説明

光学ユニット、光学ユニットの製造方法、および撮像装置

【課題】絞りや遮光構造を簡単に、かつ精度良く実現することが可能なウエハーレベルレンズおよび撮像装置を提供する。
【解決手段】光学ユニットは、物体側から像面側への光路上に配置された複数のレンズを有し、複数のレンズのうち少なくとも一つのレンズの像面側面または物体側面の一方がウエハーレベルで平面に形成され、このレンズの平面が、絞り機能を含む絞り面または遮光機能を含む遮光面として形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ウエハーレベルのレンズを用いた光学ユニット、光学ユニットの製造方法、および撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯電子機器には、小型で薄型の撮像装置が搭載されている。
このような撮像装置は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子と、撮像素子に被写体象を結像するレンズ系とを有している。
【0003】
そして、CCDやCMOSイメージセンサ等の撮像素子のセルピッチが劇的に小さくなり、光学系には通常光学系よりも光学収差、特に軸上色収差を抑えた高い結像性能が要求される。
また、価格要求に対して、ウエハーレベルにレンズを形成しコストを削減するという技術が知られている。
【0004】
これらの例としては、代表的なものに特許文献1に開示された技術が知られている。
特許文献1には、2次元に配列される複数のレンズ部と、これらのレンズを相互に接続する基板部と、が樹脂材料により一体に形成されるウエハーレベルレンズアレイが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−2666671号公報
【特許文献2】特開2011−59678号公報
【特許文献3】特開2011−48303号公報
【特許文献4】特開2010−103490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年の携帯電話やパーソナルコンピュータ(PC)等に搭載される撮像装置には、高解像度・低コスト・低背‐小型化が強く求められている。
低コストを解決する手法の一つとしてウエハーレベルでの製造は低コスト化などの観点で非常に優れたプロセスであるが、まだ低画素領域での技術であり、高画素に対応できていないのが現状である。
【0007】
高画素領域においては性能を維持するためレンズ枚数が増えるが、同時にこれは遮光構造の複雑化と部品増加による大型化の課題を持つことになり、これらを同時に解決することは非常に難しい。
これらの問題はウエハー内にレンズやレンズコバの凹凸が原因の大きな一つとなる。
一般的にウエハーレベルのレンズは、上記した特許文献1に記載されているように、ウエハー内に、凹凸が形成されており、絞りや遮光などの対策がとり難い。
【0008】
絞りや遮光などの対策として、既存の構造では、(1)凹凸面にリソフォトグラフィやレジストなどの手法で遮光機能を持たせる、(2)遮光管などの別部品を組み込むことで対応するなどの手法がとられている。
【0009】
上記(1)の方法としては、特許文献2に記載されているように、直接凹凸部に遮光機能を付加する方法がある。
しかし、この方法は材料やプロセスが制限される不利益があり、また必要精度を維持することが難しく、面数が多くなる高画素レンズではゴースト、フレアが非常に大きな問題となる。
【0010】
上記(2)の方法の場合は、特許文献3に記載されているような構造があるが、絞りのように位置精度が必要な部品はウエハー状のシートで一括貼り合わせでは精度が確保できない。これはレンズ材料と遮光材材料の膨張率の差による。
レンズ単位で個片配置する必要があるが、この作業は非常に複雑で時間のかかるものとなる。
せっかくの安価、シンプルなプロセスを目的としたウエハーレベルプロセスに部品と工程を増やすことになり、この別部品によりレンズ間隔などが制限されると言った設計制約が発生し低背-小型化、低コスト化に課題を持つ。
【0011】
また、特許文献4に例示されるようなレンズ形状をもったウエハーレベルカメラにおいて、曲率を持ったレンズウエハー面に直接、赤外カットフィルタ(IRCF)を形成する場合、以下の不利益がある。
すなわち、IRCFを凹凸面に一様に成膜することは難しく、膜ムラ、膜抜け、特性不良などの諸問題が発生する。
【0012】
