説明

光子計数を使用した連続波トモシンセシスの方法およびそのための装置

トモシンセシスデータは、光子計数X線検出器(124)に対してその位置を変化させる間、実質的に連続して放射線を放出する放射線源(122)から取得され得る。検出器(124)は放射線(406)内に含まれる光子を検出し、検出された光子を示す光子データが生成される。光子データは、例えば、検出された光子の検出時間、検出器(124)上の検出位置、エネルギーレベル、および/または放射線源(122)からの軌道に関連するデータを含み得る。様々な光子の光子データは、再構築技法およびトモシンセシス技法によって複数のビンにまとめられ、検査中の物体(120)の様々な断層撮影面(200)の合成された画像を生成し得る。このようにして、トモシンセシス技法は、光子のエネルギーを測定することではなく、光子を計数することに依存して合成された画像を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、トモシンセシスによって合成され得るデータを取得するための方法および装置に適用される。トモシンセシスは通常、物体の様々な断層撮影面(例えば、スライス)を表す複数の2D画像に結合されて合成される、複数の角度で撮影された、物体の2次元(2D)画像のための手段を提供する。本明細書に開示される技法は様々な分野に適用され得るが、これらの技法は医療分野において特定の用途を見出している。
【背景技術】
【0002】
放射線装置は、一般に、検査中の物体の2D画像を生成するための手段を提供する。物体が放射線に暴露され、物体によって吸収された放射線、より正確に言えば物体を通過することができる放射線の量(例えば、エネルギー)に基づいて2D画像が形成される。密度の高い物体は密度の低い物体よりも多くの放射線を吸収し、したがって、例えば、塊(例えば、良性嚢腫または癌)などのより高い密度を有する物体は、脂肪組織または筋肉などの密度の低い物体で取り囲まれている場合、はっきりと見える。医療システムにおいて、放射線装置は、通常は目に見えない骨折、塊、カルシウム沈着などを検出するために一般に使用される。
【0003】
放射線装置は、典型的には、検出器アレイと、検出器アレイから見て物体の直径方向に反対側に取り付けられた放射線源とを備え、放射線源は、物体に向かって放射線を放出する。デジタル放射線学では、デジタル画素(検出器アレイの)が、物体を通過する放射線を検出し、再構築アルゴリズムが、検出された放射線に含まれる光子のエネルギーに基づいて、緯度次元における(例えば、中央の放射線に直交し、検出器アレイに平行な)物体の2D画像を作成する。
【0004】
2D画像は、骨折を検出するためなどのいくつかの用途において有用であるが、画像には経度次元における(例えば、中央の放射線に平行で、検出器アレイに直交する)解像度がないので、2D画像は、乳癌の検出などの他の手順にはそれほど有用ではない。例えば、胸部検査では、2D画像は、塊が長手方向に分枝しているかどうか(例えば、胸部の導管に広がっており、悪性の可能性が高い)に関する情報を提供することができない。さらに、例えば、密度の低い、ただし潜在的に癌性の塊は、塊および瘢痕組織が類似した緯度座標を有する(例えば、一方の対象が他方の対象の上にある)場合、瘢痕組織などのより密度が高い対象によって覆われることがある。
【0005】
Laiの米国特許第6960020号明細書に記載されるデジタルトモシンセシスにより、物体の実質的に3次元(3D)の画像を物体の2D画像の有限集合から構築することができる。典型的には、デジタルトモシンセシスシステムでは、放射線源の位置は、データ取得(検出器アレイおよび/または物体に関する)の間、例えば限定された角度範囲にわたって弧状に変化し、物体の投影像のセットが取得される。投影像は、放射線源が弧に沿った所定の点にあった間に放射された放射線に関連するデータ(例えば、物体のトモシンセシス画像)を表し得る。投影像のセットは、2D画像のセットに変換され(再構築によって)、デジタルトモシンセシスアルゴリズムを使用して結合されおよび/またはフィルタリングされて物体の経度次元におけるある程度の解像度をもたらし得る。すなわち、物体の複数の断層撮影面(例えば、スライス)を表す合成された2D画像のセットが生成され得る。合成された2D画像の数は、物体のトモシンセシス画像の数の関数となり得ることを理解されたい。例えば、トモシンセシス画像の数が多いほど、長手方向におけるより高い解像度を促進することができるので、合成された画像は、スミアリングによって画像が歪むことなく、より薄い断層撮影面を示すことができる。
【0006】
現行のトモシンセシス取得技法(例えば、検出された放射線の光子エネルギーを測定することによって取得された2D画像に基づく)は、いくつかの例において効果的であると証明されているが、改良の余地が残されている。放射線エネルギーの測定は電子雑音の量を追加するので(例えば、トモシンセシス画像が多くなるほど、より多くの電子雑音を追加する)、装置によって取得される2D画像(様々なトモシンセシス画像を示す)の数が制限される。多数のトモシンセシス画像にわたって検査の放射線量を分けることが望ましい(したがって、より高い長手方向の解像度が可能になる)が、電子雑音が付加的である(追加の各トモシンセシス画像に対して)ので、何らかの閾値を上回る信号対雑音比をもたらすために画像の数が制限される。さらに、画像品質を促進するおよび/または再構築アーチファクトを低減するためにトモシンセシス画像間の角距離(例えば、放射線源が回転する角度の数)が制限される。したがって、何らかの閾値を上回る信号対雑音比を可能にするトモシンセシス画像の数(例えば、20個の画像)およびトモシンセシス画像間の許容される角距離(例えば、2度)は、許容されるトモシンセシス角度(例えば、中央から±20度)を定義する。しかし、これは、例えば、より大きな角度が望まれる(例えば、中央から±40度)場合、理想的とは言えないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6960020号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現行のトモシンセシスの手順は、放射線がパルス化されて(例えば、軌道に沿った所定の点で放射されて)画像を生成する間、比較的遅い連続的な速度で所定の軌道に沿って移動する放射線源にも依存する。