説明

光学シート、ディスプレイ用バックライトユニット、表示装置

【課題】色域の拡大によって色再現性を向上させる。
【解決手段】 光学シートA1は、基材層60と、この基材層60における光の出射面側、又は入射面側の少なくとも一方に設けられ、RG中間発光色をカットする中間発光色カット層70と、を備える。 中間発光色カット層70は、透明樹脂層中に波長590nm付近のRG中間色を吸収する色素を含有して構成される。透明樹脂は、光線透過率が88%以上であればよく、基材層60と同質の材質でもよいし、異なる材質でもよい。例えば、ポリカーボネート、アクリル、アクリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、非晶質ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、嵩高環状オレフィンポリマー等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光路制御に用いられる光学シート、ディスプレイ用バックライトユニット、及び表示装置に関するものである。特に、フラットパネルディスプレイに代表される画像表示装置における照明光路制御に使用される光学シート組み合わせ、バックライトユニット及びディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)型液晶パネルやSTN(Super Twisted Nematic)型液晶パネルを使用した液晶ディスプレイ装置は、主としてOA分野のカラーノートPC(パーソナルコンピュータ)を中心に商品化されている。このような液晶ディスプレイ装置においては、液晶パネルの背面側(観察者と反対の側)に光源を配置し、この光源からの光で液晶パネルを照明する方式、所謂バックライト方式が採用されている。この種のバックライト方式に採用されているバックライトユニットとしては、大別して冷陰極管(CCFT:Cold Cathode Fluorescent Tube)等の光源ランプを、光透過性に優れたアクリル樹脂等からなる平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(所謂エッジライト方式)と、導光板を用いずに冷陰極管(CCFT)等の光源ランプからの光で直接照明する「直下型方式」の二種類の方式とがある。
【0003】
導光板ライトガイド方式のバックライトユニットが搭載された液晶ディスプレイ装置としては、例えば、図12に示すものが一般に知られている。この種の液晶ディスプレイ装置は、表裏両面を偏光板171、173で挟んでなる液晶パネル172が上部に位置して配設され、液晶パネル172の下面側に、略長方形の板状を呈するPMMA(ポリメチルメタクリレート)やアクリル等の透明な基材からなる導光板179が配置されており、この導光板179の上面(光射出側)に拡散フィルム(拡散層)178が設けられている。さらに、導光板179の下面に、導光板179に導入された光を効率よく液晶パネル172に向け均一となるように散乱して反射されるための散乱反射パターン部(図示せず)が印刷などによって設けられると共に、散乱反射パターン部の下方に反射フィルム(反射層)177が設けられている。
【0004】
また、上記導光板179には、その側端部に光源ランプ176が設けられており、さらに、光源ランプ176の光を効率よく導光板179中に入射させるべく、光源ランプ176の背面側を覆うようにして高反射率のランプリフレクター181が設けられている。上記散乱反射パターン部は、白色である二酸化チタン(TiO2)粉末を透明な接着剤等の溶液に混合した混合物を、所定パターン(例えばドットパターン)にて印刷し乾燥、形成したものであり、導光板179内に入射した光に指向性を付与し、光射出面側へと導くようになっている。これは高輝度化を図るための工夫である。
【0005】
直下型方式のバックライトは、導光板の利用が困難な大型の液晶TVなどのディスプレイ装置に用いられている。直下型バックライト方式のディスプレイ装置としては、図13に示す液晶ディスプレイ装置が一般的に知られている。この液晶ディスプレイ装置は、表裏両面を偏光板171、173に挟んでなる液晶パネル172が上部に位置して配設され、液晶パネル172の下面側に蛍光管等からなる光源151が配置される。さらに、光源151の上面側に拡散フィルム182のような光学シートが設けられている。また、光源151の背面には、光源151から液晶パネル172と反対の方向に向かう光を液晶パネル172側へ反射させるリフレター152が配置されている。よって光源151から射出される光は拡散フィルム182で拡散され、この拡散光を高効率で液晶パネル172の有効表示エリアに集光させる。
【0006】
しかし、これらの液晶ディスプレイ装置では、視野角の制御が拡散フィルム178、182の拡散特性にのみ委ねられており、その制御が難しいという問題があった。例えば、正面方向から見た場合は液晶ディスプレイの表示画面は明るいが、横方向から見た場合には、表示画面が暗くなる場合があった。また、液晶ディスプレイの中心部は明るく、周辺部が暗くなるという問題もあった。このように光の利用効率が悪いという問題があった。
【0007】