本技術は、絞りや遮光構造を簡単に、かつ精度良く実現することが可能なウエハーレベルレンズおよび撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本技術の第1の観点の光学ユニットは、物体側から像面側への光路上に配置された複数のレンズを有し、上記複数のレンズのうち少なくとも一つのレンズの像面側面または物体側面の一方がウエハーレベルで平面に形成され、上記レンズの平面が、絞り機能を含む絞り面または遮光機能を含む遮光面として形成されている。
【0014】
本技術の第2の観点の光学ユニットの製造方法は、物体側から像面側への光路上に配置される複数のレンズを、それぞれウエハーレベルで多数個、個別のウエハーに形成するレンズ形成工程と、上記ウエハーレベルで形成されたレンズをウエハー状態で貼り合わせる、貼り合わせ工程と、貼り合されたウエハーを個片化して多数個の光学ユニットを形成する個片化工程と、を有し、上記レンズ形成工程において、上記複数のレンズの少なくとも一つのレンズの像面側面または物体側面の一方をウエハーレベルで平面に形成する平面形成工程と、上記レンズの平面を、絞り機能を含む絞り面または遮光機能を含む遮光面として形成する機能面形成工程と、を含む。
【0015】
本技術の第3の観点の撮像装置は、撮像素子と、撮像素子に被写体像を結像する光学ユニットと、上記撮像素子の出力信号に対して所定の信号処理を施す信号処理部と、を有し、上記光学ユニットは、物体側から像面側への光路上に配置された複数のレンズを有し、上記複数のレンズのうち少なくとも一つのレンズの像面側面または物体側面の一方がウエハーレベルで平面に形成され、上記レンズの平面が、絞り機能を含む絞り面または遮光機能を含む遮光面として形成されている。
【発明の効果】
【0016】
本技術によれば、絞りや遮光構造を簡単に、かつ精度良く実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る光学ユニットの第1の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る光学ユニットの第2の構成例を示す図である。
【図3】ウエハーレベルで遮光面または絞り面とする面を平面に形成して、塗布装置等によりこの平面に遮光面または絞りを塗布する例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る光学ユニットの第3の構成例を示す図である。
【図5】平面を有していないレンズにより形成される比較例としての光学ユニットおよび図4の光学ユニットを比較して示す図である。
【図6】本実施形態に係る光学ユニットの製造方法の全体の概要を説明するための図である。
【図7】本実施形態に係る光学ユニットの製造方法の要部を説明するための図である。
【図8】比較例としての光学ユニットの製造工程を示す図である。
【図9】本実施形態に係る光学ユニットが採用される撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本技術の実施形態を添付図面に関連付けて説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.光学ユニットの第1の構成例
2.光学ユニットの第2の構成例
3.光学ユニットの第3の構成例
4.光学ユニットの製造方法
5.撮像装置の構成例
【0019】
<1.光学ユニットの第1の構成例>
図1は、本実施形態に係る光学ユニットの第1の構成例を示す図である。
【0020】
本光学ユニット100は、物体側OBJSから像面側への光路上に配置された複数(本実施形態では4個)のレンズを有する。
光学ユニット100は、複数のレンズのうちの一つのレンズの像面側面または物体側面(本実施形態では像面側面)がウエハーレベルで平面に形成され、この平面が、絞り機能を含む絞り面として形成されている。
絞りは、平面に膜として形成される。
【0021】
すなわち、図1の光学ユニット100は、物体側OBJSから像面側に向かって順番に配置された、第1レンズ110、第2レンズ120、第3レンズ130、第4レンズ140、カバーガラス150、および像面160を有する。
第1レンズ110、第2レンズ120、第3レンズ130、および第4レンズ140は、ガラス、あるいは、紫外線(UV)硬化樹脂や熱硬化樹脂、あるいはプラスチック等により形成される。
【0022】
そして、光学ユニット100は、全体としてレンズ面は、第1面L1S1、第2面L1S2、第3面L2S1、第4面L2S2、第5面L3S1、第6面L3S2、第7面L4S1、および第8面L4S2を有している。
