説明

光学フィルムの反りを低減するための材料、構造、および方法

【課題】繰り返し温度変化にさらされた場合の反りが生じにくい光学体を提供すること。
【解決手段】改良された寸法安定性を有する多層光学体が開示される。前記光学体が、延伸多層光学フィルムなどの光学フィルムと、i)ポリスチレンまたは第1のポリスチレンコポリマーと、ii)第2のポリスチレンコポリマーとの組合せを含有する寸法安定性(反り抵抗性)層と、を備えるか、または前記層が、ノルボルネンベースのポリマーを含有する。さらに、特定の実装例において、本発明が、光学フィルムと寸法安定性層との間に中間層を含有する。前記光学体の製造方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学体、および光学体の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、繰り返し温度変化にさらされた場合の反りが生じにくい光学体、およびかかる光学体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層ポリマー光学フィルムは、ミラーや偏光子などとして種々の目的で広範囲に使用されている。これらのフィルムは、反射率が非常に高い場合が多く、さらに軽量であり破壊に対して抵抗性である。したがって、かかるフィルムは、携帯電話、個人情報機器、およびポータブルコンピューターに配置される液晶ディスプレイ(LCD)などの小型電子ディスプレイの反射体および偏光子としての使用に好適である。
【0003】
ポリマー光学フィルムは好都合な光学的性質および物理的性質を有する場合があるが、このようなフィルムのうちの幾つかには、温度変動にさらされた場合に(通常使用時に遭遇する温度変動でさえも)有意な寸法不安定性を示す場合があるという欠点がある。この寸法不安定性のために、フィルムが膨張や収縮した場合にしわが形成されることがある。温度が約80℃かまたはそれ以上になると、このような寸法不安定性が特によく発生する。これらの温度では、フィルムは平滑な表面を維持することができず、反りが生じるためにしわを形成する。概して、しわの形成は、フィルムの反りの一般的な指標の1つである。この反りは、デスクトップのLCDモニターやノートブックコンピューターに使用されるようなより大きなフィルムに特に顕著となることが多い。反射偏光子フィルムの反りは、LCDに影の列として表れる。60℃で相対湿度70%などの高温多湿条件にフィルムが繰り返しさらされる場合にも反りが観察される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−014901号公報
【特許文献2】国際公開第02/34514号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、光学体および光学体の製造方法に関するものであり、特に、光学フィルム上に配置された少なくとも1つの反り抵抗性層を有する光学体に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、光学フィルムと前記光学フィルム上に配置された少なくとも1つの反り抵抗性層とを備える光学体である。少なくとも1つの反り抵抗性層は、i)ポリスチレンまたは第1のポリスチレンコポリマーと、ii)第2のポリスチレンコポリマーとの組合せを含有する。1つの例において、第1のポリスチレンコポリマーは、スチレンアクリロニトリルコポリマーである。
【0007】
本発明の別の実施形態は、光学フィルムと前記光学フィルム上に配置された少なくとも1つの反り抵抗性層とを備える光学体である。少なくとも1つの反り抵抗性層は、ノルボルネンベースのポリマーを含有する。
【0008】
本発明のさらに他の実施形態には、光学体の製造方法が含まれる。前記方法は、光学フィルム上に上記の反り抵抗性層の少なくとも1つを形成する工程を有する。
図面を参照しながら、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施態様により構成され配置された光学体の側面図であり、光学フィルム、寸法安定性層、および中間層を有する光学体を示している。
【図2】本発明の第2の実施態様により構成され配置された光学体の側面図であり、中間層のない光学体を示している。
【図3】本発明の第3の実施態様により構成され配置された光学体の側面図であり、2つの寸法安定性層を有する光学体を示している。
【図4】本発明の一実施態様による光学体を作製するためのシステムの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述したように、本発明は、反りが生じにくい光学体を提供する。このような反りは、一部の光学フィルム、特に延伸ポリマー光学フィルムなどのポリマー光学フィルムに発生する。この光学体は、光学フィルム、1つ以上の寸法安定性層、および1つ以上の任意の追加層を含む。任意の追加層は、光学フィルムと寸法安定性層との間の中間接合層であってよい。
【0011】
寸法安定性層は、光学フィルムの反りが生じにくくするのを助ける。言い換えれば、寸法安定性層を光学フィルムと共に使用することによって光学フィルムの反りを低減する。寸法安定性層は、光学フィルムの反りを生じさせる高温、多湿、または両方の条件下で実質的に反りを生じないので、寸法安定性であると考えられる。
【0012】
本発明の種々の一般的な実施形態を示している図1〜3をこれより参照する。図1において、光学体10は、光学フィルム12、寸法安定性層14、および中間層16を有する。図1に示される実施例の3層は、最も厚い層である寸法安定性層14と、それに続く厚さの光学フィルム12と、中間層16とを示している。しかしながら、これらの層は図1に示されるものと異なる相対的厚さを有するように構成されてもよい。したがって、場合によっては光学フィルム12が寸法安定性層14よりも厚いこともある。
【0013】
図2において、光学体10’は、光学フィルム12と寸法安定性層14を有するが、さらに別の独立した中間層は含まない。図3は、本発明の光学体10’’のさらに別の実装例を示しており、1つの光学フィルム12と2つの寸法安定性層14とを有する。光学体10’’は2つの中間層16も有する。図面に示されていない本発明の他の実装例は、2つの寸法安定性層を有するが中間層は存在しない光学体を含む。
【0014】
本発明の光学体の製造方法ならびにこれらの種々の成分を以下に説明する。
【0015】
多種多様の光学フィルムが本発明の使用に好適である。特に、延伸ポリマー光学フィルムなどのポリマー光学フィルムは、温度変動にさらされることによる反りが生じやすいため、本発明を使用すると好適である。
【0016】
光学フィルムとしては、広い帯域幅で高い反射率を有する(すべてが複屈折性光学層、一部が複屈折性光学層、あるいはすべてが等方性光学層で構成されているにせよ)多層フィルムなどの多層光学フィルム、および連続/分散相光学フィルムが挙げられる。光学フィルムとしては偏光子とミラーが挙げられる。一般に、多層光学フィルムは鏡面反射体であり、連続/分散相光学フィルムは拡散反射体であるが、これらの性質は普遍的なものではない(例えば、米国特許第5,867,316号明細書に記載される拡散多層反射偏光子を参照されたい)。これらの光学フィルムは単なる例であり、本発明が有用となる好適なポリマー光学フィルムを網羅的に挙げたものではない。
【0017】
多層反射光学フィルムと連続/分散相反射光学フィルムはどちらも、少なくとも1つの偏光方向の光を選択的に反射する少なくとも2種類の異なる材料(好ましくはポリマー)の間の屈折率差に依存する。好適な拡散反射偏光子としては、米国特許第5,825,543号明細書(この記載内容を本明細書に援用する)に記載される連続/分散相光学フィルム、ならびに米国特許第5,867,316号明細書(この記載内容を本明細書に援用する)に記載の拡散反射光学フィルムが挙げられる。
【0018】
