説明

光変調装置

【課題】エレクトロウェッティングセル(EWセル)に基づく光変調装置を提供する。
【解決手段】変調装置のEWセルは、界面により分離される少なくとも2つの流体を含むチャンバ、制御手段によりアクティブにされる電極対を形成する外部電極E1、E3及び内部電極E2、E3を含む。ここで、少なくとも1つの電極対はチャンバの界面のレベルを制御する。チャンバ内の機能的に互いに独立した内部電極は、チャンバがそれらの電極により2つの制御可能な界面を含む2つの連通部分に分割されるように並列に配設される。ここで、少なくとも一方の連通部分は透明であり且つ光路を形成する。位相変調を行なうために、少なくとも一方の電極対がアクティブにされた場合、界面は、光線束の光路長が初期値と比較して変更されるように互いに変位される。他の種類の変調は、追加の手段を使用して達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コヒーレント光を変調する変調器マトリクスを有する変調装置に関する。変調器マトリクスは、エレクトロウェッティング(electrowetting)原理に従って動作するセルの配列を含む。エレクトロウェッティングセルは、制御可能な界面により分離される少なくとも2つの不混和の流体を含む少なくとも1つのチャンバと、制御手段によりアクティブにされる内部電極及び外部電極を含む電極対とを含む。外部電極はチャンバの側壁に配設され、内部電極はチャンバ内に配設される。少なくとも1つの電極対は界面を制御する。
【0002】
本発明の応用例の分野は、例えば、複数の物点から構成される3次元物体(3D物体)を再構成するために使用されるホログラフィックディスプレイ等のホログラフィック表示装置を範囲に含む。そのようなホログラフィックディスプレイは、複数の観察者が同一の3D物体を同時に表示されるように設計されるか、あるいは複数の観察者が互いに依存せずに個々に選択した異なるプログラムを同時に見れるように設計される。
【背景技術】
【0003】
実際の要求輪郭形状に従って、変調装置は、変調器マトリクスのセルにおいてほぼコヒーレントな光の位相又は振幅を変調する変調器マトリクスを含む。更に、入射コヒーレント光の振幅及び位相の双方を同時に変調できるようにするために、二重変調器を形成するように2つの変調器マトリクスを組み合わせる従来技術が知られている。複素値による変調を実現するそれらの装置により、例えば、ホログラフィックディスプレイにおける物体再構成が生成される時により適切な結果が達成可能になる。しかし、そのように組み合わされた装置において、相互に割り当てられた変調器セルは、例えば、3次元物体を再構成する時に再構成エラーの原因となる無視できない光軸に沿うオフセット又は光軸に垂直なオフセットを有する。
【0004】
この悪い副作用は、制御可能なエレクトロウェッティングセル(EWセル)を組み込むことにより克服される。EWセルは、変調器装置の変調器マトリクスに追加又はその代わりに使用可能である。EWセルは、短い切り換え時間を実現できるという利点を更に有している。
【0005】
EWセルは、制御電極と接続されるチャンバの形態で設計されるのが好ましい。このセルは、屈折率の異なる少なくとも2つの不混和の流体で満たされる。1つの流体は導電性媒体である。流体間の界面(メニスカス:meniscus)は、例えば、印加された電圧の影響下で光線束を偏向又は投影するプリズム又はレンズの形態となる。
【0006】
要求される界面の形状及び位置を得るために、例えば、大量の流体がEWセルからEWセルと連通している他の空間に移動される。そのような変位は、例えば、EWセルと接続されるポンプ又は少なくとも1つの流体において毛管効果(capillary effect)を起こす手段により行なわれる。
【0007】
EWセルを有するそれらの変調器装置は、特定の応用例に適するように設計される。一般に変調器装置は、変調器として使用される場合は光の1つの特性のみを変調する。
【0008】
特許文献1において、スキャナに関するEWセルを有する切り換え可能な光学素子が提案される。ここに提案される切り換え可能な光学素子は、2つの流体及び波面変更器を含む。流体量が、例えば、環状チャンバに移動される。波面変更器は、位相変調に対して異なる表面形状構造を有する。波面変更器の表面形状は、印加される電圧に依存して第1の流体又は第2の流体により埋め込まれる。第1の流体及び第2の流体は異なる屈折率を有する。フレネル帯レンズの屈折効率は、一定の格子周期及び実際の屈折率のずれに依存する。埋め込み材料の屈折率が変化する場合、非回折光と回折光との比及び焦点の光度は変更される。従って、焦点は連続的に変更されない。個々の波長(CD:780nm、DVD:650nm、ブルーレイ:405nm)に対する焦点は、異なる深度にある。
【0009】
波面変更器により、EWセルは、種々の波長に対して回折構造を最適化するために回折構造の位相ずれを変更できる。これは、異なる別個の深度で媒体に格納される情報を迅速に走査するために使用可能である。しかし、この構成は可変深度を有する3次元物体の物点を再構成するのに適さない。
【0010】