【0023】
第1レンズ110は、物体側が凸状で像面側平面の平凸レンズにより形成されている。
すなわち、第1レンズ110は、第1面L1S1が凸状の物体側面により形成され、第2面L1S2が平面の像面側面により形成されている。
そして、第1レンズ110の像面側面である第2面L1S2は、ウエハーレベルで平面に形成され、この平面に塗布、リソフォトグラフィ等により絞り170の機能を含む絞り面として形成されている。
このように、本第1の実施形態の光学ユニット100は、第1レンズ110の第2面L1S2がウエハーレベルで絞り170が平面に塗布されて膜状に形成されている。
そして、この絞り170の機能によりレンズの明るさ(Fno)が決定される。
【0024】
第2レンズ120は、物体側が凹状で像面側が凸状の凹凸レンズにより形成されている。
すなわち、第2レンズ120は、第3面L2S1が凹状の物体側面により形成され、第4面L2S2が凸状の像面側面により形成されている。
【0025】
第3レンズ130は、物体側が凹状で像面側が凸状の凹凸レンズにより形成されている。
すなわち、第3レンズ130は、第5面L3S1が凹状の物体側面により形成され、第6面L3S2が凸状の像面側面により形成されている。
【0026】
第4レンズ140は、物体側が凹状で、像面側が光軸OXを含む光軸の周辺部が凹状でさらに外周部が凸状のレンズにより形成されている。
すなわち、第4レンズ140は、第7面L4S1が凹状の物体側面により形成され、第8面L4S2が凹凸状の像面側面により形成されている。
【0027】
単焦点レンズである光学ユニット100において、像面160は、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子の撮像面(受像面)が配置されることを想定している。
カバーガラス150は、第8面L4S2と像面160との間に配置される。第8面S4S2と像面160との間には、樹脂またはガラスで形成されるカバーガラスや赤外カットフィルタやローパスフィルタなどの他、光学部材が配置されていてもよい。
なお、本実施形態では、図1において、左側が物体側(前方)であり、右側が像面側(後方)である。
そして、物体側から入射した光束は、第1レンズ110、絞り170、第2レンズ120、第3レンズ130、第4レンズ140を通して像面160上に結像される。
【0028】
以上のように、図1の光学ユニット100によれば、第1レンズ110の像面側面である第2面L1S2は、ウエハーレベルで平面に形成され、この平面が塗布等により絞り170の機能を含む絞り面として形成されている。
したがって、絞りを簡単に、かつ精度良く実現することができる。また、絞りを第1レンズに付着することができ、部品点数を削減でき、安くできる。また、外付け部品のように絞り部に厚みを持たないため、ゴースト要因と周辺光量落ちがなくより光学特性が良くなる。
そして、本実施形態によれば、明るく、高解像度、小型で固定焦点(FF)レンズに最適な光学ユニットを提供することができる。
【0029】
<2.光学ユニットの第2の構成例>
図2は、本実施形態に係る光学ユニットの第2の構成例を示す図である。
【0030】
図2の光学ユニット100Aが図1の光学ユニット100と異なる点は次の通りである。
図2の光学ユニット100Aにおいては、第2レンズ120Aの物体側面である第3面L2S1Aおよび第4レンズ140Aの物体側面である第7面L4S1Aが、ウエハーレベルで平面に形成されていている。
そして、第2レンズ120Aの平面(第3面L2S1A)および第4レンズ140Aの平面(第7面L4S1A)が、塗布等により遮光部(遮光膜)180−1,18−2の機能を含む遮光面として形成されている。
【0031】
そして、第1レンズ110は、物体側が凸状で像面側平面の平凸レンズにより形成されている。
すなわち、第1レンズ110は、第1面L1S1が凸状の物体側面により形成され、第2面L1S2が平面の像面側面により形成されている。
そして、第1レンズ110の像面側面である第2面L1S2は、ウエハーレベルで平面に形成され、この平面に塗布、リソフォトグラフィ等により絞り170の機能を含む絞り面として形成されている。
このように、本第1の実施形態の光学ユニット100は、第1レンズ110の第2面L1S2がウエハーレベルで絞り170が塗布された平面に形成されている。
そして、この絞り170の機能によるレンズの明るさ(Fno)が決定される。
【0032】