本発明での使用に特に好適な光学フィルムは例えば、米国特許第5,882,774号明細書および米国特許第6,352,761号明細書、ならびにPCT国際公開第95/17303号パンフレット、国際公開第95/17691号パンフレット、国際公開第95/17692号パンフレット、国際公開第95/17699号パンフレット、国際公開第96/19347号パンフレット、および国際公開第99/36262号パンフレットに記載されるような多層反射フィルムであり、これらすべての記載内容を本明細書に援用する。フィルムは、ブルースター(Brewster)角(p偏光の反射率が0になる角度)が非常に大きいかまたは存在しないポリマー層の多層スタックであるのが好ましい。p偏光の反射率が、入射角とともに緩やかに減少するか、入射角に依存しないか、あるいは入射角が法線から外れるに伴って増加するか、である多層ミラーまたは偏光子にフィルムを作製する。かかる多層反射偏光子の市販品は、3M(St.Paul,Minnesota)よりデュアル輝度増強フィルム(Dual Brightness Enhanced Film)(DBEF)として販売されている。本明細書では、本発明の光学フィルムの構造と、本発明の光学フィルムの製造方法および使用方法とを示す例として多層反射光学フィルムを使用している。本明細書に記載される構造、方法、および技術は、他の種類の好適な光学フィルムへの適用および使用が可能である。
【0019】
好適な多層反射光学フィルムは、一軸延伸または二軸延伸された複屈折性の第1の光学層と第2の光学層を交互(例えば1つおき)に配置することによって製造することができる。ある実施形態では、延伸層の面内屈折率の一方とほぼ等しい等方性屈折率を第2の光学層が有する。2つの異なった光学層の間の界面が光反射面を形成する。2つの層の屈折率がほぼ等しくなる方向と平行な面内に偏光した光が実質的に透過される。2つの層が異なる屈折率を有する方向と平行な面内に偏光した光は少なくとも部分的に反射される。層の数を増加させるか、あるいは第1の層と第2の層の間の屈折率差を増加させるかによって、反射率を増加させることができる。一般に、多層光学フィルムは約2〜5000層の光学層を有し、通常は約25〜2000層の光学層を有し、しばしば約50〜1500層の光学層または約75〜1000層の光学層を有する。複数の層を有するフィルムは、ある範囲の波長にわたってフィルムの反射率を増加させる異なった光学的厚さの層を有することができる。例えばフィルムは、特定の波長の光の最適な反射を実現するためにそれぞれが調整された(例えば垂直入射光に対して)層の組を有することができる。さらに、1つのみの多層スタックについて説明されることがあるが、後に組み合わせてフィルムにする多数のスタック多層光学フィルムを作製することができることを理解されたい。本明細書に記載の多層光学フィルムは、米国特許出願第09/229724号明細書および米国特許出願公開第2001/0013668号明細書により作製することができ、この記載内容を本明細書に援用する。
【0020】
偏光子は、一軸延伸された第1の光学層と、延伸された層の面内屈折率の一方にほぼ等しい等方性屈折率を有する第2の光学層とを組み合わせることによって作製することができる。あるいは、両方の光学層が複屈折ポリマーから形成され、1つの面内方向の屈折率がほぼ等しくなるように多延伸工程で配向される。これら2つの光学層の界面は、1つの偏光に対する光反射面を形成する。2つの層の屈折率がほぼ等しくなる方向と平行な面内に偏光した光は実質的に透過する。2つの層が異なる屈折率を有する方向と平行な面内に偏光した光は少なくとも部分的に反射する。等方性屈折率または小さな面内複屈折(例えば約0.07以下)を有する第2の光学層を有する偏光子の場合、第2の光学層の面内屈折率(nxおよびny)は第1の光学層の一方の面内屈折率(例えばny)とほぼ等しい。したがって、第1の光学層の面内複屈折は、多層光学フィルムの反射率の指標である。通常、面内複屈折が大きいほど、多層光学フィルムの反射率も大きくなることが分かっている。第1および第2の光学層の面外屈折率(nz)が等しいかほぼ等しい場合(例えば差が0.1以下、好ましくは差が0.05以下)、多層光学フィルムはオフアングル(off−angle)色も少ない。オフアングル色は、多層光学フィルム面に対して垂直以外の角度で光を不均一に透過することによって生じる。
【0021】
2つの屈折率(通常は、x軸とy軸に沿った屈折率、すなわちnxとny)がほぼ等しく、第3の屈折率(通常はz軸に沿った屈折率、すなわちnz)とは異なる少なくとも1種類の一軸性複屈折材料を使用してミラーを作製することができる。x軸およびy軸は、多層フィルムの所与の層の面を表すので、面内軸として定義され、それぞれの屈折率nxおよびnyは面内屈折率と呼ばれる。一軸性複屈折系を形成するための方法の1つは、多層ポリマーフィルムを二軸配向(2つの軸に沿って延伸)することである。隣接する層が、応力によって誘導される異なった複屈折を有する場合、多層フィルムを二軸配向することによって、両方の軸と平行な面における屈折率の差が隣接する層の間で生じ、そのため両方の偏光面の光を反射する。一軸性複屈折材料は、正または負の一軸性複屈折を有することができる。正の一軸性複屈折は、z方向の屈折率(nz)が面内屈折率(nxおよびny)よりも大きい場合に起こる。負の一軸性複屈折は、z方向の屈折率(nz)が面内屈折率(nxおよびny)よりも小さい場合に起こる。n1zがn2x=n2y=n2zと一致するように選択され、さらに多層フィルムが二軸延伸される場合、p偏光のブルースター角は存在せず、したがってすべての入射角で反射率は一定となる。互いに直行する2つの面内軸で配向された多層フィルムは、層の数、f比、屈折率などに依存して非常に高い比率の入射光を反射することができ、非常に効率的なミラーである。ミラーは、面内屈折率が大きく異なる一軸配向層を組み合わせて使用して作製することもできる。
【0022】
第1の光学層は、一軸配向または二軸配向された複屈折ポリマー層であるのが好ましい。第1の光学層の複屈折ポリマーは一般に、延伸した場合に大きな複屈折を得ることができるように選択される。用途によるが、複屈折は、フィルム面内の直交する2つの方向の間、1つ以上の面内方向とフィルム面と直交する方向との間、またはこれらの組み合わせで生じうる。第1のポリマーは、延伸後も複屈折を維持すべきであり、それによって最終フィルムに所望の光学的性質が付与される。第2の光学層は、複屈折性であり一軸配向または二軸配向されるポリマー層であってもよいし、あるいは第2の光学層は、配向後の第1の光学層の少なくとも1つの屈折率とは異なる等方性屈折率を有することもできる。好都合には延伸した時に第2のポリマーは複屈折をほとんどまたは全く示さないか、あるいは逆(正−負、または負−正)の複屈折を示し、それによってフィルム面の屈折率は、最終フィルム中の第1のポリマーの屈折率とは可能な限り異なる。ほとんどの用途では、第1のポリマーと第2のポリマーのどちらも、問題となるフィルムで対象となる帯域幅内で吸光帯が存在しないことが好都合である。したがって、その帯域幅内のすべての入射光は反射されるか透過されるかのいずれかである。しかしながら、ある用途では、第1および第2のポリマーの一方または両方が特定の波長のすべてまたは一部を吸収するのが有用となる場合がある。
【0023】
多層光学フィルムの第1および第2の光学層、ならびに任意の非光学層は、例えばポリエステルなどのポリマーで構成される。用語「ポリマー」は、ホモポリマーおよびコポリマーを含めると共に、共押出や、例えばエステル交換などの反応によって混和性ブレンドとして形成可能なポリマーまたはコポリマーを含めるものと理解されたい。用語「ポリマー」、「コポリマー」、および「コポリエステル」は、ランダムコポリマーとブロックコポリマーの両方を含む。
【0024】
