証されるように、原理的にTHz領域を含む電磁波領域において光をマイクロ波で変調し得る光変調器を提供することができる。
【0015】
本発明の請求項4に係る光復調器によれば、電子放射部から放射される電子ビームから受けたエネルギーを利用して入力された電磁波を復調するように電子ビーム走行方向に形成された誘電体導波路は、電子ビーム走行路側から順次積層された、第1層、第2層、第3層を含む3層以上の誘電体層および金属層から成り、該誘電体導波路は、前記第1層の光入力端から入力された、マイクロ波で変調された光の一部と前記電子放射部から放射される電子ビームとが交差することにより前記光の電界成分および前記マイクロ波の電界成分を生じさせるとともに、電子ビームの走行速度と、電子ビーム走行方向における前記光の走行速度と、電子ビーム走行方向における前記マイクロ波の走行速度とを一致させるように、前記第1層、前記第2層および前記第3層の厚さを設定したから、後述する理論的解析および後述する実施例により立証されるように、原理的にTHz領域を含む電磁波領域において光からマイクロ波を復調し得る光復調器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
[動作原理]
進行する電子ビームと高屈折率の誘電体導波路とを用いることにより、原理的にはマイクロ波〜X線領域にわたる超広帯域での電磁波発生や電磁波増幅が可能である(例えば非特許文献1〜非特許文献3を参照のこと)。
ここで、電磁波発生や電磁波増幅が生じる条件としては、
1)電子ビームの速度と電磁波の位相速度とが一致すること
2)電子ビームの進行方向に電磁波の電界成分が存在すること
が挙げられる。
誘電体導波路を伝搬する電磁波は、導波路中での分布形状に応じて伝搬速度が異なるものになる。したがって、発生および増幅される電磁波の周波数は、誘電体導波路の層厚などの構造と、電子ビームの加速電圧とにより決定される。
本願発明者は、上記1),2)の条件を満たす超広帯域での電磁波発生や電磁波増幅に関する技術について、現時点で既に10件の特許(特許文献1他)を取得しており、光の発生および増幅作用については当該作用を立証する実験結果(例えば非特許文献1を参照のこと)も得ている。また、本願発明者以外の研究グループにおいても、本願発明者と類似の実験的設定で、マイクロ波〜THz帯での電磁波発生を示す実験結果が得られている(例えば非特許文献3を参照のこと)。
【0018】
本発明は、1つの誘電体導波路において光およびマイクロ波がほぼ同一速度で伝搬する構造体である3層構造の誘電体導波路を作製して、電子ビームを光およびマイクロ波と相互作用させるように構成したものである。その結果、電子ビームを介在して光およびマイクロ波が結合することになり、マイクロ波により光強度を変調することができ、マイクロ波により光を変調し得る光変調器となる。
また、上記3層構造の誘電体導波路にマイクロ波で変調された光を入力させると、キャリヤの光とマイクロ波とを分離して発生することができ、マイクロ波で変調された光からマイクロ波を復調し得る光復調器となる。
さらに、上記3層構造の誘電体導波路に光およびマイクロ波を入力して光を変調した場合、マイクロ波の周波数だけずれた光が発生する。つまり、本発明は、光周波数の変換器にもなり得る。
以下においては、電子ビームにより光およびマイクロ波が相互作用する理論的原理について説明する。
【0019】
[本発明の光変調器の構成]
図1は本発明の本発明の光変調器の代表的な構成例を示す原理図である。本発明の光変調器10は、電子ビームを放射する電子放射部11と、電子放射部11から放射される電子ビームから受けたエネルギーを利用して入力された電磁波を変調するように電子ビーム走行方向に形成された誘電体導波路12とを真空中(例えば図示しない真空容器内)に配置したものであり、例えば電子管型装置として構成されている。なお、電子放射部11および誘電体導波路12の周囲を真空にする理由は、電子放射部11から放射される電子が誘電体導波路12の表面を通過する際に不要な物質に衝突して散乱することによりエネルギー損失が生じるのを防止するためである。
【0020】
電子放射部11は、加速電源11aおよび電子銃11bより成る。