第2レンズ120Aは、物体側が平面で像面側が凹状の平凹レンズにより形成されている。
すなわち、第2レンズ120Aは、第3面L2S1Aが平面の物体側面により形成され、第4面L2S2Aが凹状の像面側面により形成されている。
そして、第2レンズ120Aの物体側面である第3面L2S1Aは、ウエハーレベルで平面に形成され、この平面に塗布、リソフォトグラフィ等により遮光部180−1の機能を含む遮光面として形成されている。
【0033】
第3レンズ130Aは、物体側が凹状で像面側が凸状の凹凸レンズにより形成されている。
すなわち、第3レンズ130は、第5面L3S1Aが凹状の物体側面により形成され、第6面L3S2Aが凸状の像面側面により形成されている。
【0034】
第4レンズ140Aは、物体側が平面で、像面側が光軸OXを含む光軸の周辺部が凹状でさらに外周部が凸状のレンズにより形成されている。
すなわち、第4レンズ140Aは、第7面L4S1Aが平面の物体側面により形成され、第8面L4S2が凹凸状の像面側面により形成されている。
そして、第4レンズ140Aの物体側面である第7面L4S1Aは、ウエハーレベルで平面に形成され、この平面に塗布、リソフォトグラフィ等により遮光部180−2の機能を含む遮光面として形成されている。
【0035】
図3は、ウエハーレベルで遮光面または絞り面とする面を平面に形成して、塗布装置等によりこの平面に遮光面または絞りを塗布する例を示す図である。
【0036】
図3の例で、ウエハー200に、たとえば第2レンズ120Aを2次元状に多数形成し、第2レンズ120Aの第3面L2S1Aとなる面が平面に形成される。
そして、このウエハー200の平面201に塗布、リソフォトグラフィ等により遮光部180(−1,−2)の機能を含む遮光面が形成される。
【0037】
ここでは、第2レンズ120Aの第3面L2S1Aを平面とし、この平面に遮光部を形成する例を説明した。これは第4レンズ140Aの第7面L4S1Aを平面にしてこの平面に遮光部を形成する場合も、第1レンズ120の第2面L1S2を平面にしてこの平面に絞りを形成する場合も同様である。
【0038】
図2には、実線Aおよび破線Bで示す矢印によりゴースト発生経路の例示されている。
矢印Aは面間反射のゴースト、破線Bは撮像範囲外からの不要光がレンズコバ部分を通ることで発生するゴーストを示している。
どちらも、平面に形成された遮光部180−1,180−2の遮光機能によりゴースト発生が防止される。
【0039】
以上のように、図2の光学ユニット100Aによれば、第1レンズ110の像面側面である第2面L1S2は、ウエハーレベルで平面に形成され、この平面が塗布等により絞り170の機能を含む絞り面として形成されている。
そして、光学ユニット100Aによれば、第2レンズ120Aの平面(第3面L2S1A)および第4レンズ140Aの平面(第7面L4S1A)が、塗布等により遮光部(遮光膜)180−1,18−2の機能を含む遮光面として形成されている。
したがって、絞りや遮光構造を簡単に、かつ精度良く実現することができる。また、絞りや遮光部を第1レンズ、第2レンズ、第4レンズに付着することができ、部品点数を削減でき、安くできる。また、外付け部品のように絞り部に厚みを持たないため、ゴースト要因と周辺光量落ちがなくより光学特性が良くなる。
そして、本実施形態によれば、明るく、高解像度、小型で固定焦点(FF)レンズに最適な光学ユニットを提供することができる。
【0040】
<3.光学ユニットの第3の構成例>
図4は、本実施形態に係る光学ユニットの第3の構成例を示す図である。
【0041】
図4の光学ユニット100Bが図2の光学ユニット100Aと異なる点は次の通りである。
図4の光学ユニット100Bでは、図2の光学ユニット100Aと基本的構成を有する第1レンズ110、第2レンズ120A、第3レンズ130A、および第4レンズ140B、並びに像面160を含む撮像素子160Bがレンズホルダ300に配置されている。
すなわち、図4の光学ユニット100Bは、モジュール化されている。
そして、図4の光学ユニット100Bにおいて、物体像が結像される撮像素子の像面に最も近くに配置された第4レンズ140Bの第7面L4S1あの遮光部180−2以外の平面部分に、IRCF310が蒸着により形成されている。
【0042】
この光学ユニット100Bによれば、IRCFを蒸着により簡単に形成することができることから、低背化と低コスト化に有利である。
図5(A)および(B)は、平面を有していないレンズにより形成される比較例としての光学ユニットおよび図4の光学ユニットを比較して示す図である。