一般に、本発明の多層光学フィルムに使用されるポリエステルは一般にカルボキシレートサブユニットとグリコールサブユニットとを有し、カルボキシレートモノマー分子とグリコールモノマー分子の反応によって生成される。各カルボキシレートモノマー分子は2つ以上のカルボン酸またはエステル官能基を有し、各グリコールモノマー分子は2つ以上のヒドロキシ官能基を有する。カルボキシレートモノマー分子はすべて同種であってもよいし、2種類以上の異なる種類の分子であってもよい。これと同じことがグリコールモノマー分子に関しても適用される。用語「ポリエステル」には、グリコールモノマー分子と炭酸のエステルとの反応によって誘導されるポリカーボネートも含まれる。
【0025】
ポリエステル層のカルボキシレートサブユニットの形成に使用すると好適なカルボキシレートモノマー分子としては、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびその異性体、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビ−シクロオクタンジカルボン酸、1,6−シクロヘキサンジカルボン酸およびその異性体、t−ブチルイソフタル酸、トリメリト酸、スルホン酸ナトリウム化イソフタル酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸およびその異性体、ならびにメチルエステルやエチルエステルなどのこれらの酸の低級アルキルエステルが挙げられる。この場合、用語「低級アルキル」はC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル基を意味する。
【0026】
ポリエステル層のグリコールサブユニットの形成に使用すると好適なグリコールモノマー分子としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールおよびその異性体、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリシクロデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびその異性体、ノルボルナンジオール、ビシクロ−オクタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、1,4−ベンゼンジメタノールおよびその異性体、ビスフェノールA、1,8−ジヒドロキシビフェニルおよびその異性体、ならびに1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが挙げられる。
【0027】
本発明の光学フィルムに有用なポリエステルの1つは、ポリエチレンナフタレート(PEN)であり、これは例えばナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとの反応などによって得ることができる。ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)は第1のポリマーとして選択されることが多い。PENは大きな正の応力光学係数を有し、延伸後も事実上、複屈折が残存し、可視範囲内の吸光度をほとんどまたはまったく有しない。さらにPENは等方性状態で大きな屈折率を有する。波長550nmの偏光入射光の場合のその屈折率は、偏光面が延伸方向と平行である場合には、約1.64から最大約1.9まで増加する。分子配向が増大することによってPENの複屈折を増加させる。材料をより大きな延伸比で延伸し、他の延伸条件は固定することによって分子配向を増加させることができる。第1のポリマーとして好適なその他の半結晶質ポリエステルとしては、例えば、ポリブチレン2,6−ナフタレート(PBN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびそれらのコポリマーが挙げられる。
【0028】
第1のポリマーとして有用な他の材料は、例えば、米国特許第6,352,762号明細書および米国特許第6,498,683号明細書、米国特許出願第09/229724号明細書、同第09/232332号明細書、同第09/399531号明細書、および同第09/444756号明細書に記載されており、これらの記載内容を本明細書に援用する。第1のポリマーとして有用なポリエステルの1つは、90mol%のナフタレンジカルボン酸ジメチルと10mol%のテレフタル酸ジメチルから誘導されるカルボキシレートサブユニットと、100mol%のエチレングリコールサブユニットから誘導されるグリコールサブユニットとを有し、固有粘度(IV)が0.48dL/gであるcoPENである。この屈折率は約1.63である。本明細書ではこのポリマーを低融点PEN(90/10)と呼ぶ。もう1つの有用な第1のポリマーは、イーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Company)(テネシー州、キングスポート(Kingsport,TN))より入手可能な固有粘度が0.74dL/gであるPETである。非ポリエステルポリマーも偏光子フィルムの製造に有用である。例えば、ポリエーテルイミドをPENやcoPENなどのポリエステルと併用して多層反射ミラーを作製することができる。その他のポリエステル/非ポリエステルの組み合わせ、例えばポリエチレンテレフタレートとポリエチレン(例えば、ダウ・ケミカル・コーポレーション(Dow Chemical Corp.)(ミシガン州、ミッドランド(Midland,MI))製の商品名エンゲージ(Engage)8200)なども使用することができる。
【0029】
第2のポリマーは、最終フィルム中における少なくとも1つの方向の屈折率が、同じ方向での第1のポリマーの屈折率と有意に異なるように選択されるべきである。ポリマー材料は通常は分散性であり、すなわち屈折率が波長に応じて変動するため、これらの条件は対象となる特定のスペクトル帯域幅に関して考慮される必要がある。上記考察から、第2のポリマーの選択は、問題となる多層光学フィルムの意図する用途のみに依存するのではなく、第1のポリマーの選択ならびに加工条件にも依存することが理解されるであろう。
【0030】
第1のポリマーのガラス転移温度に適合したガラス転移温度を有し、第1のポリマーの等方性屈折率と同等の屈折率を有する種々の第2のポリマーから第2の光学層を作製することができる。好適なポリマーの例としては、上に考察したCoPENポリマー以外に、ビニルナフタレン、スチレン、無水マレイン酸、アクリレート、およびメタクリレートなどのモノマーから生成されるビニルポリマーおよびコポリマーが挙げられる。このようなポリマーの例としては、ポリアクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などのポリメタクリレート、およびイソタクチックまたはシンジオタクチックポリスチレンが挙げられる。その他のポリマーとしては、ポリスルホン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアミド酸、およびポリイミドなどの縮合ポリマーが挙げられる。さらに、第2の光学層は、ポリエステルやポリカーボネートなどのポリマーおよびコポリマーから作製されてもよい。
【0031】
代表的な第2のポリマーとしては、イネオス・アクリル社(Ineos Acrylics,Inc.)(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,DE))製の商品名CP71およびCP80などのポリメチルメタクリレート(PMMA)ホモポリマー、またはPMMAよりもガラス転移温度が低いポリメタクリル酸エチル(PEMA)が挙げられる。さらに別の第2のポリマーとしては、PMMAのコポリマー(coPMMA)、例えば、75重量%のメチルメタクリレート(MMA)モノマーと25重量%のエチルアクリレート(EA)モノマーから生成されるcoPMMA(イネオス・アクリル社製の商品名パースペックス(Perspex)CP63)、MMAコモノマー単位とメタクリル酸n−ブチル(nBMA)コモノマー単位とから生成されるcoPMMA、またはソルベイ・ポリマーズ社(Solvay Polymers,Inc.)(テキサス州、ヒューストン(Houston,TX))製の商品名ソレフ(Solef)1008などのPMMAとポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)の混合物が挙げられる。