そこで、上述の問題を解決する一つの方法として、図14及び図15に示すように、米国3M社の登録商標である高輝度強調フィルム(BEF:Brightness Enhancement Film)185をバックライト用照明光源190の上方に位置して配置され、さらに、高輝度強調フィルム185の上方である光出射面側に図示しない光拡散フィルムを配置する方法が採用されている。高輝度強調フィルム185は、透明基材186の上面である光出射面に、断面が三角形状の単位プリズム187が一方向に一定のピッチで配列されたフィルムである。この単位プリズム187は光の波長に比較して大きいサイズ(ピッチ)である。高輝度強調フィルム185は、“軸外(off-axis)”からの光を集光し、この光を視聴者に向けて“軸上(on-axis)”に方向転換(redirect)または“リサイクル(recycle)”する。
【0008】
高輝度強調フィルム185は、ディスプレイ装置の使用時(観察時)に、軸外輝度を低下させることによって軸上輝度を増大させ、ディスプレイ装置の表示品位を向上させる。ここで言う「軸上」とは、視聴者の視覚方向に一致する方向であり、一般的にはディスプレイ画面に対する法線方向である。また、高輝度強調フィルム185は、通常、単位プリズムの反復的アレイ構造が1方向のみの配列からなり、その配列方向での方向転換またはリサイクルのみが可能となる。そのため、水平方向及び垂直方向の両方向での表示光の輝度制御を行なうためには、単位プリズム群の配列方向が互いに略直交するように、2枚の高輝度強調フィルムを重ねて組み合わせて用いる必要がある。
【0009】
そこで、最近では、光利用効率をアップして高輝度化を図るために、図16に示すように、拡散フィルム178と液晶パネル172との間に、集光機能を備えたプリズムフィルム(プリズム層)174、175を設けることが提案されている。このプリズムフィルム174、175は導光板179の光射出面から射出され、拡散フィルム178で拡散された光を高効率で液晶パネル172の有効表示エリアに集光させるものである。このような高輝度強調フィルムを採用することにより、ディスプレイ設計者が電力消費を低減しながら所望の軸上輝度を達成することができるようになった。高輝度強調フィルムに代表されるプリズムの反復的アレイ構造を有する輝度制御部材をディスプレイ装置に採用した技術は、特許文献1〜3において従来から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平1−37801号公報
【特許文献2】特開平6−102506号公報
【特許文献3】特表平10−506500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年、小型化、軽量化、省電力化設計の点で有利であることや水銀を含まないこと、高圧回路が不要であるため安全設計の負荷や高調波電流・高周波ノイズ発生の懸念が軽減されること、振動や衝撃に対する耐性に優れていること、低温起動性や調光範囲の広さの点で優れていることなど、さまざまなメリットを有するためにLEDを光源とするバックライトユニットを用いた液晶ディスプレイが主流になりつつある。
【0012】
しかしながら、色再現性においては、現在バックライト光源として用いられている白色LEDの多くは、CCFLと比べ色調(演色性)が劣るという問題がある。これは、現在主流となっている白色LEDが、青色LEDチップによって、その補色にあたる黄色の蛍光体を励起することで白色光を実現しているため、CCFLに比べて赤や緑の波長成分が乏しいことに起因するためである。
【0013】
このため、従来の白色LEDをバックライトの光源に採用した場合、広色度域タイプのカラーフィルタと組み合わせても、赤や緑の再現範囲を拡大するのに限界があり、RGBの色再現領域を十分にカバーすることは困難であった。
また、この問題を解決するために白色LEDの代わりにRGBの三原色のLEDを組み合わせる方法もあるが、三色で白色を実現するためコストが高くなってしまう。
【0014】
本発明の課題は、ディスプレイの照明光路制御に使用される光学シートであって、色域の拡大によって色再現性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る本発明は、ディスプレイの照明光路制御に使用される光学シートにおいて、RGの中間発光色をカットすることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の光学シートであって、光の入射面側又は出射面側の少なくとも一方に、RGの中間発光色をカットする中間発光色カット層を有することを特徴とする。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明の光学シートであって、光の入射面側及び出射面側の一方に、複数の単位レンズを配列することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明の光学シートであって、前記単位レンズの表面上に、RGの中間発光色をカットする中間発光色カット層を有することを特徴とする。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項3に係る発明の光学シートであって、光の入射側及び出射側の他方に、RGの中間発光色をカットする中間発光色カット層を有することを特徴とする。