図5(A)が比較例の光学ユニットを示し、図5(B)が図4の光学ユニットを示している。
【0043】
比較例の光学ユニット100Cは、本実施形態の光学ユニット100Bと異なり、絞り、遮光部を形成する面が平面に形成されておらず、曲面レンズとして各レンズが形成されている。
この曲面レンズには直接IRCF膜を蒸着できないため、モジュール化後には図5(A)に示すようになる。
レンズホルダ300AにIRCF320を別途設けるためにその保持機構部330が必要となり、また、他のレンズの保持機構部340が必要となっている。
しかしこの場合、IRCF320自体とその保持機構部330の分だけ厚みが必要で、またコストも増加する。
これに対して、図4および図5(B)に示す本実施形態の光学ユニット100Bのように、遮光平面を持てば、ここにIRCF膜を蒸着できるので低背化と低コスト化に有利である。
また、本実施形態の光学ユニット100Bは、レンズ面とそこに入射する光線の角度が並行に近くなってくるので、IRCF膜において度々問題になるシェーディングも問題も有利に改善できる。
【0044】
<4.光学ユニットの製造方法>
図6および図7は、本実施形態に係る光学ユニットの製造方法を説明するための図である。
図6は、本実施形態に係る光学ユニットの製造方法の全体の概要を説明するための図である。
図7は、本実施形態に係る光学ユニットの製造方法の要部を説明するための図である。
【0045】
本実施形態に係る光学ユニット100,100A,100Bの製造方法は、基本的にレンズ形成工程ST11、貼り合わせ工程ST12、および個片化工程ST13を含んで構成される。
なお、図6の例では、レンズモジュール形成工程ST14を例示している。図6ではレンズホルダ300にカバーガラス150が配置されている例を示しているが、図4のような構成に形成することも可能である。
【0046】
レンズ形成工程ST11では、複数のレンズ、本実施形態では第1レンズ110〜第4レンズ140(A,B)を、それぞれウエハーレベルで多数個、個別のウエハーに形成する。
具体的には、第1ウエハー210に第1レンズ110が2次元状に多数個形成され、第2ウエハー220に第2レンズ120Aが2次元状に多数個形成される。
同様に、第3ウエハー230に第3レンズ130が2次元状に多数個形成され、第4ウエハー240に第4レンズ140が2次元状に多数個形成される。
たとえば8インチの各ウエハー(基板)210〜240上に5mm□ピッチで各レンズ110〜140が形成される。
【0047】
そして、このレンズ形成工程ST11は、図7(A),(B)に示すように、平面形成工程ST111および機能面形成工程ST112を含んで構成される。
平面形成工程ST111では、複数のレンズの少なくとも一つのレンズの像面側面または物体側面の一方をウエハーレベルで平面に形成する。
機能面形成工程ST112では、図2に示すように、レンズの平面を、絞り機能を含む絞り面または遮光機能を含む遮光面として形成する。
【0048】
具体的には、レンズ形成工程ST11において、平面形成工程ST111で第1レンズ110が形成される第1ウエハー210の像面側面となる面L1S2を平面に形成する。
そして、機能面形成工程ST112において、平面に形成されたL1S2に塗布デバイス250(図7(B))により絞り用膜を塗布し、この平面(L1S2)を絞り面として形成する。
【0049】
また、レンズ形成工程ST11において、平面形成工程ST111で第2レンズ120Aが形成される第2ウエハー220の物体側となる面L2S1Aを平面に形成する。
そして、機能面形成工程ST112において、平面に形成されたL2S1Aに塗布デバイス250(図7(B))により遮光部(遮光膜)180−1を塗布し、この平面(L2S1)を遮光面として形成する。
【0050】
また、レンズ形成工程ST11において、平面形成工程ST111で第4レンズ140Aが形成される第4ウエハー240の物体側となる面L4S1Aを平面に形成する。
そして、機能面形成工程ST112において、平面に形成されたL4S1Aに塗布デバイス250(図7(B))により遮光部(遮光膜)180−2を塗布し、この平面(L4S1)を遮光面として形成する。
【0051】
また、レンズ形成工程ST11において、平面形成工程ST111で第4レンズ140Bが形成される第4ウエハー240の物体側となる面L4S1Aを平面に形成する。
そして、機能面形成工程ST112において、平面に形成されたL4S1Aに塗布デバイス250(図7(B))により遮光部(遮光膜)180−2を塗布し、この平面(L4S1)を遮光面として形成する。
