説明

光学フィルム貼り付け装置及び表示用パネルの製造方法

【課題】表示用パネルに光学フィルムを貼付する際に安定した貼付位置精度を自動で長期的に維持できるようにする。
【解決手段】本発明は、表示用パネルに光学フィルムを貼り付けた後の貼り付け位置のズレ情報を検出し、検出されたズレ情報に基づいて光学フィルム供給手段のアライメント処理条件を変更するフィードバック処理を行なうものである。表示用パネルの両面(第1主表面(CF面)及び第2主表面(TFT面))に光学フィルムをほぼ同時に貼り付ける場合も同様に両面の光学フィルムの貼り付け位置のズレ情報をそれぞれ検出し、検出されたズレ情報に基づいて光学フィルム供給手段のアライメント処理条件をそれぞれ別々に変更するフィードバック処理を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル等の表示用パネルへ偏光板や位相差板等から成る光学フィルムを貼り付ける光学フィルム貼り付け装置及び表示用パネルの製造方法に係り、特に光学フィルムを表示用パネルの両面にほぼ同時に貼り付ける光学フィルム貼り付け装置及び表示用パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ装置の製造工程では、TFT(Thin Film Transistor)基板とカラーフィルタ基板との間に液晶を封入して液晶パネルを構成した後、液晶パネルの表面及び裏面に偏光板の貼り付けが行われる。さらに、視覚補償用の位相差板が貼り付けられる場合もある。このような偏光板や位相差板等から成る光学フィルムの貼り付けは、光学フィルム貼り付け装置によって行われている。
【0003】
通常、光学フィルムには、予め粘着剤が塗布され、粘着剤の上には保護フィルムが被せられている。光学フィルム貼り付け装置には、光学フィルムから保護フィルムの剥離を行う第1の作業位置と、光学フィルムの表示用パネルへの貼り付けを行う第2の作業位置とが設けられており、光学フィルムを吸着テーブル等の保持手段により保持しながら、まず、第1の作業位置において光学フィルムから保護フィルムを剥離した後、光学フィルムを第1の作業位置から貼り付けの行われる第2の作業位置へ移動し、第2の作業位置において光学フィルムをアライメント処理して表示用パネルへの貼り付けを行っている。なお、光学フィルムの液晶パネルへの貼り付け装置又は貼り付け方法としては、例えば、特許文献1に記載のようなものが知られている。
【特許文献1】韓国特許10−0556339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の偏光板貼り付け装置は、カラー液晶ディスプレイの大型化に伴う、偏光板貼り付け裝置のフットプリントの拡大を抑制するために、液晶セル基板を起立させた状態で真空吸着ドラムに偏光板を密着保持し、液晶セル基板の第1主表面(CF面)及び第2主表面(TFT面)に同時に偏光板を貼り付けることによって、液晶セル基板の搬送方向に直交する方向(幅方向)のフットプリントの拡大を抑制している。
【0005】
特許文献1に記載の偏光板貼り付け装置は、液晶セル基板(表示パネル)に偏光板(光学フィルム)を貼り付ける際に、両者を略垂直状態に起立させて、起立状態で偏光板を真空吸着ドラムに密着保持し、真空吸着ドラムを回転制御することによって液晶セル基板の両面(第1主表面(CF面)及び第2主表面(TFT面))にほぼ同時に偏光板を貼り付けている。
一方、偏光板貼り付け装置では、投入される部材に適した装置の運転条件を「レシピ」と称する条件設定画面で入力する。これは、部材品種による機械的性質の違いや、貼付ローラの摩耗等貼付けに関する条件が微妙に変化した場合、貼付品質となる気泡や位置ズレに影響を与えることが分かっているからである。従来は、作業者によって貼付後の貼付位置を計測し、そのずれている量(位置ズレ量)をレシピの補正値として入力してから生産を開始している。しかしながら、偏光板貼り付け装置の貼り付け作業を長時間行なっていると、生産の途中で運転条件が微妙に変化する場合があり、それによって生産効率が低下したり、強いては品質の低下を招く要因となり、問題となっていた。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、安定した貼付位置精度を自動で長期的に維持することのできる光学フィルム貼り付け装置及び表示用パネルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光学フィルム貼り付け装置の第1の特徴は、表示用パネルを搬送する表示用パネル搬送手段と、前記表示用パネルの少なくとも片面側の所定位置にアライメント処理された光学フィルムを供給する光学フィルム供給手段と、前記アライメント処理された前記光学フィルムを前記表示用パネルに貼り付ける光学フィルム貼り付け手段と、前記光学フィルム貼り付け後の前記表示用パネルにおける前記光学フィルムの貼り付け位置のズレ情報を検出し、前記ズレ情報に基づいて前記光学フィルム供給手段の行なう前記アライメント処理の条件を変更するフィードバック処理手段とを備えたことにある。