加速電源11aとしては、例えば35〜50(KV)を供給可能な電源を用いる。
電子銃11bとしては、例えば、最大電流値=50(μA)、電圧=35〜50(KV)、ビーム幅=200μm(固定)のものを用いる。なお、電子銃11bから出射した電子ビームが誘電体導波路12の表面に沿って伝搬するように電子放射部11および誘電体導波路12の位置を合わせて配置するものとする。
【0021】
誘電体導波路12は、電子ビーム走行路側から順次積層された第1層12a、第2層12b、第3層12cおよび金属層12dから成る。誘電体導波路12は、第1層12aの光入力端12eから入力された光の一部および第3層12cのマイクロ波入力端12fから入力されたマイクロ波の一部と電子放射部11から放射される電子ビームとが交差することにより前記光の電界成分および前記マイクロ波の電界成分を生じさせるとともに、電子ビームの走行速度と、電子ビーム走行方向(図示z軸方向)における前記光の走行速度と、電子ビーム走行方向における前記マイクロ波の走行速度とを一致させるように、第1層12a、第2層12bおよび第3層12cの厚さを設定する。
誘電体導波路12において、第1層12aは高屈折率の透明性材料から成り、第2層12bは低屈折率の透明性材料から成り、第3層12cは高屈折率の透明性材料から成る。具体例としては、集積回路用のSOI基板(Silicon on Insulator,Si−SiO −Si)を用い、第1層12aを、材料Si、厚さd =0.32μm、屈折率n =3.49とし、第2層12bを、材料SiO 、厚さd =1.0μm、屈折率n =1.444とし、第3層12cを、材料Si、厚さd =1.0mm、屈折率n =3.49とした誘電体導波路12を用いることができる。低屈折率の第2層12bは、光分布に対しては充分に厚く、かつ、マイクロ波に対しては充分に薄い層厚に設定する。第3層12cの厚さは、本発明の光変調器が対象とするマイクロ波の波長に応じて設定する。なお、各層の横幅方向(x)については、光およびマイクロ波に対し、不要な横高次モードが励振されないような適切な横幅に設定するものとする。
【0022】
なお、図1においては、電子ビーム走行路側から順次積層された、第1層12a、第2層12b、第3層12cおよび金属層12dから成る誘電体導波路12を用いているが、これに限定されるものではなく、電子ビーム走行路側から順次積層された、第1層、第2層、第3層を含む3層以上の誘電体層および金属層から成る誘電体導波路を用いて本発明の光変調器(および後述する本発明の光復調器)を構成することもできる。その場合、第1層および第3層の少なくとも一方を、互いに屈折率の異なる複数層の高屈折率の透明性材料により構成したり、第2層を互いに屈折率の異なる複数層の低屈折率の透明性材料により構成したりすればよい。
【0023】
誘電体導波路12には、図2(a)の側断面図、図2(b)の平面図および図2(c)の横断面図に例示するように、第1層12aの光入力端12eおよび光出力端12gにそれぞれ曲線部13a、曲線部14aを介して直交方向から接続される光入力導波路13および光出力導波路14と、第3層12cのマイクロ波入力端12fに所定方向から接続されるマイクロ波入力導波路15とが設けられている。これら光入力導波路13、光出力導波路14およびマイクロ波入力導波路15により、光入力、光出力およびマイクロ波入力が容易になる。
【0024】
[光変調器の理論的解析]
図1に示すように光を第1層12aに入力すると、その光は第1層をコア層として伝搬する。このとき、第1層12aは光の波長程度の寸法で構成されているので、光の電界は電子ビーム走行方向(進行方向、図示z軸方向)成分を有している。また、この光は、真空側および第2層12b側へ、エバネッセント波と呼ばれる形状で染み出す。真空側に染み出した部分では、光は電界のz方向成分が電子ビームと相互作用する。第2層において、光の分布は充分に小さくなっていくため、光は第3層12cには到達しない。