更に、非特許文献1において、変更されたマッハツェンダー干渉計(MZ干渉計)における光変調に対する流体の使用について説明する。
【0011】
従来のMZ干渉計は、通常、光線束を2つの空間的に離間された成分に分割し、2つの成分間で位相ずれを起こす。これは、例えば、対象とする位相変調に対して使用される。非特許文献1によるMZ干渉計において、光線束は開口分割法により分割される。光線束は、伝播方向に直角に配設される毛細管を含む2つの単一モード光ファイバ(SMF)の終端間を伝播する。流体と空気との間のメニスカスは、毛細管において作成される。ここで、そのメニスカスの形状及び位置は毛細管を通過する光線束に影響を及ぼす。光線束の一部分が空気中を伝播する一方、別の部分が流体中を伝播するため、光路差が発生し、ビームの2つの部分はある位相ずれで再合成される。この位相ずれは、光線束の透過率が変更される原因となる。透過率は、中心のメニスカスで最低となる。メニスカスが光線束の中心から遠くに移動する程、透過率は高くなる。メニスカスの位置はエレクトロウェッティング効果により調整可能であり、それにより高速な変調が可能になる。
【0012】
この構成の欠点は、使用される個々の材料、すなわちシリコン、空気、水、空気、シリコンの間の境界面における光の反射に起因する光の損失が起こることである。光の伝播の方向に直角なメニスカスの配置により、波面は変形され、それによりホログラフィック表示装置における光の振幅変調又は位相変調に対するその解決策の適用は不可能ではないが困難になる。この構成を用いてエラーのない物体の再構成を取得することは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第WO2004/027490A1号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Ch. Grillet et al. describe in "Optofluidics enables compact tuneable interferometer" , published on 1 Feb 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ここで、本発明は、入射光の複素値である位相又は振幅、あるいはその双方を同時に変調できるセル部分を有するエレクトロウェッティング原理に基づく光変調装置を提供することを目的とする。セル部分は、単純な設計で高速切り替えができ、それらのセル部分を配列として連続生産で製造できる。更に光変調装置は、装置が3次元物体の再構成のためのホログラフィック表示装置において使用されるように、変調された光が平面波面を形成するように設計される。
【0016】
光変調装置は、エレクトロウェッティングセルのマトリクス構成に基づくものである。ここで、エレクトロウェッティングセル(EWセル)は、界面により分離される少なくとも2つの流体を含む少なくとも1つのチャンバと、制御手段によりアクティブにされる電極対とを含む。外部電極はチャンバの側壁に配設され、内部電極はチャンバ内に配設される。少なくとも1つの電極対は、チャンバ内の界面のレベルを制御する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、この目的は、光変調装置により解決される。この光変調装置において、
チャンバ内の機能的に相互に独立した内部電極は、チャンバがそれらの電極により2つの制御可能な界面を有する2つの連通部分に分割されるように互いに並列に配設され、少なくとも1つの連通部分は、透明であり且つ入射光線束に対する光路を形成し、
2つの連通部分の界面は、少なくとも1つの電極対がアクティブにされる場合、透明部分を通過する時に光線束の光路長が初期値に対して変更されるように相互的な位置を有する。
【0018】
入射光線束の種々の変調を達成できるように、チャンバは上カバープレート及び下カバープレートに設けられており、それらのカバープレートは光路中に透明部分を有する。EWセルの各側壁は外部電極を割り当てられるのが有利であり、その外部電極により、電圧が印加された時に起こる温度の上昇が補償される。
【0019】
EWセルの第1の実施形態によれば、チャンバを出射する光線束の光路長の変化が相対位相ずれと一致する位相変調が達成される。これは、内部電極が外部電極に対して所定の傾斜角で配設され、それにより電極対を形成する構成を使用して実現される。
【0020】
相対位相ずれに対する別の実施形態によれば、1つの外部電極は1つの内部電極だけでなく、並列に配設される複数の内部電極にも割り当てられる。これにより、光路に位置しないチャンバの部分における流体の毛管効果が向上されるため、界面のレベルがより迅速に変位される。
【0021】
振幅変調に対する第1の実施形態によれば、同一の構成要素及び構成は、位相変調に係わる第1の実施形態に対して説明したように使用される。しかし、光線束の輝度に影響を及ぼすために、チャンバ内の1つの流体は染色される必要がある。光路における光線束の光路長の相対変化に加えて、光線束の輝度が変更され、それにより振幅変調を実現する。
【0022】