より速い速度は再構築アーチファクト(患者の動きによる)の可能性を低減し得るが、より速い速度は(パルスの継続時間を短縮することなく)放射線源の焦点の仮想の「伸長」および/または合成された画像の接線方向の脱焦(例えば、不正確な焦点)を引き起こすこともあり、それによって画像品質が低下する。仮想の「伸長」は、放射線源へのパワーを増加することによって部分的に解決され得るが、パワーを増加することは、実際の焦点のサイズを増大させ、画像の品質を低下させる原因にもなる。したがって、実際の焦点のサイズおよび焦点の仮想の「伸長」のバランスを取って画像品質を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願の態様は、上述の問題およびその他に対処する。一態様によれば、装置は、検査中の物体を選択的に受けるように構成された検査領域と、電離放射線源と、物体を通過した電離放射線源からのX線を検出する(例えば、実質的に電子雑音を除去するために)光子計数X線検出器とを含む。この装置はまた、物体の検査中に電離放射線源およびX線検出器の相対位置を約60未満から約120度の角度範囲を有する軌道に沿って変化させるように構成された駆動装置を含む。この装置は、物体の検査中にX線検出器によって検出された複数のX線のそれぞれの位置および検出時間を示す光子データを生成するように構成された光子データ処理装置をさらに含む。
【0010】
別の態様によれば、トモシンセシス方法が提供される。この方法は、物体のトモシンセシス検査中に、X線源から実質的に連続してX線を放出する間、X線源および光子計数X線検出器の相対位置を変化させることを含む。この方法はまた、検査中に検出されたX線光子を示す光子データを生成することを含み、光子データは、複数の検出された光子のそれぞれに対する検出位置および検出時間を含む。この方法は、適切な信号処理を使用して光子データを第1の複数のビンに結合して第1のビニングされたデータを生成することと、第1のビニングされたデータを使用して物体を示す第1のトモシンセシスデータを生成することと、人間が知覚できる形で第1のトモシンセシスデータを提示することとをさらに含む。
【0011】
別の態様によれば、トモシンセシス画像データを生成するための方法が提供される。この方法は、X線源および画素化されたX線検出器の相対位置を軌道に沿って変化させる間、X線源から実質的に連続してX線を放射することを含む。この方法はまた、X線検出器によって検出されたX線の検出時間および検出位置を決定することと、決定された検出時間を軌道に沿った位置と相関させて複数の投影像を作成することとを含む。この方法は、複数の投影像を処理して検査中の物体を示すトモシンセシス画像データを生成することをさらに含む。
【0012】
当業者は、添付の説明を読み、理解すれば、本出願のさらに他の態様を理解されよう。
本出願は例として示され、添付の図面の図に限定されず、図中の同様の符号は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本明細書に記載の1つまたは複数の条項が実施され得る例示的なスキャナを示す概略ブロック図である。
【図2】光子計数検出器で検出された放射線に基づいて物体の様々な断層撮影面を示す例示的な画像を示す図である。
【図3】光子計数X線検出器内に含まれる任意の検出器画素のために生成され、ビニングされ得る光子データを示す例示的なグラフである。
【図4】例示的な物体走査装置の断面図である。
【図5】例示的なトモシンセシス方法を示す流れ図である。
【図6】トモシンセシス画像データを生成する例示的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、例示的なスキャナ100を示す。スキャナ100は、例えば、医療センタで組織を走査するために使用され得る。例示的なスキャナ100の物体走査装置102部分は、検査中の物体120を走査するように構成され、典型的には電離放射線源122と、画素化された光子計数X線検出器124とを含む。電離放射線源122は、扇形、円錐形、くさび形または他の形の放射線構成を、物体120を選択的に受けるように構成された検査領域130に放射するように構成される。検査領域130において物体120を通過する放射線は、電離放射線源122から見て物体120の実質的に直径方向に反対側に配置された検出器124によって検出される。
【0015】
画素化された検出器124は、放射線内に含まれる光子を検出するように構成される。物体120(例えば、ヒト組織)内の対象(例えば、塊、瘢痕組織など)は、様々な量の光子が物体120を通過する(例えば、物体内に高横断の部位および低横断の部位を作成する)原因となり得る。例えば、光子が少ないほど、より高い密度(物体120における他の対象の密度に対して)を有する対象を通過することができる。横断時の変化を使用して物体120内の対象の画像を作成し得ることを理解されたい。例えば、ヒト組織が物体走査装置102によって走査される場合、緊密に密集した細胞の領域は、画像上で健康な組織細胞(実際には目に見えないことがある)よりも顕著に(またはそうでなければ、より識別可能に)見えることがある。
【0016】
画素化された光子計数X線検出器124は、光子を検出することができる任意の材料を含み得る。例えば、検出器124は、結晶材料および/または非晶質光電材料などの直接変換型X線検出器材料を含み得る。さらに、検出器124は、シンチレータと、電離放射線源122からの放射線に反応してシンチレータによって生成された光子を受けるように構成された光ダイオードの2次元アレイとを含み得る。
【0017】
物体走査装置102はまた、電離放射線源122および検出器124の相対位置を軌道に沿って変化させるように構成された駆動機構126を含み得る。一般に、駆動機構126は、30から40度の角度範囲程度、これらの相対位置を変化させるように構成されるが、約60未満から約120度の角度範囲程度、これらの相対位置を変化させ得る(物体走査装置102の形状に従って)。電離放射線源122および検出器124は、独立しておよび/または互いに連携して移動し得ることを理解されたい。一例では、検出器124は実質的に固定され、駆動機構126は検査中の物体120の一部分のまわりで放射線源122を回転させるように構成される。このようにして、物体120の様々な視点からのデータ(例えば、トモシンセシス画像)を物体120の1回の走査から収集することができる。電離放射線源122が、その相対位置を変化させる間、実質的に連続して放射線を放射し得るおよび/または放射線が間欠的に放射され得る(源の移動中に)ことも理解されたい。