一方、マイクロ波は第3層12cを中心に入射される。マイクロ波の波長に対しては、第1層の層厚および第2層の層厚は無視してよい程度に極めて薄いため、第3層に第1層および第2層を含めた全体をコア層と見なせる。第3層12cの底部に設けた金属層(金属板)12dは、動作原理には直接関係しないが、マイクロ波の分布をこの金属層で止めて金属層に向かうマイクロ波を誘電体導波路側へ反射させる機能と、電子ビームが誘電体導波路に残す過剰電子を逃がす機能とを得るために設けたものである。
【0025】
Maxwellの方程式から、光の進行方向(z軸方向)での電界成分Eに対する波動方程式が次式のように導出される。
【数1】

ここで、Jは電子ビームの電流密度であり、光およびマイクロ波により変調された振動成分を含んでいる。添字iは誘電体導波路の層番号である。
【0026】
誘電体導波路中の電界Eを次式のように仮定する。
【数2】

【0027】
電子ビームの電流密度Jは、電子密度をNとし、電子の速度をvとし、電子の運動量をpとし、電荷を−eとし、質量をm とすると、次式により表わされる。
【数3】

【0028】
電子密度J、速度v、運動量pなどが電磁波(光およびマイクロ波)によって変調されることにより、電子と電磁波との相互作用が生じる。このとき、当該電磁波の波長により相互作用の詳細なメカニズムが異なる。
電子は、量子力学的には「波動」として記述され、古典力学では電子は空間的に局在化した「点電荷」として記述される。このような記述の違いは、1つの電子が波動として広がっている長さに基づいて判断されるべきである。非特許文献1に記載された実験においては、波動としての電子の広がりの長さは、電子ビーム中において電子同士が離れている距離に一致することが示されており、非特許文献1に記載された実験例においてはその長さが数10μmであった。つまり、電子波動の長さは、光の波長よりは長く、かつ、マイクロ波の波長よりは短い。
【0029】
したがって、電子ビームと光との相互作用は電子を波動として量子力学的に解析する必要があるが、電子ビームとマイクロ波との相互作用は電子を点電荷とみなした古典論を用いればよい(非特許文献2を参照のこと)。非特許文献2には、電子を点電荷と見なした古典論的な運動方程式も、量子力学の基本方程式から導出できることが示されている。
つまり,式(3)における電流密度Jは、電子波動の長さより波長が短い光と、電子波動の長さより波長が長いマイクロ波とが共存する状態で、量子力学的な運動方程式および古典論的な運動方程式の両側面から算出されることになる。
【0030】
その結果、マイクロ波で変調された電子ビームの電流密度Jを、
【数4】

と置くと、光成分の振幅の変化は、
【数5】

【0031】
式(5)〜(7)において、マイクロ波による電流変調成分ΔJにより、光が変調されることがわかる。このとき、マイクロ波による電流変調率は、
【数6】

【0032】
式(8)で理解できるように、電子ビームの速度とマイクロ波の速度が一致したときに、最大の変調が得られる。
【0033】
次に、本発明の光変調器の作用を説明する。
図1において、電子放射部11の加速電源11aから電子銃11bに加速電圧を印加することにより、誘電体導波路12の表面に沿って電子ビームを走行させ、誘電体導波路12の光入力端12eから光を第1層12aに入力するとともに、マイクロ波入力端12fからマイクロ波を第3層12cに入力する。このとき、誘電体光導波路12の第1層12aに導かれた光は、第1層を構成する誘電体(Si)の屈折率n =3.49に依存してz方向への走行速度を遅延されて、電子ビームからエネルギーを受けられる程度の速度となり、誘電体光導波路12の第3層12cに導かれたマイクロ波は、第3層を構成する誘電体(Si)の屈折率n =3.49に依存してz方向への走行速度を遅延されて、電子ビームからエネルギーを受けられる程度の速度となる。また、誘電体光導波路の第1層に導かれた光および第3層に導かれたマイクロ波は、誘電体導波路12の中心に集まるように分布して導波されるが、第1層や第3層中に完全に閉じこめられることはなく、第1層中を伝搬する光の一部は図示のように真空側(誘電体導波路12の電子ビーム走行路側)および第2層側にしみ出し、第3層中を伝搬するマイクロ波の一部は図示のように真空側(誘電体導波路12の電子ビーム走行路側)にしみ出す。
【0034】