染色した光吸収流体及び透明流体の双方が所定の波長に対して同一の屈折率を有する場合、変調されるのは位相ではなく振幅のみである。
【0023】
振幅変調を実現するための第2の実施形態によれば、チャンバ内の1つの流体は、電圧が印加された場合に少なくとも1つの部分において方向付け(orientation)される複屈折材料を含む。それと同時に、入射光線束の2つの偏光成分、すなわちTE成分及びTM成分の相対位相が変調される。印加された電圧は、透明部分における界面のレベルを変更し、それにより、光線束の光路長を変更する。一般にこの変化の絶対値は、相対位相の変化の絶対値より大きい。
【0024】
複屈折材料の方向付けに影響を及ぼすために、複数の手段が適用可能である。
【0025】
一方では、複屈折材料はチャンバに作用する電界又は磁界において方向付けされる。このため、複屈折材料は電気又は磁気双極子モーメントを有する必要がある。もう一方では、複屈折分子を方向付けするために、チャンバの内面が構造化される。例えば、付着した液晶の方向付けを行なうテクスチャは、カバープレートの内部、光学的にアクティブな部分の側壁の内部の少なくともいずれかに適用される。
【0026】
更に、偏光状態は、EWセルの入射点において規定される必要があり、検光子は、出射点に配設される必要がある。この必要条件は、例えば、エレクトロウェッティングセルの前方及び後方の双方に配設される偏光フィルタ(polarisation filter)により満たされる。
【0027】
2つの光線束がEWセルの外側で再合成された後に振幅変調を実現するために、各部分で異なる符号であるが同一の絶対値を有する位相差があるように、界面のレベルは双方の部分の電極対により調整される。
【0028】
位相が変調された2つの光線束に必要な再合成は、変調素子の出射口の光インテグレータロッド、すなわちEWセルを使用して行なわれる。光の均質化に必要な光インテグレータロッドの長さは、僅かに拡散する表面により、あるいは光インテグレータロッドの入射点の回折、屈折光学素子の少なくともいずれかにより縮小される。拡散面は、好ましくは光インテグレータロッドの出射口に更に提供される。
【0029】
入射光線束の複素変調に対する一実施形態によれば、装置は、異なる屈折率を有する追加の第3の流体を含むチャンバと、電極対の別の構成とを含む。電極対の1つの構成は、TE偏光とTM偏光との間の相対位相を変調し、電極対の他の構成は、全位相を変調する。3つの流体のうち少なくとも1つが複屈折物質である。検光子が下流側に存在するため、TE偏光とTM偏光との間の相対位相は光線束の振幅と一致する。
【0030】
本発明の更に別の実施形態によれば、エレクトロウェッティングセルのチャンバは、マッハツェンダー干渉計の原理に従うように設計される。
【0031】
マッハツェンダー構成は、EWセルにおける振幅変調に対する第3の実施形態を表す。このため、チャンバの2つの部分は透明である。
【0032】
2つの部分の間の界面は、光線束がそれらの部分の2つの異なる光路長を通過するように少なくとも1つの電極対をアクティブにすることにより調整される。それらの2つの部分内の光路長が初期値に対して変化すると、結果として光線束の間に相対位相差を与える。
【0033】
異なる符号の同一の絶対値における位相差が各部分において与えられるように、電極対が2つの部分における界面のレベルを調整する場合、光線束は、再合成後に振幅変調を示す。振幅値は、ゼロ〜最大輝度の範囲の任意の値に調整可能である。
【0034】
更に、EWセルのマッハツェンダー構成は位相変調に対して使用される。このため、チャンバは、界面を有する2つの連通部分を含む。一方の連通部分は光路内に位置し、他方の連通部分は光を透過しない。非透過部分は、位相変調に対する相対位相ずれに対応して通過する光線束の光路長の変化が起こるように光路中に位置する界面が移動されるべく、少なくとも1つの電極対により制御される。
【0035】
更に複素変調に対する第1の実施形態は、マッハツェンダー構成に基づく。
【0036】
マッハツェンダー構成を有する全く同様に設計された2つの隣接チャンバは、1つのEWセルを形成するように機能的に結合されるのが好ましい。2つのチャンバの2つの隣接部分は光路中に位置する。
【0037】
更に電極対は、複素変調を実現するように各チャンバにおいて起こる相対位相ずれに加えて光線束の追加の位相ずれを達成するために、光路に位置する2つのチャンバの隣接部分の界面を相互に独立して移動する。
【0038】
電極対は、制御手段によりアクティブにされる時に各チャンバの部分の界面を移動し、通過する光線束の光路長を相互に独立して変更する。それらの2つの光線束が2つのチャンバを通過後にそれらの光線束の集合として形成される光線束は複素変調される。
【0039】
複素変調に対する第2の実施形態によれば、マッハツェンダー干渉計は、各々が3つの流体を含み且つ相互に独立した制御可能な2つの隣接チャンバによりEWセルにおいて実現される。通過する光線束を複素変調するために、各チャンバの流体の界面は、制御手段により制御される場合、隣接チャンバにおいて異なる傾斜角を示す共面プレートを形成する。
【0040】