請求項6に係る発明は、光源と、前記光源から発せられた光を入射し、入射した光を拡散させて射出する拡散板と、請求項1〜5の何れか一項に係る発明の光学シートと、を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項7に係る発明は、画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する画像表示素子と、前記画像表示素子の背面に設けられた請求項6に係る発明のディスプレイ用バックライトユニットと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コストアップを抑制しつつ、色域の拡大によって色再現性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第一実施形態を示す光学シートA1の概略構成図である。
【図2】第二実施形態を示す光学シートB1の概略構成図である。
【図3】第三実施形態を示す光学シートC1の概略構成図である。
【図4】第四実施形態を示す光学シートD1の概略構成図である。
【図5】ディスプレイ装置の一例を示す概略構成図である。
【図6】ディスプレイ装置の他の一例を示す概略構成図である。
【図7】分光透過率評価の結果を示す図である。
【図8】試験例1、2の構成及び評価結果を示す図である。
【図9】試験例1、2の評価結果を示すマップである。
【図10】試験例3、4の構成及び評価結果を示す図である。
【図11】試験例3、4の評価結果を示すマップである。
【図12】従来におけるディスプレイ装置の一例を示す概略構成図である。
【図13】従来におけるディスプレイ装置の他の一例を示す概略構成図である。
【図14】従来におけるバックライトユニットの一例を示す概略断面図である。
【図15】従来におけるBEFの一例を示す斜視図である。
【図16】従来におけるディスプレイ装置の他の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明にかかる光学シートの組み合わせ及びこれを用いたバックライトユニット並びに当該バックライトユニットを具備する液晶ディスプレイ装置の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図に示す各部位の縮尺または比率は実際とは一致しない。また、これに限定されるものでもない。
【0022】
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態を示す光学シートA1の概略構成図である。
光学シートA1は、基材層60と、この基材層60における光の出射面側、又は入射面側の少なくとも一方に設けられ、RG中間発光色をカットする中間発光色カット層70と、を備える。
【0023】
基材層60は、光線透過率が88%以上であれば任意の材質でよい。例えば、ポリカーボネート、アクリル、アクリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、非晶質ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、嵩高環状オレフィンポリマー等である。
【0024】
中間発光色カット層70は、透明樹脂層中に波長590nm付近のRG中間色を吸収する色素を含有して構成される。透明樹脂は、光線透過率が88%以上であればよく、基材層60と同質の材質でもよいし、異なる材質でもよい。例えば、ポリカーボネート、アクリル、アクリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、非晶質ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、嵩高環状オレフィンポリマー等である。
【0025】
中間発光色カット層70の成形は、例えばコーティング方式や押出方式があるが、勿論、これに限定されるものではない。
【0026】
(第二実施形態)
図2は、第二実施形態を示す光学シートB1の概略構成図である。
光学シートB1は、基材層61と、この基材層61における光の出射面側に配列された複数の単位レンズ42と、基材層61における光の入射面側に設けられ、RG中間発光色をカットする中間発光色層71と、を備える。
【0027】
中間発光色カット層71は、透明樹脂層中に波長590nm付近のRG中間色を吸収する色素を含有して構成される。透明樹脂は、光線透過率が88%以上であれば、基材層61や単位レンズ42と同質の材質でもよいし、異なる材質でもよい。
単位レンズ42の形状は、例えばプリズム形状や四角錐形状であるが、勿論、これに限定されるものではない。
【0028】
中間発光色カット層71、光学シートB1及び単位レンズ42の製造方法は、製造コストを考慮した場合、押出し方式で製造するのが好ましいが、単位レンズ42と基材層61とが光透過性の材料であれば異なる材料からなってもよく、透明基材上に紫外線硬化樹脂にて単位レンズ43を付与してもよい。
【0029】
基材層60は、光線透過率が88%以上であれば任意の材質でよい。例えばポリカーボネート、アクリル、アクリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、非晶質ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、嵩高環状オレフィンポリマー等である。
【0030】
(第三実施形態)
図3は、第三実施形態を示す光学シートC1の概略構成図である。
光学シートC1は、基材層62と、この基材層62における光の出射面側に配列された複数の単位レンズ43と、この単位レンズ43の表面に設けられ、RG中間発光色をカットする中間発光色カット層72と、を備える。
【0031】