【0018】
一実施形態では、物体走査装置102はマンモグラフィ装置の一部であり、物体走査装置102は検査中の物体120を圧迫するように構成された圧迫パドル128をさらに含む。このようにして、物体120(例えば、ヒトの胸部)が圧迫されて検査中の動きを抑制するおよび/または放射線が物体120中を移動する距離を短縮する(それによって画像品質が改善される)。
【0019】
例示的なスキャナ100において、物体走査装置102は、例えば、適切な解析技法、反復技法、または他の整形技法を使用して、検出器信号(例えば、光子が検出されたときに検出器によって放射された信号)を整形するおよび/または検出器信号の特性を改善するように構成されたパルス整形器104と動作可能に通信する。さらに、閾値決定器106は、振幅などの、整形された検出器信号の特性を所定の基準と比較するおよび/または信号の所望されない部分(例えば、雑音)を破棄することができる。例えば、閾値決定器106は、所望の信号の振幅について所定の閾値未満の振幅を有する信号を破棄する(例えば、所望の信号から雑音を除去する)ことができる。
【0020】
例示的なスキャナ100はまた、閾値決定器106と動作可能に通信する光子データ処理装置108を含む。光子データ処理装置108は、閾値決定器106(または、パルス整形器104および/または閾値決定器106がない場合、物体走査装置102)からの信号を受け、物体120の検査中に検出器124によって検出された複数の光子のそれぞれの位置および検出時間を示す光子データを生成するように構成される。すなわち、光子データ処理装置108は、検出器124によって検出された複数の光子のそれぞれについて検出器124のxおよびy座標に関連する光子データを生成し、それぞれの光子が検出器124によって検出された時間に関連するデータも生成する。
【0021】
光子の検出時間は、これらの時間における電離放射線源122の正確な(またはそうでなければ、実質的に特定の)位置と相関し得る。いくつかの例では(光子データ処理装置108の実用上の制限のために)、光子データ処理装置108は、それぞれの検出時間に基づいて光子に関連するデータを取得ビンにビニングし得ることを理解されたい。例えば、光子データ処理装置108は、それぞれの検出された光子をそれぞれの光子が放射された時点での電離放射線源122の位置と相関させることができないことがあるので、光子データ処理装置は特定の間隔で一緒に検出された光子をビニングし、その時間間隔の間の電離放射線源122の位置を決定することができる。例えば、5秒間の検査において、検出された光子の光子データは、どの5ミリ秒の時間間隔で光子が検出されたかに従って(および、例えば、放射線源122の軌道に沿った1ミリメートルのスパンの間に放射された光子を表す)、1000個の異なる取得ビンの1つにビニングされ得る。接線方向のぶれ(各ビンが軌道に沿ったより長いスパンの間に放射された光子を表すときに生じる)を低減するためには取得ビンの数が比較的多くなければならない(例えば、1000個)ことが当業者に理解されよう。
【0022】
光子データは、検出された光子の他の特性も示し得ることを理解されたい。例えば、光子データは、検出された光子のエネルギーおよび/または電離放射線源122から検出器124へのそれぞれの光子の軌道/角度に関連する情報(検出された光子の位置、光子が検出された時間、および光子が検出された時点での放射線源122の軌道/位置に基づく)を含み得る。すなわち、光子データ処理装置108は、光子の検出時間を軌道に沿った放射線源122の位置(そのときの)と相関させて複数の光子のそれぞれがどこで放射されたかを決定し、次いで放射線源の位置をそれぞれの検出位置と比較して光子の軌道を決定することができる。
【0023】
例示的なスキャナ100は、光子データ処理装置108と動作可能に通信し、光子データをビニングしてビニングされた投影像データを生成するように構成されたビニング部(binner)110をさらに含み得る。ビニング部110は、光子の検出時間および/または光子の検出位置に基づいてデータをグループ化することができる。データが光子データ処理装置108によって取得ビンにビニングされた場合、データはより少ない数のビンに(例えば、1000個の取得ビンから50個のビンに)再ビニングされ得ることを理解されたい。データがフィルタリングされて(低域フィルタによって)大量のデータ(放射線源の軌道の比較的長いセグメント(5ミリメートル)にわたって放射された光子を表す)を一緒にグループ化することによって生じる接線方向のぶれを回避することができることも理解されたい。次いで、ビニング部110は複数の投影像を出力する。
【0024】
一実施形態では、ビニング部110のパラメータ(例えば、ビンの数、ビニングの方法(時間、位置など)など)を調整することができる。一例では、ユーザはビニング決定器116によってビニング部110のパラメータを設定する。例えば、光子データを50個の時間ビンにビニングすることができ(各ビンは特定の5ミリ秒の期間内に検出された光子に関連するデータを含む)、ユーザは時間ビンの数を変更することができ、それに応じて光子データが再ビニングされる。
【0025】
光子データを後で再ビニングすることができるように(例えば、異なるビニングパラメータを使用して)、光子データ処理装置108によって生成された光子データ(および/または取得ビン)をオブジェクトストアに格納することができることを理解されたい。例えば、医師が3カ月後に患者の記録を調べて、データをより多い数の時間ビンに再ビニングするよう指示することができ(長手方向の解像度を増加してより正確に悪性腫瘍の位置を決定するために)、データ(および/または取得ビン)を取り出し、新しいパラメータに従って(例えば、時間ビンの数を50個から100個に変更して)再ビニングすることができる。