【0032】
さらに別の第2のポリマーとしては、ダウ・デュポン・エラストマーズ(Dow−Dupont Elastomers)製の商品名エンゲージ 8200のポリ(エチレン−コ−オクテン)(PE−PO)、フィナ・オイル・アンド・ケミカル・コーポレーション(Fina Oil and Chemical Co.)(テキサス州、ダラス(Dallas,TX))製の商品名Z9470のポリ(プロピレン−コ−エチレン)(PPPE)、およびハンツマン・ケミカル・コーポレーション(Huntsman Chemical Corp.)(ユタ州、ソールト・レイク・シティ(Salt Lake City,UT))製の商品名レックスフレックス(Rexflex) W111のアタクチック(atatctic)ポリプロピレン(aPP)とイソタクチック(isotatctic)ポリプロピレン(iPP)とのコポリマーなどのポリオレフィンコポリマーが挙げられる。第2の光学層は、イー・アイ・ドゥ・ヌムール社(E.I.duPont de Nemours & Co.,Inc.)(デラウェア、ウィルミントン(Wilmington,DE))より商品名ビネル(Bynel)4105で入手可能なもののような線状低密度ポリエチレン−g−無水マレイン酸(LLDPE−g−MA)などの官能化ポリオレフィンから作製されてもよい。
【0033】
偏光子の場合に特に好ましい層の組み合わせとしては、PEN/co−PEN、ポリエチレンテレフタレート(PET)/co−PEN、PEN/sPS、PET/sPS、PEN/イースター(Eastar)、およびPET/イースターが挙げられ、ここで「co−PEN」はナフタレンジカルボン酸をベースとするコポリマーまたはブレンドを意味し(前述の通り)、イースターはイーストマン・ケミカル社(Eastman Chemical Co.)より市販されるポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートである。
【0034】
ミラーの場合に特に好ましい層の組み合わせとしては、PET/PMMAまたはPET/coPMMA、PEN/PMMAまたはPEN/coPMMA、PET/ECDEL、PEN/ECDEL、PEN/sPS、PEN/THV、PEN/co−PET、およびPET/sPSが挙げられ、ここで「co−PET」はテレフタル酸をベースとするコポリマーまたはブレンドを意味し(前述の通り)、ECDELはイーストマン・ケミカル社より市販される熱可塑性ポリエステルであり、THVは3M社(3M Co.)より市販されるフルオロポリマーである。PMMAはポリメチルメタクリレートを意味し、PETGは第2のグリコール(通常はシクロヘキサンジメタノール)を使用するPETのコポリマーを意味する。sPSはシンジオタクチックポリスチレンを意味する。
【0035】
他のポリマーの光学フィルムが本発明と併用するのに適している。特に、本発明は、温度変動にさらされる時に過度の反りを示すポリマーフィルムと併用するのに適している。光学フィルムは一般に薄い。好適なフィルムとしてはさまざまな厚さのフィルムがあるが、特に厚さ15ミル(約380マイクロメータ)未満、より典型的には厚さ10ミル(約250マイクロメータ)未満、好ましくは、厚さ7ミル(約180マイクロメータ)未満のフィルムが挙げられる。加工する間、寸法安定性層は、250℃を超える温度において光学フィルムに押出塗布される。従って、光学フィルムは好ましくは、250℃より高い温度への暴露に耐える。又、光学フィルムは通常、加工する間に様々な結合工程および圧延工程にかけられ、従ってフィルムが可撓性であるのがよい。
【0036】
第1および第2の光学層以外に、本発明の多層反射フィルムは、例えば、1つ以上のスキン層、または1つ以上の内部非光学層、例えば、光学層の組の間の保護境界層等、などの1つ以上の非光学層を場合により有する。非光学層を使用して、多層フィルム構造を形成したり、加工中または加工後の損傷や破壊を防止したりすることができる。ある用途の場合では、犠牲保護スキンを有することが望ましい場合もあり、この場合には、使用前に光学スタックからスキン層を剥がせるようにスキン層と光学スタックの間の界面接着力が制御される。さらに、これらの犠牲スキンがフィルムの検査後に再適用可能であるように構造層に対する十分な接着性を有するなら、有利である。
【0037】
例えば多層光学体の引き裂き抵抗性、貫入抵抗性、靱性、耐候性、および耐溶剤性などの性質の付与または向上のために非光学層の材料を選択することができる。通常、非光学層の1つ以上が、第1および第2の光学層による透過、偏光、または反射が起こる光の少なくとも一部がこれらの層も通過するように配置される(すなわち、これらの層は第1および第2の光学層を通過、またはそれらによって反射される光路内に配置される)。通常、非光学層は、対象となる波長領域にわたって光学フィルムの反射性に実質的な影響を与えない。大きく湾曲する基材に積層する場合に亀裂やしわが形成されない本発明のフィルムを得るためには、結晶化度や収縮特性などの非光学層の性質を、光学層の性質とともに考慮する必要がある。
【0038】
非光学層は任意の適切な材料であってよく、光学スタックに使用される材料のうちの1つと同じものであってもよい。当然ながら、光学スタックの光学特性に有害な光学特性を有さないようにこれらの材料を選択することが重要である。非光学層は、第1および第2の光学層に使用されるポリマーのいずれも含めて、ポリエステルなどの種々のポリマーから形成されてもよい。ある実施形態では、非光学層用に選択される材料は、第2の光学層用に選択される材料と類似しているか同一である。スキン層にcoPEN、coPET、またはその他のコポリマー材料を使用すると、多層光学フィルムの剥離(すなわち、配向方向でポリマー分子の大部分の結晶化および配列が歪によって誘導されることが原因のフィルムの分断)を軽減する。通常、非光学層のcoPENは、第1の光学層の配向に使用される条件下で延伸した場合にほとんど配向せず、そのため歪により誘導される結晶化もわずかである。
【0039】
好ましくは、流れが乱れずに同時押出可能となるように、第1の光学層、第2の光学層、および任意の非光学層のポリマーは同様のレオロジー特性(例えば、溶融粘度)を有するように選択される。通常、第2の光学層、スキン層、および任意の非光学層のガラス転移温度Tgは、第1の光学層のガラス転移温度より低温であるか、約40℃以下高温であるかのいずれかである。好ましくは、第2の光学層、スキン層、および任意の非光学層のガラス転移温度は、第1の光学層のガラス転移温度よりも低温である。多層光学フィルムを配向するために長手方向延伸(LO)ローラーが使用される場合、低Tg材料はローラーに固着するため、望ましい低Tgスキン材料を使用することができない。LOローラーが使用されない場合は、この制限は問題とならない。一部の用途では、耐久性があり紫外線から光学スタックを保護できることから、好ましいスキン層材料としてPMMAとポリカーボネートが挙げられる。
【0040】
スキン層と任意の非光学層の厚さは、個々の第1および第2の光学層の少なくとも一方の厚さの一般に少なくとも4倍、通常は少なくとも10倍であり、さらに少なくとも100倍になる場合もある。特定の厚さの多層反射フィルムを作製するために非光学層の厚さを変動させることができる。
【0041】
追加のコーティングも非光学層として見なすことができる。その他の層としては、例えば帯電防止コーティングまたはフィルム、難燃剤、紫外線安定剤、耐摩耗性材料またはハードコート材料、光学コーティング、防曇性材料などが挙げられる。さらに別の機能層またはコーティングは、例えば米国特許第6,352,761号明細書、国際公開第97/01440号パンフレット、国際公開第99/36262号パンフレット、および国際公開第99/36248号パンフレットに記載されており、これらの記載内容を本明細書に援用する。これらの機能成分を1つ以上のスキン層に混入してもよく、あるいは独立したフィルムまたはコーティングとして適用してもよい。