中間発光色カット層72は、透明樹脂層中に波長590nm付近のRG中間色を吸収する色素を含有して構成される。透明樹脂は、光線透過率が88%以上であれば、レンズ43及び基材層62と同質の材質でもよいし、異なる材質でもよい。
【0032】
単位レンズ43の形状は、例えばプリズム形状や四角錐形状であるが、勿論、これに限定されるものではない。
中間発光色カット層72、光学シートC1及び単位レンズ43の製造方法は、製造コストを考慮した場合、押出し方式で製造するのが好ましいが、単位レンズ43と基材層62とが光透過性の材料であれば異なる材料からなってもよく、透明基材上に紫外線硬化樹脂にて単位レンズ43を付与してもよい。
【0033】
基材層60は、光線透過率が88%以上であれば任意の材質でよい。例えば、ポリカーボネート、アクリル、アクリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、非晶質ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、嵩高環状オレフィンポリマー等である。
【0034】
(第四実施形態)
図4は、第四実施形態を示す光学シートD1の概略構成図である。
光学シートD1は、前述した基材層と単位レンズとを全てRG中間発光色をカットする材質で形成した中間発光色カット単位レンズ73で構成される。
【0035】
中間発光色カット単位レンズ73は、透明樹脂層中に波長590nm付近のRG中間色を吸収する色素を含有して構成される。透明樹脂は、光線透過率が88%以上であれば任意の材質でよい。例えば、ポリカーボネート、アクリル、アクリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、非晶質ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、嵩高環状オレフィンポリマー等である。
【0036】
単位レンズの形状は、例えばプリズム形状や四角錐形状であるが、勿論、これに限定されるものではない。
光学シートD1の製造方法は、製造コストを考慮した場合、押出し方式で製造するのが好ましいが、単位レンズと基材層とが光透過性の材料であれば異なる材料からなってもよく、透明基材上に紫外線硬化樹脂にて単位レンズを付与してもよい。
【0037】
(第五実施形態)
図5は、ディスプレイ装置の一例を示す概略構成図である。
ディスプレイ装置1は、バックライトユニット2と、画像表示素子又は液晶表示素子としての液晶パネル3と、を備えている。バックライトユニット2は、ランプハウス6と、光学シート群12と、を備える。ランプハウス6は、例えばサイドに所定間隔で配列された複数の光源176と、この光源176と対面して配設され光源176からの光を垂直方向に出射する導光板179と、この導光板179の出射反対側に設けられたドット180と、を備える。光源176は、LEDである。
【0038】
光学シート群12は、導光板179の出射方向前方側に設けられ、中間発光色カット層70を有する光学シートA1と、単位レンズ43を有し光を正面に集光させるプリズムシート33と、シリンドリカル形状の単位レンズ43aを有するマイクロレンズシート81と、が順に配設されている。
【0039】
液晶パネル3は、二枚の偏光板9によって液晶素子10を挟持して構成される。
光学シートB1と液晶パネル3との間には、他の光学シートを配設してもよい。
【0040】
図6は、ディスプレイ装置の他の一例を示す概略構成図である。
ここでは、図5のディスプレイ装置と比べて、光学シート群12の構成のみが異なるので、同一部分の説明は省略する。光学シート群12は、中間発光色カット層72を有する光学シートC1と、シリンドリカル形状の単位レンズ43aを有するマイクロレンズシート81と、が順に配設されている。
【0041】
以下、本発明を実施例について具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例1】
【0042】
<光学シートの作製>
シアニン系色素(株式会社ADEKA製アデカアークルズTY167)をアクリル樹脂に分散させたコーティング液を250μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材上にコートすることにより、図1に示す光学シートA1を得た。
【実施例2】
【0043】
光の出射面側に断面三角形状単位レンズ形状を有する250μm厚みのPC製光学シートの光の入射面上にアデカアークルズTY167をアクリル樹脂に分散させたコーティング液をコートすることにより、図2に示す光学シートB1を得た。
【実施例3】
【0044】
光の出射面側に断面三角形状単位レンズ形状を有する250μm厚みのPC製光学シートの単位レンズ面上にミストコーティングを用いてアデカアークルズTY167をウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂に分散させたコーティング液を製膜し、紫外線を照射し硬化させることにより、図3に示す光学シートC1を得た。
【0045】
(試験例1)
<分光透過率評価>
光学シートA1の分光透過率を分光光度計UV-2400PC(株式会社 島津製作所製)にて測定を実施した。結果を図7に示す。前記光学シートA1の分光透過率は波長590nmで極小値となり、透過率が約20%となった。
【0046】
<色評価>