【0026】
図示された例示的なスキャナ100はまた、ビニング部110に動作可能に連結され、ビニング部110からビニングされた投影像データを受け、適切な解析技法、反復技法、および/または他のトモシンセシス再構築技法(例えば、投影像データをトモ合成された画像データに変換するために現在使用されているものに類似した)を使用して、走査された物体120を示す合成された2D画像を生成するように構成されたトモシンセシス画像再構築装置112を含む。合成された画像は、物体120の様々な(重複していない)断層撮影面(例えば、スライス)に焦点を合わせることができる。一例では、合成された画像によって示される断層撮影面は、検出器124によって形成された面に平行である。
【0027】
合成された画像は、人間が観察するために、人間が知覚できる形でモニタ114に提示することができる。物体の様々な断層撮影面を示す複数の合成された画像を見ることによって、物体120の実質的に3次元の画像がユーザによって形成され得ることを理解されたい。一実施形態では、モニタ114は、トモシンセシス面の数および/または位置を示す人間による入力を受けるように構成されたユーザインターフェイスを表示する。人間による入力は、例えば、ビニング部110のパラメータを設定するためにビニング決定器116に送信され得る。さらに、ユーザインターフェイスは、物体走査装置102の動作を示す人間による入力を受けるように構成することができ、制御装置118は物体走査装置102に命令を送信することができる。
【0028】
図2は、光子計数検出器224(例えば、図1の124)上で検出された放射線に基づいて物体220(例えば、図1の120)の様々な断層撮影面200(例えば、水平のスライス)を示し得る例示的な画像206を示す。光子計数検出器224は、一緒にグループ化されて検出器224上で検出器面(xおよびy方向において)を形成する画素202から成る。物体220を通過する放射線は、検出器224の画素202によって検出される。
【0029】
放射線は、放射線源222(例えば、図1の122)から放射される。図示した例では、放射線源222は、放射線源222が所定の軌道に沿って移動する(例えば、x方向に)ことを可能にする案内機構204に取り付けられている。放射線が物体を通過するときに、放射線源222が実質的に連続して放射線を放出し得ることが当業者に理解されよう。このようにして、エネルギーがより長い時間間隔にわたって(従来のパルス放射線技法に比べて)放射されるので、放射線源222によって放射されるパワーが低減され得る。
【0030】
物体220の様々な断層撮影面200(例えば、z方向の長手方向範囲)を示す2次元画像206は、再構築技法およびトモシンセシス技法を使用して生成され得る。図示した例では、断層撮影面は検出器面に平行(xおよびy方向において)であり、それぞれの画像はz方向における物体の高さの4分の1を表す。このようにして、医師は、例えば、悪性腫瘍のz座標をより正確に予測することができる。本明細書に記載の技法を使用して生成された実際の画像に示される断層撮影面は、図2に示すような硬調な/鮮明な輪郭を有し得ないことが当業者に理解されよう。すなわち、断層撮影面はわずかに溶け込むことがある(例えば、1つの断層撮影面の輪郭は、別の断層撮影面の輪郭と溶け合うことがある)。
【0031】
物体220が分割される断層撮影面200(したがって、画像)の数は、調整可能(例えば、ビニング部が光子データおよび/または取得ビンをビニングするビンの数を調整することによって)であり得ることが当業者に理解されよう。例えば、ユーザ(例えば、医師)は、z方向における所望の解像度に従って断層撮影面200の数を変化させる(データが取得された後で)ことができる。
【0032】
図3は、光子計数X線検出器(例えば、図2の224)内に含まれる任意の検出器画素(例えば、図2の202)に対して生成され、ビニングされ得る光子データを示す例示的なグラフ300である。x軸304は時間を示し、y軸306は時間の関数としての任意の検出器画素によって検出された光子を示す。光子が任意の検出器画素によって検出された場合、光子に関連するデータが光子データ処理装置(例えば、図1の108)によって生成される(また、実質的に同時に(例えば、1ミリ秒以内に)光子を検出した他の検出器からの他の光子データとともに取得ビンにグループ化され得る)。示された例示的なグラフ300では、検出された光子は棒308によって表される。
【0033】
任意の検出器画素に対する光子データは、ビニング部(例えば、図1の110)によって、他の検出器画素からの類似のデータとともにビニングされ得る。図示した例では、光子データおよび/または取得ビン(光子データが取得ビンにグループ化されている場合)は、時間に応じて第1の複数の時間ビン310にビニングされる(例えば、フィルタリングされ、グループ化されるおよび/またはデータが以前に取得ビンにグループされた場合は再グループ化される)。例えば、走査の第1の5ミリ秒で検出された光子に関連するデータは、第1の時間ビンにグループ化することができ、走査の5秒目と10秒目の間に検出された光子に関連するデータは、第2の時間ビンにグループ化することができる、などである。さらに、光子データは、第2の複数のビンに再ビニングする(例えば、再フィルタリングし、再グループ化する)ことができる(図1の116に類似のビニング決定器に基づいて)。図示した例では、光子データは、第2の複数の時間ビン312に分離される。またおよび/またはその代わりに、検出された位置などの別のデータ特性に基づいてデータをビニングすることができる(例えば、所定の検出器画素からのデータを一緒にグループ化する)ことを理解されたい。図示した例では、ビンは等しい時間スパン(例えば、各ビンにおける走査の5ミリ秒)を表すが、ビンは同等のデータのセット(例えば、等しい時間スパン、等しい数の画素からのデータなど)を含む必要はないことを理解されたい。
【0034】
一実施形態では、データはユーザ入力に基づいてビニングされるおよび/または再ビニングされる。例えば、ユーザは所望の数のトモシンセシス面を指定することができ、ビニング決定器は複数の検出器画素からのデータをどのようにビニングするかを決定することができる。一例では、ビニング決定器は走査の合計時間を所望の数のトモシンセシス面で除算して各ビンの幅を決定する(例えば、それによって、時間ビンが2ミリ秒の等しい時間幅を有し、放射線源が移動した所定の軌道の特定の部分に放射線源がある間に放射された光子に関連するデータを表す)。