真空側にしみ出した光およびマイクロ波はそれぞれ電子ビームと交差し、図1中の模式図に示すような電子ビームの進行方向(z方向)の電磁波の電界成分(光の電界成分およびマイクロ波の電界成分)が生じる。このとき、上述した第1層12a、第2層12bおよび第3層12cの層厚の設定により、電子ビームの速度と電磁波の位相速度(すなわち、z方向における光の走行速度およびz方向におけるマイクロ波の走行速度)が一致するため、光の電界成分およびマイクロ波の電界成分が電子ビームからエネルギーを受けて、電子ビームと光の電界成分とが相互作用するとともに、電子ビームとマイクロ波の電界成分とが相互作用し、光変調が行われることになり、誘電体導波路12の光出力端12gからマイクロ波で変調された光が出力される。
【0035】
本発明の光変調器によれば、電子放射部11から放射され真空中を走行する電子ビームと、3層構造の誘電体光導波路12から真空中にしみ出した光およびマイクロ波との相互作用を利用して、光を数10GHz以上のマイクロ波(ミリ波)で変調し得る光変調器を提供することができ、より大容量で広帯域の光通信が可能になるとともに、光とマイクロ波とを融合させた新しい技術として、分光や計測技術などにも応用できるようになる。さらに、本発明で用いた動作原理は、マイクロ波からx線領域までの超広帯域で利用できるため、原理的には、マイクロ波および光との間にあり、これまで電子工学的に未発達であるTHz領域においても新技術を開発できる可能性がある。
【0036】
[本発明の光変調器の動作例1]
図3は本発明の光変調器において誘電体導波路にマイクロ波のみを入力させたときの変調作用を説明するための図である。図3に示すように、電子放射部11の加速電源11aから電子銃11bに加速電圧を印加することにより、誘電体導波路12の表面に沿って電子ビームを走行させ、それにより誘電体導波路12の第1層12a内に光を発生させるとともに、マイクロ波入力端12fからマイクロ波を第3層12cに入力する。このとき、誘電体光導波路12の第1層12a内に発生させた光は、第1層を構成する誘電体(Si)の屈折率n =3.49に依存してz方向への走行速度を遅延されて、電子ビームからエネルギーを受けられる程度の速度となり、誘電体光導波路12の第3層12cに導かれたマイクロ波は、第3層を構成する誘電体(Si)の屈折率n =3.49に依存してz方向への走行速度を遅延されて、電子ビームからエネルギーを受けられる程度の速度となる。また、誘電体光導波路の第1層に発生させた光および第3層に導かれたマイクロ波は、誘電体導波路12の中心に集まるように分布して導波されるが、第1層や第3層中に完全に閉じこめられることはなく、第1層中を伝搬する光の一部は図示のように真空側(誘電体導波路12の電子ビーム走行路側)および第2層側にしみ出し、第3層中を伝搬するマイクロ波の一部は図示のように真空側(誘電体導波路12の電子ビーム走行路側)にしみ出す。
【0037】
真空側にしみ出した光およびマイクロ波はそれぞれ電子ビームと交差し、図3中の模式図に示すような電子ビームの進行方向(z方向)の電磁波の電界成分(光の電界成分およびマイクロ波の電界成分)が生じる。このとき、上述した第1層12a、第2層12bおよび第3層12cの層厚の設定により、電子ビームの速度と電磁波の位相速度(すなわち、z方向における光の走行速度およびz方向におけるマイクロ波の走行速度)が一致するため、光の電界成分およびマイクロ波の電界成分が電子ビームからエネルギーを受けて、電子ビームと光の電界成分とが相互作用するとともに、電子ビームとマイクロ波の電界成分とが相互作用し、光変調が行われることになり、誘電体導波路12の光出力端12gからマイクロ波で変調された光が出力される。
【0038】
[本発明の光変調器の動作例2]