3D物体のホログラフィック再構成に対する平面波面を取得するために、透明部分は界面を平坦にする手段を含むことができる。例えば、周囲の電極は、制御電圧が界面と側壁との間に90°の接触角を生成する透明部分に配設される。
【0041】
EWセルの透明部分内の側壁の表面は、平面界面を得るために被覆されるのが好ましい。
【0042】
出射平面波面を取得するために、マイクロレンズは、例えば、EWセルの出射点に配設される。レンズの開口部は、出射光線束の横断面と一致する。
【発明の効果】
【0043】
EWセルの流体間における所定の界面を可変に調整する毛管力を利用する本発明のEWセルに基づく変調器装置は、従来の光変調装置と比較して多くの利点を達成する。個々のEWセルは、単純な設計であり且つ非常に小さい。それらのEWセルに移動される必要のある最小量の流体により、界面の形状及び位置の少なくともいずれかは、非常に迅速に変更可能になる。単純な設計のため、EWセルは、いくつかのサイズの配列の形態で安価に連続生産で製造されうる。実際の応用例に応じて、複数の材料の組合せが流体として利用可能である。これらの利点により、多くの技術分野において、EWセルはコヒーレントな光線束の位相、振幅又は複素値を変調するために適用可能になる。それらのEWセルは、特に、大量の個々の物点により表される3次元物体を再構成するホログラフィック表示装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1a】コヒーレントな光線束の位相変調を行なうためのEWセルの2つの実施形態を示す図である。
【図1b】コヒーレントな光線束の位相変調を行なうためのEWセルの2つの実施形態を示す図である。
【図2】振幅変調を行なうためのEWセルの一実施形態を示す図である。
【図3】光線束を変調するためのマッハツェンダー干渉計に基づくEWセルの一実施形態を示す図である。
【図4】図3に係わる振幅変調を行なうためのEWセルの一実施形態を示す図である。
【図5】図3に係わる複素変調を行なうためのEWセルの一実施形態を示す図である。
【図6】共面プレートが複素変調を行なうためにマッハツェンダー構成で形成される一実施形態を示す上面図である。
【図7】分割された光線束を再合成する構成と共に図5に係わる一実施形態を示す図である。
【図8】複素変調を行なうためのEWセルの更なる実施形態を示す図である。
【図9a】図1aの変形例を示す図である。
【図9b】図1aの変形例を示す図である。
【図10a】図4の変形例を示す図である。
【図10b】図4の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、実施形態を使用して、本発明に係わる光変調装置について更に詳細に説明する。添付の図面は概略断面図である。
【0046】
図6以外の全ての図は、本発明を理解するのに不可欠な全ての詳細を含んでEWセルを単純化して概略的に示す正面図である。多くのそれらのEWセルは、光変調のための配列を形成するために、マトリクスで構成される。本発明に係わる装置の更なる不可欠な構成要素は、制御手段によりアクティブにされる複数の電極対である。追加の構成要素は、変調の種類に応じて必要となる場合もある。
【0047】
各EWセルは、内部電極及び外部電極を有するチャンバを含む。ここで、内部電極は透明であるのが好ましい。屈折率が異なる少なくとも2つの不混和の流体は、界面により分離される。流体は、液体、ゲル又は気体の媒体であってもよい。2つの隣接する流体のうち一方の流体は、常に導電性であるため電極により制御可能である。光の伝播の方向に見られるように、第1の流体は導電性流体であり、規定された電位により特徴付けられる。例えば、この電位は、カバープレートの内部に印加される。導電性流体に面するカバープレートの側面は、例えば、透明電極により被覆される。
【0048】
光路の界面のレベルの変化は、チャンバの導電性流体の充填レベルの変化として理解される。この変化は、1又は複数の電極対をアクティブにすることにより達成される。光線束の光路は、常にチャンバの透明部分を通過する。入射光線束の光路は、矢印により示される。
【0049】
図1aは、EWセルのチャンバを正面断面図で示す。チャンバは、外部電極E及びEを含む側壁と、上カバープレートと、下カバープレートとを含む。上カバープレートが透明である一方、下カバープレートは透明部分及び非透明部分を有する。2つの内部電極E及びEの構成は、一方の側壁から反対側の側壁に延出し、チャンバを2つの部分に分割する。2つの部分の流体は連通している。電極対E及びEにより制限される部分は、光路中にあり且つ光学的にアクティブな部分を表す。カバープレートの非透明部分は、光線束が他方の部分に入るのを防止する。ここで、内部電極Eは、外部電極Eに対して所定の傾斜角で配設される。電極E及びEは、制御可能な電極対を形成する。傾斜角は2つの電極間の隙間を狭くし、それにより、2つの電極間の毛管効果を強める。
【0050】
図1bにおいては、図1aの電極対E、Eに置き換えて、並列に配置される複数の電極Eが配設される。全ての電極には、同一の電圧が印加される。印加された電圧に応じて、電極E間における界面のレベルは連続的に変更され、それにより、光路中の界面のレベルを変更する。