これは、表示用パネルに光学フィルムを貼り付けた後の貼り付け位置のズレ情報を検出し、検出されたズレ情報に基づいて光学フィルム供給手段のアライメント処理条件を変更するフィードバック処理を行なうようにしたものである。これによって、安定した貼付位置精度を自動で長期的に維持することができ、生産効率を格段に向上することができる。
【0008】
本発明に係る光学フィルム貼り付け装置の第2の特徴は、表示用パネルを略垂直状態で搬送する表示用パネル搬送手段と、前記表示用パネルの両面側の所定位置にアライメント処理された第1及び第2の光学フィルムを略垂直状態で供給する光学フィルム供給手段と、前記アライメント処理された前記第1及び第2の光学フィルムを前記表示用パネルの両面にほぼ同時に貼り付ける光学フィルム貼り付け手段と、前記第1及び第2の光学フィルム貼り付け後の前記表示用パネルにおける前記第1及び第2の光学フィルムの貼り付け位置のズレ情報を検出し、前記ズレ情報に基づいて前記光学フィルム供給手段の行なう前記アライメント処理の条件を前記第1及び第2の光学フィルム毎に変更するフィードバック処理手段とを備えたことにある。
これは、表示用パネルの両面(第1主表面(CF面)及び第2主表面(TFT面))に光学フィルムをほぼ同時に貼り付ける光学フィルム貼り付け装置においても、同様に表示用パネルの両面における光学フィルムの貼り付け位置のズレ情報をそれぞれ検出し、検出されたズレ情報に基づいて光学フィルム供給手段のアライメント処理条件をそれぞれ別々に変更するフィードバック処理を行なうようにしたものである。これによって、表示用パネルの両面において安定した貼付位置精度を自動で長期的に維持することができ、生産効率を格段に向上することができる。
【0009】
本発明に係る光学フィルム貼り付け装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の光学フィルム貼り付け装置において、前記フィードバック処理手段は、前記光学フィルムの貼り付け枚数がそれぞれ40枚乃至100枚毎に前記アライメント処理の条件を変更することにある。光学フィルムは、そのロットごとに多少のバラツキが生じることが分かっているので、この発明では、光学フィルムの2〜3ロット分の枚数又は40〜100枚毎にズレ情報の平均値に基づいてアライメント処理の条件を変更する。ズレ情報に基づいて常時フィードバック処理を行なうと、逆に貼り付け精度を劣化させるおそれがあるからである。なお、ズレ情報の平均値が許容範囲以下の場合にはフィードバック処理を行なわないようにしてもよい。
【0010】
本発明に係る表示用パネルの製造方法の特徴は、前記第1から第3までの特徴のいずれか1に記載の光学フィルム貼り付け装置を用いて光学フィルムを表示用パネルへ貼り付けることにある。これは、前記光学フィルム貼付け装置のいずれかを用いて、表示用パネルに光学フィルムを貼り付けるようにした表示用パネルの製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドラムに光学フィルムを保持して、表示パネル基板の両面にほぼ同時に光学フィルムを貼り付ける際に光学フィルムを表示パネルに均一に押し付けて高品質の貼り付け処理を行なことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施の形態による偏光板貼り付け装置の全体構成を示す図である。この偏光板貼り付け装置は、図中の右方向から左方向に向かって略水平状態で移動して来た液晶パネルを略起立状態に変換して、略起立状態で進行させ、進行中の液晶パネルの第1主表面及び第2主表面に対して偏光板をほぼ同時に貼り付けるようにしたものである。
【0013】