図4は本発明の光変調器において誘電体導波路の表面に沿って電子ビームを走行させることにより誘電体導波路内に光およびマイクロ波を発生させたときの変調作用を説明するための図である。図4に示すように、電子放射部11の加速電源11aから電子銃11bに加速電圧を印加することにより、誘電体導波路12の表面に沿って電子ビームを走行させ、それにより誘電体導波路12の第1層12a内に光を発生させるとともに、誘電体導波路12の第3層12c内にマイクロ波を発生させる。このとき、誘電体光導波路12の第1層12a内に発生させた光は、第1層を構成する誘電体(Si)の屈折率n =3.49に依存してz方向への走行速度を遅延されて、電子ビームからエネルギーを受けられる程度の速度となり、誘電体光導波路12の第3層12c内に発生させたマイクロ波は、第3層を構成する誘電体(Si)の屈折率n =3.49に依存してz方向への走行速度を遅延されて、電子ビームからエネルギーを受けられる程度の速度となる。また、誘電体光導波路の第1層に発生させた光および第3層に発生させたマイクロ波は、誘電体導波路12の中心に集まるように分布して導波されるが、第1層や第3層中に完全に閉じこめられることはなく、第1層中を伝搬する光の一部は図示のように真空側(誘電体導波路12の電子ビーム走行路側)および第2層側にしみ出し、第3層中を伝搬するマイクロ波の一部は図示のように真空側(誘電体導波路12の電子ビーム走行路側)にしみ出す。
【0039】
真空側にしみ出した光およびマイクロ波はそれぞれ電子ビームと交差し、図4中の模式図に示すような電子ビームの進行方向(z方向)の電磁波の電界成分(光の電界成分およびマイクロ波の電界成分)が生じる。このとき、上述した第1層12a、第2層12bおよび第3層12cの層厚の設定により、電子ビームの速度と電磁波の位相速度(すなわち、z方向における光の走行速度およびz方向におけるマイクロ波の走行速度)が一致するため、光の電界成分およびマイクロ波の電界成分が電子ビームからエネルギーを受けて、電子ビームと光の電界成分とが相互作用するとともに、電子ビームとマイクロ波の電界成分とが相互作用し、光変調が行われることになり、誘電体導波路12の第1層12aの光出力端12gからマイクロ波で変調された光が出力され、誘電体導波路12の第3層12cのマイクロ波出力端12gからマイクロ波が出力される。
【0040】
[本発明の光変調器(光復調器)の応用例の構成]
図5は本発明の光変調器(光復調器)の応用例の構成を示す図である。この図5の光変調器(光復調器)20は、図1に示す本発明の光変調器(後述する図6に示す光復調器)に対し、誘電体導波路12の入力端および出力端にそれぞれ入力側反射膜16および出力側反射膜17を追加する変更を加えたものであり、それ以外の部分は図1(後述する図6)と同様に構成する。
【0041】
マイクロ波による光変調およびマイクロ波で変調された光からのマイクロ波の復調(検出)は、誘電体導波路内での光やマイクロ波の強度を強めるほど、効率を高めることができる。そこで、図5に示す光変調器(光復調器)では、誘電体導波路12の入力端および出力端にそれぞれ入力側反射膜16および出力側反射膜17を設け、誘電体導波路12内での光およびマイクロ波の強度を高めるようにしている。
入力側反射膜16および出力側反射膜17は、誘電体多層膜などで作製することができ、一般的には光およびマイクロ波に対しては異なる反射率となる。さらに、光およびマイクロ波のそれぞれの入力および出力の有無により、入力側反射膜16および出力側反射膜17の光およびマイクロ波に対する最適な反射率は異なるものとなる。本発明では、光およびマイクロ波のそれぞれの入力および出力の有無の状況に応じて、最適な反射率となる反射膜を用いるものとする。なお、反射膜の設計および作製は、これまで半導体レーザや種々の光学部品で用いられている技術を適用すればよい。
【0042】
[本発明の光復調器の構成]
図6は本発明の光復調器の代表的な構成例を示す原理図である。本発明の光復調器30は、図1に示す本発明の光変調器10に対し、誘電体導波路12の第1層12aの光出力端12gに設けていた光出力導波路14および誘電体導波路12の第3層12cのマイクロ波入力端12fに設けていたマイクロ波入力導波路15を省略するとともに誘電体導波路12の第3層12cのマイクロ波出力端12hにマイクロ波出力導波路(図示せず)を設ける変更を加えたものであり、それ以外の部分は図1に示す光変調器10と同様に構成する。
【0043】
[光復調器の理論的解析]
図6に示すように、本発明の光復調器20の誘電体導波路12の第1層12aの光入力端12aに、光入力導波路13を介してマイクロ波で変調された光を入力すると、この光はマイクロ波で変調されているので、誘電体導波路内での光電界は、