【0051】
図1a及び図1bの光路中における界面の位置が変化すると、例えば、透明部分の光学的に更に密な流体の部分が増加し、初期値に対して光線束の光路長を変更する。チャンバを通過した後、光線束は光路長の変化に応じて所定の位相ずれを示す。図1a及び図1bにおいて、矢印は、入射光線束の伝播の方向を示す。
【0052】
EWセルの各側壁は、外部電極を割り当てられるのが好ましい。温度の変化は、接触角に影響を与え、それにより、流体間の界面の曲率に影響を及ぼす。印加された電圧がそれに従って制御される場合、温度が変化する場合であっても、界面の曲率は一定に、好ましくは平面に維持される。
【0053】
染色された流体が使用される場合、図1a及び図1bに示すEWセルは振幅変調に対しても使用可能である。染色された流体は、例えば、光吸収油(light-absorbing oil)であってもよい。通過する光線束の輝度は、チャンバの染色された流体の調整レベルに応じて変化する。
【0054】
導電性流体が複屈折物質である場合、図1a又は図1bに係わるEWセルは、振幅変調に対しても使用可能である。
【0055】
図2に示す実施形態は、図1bのEWセルに基づくが、第1の流体は、複屈折物質である。更に、EWセルは、偏光子P1及び検光子P2を含む偏光フィルタ等の偏光構成要素を光入射側及び出射側に含む。それらの偏光構成要素により生成される光線束の偏光の方向は、矢印により示される。
【0056】
チャンバ又はEWセルの入射側の偏光子P1は、例えば、線形、円形又は楕円形である入射光の偏光を規定する。入射光がチャンバに入射した時に規定された偏光を既に有する場合、その偏光子は不必要になる。チャンバ又はEWセルの出射側の検光子P2は、任意の向きに方向付けされる。EWセルは、光がセルの無通電状態で複屈折流体を越えて直線偏光を有するように設計されるのが好ましい。検光子P2の方向付けは、透過率が最小になるように選択される必要がある。これは、EWセルに不具合が発生した場合に永続的に暗いセルが永続的に明るいセルよりも妨害しないという利点を有する。
【0057】
上述のように、入射光線束は、位相ずれを与えられる。チャンバの底壁及び側壁の少なくともいずれかの構造化表面、あるいは電界又は磁界は、複屈折流体を方向付けする。偏光子は、例えば、入射偏光を規定できる。これは、光の偏光のTE成分及びTM成分の合計として見られる。TE成分及びTM成分は、互いに直交する成分である。
【0058】
一般に、チャンバの光路長に変化が生じ、その変化の絶対値は相対位相の変化の絶対値より大きい。
【0059】
例えば、少なくともチャンバの透明部分に印加される電界により複屈折流体が方向付けされると、偏光光線束のTE成分及びTM成分に対して異なる光路長が与えられる。透明部分における界面のレベルが変化すると、TE偏光とTM偏光との間の相対位相が変化し、それにより、それら2つの成分の合成結果として得られる偏光状態に変化をもたらす。検光子P2が規定された偏光状態の光線束のみを通過させるため、検光子P2の前の偏光状態の変化は、検光子P2の後に観察される透過率の変化と一致する。
【0060】
チャンバの透明部分における複屈折流体のレベルの変化を引き起こすために電圧を印加することにより、検光子の後で振幅変調が起こる。
【0061】
図1a、図1b、図2のEWセルは、光軸が光路中に位置し且つエレクトロウェッティングセルの対称軸を形成するように実現される。EWセルの透明部分は、例えば、複数のポンピングチャンバ(pumping chamber)又は周囲のポンピングチャンバに囲まれる。
【0062】
図3は、マッハツェンダー干渉計の原理に基づき且つ振幅及び位相変調、並びにコヒーレントな入射光線束の複素値による変調を行なうように設計されるEWセルの一般的な一実施形態を示す。
【0063】
マッハツェンダー構成を有するEWセルは、この例においては矩形の横断面を有し、側壁、上カバープレート、下カバープレートを含む。EWセルのチャンバは、電極対E及びEの構成により、好ましくは、2つの不混和の流体が連通している同一の大きさの2つの部分に分割される。流体は界面により分離される。少なくとも一方の部分の電極対をアクティブにすることによる界面のレベルの変化は、他方の部分の界面のレベルに影響を及ぼす。光線束の所望の種類の変調に応じて、チャンバの少なくとも一方の部分は透明な光学的に効率的な光路として設計される。第1の流体のレベルの上昇又は下降及び界面の位置の変化により、光路を範囲に含む時の光線束の光路長が変化する。
【0064】
位相変調エレクトロウェッティングセルを得るために、図3においてチャンバの一方の部分のみが入射光線束を透過する必要がある。2つの電極対E及びEがアクティブにされる場合、流体間の界面は、双方の部分において、特に、相互に変位される。ここでは、電圧変化は界面の変位に等しい。変位により透明部分における光線束の光路長が変化するため、光線束には位相ずれが与えられる。
【0065】
透明部分において、界面がその部分において平面であることを意図する場合、すなわちメニスカスが起きない場合、電圧は一定である。しかし、例えば、非透明部分を取り囲む電極対が代わりにアクティブにされ、位相変調を行える。