この実施の形態に係る偏光板貼り付け装置は、図1に示すように、略水平状態で搬送されてきた液晶パネルを略起立状態に変換して後段の偏光板貼り付けステーション200に供給する液晶パネル供給ステーション100と、偏光板貼り付けステーション200の両側に設けられ、略水平状態に載置されている偏光板を略垂直状態に変換して偏光板貼り付けステーション200に供給する偏光板供給ステーション300,350と、液晶パネル供給ステーション100から略起立状態で供給される液晶パネル(セル)の第1主表面及び第2主表面に対して、偏光板供給ステーション300,350から略起立状態で供給される偏光板をほぼ同時に貼り付ける偏光板貼り付けステーション200と、偏光板貼り付けステーション200で偏光板の貼り付けられた液晶パネルを略起立状態から略水平状態に変換して排出する液晶パネル排出ステーション400と、CF面の偏光板の貼付位置をフィードバック制御するCF貼付位置制御装置500と、TFT面の偏光板の貼付位置をフィードバック制御するTFT貼付位置制御装置600とから構成される。なお、図示していないが、偏光板貼り付けステーション200の両側には、偏光板から剥離された保護フィルムを巻き取って排出する保護フィルム排出ステーションが設けられている。この実施の形態に係る偏光板貼り付け装置の詳細構成については、本願出願人が先に出願した特願2008−191428号に記載してあるので、その詳細な説明は省略する。
【0014】
液晶パネル供給ステーション100は、入口反転部110とセルアライメント部120を含んで構成される。入口反転部110は、略水平状態で搬送されてきた液晶パネル10aを略垂直に起立された状態の液晶パネル10bに反転して、次段のセルアライメント部120に供給する。なお、入口反転部110は、液晶パネル10bを丁度90度に起立した状態よりも、垂直方向に対して約85度又は95度のように約5度程度傾いた状態(略垂直状態)の方が効率的に液晶パネル10bを搬送することができる。セルアライメント部120は、入口反転部110から搬送されてきた液晶パネル10bと、これに貼付される偏光板との位置合わせを行うものである。セルアライメント部120は、液晶パネル10b(セル)長辺部を基準としてθ補正機構を持たないセルアライメント機構と、液晶パネル10bに設けられているセルマークをカメラ121で認識し、カメラ基準点からのズレ量分だけセルを上下移動するセルZアライメント機構122と、セルマークをカメラ121で認識し、そのセルマークから貼付位置寸法を貼付ローラの中心に合わせる(セルの送り量に反映させる)セルXアライメント機構(図示せず)を備えている。セルアライメント部120は、パターンマッチング方式に基づいてアライメント処理を行なう。
【0015】
偏光板貼り付けステーション200は、液晶パネル供給ステーション100から搬送されてきた液晶パネル10dと偏光板との位置合わせを行う偏光板Xアライメント部と、液晶パネル10dに貼り付けられる前の偏光板から保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離部と、略起立状態の液晶パネル10dに偏光板を貼り付ける偏光板貼り付け部と、偏光板供給ステーション300,350から搬送されてきた偏光板を略起立状態として、偏光板貼り付け部に供給する偏光板起立供給部と、偏光板貼り付け部によって偏光板の貼り付けられた液晶パネル10eを液晶パネル排出ステーション400に搬送する偏光板付液晶パネル搬送部から構成される。偏光板Xアライメント部は、表示用パネルの両面(第1主表面(CF面)及び第2主表面(TFT面))側にそれぞれ設けられており、カメラ201で偏光板のコーナーを認識し、その端面をCF貼付位置制御装置500及びTFT貼付位置制御装置600から出力されるフィードバック制御値に基づいてX方向のアライメント処理を行なうものである。なお、偏光板貼り付けステーション200の詳細構成についても、上記特願2008−191428号に記載してあるので、その詳細な説明は省略する。
【0016】
偏光板供給ステーション300,350は、略水平状態の偏光板(図示せず)を起立状態(略垂直状態)に変換して、偏光板貼り付けステーション200の吸着ドラムに正確に位置合わせして供給するものである。偏光板供給ステーション300,350は、偏光板の長辺端面を基準とし、機械的位置関係で精度を保証する偏光板Yアライメント部を備えている。偏光板供給ステーション300,350の偏光板Yアライメント部は、CF貼付位置制御装置500及びTFT貼付位置制御装置600から出力されるフィードバック制御値に基づいてY方向のアライメント処理を行なう。
【0017】
偏光板貼り付けステーション200には図示していないが保護フィルム剥離部が設けられている。この保護フィルム剥離部は、偏光板貼り付けステーション200の吸着ドラムに吸着保持されている偏光板から保護フィルムを剥離する。偏光板の保護フィルムは、偏光板貼り付けステーション200における貼り付け位置に最も近い位置で順次剥離されることで、偏光板への異物の付着を防止している。保護フィルム剥離部で剥離された保護フィルムは、図示していない保護フィルム排出ステーションで巻取られ、その巻取体は外部に排出される。