さらに、機能面形成工程ST112において、平面に形成されたL4S1Aに塗布デバイス250(図7(B))によりIRCF膜310を塗布し、この平面(L4S1)を遮光面およびIRCF面として形成する。
【0052】
また、図8は、比較例としての光学ユニットの製造工程を示す図である。
なお、簡単化のため3つのレンズ用の3つのウエハーを用いた例を示しているが、本実施形態のように4つのレンズあるいはそれ以上の場合も同様である。
比較例では、レンズ形成工程ST11の後にシート貼り付け工程ST15が設けられている。
シート貼り付け工程ST15では、絞り、スペーサーをレンズ用ウエハー210C,220Cに貼り付ける。ただし、精度が必要なことから、 遮光部品は個片で1つ1つレンズにのせる必要があり、煩雑な手間を要する。
【0053】
以上のように、本実施形態の製造方法によれば、ウエハーレベルのレンズ構造において、平面を設計に1面以上組み込み、その面を絞り面もしくは遮光面として使用する。
絞り、遮光の手法として塗布工程などレンズウエハーに直接加工を施すプロセスが、
平面への加工になるので容易かつ精度良く実現できる。
また、この遮光平面を利用し、ここにIRCF膜を蒸着することでIRCFやその保持機構を削減でき、モジュールの更なる低コスト化、低背-小型化に有利となる。
【0054】
本技術は、形状精度がナノメートルオーダであり、外形精度がミクロンオーダであり、高さ精度もナノオーダである形成物を作成するインプリントなどの成形方法および成形装置等に適用可能である。
この成形方法および成形装置に用いる成形金型、この成形方法および成形装置を用いた光学素子アレイ板の製造方法に適用可能である。
また、この光学素子アレイ板の製造方法により電子素子モジュールを製造することが可能である。
電子素子モジュールは、入射光を集光する複数のレンズまたは、出射光を直進させたり入射光を所定方向に曲げて導いたりする複数の光学機能素子などの光学素子アレイ板を含む。
電子素子モジュールは、各レンズにそれぞれ対応して、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子を有する。
または、電子素子モジュールは、各光学機能素子にそれぞれ対応して、出射光を発生させるための発光素子および/または入射光を受光するための受光素子などを有する。
そして、電子素子モジュールは、複数モジュール化(一体化)された電子素子ウエハモジュールから一括切断して製造される。
【0055】
この電子素子モジュールの製造方法により製造された電子素子モジュールは、次のような電子機器に採用することができる。
電子素子モジュールは、たとえば画像入力デバイスとして撮像部に用いたたとえばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラなどの画像入力カメラに採用可能である。
あるいは、電子素子モジュールは、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)または、この電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたピックアップ装置などに採用可能である。
【0056】
すなわち、以上説明したような特徴を有する光学ユニット100,100A,100Bは、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子を用いたデジタルカメラ、特に、携帯電話等の小型電子機器に搭載されるカメラ用レンズとして適用可能である。
【0057】
<5.撮像装置の構成例>
図9は、本実施形態に係る光学ユニットが採用される撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0058】
本撮像装置400は、図9に示すように、本実施形態に係る光学ユニット100,100A,100Bが適用される光学系410、およびCCDやCMOSイメージセンサ(固体撮像素子)が適用可能な撮像デバイス420を有する。
光学系410は、撮像デバイス420の画素領域を含む撮像面に入射光を導き、被写体像を結像する。
撮像装置400は、さらに、撮像デバイス420を駆動する駆動回路(DRV)430、および撮像デバイス420の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)440を有する。
【0059】