図5のディスプレイ装置1に対して、色彩輝度計BM-7(株式会社トプコン製)にて測定距離50cm、測定角2°で測定を実施した。測定は、赤画面(R)、緑画面(G)、青画面(B)それぞれ表示時のXYZ表色系色度図の色度(xR、yR)、(xG、yG)、(xB、yB)を測定した。xR、yRはそれぞれ赤画面(R)時のxy色度である。結果を図8の表に示す。図8における比較例にはディスプレイ装置1(評価用TV)に初めから搭載されていた導光板179、マイクロレンズシート81、プリズムシート33を用いた。
【0047】
<NTSC比評価>
現行のTVは、NTSC(National Television System Committee)方式によるカラー表示が標準となっている。表示ディスプレイ側の色再現範囲がNTSCより狭い場合には、表示される画像は元の信号の色よりも狭い色域で表示されることになり、ダイナミックレンジが損なわれるため、画質の劣化につながってしまう。
【0048】
この色再現範囲の指標として、所謂NTSC比がある。これは、xy色度図上に表示ディスプレイが再現できる色範囲の点を面積で表したときの、NTSCの再現範囲の面積との比率で表現したものであり、次の(1)式で表される。
NTSC比(%)=(表示ディスプレイの三角形の面積S1)
/(NTSCの三角形の面積S0) ……(1)
【0049】
ここで、NTSC比の具体的計算方法を説明する。
色度図上の色再現範囲を示す三角形の面積Sは、次の(2)〜(6)式により求められる。
辺RG=[(xR−xG)2+(yR−yG)21/2 ……(2)
辺GB=[(xG−xB)2+(yG−yB)21/2 ……(3)
辺BR=[(xB−xR)2+(yB−yR)21/2 ……(4)
s=(辺RG+辺GB+辺BR)/2 ……(5)
面積S=[s×(s−辺RG)×(s−辺GB)×(s−辺BR)]1/2
……(6)
【0050】
ここで、(xR,yR)、(xG,yG)、(xB,yB)は、色度図上の三角形における赤色(R),緑色(G),青色(B)の各頂点座標(R色度点,G色度点,B色度点)である。辺RG,GB,BRは、それぞれR色度点とG色度点との距離、G色度点とB色度点との距離、B色度点とR色度点との距離である。NTSC方式の場合、各頂点座標は以下の通りであるから、面積S0≒0.158となる。
xR=0.67,yR=0.33
xG=0.21,yG=0.71
xB=0.14,yB=0.08
【0051】
実施例1の赤画面(R)、緑画面(G)、青画面(B)それぞれ表示時のXYZ表色系色度図の(xR、yR)、(xG、yG)、(xB、yB)から式(1)〜(6)を用いてNTSC比(%)を算出した。結果を図8に示す。また、図9にXYZ表色系色度図を示す。光学シートA1をプリズムの上に搭載することで、比較例と比べてNTSC比が+8%と向上していることが確認された。
【0052】
(試験例2〜4)
次に、試験例1と同様にして、実施例2〜3の光学シートの評価を実施した。試験例1〜4の光学シートの組み合わせの評価を実施した。実施した試験例を図6に示し、色度評価の結果を図8〜図11に示す。
【符号の説明】
【0053】
1…ディスプレイ装置、2…バックライトユニット、3…液晶パネル、6…ランプハウス、9…偏光板、10…液晶素子、12…光学シート群、33…プリズムシート、42…単位レンズ、43…単位レンズ、43a…単位レンズ、60…基材層、61…基材層、62…基材層、70…中間発光色カット層、71…中間発光色カット層、72…中間発光色カット層、73…中間発光色カット単位レンズ、81…マイクロレンズシート、176…光源、179…導光板、180…ドット、A1…光学シート、B1…光学シート、B1…光学シート、C1…光学シート、D1…光学シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイの照明光路制御に使用される光学シートにおいて、
RGの中間発光色をカットすることを特徴とする光学シート。
【請求項2】
光の入射面側又は出射面側の少なくとも一方に、RGの中間発光色をカットする中間発光色カット層を有することを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
光の入射面側及び出射面側の一方に、複数の単位レンズを配列することを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項4】
前記単位レンズの表面上に、RGの中間発光色をカットする中間発光色カット層を有することを特徴とする請求項3に記載の光学シート。
【請求項5】
光の入射側及び出射側の他方に、RGの中間発光色をカットする中間発光色カット層を有することを特徴とする請求項3に記載の光学シート。
【請求項6】
光源と、前記光源から発せられた光を入射し、入射した光を拡散させて射出する拡散板と、請求項1〜5の何れか一項に記載の光学シートと、を備えることを特徴とするディスプレイ用バックライトユニット。
【請求項7】
画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する画像表示素子と、前記画像表示素子の背面に設けられた請求項6に記載のディスプレイ用バックライトユニットと、を備えることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−221436(P2011−221436A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92975(P2010−92975)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】