【0018】
偏光板貼り付けステーション200の偏光板貼り付け部は、偏光板供給ステーション300,350から搬送されてきた起立状態(略垂直状態)の偏光板を一時的に吸着して、液晶パネル供給ステーション100から搬送されて来た起立状態(略垂直状態)の液晶パネル10dに貼り付ける。すなわち、偏光板貼り付け部は、略起立状態で供給される液晶パネル10dの左右両面に偏光板をほぼ同時に貼り付ける。吸着ドラム210,220は、図に示すように、2個の円筒状のドラムが略垂直に起立した状態で平行に配置されている。この吸着ドラム210,220は、外周面が液晶パネル供給ステーション100から移送されて来た液晶パネルの表面と一直線上で接触するように構成されている。さらに、吸着ドラム210,220は、互いに反対方向に所定の力が加えられる状態で設けられているので、両吸着ドラム210,220間を通過する液晶パネルの表面に所定の圧力が加えられることになり、これによって偏光板の同時両面貼り付け作業が行われる。このとき、両吸着ドラム210,220間を通過する液晶パネルの厚みに応じて、両吸着ドラム210,220間の間隔は自在に変動するように、両吸着ドラム210,220間には常に所定の圧力を加える圧力印加部材(図示せず)が設けられている。この圧力印加部材は、両吸着ドラム210,220にそれぞれ結合されて設けられており、互いに吸着ドラム210,220を向き合う方向に押して吸着ドラム210,220と液晶パネルとの接触面に常に一定の圧力が加えられるようにしている。
【0019】
偏光板貼り付けステーション200の偏光板貼り付け部は、前述のように2個の円筒状の吸着ドラム210,220から構成される。吸着ドラム210,220の構成は、所定肉厚の薄板状のパネルが円筒状に巻き回されたような構成のものや円筒状のドラム手段の外周面に設けられた粘着性のゴム部材を用いて、光学フィルムを密着保持して、光学フィルムを表示用パネルに貼り付けるようにしたものを用いることができる。吸着ドラム210,220は最も面積の大きな偏光板をその先端部及び後端部が互いに重なることなく巻き回すことががきる程度の大きさの直径をしている。このように直径の大きな吸着ドラム210,220を用いて液晶パネルの左右両側から加圧しながら貼り付けることによって、液晶パネルのCF面及びTFT面に同時に貼り付けられる偏光板の大きさや貼り付け開始位置などが互いに異なる場合でも、液晶パネルの両面に偏光板をほぼ同時に貼付けることができる。偏光板の貼付られた後の液晶パネル10eは、偏光板付液晶パネル搬送部によって液晶パネル排出ステーション400に搬送される。
【0020】
液晶パネル排出ステーション400は、偏光板貼り付けステーション200の下流に設けられ、偏光板貼り付けステーション200によって偏光板の取り付けられた偏光板付液晶パネル10fを排出するものである。液晶パネル排出ステーション400は、液晶パネル供給ステーション100と同じ構造であり、液晶パネル供給ステーション100とは逆の動作で、両面に偏光板の貼り付けられた偏光板付液晶パネル10fを略垂直に起立された状態で受取り、略水平状態に変換して排出するという処理を行う。液晶パネル排出ステーション400の後段には、偏光板貼付位置のズレ量を測定するズレ量測定部を有する。このズレ量検出部は、エッジ検出用照明450,460,470と、CF貼付位置のズレ量を検出するCF用カメラ410,420と、TFT貼付位置のズレ量を検出するTFT用カメラ430,440とを備えている。
【0021】
図2は、偏光板貼り付けステーションで液晶パネルの両面に偏光板の貼り付けられた偏光板付液晶パネルの一例を示す図である。図2において、外側の大きな四角形がズレ量検出部にて偏光板のズレ量を検出されるセルすなわち偏光板付液晶パネル10gである。図に示すように、偏光板付液晶パネル10gの下側の先端部には、X方向及びY方向のアライメント基準点となるセルアライメントマークX1Y1が設けられ、その下側の後端部にはY方向のアライメント基準点となるセルアライメントマークY2が設けられている。偏光板付液晶パネル10gの下側端面は、セルアライメント部120のセルθアライメント機構の基準端面となる。この実施の形態では、アライメントマークが液晶パネルの上下側の先端部と下側の後端部の3個所に設けられている場合を例に説明しているが、液晶パネルの四隅に設けられているものもある。
【0022】