駆動回路430は、撮像デバイス420内の回路を駆動するスタートパルスやクロックパルスを含む各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ(図示せず)を有し、所定のタイミング信号で撮像デバイス420を駆動する。
【0060】
また、信号処理回路440は、撮像デバイス420の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路440で処理された画像信号は、たとえばメモリなどの記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像情報は、プリンタなどによってハードコピーされる。また、信号処理回路440で処理された画像信号を液晶ディスプレイ等からなるモニターに動画として映し出される。
【0061】
上述したように、デジタルスチルカメラ等の撮像装置において、光学系410および撮像デバイスとして、先述した光学ユニット100,100A、100Bを搭載することで、低消費電力で、高精度なカメラが実現できる。
【0062】
なお、本技術は以下のような構成をとることができる。
(1)物体側から像面側への光路上に配置された複数のレンズを有し、
上記複数のレンズのうち少なくとも一つのレンズの像面側面または物体側面の一方がウエハーレベルで平面に形成され、
上記レンズの平面が、絞り機能を含む絞り面または遮光機能を含む遮光面として形成されている
光学ユニット。
(2)一つの上記レンズの像面側面が平面に形成され、当該平面が絞り面として形成されている
上記(1)記載の光学ユニット。
(3)上記複数のレンズのうちの少なくとも一つのレンズの物体側面が平面に形成され、当該平面が遮光面として形成されている
上記(1)または(2)記載の光学ユニット。
上記(4)上記複数のレンズのうち、遮光面として形成された平面を有するレンズの当該平面に赤外カットフィルタが形成されている
上記(1)から(3)のいずれか一に記載の光学ユニット。
上記(5)上記複数のレンズのうち、物体像が結像される撮像素子の像面に最も近くに配置されたレンズの物体側面または像面側面の一方が平面に形成され、当該レンズの平面が遮光機能を含む遮光面として形成され、かつ、当該平面に赤外カットフィルタが形成されている
上記(4)記載の光学ユニット。
(6)物体側から像面側への光路上に配置される複数のレンズを、それぞれウエハーレベルで多数個、個別のウエハーに形成するレンズ形成工程と、
上記ウエハーレベルで形成されたレンズをウエハー状態で貼り合わせる、貼り合わせ工程と、
貼り合されたウエハーを個片化して多数個の光学ユニットを形成する個片化工程と、を有し、
上記レンズ形成工程において、
上記複数のレンズの少なくとも一つのレンズの像面側面または物体側面の一方をウエハーレベルで平面に形成する平面形成工程と、
上記レンズの平面を、絞り機能を含む絞り面または遮光機能を含む遮光面として形成する機能面形成工程と、を含む
光学ユニットの製造方法。
(7)上記レンズ形成工程において、
一つのレンズが形成されるウエハーの像面側面となる面を平面に形成し、
当該平面を絞り面として形成する
上記(6)記載の光学ユニットの製造方法。
(8)上記レンズ形成工程において、
ウエハーレベルの上記複数のレンズのうちの少なくとも一つのレンズが形成されるウエハーの物体側面となる面を平面に形成し、
当該平面を遮光面として形成する
上記(6)または(7)記載の光学ユニットの製造方法。
(9)上記レンズ形成工程において、
上記複数のレンズのうち、遮光面として形成された平面を有するレンズの当該平面に赤外カットフィルタを形成する
上記(6)から(8)のいずれか一に記載の光学ユニットの製造方法。
(10)上記レンズ形成工程において、
ウエハーレベルの上記複数のレンズのうち、物体像が結像される撮像素子の像面に最も近くに配置されるレンズが形成されるウエハーの物体側面となる面または像面側面となる面の一方を平面に形成し、
当該平面を遮光機能を含む遮光面として形成し、かつ、
当該平面に赤外カットフィルタを形成する
上記(9)記載の光学ユニットの製造方法。
(11)撮像素子と、
撮像素子に被写体像を結像する光学ユニットと、
上記撮像素子の出力信号に対して所定の信号処理を施す信号処理部と、を有し、
上記光学ユニットは、
物体側から像面側への光路上に配置された複数のレンズを有し、
上記複数のレンズのうち少なくとも一つのレンズの像面側面または物体側面の一方がウエハーレベルで平面に形成され、