【0042】
寸法安定性層は光学フィルムの反りに対する抵抗性を付与し、通常は脆くはない可撓性光学体が得られる。寸法安定性層の例およびこれらの層についての情報を米国特許出願第09/698,717号明細書において見いだすことができ、その記載内容を本明細書に援用する。通常、寸法安定性層は、光学体を曲げたりロール掛けしたりが可能となるのに十分な可撓性を有し、さらに反りを防止するのに十分な安定性を提供する。これに関して、寸法安定性層は光学体のしわおよびたるみを形成しにくくしながら、ロール上に保持するなどによる光学体の取り扱いおよび保管を容易なままにする。
【0043】
複合光学体は反りを防止するが、極端な温度範囲、特に高温では光学体の劣化を起こす場合がある。通常、寸法安定性層を使用することによって光学フィルムは、1.5時間ごとに−30℃〜85℃の温度のサイクルを400時間繰り返しても反りが生じないか、わずかな反りが生じるのみである。対照的に、寸法安定性層を使用せずに光学フィルム単独であると、これらと同じ状況では反りが生じる。さらに、寸法安定性層を使用せずに光学フィルム単独であると、室温〜60℃および相対湿度70%で繰返してサイクルにかけられると反りを示す。これらのサイクル試験は、LCDディスプレイあるいは他の装置の予想される使用条件下で長時間安定性を示すよう設計される。
【0044】
通常、寸法安定性層は透明または実質的に透明である。光学体の高反射率が望ましい実装例では、露出した寸法安定性層が高透明性であることが特に重要である。さらに、望ましくない光の変化を防止するため、寸法安定性層の屈折率を、光学フィルム(またはいずれかの中間層)の屈折率に近づけることができる。
【0045】
押出可能であり、高温で加工した後でも透明性を維持し、少なくとも約−30℃〜85℃の温度で実質的に安定となるように、寸法安定性層のポリマー組成が選択されることが好ましい。通常、寸法安定性層は可撓性であるが、−30℃〜85℃の温度範囲にわたって長さまたは幅の実質的な膨張が起こらない。寸法安定性層がこの温度範囲で膨張する場合、その膨張は実質的に均一であり、そのためフィルムは過剰なしわを形成しない。
【0046】
寸法安定性層は、一般にガラス転移温度(Tg)が85〜200℃、より一般的には100〜160℃であるポリマー材料を一次成分として有する。寸法安定性層の厚さは、用途に応じて変動することができる。しかしながら、寸法安定性層は一般的に、厚さ0.1〜10ミル(約2〜250マイクロメータ)、より一般的に厚さ0.5〜8ミル(約12〜200マイクロメータ)、さらにより一般的に厚さ1〜7ミル(約25〜180マイクロメータ)である。
【0047】
好適な寸法安定性層は、少なくともi)ポリスチレン(例えば、シンジオタクチックポリスチレン)またはポリスチレンコポリマーと、ii)別のポリスチレンコポリマーとの(ブレンドまたは他の均質混合物などの)組合せを含有することができる。一般に、これらの特定のポリマーは、他のポリマー中に配置された単一粒子としてではなく、均質混合物中に存在する。いくつかの実施形態において、寸法安定性層は、i)第1のポリスチレンコポリマーと、ii)第2のポリスチレンコポリマーと、を含有する。寸法安定性層は場合により、付加的なポリスチレンコポリマーを含有することができる。用語「コポリマー」には、2つ以上の異なったモノマー単位を有するポリマーを含めることは理解されるであろう。
【0048】
寸法安定性層の特に好適な例の1つは、i)スチレンアクリロニトリル(SAN)コポリマーと、ii)第2のスチレンコポリマーと、を含有する。スチレンコポリマーのための好適なコモノマーの例としては、ブタジエン、メチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、メタクリル酸、無水マレイン酸、n−フェニルマレイミド、ならびに他のアクリレート、メタクリレート、およびジエンなどの同様な材料が挙げられる。SANと共に使用する好適なスチレンコポリマーとしては、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)コポリマー、スチレンブタジエン(SB)コポリマー、アクリルスチレンアクリロニトリル(ASA)コポリマー、スチレンメチルメタクリレート(SMM)コポリマーの他、クラトン・ポリマーズ(Kraton Polymers)(テキサス州、ヒューストン(Houston,TX))製のクラトン(Kraton)(登録商標)コポリマーなどの他のスチレンコポリマーが挙げられる。とりわけ、SAN/ABSの組合せが特に有用であることがわかった。一般に、第2のスチレンコポリマーが、寸法安定性層中の材料の全量に対して約1から45重量パーセントのレベル、より一般的には3〜30重量パーセントにおいて寸法安定性層中に存在する。
【0049】
別の実施例において、寸法安定性層は、i)ポリスチレン(例えば、シンジオタクチックポリスチレン)と、ii)スチレンアクリロニトリルコポリマーと、を含有する。少なくとも1つの実施形態において、SANコポリマーが一次成分であり、ポリスチレンが、寸法安定性層中の材料の全量に対して1〜45重量パーセントのレベル、より一般的には3〜30重量パーセントにおいて供給される。
【0050】
寸法安定性層はまた、上記のスチレン成分とブレンドされた他の材料を含有することができる。例えば、好ましくは低レベルでcoPENまたはcoPETを寸法安定性層中で使用することができる。少なくともいくつかの実施形態において、CoPENまたはcoPETは、混合物中で相分離して上記のスチレンベースのポリマー/コポリマーまたはコポリマー/コポリマーの組合せにドメインを形成することができる。少なくともいくつかの実施形態において、coPENおよびcoPETの添加は、光の拡散をもたらす場合がある。さらに、少なくともいくつかの実施形態において、coPENおよびcoPETは、coPENおよびcoPETを含有する光学フィルムに対する寸法安定性層の接着を助けることができる。場合により、拡散を増加させると共に層を一体に維持するためにcoPENおよびcoPETを中間層として用いることができる。一般的に、coPENおよびcoPETは、寸法安定性層の材料の約1〜30重量パーセントのレベル、より一般的に3〜20重量パーセント、いくつかの実施形態においては、3〜10重量パーセントにおいて寸法安定性層中で用いられてもよい。驚くべきことに、ポリスチレンまたはポリスチレンコポリマーより低いTgおよび低い弾性率を有するcoPENまたはcoPETなどの材料を寸法安定性層中にブレンドすることにより、永久的な反りに対するフィルムの抵抗性を向上させる。例えば、より低いTgおよびより低い弾性率のcoPENをSANを含む寸法安定性層中にブレンドすることによって、これらのフィルムにおいて測定された反りの量を実質的に低減した。
【0051】
coPENおよびcoPETコポリマーは場合により、ノルボルネンまたは第三ブチルイソフタル酸などのガラス転移温度を上昇させるために有用なコモノマーを含有することができる。寸法安定性層中にブレンドするために有用な他の高Tgの材料としては、ポリカーボネートやゼネラル・エレクトリック(General Electric)製のアルテム(Ultem)(登録商標)などのポリエーテルイミドなどが挙げられる。これらの高Tgの材料をcoPENおよびcoPETと同じレベルにおいて用いることができる。
【0052】