【0035】
図4は、例示的な物体走査装置400(例えば、図1の102)の断面部位(例えば、図1の線4−4に沿った)である。物体走査装置400は、互いに対して変化する、放射線源422(例えば、図1の122)と、放射線検出器424(例えば、図1の124)とを含む。放射線源422は、駆動機構426(例えば、図1の126)からの命令および/または力に基づいて検査中の物体420(例えば、図1の120)の一部分のまわりで(例えば、約60未満から約120度)放射線源422を案内するように構成された案内機構404(例えば、図2の204)に取り付けられ得る。
【0036】
図示した例では、放射線源422は物体420のまわりの軌道410をたどり、放射線検出器424は実質的に静止している。しかし、他の構成も企図される。例えば、放射線検出器424は回転することができ、放射線源422は実質的に静止していることができる。別の例では、放射線源422および放射線検出器424は両方とも回転することができるが、それらの相対位置は変化する。
【0037】
放射線406は放射線源422から放射され、検査中の物体420を通過する。物体420を通過する光子(放射線406内に含まれる)は、放射線源422から見て物体420の直径方向に反対側に配置された放射線検出器424(例えば、画素化された光子計数検出器)によって検出される。検出された光子(小さな黒い点402によって表される)は、2次元超小型回路アレイ428によって電子信号(処理されることが可能な)に変換することができる。
【0038】
電子信号は、物体走査装置400から、信号を処理し、検出された光子を示す光子データを生成するように構成された光子データ処理装置408(例えば、図1の108)に送信することができる。例えば、光子データ処理装置は、複数の検出された光子のそれぞれに対する、検出された光子の位置(放射線検出器424上の)、検出時間などを示す光子データを生成することができる。一実施形態では、光子データ処理装置408は、光子の検出時間をその時点での放射線源422の位置と相関させることによって、光子の軌道を示す光子データを生成することもできる。このプロセスは、複数の他の検出された光子(源422の位置(複数可)に関して)のそれぞれから繰り返すことができる。
【0039】
光子データ処理装置408は、検出された光子のそれぞれが放射されたときの放射線源の(実質的に)正確な位置を決定することができない(処理装置の限界により)場合、光子データ処理装置408は、実質的に同一の時点で(例えば、同一のミリ秒内に)検出された光子を複数の取得ビンの1つにビニングし得ることを理解されたい。このようにして、光子データ処理装置408は、複数の取得ビンのそれぞれに対する、放射線源422の近似の位置を決定し得る(例えば、第1の取得ビンにおいて光子データの第1のセットをビニングすると、第1のセットは、検査の第1のミリ秒で検出された光子に関連し、放射線源422が軌道410の第1のミリメートルを通過していた間に放射された光子に関連するデータを含み、第2の取得ビンにおいて光子データの第2のセットをビニングすると、第2のセットは、検査の第2のミリ秒で検出された光子に関連し、放射線源422が軌道410の第2のミリメートルを通過していた間に放射された光子に関連するデータを含む)。
【0040】
図5は、検査中の物体(例えば、ヒト胸部)を示す第1のトモシンセシスデータを生成する例示的な方法500を示す。この方法は502で始まり、504で、物体のトモシンセシス検査中に、X線源から実質的に連続してX線を放射している間、X線源および光子計数X線検出器の相対位置が変化する。一実施形態では、X線源は、中心部分および末端部分を有する軌道に沿って移動する。すなわち、X線源は、物体を中心として配置し、検査中の物体の一部分に好都合なように再配置することができる。別の実施形態では、X線源およびX線検出器の相対位置は、(走査装置の幾何学的な限界に従って)約60未満から約120度の角度範囲にわたって変化する。X線源およびX線検出器の相対位置を変化させる他の手段も企図されることが当業者に理解されよう。例えば、X線源は静止していることができるが、X線検出器は回転する。さらに、X線源およびX線検出器の両方がこれらの相対位置を変化させる方法で移動し得る。
【0041】
506で、検査中に検出されたX線光子を示す光子データが生成される。光子データは、複数の検出された光子のそれぞれに対する検出位置および検出時間を含む。例えば、検出されたX線光子を信号に変換し、検出位置(例えば、光子が検出されたX線検出器上の位置のx、y座標)および検出時間を示すデータを生成するように構成された光子データ処理装置に送信することができる。光子データは検出された光子の他の特性に関連するデータも含み得ることを理解されたい。例えば、光子データは複数の検出された光子のそれぞれに対する光子のエネルギーも含み得る。検出時間により、検出された光子のそれぞれに対する、光子が放射されたときのX線源の相対位置を決定し得ることを理解されたい。一例では、検出された光子を、その検出時間に基づいて取得ビンにビニングすることができ、複数の取得ビンのそれぞれに対するX線源の相対位置を決定することができる。複数の取得ビンのそれぞれが比較的短い時間スパン(例えば、1ミリ秒)で検出された光子に関連するデータを含むことができるように、取得ビンの数は比較的大きくてもよく(例えば、1000)、その結果、取得ビンは軌道の比較的小さい部分(例えば、1ミリメートルの移動)にわたって放射された光子を表すことを理解されたい。
【0042】