上記レンズの平面が、絞り機能を含む絞り面または遮光機能を含む遮光面として形成されている
撮像装置。
【符号の説明】
【0063】
100,100A,100B・・・光学ユニット、110・・・第1レンズ、120,120A・・・第2レンズ、130,130A・・・第3レンズ、140,140A,140B・・・第4レンズ、200・・・ウエハー、300・・・レンズホルダ、310・・・IRCF膜、400・・・撮像装置、410・・・光学系、420・・・撮像デバイス、430・・・駆動回路(DRV)、440・・・信号処理回路(PRC)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像面側への光路上に配置された複数のレンズを有し、
上記複数のレンズのうち少なくとも一つのレンズの像面側面または物体側面の一方がウエハーレベルで平面に形成され、
上記レンズの平面が、絞り機能を含む絞り面または遮光機能を含む遮光面として形成されている
光学ユニット。
【請求項2】
一つの上記レンズの像面側面が平面に形成され、当該平面が絞り面として形成されている
請求項1記載の光学ユニット。
【請求項3】
上記複数のレンズのうちの少なくとも一つのレンズの物体側面が平面に形成され、当該平面が遮光面として形成されている
請求項1記載の光学ユニット。
【請求項4】
上記複数のレンズのうち、遮光面として形成された平面を有するレンズの当該平面に赤外カットフィルタが形成されている
請求項1記載の光学ユニット。
【請求項5】
上記複数のレンズのうち、物体像が結像される撮像素子の像面に最も近くに配置されたレンズの物体側面または像面側面の一方が平面に形成され、当該レンズの平面が遮光機能を含む遮光面として形成され、かつ、当該平面に赤外カットフィルタが形成されている
請求項4記載の光学ユニット。
【請求項6】
物体側から像面側への光路上に配置される複数のレンズを、それぞれウエハーレベルで多数個、個別のウエハーに形成するレンズ形成工程と、
上記ウエハーレベルで形成されたレンズをウエハー状態で貼り合わせる、貼り合わせ工程と、
貼り合されたウエハーを個片化して多数個の光学ユニットを形成する個片化工程と、を有し、
上記レンズ形成工程において、
上記複数のレンズの少なくとも一つのレンズの像面側面または物体側面の一方をウエハーレベルで平面に形成する平面形成工程と、
上記レンズの平面を、絞り機能を含む絞り面または遮光機能を含む遮光面として形成する機能面形成工程と、を含む
光学ユニットの製造方法。
【請求項7】
上記レンズ形成工程において、
一つのレンズが形成されるウエハーの像面側面となる面を平面に形成し、
当該平面を絞り面として形成する
請求項6記載の光学ユニットの製造方法。
【請求項8】
上記レンズ形成工程において、
ウエハーレベルの上記複数のレンズのうちの少なくとも一つのレンズが形成されるウエハーの物体側面となる面を平面に形成し、
当該平面を遮光面として形成する
請求項6記載の光学ユニットの製造方法。
【請求項9】
上記レンズ形成工程において、
上記複数のレンズのうち、遮光面として形成された平面を有するレンズの当該平面に赤外カットフィルタを形成する
請求項6記載の光学ユニットの製造方法。
【請求項10】
上記レンズ形成工程において、
ウエハーレベルの上記複数のレンズのうち、物体像が結像される撮像素子の像面に最も近くに配置されるレンズが形成されるウエハーの物体側面となる面または像面側面となる面の一方を平面に形成し、
当該平面を遮光機能を含む遮光面として形成し、かつ、
当該平面に赤外カットフィルタを形成する
請求項9記載の光学ユニットの製造方法。
【請求項11】
撮像素子と、
撮像素子に被写体像を結像する光学ユニットと、
上記撮像素子の出力信号に対して所定の信号処理を施す信号処理部と、を有し、
上記光学ユニットは、
物体側から像面側への光路上に配置された複数のレンズを有し、
上記複数のレンズのうち少なくとも一つのレンズの像面側面または物体側面の一方がウエハーレベルで平面に形成され、
上記レンズの平面が、絞り機能を含む絞り面または遮光機能を含む遮光面として形成されている
撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−41061(P2013−41061A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177137(P2011−177137)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】