寸法安定性層に使用できる他の材料としては、ブタジエン、エチレンプロピレンターポリマー(例えば、エチレンプロピレンジメタクリレートなど)、改質ポリオレフィン、例えばミツイ・ケミカルズ・アメリカ社(Mitsui Chemicals America, Inc.)(ミツイ・ケミカルズ(Mitsui Chemicals))(ニューヨーク州、パーチェス(Purchase,NY))製のアドマー(Admer)(登録商標)ポリマー、またはイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・コーポレーション(デュポン(Dupont))(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,DE))製のビネル(Bynel)(登録商標)ポリマー、またはゴム状粒子などのエラストマー成分が挙げられる。これらのエラストマー成分を寸法安定性層に混入し、拡散率、靭性、耐久性、あるいはこれらの性質のどれかの組合せを増強することができる。一般的に、エラストマー成分は、寸法安定性層の材料の約1〜30重量パーセントのレベル、より一般的に3〜10重量パーセントにおいて寸法安定性層中で使用されてもよい。
【0053】
寸法安定性層に加えることができる別の材料は帯電防止材料である。好適な帯電防止材料としては、例えば、ポリエーテルコポリマー(例えば、ポリエチレングリコールなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)製のアーガスタット(Irgastat)(登録商標)P18、アンペースト(Ampacet)(ニューヨーク州、タリータウン(Tarrytown,NY))製のLR−92967、トーメンアメリカ社(Tomen America Inc.)(ニューヨーク州、ニューヨーク(New York,NY))製のペレスタット(Pelestat)(登録商標)NC6321およびペレスタット(登録商標)NC7530の他、イオン性ポリマー、例えば、ノベオン社(Noveon,Inc)(オハイオ州、クリーブランド(Cleveland,OH))製の静電気拡散性ポリマーブレンド(例えば、スタット・ライト(Stat−Rite)(登録商標)ポリマー製品)などが挙げられる。一般的に、帯電防止材料は、寸法安定性層の材料の約10〜30重量パーセントのレベル、より一般的に10〜20重量パーセントにおいて寸法安定性層中で使用されてもよい。
【0054】
光を拡散するように寸法安定性層を作製することができる。この拡散性は、本来拡散性であるポリマー材料を使用して、あるいは製造中に寸法安定性層上に拡散パターンをエンボス加工することによって得られる。エンボスパターンは、フィルムに対して垂直から離れた角度の光を、フィルムに対して垂直により近い角度に方向を変えることもできる。寸法安定性層における拡散は、寸法安定性層とは異なる屈折率を有する小さな粒子を混入することによっても実現可能である。
【0055】
粒子を寸法安定性層に添加することによって形成された粗面は、フィルムの摩擦係数を低下させ、従って、ガラスまたは他の硬質フィルムなどの隣接した表面に付着するフィルムの傾向を低減することができる。隣接した表面へのフィルムの付着を抑えることにより、ほかの場合ならフィルムの反りの一因になるフィルムに対する別の制約条件(例えば、隣接したガラスまたはフィルム表面)の影響を除去または低減する。
【0056】
寸法安定性層を1つ以上の付加的なコーティングでコートし、さらに別の性質を提供することができる。このようなコーティングの例としては、帯電防止コーティング、難燃剤、紫外線安定剤、耐摩耗性またはハードコート材料、光学コーティング、および防曇コーティングなどが挙げられる。
【0057】
1つ以上の可剥性スキン層を、寸法安定性層の上に設けてもよい。これらの可剥性スキン層を用いて、貯蔵および出荷する間、下にある光学体を保護することができる。可剥性スキン層は一般に、光学体を使用する前に除去される。可剥性スキン層が、コーティング、押出し、または他の好適な方法によって寸法安定性層上に配置されてもよく、または寸法安定性層と共に共押出または他の好適な方法によって形成されてもよい。可剥性スキン層が接着剤を用いて光学体に付着されてもよいが、実施態様によっては、接着剤は必要ではない。可剥性スキン層は、手作業かまたは機械的に除去されるまで可剥性スキン層が適所にあるように寸法安定性層に対する(必要に応じて接着剤を用いてまたは用いずに)十分な付着性を有するどんな保護ポリマー材料を用いて形成されてもよい。好適な材料としては、例えば、シンジオタクチックポリプロピレン(polyrpropylene)のコポリマー(例えば、アトフィナ(Atofina)製のフィナプラス(Finaplas)1571)、プロピレンとエチレンとのコポリマー(例えば、アトフィナ製のPP8650)、またはエチレンオクテンコポリマー(例えば、ダウ(Dow)製のアフィニティ(Affinity)PT1451)など、低融点および低結晶性ポリオレフィンなどが挙げられる。場合により、ポリオレフィン材料の混合物を可剥性スキン層のために利用することができる。好ましくは、可剥性スキン材料は、示差走査熱量測定(DSC)測定によって80℃〜145℃の融点を有し、より好ましくは90℃〜135℃の融点を有する。スキン層の樹脂は一般に、230℃の温度および21.6Nの力において、ASTM D1238−95(「押出可塑度計による熱可塑性樹脂の流速(Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer)」)(この記載内容を本明細書に援用する)によって測定した時に7〜18g/10分のメルトフローインデックス、好ましくは10〜14g/10分のメルトフローインデックスを有する。
【0058】
可剥性スキン層が除去されるとき、可剥性スキン層からの、または使用される場合には全ての混在された接着剤からの残存材料がないのが好ましい。可剥性スキン層は一般に、少なくとも12マイクロメータの厚さを有する。場合により、可剥性スキン層が光学体上にあるかどうか観察することが容易であるように、可剥性スキン層は、染料、顔料、あるいは他の色材を含有する。これは、光学体の適切な使用を容易にすることができる。実施態様によっては可剥性スキン層はまた、可剥性スキン層とともに光学体に圧力を適用することによって下にある寸法安定性層をエンボス加工するために使用することができる十分に大きい可剥性スキン層中に配置された粒子(例えば、少なくとも0.1マイクロメータ)を含有することができる。他の材料を可剥性スキン層中にブレンドして寸法安定性層への付着力を改良することができる。酢酸ビニルまたは無水マレイン酸を含有する改質ポリオレフィンは、可剥性スキン層の、寸法安定性層に対する付着力を改良するために特に有用である場合がある。
【0059】
ポリスチレンまたはポリスチレンコポリマーを用いる代わりに、寸法安定性層が、ノルボルネンベースのポリマー、例えば、ティコナ(Ticona)(ニュージャージー州、サミット(Summit,NJ))製のトパズ(Topas)(登録商標)ポリマー、およびゼオン・ケミカルズ(Zeon Chemicals)(ケンタッキー州、ルイビル(Louisville,KY))製のゼオナー(Zeonor)(登録商標)ポリマーなどのエチレンとノルボルネンとのコポリマーを含有することができる。高Tgおよび低Tgを有するこれらのコポリマーの異なった銘柄をブレンドして合成Tgを調節し、寸法安定性層を光学層と整列させることが特に有用であることがわかった。ポリスチレンまたはポリスチレンコポリマー、ならびに可剥性スキンに添加するための上記の材料をノルボルネンベースのポリマーと併用することもできる。
【0060】
通常、寸法安定性層は光学フィルムの両側に取り付けられる。しかしながら、ある実装例では、蛍光灯の周囲に巻き付ける光学体を作製する場合などで、フィルムが湾曲しやすいようにするために、光学フィルムの片側だけに寸法安定性層が取り付けられる。
【0061】
光学体は、光学フィルムおよび寸法安定性層以外に1つ以上の層を任意に有することもできる。1つ以上の追加層が存在する場合、通常それらは複合光学体の完全性を向上させる機能を果たす。特に、これらの層は、光学フィルムを寸法安定性層に接合させるのに役立つ場合がある。ある実装例では、寸法安定性層と光学フィルムは、直接的には互いに強い接合を形成しない。このような実施態様では、それらを互いに接着させる中間層が必要である。