508で、光子データは、適切な信号処理を使用して第1の複数のビンに結合されて第1のビニングされた(または結合された)データを生成する。一実施形態では、光子データは、検出された光子の特性(例えば、検出時間、検出位置、エネルギーなど)に応じて結合される。すなわち、第1の複数のビンは、時間ビン、空間ビン、および/またはエネルギービンを含むことができ、例えば、類似の光子(例えば、類似の特性を有する光子)に対する光子データは、1つまたは複数のビンにグループ化することができる。一例では、ビンは等しい幅を有する。例えば、光子データを時間ビンに結合することができ、第1の複数のビンの各ビンは、検査の2ミリ秒を表す(例えば、ビン1は検査の第1の2ミリ秒で検出された光子からの光子データを含み、ビン2は検査の次の2ミリ秒で検出された光子に関連する光子データを含むなど)。結合する前に適切な信号処理(例えば、低域フィルタ)を使用して光子データをフィルタリングして、軌道の比較的大きな部分(例えば、軌道の6ミリメートル)にわたって放射された光子に関連する1つのビン光子データに結合することによって生じる接線方向のぶれを低減することができることを理解されたい。他の結合技法も企図されることも理解されたい。例えば、X線源および検出器が、中央部分および末端部分を有する軌道に沿って変化する場合、中央部分により近い間に放射された光子に関連するビンは、末端部分により近い間に放射された光子に関連するビンよりも短い時間幅を有し得る。
【0043】
一実施形態では、ビンはX線源の相対位置と相関されて複数のトモシンセシス画像を作成する。例えば、走査の第1の2ミリ秒で検出された光子に関連する光子データを含むビンを、走査の第1の2ミリ秒の間の放射線源の相対位置に相関させてトモシンセシス画像(特定の角度範囲からの物体を表す)を形成することができる。このプロセスを第2、第3などのビンについて繰り返して複数のトモシンセシス画像からの画像を形成することができる。
【0044】
光子データが最初に複数の取得ビンに分割される場合、光子データ(および取得ビン)はより少ない数のビンに結合され得ることが当業者に理解されよう。例えば、1000個の取得ビンを50個のビンに結合することができる(例えば、それによって、各ビンは20個の取得ビンに関連する光子データを含む)。取得ビンからのデータの全てを50個のビンに結合することができるわけではないことを理解されたい。例えば、範囲外のデータのいくつか(低域フィルタに基づいた補間の後)を破棄して20個の取得ビンを1個のビンに結合することによって生じる接線方向のぶれを低減することができる。
【0045】
510で、第1のビニングされたデータを使用して物体を示す第1のトモシンセシスデータを生成する。すなわち、複数のビンのそれぞれのビンからのデータを、解析技法、反復技法、もしくは他のトモシンセシスおよび/または再構築技法によってグループ化および/またはフィルタリングして検査中の物体の複数のトモシンセシス面を示す2Dの合成された画像を形成する。合成された画像の数は、複数のビンを含むビンの数の関数であってもよい(例えば、4個のビンは4個の合成された画像を生成することができ、50個のビンは50個の合成された画像を生成することができる、など)ことを理解されたい。
【0046】
一実施形態では、結合する動作および使用する動作を繰り返して光子データを第2の複数のビンに結合し、物体を示す第2のトモシンセシスデータを生成することができる。このようにして、合成された画像の数を増加および/または減少することができる。例えば、第1の複数のビンおよび第2の複数のビンは、類似のパラメータ(例えば、時間)に従って分類したデータを含むことができるが、第2の複数のビンに含まれるビンの幅は、第1の複数のビンにおけるビンの幅と異なることがある(画像品質を改善するためにおよび/または断層撮影面の長手方向の高さを狭めるために)。再結合および再利用するための他のパラメータも企図されることが当業者に理解されよう。例えば、第2の複数のビンは第1の複数のビンに類似し得る(例えば、第1および第2の複数のビンは、2ミリ秒の間隔の検出された光子に関連するデータを含む時間ビンであってもよい)が、第2の複数のビンは第1の複数のビンからオフセット(例えば、1ミリ秒ずつ)され得る(それによって、第2の複数のビンのトモシンセシス面は第1の複数のビンのトモシンセシス面からオフセットされる)。別の例では、第2の複数のビンにおける光子データの構成は、第1の複数のビンにおける光子データの構成と異なっていてもよい(例えば、第1の複数のビンを時間的に構成することができ、第2の複数のビンを検出位置によって構成することができる)。
【0047】
512で、第1の(または第2の)トモシンセシスデータは人間が知覚できる形で提示される。様々な合成された2D画像は、物体の様々なトモシンセシス面を示し得る。例えば、第1の合成された画像は、検査中の物体の底部領域に含まれる対象を示すことができ、第2の合成された画像は、上部領域に含まれる対象を示すことができる。多数の合成された画像が作成され(例えば、50個の画像)、様々な画像が物体の固有の領域(例えば、トモシンセシス面を示す)場合、物体の実質的に3次元の画像を形成することができる。この方法は、514で終了する。
【0048】
図6は、トモシンセシス画像データを生成するための例示的な方法600を示す。この方法は602で始まり、軌道に沿ってX線源および画素化されたX線検出器の相対位置を変化させる間、604でX線はX線源から実質的に連続して放射される。すなわち、X線源および/またはX線検出器は、これらの相対位置が互いに変化する方法で回転される。一般に、これらの相対位置は、約60未満から約120度の角度変化を有し得るが、他の角度変化も企図される。X線源およびX線検出器は、互いに独立しておよび/または互いに連携して移動し得ることを理解されたい。
【0049】
606で、X線検出器によって検出されたX線の検出時間および検出位置が決定される。一実施形態では、X線光子が検出され、光子データ処理装置が検出時間および検出位置(例えば、光子を検出した画素化されたX線検出器上の画素の座標)を決定すると、光子データ処理装置はX線検出器から信号を受け取る。他の特性(検出時間および検出位置以外の)も決定され得ることを理解されたい。例えば、検出された光子の検出角度および/またはエネルギーが決定され得る。
【0050】