エッジ検出用照明450,460,470は、液晶パネルの両面に貼付されたCF面及びTFT面のそれぞれの偏光板エッジ部に光を照射するものである。CF用カメラ410は、偏光板付液晶パネル10gの先端側の一角に印されているアライメントマークX1Y1と偏光板エッジ部に基づいてCF貼付位置のX方向(図の左右方向)及びY方向(図の奥行き方向)のズレ量Xc1,Yc1を検出する。TFT用カメラ430は、CF用カメラ410の反対側で同じくアライメントマークX1Y1と偏光板エッジ部に基づいてTFT貼付位置のX方向(図の左右方向)及びY方向(図の奥行き方向)のズレ量Xt1,Yt1を検出する。CF用カメラ420は、偏光板付液晶パネル10gの後端側の一角に印されているアライメントマークY2と偏光板エッジ部に基づいてCF貼付位置のY方向(図の奥行き方向)のズレ量Yc2を検出する。TFT用カメラ440は、CF用カメラ420の反対側で同じくアライメントマークY2と偏光板エッジ部に基づいてTFT貼付位置のY方向(図の奥行き方向)のズレ量Yt2を検出する。
【0023】
CF貼付位置制御装置500は、CF用カメラ410,420からそれぞれ出力されるズレ量Xc1,Yc1,Yc2を入力し、それに基づいたフィードバック制御値を偏光板貼り付けステーション200のCF用偏光板Xアライメント部及び偏光板供給ステーション300の偏光板Yアライメント部にそれぞれ供給する。一方、TFT貼付位置制御装置600は、TFT用カメラ430,440からそれぞれ出力されるズレ量Xt1,Yt1,Yt2を入力し、それに基づいたフィードバック制御値を偏光板貼り付けステーション200のTFT用偏光板Xアライメント部及び偏光板供給ステーション350の偏光板Yアライメント部にそれぞれ供給する。
【0024】
図3は、CF貼付位置制御装置及びTFT貼付位置制御装置の詳細構成を示す図である。CF貼付位置制御装置500及びTFT貼付位置制御装置600の基本的構成は同じなので、CF貼付位置制御装置500について説明する。CF貼付位置制御装置500は、フィードバック条件設定部501と、サンプリングスタート部502と、検査結果処理部503と、寸法設定部504と、寸法差算出許容値判定部505と、判定処理部506と、オフセットデータフィードバック部507と、アライメント条件自動変更部508とから構成される。
【0025】
フィードバック条件設定部501には、サンプリングするサンプル数、フィードバック時の周期、許容データ範囲及びフィードバックレートなどのパラメータが予め設定される。サンプリングスタート部502には、サンプリングのスタートタイミングが設定される。通常、サンプリングのスタートは偏光板貼付処理の起動に同期してスタートされる。検査結果処理部503は、CF用カメラ410,420からそれぞれ出力されるズレ量Xc1,Yc1,Yc2を入力し一時的にセーブし、セーブされたデータがフィードバック条件設定部501によって設定された許容データ範囲よりも大きいか否かの判定を行い、大きい場合には、そのズレ量は範囲外データとして削除処理し、許容データ範囲内のデータ数が所定のサンプル数(例えば、2〜3ロット分の枚数又は40〜100枚)に到達した時点で、そのセーブデータ(分析データ)の平均値を算出し、寸法差算出許容値判定部505に出力する。なお、セーブされたデータが許容データ範囲よりも大きい場合には、その旨を表示装置に表示したり、偏光板付液晶パネル10gにその旨のマーキングを施すようにしてもよい。
【0026】
設計寸法及び現在寸法部504には、偏光板貼り付け装置によって貼付処理される液晶パネルと偏光板との間のズレ量の設計寸法値と、現在貼付処理中の液晶パネルと偏光板との間の実際のズレ量である現在寸法値とが記憶されている。寸法差算出許容値判定部505は、検査結果処理部503から出力される分析データの平均値と、設計寸法値及び現在寸法値との差分値を計算し、その差分値が許容値よりも小さいか否かの判定を行い、許容値よりも小さい場合には、フィードバック処理を行なわないことを示すフラグ「N」を立て、許容値よりも大きい場合には、フィードバック処理を行なうことを示すフラグ「Y」を立てる。フィードバック処理判定部506では、寸法差算出許容値判定部505によって設定されたフラグが「N」なのか「Y」なのかを判定し、「N」の場合は処理を終了し、「Y」の場合は、オフセットデータフィードバック部507にフィードバック処理を行なうように指示する。この偏光板貼り付け装置の処理では、常にフィードバック処理を行なうのではなく、2〜3ロット分の枚数又は40〜100枚毎に分析データの平均値を算出し、その平均値が許容範囲以下の場合にはフィードバック処理を行なわないようにしている。これは、偏光板のロット毎に多少のバラツキが生じることがわかっているので、常にフィードバック処理を行なうことによって逆に貼り付け精度を劣化させるおそれがあるからである。