【0062】
通常、中間層の組成は、中間層が接触する光学フィルムおよび寸法安定性層に適合するように選択される。中間層は、光学フィルムおよび寸法安定性層の両方と十分に接合するべきである。したがって、中間層に使用される材料の選択は、光学体の他の成分の組成によって異なる場合も多い。
【0063】
具体的な実施態様では、中間層は、押出可能で透明なホットメルト接着剤である。このような層は、ナフタレンジカルボン酸(NDC)、テレフタル酸ジメチル(DMT)、ヘキサンジオール(HD)、トリメチロールプロパン(TMP)、およびエチレングリコール(EG)の1種類以上を含有するCoPENを含有することができる。NDCを含有する層は、PENまたはCoPENもしくは両方を含有する光学フィルムに寸法安定性層を接着する場合に特に好適である。このような実装例では、中間層のcoPENは通常、coPENのカルボキシレート成分100部当たり20〜80部のNDCを含有し、好ましくは30〜70部のNDC、より好ましくは40〜60部のNDCを含有する。
【0064】
前述のコモノマーなどの種々の別の化合物を光学フィルムに加えることができる。加工性および他の層への接着を向上させるために、可塑剤や潤滑剤などの押出助剤を加えることができる。また、無機球体やポリマービーズなどの接着性ポリマーとは異なる屈折率を有する粒子を使用することもできる。
【0065】
中間層のために有用な他の材料としては、デュポン(Dupont)製のエルバックス(Elvax)(登録商標)ポリマーなどの酢酸ビニルで改質されたポリオレフィン、デュポン製のビネル(Bynel)(登録商標)ポリマーおよびミツイ・ケミカルズ(Mitsui Chemicals)製のアドマー(Admer)(登録商標)ポリマーなどの無水マレイン酸で改質されたポリオレフィンが挙げられる。
【0066】
実施態様によっては、光学フィルム、寸法安定性層、またはその両方と一体に中間層が形成される。光学フィルムの露出面上のスキンコートとして中間層を光学フィルムと一体に形成することができる。通常、このスキンコートは、一体的に形成され層と接合するようにするため、光学フィルムと共押出することによって形成される。このようなスキンコートは、光学フィルムに後続の層を接合する能力を向上させるように選択される。使用される特定の寸法安定性層に対する光学フィルムの親和性が、スキンコートがない場合には非常に低いであろう時に、スキンコートは特に有用である。同様に、光学フィルム上に同時に共押出または逐次押出しすることによって、寸法安定性層と一体に中間層を形成することができる。本発明のさらに別の実施態様では、スキン層を光学フィルム上に形成し、別の中間層を寸法安定性層とともに形成することができる。
【0067】
中間層は、250℃を超える温度において溶融相で熱安定性を有することが好ましい。したがって、250℃を超える温度において押出中に中間層は実質的に劣化しない。通常、中間層は、フィルムの光学性質を低下させないようにするため、透明であるかまたは実質的に透明である。中間層は通常、厚さ2ミル(約50マイクロメータ)未満であり、より一般的には厚さは1ミル(約25マイクロメータ)未満であり、さらにより一般的には厚さは約0.5ミル(約12マイクロメータ)未満である。薄い光学体を維持するため、中間層の厚さは最小限であることが好ましい。
【0068】
さまざまな方法を、本発明の複合光学体の製造に使用することができる。前述したように、前記光学体は種々の構造をとることができ、従って最終光学体の構造によって製造方法も異なる。
【0069】
複合光学体のすべての製造方法に共通の工程は、光学フィルムを寸法安定性層に接着することである。この工程は、種々の層の同時押出、層の押出コーティング、または層の同時押出コーティング(寸法安定性層と中間層が光学フィルム上に同時に押出コーティングされる場合など)などの種々の方法によって実施されてもよい。
【0070】
図4は、本発明の実施態様の1つによる光学体の製造システムの平面図を示している。光学フィルム22を有するスプール20は巻き出されて、赤外線熱ステーション24で加熱される。光学フィルム22は通常50℃を超える温度まで上昇させられ、より一般的には約65℃の温度まで上昇させられる。寸法安定性層を形成するための組成物26と、中間接着層を形成するための組成物28がフィードブロック30によって供給されて、あらかじめ加熱された光学フィルム22上に同時押出コーティングされる。その後、光学フィルムはロール32、34の間で加圧される。ロール32またはロール34もしくは両方が、寸法安定性層上にわずかな拡散面を与えるためのマット仕上を任意に有する。冷却後、シートへの切断など、コーティングされた光学フィルム36を引き続いて加工することができ、それによって完成光学体を形成し、巻取機38に巻き取られる。
【0071】
光学体材料のそれぞれのシートを熱風中で延伸することによって押出されたフィルムを配向させることができる。経済的に製造するためには、延伸は、標準的な長さ延伸機、テンター炉(tenter oven)、またはその両方によって連続的に実施することができる。標準的なポリマーフィルム製造の経済的な規模およびライン速度を実現でき、そのため市販の吸光偏光子の場合よりも実質的に低い製造コストを達成する。
【0072】
ミラーを製造するために、2枚の一軸延伸偏光シートが、それぞれの配向軸が90℃回転して配置されるか、1枚のシートが二軸延伸される。多層シートを二軸延伸することによって、両方の軸に対して平行な面における屈折率に関して隣接する層の間で差が生じ、その結果、偏光方向の両方の面の光を反射する。
【0073】
複屈折系を形成するための方法の1つは、スタック中の材料の少なくとも1つが延伸工程の影響を受けるその屈折率を有する(例えば屈折率が増加または減少する)多層スタックの二軸延伸(例えば、2つの方向に沿った延伸)を行うことである。多層スタックの二軸延伸によって、両方の軸に対して平行な面における屈折率に関して隣接する層の間で差が生じることがあり、従って両方の偏光面の光を反射する。具体的な方法および材料は発明の名称「光学フィルムおよびその製造方法(An Optical Film and Process for Manufacture Thereof)」のPCT国際特許出願国際公開第99/36812号パンフレットに教示されており、この記載内容を本明細書に援用する。
【0074】
予備延伸温度、延伸温度、延伸速度、延伸比、ヒートセット温度、ヒートセット時間、ヒートセット緩和、および横方向延伸緩和は、所望の屈折率関係を有する多層装置が得られるように選択される。これらの変数は相互依存性であり、従って、例えば、比較的遅い延伸速度は、例えば比較的低い延伸温度と組み合わせられる場合に使用されてもよい。所望の多層装置を得るためにこれらの変数の適切な組み合わせの選択方法は当業者には明らかであろう。しかしながら、一般に延伸比は、延伸方向で1:2〜1:10(より好ましくは1:3〜1:7)の範囲、延伸方向と直交する方向で1:0.5〜1:10(より好ましくは1:0.5〜1:7)の範囲であるのが好ましい。
【実施例】
【0075】