608で、決定された検出時間は軌道に沿った位置に相関されて複数の投影像を作成する。すなわち、X線源およびX線検出器の相対位置を知ることができ、また、光子の検出時間に基づいて、検出された光子が放射された時点のX線源およびX線検出器の相対位置を決定することができる。この決定された相対位置および光子の検出位置を使用して、X線源からX線検出器への光子の軌道を決定することができる。一実施形態では、光子のグループ(および対応する光子データ)を、光子が検出された時間間隔に基づいて取得ビンにビニングすることができる(例えば、走査の第1のミリ秒で検出された光子を1つの取得ビンにグループ化することができ、走査の第2のミリ秒で検出された光子を第2の取得ビンにグループ化することができる、など)。光子および/または取得ビンに関連する光子データをフィルタリングし(低域フィルタによって)、ビニングする(または光子データが既に取得ビンにビニングされている場合は再ビニングする)ことができる。一例では、類似した第1の位置から放射された光子に関連するデータを一緒にビニングして第1の投影像を形成することができ、類似した第2の位置から放射された光子に関連するデータに基づいて第2の投影像を形成することができる。このようにして、複数の投影像を形成することができる。
【0051】
610で、複数の投影像が処理されて検査中の物体を示すトモシンセシスデータを生成する。一実施形態では、投影像は2次元(2D)画像に再構築され、適切な解析技法または反復技法を使用してトモシンセシスにかけられる。合成された画像(例えば、トモシンセシス後に生成された画像)は、検査中の物体の様々な断層撮影面を表し得ることを理解されたい。表された断層撮影面の数は、作成された投影像の数の関数であってもよいことも理解されたい。例えば、データが5つの投影像に分離される場合、5つのトモシンセシス画像(物体の5つの断層撮影面を表す)が作成され得る。
【0052】
本明細書に記載される技法は、当技術分野において現在使用されている技法に比べて多数の利益を提供することが当業者に理解されよう。例えば、同等の数の合成された画像の品質は、本明細書に記載される技法を使用して改善され得る。信号対雑音比は、本明細書に開示される技法を使用すると比較的重要ではなくなるので、物体に対する放射線の全体量は、より大きい角度範囲(例えば、約60未満から約120度)にわたって分散し得る。さらに、放射線は実質的に連続して放射され得るので、断層撮影面はトモシンセシス画像の数および/または画像間の角度間隔の関数ではない。むしろ、データは軌道に沿った本質的に無限の数の点で取得され、複数の異なる特性に従ってビニングされて物体の断層撮影面を生成し得る。したがって、より大きい角度範囲(例えば、2度以上)によって生じるアーチファクトは低減され得る。
【0053】
画像品質は、本明細書に記載される技法を使用して、焦点の仮想の「伸長」によって生じる接線方向のぶれを低減することおよび/または焦点のサイズを縮小することによって(光子データを取得ビンにビニングすることによっておよび/または低域フィルタリングによって)さらに改善され得る。光子のエネルギーが測定されるのではなく、光子が計数されるので、焦点の仮想の「伸長」は投影像を作成するために使用されるデータ(および、したがって、最終的に生成される画像)に影響を与えない。さらに、放射線が実質的に連続して放射され得るので、放射線源に対するパワーが低減され得る(例えば、焦点のサイズを低減させ、画像品質を改善する一方で、コストも低減する)。
【0054】
本明細書に記載される技法は、放射線源および検出器の相対位置をより速い速度で変化させることができるので、検査の時間を短縮することもできる。現行の技法を使用すると、放射線源および/または検出器が変化する速度は、相対位置があまりにも急速に変化した場合に作成される仮想の「伸長」によって制限される。本明細書に記載される技法は光子を計数するので、放射線源および検出器の相対位置をより急速に変化させることができる。例えば、マンモグラフィ走査では、胸部はしばしば圧縮された(および不快な)状態で配置されるので、これは特に有利であり得る。
【0055】
様々な実施形態を参照しながら用途を説明してきた。用途を読めば、変更形態および改変形態が想起されるであろう。本発明は、このような全ての変更形態および改変形態が添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内にある場合を含め、これらの変更形態および改変形態を含むものとして解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体のトモシンセシス検査中に、X線源から実質的に連続してX線を放射している間、前記X線源および光子計数X線検出器の相対位置を変化させるステップ(504)と、
前記検査中に検出されたX線光子を示す光子データを生成するステップ(506)であって、前記光子データが、複数の前記検出された光子のそれぞれに対する検出位置および検出時間を含むステップと、
適切な信号処理を使用して前記光子データを第1の複数のビンに結合して第1のビニングされたデータを生成するステップ(508)と、
前記第1のビニングされたデータを使用して前記物体を示す第1のトモシンセシスデータを生成するステップ(510)と、
前記第1のトモシンセシスデータを人間が知覚できる形で提示するステップ(512)と
を含むことを特徴とするトモシンセシス方法(500)。
【請求項2】
前記第1の複数のビンは、時間ビンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の複数の時間ビンは、等しい時間幅を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記X線源および検出器の相対位置は、中央部分および末端部分を有する軌道に沿って変化し、前記中央部分により近い前記時間ビンは、前記末端部分により近い前記時間ビンの時間幅未満の前記時間幅を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
結合するステップは、前記光子検出時間に応じて前記光子データを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記光子検出時間に応じて前記光子データを第2の複数のビンに結合して第2のビニングされたデータを生成するステップと、