【数7】

と表現される。式(9)中のc.c.は複素共役項を意味する。
電子に対する量子力学的な運動方程式では、電磁波の変化が電界の2乗に比例する。そこで、式(9)の2乗を求めると、
【数8】

の項が生じる。つまり、電子ビームの密度がマイクロ波で変調される。したがって、マイクロ波が誘電体導波路12内に発生して、第3層12cのマイクロ波出力端12hより出射され、マイクロ波で変調された光からマイクロ波を取り出す光復調器となる。
【0044】
本発明の光復調器によれば、電子放射部11から放射され真空中を走行する電子ビームと、3層構造の誘電体光導波路12から真空中にしみ出した光およびマイクロ波との相互作用を利用して、数10GHz以上のマイクロ波(ミリ波)で変調した光から当該マイクロ波を取り出し得る光復調器を提供することができ、より大容量で広帯域の光通信が可能になるとともに、光とマイクロ波とを融合させた新しい技術として、分光や計測技術などにも応用できるようになる。さらに、本発明で用いた動作原理は、マイクロ波からx線領域までの超広帯域で利用できるため、原理的には、マイクロ波および光との間にあり、これまで電子工学的に未発達であるTHz領域においても新技術を開発できる可能性がある。
【実施例】
【0045】
図1に示すように電子放射部(電子銃)11および誘電体導波路12により実施例1の光変調器(光復調器)を構成し、誘電体導波路12に集積回路用のSOI基板(Silicon on Insulator,Si−SiO −Si)を用い、誘電体導波路12の幅Wを1.0mmとし、第1層12aを、材料Si、厚さ0.32μm、屈折率n =3.49とし、第2層12bを、材料SiO 、厚さ1.0μm、屈折率n =1.444とし、第3層12cを、材料Si、厚さ1.0mm、屈折率n =3.49とした。
【0046】
上記構成においては、電子加速電圧に対し相互作用できる光の波長およびマイクロ波の周波数は図7に示すようになる。例えば、電子を35KVの加速電圧で加速すると、波長1.35μmの光が周波数62GHzのマイクロ波で変調される。
【数9】

【0047】
図8は実施例1とほぼ同一のSOI基板を用いて構成した光変調器において、図4のように入射光および入射マイクロ波が無い場合の光放射の観測例を示す図である。この観測例は、上述した非特許文献1にも記載されている。この観測に用いた誘電体導波路12は、第1層12aを、材料Si、厚さd =0.32μm、屈折率n =3.49とし、第2層12bを、材料SiO 、厚さd =1.0μm、屈折率n =1.444とし、第3層12cを、材料Si、屈折率n =3.49としたことは実施例1と同一であるが、第3層12cの厚さd を、d =200μmと実施例1よりも薄くしたため、マイクロ波(ミリ波)の誘電体導波路としては不十分な厚さとなり、マイクロ波の発生は観測できなかった。しかし、放射された光については光波長および電子加速電圧の関係が各ピーク波長において図7の理論計算と一致するため、図7の理論計算の妥当性を立証するデータとなる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の光変調器の代表的な構成例を示す原理図である。
【図2】(a)〜(c)はそれぞれ、本発明の光変調器の誘電体導波路を示す側断面図、平面図および横断面図である。
【図3】本発明の光変調器において誘電体導波路にマイクロ波のみを入力させたときの変調作用を説明するための図である。
【図4】本発明の光変調器において誘電体導波路の表面に沿って電子ビームを走行させることにより誘電体導波路内に光およびマイクロ波を発生させたときの変調作用を説明するための図である。
【図5】本発明の光変調器(光復調器)の応用例の構成を示す図である。
【図6】本発明の光復調器の代表的な構成例を示す原理図である。
【図7】本発明の実施例1の光変調器として、SOI基板を用いた誘電体導波路を使用した場合に、電子ビーム群速度と一致する光位相速度およびマイクロ波位相速度を電子加速電圧で示した計算例を示す図である。