PEN(ポリエチレンナフタレート)を含む第1の光学層とcoPEN(コポリエチレンナフタレート)を含む第2の光学層とを有する多層反射偏光子を構成した。PENおよびcoPENを多層溶融マニホールドと増倍器を通して同時押出して、825の交互の第1および第2の光学層を形成した。この多層フィルムはまた、第2の光学層と同じcoPENの2つの内部保護境界層および2つの外部保護境界層を含有し、合計829層とした。さらに、2つの外部スキン層を光学層スタックの両面に同時押出した。寸法安定性層は厚さ約18マイクロメータであり、94重量%のSAN(ダウ・コーポレーション(Dow Corporation)製のティリル(Tyril)880)と6重量%のABSとから成った。シンジオタクチックポリプロピレン(アトフィナ製のPP1571)の可剥性スキン層をSAN層の上に形成した。次に、上記の構造体の押出キャストウェブを、150℃の空気で45秒間、テンター炉(tentering oven)内で加熱し、次いで、6:1の延伸比で一軸配向した。反り試験は、SAN/ABS寸法安定性層を有する光学体が、寸法安定性層を有さない同様な光学体よりも著しく良好な反り抵抗性を有し、SANだけを用いて製造された寸法安定性層を有する同様な光学体より良好な反り抵抗性を有することを示した。さらに、SAN/ABS寸法安定性層は、SANおよび5重量%のcoPENまたはcoPET寸法安定性層を有する光学フィルムと比較したとき、より良好ではないにしても、少なくとも同程度に良好な反り抵抗性を示した。
【0076】
反りの観察方法の実施例の1つは、次の通りである。イソプロピルアルコールで2つの9.5インチ×12.5インチ(24.1×31.8cm)の平らな、2倍強度ガラス片を清浄にする。光学体の9インチ×12インチ(22.9×30.5cm)片を、1つのガラス片の2つの短い面と1つの長い面に付着させ、残りの長い面を自由なままにしておく。光学体を付着させるために、最初に両面粘着テープ(ミネソタ州、セントポールの3M(3M,St.Paul,MN))をガラス片に付着させ、テープがガラスの3つの端縁から0.5インチ(1.3cm)はみ出し、光学体の3つの面によって正確に覆われるようにした。テープの端を重ね合わさないようにする。光学体をテープ全体にわたり伸張し、テープの厚さ(約0.1mm)だけガラス表面の上に保持するように光学体をテープ上に置く。4.5ポンド(2kg)のローラーで各方向に1回、光学体をテープに圧延し、余分な力をかけない。
【0077】
3つの厚さ0.1mm、幅0.5インチ(1.3cm)のポリエチレンテレフタレート(PET)シムを圧延光学体上に置き、シムはテープのちょうど上にあり、同一の長さであるが、光学体の反対側にある。シムを重ね合わさないようにする。上のガラス片をシムの上に置き、下のガラス片と正確に整列させる。
【0078】
これにより、ガラス−テープ−光学フィルム−シム−ガラスのサンドイッチ状構造を完成し、そこにおいて光学体を3つの端縁において限界とし、中心に実質的に自由浮動させる。この構造体は、紙のスタックを一体に保持するために一般に用いられるような4つのバインダークリップ(バインダークリップ、オフィスメート・インターナショナル・コーポレーション(Binder Clips,Officemate International Corporation)(ニュージャージー州、エジソン(Edison,NJ))で一体にくっつけられる。クリップは、圧力をテープの中心(ガラスの端縁から約0.75インチ(1.9cm))に適用するために適切な大きさであるのがよく、構造体の短い面にそれぞれ2つ配置され、それぞれ光学体の下部および上部から約0.75インチ(1.9cm)離した。
【0079】
この完成構造体を熱衝撃室(モデルSV4−2−2−15環境試験室、エンバイロトロニクス社(Envirotronics,Inc)(ミシガン州、グランドラピッズ(Grand Rapids,MI))内に置き、85℃において1時間、その後に、−35℃において1時間よりなるサイクルの96サイクルにかけた。次に、フィルムを熱衝撃室から取り出し、皺について検査する。フィルムの表面の全体にわたって多くの深い皺があるとき、反りは容認できないと思われる。ほとんど浅いしわがないか、またはフィルムが平滑であるように見えるとき、反りは一般に許容範囲内であると思われる。
【0080】
好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱せずに形態および詳細を変更してもよいことは、当業者は理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルムと、
前記光学フィルム上に配置された少なくとも1つの反り抵抗性層と、を含み、前記少なくとも1つの反り抵抗性層が、i)ポリスチレンまたは第1のポリスチレンコポリマーと、ii)第2のポリスチレンコポリマーとの均質混合物を含む、光学体。
【請求項2】
前記光学体は、配置された少なくとも2つの反り抵抗性層を含み、これらの反り抵抗性層のうちの1つが前記光学フィルムの2つの対向する面の各々の上に配置された、請求項1に記載の光学体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの反り抵抗性層が、i)第1のポリスチレンコポリマーと、ii)第2のポリスチレンコポリマーと、を含む、請求項1に記載の光学体。
【請求項4】
前記第1のポリスチレンコポリマーがスチレンアクリロニトリルコポリマーである、請求項3に記載の光学体。
【請求項5】
前記第2のポリスチレンコポリマーが、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、アクリルスチレンアクリロニトリルコポリマー、およびスチレンメチルメタクリレートコポリマーから選択される、請求項4に記載の光学体。
【請求項6】
前記第2のポリスチレンコポリマーが、前記反り抵抗性層の全重量に対して3〜30重量%の量で提供された、請求項3に記載の光学体。
【請求項7】
前記反り抵抗性層が、coPENまたはcoPETから選択された材料をさらに含む、請求項1に記載の光学体。
【請求項8】
前記反り抵抗性層が帯電防止材料をさらに含む、請求項1に記載の光学体。
【請求項9】
前記光学フィルムが多層ポリマー光学フィルムである、請求項1に記載の光学体。
【請求項10】
前記少なくとも1つの反り抵抗性層の上に配置された少なくとも1つの可剥性スキン層をさらに含む、請求項1に記載の光学体。
【請求項11】
前記少なくとも1つの可剥性スキン層がポリオレフィンを含む、請求項10に記載の光学体。
【請求項12】
前記ポリオレフィンが、シンジオタクチックポリプロピレン、エチレンオクテンコポリマー、ポリプロピレン/ポリエチレンのコポリマー、およびそれらのブレンドから選択される、請求項11に記載の光学体。
【請求項13】
前記少なくとも1つの可剥性スキン層が染料を含む、請求項10に記載の光学体。
【請求項14】
前記少なくとも1つの反り抵抗性層の上に配置された少なくとも1つの帯電防止層をさらに含む、請求項1に記載の光学体。
【請求項15】
光学フィルムと、
前記光学フィルム上に配置された、ノルボルネンベースのポリマーを含む少なくとも1つの反り抵抗性層と、
を含む、光学体。
【請求項16】
i)ポリスチレンまたは第1のポリスチレンコポリマーと、ii)第2のポリスチレンコポリマーとの均質混合物を含む少なくとも1つの反り抵抗性層を光学フィルムの上に形成することを含む、
光学体の製造方法。
【請求項17】
形成工程が、前記少なくとも1つの反り抵抗性層を前記光学フィルム上に配置することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
形成工程が、前記少なくとも1つの反り抵抗性層を前記光学フィルムと共押出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの可剥性スキン層を前記少なくとも1つの反り抵抗性層の上に形成することをさらに含む、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−133903(P2011−133903A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−42885(P2011−42885)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【分割の表示】特願2006−509925(P2006−509925)の分割
【原出願日】平成16年4月12日(2004.4.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】