前記第2のビニングされたデータを使用して前記物体を示す第2のトモシンセシスデータを生成するステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の複数のビンは、幅において前記第2の複数のビンと等しく、前記第2の複数のビンからオフセットされることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の複数のビンの幅は、前記第2の複数のビンの幅と等しくないことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記源および検出器の相対位置は、軌道に沿って変化し、第1の複数のビンのそれぞれのビンは、前記軌道に沿った位置に対応することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
結合するステップは、前記光子検出時間および前記光子検出位置に応じて前記検出された光子を第1の複数のビンに結合するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
変化させるステップは、約60未満から約120度の角度範囲にわたって前記X線源および光子計数X線検出器の相対位置を変化させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記光子データは、複数の前記検出された光子のそれぞれに対する光子エネルギーを含み、前記第1の複数のビンは、エネルギービンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
検査中の前記物体は、基本的にヒト胸部から成ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
検査中の物体(120)を選択的に受けるように構成された検査領域(130)と、
電離放射線源(122)と、
前記物体(120)を通過した前記電離放射線源(122)からのX線を検出する光子計数X線検出器(124)と、
前記物体(120)の検査中に前記電離放射線源(122)および前記X線検出器(124)の相対位置を約60未満から約120度の角度範囲を有する軌道(410)に沿って変化させるように構成された駆動装置(126)と、
前記物体(120)の前記検査中に前記X線検出器(124)によって検出された複数のX線のそれぞれの前記位置および検出時間を示す光子データを生成するように構成された光子データ処理装置(108)と
を含むことを特徴とする装置(100)。
【請求項15】
検査中の前記物体(120)を圧縮するように構成された圧縮器(128)を含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
検出時間に応じて前記光子データをビニングするように構成されたビニング部(110)を含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記ビニング部(110)は、前記位置に応じて前記光子データをビニングするように構成されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
ビニング部(110)は、前記光子データを約50個よりも多い時間ビンにビニングするように構成されることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項19】
トモシンセシス画像面の数および位置を示す人間による入力を受けるように構成されたユーザインターフェイスと、前記数および位置に応じて前記光子データをビニングするビニング部(110)とを含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記検出器(124)は、直接変換型X線検出器材料を含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項21】
前記材料は、結晶光電材料または非晶質光電材料を含むことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記検出器(124)は、シンチレータと、前記電離放射線源(122)からのX線に反応して前記シンチレータによって生成された光子を受ける光ダイオードの2次元アレイとを含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項23】
前記位置は、検出角度を含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項24】
前記検出器(124)は、検出されたX線光子に反応して検出器信号を生成し、前記装置(100)は、前記検出器信号を整形するように構成されたパルス整形器(104)と、前記整形された検出器信号の振幅および閾値を比較するように構成された閾値決定器(106)とを含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項25】
トモシンセシス画像データを生成する方法(600)であって、
X線源および画素化されたX線検出器の相対位置を軌道に沿って変化させながら、前記X線源からX線を実質的に連続して放射するステップ(604)と、
前記X線検出器によって検出されたX線の検出時間および検出位置を決定するステップ(606)と、
前記決定された検出時間を前記軌道に沿った位置と相関させて複数の投影像を作成するステップ(608)と、
前記複数の投影像を処理して検査中の物体を示すトモシンセシス画像データを生成するステップ(610)と
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2012−509735(P2012−509735A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538594(P2011−538594)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/084955
【国際公開番号】WO2010/062291
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(592009111)アナロジック コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】