【0027】
オフセットデータフィードバック部507は、分析データの平均値に所定係数(1以下の数値、例えば0.3〜0.7の数値)を乗じたものをアライメント条件値としてアライメント条件自動変更部508に出力する。これは、分析データの平均値をそのままアライメント条件値として設定することによって、アライメント位置が急激に変動することを抑制し、徐々にズレ量を補正することによって、より安定した貼付け位置精度を維持できるようにしたものである。アライメント条件自動変更部508は、自動的に変更されたアライメント条件値(Xアライメント値及びYアライメント)を一時的に記憶し、Xアライメント値偏光板貼り付けステーション200のCF用偏光板Xアライメント部及び,Yアライメント)偏光板供給ステーション300の偏光板Yアライメント部にそれぞれ供給する。
【0028】
上述の実施の形態では、液晶パネルの両面にほぼ同時に偏光板を貼り付ける場合について説明したが、従来のように、片面ずつに偏光板を貼り付ける場合にも同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態による偏光板貼り付け装置の全体構成を示す図である。
【図2】偏光板貼り付けステーションで液晶パネルの両面に偏光板の貼り付けられた偏光板付液晶パネルの一例を示す図である。
【図3】CF貼付位置制御装置及びTFT貼付位置制御装置の詳細構成を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
10a〜10d…液晶パネル
10e,10f,10g…偏光板付液晶パネル
100…液晶パネル供給ステーション
200…偏光板貼り付けステーション
300,350…偏光板供給ステーション
400…液晶パネル排出ステーション
500…CF貼付位置制御装置500
600…TFT貼付位置制御装置
110…入口反転部
120…セルアライメント部
121,201…カメラ
122…セルZアライメント機構
210,220…吸着ドラム
450,460,470…エッジ検出用照明
410,420…CF用カメラ
430,440…TFT用カメラ
X1Y1,Y2…セルアライメントマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示用パネルを搬送する表示用パネル搬送手段と、
前記表示用パネルの少なくとも片面側の所定位置にアライメント処理された光学フィルムを供給する光学フィルム供給手段と、
前記アライメント処理された前記光学フィルムを前記表示用パネルに貼り付ける光学フィルム貼り付け手段と、
前記光学フィルム貼り付け後の前記表示用パネルにおける前記光学フィルムの貼り付け位置のズレ情報を検出し、前記ズレ情報に基づいて前記光学フィルム供給手段の行なう前記アライメント処理の条件を変更するフィードバック処理手段と
を備えたことを特徴とする光学フィルム貼り付け装置。
【請求項2】
表示用パネルを略垂直状態で搬送する表示用パネル搬送手段と、
前記表示用パネルの両面側の所定位置にアライメント処理された第1及び第2の光学フィルムを略垂直状態で供給する光学フィルム供給手段と、
前記アライメント処理された前記第1及び第2の光学フィルムを前記表示用パネルの両面にほぼ同時に貼り付ける光学フィルム貼り付け手段と、
前記第1及び第2の光学フィルム貼り付け後の前記表示用パネルにおける前記第1及び第2の光学フィルムの貼り付け位置のズレ情報を検出し、前記ズレ情報に基づいて前記光学フィルム供給手段の行なう前記アライメント処理の条件を前記第1及び第2の光学フィルム毎に変更するフィードバック処理手段と
を備えたことを特徴とする光学フィルム貼り付け装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記フィードバック処理手段は、前記光学フィルムの貼り付け枚数がそれぞれ40枚乃至100枚毎に前記アライメント処理の条件を変更することを特徴とする光学フィルム貼り付け装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1に記載の光学フィルム貼り付け装置を用いて光学フィルムを表示用パネルへ貼り付けることを特徴とする表示用パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−72183(P2010−72183A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237771(P2008−237771)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】