【0066】
更に、チャンバの双方の部分を透明に維持でき、双方の部分において電圧変化を起こせる。これは、「プッシュプルモード」とも呼ばれる。エレクトロウェッティングセルを通過する光線束の光路長は、所望の位相ずれを起こすように互いに変更される。2つの部分の界面が平面でない場合、追加の位相効果が発生する。そのような設計のEWセルは、1mm未満の直径の小さな開口部を作成するのに適する。ここで、その位相効果は無視できる。この種のEWセルにより、より速い再生速度が達成可能になる。
【0067】
図4によれば、EWセルの双方の部分は、位相変調を行なうために透明である。2つの電極対E及びEを含む電極の構成は、同一の絶対値の位相ずれが界面を変位させることにより2つの部分で実現されるように制御手段によりアクティブにされる。しかし、絶対値は2つの部分において反対の符号を有する。ここで、入射光線束が入射する第1の流体は、第2の流体より大きな屈折率を有する。位相ずれは、被制御変数である場合、輝度が印加される電圧に依存して完全な合成と消光との間の範囲で上下する原因となる。達成される相対位相ずれは、Δφにより特徴付けられる。
【0068】
複素変調又は位相変調は、並列に配設され且つ各々がマッハツェンダー構成を有する2つのチャンバK及びKを含むEWセルにより実現可能である。この組合せを図5に概略的に示す。
【0069】
組み合わされたEWセルの各外側部分は、例えば、上カバープレート及び下カバープレートの黒い領域により光を透過しない。光線束は、隔壁により分離されるチャンバK及びKの2つの内側透明部分を通過する。これらの部分において、界面のレベルは、個別に制御可能な電極対により、初期レベルから異なる対象レベルに互いに独立して位置付けられる。異なるレベルの組合せにより、光線束は2つの光路中の異なる光路長を範囲に含むことになる。これは、異なる位相ずれがチャンバK及びKの各々において起こることを意味する。EWセルを通過後、2つの光線束は再合成され、複素変調される。光の電磁界の複素変調は、2つの光線束に共通の位相の変調及び2つの光線束の間の位相差の変調、すなわち、相対位相ずれΔφにより規定される。
【0070】
図6は、マッハツェンダー構成に基づく複素変調に対する一実施形態を示す。ここで、EWセルは、各々が3つの流体を含む個別に制御可能な2つの隣接チャンバK及びKを含む。双方のチャンバは、光学的に有効な透明部分を表す。チャンバ内の2つの隣接する流体は不混和性である。
【0071】
チャンバK及びKの各々の界面は、それらの界面が同一の傾斜角を示し且つ中央に位置する流体が共面プレートを形成するように制御手段(不図示)により制御される。2つの制御信号は、チャンバK及びKの各々がそれに従って界面を制御するのに必要とされる。
【0072】
一方のチャンバの共面プレートは、他方のチャンバとは異なる傾斜角を有するように調整される。1つの共面プレートの傾斜角の変化は、チャンバの光線束の光路長の変化及び従って位相ずれに一致する。チャンバK及びKから出射した後、位相差を有する光線束は、複素変調を達成するように合成される。結果として得られる振幅は、2つの透明領域の間の相対位相差Δφを使用して規定される。合成された光線束の位相は、双方の電極対をアクティブにし、2つの隣接部分の光路長を同等に変更することにより、結果として得られる振幅値を変えずに変更される。従って、2つの合成された光線束の相対位相は変更されない。これにより、光線束の複素変調は達成可能になる。
【0073】
図7は、図5に示すマッハツェンダー構成に基づく複素変調のための別の構成を示す。ここでも、EWセルは、各々が光路中に位置する2つの隣接する透明部分において調整可能な界面を有する2つの別個のチャンバK及びKを含む。組み合わされたEWセルの外側部分は、光を透過しない。
【0074】
チャンバKの部分における界面は、それらのチャンバの各電極対を個別にアクティブにすることにより、近傍のチャンバKの界面に依存せずにある特定のレベルに調整される。2つのチャンバK及びKの透明部分における界面の調整変位は、光線束がEWセルから出射した後、光線束が範囲に含む光路長が異なる原因となる。これは、カバープレートを越える光線束を表す矢印の互い違いの構成により示される。2つの光線束の集合として形成される光線束は、複素変調される。
【0075】
図7に示すように、変調EWセルを出射した後、2つの光線束は、それらを再合成する2つのマイクロレンズの伸縮自在な構成に入射する。拡散体は、第1のレンズの焦点に配設される。この材料は、光軸上に開口部を有するのが好ましい。第2のレンズが第1のレンズより長い焦点距離を有する場合(f1<f2)、この構成は、光線束の横断面を拡大する(拡大因子V=f2/f1)。EWセルのマトリクス構成において、これは、複素変調EWセルの充填因子を向上できる。目的をもって大きさが決定される個々のEWセルのアポダイゼーションプロファイルt(x,y)は、0.7を越える充填因子FF(>0.7)と共に、入射光線束の望ましくない回折次数を抑制するのに非常に適する。特に、生成された可視領域に近接して位置する目に入射する回折次数が抑制される。従って、マトリクス構成を通過後における光線束の横断面の拡大は好ましい。