【図8】実施例1とほぼ同一のSOI基板を用いて構成した光変調器において、図4のように入射光および入射マイクロ波が無い場合の光放射の観測例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
10 光変調器
11 電子放射部
11a 加速電源
11b 電子銃
12 誘電体導波路
12a 第1層
12b 第2層
12c 第3層
12d 金属層
12e 光入力端
12f マイクロ波入力端
12g 光出力端
12h マイクロ波出力端
13 光入力導波路
13a 曲線部
14 光出力導波路
14a 曲線部
15 マイクロ波入力導波路
16 入力側反射膜
17 出力側反射膜
20 光変調器(光復調器)
30 光復調器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームを放射する電子放射部と、該電子放射部から放射される電子ビームから受けたエネルギーを利用して入力された電磁波を変調するように電子ビーム走行方向に形成された誘電体導波路とを真空中に配置して成る光変調器であって、
前記誘電体導波路は、電子ビーム走行路側から順次積層された、第1層、第2層、第3層を含む3層以上の誘電体層および金属層から成り、
該誘電体導波路は、前記第1層の光入力端から入力された光の一部および前記第3層のマイクロ波入力端から入力されたマイクロ波の一部と前記電子放射部から放射される電子ビームとが交差することにより前記光の電界成分および前記マイクロ波の電界成分を生じさせるとともに、電子ビームの走行速度と、電子ビーム走行方向における前記光の走行速度と、電子ビーム走行方向における前記マイクロ波の走行速度とを一致させるように、前記第1層、前記第2層および前記第3層の厚さを設定したことを特徴とする光変調器。
【請求項2】
前記第1層は高屈折率の透明性材料から成り、前記第2層は低屈折率の透明性材料から成り、前記第3層は高屈折率の透明性材料から成ることを特徴とする請求項1記載の光変調器。
【請求項3】
前記第1層の光入力端および光出力端にそれぞれ曲線部を介して直交方向から接続される光入力導波路および光出力導波路と、前記第3層のマイクロ波入力端に所定方向から接続されるマイクロ波出力導波路とを備えることを特徴とする請求項1または2記載の光変調器。
【請求項4】
電子ビームを放射する電子放射部と、該電子放射部から放射される電子ビームから受けたエネルギーを利用して入力された電磁波を復調するように電子ビーム走行方向に形成された誘電体導波路とを真空中に配置して成る光復調器であって、
前記誘電体導波路は、電子ビーム走行路側から順次積層された、第1層、第2層、第3層を含む3層以上の誘電体層および金属層から成り、
該誘電体導波路は、前記第1層の光入力端から入力された、マイクロ波で変調された光の一部と前記電子放射部から放射される電子ビームとが交差することにより前記光の電界成分および前記マイクロ波の電界成分を生じさせるとともに、電子ビームの走行速度と、電子ビーム走行方向における前記光の走行速度と、電子ビーム走行方向における前記マイクロ波の走行速度とを一致させるように、前記第1層、前記第2層および前記第3層の厚さを設定したことを特徴とする光復調器。
【請求項5】
前記第1層は高屈折率の透明性材料から成り、前記第2層は低屈折率の透明性材料から成り、前記第3層は高屈折率の透明性材料から成ることを特徴とする請求項4記載の光復調器。
【請求項6】
前記第1層の光入力端に曲線部を介して直交方向から接続される光入力導波路および前記第3層のマイクロ波出力端に所定方向から接続されるマイクロ波出力導波路を備えることを特徴とする請求項4または5記載の光復調器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−54571(P2010−54571A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216445(P2008−216445)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(504160781)国立大学法人金沢大学 (282)
【Fターム(参考)】