【0076】
図8は、図2に示すEWセルに基づく複素変調に対するEWセルの別の実施形態を示す。
【0077】
図2と異なり、チャンバKは、第1の流体及び第2の流体に加えて、希食塩水等の異なる屈折率nを有する第3の流体を含む。3つの流体のうちの1つは、複屈折物質である。ここで、複屈折物質は、屈折率nを有する第1の流体である。第2の流体は、屈折率nを有する油等の非導電性である。
【0078】
電極対E及びE、単一の電極Eを含む電極構成に加えて、電極対E及びE、単一の電極Eを含む別の電極構成がチャンバKに提供される。2つの電極対E及びE、E及びEは、チャンバKの透明部分を制限し、それらがアクティブにされた場合に隣接する流体の間に共面界面を生成する。平面界面は、ホログラフィック再構成に対して平面波面を作成するために必要とされる。従って、例えば、EWセルの側壁に複数の電極を配設することは有利である。
【0079】
別の実施形態において、電極E及びEは、図1aに詳細を示すような構成により置換できる。
【0080】
偏光子P1及び検光子P2は、入射光及び出射光の偏光状態を規定する。矢印により示されるようにチャンバの下部分に入射する光線束は、電極Eがアクティブにされる場合、第1の複屈折流体により相対位相ずれを与えられる。これは、位相ずれがTE成分及びTM成分に対して異なることを意味する。相対位相ずれは、検光子P2と共に、光線束がEWセルを出射する時の振幅を規定する。光線束は、チャンバKの上部分を通過する時、電極Eがアクティブにされる場合は双方の偏光成分TE及びTMに対して同一の追加の位相ずれを与えられる。
【0081】
これは、制御手段(不図示)が一方の電極対をアクティブにして相対位相を変調し、他方の電極対をアクティブにして光線束の全位相を変調し、入射光線束の複素変調を達成することを意味する。
【0082】
図9a及び図9b、図10a及び図10bは、EWセルのチャンバKの透明部分TBにおいて界面のメニスカスを平坦化する手段を含む。
【0083】
電極対E及びEは、アクティブにされると、初期位置から離れるように透明部分TBにおける界面を変位させ、それにより、メニスカスを形成する。図9a及び図10aを参照すると、入射光がそのメニスカスに入射した場合、カバープレートを通ってEWセルから出射する波面は湾曲形状を有する。しかし、平面波面は、3D物体のホログラフィック再構成に対して必要とされる。
【0084】
透明部分TBにおいてメニスカスを平坦化するために、周囲の電極は側壁に配設され、界面と側壁との間で接触角90°を実現するように電圧により制御される。これは、流体間の平面界面の原因となるため、平面波面はEWセルから出射する。接触角が温度に依存するため、周囲の電極の制御電圧は温度変化に更に適応される。
【0085】
透明部分TBにおける界面を平坦化するために、90°の接触角及び平面界面が作成されるように、側壁の表面が被覆又は変更されることが更に可能である。
【0086】
図9bに示すように、マイクロレンズMがEWセルの透明部分TBの出射点に配設される場合、これらの手段は側壁の表面の被覆又は変更なしで行なわれる。レンズの屈折力は、メニスカスにより発生する波面湾曲を補償するように選択されるべきである。マイクロレンズMの開口部は、出射光線束の横断面と同一の大きさが選択される。開口部を規定する場合、一般に温度を操作する時に発生するメニスカスは考慮されるべきである。
【0087】
マイクロレンズMは、カバープレート上に配設されるか又はカバープレートに組み込まれてもよい。図10bは、2つの透明部分に対する後者のオプションを示す。このために、グレーデッドインデックスレンズ(GRINレンズ)を更に使用できる。
【0088】
図9a、図9b、図10a及び図10bの矢印は、EWセルを通る光線束の光路を示す。図中、EWセルを越えた曲線及び平面線は、変調光線束の形状を示す。
【0089】
例えば、光線束がEWセルを通過後、それらの光線束を合成する光学手段を通る場合、界面の平坦化は不要である。それらの光学手段は、平面波面を作成するように設計、構成の少なくともいずれかがなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロウェッティングセルのマトリクス構成を有する光変調装置であって、
エレクトロウェッティングセル(EWセル)は、
制御可能な界面により分離される少なくとも2つの流体を含む少なくとも1つのチャンバと、制御手段によりアクティブにされる電極対とを含み、外部電極は、前記チャンバの側壁に配設され、内部電極は前記チャンバ内に配設され、少なくとも1つの電極対が前記界面を制御し、
前記チャンバ内の機能的に相互に独立した前記内部電極は、
前記チャンバがそれらの電極により2つの制御可能な界面を有する2つの連通部分に分割されるように互いに並列に配設され、少なくとも1つの連通部分は、透明であり且つ入射光線束に対する光路を形成し、
前記2つの連通部分の前記界面は、
少なくとも1つの電極対がアクティブにされる場合、透明部分を通過する時に前記光線束における前記光路長が初期値に対して変更されるように相互的な位置を有する
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項2】
前記光線束における前記変更された光路は、
前記チャンバ(K)を、位相変調に対して使用されうる相対位相ずれに一致する状態にする
ことを特徴とする請求項1記載の光変調装置。
【請求項3】
前記光路に位置しない前記チャンバ(K)の部分における毛管効果を強めるために、内部電極(E)が外部電極(E)に対して所定の傾斜角で配設される、又は外部電極(E)が並列に配設される複数の内部電極(E)に割り当てられる
ことを特徴とする請求項1記載の光変調装置。
【請求項4】
前記チャンバ(K)における流体の一つは更に、前記光線束の強度を変更するために染色される
ことを特徴とする請求項3記載の光変調装置。
【請求項5】
流体の一つは、電圧を印加することにより一つに方向付けられる複屈折物質を含み、それと同時に前記方向付けが前記入射光線束の前記光路長を変更し、
前記入射光線束における前記TE偏光要素及び前記TM偏光要素の位相が、相互に関連して変調される
ことを特徴とする請求項3記載の光変調装置。
【請求項6】
前記複屈折物質は、
電界又は磁界に依存することにより一つに方向付けられるか、前記チャンバ(K)の内面を構造化することにより一つに方向付けられるか、又は、前記EWセルの前記入射点において規定された偏光状態があり、検光子(P2)が前記EWセルの前記出射点に配設される
ことを特徴とする請求項5記載の光変調装置。
【請求項7】
前記界面の前記レベルは、
2つの部分を通過後、当該位相差を有する再合成された光線束により振幅変調を実現するために、各部分で異なる符号であるが同一の絶対値を有する位相差があるように、両方の部分における前記電極対(E、E、E)により位置付けられる
ことを特徴とする請求項5記載の光変調装置。
【請求項8】
方向付けされた偏光子のマトリクスの一部が前記入射点に更に配設され、
拡散手段が、振幅変調を達成するべく2つの異なる偏光状態の光線束を更に生成するために、光インテグレータロッド及び検光子に連結して前記EWセルの前記出射点に配設される
ことを特徴とする請求項5記載の光変調装置。
【請求項9】
前記エレクトロウェッティングセルの前記チャンバ(K)は、光変調するために、マッハツェンダー干渉計の原理に従うように設計され、
前記チャンバ(K)の前記透明部分(TB)は、前記界面を平坦にする手段を含む
ことを特徴とする請求項1記載の光変調装置。
【請求項10】
前記チャンバ(K)は、
界面を有する2つの連通部分を含み、
一方の連通部分は、
光路内に位置し、
他方の連通部分は、
光を透過せず、位相変調に対する相対位相ずれに対応して通過する光線束の前記光路長の変化が起こるように前記光路内に位置する界面が移動されるべく、少なくとも1つの電極対により制御される
ことを特徴とする請求項9記載の光変調装置。
【請求項11】
前記光路内に位置する前記チャンバ(K)の前記2つの部分は、単一の電極対により制御される場合、振幅変調を実現する
ことを特徴とする請求項9記載の光変調装置。
【請求項12】
単一のEWセルを形成する同一のチャンバを更に連結し、
電極対は更に、複素変調を実現するべく、各チャンバにおいて生じる前記相対位相ずれに加えて、前記光線束における追加の位相ずれを達成するために、前記光路に位置する前記2つのチャンバ(K、K)の隣接部分の前記界面を相互に独立して移動する
ことを特徴とする請求項10記載の光変調装置。
【請求項13】
前記マッハツェンダー干渉計は、各々が3つの流体を含み、且つ相互に独立した制御可能な2つの隣接するチャンバ(K、K)により前記EWセル内に実現され、
前記制御手段により制御される場合、前記流体の前記界面は、各チャンバ(K、K)内に共面プレートを形成し、
前記共面プレートは、
前記通過する光線束の前記光路長を変更し且つ複素変調を実現するために、隣接チャンバと異なる傾斜角を示す
ことを特徴とする請求項9記載の光変調装置。
【請求項14】
入射光線束の複素変調のために、複屈折物質である第3の流体と、別の構成の電極対とを更に含み、
電極対の一方の構成は、TE偏光とTM偏光との間の前記相対位相を変調し、前記別の構成の電極対は、前記全位相を変調する
ことを特徴とする請求項6記載の光変調装置。
【請求項15】
出射平面波面を取得するために、マイクロレンズ(M)が前記EWセルの出射点に配設され、
前記レンズの開口部は、前記出射光線束の前記横断面と一致する
ことを特徴とする請求項1記載の光変調装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【公開番号】特開2010−79297(P2010−79297A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−203048(P2009−203048)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(507230267)シーリアル テクノロジーズ ソシエテ アノニム (89)
【氏名又は名称原語表記】SEEREAL TECHNOLOGIES S.A.
【Fターム(参考)】